【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材に塗布され優れた被膜を形成する樹脂水性分散体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多塩基酸成分と多価アルコール成分とより構成される高分子量のポリエステル樹脂は、被膜形成用樹脂として、被膜の加工性、有機溶剤に対する耐性(耐溶剤性)、耐候性、各種基材への密着性等に優れることから、塗料、インキ、接着剤、コーティング剤等の分野におけるバインダー成分として大量に使用されている。
特に近年、環境保護、省資源、消防法等による危険物規制、職場環境改善の立場から有機溶剤の使用が制限される傾向にあり、上記の用途に使用できるポリエステル樹脂系バインダーとして、ポリエステル樹脂を水性媒体に微分散させたポリエステル樹脂水性分散体の開発が盛んに行われている。
【0003】
その一例として、比較的低酸価で高分子量のポリエステル樹脂を塩基性化合物で中和させることにより、水性媒体中に分散させたポリエステル樹脂水性分散体が提案されており、かかる水性分散体を用いると加工性、耐水性、耐溶剤性等の性能に優れた被膜を形成できることが開示されている(例えば、特許文献1〜6参照。)。
【0004】
また、ポリエステル樹脂水性分散体に含まれる有機溶剤の含有率を低減することにより、含有するポリエステル樹脂の分子量安定性が優れることが開示されている(例えば、特許文献6参照。)。
また、ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂を含有する樹脂水性分散体が開示されている。(例えば、特許文献2、4、5、6、8参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−296100号公報
【特許文献2】
特開2000−26709号公報
【特許文献3】
特開2000−313793号公報
【特許文献4】
特開2000−327991号公報
【特許文献5】
特開2000−343834号公報
【特許文献6】
特開2001−1655号公報
【特許文献7】
特開2001−59051号公報
【特許文献8】
特開2001−81671号公報
【特許文献9】
特開2002−173582号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようなポリエステル樹脂水性分散体は、優れた樹脂被膜を形成することができるのであるが、ポリエステル樹脂水性分散体に含まれる有機溶剤の含有率が少ない場合には、低温で造膜させた場合に、厚塗りが困難であること、基材への密着性が不十分であること、基材によっては、濡れ性が不十分であること等の問題が生じる場合があった。
【0007】
上記問題の解決方法の1つとして、低温造膜性に優れるポリウレタン樹脂を添加することが考えられるが、その場合には、低温造膜性の改善と耐ブロッキング性や耐溶剤性等、ポリエステル樹脂の有する長所を両立させることが、非常に困難であった。
本発明は上記現状を鑑みてなされたものであり、その課題は、低温で造膜させた場合でも、厚塗り性、密着性に優れる樹脂被膜を形成でき、かつ基材への濡れ性に優れ、かつ耐ブロッキング性、耐溶剤性に優れる樹脂被膜を形成でき、かつ有機溶剤含有率の低減された樹脂水性分散体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のガラス転移温度、分子量等を有するポリエステル樹脂と、特定のガラス転移温度、破断伸度を有するポリウレタン樹脂を含有する樹脂水性分散体が、上記課題を達成できることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は、酸価が8〜40mgKOH/g、重量平均分子量が9000以上、ガラス転移温度が50℃以上であるポリエステル樹脂と、ガラス転移温度が70℃以上、破断伸度が250%以下であるポリウレタン樹脂とを、(ポリウレタン樹脂)/(ポリエステル樹脂)=1/99〜30/70(質量比)の範囲で含有し、有機溶剤の含有率が3質量%以下であることを特徴とする樹脂水性分散体である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0011】
本発明の樹脂水性分散体は、ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂とを特定比率で水性媒体中に含有する液状物である。
【0012】
まず、ポリエステル樹脂について説明する。本発明に用いるポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多価アルコール成分から成る。多塩基酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、水添ダイマー酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸等の飽和又は不飽和の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸及びその無水物、テトラヒドロフタル酸及びその無水物等の脂環族ジカルボン酸を挙げることができる。
また、必要に応じて樹脂被膜の耐水性を損なわない範囲で、少量の5‐ナトリウムスルホイソフタル酸や5‐ヒドロキシイソフタル酸等も用いることができる。
【0013】
また、3官能以上の多塩基酸を用いることができ、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水べンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等が含まれていてもよい。このような、3官能以上の多塩基酸は、樹脂被膜の加工性を良好に保つ点から、多塩基酸成分中10モル%以下とすることが好ましく、8モル%以下がより好ましく、5モル%以下が特に好ましい。
【0014】
上記した多塩基酸成分の中でも、芳香族多塩基酸を用いることが好ましく、ポリエステル樹脂の多塩基酸成分中、50モル%以上とすることが好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましく、80モル%以上が特に好ましい。芳香族多塩基酸成分の割合を増すことにより、脂肪族及び脂環族のエステル結合よりも加水分解され難い芳香族エステル結合が樹脂骨格に占める割合が増すため、樹脂水性分散体の貯蔵安定性と、得られる樹脂被膜の耐水性が向上し、同時に樹脂被膜の加工性、耐溶剤性も向上する。
さらに、樹脂被膜の諸性能とバランスをとりながらその加工性、硬度、耐熱水性、耐溶剤性、耐候性等を向上させることができる点において、上記した芳香族多塩基酸の中でテレフタル酸とイソフタル酸が好ましく、テレフタル酸が特に好ましい。
【0015】
ポリエステル樹脂の多価アルコール成分としては、脂肪族グリコール、脂環族グリコール、エーテル結合含有グリコール等を挙げることができる。脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、1,2‐プロパンジオール、1,3‐プロパンジオール、1,4‐ブタンジオール、2‐メチル―1,3‐プロパンジオール、1,5‐ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6‐ヘキサンジオール、3‐メチル‐1,5‐ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2‐エチル‐2‐ブチルプロパンジオール等が挙げられ、脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、エーテル結合含有グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、更には、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンのようにビスフェノール類の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られるグリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
【0016】
また、3官能以上の多価アルコールとして、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が含まれていてもよい。
【0017】
上記した多価アルコール成分の中でも、エチレングリコール又はネオペンチルグリコールが特に好ましく、ポリエステル樹脂のアルコール成分に占めるエチレングリコールとネオペンチルグリコールの合計の割合としては、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上が特に好ましい。エチレングリコール及びネオペンチルグリコールは工業的に量産されているので安価であり、しかも樹脂被膜の諸性能にバランスがとれている。エチレングリコールは特に樹脂被膜の耐薬品性を向上させ、ネオペンチルグリコールは特に樹脂被膜の耐候性を向上させる。
エチレングリコール、ネオペンチルグリコールの個々の割合としては、アルコール成分中20〜80モル%とすることが好ましく、30〜70モル%がより好ましい。
【0018】
また、ポリエステル樹脂には、必要に応じて、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸やそのエステル形成性誘導体、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸等のモノカルボン酸、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等のモノアルコール、ε−カプロラクトン、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やそのエステル形成性誘導体が共重合されていてもよい。
【0019】
本発明において、ポリエステル樹脂の酸価は、8〜40mgKOH/gであり、8〜30mgKOH/gが好ましく、8〜20mgKOH/gがより好ましい。酸価が40mgKOH/gを超える場合は、樹脂被膜の耐水性や耐溶剤性が不足する傾向にある。一方、酸価が8mgKOH/g未満では、水性媒体中にポリエステル樹脂を分散させるのが難しくなる。
また、ポリエステル樹脂には、水酸基が導入されていてもよい。
【0020】
また、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)分析により求められたポリエステル樹脂の重量平均分子量としては、9,000以上であり、14,000以上が好ましく、19,000以上がより好ましく、24,000以上がさらに好ましい。重量平均分子量が9,000未満では、樹脂被膜の加工性が不足する傾向がある。ポリエステル樹脂に十分な酸価を付与させ易い点から、重量平均分子量は70,000以下が好ましく、60,000以下がより好ましく、50,000以下が特に好ましい。
なお、同様の測定で得られる数平均分子量や分子量分布は、特に限定されない。
【0021】
また、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(以下、Tgとする)は、50℃以上であり、60℃以上が好ましい。Tgが50℃未満では、耐ブロッキング性が悪くなる傾向にある。
【0022】
本発明において、ポリエステル樹脂は上記の多塩基酸成分の1種類以上と多価アルコール成分の1種類以上とを重縮合させることや、重縮合後に多塩基酸成分で解重合すること、また、重縮合後に酸無水物を付加させること等、公知の方法によって製造することができる。
また、水酸基も同様の方法により導入することができる。
【0023】
次に、ポリウレタン樹脂について説明する。
本発明において、ポリウレタン樹脂とはイソシアネート化合物とポリオール化合物との反応により得られるものであり、必要に応じて鎖伸長剤成分を使用してもよい。
イソシアネート化合物としては、通常のポリウレタンの製造に従来から用いられているイソシアネート化合物のいずれもが使用できるが、分子量500以下の脂環式ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートのうち1種または2種以上が好ましく使用される。ジイソシアネートの例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネートなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0024】
ポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオールなどを挙げることができ、これらのポリオール化合物の1種または2種以上を用いることができる。
【0025】
ポリエステルポリオールは、例えば、常法に従って、ポリカルボン酸、そのエステル、無水物などのエステル形成性誘導体などのポリカルボン酸成分とポリオール成分を直接エステル反応させるかまたはエステル交換反応させることによって得ることができる。
【0026】
ポリエステルポリオールの製造原料であるポリカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸;イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、トリメシン酸などのトリカルボン酸;それらのエステル形成性誘導体などを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、ポリエステルポリオールは、ポリカルボン酸成分として、脂肪族カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体から主としてなり、場合により少量の3官能以上のポリカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を含むものを用いて製造されたものであることが好ましい。
【0027】
ポリエステルポリオールの製造原料であるポリオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどの脂環式ジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、ヘキサントリオール、トリメチロールブタン、トリメチロールペンタンなどのトリオール、ペンタエリスリトールなどのテトラオールなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、ポリエステルポリオールは、ポリオール成分として、脂肪族ポリオールからなり、場合により少量の3官能以上のポリオールを含むポリオール成分を用いて製造されたものであることが好ましい。
【0028】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリオールとジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネートなどのカーボネート化合物との反応により得られる。ポリカーボネートポリオールを構成するポリオールとしては、ポリエステルポリオールの構成成分として先に例示したポリオールを用いることができる。また、ジアルキルカーボネートとしてはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどを、アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネートなどを、ジアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネートなどを挙げることができる。
【0029】
ポリエステルポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリオール、ポリカルボン酸およびカーボネート化合物を同時に反応させて得られたもの、予め製造しておいたポリエステルポリオールとカーボネート化合物を反応させて得られたもの、予め製造しておいたポリカーボネートポリオールとポリオールおよびポリカルボン酸を反応させて得られたもの、予め製造しておいたポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールを反応させて得られたものなどを挙げることができる。
【0030】
ポリエーテルポリオールの例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0031】
ポリオール化合物の数平均分子量は500〜10000であることが好ましく、700〜5000であるのがより好ましく、750〜4000であることがさらに好ましい。
【0032】
また、ポリウレタン樹脂の製造には、必要に応じて鎖伸長剤成分を用いることができる。用いうる鎖伸長剤成分としては、通常のポリウレタン樹脂の製造に従来から用いられている鎖伸長剤のいずれもが使用できるが、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量300以下の低分子化合物を用いるのが好ましい。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、キシリレングリコールなどのジオール類;トリメチロールプロパン等のトリオール類;ペンタエリスリトール等のペンタオール類;ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンおよびその誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジアミン類;アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコール類などが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0033】
また、ポリウレタン樹脂を水性媒体中に分散させるために、ポリウレタン骨格中には親水性基を導入することが好ましい。この親水性基を導入するための化合物としては、分子内に水酸基またはアミノ基等の活性水素原子を1個以上含有し、かつカルボキシル基およびその塩、スルホン酸基、スルホン酸塩等のアニオン性基;ポリオキシエチレン基等のノニオン性基;三級アミノ基、四級アンモニウム塩等のカチオン性基から選ばれる1種以上の親水性基を有する化合物が挙げられる。例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸等のカルボン酸基含有化合物およびこれらの誘導体;1,3−フェニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、2,4−ジアミノトルエン−5−スルホン酸等のスルホン酸基含有化合物およびこれらの誘導体;分子量200〜10,000のポリオキシエチレングリコールおよびそのモノアルキルエーテル等のノニオン性基含有化合物;3−ジメチルアミノプロパノール等の三級アミノ基含有化合物およびこれらの誘導体等が挙げられる。さらに、上記の親水性基を有する活性水素原子含有化合物を共重合して得られるポリエステルポリオールまたはポリエステルポリカーボネートポリオールを用いることもできる。この中でも、親水性がカルボキシル基である2,2−ジメチロールプロピオン酸を用いることにより、得られるポリウレタン樹脂の耐水性が優れることから好ましい。
【0034】
また、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸等を使用してカルボキシル基が導入された場合、ポリウレタン樹脂を水性媒体中に分散させる際には、このカルボキシル基は、アンモニア、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性物質で少なくとも部分的に中和されていることが好ましい。
【0035】
また、ポリウレタン樹脂の製造の際には、必要に応じて反応触媒を添加することができ、このような触媒としては例えば、オクチル酸スズ、モノブチルスズトリアセテート、モノブチルスズモノオクチレート、モノブチルスズモノアセテート、モノブチルスズマレイン酸塩、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジステアレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレイン酸塩などの有機スズ化合物;テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートなどの有機チタン化合物;トリエチルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミンなどの3級アミンなどを挙げることができる。
【0036】
本発明において、ポリウレタン樹脂のTgは、70℃以上であり、80℃以上がより好ましく、90℃以上がより好ましい。Tgが70℃未満では、耐ブロッキング性や耐溶剤性が悪くなる傾向にある。
【0037】
また、本発明において、ポリウレタン樹脂の破断伸度は250%以下であり、200%以下であることが好ましく、100%以下であることがより好ましい。破断伸度が250%を越えると、破断伸度が250%以下のものと比べて厚塗り性が悪くなる傾向にある。厚塗り性が悪いと、所定の膜厚の樹脂被膜を形成したい場合には、ポリウレタン樹脂の含有量を多くする必要があり、そのため、樹脂被膜の耐溶剤性が悪くなる傾向にある。
【0038】
後述するように、本発明の樹脂水性分散体は、ポリエステル樹脂水性分散体とポリウレタン樹脂水性分散体を使用し、これらを所定の割合で攪拌混合することにより容易に製造することができる。
【0039】
ポリウレタン樹脂水性分散体の製造方法としては、特に限定されず、例えば、イソシアネート化合物とポリオール化合物と2,2−ジメチロールプロピオン酸とをメチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル等の親水性有機溶剤中で、好ましくは40〜80℃の温度で反応させ、次いで、有機アミンと水を加えて、水性分散体にした後、更に鎖伸長剤成分を加えて高分子量化し、次いで、有機溶剤を常圧または減圧下で除去する方法等、公知の方法を挙げることができる。
【0040】
ポリウレタン樹脂水性分散体は、市販品として入手でき、例えば、第一工業製薬株式会社製のスーパーフレックス150、300、500、550、600、830、E−4500等、三井武田ケミカル株式会社製のタケラックW−615、W−6010、W−6020、W−6061、W−7004、W−605、WS−7000、WS−5000、WS−5100、WS−4000等が挙げられる。
なお、通常、入手できるポリウレタン樹脂水性分散体の固形分濃度は25〜50質量%であり、また、有機溶剤の含有率が3質量%以下のものも入手できる。
【0041】
本発明の樹脂水性分散体においては、上記のポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂が水性媒体中に分散もしくは溶解されている。ここで、水性媒体とは、水を主成分とする液体からなる媒体であり、後述する塩基性化合物や有機溶剤を含有していてもよい。
【0042】
本発明の樹脂水性分散体において、ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂の合計の含有率としては、成膜方法、被コーティング物の種類、目的とする樹脂被膜の厚さや性能等により適宜選択でき、特に限定されるものではないが、コーティング組成物の粘性を適度に保ちかつ良好な被膜形成能を発現させる点で、1〜50質量%が好ましく、5〜45質量%がより好ましく、10〜40質量%が特に好ましい。
【0043】
また、本発明において、環境問題や職場環境の改善のため、また、樹脂被膜物性に悪影響を与える残存有機溶剤の低減のため等から、樹脂水性分散体に含有する有機溶剤の含有率は3質量%以下であり、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。なお、本発明において、親水性基を中和するために使用する有機アミンは有機溶剤に含まないものとする。
【0044】
また、樹脂水性分散体に含有するポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂との質量比率は、(ポリウレタン樹脂)/(ポリエステル樹脂)の比が、1/99〜30/70の範囲である必要があり、3/97〜25/75の範囲であることが好ましく、5/97〜20/80の範囲であることがより好ましい。このポリウレタン樹脂の質量比が1%未満の場合には、十分には造膜性や濡れ性が向上せず、逆に、ポリウレタン樹脂の質量比が30%を超える場合には、耐溶剤性が悪くなる傾向にある。
【0045】
また、樹脂水性分散体に含有しているポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂の粒子径は特に限定されないが、保存安定性を良好に保つ点から、各々の体積平均粒子径は500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることが特に好ましい。
【0046】
次に、本発明の樹脂水性分散体の製造方法について説明する。
本発明の樹脂水性分散体の製造方法は特に限定されず、例えば、1)混合後の有機溶剤の含有率が3質量%以下となるように、ポリエステル樹脂水性分散体と有機溶剤のポリウレタン樹脂水性分散体を混合する方法、2)ポリエステル樹脂とポリウレタン樹脂を含有し、有機溶剤の含有率が3質量%以上である樹脂水性分散体から有機溶剤を除去する方法等が挙げられる。特に、1)の製造方法が、個々の水性分散体の品質管理が容易であることから好ましい。また、ポリエステル樹脂水性分散体とポリウレタン樹脂水性分散体の混合は、一般的な攪拌装置を使用して、容易に行うことができる。
【0047】
次に、上記製法1)における有機溶剤の含有率が3質量%以下であるポリエステル樹脂水性分散体の製造方法について説明する。
【0048】
その製造方法としては、液状物を投入できる容器に、ポリエステル樹脂、有機溶剤、水、これらすべての原料が含まれた状態で、40℃〜100℃で数分〜数時間、加熱攪拌することにより容易に得ることができる。加熱温度が40℃未満では、ポリエステル樹脂水性分散体の製造に時間がかかり、経済的に好ましくなく、100℃を超えると、ポリエステル樹脂水性分散体の粘度上昇が大きくなり、作業上好ましくない。
攪拌装置としては、液状物が攪拌できれば特に限定はされないが、ポリエステル樹脂水性分散体を短時間で得ることができることから、高速回転、高せん断が可能な攪拌装置、例えばホモミキサーやホモディスパーを使用することが好ましい。尚、通常は簡易的な蓋部を備え付け、常圧又は微加圧下で使用される。また必要に応じて、0.1MPa以上の加圧が可能な装置を使用してもよい。
次いで、このようにして得られたポリエステル樹脂水性分散体から、有機溶剤を除去することにより、有機溶剤の含有率が3質量%以下に低減されたポリエステル樹脂水性分散体を得ることができる。
【0049】
有機溶剤の除去方法としては特に限定されず、例えば、液状物を攪拌できる装置に上述のポリエステル樹脂水性分散体を投入し、常圧または減圧下でポリエステル樹脂水性分散体を加熱することにより、有機溶剤を容易に除去することができる。
また、必要に応じて未分散物や凝集物をろ過して取り除くことにより、沈殿物や相分離等の見られない均一な状態でポリエステル樹脂樹脂水性分散体は、均一な液状に調製されて得られる。
【0050】
尚、上述の製造方法において使用される有機溶剤としては、20℃における水に対する溶解性が5g/L以上であるものが好ましく、10g/L以上であるものがより好ましい。なお、有機溶剤の沸点としては、沸点が低い方が樹脂被膜から乾燥によって揮散させやすくなることから、250℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、100℃以下がさらに好ましい。このような有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、さらには、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル等が挙げられ、なかでも水性媒体から除去し易いことから、沸点が100℃以下であるものや、水と共沸するものが好ましい。その例としては、エタノール、n−プロパノ―ル、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。なお、有機溶剤は2種以上を混合して使用してもよい。
【0051】
なお、上記ポリエステル樹脂水性分散体の調製においては、塩基性化合物を添加することが好ましい。塩基性化合物によってポリエステル樹脂のカルボキシル基が中和され、生成したカルボキシルアニオン間の電気反発力によって樹脂の微粒子間の凝集が抑制され、ポリエステル樹脂水性分散体の保存安定性が向上するためである。
塩基性化合物としては、被膜形成時に揮散しやすい点から、沸点が250℃以下さらには160℃以下の有機アミン、あるいはアンモニアが好ましい。好ましく用いられる有機アミンの具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等が挙げられる。なかでもアンモニア、トリエチルアミンが最も好ましい。
【0052】
また、上記の塩基性化合物の使用量としては、ポリエステル樹脂中に含まれるカルボキシル基の量に応じて、少なくともこれを部分中和し得る量、すなわち、カルボキシル基に対して0.4〜2倍当量が好ましく、0.6〜1.6倍当量がより好ましく、0.8〜1.4倍当量が特に好ましい。塩基性化合物の使用量を上記範囲とすることで、保存安定性が特に良好なポリエステル樹脂水性分散体を得ることができる。
【0053】
本発明の樹脂水性分散体には、必要に応じてレベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、防カビ剤、防腐剤等の各種薬剤や、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック等の顔料あるいは染料や、ポリビニルアルコールやポリエチレンオキシド等の水溶性高分子や水性アクリル樹脂、水性(変性)オレフィン樹脂等の水性樹脂組成物が添加されていてもよい。また、水や有機溶剤を添加することにより、粘度調整や被コーティング材への濡れ性の調整等をすることもできる。
【0054】
また、本発明の樹脂水性分散体は、そのままでも使用できるが、さらに、硬化剤を配合し焼きつけ硬化させることにより、優れた被膜性能、すなわちより優れた加工性、耐水性、耐溶剤性等の性能を発現させることができる。硬化剤としては、ポリエステル樹脂やウレタン樹脂の有する官能基、例えばカルボキシル基や水酸基と反応性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のアミノ樹脂、多官能エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物およびブロックイソシアネート化合物、多官能アジリジン化合物、カルボジイミド基含有化合物、オキサゾリン基含重合体、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0055】
次に、本発明の樹脂水性分散体の使用方法について説明する。
本発明の樹脂水性分散体は、被膜形成能に優れているので、ディッピング法、はけ塗り法、スプレーコート法、カーテンフローコート法等の公知の成膜方法により各種基材表面に均一にコーティングし、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥及び焼き付けのための加熱処理に供することにより、均一な樹脂被膜を各種基材表面に密着させて形成することができる。このときの加熱装置としては、通常の熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーター等を使用すればよい。また、加熱温度や加熱時間としては、ポリエステル樹脂やウレタン樹脂の種類や被コーティング物である基材の種類等により適宜選択されるものであるが、経済性を考慮した場合、加熱温度としては、60〜250℃が好ましく、80〜200℃がより好ましく、100〜180℃が特に好ましく、加熱時間としては、5秒〜20分間が好ましく、15秒〜10分がより好ましく、30秒〜5分が特に好ましい。
【0056】
尚、樹脂被膜の厚さとしては、その用途や目的によって適宜選択されるものであり、特に限定はされない。
【0057】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されない。なお、各種の特性については以下の方法によって測定又は評価した。
【0058】
(1)ポリエステル樹脂の構成
1H−NMR分析(バリアン社製,300MHz)により求めた。
【0059】
(2)ポリエステル樹脂の重量平均分子量
重量平均分子量は、GPC分析(島津製作所製の送液ユニットLC−10ADvp型及び紫外−可視分光光度計SPD−6AV型を使用、検出波長:254nm、溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算)により求めた。また、同様にして得られる数平均分子量を用いて重量平均分子量を数平均分子量で徐した値として得られる分子量分布の分散度を求めた。
【0060】
(3)ポリエステル樹脂の酸価
ポリエステル樹脂0.5gを50mlの水/ジオキサン=10/1(体積比)に溶解し、クレゾールレッドを指示薬としてKOHで滴定を行い、中和に消費されたKOHのmg数をポリエステル樹脂1gあたりに換算した値を酸価として求めた。
【0061】
(4)ポリエステル樹脂のガラス転移温度
ポリエステル樹脂10mgをサンプルとし、DSC(示差走査熱量測定)装置(パーキンエルマー社製 DSC7)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点の温度の中間値を求め、これをガラス転移温度とした。
【0062】
(5)ポリウレタン樹脂のガラス転移温度
ポリウレタン樹脂水性分散体を使用し、厚み60μmで幅0.5cmのフィルムを作成した。次いで、動的粘弾性測定装置(レオメトリック・サイエンティフィック社製、SOLIDS ANALYZER、RSAII)を使用して、測定周波数1Hz、昇温速度2℃/minで−20℃から測定し、Tanδが最大を示す温度をガラス転移温度とした。
【0063】
(6)ポリウレタン樹脂の破断伸度
JIS K 5400(8.8)に準じ、下記のようにして測定した。
ポリウレタン樹脂水性分散体を使用し、厚み30μmで幅1.5cmのフィルムを作成した。次いで、万能引張試験機(株式会社インテスコ社製、Model2020)を使用して、測定環境20℃、60%RHにおいて、測定前のチャック間距離を50〜60mmとし、50mm/分の速度でフィルムを引っ張り、破断時の伸びを下式により算出し、その数値をポリウレタン樹脂の破断伸度とした。
破断伸度(%)=(B−A)×100/A
A:測定前のチャック間距離(mm)
B:破断時のチャック間距離(mm)
【0064】
(7)水性分散体の体積平均粒子径
ポリエステル樹脂水性分散体またはポリウレタン樹脂水性分散体をイオン交換水で固形分濃度が約0.1質量%になるように希釈し、日機装株式会社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340)を用いて、体積平均粒子径の測定を行った。また、同様にして数平均粒子径の測定も行った。
【0065】
(8)水性分散体の固形分濃度
ポリエステル樹脂水性分散体またはポリウレタン樹脂水性分散体を約1g秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱することにより、固形分濃度を求めた。
【0066】
(9)水性分散体の有機溶剤の含有率
島津製作所社製、ガスクロマトグラフGC−8A[FID検出器使用、キャリアーガス:窒素、カラム充填物質(ジーエルサイエンス社製):PEG−HT(5%)−Uniport HP(60/80メッシュ)、カラムサイズ:直径3mm×3m、試料投入温度(インジェクション温度):150℃、カラム温度:60℃、内部標準物質:n−ブタノール]を用いて有機溶剤の含有率を求めた。検出限界は0.01質量%であった。
【0067】
(10)樹脂被膜の厚さ
厚み計(ユニオンツール(株)社製、MICROFINE Σ)を用いて、基材(実施例および比較例ではPETフィルムおよびTFS)の厚みを予め測定しておき、基材上に樹脂被膜を形成した後、この樹脂被膜を有する基材の厚みを同様の方法で測定し、その差を樹脂被膜の厚さとした。
【0068】
(11)低温造膜性(厚塗り性)
水性分散体を二軸延伸PETフィルム(ユニチカ株式会社製、厚さ12μm)のコロナ処理面に、卓上型コーティング装置(安田精機製、フィルムアプリケータNo.542−AB型、バーコータ装着)を用いてコーティングした後、80℃に設定された熱風乾燥機中で3分間乾燥させることにより樹脂被膜を形成し、樹脂被膜を目視にて観察し、クラック等が見られず、かつ透明な樹脂被膜が形成できる最大膜厚(μm)を調べた。なお、比較例1は、0.5μmでも透明な樹脂被膜が得られなかったため、表2において×と記載した。
【0069】
(12)低温造膜性(密着性)
(11)と同様にして水性分散体をPETフィルムのコロナ処理面にコーティングした後、80℃に設定された熱風乾燥機中で1分間乾燥させることにより、膜厚が1μmの樹脂被膜を形成した。
次いで、JIS Z1522に規定された粘着テープ(幅18mm)を端部を残して樹脂被膜に貼りつけ、その上から消しゴムでこすって十分に接着させた後に、粘着テープの端部をフィルムに対して直角としてから瞬間的に引き剥がした。この引き剥がした粘着テープ面を表面赤外分光装置(パーキンエルマー社製SYSTEM2000、Ge60°50×20×2mmプリズムを使用)で分析することにより、粘着テープ面に樹脂被膜が付着しているか否かを調べ、下記の基準で評価した。
○:粘着テープ面に樹脂被膜に由来するピークが認められない。
×:粘着テープ面に樹脂被膜に由来するピークが認められる。
【0070】
(13)濡れ性
水性分散体を市販のティンフリースチール(TFS、厚み0.2mm)に、(11)に記載の卓上型コーティング装置を用いてコーティングした後、130℃に設定された熱風乾燥機中で3分間乾燥させることにより、膜厚が1μmの樹脂被膜を形成し、下記の基準で評価した。
○:均一で透明な樹脂被膜が形成されている。
△:一部はじきが見られる。
×:全体的にはじきが見られ、全く濡れていない。
【0071】
(14)樹脂被膜の耐溶剤性
(11)と同様にして水性分散体をPETフィルムのコロナ処理面にコーティングした後、130℃に設定された熱風乾燥機中で1分間乾燥させることにより、膜厚が1μmの樹脂被膜を形成した。次いで、このPETフィルムをメタノール/イオン交換水=7/3(質量比)溶液に15秒間浸漬した後、すばやく水洗し、風乾させた後の樹脂被膜の外観を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
○:外観変化なし。
△:白化しているが樹脂被膜の溶解は認められない。
×:樹脂被膜の溶解が認められる。
【0072】
(15)樹脂被膜の耐ブロッキング性
上記(14)の耐溶剤性の評価と同様にして、PETフィルム上に膜厚が1μmの樹脂被膜を形成させた後、このPETフィルムを樹脂被膜が重なるようにして折り返し、その上に50g/cm2の荷重をかけ、40℃の熱風乾燥機中で1時間保持し、室温まで冷却した後、折り返したPETフィルムを手で広げた際の樹脂被膜の融着具合を、下記の基準で評価した。
○:容易にPETフィルムを広げることができ、全く融着跡が認められない。
×:PETフィルムを広げるのに少し抵抗があり、融着跡が認められる。
【0073】
実施例および比較例で用いたポリウレタン樹脂水性分散体は下記の通りである。
・タケラックW−605(三井武田ケミカル株式会社製)
固形分濃度:30質量%
有機溶剤の含有率:0.2質量%
ガラス転移温度:99℃
破断伸度:45%
体積平均粒子径:57nm
数平均粒子径:41nm
・タケラックW−6010(三井武田ケミカル株式会社製)
固形分濃度:30質量%
有機溶剤の含有率:0.2質量%
ガラス転移温度:91℃
破断伸度:280%
体積平均粒子径:40nm
数平均粒子径:33nm
・タケラックW−6061(三井武田ケミカル株式会社製)
固形分濃度:30質量%
有機溶剤の含有率:0.2質量%
ガラス転移温度:26℃
破断伸度:650%
体積平均粒子径:32nm
数平均粒子径:26nm
【0074】
実施例及び比較例で用いたポリエステル樹脂は、下記のようにして得た。
[ポリエステル樹脂の製造例]
テレフタル酸25.10kg、イソフタル酸10.76kg、エチレングリコール9.38kg、ネオペンチルグリコール13.48kgからなる混合物をオートクレーブ中で、260℃で4時間加熱してエステル化反応を行った。次いで触媒として三酸化アンチモンを1質量%含有するエチレングリコール溶液を1.57kg添加し、系の温度を280℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、2時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、270℃になったところでトリメリット酸907gを添加し、250℃で1時間撹拌して、解重合反応を行った。その後、窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出した。そしてこれを室温まで十分に冷却した後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂の特性を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
実施例1
(ポリエステル樹脂水性分散体の製造)
ジャケット付きの密閉できる2リットル用ガラス容器を備えた撹拌機(特殊機化工業株式会社製、T.K.ロボミックス)を用いて、300gの上記のポリエステル樹脂、180gのイソプロパノール、9.6gのトリエチルアミン、及び510.4gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼(ホモディスパー)の回転速度を7,000rpmとして撹拌した。次いで、ジャケットに熱水を通して加熱し、系内温度を73〜75℃に保って、60分間撹拌した。その後、ジャケット内に冷水を流し、回転速度を5,000rpmに下げて撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルターで濾過を行って、有機溶剤の含有率が3質量%を超えるポリエステル樹脂水性分散体をいったん得た。この分散体は乳白色で均一であった。
次いで、上記で得られたポリエステル樹脂水性分散体500gと蒸留水115gを1Lの丸底フラスコに仕込み、メカニカルスターラーとリービッヒ冷却器を設置し、フラスコをオイルバスで加熱し、常圧で水性媒体を留去した。約153gの水性媒体を留去したところで加熱を止め、室温で冷却した。冷却後、フラスコ内の液状物を600メッシュ(あやたたみ織り)のステンレスフィルターでろ過し、ろ液の固形分濃度を測定したところ32.8質量%であった。このろ液を攪拌しながら蒸留水を添加し、固形分濃度を調整した。この水性分散体の特性値は次の通りであった。
固形分濃度:30質量%
有機溶剤の含有率:0.1質量%
体積平均粒子径:130nm
数平均粒子径:75nm
【0077】
次いで、このポリエステル樹脂水性分散体95gに、タケラックW−605を5g添加し、室温下で約5分間攪拌混合することにより、樹脂水性分散体を得た。この樹脂水性分散体の外観を目視で観察したところ、沈殿や層分離の見られない均一なものであった。
【0078】
実施例2
ポリウレタン樹脂水性分散体と混合するポリエステル樹脂水性分散体の量を45gとした以外は、実施例1と同様の操作を行って、樹脂水性分散体を得た。この樹脂水性分散体の外観を目視で観察したところ、沈殿や層分離の見られない均一なものであった。
【0079】
実施例3
ポリエステル樹脂水性分散体40gに対してタケラックW−605を10g混合した以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、樹脂水性分散体を得た。この樹脂水性分散体の外観を目視で観察したところ、沈殿や層分離の見られない均一なものであった。
【0080】
比較例1
実施例1で調製したポリエステル樹脂水性分散体を単独で使用して、各種特性評価を行った。
【0081】
比較例2
ポリエステル樹脂水性分散体30gに対してタケラックW−605を20g混合した以外は、実施例1と同様の操作を行って、樹脂水性分散体を得た。この樹脂水性分散体の外観を目視で観察したところ、沈殿や層分離の見られない均一なものであった。
【0082】
比較例3
ポリエステル樹脂水性分散体95gに対して、タケラックW−6010を5g添加した以外は実施例1同様の操作を行って、樹脂水性分散体を得た。この樹脂水性分散体の外観を目視で観察したところ、沈殿や層分離の見られない均一なものであった。
【0083】
比較例4
ポリエステル樹脂水性分散体45gに対して、タケラックW−6010を5g添加した以外は実施例1と同様の操作を行って、樹脂水性分散体を得た。この樹脂水性分散体の外観を目視で観察したところ、沈殿や層分離の見られない均一なものであった。
【0084】
比較例5
ポリエステル樹脂水性分散体40gに対して、タケラックW−6010を10g添加した以外は実施例1と同様の操作を行って、樹脂水性分散体を得た。この樹脂水性分散体の外観を目視で観察したところ、沈殿や層分離の見られない均一なものであった。
【0085】
比較例6
ポリエステル樹脂水性分散体40gに対して、タケラックW−6061を10g添加した以外は実施例1同様の操作を行って、樹脂水性分散体を得た。この樹脂水性分散体の外観を目視で観察したところ、沈殿や層分離の見られない均一なものであった。
【0086】
実施例1〜3および比較例1〜6で得られた樹脂水性分散体について、各種特性評価を行った結果を表2に示す。また、図1には、実施例1〜3で使用したウレタン樹脂(タケラックW−605)と比較例3〜5で使用したウレタン樹脂(タケラックW−6010)について、水性分散体中の含有率と厚塗り性との関係を示した。
【0087】
【表2】
【0088】
表2の実施例及び比較例から、本発明の樹脂水性分散体は、低温造膜性、濡れ性に優れ、かつ該樹脂水性分散体から形成される樹脂被膜は、耐溶剤性、耐ブロッキング性に優れていることがわかる。
これに対して、各比較例では次のような問題があった。
比較例1は、ポリウレタン樹脂を用いていたかったため低温造膜性に劣り、また、濡れ性が低かった。
比較例2は、ポリウレタン樹脂の含有率が高いため、耐溶剤性が悪くなった。比較例3〜5では、破断伸度が大きいポリウレタン樹脂を使用しているため、図1から厚塗り性の効果が小さいことがわかる。
比較例6は、Tgの低いポリウレタン樹脂を使用しているため、耐ブロッキング性や耐溶剤性が悪くなった。
【0089】
【発明の効果】
本発明の樹脂水性分散体は、造膜性や濡れ性に優れ、かつ耐溶剤性や耐ブロッキング性に優れる樹脂被膜を形成することができるので、塗料、接着剤、コーティング剤におけるバインダー成分として好適であり、各種フィルムのアンカーコート剤、缶の内面又は外面コーティング剤、鋼板用塗料、防錆塗料、プレコートメタル塗料、鋼鈑用接着剤、樹脂シート又はフィルム用接着剤、塩化ビニルやポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂シート及びフィルムと鋼鈑との接着剤、表面処理剤、インキ、繊維処理剤、紙塗工剤等の用途に用いて、それらの性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3と比較例3〜5における厚塗り性とポリウレタン樹脂含有率との関係を示す図である。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to an aqueous resin dispersion which is applied to a substrate to form an excellent film.
[0002]
[Prior art]
High-molecular-weight polyester resin composed of a polybasic acid component and a polyhydric alcohol component is used as a film-forming resin as a resin for forming a film, resistance to organic solvents (solvent resistance), weather resistance, and various base materials. Because of its excellent adhesion and the like, it is widely used as a binder component in the fields of paints, inks, adhesives, coating agents and the like.
In particular, in recent years, the use of organic solvents has tended to be restricted from the standpoint of environmental protection, resource saving, regulation of dangerous substances by the Fire Service Law, and improvement of the work environment, and polyester resins as polyester resin binders that can be used in the above-mentioned applications. Development of an aqueous dispersion of a polyester resin finely dispersed in an aqueous medium has been actively conducted.
[0003]
As one example, a polyester resin aqueous dispersion dispersed in an aqueous medium by neutralizing a high molecular weight polyester resin with a relatively low acid value and a basic compound has been proposed, and such an aqueous dispersion is used. It is disclosed that a film excellent in performance such as processability, water resistance, and solvent resistance can be formed (for example, see Patent Documents 1 to 6).
[0004]
Further, it is disclosed that by reducing the content of an organic solvent contained in an aqueous polyester resin dispersion, the polyester resin contained therein has excellent molecular weight stability (for example, see Patent Document 6).
Further, an aqueous resin dispersion containing a polyester resin and a polyurethane resin is disclosed. (See, for example, Patent Documents 2, 4, 5, 6, and 8).
[0005]
[Patent Document 1]
JP-A-9-296100
[Patent Document 2]
JP 2000-26709 A
[Patent Document 3]
JP 2000-313793 A
[Patent Document 4]
JP 2000-327991 A
[Patent Document 5]
JP 2000-343834 A
[Patent Document 6]
JP 2001-1655 A
[Patent Document 7]
JP 2001-59051 A
[Patent Document 8]
JP 2001-81671 A
[Patent Document 9]
JP-A-2002-173852
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
The polyester resin aqueous dispersion as described above can form an excellent resin film, but when the content of the organic solvent contained in the polyester resin aqueous dispersion is small, the film was formed at a low temperature. In such cases, problems such as difficulty in thick coating, insufficient adhesion to a substrate, and insufficient wettability depending on the substrate may occur.
[0007]
As one of the solutions to the above problem, it is conceivable to add a polyurethane resin having an excellent low-temperature film-forming property. In such a case, however, the polyester resin such as an improved low-temperature film-forming property and blocking resistance and solvent resistance can be used. It was very difficult to balance the advantages of the two.
The present invention has been made in view of the above situation, the problem is, even when the film is formed at a low temperature, thick coating, can form a resin film excellent in adhesion, and excellent in wettability to the substrate Another object of the present invention is to provide a resin aqueous dispersion capable of forming a resin film having excellent blocking resistance and solvent resistance and having a reduced organic solvent content.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have conducted intensive studies to solve such problems, and as a result, a polyester resin having a specific glass transition temperature, a molecular weight, etc., and a polyurethane resin having a specific glass transition temperature, elongation at break, and the like. The present inventors have found that the contained resin aqueous dispersion can achieve the above object, and have reached the present invention.
[0009]
That is, the gist of the present invention is a polyester resin having an acid value of 8 to 40 mgKOH / g, a weight average molecular weight of 9000 or more and a glass transition temperature of 50 ° C or more, a glass transition temperature of 70 ° C or more, and a breaking elongation of 250 or more. % Or less of a polyurethane resin in a range of (polyurethane resin) / (polyester resin) = 1/99 to 30/70 (mass ratio), and a content of an organic solvent of 3% by mass or less. Characteristic resin aqueous dispersion.
[0010]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described specifically.
[0011]
The aqueous resin dispersion of the present invention is a liquid material containing a polyester resin and a polyurethane resin in a specific ratio in an aqueous medium.
[0012]
First, the polyester resin will be described. The polyester resin used in the present invention comprises a polybasic acid component and a polyhydric alcohol component. Polybasic acid components include terephthalic acid, isophthalic acid, orthophthalic acid, naphthalenedicarboxylic acid, aromatic dicarboxylic acids such as biphenyldicarboxylic acid, oxalic acid, succinic acid, succinic anhydride, adipic acid, azelaic acid, sebacic acid, dodecane Saturated or unsaturated aliphatic dicarboxylic acids such as diacid, hydrogenated dimer acid, fumaric acid, maleic acid, maleic anhydride, itaconic acid, itaconic anhydride, citraconic acid, citraconic anhydride, and dimer acid; To mention alicyclic dicarboxylic acids such as cyclohexanedicarboxylic acid, 1,3-cyclohexanedicarboxylic acid, 1,2-cyclohexanedicarboxylic acid, 2,5-norbornenedicarboxylic acid and its anhydride, tetrahydrophthalic acid and its anhydride. it can.
If necessary, a small amount of 5-sodium sulfoisophthalic acid, 5-hydroxyisophthalic acid, or the like can be used as long as the water resistance of the resin film is not impaired.
[0013]
Further, a tribasic or higher polybasic acid can be used. For example, trimellitic acid, pyromellitic acid, benzophenonetetracarboxylic acid, trimellitic anhydride, pyromellitic anhydride, benzophenone anhydridetetracarboxylic acid, trimesic acid , Ethylene glycol bis (anhydrotrimellitate), glycerol tris (anhydrotrimellitate), 1,2,3,4-butanetetracarboxylic acid, and the like. Such a trifunctional or higher polybasic acid is preferably used in an amount of 10 mol% or less, more preferably 8 mol% or less, more preferably 5 mol% in the polybasic acid component from the viewpoint of maintaining good processability of the resin film. % Or less is particularly preferred.
[0014]
Among the above-mentioned polybasic acid components, it is preferable to use an aromatic polybasic acid. In the polybasic acid component of the polyester resin, it is preferably at least 50 mol%, more preferably at least 60 mol%, and preferably at least 70 mol%. The above is more preferred, and the proportion is particularly preferably 80 mol% or more. By increasing the proportion of the aromatic polybasic acid component, the proportion of aromatic ester bonds in the resin skeleton that is less likely to be hydrolyzed than the aliphatic and alicyclic ester bonds increases, so that the storage stability of the resin aqueous dispersion is increased. Thus, the water resistance of the obtained resin film is improved, and at the same time, the workability and the solvent resistance of the resin film are also improved.
Furthermore, the workability, hardness, hot water resistance, solvent resistance, weather resistance, etc. can be improved while balancing with various properties of the resin film. Isophthalic acid is preferred, and terephthalic acid is particularly preferred.
[0015]
Examples of the polyhydric alcohol component of the polyester resin include aliphatic glycols, alicyclic glycols, and ether bond-containing glycols. As the aliphatic glycol, ethylene glycol, 1,2-propanediol, 1,3-propanediol, 1,4-butanediol, 2-methyl-1,3-propanediol, 1,5-pentanediol, neopentyl Glycol, 1,6-hexanediol, 3-methyl-1,5-pentanediol, 1,9-nonanediol, 2-ethyl-2-butylpropanediol and the like. 4-cyclohexanedimethanol and the like. Examples of the ether bond-containing glycol include diethylene glycol, triethylene glycol, dipropylene glycol, and bisphenols such as 2,2-bis (4-hydroxyethoxyphenyl) propane. One phenolic hydroxyl group with ethylene oxide or Glycols obtained by b pyrene oxide was to several mols respectively, polyethylene glycol, polypropylene glycol, polytetramethylene glycol, and the like.
[0016]
Further, as the polyhydric alcohol having three or more functional groups, for example, glycerin, trimethylolethane, trimethylolpropane, pentaerythritol and the like may be contained.
[0017]
Among the above-mentioned polyhydric alcohol components, ethylene glycol or neopentyl glycol is particularly preferable, and the total ratio of ethylene glycol and neopentyl glycol in the alcohol component of the polyester resin is preferably 50 mol% or more, and more preferably 60 mol% or more. Is more preferable, and 70 mol% or more is particularly preferable. Ethylene glycol and neopentyl glycol are inexpensive because they are mass-produced industrially, and the properties of the resin film are well balanced. Ethylene glycol particularly improves the chemical resistance of the resin film, and neopentyl glycol particularly improves the weather resistance of the resin film.
The respective proportions of ethylene glycol and neopentyl glycol are preferably 20 to 80 mol%, more preferably 30 to 70 mol%, in the alcohol component.
[0018]
In addition, the polyester resin may include, if necessary, fatty acids such as lauric acid, myristic acid, palmitic acid, stearic acid, oleic acid, linoleic acid, linolenic acid, and ester-forming derivatives thereof, benzoic acid, p-tert-butyl. Monocarboxylic acids such as benzoic acid, cyclohexanoic acid and 4-hydroxyphenylstearic acid, monoalcohols such as stearyl alcohol and 2-phenoxyethanol, and hydroxycarboxylic acids such as ε-caprolactone, lactic acid, β-hydroxybutyric acid and p-hydroxybenzoic acid And its ester-forming derivative may be copolymerized.
[0019]
In the present invention, the acid value of the polyester resin is from 8 to 40 mgKOH / g, preferably from 8 to 30 mgKOH / g, more preferably from 8 to 20 mgKOH / g. When the acid value exceeds 40 mgKOH / g, the water resistance and solvent resistance of the resin film tend to be insufficient. On the other hand, when the acid value is less than 8 mgKOH / g, it becomes difficult to disperse the polyester resin in the aqueous medium.
Further, a hydroxyl group may be introduced into the polyester resin.
[0020]
The weight average molecular weight of the polyester resin determined by GPC (gel permeation chromatography) analysis is 9,000 or more, preferably 14,000 or more, more preferably 19,000 or more, and 24,000 or more. Is more preferred. If the weight average molecular weight is less than 9,000, the processability of the resin film tends to be insufficient. The weight average molecular weight is preferably 70,000 or less, more preferably 60,000 or less, and particularly preferably 50,000 or less, from the viewpoint that a sufficient acid value is easily imparted to the polyester resin.
The number average molecular weight and molecular weight distribution obtained by the same measurement are not particularly limited.
[0021]
The glass transition temperature (hereinafter, referred to as Tg) of the polyester resin is 50 ° C. or higher, and preferably 60 ° C. or higher. If the Tg is lower than 50 ° C., the blocking resistance tends to deteriorate.
[0022]
In the present invention, the polyester resin is obtained by polycondensing one or more of the above-mentioned polybasic acid components and one or more of the polyhydric alcohol components, or depolymerizing with the polybasic acid component after the polycondensation. It can be produced by a known method such as adding an acid anhydride after the condensation.
Further, a hydroxyl group can be introduced by the same method.
[0023]
Next, the polyurethane resin will be described.
In the present invention, the polyurethane resin is obtained by a reaction between an isocyanate compound and a polyol compound, and a chain extender component may be used as necessary.
As the isocyanate compound, any of the isocyanate compounds conventionally used in the production of ordinary polyurethane can be used, and one or two of alicyclic diisocyanate, aliphatic diisocyanate and aromatic diisocyanate having a molecular weight of 500 or less can be used. The above are preferably used. Examples of diisocyanates include hexamethylene diisocyanate, isophorone diisocyanate, 4,4'-dicyclohexylmethane diisocyanate, 2,4-tolylene diisocyanate, 2,6-tolylene diisocyanate, 4,4'-diphenylmethane diisocyanate, p-phenylene diisocyanate , Xylylene diisocyanate, 1,5-naphthylene diisocyanate, and the like, and one or more of these can be used.
[0024]
Examples of the polyol compound include polyester polyol, polycarbonate polyol, polyester polycarbonate polyol, and polyether polyol. One or more of these polyol compounds can be used.
[0025]
The polyester polyol can be obtained, for example, by directly performing an ester reaction or a transesterification reaction between a polyol component and a polycarboxylic acid component such as an ester-forming derivative such as a polycarboxylic acid, an ester thereof, and an anhydride according to a conventional method. it can.
[0026]
Examples of the polycarboxylic acid component that is a raw material for producing a polyester polyol include, for example, succinic acid, glutaric acid, adipic acid, pimelic acid, suberic acid, azelaic acid, sebacic acid, dodecane diacid, 2-methylsuccinic acid, and 2-methyladipin Aliphatic dicarboxylic acids such as acid, 3-methyladipic acid, 3-methylpentanedioic acid, 2-methyloctanedioic acid, 3,8-dimethyldecandioic acid, and 3,7-dimethyldecanedioic acid; isophthalic acid, terephthalic acid Aromatic dicarboxylic acids such as acid, phthalic acid and naphthalenedicarboxylic acid; alicyclic dicarboxylic acids such as 1,4-cyclohexanedicarboxylic acid; tricarboxylic acids such as trimellitic acid and trimesic acid; ester-forming derivatives thereof; And one or more of these can be used. Among them, the polyester polyol is mainly composed of an aliphatic carboxylic acid or an ester-forming derivative thereof as a polycarboxylic acid component, and optionally contains a small amount of a trifunctional or higher-functional polycarboxylic acid or an ester-forming derivative thereof. It is preferably manufactured.
[0027]
Examples of the polyol component that is a raw material for producing a polyester polyol include ethylene glycol, propylene glycol, 2-methyl-1,3-propanediol, 1,4-butanediol, 1,5-pentanediol, and 1,6-hexane. Diol, 3-methyl-1,5-pentanediol, neopentyl glycol, 1,7-heptanediol, 1,8-octanediol, 1,9-nonanediol, 2-methyl-1,8-octanediol, Aliphatic diols such as cyclohexanedimethanol and cyclohexanediol; triols such as glycerin, trimethylolpropane, butanetriol, hexanetriol, trimethylolbutane, and trimethylolpentane; Etc. can be mentioned tetraol such as Lithol, may be used alone or two or more of them. Among them, the polyester polyol is preferably made of an aliphatic polyol as the polyol component, and is preferably produced using a polyol component containing a small amount of a trifunctional or higher polyol in some cases.
[0028]
The polycarbonate polyol is obtained, for example, by reacting a polyol with a carbonate compound such as dialkyl carbonate, alkylene carbonate, or diaryl carbonate. As the polyol constituting the polycarbonate polyol, the polyol exemplified above as the constituent component of the polyester polyol can be used. Examples of the dialkyl carbonate include dimethyl carbonate and diethyl carbonate, examples of the alkylene carbonate include ethylene carbonate, and examples of the diaryl carbonate include diphenyl carbonate.
[0029]
Examples of the polyester polycarbonate polyol include, for example, those obtained by simultaneously reacting a polyol, a polycarboxylic acid and a carbonate compound, those obtained by reacting a polyester polyol and a carbonate compound which have been produced in advance, and those which have been produced in advance. Examples thereof include those obtained by reacting the prepared polycarbonate polyol with a polyol and a polycarboxylic acid, and those obtained by reacting a polyester polyol and a polycarbonate polyol prepared in advance.
[0030]
Examples of the polyether polyol include polyethylene glycol, polypropylene glycol, polytetramethylene glycol, and the like, and one or more of these may be used.
[0031]
The number average molecular weight of the polyol compound is preferably from 500 to 10,000, more preferably from 700 to 5,000, even more preferably from 750 to 4,000.
[0032]
In the production of the polyurethane resin, a chain extender component can be used if necessary. As the chain extender component that can be used, any of chain extenders conventionally used in the production of ordinary polyurethane resins can be used, but it has two or more active hydrogen atoms capable of reacting with isocyanate groups in the molecule. It is preferable to use a low molecular compound having a molecular weight of 300 or less. For example, ethylene glycol, propylene glycol, 1,4-butanediol, 1,6-hexanediol, 1,4-bis (β-hydroxyethoxy) benzene, 1,4-cyclohexanediol, bis- (β-hydroxyethyl) Diols such as terephthalate and xylylene glycol; triols such as trimethylolpropane; pentaols such as pentaerythritol; hydrazine, ethylenediamine, propylenediamine, xylylenediamine, isophoronediamine, piperazine and its derivatives, phenylenediamine, tolylenedi Diamines such as amine, xylene diamine, adipic dihydrazide and isophthalic dihydrazide; amino alcohols such as aminoethyl alcohol and aminopropyl alcohol; One or more of these can be used.
[0033]
In order to disperse the polyurethane resin in the aqueous medium, it is preferable to introduce a hydrophilic group into the polyurethane skeleton. Examples of the compound for introducing a hydrophilic group include one or more active hydrogen atoms such as a hydroxyl group or an amino group in a molecule, and an anionic group such as a carboxyl group and a salt thereof, a sulfonic group, and a sulfonate. A nonionic group such as a polyoxyethylene group; and a compound having at least one hydrophilic group selected from cationic groups such as a tertiary amino group and a quaternary ammonium salt. For example, carboxylic acid group-containing compounds such as 2,2-dimethylolpropionic acid, 2,2-dimethylolbutyric acid, and 2,2-dimethylolvaleric acid, and derivatives thereof; 1,3-phenylenediamine-4,6-disulfonic acid Sulfonic acid group-containing compounds such as 2,4-diaminotoluene-5-sulfonic acid and derivatives thereof; nonionic group-containing compounds such as polyoxyethylene glycol and its monoalkyl ether having a molecular weight of 200 to 10,000; Examples include tertiary amino group-containing compounds such as dimethylaminopropanol and derivatives thereof. Further, a polyester polyol or a polyester polycarbonate polyol obtained by copolymerizing the above active hydrogen atom-containing compound having a hydrophilic group can also be used. Among them, the use of 2,2-dimethylolpropionic acid having a carboxyl group for hydrophilicity is preferred because the resulting polyurethane resin has excellent water resistance.
[0034]
In addition, for example, when a carboxyl group is introduced using 2,2-dimethylolpropionic acid or the like, when the polyurethane resin is dispersed in an aqueous medium, the carboxyl group is converted into ammonia, triethylamine, trimethylamine, triethanol. It is preferably neutralized at least partially with an organic amine such as amine and triisopropanolamine, and a basic substance such as sodium hydroxide and potassium hydroxide.
[0035]
In the production of the polyurethane resin, a reaction catalyst can be added as necessary. Examples of such a catalyst include tin octylate, monobutyltin triacetate, monobutyltin monooctylate, and monobutyltin monoacetate. Organic tin compounds such as monobutyltin maleate, dibutyltin diacetate, dibutyltin dioctoate, dibutyltin distearate, dibutyltin dilaurate and dibutyltin maleate; organic titanium compounds such as tetraisopropyl titanate and tetra-n-butyl titanate; Tertiary amines such as triethylamine, N, N-diethylcyclohexylamine, N, N, N ′, N′-tetramethylethylenediamine and triethylenediamine can be mentioned.
[0036]
In the present invention, the Tg of the polyurethane resin is 70 ° C. or higher, preferably 80 ° C. or higher, more preferably 90 ° C. or higher. If the Tg is lower than 70 ° C., the blocking resistance and the solvent resistance tend to deteriorate.
[0037]
In the present invention, the elongation at break of the polyurethane resin is 250% or less, preferably 200% or less, and more preferably 100% or less. If the elongation at break exceeds 250%, the thick coating property tends to be worse than that having a elongation at break of 250% or less. If the thick coating property is poor, it is necessary to increase the content of the polyurethane resin when it is desired to form a resin film having a predetermined film thickness. Therefore, the solvent resistance of the resin film tends to deteriorate.
[0038]
As will be described later, the aqueous resin dispersion of the present invention can be easily produced by using an aqueous polyester resin dispersion and an aqueous polyurethane resin dispersion and stirring and mixing these at a predetermined ratio.
[0039]
The method for producing the aqueous polyurethane resin dispersion is not particularly limited. For example, isocyanate compounds, polyol compounds and 2,2-dimethylolpropionic acid are preferably used in a hydrophilic organic solvent such as methyl ethyl ketone, acetone, and ethyl acetate. Is reacted at a temperature of 40 to 80 ° C., then, an organic amine and water are added to form an aqueous dispersion, and then a chain extender component is further added to increase the molecular weight. Then, the organic solvent is removed under normal pressure or reduced pressure. Well-known methods such as a method for removing by using the above method can be used.
[0040]
The aqueous polyurethane resin dispersion can be obtained as a commercial product, for example, Takeflex manufactured by Mitsui Takeda Chemical Co., Ltd., such as Superflex 150, 300, 500, 550, 600, 830, E-4500 manufactured by Daiichi Kogyo Seiyaku Co., Ltd. W-615, W-6010, W-6020, W-6061, W-7004, W-605, WS-7000, WS-5000, WS-5100, WS-4000 and the like.
In addition, usually, the solid content concentration of the aqueous polyurethane resin dispersion which can be obtained is 25 to 50% by mass, and those having a content of the organic solvent of 3% by mass or less can also be obtained.
[0041]
In the aqueous resin dispersion of the present invention, the above polyester resin and polyurethane resin are dispersed or dissolved in an aqueous medium. Here, the aqueous medium is a medium composed of a liquid containing water as a main component, and may contain a basic compound or an organic solvent described later.
[0042]
In the aqueous resin dispersion of the present invention, the total content of the polyester resin and the polyurethane resin can be appropriately selected depending on the film formation method, the type of the object to be coated, the thickness and performance of the intended resin film, and is particularly limited. Although it is not a thing, 1-50 mass% is preferred, 5-5-45 mass% is more preferred, and 10-40 mass% is preferable in that the viscosity of the coating composition is maintained at an appropriate level and good film-forming ability is exhibited. Particularly preferred.
[0043]
Further, in the present invention, the content of the organic solvent contained in the aqueous resin dispersion is 3% by mass in order to improve environmental problems and workplace environment, and to reduce residual organic solvents that adversely affect the properties of the resin film. %, Preferably 2% by mass or less, more preferably 1% by mass or less. In the present invention, the organic amine used for neutralizing the hydrophilic group is not included in the organic solvent.
[0044]
The mass ratio between the polyester resin and the polyurethane resin contained in the aqueous resin dispersion is such that the ratio of (polyurethane resin) / (polyester resin) must be in the range of 1/99 to 30/70, and It is preferably in the range of 97 to 25/75, and more preferably in the range of 5/97 to 20/80. When the mass ratio of the polyurethane resin is less than 1%, the film-forming properties and wettability are not sufficiently improved. Conversely, when the mass ratio of the polyurethane resin exceeds 30%, the solvent resistance becomes poor. Tends to be worse.
[0045]
The particle diameter of the polyester resin or polyurethane resin contained in the aqueous resin dispersion is not particularly limited, but from the viewpoint of maintaining good storage stability, each volume average particle diameter is preferably 500 nm or less, It is more preferably at most 300 nm, particularly preferably at most 200 nm.
[0046]
Next, a method for producing the aqueous resin dispersion of the present invention will be described.
The method for producing the aqueous resin dispersion of the present invention is not particularly limited. For example, 1) the aqueous polyester resin dispersion and the aqueous polyurethane resin solution of the organic solvent such that the content of the organic solvent after mixing is 3% by mass or less. A method of mixing a dispersion, 2) a method of removing an organic solvent from a resin aqueous dispersion containing a polyester resin and a polyurethane resin and containing 3% by mass or more of an organic solvent, and the like. In particular, the production method 1) is preferable because quality control of each aqueous dispersion is easy. Further, the mixing of the aqueous dispersion of the polyester resin and the aqueous dispersion of the polyurethane resin can be easily performed using a general stirring device.
[0047]
Next, a method for producing the aqueous polyester resin dispersion in which the content of the organic solvent is 3% by mass or less in the above production method 1) will be described.
[0048]
The production method is as follows: a container in which a liquid material can be charged, a polyester resin, an organic solvent, water, and a state in which all of these materials are contained, are heated and stirred at 40 ° C to 100 ° C for several minutes to several hours. Can be easily obtained. If the heating temperature is lower than 40 ° C., it takes a long time to produce the polyester resin aqueous dispersion, which is economically unfavorable.
The stirring device is not particularly limited as long as the liquid material can be stirred, but since a polyester resin aqueous dispersion can be obtained in a short time, a stirring device capable of high-speed rotation and high shear, for example, a homomixer or a homodisper is used. Is preferred. Usually, a simple lid is provided and used under normal pressure or slight pressure. If necessary, a device capable of applying a pressure of 0.1 MPa or more may be used.
Next, by removing the organic solvent from the polyester resin aqueous dispersion thus obtained, a polyester resin aqueous dispersion in which the content of the organic solvent is reduced to 3% by mass or less can be obtained.
[0049]
The method for removing the organic solvent is not particularly limited.For example, the above-mentioned polyester resin aqueous dispersion is put into a device capable of stirring a liquid material, and the polyester resin aqueous dispersion is heated at normal pressure or under reduced pressure, whereby the organic solvent is removed. The solvent can be easily removed.
In addition, if necessary, undispersed substances and aggregates are removed by filtration, so that the aqueous dispersion of the polyester resin resin is prepared in a uniform liquid state in a uniform state in which no precipitate or phase separation is observed. Can be
[0050]
The organic solvent used in the above-mentioned production method preferably has a solubility in water at 20 ° C. of 5 g / L or more, more preferably 10 g / L or more. Note that the boiling point of the organic solvent is preferably 250 ° C. or lower, more preferably 180 ° C. or lower, and further preferably 100 ° C. or lower, since the lower the boiling point, the easier it is to volatilize by drying from the resin film. Specific examples of such an organic solvent include methanol, ethanol, n-propanol, isopropanol, n-butanol, isobutanol, sec-butanol, tert-butanol, n-amyl alcohol, isoamyl alcohol, sec-amyl alcohol, and tert-amyl alcohol. Alcohols such as amyl alcohol, 1-ethyl-1-propanol, 2-methyl-1-butanol, n-hexanol and cyclohexanol; ketones such as acetone, methyl ethyl ketone, methyl isobutyl ketone, ethyl butyl ketone, cyclohexanone and isophorone , Tetrahydrofuran, ethers such as dioxane, ethyl acetate, -n-propyl acetate, isopropyl acetate, -n-butyl acetate, isobutyl acetate, -sec-butyl acetate, -3-methoxy acetate Ester such as chill, methyl propionate, ethyl propionate, diethyl carbonate, dimethyl carbonate, ethylene glycol, ethylene glycol monomethyl ether, ethylene glycol monoethyl ether, ethylene glycol monopropyl ether, ethylene glycol monobutyl ether, ethylene glycol ethyl ether acetate Glycol derivatives such as diethylene glycol, diethylene glycol monomethyl ether, diethylene glycol monoethyl ether, diethylene glycol monobutyl ether, diethylene glycol ethyl ether acetate, propylene glycol, propylene glycol monomethyl ether, propylene glycol monobutyl ether, and propylene glycol methyl ether acetate; Include 3-methoxy-3-methylbutanol, 3-methoxybutanol, acetonitrile, dimethylformamide, dimethylacetamide, diacetone alcohol, ethyl acetoacetate, and the like. Those having a temperature of 100 ° C. or lower and those azeotropic with water are preferred. Examples include ethanol, n-propanol, isopropanol, n-butanol, methyl ethyl ketone, tetrahydrofuran, ethylene glycol monobutyl ether and the like. Note that two or more organic solvents may be used as a mixture.
[0051]
In the preparation of the polyester resin aqueous dispersion, it is preferable to add a basic compound. This is because the carboxyl group of the polyester resin is neutralized by the basic compound, the electric repulsion between the generated carboxyl anions suppresses the aggregation between the resin fine particles, and the storage stability of the aqueous polyester resin dispersion is improved.
As the basic compound, an organic amine having a boiling point of 250 ° C. or lower, more preferably 160 ° C. or lower, or ammonia is preferable because it is easily volatilized during film formation. Specific examples of preferably used organic amines include triethylamine, N, N-diethylethanolamine, N, N-dimethylethanolamine, aminoethanolamine, N-methyl-N, N-diethanolamine, isopropylamine, iminobispropylamine , Ethylamine, diethylamine, 3-ethoxypropylamine, 3-diethylaminopropylamine, sec-butylamine, propylamine, methylaminopropylamine, dimethylaminopropylamine, methyliminobispropylamine, 3-methoxypropylamine, monoethanolamine, Examples thereof include diethanolamine, triethanolamine, morpholine, N-methylmorpholine, and N-ethylmorpholine. Among them, ammonia and triethylamine are most preferred.
[0052]
The amount of the basic compound to be used is, according to the amount of the carboxyl group contained in the polyester resin, at least an amount capable of partially neutralizing the carboxyl group, that is, 0.4 to 2 times the carboxyl group. The equivalent is preferred, 0.6 to 1.6 equivalent is more preferred, and 0.8 to 1.4 equivalent is particularly preferred. By setting the amount of the basic compound to the above range, a polyester resin aqueous dispersion having particularly good storage stability can be obtained.
[0053]
The aqueous resin dispersion of the present invention may optionally contain various agents such as a leveling agent, an antifoaming agent, an anti-bake agent, a pigment dispersant, an ultraviolet absorber, a fungicide, a preservative, titanium oxide, zinc oxide, and the like. A water-soluble polymer such as a pigment or dye such as carbon black, a water-soluble polymer such as polyvinyl alcohol or polyethylene oxide, an aqueous acrylic resin, or an aqueous (modified) olefin resin may be added. In addition, by adding water or an organic solvent, it is possible to adjust the viscosity, adjust the wettability to the material to be coated, and the like.
[0054]
In addition, the resin aqueous dispersion of the present invention can be used as it is, but further, by blending a curing agent and baking and curing, excellent coating performance, that is, more excellent workability, water resistance, solvent resistance and the like. Performance can be exhibited. The curing agent is not particularly limited as long as it has a reactivity with a functional group of the polyester resin or the urethane resin, for example, a carboxyl group or a hydroxyl group.For example, urea resin, melamine resin, amino such as benzoguanamine resin, etc. Resins, polyfunctional epoxy compounds, polyfunctional isocyanate compounds and blocked isocyanate compounds, polyfunctional aziridine compounds, carbodiimide group-containing compounds, oxazoline group-containing polymers, phenol resins, and the like.
[0055]
Next, a method for using the aqueous resin dispersion of the present invention will be described.
Since the aqueous resin dispersion of the present invention has excellent film-forming ability, it is uniformly coated on various substrate surfaces by a known film forming method such as a dipping method, a brush coating method, a spray coating method, and a curtain flow coating method. Then, after setting at around room temperature as required, a uniform resin coating can be formed in close contact with various substrate surfaces by subjecting it to a heat treatment for drying and baking. As a heating device at this time, an ordinary hot air circulation type oven, an infrared heater, or the like may be used. Further, the heating temperature and the heating time are appropriately selected depending on the type of the polyester resin or the urethane resin or the type of the base material to be coated, but in consideration of economy, as the heating temperature, 60 to 250 ° C is preferable, 80 to 200 ° C is more preferable, 100 to 180 ° C is particularly preferable, and the heating time is preferably 5 seconds to 20 minutes, more preferably 15 seconds to 10 minutes, and 30 seconds to 5 minutes. Is particularly preferred.
[0056]
The thickness of the resin film is appropriately selected depending on the application and purpose, and is not particularly limited.
[0057]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to Examples, but the present invention is not limited thereto. In addition, various characteristics were measured or evaluated by the following methods.
[0058]
(1) Composition of polyester resin
1 It was determined by H-NMR analysis (Varian, 300 MHz).
[0059]
(2) Weight average molecular weight of polyester resin
The weight average molecular weight was determined by GPC analysis (using a liquid sending unit LC-10ADvp type and a UV-visible spectrophotometer SPD-6AV type manufactured by Shimadzu Corporation, detection wavelength: 254 nm, solvent: tetrahydrofuran, converted to polystyrene). Further, using the number average molecular weight obtained in the same manner, the degree of dispersion of the molecular weight distribution obtained as a value obtained by reducing the weight average molecular weight by the number average molecular weight was determined.
[0060]
(3) Acid value of polyester resin
0.5 g of the polyester resin is dissolved in 50 ml of water / dioxane = 10/1 (volume ratio), titrated with KOH using cresol red as an indicator, and the number of mg of KOH consumed for neutralization is determined per 1 g of the polyester resin. The converted value was determined as an acid value.
[0061]
(4) Glass transition temperature of polyester resin
Using a polyester resin (10 mg) as a sample, measurement was performed using a DSC (differential scanning calorimetry) device (DSC7 manufactured by PerkinElmer) at a heating rate of 10 ° C./min, and the glass transition in the obtained heating curve was measured. An intermediate value between the temperatures of the two originating bending points was determined, and this was defined as the glass transition temperature.
[0062]
(5) Glass transition temperature of polyurethane resin
Using the aqueous polyurethane resin dispersion, a film having a thickness of 60 μm and a width of 0.5 cm was prepared. Next, using a dynamic viscoelasticity measuring device (manufactured by Rheometric Scientific, SOLIDS ANALYZER, RSAII), measurement was performed from -20 ° C at a measuring frequency of 1 Hz and a heating rate of 2 ° C / min. Was defined as the glass transition temperature.
[0063]
(6) Elongation at break of polyurethane resin
According to JIS K 5400 (8.8), it measured as follows.
Using an aqueous polyurethane resin dispersion, a film having a thickness of 30 μm and a width of 1.5 cm was prepared. Then, using a universal tensile tester (Model 2020, manufactured by Intesco Corporation), the film distance was set to 50 to 60 mm at a measurement environment of 20 ° C. and 60% RH, and the film was formed at a speed of 50 mm / min. The elongation at the time of pulling and breaking was calculated by the following formula, and the value was defined as the breaking elongation of the polyurethane resin.
Elongation at break (%) = (BA) × 100 / A
A: Distance between chucks before measurement (mm)
B: Distance between chucks at break (mm)
[0064]
(7) Volume average particle size of aqueous dispersion
The aqueous polyester resin dispersion or the aqueous polyurethane resin dispersion is diluted with ion-exchanged water so that the solid content concentration becomes about 0.1% by mass, and is manufactured by Nikkiso Co., Ltd., Microtrac particle size distribution analyzer UPA150 (MODEL No. 9340). Was used to measure the volume average particle diameter. Also, the number average particle diameter was measured in the same manner.
[0065]
(8) Solid concentration of aqueous dispersion
About 1 g of the polyester resin aqueous dispersion or the polyurethane resin aqueous dispersion was weighed and heated at 150 ° C. until the mass of the residue (solid content) reached a constant weight, whereby the solid content concentration was determined.
[0066]
(9) Content of organic solvent in aqueous dispersion
Gas chromatograph GC-8A manufactured by Shimadzu Corporation [using FID detector, carrier gas: nitrogen, column packing substance (manufactured by GL Sciences): PEG-HT (5%)-Uniport HP (60/80 mesh), column size : Diameter 3 mm × 3 m, sample input temperature (injection temperature): 150 ° C., column temperature: 60 ° C., internal standard substance: n-butanol]. The detection limit was 0.01% by mass.
[0067]
(10) Thickness of resin coating
The thickness of the base material (PET film and TFS in Examples and Comparative Examples) was measured in advance using a thickness gauge (MICROFINE Σ manufactured by Union Tool Co., Ltd.), and a resin film was formed on the base material. Thereafter, the thickness of the substrate having the resin film was measured by the same method, and the difference was defined as the thickness of the resin film.
[0068]
(11) Low temperature film forming property (thick coating property)
The aqueous dispersion was applied to the corona-treated surface of a biaxially stretched PET film (Unitika Co., Ltd., thickness 12 μm) using a desktop coating apparatus (Yasuda Seiki Co., Ltd., film applicator No. 542-AB, with bar coater). After coating, a resin film is formed by drying in a hot air dryer set at 80 ° C. for 3 minutes, and the resin film is visually observed. No cracks are observed, and a transparent resin film is formed. The maximum possible film thickness (μm) was examined. In Comparative Example 1, a transparent resin film was not obtained even at 0.5 μm.
[0069]
(12) Low temperature film forming property (adhesion)
After coating the aqueous dispersion on the corona-treated surface of the PET film in the same manner as in (11), the film was dried for 1 minute in a hot-air dryer set at 80 ° C. to form a resin film having a thickness of 1 μm. .
Next, an adhesive tape (18 mm in width) specified in JIS Z1522 is adhered to the resin film except for the end portion, and rubbed with an eraser from above to sufficiently adhere, and then the end portion of the adhesive tape is attached to the film. After a right angle, it was instantaneously peeled off. The peeled adhesive tape surface is analyzed with a surface infrared spectrometer (SYSTEM2000, manufactured by PerkinElmer, using a Ge60 ° 50 × 20 × 2 mm prism) to determine whether or not a resin film has adhered to the adhesive tape surface. Was evaluated and evaluated according to the following criteria.
:: No peak derived from the resin film was observed on the adhesive tape surface.
X: A peak derived from the resin film is observed on the adhesive tape surface.
[0070]
(13) wettability
The aqueous dispersion was coated on a commercially available tin-free steel (TFS, 0.2 mm thick) using the desktop coating apparatus described in (11), and then dried in a hot air dryer set at 130 ° C. for 3 minutes. In this way, a resin film having a thickness of 1 μm was formed, and evaluated according to the following criteria.
:: A uniform and transparent resin film is formed.
Δ: Some repelling is observed.
×: Repelling was observed as a whole, and was not wet at all.
[0071]
(14) Solvent resistance of resin film
After coating the aqueous dispersion on the corona-treated surface of the PET film in the same manner as in (11), the film was dried for 1 minute in a hot-air dryer set at 130 ° C. to form a 1 μm-thick resin film. . Next, this PET film was immersed in a methanol / ion-exchanged water = 7/3 (mass ratio) solution for 15 seconds, quickly washed with water, and air-dried, and the appearance of the resin film was visually observed. Was evaluated.
:: No change in appearance.
Δ: Whitened, but no dissolution of the resin film was observed.
X: Dissolution of the resin film is observed.
[0072]
(15) Blocking resistance of resin coating
After forming a resin film having a film thickness of 1 μm on the PET film in the same manner as in the evaluation of the solvent resistance in the above (14), the PET film is folded so that the resin film overlaps, and 50 g / cm 2 , And held in a hot air drier at 40 ° C. for 1 hour, cooled to room temperature, and then fused resin film when the folded PET film was spread by hand was evaluated according to the following criteria.
:: The PET film could be easily spread, and no trace of fusion was observed.
X: There is a little resistance to spreading the PET film, and a trace of fusion is observed.
[0073]
The aqueous polyurethane resin dispersions used in the examples and comparative examples are as follows.
・ Takerac W-605 (manufactured by Mitsui Takeda Chemical Co., Ltd.)
Solid content concentration: 30% by mass
Organic solvent content: 0.2% by mass
Glass transition temperature: 99 ° C
Elongation at break: 45%
Volume average particle diameter: 57 nm
Number average particle size: 41 nm
・ Takerack W-6010 (Mitsui Takeda Chemical Co., Ltd.)
Solid content concentration: 30% by mass
Organic solvent content: 0.2% by mass
Glass transition temperature: 91 ° C
Elongation at break: 280%
Volume average particle size: 40 nm
Number average particle size: 33 nm
・ Takerac W-6061 (Mitsui Takeda Chemical Co., Ltd.)
Solid content concentration: 30% by mass
Organic solvent content: 0.2% by mass
Glass transition temperature: 26 ° C
Elongation at break: 650%
Volume average particle size: 32 nm
Number average particle size: 26 nm
[0074]
Polyester resins used in Examples and Comparative Examples were obtained as follows.
[Production example of polyester resin]
A mixture composed of 25.10 kg of terephthalic acid, 10.76 kg of isophthalic acid, 9.38 kg of ethylene glycol, and 13.48 kg of neopentyl glycol was heated in an autoclave at 260 ° C. for 4 hours to perform an esterification reaction. Next, 1.57 kg of an ethylene glycol solution containing 1% by mass of antimony trioxide was added as a catalyst, the temperature of the system was raised to 280 ° C., and the pressure of the system was gradually reduced to 13 Pa after 1.5 hours. The polycondensation reaction was further continued under these conditions, and after 2 hours, the system was brought to normal pressure with nitrogen gas, and the temperature of the system was lowered. When the temperature reached 270 ° C, 907 g of trimellitic acid was added, and the mixture was stirred at 250 ° C for 1 hour. Thus, a depolymerization reaction was performed. Thereafter, the resin was discharged in a sheet shape while being pressurized with nitrogen gas. After sufficiently cooling this to room temperature, it was pulverized with a crusher, and a fraction having an opening of 1 to 6 mm was collected using a sieve to obtain a granular polyester resin. Table 1 shows the properties of this polyester resin.
[0075]
[Table 1]
[0076]
Example 1
(Production of aqueous dispersion of polyester resin)
Using a stirrer (TK Robomix, manufactured by Tokushu Kika Kogyo Co., Ltd.) equipped with a jacketed and sealable 2 liter glass container, 300 g of the above polyester resin, 180 g of isopropanol, and 9.6 g of Triethylamine and 510.4 g of distilled water were charged into a glass container, and the mixture was stirred at a rotation speed of a stirring blade (homodisper) of 7,000 rpm. Subsequently, the jacket was heated by passing hot water through the jacket, and the system was stirred for 60 minutes while maintaining the system temperature at 73 to 75 ° C. Then, cool water was flowed into the jacket, the rotation speed was lowered to 5,000 rpm, and the mixture was cooled to room temperature (about 25 ° C.) with stirring. After that, filtration was performed with a 300-mesh stainless steel filter. An aqueous polyester resin dispersion exceeding 3% by mass was once obtained. The dispersion was milky white and homogeneous.
Next, 500 g of the aqueous polyester resin dispersion obtained above and 115 g of distilled water were charged into a 1-L round-bottom flask, a mechanical stirrer and a Liebig condenser were installed, the flask was heated in an oil bath, and the aqueous medium was heated at normal pressure. Distilled off. When about 153 g of the aqueous medium was distilled off, the heating was stopped and the mixture was cooled at room temperature. After cooling, the liquid in the flask was filtered through a stainless steel filter of 600 mesh (Ayatami weave), and the solid content of the filtrate was measured to be 32.8% by mass. While stirring the filtrate, distilled water was added to adjust the solid content concentration. The characteristic values of this aqueous dispersion were as follows.
Solid content concentration: 30% by mass
Organic solvent content: 0.1% by mass
Volume average particle diameter: 130 nm
Number average particle size: 75 nm
[0077]
Next, 5 g of Takelac W-605 was added to 95 g of the aqueous polyester resin dispersion, and the mixture was stirred and mixed at room temperature for about 5 minutes to obtain an aqueous resin dispersion. The external appearance of the aqueous resin dispersion was visually observed and found to be uniform without any precipitation or layer separation.
[0078]
Example 2
An aqueous resin dispersion was obtained in the same manner as in Example 1, except that the amount of the aqueous polyester resin dispersion mixed with the aqueous polyurethane resin dispersion was changed to 45 g. The external appearance of the aqueous resin dispersion was visually observed and found to be uniform without any precipitation or layer separation.
[0079]
Example 3
The same operation as in Example 1 was performed except that 10 g of Takelac W-605 was mixed with 40 g of the aqueous polyester resin dispersion to obtain an aqueous resin dispersion. The external appearance of the aqueous resin dispersion was visually observed and found to be uniform without any precipitation or layer separation.
[0080]
Comparative Example 1
Using the polyester resin aqueous dispersion prepared in Example 1 alone, various properties were evaluated.
[0081]
Comparative Example 2
The same operation as in Example 1 was performed except that 20 g of Takelac W-605 was mixed with 30 g of the polyester resin aqueous dispersion to obtain a resin aqueous dispersion. The external appearance of the aqueous resin dispersion was visually observed and found to be uniform without any precipitation or layer separation.
[0082]
Comparative Example 3
A resin aqueous dispersion was obtained by performing the same operation as in Example 1 except that 5 g of Takelac W-6010 was added to 95 g of the polyester resin aqueous dispersion. The external appearance of the aqueous resin dispersion was visually observed and found to be uniform without any precipitation or layer separation.
[0083]
Comparative Example 4
The same operation as in Example 1 was carried out except that 5 g of Takelac W-6010 was added to 45 g of the aqueous polyester resin dispersion to obtain an aqueous resin dispersion. The external appearance of the aqueous resin dispersion was visually observed and found to be uniform without any precipitation or layer separation.
[0084]
Comparative Example 5
The same operation as in Example 1 was performed except that 10 g of Takelac W-6010 was added to 40 g of the aqueous polyester resin dispersion, to obtain an aqueous resin dispersion. The external appearance of the aqueous resin dispersion was visually observed and found to be uniform without any precipitation or layer separation.
[0085]
Comparative Example 6
The same operation as in Example 1 was carried out except that 10 g of Takelac W-6061 was added to 40 g of the aqueous polyester resin dispersion to obtain an aqueous resin dispersion. The external appearance of the aqueous resin dispersion was visually observed and found to be uniform without any precipitation or layer separation.
[0086]
Table 2 shows the results of various characteristic evaluations of the aqueous resin dispersions obtained in Examples 1 to 3 and Comparative Examples 1 to 6. FIG. 1 shows the content of the urethane resin (Takelac W-605) used in Examples 1 to 3 and the urethane resin (Takelac W-6010) used in Comparative Examples 3 to 5 in the aqueous dispersion. The relationship with the thick coating property was shown.
[0087]
[Table 2]
[0088]
From the Examples and Comparative Examples in Table 2, the aqueous resin dispersion of the present invention has excellent low-temperature film-forming properties and wettability, and the resin film formed from the aqueous resin dispersion has solvent resistance and blocking resistance. It turns out that it is excellent.
On the other hand, each comparative example has the following problems.
Comparative Example 1 was inferior in low-temperature film-forming properties because it wanted to use a polyurethane resin, and had low wettability.
In Comparative Example 2, since the content of the polyurethane resin was high, the solvent resistance was poor. In Comparative Examples 3 to 5, since the polyurethane resin having a large elongation at break is used, it can be seen from FIG. 1 that the effect of the thick coating property is small.
In Comparative Example 6, since a polyurethane resin having a low Tg was used, blocking resistance and solvent resistance were deteriorated.
[0089]
【The invention's effect】
The aqueous resin dispersion of the present invention has excellent film-forming properties and wettability, and can form a resin film having excellent solvent resistance and blocking resistance, and is therefore suitable as a binder component in paints, adhesives, and coating agents. Anchor coating agents for various films, inner or outer surface coating agents for cans, paints for steel plates, rust preventive paints, pre-coated metal paints, adhesives for steel plates, adhesives for resin sheets or films, vinyl chloride, polyester resin, etc. The performance of these materials can be improved by using them in applications such as adhesives, surface treatment agents, inks, fiber treatment agents, and paper coating agents between thermoplastic resin sheets and films and steel plates.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing the relationship between thick coatability and polyurethane resin content in Examples 1 to 3 and Comparative Examples 3 to 5.