JP2004138378A - 不燃物抜出システムおよび流動層炉システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 流動媒体と不燃物の混合物の不燃物濃度を高めて外部に抜き出すことのできる不燃物抜出システムを提供する。
【解決手段】 流動媒体10を内部で流動させて旋回流動層12を形成する流動層炉5から不燃物を抜き出す不燃物抜出システムであって、流動媒体と前記不燃物とを混合させた混合物10bを流動層炉の炉底11から移送する混合物移送経路16と、混合物移送経路の下流に位置し、混合物を外部から供給する流動化ガス31により流動させると共に、混合物中の流動媒体と不燃物との濃度分布を変化させ、混合物を流動媒体の濃度が高い第1の混合物10gと前記不燃物の濃度が高い第2の混合物10fとに分離する流動層分級室90と、流動層分級室内の第1の混合物を流動層炉内に還流させる還流通路91、94と、流動層分級室内の第2の混合物を流動層炉の外部へ排出させる第1の不燃物排出通路92と、を備える不燃物抜出システムとする。
【選択図】 図1

Description

 本発明は、流動床式燃焼炉、流動床式ガス化炉、及び、循環流動層ボイラのような流動層炉から不燃物を抜き出す不燃物抜出システム、および当該不燃物抜出システムと当該流動層炉とを備える流動層炉システムに関し、特に、都市ごみ、固形化燃料(RDF)、廃プラスチック、廃FRP、バイオマス廃棄物、自動車廃棄物、廃油等の廃棄物、または石炭のような不燃分を含む固体燃料等の固体可燃物を燃焼、又はガス化、若しくは熱分解処理する流動層炉から不燃物を流動媒体と共に抜き出す不燃物抜出システム、および当該不燃物抜出システムと当該流動層炉とを備える流動層炉システムに関する。
 図10は、不燃物抜出システム202と流動床式ガス化炉(流動層炉)205とを備えた従来の流動床式ガス化炉システム(流動層炉システム)201の模式的な断面図である。不燃物抜出システム202は、不燃物抜出シュート204と、不燃物抜出コンベヤ220と、ダブルダンパ218とを備える。流動床式ガス化炉205に投入された固体可燃物214は、流動床式ガス化炉205内で可燃物が部分燃焼あるいはガス化され不燃物が流動媒体210と共に流動層212内を旋回する。この不燃物と流動媒体210の混合物210aを、炉底211から自然流下させる垂直な、もしくは傾斜をもった不燃物抜出シュート204と、不燃物抜出シュート204と連結した不燃物抜出コンベヤ220とを経由して下流のダブルダンパ218へ移送させている。
 流動床式ガス化炉205は、炉底211から流動層212へ部分燃焼用空気224が供給され、350℃から850℃に保持された流動媒体210を内部で旋回流動させる流動層212が形成される。流動床式ガス化炉205に供給された固体可燃物214がこの流動層212に投入されると、熱せられた流動媒体210と部分燃焼用空気224に接触して速やかに熱分解ガス化され、ガス、タール、固形カーボンを生成する。
 流動層212で熱分解ガス化された熱分解ガスは流動層212上部の出口ダクト222より排出される。また、炉底211からは流動媒体210と不燃物の混合物210aが不燃物抜出シュート204へ排出される。ここで排出される流動媒体210には、硅砂の他に鉄、鋼、アルミニュームといった不燃物及びガス化工程で発生する未燃チャー分が含まれている。
 以上のような従来の流動床式ガス化炉システム201の流動床式ガス化炉205は、不燃物抜出シュート204から不燃物抜出コンベヤ220にかけて形成されている混合物移送経路216の気密状態を維持するシール性を確保することが重要である。即ち、混合物移送経路216の気密状態部分のシール性が維持できなくなると、流動床式ガス化炉205内の未燃焼の可燃ガスや一酸化炭素等が流動床式ガス化炉205外に漏れ出し、爆発や人体に中毒を引き起こすという悪影響が懸念されるだけでなく、不燃物抜出シュート204に部分燃焼用空気224がリークすることによって、不燃物抜出シュート204内の流動媒体210中に混入している未燃分が燃焼、高温化し硅砂や灰分が溶解してクリンカを形成させる可能性が高まる。不燃物抜出コンベヤ220の出口に設けたダブルダンパ218は、このシール性を補うためのものである。
 また、不燃物抜出シュート204から不燃物抜出コンベヤ220にかけての混合物移送経路216のシール性が確保されている状態であっても、不燃物抜出シュート204の上方、即ち、流動層212から不燃物抜出シュート204への入口近傍部分215においては、流動媒体210に混入して排出されようとする未燃チャーが拡散してきた部分燃焼用空気224と反応して燃焼、高温化し、同じくクリンカを形成する虞れがある。
 このクリンカは、不燃物抜出シュート204を閉塞させ、流動床式ガス化炉205の稼働率を低下させる。
特許第3270454号公報(第9頁、第5図)
 そこで本第1の発明は、流動媒体と不燃物の混合物の不燃物濃度を高めて外部に抜き出すことのできる不燃物抜出システムを備えた流動層炉システムを提供することを目的とする。さらに本第2の発明は、流動層炉システムの外への未燃ガスのリークを防止することのできる不燃物抜出システムを提供することを目的とする。
 上記目的を達成するために請求項1に係る発明による不燃物抜出システム2aは、例えば、図1に示すように、流動媒体10を内部で流動させて旋回流動層12を形成する流動層炉5から不燃物を抜き出す不燃物抜出システムであって、流動媒体10と前記不燃物とを混合させた混合物10bを流動層炉5の炉底11から移送する混合物移送経路16と、混合物移送経路16の下流に位置し、混合物10bを外部から供給する流動化ガス31により流動させると共に、混合物10b中の流動媒体10と不燃物との濃度分布を変化させ、混合物10bを流動媒体10の濃度が高い第1の混合物10gと前記不燃物の濃度が高い第2の混合物10fとに分離する流動層分級室90と、流動層分級室90内の第1の混合物10gを流動層炉5内に還流させる還流通路91、94と、流動層分級室90内の第2の混合物10fを流動層炉5の外部へ排出させる第1の不燃物排出通路92と、を備える。
 このように構成すると、混合物移送経路16と、流動層分級室90と、還流通路91、94と、不燃物排出通路92とを備えるため、流動層分級室90において、混合物移送経路16により流動層炉5の炉底11から移送した流動媒体10と不燃物とを混合させた混合物10bを流動化ガス31により流動させ、混合物10b中の流動媒体10と不燃物との濃度分布を変化させ、混合物10bを流動媒体10の濃度が高い第1の混合物10gと前記不燃物の濃度が高い第2の混合物10fとに分離し、第1の混合物10gを貫流通路91、94により流動層炉5へ還流させ、第2の混合物10fを不燃物排出通路92により流動層炉5の外部へ排出させることができる。
 上記目的を達成するために請求項2に係る発明による請求項1に記載の不燃物抜出システム2aは、例えば、図1、図2に示すように、第1の不燃物排出通路92は、流動層分級室90の下流に設けられ、第2の混合物10fを上方に移送させ、前記流動層12の界面よりも高い位置から流動層炉5の外部へ排出する。
 このように構成すると、第1の不燃物排出通路92により第2の混合物10fを上方に移送させ、流動層12の界面よりも高い位置から第2の混合物10fを流動層炉5の外部へ排出することができる。
 上記目的を達成するために請求項3に係る発明による請求項2に記載の不燃物抜出システム2aは、例えば、図2に示すように、第1の不燃物排出通路92は、第2の混合物10fを垂直若しくは水平面から鉛直方向に流動媒体10の安息角以上の角度で上方へ移送させる流動媒体移送手段78を有する請求項2に記載の不燃物抜出システム。
 このように構成すると、第2の混合物10fを垂直若しくは水平面から鉛直方向に流動媒体10の安息角以上の角度で上方へ移送させることができる。
 上記目的を達成するために請求項4に係る発明による請求項2または請求項3に記載の不燃物抜出システム2aは、例えば、図3に示すように、流動層分級室90は、第1の不燃物排出通路92に向かう通路部90cを有し;通路部90cは、第1の不燃物排出通路92方向に進むほど徐々に垂直方向断面積が増大し、通路部90cの底面90bは、第1の不燃物排出通路92に向けて下方に傾斜する。
 このように構成すると、通路部90cにより第1の混合物10gと第2の混合物10fとを効率良く分離させることができる。
 上記目的を達成するために請求項5に係る発明による不燃物抜出システム2bは、例えば、図8に示すように、流動媒体10を内部で流動させて流動層12を形成する流動層炉50から不燃物を抜き出す不燃物抜出システムであって;流動媒体10と前記不燃物とを混合させた混合物を流動層炉50の炉底46から移送する混合物移送経路16と;混合物移送経路16の下流に設けられ、前記混合物を上方に移送させ、流動層12の界面よりも高い位置から流動層炉50の外部へ排出する第2の不燃物排出通路76、76aとを備える。
 このように構成すると、混合物移送経路16と、第2の不燃物排出通路76とを備えるため、混合物移送経路16により流動層炉50の炉底46から移送した流動媒体10と前記不燃物とを混合させた混合物を、第2の不燃物排出通路76、76aにより上方に移送させ流動層12の界面よりも高い位置から流動層炉50の外部へ排出することができる。
 上記目的を達成するために請求項6に係る発明による請求項5に記載の不燃物抜出システム2bは、例えば、図8に示すように、第2の不燃物排出通路76、76aは、混合物移送経路16の下流に設けられ、前記混合物を上方に移送させ、前記流動層の界面よりも高い位置から流動層炉50の外部へ排出する。
 このように構成すると、第2の不燃物排出通路76、76aにより前記混合物を上方に移送させ、流動層42の界面よりも高い位置から前記混合物を流動層炉50の外部へ排出することができる。
 上記目的を達成するために請求項7に係る発明による流動層炉システム1は、例えば、図1に示すように、前記請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の不燃物抜出システム2aと;流動層6中で被処理物14を所定温度により燃焼、又はガス化、若しくは熱分解処理をする流動層炉5とを備える。
 このように構成すると、第1の混合物10gを流動層炉5へ還流させ、第2の混合物10fを流動層炉5の外部へ排出させることができる。
 以上により、本第1の発明によれば、流動媒体と不燃物の混合物の不燃物濃度を高めて外部に抜き出すことのできる不燃物抜出システムを提供する、という優れた効果を奏する。本第2の発明によれば、流動層炉システムの外への未燃ガスのリークを防止することができる不燃物抜出システムを提供する、という優れた効果を奏する。
 以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。図1から図9は発明を実施する形態の一例であって、図中、図と同一または類似の符号を付した部分は同一物または相当物を表わし、重複した説明は省略する。
 図1は、本発明の第1の実施の形態としての流動層炉システム1の模式的な系統図である。流動層炉システム1は、流動媒体10を収容する流動層炉5と不燃物抜出システム2aとを備える。流動層炉5は、グランドに対して鉛直方向に立設された円筒形もしくは矩形容器である。不燃物抜出システム2aは、流動層炉5の下方に設けられた混合物移送経路16と、この混合物移送経路16の下流に位置する流動層分級室90と、流動層分級室90の上方に設けられた還流通路としての流動媒体上昇室91と、流動層分級室90の下流に設けた第1の不燃物排出通路としての立ち上がり室92と、流動媒体上昇室91の下流に設けた還流通路としての流動媒体戻し通路94と、を備える。混合物移送経路16は、流動層炉5の炉底11に接続され鉛直方向に配置された不燃物抜出シュート7と、不燃物抜出シュート7に接続され水平に配置された混合物水平移送経路16dを備える。
 流動層炉5は、被処理物としての可燃性廃棄物14を上部の投入口8から内部へ投入し、この可燃性廃棄物14を燃焼させる燃焼温度を有する高温の流動媒体10を炉底11から吹き込む燃焼用空気24により流動させ旋回流動6を起こし濃厚な旋回流動層12を形成する。この旋回流動層12の中で可燃性廃棄物14の燃焼を行う。可燃性廃棄物14は、例えば、都市ごみ、固形化燃料(RDF)、廃プラスチック、廃FRP、バイオマス廃棄物、自動車廃棄物、廃油等の廃棄物、または石炭のような不燃分を含む固体燃料等の可燃物である。
 この流動層炉5に投入された可燃性廃棄物14は、流動層炉5内で完全燃焼される。完全燃焼した可燃性廃棄物14は、流動媒体10と不燃物が混合した混合物10aを形成し、混合物10aは流動層炉5の炉底11から抜き出され混合物移送経路16を経由して流動層分級室90へ移送される。可燃性廃棄物14の完全燃焼により発生するガスは、流動層炉5の上部に設けた出口ダクト22から排気され、例えば、次段の不図示の溶融炉システムへ供給される。
 混合物移送経路16は、流動層炉5の炉底11から流下した混合物10aを、混合物移送経路16の混合物水平移送経路16d内に配置された不図示スクリューコンベヤにより、混合物10bとして気密状態で流動層分級室90へ移送する。
 流動層分級室90内の混合物10bは、外部から供給口30を介して流動化ガス31(例えば、酸素を含まない不活性ガス)により、流動媒体10の濃度が高い第1の混合物10gと、不燃物濃度が高い第2の混合物10fとに分離される。第1の混合物10gは流動媒体上昇室91を流動化ガス31とともに上昇し、流動媒体排出口93から流動媒体戻し通路94を経由して流動層炉5の還流口93aへ移送され、流動層炉5のフリーボード部32に供給される。流動層分級室90に供給される流動化ガス31は第1の混合物10g中の未燃分濃度が十分に低い場合は空気等の酸素含有ガスでもよい。
 また、流動媒体上昇室91から排気されるガスは、流動媒体上昇室91の頂部に設けられた流動化ガス排気口97から排出され、配管を介して流動層炉5のガス還流口96へ移送し流動層炉5のフリーボード部32に供給される。この流動媒体上昇室91の排気ガスは、2次燃焼用ガスとして流動層炉5内部で有効に利用される。勿論、排気口97と流動媒体排出口93は共通としてもよい。したがって、この場合は、ガス還流口96と還流口93aも共通にすることができる。
 このように流動媒体上昇室91と流動層炉5のフリーボード部32が連通しているため、流動層炉5と流動媒体上昇室91は互いに極端な圧力差が生じることを防止できるという利点がある。
 さらに、流動層分級室90に併設された第1の不燃物排出通路としての立ち上がり室92に流下した第2の混合物10fは、例えば、流動媒体移送手段としての垂直移送のスクリューコンベヤ78により立ち上がり室92内部を上昇し不燃物排出口17から不燃物60として外部へ排出され、又は次段の不図示の溶融炉の処理システムへ移送される。ここで、図示した立ち上がり室92は、グランドに対して鉛直方向に90°の角度で立設して構成している。
 本実施の形態では、従来のように不燃物を単に下方に抜き出すだけでなく上方に方向転換して抜き出すように構成している。また、ダブルダンパ等の機械的シール手段を設けることなく流動層炉5の炉内ガスまたは燃焼用空気24が不燃物抜出シュート7内へリークすることを確実に防止できる。
 また、本実施の形態の流動層炉システム1は、抜き出される不燃物と流動媒体10が混合した第2の混合物10f中の不燃物割合を従来の数%から10%程度に比して30%から50%以上の割合へと飛躍的に増大させることができる。また、不燃物の割合が20%を超えるようなシュレッダーダストなどを投入して大量の不燃物を流動媒体10ともに流動層炉5の外部へ抜き出す場合であっても第2の混合物10f中の不燃物の割合を増大させることができる。
 また、本実施の形態によれば、例えば、クリンカの発生を防止するために不燃物抜出シュート7を通過する流動媒体10を冷却する不図示の冷却システムを追加したりすることができる。このようにすると、熱ロスによる熱回収率の低下を招いたり、それに伴う不燃物抜出シュート7の下流部での高温流動媒体によって引き起こされるトラブルを防止し、補助燃料消費量の増大等の種々の弊害を有効に防止することができる。さらに、大量の流動媒体10を完全に不燃物抜出シュート7の下流に問題が生じないレベルにまで冷却することができる。
 図2は、本発明の第2の実施の形態としての不燃物抜出システム2aの模式的な系統図である。(a)は平面水平断面図、(b)は、側面断面図である。不燃物抜出システム2aは、混合物移送経路16と、混合物排出口16aと、混合物排出口16aの下流に設けた流動層分級室90と、流動層分級室90の上方に設けた還流通路としての流動媒体上昇室91と、流動層分級室90の下流に設けた第1の不燃物排出通路としての立ち上がり室92と、を備える。
 混合物移送経路16は、流動層炉の炉底(不図示)から抜き出した、例えば粒径が約数十μmから数mmの流動媒体10と短径が約数mmから200mmの不燃物との混合物10bをスクリューコンベヤ20により次段の流動層分級室90へ混合物排出口16aを介して移送する。
 流動層分級室90は、前述の混合物移送経路16に回転自在に支持されたスクリューコンベヤ20により移送された、例えば粒径が約数十μmから数mmの流動媒体10と短径が約数mmから200mmの不燃物との混合物10bを粉粒体として内部で流動させて流動層を形成することにより、流動層分級室90内で、流動層の上部では流動媒体10の濃度が高くなり、流動層の下部では不燃物の濃度が高くなるように、混合物10b中の流動媒体10と不燃物との濃度分布を変化させ、流動媒体の濃度が高い第1の混合物10gと不燃物の濃度が高い第2の混合物10fとに分離する。
 流動層分級室90は、さらに流動媒体10の濃度が高い第1の混合物10gを流動媒体上昇室91を経由させ、そのまま流動層炉(不図示)内に還流させると共に、不燃物の濃度が高い第2の混合物10fを、立ち上がり室92を経由させて流動層炉(不図示)の外部に排出する。
 不燃物抜出システム2aの流動層分級室90は、通路部90cを有し、通路部90cの底面90bが立ち上がり室92に向かって下方に傾斜しており、その底面90bには流動化ガス分散ノズルとしての上部に位置する供給口30と下部に位置する供給口30aが設けられており、この供給口30、30aを介して酸素を含まないガスである水蒸気が流動化ガス31として流動層分級室90の内部に吹き込まれる。流動化ガス31は、酸素を含まないガスである炭酸ガスであってもよい。
 ここで、流動化ガス31として酸素を含まないガスを用いるのは、この流動化ガス31が流動層炉(不図示)側に逆流しクリンカを発生させるという不具合を未然に防止するためである。したがって、流動層分級室90に供給される流動化ガス31は、流動媒体中の未燃分濃度が十分に低い場合は空気等の酸素含有ガスでもよい。
 流動化ガス31としての水蒸気は、流動層分級室90において、流動媒体のロックを防止するため流動媒体の終端速度以上の速度が維持されるように不図示のブロア等の吹き込み手段により供給口30、30aから流動層分級室90内部へ供給される。流動層分級室90における流動媒体10dと不燃物10cとの分級効果を十分に高めたい場合は、流動媒体の速度が最低流動化速度以上に維持されるよう流動化ガス31を供給するとよい。この流動媒体の流動化によって、不燃物10cは流動層分級室90の底面90b側に移動し、流動媒体10dは流動層分級室90の上部に緩やかに移動して、流動媒体10dと不燃物10cとが分離する。
 すなわち、流動層分級室90において通路部90cの底面90b近傍の混合物10b(流動媒体10dと不燃物10cとの混合物)中の不燃物濃度が相対的に高くなり、不燃物10cが濃縮される。また、供給口30、30aから吹き込まれる流動化ガス31に不燃物10cが直接接触するため不燃物10cは急速に冷却される。流動化ガス31に最初に接する通路部90cの底面90bの近傍に流動している不燃物10cが最も冷却される対象となる。
 流動層分級室90の上部に集められた流動媒体10dを含む第1の混合物10gは、供給口30、30aから吹き込まれる流動化ガス31の上昇流に伴って、流動層分級室90の上方に設けられた流動媒体上昇室91中を上昇する。この流動媒体上昇室91の上部には流動媒体排出口93が設けられており、流動媒体上昇室91を上昇した流動媒体10eを含む第1の混合物10gは、流動媒体排出口93から排出され、還流口(不図示)を経由して流動層炉(不図示)へ還流する。
 また、流動媒体排出口93の手前には、ある一定の高さまで噴き上がった流動媒体のみが排出されるように堰95が設けられている。この堰95は、流動媒体排出口93に、流動媒体10eを含む第1の混合物10gを充満させておく効果があり、排出先である流動層炉(不図示)との圧力バランスを保つ効果も有する。これは流動媒体上昇室91の圧力を流動層炉(不図示)の圧力と独立して制御する必要がある場合に有効である。
 一方、通路部90cの底面90b近傍の不燃物10cは、濃縮された流動媒体10と不燃物10cとを含む第2の混合物10fとして、通路部90cの底面90bに沿って立ち上がり室92に供給される。通路部90cの立ち上がり室92までの経路は、図示するように、立ち上がり室92の底部に向けて垂直断面積が徐々に大きくなる通路部を構成する。
 すなわち、混合物10b中の不燃物濃度が高まった流動媒体が、仮にブリッジトラブルを引き起こした場合であっても、流動層分級室90からスムーズに立ち上がり室92へ流入させるように構成している。また、通路部90cの高低差と断面差により立ち上がり室92から第2の混合物10fが流動層分級室90へ逆流することも有効に防止することができるという利点がある。
 立ち上がり室92には、第2の混合物10fを上方に移動せしめる流動媒体移送手段としてのスクリューコンベヤ78が設けられている。この第1の流動媒体移送手段は、例えば、スクリューコンベヤ78のように搬送効率が100%ではなく、立ち上がり室92内に第2の混合物10fを充満させた状態で移動させる形式のものが望ましい。
 つまり、立ち上がり室92内が流動媒体を含む第2の混合物10fで充満されていないと外部の圧力とのシール性が悪化するため、供給口30から流動層分級室90に供給した流動化ガス31が立ち上がり室92の方へ流入してしまい、分級が阻害されるだけでなく、流動層分級室90の圧力保持が困難になり流動層炉(不図示)内のガスが流動層分級室90に向けて流入し、ひいては立ち上がり室92を経由して外部にガスが漏れ出す虞があるためである。
 立ち上がり室92の上部には、不燃物排出口17が設けられている。不燃物排出口17の最下部の位置17aは立ち上がり室92に要求される層高さに応じて自由に設定できる。立ち上がり室92に要求される層高さとは、例えば、流動層分級室90内の圧力を要求される所定の値に保持するのに必要とされるシール性を発揮できる流動媒体充填層の高さを示し、流動層炉の界面(不図示)の高さ以上の高さである。以下、不燃物排出口17の最下部の位置17aの高さを、不燃物排出口17の高さという。
 流動層分級室90に要求される所定の圧力とは、上流に接続された装置によって異なるが、本実施の形態の不燃物抜出システム2aを用いる流動層炉システムの流動層炉(不図示)の場合は、流動層炉の炉底近傍に位置する不燃物抜出部(不図示)の圧力よりも高い値のことをいう。もちろん不燃物排出口17の高さは、立ち上がり室92に要求される層高さ以上であればいくらでもよい。
 本発明の実施の形態に用いる不燃物排出口17の高さは、上述した流動媒体充填層の高さに限定されるものではなく、それ以上の高さに設定してもよい。例えば、流動層分級室90の床面90aから鉛直方向に1mの高さの位置92aより高い位置であって、流動媒体充填層の高さより高い位置に設定することもできる。
 このように外部とのシール性の強さを不燃物排出口17の高さにより任意に設定できるため、これまで設計面で制約のあった流動層炉(不図示)の層高さの設計自由度をさらに拡大させることができる。したがって例えば、流動層炉システム(不図示)のスケールアップ等に大きな自由度をもたらす。
 また、立ち上がり室92は、例えば、図示するように鉛直方向に向けて90°の角度で立ち上がって立設しているとよい。搬送効率を確保するためには、好ましくは80°以上、さらに、好ましくは70°以上、最も好ましくは60°以上の角度で傾いていてもよい。立ち上がり角度を小さくすると流動媒体及び不燃物の搬送効率を高くすることができ、搬送効率は角度60°で15〜20%である。但し、立ち上がり室92の傾きがあまりに水平(180°)に近いと流動媒体移送手段としてのスクリューコンベヤ78の機長が長くなるため合理的ではない。
 立ち上がり室92の傾き角度は、流動媒体の分級効果を確保するためには鉛直方向に向けて流動媒体の安息角(35°)以上、好ましくは60°以上、さらに好ましくは70°以上、最も好ましくは80°以上とするとよい。
 さらに、スクリューコンベヤ78を用いる場合は、上方に位置する片持釣下部の軸シール部に流動媒体10が流入し損傷させることを防止するためは、立ち上がり室92の傾きを図示するように可能な限り垂直(90°)に近づけて設定することが望ましい。
 上記スクリューコンベヤ78は、スクリュー軸を垂直にした場合、コンベヤ軸の上部のみを立ち上がり室92の頂部に位置決めをし、スクリュー軸を鉛直下方にぶら下げるように構成する。このように構成することで、第1に、立ち上がり室92下部の軸シールが不要になる。第2に、熱膨張等があってもスクリュー軸にかかる力は引っ張り応力だけになる。第3に、スクリュー軸の下方端は遥動自在なため、仮に硬い大きな不燃物がスクリューに噛みこむようなことが生じても、スクリュー軸の撓みの許容分だけスクリュー軸が逃げるスペースを確保することができるという種々の利点がある。
 流動層分級室90は、不燃物と流動媒体10の混合物10bを受容し、不燃物と流動媒体を分級する。分級した不燃物濃度の高い第2の混合物10fは、立ち上がり室92を上昇し上方に設けた不燃物排出口17から不燃物60として排出され、次段の溶融炉等(不図示)へ移送する一連のプロセスを形成させる。
 このプロセスは、立ち上がり室92のスクリューコンベヤ78の移送量を制御するだけで流動層分級室90における不燃物濃度の濃縮率を調整できる。すなわち、立ち上がり室92のスクリューコンベヤ78の移動量(回転数)を減らすことによって流動層分級室90における不燃物濃縮率を高めることができるのである。さらにスクリューコンベヤ78のスクリューとケーシングとのクリアランスを流動媒体の最大径(例えば、0.8mm)の3倍以上とすることにより、当該クリアランスを通って流動媒体が下方へ滑り落ちることによる不燃物濃縮効果も期待できる。このクリアランスを適切に設定することで、従来流動層炉への流動媒体の補充は適切に選定された篩目を通過した流動媒体のみで行うのであるが、この篩工程を省略することもできる。
 流動層炉内の流動媒体10中の不燃物割合は一般に約3から5%であるが、この不燃物の濃度は、不燃物が炉底11に堆積して旋回流動層12の健全性を失わせることの無いようにするための濃度とみなせる。一方、スクリューコンベヤ78等の機械的手段で適切に流動媒体10を抜き出せる不燃物濃度は、被処理物14(固体可燃物)として都市ごみを流動層炉5へ投入した場合に約20%である。破砕等で不燃物の性状(大きさ、形状)を調節することで、約30%から50%といった高濃度で抜き出すことも可能である。
 したがって、本実施の形態では、流動層分級室90で不燃物を濃縮することで系外への不燃物と流動媒体が混合した第2の混合物10fの排出量を従来に比して10分の1、もしくはそれ以下の量にまで減らすことが可能になる。しかも、流動層炉系外に第2の混合物10fを抜き出す量が減少し、冷却されているということは流動媒体冷却システムが簡素化できる他に、外部に放出する熱量が減少するため、流動層炉システム全体の熱回収効率改善の点からも好ましい。
 上述したように立ち上がり室92のスクリューコンベヤ78の移送量(回転数)を減じると、流動媒体と不燃物との第2の混合物10fが流動層分級室90側へ逆流する割合が多くなることが懸念されるが、その場合は流動層分級室90の圧力を立ち上がり室92の圧力より高めることによって第2の混合物10fの逆流を抑制することができる。
 流動層分級室90の圧力を高めるためには、流動媒体上昇室91の側部から供給する流動化ガスの流量を減じ、流動媒体上昇室91内の希薄流動層の空隙率を下げればよい。また流動層分級室90において通路部90cの底面90bから供給口30、30aを介して供給している流動化ガス31の速度が最低流動化ガス速度以下になるよう供給量を減少させることでも流動層分級室90の流動層の粘性が高まるので逆流抑制に導くことができる。
 図3は、本発明の第3の実施の形態としての流動層炉システム1の概略図である。(a)部は流動層炉システム1を正面から見た模式的な断面図であり、(b)部は流動層炉システム1を側面から見た模式的な断面図である。
 流動層炉システム1は、流動媒体10を収容する流動層炉5と、不燃物抜出システム2aとを備える。流動層炉5の内部には、流動媒体10を旋回流動6させる旋回流動層12が形成されている。不燃物抜出システム2aは、旋回流動層12の炉底11の下方に設置された混合物移送経路16と、混合物移送経路16の移送終端に設けられた流動層分級室90と、流動層分級室90の上部に立設された還流通路としての流動媒体上昇室91と、流動層分級室90の下流に設けられた第1の不燃物排出通路としての立ち上がり室92と、を備える。流動層分級室90は、通路部90cを有し、通路部90cは底面90bを有する。通路部90c、底面90bは、第1の実施の形態、第2の実施の形態と同様に形成されている(以下の実施の形態において同様)。
 流動層炉5の内部に投入された被処理物としての可燃性廃棄物(不図示)中の不燃物を流動媒体10とともに混合物移送経路16を経由させ流動層炉5の外へ排出する。この混合物移送経路16にはスクリューコンベヤ20が略水平に設置されており、不燃物と流動媒体10との混合物を流動層分級室90へと導くことができる。
 混合物移送経路16内部のスクリューコンベヤ20は、回転自在に支持されその下方から流動媒体の冷却用ガス40が供給されている。この冷却用ガス40は、典型的には蒸気が用いられるが、流動媒体中に未燃分が殆ど含まれない場合には空気等の酸素含有ガスを用いてもよい。
 この冷却用ガス40は、旋回流動層12の上部の高温流動媒体10と混合しないように最低流動化速度以下の流量で供給される。但し、スクリューコンベイヤ20の部分での分級機能を強化するために最低流動化速度の2ないしは3倍程度までの供給速度で冷却用ガス40を供給することも有効である。このように旋回流動層12の下部の流動媒体10を冷却することは、スクリューコンベヤ20を冷却することを避ける意味もある。
 すなわち、スクリューコンベヤ20を冷却するとスクリューの表面で水分が凝縮するという問題が生じるからである。一方、不燃物の濃度が高く、不燃物と流動媒体10との混合物を流動層炉5から大量に抜き出す場合は、冷却用ガス40に代えて水をスクリューコンベヤ20の下方から供給してもよい。
 流動層分級室90は、上述した如く底面90bから供給される流動化ガス31によって不燃物を底面90b側に移動させ、流動媒体10を不燃物の上部に移動させて両者を緩やかに分離する。流動層分級室90の上部に集められた流動媒体10を主成分とした第1の混合物10gは、流動化ガス31の上昇流に伴って流動層分級室90の上方に設けられた流動媒体上昇室91に移動する。この流動媒体上昇室91を上昇した第1の混合物10gは流動媒体上昇室91内部の堰95a及び堰95bのループシール部を超えて流動層炉5の上部に設けられた還流口93aを経由し流動層炉5へ還流される。
 上記還流口93aと流動媒体上昇室91との接続部分の最下位91aの高さは、上述した流動層炉5の旋回流動層12の圧力変動を受けないように濃厚流動層の界面(旋回流動層12の上部表面)よりも上方に配置している。流動媒体排出口93aの流動媒体上昇室91側には堰95a及び堰95bが設けられている。この堰95aと堰95bは、流動媒体排出口93aに流動媒体を主成分とした第1の混合物10gを充満させておく効果があり、流動層炉5内部の圧力との圧力差をシールし、流動層炉5内のガスが流動媒体上昇室91側に流入することを防止する効果をも有する。
 流動媒体上昇室91は、流動媒体を主体とする第1の混合物10gの噴き上がりを促進するための手段として、例えば、流動媒体上昇室91の側面に流動媒体上昇用の流動化ガス98の分散ノズルを設けることができる。この流動媒体上昇用の流動化ガス98により、流動媒体上昇室91を流れる流動化ガスの流動化速度を所望の値に増減し、第1の混合物10gの流動媒体上昇室91を上昇する上昇量を調整することができる。
 第1の混合物10gは、流動媒体上昇室91内部の流動化速度を高めれば高めるほど流動媒体上昇室91内部の流動媒体の濃度が希薄になるため、流動層分級室90の部分での大きな圧力上昇を招くことなく第1の混合物10gをより高く上昇させることが可能になる。
 また、流動媒体上昇室91の上部には、上述した如く流動化ガス排出口97が設けられており、流動層分級室90において通路部90cの底面90bから供給された流動化ガス31、及び流動媒体上昇室91の側面から供給された流動化ガス98が流動化ガス排出口97から排出される。もちろんこの流動化ガス31、98は上述した流動層炉5の2次燃焼用ガスとして用いてもよく、その場合は、流動媒体還流口93aを共通の経路とすることができる。この場合、少なくとも堰95bは不用となる。
 流動媒体上昇室91の側部から供給される流動化ガス98は、上述した流動層分級室90において通路部90cの底面90bから供給される流動化ガス31と同種のガスでもよく、後述する空気等の酸素を含むガスを用いてもよい。
 ここで酸素含有ガスを用いてよい理由は、流動媒体上昇室91の側部から供給された流動化ガス98は、よほど圧力バランスが崩れるようなことが無ければ決して流動媒体上昇室91の下方へ流れることはないので、酸素含有ガスであっても混合物のクリンカトラブルを引き起こす要因には成り得ないからである。
 このように、流動媒体上昇室91の側部からは酸素含有ガスを供給することが出来るので、第1の混合物10g中にチャーなどの未燃分が含まれる場合でも流動媒体上昇室91の中で燃焼させることが出来るため、流動媒体のクリーンナップ効果や未燃ロス減少の効果も期待できる。しかも、第1の混合物10g中の未燃分の燃焼によって高温になった流動媒体を流動層炉5内にそのまま還流せることができるため流動層炉5の熱効率向上にもプラスに作用する。
 一方、流動層分級室90の通路部90cの底面90b近傍において不燃物が濃縮された、流動媒体と不燃物とが混合した第2の混合物10fは、通路部90cの底面90bに沿って立ち上がり室92に供給される。立ち上がり室92の内部には、流動媒体と不燃物の第2の混合物10fを上方に移動せしめる例えば、スクリューコンベヤ78のような流動媒体移動手段を設け、立ち上がり室92の上部に設けられた不燃物排出口17から第2の混合物10fを不燃物60として排出する。
 不燃物排出口17の最下部の位置17aは、立ち上がり室92に要求される層高さに応じて自由に設定できる。立ち上がり室92に要求される層高さとは、流動層分級室90内の圧力を流動層炉5の混合物移送経路16の内部圧力よりも高く保持するのに必要とされるシール性を発揮できる流動媒体充填層の高さである。典型的には、流動層炉5の旋回流動層12(濃厚流動層)の界面の高さよりも高位置に設定すればよい。
 本発明の実施の形態に用いる不燃物排出口17の高さは、上述した流動媒体充填層の高さに限定されるものではなく、それ以上の高さに設定してもよい。例えば、流動層分級室90の床面90aから鉛直方向に1mの高さの位置92aより高い位置であって、流動媒体充填層の高さより高い位置に設定することもできる。
 このように外部とのシール性の強さを不燃物排出口17の高さにより任意に設定できるため、これまで設計面で制約のあった流動層炉5の層高さの設計自由度をさらに拡大させることができる。したがって例えば、流動層炉システム1のスケールアップ等に大きな自由度をもたらす。
 立ち上がり室92は、その流動媒体移送手段としてのスクリューコンベヤ78の流動媒体移動量(回転速度)を減じることによって外部に排出する第2の混合物10fの不燃物濃度を高めることができる。この場合、立ち上がり室92内部の第2の混合物10fが流動層分級室90側へ逆流する割合が多くなることが懸念される。
 この逆流を防止するためには、流動媒体上昇室91の側部から供給している流動化ガス98の流量を減じ、流動媒体上昇室91内部の希薄流動層の空隙率を下げ、流動層分級室90の圧力を高めること等が有効である。また、混合物移送経路16に設けられたスクリューコンベヤ20の移動速度(回転数)を増速することによっても流動層分級室90の圧力を高めることができるので有効である。
 本実施の形態の流動層炉システム1では、不燃物濃度を高めた第2の混合物10fを抜き出すことで、系外に抜き出す、不燃物と流動媒体とが混合した第2の混合物10fの排出量を重量比で従来の10分の1、もしくはそれ以下の量にまで減らすことができる。
 しかも抜き出される、不燃物と流動媒体との第2の混合物10fは、流動層分級室90で流動化ガス31に接触し直接冷却されているため、系外に抜き出す第2の混合物10fの量が減少し、しかも冷却されているという二重の効果が期待することができ、流動媒体を冷却する流動媒体冷却システムを簡素化できるだけでなく、外部に放出する熱量を減少させて、流動層炉システム1全体の熱回収効率を改善する点からも好ましい。
 本実施の形態の他の有利な点は、従来方式のように不燃物排出口が流動層炉よりも下方に設けられているわけではないので流動層炉5の設置レベルを従来に比して低くすることができ、グランドに地下(ピット)を掘ることなく容易に設置高を低くすることができる。
 このように流動層炉5の据付期間を短縮させ、据付構造をコストを低減させ、据付構造を簡易なものとすることができるのはもちろん、流動層炉5の据付レベルに伴って据付レベルを下げることの出来る給塵系(被処理物としての可燃性廃棄物(不図示)を流動層炉5へ供給する供給系)を始めとする全ての機器に影響し、設備全体の建設期間を大幅に短縮し、建設コストを大幅に低下させることができる。
 図4は、本発明の第4の実施の形態としての流動層炉システム1の模式的な系統図である。流動層炉システム1は、流動層炉5と不燃物抜出システム2aとを備える。不燃物抜出システム2aは、混合物移送経路16と、流動層分級室90と、還流通路としての流動媒体上昇室91と、第1の不燃物排出通路としての立ち上がり室92とを備える。さらに流動層炉システム1は、流動層炉5の上部圧力と炉底圧力に基づき流動層の層高を測定する第1の差圧計106と、流動層炉5の下流に配置した流動層分級室90の圧力を測定する圧力検出器115と、流動層炉5の炉底圧力と流動層分級室90の圧力に基づきシール差圧を測定する第2の差圧計113と、温度制御装置116に接続され冷却用ガス40を流動層炉5の下方に配置した混合物移送経路16へ供給する第1の制御バルブ120と、流動層分級室90の圧力検出器115に接続され流動化ガス31を流動層分級室90において通路部90cの底面90bへ供給する第2の制御バルブ118と、第2の差圧計113に接続され流動化ガス98を流動媒体上昇室91の側部へ供給する第3の制御バルブ112と、流動化ガス98を流動媒体上昇室91の上部に設けられた堰95bの近傍へ供給する第4の制御バルブ108と、流動層分級室90内の流動媒体温度を制御する温度制御装置116と、流動層炉5の炉底から流動媒体を抜き出す、回転自在に支持されたスクリューコンベヤ20と、このスクリューコンベヤ20を駆動する駆動モータ100と、温度制御装置116及び流動層分級室90の圧力検出器115から制御信号を受けて駆動モータ100の回転数を制御する第1の回転数制御装置119と、流動層分級室90の下流に配置した立ち上がり室92内に回転自在に支持された流動媒体移送手段としてのスクリューコンベヤ78と、このスクリューコンベヤ78を駆動する駆動モータ101と、駆動モータ101の回転数を制御する第2の回転数制御装置102と、を備える。以下、図4の系統図を参照し、流動層炉システムの動作について説明をする。
 第1の差圧計106は、流動層炉5の上部圧力を測定する第1の圧力検出器104と流動層炉5の炉底圧力を測定する第2の圧力検出器107とに接続され、第1及び第2の圧力検出器104、107から送信される流動層炉5の上部圧力と炉底圧力に基づき流動層の層高を測定する。
 第2の差圧計113は、第2の圧力検出器107及び第3の圧力検出器115から送信される炉底圧力と分級室圧力に基づきシール圧を測定するとともに、この測定データに基づき第3の制御バルブ112の開閉制御を実行する。
 第3の圧力検出器115は、流動層炉5の炉底から抜き出され流動媒体を受容する流動層分級室90の圧力を測定すると共に、第2の制御バルブ118の開閉制御を実行する。
 回転数制御装置119(SIC1)は、駆動モータ100に回転数制御信号を送信し駆動モータ100を回転させ、回転軸を水平方向に設定したスクリューコンベヤ20を回転制御する。
 温度制御装置116(TIC1)は、スクリューコンベヤ20の移送終端から流動層分級室90へ入る部分111の流動媒体の温度を検出し、この検出信号に対応する開閉制御信号を第1の制御バルブとしての制御バルブ120(CV1)へ送信し、スクリューコンベヤ20の底部に複数設けた供給口から供給される流動媒体の冷却用ガス40の供給量を制御する。
 この制御された冷却用ガス40により、流動層分級室90へ入る部分111の流動媒体温度を450℃以下に保つように制御する。本実施の形態において冷却用ガス40として蒸気を用いるとよい。また、冷却用ガス40として蒸気に代えて水を用いる場合も同様の制御方法を適用することができる。もちろん流動媒体中の未燃カーボン量が少ない場合は、冷却用ガス40として空気や燃焼排ガスのような酸素を含んだガスを用いてもよい。
 差圧計113(DPIA2)は、圧力検出器107(PIR2)を通じて取得する旋回流動層内部109の圧力と、圧力検出器115(PIR3)を通じて取得する流動層分級室90へ入る部分110の圧力とを減算器114を通じて差圧を入力し、流動層分級室90へ入る部分110の圧力(PIR3)が常に旋回流動層内の炉底圧力(PIR2)よりも高くなるように、PIR2<PIR3の関係を維持するように制御バルブ112(CV3)を制御する。
 すなわち、流動層炉5と流動層分級室90の圧力は常に差圧計113により監視されている。流動層分級室90へ入る部分110の圧力維持(PIR2<PIR3の関係)は、主に流動媒体上昇室91の側部から供給される流動化ガスの制御バルブ112を調節し、ガス流量を減少させて調整される。本実施の形態では流動化ガス98として空気を用いることができる。
 また、略水平に設置されたスクリューコンベヤ20から流動層分級室90へ入る部分110の圧力(PIR3)は、ある管理値以下になると立ち上がり室92から第2の混合物10fの逆流が懸念されるため、所定の圧力以下になりそうな場合は流動層分級室90において通路部90cの底面90bから供給する流動化ガス31の流量を制御する制御バルブ118(CV2)を絞るように制御し、流動層分級室90の流動化を弱めるか、スクリューコンベヤ20の回転数を回転数制御装置119により制御し回転数を上昇させ流動媒体の移動量を増すことで立ち上がり室92からの第2の混合物10fの逆流を防止することができる。
 但し、スクリューコンベヤ20の回転数を増速すると、流動層分級室90へ入る部分110の温度(TIC1)が所定値以上に上昇するため、流動層分級室90において通路部90cの底面90bから供給する流動化ガス31の流量減少を優先し、混合物の流動化を低くする方が有利となる。
 第1の差圧計106(DPIR1)は、第1の圧力検出器104(PIR1)及び第2の圧力検出器107(PIR2)に減算器105を介して接続され、流動層炉5のフリーボード上部103の圧力(PIR1)と旋回流動層内部109の炉底圧力(PIR2)の差圧を検出し旋回流動層の層高を監視する。
 第4の制御バルブ108(CV4)は、バルブの開放により流動媒体上昇室91から流動層炉5へ流動媒体を還流する還流口93aの上流に設けたループシール部に流動化ガス98(空気)を供給する。このループシール部は、流動媒体上昇室91と流動層炉5とを仕切る機能を備え、流動媒体上昇室91の上部に設けた頂部通過堰95aと底部通過堰95bを含んで構成する。特別なことが無い限り固定流量の空気が流動化ガス98として供給されている。具体的な流量としては最低流動化速度の約2倍となるように固定される。
 また、第2の回転数制御装置102(SIC2)は、立ち上がり室92の頂部に片持ち状態で吊り下げられているスクリューコンベヤ78に接続する駆動モータ101に回転数制御信号を送信し駆動モータ101を回転させスクリューコンベヤ78を回転制御する。このスクリューコンベヤ78の回転数も通常は予め設定した固定値で運転される。
 本実施の形態では、底面90bは立ち上がり室92に向けて下方に傾斜しており、かつ通路部90cは立ち上がり室92方向に進むほど垂直方向断面積が徐々に大きくなるよう形成されているため、混合物を立ち上がり室92の低部にスムーズに移送することができる。
 また、流動層分級室90の上部には、希薄流動層が形成されるように流動層分級室90において通路部90cの底面90bから流動化ガス31を供給し、また流動媒体上昇室91の中間部から流動化ガス98を供給する。流動層分級室90の上部には流動層炉5に連通する開口としての還流口93aが設けられ、流動媒体上昇室91内に噴き上げられた流動媒体を主体とする第1の混合物10gが、還流口93aから再び流動層炉5に還流する。
 図5は、本発明の第5の実施の形態としての、流動層炉システムとしての流動層式ガス化溶融炉システム1aの模式的な系統図である。流動層式ガス化溶融炉システム1aは、流動層炉としての流動層式ガス化炉5aと、不燃物抜出システム2aとを備える。不燃物抜出システム2aは、流動層式ガス化炉5aの下方に設けた混合物移送経路16と、混合物移送経路16の下流に設けた還流通路としての流動媒体上昇室91及び第1の不燃物排出通路としての立ち上がり室92と、流動層式ガス化炉5aの出口ダクト22に接続され下流に設けた溶融炉131とを備えている。ここで、流動層式ガス化炉5a、混合物移送経路16、流動媒体上昇室91、及び立ち上がり室92は、上述した第1の実施の形態と同等の構成(図5の流動層式ガス化炉5aは、図1の流動層炉5に対応)を用いることができるため重複した説明を省略する。
 溶融炉131は、1次室129、2次室128、3次室130を備え、流動層式ガス化炉5aの出口ダクト22から配管124を経由しガス導入口123へ熱分解ガスを導入し、導入した熱分解ガスが1次室129と2次室128により完全燃焼し灰分をスラグ化する。また、未燃分のガスが3次室130により完全燃焼するように構成されている。
 ここで、流動媒体上昇室91からの排気は、流動化ガス排気口97から溶融炉131の3次室130に配管122を経由して供給するのが良い。流動媒体上昇室91からの排気は、酸素濃度が低く燃焼用の酸化剤としては適さず、流動層式ガス化炉5aや溶融炉131の1次室129及び2次室128に供給したのでは灰分をスラグ化するための高温化の妨げになってしまうからである。
 但し、本発明は、上述した溶融炉131の3次室130に配管122を経由して排ガスを供給する構成に限定されず、例えば、流動媒体上昇室91からの排気は、流動媒体と熱交換をして約500℃にまで加温されているため、高温化への悪影響は緩和されており、排気中の酸素濃度が15%以上ある場合は、流動媒体上昇室91からの排気を配管121に経由させて溶融炉131の1次室129や2次室128に供給しても良い。流動媒体中に未燃分が少ない場合は、このような構成が可能になる。いずれにしても従来のように流動媒体を高温のまま抜き出し、全て熱ロスとして処理することに比べれば大きなメリットがもたらされる。
 溶融炉131は、上記1次室129と2次室128で熱分解ガスがスラグ化して溶融炉131の底部133に落下したスラグ134をこの底部133から排出する。
 このように、本実施の形態の流動層式ガス化溶融炉システム1aでは、流動層分級室90の下流に流動媒体と不燃物との第2の混合物10fを上方に移送させる立ち上がり室92を設け、流動層式ガス化炉5の旋回流動層12(濃厚流動層)の界面よりも高い位置から不燃物の濃度の高い第2の混合物10fを外部へ排出することができる。
 また、本実施の形態では、水平面から約90°に立設する略円筒の立ち上がり室92に内設する流動媒体移送手段として、第2の混合物10fを鉛直方向へ上昇させる懸垂型のスクリューコンベヤ78を用いるとよい。
 図6は、本発明の第6の実施の形態としての、流動層炉システムとしての流動層式ガス化炉システム1bの模式的な断面図である。流動層式ガス化炉システム1bは、流動層式ガス化炉5aと、不燃物抜出システム2a(部分的に図示)とを備える。流動層式ガス化炉5aは、水平断面形状が略円形の円筒の中に旋回流動6する流動媒体10を収容する。不燃物抜出システム2aは、この旋回流動6する流動媒体10を炉底11から抜き出す混合物移送経路としての不燃物抜出シュート7と、不燃物抜出シュート7の下方に設けた混合物移送経路としての流動媒体抜出水平経路16dと、流動媒体抜出水平経路16dの内部に設けたスクリューコンベヤ20とを備える。流動媒体抜出水平経路16dには、スクリューコンベヤ20の移送終端部の近傍に設けた混合物排出口140が形成されている。不燃物抜出システム2aは、さらに混合物排出口140から排出された、流動媒体と不燃物とが混合した混合物を受け入れる流動層分級室(不図示)と、還流通路としての流動媒体上昇室(不図示)と、第1の不燃物排出通路としての立ち上がり室(不図示)とを備える。流動層式ガス化炉システム1bは、流動媒体を旋回流動6させるガスのガス供給領域に設けた圧力センサ137と、不燃物抜出シュート7の外壁部に設置した温度センサ135と、圧力センサ137に接続され流動層ガス化炉5aの炉底圧力を測定する圧力測定装置138(PIR2)と、温度センサ135に接続され不燃物抜出シュート7の外壁温度を検出する温度測定装置136(TIA)とを備える。
 図示した不燃物抜出シュート7の入口近傍15は、酸素分圧の高い部分で不燃物と流動媒体とが高温化しクリンカを生成しやすい。このため、入口近傍15の側面からパージ用のガスとして蒸気139を供給するように構成し、この蒸気139の供給により不燃物抜出シュート7の入口近傍15を流動化させクリンカ形成を防止する。また、付随的に不燃物抜出シュート7内を冷却するため、流動媒体と不燃物の温度を低下させる効果がある。
 また、圧力測定装置138(PIR2)により、流動層炉5内の圧力を測定しパージ用ガスの圧力を制御し、流動層炉5内の圧力より高くなるように不燃物抜出シュート7内の圧力を制御する。
 さらに、温度測定装置136は、不燃物抜出シュート7の外壁温度を検出し不燃物抜出シュート7内の温度が定性的にクリンカ生成温度を超えないように監視する。この温度測定装置136に接続する温度センサ135が不燃物抜出シュート7内に突出して設置されると、流動媒体及び不燃物の重力落下を妨げこれら混合物の排出を阻害するため、外壁温度を検出するように構成する。
 図7は、本発明の第7の実施の形態としての、流動層炉システムとしての流動層式ガス化炉システム1bの模式的な断面図である。流動層式ガス化炉システム1bは、流動層式ガス化炉5aと、不燃物抜出システム2a(部分的に図示)とを備える。流動層式ガス化炉5aは、炉底46の上方に、旋回流動層12と、フリーボード48とを備える。不燃物抜出システム2aは、炉底46の下方に配置された混合物移送経路としての流動媒体抜出経路16と、流動媒体抜出経路16の下部水平部16d内に配置したスクリューコンベヤ20とを備える。不燃物抜出システム2aは、さらに混合物排出口140から排出された、流動媒体と不燃物とが混合した混合物を受け入れる流動層分級室(不図示)と、還流通路としての流動媒体上昇室(不図示)と、第1の不燃物排出通路としての立ち上がり室(不図示)とを備える。流動媒体抜出経路16の下部水平部16dには、スクリューコンベヤ20の移送終端部の近傍に設けた混合物排出口140が形成されている。流動媒体抜出経路16は、鉛直に配置された不燃物抜出シュート7と、水平に配置された下部水平部16dとを含んで構成される。
 炉底46から供給される高温状態の燃焼用空気24は、旋回流動層12内部で流動媒体10の内部旋廻流を発生させる。流動層式ガス化炉5aに供給された被処理物としての廃棄物14は、温度450℃から650℃の旋回流動層12に接触し、熱分解ガス化し可燃ガスを発生する。可燃ガスは、フリーボード48上部の出口ダクト22から排ガスとして流動層式ガス化炉5a外へ排出される。
 流動媒体抜出経路16は、炉底46から流動媒体10を抜き出し、抜き出した流動媒体10をスクリューコンベヤ20により水平方向図面の右長手方向へ移送する。移送された流動媒体10は、混合物排出口140から排出され、流動層分級室(不図示)へ移送される。
 流動媒体抜出経路16の最下部64と炉底46との間には、例えば、パージ用ガスとしての蒸気を供給するパージ用ガス供給口30が設けられている。旋回流動層12の内部圧力P0を例えば、15kPaに設定した場合、パージ用ガスを供給しパージ用ガス供給口30近傍の圧力P1をP0より高い約17kPaとする。
 流動媒体上昇室(不図示)と、立ち上がり室(不図示)とのシール効果により流動媒体抜出経路16の出口近傍での圧力P2は、大気圧より少し高い数kPaに維持することができるが、パージ用ガス供給口30近傍の圧力P1を約17kPaに維持させることができる程度の圧力であれば大気圧でも良い。
 上記圧力条件でパージ用ガスをパージ用ガス供給口30から流動媒体抜出経路16内へ供給し、燃焼用空気24と流動媒体10に含まれる未燃焼ガスを流動媒体抜出経路16および旋回流動層12の炉底46近傍から追放することができる。
 この場合、旋回流動層12の内部圧力P0と、流動媒体抜出経路16の内部圧力P1と、流動媒体抜出経路16の排出口付近の内部圧力P2との関係は、P0<P1>P2の高低関係を維持する必要がある。
 本実施の形態では、パージ用ガス供給口30からパージ用ガスを供給する段階において、流動媒体上昇室(不図示)と、立ち上がり室(不図示)とにより流動媒体抜出経路16の出口を密閉してP0<P1>P2の圧力関係を維持すれば良い。
 本実施の形態では、流動媒体抜出経路16内に設けるコンベヤ20をチェーン式コンベヤやベルト式コンベヤを用いても良く。スクリューコンベヤを用いても良い。また、流動媒体10として硅砂を使用することができる。
 また、パージ用ガスとして窒素ガスや炭酸ガス等の不活性ガスを用いることができる。この窒素ガスや炭酸ガスを用いた場合は、流動媒体抜出経路16内でパージ用ガスが冷却されても水分を発生させることがなく乾燥した環境を維持することができ、流動媒体抜出経路16の外部へ放出しても白煙を発生させることもない。
 さらに、流動媒体と不燃物との混合物は冷却されているため、流動媒体上昇室(不図示)と、第1の不燃物排出通路としての立ち上がり室(不図示)の設定条件に余裕が生じ、シール性の確保に有効である。
 したがって、混合物のマテリアルシールを確実にするために、不燃物抜出シュート7の長さを長くする必要がなく、不燃物抜出シュート7をグランドに設置した場合でも流動層式ガス化炉5aの配置高を従来に比して低くすることができ流動層炉システムの設置費用を低減させることができる。
 図8は、本発明の第8の実施の形態に係る流動層炉システム1の模式的な系統図である。流動層システム1は、流動層炉50と、不燃物抜出システム2bとを備える。流動層炉50は、流動層炉50の炉底46の上方に形成された旋回流動層42と、フリーボード48と備える。不燃物抜出システム2bは、炉底46の下方に配置される混合物移送経路としての流動媒体抜出経路16と、第2の不燃物排出通路としての縦経路76と、縦経路76の上部に接続され水平に配置された第2の不燃物排出通路としての横経路76aとを備える。縦経路76は、流動媒体10と不燃物60の混合物が内部に充満し、鉛直方向に対して60°に傾斜した立ち上がり部44と、排気ダクト52と、流動媒体10と不燃物60を縦経路76から排出する不燃物排出口58とを有する。不燃物排出口58から縦経路76を出た流動媒体10と不燃物60は横経路76aを経て、外部に排出される。
 旋回流動層12は、炉底46から供給される高温状態の燃焼用空気24を散気板62に通過させ、旋回流動層12内部で流動媒体の内部旋回流42を発生させている。ここで、流動層炉50と流動媒体抜出経路16は、上述した第7の実施の形態と同等の部材を用いることができ、重複する説明を省略する。
 縦経路76の立ち上がり部44の終端に設けた、混合物を縦経路76から水平方向に排出する不燃物排出口58は、不燃物排出口58の最下部の位置58aが、旋回流動層12の界面66の凸凹の平均高または界面66の頂点より高い位置に配置し、流動媒体10の自重作用により不燃物排出口58に至る縦経路76の立ち上がり部44に流動媒体10を充満または滞留させる。
 不燃物抜出システム2bは、縦経路76内に配置された流動媒体移送手段としての縦軸のスクリューコンベヤ78をさらに備える。縦経路76の底部に移送された流動媒体10は内部で回転するスクリューコンベヤ78に巻き込まれ、スクリューコンベヤ78によって、縦経路76の上部へ移送される。
 上記縦経路76内の流動媒体10は、縦経路76の立ち上がり部44を充満または滞留し、充満した流動媒体10はパージ用ガス41が供給されるパージ用ガス供給口30近傍の圧力P1の低下を防止するシール効果を発揮することができる。
 シール装置としてのダブルダンパやロックホッパに代えて、縦経路76を設け、縦経路76の立ち上がり部44に流動媒体10を充満させるため、シール効果が向上すると共に、流動媒体抜出経路16の下にダブルダンパを収容するピットと称する穴の掘削工事が不要となり、流動層炉システム1の設置高を低く抑えるので流動層炉システム1の建設期間、および建設費用を低減させることができる。
 また、パージ用ガス41は、旋回流動層12内に含まれる未燃焼ガスが流動媒体抜出経路16の導入部や縦経路76内に進入することを防止することができる。しかも、パージ用ガスリークを防止する特殊なシール装置を設ける必要が無いので、シール装置を収容するピットを掘る掘削工程も簡略化することができる。よって、流動層炉50を従来に比して低位置に設置でき、架構工事費を廉価にすることができる。
 縦経路76から排出された流動媒体10は、不燃物排出口58の外へ排出し、横経路76aを経て外部に排出される。排出された流動媒体10と不燃物60は、流動層炉50の外部に設けられた不燃物系設備としての溶融炉等(不図示)で分離処理をしてから、各々回収される。
 一方、パージ用ガス41は、排気ダクト52から排出され供給経路54を経て排気ボイラ56へ供給し熱源として再利用することができる。また、排気ダクト52から排出される水蒸気の一部をフリーボード48へ供給しフリーボード48中の可燃ガスと水性ガス化反応を生じさせることができる。この水性ガス化反応の吸熱効果により、フリーボード48内の温度を適切な温度に下げることができる。
 このように、本実施の形態では、縦経路76に内設する第2の流動媒体移動手段として、水平面から少なくとも60°以上の内角を有する傾斜角度で混合物を上方へ移送させるスクリューコンベヤ78を用いるとよい。
 図9は、本発明の第9の実施の形態に係る不燃物抜出システム2bの模式的な断面図である。不燃物抜出システム2bは、流動媒体10を略水平方向に移送する水平部72aを含む混合物移送経路72と、混合物移送経路72の水平部72a内で回転自在に水平方向に支持されたスクリューコンベヤ77と、混合物移送経路72の水平部72aの移送終端に設けられた傾斜経路74と、傾斜経路74の下方終端から鉛直方向に立設された第2の不燃物排出通路としての縦経路76と、縦経路76の頂部から片持ち状態で釣下げられ回転自在に支持された流動媒体移送手段としてのスクリューコンベヤ78と、縦経路76の最上部から流動媒体10と不燃物60とを外部に排出する不燃物排出口58とを備える。
 混合物移送経路72の水平部72aは、流動媒体10を横軸のスクリューコンベヤ77の回転により図示した右長手方向に移送させる。混合物移送経路72は、その右側の移送終端部に設けた傾斜経路74の上部まで流動媒体10を移送させる。流動媒体10は、自重作用で傾斜経路74を経由して縦経路76の底部に移動する。
 縦経路76は、内設する縦軸のスクリューコンベヤ78の回転により底部に溜まった流動媒体10をスクリュー羽根と縦経路76の内壁との間に捲込みながら縦経路76の上方へ移送する。縦軸のスクリューコンベヤ78で縦経路76の頂点方向へ上昇した流動媒体10は、その自重作用で不燃物排出口58から排出され、流動媒体抜出経路外に不燃物60と共に排出される。排出された不燃物60は、回収され、流動層炉50(図8参照)外で有効に利用することができる。
 例えば、回収された不燃物60は、砂としてアスファルトと共に道路等の舗装材料として利用できる。また、再利用可能な程度の硅砂は流動層炉に戻される。回収される不燃物60には、未燃焼ガスがほとんど含まれていないので、未燃焼ガスが大気に散逸することがない。
 図9に示すように、不燃物排出口58の最下部の位置58aは、第2の不燃物抜出排出通路としての混合物移送経路72の、水平部72aの高さと同等の高さに位置している。パージ用ガス41(図8参照)をシールできる程度に流動媒体10を立ち上がり部44内部に充満させることができれば、図示した高さに不燃物排出口58の最下部の位置を配置してもよく、図8に示すように旋回流動層12の界面66高度より高い位置に不燃物排出口58(図8参照)の最下部の位置58a(図8参照)を配置してもよい。
 上記縦経路76の上部内壁面は、下部内壁面に比して粗度を高くした粗面壁82で構成する。この粗面壁82に対向する縦軸のスクリューコンベヤ78のスクリュー羽根は、横断面の直径が小さく粗面壁82とのクリアランスが大きくなるように(例えば、流動媒体の最大粒径の3倍以上)構成し流動媒体10と不燃物60が自重降下してシール性を増大させることができる。
 一方、下部内壁面は、上部内壁面に比して粗度を低くした平滑なライナ80で構成する。このライナ80に対向する縦軸のスクリューコンベヤ78のスクリュー羽根は、横断面の直径が大きくライナ80とのクリアランスが小さくなるように(例えば、流動媒体の最大粒径の3倍未満)構成するとよい。
 また、縦経路76の立ち上がり部44は、上部内壁面から下部内壁面へ連続するように構成し、立ち上がり部44の上部内壁は、スクリュー羽根とのクリアランスを大きく(隙間が広い)(例えば、流動媒体の最大粒径の3倍以上)、下部内壁はスクリュー羽根とのクリアランスが小さく(隙間が狭い)(例えば、流動媒体の最大粒径の3倍未満)なるように構成する。
 次に、上記縦経路76の作用を説明する。縦経路76の上部は、粗面壁82と対向するスクリュー羽根とのクリアランスが大きいので、流動媒体10の搬送効率が低い。これに対して、縦経路76下部は、ライナ80と対向するスクリュー羽根とのクリアランスが小さいので、流動媒体10の搬送効率が高い。
 上記縦経路76内の搬送効率の高低差により、縦経路76の上部は、縦経路76の下部に流動媒体10が新たに供給される場合、縦経路76上部の流動媒体10を縦経路76下部の流動媒体10で押し出して不燃物排出口58側へ流動媒体10を排出させることができる。
 これに対して、縦経路76下部に流動媒体10が新たに供給されない場合は、不燃物排出口58側へ流動媒体10を押し出すように搬送できないが、縦経路76の上部から下部に連続する立ち上がり部44へ、流動媒体10を滞留または充満させ、立ち上がり部44の下に空隙84を形成することができる。この空隙84は、傾斜経路74から十分に流動媒体10が供給されない状態の縦経路76底部に形成されるパージ用ガスを充満させる空間として機能する。
 さらに、混合物移送経路72と縦経路76の接続箇所に空隙を積極的に形成できるような流動媒体溜り室(不図示)を設けてもよい。この流動媒体溜り室はある程度の容量を有するタンクとすればよい。
 上記縦経路76の立ち上がり部44は、流動媒体10を滞留または充満させているので、混合物移送経路72側から進入するパージ用ガスをシールすることができ、空隙84にはパージ用ガスを留めておくこともできる。したがって、広範囲の回転数で縦軸のスクリューコンベヤ78を回転させても十分な流動媒体10を立ち上がり部44へ滞留または充満させておくことができる。
 また、空隙84内のパージ用ガスが傾斜経路74から供給される流動媒体10に巻き込まれて、縦経路76の上方へ上昇した場合には、縦経路76の上部に排気ダクト(図8参照)を設けパージ用ガスを排出することができる。
 上記縦経路76の下部内壁面のライナ80の粗度が低く、ライナ80と対向するスクリュー羽根とのクリアランスを小さく構成した場合、縦軸のスクリューコンベヤ78を縦経路76の上部からぶら下げる懸垂型縦軸コンベヤを使用することができる。
 この場合、縦経路76の頂部に設けた駆動モータ(図示せず)を設置し、縦軸のスクリューコンベヤ78の上端部を上部軸受けで回転自在に支持すると共に、縦軸のスクリューコンベヤ78の下端部を縦経路76の内壁面で回転自在に固定するように構成し、駆動モータで縦軸のスクリューコンベヤ78を回転させることができる。
 上記縦軸のスクリューコンベヤ78によれば、縦経路76の底部に位置する縦軸のスクリューコンベヤ78の下端部を回転自在に固定する下部軸受けを省略することもできるが、信頼性を高めるために下部軸受けを設けて、縦軸のスクリューコンベヤ78の回転横振れをより少なくするように構成することもできる。
 したがって、縦経路76のメンテナンス期間が長くなり、不燃物抜出システム2bの稼働率を向上させることができる。また、下部軸受けに代えて平滑面を有する耐磨耗性のライナ80を備えるので、縦軸のスクリューコンベヤ78の軸横振れを有効に防止することができる。
 さらに、流動媒体10の移送能力を混合物移送経路72と縦経路76との間で調整することにより、空隙84の生成期間を調整することができる。例えば、同一搬送能力の横軸及び縦軸のスクリューコンベヤに用いた場合には、横軸のスクリューコンベヤ77の回転数を縦軸のスクリューコンベヤ78の回転数より低くし、横軸のスクリューコンベヤ77の移送能力を縦軸のスクリューコンベヤ78の搬送能力より低く設定することができる。この場合、縦経路76への乗り継ぎ部に生成する空隙84の残留期間が延長され、パージ用ガスのシール効果を増大させることができる。
 上記実施の形態では、横軸と縦軸のスクリューコンベヤ77、78の回転数を調整したが、本実施の形態では、横軸のスクリューコンベヤ77のスクリューピッチを縦軸のスクリューコンベヤ78のスクリューピッチより広げたり、横軸のスクリューコンベヤ77のスクリュー直径を縦軸のスクリューコンベヤ78のスクリュー直径より小さく調整することにより、横軸のスクリューコンベヤ77の移送能力を縦軸のスクリューコンベヤ78の移送能力より低く構成することができる。この構成により、空隙84を不燃物抜出経路70のバッファとして機能させて、パージ用ガスのリークを防止し、混合物移送経路72内のパージ用ガスの圧力を維持することができる。
 尚、本発明の不燃物抜出システム及び流動層炉システムは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明の第1の実施の形態としての流動層炉システムの模式的な系統図である。 本発明の第2の実施の形態としての不燃物抜出システムの模式的な系統図である。 本発明の第3の実施の形態としての流動層炉システムの概略図である。 本発明の第4の実施の形態としての流動層炉システムの模式的な系統図である。 本発明の第5の実施の形態としての流動層式ガス化溶融炉システムの模式的な系統図である。 本発明の第6の実施の形態としての流動層式ガス化炉システムの模式的な断面図である。 本発明の第7の実施の形態としての流動層式ガス化炉システムの模式的な断面図である。 本発明の第8の実施の形態に係る流動層炉システムの模式的な系統図である。 本発明の第9の実施の形態に係る不燃物抜出システムの模式的な断面図である。 従来の流動床ガス化炉システムの模式的な断面図である。
符号の説明
1  流動層炉システム
1a  流動層式ガス化溶融炉システム(流動層炉システム)
1b  流動層式ガス化炉システム(流動層炉システム)
2、2a、2b  不燃物抜出システム
5  流動層炉
5a   流動層式ガス化炉(流動層炉)
2   旋回流動
7   不燃物抜出シュート(混合物移送経路)
8   投入口
10   流動媒体
11   炉底
14   可燃性廃棄物(被処理物)
16   混合物移送経路
17   不燃物排出口
20   スクリューコンベヤ
22   出口ダクト
24   燃焼用空気
30   パージ用ガス供給口
60   不燃物
76   縦経路(第2の不燃物排出通路)
76a  横経路(第2の不燃物排出通路)
78   スクリューコンベヤ(流動媒体移送手段)
90   流動層分級室
91   流動媒体上昇室(還流通路)
92   立ち上がり室(第1の不燃物排出通路)
93a   還流口
93   流動媒体排出口
94   流動媒体戻し通路(還流通路)
96   ガス還流口
97   流動化ガス排気口
100   駆動モータ
101   駆動モータ
102   回転数制御装置
106   差圧計
113   差圧計
115   圧力検出器
116   温度制御装置
119   回転数制御装置

Claims (7)

  1. 流動媒体を内部で流動させて流動層を形成する流動層炉から不燃物を抜き出す不燃物抜出システムであって;
     前記流動媒体と前記不燃物とを混合させた混合物を前記流動層炉の炉底から移送する混合物移送経路と;
     前記混合物移送経路の下流に位置し、前記混合物を外部から供給する流動化ガスにより流動させると共に、前記混合物中の流動媒体と不燃物との濃度分布を変化させ、前記混合物を前記流動媒体の濃度が高い第1の混合物と前記不燃物の濃度が高い第2の混合物とに分離する流動層分級室と;
     前記流動層分級室内の第1の混合物を前記流動層炉内に還流させる還流通路と;
     前記流動層分級室内の第2の混合物を前記流動層炉の外部へ排出させる第1の不燃物排出通路と;
     を備える不燃物抜出システム。
  2. 前記第1の不燃物排出通路は、前記流動層分級室の下流に設けられ、前記第2の混合物を上方に移送させ、前記流動層の界面よりも高い位置から前記流動層炉の外部へ排出する請求項1に記載の不燃物抜出システム。
  3. 前記第1の不燃物排出通路は、前記第2の混合物を垂直若しくは水平面から鉛直方向に前記流動媒体の安息角以上の角度で上方へ移送させる流動媒体移送手段を有する請求項2に記載の不燃物抜出システム。
  4. 前記流動層分級室は、前記第1の不燃物排出通路に向かう通路部を有し;
     前記通路部は、前記第1の不燃物排出通路方向に進むほど徐々に垂直方向断面積が増大し、前記通路部の底面は、前記第1の不燃物排出通路に向けて下方に傾斜する請求項2または請求項3に記載の不燃物抜出システム。
  5. 流動媒体を内部で流動させて流動層を形成する流動層炉から不燃物を抜き出す不燃物抜出システムであって;
     前記流動媒体と前記不燃物とを混合させた混合物を前記流動層炉の炉底から移送する混合物移送経路と;
     前記混合物移送経路の下流に設けられ、前記混合物を上方に移送させ、前記流動層の界面よりも高い位置から前記流動層炉の外部へ排出する第2の不燃物排出通路と;
     を備える不燃物抜出システム。
  6. 前記第2の不燃物排出通路は、前記混合物移送経路の下流に設けられ、前記混合物を上方に移送させ、前記流動層の界面よりも高い位置から前記流動層炉の外部へ排出する請求項5に記載の不燃物抜出システム。
  7. 前記請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の不燃物抜出システムと;
     前記流動層中で被処理物を所定温度により燃焼、又はガス化、若しくは熱分解処理をする流動層炉とを備える流動層炉システム。
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