JP2004126343A - 画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好な画像形成条件を維持しながら画像濃度の制御を行い、画質の良好なトナー像を安定して形成する。
【解決手段】現像バイアスVbを最適値に設定し(ステップS101)、露光エネルギーEをその可変範囲内で順次変更設定しながらパッチ画像を形成する(ステップS102〜S105)。その画像濃度を検出し(ステップS106)、その検出結果に基づき露光エネルギーEの最適値を算出する(ステップS109)。いずれのパッチ画像濃度も目標濃度に達しない、または目標濃度を超えてしまっている場合には(ステップS107、S108)、逆コントラスト電圧Vrを1ステップ低下または増加させた上で(ステップS110、S111)、再度露光エネルギーEの調整を行う。
【選択図】 図8
【解決手段】現像バイアスVbを最適値に設定し(ステップS101)、露光エネルギーEをその可変範囲内で順次変更設定しながらパッチ画像を形成する(ステップS102〜S105)。その画像濃度を検出し(ステップS106)、その検出結果に基づき露光エネルギーEの最適値を算出する(ステップS109)。いずれのパッチ画像濃度も目標濃度に達しない、または目標濃度を超えてしまっている場合には(ステップS107、S108)、逆コントラスト電圧Vrを1ステップ低下または増加させた上で(ステップS110、S111)、再度露光エネルギーEの調整を行う。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、静電潜像をトナーにより顕像化することで画像を形成する電子写真方式の画像形成装置および画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真技術を応用した複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置では、所定の表面電位に帯電された像担持体上に静電潜像が形成されるとともに、像担持体と対向配置されてトナーを担持するトナー担持体と、静電潜像を担持する像担持体との間に印加された現像バイアスの作用により、トナーがトナー担持体から像担持体上に移動することでトナー像が形成される。
【0003】
この種の画像形成装置では、装置各部に与えるバイアス電位を始めとする様々な要素からなる画像形成条件を変化させることで画像濃度などの画像品質を制御できることが従来より知られている。また、装置の個体差、経時変化や、温湿度など装置の周囲環境の変化に起因してトナー像の画像濃度が異なることがある。そこで、上記要素のうち画像濃度に影響を与える濃度制御因子を調整することで画像濃度を制御する濃度制御技術が従来より提案されている。
【0004】
例えば、本件出願人は、現像バイアスおよび帯電バイアスを濃度制御因子として用いた画像形成装置を既に開示している(特許文献1参照)。また、非接触現像方式の画像形成装置において、現像バイアスとしての交番電圧の振幅およびデューティ等を画像濃度に応じて変更する装置がある(例えば、特許文献2参照)。ここで、「非接触現像方式」とは、静電潜像を担持する像担持体とトナーを担持するトナー担持体とを所定のギャップを隔てて対向配置し、該ギャップに交番電圧を印加することによりトナーを飛翔させてトナー像を形成する現像方式であり、例えばジャンピング現像方式がこれに含まれる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−100471号公報(図3)
【特許文献2】
特開2001−27837号公報(図19)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これらの濃度制御因子は、画像濃度に影響を与えるのみならず、装置各部の動作に様々な影響を及ぼしている。例えば、上記した非接触現像方式の画像形成装置では、交番電圧の振幅を大きくしすぎるとギャップにおいて放電が生じ、画像形成に支障を来すことがある。一方、像担持体とトナー担持体との間の電位差を小さくしすぎると、これらのいずれにも付着せず装置内に飛散するトナーの量が多くなり、形成される画像や装置内部を汚してしまう。
【0007】
したがって、良好な画像形成を行うためには、所望の画像濃度を得るのはもちろんのこと、これら様々な要求をいずれも満足する画像形成条件が設定されなければならない。その結果、画像濃度の制御に対して制約が加えられることがある。すなわち、濃度制御因子を可変とすることで画像濃度を制御する従来技術の画像形成装置においては、濃度制御因子の可変範囲全体においてこれらの要求を満足する必要があるため、その可変範囲を設定するにあたって様々な制約を受けることとなり、結果的に画像濃度の制御範囲も限定されてしまう。
【0008】
特に、近年における高画質化、画像サイズの大型化およびプロセスの高速化等に対する要求の高まりに伴い、部品精度あるいはトナー特性に対する要求も厳しくなっている。これに伴って、画像形成条件に対する制約も厳しくなり、濃度制御因子の可変範囲を広く取ることが困難となってきている。その結果、このような要求を満たしつつ、装置特性の個体ばらつきや経時変化を広範囲にカバーすることが難しくなっている。そこで、画質の良好な画像を形成できる画像形成条件を維持しながら、画像濃度については必要な濃度範囲で制御を行うことのできる濃度制御技術の確立が望まれている。
【0009】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、良好な画像形成条件を維持しながら画像濃度の制御を行い、画質の良好なトナー像を安定して形成することのできる画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、静電潜像を担持可能に構成された感光体と、所定の初期電位に帯電された前記感光体の表面を光ビームにより露光することで前記感光体の表面に前記静電潜像を形成する露光手段と、前記感光体と対向配置されて、トナーを前記像担持体との対向位置に搬送するトナー担持体とを備え、前記像担持体と前記トナー担持体との間に現像バイアスを印加して前記トナーを前記トナー担持体から前記像担持体に移動させることで、前記静電潜像を前記トナーにより顕像化してトナー像を形成する画像形成装置において、上記目的を達成するため、パッチ画像として形成したトナー像の画像濃度に基づいて、前記光ビームのエネルギー密度を所定の調整範囲内で調整する主調整処理を実行することによって画像濃度を制御し、しかも、前記主調整処理において、前記調整範囲内で所定の目標濃度に対応するパッチ画像を形成することができないときには、前記感光体の前記初期電位、および前記現像バイアスの加重平均電圧のうち少なくとも一方を変更設定することで、前記静電潜像のうちトナーを付着させない非ドット部の表面電位と前記加重平均電圧との電位差を変化させた後に、再度前記主調整処理を実行することを特徴としている。
【0011】
感光体を露光することによって静電潜像を形成する画像形成装置においては、光ビームのエネルギー密度を変化させることで静電潜像の電位プロファイル、すなわち感光体上の静電潜像のうち、トナーを付着させるべきドット部とそれ以外の非ドット部との間の電位差や両者の境界付近での電位勾配の様子が変化する。そのため、光ビームのエネルギー密度を所定の調整範囲内で調整することで変化させることによって画像濃度を制御することが可能である。しかしながら、その調整範囲を設定するに当たっては、使用する光源や感光体の特性に基づく制約があり、必ずしも自由に設定できるわけではない。そのため、画像濃度の制御範囲も自ずと制限されてしまう。そこで、この発明では、主調整処理として行う光ビームのエネルギー密度の調整だけで所定の目標濃度に対応するパッチ画像を形成することができないときには、静電潜像のうち非ドット部の表面電位と現像バイアスの加重平均電圧との電位差を変化させた後に、改めて光ビームのエネルギー密度を調整し直すようにしている。
【0012】
ここで、「目標濃度に対応するパッチ画像を形成することができないとき」とは、光ビームのエネルギー密度をその調整範囲においてどのように設定しても、パッチ画像濃度が目標濃度に達しない、または目標濃度を超えてしまう場合を指している。また、静電潜像の非ドット部の表面電位と現像バイアスの加重平均電圧との電位差を変化させることで、感光体側からトナー担持体側に向けてトナーを引き戻す静電気力が変化するため、これによっても画像濃度が変化することとなる。すなわち、この発明では、光ビームのエネルギー密度の調整だけで目標どおりの画像濃度を得られないときには、上記電位差を変化させることで画像濃度の制御範囲を高濃度側または低濃度側にシフトさせる。そして、その状態で改めて主調整処理を行い、光ビームのエネルギー密度を調整することによって、目標どおりの画像濃度が得られるようになっている。
【0013】
このようにすることで、その限られた調整範囲の中で光ビームのエネルギー密度の最適値を求めることができ、画像濃度をその目標濃度と一致するように制御することが可能となる。こうして画像濃度を制御しながらトナー像を形成しているので、この画像形成装置では、画質の良好なトナー像を安定して形成することができる。なお、上記電位差の変更は、感光体の初期電位、および現像バイアスの加重平均電圧のうち少なくとも一方を変更設定することによって達成される。
【0014】
例えば、前記調整範囲の全範囲において前記パッチ画像の画像濃度が前記目標濃度未満となる、または、前記調整範囲の全範囲において前記パッチ画像の画像濃度が前記目標濃度を超えるときには、それぞれ前記電位差が小さくなるように、または大きくなるように変化させればよい。こうすることで、光ビームのエネルギー密度の調整による画像濃度の制御範囲を、より目標濃度に近づく方向にシフトさせることができ、目標濃度の達成が容易となる。
【0015】
また、前記パッチ画像は、孤立ドットまたは細線からなる画像であることが望ましく、また、該パッチ画像全体に占めるドット部の面積が20%以下の低濃度画像であることが好ましい。というのは、このようなドット部が比較的小さい面積に形成される画像では、光ビームのエネルギー密度による画像濃度の変化が顕著に現れてその調整が容易となるからである。
【0016】
また、前記感光体と前記トナー担持体とが所定のギャップを隔てて対向配置された画像形成装置では、前記感光体と前記トナー担持体との間における最大電位差が前記ギャップにおける放電開始電圧より小さい値となるように、前記感光体の前記初期電位および前記現像バイアスを設定することによって、当該ギャップにおいて放電が発生するのを防止して、安定してトナー像を形成することができる。
【0017】
また、この発明は、所定の初期電位に帯電された感光体の表面を光ビームにより露光することで前記感光体の表面に静電潜像を形成するとともに、前記感光体と対向配置したトナー担持体と前記像担持体との間に現像バイアスを印加して、前記トナーを前記トナー担持体から前記像担持体に移動させることで前記静電潜像を前記トナーにより顕像化してトナー像を形成する画像形成方法において、上記目的を達成するため、パッチ画像としてのトナー像を形成するとともにその画像濃度を検出し、その検出結果に基づいて、前記光ビームのエネルギー密度を所定の調整範囲内で調整する主調整処理を実行することによって画像濃度を制御し、前記主調整処理において、前記調整範囲内で所定の目標濃度に対応するパッチ画像を形成することができないときには、前記前記感光体の前記初期電位、および前記現像バイアスの加重平均電圧のうち少なくとも一方を変更設定することで、前記静電潜像のうちトナーを付着させない非ドット部の表面電位と前記加重平均電圧との電位差を変化させた後に、再度前記主調整処理を実行することを特徴としている。
【0018】
このように構成された発明では、上記した画像形成装置と同様に、感光体を露光する光ビームのエネルギー密度を調整する主調整処理を実行することによって画像濃度を制御する。そして、その調整範囲内で目標どおりの画像濃度を得られないときには、静電潜像の非ドット部の表面電位と現像バイアスの加重平均電圧との電位差を変化させることで画像濃度の制御範囲をシフトさせ、改めて上記の主調整処理を実行する。こうすることで、その限られた調整範囲の中で光ビームのエネルギー密度の最適値を求めることができ、画像濃度をその目標濃度と一致するように制御することが可能となる。この画像形成方法では、こうして画像濃度を制御しながらトナー像を形成するので、画質の良好なトナー像を安定して形成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する非接触現像方式の画像形成装置である。この画像形成装置では、ユーザからの画像形成要求に応じてホストコンピュータなどの外部装置から画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ10がエンジン部EGの各部を制御してシートSに画像信号に対応する画像を形成する。
【0020】
このエンジン部EGでは、感光体2が図1の矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、この感光体2の周りにその回転方向D1に沿って、帯電ユニット3、ロータリー現像ユニット4およびクリーニング部5がそれぞれ配置されている。帯電ユニット3は帯電制御部103から帯電バイアスが印加されており、感光体2の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。
【0021】
そして、この帯電ユニット3によって帯電された感光体2の外周面に向けて露光ユニット6から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、露光制御部102から与えられる制御指令に応じて光ビームLを感光体2上に露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。例えば、ホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介してメインコントローラ11のCPU111に画像信号が与えられると、エンジンコントローラ10のCPU101が露光制御部102に対し所定のタイミングで画像信号に対応した制御信号を出力し、これに応じて露光ユニット6から光ビームLが感光体2上に照射されて、画像信号に対応する静電潜像が感光体2上に形成される。また、必要に応じて後述するパッチ画像を形成する場合には、予め設定された所定パターンのパッチ画像信号に対応した制御信号がCPU101から露光制御部102に与えられ、該パターンに対応する静電潜像が感光体2上に形成される。このように、この実施形態では、感光体2が「像担持体」として、また露光ユニット6が「露光手段」として機能している。
【0022】
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では、現像ユニット4は、軸中心に回転自在に設けられた支持フレーム40、図示を省略する回転駆動部、支持フレーム40に対して着脱自在に構成されてそれぞれの色のトナーを内蔵するイエロー用の現像器4Y、シアン用の現像器4C、マゼンタ用の現像器4M、およびブラック用の現像器4Kを備えている。この現像ユニット4は、図2に示すように、現像器制御部104により制御されている。そして、この現像器制御部104からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともにこれらの現像器4Y、4C、4M、4Kが選択的に感光体2と対向する所定の現像位置に位置決めされて、選択された色のトナーを感光体2の表面に付与する。これによって、感光体2上の静電潜像が選択トナー色で顕像化される。なお、図1は、イエロー用の現像器4Yが現像位置に位置決めされた状態を示している。
【0023】
これらの現像器4Y、4C、4M、4Kはいずれも同一構造を有している。したがって、ここでは、現像器4Kの構成について図3を参照しながらさらに詳しく説明するが、その他の現像器4Y、4C、4Mについてもその構造および機能は同じである。
【0024】
図3はこの画像形成装置の現像器を示す断面図である。また、図4は非接触現像の原理を説明する図である。この現像器4Kでは、その内部にトナーTを収容するハウジング41に供給ローラ43および現像ローラ44が軸着されており、当該現像器4Kが上記した現像位置に位置決めされると、現像ローラ44が感光体2と所定のギャップGPを隔てて対向位置決めされるとともに、これらのローラ43、44が本体側に設けられた回転駆動部(図示省略)と係合されて所定の方向に回転する。この現像ローラ44は、後述する現像バイアスを印加されるべく銅、ステンレス、アルミニウム等の金属または合金により円筒状に形成されている。そして、2つのローラ43、44が接触しながら回転することでブラックトナーが現像ローラ44の表面に擦り付けられて所定厚みのトナー層が現像ローラ44表面に形成される。
【0025】
また、この現像器4Kでは、現像ローラ44の表面に形成されるトナー層の厚みを所定厚みに規制するための規制ブレード45が配置されている。この規制ブレード45は、ステンレスやリン青銅などの板状部材451と、板状部材451の先端部に取り付けられたゴムや樹脂部材などの弾性部材452とで構成されている。この板状部材451の後端部はハウジング41に固着されており、現像ローラ44の回転方向D3において、板状部材451の先端部に取り付けられた弾性部材452が板状部材451の後端部よりも上流側に位置するように配設されている。そして、その弾性部材452が現像ローラ44表面に弾性的に当接して現像ローラ44の表面に形成されるトナー層を最終的に所定の厚みに規制する。
【0026】
なお、現像ローラ44表面のトナー層を構成する各トナー粒子は、供給ローラ43、規制ブレード45と摩擦されたことによって帯電しており、ここではトナーが負に帯電するものとして以下説明するが、装置各部の電位を適宜変更することで正に帯電するトナーも使用可能である。
【0027】
このようにして現像ローラ44の表面に形成されたトナー層は、現像ローラ44の回転によって順次、その表面に静電潜像が形成されている感光体2との対向位置に搬送される。すなわち、この実施形態では、現像ローラ44が「トナー担持体」として機能している。そして、現像器制御部104から、直流電圧Vdcと交流電圧Vacとが重畳された現像バイアスVbが現像ローラ44に印加されると、現像ローラ44上に担持されたトナーTはギャップGPに生じる交番電界の作用により飛翔して、感光体2の表面各部にその表面電位Vsに応じて部分的に付着し、こうして感光体2上の静電潜像が当該トナー色のトナー像として顕像化される。また、感光体2に移行せず、現像ローラ44に残ったトナーはさらに下流側に搬送され、供給ローラ43によって掻き落とされる。
【0028】
図5は装置各部の電位を示す図である。上記したように、現像バイアスVbは直流電圧Vdcと交流電圧Vac(図4)とが重畳されたものであるが、その交流電圧Vacの波形は、図5(a)に示すように、振幅Vppの矩形波である。また、その波形デューティ、すなわち1サイクルにおいてその瞬時値が一方のピーク値となる期間taと他方のピーク値となる期間tbとの比は、所定の範囲で変更設定可能となっている。そのため、現像バイアスVbの1サイクルあたりの平均電圧、つまり加重平均電圧Vavgは、直流電圧Vdcと、交流電圧Vacの振幅Vppおよび波形デューティとのいずれかを変更することで変更可能である。
【0029】
また、感光体2の表面では、図4に示すように、帯電ユニット3により一様な表面電位に帯電された後、露光ユニット6からの光ビームLにより部分的に露光される。その結果、図5(b)に示すように、感光体2の表面電位Vsは、露光を受けなかった領域では帯電後の電位Vo(本発明の「初期電位」に相当する)が維持される一方、露光を受けたドット部DTでは表面の電荷が中和されて電位Vonまで低下している。以下、本明細書においては、感光体2表面のうち、光ビームLにより露光された領域の電位Vonを「明部電位」、露光されない領域の電位Voを「暗部電位」という。
【0030】
装置各部にこのような電位が与えられることにより、図5に示すように、二次的に以下の各パラメータを定義することができる:
コントラスト電圧Vcon=|Vavg−Von|…(1);
逆コントラスト電圧Vr=|Vo−Vavg|…(2);
最大ギャップ電圧Vm=|Vo−Vdc|+Vpp/2…(3)。
【0031】
このうち、コントラスト電圧Vconが大きくなると、現像ローラ44の平均電位と感光体2に形成されたドット部DTとの電位差が大きくなり、現像ローラ44からドット部DTへのトナー移動が促進される。すなわち、コントラスト電圧Vconは、ドット部DTにおけるトナー付着量に関するパラメータである。
【0032】
また、逆コントラスト電圧Vrは、現像ローラ44の平均電位と感光体2の露光されなかった領域の表面電位との差であり、この値が大きくなるとギャップGPに飛翔したトナーTが現像ローラ44に引き戻される作用が強まり、カブリや装置内部へのトナー飛散は減少するが、微小なドット部DTへのトナー付着が阻害されるので細線の画像濃度が低下しやすくなる。一方、逆コントラスト電圧Vrが小さくなると、ギャップGPに飛翔したトナーTを現像ローラ44および感光体2のいずれかに引きつける作用が弱くなり、その結果、いずれにも付着せずトナーTが装置内部に飛散してしまう確率が増加する。このように、逆コントラスト電圧Vrは、細線画像の画像濃度および装置内部へのトナー飛散の程度に関するパラメータである。
【0033】
さらに、最大ギャップ電圧Vmは、ギャップGPに印加される電圧の最大値を示すものであり、この値がギャップGPにおける放電開始電圧以上になると現像ローラ44と感光体2との間で放電が発生し、画像品質を著しく損ねるばかりでなく、装置の故障を引き起こすことがある。このように、最大ギャップ電圧Vmは、ギャップGPでの放電の有無に関するパラメータである。
【0034】
なお、装置各部に与えられる各バイアスの電位や波形は上記に限定されるものではない。例えば、現像バイアスVbに含まれる交流電圧Vacの波形は上記した矩形波以外に、例えば三角波や正弦波などの波形としてもよい。また、上記では、感光体2はネガ潜像、すなわち光ビームLにより露光された領域にトナーが付着するタイプのものとして説明したが、露光されなかった領域にトナーが付着するように構成されたポジ潜像タイプのものであってもよい。
【0035】
また、この実施形態では、図5に示す電位関係に基づき最大ギャップ電圧Vmを上記(3)式のように定義したが、各部に与える電位の大きさによってこれと異なる定義が必要な場合がある。すなわち、最大ギャップ電圧Vmとは、現像ローラ44と感光体2との間に生じうる瞬時的な電位差の最大値のことであり、各部の電位の大小に応じて適宜定義すればよい。
【0036】
このように、装置各部に与えられる電位によって画像濃度や装置内部へのトナー飛散の程度などが大きく変化するため、画質の良好なトナー像を安定して形成するためには、これらをどのように設定するかが重要となる。このことについては後に詳述する。
【0037】
図1に戻って、装置構成の説明を続ける。上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。転写ユニット7は、複数のローラ72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部(図示省略)とを備えている。さらに、中間転写ベルト71を挟んでローラ73と対向する位置には、該ベルト71表面に対して不図示の電磁クラッチにより当接・離間移動可能に構成された二次転写ローラ78が設けられている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、感光体2上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト71上に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、カセット8から取り出されて中間転写ベルト71と二次転写ローラ78との間の二次転写領域TR2に搬送されてくるシートS上にカラー画像を二次転写する。また、こうしてカラー画像が形成されたシートSは定着ユニット9を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部に搬送される。
【0038】
なお、中間転写ベルト71へトナー像を一次転写した後の感光体2は、不図示の除電手段によりその表面電位がリセットされ、さらに、その表面に残留したトナーがクリーニング部5により除去された後、帯電ユニット3により次の帯電を受ける。
【0039】
また、ローラ75の近傍には、クリーナ76、濃度センサ60および垂直同期センサ77が配置されている。これらのうち、クリーナ76は図示を省略する電磁クラッチによってローラ75に対して近接・離間移動可能となっている。そして、ローラ75側に移動した状態でクリーナ76のブレードがローラ75に掛け渡された中間転写ベルト71の表面に当接し、二次転写後に中間転写ベルト71の外周面に残留付着しているトナーを除去する。また、垂直同期センサ77は、中間転写ベルト71の基準位置を検出するためのセンサであり、中間転写ベルト71の回転駆動に関連して出力される同期信号、つまり垂直同期信号Vsyncを得るための垂直同期センサとして機能する。そして、この装置では、各部の動作タイミングを揃えるとともに各色で形成されるトナー像を正確に重ね合わせるために、装置各部の動作はこの垂直同期信号Vsyncに基づいて制御される。さらに、濃度センサ60は中間転写ベルト71の表面に対向して設けられており、後述するようにして中間転写ベルト71の外周面に形成されるパッチ画像の光学濃度を測定する。
【0040】
また、図2に示すように、各現像器4Y、4C、4M、4Kには該現像器の製造ロットや使用履歴、内蔵トナーの特性などに関するデータを記憶するメモリ91〜94がそれぞれ設けられている。さらに、各現像器4Y、4C、4M、4Kにはコネクタ49Y、49C、49M、49Kがそれぞれ設けられている。そして、必要に応じて、これらが選択的に本体側に設けられたコネクタ108と接続され、インターフェース105を介してCPU101と各メモリ91〜94との間でデータの送受を行って該現像器に関する消耗品管理等の各種情報の管理を行っている。なお、この実施形態では本体側コネクタ108と各現像器側のコネクタ49K等とが機械的に嵌合することで相互にデータ送受を行っているが、例えば無線通信等の電磁的手段を用いて非接触にてデータ送受を行うようにしてもよい。また、各現像器4Y、4C、4M、4Kに固有のデータを記憶するメモリ91〜94は、電源オフ状態や該現像器が本体から取り外された状態でもそのデータを保存できる不揮発性メモリであることが望ましく、このような不揮発性メモリとしては例えばフラッシュメモリや強誘電体メモリ、EEPROMなどを用いることができる。
【0041】
なお、図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリであり、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
【0042】
次に、この画像形成装置における濃度制御処理について説明する。上記のように構成された画像形成装置では、装置の個体ばらつきに起因して、また装置特性の経時変化に起因して起こる画像濃度の変動を抑制するため、装置の電源投入直後などの適当なタイミングで各トナー色毎に以下に述べる濃度制御処理を実行し、現像バイアスの加重平均電圧Vavgおよび光ビームLの単位面積あたりのエネルギー(以下、単に「露光エネルギー」という)Eを濃度制御因子として、画像濃度の制御を行っている。
【0043】
図6は感光体上の静電潜像の電位プロファイルの例を示す図である。図6(a)に示すように、例えばベタ画像や塗りつぶしを多用した画像のように画像全体に占めるドット部の面積の比率が比較的高い高濃度画像ISでは、比較的広い面積が露光されて、ドット部の表面電位すなわち明部電位Vonは感光体2の特性で決まる残留電位程度まで低下し、露光エネルギーEによる変化は少ない。このとき、コントラスト電圧Vconが変化すると、潜像へのトナーの付着量が変化するため画像濃度が変化する。これに対して、図6(b)に示すように、細線画像ILでは、露光エネルギーEの大小によって潜像の深さおよび幅が変化するので、その画像濃度はコントラスト電圧Vconのみならず露光エネルギーEによっても変化することとなる。
【0044】
この濃度制御処理では、上記性質を利用して、まず濃度検出用のテスト画像として高濃度パッチ画像を形成してその画像濃度を検出し、その検出結果に基づいて加重平均電圧Vavgの最適値を求める。そして、次に低濃度パッチ画像を形成し、その検出結果に基づいて露光エネルギーEの最適値を求めることで、高濃度画像、低濃度画像のいずれにおいても所望の画像濃度を得られる画像形成条件を求めている。
【0045】
図7はこの実施形態における現像バイアス設定処理を示すフローチャートである。また、図8はこの実施形態における露光エネルギー設定処理を示すフローチャートである。これらの処理の内容は基本的に同一であり、変更するパラメータ等が一部相違するだけである。そこで、ここではまず図7に示す現像バイアス設定処理について説明し、図8の露光エネルギー設定処理についてはその相違点について主に説明する。
【0046】
この現像バイアス設定処理では、まず露光エネルギーEおよび現像バイアスVbの振幅Vppを所定の基準値に設定する(ステップS1)。この基準値の設定は任意であるが、加重平均電圧Vavgの変更によるパッチ画像の濃度変化が現れやすい条件としておくのが望ましく、この観点から、ここでは露光エネルギーEをその可変範囲における最大値、振幅Vppをその可変範囲における中央値としている。なお、振幅Vppの可変範囲については、ギャップGPにおいてトナーを飛翔させるに十分な電界強度が得られる程度に高く、かつギャップGPにおいて現像ローラ44と感光体2との間で放電が発生しないように設定する必要がある。
【0047】
次に、加重平均電圧Vavgをその可変範囲における最小値に設定し(ステップS2)、高濃度パッチ画像として例えば所定サイズのベタ画像を形成する(ステップS3)。この高濃度パッチ画像はベタ画像に限定されるわけではないが、画像濃度の露光エネルギーEに対する依存性を小さく抑えるために、比較的高濃度の画像、より具体的には、例えばパッチ画像全体に占めるドット部の面積率が80%以上となるようにするのが望ましい。そして、加重平均電圧Vavgがその可変範囲における最大値であることを確認するまで(ステップS4)、加重平均電圧Vavgを1ステップずつ増加させながら(ステップS5)上記ステップS3を繰り返すと、中間転写ベルト71上には加重平均電圧Vavgの最小値から最大値まで各値で形成された高濃度パッチ画像が該ベルト71の搬送方向D2(図1)に沿って並ぶこととなる。
【0048】
そして、このパッチ画像が濃度センサ60との対向位置に搬送されてくるタイミングに同期してCPU101が濃度センサ60からの出力電圧をサンプリングすることで、加重平均電圧Vavgの各値でのパッチ画像それぞれについて、その画像濃度を測定する(ステップS6)。
【0049】
このとき、各パッチ画像の画像濃度のうちの最大値Dmaxについて、予め定められた目標濃度との比較を行う(ステップS7)。そして、最大濃度Dmaxが目標濃度より小さい、すなわちどのパッチ画像も目標濃度に達していないときには、現像バイアスVbの振幅Vppを1ステップ増加させ(ステップS10)、ステップS2に戻って再び上記動作を行う。一方、各パッチ画像の画像濃度のうちの最小値Dminについても目標濃度との比較を行い(ステップS8)、最小濃度Dminが目標値を超えているときには、現像バイアスVbの振幅Vppを1ステップ低下させた上で(ステップS11)、ステップS2に戻る。
【0050】
上記比較による判断結果がいずれもNOであればステップS9に進む。このとき、目標濃度は最大濃度Dmaxと最小濃度Dminとの間に位置しているから、パッチ画像濃度が目標濃度と一致するような加重平均電圧Vavgの値がその可変範囲内において存在するはずである。そこで、その値を計算により求め、これを加重平均電圧の最適値とする。このようにして、加重平均電圧Vavgの最適値が求められる。
【0051】
上記処理においては、加重平均電圧Vavgの各値で形成したパッチ画像それぞれの画像濃度のいずれもが目標濃度に達しない、またはそのいずれもが目標濃度を超えており、加重平均電圧Vavgの可変範囲においてパッチ画像濃度を目標濃度に一致させることができない場合には、現像バイアスVbの振幅Vppを変更設定した後に、再び加重平均電圧Vavgを変化させながらパッチ画像を形成するようにしている。このようにする理由は以下の通りである。
【0052】
すなわち、この種の画像形成装置において、画像濃度の主たる変動要因となるのは、温湿度など周囲環境によるものを除けば、装置個体毎の特性ばらつきとトナー特性の経時変化とである。このうち、装置個体毎に最も大きく異なるのはギャップGPの大きさである。というのは、現像ローラ44を収容する各現像器4K等や感光体2は、メンテナンス性向上のため装置本体に対して着脱可能に構成されており、これらの寸法公差および装着時の遊びによってギャップGPの大きさが大きく変化するからである。現像バイアスVbの印加によりギャップGPに形成される電界の強度はギャップGPの大きさに依存するため、このギャップGPの大小によって、ギャップGPに飛翔するトナーの量が変動することとなる。
【0053】
一方、現像器内のトナー特性は、同一の装置においても使用につれて経時的に変化してゆく。これは、現像ローラ44に担持されてギャップGPまで搬送されたトナーのうち、トナー像形成に寄与せず現像ローラ44上に残ったトナーは現像ローラ44から掻き落とされて現像器内に戻されるが、このようにトナーが付着・剥離を繰り返すうちにトナーの疲労劣化が起こるためである。このようなトナーの疲労は、例えばトナーの帯電性や流動性を調整するために添加された外添剤の剥離やトナー母粒子への埋没によって起こると考えられる。その結果、トナーの帯電性や流動性が変化してしまい、やはりギャップGPでのトナー飛翔量に影響を及ぼすこととなる。本願発明者の実験によれば、使用を重ねるにつれてトナーの飛翔性が低下し、ギャップGPにおけるトナー飛翔量は次第に低下する傾向にあることが確かめられている。
【0054】
この現像バイアス設定処理においては、加重平均電圧Vavgの可変範囲における最小値から最大値まで、各値でパッチ画像を形成しているから、形成された各パッチ画像の中には、その濃度制御範囲における最低濃度または最高濃度を持つものがそれぞれ含まれていると考えられる。それにもかかわらず、形成されたパッチ画像の濃度がいずれも目標濃度に達しない、またはいずれも目標濃度を超えてしまう原因の1つとして、上記した装置またはトナーの特性ばらつきが考えられる。すなわち、これらの特性ばらつきに起因して、当該装置およびトナーの組み合わせにおける好ましい画像形成条件が、この装置において予め想定されている範囲からずれてしまっている可能性が高い。
【0055】
ここで、現像バイアスVbの交流成分Vacは、現像ローラ44上に担持されたトナーTをギャップGPに効率よく飛翔させる目的で印加されるものであり、その振幅VppはギャップGPにおけるトナー飛翔量を左右するパラメータである。したがって、上記のような原因によりトナー飛翔量が想定した値と異なるために本来の画像濃度を得ることができなくなっている場合には、現像バイアスVbの振幅Vppを変更してギャップGPにおけるトナー飛翔量を加減すればよい。こうすることで、画像濃度の制御範囲を高濃度側または低濃度側にシフトさせ、加重平均電圧Vavgの調整によってパッチ画像濃度を目標濃度に一致させることが可能となるのである。
【0056】
なお、先に述べたように、現像バイアスVbの振幅Vppを変更すると、最大ギャップ電圧Vmも変化する。したがって、特に、十分なトナー飛翔量を確保すべく予め振幅Vppを大きく取っている場合には、この振幅Vppを増加させることで最大ギャップ電圧Vmが放電開始電圧を超え、ギャップGPにおいて放電が発生するおそれがある。したがって、現像バイアスVbの振幅Vppを変更するときには、これと連動させて帯電バイアスを変更し、感光体2の暗部電位Voを変更するようにしてもよい。こうすることによって最大ギャップ電圧Vmが放電開始電圧を超えてしまうのを回避することができる。また、この場合、(3)式から明らかなように、最大ギャップ電圧Vmを一定に保持するために、暗部電位Voについては最大でも現像バイアスVbの振幅Vppの変化量の1/2だけ変化させればよい。したがって、こうすることで画像濃度やトナー飛散に与える影響を小さく抑えながら、ギャップGPにおける放電の発生を防止することが可能である。
【0057】
次に、図8の露光エネルギー設定処理について説明する。上記のようにして現像バイアスVbが最適化されると、現像バイアスVbをこの最適値に設定した状態で(ステップS101)、引き続いて露光エネルギー設定処理を実行し、露光エネルギーEの最適化を行う。この露光エネルギー設定処理の基本的な考え方は上記した現像バイアス設定処理と同一である。ただし、上記したように、露光エネルギーEが画像濃度に及ぼす影響が現像バイアスVbとは若干異なっており、これに基づいて処理の内容も異なったものとなっている。
【0058】
第1の相違点は、形成するパッチ画像の画像パターンである(ステップS103)。この露光エネルギー設定処理においては、露光エネルギーEの変化が特に細線画像の濃度に顕著な影響を及ぼすという性質に基づいて、例えば1オン10オフで配置された複数の1ドットラインからなる細線画像を低濃度パッチ画像として用いている。パッチ画像のパターンはこれに限定されるものではないが、上記性質から、例えば孤立ドットや細線で構成された画像を用いるのが望ましく、また、パッチ画像全体に占めるドット部の面積率が20%以下の比較的低濃度の画像とするのが好ましい。
【0059】
第2の相違点は、ステップS107またはS108において、パッチ画像の目標濃度が露光エネルギーEによって制御可能なパッチ画像濃度の範囲内になかった場合の処理である。図7の現像バイアス設定処理においては、このような場合、現像バイアスVbの振幅Vppを増加または低下させた上で再度パッチ画像を形成し、加重平均電圧Vavgの最適値を求めていた。一方、露光エネルギー設定処理において上記振幅Vppを変更することは、高濃度画像での濃度変化を生じてしまうため好ましくない。また、低濃度画像においては、逆コントラスト電圧Vr(図6(b))の変化が静電潜像の電位プロファイルに与える影響が高濃度画像の場合よりも大きく、逆コントラスト電圧Vrの変化による画像濃度の変化が顕著である。そこで、この逆コントラスト電圧Vr、さらに具体的には感光体2の暗部電位Voを加減することにより、高濃度画像の画像濃度を保持しながら、露光エネルギーEによる細線パッチ画像濃度の制御範囲を高濃度側または低濃度側にシフトさせることができる(ステップS110、S111)。そして、その状態で、パッチ画像濃度が目標濃度と一致する露光エネルギーEの値を求めれば、その値が露光エネルギーEの最適値となる(ステップS109)。このように、この実施形態では、図7のステップS102〜S109の処理が、本発明の「主調整処理」に相当するものである。
【0060】
なお、先に述べたように、逆コントラスト電圧Vrを小さくすると、装置内部へのトナー飛散が増加する傾向にある。したがって、逆コントラスト電圧Vrの変化量については、画像濃度の変化とトナー飛散の程度とのバランスを考慮して決定されることが好ましい。一方、逆コントラスト電圧Vrを大きくするために感光体2の暗部電位Voを大きくしすぎると、ギャップGPにおいて放電が発生するおそれがある。この放電を未然に防止するためには、常に最大ギャップ電圧Vm(図5)が放電開始電圧を超えないように注意する必要がある。
【0061】
図9は装置個体における濃度ばらつきおよび必要な濃度制御範囲を示す図である。上記した濃度制御処理は、装置を構成する各パーツの寸法公差に起因する濃度ばらつきや、トナー特性の経時変化に伴う濃度変化が大きい装置において特に有効である。その理由は以下の通りである。すなわち、図9(a)に示すように、1台の装置における周囲環境等による画像濃度の変動範囲は、各装置におけるパーツの組み合わせによってそれぞれ異なっている。また、図9(b)に示すように、1台の装置においては、トナー特性等の経時変化に伴って、画像濃度の変動範囲も経時的に変動してゆく。したがって、各装置個体については比較的狭い範囲で画像濃度を制御できればよいにもかかわらず、製品全体としては、これらのばらつきや経時変化に対応できるように、その濃度制御範囲をより広く設定しておく必要がある。
【0062】
しかしながら、先に述べたように、好ましい画像形成条件を実現するための濃度制御因子の設定範囲は限られており、必要な濃度制御範囲をカバーすべく濃度制御因子の可変範囲を十分広く取ることは難しい。一方、装置個体毎に、また1台の装置においてもその稼動状況によって、好ましい画像形成条件は少しずつ異なっている。そこで、上記実施形態のように、濃度制御因子の可変範囲を所定量に留めた上で、必要に応じて画像形成条件を構成する他の制御因子を変更することで、その装置に対応した好ましい画像形成条件を維持しつつ、適正な範囲での画像濃度制御を行うことが可能となる。
【0063】
例えば、図9(b)に示すように、トナー特性の経時変化によって画像濃度の変動範囲が経時的に変化してゆく場合について考える。このように経時的に変化するトナーの特性のうち、装置内部への飛散量については、トナー劣化のない初期ほど多く、現像器の使用を重ねてトナーの劣化が進むにつれて少なくなる傾向のあることが、本願発明者の実験により確かめられている。また、上記したように、トナー飛散量は逆コントラスト電圧Vrの大小によっても変化する。したがって、トナー飛散量を左右する逆コントラスト電圧Vrに対する制約は、トナーが新しいほど厳しく、トナーの劣化が進むにつれて緩やかなものとなる。そのため、ある程度トナーの劣化が進んだ状態では、逆コントラスト電圧Vrを多少変化させてもトナー飛散量への影響は少なくなっている。
【0064】
一方、逆コントラスト電圧Vrは、細線画像の画像濃度にも影響を与えている。したがって、少なくともある程度のトナー劣化が進んだ状態においては、露光エネルギーEの調整のみでは目標とする画像濃度を得られない場合に、逆コントラスト電圧Vrの変更によって画像濃度の過不足を補うことができる。すなわち、図9(c)に示すように、制御可能な画像濃度範囲における最大濃度Dmaxが目標濃度に達していない場合には、逆コントラスト電圧Vrを低下させることで画像濃度の制御範囲を高濃度側へシフトさせる一方、最小濃度Dminが目標濃度を超えている場合には、逆コントラスト電圧Vrを増加させることで画像濃度の制御範囲を低濃度側へシフトさせることができる。そして、このように画像形成条件をより装置に対応した方向にシフトさせた上で濃度制御因子を調整し画像濃度を制御するのが好ましい。
【0065】
以上のように、この実施形態では、画像濃度に影響を与える濃度制御因子として現像バイアスVbの加重平均電圧Vavgおよび露光エネルギーEを用い、それぞれを種々に変更設定しながらパッチ画像を形成し、その画像濃度が目標濃度となる条件を見出すことでそれぞれの最適値を求めている。また、各濃度制御因子の可変範囲において目標濃度が得られないときには、現像バイアスVbの振幅Vpp、または逆コントラスト電圧Vrを変更設定した上で、再度各濃度制御因子の調整を行うようにしている。そのため、濃度制御因子の可変範囲をむやみに広く取らなくても、その可変範囲内で確実に目標どおりの画像濃度を得ることができる。したがって、各濃度制御因子について、適正な画像形成条件を維持しながらも画像濃度を制御可能となるようにその可変範囲を設定することが容易となり、その結果、この画像形成装置では、画質の良好な画像を安定して形成することができる。
【0066】
また、逆コントラスト電圧Vrを変更するために、現像バイアスの加重平均電圧Vavgは変化させず、帯電バイアスを変更して感光体2の暗部電位Voのみを変化させているので、高濃度画像の画像濃度に与える影響は少ない。したがって、上記のようにすることで、高濃度および低濃度のいずれの画像においても所望の画像濃度を得ることが可能である。
【0067】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、現像バイアス設定処理および露光エネルギー設定処理を相次いで行うことで濃度制御処理を行っているが、これらのうち現像バイアス設定処理を行うか否かについては任意である。特に、文字を中心とする画像の形成を主な用途とする装置では、細線画像の画像品質が重要である。このような装置においては、低濃度パッチ画像による露光エネルギー設定処理のみを実行することで、濃度制御処理に伴うトナー消費および処理時間を節約しながらも、細線画像の画像品質を維持することが可能となる。この場合、高濃度画像の濃度保持に拘る必要は必ずしもないから、コントラスト電圧Vrを変化させる目的で現像バイアスVbの加重平均電圧Vavgを変更設定するようにしてもよい。また、上記以外に他の濃度制御因子を調整する処理を併せて行うようにしてもよく、形成するパッチ画像のパターンについても、必要に応じて適宜変更してよい。
【0068】
また、上記した実施形態では、濃度センサ60を図1に示す位置に配置し、パッチ画像として形成され中間転写ベルト71上に転写されたトナー像の画像濃度を検出するようにしているが、濃度センサ60の位置はこれに限定されるものではなく任意であり、例えば中間転写ベルト71の移動方向D2において一次転写領域TR1のすぐ下流側に配置したり、さらに感光体2に対向する位置に配置して感光体2上のパッチ画像の濃度を検出するようにしてもよい。このようにした場合には、パッチ画像が形成されて濃度検出が行われるまでの時間差を少なくすることができるので、検出結果をより迅速に濃度制御処理に反映させることができる。例えば、既に形成されたパッチ画像の濃度検出結果から目標濃度を達成可能と判断した場合にはそれ以後のパッチ画像形成を取りやめるようにすれば、無用なトナーの消費を抑え、かつ処理に要する時間の短縮を図ることができる。
【0069】
また、上記した実施形態は、感光体2上で現像されたトナー像を一時的に担持する中間転写ベルト71を有する画像形成装置であるが、転写ドラムや転写ローラなど他の転写体を有する画像形成装置や、転写体を備えず感光体2上に形成されたトナー像を最終的な転写材であるシートSに直接転写するように構成された画像形成装置に対しても本発明を適用することができる。
【0070】
また、上記した実施形態は、感光体2上の静電潜像のうち、光ビームLにより露光されて電荷を失った領域にトナーが付着する、いわゆるネガ潜像タイプの画像形成装置である。しかしながら、本発明は、露光されなかった領域にトナーが付着するポジ潜像タイプの画像形成装置に対しても適用可能である。この場合には、図5(b)における暗部電位Voと明部電位Vonとの大小関係が反対となり、これに伴って、逆コントラスト電圧の定義も上記とは相違する。すなわち、本発明の意図するところによれば、露光エネルギーEの調整による画像濃度の制御範囲をシフトさせるパラメータである逆コントラスト電圧とは、静電潜像の非ドット部の表面電位と現像バイアスの加重平均電圧Vavgとの電位差である。したがって、この場合の逆コントラスト電圧は、感光体2のうち露光された部分の表面電位と加重平均電圧Vavgとの電位差である。
【0071】
また、上記した実施形態は、トナー担持体としての現像ローラ44と、像担持体としての感光体2とがギャップGPを隔てて対向配置された非接触現像方式の画像形成装置であるが、両者が当接された状態でトナー現像が行われる接触現像方式の画像形成装置に対しても本発明を適用することが可能である。この場合には、現像バイアスの振幅Vppおよび感光体2の暗部電位Voの上限はギャップにおける放電発生ではなく、トナーTまたは必要に応じて現像ローラ、感光体表面に形成される絶縁層の絶縁耐圧によって決まることとなる。
【0072】
また、上記した実施形態は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のトナーを用いてフルカラー画像を形成可能に構成された画像形成装置であるが、使用するトナー色およびその色数はこれに限定されるものでなく任意であり、例えばブラックトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する装置に対しても本発明を適用することが可能である。
【0073】
さらに、上記実施形態では、装置外部からの画像信号に基づき画像形成動作を実行するプリンタに本発明を適用しているが、ユーザの画像形成要求、例えばコピーボタンの押動に応じて装置内部で画像信号を作成し、その画像信号に基づき画像形成動作を実行する複写機や、通信回線を介して与えられた画像信号に基づき画像形成動作を実行するファクシミリ装置に対しても本発明を適用可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】この画像形成装置の現像器を示す断面図である。
【図4】非接触現像の原理を説明する図である。
【図5】装置各部の電位を示す図である。
【図6】感光体上の静電潜像の電位プロファイルの例を示す図である。
【図7】現像バイアス設定処理を示すフローチャートである。
【図8】露光エネルギー設定処理を示すフローチャートである。
【図9】濃度ばらつきおよび必要な濃度制御範囲を示す図である。
【符号の説明】
2…感光体、 3…帯電ユニット、 4…現像ユニット、4Y、4C、4M、4K…現像器、 6…露光ユニット(露光手段)、 44…現像ローラ(トナー担持体)、 60…濃度センサ、 GP…ギャップ、 Vavg…(現像バイアスVbの)加重平均電圧、 Vpp…(現像バイアスVbの)振幅、 Vr…逆コントラスト電圧
【発明の属する技術分野】
この発明は、静電潜像をトナーにより顕像化することで画像を形成する電子写真方式の画像形成装置および画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真技術を応用した複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置では、所定の表面電位に帯電された像担持体上に静電潜像が形成されるとともに、像担持体と対向配置されてトナーを担持するトナー担持体と、静電潜像を担持する像担持体との間に印加された現像バイアスの作用により、トナーがトナー担持体から像担持体上に移動することでトナー像が形成される。
【0003】
この種の画像形成装置では、装置各部に与えるバイアス電位を始めとする様々な要素からなる画像形成条件を変化させることで画像濃度などの画像品質を制御できることが従来より知られている。また、装置の個体差、経時変化や、温湿度など装置の周囲環境の変化に起因してトナー像の画像濃度が異なることがある。そこで、上記要素のうち画像濃度に影響を与える濃度制御因子を調整することで画像濃度を制御する濃度制御技術が従来より提案されている。
【0004】
例えば、本件出願人は、現像バイアスおよび帯電バイアスを濃度制御因子として用いた画像形成装置を既に開示している(特許文献1参照)。また、非接触現像方式の画像形成装置において、現像バイアスとしての交番電圧の振幅およびデューティ等を画像濃度に応じて変更する装置がある(例えば、特許文献2参照)。ここで、「非接触現像方式」とは、静電潜像を担持する像担持体とトナーを担持するトナー担持体とを所定のギャップを隔てて対向配置し、該ギャップに交番電圧を印加することによりトナーを飛翔させてトナー像を形成する現像方式であり、例えばジャンピング現像方式がこれに含まれる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−100471号公報(図3)
【特許文献2】
特開2001−27837号公報(図19)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これらの濃度制御因子は、画像濃度に影響を与えるのみならず、装置各部の動作に様々な影響を及ぼしている。例えば、上記した非接触現像方式の画像形成装置では、交番電圧の振幅を大きくしすぎるとギャップにおいて放電が生じ、画像形成に支障を来すことがある。一方、像担持体とトナー担持体との間の電位差を小さくしすぎると、これらのいずれにも付着せず装置内に飛散するトナーの量が多くなり、形成される画像や装置内部を汚してしまう。
【0007】
したがって、良好な画像形成を行うためには、所望の画像濃度を得るのはもちろんのこと、これら様々な要求をいずれも満足する画像形成条件が設定されなければならない。その結果、画像濃度の制御に対して制約が加えられることがある。すなわち、濃度制御因子を可変とすることで画像濃度を制御する従来技術の画像形成装置においては、濃度制御因子の可変範囲全体においてこれらの要求を満足する必要があるため、その可変範囲を設定するにあたって様々な制約を受けることとなり、結果的に画像濃度の制御範囲も限定されてしまう。
【0008】
特に、近年における高画質化、画像サイズの大型化およびプロセスの高速化等に対する要求の高まりに伴い、部品精度あるいはトナー特性に対する要求も厳しくなっている。これに伴って、画像形成条件に対する制約も厳しくなり、濃度制御因子の可変範囲を広く取ることが困難となってきている。その結果、このような要求を満たしつつ、装置特性の個体ばらつきや経時変化を広範囲にカバーすることが難しくなっている。そこで、画質の良好な画像を形成できる画像形成条件を維持しながら、画像濃度については必要な濃度範囲で制御を行うことのできる濃度制御技術の確立が望まれている。
【0009】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、良好な画像形成条件を維持しながら画像濃度の制御を行い、画質の良好なトナー像を安定して形成することのできる画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、静電潜像を担持可能に構成された感光体と、所定の初期電位に帯電された前記感光体の表面を光ビームにより露光することで前記感光体の表面に前記静電潜像を形成する露光手段と、前記感光体と対向配置されて、トナーを前記像担持体との対向位置に搬送するトナー担持体とを備え、前記像担持体と前記トナー担持体との間に現像バイアスを印加して前記トナーを前記トナー担持体から前記像担持体に移動させることで、前記静電潜像を前記トナーにより顕像化してトナー像を形成する画像形成装置において、上記目的を達成するため、パッチ画像として形成したトナー像の画像濃度に基づいて、前記光ビームのエネルギー密度を所定の調整範囲内で調整する主調整処理を実行することによって画像濃度を制御し、しかも、前記主調整処理において、前記調整範囲内で所定の目標濃度に対応するパッチ画像を形成することができないときには、前記感光体の前記初期電位、および前記現像バイアスの加重平均電圧のうち少なくとも一方を変更設定することで、前記静電潜像のうちトナーを付着させない非ドット部の表面電位と前記加重平均電圧との電位差を変化させた後に、再度前記主調整処理を実行することを特徴としている。
【0011】
感光体を露光することによって静電潜像を形成する画像形成装置においては、光ビームのエネルギー密度を変化させることで静電潜像の電位プロファイル、すなわち感光体上の静電潜像のうち、トナーを付着させるべきドット部とそれ以外の非ドット部との間の電位差や両者の境界付近での電位勾配の様子が変化する。そのため、光ビームのエネルギー密度を所定の調整範囲内で調整することで変化させることによって画像濃度を制御することが可能である。しかしながら、その調整範囲を設定するに当たっては、使用する光源や感光体の特性に基づく制約があり、必ずしも自由に設定できるわけではない。そのため、画像濃度の制御範囲も自ずと制限されてしまう。そこで、この発明では、主調整処理として行う光ビームのエネルギー密度の調整だけで所定の目標濃度に対応するパッチ画像を形成することができないときには、静電潜像のうち非ドット部の表面電位と現像バイアスの加重平均電圧との電位差を変化させた後に、改めて光ビームのエネルギー密度を調整し直すようにしている。
【0012】
ここで、「目標濃度に対応するパッチ画像を形成することができないとき」とは、光ビームのエネルギー密度をその調整範囲においてどのように設定しても、パッチ画像濃度が目標濃度に達しない、または目標濃度を超えてしまう場合を指している。また、静電潜像の非ドット部の表面電位と現像バイアスの加重平均電圧との電位差を変化させることで、感光体側からトナー担持体側に向けてトナーを引き戻す静電気力が変化するため、これによっても画像濃度が変化することとなる。すなわち、この発明では、光ビームのエネルギー密度の調整だけで目標どおりの画像濃度を得られないときには、上記電位差を変化させることで画像濃度の制御範囲を高濃度側または低濃度側にシフトさせる。そして、その状態で改めて主調整処理を行い、光ビームのエネルギー密度を調整することによって、目標どおりの画像濃度が得られるようになっている。
【0013】
このようにすることで、その限られた調整範囲の中で光ビームのエネルギー密度の最適値を求めることができ、画像濃度をその目標濃度と一致するように制御することが可能となる。こうして画像濃度を制御しながらトナー像を形成しているので、この画像形成装置では、画質の良好なトナー像を安定して形成することができる。なお、上記電位差の変更は、感光体の初期電位、および現像バイアスの加重平均電圧のうち少なくとも一方を変更設定することによって達成される。
【0014】
例えば、前記調整範囲の全範囲において前記パッチ画像の画像濃度が前記目標濃度未満となる、または、前記調整範囲の全範囲において前記パッチ画像の画像濃度が前記目標濃度を超えるときには、それぞれ前記電位差が小さくなるように、または大きくなるように変化させればよい。こうすることで、光ビームのエネルギー密度の調整による画像濃度の制御範囲を、より目標濃度に近づく方向にシフトさせることができ、目標濃度の達成が容易となる。
【0015】
また、前記パッチ画像は、孤立ドットまたは細線からなる画像であることが望ましく、また、該パッチ画像全体に占めるドット部の面積が20%以下の低濃度画像であることが好ましい。というのは、このようなドット部が比較的小さい面積に形成される画像では、光ビームのエネルギー密度による画像濃度の変化が顕著に現れてその調整が容易となるからである。
【0016】
また、前記感光体と前記トナー担持体とが所定のギャップを隔てて対向配置された画像形成装置では、前記感光体と前記トナー担持体との間における最大電位差が前記ギャップにおける放電開始電圧より小さい値となるように、前記感光体の前記初期電位および前記現像バイアスを設定することによって、当該ギャップにおいて放電が発生するのを防止して、安定してトナー像を形成することができる。
【0017】
また、この発明は、所定の初期電位に帯電された感光体の表面を光ビームにより露光することで前記感光体の表面に静電潜像を形成するとともに、前記感光体と対向配置したトナー担持体と前記像担持体との間に現像バイアスを印加して、前記トナーを前記トナー担持体から前記像担持体に移動させることで前記静電潜像を前記トナーにより顕像化してトナー像を形成する画像形成方法において、上記目的を達成するため、パッチ画像としてのトナー像を形成するとともにその画像濃度を検出し、その検出結果に基づいて、前記光ビームのエネルギー密度を所定の調整範囲内で調整する主調整処理を実行することによって画像濃度を制御し、前記主調整処理において、前記調整範囲内で所定の目標濃度に対応するパッチ画像を形成することができないときには、前記前記感光体の前記初期電位、および前記現像バイアスの加重平均電圧のうち少なくとも一方を変更設定することで、前記静電潜像のうちトナーを付着させない非ドット部の表面電位と前記加重平均電圧との電位差を変化させた後に、再度前記主調整処理を実行することを特徴としている。
【0018】
このように構成された発明では、上記した画像形成装置と同様に、感光体を露光する光ビームのエネルギー密度を調整する主調整処理を実行することによって画像濃度を制御する。そして、その調整範囲内で目標どおりの画像濃度を得られないときには、静電潜像の非ドット部の表面電位と現像バイアスの加重平均電圧との電位差を変化させることで画像濃度の制御範囲をシフトさせ、改めて上記の主調整処理を実行する。こうすることで、その限られた調整範囲の中で光ビームのエネルギー密度の最適値を求めることができ、画像濃度をその目標濃度と一致するように制御することが可能となる。この画像形成方法では、こうして画像濃度を制御しながらトナー像を形成するので、画質の良好なトナー像を安定して形成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する非接触現像方式の画像形成装置である。この画像形成装置では、ユーザからの画像形成要求に応じてホストコンピュータなどの外部装置から画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ10がエンジン部EGの各部を制御してシートSに画像信号に対応する画像を形成する。
【0020】
このエンジン部EGでは、感光体2が図1の矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、この感光体2の周りにその回転方向D1に沿って、帯電ユニット3、ロータリー現像ユニット4およびクリーニング部5がそれぞれ配置されている。帯電ユニット3は帯電制御部103から帯電バイアスが印加されており、感光体2の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。
【0021】
そして、この帯電ユニット3によって帯電された感光体2の外周面に向けて露光ユニット6から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、露光制御部102から与えられる制御指令に応じて光ビームLを感光体2上に露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。例えば、ホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介してメインコントローラ11のCPU111に画像信号が与えられると、エンジンコントローラ10のCPU101が露光制御部102に対し所定のタイミングで画像信号に対応した制御信号を出力し、これに応じて露光ユニット6から光ビームLが感光体2上に照射されて、画像信号に対応する静電潜像が感光体2上に形成される。また、必要に応じて後述するパッチ画像を形成する場合には、予め設定された所定パターンのパッチ画像信号に対応した制御信号がCPU101から露光制御部102に与えられ、該パターンに対応する静電潜像が感光体2上に形成される。このように、この実施形態では、感光体2が「像担持体」として、また露光ユニット6が「露光手段」として機能している。
【0022】
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では、現像ユニット4は、軸中心に回転自在に設けられた支持フレーム40、図示を省略する回転駆動部、支持フレーム40に対して着脱自在に構成されてそれぞれの色のトナーを内蔵するイエロー用の現像器4Y、シアン用の現像器4C、マゼンタ用の現像器4M、およびブラック用の現像器4Kを備えている。この現像ユニット4は、図2に示すように、現像器制御部104により制御されている。そして、この現像器制御部104からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともにこれらの現像器4Y、4C、4M、4Kが選択的に感光体2と対向する所定の現像位置に位置決めされて、選択された色のトナーを感光体2の表面に付与する。これによって、感光体2上の静電潜像が選択トナー色で顕像化される。なお、図1は、イエロー用の現像器4Yが現像位置に位置決めされた状態を示している。
【0023】
これらの現像器4Y、4C、4M、4Kはいずれも同一構造を有している。したがって、ここでは、現像器4Kの構成について図3を参照しながらさらに詳しく説明するが、その他の現像器4Y、4C、4Mについてもその構造および機能は同じである。
【0024】
図3はこの画像形成装置の現像器を示す断面図である。また、図4は非接触現像の原理を説明する図である。この現像器4Kでは、その内部にトナーTを収容するハウジング41に供給ローラ43および現像ローラ44が軸着されており、当該現像器4Kが上記した現像位置に位置決めされると、現像ローラ44が感光体2と所定のギャップGPを隔てて対向位置決めされるとともに、これらのローラ43、44が本体側に設けられた回転駆動部(図示省略)と係合されて所定の方向に回転する。この現像ローラ44は、後述する現像バイアスを印加されるべく銅、ステンレス、アルミニウム等の金属または合金により円筒状に形成されている。そして、2つのローラ43、44が接触しながら回転することでブラックトナーが現像ローラ44の表面に擦り付けられて所定厚みのトナー層が現像ローラ44表面に形成される。
【0025】
また、この現像器4Kでは、現像ローラ44の表面に形成されるトナー層の厚みを所定厚みに規制するための規制ブレード45が配置されている。この規制ブレード45は、ステンレスやリン青銅などの板状部材451と、板状部材451の先端部に取り付けられたゴムや樹脂部材などの弾性部材452とで構成されている。この板状部材451の後端部はハウジング41に固着されており、現像ローラ44の回転方向D3において、板状部材451の先端部に取り付けられた弾性部材452が板状部材451の後端部よりも上流側に位置するように配設されている。そして、その弾性部材452が現像ローラ44表面に弾性的に当接して現像ローラ44の表面に形成されるトナー層を最終的に所定の厚みに規制する。
【0026】
なお、現像ローラ44表面のトナー層を構成する各トナー粒子は、供給ローラ43、規制ブレード45と摩擦されたことによって帯電しており、ここではトナーが負に帯電するものとして以下説明するが、装置各部の電位を適宜変更することで正に帯電するトナーも使用可能である。
【0027】
このようにして現像ローラ44の表面に形成されたトナー層は、現像ローラ44の回転によって順次、その表面に静電潜像が形成されている感光体2との対向位置に搬送される。すなわち、この実施形態では、現像ローラ44が「トナー担持体」として機能している。そして、現像器制御部104から、直流電圧Vdcと交流電圧Vacとが重畳された現像バイアスVbが現像ローラ44に印加されると、現像ローラ44上に担持されたトナーTはギャップGPに生じる交番電界の作用により飛翔して、感光体2の表面各部にその表面電位Vsに応じて部分的に付着し、こうして感光体2上の静電潜像が当該トナー色のトナー像として顕像化される。また、感光体2に移行せず、現像ローラ44に残ったトナーはさらに下流側に搬送され、供給ローラ43によって掻き落とされる。
【0028】
図5は装置各部の電位を示す図である。上記したように、現像バイアスVbは直流電圧Vdcと交流電圧Vac(図4)とが重畳されたものであるが、その交流電圧Vacの波形は、図5(a)に示すように、振幅Vppの矩形波である。また、その波形デューティ、すなわち1サイクルにおいてその瞬時値が一方のピーク値となる期間taと他方のピーク値となる期間tbとの比は、所定の範囲で変更設定可能となっている。そのため、現像バイアスVbの1サイクルあたりの平均電圧、つまり加重平均電圧Vavgは、直流電圧Vdcと、交流電圧Vacの振幅Vppおよび波形デューティとのいずれかを変更することで変更可能である。
【0029】
また、感光体2の表面では、図4に示すように、帯電ユニット3により一様な表面電位に帯電された後、露光ユニット6からの光ビームLにより部分的に露光される。その結果、図5(b)に示すように、感光体2の表面電位Vsは、露光を受けなかった領域では帯電後の電位Vo(本発明の「初期電位」に相当する)が維持される一方、露光を受けたドット部DTでは表面の電荷が中和されて電位Vonまで低下している。以下、本明細書においては、感光体2表面のうち、光ビームLにより露光された領域の電位Vonを「明部電位」、露光されない領域の電位Voを「暗部電位」という。
【0030】
装置各部にこのような電位が与えられることにより、図5に示すように、二次的に以下の各パラメータを定義することができる:
コントラスト電圧Vcon=|Vavg−Von|…(1);
逆コントラスト電圧Vr=|Vo−Vavg|…(2);
最大ギャップ電圧Vm=|Vo−Vdc|+Vpp/2…(3)。
【0031】
このうち、コントラスト電圧Vconが大きくなると、現像ローラ44の平均電位と感光体2に形成されたドット部DTとの電位差が大きくなり、現像ローラ44からドット部DTへのトナー移動が促進される。すなわち、コントラスト電圧Vconは、ドット部DTにおけるトナー付着量に関するパラメータである。
【0032】
また、逆コントラスト電圧Vrは、現像ローラ44の平均電位と感光体2の露光されなかった領域の表面電位との差であり、この値が大きくなるとギャップGPに飛翔したトナーTが現像ローラ44に引き戻される作用が強まり、カブリや装置内部へのトナー飛散は減少するが、微小なドット部DTへのトナー付着が阻害されるので細線の画像濃度が低下しやすくなる。一方、逆コントラスト電圧Vrが小さくなると、ギャップGPに飛翔したトナーTを現像ローラ44および感光体2のいずれかに引きつける作用が弱くなり、その結果、いずれにも付着せずトナーTが装置内部に飛散してしまう確率が増加する。このように、逆コントラスト電圧Vrは、細線画像の画像濃度および装置内部へのトナー飛散の程度に関するパラメータである。
【0033】
さらに、最大ギャップ電圧Vmは、ギャップGPに印加される電圧の最大値を示すものであり、この値がギャップGPにおける放電開始電圧以上になると現像ローラ44と感光体2との間で放電が発生し、画像品質を著しく損ねるばかりでなく、装置の故障を引き起こすことがある。このように、最大ギャップ電圧Vmは、ギャップGPでの放電の有無に関するパラメータである。
【0034】
なお、装置各部に与えられる各バイアスの電位や波形は上記に限定されるものではない。例えば、現像バイアスVbに含まれる交流電圧Vacの波形は上記した矩形波以外に、例えば三角波や正弦波などの波形としてもよい。また、上記では、感光体2はネガ潜像、すなわち光ビームLにより露光された領域にトナーが付着するタイプのものとして説明したが、露光されなかった領域にトナーが付着するように構成されたポジ潜像タイプのものであってもよい。
【0035】
また、この実施形態では、図5に示す電位関係に基づき最大ギャップ電圧Vmを上記(3)式のように定義したが、各部に与える電位の大きさによってこれと異なる定義が必要な場合がある。すなわち、最大ギャップ電圧Vmとは、現像ローラ44と感光体2との間に生じうる瞬時的な電位差の最大値のことであり、各部の電位の大小に応じて適宜定義すればよい。
【0036】
このように、装置各部に与えられる電位によって画像濃度や装置内部へのトナー飛散の程度などが大きく変化するため、画質の良好なトナー像を安定して形成するためには、これらをどのように設定するかが重要となる。このことについては後に詳述する。
【0037】
図1に戻って、装置構成の説明を続ける。上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。転写ユニット7は、複数のローラ72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部(図示省略)とを備えている。さらに、中間転写ベルト71を挟んでローラ73と対向する位置には、該ベルト71表面に対して不図示の電磁クラッチにより当接・離間移動可能に構成された二次転写ローラ78が設けられている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、感光体2上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト71上に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、カセット8から取り出されて中間転写ベルト71と二次転写ローラ78との間の二次転写領域TR2に搬送されてくるシートS上にカラー画像を二次転写する。また、こうしてカラー画像が形成されたシートSは定着ユニット9を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部に搬送される。
【0038】
なお、中間転写ベルト71へトナー像を一次転写した後の感光体2は、不図示の除電手段によりその表面電位がリセットされ、さらに、その表面に残留したトナーがクリーニング部5により除去された後、帯電ユニット3により次の帯電を受ける。
【0039】
また、ローラ75の近傍には、クリーナ76、濃度センサ60および垂直同期センサ77が配置されている。これらのうち、クリーナ76は図示を省略する電磁クラッチによってローラ75に対して近接・離間移動可能となっている。そして、ローラ75側に移動した状態でクリーナ76のブレードがローラ75に掛け渡された中間転写ベルト71の表面に当接し、二次転写後に中間転写ベルト71の外周面に残留付着しているトナーを除去する。また、垂直同期センサ77は、中間転写ベルト71の基準位置を検出するためのセンサであり、中間転写ベルト71の回転駆動に関連して出力される同期信号、つまり垂直同期信号Vsyncを得るための垂直同期センサとして機能する。そして、この装置では、各部の動作タイミングを揃えるとともに各色で形成されるトナー像を正確に重ね合わせるために、装置各部の動作はこの垂直同期信号Vsyncに基づいて制御される。さらに、濃度センサ60は中間転写ベルト71の表面に対向して設けられており、後述するようにして中間転写ベルト71の外周面に形成されるパッチ画像の光学濃度を測定する。
【0040】
また、図2に示すように、各現像器4Y、4C、4M、4Kには該現像器の製造ロットや使用履歴、内蔵トナーの特性などに関するデータを記憶するメモリ91〜94がそれぞれ設けられている。さらに、各現像器4Y、4C、4M、4Kにはコネクタ49Y、49C、49M、49Kがそれぞれ設けられている。そして、必要に応じて、これらが選択的に本体側に設けられたコネクタ108と接続され、インターフェース105を介してCPU101と各メモリ91〜94との間でデータの送受を行って該現像器に関する消耗品管理等の各種情報の管理を行っている。なお、この実施形態では本体側コネクタ108と各現像器側のコネクタ49K等とが機械的に嵌合することで相互にデータ送受を行っているが、例えば無線通信等の電磁的手段を用いて非接触にてデータ送受を行うようにしてもよい。また、各現像器4Y、4C、4M、4Kに固有のデータを記憶するメモリ91〜94は、電源オフ状態や該現像器が本体から取り外された状態でもそのデータを保存できる不揮発性メモリであることが望ましく、このような不揮発性メモリとしては例えばフラッシュメモリや強誘電体メモリ、EEPROMなどを用いることができる。
【0041】
なお、図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリであり、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
【0042】
次に、この画像形成装置における濃度制御処理について説明する。上記のように構成された画像形成装置では、装置の個体ばらつきに起因して、また装置特性の経時変化に起因して起こる画像濃度の変動を抑制するため、装置の電源投入直後などの適当なタイミングで各トナー色毎に以下に述べる濃度制御処理を実行し、現像バイアスの加重平均電圧Vavgおよび光ビームLの単位面積あたりのエネルギー(以下、単に「露光エネルギー」という)Eを濃度制御因子として、画像濃度の制御を行っている。
【0043】
図6は感光体上の静電潜像の電位プロファイルの例を示す図である。図6(a)に示すように、例えばベタ画像や塗りつぶしを多用した画像のように画像全体に占めるドット部の面積の比率が比較的高い高濃度画像ISでは、比較的広い面積が露光されて、ドット部の表面電位すなわち明部電位Vonは感光体2の特性で決まる残留電位程度まで低下し、露光エネルギーEによる変化は少ない。このとき、コントラスト電圧Vconが変化すると、潜像へのトナーの付着量が変化するため画像濃度が変化する。これに対して、図6(b)に示すように、細線画像ILでは、露光エネルギーEの大小によって潜像の深さおよび幅が変化するので、その画像濃度はコントラスト電圧Vconのみならず露光エネルギーEによっても変化することとなる。
【0044】
この濃度制御処理では、上記性質を利用して、まず濃度検出用のテスト画像として高濃度パッチ画像を形成してその画像濃度を検出し、その検出結果に基づいて加重平均電圧Vavgの最適値を求める。そして、次に低濃度パッチ画像を形成し、その検出結果に基づいて露光エネルギーEの最適値を求めることで、高濃度画像、低濃度画像のいずれにおいても所望の画像濃度を得られる画像形成条件を求めている。
【0045】
図7はこの実施形態における現像バイアス設定処理を示すフローチャートである。また、図8はこの実施形態における露光エネルギー設定処理を示すフローチャートである。これらの処理の内容は基本的に同一であり、変更するパラメータ等が一部相違するだけである。そこで、ここではまず図7に示す現像バイアス設定処理について説明し、図8の露光エネルギー設定処理についてはその相違点について主に説明する。
【0046】
この現像バイアス設定処理では、まず露光エネルギーEおよび現像バイアスVbの振幅Vppを所定の基準値に設定する(ステップS1)。この基準値の設定は任意であるが、加重平均電圧Vavgの変更によるパッチ画像の濃度変化が現れやすい条件としておくのが望ましく、この観点から、ここでは露光エネルギーEをその可変範囲における最大値、振幅Vppをその可変範囲における中央値としている。なお、振幅Vppの可変範囲については、ギャップGPにおいてトナーを飛翔させるに十分な電界強度が得られる程度に高く、かつギャップGPにおいて現像ローラ44と感光体2との間で放電が発生しないように設定する必要がある。
【0047】
次に、加重平均電圧Vavgをその可変範囲における最小値に設定し(ステップS2)、高濃度パッチ画像として例えば所定サイズのベタ画像を形成する(ステップS3)。この高濃度パッチ画像はベタ画像に限定されるわけではないが、画像濃度の露光エネルギーEに対する依存性を小さく抑えるために、比較的高濃度の画像、より具体的には、例えばパッチ画像全体に占めるドット部の面積率が80%以上となるようにするのが望ましい。そして、加重平均電圧Vavgがその可変範囲における最大値であることを確認するまで(ステップS4)、加重平均電圧Vavgを1ステップずつ増加させながら(ステップS5)上記ステップS3を繰り返すと、中間転写ベルト71上には加重平均電圧Vavgの最小値から最大値まで各値で形成された高濃度パッチ画像が該ベルト71の搬送方向D2(図1)に沿って並ぶこととなる。
【0048】
そして、このパッチ画像が濃度センサ60との対向位置に搬送されてくるタイミングに同期してCPU101が濃度センサ60からの出力電圧をサンプリングすることで、加重平均電圧Vavgの各値でのパッチ画像それぞれについて、その画像濃度を測定する(ステップS6)。
【0049】
このとき、各パッチ画像の画像濃度のうちの最大値Dmaxについて、予め定められた目標濃度との比較を行う(ステップS7)。そして、最大濃度Dmaxが目標濃度より小さい、すなわちどのパッチ画像も目標濃度に達していないときには、現像バイアスVbの振幅Vppを1ステップ増加させ(ステップS10)、ステップS2に戻って再び上記動作を行う。一方、各パッチ画像の画像濃度のうちの最小値Dminについても目標濃度との比較を行い(ステップS8)、最小濃度Dminが目標値を超えているときには、現像バイアスVbの振幅Vppを1ステップ低下させた上で(ステップS11)、ステップS2に戻る。
【0050】
上記比較による判断結果がいずれもNOであればステップS9に進む。このとき、目標濃度は最大濃度Dmaxと最小濃度Dminとの間に位置しているから、パッチ画像濃度が目標濃度と一致するような加重平均電圧Vavgの値がその可変範囲内において存在するはずである。そこで、その値を計算により求め、これを加重平均電圧の最適値とする。このようにして、加重平均電圧Vavgの最適値が求められる。
【0051】
上記処理においては、加重平均電圧Vavgの各値で形成したパッチ画像それぞれの画像濃度のいずれもが目標濃度に達しない、またはそのいずれもが目標濃度を超えており、加重平均電圧Vavgの可変範囲においてパッチ画像濃度を目標濃度に一致させることができない場合には、現像バイアスVbの振幅Vppを変更設定した後に、再び加重平均電圧Vavgを変化させながらパッチ画像を形成するようにしている。このようにする理由は以下の通りである。
【0052】
すなわち、この種の画像形成装置において、画像濃度の主たる変動要因となるのは、温湿度など周囲環境によるものを除けば、装置個体毎の特性ばらつきとトナー特性の経時変化とである。このうち、装置個体毎に最も大きく異なるのはギャップGPの大きさである。というのは、現像ローラ44を収容する各現像器4K等や感光体2は、メンテナンス性向上のため装置本体に対して着脱可能に構成されており、これらの寸法公差および装着時の遊びによってギャップGPの大きさが大きく変化するからである。現像バイアスVbの印加によりギャップGPに形成される電界の強度はギャップGPの大きさに依存するため、このギャップGPの大小によって、ギャップGPに飛翔するトナーの量が変動することとなる。
【0053】
一方、現像器内のトナー特性は、同一の装置においても使用につれて経時的に変化してゆく。これは、現像ローラ44に担持されてギャップGPまで搬送されたトナーのうち、トナー像形成に寄与せず現像ローラ44上に残ったトナーは現像ローラ44から掻き落とされて現像器内に戻されるが、このようにトナーが付着・剥離を繰り返すうちにトナーの疲労劣化が起こるためである。このようなトナーの疲労は、例えばトナーの帯電性や流動性を調整するために添加された外添剤の剥離やトナー母粒子への埋没によって起こると考えられる。その結果、トナーの帯電性や流動性が変化してしまい、やはりギャップGPでのトナー飛翔量に影響を及ぼすこととなる。本願発明者の実験によれば、使用を重ねるにつれてトナーの飛翔性が低下し、ギャップGPにおけるトナー飛翔量は次第に低下する傾向にあることが確かめられている。
【0054】
この現像バイアス設定処理においては、加重平均電圧Vavgの可変範囲における最小値から最大値まで、各値でパッチ画像を形成しているから、形成された各パッチ画像の中には、その濃度制御範囲における最低濃度または最高濃度を持つものがそれぞれ含まれていると考えられる。それにもかかわらず、形成されたパッチ画像の濃度がいずれも目標濃度に達しない、またはいずれも目標濃度を超えてしまう原因の1つとして、上記した装置またはトナーの特性ばらつきが考えられる。すなわち、これらの特性ばらつきに起因して、当該装置およびトナーの組み合わせにおける好ましい画像形成条件が、この装置において予め想定されている範囲からずれてしまっている可能性が高い。
【0055】
ここで、現像バイアスVbの交流成分Vacは、現像ローラ44上に担持されたトナーTをギャップGPに効率よく飛翔させる目的で印加されるものであり、その振幅VppはギャップGPにおけるトナー飛翔量を左右するパラメータである。したがって、上記のような原因によりトナー飛翔量が想定した値と異なるために本来の画像濃度を得ることができなくなっている場合には、現像バイアスVbの振幅Vppを変更してギャップGPにおけるトナー飛翔量を加減すればよい。こうすることで、画像濃度の制御範囲を高濃度側または低濃度側にシフトさせ、加重平均電圧Vavgの調整によってパッチ画像濃度を目標濃度に一致させることが可能となるのである。
【0056】
なお、先に述べたように、現像バイアスVbの振幅Vppを変更すると、最大ギャップ電圧Vmも変化する。したがって、特に、十分なトナー飛翔量を確保すべく予め振幅Vppを大きく取っている場合には、この振幅Vppを増加させることで最大ギャップ電圧Vmが放電開始電圧を超え、ギャップGPにおいて放電が発生するおそれがある。したがって、現像バイアスVbの振幅Vppを変更するときには、これと連動させて帯電バイアスを変更し、感光体2の暗部電位Voを変更するようにしてもよい。こうすることによって最大ギャップ電圧Vmが放電開始電圧を超えてしまうのを回避することができる。また、この場合、(3)式から明らかなように、最大ギャップ電圧Vmを一定に保持するために、暗部電位Voについては最大でも現像バイアスVbの振幅Vppの変化量の1/2だけ変化させればよい。したがって、こうすることで画像濃度やトナー飛散に与える影響を小さく抑えながら、ギャップGPにおける放電の発生を防止することが可能である。
【0057】
次に、図8の露光エネルギー設定処理について説明する。上記のようにして現像バイアスVbが最適化されると、現像バイアスVbをこの最適値に設定した状態で(ステップS101)、引き続いて露光エネルギー設定処理を実行し、露光エネルギーEの最適化を行う。この露光エネルギー設定処理の基本的な考え方は上記した現像バイアス設定処理と同一である。ただし、上記したように、露光エネルギーEが画像濃度に及ぼす影響が現像バイアスVbとは若干異なっており、これに基づいて処理の内容も異なったものとなっている。
【0058】
第1の相違点は、形成するパッチ画像の画像パターンである(ステップS103)。この露光エネルギー設定処理においては、露光エネルギーEの変化が特に細線画像の濃度に顕著な影響を及ぼすという性質に基づいて、例えば1オン10オフで配置された複数の1ドットラインからなる細線画像を低濃度パッチ画像として用いている。パッチ画像のパターンはこれに限定されるものではないが、上記性質から、例えば孤立ドットや細線で構成された画像を用いるのが望ましく、また、パッチ画像全体に占めるドット部の面積率が20%以下の比較的低濃度の画像とするのが好ましい。
【0059】
第2の相違点は、ステップS107またはS108において、パッチ画像の目標濃度が露光エネルギーEによって制御可能なパッチ画像濃度の範囲内になかった場合の処理である。図7の現像バイアス設定処理においては、このような場合、現像バイアスVbの振幅Vppを増加または低下させた上で再度パッチ画像を形成し、加重平均電圧Vavgの最適値を求めていた。一方、露光エネルギー設定処理において上記振幅Vppを変更することは、高濃度画像での濃度変化を生じてしまうため好ましくない。また、低濃度画像においては、逆コントラスト電圧Vr(図6(b))の変化が静電潜像の電位プロファイルに与える影響が高濃度画像の場合よりも大きく、逆コントラスト電圧Vrの変化による画像濃度の変化が顕著である。そこで、この逆コントラスト電圧Vr、さらに具体的には感光体2の暗部電位Voを加減することにより、高濃度画像の画像濃度を保持しながら、露光エネルギーEによる細線パッチ画像濃度の制御範囲を高濃度側または低濃度側にシフトさせることができる(ステップS110、S111)。そして、その状態で、パッチ画像濃度が目標濃度と一致する露光エネルギーEの値を求めれば、その値が露光エネルギーEの最適値となる(ステップS109)。このように、この実施形態では、図7のステップS102〜S109の処理が、本発明の「主調整処理」に相当するものである。
【0060】
なお、先に述べたように、逆コントラスト電圧Vrを小さくすると、装置内部へのトナー飛散が増加する傾向にある。したがって、逆コントラスト電圧Vrの変化量については、画像濃度の変化とトナー飛散の程度とのバランスを考慮して決定されることが好ましい。一方、逆コントラスト電圧Vrを大きくするために感光体2の暗部電位Voを大きくしすぎると、ギャップGPにおいて放電が発生するおそれがある。この放電を未然に防止するためには、常に最大ギャップ電圧Vm(図5)が放電開始電圧を超えないように注意する必要がある。
【0061】
図9は装置個体における濃度ばらつきおよび必要な濃度制御範囲を示す図である。上記した濃度制御処理は、装置を構成する各パーツの寸法公差に起因する濃度ばらつきや、トナー特性の経時変化に伴う濃度変化が大きい装置において特に有効である。その理由は以下の通りである。すなわち、図9(a)に示すように、1台の装置における周囲環境等による画像濃度の変動範囲は、各装置におけるパーツの組み合わせによってそれぞれ異なっている。また、図9(b)に示すように、1台の装置においては、トナー特性等の経時変化に伴って、画像濃度の変動範囲も経時的に変動してゆく。したがって、各装置個体については比較的狭い範囲で画像濃度を制御できればよいにもかかわらず、製品全体としては、これらのばらつきや経時変化に対応できるように、その濃度制御範囲をより広く設定しておく必要がある。
【0062】
しかしながら、先に述べたように、好ましい画像形成条件を実現するための濃度制御因子の設定範囲は限られており、必要な濃度制御範囲をカバーすべく濃度制御因子の可変範囲を十分広く取ることは難しい。一方、装置個体毎に、また1台の装置においてもその稼動状況によって、好ましい画像形成条件は少しずつ異なっている。そこで、上記実施形態のように、濃度制御因子の可変範囲を所定量に留めた上で、必要に応じて画像形成条件を構成する他の制御因子を変更することで、その装置に対応した好ましい画像形成条件を維持しつつ、適正な範囲での画像濃度制御を行うことが可能となる。
【0063】
例えば、図9(b)に示すように、トナー特性の経時変化によって画像濃度の変動範囲が経時的に変化してゆく場合について考える。このように経時的に変化するトナーの特性のうち、装置内部への飛散量については、トナー劣化のない初期ほど多く、現像器の使用を重ねてトナーの劣化が進むにつれて少なくなる傾向のあることが、本願発明者の実験により確かめられている。また、上記したように、トナー飛散量は逆コントラスト電圧Vrの大小によっても変化する。したがって、トナー飛散量を左右する逆コントラスト電圧Vrに対する制約は、トナーが新しいほど厳しく、トナーの劣化が進むにつれて緩やかなものとなる。そのため、ある程度トナーの劣化が進んだ状態では、逆コントラスト電圧Vrを多少変化させてもトナー飛散量への影響は少なくなっている。
【0064】
一方、逆コントラスト電圧Vrは、細線画像の画像濃度にも影響を与えている。したがって、少なくともある程度のトナー劣化が進んだ状態においては、露光エネルギーEの調整のみでは目標とする画像濃度を得られない場合に、逆コントラスト電圧Vrの変更によって画像濃度の過不足を補うことができる。すなわち、図9(c)に示すように、制御可能な画像濃度範囲における最大濃度Dmaxが目標濃度に達していない場合には、逆コントラスト電圧Vrを低下させることで画像濃度の制御範囲を高濃度側へシフトさせる一方、最小濃度Dminが目標濃度を超えている場合には、逆コントラスト電圧Vrを増加させることで画像濃度の制御範囲を低濃度側へシフトさせることができる。そして、このように画像形成条件をより装置に対応した方向にシフトさせた上で濃度制御因子を調整し画像濃度を制御するのが好ましい。
【0065】
以上のように、この実施形態では、画像濃度に影響を与える濃度制御因子として現像バイアスVbの加重平均電圧Vavgおよび露光エネルギーEを用い、それぞれを種々に変更設定しながらパッチ画像を形成し、その画像濃度が目標濃度となる条件を見出すことでそれぞれの最適値を求めている。また、各濃度制御因子の可変範囲において目標濃度が得られないときには、現像バイアスVbの振幅Vpp、または逆コントラスト電圧Vrを変更設定した上で、再度各濃度制御因子の調整を行うようにしている。そのため、濃度制御因子の可変範囲をむやみに広く取らなくても、その可変範囲内で確実に目標どおりの画像濃度を得ることができる。したがって、各濃度制御因子について、適正な画像形成条件を維持しながらも画像濃度を制御可能となるようにその可変範囲を設定することが容易となり、その結果、この画像形成装置では、画質の良好な画像を安定して形成することができる。
【0066】
また、逆コントラスト電圧Vrを変更するために、現像バイアスの加重平均電圧Vavgは変化させず、帯電バイアスを変更して感光体2の暗部電位Voのみを変化させているので、高濃度画像の画像濃度に与える影響は少ない。したがって、上記のようにすることで、高濃度および低濃度のいずれの画像においても所望の画像濃度を得ることが可能である。
【0067】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、現像バイアス設定処理および露光エネルギー設定処理を相次いで行うことで濃度制御処理を行っているが、これらのうち現像バイアス設定処理を行うか否かについては任意である。特に、文字を中心とする画像の形成を主な用途とする装置では、細線画像の画像品質が重要である。このような装置においては、低濃度パッチ画像による露光エネルギー設定処理のみを実行することで、濃度制御処理に伴うトナー消費および処理時間を節約しながらも、細線画像の画像品質を維持することが可能となる。この場合、高濃度画像の濃度保持に拘る必要は必ずしもないから、コントラスト電圧Vrを変化させる目的で現像バイアスVbの加重平均電圧Vavgを変更設定するようにしてもよい。また、上記以外に他の濃度制御因子を調整する処理を併せて行うようにしてもよく、形成するパッチ画像のパターンについても、必要に応じて適宜変更してよい。
【0068】
また、上記した実施形態では、濃度センサ60を図1に示す位置に配置し、パッチ画像として形成され中間転写ベルト71上に転写されたトナー像の画像濃度を検出するようにしているが、濃度センサ60の位置はこれに限定されるものではなく任意であり、例えば中間転写ベルト71の移動方向D2において一次転写領域TR1のすぐ下流側に配置したり、さらに感光体2に対向する位置に配置して感光体2上のパッチ画像の濃度を検出するようにしてもよい。このようにした場合には、パッチ画像が形成されて濃度検出が行われるまでの時間差を少なくすることができるので、検出結果をより迅速に濃度制御処理に反映させることができる。例えば、既に形成されたパッチ画像の濃度検出結果から目標濃度を達成可能と判断した場合にはそれ以後のパッチ画像形成を取りやめるようにすれば、無用なトナーの消費を抑え、かつ処理に要する時間の短縮を図ることができる。
【0069】
また、上記した実施形態は、感光体2上で現像されたトナー像を一時的に担持する中間転写ベルト71を有する画像形成装置であるが、転写ドラムや転写ローラなど他の転写体を有する画像形成装置や、転写体を備えず感光体2上に形成されたトナー像を最終的な転写材であるシートSに直接転写するように構成された画像形成装置に対しても本発明を適用することができる。
【0070】
また、上記した実施形態は、感光体2上の静電潜像のうち、光ビームLにより露光されて電荷を失った領域にトナーが付着する、いわゆるネガ潜像タイプの画像形成装置である。しかしながら、本発明は、露光されなかった領域にトナーが付着するポジ潜像タイプの画像形成装置に対しても適用可能である。この場合には、図5(b)における暗部電位Voと明部電位Vonとの大小関係が反対となり、これに伴って、逆コントラスト電圧の定義も上記とは相違する。すなわち、本発明の意図するところによれば、露光エネルギーEの調整による画像濃度の制御範囲をシフトさせるパラメータである逆コントラスト電圧とは、静電潜像の非ドット部の表面電位と現像バイアスの加重平均電圧Vavgとの電位差である。したがって、この場合の逆コントラスト電圧は、感光体2のうち露光された部分の表面電位と加重平均電圧Vavgとの電位差である。
【0071】
また、上記した実施形態は、トナー担持体としての現像ローラ44と、像担持体としての感光体2とがギャップGPを隔てて対向配置された非接触現像方式の画像形成装置であるが、両者が当接された状態でトナー現像が行われる接触現像方式の画像形成装置に対しても本発明を適用することが可能である。この場合には、現像バイアスの振幅Vppおよび感光体2の暗部電位Voの上限はギャップにおける放電発生ではなく、トナーTまたは必要に応じて現像ローラ、感光体表面に形成される絶縁層の絶縁耐圧によって決まることとなる。
【0072】
また、上記した実施形態は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色のトナーを用いてフルカラー画像を形成可能に構成された画像形成装置であるが、使用するトナー色およびその色数はこれに限定されるものでなく任意であり、例えばブラックトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する装置に対しても本発明を適用することが可能である。
【0073】
さらに、上記実施形態では、装置外部からの画像信号に基づき画像形成動作を実行するプリンタに本発明を適用しているが、ユーザの画像形成要求、例えばコピーボタンの押動に応じて装置内部で画像信号を作成し、その画像信号に基づき画像形成動作を実行する複写機や、通信回線を介して与えられた画像信号に基づき画像形成動作を実行するファクシミリ装置に対しても本発明を適用可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。
【図2】図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】この画像形成装置の現像器を示す断面図である。
【図4】非接触現像の原理を説明する図である。
【図5】装置各部の電位を示す図である。
【図6】感光体上の静電潜像の電位プロファイルの例を示す図である。
【図7】現像バイアス設定処理を示すフローチャートである。
【図8】露光エネルギー設定処理を示すフローチャートである。
【図9】濃度ばらつきおよび必要な濃度制御範囲を示す図である。
【符号の説明】
2…感光体、 3…帯電ユニット、 4…現像ユニット、4Y、4C、4M、4K…現像器、 6…露光ユニット(露光手段)、 44…現像ローラ(トナー担持体)、 60…濃度センサ、 GP…ギャップ、 Vavg…(現像バイアスVbの)加重平均電圧、 Vpp…(現像バイアスVbの)振幅、 Vr…逆コントラスト電圧
Claims (7)
- 静電潜像を担持可能に構成された感光体と、
所定の初期電位に帯電された前記感光体の表面を光ビームにより露光することで前記感光体の表面に前記静電潜像を形成する露光手段と、
前記感光体と対向配置されて、トナーを前記像担持体との対向位置に搬送するトナー担持体と
を備え、前記像担持体と前記トナー担持体との間に現像バイアスを印加して前記トナーを前記トナー担持体から前記像担持体に移動させることで、前記静電潜像を前記トナーにより顕像化してトナー像を形成する画像形成装置において、
パッチ画像として形成したトナー像の画像濃度に基づいて、前記光ビームのエネルギー密度を所定の調整範囲内で調整する主調整処理を実行することによって画像濃度を制御し、しかも、
前記主調整処理において、前記調整範囲内で所定の目標濃度に対応するパッチ画像を形成することができないときには、前記感光体の前記初期電位、および前記現像バイアスの加重平均電圧のうち少なくとも一方を変更設定することで、前記静電潜像のうちトナーを付着させない非ドット部の表面電位と前記加重平均電圧との電位差を変化させた後に、再度前記主調整処理を実行することを特徴とする画像形成装置。 - 前記調整範囲の全範囲において前記パッチ画像の画像濃度が前記目標濃度未満となるときには、前記電位差が小さくなるようにする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記調整範囲の全範囲において前記パッチ画像の画像濃度が前記目標濃度を超えるときには、前記電位差が大きくなるようにする請求項1または2に記載の画像形成装置。
- 前記パッチ画像は、孤立ドットまたは細線からなる画像である請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記パッチ画像は、該パッチ画像全体に占めるドット部の面積が20%以下の低濃度画像である請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記感光体と前記トナー担持体とが所定のギャップを隔てて対向配置されており、前記感光体と前記トナー担持体との間における最大電位差が前記ギャップにおける放電開始電圧より小さい値となるように、前記感光体の前記初期電位および前記現像バイアスが設定される請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
- 所定の初期電位に帯電された感光体の表面を光ビームにより露光することで前記感光体の表面に静電潜像を形成するとともに、前記感光体と対向配置したトナー担持体と前記像担持体との間に現像バイアスを印加して、前記トナーを前記トナー担持体から前記像担持体に移動させることで前記静電潜像を前記トナーにより顕像化してトナー像を形成する画像形成方法において、
パッチ画像としてのトナー像を形成するとともにその画像濃度を検出し、その検出結果に基づいて、前記光ビームのエネルギー密度を所定の調整範囲内で調整する主調整処理を実行することによって画像濃度を制御し、
前記主調整処理において、前記調整範囲内で所定の目標濃度に対応するパッチ画像を形成することができないときには、前記前記感光体の前記初期電位、および前記現像バイアスの加重平均電圧のうち少なくとも一方を変更設定することで、前記静電潜像のうちトナーを付着させない非ドット部の表面電位と前記加重平均電圧との電位差を変化させた後に、再度前記主調整処理を実行することを特徴とする画像形成方法。
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-
2002
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