JP2004140059A - 絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】既に形成されたエクステンション不純物分布領域の表面部が、プロセス途中で意図しないエッチングにより掘れ、特性が低下する。
【解決手段】チャネルが形成される半導体1の表面部分を所定の深さDだけエッチングする工程と、エッチングにより形成された半導体表面の凹部1aに、ゲート絶縁膜2とゲート電極3の積層体を形成する工程と、レジスト層6を形成する工程と、レジスト層6をマスクとしたイオン注入により不純物を導入し、ソースまたはドレインのエクステンション不純物領域5aを形成する工程と、レジスト層6を剥離し、後処理洗浄を行う工程と、ゲート電極3のエッジより所定距離だけ離れた半導体の部分に、ソース・ドレイン不純物領域(不図示)を形成する工程と、を含む。
【選択図】 図3
【解決手段】チャネルが形成される半導体1の表面部分を所定の深さDだけエッチングする工程と、エッチングにより形成された半導体表面の凹部1aに、ゲート絶縁膜2とゲート電極3の積層体を形成する工程と、レジスト層6を形成する工程と、レジスト層6をマスクとしたイオン注入により不純物を導入し、ソースまたはドレインのエクステンション不純物領域5aを形成する工程と、レジスト層6を剥離し、後処理洗浄を行う工程と、ゲート電極3のエッジより所定距離だけ離れた半導体の部分に、ソース・ドレイン不純物領域(不図示)を形成する工程と、を含む。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソース・ドレイン不純物領域が、いわゆるエクステンション不純物領域を備える絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)で代表される絶縁ゲート電界効果トランジスタは、半導体集積回路(IC)の能動デバイスとして広く用いられている。ICの高集積化は、主に、MOSFETの微細化によって支えられている。
CMOS(complementary mental−oxide semiconductor)ロジックICなどにおいて、P型チャネルMOSトランジスタ(以下、PMOS)とN型チャネルMOSトランジスタ(以下、NMOS)が混在する。これらの不純物の種類、プロファイルが異なるトランジスタに対し、微細化に伴う短チャネル効果抑制のために、いわゆるエクステンション(Extension)と称される浅い接合のイオン注入技術、さらにはゲート長Lgに依存したチャネル不純物プロファイルの制御のために、ポケット(Pocket)、もしくは、ハロー(Halo)と呼ばれるイオン注入技術が知られている。
このうちエクステンション不純物領域は、最近の微細化の進展にともなって非常に浅い接合深さが要求される。また、ソース抵抗などの抑制のために、以前より高い不純物濃度に設定される傾向がある。
【0003】
一方、ロジックICは、通常、電源電圧Vddで動作する低耐圧のロジックトランジスタのほかに、その入出力部に、外部から印加される可能性がある高い電圧から内部回路を護るために、ロジックトランジスタより、高い耐圧のトランジスタが用いられる。
エリアペナルティを被ることなく耐圧を向上させるために、通常、そのソースまたはドレインの不純物濃度プロファイルを、ロジックトランジスタのそれと異ならせる。このような場合、同一ウエハ内の異なる箇所に、異なるイオン注入条件でエクステンション不純物領域を繰り返し形成する必要がある。
【0004】
図8(A)〜図8(C)に、一旦エクステンション不純物領域形成のためのイオン注入がされたトランジスタ(例えば、CMOSロジックICのN型ロジックトランジスタ)に対し、他のトランジスタのエクステンション不純物領域形成のために、必然的に施される処理を断面図において示す。
図8(A)において、チャネルが形成される半導体、例えばPウエル100の上にゲート絶縁膜101が形成され、ゲート絶縁膜101の上にゲート電極102が形成されている。ゲート電極102のチャネル方向の両側におけるウエル表面部分に、相対的に低い加速エネルギーのイオン注入によりN型不純物が浅く導入されている。図中の符号103は、このN型不純物の分布領域を示し、エクステンション不純物分布領域という。
【0005】
その後、不純物分布領域103が形成された図8(A)に示すN型ロジックトランジスタと同じウエハ内の他のトランジスタ、例えばP型ロジックトランジスタ、N型またはP型の入出力トランジスタに、不純物分布領域103と異なる条件でイオン注入を行うために、レジスト層104が形成される。図8(A)において、先にイオン注入が済んだN型ロジックトランジスタはレジスト層104で覆われている。
【0006】
図示していない他のトランジスタに対するイオン注入が済むと、用いたレジスト層104を剥離する。剥離において、図8(B)に示すように、O2プラズマ内で有機レジストを燃焼させて灰化させて除去する。図示しないが、このときウエル100のシリコン表面に自然酸化膜が薄く形成される。
【0007】
図8(C)において後処理洗浄を行い、その後、図8(A)〜図8(C)の工程を必要な回数繰り返した後、サイドウォール・スペーサの形成、ソース・ドレイン不純物領域の形成等を行って、当該CMOSロジックICを完成させる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来の絶縁ゲート電界効果トランジスタを含む半導体装置の製造方法において、図8(C)の後処理洗浄工程において、有機物除去のためフッ酸を含む洗浄液が用いられる。このため、自然酸化膜がエッチングにより除去され、結果として、自然酸化膜除去後のシリコン表面が最初の状態より多少なりとも掘れてしまう。不純物濃度が高いシリコンは酸化されやすく、高濃度薄層化している現状のエクステンション不純物領域においては、1回のレジスト剥離と後処理洗浄で、例えば0.5nm〜1.0nm程度シリコンの表面部分が掘れることになる。
【0009】
図9は、複数回、例えば4回のレジスト剥離と後処理洗浄を経た後のMOSFETの拡大した断面図である。
4回目の後処理洗浄後には、シリコン表面の掘れ量Δdの累計は、最近の薄いゲート絶縁膜101の膜厚tox、あるいはエクステンションイオン注入の不純物イオンの投影飛程Rpと同程度(例えば、2nm〜3nm)まで達する。
【0010】
図10(A)に、スルー酸化膜(through oxide)を通してN型不純物をイオン注入した場合、イオン注入直後における、基板の深さ方向の不純物濃度プロファイルを示す。また、図10(B)に、このサンプルのシリコン表面を0.5nm掘った場合、1.0nm削った場合の不純物濃度プロファイルを、掘れなしの場合と比較して示す。この図10(B)の不純物濃度プロファイルは、様々な熱処理が施されるCMOSプロセスを経た最終的な不純物濃度プロファイルである。
図10(B)に示すように、シリコン表面が0.5nm掘れただけで、不純物濃度が20%低下し、1.0nmの掘れでは不純物濃度が40%も低下することが判る。
【0011】
図11は、掘れ量が0.5nmと1.0nmのトランジスタを、掘れなしのトランジスタとVg−Ids特性において比較したグラフである。掘れが生じエクステンション領域の抵抗が上がると、同じゲート電圧Vgを印加したときのドレイン電流Idsが低下している。このドレイン電流Idsの低下は、図12に示すように30%に近い大幅なものである。このとき、閾値電圧Vthが100mV変化している。
このようにトランジスタ特性が変化するのは、シリコン表面の掘れに起因した不純物量の低下によってエクステンション不純物領域の横方向の拡がり寸法が短くなり、実効的なチャネル長が相対的に長くなるためである。また、エクステンション不純物領域のシート抵抗が極めて高くなり、寄生抵抗の増大によってトランジスタの駆動能力が低下する。
【0012】
本発明の目的は、プロセス途中における意図しないエッチングによる、既に形成されたエクステンション不純物分布領域の不純物量の低下を有効に防止し、特性低下を防ぐ絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法は、上記目的を達成するためのものであり、チャネルが形成される半導体の表面部分を所定の深さエッチングする工程と、前記エッチングにより形成された半導体表面の凹部に、ゲート絶縁膜とゲート電極の積層体を形成する工程と、レジスト層を形成する工程と、前記レジスト層をマスクとしたイオン注入により不純物を導入し、ソースまたはドレインのエクステンション不純物分布領域を形成する工程と、前記レジスト層を剥離し、後処理洗浄を行う工程と、前記ゲート電極のエッジより所定距離だけ離れた前記半導体の部分に、ソース・ドレイン不純物領域を形成する工程と、を含む。
【0014】
この絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法において、チャネルが形成される半導体の表面部分を所定量エッチングしてから、ゲート絶縁膜とゲート電極の積層体を形成する。したがって、この段階で、ソースまたはドレインが形成される半導体の表面の高さが、チャネルが形成される半導体の表面の高さより高くなる。つぎにエクステンション不純物領域を形成するためのイオン注入を行う。レジスト層を形成し、これをマスクとしたイオン注入を行うと、ゲート電極が自己整合マスクとして機能し、その周囲の半導体の表面にエクステンション不純物分布領域が形成される。その後、レジストを剥離し、ソース・ドレイン不純物領域の形成を行うが、このレジスト剥離時に自然酸化膜が形成され、自然酸化膜が後処理洗浄工程で除去される。自然酸化膜形成時に半導体の表面層が消費されるため、半導体の表面部分の高さがイオン注入前より低くなり、チャネルが形成されるゲート電極直下の半導体表面と高さにおいて近づく、あるいは揃う。この半導体の掘れ量が予め判っている場合、その分、イオン注入を深くまで行っておくと、必要な不純物濃度プロファイルのエクステンション不純物領域が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る絶縁ゲート電界効果トランジスタ(MISFET)の製造方法の実施の形態を、耐圧が低いロジックトランジスタと、耐圧が相対的に高い入出力トランジスタとを有し、それぞれチャネル導電型がN型とP型のCMOS構成であるCMOSロジックICを例として、図面を参照しながら説明する。ここでは、NMOSロジックトランジスタの断面において説明する。
【0016】
[第1の実施の形態]
図1(A)〜図4(C)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置(IC)において、NMOSロジックトランジスタ部分の製造途中の断面図である。
【0017】
図1(A)において、符号1は、例えばP型シリコンウエハなどの半導体基板に形成されたウエル、あるいはSOI層など基板に支持された半導体を示す。本発明で、チャネルが形成される半導体とは、この半導体基板、ウエルあるいはSOI層などをいう。以下、半導体の例としてウエルを例に説明する。
NMOSロジックトランジスタは、専用のP型ウエル1に形成される。図示しない他のPMOSロジックは専用のNウエルに形成され、同様に、入出力トランジスタもそれぞれ専用のウエルに形成される。
トランジスタの形成領域をマスクして行う部分的な熱酸化法、あるいは、STI(Shallow Trench Isolation)法などの方法により、ウエル1の表面部分の一部を絶縁化し、ウエル1に図示を省略した所定パターンの素子分離絶縁層を形成する。
【0018】
図1(A)に示すように、素子分離絶縁層が形成されていないウエル1の表面で開口するレジスト層10を形成し、レジスト層をマスクとした、例えばドライエッチング法により、ウエル1の表面をエッチングする。異方性が強いドライエッチングにより、ウエル表面部分を所定深さD、例えば10nm程度エッチングする。第1の実施の形態におけるエッチングの深さDは、後述するプロセスに依存し、予め決められる。
【0019】
レジスト層10を除去後、図1(B)に示すように、上記エッチングにより形成されたウエル1の凹部1aの表面を含むウエルの露出面全域に、ゲート絶縁膜2を形成する。ゲート絶縁膜2は、例えば熱酸化法により形成された酸化シリコン、酸化窒化シリコン(oxynitride)などからなる。
次に、ゲート絶縁膜2の上に、例えば不純物がドープされて導電率が高められた多結晶珪素(ドープトポリシリコン)あるいは非晶質珪素(ドープトアモルファスシリコン)からなるゲート電極膜3aを堆積する。ゲート電極膜3aは、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により150nmほど堆積され、その途中、あるいは後のイオン注入により不純物がドープされる。
【0020】
図2(A)に示すように、ゲート電極膜3aの上に、ゲートのパターンを有するレジスト層4を形成し、これをマスクとしたドライエッチングにより、ゲート電極膜3aとゲート絶縁膜2をパターンニングして、ゲート電極3とゲート絶縁膜2との積層体を形成する。このとき、ゲート電極周囲のゲート絶縁膜2を残してもよいが、薄いゲート絶縁膜2は、オーバエッチング時にエッチオフされることが多い。
【0021】
図2(B)において、NMOSロジックトランジスタの形成領域を開口する不図示のレジスト層を形成する。レジスト層をマスクとして、ソース・ドレイン領域S/Dのエクステンション不純物領域を形成するために、N型不純物イオンを注入する。例えば、イオン種としての弗化ホウ素イオンBF2 +を、加速エネルギー5keV、ドーズ1.0×1015ions/cm2、注入角0°にてSOI層4にイオン注入する。このとき、ゲート電極4(および素子分離絶縁層)が自己整合マスクとして機能する。これにより、ゲート電極3の両側のウエル表面部に、N型のエクステンション不純物分布領域5aが形成される。
なお、イオン注入に先立って、ウエル1の表面の汚染を防止し、注入時に導入される欠陥を軽減するスルー膜を形成してもよい。
その後、レジスト層を剥離し、後処理洗浄を行う。レジスト剥離と後処理洗浄については後述する。
【0022】
他の種類のトランジスタ(PMOSロジックトランジスタ、P型およびN型の入出力トランジスタ)について、図2(B)に示すエクステンション不純物分布領域をそれぞれ個別の工程において形成する。図3(A)〜図3(C)は、エクステンション不純物分布領域の形成のための一連の工程中に、NMOSロジックトランジスタに必然的に施される処理を図解している。
【0023】
図3(A)に、イオン注入マスクとして形成されたレジスト層6を示すが、このレジスト層6は、他の箇所で開口し、NMOSロジックトランジスタの形成箇所はイオン注入対象でないのでレジスト層6で覆われている。
【0024】
図3(B)はレジスト剥離工程を図解している。レジスト剥離工程では、酸素ガスをプラズマアッシング装置に導入し、アッシングを行う。アッシング時に、酸素プラズマにウエハが曝され、自然酸化膜7がウエル1およびゲート電極3の表面に形成される。ウエル表面に形成される自然酸化膜厚は、例えば、0.5nm〜1.0nm程度である。
【0025】
図3(C)において、後処理洗浄を行う。このとき、ウエル1の表面の自然酸化膜7が除去され、ウエル1の基板面に垂直な上向きの位置(以下、高さという)が低下する。この高さの減少量Δdは、自然酸化膜厚に応じて0.数nm程度である。
【0026】
以上の図3(A)〜図3(C)に図解した一連の工程が、既に形成されたNMOSロジックトランジスタのエクステンション不純物分布領域5aに対し、本例では、あと3回施される。P型ロジックトランジスタ、N型入出力トランジスタ、P型入出力トランジスタのそれぞれ別の工程で、エクステンション不純物領域を形成するためである。
また、これら一連の工程が、既に形成されたNMOSロジックトランジスタのエクステンション不純物分布領域5aに対し、あと7回施されることがある。例えば、4種類のトランジスタごとにハローイオン注入を行う場合である。さらに、例えばメモリ混載ロジックICでは、さらに高耐圧トランジスタが必要であり、これら一連の工程が施される回数はもっと多い。
【0027】
第1の実施の形態では、図3(A)〜図3(C)に示す一連の工程が施される回数に応じて、図1(A)に示すウエル表面の凹部の深さDを予め設定する。つまり、この一連の工程が施される回数をNとしたときに、望ましくは、D=Δd×Nに設定する。
【0028】
その後、例えば酸化シリコンの膜をCVDし、これを全面異方性エッチング(エッチバック)する。これにより、図4(A)に示すように、サイドウォール・スペーサ8がゲート電極3の側面にそれぞれ形成される。
【0029】
図4(B)において、ソース・ドレイン領域形成のためのイオン注入を行う。このイオン注入もトランジスタの種類ごとに選択的に行う。つまり、図3(A)と同様に、イオン注入対象のトランジスタ箇所で開口したレジスト層を形成し、それぞれのトランジスタに適合した条件でイオン注入し、その後、図3(B)および(C)と同様にレジスト層を剥離し、後処理洗浄を行う。
イオン注入条件を一例挙げると、NMOSロジックトランジスタに対するイオン注入において、例えば、イオン種としての砒素イオンAs+を、加速エネルギー5keV、ドーズ1.5×1015ions/cm2、注入角0°にてイオン注入する。このとき、サイドウォール・スペーサ8、ゲート電極3(および素子分離絶縁層)が自己整合マスクとして機能する。これにより、サイドウォール・スペーサ8の、チャネル中央に対する外側のエッジにより規定されるウエル内位置に、N型のソース・ドレイン不純物分布領域9aが形成される。
【0030】
その後、注入した不純物の活性化のための熱処理(アニール)を行う。アニールとしてRTA(Rapid Thermal Annealing)を用いることができる。このときRTAを、例えば窒素N2雰囲気中において950℃で保持した基板に対し、10秒ほど行う。これにより不純物が拡散し、図4(C)に示すように、ソース・ドレイン不純物領域9と、ソース・ドレイン不純物領域9からチャネル中央側に張り出したエクステンション不純物領域5からなるソース・ドレイン領域S/Dが形成される。
【0031】
その後は、必要に応じて、層間絶縁膜の堆積、コンタクトの形成および配線の形成を必要な回数繰り返して、当該CMOSロジックICを完成させる。
【0032】
本実施形態における製造方法において、ゲート絶縁膜2の形成の前に、ウエル1のチャネルが形成される部分を所定深さDだけエッチングし、エッチングにより形成された凹部1aにゲート絶縁膜2とゲート電極3を形成する。その段階では、ゲート電極周囲のウエル部分の表面高さが、ゲート電極の下方のチャネルが形成されるウエル部分の表面高さより高い。ところが、その後、エクステンション不純物分布領域5aを行った後(図4(A)参照)に、ウエル表面の高さがほぼ揃うようになる。エクステンション不純物イオンの加速エネルギーを従来に比べ高く設定することにより、エクステンション不純物分布領域5aをウエル表面から若干深くに形成する。このため、他のエクステンション不純物イオン注入のための一連の工程を経てウエル表面部が掘れても、その掘れによりエクステンション不純物分布領域5aの不純物量が大幅に減ることがない。その結果として、不純物濃度の減少によるシート抵抗の上昇、電流駆動能力の低下、閾値電圧の変動、動作速度の低下、および、これらに起因した回路誤動作をことごとく防止できる。
【0033】
図5は、掘れ量が予定通りに凹部1aの深さと一致した場合(▲2▼通常と表記)と、予定より0.5nm掘れ量が不足した場合(▲1▼0.5nm残りと表記)、予定より0.5nm余計に掘れた場合(▲3▼0.5nm掘れと表記)において、トランジスタのVg−Ids特性を比較したグラフである。また、図6は、この3つの試料におけるトランジスタの閾値電圧Vthおよびドレイン電流Idsの変動を示すグラフである。
これらグラフから、閾値電圧Vthが±7mV、ドレイン電流Idsが±6%ばらつく程度に抑えられていることが判る。これは生産上起こりうる程度のばらつきであり、本実施形態の製造方法によって十分な均一性が確保できることが判明した。
【0034】
[第2の実施の形態]
図7は、第2の実施の形態における製造工程のフロー図である。
第2の実施の形態における製造方法では、第1の実施の形態における諸工程に、図7に示す第4のステップST4と、第5のステップ程ST5が追加されている。他の工程は第1の実施の形態と共通しており、本実施形態においても、図1(A)〜図4(C)がそのまま適用される。
【0035】
ウエルの形成、素子分離絶縁層の形成後のステップST1において、チャネルが形成されるウエルの表面部分をエッチングする。このときのエッチング量は、その周囲のエクステンション形成領域の予想される掘れ量Dより十分大きくする。例えば、前述したようにエクステンション形成領域の形成回数Nが4〜8回の場合、1回の掘れ量Δdを最大1.0nmと想定し、これにマージンをとって10nmのエッチング量(以下、DEと表記)を設定する。
【0036】
第1の実施の形態と同様に、ゲート電極3のパターニングを行い(ステップST2)、エクステンション不純物分布領域5aの形成のための一連の工程を必要な回数Nだけ繰り返し行う(ステップST3)。
【0037】
本実施形態では、ステップST4において、ウエハ内のTEG(Test Elements Group)内のテストエレメントを用いて、どの程度更なるエッチングが必要かを知るための測定を行う。測定の方法に限定はないが、例えば、エクステンション不純物分布領域のシート抵抗を測る。
この測定の結果に応じて、ステップST5において最終的なエッチングを行う。これにより、ウエハごとのばらつきを吸収して、ウエハ間でほぼ同じ濃度プロファイルのエクステンション不純物領域5を得ることができる。
【0038】
その後は、第1の実施の形態と同様に、サイドウォール・スペーサの形成以後の諸工程を行って、当該半導体装置を完成させる。
【0039】
この製造方法によれば、工程数が増えるが、エクステンション不純物領域5をより高精度に形成でき、特性および歩留まりの低下をより効果的に防止し、またウエハ間で特性を揃えることができるという利点が得られる。
【0040】
なお、上記説明は集積回路を前提としたが、エクステンション不純物領域の形成が1回の単体トランジスタの形成に、第1および第2の実施形態で示した方法が同様に適用できる。
【0041】
【発明の効果】
本発明に係る絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法によれば、既に形成されたエクステンション不純物領域のプロセス途中における意図しないエッチング(掘れ)が生じた場合でも、その影響により特性および歩留まりの低下を有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)および(B)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置(IC)において、ゲート電極膜の堆積工程までを示す、NMOSロジックトランジスタ部分の断面図である。
【図2】(A)および(B)は、図1(B)に続くエクステンション不純物領域形成のためのイオン注入工程までを示す、NMOSロジックトランジスタ部分の断面図である。
【図3】(A)〜(C)は、図2(B)に続く他の種類のトランジスタにおけるレジスト剥離の後処理洗浄工程までを示す、NMOSロジックトランジスタ部分の断面図である。
【図4】(A)〜(C)は、図3(C)に続くソース・ドレイン領域の形成工程までを示す、NMOSロジックトランジスタ部分の断面図である。
【図5】掘れ量がばらついた場合で比較した、トランジスタのVg−Ids特性のグラフである。
【図6】掘れ量がばらついた場合、トランジスタの閾値電圧およびドレイン電流の変動を示すグラフである。
【図7】本発明の第2の実施の形態における製造工程のフロー図である。
【図8】(A)〜(C)は、従来技術の課題を説明する際に用いた、レジスト層をマスクとしたイオン注入に必要な一連の工程を示す断面図である。
【図9】複数回、例えば4回のレジスト剥離と後処理洗浄を経た後のMOSFETの一部を拡大した断面図である。
【図10】シリコン基板の深さ方向のN型不純物の濃度プロファイルを示すグラフである。(A)に、イオン注入直後のプロファイルを示す。(B)に、シリコン表面を0.5nm削った場合、1.0nm削った場合の不純物濃度プロファイルを、掘れなしの場合と比較して示す。
【図11】掘れ量が0.5nmと1.0nmのトランジスタを、掘れなしのトランジスタと比較したVg−Ids特性のグラフである。
【図12】掘れ量と閾値電圧およびドレイン電流との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…チャネルが形成される半導体、1a…凹部、2…ゲート絶縁膜、3…ゲート電極、4…レジスト層、5a…エクステンション不純物分布領域、5…エクステンション不純物領域、6…レジスト層、7…自然酸化膜、8…サードウォール・スペーサ、9a…ソース・ドレイン不純物分布領域、9…ソース・ドレイン不純物領域、10…レジスト層
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソース・ドレイン不純物領域が、いわゆるエクステンション不純物領域を備える絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)で代表される絶縁ゲート電界効果トランジスタは、半導体集積回路(IC)の能動デバイスとして広く用いられている。ICの高集積化は、主に、MOSFETの微細化によって支えられている。
CMOS(complementary mental−oxide semiconductor)ロジックICなどにおいて、P型チャネルMOSトランジスタ(以下、PMOS)とN型チャネルMOSトランジスタ(以下、NMOS)が混在する。これらの不純物の種類、プロファイルが異なるトランジスタに対し、微細化に伴う短チャネル効果抑制のために、いわゆるエクステンション(Extension)と称される浅い接合のイオン注入技術、さらにはゲート長Lgに依存したチャネル不純物プロファイルの制御のために、ポケット(Pocket)、もしくは、ハロー(Halo)と呼ばれるイオン注入技術が知られている。
このうちエクステンション不純物領域は、最近の微細化の進展にともなって非常に浅い接合深さが要求される。また、ソース抵抗などの抑制のために、以前より高い不純物濃度に設定される傾向がある。
【0003】
一方、ロジックICは、通常、電源電圧Vddで動作する低耐圧のロジックトランジスタのほかに、その入出力部に、外部から印加される可能性がある高い電圧から内部回路を護るために、ロジックトランジスタより、高い耐圧のトランジスタが用いられる。
エリアペナルティを被ることなく耐圧を向上させるために、通常、そのソースまたはドレインの不純物濃度プロファイルを、ロジックトランジスタのそれと異ならせる。このような場合、同一ウエハ内の異なる箇所に、異なるイオン注入条件でエクステンション不純物領域を繰り返し形成する必要がある。
【0004】
図8(A)〜図8(C)に、一旦エクステンション不純物領域形成のためのイオン注入がされたトランジスタ(例えば、CMOSロジックICのN型ロジックトランジスタ)に対し、他のトランジスタのエクステンション不純物領域形成のために、必然的に施される処理を断面図において示す。
図8(A)において、チャネルが形成される半導体、例えばPウエル100の上にゲート絶縁膜101が形成され、ゲート絶縁膜101の上にゲート電極102が形成されている。ゲート電極102のチャネル方向の両側におけるウエル表面部分に、相対的に低い加速エネルギーのイオン注入によりN型不純物が浅く導入されている。図中の符号103は、このN型不純物の分布領域を示し、エクステンション不純物分布領域という。
【0005】
その後、不純物分布領域103が形成された図8(A)に示すN型ロジックトランジスタと同じウエハ内の他のトランジスタ、例えばP型ロジックトランジスタ、N型またはP型の入出力トランジスタに、不純物分布領域103と異なる条件でイオン注入を行うために、レジスト層104が形成される。図8(A)において、先にイオン注入が済んだN型ロジックトランジスタはレジスト層104で覆われている。
【0006】
図示していない他のトランジスタに対するイオン注入が済むと、用いたレジスト層104を剥離する。剥離において、図8(B)に示すように、O2プラズマ内で有機レジストを燃焼させて灰化させて除去する。図示しないが、このときウエル100のシリコン表面に自然酸化膜が薄く形成される。
【0007】
図8(C)において後処理洗浄を行い、その後、図8(A)〜図8(C)の工程を必要な回数繰り返した後、サイドウォール・スペーサの形成、ソース・ドレイン不純物領域の形成等を行って、当該CMOSロジックICを完成させる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この従来の絶縁ゲート電界効果トランジスタを含む半導体装置の製造方法において、図8(C)の後処理洗浄工程において、有機物除去のためフッ酸を含む洗浄液が用いられる。このため、自然酸化膜がエッチングにより除去され、結果として、自然酸化膜除去後のシリコン表面が最初の状態より多少なりとも掘れてしまう。不純物濃度が高いシリコンは酸化されやすく、高濃度薄層化している現状のエクステンション不純物領域においては、1回のレジスト剥離と後処理洗浄で、例えば0.5nm〜1.0nm程度シリコンの表面部分が掘れることになる。
【0009】
図9は、複数回、例えば4回のレジスト剥離と後処理洗浄を経た後のMOSFETの拡大した断面図である。
4回目の後処理洗浄後には、シリコン表面の掘れ量Δdの累計は、最近の薄いゲート絶縁膜101の膜厚tox、あるいはエクステンションイオン注入の不純物イオンの投影飛程Rpと同程度(例えば、2nm〜3nm)まで達する。
【0010】
図10(A)に、スルー酸化膜(through oxide)を通してN型不純物をイオン注入した場合、イオン注入直後における、基板の深さ方向の不純物濃度プロファイルを示す。また、図10(B)に、このサンプルのシリコン表面を0.5nm掘った場合、1.0nm削った場合の不純物濃度プロファイルを、掘れなしの場合と比較して示す。この図10(B)の不純物濃度プロファイルは、様々な熱処理が施されるCMOSプロセスを経た最終的な不純物濃度プロファイルである。
図10(B)に示すように、シリコン表面が0.5nm掘れただけで、不純物濃度が20%低下し、1.0nmの掘れでは不純物濃度が40%も低下することが判る。
【0011】
図11は、掘れ量が0.5nmと1.0nmのトランジスタを、掘れなしのトランジスタとVg−Ids特性において比較したグラフである。掘れが生じエクステンション領域の抵抗が上がると、同じゲート電圧Vgを印加したときのドレイン電流Idsが低下している。このドレイン電流Idsの低下は、図12に示すように30%に近い大幅なものである。このとき、閾値電圧Vthが100mV変化している。
このようにトランジスタ特性が変化するのは、シリコン表面の掘れに起因した不純物量の低下によってエクステンション不純物領域の横方向の拡がり寸法が短くなり、実効的なチャネル長が相対的に長くなるためである。また、エクステンション不純物領域のシート抵抗が極めて高くなり、寄生抵抗の増大によってトランジスタの駆動能力が低下する。
【0012】
本発明の目的は、プロセス途中における意図しないエッチングによる、既に形成されたエクステンション不純物分布領域の不純物量の低下を有効に防止し、特性低下を防ぐ絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法は、上記目的を達成するためのものであり、チャネルが形成される半導体の表面部分を所定の深さエッチングする工程と、前記エッチングにより形成された半導体表面の凹部に、ゲート絶縁膜とゲート電極の積層体を形成する工程と、レジスト層を形成する工程と、前記レジスト層をマスクとしたイオン注入により不純物を導入し、ソースまたはドレインのエクステンション不純物分布領域を形成する工程と、前記レジスト層を剥離し、後処理洗浄を行う工程と、前記ゲート電極のエッジより所定距離だけ離れた前記半導体の部分に、ソース・ドレイン不純物領域を形成する工程と、を含む。
【0014】
この絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法において、チャネルが形成される半導体の表面部分を所定量エッチングしてから、ゲート絶縁膜とゲート電極の積層体を形成する。したがって、この段階で、ソースまたはドレインが形成される半導体の表面の高さが、チャネルが形成される半導体の表面の高さより高くなる。つぎにエクステンション不純物領域を形成するためのイオン注入を行う。レジスト層を形成し、これをマスクとしたイオン注入を行うと、ゲート電極が自己整合マスクとして機能し、その周囲の半導体の表面にエクステンション不純物分布領域が形成される。その後、レジストを剥離し、ソース・ドレイン不純物領域の形成を行うが、このレジスト剥離時に自然酸化膜が形成され、自然酸化膜が後処理洗浄工程で除去される。自然酸化膜形成時に半導体の表面層が消費されるため、半導体の表面部分の高さがイオン注入前より低くなり、チャネルが形成されるゲート電極直下の半導体表面と高さにおいて近づく、あるいは揃う。この半導体の掘れ量が予め判っている場合、その分、イオン注入を深くまで行っておくと、必要な不純物濃度プロファイルのエクステンション不純物領域が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る絶縁ゲート電界効果トランジスタ(MISFET)の製造方法の実施の形態を、耐圧が低いロジックトランジスタと、耐圧が相対的に高い入出力トランジスタとを有し、それぞれチャネル導電型がN型とP型のCMOS構成であるCMOSロジックICを例として、図面を参照しながら説明する。ここでは、NMOSロジックトランジスタの断面において説明する。
【0016】
[第1の実施の形態]
図1(A)〜図4(C)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置(IC)において、NMOSロジックトランジスタ部分の製造途中の断面図である。
【0017】
図1(A)において、符号1は、例えばP型シリコンウエハなどの半導体基板に形成されたウエル、あるいはSOI層など基板に支持された半導体を示す。本発明で、チャネルが形成される半導体とは、この半導体基板、ウエルあるいはSOI層などをいう。以下、半導体の例としてウエルを例に説明する。
NMOSロジックトランジスタは、専用のP型ウエル1に形成される。図示しない他のPMOSロジックは専用のNウエルに形成され、同様に、入出力トランジスタもそれぞれ専用のウエルに形成される。
トランジスタの形成領域をマスクして行う部分的な熱酸化法、あるいは、STI(Shallow Trench Isolation)法などの方法により、ウエル1の表面部分の一部を絶縁化し、ウエル1に図示を省略した所定パターンの素子分離絶縁層を形成する。
【0018】
図1(A)に示すように、素子分離絶縁層が形成されていないウエル1の表面で開口するレジスト層10を形成し、レジスト層をマスクとした、例えばドライエッチング法により、ウエル1の表面をエッチングする。異方性が強いドライエッチングにより、ウエル表面部分を所定深さD、例えば10nm程度エッチングする。第1の実施の形態におけるエッチングの深さDは、後述するプロセスに依存し、予め決められる。
【0019】
レジスト層10を除去後、図1(B)に示すように、上記エッチングにより形成されたウエル1の凹部1aの表面を含むウエルの露出面全域に、ゲート絶縁膜2を形成する。ゲート絶縁膜2は、例えば熱酸化法により形成された酸化シリコン、酸化窒化シリコン(oxynitride)などからなる。
次に、ゲート絶縁膜2の上に、例えば不純物がドープされて導電率が高められた多結晶珪素(ドープトポリシリコン)あるいは非晶質珪素(ドープトアモルファスシリコン)からなるゲート電極膜3aを堆積する。ゲート電極膜3aは、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により150nmほど堆積され、その途中、あるいは後のイオン注入により不純物がドープされる。
【0020】
図2(A)に示すように、ゲート電極膜3aの上に、ゲートのパターンを有するレジスト層4を形成し、これをマスクとしたドライエッチングにより、ゲート電極膜3aとゲート絶縁膜2をパターンニングして、ゲート電極3とゲート絶縁膜2との積層体を形成する。このとき、ゲート電極周囲のゲート絶縁膜2を残してもよいが、薄いゲート絶縁膜2は、オーバエッチング時にエッチオフされることが多い。
【0021】
図2(B)において、NMOSロジックトランジスタの形成領域を開口する不図示のレジスト層を形成する。レジスト層をマスクとして、ソース・ドレイン領域S/Dのエクステンション不純物領域を形成するために、N型不純物イオンを注入する。例えば、イオン種としての弗化ホウ素イオンBF2 +を、加速エネルギー5keV、ドーズ1.0×1015ions/cm2、注入角0°にてSOI層4にイオン注入する。このとき、ゲート電極4(および素子分離絶縁層)が自己整合マスクとして機能する。これにより、ゲート電極3の両側のウエル表面部に、N型のエクステンション不純物分布領域5aが形成される。
なお、イオン注入に先立って、ウエル1の表面の汚染を防止し、注入時に導入される欠陥を軽減するスルー膜を形成してもよい。
その後、レジスト層を剥離し、後処理洗浄を行う。レジスト剥離と後処理洗浄については後述する。
【0022】
他の種類のトランジスタ(PMOSロジックトランジスタ、P型およびN型の入出力トランジスタ)について、図2(B)に示すエクステンション不純物分布領域をそれぞれ個別の工程において形成する。図3(A)〜図3(C)は、エクステンション不純物分布領域の形成のための一連の工程中に、NMOSロジックトランジスタに必然的に施される処理を図解している。
【0023】
図3(A)に、イオン注入マスクとして形成されたレジスト層6を示すが、このレジスト層6は、他の箇所で開口し、NMOSロジックトランジスタの形成箇所はイオン注入対象でないのでレジスト層6で覆われている。
【0024】
図3(B)はレジスト剥離工程を図解している。レジスト剥離工程では、酸素ガスをプラズマアッシング装置に導入し、アッシングを行う。アッシング時に、酸素プラズマにウエハが曝され、自然酸化膜7がウエル1およびゲート電極3の表面に形成される。ウエル表面に形成される自然酸化膜厚は、例えば、0.5nm〜1.0nm程度である。
【0025】
図3(C)において、後処理洗浄を行う。このとき、ウエル1の表面の自然酸化膜7が除去され、ウエル1の基板面に垂直な上向きの位置(以下、高さという)が低下する。この高さの減少量Δdは、自然酸化膜厚に応じて0.数nm程度である。
【0026】
以上の図3(A)〜図3(C)に図解した一連の工程が、既に形成されたNMOSロジックトランジスタのエクステンション不純物分布領域5aに対し、本例では、あと3回施される。P型ロジックトランジスタ、N型入出力トランジスタ、P型入出力トランジスタのそれぞれ別の工程で、エクステンション不純物領域を形成するためである。
また、これら一連の工程が、既に形成されたNMOSロジックトランジスタのエクステンション不純物分布領域5aに対し、あと7回施されることがある。例えば、4種類のトランジスタごとにハローイオン注入を行う場合である。さらに、例えばメモリ混載ロジックICでは、さらに高耐圧トランジスタが必要であり、これら一連の工程が施される回数はもっと多い。
【0027】
第1の実施の形態では、図3(A)〜図3(C)に示す一連の工程が施される回数に応じて、図1(A)に示すウエル表面の凹部の深さDを予め設定する。つまり、この一連の工程が施される回数をNとしたときに、望ましくは、D=Δd×Nに設定する。
【0028】
その後、例えば酸化シリコンの膜をCVDし、これを全面異方性エッチング(エッチバック)する。これにより、図4(A)に示すように、サイドウォール・スペーサ8がゲート電極3の側面にそれぞれ形成される。
【0029】
図4(B)において、ソース・ドレイン領域形成のためのイオン注入を行う。このイオン注入もトランジスタの種類ごとに選択的に行う。つまり、図3(A)と同様に、イオン注入対象のトランジスタ箇所で開口したレジスト層を形成し、それぞれのトランジスタに適合した条件でイオン注入し、その後、図3(B)および(C)と同様にレジスト層を剥離し、後処理洗浄を行う。
イオン注入条件を一例挙げると、NMOSロジックトランジスタに対するイオン注入において、例えば、イオン種としての砒素イオンAs+を、加速エネルギー5keV、ドーズ1.5×1015ions/cm2、注入角0°にてイオン注入する。このとき、サイドウォール・スペーサ8、ゲート電極3(および素子分離絶縁層)が自己整合マスクとして機能する。これにより、サイドウォール・スペーサ8の、チャネル中央に対する外側のエッジにより規定されるウエル内位置に、N型のソース・ドレイン不純物分布領域9aが形成される。
【0030】
その後、注入した不純物の活性化のための熱処理(アニール)を行う。アニールとしてRTA(Rapid Thermal Annealing)を用いることができる。このときRTAを、例えば窒素N2雰囲気中において950℃で保持した基板に対し、10秒ほど行う。これにより不純物が拡散し、図4(C)に示すように、ソース・ドレイン不純物領域9と、ソース・ドレイン不純物領域9からチャネル中央側に張り出したエクステンション不純物領域5からなるソース・ドレイン領域S/Dが形成される。
【0031】
その後は、必要に応じて、層間絶縁膜の堆積、コンタクトの形成および配線の形成を必要な回数繰り返して、当該CMOSロジックICを完成させる。
【0032】
本実施形態における製造方法において、ゲート絶縁膜2の形成の前に、ウエル1のチャネルが形成される部分を所定深さDだけエッチングし、エッチングにより形成された凹部1aにゲート絶縁膜2とゲート電極3を形成する。その段階では、ゲート電極周囲のウエル部分の表面高さが、ゲート電極の下方のチャネルが形成されるウエル部分の表面高さより高い。ところが、その後、エクステンション不純物分布領域5aを行った後(図4(A)参照)に、ウエル表面の高さがほぼ揃うようになる。エクステンション不純物イオンの加速エネルギーを従来に比べ高く設定することにより、エクステンション不純物分布領域5aをウエル表面から若干深くに形成する。このため、他のエクステンション不純物イオン注入のための一連の工程を経てウエル表面部が掘れても、その掘れによりエクステンション不純物分布領域5aの不純物量が大幅に減ることがない。その結果として、不純物濃度の減少によるシート抵抗の上昇、電流駆動能力の低下、閾値電圧の変動、動作速度の低下、および、これらに起因した回路誤動作をことごとく防止できる。
【0033】
図5は、掘れ量が予定通りに凹部1aの深さと一致した場合(▲2▼通常と表記)と、予定より0.5nm掘れ量が不足した場合(▲1▼0.5nm残りと表記)、予定より0.5nm余計に掘れた場合(▲3▼0.5nm掘れと表記)において、トランジスタのVg−Ids特性を比較したグラフである。また、図6は、この3つの試料におけるトランジスタの閾値電圧Vthおよびドレイン電流Idsの変動を示すグラフである。
これらグラフから、閾値電圧Vthが±7mV、ドレイン電流Idsが±6%ばらつく程度に抑えられていることが判る。これは生産上起こりうる程度のばらつきであり、本実施形態の製造方法によって十分な均一性が確保できることが判明した。
【0034】
[第2の実施の形態]
図7は、第2の実施の形態における製造工程のフロー図である。
第2の実施の形態における製造方法では、第1の実施の形態における諸工程に、図7に示す第4のステップST4と、第5のステップ程ST5が追加されている。他の工程は第1の実施の形態と共通しており、本実施形態においても、図1(A)〜図4(C)がそのまま適用される。
【0035】
ウエルの形成、素子分離絶縁層の形成後のステップST1において、チャネルが形成されるウエルの表面部分をエッチングする。このときのエッチング量は、その周囲のエクステンション形成領域の予想される掘れ量Dより十分大きくする。例えば、前述したようにエクステンション形成領域の形成回数Nが4〜8回の場合、1回の掘れ量Δdを最大1.0nmと想定し、これにマージンをとって10nmのエッチング量(以下、DEと表記)を設定する。
【0036】
第1の実施の形態と同様に、ゲート電極3のパターニングを行い(ステップST2)、エクステンション不純物分布領域5aの形成のための一連の工程を必要な回数Nだけ繰り返し行う(ステップST3)。
【0037】
本実施形態では、ステップST4において、ウエハ内のTEG(Test Elements Group)内のテストエレメントを用いて、どの程度更なるエッチングが必要かを知るための測定を行う。測定の方法に限定はないが、例えば、エクステンション不純物分布領域のシート抵抗を測る。
この測定の結果に応じて、ステップST5において最終的なエッチングを行う。これにより、ウエハごとのばらつきを吸収して、ウエハ間でほぼ同じ濃度プロファイルのエクステンション不純物領域5を得ることができる。
【0038】
その後は、第1の実施の形態と同様に、サイドウォール・スペーサの形成以後の諸工程を行って、当該半導体装置を完成させる。
【0039】
この製造方法によれば、工程数が増えるが、エクステンション不純物領域5をより高精度に形成でき、特性および歩留まりの低下をより効果的に防止し、またウエハ間で特性を揃えることができるという利点が得られる。
【0040】
なお、上記説明は集積回路を前提としたが、エクステンション不純物領域の形成が1回の単体トランジスタの形成に、第1および第2の実施形態で示した方法が同様に適用できる。
【0041】
【発明の効果】
本発明に係る絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法によれば、既に形成されたエクステンション不純物領域のプロセス途中における意図しないエッチング(掘れ)が生じた場合でも、その影響により特性および歩留まりの低下を有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)および(B)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置(IC)において、ゲート電極膜の堆積工程までを示す、NMOSロジックトランジスタ部分の断面図である。
【図2】(A)および(B)は、図1(B)に続くエクステンション不純物領域形成のためのイオン注入工程までを示す、NMOSロジックトランジスタ部分の断面図である。
【図3】(A)〜(C)は、図2(B)に続く他の種類のトランジスタにおけるレジスト剥離の後処理洗浄工程までを示す、NMOSロジックトランジスタ部分の断面図である。
【図4】(A)〜(C)は、図3(C)に続くソース・ドレイン領域の形成工程までを示す、NMOSロジックトランジスタ部分の断面図である。
【図5】掘れ量がばらついた場合で比較した、トランジスタのVg−Ids特性のグラフである。
【図6】掘れ量がばらついた場合、トランジスタの閾値電圧およびドレイン電流の変動を示すグラフである。
【図7】本発明の第2の実施の形態における製造工程のフロー図である。
【図8】(A)〜(C)は、従来技術の課題を説明する際に用いた、レジスト層をマスクとしたイオン注入に必要な一連の工程を示す断面図である。
【図9】複数回、例えば4回のレジスト剥離と後処理洗浄を経た後のMOSFETの一部を拡大した断面図である。
【図10】シリコン基板の深さ方向のN型不純物の濃度プロファイルを示すグラフである。(A)に、イオン注入直後のプロファイルを示す。(B)に、シリコン表面を0.5nm削った場合、1.0nm削った場合の不純物濃度プロファイルを、掘れなしの場合と比較して示す。
【図11】掘れ量が0.5nmと1.0nmのトランジスタを、掘れなしのトランジスタと比較したVg−Ids特性のグラフである。
【図12】掘れ量と閾値電圧およびドレイン電流との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…チャネルが形成される半導体、1a…凹部、2…ゲート絶縁膜、3…ゲート電極、4…レジスト層、5a…エクステンション不純物分布領域、5…エクステンション不純物領域、6…レジスト層、7…自然酸化膜、8…サードウォール・スペーサ、9a…ソース・ドレイン不純物分布領域、9…ソース・ドレイン不純物領域、10…レジスト層
Claims (6)
- チャネルが形成される半導体の表面部分を所定の深さエッチングする工程と、前記エッチングにより形成された半導体表面の凹部に、ゲート絶縁膜とゲート電極の積層体を形成する工程と、
レジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層をマスクとしたイオン注入により不純物を導入し、ソースまたはドレインのエクステンション不純物分布領域を形成する工程と、
前記レジスト層を剥離し、後処理洗浄を行う工程と、
前記ゲート電極のエッジより所定距離だけ離れた前記半導体の部分に、ソース・ドレイン不純物領域を形成する工程と、
を含む絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法。 - 前記イオン注入において、半導体の前記表面部分のエッチングがない場合より注入イオンの加速エネルギーを高く設定する
請求項1に記載の絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法。 - 不純物プロファイルが異なる複数の種類の絶縁ゲート電界効果トランジスタを同一の基板に形成する際に、前記エクステンション不純物分布領域の形成工程を、トランジスタの前記種類の数だけ複数回連続して実施する
請求項1に記載の絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法。 - 前記エクステンション不純物分布領域の形成工程と同様に、前記レジスト層の形成、前記注入、前記剥離、および、前記洗浄の各工程を含み、前記エクステンション不純物分布領域の形成と連続して実施する他の不純物分布領域の形成工程を、
さらに含む請求項3に記載の絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法。 - 前記半導体のエッチング工程において、複数回の前記エクステンション不純物領域の形成時にレジスト層の前記剥離工程で形成される自然酸化膜を前記洗浄工程で除去することによる前記半導体の掘れ量と、他の不純物領域の形成工程がある場合の前記半導体の掘れ量との総量に応じて、前記表面部分のエッチング量を予め決める
請求項3に記載の絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法。 - 前記複数回のエクステンション不純物分布領域の形成工程後に、ゲート電極周囲の前記半導体の掘れ量を、テストエレメントを用いて測定し、測定結果に応じてゲート電極周囲の前記半導体を最終的にエッチングする、半導体表面高さの調整工程を、
さらに含む請求項3に記載の絶縁ゲート電界効果トランジスタの製造方法。
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