JP2004141360A - 単結晶材料刃、単結晶材料刃を備えた刃物および単結晶材料刃の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】作成が簡単でかつ鋭利な刃先を備えた単結晶材料刃、刃物および単結晶材料刃の形成方法を提供する。
【解決手段】少なくとも、単結晶シリコン板11の一部の縁部分の所定表面側が該表面に対して傾斜を持つようにエッチングされ、当該縁部分は断面楔形に形成され、前記縁部分の前記傾斜を持つ側の面が、特定の結晶面を持つことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも、単結晶シリコン板11の一部の縁部分の所定表面側が該表面に対して傾斜を持つようにエッチングされ、当該縁部分は断面楔形に形成され、前記縁部分の前記傾斜を持つ側の面が、特定の結晶面を持つことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、作成が簡単でかつ鋭利な刃先を備えた単結晶材料刃、刃物および単結晶材料刃の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋭利な刃物として、カミソリがある。カミソリには、必要な切断力、刃の寿命の増大が必要とされる。カミソリの縁部(刃先)は、楔形をなしており、所定の曲率(数百Å)を有する刃先には、その硬度を確保するために、特許文献1に示すように、酸化クロム薄膜またはクロムを主成分とする酸化物薄膜が形成されることもある。
【0003】
また、従来、たとえば特許文献2に示すように、粉末成形焼結法により製造される薄刃カミソリの場合、粉末成形焼結法で製造し、これの表面研削時の発熱を抑えることで、製造歩留まりを向上させる薄刃カミソリを形成する技術が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平05−117805号
【0005】
【特許文献2】
特開2002−144279号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この種のカミソリの製造技術は、基本的には金属パンチング、研磨,焼結等の工程を経ねばならない場合が多く、製造が必ずしも容易とは言えない。
【0007】
本発明の目的は、作成が簡単でかつ鋭利な刃先を備えた単結晶材料刃および単結晶材料刃の形成方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、安全な構成の新規な刃先を備えた単結晶材料刃物および単結晶材料刃物の形成方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の単結晶材料刃は、少なくとも、単結晶シリコン板,単結晶石英板,単結晶ダイヤモンド板等の単結晶材料(通常は板)の一部の縁部分の所定表面側が該表面に対して傾斜を持つようにエッチングされ、当該縁部分は断面楔形に形成され、前記縁部分の前記傾斜を持つ側の面が、特定の結晶面(またはこれと等価な結晶面(以下同様)。たとえば、シリコン(111)面)を持つことを特徴とする。
【0009】
本発明の単結晶材料刃は、従来の金属刃のような切削加工を伴わないので、比較的小規模な装置による製造が可能である。したがって製造コストの低減を図ることができる。少なくとも、前記断面楔形に形成された縁部分の先端の、
(1)前記傾斜を持つ側の面、
(2)前記傾斜を持つ側の面とは反対側の面、または、
(3)前記傾斜を持つ側の面および当該面とは反対側の面、
が硬質膜により被覆されていることを特徴とする。
【0010】
この硬質膜は、たとえばスパッタリングにより単結晶材料刃の刃先に形成できる。上記の硬質膜を形成した後に、さらに表面に合成樹脂被膜を形成することもできる。
【0011】
また、本発明の単結晶材料刃は、前記単結晶材料の縁が、当該単結晶材料に形成された穴または切り欠きの内側の縁を含むことができる。この構成は、従来の金属刃では作成が実質上不可能であるが、本発明技術によれば製造は極めて容易である。
【0012】
本発明の刃物は、上記単結晶材料刃を備えてなるもので、柄付きの単結晶材料刃ホルダ(固定部)を含むことができる。
【0013】
本発明の単結晶材料刃の形成方法は、特定の結晶面(単結晶材料がシリコンの場合通常(111)面)以外の面を表面に持つ単結晶シリコン板,単結晶石英板,単結晶ダイヤモンド板等の単結晶材料(通常は板)の、少なくとも一部の縁部分の前記表面側を前記特定の結晶面を持つようにエッチングし、当該縁部分を断面楔形に形成する工程を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の単結晶材料刃の形成方法は、少なくとも、前記断面楔形に形成された縁部分の先端の、前記傾斜を持つ側の面、前記傾斜を持つ側の面とは反対側の面、または、前記傾斜を持つ側の面および当該面とは反対側の面、を硬質膜により被覆する工程、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の単結晶材料刃の形成方法は、前記単結晶材料の縁は、当該単結晶材料に形成された穴または切り欠きの内縁を含むことができる。
【0016】
本発明の単結晶材料刃の形成方法では、単結晶材料をシリコンとして、前記特定の結晶面が(111)面とすることができる。
【0017】
なお、本発明の単結晶材料刃の形成方法では、前記単結晶材料の縁は、上述したように、当該単結晶材料板に形成された穴または切り欠きの内縁とすることができる。金属加工技術において、小さな穴を設け、この穴の内縁を断面楔形の鋭利な刃に形成することは容易ではないが、本発明の単結晶材料刃の作成技術によればこのような穴は極めて容易に作成できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1(A)〜(F)は本発明の第1実施形態の単結晶材料刃(シリコン刃)の作成プロセスを示す図である。
【0019】
まず、図1(A)に示すように、板面が(111)面以外の結晶面であるように切り出された単結晶シリコン板11の表裏面(上下面)に酸化膜(SiO2)12を形成する。本発明で使用される単結晶シリコン板は、刃として使用されることから、LSIを作成するときに使用するような純度の高いものである必要はない。したがって、単結晶シリコン板11として低コストのものを用いることができる。ここで、単結晶シリコン板11の厚みTは、保持部4(図4参照)の構造に依存するが、たとえば数十〜数百μmとされる。
【0020】
つぎに、図1(B)に示すように、単結晶シリコン板11の一方の面(上面A01)の酸化膜12を部分的にフォトリソグラフィにより除去して、酸化膜12のストライプ状パターンを形成する。ここで、ストライプの方向は、概ね(111)面と平行とする。つづいて、該ストライプ状パターンをマスクとして、単結晶シリコン板11をたとえば水酸化カリウム(KOH)を用いて異方性エッチングを行なう。この異方性エッチングは、単結晶シリコン板11を貫通するに足るだけ行う。
【0021】
この異方性エッチングにより、二つの(111)面、すなわち、面A03及びA04が露出する(以下、面A03,A04を斜面と称する)。斜面A03は緩やかな傾斜を持ち、斜面A04は急な傾斜を持つ。斜面A03と上面A01の成す角度θは、単結晶シリコン板11の切出し角度により調整することができる。
【0022】
この後、図1(D)に示すように酸化膜12を除去し、これを本発明の単結晶材料刃(シリコン刃)の中間製品とし、カットすることでシリコン刃を製造することもできるが、図1では、この刃をカミソリ等の製品に適応させるために、図1(E),(E′)に示す工程を追加することができる。
【0023】
すなわち、図1(E)に示すように、上下面A01,A02および斜面A03,A04に硬質膜13を形成する。なお、図1(E′)に示すように、下面A02のみに硬質膜13を形成することもできる。硬質膜13は、たとえば窒化シリコン(SiN)、窒化チタン(TiN)のスパッタリングにより形成することができる。
【0024】
以上のようにして、図1(F)に示すようなシリコン刃を中間製品141とし、これをカットすることでシリコン刃が製造される。
【0025】
図2(A)〜(G)は本発明の第2実施形態の単結晶材料刃(シリコン刃)の作成プロセスを示す図である。本実施形態において、図2(C)に示す形状を形成するまでの工程は第1実施形態と同じである。
【0026】
つぎに、図2(D)に示すように、下面A02に刃先と刃元(刃先と反対側の部分)との間を残して酸化膜を除去し、もう一度KOH等を用いて異方性エッチングを行うことで、図2(E)に示すような形状が形成される。そして、上下面A01,A02の酸化膜を除去した後、全ての面に硬質膜23を形成すると、図2(F)に示すような形状の刃が形成される。このような形状の刃は、ある一定の範囲内で、摩耗による刃の劣化が抑えられる。なお、図示はしないが、硬質膜を特定の方向から異方性成膜技術により形成することにより、選択された面にのみ硬質膜が形成された刃を製作することも可能である。以上のようにして、図2(G)に示す刃の中間製品142が作成され、この中間製品をカットすることでシリコン刃が製造される。
【0027】
図3(A)〜(G)は本発明の第3実施形態の波型の単結晶材料刃(シリコン刃)の作成プロセスを示す図である。本実施形態でも、第1、第2実施形態と同様、板面が(111)面以外の結晶面になるように切り出された単結晶シリコン板31の少なくとも裏面(下面)A02に酸化膜33を形成する。つぎに、フォトリソグラフィにより、A03面となる面の法線方向の、単結晶シリコン板31表面と平行な成分が指示する方向に、ストライプ状の酸化膜33のパターンを形成する。
【0028】
この後、図3(C)に示すように等方性エッチングを行うことでストライプ間に溝34を形成し、エッチングを進めることで酸化膜33は除去され図3(D)に示すような単結晶シリコン板31が作成される。
【0029】
この後、図1(A)〜(E)の処理または(A)〜(E′)の処理を行い、図3(E)の断面図,図3(F)の表面図(図3(E)はQ−Q線の断面図である),図3(G)の裏面図に示す刃の中間製品143が作成され、この中間製品をカットすることでシリコン刃が製造される。
【0030】
図4は、本発明の刃物の第1実施形態を示す図である。図4では、第1実施形態において製造したシリコン刃41がホルダ42に取り付けられて刃物4が構成されている。シリコン刃41のホルダ42への取付けは、接着剤により行なうことができる。
【0031】
図5(A)〜(D)は、本発明の刃物の第2実施形態を示す図であり、(A)は背面図、(B)は正面図、(C)は側面図、(D)はシリコン刃チップ(刃素片の集合体)51の表面図(A01側)である。図5(B)では、シリコン刃チップ51の裏面側(A02側、即ち、刃が形成されている側)が見えている。
【0032】
本実施形態では、刃物5は、シリコン刃チップ51と、柄付きホルダ52とからなる。シリコン刃チップ51は、図5(D)では横長の長方形として描かれているが、そのような形状に限られるものではない。シリコン刃チップ51に具備されている刃素片は、柄の軸方向と垂直となるように形成される。本実施形態は、ヒゲ剃り等に好適に用いられる。
【0033】
図6(A),(B)は、シリコン刃チップ51の部分拡大図であり、(A)は裏面A02側を、(B)は表面A01側を示している。シリコン刃チップ51には、概ね2mm×1mmの穴511が形成されている。刃512は、穴511の上側の長辺に形成されている。図6(C)に毛9が刃512に切り取られるときの様子を示す。なお、穴511の寸法は概ね2mm×1mmに限定されるものではないし、横長の長方形に限定されるものでもない。
【0034】
第2の実施形態では、刃物5のシリコン刃チップ51のA02側の面が皮膚側に位置するようにホルダ52に取り付けたが、シリコン刃チップ51のA01側の面が皮膚側に位置するようにホルダ52に取り付けるようにしてもよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、作成が簡単でかつ鋭利な刃先を備えた単結晶材料刃や刃物を提供できる。また、新規で安全な刃の配置を持つ単結晶材料刃や刃物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(F)は本発明の第1実施形態のシリコン刃の作成プロセスを示す図である。
【図2】(A)〜(G)は本発明の第2実施形態のシリコン刃の作成プロセスを示す図である。
【図3】(A)〜(G)は本発明の第3実施形態のシリコン刃の作成プロセスを示す図である。
【図4】本発明の刃物の第1実施形態を示す図である。
【図5】本発明の刃物の第2実施形態を示す図であり、(A)は背面図、(B)は正面図、(C)は側面図、(D)はシリコン刃チップの表面図である。
【図6】(A),(B)は第2実施形態のシリコン刃チップの部分図、(C)は本発明の刃物の第2実施形態において毛が刃に切り取られるときの様子を示す図である。
【符号の説明】
11,21,31 単結晶シリコン板
12,22,33 シリコン酸化膜
13,23 硬質膜
41 シリコン刃
51 シリコン刃チップ
42,52 ホルダ
141,142,143 中間製品
【発明の属する技術分野】
本発明は、作成が簡単でかつ鋭利な刃先を備えた単結晶材料刃、刃物および単結晶材料刃の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋭利な刃物として、カミソリがある。カミソリには、必要な切断力、刃の寿命の増大が必要とされる。カミソリの縁部(刃先)は、楔形をなしており、所定の曲率(数百Å)を有する刃先には、その硬度を確保するために、特許文献1に示すように、酸化クロム薄膜またはクロムを主成分とする酸化物薄膜が形成されることもある。
【0003】
また、従来、たとえば特許文献2に示すように、粉末成形焼結法により製造される薄刃カミソリの場合、粉末成形焼結法で製造し、これの表面研削時の発熱を抑えることで、製造歩留まりを向上させる薄刃カミソリを形成する技術が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平05−117805号
【0005】
【特許文献2】
特開2002−144279号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この種のカミソリの製造技術は、基本的には金属パンチング、研磨,焼結等の工程を経ねばならない場合が多く、製造が必ずしも容易とは言えない。
【0007】
本発明の目的は、作成が簡単でかつ鋭利な刃先を備えた単結晶材料刃および単結晶材料刃の形成方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、安全な構成の新規な刃先を備えた単結晶材料刃物および単結晶材料刃物の形成方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の単結晶材料刃は、少なくとも、単結晶シリコン板,単結晶石英板,単結晶ダイヤモンド板等の単結晶材料(通常は板)の一部の縁部分の所定表面側が該表面に対して傾斜を持つようにエッチングされ、当該縁部分は断面楔形に形成され、前記縁部分の前記傾斜を持つ側の面が、特定の結晶面(またはこれと等価な結晶面(以下同様)。たとえば、シリコン(111)面)を持つことを特徴とする。
【0009】
本発明の単結晶材料刃は、従来の金属刃のような切削加工を伴わないので、比較的小規模な装置による製造が可能である。したがって製造コストの低減を図ることができる。少なくとも、前記断面楔形に形成された縁部分の先端の、
(1)前記傾斜を持つ側の面、
(2)前記傾斜を持つ側の面とは反対側の面、または、
(3)前記傾斜を持つ側の面および当該面とは反対側の面、
が硬質膜により被覆されていることを特徴とする。
【0010】
この硬質膜は、たとえばスパッタリングにより単結晶材料刃の刃先に形成できる。上記の硬質膜を形成した後に、さらに表面に合成樹脂被膜を形成することもできる。
【0011】
また、本発明の単結晶材料刃は、前記単結晶材料の縁が、当該単結晶材料に形成された穴または切り欠きの内側の縁を含むことができる。この構成は、従来の金属刃では作成が実質上不可能であるが、本発明技術によれば製造は極めて容易である。
【0012】
本発明の刃物は、上記単結晶材料刃を備えてなるもので、柄付きの単結晶材料刃ホルダ(固定部)を含むことができる。
【0013】
本発明の単結晶材料刃の形成方法は、特定の結晶面(単結晶材料がシリコンの場合通常(111)面)以外の面を表面に持つ単結晶シリコン板,単結晶石英板,単結晶ダイヤモンド板等の単結晶材料(通常は板)の、少なくとも一部の縁部分の前記表面側を前記特定の結晶面を持つようにエッチングし、当該縁部分を断面楔形に形成する工程を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の単結晶材料刃の形成方法は、少なくとも、前記断面楔形に形成された縁部分の先端の、前記傾斜を持つ側の面、前記傾斜を持つ側の面とは反対側の面、または、前記傾斜を持つ側の面および当該面とは反対側の面、を硬質膜により被覆する工程、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の単結晶材料刃の形成方法は、前記単結晶材料の縁は、当該単結晶材料に形成された穴または切り欠きの内縁を含むことができる。
【0016】
本発明の単結晶材料刃の形成方法では、単結晶材料をシリコンとして、前記特定の結晶面が(111)面とすることができる。
【0017】
なお、本発明の単結晶材料刃の形成方法では、前記単結晶材料の縁は、上述したように、当該単結晶材料板に形成された穴または切り欠きの内縁とすることができる。金属加工技術において、小さな穴を設け、この穴の内縁を断面楔形の鋭利な刃に形成することは容易ではないが、本発明の単結晶材料刃の作成技術によればこのような穴は極めて容易に作成できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1(A)〜(F)は本発明の第1実施形態の単結晶材料刃(シリコン刃)の作成プロセスを示す図である。
【0019】
まず、図1(A)に示すように、板面が(111)面以外の結晶面であるように切り出された単結晶シリコン板11の表裏面(上下面)に酸化膜(SiO2)12を形成する。本発明で使用される単結晶シリコン板は、刃として使用されることから、LSIを作成するときに使用するような純度の高いものである必要はない。したがって、単結晶シリコン板11として低コストのものを用いることができる。ここで、単結晶シリコン板11の厚みTは、保持部4(図4参照)の構造に依存するが、たとえば数十〜数百μmとされる。
【0020】
つぎに、図1(B)に示すように、単結晶シリコン板11の一方の面(上面A01)の酸化膜12を部分的にフォトリソグラフィにより除去して、酸化膜12のストライプ状パターンを形成する。ここで、ストライプの方向は、概ね(111)面と平行とする。つづいて、該ストライプ状パターンをマスクとして、単結晶シリコン板11をたとえば水酸化カリウム(KOH)を用いて異方性エッチングを行なう。この異方性エッチングは、単結晶シリコン板11を貫通するに足るだけ行う。
【0021】
この異方性エッチングにより、二つの(111)面、すなわち、面A03及びA04が露出する(以下、面A03,A04を斜面と称する)。斜面A03は緩やかな傾斜を持ち、斜面A04は急な傾斜を持つ。斜面A03と上面A01の成す角度θは、単結晶シリコン板11の切出し角度により調整することができる。
【0022】
この後、図1(D)に示すように酸化膜12を除去し、これを本発明の単結晶材料刃(シリコン刃)の中間製品とし、カットすることでシリコン刃を製造することもできるが、図1では、この刃をカミソリ等の製品に適応させるために、図1(E),(E′)に示す工程を追加することができる。
【0023】
すなわち、図1(E)に示すように、上下面A01,A02および斜面A03,A04に硬質膜13を形成する。なお、図1(E′)に示すように、下面A02のみに硬質膜13を形成することもできる。硬質膜13は、たとえば窒化シリコン(SiN)、窒化チタン(TiN)のスパッタリングにより形成することができる。
【0024】
以上のようにして、図1(F)に示すようなシリコン刃を中間製品141とし、これをカットすることでシリコン刃が製造される。
【0025】
図2(A)〜(G)は本発明の第2実施形態の単結晶材料刃(シリコン刃)の作成プロセスを示す図である。本実施形態において、図2(C)に示す形状を形成するまでの工程は第1実施形態と同じである。
【0026】
つぎに、図2(D)に示すように、下面A02に刃先と刃元(刃先と反対側の部分)との間を残して酸化膜を除去し、もう一度KOH等を用いて異方性エッチングを行うことで、図2(E)に示すような形状が形成される。そして、上下面A01,A02の酸化膜を除去した後、全ての面に硬質膜23を形成すると、図2(F)に示すような形状の刃が形成される。このような形状の刃は、ある一定の範囲内で、摩耗による刃の劣化が抑えられる。なお、図示はしないが、硬質膜を特定の方向から異方性成膜技術により形成することにより、選択された面にのみ硬質膜が形成された刃を製作することも可能である。以上のようにして、図2(G)に示す刃の中間製品142が作成され、この中間製品をカットすることでシリコン刃が製造される。
【0027】
図3(A)〜(G)は本発明の第3実施形態の波型の単結晶材料刃(シリコン刃)の作成プロセスを示す図である。本実施形態でも、第1、第2実施形態と同様、板面が(111)面以外の結晶面になるように切り出された単結晶シリコン板31の少なくとも裏面(下面)A02に酸化膜33を形成する。つぎに、フォトリソグラフィにより、A03面となる面の法線方向の、単結晶シリコン板31表面と平行な成分が指示する方向に、ストライプ状の酸化膜33のパターンを形成する。
【0028】
この後、図3(C)に示すように等方性エッチングを行うことでストライプ間に溝34を形成し、エッチングを進めることで酸化膜33は除去され図3(D)に示すような単結晶シリコン板31が作成される。
【0029】
この後、図1(A)〜(E)の処理または(A)〜(E′)の処理を行い、図3(E)の断面図,図3(F)の表面図(図3(E)はQ−Q線の断面図である),図3(G)の裏面図に示す刃の中間製品143が作成され、この中間製品をカットすることでシリコン刃が製造される。
【0030】
図4は、本発明の刃物の第1実施形態を示す図である。図4では、第1実施形態において製造したシリコン刃41がホルダ42に取り付けられて刃物4が構成されている。シリコン刃41のホルダ42への取付けは、接着剤により行なうことができる。
【0031】
図5(A)〜(D)は、本発明の刃物の第2実施形態を示す図であり、(A)は背面図、(B)は正面図、(C)は側面図、(D)はシリコン刃チップ(刃素片の集合体)51の表面図(A01側)である。図5(B)では、シリコン刃チップ51の裏面側(A02側、即ち、刃が形成されている側)が見えている。
【0032】
本実施形態では、刃物5は、シリコン刃チップ51と、柄付きホルダ52とからなる。シリコン刃チップ51は、図5(D)では横長の長方形として描かれているが、そのような形状に限られるものではない。シリコン刃チップ51に具備されている刃素片は、柄の軸方向と垂直となるように形成される。本実施形態は、ヒゲ剃り等に好適に用いられる。
【0033】
図6(A),(B)は、シリコン刃チップ51の部分拡大図であり、(A)は裏面A02側を、(B)は表面A01側を示している。シリコン刃チップ51には、概ね2mm×1mmの穴511が形成されている。刃512は、穴511の上側の長辺に形成されている。図6(C)に毛9が刃512に切り取られるときの様子を示す。なお、穴511の寸法は概ね2mm×1mmに限定されるものではないし、横長の長方形に限定されるものでもない。
【0034】
第2の実施形態では、刃物5のシリコン刃チップ51のA02側の面が皮膚側に位置するようにホルダ52に取り付けたが、シリコン刃チップ51のA01側の面が皮膚側に位置するようにホルダ52に取り付けるようにしてもよい。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、作成が簡単でかつ鋭利な刃先を備えた単結晶材料刃や刃物を提供できる。また、新規で安全な刃の配置を持つ単結晶材料刃や刃物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(F)は本発明の第1実施形態のシリコン刃の作成プロセスを示す図である。
【図2】(A)〜(G)は本発明の第2実施形態のシリコン刃の作成プロセスを示す図である。
【図3】(A)〜(G)は本発明の第3実施形態のシリコン刃の作成プロセスを示す図である。
【図4】本発明の刃物の第1実施形態を示す図である。
【図5】本発明の刃物の第2実施形態を示す図であり、(A)は背面図、(B)は正面図、(C)は側面図、(D)はシリコン刃チップの表面図である。
【図6】(A),(B)は第2実施形態のシリコン刃チップの部分図、(C)は本発明の刃物の第2実施形態において毛が刃に切り取られるときの様子を示す図である。
【符号の説明】
11,21,31 単結晶シリコン板
12,22,33 シリコン酸化膜
13,23 硬質膜
41 シリコン刃
51 シリコン刃チップ
42,52 ホルダ
141,142,143 中間製品
Claims (9)
- 少なくとも、単結晶材料の一部の縁部分の所定表面側が該表面に対して傾斜を持つようにエッチングされ、当該縁部分は断面楔形に形成され、前記縁部分の前記傾斜を持つ側の面が、特定の結晶面を持つことを特徴とする単結晶材料刃。
- 少なくとも、前記断面楔形に形成された縁部分の先端の、
前記傾斜を持つ側の面、
前記傾斜を持つ側の面とは反対側の面、または、
前記傾斜を持つ側の面および当該面とは反対側の面、
が硬質膜により被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の単結晶材料刃。 - 前記単結晶材料の縁は、当該単結晶材料に形成された穴または切り欠きの内側の縁を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の単結晶材料刃。
- 前記単結晶材料がシリコンであり、前記特定の結晶面が(111)面であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の単結晶材料刃。
- 請求項1から4の何れかに記載の単結晶材料刃を備えたことを特徴とする刃物。
- 特定の結晶面以外の面を表面に持つ単結晶材料の、少なくとも一部の縁部分の前記表面側を前記特定の結晶面を持つようにエッチングし、当該縁部分を断面楔形に形成する工程を有することを特徴とする単結晶材料刃の形成方法。
- 少なくとも、前記断面楔形に形成された縁部分の先端の、
前記傾斜を持つ側の面、
前記傾斜を持つ側の面とは反対側の面、または、
前記傾斜を持つ側の面および当該面とは反対側の面、
を硬質膜により被覆する工程、
を有することを特徴とする請求項6に記載の単結晶材料刃の形成方法。 - 前記単結晶材料の縁は、当該単結晶材料に形成された穴または切り欠きの内縁を含むことを特徴とする請求項6または7に記載の単結晶材料刃の形成方法。
- 前記単結晶材料がシリコンであり、前記特定の結晶面が(111)面であることを特徴とする請求項6から8の何れかに記載の単結晶材料刃の形成方法。
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