JP2004141296A - 医療用チューブ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】両端部が開口しており、該両端部の間を延在する長尺の中空管状体であり、前記中空管状体は、フィラーを含有する樹脂層を有しており、前記樹脂層において、前記フィラーは、前記中空管状体の周方向に配向している医療用チューブ。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シース、カテーテル等に使用可能な耐キンク性に優れた医療用チューブに関する。特に、シースが該医療用チューブからなり、生体管腔に挿入し診断治療行為に使用される耐キンク性に優れたイントロデューサシースに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年医療において、カテーテルと呼ばれる細長い長尺の中空管状の治療器具を用いて種々の形態の治療が行われている。このような治療方法としては、カテーテルの長尺性を利用して直接患部に薬を投与する方法、加圧によって拡径するバルーンを先端部に取り付けたカテーテルを用いて血管内の狭窄部を押し広げて開く方法、先端部にカッターが取り付けられたカテーテルを用いて患部を削り取って開く方法、逆にカテーテルを用いて動脈瘤や出血個所あるいは栄養血管に詰め物して閉じる方法などがある。あるいはまた、血管内の狭窄部を開口した状態に維持するために、側面が網目状になっている管形状をしたステントをカテーテルを用いて血管内に埋め込み留置する治療方法がある。
【0003】
カテーテルを生体管腔に挿入する一手段として、イントロデューサシースを用いたセルジンガー法という血管確保の方法がある。この方法では、留置針のごとき穿刺針を経皮的に生体管腔に差込み、穿刺針の内管に後端からガイドワイヤを挿入する。次に、穿刺針を抜き去り、ガイドワイヤに沿って、イントロデューサシースの細長い中空管状体であるシースを挿入する。これにより経皮挿入口を広げてから、ガイドワイヤを抜き去り。その後カテーテルをシースを通して挿入する。この方法に用いられるイントロデューサシースのシースには、経皮的に生体管腔に挿入する際に、キンクしないこと、生体管腔の曲がりに併せて挿入できること、永久伸びおよび吸湿性が小さいことなどが要求される。従来のイントロデューサシースは、シースがナイロン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリウレタン等の材料で形成されているものが知られている。しかし、従来のイントロデューサシースは、シースがキンクを起こしやすく、挿入性が十分でなく、永久伸びおよび吸湿性も十分に小さいものでなかった。また、シースの先端の開口部が挿入時に押し広げられ挿入抵抗が大きくなるという問題があった。
【0004】
そこで耐キンク性を向上させるべく、シースの基端側端部付近にコイル体を配設したもの(特許文献1参照)、中空管状体であるシースの層内に細線を螺旋巻きした補強体を埋設したもの(特許文献2参照)、コイル体を埋設したもの(特許文献3および特許文献4参照)、補強体をシースに埋設するのではなく、プラスチック製の管状体であるシースの内側に平形ワイヤによる金属コイルを設置したもの(特許文献5参照)等、金属製のコイルや編組を補強体として使用したものが開示されている。しかし、これらはいずれも製造工程が複雑であり、製造コストが高くなる欠点があった。また、金属編組やコイルの埋設は、一見耐キンク性を向上させるように思われるが、補強体によりチューブ自体の剛性を増しているだけで、実際には耐キンク性が向上しているわけではなく、曲げ量がある限界点を超えると、小さな曲率に追随できずかえってキンクを生じやすいことが知られている。
【0005】
一方、その点に鑑み、共押出しによりシース本体を多層チューブとすることで、耐キンク性を高める試みもされている。その例として、二層チューブからなるシースが開示されている(特許文献6参照)。このシースは、内層に硬質の樹脂を用い、外層に軟質の樹脂を用いているので耐キンク性に優れるとされている。このシースでは、先端部分で硬質の樹脂からなる内層を露出させることで挿通性が改善されているが、それは言い換えれば、先端部分が、軟質の樹脂で被覆されておらず、硬質の樹脂が露出しているため、先端部分の耐キンク性が劣ることが懸念される。
【0006】
【特許文献1】
特開昭61−71065号公報
【特許文献2】
特開平7−178181号公報
【特許文献3】
特開平5−192411号公報
【特許文献4】
特開平7−303703号公報
【特許文献5】
特開平6−142212号公報
【特許文献6】
特開平8−182765号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、押し込み性、トルク伝達性、追随性、耐キンク性等の操作性に優れ、シースやカテーテルとして使用可能な薄肉の医療用チューブおよびシースが該医療用チューブからなるイントロデューサシースを提供することである。具体的には外径を拡大することなく、かつ肉厚を増大させることなしに耐キンク性が向上された医療用チューブおよびシースが該医療用チューブからなるイントロデューサシースを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、以下の本発明により達成される。
(1)両端部が開口しており、該両端部の間を延在する長尺の中空管状体であり、
前記中空管状体は、フィラーを含有する樹脂層を有しており、
前記樹脂層において、前記フィラーは、前記中空管状体の周方向に配向している医療用チューブ。
【0009】
(2)前記樹脂層が含有するフィラーのうち、少なくとも30%がほぼ同一方向に配向している(1)の医療用チューブ。
【0010】
(3)前記中空管状体が少なくとも2層の樹脂層からなる中空管状体であり、前記フィラーを含有する樹脂層の内側または外側の少なくとも一方には、フィラーを含有しない樹脂層が設けられていることを特徴とする(1)または(2)の医療用チューブ。
【0011】
(4)前記フィラーを含有する樹脂層は、樹脂と、接着性樹脂と、フィラーと、を含むことを特徴とする(3)の医療用チューブ。
【0012】
(5)前記フィラーは、針状単結晶(ウィスカー)であることを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかの医療用チューブ。
【0013】
(6)先端部と基端部とを有する長尺の中空管状体であるシースと、
中空構造を有しており、前記中空構造と前記シースの内腔部とが連通するように前記シースの基端部と接続するハブと、を有し、
前記シースは、フィラーを含有する樹脂層を有し、
前記樹脂層において、前記フィラーは、前記中空管状体の周方向に配向しているイントロデューサシース。
【0014】
(7)前記シースは、径一定のストレート部と、該ストレート部の先端側に設けられた前記シースの先端部に向かって縮径しているテーパ部と、を有する(6)のイントロデューサシース。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の医療用チューブおよびイントロデューサシースを添付図面に基づいて説明する。但し、図面は本発明を説明するため医療用チューブおよびイントロデューサシースの一実施形態を示しており、本発明の医療用チューブおよびイントロデューサシースは、図示した形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の医療用チューブの基本構成を示す斜視図である。図1に示すように、本発明の医療用チューブ1は、両端部が開口しており、その間を延在する長尺の中空管状体である。この医療用チューブ1は、フィラーを含有する樹脂層2を有する。図1に示す医療用チューブ1は、フィラー3を含有する樹脂層2のみで形成された単層の中空管状体である。
【0016】
フィラー3は、樹脂層2中で中空管状体の周方向に配向している。本願において、中空管状体の周方向に配向するといった場合、中空管状体の軸6方向に対してある角度、具体的には0度超90度以下の角度をなすように配向していることを意味する。図では、理解を容易にするために、フィラー3の配向状態を幅広のテープ状の線で示しているが、実際は後に走査電子顕微鏡(SEM)写真で示すように、全体に渡って均質に配向しており、SEMで観察した際に、該配向方向を示す細線が認められる。
図1に示す医療用チューブ1では、フィラー3は、中空管状体であるチューブの軸6方向をX軸、周方向をY軸とした場合、X軸に対して角度αをなすように配向している。図2は、樹脂層2中におけるフィラー3の配向状態を説明するための図であり、中空管状体であるチューブの側面の一部分を切断して平面状に表した部分切断図である。図2Aは、フィラー3がチューブの軸方向に対して角度α(0度<α<90度)をなすように、すなわちチューブの軸に対して斜め方向に配向した状態を示している。図2Bは、角度がフィラー3がチューブの軸に対して角度90度をなすよう配向した状態を示しており、この場合、フィラー3の配向方向は、チューブの周方向と一致している。
【0017】
本発明の医療用チューブ1は、樹脂層2に含有されるフィラー3が管状体の周方向、すなわち軸6方向に対して0度超90度以下の角度をなすように配向しているため、横方向の曲げ、すなわちチューブの軸方向に対して垂直方向の曲げに対する耐キンク性が向上している。
【0018】
本発明の医療用チューブ1において、中空管状体の軸6方向に対するフィラー3の配向角度は、好ましくは15度以上90度以下であり、より好ましくは45度以上90度以下である。フィラー3の配向角度が上記の範囲であれば、局所的な曲げに対して可逆的変形が可能となるため耐キンク性に優れている。
【0019】
また、全てのフィラー3が一様に同一方向に配向していることは必ずしも必要ではなく、樹脂層2中には互いに異なる方向に配向しているフィラー3が存在してもよい。この場合、樹脂層2に含まれるフィラー3のうち、少なくとも30%が互いに同一方向に配向していることが好ましい。より好ましくは、少なくとも40%のフィラー3が互いに同一方向に配向している。さらに好ましくは少なくとも50%のフィラー3が互いに同一方向に配向している。
【0020】
図1では、フィラー3を含有する樹脂層2のみで構成される単層の中空管状体として本発明の医療用チューブ1を示したが、本発明の医療用チューブは図示した形態に限定されない。本発明の医療用チューブは、複数の樹脂層を積層して構成される多層、例えば、2層、3層の中空管状体であってもよい。このような多層の医療用チューブは、全ての樹脂層にフィラーを含んでもよいが、フィラー3を含有する樹脂層2の外側または内側の少なくとも一方に、フィラーを含有しない樹脂層が設けられた構成であることが好ましい。このような多層の医療用チューブは、フィラーを含有しない樹脂層がフィラーを含有する樹脂層の外側および内側の両方に設けられた3層構造の中空管状体であることがさらに好ましい。
【0021】
図3は、このような3層構造をした本発明の医療用チューブをその軸に対して垂直方向に切断した断面図である。図3に示す医療用チューブ1は、フィラーを含有する樹脂層2の外側および内側にフィラーを含有しない樹脂層(内層4、外層5)が設けられた3層構造をなっている。このような3層構造の医療用チューブ1は、フィラーを含有する樹脂層2が、その内側および外側にあるフィラーを含有しない樹脂層4、5によって被覆されているため、フィラーがチューブ内面および外面に露出することがなく安全である。
【0022】
本発明の医療用チューブ1において、フィラーを含有する樹脂層2および該樹脂層の外側または内側にあるフィラーを含有しない樹脂層4、5を構成する樹脂には、一般的なプラスチックである熱可塑性樹脂や、ゴムなどの熱硬化性樹脂または熱架橋性樹脂を用いることができる。具体的に例示すると、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステルやそれらをハードセグメントとしたポリエステルエラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンおよびポリオレフィンエラストマー、メタロセン触媒を用いた共重合体ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのビニル系ポリマー、ナイロンを含むポリアミドおよびポリアミドエラストマー(PAE)、ポリイミド、ポリスチレン、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)樹脂、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン(POM)、ポリビニルアルコール(PVA)、フッ素樹脂(ETFE、PFA、PTFE)、エチレン−酢酸ビニルケン化物、エチレン・ビニルアルコール・コポリマー、エチレンビニルアセテート、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、セルロースアセテートといったセルロース系プラスチック、ビニルポリスルホン、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)などの各種熱可塑性樹脂や高分子誘導体のほか、加硫ゴム、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、二液反応性ポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂または熱架橋性樹脂が挙げられる。上記の熱可塑性樹脂及び熱硬化・架橋性樹脂のうちいずれかを含むポリマーアロイも利用可能である。これらの中でも、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマーが、形状復元性に優れているため耐キンク性が良好であり好ましい。
【0023】
医療用チューブが、図3に示すような多層構造の中空管状体である場合、フィラーを含有する樹脂層2は、その外側または内側にあるフィラーを含有しない樹脂層4、5を構成する樹脂と同種の樹脂よりなることが好ましい。フィラーを含有する樹脂層2を構成する樹脂が、その外側または内側にあるフィラーを含有しない樹脂層4、5を構成する樹脂と同種の樹脂であれば、層間の接着性に優れている。
【0024】
同じく層間の接着性を向上させるために、フィラーを含有する樹脂層2は、フィラーを含有しない樹脂層4、5を構成する樹脂と同種の樹脂に加えて、接着性樹脂を含むことが好ましい。ここで接着性樹脂は、フィラーを含有しない樹脂層4、5を構成する樹脂に対して接着性を有する樹脂を広く含む。したがって、フィラーを含有しない樹脂層4、5を構成する樹脂の種類によって適宜選択されるものであり、例えば後述する実施例の場合、フィラーを含有しない内層および外層にポリエステルエラストマー樹脂を使用しており、フィラーを含有する中間層は、ポリエステルエラストマー樹脂とともに、ポリエステルエラストマー樹脂に対して接着性を有するエチル−アクリル酸エチル共重合体(EEA)樹脂を接着性樹脂として含む。
【0025】
なお、接着性樹脂は、本発明の医療用チューブを後で示す押出成形用ダイを用いて共押出により製造する場合に、フィラーを含有する中間層と、フィラーを含有しない内層または外層との溶融粘度調整剤としても使用することができる。
【0026】
フィラーを含有する樹脂層2が、接着性樹脂を含む場合、接着性樹脂は、樹脂層2を構成する材料(樹脂、接着性樹脂、フィラー)の合計質量に対して5質量%〜50質量%含有されることが好ましく、より好ましくは10質量%〜30質量%である。フィラーを含有する樹脂層2における接着性樹脂の割合が上記範囲であると、製造される医療用チューブの機械的強度に優れており、かつ外側または内側にあるフィラーを含有しない樹脂層4、5との接着性に優れている。
【0027】
樹脂層2中に含有されるフィラーは、樹脂中に副資材として添加されるフィラーを広く含み、例えば、チタン酸カリウム、ウォラストナイト、ゾノライト、石膏繊維、アラミド繊維、アルミニウムボレート、炭素繊維、ガラス繊維、タルク、マイカ、ガラスフレーク、ポリオキシベンゾイルの針状単結晶(ウィスカー)等が挙げられる。またフィラーの形状としては繊維状、針状、板状、粒状等が挙げられ、市販品として、例えば、チョップドファイバや針状単結晶(ウィスカー)等がある。これらの中でも、入手のしやすさや取り扱いの容易さからチタン酸カリウムのウィスカーが特に好ましい。
【0028】
樹脂層2中のフィラーの含量は、樹脂層2を構成する材料(樹脂、接着性樹脂、フィラー)の合計質量100質量部に対して、10質量部〜70質量部であることが好ましい。さらに、図1に示すようなフィラー3を含有する樹脂層2のみからなる単層の医療用チューブについては、フィラー3の含量は、樹脂層2を構成する材料の合計質量100質量部に対して、10質量部〜50質量部であることが好ましく、15質量部〜30質量部であることがさらに好ましい。一方、図3に示すよう多層構造の医療用チューブについては、フィラーの含量は、樹脂層2を構成する材料の合計質量100質量部に対して、15質量部〜70質量部であることが好ましく、20質量部〜60質量部であることがさらに好ましい。樹脂層におけるフィラーの含量が上記の範囲であると、医療用チューブが押し込み性、トルク伝達性、追随性、耐キンク性等の操作性に優れており、かつ、医療用チューブの製造コスト面でも優れている。
【0029】
図4は、本発明の医療用チューブをシースとして使用したイントロデューサシースの一例を示す斜視図である。本発明の医療用チューブは、耐キンク性に優れるため、イントロデューサシースのシースとして好ましく使用することができる。図4において、本発明のイントロデューサシース7は、先端部9と基端部10とを有する長尺の中空管状体であるシース8と、中空構造を有しており、該中空構造とシース8の内腔部とが連通するように、該シース8の基端部10と接続するハブ13と、を有している。シース8は、フィラーを含有する樹脂層を有しており、該樹脂層においてフィラーは、シース8の軸方向に対して0度超90度以下の角度をなすように配向している。このようなシース8は、好ましくは本発明の医療用チューブからなる。
【0030】
シース8は、径一定のストレート部11と、該ストレート部11の先端側に設けられた該シースの先端部9に向かって縮径しているテーパ部12と、を有している。テーパ部12が、シース8の先端部に向かって先細りになるように縮径していることにより、シース8を生体管腔に導入する際の操作が容易になっている。
【0031】
図4において、中空構造を有するハブ13の先端部14を、シース8の基端部10の開口に挿入することで、ハブ13の中空構造とシース8の内腔が連通した状態で、ハブ13の先端部14とシース8の基端部10とが接続されている。ただし、ハブ13の先端部14とシース8の基端部10との接続構造はこれに限定されるものではなく、例えば、ハブ13の先端部14の開口に、シース8の基端部10を挿入することで、ハブ13の中空構造とシース8の内腔が連通した状態で、ハブ13の先端部14とシース8の基端部10とを接続してもよい。
ハブ13は、広く合成樹脂により形成することができ、このような合成樹脂としては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂等で形成することが生体適合性、機械的強度、成形性、製造コストの点から好ましい。
【0032】
本発明のイントロデューサシース7は、シース8の基端部10とハブ13の先端部14との接続に関わる構造としてさらに他の要素を含んでもよい。図4において、ハブ13の先端部14とシース8の基端部10との接続部には、ハブ13の先端部として、またはハブ13とは別部材として、シース8の基端部10とハブ13の先端部14の接続部を被覆することでシース8のキンクを防止する支持体17が設けられている。シース支持体17として用いられる材質は、シース8本体のキンク防止の観点からスチレン系、オレフィン系、ポリエステル系等の可撓性を有する熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0033】
また、図4に示すイントロデューサシース7では、ハブ13の基端部15に血液や液体の漏出を防止するための弁体18が設けられている。このような弁体18を構成する材料は、特に限定されないが、シリコン、ラテックス、ブチルゴム、イソプレンゴム等により形成されることが好ましい。この弁体18の構造として最も一般的なのは、一方の面と他方の面とで十字スリット状でかつ内部でのみ交差している弁体であるが、血液や液体の漏出を防止できる限りその構造は特に限定されず、例えばY字スリットを多段重ねたものや、十字や一字スリットダックビル弁、その他公知の弁体であってもよい。
【0034】
ハブ13の側面には、ハブ13の中空構造と外部とを連通する分岐部16が形成されており、該分岐部16には、中空管状体である分岐管19の一方の端部が接続されている。分岐管19の分岐部16と接続していない側の端部には三方活栓20が取り付けられている。
【0035】
但し、本発明のイントロデューサシース7は、シース8と、ハブ13を最低限有していればよく、図4に示される他の構成要素は必ずしも必須ではなく、また、同様の機能を持つ他の形状または構造の要素に置換されてもよい。
【0036】
シース8は、上記した本発明の医療用チューブの構成に加えて、イントロデューサシースの用途にとって有用な他の要素を含んでもよい。このような他の要素として、具体的には例えば、シース8は血管導入位置の確認のために酸化ビスマス、タングステン、硫酸バリウム等のX線造影性材料を含むことが好ましい。このようなX線造影性材料は、シース8の構成中、フィラーを含有する樹脂層2に含有されていても良く、該樹脂層の外側または内側に設けられたフィラーを含有しない樹脂層4、5に含有されていても良い。
【0037】
また、シース8の内面または外面を、抗血栓性樹脂薄膜で被覆してもよい。これにより、より生体適合性に優れたイントロデューサシースとすることができる。シース8の内面または外面に被覆される抗血栓性樹脂としては、従来公知の各種樹脂を単独または混合して使用することができるが、例えば、ポリ−2−メトキシエチルアクリレート(PMEA)、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートとスチレンの共重合体(例えば、HEMA−St−HEMAブロック共重合体)などが好適に使用できる。
【0038】
また、シース8の内面または外面を、湿潤時に潤滑性を発揮する樹脂薄膜で被覆してもよい。これにより、より生体内への挿通性に優れたイントロデューサシースとすることができる。シース8の内面または外面に被覆する潤滑性樹脂としては、従来公知の各種樹脂を単独または混合して使用することができ、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリジメチルメタアクリレート(PDMAA)、多糖類(例えばヒアルロン酸)、ポリ(メチルビニルエーテル・無水マレイン酸)共重合体などが好適に使用できる。
【0039】
シース8の外径は、特に限定されないが、通常、0.8mm〜11mm程度が好ましく、1.0〜5.0mm程度がより好ましい。また、シースの内径は、特に限定されないが、0.7〜10mm程度が好ましく、0.9mm〜4.7mm程度が好ましい。また、シースの肉厚は、特に限定されないが、通常0.1〜0.3mm程度が好ましく、0.1〜0.25mm程度がより好ましい。
イントロデューサシース7の長さは、特に限定されないが10〜300mm程度が好ましく、50〜150mm程度がより好ましい。
【0040】
本発明の医療用チューブは、その軸方向に対して0度超90度以下の角度で配向するフィラーを含有する樹脂層を有する中空管状体として医療用チューブが製造できる限りいずれの方法で製造してもよい。例えば、その軸方向に対してある角度に配向するフィラーを含んだ樹脂製のシートを製造し、該シートをそのまま、またはフィラーを含有しない樹脂製のシートと積層させた後、管形状に丸めて、突き合わされた端部同士を接合させることで医療用チューブを製造してもよく、または樹脂製の管状体の表面にフィラーがその長手方向に配向されて含有されたリボン状(細紐状)の樹脂を螺旋状に巻回することでその軸方向に対してある角度に配向するフィラーを含んだ樹脂層を設けてもよい。
【0041】
また、フィラーを含有する樹脂材料を、マンドレルもしくはダイのいずれか一方、またはその両方が回転する押出成形機を用いて押出し成形することで、その軸方向に対してある角度に配向するフィラーを含んだ樹脂層のみからなる単層の医療用チューブを製造してもよい。一方、図3に示す3層構造の医療用チューブに代表される多層構造の医療用チューブは、図5に示す押出成形用ダイと複数の押出機を用いて複数の樹脂材料を共押出しすることで製造できる。以下、図3に示す3層構造の医療用チューブを、図5の押出成形用ダイを用いて製造する手順をより具体的に説明する。なお、以下の説明において、図面の左側、すなわちマンドレルがダイ本体から露出している側を押出方向上流側、図面の右側、すなわちマンドレルがダイ本体を貫通している側を押出方向下流側とする。
【0042】
図5の押出成形用ダイ26は、ダイ本体27と、該ダイ本体27内に貫通して配置されたマンドレル28と、ダイ本体27の押出方向下流側先端に該マンドレル28と同心に配置されたダイス29を構成要素として含む。押出成形用ダイ26は、通常マンドレル28もしくはダイス29のいずれか一方、またはその両方が押出方向を軸として回転可能に構成されているが、図5の押出成形用ダイ26では、マンドレル28のみが回転可能になっている。
【0043】
ダイ本体27内部には、ダイ本体27表面に形成された樹脂入口30a〜30cから延びる複数の管状の分岐路31a〜31fが形成されている。該複数の分岐路31a〜31fは、相互の位置関係が押出方向を軸とした同心円となるように管状に配置されている。複数の分岐路31a〜31fは、その後ダイ本体27内部に形成された合流部35で合流し、単一の押出流路となる。図5では、複数の部材を組み合わせることで、一体のダイ本体27を形成している。
【0044】
マンドレル28は、内部に軸方向に延びる中空部32を有する中空管構造であり、合流部35付近が、該端部方向に縮径するテーパ部33になっている。マンドレル28の押出方向上流側には、芯材(空気)供給パイプ34が接続されており、該芯材供給パイプ34は、マンドレル28の中空部32と連通している。芯材供給パイプ34から一定圧で供給された空気は、マンドレル28の中空部32を通過して、マンドレル28の先端部から放出される。
【0045】
ダイス29は、軸方向に延びる円筒状の空洞部を有している。該空洞部を定義するダイス29の内周面の径は、マンドレル28のテーパ部33を含んだ先端部付近の外径よりも大径である。該ダイス29の内周面は、押出方向上流側から下流側に向かって軸方向に沿って縮径するダイステーパ部36を有している。このダイステーパ部36は、マンドレル28のテーパ部33に対応している。
【0046】
図3に示す3層構造の医療用チューブを製造するには、まず最初に、押出成形用ダイ26の樹脂入口30a〜30cに、押出機からの樹脂材料を供給する。ここで各樹脂層を構成する樹脂材料を別々の押出機から供給してもよい。ただし、内層4および外層5が同一の樹脂で構成される場合、押出機を二台使用して、一つの押出機から内層4および外層5の材料を供給し、中間層2の材料を別の押出機から供給してもよい。
【0047】
押出機に投入された樹脂材料は、押出機で圧縮されて、各樹脂入口30a〜30cへと圧入される。圧入された樹脂材料は、樹脂入口30a〜30cと接続している分岐路31a〜31fにより管形状に展開される。分岐路31a〜31fから合流部35に到達した樹脂材料は、多層構造の中空管状体となる。その後、マンドレル28のテーパ部33とダイス29内周面のダイステーパ部36との隙間で、最終目標である医療用チューブの形状37に近い寸法及び形状にまで賦形される。ここで、芯材供給パイプ34から供給される空気は、管状体の芯材となるため、中心部が空洞である中空管状体が連続的に押出成形される。
【0048】
このとき、マンドレル28のテーパ部33と接触している中空管状体の内層4は、回転するマンドレル28との摩擦により回転させられる。ここで、フィラーを含有する中間層2を構成する樹脂の溶融粘度を、内層4および外層5を構成する樹脂の溶融粘度との関係で低く(JIS−K7210に基づくメルトフローレート(MFR)値を高く)設定しておけば、マンドレル28から受ける回転の摩擦によるせん断力が中間層2にかかる。一方、樹脂の溶融粘度が相対的に高い(すなわち、MFR値が低い)内層4および外層5にはこのせん断力はほとんど影響しない。この結果、中間層2は、マンドレル28の回転方向、すなわち中空管状体の周方向に配向され、中間層2に含まれるフィラーは管状体の周方向に配向する。ここで樹脂の押出速度、マンドレル28の回転速度等の成形条件、および樹脂の粘度等、使用する材料の選択の組み合わせにより、中間層2に含まれるフィラーを管状体の軸方向に対して所望の角度に配向させることができる。
【0049】
【実施例】
実施例により本発明を更に詳しく説明する。
実施例1
図5に示す押出成形用ダイを用いて、図3に示す3層構造をした中空管状体を製造した。内層4および外層5を構成する樹脂には、ポリエステルエラストマー樹脂(東洋紡社製、グレードP−280B(以下、「P280」と略記する。このものはナチュラル樹脂でありフィラーを含まない。)を用いた。一方、中間層2には、P280と、接着性樹脂としてEEA(日本ユニカー社製、PES−250)と、フィラーとしてチタン酸カリウムをそれぞれ50質量部:25質量部:25質量部含んだ樹脂コンパウンド(株式会社メイト社製、特別注文品(以下、「TRM−PW−02」と略記する。)を用いた。樹脂材料のMFR値をJIS−K7210に従って測定したところ、内層4および外層5を構成する樹脂P280のMFR値は、測定温度230℃で17g/10分であり、中間層2を構成する樹脂コンパウンドTRM−PW−02のMFR値は、測定温度230℃で153g/10分であった。
【0050】
図5に示す押出成形用ダイと3台の15mm押出機を用いて、樹脂温度が230℃になるように押出機及びダイの温度を設定し、マンドレルの回転速度200rpmで、引き取り速度を毎分7mとして、共押出することで図3に示す3層構造の医療用チューブを製造した。得られた医療用チューブの各層の寸法は以下の通りであった。
全体形状:外径×内径:2.59mm×2.11mm
外層:2.59mm×2.43mm(外径×内径)
中間層:2.43mm×2.27mm(外径×内径)
内層:2.27mm×2.11mm(外径×内径)
【0051】
実施例2〜4、比較例1
次に上記と同じ手順で、マンドレルの回転速度(50rpm、100rpm、150rpm)を変えて実施例2〜4の3層構造の医療用チューブを製造した。また、マンドレルを回転させなかったこと以外は上記と同じ手順で比較例1の3層構造の医療用チューブを製造した。表1に、実施例1〜4および比較例1の医療用チューブの外径および内径を示した。なお、表中の外径および内径は、医療用チューブ自体(各層ではない)の外径および内径である。
【0052】
樹脂層構成:P280/TRM−PW−02/P280
成形温度:230℃
チューブ引取り速度:7m/分
【0053】
表1から明らかなように、マンドレルの回転速度にかかわらず、製造された医療用チューブの内径および外径は、ほぼ一定であり、誤差(±0.1mm)範囲内であり、法線応力効果による医療用チューブのチューブ径の縮径はほとんど見られなかった。これは相対溶融粘度の低い(MFR値が高い)中間層が内層と外層の間で滑り現象を起こし法線応力効果を吸収し、縮径せずに配向したためと考えられる。
【0054】
医療用チューブの中間層の界面状態へのマンドレルの回転による影響を確認するため、実施例1(マンドレル回転速度200rpm)の医療用チューブと比較例1の医療用チューブ(マンドレル回転速度0rpm)の断面顕微鏡写真を撮影した。また、フィラーの配向へのマンドレルの回転の影響を確認するため、実施例1および比較例1の医療用チューブの断面を部分的に拡大したサンプルの走査電子顕微鏡(SEM)写真を撮影した。図6Aは、実施例1の医療用チューブの断面を部分的に拡大したサンプルのSEM写真(倍率1,000倍)であり、フィラーが周方向に配向していることが示されている。図6Bは、実施例1の医療用チューブの断面顕微鏡写真(倍率50倍)であり、医療用チューブの中間層に乱れがなく、界面状態がきれいになっていることを示している。図7Aは、比較例1の医療用チューブの断面を部分的に拡大したサンプルのSEM写真(倍率1,000倍)であり、フィラーが特定の方向に配向しておらず、ランダムになっていることが示されている。図7Bは、比較例1の医療用チューブの断面顕微鏡写真(倍率50倍)であり、医療用チューブの中間層の界面に乱れが生じていることが示されている。
【0055】
次に実施例で製造した3層構造の医療用チューブについて、三点曲げによる物性評価と、耐キンク性の評価を実施した。
三点曲げ試験
実施例1〜4の医療用チューブおよび比較例1の医療用チューブを二点間(13mm)で支持し、中間部分を加圧子により押込み、1mm押込時の荷重を測定した。なお、三点曲げ試験は、各医療用チューブについて、5個の試験用サンプルをして実施し、測定結果の平均値を出した。図8は、三点曲げ試験の測定結果(平均値)であり、製造時のマンドレルの回転速度(rpm)と三点曲げ荷重(gf)の関係を示している。図8から明らかなように、マンドレルの回転速度の増加に応じて、三点曲げ荷重の向上が見られ、医療用チューブの軸に対して垂直方向の強度が向上していることが確認できる。
【0056】
ループキンク試験
次に実施例1〜4の医療用チューブおよび比較例1の医療用チューブについて、ループキンク試験による耐キンク性評価を行った。φ2.7mmの穴を30mmの間隔で2つ開けたプレートに長さ300mmの上記により製造した医療用チューブを通して、ループを作り、両端を引き、キンクが生じる直前のループの高さ(キンク点)を求めた。図9は、ループキンク試験の結果であり、製造時のマンドレルの回転速度(rpm)とキンク点の関係を示している。図9から明らかなように、マンドレルの回転速度の増加に応じて、キンク点が低くなり、医療用チューブの耐キンク性が向上していることが確認された。
【0057】
イントロデューサシースの製造および評価
次に実施例1と同様の手順で、外径2.6mm、内径2.2mm、長さ100mmの3層構造のシースを製造した(実施例5)。各層(内層、中間層、外層)に使用した樹脂材料および製造時の条件は実施例1と同じである。
得られたシースの先端付近を加熱処理して、テーパ部(長さ2.8mm、最小外径2.2mm)を形成した。
テーパ部を形成したシースを、シース支持体、弁体および分岐管を備えたハブに装着して、図4に示すイントロデューサシースを得た。
【0058】
実施例で製造したシースをテーパを設けず、ハブに装着しないで、曲げキンク試験による耐キンク性評価を行った。シースの内径とほぼ等しい外径を有するカテーテル様の断面形状が円形をした金属製の棒をシースの内腔に挿入し、金属製の棒の先端よりも50mm先の部分を手で押し下げていき、シースにキンクが生じた際の曲げ部分の水平面に対する角度を測定した。
曲げキンク試験での物性評価は、比較例1と同様の手順、すなわちマンドレルを回転させずに製造したシース(比較例2)についても実施し、さらに中間層にフィラーを含有させなかった点以外は実施例5および比較例2と同様の手順で製造したシース(比較例3、比較例4)と、従来技術で製造されたシースとして、現在市販されているシース(商品名「ラジフォーカスイントロデューサIIH(テルモ社製、比較例5)についても実施した。従来品のシースは、単層構造、層を構成する樹脂はフッ素樹脂(ETFE)であり、内径2.12mm、外径2.62mmであった。
図10に、曲げキンク試験の結果を示した。図10から明らかなように、中間層にフィラーを25質量%含有させて、マンドレル回転速度200rpmで製造した実施例5の医療用チューブは、マンドレルを回転させずに製造した比較例2の医療用チューブや中間層にフィラーを含有させずに製造した比較例3および4の医療用チューブに比べて、1.24倍〜1.35倍の曲げ角度を有し、耐キンク性が向上していることが確認された。さらに、従来技術で製造した比較例5の医療用チューブと比べた場合、1.55倍の曲げ角度を有し、耐キンク性が向上していることが確認された。
【0059】
【発明の効果】
本発明の医療用チューブは、フィラーを含有する樹脂層を有し、該樹脂層において、フィラーがチューブの軸方向に対して0度超90度以下の角度に配向していることにより、チューブの押し込み性、トルク伝達性、追随性、耐キンク性等の操作性が向上している。本発明の医療用チューブは、フィラーを含有する樹脂層の外側または内側の少なくとも一方にフィラーを含有しない樹脂層を設けた積層構造とすれば、フィラーを含有する樹脂層がフィラーを含有しない樹脂層によって被覆されるため、フィラーがチューブ表面に露出することがなく安全である。そして、積層構造の医療用チューブは、フィラーを含有する樹脂層がその外側または内側に設けられたフィラーを含有しない樹脂層と同種の樹脂と、該樹脂に対して接着性を有する接着性樹脂とを含んで構成されることにより、層間の接着性が優れている。
また、シースが本発明の医療用チューブからなるイントロデューサーシースは、従来のイントロデューサシースに比べて耐キンク性能が格段に向上している。また、本発明の医療用チューブは、イントロデューサーシース以外にも薄肉で耐キンク性や耐圧性能が要求される他の医療用具、例えばPTCAカテーテル、マイクロカテーテルなどのカテーテルとしても好ましく使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の医療用チューブの基本構成を示す斜視図である。
【図2】図2Aは、本発明の医療用チューブの側面を部分的に切断し、平面状に表した部分切断図であり、樹脂層中でフィラーがチューブの軸に対して斜め方向に配向している状態を示している。図2Bは、図2Aと同じく本発明の医療用チューブの部分切断図であり、樹脂層中でフィラーがチューブの周方向に配向している状態を示している。
【図3】図3は、積層構造をした本発明の医療用チューブを軸方向に対して垂直方向に切断した断面図である。
【図4】本発明のイントロデューサシースの一例を示す斜視図である。
【図5】本発明の医療用チューブの製造に使用する押出成形用ダイの断面図である。
【図6】図6Aは、実施例1の医療用チューブ(マンドレル回転速度200rpm)の断面を部分的に拡大したサンプルのSEM写真(倍率1,000倍)であり、図6Bは、実施例1の医療用チューブの断面顕微鏡写真(倍率50倍)である。
【図7】図7Aは、比較例1の医療用チューブ(マンドレル回転速度0rpm)の断面を部分的に拡大したサンプルのSEM写真(倍率1,000倍)であり、図7Bは、比較例1の医療用チューブの断面顕微鏡写真(倍率50倍)である。
【図8】実施例1〜4および比較例1の医療用チューブの三点曲げ試験の結果を示すグラフであり、製造時のマンドレル回転速度と三点曲げ荷重の関係を示している。
【図9】実施例1〜4および比較例1の医療用チューブのループキンク試験の結果を示すグラフであり、製造時のマンドレル回転速度とキンク点の関係を示している。
【図10】実施例5および比較例2〜5のシースの曲げキンク試験の結果を示すグラフであり、キンク発生時のシースの曲げ角度を示している。
【符号の説明】
1:医療用チューブ
2:フィラーを含有する樹脂層(中間層)
3:フィラー
4:内層(フィラーを含有しない樹脂層)
5:外層(フィラーを含有しない樹脂層)
6:軸
7:イントロデューサシース
8:シース
9:先端部
10:基端部
11:ストレート部
12:テーパ部
13:ハブ
14:先端部
15:基端部
16:分岐部
17:支持部
18:弁体
19:分岐管
20:三方活栓
26:押出成形用ダイ
27:ダイ本体
28:マンドレル
29:ダイス
30a,30b,30c:樹脂入口
31a,31b,31c,31d,31e,31f:分岐路
32:中空部
33:テーパ部
34:芯材供給パイプ
35:合流部
36:ダイステーパ部
37:チューブの形状
Claims (7)
- 両端部が開口しており、該両端部の間を延在する長尺の中空管状体であり、
前記中空管状体は、フィラーを含有する樹脂層を有しており、
前記樹脂層において、前記フィラーは、前記中空管状体の周方向に配向している医療用チューブ。 - 前記樹脂層が含有するフィラーのうち、少なくとも30%が同一方向に配向している請求項1に記載の医療用チューブ。
- 前記中空管状体が少なくとも2層の樹脂層からなる中空管状体であり、前記フィラーを含有する樹脂層の内側または外側の少なくとも一方には、フィラーを含有しない樹脂層が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の医療用チューブ。
- 前記フィラーを含有する樹脂層は、樹脂と、接着性樹脂と、フィラーと、を含むことを特徴とする請求項3に記載の医療用チューブ。
- 前記フィラーは、針状単結晶(ウィスカー)であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の医療用チューブ。
- 先端部と基端部とを有する長尺の中空管状体であるシースと、
中空構造を有しており、前記中空構造と前記シースの内腔部とが連通するように前記シースの基端部と接続するハブと、を有し、
前記シースは、フィラーを含有する樹脂層を有し、
前記樹脂層において、前記フィラーは、前記中空管状体の周方向に配向しているイントロデューサシース。 - 前記シースは、径一定のストレート部と、該ストレート部の先端側に設けられた前記シースの先端部に向かって縮径しているテーパ部と、を有する請求項6に記載のイントロデューサシース。
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