JP2004141151A - 機能性を付与したデンプン食品及びその製造方法 - Google Patents

機能性を付与したデンプン食品及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】例えば、蒸す、茹でる、炊く等の調理時間を短縮することが出来、且つそれによって得られる調理食品が、米飯等の米類の場合には、表面に光沢を有し、適度な硬さと粘りを有し、且つバランス度(粘り/硬さ)も0.1前後乃至それ以上と良食味値を示するものとなり、また、麺やパスタの場合には、表面に光沢を有すると共に、早茹でにも拘わらず麺のコシ(アルデンテ)が十分に残った状態のものが得られるような、例えば加工米、加工麺等の機能性を有するデンプン食品とその簡便な製造法の提供。
【解決手段】表面の保水可能最大含水率を低くし、内部の保水可能最大含水率を高めてなる、デンプンを主成分とする食品素材、及び、例えば、乾麺等の含水率が低い、デンプンを主成分とする食品素材を吸水させた後、糊化が進行しない条件で表面を乾燥させて表面の含水率を低下させ、次いでこれを乾式加熱する、上記食品素材の製造法。
【選択図】 なし

Description

 本発明は、食品内部の水の移動を制御することにより機能性を持たせた、例えば加工米、加工麺等のデンプン食品とその製造法に関する。
 米や小麦などのデンプンを素材とする食品を蒸す、茹でる、或いは炊く過程では、他の食品素材の場合と比べて調理に長い時間を要する。そのため、これらの食品を調理して顧客に提供する飲食店や食料品店等の業界においては、注文を受けてから製品を提供するまでに時間がかかり、顧客を長く待たせるという難点が生じる。
 例えば、餅製品を受注した場合、生米から製品にするまで数時間を要す。
 また、レストラン等でうどんやスパゲッテイを茹でるのに通常20〜30分を要しているが、何れの場合も長すぎるのでこれを短縮したいと言う需要がある。
 このような需要に応えるべく、これまでに種々の方法が提案されている。
 例えば、麺やパスタに関しては、乾燥パスタ又は乾麺を加熱して表層部のみをアルファー化し、表面の水分を除去した後、35℃未満の水と接触、吸水させて早茹でパスタ又は早茹で麺を製造する方法(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)、乾燥パスタ又は乾麺を加熱して表層部のみをアルファー化し、表面の水分を除去した後、熱水と接触させて、吸水させ再度加熱する簡易調理パスタ又は麺の製造方法(例えば、特許文献3参照。)、麺を蒸煮し、表面を熱風乾燥した後、これを茹で、然る後、水冷する、即席中華カップ麺や冷凍麺に用いる中華麺の製造方法(例えば、特許文献4参照。)等がある。
 しかしながら、これらの技術は何れも試行錯誤に基づいて編み出された技術であるため、未だ不十分な点が多く、早茹でを重視すると麺のコシ(アルデンテ)が十分に残らないとか、逆に麺のコシ(アルデンテ)を重視すると早茹でにならないなどの欠点がある。
 一方、米に関しては、原料玄米の糠層の一部を玄米の表面全体にわたって剥離・除去した後、蒸煮し、これを表面に亀裂を生じさせることなく膨化して内部に多数の細孔を形成させて早炊き玄米を得る方法(例えば、特許文献5参照。)、含水率20%以下の米を殺菌(120℃で20分加熱等)した後、無菌環境下で無菌水に浸漬し、無菌包装することにより即席米飯類を得る方法(例えば、特許文献6参照。)、米または吸水米に対して110〜400℃に加熱した過熱水蒸気を常圧かつ低酸素状態で10秒〜60分間、噴射ないしは同環境下で処理することにより乾燥α化米を製造する方法(例えば、特許文献7参照。)等がある。
 しかしながら、これらの方法は、対象となるデンプン食品が限られていたり、条件が過酷であったり、特殊な装置を必要としたり等、汎用性や簡便性に乏しいものばかりである。
特開平9−191845号公報 特開平9−191846号公報 特開平9−191844号公報 特開平6−276974号公報 特開平05-192099号公報 特開平10-155447号公報 特開2001−120199号公報
 本発明の目的は、例えば、蒸す、茹でる、炊く等の調理時間を短縮することが出来、且つそれによって得られる調理食品が、米飯等の米類の場合には、表面に光沢を有し、適度な硬さと粘りを有し、且つバランス度(粘り/硬さ)も0.1前後乃至それ以上と良食味値を示するものとなり、また、麺やパスタの場合には、表面に光沢を有すると共に、早茹でにも拘わらず麺のコシ(アルデンテ)が十分に残った状態のものが得られるような、例えば加工米、加工麺等の機能性を有するデンプン食品とその簡便な製造法を提供することにある。
 本発明は、表面の保水可能最大含水率(天井含水率)を低くし、内部の保水可能最大含水率(天井含水率)を高めてなる、デンプンを主成分とする食品素材に関する。
 また、本発明は、デンプンを主成分とする食品素材を吸水させた後、糊化が進行しない条件で表面を乾燥させて表面の含水率を低下させ、次いでこれを乾式加熱することを特徴とする、上記食品素材の製造法(以下、本発明の製造法1と略す。)に関する。
 更に、本発明は、デンプンを主成分とする食品素材を加水することなしに、その中心付近の温度だけを上昇させ、表面付近は昇温を抑制して、中心付近の糊化度を大きく,表面部分の糊化度を小さくすることを特徴とする、上記食品素材の製造法(以下、本発明の製造法2と略す。)に関する。
 更にまた、本発明は、含水率を低い値にした、デンプンを主成分とする食品素材を表面に、また、含水率を高い値にした同素材を内部に配して成型した後、これを乾式加熱することを特徴とする、上記食品素材の製造法(以下、本発明の製造法3と略す。)に関する。
 また、本発明は、糊化温度が高い、若しくは含水率は高いが糊化し難い(難糊化性の)、デンプンを主成分とする食品素材を表面に、糊化温度が低い、若しくは含水率は低いが糊化する(易糊化性の)、デンプンを主成分とする食品素材を内部に配して成型した後、これを乾式加熱することを特徴とする、上記食品素材の製造法(以下、本発明の製造法4と略す。)に関する。
 更に、本発明は、糊化の進行を抑えて保水可能最大含水率(天井含水率)を低くした、デンプンを主成分とする食品素材を表面に、また、前以て加水・加熱し糊化を進めて保水可能最大含水率(天井含水率)を大きくした、デンプンを主成分とする食品素材を内部に配して成型することを特徴とする、上記食品素材の製造法(以下、本発明の製造法5と略す。)に関する。
 デンプンを素材とする食品が何故他の食品と異なり吸水が遅いのかは永年にわたり未解明であったが、本発明者らが提唱する天井含水率という新しい概念を用いた水分要求理論によって解明された[デンプンは糊化することにより吸水(保水)可能な最大量(保水量)が増大する。本発明者らはこの最大保水状態の含水率を先に天井含水率と名付けた。]。その結果、時間がかかる原因は食品の内部の天井含水率が低いため食品内部に水が拡散しないためであり、また天井を上昇させるためにも水が必要であることが判明した。
 本発明はこの新理論に基づいて、食品内部の水の移動を制御する新規な方法に係わるものであり、機能性を持たせた加工米或いは加工麺を製造する。その特徴は(1)食品内部の天井含水率を前もって上昇させることにより食品内部を迅速に調理できる。(2)食品内部を均一に調理することにより歯ごたえ〔テクスチャ〕の優れた食品品質が得られる。(3)食品表面付近の天井を内部より低く加工することにより炊き上がり〔蒸し上がり〕或いは茹で上がり時の食品の表面の品質を向上させることができる。
 本発明は、米や小麦などのデンプンを素材とする食品を蒸す、茹でる或いは炊く過程を経て食材を製造するあらゆる食品分野において利用が可能である。
 本発明の方法により得られた米飯、麺類等の食品素材を用いれば、炊く・蒸す・茹でる等の操作を迅速に行うことが出来、得られた食材は硬さに対する粘りの割合を示すバランス度が良好で、歯触り、食感等に優れ、且つ、食材の表面は艶、光沢を有し、食材の表面品質も良好である。
 また、本発明の方法によれば、これらの食品の内部の糊化度・含水率を均一に仕上げることが出来、且つ食品表面の糊化度・含水率が抑制できるので、これらの点から利点を生むことのできるあらゆる産業において利用できる。換言すれば、
本発明は、そのような利点を発揮するように機能性を付与した加工米或いは加工麺等の製品を提供するものでもある。
 本発明はデンプン食品の中の水の移動の法則を熟知した上で加熱・加水加工を行うものであるから、加工の各段階ではその時代にもっとも適切な技術を使ってその目的を達成することが出来る。従って、そのような適切な技術を使った各工程の組み合わせにより最も優れた製品を製造できることが出来る。
 麺について言えば、乾麺の場合、調理時間を短縮するために前持って麺の中に水を入れておく過程があるが、従来技術では糊化度〔アルファー化度)の制御技術がなかったので、加水してそのまま加熱することが行われていたため、食品〔麺〕の内部の糊化度を上昇させながら表面の糊化度を押さえておくことができるとは想像もしていなかった。本発明の製造法1では、例えば、乾麺や精白米(含水率は17%前後)等の含水率の低いデンプンを主成分とする食品素材の場合は、内部に水を導入した後、糊化が進まない条件〔糊化開始温度以下〕で表面を乾燥させ表面の含水率を低下させた後に乾式加熱することで表面の天井含水率は低く内部の天井含水率が高い状態を実現できる。
 また、本発明の製造法2では、例えば、生麺や水稲刈取り後、精米前の含水率の高い米穀(含水率21−25%と言われている。)等の含水率の高いデンプンを主成分とする食品素材は、これを加水することなしに、その中心付近の温度だけを上昇させ、表面付近は昇温を抑制して、中心付近の糊化度を大きく,表面部分の糊化度を小さくすることで表面の天井含水率は低く内部の天井含水率が高い状態を実現できる。
 本発明の方法により得られる、デンプンを主成分とする食品素材(以下、本発明の機能性デンプン食品と呼ぶ。)としては、例えば、穀類そのものや穀類を素材とする加工食品等が挙げられる。
 より具体的には、例えば、米飯、モチ米、酒米、赤飯、各種炊き込みご飯・味付けご飯類、麺類、パスタ類、或いはこれらの更なる加工品等が挙げられる。
 なお、以下、本発明の方法により得られる、デンプンを主成分とする食品素材が、米飯の場合には本発明の機能性米、モチ米の場合には本発明の機能性モチ米、麺類の場合には本発明の機能性麺、パスタ類の場合には本発明の機能性パスタとそれぞれ称す。
 本発明の機能性デンプン食品の製造法1においては、デンプンを主成分とする食品素材の表面天井含水率を低くするために、含水率の低い食品素材の場合は、これに加水し、吸水させた後、糊化が進行しない条件で表面を乾燥させる点に特徴を有するが、糊化が進行しない条件で乾燥させる方法としては、最も一般的には、糊化開始温度以下で乾燥させる方法が挙げられる。より具体的には、例えば61℃以下、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃前後の温度で乾燥させるのが望ましい。乾燥方法は、特に限定されるものではないが、通常は、送風乾燥や流動乾燥等により行われる。
 斯くして、表面を乾燥させた後、これを乾式加熱して全体を糊化温度以上に昇温させるわけであるが、乾式の加熱法としては、例えば、マイクロ波加熱、オーブン加熱、放射熱加熱、伝導伝熱加熱、過熱水蒸気加熱などが挙げられる。また、対象食品を予熱して飽和温度に近づけてから行う水蒸気加熱も乾式加熱として利用出来る。
 吸水に使用する水は飲料水として使用可能な水であればどのような水でも良いが、通常は、経済的な面から水道水や飲料用の井戸水等が用いられる。
 また、使用目的に応じて、或いは必要に応じて、吸水用の水に食塩、砂糖、醤油、ソース、各種調味料、香辛料、着色料、保存料、pH調整剤等を適宜添加しておくことは任意である。
 食品素材に吸水させる方法としては、浸漬法が一般的であるが、ふりかけ法や噴霧法等も可能である。
 本発明の機能性デンプン食品の製造法1では、上述した如く、デンプンを主成分とする食品素材を吸水させた後、糊化が進行しない条件で表面を乾燥させて表面の含水率を低下させ、次いでこれを乾式加熱することにより機能性デンプン食品を製造するが、必要に応じて上記操作を繰り返し行うことにより、当該食品素材内部の天井含水率を更に上昇させることも本発明の製造法1の好ましい態様の一つである。
 本発明の機能性デンプン食品の製造法2においては、デンプンを主成分とする食品素材の表面天井含水率を低くするために、含水率の高い食品素材の場合は、これを加水することなしに、その中心付近の温度だけを上昇させ、表面付近は昇温を抑制して、中心付近の糊化度を大きく,表面部分の糊化度を小さくする点に特徴を有するが、中心付近のみ昇温させる方法としては、例えば生麺等の場合は、例えば、(1)表面を冷却しながらマイクロ波で加熱する、(2)表面を冷却しながらレーザー光を複数方面から照射して中心部に焦点を結ばせる、等の方法が挙げられる。
 また、精米前の含水率の高い米穀等の場合は、例えば、加圧加熱とマイクロ波加熱等による方法を工夫して中心付近を加熱することも出来る。
 本発明の機能性デンプン食品には、上記の他に、例えば、以下の如きものも含まれる。
(1)含水率を低い値にした、デンプンを主成分とする食品素材を表面に、また、含水率を高い値にした同素材を内部に配して成型(例えば押し出し成型等により)した後、これを乾式加熱することにより得られる食品素材。
(2)糊化温度が高い、若しくは含水率は高いが糊化し難い(難糊化性の)、デンプンを主成分とする食品素材を表面に、糊化温度が低い、若しくは含水率は低いが糊化する(易糊化性の)、デンプンを主成分とする食品素材を内部に配して成型(例えば押し出し成型等により)した後、これを乾式加熱することにより得られる食品素材。
(3)糊化の進行を抑えて保水可能最大含水率(天井含水率)を低くした、デンプンを主成分とする食品素材を表面に、また、前もって加水・加熱し糊化を進めて保水可能最大含水率(天井含水率)を大きくした、デンプンを主成分とする食品素材を内部に配して成型(例えば押し出し成型等により)することにより得られる食品素材。
 上記(1)〜(3)の機能性デンプン食品は、何れも、同一素材で含水率の異なる二種類の、デンプンを主成分とする食品素材を組み合わせて用いることにより機能性を付与したデンプン食品としたものであり、その製造方法は、それぞれ上記本発明の製造法3〜5に示される通りである。
 本発明の機能性デンプン食品の製造法の操作手順について、米飯の場合を例にして以下に示す。
[本発明の機能性米Aの製造方法]
(1)除菌した生米を洗米し(或いは洗米せず)、水に漬け、吸水させる。
(2)水切りし米粒の表面を乾燥させる。乾燥によって表面が糊化しないように温度を上げ過ぎないように管理すると同時に、迅速に乾燥させて内部はなるべく乾燥させないように管理する。表面に水があるときは糊化開始温度以下にする。
(3)表面の水が乾燥したら、例えば熱風乾燥等の乾式乾燥法により米粒を加熱乾燥し、米粒内部の天井含水率を上昇させる。
(4)この米粒を乾燥した状態のまま冷却し糊化開始温度未満に保持する。
(5)必要に応じ再度吸水させ、上記(2)から(4)を繰り返し、米粒内部の天井含水率を上昇させる。
 かくして、内部のみ高天井含水率の本発明の機能性米Aが得られる。
 本発明の機能性米Aは通常の炊飯器(炊飯装置)或いは蒸し器(蒸米装置)により早炊き(早蒸し)が出来る。ただし加水量は機能性米Aの含水量をあらかじめ測定しておくことにより推奨値を提供できる。
 本発明の機能性米Aは米粒表面付近の天井含水率を低く抑えることにより、また、衛生的な環境で製造することにより保存性に優れた早炊き米(早蒸し米)となる。
[本発明の機能性米Bの製造方法]
 本発明の機能性米Aを水に浸漬して適度の水を吸水させ、その後米粒の表面を乾燥させることにより本発明の機能性米Bを得る。本発明の機能性米Bは保存性は低下するが、更なる調理時間の短縮が出来る。
 米のほかに各種の原料を用いた麺線についても上記と同様な方法で機能性を付与した製品を製造できる。
 以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
[本発明の機能性モチ米の製造]
 下記の操作手順により本発明の機能性モチ米を製造した。
(1)生モチ米を洗米し、水に60分間漬けて吸水させ、その後放置して含水率を均一化させた。
(2)米粒の表面を冷風で乾燥させた。
(3)表面だけ乾燥させた米を乾式加熱(80℃)し、中心部を一部糊化させた。
(4)放冷後、再度冷水に浸漬し、60分間吸水させた。
(5)米粒の表面を冷風で乾燥させた。
(6)表面だけ乾燥させた米を、再度乾式加熱(80℃)し、中心部を更に糊化させた。
(7)これを放冷し、本発明の機能性モチ米を得た。
(8)上記機能性モチ米の含水率分布を磁気共鳴画像法(MRI)によって測定し、通常の吸水モチ米に比べ、本発明の機能性モチ米では中心部が高含水率になり表面が乾燥した米になっていることが確認できた(図1参照)。
 図1は、米一粒の短径方向横断面での含水率分布を示すもので、横軸は米粒内の中心部から表面に向かっての距離、縦軸は水分子のプロトシグナル強度を示す。
 本発明の機能性モチ米では表面の含水率が抑えられ、内部が高含水率になっているのが確認出来る。
(9)上記本発明の機能性モチ米を通常の吸水モチ米と並べて蒸し器で蒸したところ、本発明の機能性モチ米は通常の吸水モチ米の半分の時間で十分やわらかく蒸し上がることが食感で確認できた。また、蒸し上がった機能性モチ米は表面に光沢を有し、適度な硬さと粘りを有し、且つ蒸し上がり直後のバランス度(粘り/硬さ)も0.12と良食味値を示すものであった。
[本発明の機能性麺の製造]
 下記の操作手順により本発明の機能性麺を製造した。
(1)市販乾麺(うどん)を水に30分漬けて吸水させ、その後放置して含水率を均一化させた。
(2)麺の表面を冷風で乾燥させた。
(3)表面だけ乾燥させた麺を乾式加熱(80℃)し、中心部をさらに糊化させた。
(4)放冷後、再度冷水に浸漬し、30分間吸水させた。
(5)麺の表面を冷風で乾燥させた。
(6)表面だけ乾燥させた麺を、再度乾式加熱(80℃)し、中心部をさらに糊化させた。
(7)これを放冷し、本発明の機能性麺を得た。
(8)上記機能性麺の含水率分布を磁気共鳴画像法(MRI)によって測定し、通常の浸漬麺に比べ、本発明の機能性麺では中心部が高含水率になり表面が低含水率の麺になっていることが確認できた。(図2参照)
(9)上記本発明の機能性麺は、通常の乾麺の茹でに対して茹で時間が半分以下に短縮され、出来上がった麺の食感も良好であった。
[本発明の機能性パスタ(スパゲテイー)の製造]
下記の手順により機能性生パスタを試作した。
(1)市販小麦粉に水(小麦粉の重量に対して約45%)を加えて、混合しながら粉に水を馴染ませた。次いで、手で生地を良く捏ねた後、ひとまとめにした生地を冷蔵庫(5℃)で放置し、生地内の含水率を均一化させた。
(2)麺棒で生地を均一な厚さに延ばし、カッターで切り分けてパスタとした。
(3)マイクロ波照射室の中に設置したプラスチック製枠組みにパスタを吊るした。
 光ファイバー温度計の2つのセンサーの1つをパスタの中心部に、他の一つを表層部に固定した。
(4)2450MHzのマイクロ波をマイクロ波照射室に搬送しパスタの内部から加熱すると同時に、送風ファンで冷風を照射室に送り、パスタの外側を冷却した。
(5)マイクロ波発生装置の出力を調整して、パスタの表層部分は糊化(α化)が進まないように50℃程度に抑えると同時に、中心部分は温度を75℃程度にまで上昇させて糊化を進行させた。
(6)これを冷却して本発明の機能性パスタを得た。
(7)上記機能性パスタを包埋剤で固定して0.02mmの薄片に輪切りし、偏光顕微鏡観察した。図3に偏光顕微鏡写真像を示す。図3から明らかなように、パスタの周辺はデンプンが未糊化であるため偏向十字像が輝いて輝度が大きいが、中心部はデンプンが糊化したために、偏向十字が消失した部分が暗く写っている。即ち、パスタの表層部分では未糊化デンプン顆粒が示す偏向十字が多数輝いて見えるが、中心部分では偏向十字の輝度が低く糊化が進行していることが確かめられた。
(8)上記本発明の機能性パスタを沸騰水で茹でながらパスタの重量を経時的に測定した。おいしいパスタの含水率とされる約66%に含水率が達するまでの時間が通常の生パスタに比べて55%に短縮されることが確認できた。
 本発明は、米や小麦などのデンプンを素材とする食品を蒸す、茹でる或いは炊く過程を経て食材を製造するあらゆる食品分野において利用が可能である。
 本発明の方法によれば、米飯、麺類、パスタ類等の食品の内部の糊化度・含水率を均一に仕上げることが出来、且つ食品表面の糊化度・含水率が抑制できるので、これらの点から利点を生むことのできるあらゆる産業において利用できる。
本発明の機能性モチ米及び通常の吸水モチ米の1次元MRI画像を示す(実      施例1)。 本発明の機能性麺及び通常の吸水麺の1次元MRI画像を示す(実施例2)。 本発明の機能性パスタ(スパゲテイー)の偏光顕微鏡写真像を示す(実施例      3)。

Claims (22)

  1.  表面の保水可能最大含水率(天井含水率)を低くし、内部の保水可能最大含水率(天井含水率)を高めてなる、デンプンを主成分とする食品素材。
  2.  デンプンを主成分とする食品素材を吸水させた後、糊化が進行しない条件で表面を乾燥させて表面の含水率を低下させ、次いでこれを乾式加熱することにより得られる請求項1に記載の食品素材。
  3.  デンプンを主成分とする食品素材を加水することなしに、その中心付近の温度だけを上昇させ、表面付近は昇温を抑制することにより、中心付近の糊化度を大きく,表面部分の糊化度を小さくして得られる、請求項1に記載の食品素材。
  4.  含水率を低い値にした、デンプンを主成分とする食品素材を表面に、また、含水率を高い値にした同素材を内部に配して成型した後、これを乾式加熱することにより得られる請求項1に記載の食品素材。
  5.  糊化温度が高い、若しくは含水率は高いが糊化し難い(難糊化性の)、デンプンを主成分とする食品素材を表面に、糊化温度が低い、若しくは含水率は低いが糊化する(易糊化性の)、デンプンを主成分とする食品素材を内部に配して成型した後、これを乾式加熱することにより得られる請求項1に記載の食品素材。
  6.  糊化の進行を抑えて保水可能最大含水率(天井含水率)を低くした、デンプンを主成分とする食品素材を表面に、また、前以て加水・加熱し糊化を進めて保水可能最大含水率(天井含水率)を大きくした、デンプンを主成分とする食品素材を内部に配して成型することにより得られる請求項1に記載の食品素材。
  7.  デンプンを主成分とする食品素材が穀類又は穀類を素材とする加工食品である請求項1〜6の何れかに記載の食品素材。
  8.  デンプンを主成分とする食品素材が米飯、モチ米、酒米、赤飯、各種炊き込みご飯・味付けご飯類、麺類又はパスタ類である請求項1〜6の何れかに記載の食品素材。
  9.  デンプンを主成分とする食品素材が乾麺又は精白米である請求項2に記載の食品素材。
  10.  デンプンを主成分とする食品素材が生麺又は水稲刈取り後、精米前の含水率の高い米穀である請求項3に記載の食品素材。
  11.  デンプンを主成分とする食品素材を吸水させた後、糊化が進行しない条件で表面を乾燥させて表面の含水率を低下させ、次いでこれを乾式加熱することを特徴とする、請求項1に記載の食品素材の製造法。
  12.  表面部位のデンプンの糊化開始温度以下で表面を乾燥させる請求項11に記載の製造法。
  13.  61℃以下で表面を乾燥させる請求項11に記載の製造法。
  14.  請求項11に記載の製造法により得られた食品素材を糊化開始温度未満まで冷却した後、再度同じ操作を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の食品素材の製造法。
  15.  デンプンを主成分とする食品素材を加水することなしに、その中心付近の温度だけを上昇させ、表面付近は昇温を抑制して、中心付近の糊化度を大きく,表面部分の糊化度を小さくすることを特徴とする、請求項1に記載の食品素材の製造法。
  16.  含水率を低い値にした、デンプンを主成分とする食品素材を表面に、また、含水率を高い値にした同素材を内部に配して成型した後、これを乾式加熱することを特徴とする、請求項1に記載の食品素材の製造法。
  17.  糊化温度が高い、若しくは含水率は高いが糊化し難い(難糊化性の)、デンプンを主成分とする食品素材を表面に、糊化温度が低い、若しくは含水率は低いが糊化する(易糊化性の)、デンプンを主成分とする食品素材を内部に配して成型した後、これを乾式加熱することを特徴とする、請求項1に記載の食品素材の製造法。
  18.  糊化の進行を抑えて保水可能最大含水率(天井含水率)を低くした、デンプンを主成分とする食品素材を表面に、また、前以て加水・加熱し糊化を進めて保水可能最大含水率(天井含水率)を大きくした、デンプンを主成分とする食品素材を内部に配して成型することを特徴とする、請求項1に記載の食品素材の製造法。
  19.  デンプンを主成分とする食品素材が穀類又は穀類を素材とする加工食品である請求項11〜18の何れかに記載の製造法。
  20.  デンプンを主成分とする食品素材が米飯、モチ米、酒米、赤飯、各種炊き込みご飯・味付けご飯類、麺類又はパスタ類である請求項11〜18の何れかに記載の製造法。
  21.  デンプンを主成分とする食品素材が乾麺又は精白米である請求項11に記載の食品素材の製造法。
  22.  デンプンを主成分とする食品素材が生麺又は水稲刈取り後、精米前の含水率の高い米穀である請求項15に記載の食品素材の製造法。
JP2003332412A 2002-10-04 2003-09-24 機能性を付与したデンプン食品及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3860158B2 (ja)

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JP2011000069A (ja) * 2009-06-19 2011-01-06 Nisshin Foods Kk 半生麺類の製造方法
JP2014018179A (ja) * 2012-07-23 2014-02-03 Nisshin Flour Milling Inc 多層麺の製造方法
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