JP2004140947A - 駆動装置、この製造方法およびこれを用いた機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧電素子22を備えた複数の振動板2を、腕部3を介して固定板4に一体的に形成する。複数の振動板2の凸部23にロータ101の側面を当接し、振動板2を振動させるとロータ101とともファン100が回転して必要部位を冷却する。振動板2、腕部3、および固定板4が同一基板から一体的に形成されているので、複数の振動板2を個々に形成する必要がなく、製造が簡単になる。また、複数の振動板2を固定するスペースが不要なので、駆動装置1のスペース効率が向上する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電素子の振動によって振動する振動体を被駆動体に当接して被駆動体を駆動する駆動装置、この駆動装置の製造方法、およびこの駆動装置を用いた機器に関する。
【0002】
【背景技術】
圧電素子を備えた振動体の振動によって被駆動体を駆動する駆動装置として、振動体が複数設けられているものがある(例えば特許文献1)。これは、圧電素子を備えた振動体である駆動子をロータの周囲に複数配置して、駆動子の振動によってロータを回転させるものである。複数の駆動子は、それぞれ予圧手段によってロータに押し付けられている。このような構造の駆動装置では、複数の駆動子が一つのロータを回転させるので、大きな駆動トルクを得ることができる。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−152671号公報 (第3−4頁、第1図および第4図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構造の駆動装置では、複数の駆動子が個別に製造されており全体の部品点数が多くなるので、製造コストが高価となってしまう。また、それぞれの駆動子を別々に固定しなければならないので、製造工程が煩雑となる。さらに各駆動子の固定部分のスペースを確保しなければならないため、駆動装置の小型化を図ることができない。
【0005】
本発明の目的は、スペース効率を向上させることができ、製造が簡単な駆動装置、この駆動装置の製造方法、およびこの駆動装置を用いた機器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の駆動装置は、圧電素子を備えた振動体の振動によって被駆動体を駆動する駆動装置において、複数の振動体は複数設けられるとともに、同一基部材で一体的に形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、複数の振動体が同一基部材で一体的に形成されているので、部品点数が飛躍的に減少し、製造コストが安価となる。また、振動体を個別に製造する必要がなく、かつ振動体を個別に位置決めして固定する必要がないので、製造工程が簡略化する。さらに、振動体を固定するためにスペースを個々に確保する必要がなく、駆動装置のスペース効率が向上する。
【0007】
本発明では、被駆動体は、一つの振動体に対して一つ設けられていることが望ましい。
この発明によれば、複数設けられた振動体に同数の被駆動体を設けているので、複数の振動体を個々に駆動することによって被駆動体が個別に動作する。これにより、被駆動体の可能動作が多様化し、駆動装置を備えた機器への適用範囲が広くなる。特に、本発明の駆動装置はスペース効率が向上するので、狭い領域に多数の被駆動体を並べなければならない機器に適用する場合などに有用である。
【0008】
本発明では、被駆動体は、複数の振動体に対して一つ設けられていることが望ましい。
この発明によれば、一つの被駆動体を複数の振動体で駆動するので、被駆動体へ伝達される駆動力が大きくなる。
【0009】
本発明では、振動体は一つの支点で支持されていることが望ましい。
この発明によれば、振動体が1つの支点で支持されているので、振動体から支点を介して他の振動体や他の構成部品に伝わる振動エネルギが最小限に抑制される。よって、低電圧で振動体を振動させても、振動体に発生する振動エネルギの大部分が良好に被駆動体に伝達され、エネルギ伝達効率が向上する。特に、支点が振動体の振動の節近傍である場合には、支点によって振動が阻止されることがないので、支点での振動の損失が防止され、振動体の振動が良好となる。
【0010】
本発明では、複数の振動体を振動可能に支持するとともに、振動体と同一基部材から一体的に形成された固定体を備えていることが望ましい。
この発明によれば、固定体が複数の振動体と同一基部材から一体的に形成されているので、部品点数が減少し、駆動装置の製造コストが安価になる。また、複数の振動体を固定体に個々に固定する必要がないので、駆動装置の製造工程が簡略化する。
【0011】
本発明では、固定体は、被駆動体を支持する支持部を一体的に備えていることが望ましい。
この発明によれば、固定体が被駆動体の支持部を一体的に備えているので、部品点数が減少し、駆動装置の製造コストがより一層安価になる。また、これにより駆動装置のスペース効率がより一層向上する。さらに、固定体が被駆動体の支持部を一体的に備えているので、振動体と被駆動体との相対位置が精度よく規定され、複数の振動体および被駆動体において互いの接触力のばらつきが少なくなる。
【0012】
本発明では、固定体は、振動体と被駆動体とを所定の付勢力で当接させる付勢手段を一体的に備えていることが望ましい。
この発明によれば、固定体に付勢手段が一体的に形成されているので、部品点数が減少し、駆動装置の製造コストがより一層安価になり、駆動装置の構造が簡略になる。
【0013】
本発明では、付勢手段は振動体を被駆動体側へ付勢するように構成されていることが望ましい。
この発明によれば、振動体が付勢手段によって被駆動体側へ付勢されているので、長期間の使用に伴って振動体および被駆動体の接触部分が摩耗した場合には、振動体が被駆動体側へ移動して一定の付勢力を保つ。よって、このような場合でも被駆動体の位置が一定に保たれかつ振動体との良好な当接力が維持される。
【0014】
本発明では、付勢手段は被駆動体を振動体側へ付勢するように構成されていることが望ましい。
この発明によれば、被駆動体が付勢手段によって振動体側へ付勢されているので、長期間の使用に伴って振動体および被駆動体の接触部分が摩耗した場合には、被駆動体が振動体側へ移動して一定の付勢力を保つ。よって、このような場合でも両者間の良好な当接力が保たれ、駆動装置の駆動性能が安定する。
【0015】
本発明では、振動体は固定体に対して角度を有して配置されていることが望ましい。
この発明によれば、振動体が固定体に対して角度を有するので、振動体に当接される被駆動体も固定体に対して角度を有して配置することが可能となる。つまり、被駆動体を固定体に平行あるいは垂直に並べるだけでなく、様々な角度で立体的に配置することが可能となる。これにより被駆動体の向きや配置の自由度が向上し、駆動装置の機器への適用範囲が広がる。
【0016】
本発明では、固定体が湾曲して立体的に形成されていることが望ましい。
この発明によれば、固定体が湾曲して立体的に形成されているので、この固定体に固定された振動体は立体的に配置されることとなる。これに伴い被駆動体も三次元で配置することが可能となるので、振動体や被駆動体の向きや配置の自由度が向上し、駆動装置の機器への適用範囲が広がる。
【0017】
本発明の駆動装置の製造方法は、圧電素子を備えた振動体の振動によって被駆動体を駆動する駆動装置の製造方法であって、振動体を同一基部材から複数一体的に形成することを特徴とする。
この発明によれば、複数の振動体を同一基部材から一体的に形成するので、部品点数が飛躍的に減少し、製造コストが安価となる。また、振動体を個別に製造する必要がなく、かつ振動体を個別に位置決めして固定する必要がないので、製造工程が簡略化する。さらに、振動体を固定するためにスペースを個々に確保する必要がなく、駆動装置のスペース効率が向上する。
【0018】
本発明では、基部材の振動体が配置される位置の表面に圧電素子を貼設し、その状態で少なくとも複数の振動体を除いた残余部分を取り除くことが望ましい。この発明によれば、固定体に圧電素子を貼った後に基部材を圧電素子ごと切断して振動体を形成する。したがって、圧電素子の位置が振動体に対してずれることがなく、圧電素子の貼設位置のばらつきによる振動体の振動性能への影響が最小限に抑制され、振動性能、つまり駆動性能が安定する。また、圧電素子を振動体と同時に切断するので、製造工程が簡略化される。
【0019】
本発明の機器は、本発明の駆動装置を用いたことを特徴とする。
この発明によれば、本発明の駆動装置を用いて種々の機器を構成しているので、前述のような効果が得られ、スペース効率が向上し、製造工程が簡略化する。
【0020】
本発明では、機器は駆動装置によって駆動される送風機構を備えていることが望ましい。
この発明によれば、機器は前述のような駆動装置によって送風機構が駆動される、いわゆる送風機である。この機器を発熱部分の冷却に使用する場合には、本発明の駆動装置に小さい羽根を並べて配置すれば、機器の省スペース化が容易となる。また、発熱部分が複数ある場合には、羽根を個々に分散して設置することが可能となるので、冷却効率が良好となり省エネルギとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、後述する第二実施形態以降で、以下に説明する第一実施形態での構成部品と同じ部品および同様な機能を有する部品には同一符号を付し、説明を簡単にあるいは省略する。
【0022】
〔第一実施形態〕
図1(A)には、第一実施形態にかかる駆動装置1の一部を示す平面図が示されている。この図1(A)において、駆動装置1は、圧電素子22を備えた振動体としての振動板2と、振動板2を支持する腕部3と、腕部3を介して振動板2を振動可能に支持する固定体としての固定板4とを備えている。振動板2、腕部3および固定板4はステンレス鋼、その他の材料で構成された同一の板状部材から一体的に形成されている。
振動板2は、平面略矩形で複数(本実施形態では六つ)同形状に設けられ、固定板4の略中央に互いの長手方向が平行でかつ短手方向が直線上になるように等間隔で配置されている。振動板2は、固定板4および腕部3に一体的に連続する略矩形で板状の補強板21を備えている。補強板21の対角線上両端には、突出方向が長手方向外側となるように凸部23が一体的に形成されている。補強板21の表裏両面には、補強板21の凸部23を除いた略矩形状部分に圧電素子22が貼設されている。
圧電素子22の表面には、ニッケルメッキ層および金メッキ層などが形成され、対角線上両端において凸部23が設けられていない側には、略L字型の溝221が形成されている。これらの溝221でメッキ層間の導電性が絶たれることにより、圧電素子22の表面には三つの電極22A,22B,22Cが形成されている。なお、これらの電極は、補強板21を挟んで設けられた表裏両方の圧電素子22に同様に設けられており、電極22Aの補強板21を挟んで反対側にはやはり電極22Aが配置されている。これらの電極22A,22B,22Cのうち、電極22Aおよび電極22Cはリード線で互いに接続され、振動板2の振動を検出する振動検出装置(図示せず)に接続されている。また、中央の略Z字形の電極22Bに接続されたリード線は、圧電素子22に所定周波数の交流電圧を印加する印加装置(図示せず)に接続されている。そして、補強板21はリード線を介して接地されている。なお、圧電素子22の材料は、特に限定されず、チタン酸ジルコニウム酸鉛(PZT)、水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン、亜鉛ニオブ酸鉛、スカンジウムニオブ酸鉛等の各種のものを用いることができる。
ここで、圧電素子22に印加される電圧の周波数は、振動板2の凸部23が縦振動と屈曲振動とを組み合わせた良好な楕円軌道を描くように設定される。また、電圧の大きさは、駆動装置1の用途に応じて被駆動体の寸法や、駆動力などの設定を勘案して適宜設定されればよい。電圧の波形は特に限定されず、例えばサイン波、矩形状波、台形波などが採用できる。さらに、補強板21の短辺と長辺との寸法は、圧電素子22に電圧を印加した時に凸部23が最適な楕円軌道を描くように適宜決定され、例えばほぼ2対7の比となっている。
腕部3は、補強板21の長手方向略中央を両側から二つの支点で支持している。この腕部3は、補強板21からほぼ直角に突出した細長部材で、固定板4との連続部分近傍において略直角に湾曲している。腕部3は、補強板21および固定板4の間で所定長さを有することにより補強板21の長手方向に適当なばね性を備えている。
固定板4は、略矩形状で、短手方向の一端から複数の振動板2および腕部3の外形形状に沿って、全体として凹状の切欠41が形成されている。この切欠41によって、振動板2の略半分が固定板4に囲まれることなく切欠41の端部に向かって露出している。また、切欠41によって形成された振動板2の半分とは反対側の半分と、腕部3、および固定板4に囲まれた部分には、隙間42が形成されている。これらの隙間42により、振動板2および腕部3の半分が固定板4と所定距離を有して形成され、振動板2が振動したときにも固定板4と干渉しないようになっている。また、固定板4は複数の振動板2に対して比較的面積が広くなるように設定されている。これにより固定板4は振動板2の振動に対して十分な強度が確保されている。さらに、腕部3と固定板4との連続部分近傍には、孔421が形成されている。
【0023】
この駆動装置1は以下のように製造される。
まず、ロール状の薄板材(フープ材)から固定板4および振動板2を形成するのに必要な面積の薄板材を切断して基部材とする。次に、この基部材において複数の振動板2が形成される部分全体の両面に圧電素子を接着などによって貼設する。ここで、圧電素子の幅は凸部23が形成される部分を覆わないように予め設定しておき、圧電素子の表面には予めメッキ層を形成しておく。また、接着剤は振動板2が形成される部分のみに塗布して、基部材および圧電素子のうち当該部分のみを接着しておく。その後、エッチング加工などによって基部材から固定板4の外周部分、孔421、切欠41および隙間42などの残余部分を切断する。複数の振動板2の外形形状に沿って残余部分を切断する際には、圧電素子22をともに切断することによって、振動板2の外形形状周囲にある圧電素子22の剰余分を同時に切断する。また、この状態では腕部3および複数の振動板2の間の部分にも圧電素子が残っているので、腕部3および振動板2の境界部分で圧電素子のみを切断して切り離す。この時、振動板2以外の部分には接着剤が塗布されていないので、圧電素子の不要部分が基部材から離れることにより当該部分を除去できる。
このようにして成形された各振動板2の圧電素子22表面に溝221を形成して電極22A,22B,22Cを成形し、所定の電極を振動検出装置および印加装置に接続することによって駆動装置1を成形する。
【0024】
図1(B)には、第一実施形態の駆動装置1を機器としての冷却機器11に適用した図が示されている。冷却機器11は、前述の駆動装置1に送風機構としてのファン100を取り付けたものである。ファン100は、一つの振動板2に対して一つ設けられており、隣接するファン100同士が互いに干渉しないように軸方向に互い違いに配置されている。ファン100の回転軸はベース部材(図示せず)にベアリングなどの軸受を介して回転可能に支持されている。ここで、ファン100の回転軸は、ベース部材ではなく固定板4に回転可能に支持されていてもよい。
ファン100の回転軸には円盤状の被駆動体としてのロータ101が固定されている。このロータ101の側面には、振動板2の凸部23の先端がロータ101の半径方向に対して傾斜するように当接されている。ここで、腕部3は振動板2の長手方向にばね性(弾性)を有するので、振動板2は腕部3によってロータ101の側面に適当な付勢力で押し付けられている。つまり、本実施形態では腕部3が振動板2をロータ101側へ付勢する付勢手段となっている。
固定板4は、振動板2が適切な付勢力でロータ101に押し付けられる位置でベース部材にねじ止めされている。また、振動板2の振動エネルギを固定板4に逃がさないように、そして腕部3の強度を確保するために、固定板4は、孔421部分において固定具5でベース部材に固定されている。
このような冷却機器11においては、印加装置により交流電圧を印加すると、各振動板2の電極22Bと補強板21とで挟まれた圧電素子22が振動し、振動板2の凸部23は縦振動と屈曲振動を組み合わせた楕円軌道を描く。この楕円軌道の一部において凸部23はロータ101の側面に押しつけられてロータ101を間欠回転させる。この間欠回転を所定周波数で繰り返すことによってロータ101を所望の回転数で回転させる。これにより、ファン100が回転し、発熱部分などの必要部位の冷却を行う。また、振動板2の振動に伴って、電極22Aおよび電極22Cの部分の圧電素子に変位が生じ、電圧が発生する。この電圧によって振動検出装置は振動板2の振動状態を検出する。この振動検出により、各振動板2の振動異常や振動不良などが検出できる。なお、この振動検出は複数の振動板2に対して行ってもよいし、一つの振動板2のみに対して行うことで振動板2の振動状態(振動時、非振動時)を監視してもよい。
ファン100を部分的に駆動する場合には、必要な部分の振動板2に対応した圧電素子22にのみ電圧を印加すればよい。
【0025】
このような駆動装置1によれば、次のような効果が得られる。
(1) 複数の振動板2が同一基部材から一体的に形成されているので、部品点数を減少することができ、駆動装置1の製造コストを削減できる。
また、これらの振動板2は腕部3を介して一つの固定板4に一体的に形成されているので、部品点数をさらに減少することができ、駆動装置1の製造コストを削減できる。これにより振動板2を一つずつ固定板4に固定する製造工程を省略できる。そして、固定部分のスペースを確保する必要がないので、駆動装置1のスペース効率を向上させることができ、駆動装置1の小型化を促進できる。さらに従来では、振動板2を固定板4にねじ止め等していたため、ねじ止めのトルク力のばらつきによって振動板2間の振動性能がばらつく可能性があった。これに対して本実施形態の駆動装置1では、振動板2を固定板4に固定する必要がないので、複数の振動板2間の振動性能を安定させ、駆動力を安定させることができる。
【0026】
(2) 駆動装置1を製造する際には、圧電素子ごと振動板2の外形形状を成形する。よって圧電素子22および振動板2の形成工程を同時に行うことができ、製造工程を簡略化でき、製造コストを削減できる。また、複数の振動板2を同時に形成するので、これによっても製造工程を簡略化できる。さらに、圧電素子の形状を振動板2とともに形成するので、圧電素子22が振動板2に対して位置ずれすることがなく、これにより複数の振動板2間の振動性能のばらつきを減少できる。
【0027】
(3) 腕部3によって振動板2とロータ101との当接力が適当に設定されているので、振動板2の振動を効率よくロータ101に伝達できる。また、腕部3が振動板2をロータ101側に付勢しているので、ロータ101の回転軸の位置を固定できる。つまり、例えば長期間の使用にしたがって振動板2の凸部23またはロータ101の側面が摩耗しても、振動板2がロータ101側へ移動し、ロータ101の回転軸がずれることなく良好に駆動できる。
【0028】
(4) 一つの振動板2に対してファン100(ロータ101)が一つ取り付けられているので、一部の振動板2のみを振動させることによって一部のファン100のみを駆動でき、冷却機器11の可能動作を多様化できる。例えば冷却が必要な発熱部分が複数ある場合などでは、ファン100を分散して配置して発熱量に合わせて駆動させるファン100の数を調節できる。したがって、冷却機器11の冷却効率を向上させることができる。また、前述のように駆動装置1を小さく構成することが容易なので、小さいファン100を複数並べても冷却機器11全体を小さく構成でき、省スペース化を促進できる。
【0029】
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態について説明する。第二実施形態は、振動板が固定板に対して角度を有して形成されているものである。
図2(A)には、第二実施形態にかかる駆動装置1の固定板4および振動板2の配置を示す平面図が示されている。この図2(A)に示されるように、固定板4上には、振動板2の形状を残してその外周を取り除くことで振動板2にほぼ沿って形成孔43が形成されている。振動板2はこの形成孔43内に同形状で複数形成され、固定板4の略中央に互いの長手方向が平行でかつ短手方向が直線上になるように等間隔で配置されている。ここで固定板4は、振動板2の周囲を囲むことによって面積が広く設定され、その強度が確保されている。凸部23は補強板21の長手方向の一端側で、かつ幅方向略中央に形成されている。圧電素子22表面には、溝221によって電極が長手方向に沿った中心線を軸として線対称に形成されている。つまり、圧電素子22を幅方向にほぼ三等分するように形成された二本の溝221と、これらの溝221で分割された三つの電極のうち両側の電極をさらに長手方向にほぼ二等分するように形成された溝221とで、五つの電極22A,22B,22C,22D,22Eが形成されている。これらの電極22A,22B,22C,22D,22Eのうち、対角線上両端の電極22A,22Eはリード線で接続され、また、電極22B,22Dもリード線で接続されることにより、それぞれ一対の電極となっている。これら二対の電極は、中央の電極22Cとともに印加装置に接続されている。
腕部3は、振動板2の長手方向略中央を一つの支点で支持している。また、略矩形状の形成孔43において、凸部23と対向する側の短辺と、腕部3が接続されている長辺との交点部分には、被駆動体としての棒状部材201が挿通される取付孔44が形成されている。この取付孔44は、棒状部材201の断面形状とほぼ同形状に(本実施形態では略矩形状に)形成されている。
このような形状の振動板2を製造するには、まず第一実施形態と同様、基部材に圧電素子を貼設した後、形成孔43、振動板2、腕部3、および取付孔44で囲まれる部分や固定板4の外周部分などの残余部分を取り除いて成形する。
図2(B)には、振動板2を固定板4に対して角度を有するように配置した図が示されている。この図2(B)に示されるように、振動板2の形状を形成した後、腕部3の基端部分を固定板4から折曲して、振動板2を固定板4に対して角度を有するように略直角に起こす。
【0030】
このような駆動装置1は、棒状部材201を固定板4に対して略垂直に進退させる、例えば点字表示機器などの機器200に適用できる。棒状部材201は、取付孔44に摺動可能に貫通して設けられ、棒状部材201の側面略中央には振動板2の凸部23が略直角に当接されている。凸部23が当接される棒状部材201の側面は滑らかな平面に加工されており、これにより凸部23と棒状部材201との摩擦が低減されている。棒状部材201には、棒状部材201を摺動可能に支持し、かつ振動板2側に付勢する付勢手段202がそれぞれ軸方向に沿って二箇所設けられている。これらの付勢手段202は棒状部材201において凸部23が接触する部分を挟んで等距離に配置されることにより棒状部材201を振動板2に略直角方向に付勢している。
このような駆動装置1においては、中央の電極22Cと対角線上両端の二対のうち一方の電極22A,22Eとに電圧を印加すると、この電圧によって振動する圧電素子の部分が略Z字形となり、凸部23は楕円軌道を描いて振動し、棒状部材201を固定板4に対して垂直方向(図2中の下方向)に移動させる。これを複数の棒状部材201に対して個々に行うことにより、棒状部材201の端部によって任意の組み合わせの凹凸を形成する。これを点字表示機器に適用すれば、任意の点字を即座に作成することができる。
また、棒状部材201を反対方向(図2中の上方向)に移動させる場合には、圧電素子22に印加する電圧の電極を長手方向に沿った中心線を軸として線対称に切り替える。つまり、中央の電極22Cと、他方の対角線上両端の一対の電極22B,22Dとに電圧を印加すると、振動する圧電素子の形状は反対向きのZ字型となり、凸部23は反対方向の楕円軌道を描く。これにより凸部23は棒状部材201を反対方向に移動させる。このように圧電素子22の電極を長手方向に沿った中心線を軸として線対称に形成すれば、電圧を印加する電極を切り替えることで振動板2を正逆両方向の楕円軌道で振動でき、被駆動体を正逆両方向に移動させることができる。
【0031】
このような駆動装置1によれば、第一実施形態の(1)および(2)の効果と同様の効果が得られる他、次のような効果が得られる。
(5) 振動板2が固定板4に対して角度を有して略直角に配置されているので、棒状部材201を固定板4に対して垂直方向に移動させることができる。よって、被駆動体の配置および駆動方向の自由度を向上させることができる。
【0032】
(6) 付勢手段202によって棒状部材201と凸部23との当接力が適当に設定されているので、振動板2の振動を効率よく棒状部材201に伝達できる。また、長期間にわたる使用によって凸部23および棒状部材201の接触部分が摩耗しても、付勢手段202によって常に良好な付勢力で棒状部材201を凸部23に当接できる。これにより、振動板2の駆動力を常に良好に確保できる。さらに、付勢手段202が棒状部材201を振動板2側に付勢しているので、振動板2側に付勢手段が不要となり、振動板2の構造を簡単にできる。
【0033】
(7) 振動板2が腕部3によって一つの支点で支持されているので、振動板2の振動エネルギが固定板4に伝達されるのを最小限に抑制できる。よって、例えば低電圧で振動板2を振動させても、振動板2に発生する振動エネルギの大部分を良好に棒状部材201に伝達することができ、エネルギ伝達効率を向上させることができる。この時、腕部3は振動板2の長手方向略中央を支持している。つまり、腕部3による支点が振動板2の振動の節近傍となるため、振動板2の振動が阻止されにくい。これにより、振動板2の振動の損失を最小限に抑制することができる。
【0034】
(8) 一つの振動板2に対して棒状部材201が一つ取り付けられているので、一部の振動板2のみを振動させることによって一部の棒状部材201のみを駆動でき、機器200の可能動作を多様化できる。例えば機器200を点字表示機器として使用する場合には、棒状部材201の一つ一つを別々に駆動することができるので、あらゆる点字を自由に表示できる。また、前述のように駆動装置1を小さく構成することが容易なので、点字表示機器に使用されるような小さい棒状部材201を複数密集して並べる必要がある場合でも、問題なく配置することができる。
【0035】
〔第三実施形態〕
次に、本発明の第三実施形態について説明する。第三実施形態は、固定板を立体的に形成したものである。
図3(A)には、第三実施形態にかかる駆動装置1の固定板4および振動板2の配置を示す平面図が、また図3(B)には、固定板4を立体的に形成した図が示されている。図3(A)に示されるように、固定板4には第二実施形態と同様の振動板2が複数(本実施形態では6つ)形成されている。これらの振動板2を腕部3の基端部分で折曲することによって固定板4に対して角度を有するように略直角に起こす。次いで、固定板4の長手方向両端部を溶着したり固定部材を介してボルト止めするなどして固定する。これにより固定板4は図3(B)に示されるように円筒形状に形成され、振動板2は放射線状に配置される。
このような駆動装置1に第二実施形態と同様の棒状部材201(図2)が設けられれば、棒状部材201は振動板2の駆動にともなって放射線状に進退する。
【0036】
このような駆動装置1によれば、第一実施形態の(1)および(2)の効果と同様の効果および第二実施形態の(5)、(6)、(7)および(8)の効果と同様の効果が得られる他、次のような効果が得られる。
(9) 固定板4が円筒状に形成されているので、棒状部材201を放射線状に進退させることができる。これにより、より一層棒状部材201の配置の自由度を向上させることができる。
【0037】
〔第四実施形態〕
次に、本発明の第四実施形態について説明する。第四実施形態は、複数の振動板に対して被駆動体が一つ設けられているものである。
図4には、第四実施形態にかかる駆動装置1の平面図が示されている。この図4において固定板4は略正方形に形成され、この固定板4には第一実施形態と略同様の振動板2が四つ形成されている。これらの振動板2は、固定板4の略中央を中心として四方に配置され、片方の凸部23がそれぞれ内周に向いて配置されている。よって、本実施形態では固定板4の略中央に振動板2の略半分の外形形状に沿った形成孔41Aが形成され、また、振動板2、腕部3、および固定板4で囲まれる部分には隙間42が形成されている。
腕部3の基端側と固定板4との間には切欠31が形成され、腕部3は振動板2と固定板4との間で所定長さが確保されることでばね性(弾性)を備えている。凸部23で囲まれる領域内部には断面円形の棒状部材201が固定板4に対して垂直かつ回転可能に挿通されている。振動板2の凸部23はそれぞれ棒状部材201の中心から外れた位置で棒状部材201の側面に当接され、これにより凸部23は棒状部材201の半径方向に対して傾斜して配置されている。
なお、棒状部材201は凸部23で囲まれる領域よりも大きい径寸法となっており、これにより、棒状部材201は振動板2を押すようにして取り付けられる。この時、腕部3は弾性を有するので、振動板2は棒状部材201側へ付勢されることとなる。すなわち、本実施形態では腕部3が付勢手段の機能を果たす。
このような駆動装置1においては、振動板2が振動すると四つの凸部23がそれぞれ棒状部材201の側面を周方向に押す。これにより、棒状部材201が回転する。この時、四つの振動板2を同時に振動させる、つまり全ての振動板2に同一のタイミングで電圧を印加して互いの振動の位相差を0に設定すれば、これらの振動板2が同時に振動し、回転駆動力を大きくすることができる。あるいは、四つの振動板2に互いに90°ずつの位相差を設けて振動させてもよい。この場合には、各振動板2が棒状部材201を押圧するタイミングが互いにずれるので、各振動板2の振動周波数や、位相、棒状部材201への付勢力にばらつきがあっても棒状部材201を良好に駆動できる。また、各振動板2の駆動タイミングが互いにずれているので、凸部23の摩耗や損傷を軽減することができ、高効率で駆動できる。
ここで、圧電素子22の電極を第二実施形態と同様に長手方向に沿った中心線を軸として線対称に設けてもよい。この場合には、凸部23を棒状部材201の半径方向に配置し、電圧を印加する電極を切り替えれば、回転方向を正逆切替可能となる。
【0038】
このような駆動装置1によれば、第一実施形態の(1)、(2)および(3)の効果と同様の効果が得られる他、次のような効果が得られる。
(10 ) 一つの棒状部材201に対して振動板2が四つ(複数)設けられているので、棒状部材201に伝達する回転トルクを大きくすることができる。これにより、棒状部材201に大きな負荷が発生している場合でも容易に駆動できる。また反対に、振動板2を棒状部材201に対して複数設けることで大きな棒状部材201でも回転させることができる。
【0039】
〔第五実施形態〕
次に、本発明の第五実施形態について説明する。第五実施形態は、固定板に被駆動体の支持部が一体的に形成されているものである。
図5(A)には、第五実施形態にかかる駆動装置1の平面図が、また、図5(B)には図5(A)のB−B断面図が示されている。これらの図5(A)および図5(B)に示されるように、固定板4は、細長部材を中心として両側に振動板2を二つ一体的に備えており、この細長部材はねじ61によってベース部材6に固定されている。また、固定板4とベース部材6との間には、固定板4と平面略同形状の案内板45が設けられている。案内板45および固定板4は、被駆動体としての円盤状のロータ301を支持する支持部46を構成している。支持部46は、中心の細長部材から突出するように設けられ、固定板4および案内板45が互いに反対向きに凸状に折り曲げられて形成されている。これらの凸状部分によって形成されたスペースにはロータ301が配置され、その回転軸302は、固定板4および案内板45に穿設された孔に回転可能に支持されている。固定板4および案内板45の端部はねじ62によってベース部材6に固定されている。
固定板4のねじ62近傍からは、U字形の腕部3が一体的に形成されている。腕部3の先端は振動板2の長手方向略中央を片側から支持している。振動板2の凸部23はロータ301の側面に当接され、凸部23がロータ301の半径方向に対して傾斜するように配置されている。ここで、腕部3および振動板2は固定板4のみに形成されているため、ベース部材6と振動板2との間には案内板45の厚さ分の隙間が形成されている。これにより、振動板2およびベース部材6は振動板2の振動時にも干渉しないようになっている。
このような駆動装置1を製造する場合には、まず圧電素子を貼設した基部材から固定板4、腕部3、振動板2、および支持部46などを除いた残余部分を取り除き、その後支持部46に該当する部分のみをプレスなどによって凸状に成形して、支持部46を形成する。案内板45についても同様に基部材から残余部分を取り除いて、その後支持部46を形成する。その後、支持部46にロータ301を介装して固定板4および案内板45をベース部材6に固定する。
このような駆動装置1では、振動板2が振動すると凸部23がロータ301を回転させる。
【0040】
このような駆動装置1によれば、第一実施形態の(1)、(2)および(3)の効果と同様の効果および第二実施形態の(7)の効果と同様の効果が得られる他、次のような効果が得られる。
(11) ロータ301を支持する支持部46が固定板4に一体的に形成されているので、部品点数を削減でき、駆動装置1の製造コストが削減できる。
【0041】
(12) 一つのロータ301に対して振動板2が一つ設けられているので、片方の振動板2のみを振動させることによってそれに対応するロータ301のみを駆動できる。また、駆動装置1を小さく構成することが容易なので、ロータ301を近接して並べる必要がある場合でも、問題なく配置することができる。
【0042】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、圧電素子22の電極は、第一実施形態では対角線上両端のL字形の溝221によって三つ形成され、また第二実施形態では長手方向に沿った中心線を軸として線対称に設けられていたが、これに限らない。要するに、凸部23に当接されたロータ101,301や棒状部材201を駆動するように振動すれば、電極の形状、配置等は限定されない。したがって凸部23の振動軌跡も限定されず、各実施形態においては楕円軌道であったが、例えば縦振動のみあるいは屈曲振動のみなどであってもよい。
【0043】
振動板2を固定板4に対して角度を有して配置する構造としては、第二実施形態および第三実施形態のような腕部3の基端部分を折曲して振動板2を起こすものに限らない。例えば図6に示されるように振動板2の両端に腕部3を設けて、腕部3をねじることによって固定板4に対して角度を有して配置してもよい。
図6(A)には固定板4および振動板2の配置を示す平面図が、また図6(B)には図6(A)の駆動装置1の振動板2を固定板4に対して角度を有するように配置した図が示されている。これらの図6(A)および図6(B)に示されるように、腕部3はねじられることによって弾性を有し、凸部23を被駆動体側に付勢する付勢手段となる。このように腕部3をねじると弾性が向上し、耐衝撃性を向上させることができる。
図7(A)には駆動装置1の固定板4および振動板2の配置を示す平面図が、また図7(B)には図7(A)の振動板2を固定板4に対して角度を有するように配置した図が示されている。これらの図7(A)および図7(B)に示されるように腕部3の基端側の折曲部分が形成孔43の長手方向と直交する向きとなるように設け、当該部分を振動板2の短手方向に平行に折曲することによって、振動板2を固定板4から角度をつけて配置してもよい。もちろん、これら折曲やねじり等の組み合わせによって振動板2を固定板4に対して角度を有するように配置してもよい。なお、いずれの場合でも振動板2を固定板4に対して略直角に配置していたが、これに限らず振動板2の角度は被駆動体の位置や駆動装置1の用途等に応じて適宜設定されればよい。
図8(A)には固定板4および振動板2の配置を示す平面図が、また、図8(B)には図8(A)の振動板2を固定板4に対して角度を有するように配置した図が示されている。これらの図8(A)および図8(B)に示されるように、腕部3の基端側を形成孔43の長手方向に対して約45°の角度で折曲すれば、振動板2の長手方向は、固定板4に対して約45°の角度を有して配置されることとなる。
また、被駆動体の配置は、第二実施形態では固定板4に取付孔44を形成して配置していたが、前述の図8に示されるように、隣接する形成孔43に棒状部材201を配置してもよい。
図9(A)には、固定板4に対する振動板2の配置を示す平面図が、また図9(B)には図9(A)の振動板2を固定板4に対して角度を有するように配置した図が示されている。これらの図9(A)および図9(B)に示されるように振動板2を千鳥格子状に配置し、斜め隣に形成された形成孔43に棒状部材201を配置してもよい。このように配置すれば、駆動装置1のスペース効率をより一層向上させることができる。
【0044】
振動板2の構造は、各実施形態において振動板2の表裏両面に圧電素子22が貼設されているものであったが、これに限らない。例えば、図10に示されるように振動板2の側面に貼設してもよい。
図10には、圧電素子22が振動板2の側面に貼設された駆動装置1の平面図が示されている。この図10において、駆動装置1は振動板2を四つ備えている。これらの振動板2は、略L字形に形成された補強板21が連続部24(24A,24B)で一体的に連続して全体として略正方形に形成されている。四つの連続部24のうち、向かい合う二つ(24B)は外側に向かって湾曲して細長く形成されており、所定の長さが確保されることによって連続部24Bは弾性を備えている。また、連続部24Bの略中央には孔25が形成され、これにより駆動装置1は図示しないベース部材に固定可能となっている。各振動板2内側の頂点から等距離の二箇所には、振動板2の側面から突出するように略矩形状の圧電素子22の一端がそれぞれ貼設されている。この圧電素子22の他端はともに凸部23の側面に貼設されている。このような駆動装置1の略中央には断面円形の棒状部材201が回転可能に挿通されており、凸部23は弾性を有する連続部24Bによって棒状部材201側に付勢されている。この構造の駆動装置1では、一つの凸部23に貼設された二つの圧電素子22を所定の位相差で駆動することにより、凸部23の先端が楕円軌道を描くように振動させ、棒状部材201を回転させる。このような駆動装置1でも、圧電素子22が側面に貼設された振動板2を同一基部材から一体的に形成しているので、駆動装置1のスペース効率を向上させることができ、簡単に製造できる。またこのように、複数の振動板2が同一基部材から一体的に形成されていれば本発明の目的を達成できるので、固定板4は必ずしも設けられていなくてよい。
複数の振動板2は、各実施形態では同形状に設けられていたが、各振動板2の寸法や形状は互いに異なるものでもよく、被駆動体の寸法や配置等によって任意に設定されてよい。
【0045】
駆動装置1の製造方法は、各実施形態においては、複数の振動板2が形成される部分全体に一枚の圧電素子を貼設して、振動板2の外周の残余部分を取り除くと同時に圧電素子22を形成していたが、これに限らない。例えば、一つの振動板2に、振動板2の寸法よりも若干大きい圧電素子を貼って振動板2を形成すれば、圧電素子の切断量を最小限に抑制しながら、振動板2と圧電素子22との寸法および圧電素子22の貼付位置をそろえることができる。あるいは、例えば、振動板2を基部材上に形成して、その後、振動板2の表裏両面に圧電素子22を貼設してもよい。この場合には、使用する圧電素子の量を最小限に抑制できるので、材料費を削減できる。また、基部材から固定板4や振動板2などを除いた残余部分を取り除く方法も、各実施形態ではエッチング加工であったが、これに限らずワイヤ放電加工やプレス加工など、駆動装置1の製造方法や材料、寸法などを勘案して適宜選択してよい。
【0046】
圧電素子22への配線は、各実施形態において圧電素子22の電極にそれぞれリード線を接続するものであったが、これに限らず固定板4上にプリント配線してもよい。
図11には、駆動装置1の圧電素子22への配線を示す平面図が示されている。この図11において、固定板4には各圧電素子22近傍まで複数(図11においては七つ)のプリント配線45が形成されている。プリント配線45は二層に構成されており、固定板4に接触する一層目は絶縁材料で、また二層目は導通材料でプリントされている。これにより、プリント配線45は固定板4とは絶縁されている。これらのプリント配線45のうち六つは、圧電素子22近傍の一端においてそれぞれの電極22Bにリード線によって接続されている。また、他端は固定板4の所定位置に互いに近接して配置され、リード線で印加装置に接続されている。また、プリント配線45のうちの一つは、その一端が一つの圧電素子22の電極22Aおよび電極22Cにリード線で接続されており、また他端は別のリード線で振動検出装置に接続されている。
このような圧電素子22の配線によれば、リード線が圧電素子22の近傍のみに設けられるので、これらの配線が絡まることなく使用中の断線を防止できる。また、プリント配線45の他端が所定位置に互いに近接して配置されているので、印加装置への接続が簡単に行える。
【0047】
駆動装置1は、冷却機器11や点字表示機器などの機器200に適用されていたが、これに限らず例えば棒状部材を進退させて液体吐出装置のインクタンクを開閉する開閉弁や、棒状部材の先端をオルゴールの鍵盤に当接可能に設けてオルゴールを演奏するオルゴール機器など、様々な機器に適用できる。いずれの場合でも、複数の振動板2が同一基部材から一体的に形成されているので、駆動装置のスペース効率を向上させることができ、製造を簡単にできる。
【0048】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0049】
【発明の効果】
このような本発明によれば複数の振動体を同一基部材から一体的に形成したので、駆動装置のスペース効率を向上させることができ、製造を簡単にできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態にかかる駆動装置を示す図。
【図2】本発明の第二実施形態にかかる駆動装置を示す図。
【図3】本発明の第三実施形態にかかる駆動装置を示す図。
【図4】本発明の第四実施形態にかかる駆動装置を示す図。
【図5】本発明の第五実施形態にかかる駆動装置を示す図。
【図6】本発明の変形例を示す図。
【図7】本発明の変形例を示す図。
【図8】本発明の変形例を示す図。
【図9】本発明の変形例を示す図。
【図10】本発明の変形例を示す図。
【図11】本発明の振動板への配線の変形例を示す図。
【符号の説明】
1…駆動装置、2…振動板(振動体)、3…腕部(付勢手段)、4…固定板(固定体)、11…冷却機器(機器)、22…圧電素子、23…凸部、46…支持部、100…ファン、101…ロータ(被駆動体)、200…装置、201…棒状部材、202…付勢手段。
Claims (15)
- 圧電素子を備えた振動体の振動によって被駆動体を駆動する駆動装置において、前記振動体は複数設けられるとともに、同一基部材で一体的に形成されていることを特徴とする駆動装置。
- 請求項1に記載の駆動装置において、前記被駆動体は、一つの前記振動体に対して一つ設けられていることを特徴とする駆動装置。
- 請求項1に記載の駆動装置において、前記被駆動体は、複数の前記振動体に対して一つ設けられていることを特徴とする駆動装置。
- 請求項1から請求項3のいずれかに記載の駆動装置において、前記振動体は一つの支点で支持されていることを特徴とする駆動装置。
- 請求項1から請求項4のいずれかに記載の駆動装置において、複数の前記振動体を振動可能に支持するとともに、前記振動体と同一基部材から一体的に形成された固定体を備えていることを特徴とする駆動装置。
- 請求項5に記載の駆動装置において、前記固定体は、前記被駆動体を支持する支持部を一体的に備えていることを特徴とする駆動装置。
- 請求項5または請求項6に記載の駆動装置において、前記固定体は、前記振動体と前記被駆動体とを所定の付勢力で当接させる付勢手段を一体的に備えていることを特徴とする駆動装置。
- 請求項7に記載の駆動装置において、前記付勢手段は前記振動体を前記被駆動体側へ付勢するように構成されていることを特徴とする駆動装置。
- 請求項7に記載の駆動装置において、前記付勢手段は前記被駆動体を前記振動体側へ付勢するように構成されていることを特徴とする駆動装置。
- 請求項5から請求項9のいずれかに記載の駆動装置において、前記振動体は前記固定体に対して角度を有して配置されていることを特徴とする駆動装置。
- 請求項5から請求項10のいずれかに記載の駆動装置において、前記固定体が湾曲して立体的に形成されていることを特徴とする駆動装置。
- 圧電素子を備えた振動体の振動によって被駆動体を駆動する駆動装置の製造方法であって、前記振動体を同一基部材から複数一体的に形成することを特徴とする駆動装置の製造方法。
- 請求項12に記載の駆動装置の製造方法において、前記基部材の前記振動体が配置される位置の表面に前記圧電素子を貼設し、その状態で少なくとも複数の前記振動体を除いた残余部分を取り除くことを特徴とする駆動装置の製造方法。
- 請求項1から請求項11のいずれかに記載の駆動装置を用いたことを特徴とする機器。
- 請求項14に記載の機器において、前記駆動装置によって駆動される送風機構を備えていることを特徴とする機器。
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