JP2004137486A - ポリイミドフィルム及び該ポリイミドフィルムを用いた金属積層板 - Google Patents

ポリイミドフィルム及び該ポリイミドフィルムを用いた金属積層板 Download PDF

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Abstract

【課題】 低吸湿膨張、低線膨張係数、高温の低線膨張係数、高弾性率、蒸着した場合の金属ピール強度の環境安定性に優れたポリイミドフィルムを得る。

【解決手段】 全芳香族テトラカルボン酸化合物類成分中に、ビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)類を20〜50モル%、ビフェニルテトラカルボン酸類を1〜40モル%、ピロメリット酸二無水物類を40〜80モル%の割合で含み、さらに、全芳香族ジアミン中に、パラフェ二レンジアミン類を25〜75モル%、ジアミノジフェニルエーテル類を25〜75モル%の割合で含有することを特徴とするポリイミドフィルムによって上記課題を解決しうる。
【選択図】 なし。






Description

 本発明は、低吸湿膨張係数、低線膨張係数、高弾性率、良好な金属接着性、及び耐環境試験後の金属接着性の高い保持率を有するポリイミドフィルム及びそのフィルムに金属を積層した金属積層板に関する。さらに詳しくは、金属を直接形成した場合のピール強度が高く、耐環境試験後のピール強度の保持率が高いポリイミドフィルムに関し、フレキシブルプリント基板、COF用ベースフィルム、TABテープあるいは高密度記録媒体用ベースフィルム等の電子材料に好適に用いることができるポリイミドフィルムに関する。
 従来、耐熱性や電気絶縁性等の、各種の優れた特性を有するポリイミド樹脂は、エレクトロニクス分野において広く用いられている。例えば、フレキシブルプリント基板、TABテープあるいは高密度記録媒体用ベースフィルム等に用いられている。なお、ポリイミド樹脂は、フィルム体以外には、シート体、コーティング剤等の各種形態で用いられているが、フィルム体の場合においては、その単体としての形態のみならず、フィルムの表面に、銅箔を接着剤で接着したり或いは銅のスパッタリング−銅電解メッキを施したり、更には、銅箔上にポリイミド樹脂をキャスト若しくはコーティングするといった積層体の形態としても広く用いられてきた。
 しかし、近年の電子材料や機器の進捗に伴い、用いられるポリイミドフィルムも、耐熱性、絶縁性、耐溶剤性等の基本的な特徴だけではなく、より複雑な多くの特徴が要求されるようになった。例えば、電気、電子機器の小型化に伴い、それに用いられるフレキシブルプリント基板の配線のパターンも細密になり、その結果、加熱や引張りによる寸法変化が小さいポリイミドフィルムが必要となる。加熱に対する寸法変化は線膨張係数が小さいほど、或いは、引張りに対する寸法変化は弾性率が高いほど小さくなる。しかし、一般的に高い弾性率及び低線膨張係数のポリイミドフィルムを製造しようとすれば、例えば、ピロメリット酸二無水物やパラフェニレンジアミンなどを含む剛直で直線性の高いモノマーが用いられる。その結果得られるフィルムは、柔軟性に乏しく、フレキシブルプリント基板に必要とされる折り曲げ可能な性質が損なわれ、また、吸水率、吸湿膨張係数も大きくなる。しかし、半導体パッケージ用途に用いる場合、ポリイミドフィルムは上記の特性に加えて低い吸水率及び低い吸湿膨張係数が求められる。
 さらに、ポリイミドフィルム上に形成されるフレキシブルプリント基板用途の配線パターンはファインパターン化が進み、その結果、ファインパターンの形成できる薄膜金属を積層した金属積層ポリイミドフィルムが要求されるようになって来た。この要求を満たすために、これまで主流として考えられてきた熱可塑性ポリイミド系接着剤或いはエポキシ系接着剤等の接着剤でポリイミドフィルム表面に薄い銅箔を積層する方法では、ファインパターンに適した薄膜銅の積層が困難であった。
そのために、接着剤を用いない金属積層板の製造方法としてポリイミドフィルム表面にスパッタリング装置或いは金属蒸着装置を用いて金属薄膜をポリイミドフィルム表面に形成し、その上部に鍍金で銅を積層する方法が採用されることが多くなってきた。この方法を採用することで金属層は1μm以下の厚みから数十μm以上の厚みにまで自在に変化させることができる。特に、この技術は薄膜化に対応できるので、ファインパターンに最適な厚みの金属層を作製できる特徴を兼ね備えている。
 しかし、このような金属を蒸着或いはスパッタリングで積層する方法では、金属とポリイミドフィルム上の金属層とポリイミドフィルムのピ−ル強度がポリイミドフィルムの種類、或いは組成によって大きく異なり、そのために、一般には、金属の蒸着或いはスパッタリング前に、前処理としてNaOH処理、真空でのプラズマ処理、常圧プラズマ処理、常圧コロナ処理、サンドブラスト処理等の表面改質が行われている。しかし、このような装置は大掛かりとなり、しかも、初期のピ−ル強度の向上には非常に効果的ではあるが、このような方法ではポリイミド表面を破壊することになり、例えば、長期間安定したピ−ル強度を発現しないなどの問題があった。そのために、上記の処理を施した後も、フィルムと金属のピ−ル強度及びそのピ−ル強度が長期間安定して持続することのできるポリイミドフィルムが強く求められてきた。
電気、電子機器の小型化に伴う微細加工に適した電気・電子機器用ポリイミドフィルムとして、高い弾性率、低い線膨張係数、低い吸水率や低い吸湿膨張係数を得るために、種々の検討が行われ、例えば分子構造中のイミド基の量を減らして、長鎖のモノマーを用いる検討が行われている。
特許文献1、2には、長鎖のモノマーとしてp-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)を用いて、吸水率、吸湿膨張係数を低下させることを目的としたポリイミドフィルムの記載があるが、環境試験安定性に乏しく、特に、金属を直接に積層した場合の金属接着強度の保持率に問題があった。更には、特許文献3、4には、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、p−フェニレンジアミン、4,4’―ジアミノジフェニルエーテルを用いたポリイミドフィルムについての報告がある。また、特許文献3や4には、吸水率の記載があるものの、吸湿膨張係数に関する記載が無く、高温の線膨張係数が大きくなる等の問題があった。
このように、低吸湿膨張係数、低線膨張係数、高弾性率、良好な金属接着性、及び耐環境試験後の金属接着性の全てを充分に満足するポリイミドフィルムはまだ提案されていない。
特開平11−54862(段落番号(0014)〜(0024)) 特開2001−72781(段落番号(0050)〜(0073)) 特開平5−78503(段落番号(0014)、(0015)、実施例、表2) 特開平9−235373(段落番号(0006)〜(0022)、実施例、表1)
  このように、従来知られているポリイミドフィルムは、所望の特性(低吸湿膨張、低線膨張係数、高温の低線膨張係数、高弾性率、蒸着した場合の金属ピ−ル強度の環境安定性)が得られ無いことが問題であった。
 そこで、本発明者らは、上記の問題点を解決し、従来、両立が困難であった種々の優れた特性を兼ね備えたポリイミドフィルムを製造する方法に関し、鋭意検討を行った結果、本発明を開発するに到ったのである。
 すなわち、本発明では、5成分以上のモノマーを反応させてポリイミドフィルムの前駆体となるポリアミド酸を得て、フィルム成型し、得られたポリイミドフィルムによって、これまで両立の困難であった種々の特性を有したポリイミドフィルムが製造される。
 本発明は以下の新規な構成により上記課題を解決しうる。
1)芳香族テトラカルボン酸化合物類および芳香族ジアミン化合物類を原料とするポリイミドフィルムであって、全芳香族テトラカルボン酸化合物類成分中に、一般式(1)で表されるビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)類を20〜50モル%、一般式(2)で表されるビフェニルテトラカルボン酸類を1〜40モル%、一般式(3)で表されるピロメリット酸二無水物類を40〜80モル%の割合で含み、さらに、全芳香族ジアミン中に、一般式(4)で表されるパラフェ二レンジアミン類を25〜75モル%、一般式(5)で表されるジアミノジフェニルエーテル類を25〜75モル%の割合で含有することを特徴とするポリイミドフィルム。
Figure 2004137486
(式中のR1は、
Figure 2004137486
で表される2価の有機基からなる一般式群(1)から選択される基であり、式中のR2は同一または異なって、−H,−OH,−CH3, −CF3,−SO4,−COOH,−CO-NH2からなる群より選択される1つの基である。)
Figure 2004137486
(式中のR3は同一または異なってH−,CH3−、Cl−、Br−、F−、及びCH3O−からなる群より選択される何れかの1つの基である)
Figure 2004137486
(式中のR4は同一または異なってH−,CH3−、Cl−、Br−、F−、及びCH3O−からなる群より選択される何れかの1つの基である)
Figure 2004137486
(式中のR5は、
Figure 2004137486
で表される2価の芳香族基からなる群から選択される基であり、式中のR6は同一または異なってH−,CH3−、−OH、−CF3、−SO4、−COOH、−CO-NH2、Cl−、Br−、F−、及びCH3O−からなる群より選択される何れかの1つの基である)
Figure 2004137486
(式中のR7は、
Figure 2004137486
で表される2価の有機基からなる群から選択される基であり、式中のR8は同一または異なって、H−,CH3−、−OH、−CF3、−SO4、−COOH、−CO-NH2、Cl−、Br−、F−、及びCH3O−からなる群より選択される1つの基である。)
2)前記ポリイミドフィルムの厚みが1〜200μmであることを特徴とする1)記載のポリイミドフィルム。
3)前記ポリイミドフィルムの弾性率が500〜800kg/mm2以下であることを特徴とする1)または2)記載のポリイミドフィルム。
4)前記ポリイミドフィルムの吸湿膨張係数が2〜20ppm/RH%であることを特徴とする1)〜3)のいずれか一項に記載のポリイミドフィルム。
5)前記ポリイミドフィルムにおいて、100℃から200℃の間の線膨張係数が1〜30×10-6cm/cm/℃であることを特徴とする1)〜4)のいずれか一項に記載のポリイミドフィルム。
6)前記ポリイミドフィルム上に金属を直接に積層した場合に、金属のピ−ル強度が5N/cm以上であり、かつ、耐環境試験後の保持率が10%以上であることを特徴とする1)〜5)のいずれか一項に記載のポリイミドフィルム。
7)1)〜6)記載のポリイミドフィルムを用いて作製された金属積層板。
本発明で得られるポリイミドフィルムは3種類の芳香族テトラカルボン酸無水物類および2種の芳香族ジアミン類を共重合させて得られるポリイミドフィルムであり、該ポリイミドフィルムは低吸湿膨張係数、高弾性率、低線膨張係数、および金属を直接に積層した金属積層板の接着強度が良好でしかも、耐環境試験処理後の接着強度保持率が良好なポリイミドフィルムを製造することが可能になる。
本発明に係るポリイミドフィルムの要旨とするところはビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)類が全芳香族テトラカルボン酸化合物類成分を100モル%とした場合に20〜50モル%で含み、ビフェニルテトラカルボン酸類が全芳香族テトラカルボン酸化合物類成分を100モル%とした場合に1〜40モル%の割合で含み、ピロメリット酸二無水物類を全芳香族テトラカルボン酸化合物類成分の40〜80モル%の割合で含む、さらに、パラフェニレンジアミン類を25〜75モル%、ジアミノジフェニルエーテル類を25〜75モル%の割合で含有するモノマーを原料とすることを特徴とするポリイミドフィルムである。
ここでいうビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)類とは、下記一般式(1)で表される2つの無水ジカルボン酸構造を含む構造を有している芳香族テトラカルボン酸化合物類である。
Figure 2004137486
(式中のR1は、
Figure 2004137486
で表される2価の有機基からなる一般式群(1)から選択される基であり、式中のR2は同一または異なって、−H,−OH,−CH3, −CF3,−SO4,−COOH,−CO-NH2からなる群より選択される1つの基であればよい。)
ここでいうビフェニルテトラカルボン酸類とは、下記一般式(3)で表される2つの無水ジカルボン酸構造を含む構造を有している芳香族テトラカルボン酸化合物類である。
Figure 2004137486
(式中のR3は同一または異なってH−,CH3−、Cl−、Br−、F−、及びCH3O−からなる群より選択される何れかの1つの基であればよい)
ここでいうピロメリット酸二無水物類とは、下記一般式(3)で表される2つの無水ジカルボン酸構造を含む構造を有している芳香族テトラカルボン酸化合物類である。
Figure 2004137486
(式中のR4は同一または異なってH−,CH3−、Cl−、Br−、F−、及びCH3O−からなる群より選択される何れかの1つの基であればよい)
 前記ビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)類を好ましくは20〜50モル%、特には20〜40モル%の割合で使用することが好ましい。ビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)の使用割合が前記の割合よりも少なくなると、吸湿膨張係数が大きくなり、ビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)類の使用割合が前記の割合よりも多くなると、金属とのピ−ル強度が低下する傾向にある。
 特に本発明に用いられる芳香族テトラカルボン酸化合物類としては、ビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)類としてp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)を選ぶのが入手の面から好ましい。
 前記ビフェニルテトラカルボン酸類は、好ましくは1〜40モル%、更に好ましくは1〜30モル%で使用することが好ましい。ビフェニルテトラカルボン酸類の使用割合が前記の割合よりも少なくなると、得られる共重合ポリイミド成型体の弾性率が低下したり、金属とのピ−ル強度が低下し、しかも、耐環境試験保持率が低下する傾向にある。ビフェニルテトラカルボン酸類の使用割合が前記の割合よりも多くなると、吸湿膨張係数が大きくなり、接着強度が低下する傾向にある。しかも、割合が多い場合には重合方法によっては線膨張係数が大きく弾性率が低下し、熱可塑性のフィルムになる場合がある。
 ビフェニルテトラカルボン酸類として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を選ぶのが高耐熱性を有するポリイミドフィルムを製造する上で好ましい。
 ピロメリット酸二無水物は、40〜80モル%、特に好ましくは50〜70モル%の割合で用いられることが好ましい。ピロメリット酸二無水物類が上記の割合よりも少なくなるとフィルムの弾性率が低下し、上記割合よりも多くなると吸湿膨張係数が大きくなるので上記範囲が最も好ましい。ピロメリット酸類としてピロメリット酸二無水物を選ぶのが原料の入手性及び高耐熱性を有するポリイミドフィルムを製造する上で好ましい。
 本発明で用いられる芳香族ジアミン化合物類としては、下記一般式(4)式で表される構造を有するパラフェニレンジアミン化合物類が上げられる。
Figure 2004137486
(式中のR5は、
Figure 2004137486
で表される2価の芳香族基からなる群から選択される基であり、式中のR6は同一または異なってH−,CH3−、−OH、−CF3、−SO4、−COOH、−CO-NH2、Cl−、Br−、F−、及びCH3O−からなる群より選択される何れかの1つの基であればよい。特に好ましくはパラフェニレンジアミンを用いることが好ましい。
 また、本発明では、下記一般式(5)式で表されるジアミノジフェニルエーテル類も用いられる。
Figure 2004137486
(式中のR7は、
Figure 2004137486
で表される2価の有機基からなる群から選択される基であり、式中のR8は同一または異なって、H−,CH3−、−OH、−CF3、−SO4、−COOH、−CO-NH2、Cl−、Br−、F−、及びCH3O−からなる群より選択される1つの基であればよい。特に好ましくは4,4’―ジアミノジフェニルエーテルを用いることが好ましい。
 使用する芳香族ジアミン化合物類の割合としては、パラフェニレンジアミン類が、全芳香族ジアミン化合物類成分の25〜75モル%、特に好ましくは35〜65モル%であり、ジアミノジフェニルエーテル類が、全芳香族ジアミン化合物類成分の25〜75モル%、特に好ましくは35〜65モル%であることが好ましい。使用するジアミン類は、パラフェニレンジアミン類とジアミノジフェニルエーテル類を適宜選定して用いることが好ましく、例えば、線膨張係数を小さくして、弾性率を大きくしたい場合には、パラフェニレンジアミン類を上記割合範囲内で、ジアミノジフェニルエーテル類よりも多く用いることが好ましい。線膨張係数を大きくして、弾性率を小さくしたい場合には、ジアミノジフェニルエーテル類を上記割合範囲内で、パラフェニレンジアミン類よりも多く用いることが好ましい。また、前記範囲のジアミン使用量以外の場合においては吸湿膨張係数が大きくなるので問題がある。
 本発明者らは、上記記載の芳香族テトラカルボン酸二無水物類と芳香族ジアミン化合物類とを重合させてポリアミド酸を製造し、そのポリアミド酸より得られるポリイミドフィルム成型体を検討した結果、これまで両立することが困難であった、種々の特性を有するポリイミドフィルムを製造することが可能となった。
次に、ポリイミドフィルムの作製方法について以下に記述する。ポリイミドは、有機溶媒中にて酸二無水物とジアミン類とをおおよそ等モル反応させポリイミド前駆体であるポリアミド酸溶液を作成し、触媒及び脱水剤と混合した後、支持体上に流延塗布し、乾燥・加熱することで得られる。以下に詳細を記述する。
 ポリアミド酸の重合に使用される有機溶媒としては、テトラメチル尿素、N,N−ジメチルエチルウレアのようなウレア類、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、テトラメチルスルフォンのようなスルホキシドあるいはスルホン類、N,N−メチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ―ブチルラクトン、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類、またはホスホリルアミド類の非プロトン性溶媒、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、フェノール、クレゾールなどのフェノール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、p−クレゾールメチルエーテルなどのエーテル類が挙げられることができ、通常これらの溶媒を単独で用いるが必要に応じて2種以上を適宜組合わせて用いて良い。これらのうちDMF、DMAc、NMPなどのアミド類が好ましく使用される。
 本発明のポリアミド酸の製造方法について記載する。ポリアミド酸の製造方法は下記方法に特定されるものではなく、種々の方法を用いることが可能である。その一例を以下に示す。
パラフェニレンジアミン類及びジアミノジフェニルエーテル類を溶解した有機溶媒中にビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)類、ビフェニルテトラカルボン酸類、ピロメリット酸二無水物類を作用して、1時間以上混合することでポリアミド酸溶液を得る。反応温度を制御するために、温度調製装置を備えた反応装置内で重合反応を行うことが好ましく、反応溶液内の温度は0℃以上50℃以下であることが好ましく、更に好ましくは15℃以上30℃以下であることが好ましい。
 ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸固形分の重量%は、有機溶媒中にポリアミド酸が5〜40wt%、好ましくは10〜30wt%、更に好ましくは、13〜25wt%溶解されているのが取り扱い面から好ましい。尚、ポリアミド酸の平均分子量は、GPCのPEG(ポリエチレングリコール)換算で10000以上である方がフィルム物性上好ましい。
また、上記ポリアミド酸溶液の粘度は、23℃に保温された水浴中で1時間保温し、その時の粘度をB型粘度計で、ローターはNo.7を回転数は4rpmで測定を行いその粘度が50Pa・s以上1000Pa・s以下であることが好ましく、さらに好ましくは100Pa・s以上500Pa・s以下、最も好ましくは200Pa・s以上400Pa・s以下であることがフィルム成形体を作製する際に取扱い上で最も好ましい。
 このポリアミド酸の製造には1つの反応装置で1段階で重合反応を行い、ポリアミド酸溶液を生成することが好ましく、1段階で重合反応を行うためには、重合反応におけるモノマー成分からの不溶解原料や混入異物を取り除く為に、反応容器に添加直前にモノマーを有機溶媒中に溶解してフィルター等にて混入異物を取り除く工程設けてフィルム中の異物・欠陥を減少させる。或いは直接に粉末を篩にかけて直接に混入異物を取り除く工程設けてフィルム中の異物・欠陥を減少させた後に重合反応を行うことが好ましい。上記フィルターの目開きは、取得フィルム厚みの1/2、好ましくは1/5、更に好ましくは1/10が良い。なぜなら、不溶解原料や混入異物に起因する欠陥がポリイミドフィルム表面に存在するとポリイミドフィルム上への金属層形成工程においてフィルムと金属層の密着性が低下するからである。
 さらに、他の方法として、重合反応を2段階で行う方法もある。この方法では1段階目にプレポリマーを呼ばれる低粘度のポリアミド酸を重合しその後、有機溶媒に酸二無水物を溶解させた有機溶媒を添加しつつ高粘度のポリアミド酸を得る方法がある。この1段階目から2段階目に移行する際にフィルター等にてプレポリマー中の不溶解原料や混入異物を取り除く工程設けてフィルム中の異物・欠陥を減少させる。上記フィルターの目開きは、取得フィルム厚みの1/2、好ましくは1/5、更に好ましくは1/10が良い。なぜなら、不溶解原料や混入異物に起因する欠陥がポリイミドフィルム表面に存在するとポリイミドフィルム上への金属層形成工程においてフィルムと金属層の密着性が低下するからである。
 このポリアミド酸溶液から本発明のポリイミド組成物を得るためには、熱的に脱水閉環する熱的方法、脱水剤を用いる化学的方法の何れでも良いが、化学的方法によると生成するポリイミドフィルムの伸び率や引張強度等の機械的特性が優れるので好ましい。また、化学的方法による方が、短時間でイミド化する事ができる等の利点がある。尚、熱的方法と化学的方法を併用することもできる。
 ポリアミド酸の有機溶媒溶液からポリイミドフィルムを製造する代表的な方法としては、上記ポリアミド酸の有機溶媒溶液に脱水剤と触媒を加えた混合溶液をスリット付き口金からドラム又はエンドレスベルト等の支持体上に連続的に流延塗布してフィルムに成形し、支持体上で200度以下1〜20分間で加熱乾燥することにより自己支持性を有するゲルフィルムとした後、支持体よりフィルムを引き剥がす。次いで、フィルムの両端部を固定する。その後100度〜600度まで徐々にもしくは段階的に加熱することによりイミド化を進行させ、徐冷後、端部の固定を取り外しポリイミドフィルムを得る化学的閉環法。及びポリアミド酸の有機溶媒溶液をスリット付き口金からドラム又はエンドレスベルト等の支持体上に連続的に流延塗布してフィルムに成形し、支持体上で200度以下1〜20分間で加熱乾燥することにより自己支持性を有するゲルフィルムとした後、支持体よりフィルムを引き剥がす。次いで、フィルムの両端部を固定する。その後100度〜600度まで徐々にもしくは段階的に加熱することによりイミド化を進行させ、徐冷後端部の固定を取り外しポリイミドフィルムを得る熱的閉環法がある。
 化学的閉環法に用いられる脱水剤としては、無水酢酸などの脂肪族酸無水物や芳香族酸無水物などが挙げられる。触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン類、β−ピコリン、γ―ピコリン、ピリジン、イソキノリン、3,5−ルチジンなどの複素環式第3級アミン類などが挙げられる。
脱水剤及び触媒をポリアミド酸有機溶媒溶液と混合する前にフィルター等にて不溶解原料や混入異物を取り除く工程設けてフィルム中の異物・欠陥を減少させる。上記フィルターの目開きは、取得フィルム厚みの1/2、好ましくは1/5、更に好ましくは1/10が良い。なぜなら、不溶解原料や混入異物に起因する欠陥がポリイミドフィルム表面に存在すると金属層形成工程においてフィルムと金属層の密着性が低下するからである。
 ポリアミド酸に対する脱水剤及び触媒の含有量は、ポリアミド酸を構成する構造式に依存するが、脱水剤モル数/ポリアミド酸中アミド基モル数=10〜0.01が好ましく、触媒/ポリアミド酸中アミド基モル数=10〜0.01が好ましい。更に好ましくは、脱水剤モル数/ポリアミド酸中アミド基モル数=5〜0.5が好ましく、触媒/ポリアミド酸中アミド基モル数=5〜0.1が好ましい。なお、この場合には、アセチルアセトン等の反応遅延剤を併用しても良い。また、ポリアミド酸に対する脱水剤及び触媒の含有量は、0℃にてポリアミド酸と脱水剤・触媒混合物とが混合されてから粘度上昇が始まるまでの時間(ポットライフ)で規定しても良い。一般にはポットライフが0.1分〜120分、さらに好ましくは0.5分〜60分が好ましい。
 また、このポリアミド酸有機溶媒溶液には必要に応じて酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、或いは、無機のフィラー類、金属微粉末類、或いは各種の強化剤を添加してもよい。
本発明を用いることにより低吸湿膨張係数、低線膨張係数、高温時の低線膨張係数、高弾性率を有し、ピ−ル強度が良好で、かつ、耐環境試験後の保持率が良好な、ポリイミドフィルムが得られる。以下、本発明で得られるポリイミドフィルムの物性評価方法の詳細について説明する。一般に、ポリイミドフィルムをフレキシブルプリント基板用途、TAB用テープ基板あるいは高密度記録媒体用ベースフィルム等の電気・電子機器基板用途に用いる場合には、耐熱性、適度な高弾性率、屈曲性、適度な線膨張係数、適度な吸湿膨張係数、適度な吸水率、適度な伸び率を有することが好ましい。
本発明における線膨張係数とは、セイコー電子製TMA装置(品番120C)を用いて、窒素気流下、昇温速度10℃/分で100℃〜200℃の値である。
 本発明における弾性率とは、島津製作所製引張り試験機(オートグラフ S−100−C)を使用し、ASTM−D882に準じで測定した時の値である。
本発明における吸湿膨張係数とは、ポリイミドフィルムがたるまない様に最低限の加重をかけた状態(5mm×20mmのサンプルに対して、約3g)で、湿度30RH%に調湿し完全に飽和するまで吸湿させて寸法を計測し、その後湿度を80RH%に調湿し同様に飽和吸湿させた後寸法を測定し、両者の結果から相対湿度差1%あたりの寸法変化率を求めた場合の値である。
 ポリイミドフィルムをフレキシブルプリント基板用途、TAB用テープ基板あるいは高密度記録媒体用ベースフィルム等の電気・電子機器基板用途に用いる場合に好ましいポリイミドフィルムは、100℃〜200℃の線膨張係数は、好ましくは1〜30×10-6cm/cm/℃、特に好ましくは、5〜25×10-6cm/cm/℃であること好ましい。弾性率は、好ましくは500〜800kg/mm2以下、さらに好ましくは500〜700kg/mm2以下、吸湿膨張係数は2〜20ppm/RH%、特に好ましくは2〜15ppm/RH%であることが好ましい。上記範囲にポリイミドフィルムの物性値が無い場合には、例えば、弾性率が上記値よりも低い場合には、金属配線を形成したフレキシブル配線基板表面にIC、LSIを積層する際に、高温に加熱することで、接着時にフィルムがたるむ場合がある。また、線膨張係数が上記値よりも大きい場合には、金属配線間隔の広がりが大きくなり、接着不良が発生する。吸湿膨張係数が上記値よりも大きい場合には、フィルムをハンダ浴中に浸漬した場合に、ポリイミドフィルム内部の吸水成分が放出されて、吸水量の変化に伴うフィルムの収縮が発生することになる。その為に、現在のハンダ浴工程では湿度管理を徹底するなどの対策が講じられているが、ポリイミドフィルムの吸湿による膨張係数が小さいほどこの作業は簡素化でき、さらに、この現象は、金属配線のずれにもつながり短絡を生じる場合がある。
 更に、ポリイミドフィルムをフレキシブルプリント基板用途、TAB用テープ基板あるいは高密度記録媒体用ベースフィルム等に用いる場合には、接着剤を介して金属箔と貼り合わせても良いが、金属を直接にポリイミド表面に積層して形成することもできる。
 そして、フレキシブル配線基板に好適に用いられる、金属を直接積層した金属積層板における、金属とポリイミドフィルムとの接着強度は、以下のようにして測定されるピール強度で判断することができる。
 まず、ポリイミドフィルム表面にPVD法を用いて、下地となる金属を積層した金属積層板に、硫酸電気銅メッキにより、接着剤を用いることなくポリイミドフィルム表面に金属層を積層して金属積層板を作製する。この金属積層板に形成した1mmの金属配線パターンを90度に剥離するピール強度で初期ピール強度を評価することでフレキシブル配線基板用途に適したポリイミドフィルムであるかを判断することができる。ここでいうPVD法とは、真空加熱蒸着法、電子イオンビーム蒸着法(EB蒸着法)、イオンプレーティング法、スパッタリング法、プラズマイオン蒸着法、CVD法等の各種金属蒸着方式をいう。下地となる金属としては、貴金属、アルカリ土類金属、遷移金属(例えば、銅、コバルト、ニッケル、クロム、チタン等)、或いは、それら金属の合金が好適に用いられる。ピール強度は、JIS C−6471に従って評価した。更には、金属積層板の環境安定性(耐環境安定性)を調べる為に、この金属積層板を耐環境試験として121℃100%RHの環境に12時間暴露した後の金属とポリイミドフィルムのピ−ル強度を金属パターン1mmで90度ピールで評価した。
耐環境試験後の保持率は次式:
Figure 2004137486
で表される。
 金属積層板として用いる場合に必要とされるピール強度は金属パターン1mmで90度ピールで評価した場合に、耐環境試験を行う以前のピ−ル強度として、5N/cm以上、好ましくは6N/cm以上、さらに好ましくは7N/cm以上であることが好ましい。金属積層板の金属のピール強度が上記強度を満たさない場合には、例えば回路形成後にIC、LSIの実装を行った際にその接着応力により配線回路が剥離する、或いは、金属配線が剥離・短絡に伴いIC、LSI回路が故障する等の問題があった。更に、屈曲性のある部位に使用される場合には、上記接着強度を保持していないと剥離する場合がある。
 さらに、耐環境試験後のピ−ル強度保持率としては好ましくは10%以上、さらに好ましくは30%以上であることが好ましい。
 耐環境試験後のピール強度保持率が上記値よりも低い場合には、長期使用において、剥離・短絡が生じて実装装置の不良の原因になることがある。
 本実施の形態にかかるポリイミドフィルムは上述のように金属積層板に加工することができる。それゆえ、本発明にかかる金属積層板としては、本実施の形態にかかるポリイミドフィルムを用いて作製されたものを挙げることができる。本発明の金属積層板は、特に、金属を蒸着やスパッタリングのように直接金属を形成した場合に顕著な効果を示すが、接着剤を介して金属箔と貼り合わせた金属積層板であってもよい。上記の金属積層板は、フレキシブル配線基板用途、COF用ベースフィルム、TABテープ、高密度記録媒体用ベースフィルム等の電気・電子機器用途に好適に用いることができる。
本発明の接着剤としては、例えばエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ゴム系樹脂等を単独又は種々の混合割合で溶剤と共に混合し、必要に応じて硬化剤や硬化促進剤等の添加剤を添加したものを用いることができる。
 以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
 (実施例1)
本実施例では、反応容器としてステンレス製セパラブルフラスコを備え、該セパラブルフラスコ内の攪拌装置として2枚のパドル翼を備え、冷却装置として20.9kJ/minの冷却能力を持つ装置を備えた反応装置を用いてポリアミド酸を製造した。重合反応中は、水分の混入を防ぐ為に、シリカゲル中を通過させて脱水を行った窒素ガスを0.05L/minで流して重合反応を行った。
 上記セパラブルフラスコに、重合用溶媒としてN,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)533.2gを仕込み、これに、4,4−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)27.80g(0.139モル)と、パラフェニレンジアミン(p−PDA)13.58g(0.126モル)とを加え、20℃で攪拌することで、ODA及びp−PDAをDMFに完全に溶解させてジアミン溶液を調製した。
 上記ジアミン溶液に、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TMHQ)40.0g(0.087モル)を徐々に添加・攪拌して、TMHQをジアミン溶液中に十分に分散させた。分散状態にあるTMHQが重合用溶媒DMF中に完全溶解するまで攪拌溶解を行った。
 次いで、3,3´,4,4´-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)3.90g(0.013モル)を添加して完全溶解するまで攪拌溶解を行った。次いで、PMDA34.00g(0.156モル)を徐々に添加し完全溶解するまで攪拌溶解を行い、ポリアミド酸溶液を得た。完全溶解後、攪拌装置で40分攪拌した。
 さらに、所望の粘度(この場合、200Pa・s以上400Pa・s以下)となるようにポリアミド酸溶液に、PMDAを1.76g(0.008モル)を徐々に添加・攪拌して、所望の粘度になった時点でPMDAの添加を終了し、反応溶液とした。なお、この反応溶液におけるジアミン及び酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して18.5重量%となっている。
その後、攪拌と冷却とを1時間継続してポリアミド酸の重合を行わせ、ポリアミド酸溶液を得た。
ポリアミド酸溶液の粘度は、23℃に保温された水浴中で1時間保温し、その時の粘度をB型粘度計で、ローターはNo.7を回転数は4rpmで測定を行いその粘度が250Pa・sであった。
(ポリイミドフィルムの製造)
 得られた重合ワニスを無水酢酸(AA)及びイソキノリン(IQ)と混合し、混合液をアルミ板上に流延塗布して、100℃にて5分間乾燥後、ポリアミド酸塗膜をアルミ板より剥がし、その塗膜を支持枠に固定して、その後、350℃にて20秒間、450℃にて20秒間、更に500℃で20秒間加熱し、脱水閉環乾燥して、25μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムの特性の評価を行い表1にその結果を記載した。
尚、ポリイミドフィルムの各物性値評価方法は以下の方法で評価した。
(評価方法)
〔線膨張係数〕
セイコー電子製TMA装置(品番120C)を用いて、窒素気流下、昇温速度10℃/分で100℃〜200℃の値を測定した。
〔弾性率〕
 島津製作所製引張り試験機(オートグラフ S−100−C)を使用し、ASTM−D882に準じで測定した。
〔吸湿膨張係数〕
ポリイミドフィルムがたるまない様に最低限の加重をかけた状態(5mm×20mmのサンプルに対して、約3g)で、湿度30RH%に調湿し完全に飽和するまで吸湿させて寸法を計測し、その後湿度を80RH%に調湿し同様に飽和吸湿させた後寸法を測定し、両者の結果から相対湿度差1%あたりの寸法変化率を求める。
[金属積層板のピ−ル強度測定]
このポリイミドフィルムの片面に前処理として、アルゴンイオンによるプラズマ処理を行い表面の不要な有機物等の除去を行った後にスパッタリング装置((株)昭和真空 NSP−6)を用いて厚み、50オングストロームのニッケルを積層し、更に、銅を2000オングストロームニッケル上に積層した金属積層板を作成する。更に、硫酸電気銅メッキ(陰極電流密度2A/dm2、メッキ厚み20μm、20〜25℃)により、接着剤を用いることなくポリイミドフィルム表面に金属層を積層して金属積層板を作製した。この金属積層フィルム上の金属のピ−ル強度をJIS C−6471に従って金属パターン1mmを90度ピールで評価した。このときのピール強度をPX N/cmとする。
尚、金属の耐環境試験後のピ−ル強度を以下の方法で測定を行った。
 耐環境試験後のピ−ル強度:金属積層板を121℃100%RHの環境に12時間暴露した後、ピ−ル強度をJIS C−6471に従って金属パターン1mmを90度ピールで評価した。このときのピール強度をPY N/cmとする。
耐環境試験後の保持率は次式:
耐環境試験後の保持率= PY/PX ×100
で表される。
(実施例2〜8)
 前記実施例1と同様の手順で、芳香族ジアミン成分および芳香族テトラカルボン酸成分を表1〜2に示す割合でそれぞれポリアミド酸溶液を得た後、実施例1と同じ操作で得られたポリイミドフィルムの各物性評価および金属積層板のピール評価を行い、表1〜2にその結果を示した。
(比較例1)
セパラブルフラスコに、重合用溶媒としてN,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)378.6gを仕込み、これに、ODA17.48g(0.087モル)と、p−PDA9.44g(0.087モル)とを加え、20℃で攪拌することで、ODA及びp−PDAをDMFに完全に溶解させてジアミン溶液を調製した。
 上記ジアミン溶液に、TMHQを40.00g(0.087モル)を徐々に添加・攪拌して、TMHQをジアミン溶液中に十分に分散させた。分散状態にあるTMHQが重合用溶媒DMF中に完全溶解するまで攪拌溶解を行った。
次いで、PMDA17.10g(0.078モル)を添加し。完全溶解後、攪拌装置で40分攪拌した。
 さらに、所望の粘度(この場合、200Pa・s以上400Pa・s以下)となるように酸二無水物の添加量を調整する為に、PMDA1.94g(0.009モル)を徐々に添加・攪拌して、所望の粘度になった時点で添加を終了し、反応溶液とした。なお、この反応溶液におけるジアミン及び酸二無水物の仕込み濃度は、全反応液に対して18.5重量%となっている。
その後、攪拌と冷却とを1時間継続してポリアミド酸の重合を行わせ、ポリアミド酸溶液を得た。
ポリアミド酸溶液の粘度は、23℃に保温された水浴中で1時間保温し、その時の粘度をB型粘度計で、ローターはNo.7を回転数は4rpmで測定を行いその粘度が250Pa・sであった。
(ポリイミドフィルムの製造)
 得られた重合ワニスを無水酢酸(AA)及びイソキノリン(IQ)と混合し、混合液をアルミ板上に流延塗布して、100℃にて5分間乾燥後、ポリアミド酸塗膜をアルミ板より剥がし、その塗膜を支持枠に固定して、その後、350℃にて20秒間、450℃にて20秒間、更に500℃で20秒間加熱し、脱水閉環乾燥して、25μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムの特性の評価を行い表1にその結果を記載した。
尚、ポリイミドフィルムの各物性値評価は実施例1記載の方法で評価した。評価結果を表2に示す。
 比較例1記載のポリイミドフィルムは、フィルムの耐環境試験耐性が小さく、しかも、接着強度の耐環境保持率が低く、金属積層板用途に用いるには問題がある。
Figure 2004137486
Figure 2004137486
Figure 2004137486

Claims (7)

  1. 芳香族テトラカルボン酸化合物類および芳香族ジアミン化合物類を原料とするポリイミドフィルムであって、全芳香族テトラカルボン酸化合物類成分中に、一般式(1)で表されるビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)類を20〜50モル%、一般式(2)で表されるビフェニルテトラカルボン酸類を1〜40モル%、一般式(3)で表されるピロメリット酸二無水物類を40〜80モル%の割合で含み、さらに、全芳香族ジアミン中に、一般式(4)で表されるパラフェ二レンジアミン類を25〜75モル%、一般式(5)で表されるジアミノジフェニルエーテル類を25〜75モル%の割合で含有することを特徴とするポリイミドフィルム。
    Figure 2004137486
    (式中のR1は、
    Figure 2004137486
    で表される2価の有機基からなる一般式群(1)から選択される基であり、式中のR2は同一または異なって、−H,−OH,−CH3, −CF3,−SO4,−COOH,−CO-NH2からなる群より選択される1つの基である。)
    Figure 2004137486
    (式中のR3は同一または異なってH−,CH3−、Cl−、Br−、F−、及びCH3O−からなる群より選択される何れかの1つの基である)
    Figure 2004137486
    (式中のR4は同一または異なってH−,CH3−、Cl−、Br−、F−、及びCH3O−からなる群より選択される何れかの1つの基である)
    Figure 2004137486
    (式中のR5は、
    Figure 2004137486
    で表される2価の芳香族基からなる群から選択される基であり、式中のR6は同一または異なってH−,CH3−、−OH、−CF3、−SO4、−COOH、−CO-NH2、Cl−、Br−、F−、及びCH3O−からなる群より選択される何れかの1つの基である)
    Figure 2004137486
    (式中のR7は、
    Figure 2004137486
    で表される2価の有機基からなる群から選択される基であり、式中のR8は同一または異なって、H−,CH3−、−OH、−CF3、−SO4、−COOH、−CO-NH2、Cl−、Br−、F−、及びCH3O−からなる群より選択される1つの基である。)
  2. 前記ポリイミドフィルムの厚みが1〜200μmであることを特徴とする請求項1記載のポリイミドフィルム。
  3. 前記ポリイミドフィルムの弾性率が500〜800kg/mm2以下であることを特徴とする請求項1または2記載のポリイミドフィルム。
  4. 前記ポリイミドフィルムの吸湿膨張係数が2〜20ppm/RH%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリイミドフィルム。
  5. 前記ポリイミドフィルムにおいて、100℃から200℃の間の線膨張係数が1〜30×10-6cm/cm/℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリイミドフィルム。
  6. 前記ポリイミドフィルム上に金属を直接に積層した場合に、金属のピ−ル強度が5N/cm以上であり、かつ、耐環境試験後の保持率が10%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリイミドフィルム。
  7. 請求項1〜6記載のポリイミドフィルムを用いて作製された金属積層板。
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