JP2004138687A - 画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】現像器内に残存するトナーの特性を推定するため、RAMに記憶されている現像ローラ回転時間およびドットカウント値を読み出す(ステップS1)。これらの値から、画像濃度が低下し画像形成条件の変更が必要と判断したときには(ステップS2)、現像バイアスの振幅Vppを増加させてトナー飛翔量を増やすが、同時に逆コントラスト電圧Vrを低下させることで、トナー飛散を抑えながらギャップでの放電を防止する(ステップS3)。このように、現像器内のトナー特性に合わせて画像形成条件の調整範囲をシフトさせて濃度制御処理を行うことで、所望の画像濃度を得ることができる(ステップS4)。
【選択図】 図9
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、静電潜像をトナーにより顕像化することで画像を形成する電子写真方式の画像形成装置および画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真技術を応用した複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置では、画像信号に対応して形成された静電潜像にトナーを付着させることによって画像形成が行われる。この画像形成動作は、装置各部に与えられるバイアス電位を始めとする様々なパラメータが組み合わされてなる画像形成条件の下で実行される。画質が良好で、しかも安定した画像形成を行うためには、適切な画像形成条件の下で画像形成が行われるようにすることが重要である。
【0003】
この画像形成条件を設定するにあたっては、様々な装置動作上の制約を考慮する必要がある。所望の画像濃度を得られることはもちろんであるが、これ以外にも、例えば、飛散したトナーが装置内部を汚染することを防ぐため、トナー飛散量を低く抑える必要がある。また、装置の性能維持および信頼性向上の観点からは、装置各部に印加される電圧はできるだけ低く抑えたい。特に、トナーを担持するトナー担持体と、静電潜像を担持する像担持体とが所定のギャップを隔てて対向配置され、両者間にトナーを飛翔させて画像を形成する非接触現像方式の画像形成装置では、ギャップに形成される高電界のために放電が発生することがある。放電が発生すると、画質が著しく損なわれるばかりでなく、装置故障を引き起こすおそれがある。そのため、この種の画像形成装置では、このような様々な制約条件をいずれも満足するように各パラメータが設定されており、こうすることで好ましい画像形成条件が実現されている。
【0004】
また、この種の画像形成装置では、長期間にわたって画像形成を行うと、装置およびトナーの特性の経時変化により画像濃度が次第に変化してゆくことが知られている。そこで、例えば、現像バイアス等の制御パラメータを変更することにより画像濃度の変化を抑える画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。この画像形成装置では、トナーの帯電性の経時変化により転写紙への画像の転写効率が低下することを考慮して、カートリッジの消耗度に応じて、現像バイアスや階調補正用テーブルなどの画像濃度に影響を与える制御パラメータを補正している。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−221833号公報(図5、図6)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この種の画像形成装置を長期間にわたって使用し、画像形成動作を繰り返し行うと、装置各部やトナーの特性が次第に変化してゆく。上記した画像濃度の変化はその一つの現れである。しかしながら、変化しているのは画像濃度だけではなく、上記した各制約条件を満足するための画像形成条件も変化している。つまり、良好な画像形成を行うために装置各部に与えるべきバイアス電位等について求められる数値範囲等の条件は、長期間使用の前後では必ずしも同じではない。上記した従来技術では、画像濃度についてはある程度補正が可能であるものの、その他の条件については考慮されておらず、良好な画像形成を行う条件が全て満足されているとは言い切れない。
【0007】
特に、近年における高画質化、画像サイズの大型化およびプロセスの高速化等に対する要求の高まりに伴い、部品精度あるいはトナー特性に対する要求も厳しくなってきている。これに伴って、画像形成条件に対する制約も厳しくなり、各パラメータを自由に設定することが困難となってきている。そこで、良好な画像形成条件、すなわち、画質の良好な画像を形成することができ、しかも、飛散トナーによる装置内部の汚染や装置の性能低下などの問題を引き起こすことなく安定して画像形成を行うことのできる条件を維持し、画像濃度については所望の目標濃度に制御することのできる技術の確立が望まれている。
【0008】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、常に良好な画像形成条件を維持しながら画像形成を行い、画質の良好な画像を安定して形成することのできる画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、複数の制約条件下で画像形成を行う画像形成装置において、上記目的を達成するため、画像形成に影響を与える因子のうち少なくとも1つ以上を固定因子として固定設定するとともに、残りの因子のうち少なくとも1つを調整対象因子として調整することで前記複数の制約条件をすべて満足させる調整処理を実行する一方、装置の稼働状況に応じて、前記固定因子の少なくとも1つ以上を変更設定した上で前記調整処理を実行することを特徴としている。
【0010】
このように構成された発明では、調整対象因子を調整することにより、複数の制約条件を満足させるように各因子のバランスを保った画像形成条件の下で画像形成を行う。ただし、これらの制約条件を満たすことのできる画像形成条件は一定ではなく、装置の周囲環境や装置の稼動状況によって変動する。また、調整対象因子の可変範囲は限られているから、長期的には、調整対象因子を調整するのみでこの変動に対応し、画像形成条件を常に好ましい状態に維持することが難しい場合がある。
【0011】
一方、より短期的に見れば、つまり、装置を使用する各瞬間においては、必ずしもこのように広範囲の調整が可能となっている必要はない。例えば、新品の装置では、温湿度など装置の周囲環境による動作特性の変動に対応すべく、所定の範囲で画像形成条件を調整可能とする必要があるが、長期間使用後の劣化の進んだ状態においてのみ満たすべき制約条件にまで対応する必要はない。逆に、劣化の進んだ装置では、新品の装置固有の条件に対応する必要はない。
【0012】
そこで、この発明では、調整対象以外の固定因子のうち少なくとも1つを、装置の稼動状況に応じて変更し、その上で調整対象因子の調整を行うようにしている。つまり、周囲環境等による動作特性の短期的な変動については調整対象因子の調整によって対応する一方、より長期的な変動については、本来固定とすべき因子を装置の稼動状況に応じて変化させることによって対応している。ここでいう「装置の稼動状況」とは、その時点における装置の状態や、その状態から導かれる動作特性などを総称したものであるが、中でも装置各部の損耗状態など経時的に変化するものについては、その変化の程度を表すものである。
【0013】
そのため、調整対象因子は短期的な変動にのみ対応できればよく、その調整によって好ましい画像形成条件を実現させることが容易となる。このように、調整対象因子の調整と、固定因子の変更とを組み合わせることで、動作特性の変動に対しより広範囲に対応することができる。そして、こうして常に好ましい画像形成条件を維持しながら画像形成を行うことにより、この画像形成装置では、画質の良好な画像を安定して形成することが可能となる。
【0014】
なお、ここでいう「画像形成に影響を与える因子」とは、装置各部を設計する上で設定されるべき種々のパラメータのうち、その設定値の違いによって、画像形成を行った結果(画像品質やその安定性、装置性能の劣化の程度など)に何らかの差異を生じる可能性のある全てのパラメータを指している。このうち、原理的に、あるいは装置の仕様や構造上の理由等で可変とすることができないものは全て「固定因子」である。また、装置の動作中に変更が可能であるパラメータのうち、必要に応じてそのうちのいくつかを「調整対象因子」とする一方、その他のパラメータを「固定因子」とすることができる。そして、本発明において変更設定する「固定因子」は、このように変更可能ではあるが装置の仕様上頻繁に変更することをしないパラメータである。
【0015】
また、「制約条件」とは、上記各パラメータを設定する際に考慮しなければならない種々の条件のことであり、上記した画像品質やその安定性など必須的に満たされていなければならない条件のほか、例えば各部品の耐久性など、その仕様上、装置が満たすべき条件を含む。
【0016】
ここで、前記変更設定する固定因子は、装置の動作に関わる特性のうち前記装置の稼動状況に応じて変化する特性に対応したものであることが好ましい。装置の動作特性は様々な因子が相互に関連しながら成り立っているため、これらの因子の1つを変化させると様々な動作特性に影響が及ぶ。したがって、装置の稼動状況に応じて変化した特性を補正するためには、この特性に対応した因子を変更設定することが望ましい。すなわち、装置の稼動状況によって変化した特性を補うような固定因子を選定し、これを変更するようにすることで、装置の他の特性への影響を抑えながら、現在の画像形成条件を本来の好ましい状態により近づけることが可能となる。
【0017】
なお、このような固定因子の選定およびその変更量を適切に設定するためには、装置の動作特性がその稼動状況によってどのように変化し、また、画像形成に影響を与える各因子が装置の諸特性にどのような影響を与えているかを、事前に実験的に、または理論的に十分に把握しておく必要がある。
【0018】
また、この発明は、前記調整対象因子を調整することによって画像濃度を所定の目標濃度に制御する画像形成装置において特に好適に適用することができる。つまり、画像濃度の制御を目的として調整処理を実行する画像形成装置に対して上記発明を適用することによって、常に好ましい画像形成条件を維持しつつ、目標どおりの画像濃度を得ることができる。
【0019】
このような画像形成装置では、装置の使用を重ねるにつれて、画像濃度が次第に変化することが知られている。したがって、このような画像濃度の変化を補うために、前記調整対象因子の調整により制御可能な画像濃度の制御範囲が前記目標濃度を含むように、前記固定因子の少なくとも1つ以上を変更設定することが望ましい。こうすることで、調整対象因子の調整によって確実に目標濃度での画像形成を行うことが可能となる。
【0020】
さらに、パッチ画像として形成したトナー像の画像濃度に基づいて前記調整対象因子を調整することによって、画像濃度を前記目標濃度に制御するようにしてもよい。こうすることで、実際に形成した画像の画像濃度を調整対象因子の調整にフィードバックすることができ、より精度の高い調整処理を行うことが可能となる。
【0021】
また、この画像形成装置は、静電潜像を担持可能な像担持体と、前記像担持体と対向配置され、トナーを前記像担持体との対向位置に搬送するトナー担持体とを備え、前記像担持体と前記トナー担持体との間に現像バイアスを印加して前記トナー担持体から前記像担持体に移動させることで、前記静電潜像を前記トナーにより顕像化してトナー像を形成するものであってもよい。
【0022】
このような画像形成装置では、静電潜像を担持した像担持体と、トナーを担持したトナー担持体との間に生じる電位差によってトナーを移動させてトナー像を形成することができる。したがって、この電位差に影響を与える現像バイアスを変化させることによって画像濃度を制御することができる。この場合、例えば前記現像バイアスの時間平均としての加重平均電圧を、前記調整対象因子の1つとすることができる。
【0023】
また、この装置が、前記像担持体と前記前記トナー担持体とが所定のギャップを隔てて対向配置されており、前記トナーを前記ギャップに飛翔させて前記トナー担持体から前記像担持体に移動させることでトナー像を形成する画像形成装置である場合には、前記ギャップにおける前記トナーの飛翔量に影響を与えるトナー飛翔量制御因子を、前記変更設定する固定因子の1つとすることができる。
【0024】
このような画像形成装置では、画像濃度の安定した画像を形成するためには、ギャップにおけるトナー飛翔量を安定させる必要がある。また、トナー飛翔量を多くしすぎると周囲へのトナー飛散が多くなり、装置内部を汚染してしまうなどの弊害が生じる。したがって、ギャップにおけるトナー飛散量に影響を与える因子を安易に変更することは好ましくない。一方、トナー自身の飛翔性、すなわちギャップにおける飛翔しやすさは、使用を重ねるにつれて低下することが知られている。この性質は、画像形成動作を長期間行うと画像濃度が低下する原因の一つとなっていると考えられる。
【0025】
したがって、ギャップにおけるトナー飛翔量に影響を与えるトナー飛翔量制御因子については、頻繁に変更を行う必要のある調整対象因子ではなく、一定値に固定することを原則としながらも、装置の稼動状況に応じて、より具体的にはトナーの状態に応じて、変更可能な固定因子として取り扱うことが好ましい。こうすることで、トナー飛翔性の低下に伴って減少するトナーの飛翔量を補うことができ、画像濃度の変動を抑えることができる。
【0026】
例えば、前記現像バイアスが交流成分を有している場合には、前記現像バイアスの振幅を前記トナー飛翔量制御因子の1つとすることができる。というのは、トナー担持体上に担持されたトナーはギャップに形成される交番電界の作用によってトナー担持体から遊離し飛翔するものであり、しかも、この電界強度は、現像バイアスの振幅によって決まるものだからである。すなわち、現像バイアスの振幅を変更することによって、ギャップにおけるトナー飛翔量を制御することができる。
【0027】
また、前記トナー担持体が、前記トナーを担持しながら所定の方向に回転することで前記トナーを搬送するように構成されている場合には、前記装置の稼動状況を、前記トナー担持体の回転量に対応する情報に基づいて求めることができる。また、所定の表面電位に帯電された前記像担持体の表面を光ビームにより露光することで前記静電潜像を形成する露光手段をさらに備える場合には、前記装置の稼動状況を、前記露光手段により前記像担持体上に形成したドットの数に対応する情報に基づいて求めることができる。
【0028】
これらはいずれもトナーの履歴、すなわちトナーがどのような使われ方をしたかを表す指標となるので、これらの情報から、使用中のトナーの状態を推定することが可能である。したがって、これらの情報のいずれか、あるいはその両方に基づいて装置の稼動状況、より具体的にはトナーの状態を求め、その結果に応じて上述した固定因子の少なくとも1つを変更設定することで、トナーの状態変化に応じた画像形成条件を設定することが可能となる。
【0029】
また、前記トナー担持体が、装置本体に対して着脱可能かつその内部にトナーを貯留可能に構成された現像器に取りつけられており、しかも、前記現像器には、前記情報の少なくとも1つを記憶する記憶素子が設けられていてもよい。このようにした場合には、現像器内に残存するトナーの特性を、該現像器に設けられた記憶素子に記憶されている情報に基づいて推定することが可能である。したがって、現像器を取り換えたり、補修等のためいったん取り外された現像器を再び取りつけた場合でも、内部のトナーの特性に関する情報は保存されている。そして、この情報に基づいて画像形成条件を定めることにより、常にその時点でのトナーの状態に応じた条件の下で画像形成を行うことができる。
【0030】
また、この発明は、複数の制約条件下で画像形成を行う画像形成装置において、上記目的を達成するため、画像形成に影響を与える因子のうち少なくとも1つ以上を調整対象因子として調整することで前記複数の制約条件をすべて満足させる調整処理を実行し、しかも、装置の稼働状況に応じて、前記調整対象因子の調整範囲を変更設定することを特徴としている。
【0031】
このように構成された発明では、複数の制約条件を全て満足させることの可能な画像形成条件が装置の稼動状況に応じて次第に変化してゆくことに鑑み、装置の稼動状況に応じて調整対象因子の調整範囲を変更する。すなわち、装置の稼動状況により広範囲に変動してゆく装置の動作特性を、調整対象因子の調整だけで補正しようとすると、調整対象因子の調整範囲を極めて広く取る必要がある。しかしながら、上記した種々の制約条件のため、1つの調整対象因子の可変範囲をあまり広く取ることは好ましくない。
【0032】
一方、より短い期間についてみれば、装置の動作特性の変動範囲はより小さいはずである。したがって、各調整対象因子に対して、装置の稼動状況によって変化する特性に対応した広い調整範囲を常時確保する必要はなく、その時点での装置の稼動状況に応じた、より狭い範囲で調整することができれば事足りる。そこで、この発明では、調整対象因子の調整範囲を、装置の稼動状況によって変化させることによって、その時点で必要な範囲内での画像形成条件の調整を可能としながらも、各時点での調整対象因子の調整範囲については小さく抑えることができる。
【0033】
また、この発明は、複数の制約条件を満足させながら画像形成を行う画像形成方法において、上記目的を達成するため、画像形成に影響を与える因子のうち少なくとも1つ以上を固定因子として固定設定するとともに、残りの因子の少なくとも1つを調整対象因子として調整することで前記複数の制約条件をすべて満足させる調整処理を実行する一方、装置の稼働状況に応じて、前記固定因子の少なくとも1つ以上を変更設定した上で前記調整処理を実行することを特徴としている。
【0034】
このように構成された発明では、上記した装置と同様に、調整対象因子の調整によって複数の制約条件をいずれも満足する画像形成条件を設定し、画像形成を行う。また、各制約条件を満たすべき画像形成条件の長期的な変動については、本来固定すべき固定因子の少なくとも1つを変更することでその変動の影響をキャンセルする。そのため、常に好ましい画像形成条件の下で画像を形成することができ、画質の良好な画像を安定して形成することができる。
【0035】
また、この画像形成方法において、前記固定因子の少なくとも1つを変更したときには、変更後の前記固定因子に設定しながら前記調整処理を行うようにするのが好ましい。というのは、画像形成に与える因子のいずれかを変更することによって各因子間のバランスが崩れてしまうおそれがあるからである。このような場合には、固定因子の変更後に調整対象因子の再調整を行って新たなバランス状態を実現することで、安定した画像形成を行うことが可能となる。
【0036】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する非接触現像方式の画像形成装置である。この画像形成装置では、ユーザからの画像形成要求に応じてホストコンピュータなどの外部装置から画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ10がエンジン部EGの各部を制御してシートSに画像信号に対応する画像を形成する。
【0037】
このエンジン部EGでは、感光体2が図1の矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、この感光体2の周りにその回転方向D1に沿って、帯電ユニット3、ロータリー現像ユニット4およびクリーニング部5がそれぞれ配置されている。帯電ユニット3は帯電制御部103から帯電バイアスが印加されており、感光体2の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。
【0038】
そして、この帯電ユニット3によって帯電された感光体2の外周面に向けて露光ユニット6から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、露光制御部102から与えられる制御指令に応じて光ビームLを感光体2上に露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。例えば、ホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介してメインコントローラ11のCPU111に画像信号が与えられると、エンジンコントローラ10のCPU101が露光制御部102に対し所定のタイミングで画像信号に対応した制御信号を出力し、これに応じて露光ユニット6から光ビームLが感光体2上に照射されて、画像信号に対応する静電潜像が感光体2上に形成される。また、必要に応じて後述するパッチ画像を形成する場合には、予め設定された所定パターンのパッチ画像信号に対応した制御信号がCPU101から露光制御部102に与えられ、該パターンに対応する静電潜像が感光体2上に形成される。このように、この実施形態では、感光体2が「像担持体」として、また露光ユニット6が「露光手段」として機能している。
【0039】
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では、現像ユニット4は、軸中心に回転自在に設けられた支持フレーム40、図示を省略する回転駆動部、支持フレーム40に対して着脱自在に構成されてそれぞれの色のトナーを内蔵するイエロー用の現像器4Y、シアン用の現像器4C、マゼンタ用の現像器4M、およびブラック用の現像器4Kを備えている。この現像ユニット4は、図2に示すように、現像器制御部104により制御されている。そして、この現像器制御部104からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともにこれらの現像器4Y、4C、4M、4Kが選択的に感光体2と対向する所定の現像位置に位置決めされて、選択された色のトナーを感光体2の表面に付与する。これによって、感光体2上の静電潜像が選択トナー色で顕像化される。なお、図1は、イエロー用の現像器4Yが現像位置に位置決めされた状態を示している。
【0040】
これらの現像器4Y、4C、4M、4Kはいずれも同一構造を有している。したがって、ここでは、現像器4Kの構成について図3を参照しながらさらに詳しく説明するが、その他の現像器4Y、4C、4Mについてもその構造および機能は同じである。
【0041】
図3はこの画像形成装置の現像器を示す断面図である。また、図4は非接触現像の原理を示す図である。この現像器4Kでは、その内部にトナーTを収容するハウジング41に供給ローラ43および現像ローラ44が軸着されており、当該現像器4Kが上記した現像位置に位置決めされると、トナー担持体である現像ローラ44が感光体2と所定のギャップGPを隔てて対向位置決めされるとともに、これらのローラ43、44が本体側に設けられた回転駆動部(図示省略)と係合されて所定の方向に回転する。この現像ローラ44は、後述する現像バイアスを印加されるべく銅、ステンレス、アルミニウム等の金属または合金により円筒状に形成されている。そして、2つのローラ43、44が接触しながら回転することでブラックトナーが現像ローラ44の表面に擦り付けられて所定厚みのトナー層が現像ローラ44表面に形成される。
【0042】
また、この現像器4Kでは、現像ローラ44の表面に形成されるトナー層の厚みを所定厚みに規制するための規制ブレード45が配置されている。この規制ブレード45は、ステンレスやリン青銅などの板状部材451と、板状部材451の先端部に取り付けられたゴムや樹脂部材などの弾性部材452とで構成されている。この板状部材451の後端部はハウジング41に固着されており、現像ローラ44の回転方向D3において、板状部材451の先端部に取り付けられた弾性部材452が板状部材451の後端部よりも上流側に位置するように配設されている。そして、その弾性部材452が現像ローラ44表面に弾性的に当接して現像ローラ44の表面に形成されるトナー層を最終的に所定の厚みに規制する。
【0043】
なお、現像ローラ44表面のトナー層を構成する各トナー粒子は、供給ローラ43、規制ブレード45と摩擦されたことによって帯電しており、ここではトナーが負に帯電するものとして以下説明するが、装置各部の電位を適宜変更することで正に帯電するトナーも使用可能である。
【0044】
このようにして現像ローラ44の表面に形成されたトナー層は、現像ローラ44の回転によって順次、その表面に静電潜像が形成されている感光体2との対向位置に搬送される。そして、現像器制御部104から、直流電圧Vdcと交流電圧Vacとが重畳された現像バイアスVbが現像ローラ44に印加されると、現像ローラ44上に担持されたトナーTはギャップGPに生じる交番電界の作用により飛翔して、感光体2の表面各部にその表面電位Vsに応じて部分的に付着し、こうして感光体2上の静電潜像が当該トナー色のトナー像として顕像化される。また、感光体2に移行せず、現像ローラ44に残ったトナーはさらに下流側に搬送され、供給ローラ43によって掻き落とされる。
【0045】
図5は装置各部の電位を示す図である。上記したように、現像バイアスVbは直流電圧Vdcと交流電圧Vacとが重畳されたものであるが、その交流電圧Vacの波形は、図5(a)に示すように、振幅Vppの矩形波である。また、その波形デューティ、すなわち1サイクルにおいてその瞬時値が一方のピーク値となる期間Taと他方のピーク値となる期間Tbとの比は、所定の範囲で変更設定可能となっている。そのため、現像バイアスVbの1サイクルあたりの平均電圧、つまり加重平均電圧Vavgは、直流電圧Vdcと、交流電圧Vacの振幅Vppおよび波形デューティとによって決まる。
【0046】
また、感光体2の表面では、図4に示すように、帯電ユニット3により一様な表面電位に帯電された後、露光ユニット6からの光ビームLにより部分的に露光される。その結果、図5(b)に示すように、感光体2の表面電位Vsは、露光を受けなかった領域では帯電後の電位Voが維持される一方、露光を受けたドット部DTでは表面の電荷が中和されて電位Vonまで低下している。以下、本明細書においては、感光体2表面のうち、光ビームLにより露光された領域の電位Vonを「明部電位」、露光されない領域の電位Voを「暗部電位」という。
【0047】
装置各部にこのような電位が与えられることにより、図5に示すように、二次的に以下の各パラメータを定義することができる:
コントラスト電圧Vcon=|Vavg−Von|…(1);
逆コントラスト電圧Vr=|Vo−Vavg|…(2);
最大ギャップ電圧Vm=|Vo−Vdc|+Vpp/2…(3)。
【0048】
このうち、コントラスト電圧Vconが大きくなると、現像ローラ44の平均電位と感光体2に形成されたドット部DTとの電位差が大きくなり、現像ローラ44からドット部DTへのトナー移動が促進される。すなわち、コントラスト電圧Vconは、ドット部DTにおけるトナー付着量、つまり画像濃度に関するパラメータである。
【0049】
また、逆コントラスト電圧Vrは、現像ローラ44の平均電位と感光体2の露光されなかった領域の表面電位との差であり、この値が大きくなるとギャップGPに飛翔したトナーTが現像ローラ44に引き戻される作用が強まり、カブリや装置内部へのトナー飛散は減少するが、微小なドット部DTへのトナー付着が阻害されるので細線の画像濃度が低下しやすくなる。一方、逆コントラスト電圧Vrが小さくなると、ギャップGPに飛翔したトナーTを現像ローラ44および感光体2のいずれかに引きつける作用が弱くなり、その結果、いずれにも付着せずトナーTが装置内部に飛散してしまう確率が増加する。このように、逆コントラスト電圧Vrは、細線画像の画像濃度および装置内部へのトナー飛散の程度に関するパラメータである。
【0050】
さらに、最大ギャップ電圧Vmは、ギャップGPに印加される電圧の最大値を示すものであり、この値がギャップGPにおける放電開始電圧以上になると現像ローラ44と感光体2との間で放電が発生し、画像品質を著しく損ねるばかりでなく、装置の故障を引き起こすことがある。このように、最大ギャップ電圧Vmは、ギャップGPでの放電の有無に関するパラメータである。
【0051】
なお、装置各部に与えられる各バイアスの電位や波形は上記に限定されるものではない。例えば、現像バイアスVbに含まれる交流電圧Vacの波形は上記した矩形波以外に、例えば三角波や正弦波などの波形としてもよい。また、上記では、感光体2はポジ潜像、すなわち光ビームLにより露光された領域にトナーが付着するタイプのものとして説明したが、露光されなかった領域にトナーが付着するように構成されたネガ潜像タイプのものであってもよく、この場合には上記した明部電位Vonと暗部電位Voとの関係が反対になる。
【0052】
さらに、この実施形態では、図5に示す電位関係に基づき最大ギャップ電圧Vmを上記(3)式のように定義したが、各部に与える電位の大きさによってこれと異なる定義が必要な場合がある。すなわち、最大ギャップ電圧Vmとは、現像ローラ44と感光体2との間に生じうる瞬時的な電位差の最大値のことであり、各部の電位の大小に応じて適宜定義すればよい。
【0053】
このように、装置各部に与えられる電位によって画像濃度や装置内部へのトナー飛散の程度などが大きく変化するため、画質の良好なトナー像を安定して形成するためには、これらをどのように設定するかが重要となる。このことについては後に詳述する。
【0054】
図1に戻って、装置構成の説明を続ける。上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。転写ユニット7は、複数のローラ72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部(図示省略)とを備えている。さらに、中間転写ベルト71を挟んでローラ73と対向する位置には、該ベルト71表面に対して不図示の電磁クラッチにより当接・離間移動可能に構成された二次転写ローラ78が設けられている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、感光体2上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト71上に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、カセット8から取り出されて中間転写ベルト71と二次転写ローラ78との間の二次転写領域TR2に搬送されてくるシートS上にカラー画像を二次転写する。また、こうしてカラー画像が形成されたシートSは定着ユニット9を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部に搬送される。
【0055】
なお、中間転写ベルト71へトナー像を一次転写した後の感光体2は、不図示の除電手段によりその表面電位がリセットされ、さらに、その表面に残留したトナーがクリーニング部5により除去された後、帯電ユニット3により次の帯電を受ける。
【0056】
また、ローラ75の近傍には、クリーナ76、濃度センサ60および垂直同期センサ77が配置されている。これらのうち、クリーナ76は図示を省略する電磁クラッチによってローラ75に対して近接・離間移動可能となっている。そして、ローラ75側に移動した状態でクリーナ76のブレードがローラ75に掛け渡された中間転写ベルト71の表面に当接し、二次転写後に中間転写ベルト71の外周面に残留付着しているトナーを除去する。また、垂直同期センサ77は、中間転写ベルト71の基準位置を検出するためのセンサであり、中間転写ベルト71の回転駆動に関連して出力される同期信号、つまり垂直同期信号Vsyncを得るための垂直同期センサとして機能する。そして、この装置では、各部の動作タイミングを揃えるとともに各色で形成されるトナー像を正確に重ね合わせるために、装置各部の動作はこの垂直同期信号Vsyncに基づいて制御される。さらに、濃度センサ60は中間転写ベルト71の表面に対向して設けられており、後述するようにして中間転写ベルト71の外周面に形成されるパッチ画像の光学濃度を測定する。
【0057】
また、図2に示すように、各現像器4Y、4C、4M、4Kには該現像器の製造ロットや使用履歴、内蔵トナーの特性などに関するデータを記憶するメモリ91〜94がそれぞれ設けられている。さらに、各現像器4Y、4C、4M、4Kにはコネクタ49Y、49C、49M、49Kがそれぞれ設けられている。そして、必要に応じて、これらが選択的に本体側に設けられたコネクタ108と接続され、インターフェース105を介してCPU101と各メモリ91〜94との間でデータの送受を行って該現像器に関する消耗品管理等の各種情報の管理を行っている。なお、この実施形態では本体側コネクタ108と各現像器側のコネクタ49K等とが機械的に嵌合することで相互にデータ送受を行っているが、例えば無線通信等の電磁的手段を用いて非接触にてデータ送受を行うようにしてもよい。また、各現像器4Y、4C、4M、4Kに固有のデータを記憶するメモリ91〜94は、電源オフ状態や該現像器が本体から取り外された状態でもそのデータを保存できる不揮発性メモリであることが望ましく、このような不揮発性メモリとしては例えばフラッシュメモリや強誘電体メモリ、EEPROMなどを用いることができる。
【0058】
なお、図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリであり、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
【0059】
このように構成された画像形成装置においては、上記したように、装置各部に与えるバイアス電位などのパラメータをどのように設定するかが極めて重要である。この実施形態では、装置各部の動作条件を決めるパラメータのうち、現像バイアスVbの加重平均電圧Vavg、その振幅Vpp、感光体2の暗部電位Vo、および、光ビームLの単位面積当たりのエネルギー(以下、「露光エネルギー」という)Eをそれぞれ所定の可変範囲内で変更可能としている。そして、画像品質の良好なトナー像を安定して形成するため、以下に示す(A)〜(C)の各制約条件をいずれも満足するように、各パラメータの設定を行っている。その制約条件は:
(A)高濃度画像から低濃度画像まで、所望の画像濃度が得られること;
(B)装置内部へのトナー飛散量が許容レベル以下であること;
(C)ギャップGPにおける放電が発生しないこと
である。
【0060】
ここで、高濃度画像とは、例えばベタ画像や塗りつぶしを多用した画像のように、画像全体に占めるドット部の面積の比率が比較的高い画像であり、また低濃度画像とは、細線画像のように、画像全体に占めるドット部の面積の比率が比較的低い画像である。以下では、上記各条件をいずれも満足させながら各パラメータそれぞれを設定する際の基本的な考え方を説明する。
【0061】
上記した(A)〜(C)の各条件のうち、条件(A)の画像濃度については、コントラスト電圧Vcon((1)式)の調整により制御することが可能である。したがって、現像バイアスVbの加重平均電圧Vavgを変化させることで画像濃度を制御することができる。また、露光エネルギーEを変化させることで、特に細線画像に対応する静電潜像の電位プロファイルが大きく変化するため、細線画像の画像濃度については露光エネルギーEの調整によっても制御することが可能である。
【0062】
また、トナー飛散量は、逆コントラスト電圧Vr((2)式)によって左右され、逆コントラスト電圧Vrが大きいほど飛散量が少なくなる傾向にある。したがって、上記条件(B)を満たすためには、トナー飛散量が許容レベル以下となるように、逆コントラスト電圧Vrを大きくすればよい。ただし、逆コントラスト電圧Vrを大きくしすぎると細線画像の再現性が悪くなり条件(A)に抵触するので、あまり大きくしすぎることは好ましくない。
【0063】
さらに、条件(C)に挙げた放電は、ギャップGPに印加される電圧がこのギャップGPにおける放電開始電圧を超えたときに発生する。したがって、最大ギャップ電圧Vm((3)式)が放電開始電圧を超えないようにすることで、放電の発生を防止することが可能である。
【0064】
以上のように、上記(A)〜(C)の各条件を満足するためには、コントラスト電圧Vcon、逆コントラスト電圧Vrおよび最大ギャップ電圧Vmの値がそれぞれ各条件に適合する好ましい範囲内に収まるように、各部に与えるバイアス電位を定めればよいことになる。しかしながら、同一の装置において長期間にわたる画像形成動作(このような長期間の動作は一般に「耐久」と称されており、本明細書においてもこの呼称を用いることとする)を行うと、装置の諸特性、中でもトナーの特性が次第に変化し、これに伴って画像濃度が変化するとともに、上記した各電圧の「好ましい範囲」も刻々と移動することとなる。ここでは、高濃度画像の例としてのベタ画像と、低濃度画像の例としての細線画像とを取り上げ、耐久によるこれらの画像濃度の変化と、それを補償する方法について検討する。
【0065】
図6は現像バイアスと画像濃度との関係を例示する図であり、図7は露光エネルギーと画像濃度との関係を例示する図である。また、図8は逆コントラスト電圧とトナー飛散量との関係を例示する図である。図6に示すように、ベタ画像、細線画像いずれにおいても、現像バイアスVbの加重平均電圧Vavgによってその画像濃度が変化する。また、図7に示すように、露光エネルギーEの変化により細線画像の画像濃度は大きく変化するが、ベタ画像の濃度変化は小さい。さらに、長期間の画像形成(耐久)の前後では、図6および図7の黒矢印に示すように、耐久前すなわちトナーが比較的新しい状態(実線)での画像濃度に比べると、耐久後の画像濃度(一点鎖線)はいずれもこれより低下する。なお、図6および図7において、符号Dts、Dtlはそれぞれベタ画像、細線画像に対する目標濃度を表している。
【0066】
このような耐久に伴う画像濃度の低下の原因の一つは、次のようなものと考えられる。すなわち、現像ローラ44に担持されてギャップGPまで搬送されたトナーT(図4)のうち、トナー像形成に寄与せず現像ローラ44上に残ったトナーは供給ローラ43(図3)により現像ローラ44から掻き落とされて現像器内に戻される。このようにトナーが付着・剥離を繰り返すと、トナーの疲労劣化が起こる。このようなトナーの疲労は、例えばトナーの帯電性や流動性を調整するために添加された外添剤の剥離やトナー母粒子への埋没によって起こり、その結果、トナーの帯電性や流動性が変化してしまい、ギャップGPでのトナー飛翔量に影響を及ぼすこととなる。本願発明者の実験によれば、使用を重ねるにつれてトナーの飛翔性が低下し、ギャップGPにおけるトナー飛翔量は次第に低下する傾向にあることが確かめられている。このように、耐久によりギャップGPにおけるトナー飛翔量が次第に低下するため、画像濃度が低下すると考えられる。なお、これ以外に画像濃度を変化させる要因としては、感光体2の性能劣化や摩耗による特性の変化、帯電ユニット3の汚れによる帯電特性の変化などが考えられる。
【0067】
一方、トナー飛翔性の低下によって、装置内部へのトナー飛散量は減少する。すなわち、図8に示すように、逆コントラスト電圧Vrが同じ値であれば、耐久前より耐久後の方がトナーの飛散量は少ない。したがって、耐久前においては、条件(B)を満たす、つまりトナー飛散量を許容レベル以下に抑えるためには逆コントラスト電圧Vrを図8に示す値Vr1以上とする必要があるのに対し、耐久後においては、逆コントラスト電圧Vrは値Vr2(<Vr1)以上であればよいこととなる。なお、ギャップGPにおける放電開始電圧はギャップGPの大きさによってほぼ決まるため、装置毎の個体ばらつきは大きいものの、1台の装置において経時的に大きく変化することはないと考えられる。
【0068】
このように、この画像形成装置では、主に耐久の進行によるトナー特性の変化に起因して、画像濃度およびトナー飛散量の変化が生じ、その結果、上記各制約条件(A)〜(C)を満足するための画像形成条件の「好ましい範囲」は、耐久の進行とともに次第に移動してゆくこととなる。これらの変化は単調かつ不可逆的な変化であり、また、その変化の程度は、装置の稼動状況、特に現像器内に残存するトナーの特性変化の程度から推定することが可能なものである。したがって、装置の稼動状況に応じて刻々と変化してゆく装置特性を表す指標となる何らかの情報を随時更新記憶しておき、その情報に基づき、画像形成条件を上記「好ましい範囲」の移動に追随して移行させるようにすれば、常に「好ましい画像形成条件」での画像形成動作が可能となる。
【0069】
ここで、調整対象とする因子の可変範囲を広く取ることで画像濃度の経時変化をもカバーしようとすることは、上記した「好ましい画像形成条件」からのずれを放置したまま、別のパラメータの操作によりいわば強引に画像濃度のずれを是正しようとするものである。その結果、画像濃度については目標を達成することができたとしても、トナー飛散による装置内部の汚染や装置寿命の短縮など、画像濃度以外の面で様々な不具合を生じるおそれがある。
【0070】
一方、この画像形成装置では、調整対象因子として用いるパラメータの可変範囲を広げることはしない。そして、耐久の進行に伴う装置特性の変化を十分に把握した上で、その変化に対応したパラメータを変化させることによって、画像形成条件をその時点における「好ましい条件」に適合させるようにしている。こうすることで、耐久の進行による装置特性の変化にかかわらず、常に「好ましい画像形成条件」を維持して上記不具合の発生を防止しつつ、しかも所定の範囲で調整対象因子を調整し画像濃度を制御しながら画像形成動作を行うことが可能となる。
【0071】
以上に鑑み、この実施形態では、次のようにして画像形成条件の設定を行っている。すなわち、画像濃度を制御するための調整対象因子として、現像バイアスの加重平均電圧Vavgおよび露光エネルギーEを用いている。このうち、加重平均電圧Vavgを低濃度画像から高濃度画像までの全般的な濃度制御に用いる一方、露光エネルギーEを低濃度画像での画像制御に用いている。より具体的には、まず加重平均電圧Vavgを多段階に変更設定しながら、高濃度画像の代表としてのベタ画像をパッチ画像として形成し、その濃度検出結果に基づいて加重平均電圧Vavgの最適値を算出する。続いて、露光エネルギーEを多段階に変更設定しながら、低濃度画像の代表としての細線画像をパッチ画像として形成し、その濃度検出結果に基づいて露光エネルギーEの最適値を算出する。
【0072】
そして、装置の稼動状況に応じて画像形成条件の調整範囲を切り換えるため、現像器内のトナーの状態を表す現像ローラ44の回転時間と、当該現像器でのトナー現像に供すべく露光ビームLにより感光体2に形成したドット数とをカウントしておき、これらの値に基づいて「固定因子」たる現像バイアスの振幅Vppおよび逆コントラスト電圧Vrを変化させるようにしている。なお、これら固定因子を変更するにあたっても、常に上記条件(A)〜(C)を満たす関係が維持されるよう配慮が必要となることは言うまでもない。
【0073】
装置の稼動状況を表す情報としては、この他にも、例えば画像形成枚数や装置の稼動時間などが考えられる。しかし、画像濃度に及ぼす影響が大きいのは現像器内に残存するトナーの特性であるから、このような情報としては、現像器内のトナー特性を精度よく表すものであることが望ましい。ここで、上記ドットのカウント値は、これに1ドット当たりのトナー消費量を乗ずることでトナーの消費量を見積もることができ、その点で現像器内のトナー残量を表す指標となる。また、現像ローラ44が回転することにより現像ローラ44上へのトナーの付着・剥離が繰り返され、これによってトナーの疲労劣化が起こる。つまり、現像ローラ回転時間は、おおよその画像形成枚数を表す数値であるとともに、現像器内のトナーの疲労の程度を表す指標となる。通常の画像形成動作においては、画像1枚分のトナー消費量は一定でなく、形成する画像の内容によって異なっている。すなわち、現像ローラ回転時間(または画像形成枚数)が同じでもトナーの残量が同じとは限らず、またトナー残量が同じでもトナーの疲労度は同じとは限らない。そこで、この実施形態では、上記2つの情報の組み合わせに基づいて、現像器内トナーの劣化の度合いを見積もり、画像形成条件切り換えのタイミングを求めている。
【0074】
なお、これらの情報(ドットカウント値、現像ローラ回転時間)は、エンジンコントローラ10に設けられたRAM107に記憶されており、装置の稼動に伴って随時更新される。また、現像器4Y等が現像ユニット4から取り外されるときには、取り外しに先立って各現像器4Y等に設けられたメモリ91等にもこれらの情報が書き込まれる。そして、現像器4Y等が新たに現像ユニット4に取り付けられたときには、内蔵のメモリ91等からこれらの情報が読み出され初期値として用いられる。これは、各現像器の使用履歴や損耗状況などの把握を容易として画質の安定およびメンテナンス性の向上を図るためである。すなわち、この実施形態では、メモリ91〜94が「記憶素子」として機能している。
【0075】
また、現像バイアスの振幅Vppは、ギャップGPに発生する交番電界の強度を決めるものであり、その大小によってギャップGPに飛翔するトナーの量を変化させることができる。したがって、上記したトナーの劣化に伴うトナー飛翔性および画像濃度の低下を、現像バイアスの振幅Vppを増加させることにより補うことが可能である(図6の白矢印)。ただし、この値を変化させると最大ギャップ電圧Vmが変化し、これによりギャップGPにおいて放電が発生する可能性があるため、これを調整対象因子とすることは適当でない。この実施形態では、トナー劣化によりトナー飛散量が減少するという性質を有することがわかっているため、耐久後は逆コントラスト電圧Vrをより低く設定することができ(図8)、こうすることによって、最大ギャップ電圧Vmを増加させることなく細線画像の濃度低下を補うことが可能となる(図7の白矢印)。
【0076】
このように、この実施形態では、調整対象因子(加重平均電圧Vavg、露光エネルギーE)の調整により制御可能な画像濃度の制御範囲が、耐久による画像濃度の低下に伴って低濃度側にずれることを考慮し、固定因子(現像バイアスの振幅Vpp、逆コントラスト電圧Vr)を変更設定することで画像濃度の制御範囲を高濃度側にシフトさせるようにしている。こうすることで、調整対象因子の可変範囲を一定としたまま、目標濃度が常に画像濃度の制御範囲内に存在するようにしている。したがって、調整対象因子をその可変範囲内で調整することによって確実に所望の画像濃度を得ることができる。
【0077】
図9は画像形成条件の設定動作を示すフローチャートであり、図10は画像形成条件の切り換えタイミングを示す図である。また、図11は濃度制御処理の動作を示すフローチャートである。この装置では、装置電源の投入直後などの所定のタイミングで、エンジンコントローラ10のCPU101が、ROM106に予め記憶されたプログラムに基づき、各トナー色毎に図9に示す画像形成条件の設定動作を実行する。そして、以後の画像形成動作をそのときの装置の稼動状況に応じた「好ましい画像形成条件」の下で行うようにしている。
【0078】
まず、CPU101は、RAM107に記憶された現像ローラ回転時間およびドットカウント値を読み出す(ステップS1)。そして、その値に基づき、画像形成条件の変更設定が必要か否かを判定する(ステップS2)。この判定方法は以下のように構成されている。
【0079】
ここでは、図10に示すように、(現像ローラ回転時間,ドットカウント値)の組み合わせを表す座標平面を考える。この座標平面は、各破線をその境界線として複数の領域に区分されている。このうち、縦軸に平行な境界線は、画像形成枚数に換算してそれぞれ1000枚、3000枚および5000枚に相当する現像ローラ回転時間の値に対応している。また、横軸に平行な境界線は、トナー消費量に換算してそれぞれ15g、30gおよび100gに相当するドットカウント値に対応している。これらの境界線は、予め実験により求めた、現像ローラ回転時間およびドットカウント値と画像濃度との関係に基づいて定められている。すなわち、耐久の進行に伴う画像濃度の変化はトナーが比較的新しいときに激しく、次第にその変化量が小さくなることを勘案して、比較的数値が小さいときに頻繁に画像形成条件の変更が行われるようにしたものである。
【0080】
装置が画像形成動作を行うと、現像ローラ回転時間およびドットカウント値は次第に増加してゆき、各時点における(現像ローラ回転時間,ドットカウント値)を表す点Qも上記座標平面内を移動する。そして、この点が、上記境界線で区切られた1つの領域から他の領域に移行するとき、すなわち点Qが境界線(図10における各破線)に到達したとき、画像形成条件の変更設定が必要と判定する。
【0081】
図9に戻って、こうして画像形成条件の変更が必要と判定したときには、現像バイアスの振幅Vppをそれまでの設定値から1段階増加させるとともに、逆コントラスト電圧Vrを1段階低下させる(ステップS3)。この逆コントラスト電圧Vrの変更は、感光体2の暗部電位Voの絶対値を下げるべく、帯電バイアスを変更することによって達成される。これにより、耐久の進行に伴って低下したギャップGPにおけるトナー飛翔量を再び増加させることができる。また、同時に逆コントラスト電圧Vrを低下させるのは、ギャップGPにおける放電を防止するためである。すなわち、(3)式および図5からわかるように、Vppの増加分の1/2をVoの値(絶対値)から減じることで、最大ギャップ電圧Vmは一定に保たれ放電開始電圧を超えることはない。また、このとき、図8に示すように、耐久の進行に伴ってトナー飛散量は低下しているから、上記のように逆コントラスト電圧Vrを減少させても、それにより装置内部へのトナー飛散が増加することにはならない。
【0082】
なお、ステップS1において読み出した現像ローラ回転時間およびドットカウント値が、いずれも座標平面における各領域の境界線に対応する値となる場合が稀に起こり得る。すなわち、図10において、点Qが2つの破線の交点に位置する場合である。このような場合には、現像バイアスの振幅Vppを2段階増加させる必要がある。
【0083】
こうして、現像器内のトナーの状態に合わせて現像バイアスの振幅Vppおよび逆コントラスト電圧Vrを設定した後に、濃度制御処理を実行し(ステップS4)、現像バイアスの加重平均電圧Vavgおよび露光エネルギーEを調整して画像濃度が目標濃度と一致するように制御する。この濃度制御処理については既に多くの公知技術があり、この装置に対してもこれら公知技術を適用可能であるので、ここでは図11を参照しながら簡単に説明するに留める。
【0084】
まず、露光エネルギーEを所定の基準値に設定する(ステップS401)。そして、加重平均電圧Vavgを最小値に設定するとともに(ステップS402)、その値を1ステップずつ増加させながら、各ステップで高濃度パッチ画像としてのベタ画像を形成してゆく(ステップS403)。こうして形成されたパッチ画像は中間転写ベルト71に転写され、その結果、中間転写ベルト71上にはその移動方向D2(図1)に沿って各ステップでのパッチ画像が一列に並ぶこととなる。そして、各パッチ画像が濃度センサ60との対向位置(図1)まで搬送されるタイミングで、CPU101が濃度センサ60の出力電圧をサンプリングすることで各パッチ画像の画像濃度が検出される(ステップS404)。その検出結果から、画像濃度が目標濃度と一致するための加重平均電圧Vavgの最適値を求めることができる(ステップS405)。
【0085】
次いで、細線画像濃度を決める露光エネルギーEの設定を行う。まず加重平均電圧Vavgを上で求めた最適値に設定し(ステップS406)、露光エネルギーEを最小値に設定するとともに(ステップS407)、その値を1ステップずつ増加させながら、各ステップで低濃度パッチ画像として例えば1オン10オフの孤立ラインからなる細線画像を形成してゆく(ステップS408)。そして、上記と同様にして各パッチ画像の画像濃度を検出し(ステップS409)、その検出結果から、画像濃度が目標濃度と一致するための露光エネルギーEの最適値を求めることができる(ステップS410)。
【0086】
なお、この濃度制御処理においては、高濃度パッチ画像としてベタ画像を、また低濃度パッチ画像として細線画像を形成し、その検出結果に基づいて画像濃度の高濃度領域および低濃度領域で画像濃度を制御するようにしているが、形成するパッチ画像のパターンについては上記に限定されるものではなく、トナーの特性や濃度センサ60の感度等に応じて適宜変更してよい。
【0087】
一方、ステップS2(図9)において、画像形成条件の変更が必要ないと判断したときの動作は以下の通りである。まず、現像ローラ回転時間が画像形成枚数に換算して8000枚、またはドットカウント値がトナー消費量に換算して180g(現像器内に収容可能な全トナー量にほぼ近い値)に達しているときには、トナーがほとんど残っていないか、残っていたとしても既に劣化が激しく画像形成に適さない状態と考えられるので、当該現像器の寿命が尽きたと判断し(ステップS5)、図示を省略する表示部にトナーエンドをユーザに報知するためのメッセージを表示して(ステップS6)、設定動作を終了する。これ以外の場合には、そのまま設定動作を終了するので、元の画像形成条件が維持される。
【0088】
以上のように、この画像形成装置では、装置の稼動状況に対応する情報として、トナーの疲労度を表す現像ローラ回転時間およびドットカウント値を用い、それらの値に応じて、本来固定値とすべき現像バイアスの振幅Vppを変更するようにしている。そのため、耐久の進行により飛翔性の低下したトナーのギャップGPにおける十分な飛翔量を確保することができ、画像濃度の低下を補うことができる。また、このとき逆コントラスト電圧Vrの値を同時に変更しているので、ギャップGPにおける放電が発生するおそれはない。さらに、耐久に伴うトナー飛翔性の低下により、装置内部へのトナー飛散量が減少しているため、逆コントラスト電圧Vrの低減によってトナー飛散が増加することもない。
【0089】
そして、このように、耐久の進行状況に応じて画像形成条件の調整範囲をその時点における好ましい条件に設定した上で、調整対象因子としての現像バイアスの加重平均電圧Vavgおよび露光エネルギーEを調整することで、画像濃度の制御を行っている。そのため、耐久に伴うトナー特性の変化によらず、常に好ましい画像形成条件を維持しながら、所望の画像濃度の画像を形成することができる。その結果、この画像形成装置では、画質の良好な画像を安定して形成することが可能となっている。
【0090】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、調整対象因子の選択および濃度制御処理の動作については上記のものに限らず、種々の公知技術を適用してよいことは先に述べたとおりである。また、濃度制御処理については、必ずしも他のパラメータの変更とともに行う必要はなく、必要に応じて単独で実行するようにしてもよい。ただし、何らかのパラメータを変更した場合には、それによって画像濃度が変化することとなるので、安定した画像形成を行うという見地からは、引き続いて濃度制御処理を行うことが好ましい。
【0091】
また、上記した実施形態では、トナー疲労の程度を表す現像ローラ回転時間およびドットカウント値に基づいて画像形成条件の変更タイミングを決定しているが、他の方法によって決定することも可能である。例えば、一定の期間毎に、あるいはその他の条件により定期的に濃度制御処理を実行するように構成された画像形成装置では、形成されたパッチ画像の濃度に基づいて画像形成条件の変更タイミングを決定することができる。すなわち、一のあるいは複数の条件で形成されたパッチ画像の濃度検出を行い、その検出結果がいずれも目標濃度に達していなかったときに、耐久により画像濃度が低下したものと判断し、画像形成条件の変更を行うようにしてもよい。また、装置の稼動状況を表す情報としては、上記以外にも、例えば、現像器内に設けたトナー残量センサの出力や、外部装置から与えられる画像信号を解析して用いることができる。
【0092】
また、上記した実施形態では、調整対象因子としての加重平均電圧Vavgおよび露光エネルギーEの可変範囲については不変とし、装置の稼動状況に応じて、固定因子としての現像バイアスの振幅Vppおよび逆コントラスト電圧Vrを変化させるようにしている。これに対して、調整対象因子の可変範囲を装置の稼動状況に応じて変化させるようにすることも可能である。この場合においても、安定して画像形成を行うため装置に求められる画像濃度以外の要求をも常に満足させるようにしなければならないことはもちろんである。例えば、逆コントラスト電圧Vrを調整対象因子として細線画像の濃度制御を行う場合には、耐久の進行による濃度低下を補うため、逆コントラスト電圧Vrの可変範囲自体をより低い方にシフトさせて画像濃度を増大させることができる。この場合、トナー飛散量は耐久の進行により減少するため、逆コントラスト電圧Vrの可変範囲をより低い方にシフトさせてもトナー飛散が問題となることはない。また、上記シフトは最大ギャップ電圧Vmを低下させるものであるから、ギャップGPでの放電についてはより安全な方向に作用する。
【0093】
また、上記した実施形態は、感光体2上で現像されたトナー像を一時的に担持する中間転写ベルト71を有する画像形成装置であるが、転写ドラムや転写ローラなど他の転写体を有する画像形成装置や、転写体を備えず感光体2上に形成されたトナー像を最終的な転写材であるシートSに直接転写するように構成された画像形成装置に対しても本発明を適用することができる。
【0094】
また、上記した実施形態は、トナー担持体としての現像ローラ44と、像担持体としての感光体2とがギャップGPを隔てて対向配置された非接触現像方式の画像形成装置であるが、両者が当接された状態でトナー現像が行われる接触現像方式の画像形成装置に対しても本発明を適用することが可能である。
【0095】
また、上記した実施形態は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のトナーを用いてフルカラー画像を形成可能に構成された画像形成装置であるが、使用するトナー色およびその色数はこれに限定されるものでなく任意であり、例えばブラックトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する装置に対しても本発明を適用することが可能である。
【0096】
さらに、上記実施形態では、装置外部からの画像信号に基づき画像形成動作を実行するプリンタに本発明を適用しているが、ユーザの画像形成要求、例えばコピーボタンの押動に応じて装置内部で画像信号を作成し、その画像信号に基づき画像形成動作を実行する複写機や、通信回線を介して与えられた画像信号に基づき画像形成動作を実行するファクシミリ装置に対しても本発明を適用可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】この画像形成装置の現像器を示す断面図である。
【図4】非接触現像の原理を示す図である。
【図5】装置各部の電位を示す図である。
【図6】現像バイアスと画像濃度との関係を例示する図である。
【図7】露光エネルギーと画像濃度との関係を例示する図である。
【図8】逆コントラスト電圧とトナー飛散量との関係を例示する図である。
【図9】画像形成条件の設定動作を示すフローチャートである。
【図10】画像形成条件の切り換えタイミングを示す図である。
【図11】濃度制御処理の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2…感光体(像担持体)、 4C,4K,4M,4Y…現像器、 6…露光ユニット(露光手段)、 44…現像ローラ(トナー担持体)、 91〜94…メモリ(記憶素子)、 Vavg…(現像バイアスの)加重平均電圧、 Vpp…(現像バイアスの)振幅
Claims (15)
- 複数の制約条件下で画像形成を行う画像形成装置において、画像形成に影響を与える因子のうち少なくとも1つ以上を固定因子として固定設定するとともに、残りの因子のうち少なくとも1つを調整対象因子として調整することで前記複数の制約条件をすべて満足させる調整処理を実行する一方、
装置の稼働状況に応じて、前記固定因子の少なくとも1つ以上を変更設定した上で前記調整処理を実行することを特徴とする画像形成装置。 - 前記変更設定する固定因子は、装置の動作に関わる特性のうち前記装置の稼動状況に応じて変化する特性に対応したものである請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記調整対象因子を調整することによって画像濃度を所定の目標濃度に制御する請求項1または2に記載の画像形成装置。
- 前記調整対象因子の調整により制御可能な画像濃度の制御範囲が前記目標濃度を含むように、前記固定因子の少なくとも1つ以上を変更設定する請求項3に記載の画像形成装置。
- パッチ画像として形成したトナー像の画像濃度に基づいて前記調整対象因子を調整することによって、画像濃度を前記目標濃度に制御する請求項3または4に記載の画像形成装置。
- 静電潜像を担持可能な像担持体と、
前記像担持体と対向配置され、トナーを前記像担持体との対向位置に搬送するトナー担持体と
を備え、前記像担持体と前記トナー担持体との間に現像バイアスを印加して前記トナー担持体から前記像担持体に移動させることで、前記静電潜像を前記トナーにより顕像化してトナー像を形成する請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。 - 前記現像バイアスの時間平均としての加重平均電圧が、前記調整対象因子の1つである請求項6に記載の画像形成装置。
- 前記像担持体と前記前記トナー担持体とが所定のギャップを隔てて対向配置されており、前記トナーを前記ギャップに飛翔させて前記トナー担持体から前記像担持体に移動させることでトナー像を形成する請求項6または7に記載の画像形成装置において、
前記ギャップにおける前記トナーの飛翔量に影響を与えるトナー飛翔量制御因子が、前記変更設定する固定因子の1つとなっている画像形成装置。 - 前記現像バイアスは交流成分を有しており、しかも、前記現像バイアスの振幅が、前記トナー飛翔量制御因子の1つとなっている請求項8に記載の画像形成装置。
- 前記トナー担持体は、前記トナーを担持しながら所定の方向に回転することで前記トナーを搬送するように構成されており、しかも、
前記装置の稼動状況を、前記トナー担持体の回転量に対応する情報に基づいて求める請求項6ないし9のいずれかに記載の画像形成装置。 - 所定の表面電位に帯電された前記像担持体の表面を光ビームにより露光することで前記静電潜像を形成する露光手段をさらに備え、
前記装置の稼動状況を、前記露光手段により前記像担持体上に形成したドットの数に対応する情報に基づいて求める請求項6ないし10のいずれかに記載の画像形成装置。 - 前記トナー担持体は、装置本体に対して着脱可能かつその内部にトナーを貯留可能に構成された現像器に取りつけられており、しかも、
前記現像器には、前記情報の少なくとも1つを記憶する記憶素子が設けられている請求項10または11に記載の画像形成装置。 - 複数の制約条件下で画像形成を行う画像形成装置において、
画像形成に影響を与える因子のうち少なくとも1つ以上を調整対象因子として調整することで前記複数の制約条件をすべて満足させる調整処理を実行し、しかも、
装置の稼働状況に応じて、前記調整対象因子の調整範囲を変更設定することを特徴とする画像形成装置。 - 複数の制約条件を満足させながら画像形成を行う画像形成方法において、
画像形成に影響を与える因子のうち少なくとも1つ以上を固定因子として固定設定するとともに、残りの因子のうち少なくとも1つを調整対象因子として調整することで前記複数の制約条件をすべて満足させる調整処理を実行する一方、
装置の稼働状況に応じて、前記固定因子の少なくとも1つ以上を変更設定した上で前記調整処理を実行することを特徴とする画像形成方法。 - 前記固定因子の少なくとも1つを変更したときには、変更後の前記固定因子に設定しながら前記調整処理を行う請求項14に記載の画像形成方法。
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