JP2004136284A - 流体を混合するためのデバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】 混合効率の良い混合デバイスを提供すること。
【解決手段】 本発明は、流体どうしを混合するためのデバイスに関するものであって、本発明による混合デバイスは、混合対象をなす複数の流体(L1,L2)が存在するチャンバ(C)と、このチャンバ(C)内に存在している粒子(b)を、力の作用によって、中心点回りにおいて、この中心点に対して径方向擾乱を有した軌跡に沿って、移動させるための手段(A1,A2,Nm)と、を具備している。本発明は、化学や生物学の分野において、流体やコロイドの混合に適用される。
【選択図】 図1

Description

 本発明は、複数の流体を混合するためのデバイスに関するものである。
 本発明は、生物学や化学の分野において、流体やコロイドを混合するためのマイクロデバイスの製造に対して、特に有利に応用することができる。
 流体どうしを混合するための大部分の現存のマイクロシステムにおいては、流体の流通は、その速度が遅く、非常に層流的である。複数の流体からなる各流れは、互いに混合することなく、長い距離にわたって互いに並行して流通する。拡散によるごく限られた混合が存在する(A. Evan-Kamholz 氏、E.A. Shilling 氏、P. Yager 氏による“Optical
measurement of transverse molecular diffusion in a microchannel”と題する
Biophysical Journal, vol. 80, No. 4, April 2001, p. 1967-72 を参照されたい)。
 化学の分野においては、混合速度が遅いと、反応が不完全となり迅速ではなくなる。生化学の分野においては、拡散効率が悪いと、多くの場合、キャリア流体内における生物学的構成要素の移動が妨げられる。
A. Evan-Kamholz 氏、E.A. Shilling 氏、P. Yager 氏による"Optical measurement of transverse molecular diffusion in a microchannel"と題するBiophysical Journal, vol. 80, No. 4, April 2001, p. 1967-72
 本発明は、上記欠点を有していない。
 実際、本発明は、複数の流体を混合するためのデバイスであって、混合対象をなす複数の流体が存在するチャンバを具備しているデバイスに関するものである。このデバイスは、チャンバ内に存在している粒子を、力の作用によって、中心点回りにおいて、この中心点に対して径方向擾乱を有した軌跡に沿って、移動させるための手段を具備している。
 本発明の第1実施形態においては、粒子は、常磁性ビーズであり、粒子移動手段は、中心点回りに回転する磁界を形成するための手段を備えている。
 本発明の第1実施形態の第1の変形例においては、中心点回りに回転する磁界を形成するための手段は、中心点回りに回転する複数の永久磁石と、中心点付近に配置された強磁性コアと、を有している。
 本発明の第1実施形態の第2の変形例においては、中心点回りに回転する磁界を形成するための手段は、複数の電磁石と、中心点付近に配置された強磁性コアと、を有している。
 本発明の第2実施形態においては、粒子は、混合対象をなす複数の流体のうちの少なくとも一方の流体の中の分子であり、粒子移動手段は、中心点回りに回転する誘電泳動電界を形成するための手段を備えている。
 本発明の第2実施形態のさらなる特徴点においては、中心点回りに回転する誘電泳動電界を形成するための手段は、中心点付近に配置された誘電体コアであるとともに、混合対象をなす複数の流体の誘電率よりも大きな誘電率を有している誘電体コアと;チャンバの周縁回りに配置された複数の電極対であるとともに、対をなす各電極がチャンバの側面上において互いに反対側に位置している、複数の電極対と;を有し、電極対に対して、誘電体コア回りに回転するようにして交番的に、交流電流が供給される。
 本発明の1つの利点は、非常にコンパクトな混合マイクロシステムを形成できることである。中心コア回りにおける回転の結果として、ビーズや粒子を、狭いスペース内において比較的長い経路にわたって移動させることができる。直線的な移動経路では、ずっと効率が悪くなる。
 本発明の他の利点は、良好な混合効率が得られることである。実際、中心コア回りにおける粒子の径方向偏位(径方向擾乱)は、非常に効果的な拡散をもたらす。この場合、そのような径方向擾乱を最大化させるように、混合を行うスペースの寸法を決定すること、および、回転電磁界の周波数を選択すること、が有利である。粒子の径方向移動は、様々な種どうしの間の拡散係数を著しく増大させることとなる。
 本発明の第3の利点は、種が、様々な誘電特性を有する必要がないことである。種が、中心コア回りに移動するビーズによって撹拌されることにより(第1実施形態)、あるいは、種自身が中心コア回りに駆動されることにより(第2実施形態)、種どうしが混合される。
 本発明の第4の利点は、3種類以上の種を混合し得ることである。この利点は、化学の分野において特に重要である。それは、化学の分野においては、いくつかの構成要素どうしを反応させる必要性が頻繁であるからである。
 本発明の他の特徴点や利点は、添付図面を参照しつつ、好ましい実施形態に関する以下の説明を読むことにより、明瞭となるであろう。
 図1は、本発明の第1実施形態による混合デバイスを概略的に示す図である。
 この混合デバイスは、混合されるべき複数の流体(L1,L2)を収容しているチャンバ(C)と、このチャンバ(C)の中心に配置された強磁性コア(Nm)と、この強磁性コアの周囲において回転する磁界を生成するのに適した磁気手段(A1,A2)と、チャンバ(C)内に分散配置された複数の常磁性ビーズ(b)(例えば、Dynal(商標名)や Inimunicon(商標名)やMiltenyi(商標名)といったタイプのビーズ)と、を備えている。磁気手段(A1,A2)は、回転駆動される永久磁石や、あるいは、交流が供給される電磁石、とすることができる。
 回転磁界の作用により、複数の常磁性ビーズ(b)は、強磁性コアに対して径方向擾乱を有した軌跡(Ta)に従って、強磁性コアの周囲を移動する。常磁性ビーズの径方向擾乱移動は、液体粒子を撹拌し、液体どうしの拡散係数のかなりの増大化に寄与する。
 常磁性ビーズの径方向擾乱は、とりわけ、ビーズ(b)の透磁率と磁界の回転周波数との関数として、変動する。よって、常磁性ビーズの透磁率と磁界の回転周波数とが、液体どうしの混合に対しての調節パラメータを構成する。
 図2は、本発明の第1実施形態による混合デバイスの一例を示している。
 この混合デバイスは、チャンバ(C)の周縁回りにおいて等間隔で配置された複数の電磁石(ai)(i=1,2,…,6)と、中心強磁性コア(Nm)と、を備えている。互いに混合されるべき液体(L1,L2)は、導入チャネル(k1)を通して、チャンバ(C)内へと導入される。導出チャネル(k2)からは、液体どうしの混合物(M)を抽出することができる。複数の常磁性ビーズ(b)は、例えば液体(L2)と一緒に、チャンバ(C)内へと導入される。キャリア液体を使用した流体どうしの混合(生化学における構成要素どうしの混合)の場合には、キャリア液体を、前もってチャンバ(C)内へと導入することができる。
 図3は、本発明の第2実施形態による混合デバイスを概略的に示す図である。
 本発明の第2実施形態においては、誘電泳動力を利用している。
 誘電泳動法は、電流を発生させることなく、バッファ液体内に懸濁された粒子または大きな誘電性の分子に対して電気力を生成するための公知技術である。誘電泳動力を誘起するのに必要な電界は、比較的大きな周波数(10〜100kHz)の交流電流が供給された複数の電極によって、生成される。この場合、印加される力は、実効電界の2乗平均平方根に対して比例する。電界の周波数と粒子の物理的特性とに依存して、正の力(大きな平均電界の領域に向かう力)または負の力(小さな平均電界の領域に向かう力)を得ることができる。
 公知原理の応用は、正または負の誘電泳動法を使用した、複数の種すなわち複数の構成要素の分離という分野においてである。例えば、誘電泳動的性質が互いに相違する細胞や生物学的粒子やバクテリアを分離することができる(“Microfluidic cell separation by 2-dimensional dielectrophoresis”と題する Biomedical Microdevices 2: 1, pp. 41-49, 1999 という文献、および、“Introducing electrophoresis as a new force for
field-flow fractionation”と題する Biophysical Journal, vol. 73, pp. 1118-1129, 1997 という文献、を参照されたい)。
 本発明の第2実施形態による混合デバイスは、混合されるべき複数の流体を収容しているチャンバ(C)と、このチャンバ(C)の中心に配置された常磁性コア(Nd)と、交流電流が供給されるとともにチャンバ(C)の周縁回りにおいて等間隔で離間して配置された複数の電極(Ei)(i=1,2,…,6)と、を備えている。
 チャンバ(C)は、有利には、非常に小さい寸法(典型的には、100μm〜2mmという寸法)を有することができる。複数の電極は、複数の電極対として接続され、同じ対をなす各電極は、チャンバ(C)の周縁回りにおいて互いに反対側に配置される。複数の電極対に対しては、例えばおよそ1rd/s〜100rd/sという供給速度に従って、誘電体コア回りに回転するように、交番的に供給がなされる。電極対に対しての供給速度は、混合対象をなす粒子のタイプの関数として選択される。誘電体コアの誘電率(ε )は、混合対象をなす流体の誘電率よりも大きなものとされる。好ましくは、電極は、流体から電気的に絶縁される。これにより、電極との接触による局所的イオン化が防止される。電極に対して供給される交流電流の周波数(felec)は、混合対象をなす構成要素の関数として選択される。この周波数は、一般的には、1kHz〜100kHzとされる。
 混合対象をなす複数の液体の各粒子(p)は、誘電体コア回りにおいて、軌跡(Tb)に従って、移動する。この軌跡(Tb)は、重要なことに、電極対に対しての供給の周波数(frot )と、電極に対して供給される交流電流の周波数(felec)と、の関数としての、径方向擾乱を有している。電極に対して供給される交流電流の周波数(felec)は、粒子に対して印加される力の係数の正負を決定する。電極対に対しての供給の回転周波数(frot )は、粒子の回転移動および径方向移動の速度および強度を決定する。
 図4Aおよび図4Bは、本発明の第2実施形態による混合デバイスの一例を示すそれぞれ平面図および側面図である。
 この混合デバイスは、チャンバ(C)の周縁回りにおいて等間隔で配置された複数の電極(Ei)(i=1,2,…,10)と、中心誘電体コア(Nd)と、を備えている。互いに混合されるべき液体(L1,L2)は、導入チャネル(k1)を通して、チャンバ(C)内へと導入される。導出チャネル(k2)からは、液体どうしの混合物(M)を抽出することができる。この場合においても、キャリア液体を使用した流体どうしの混合(生化学における構成要素どうしの混合)の場合には、キャリア液体を、前もってチャンバ(C)内へと導入することができる。
 本発明の原理は、誘電泳動力と磁力との間の類似性をベースとしている。第1の場合(誘電泳動の場合)においては、力は、電界の2乗平均平方根(root mean square,RMS)に比例し、第2の場合(磁力の場合)においては、力は、磁界の2乗平均平方根に比例する。完全な類似性が、同様の形状(2つの磁石の間の外部磁界(磁力の場合)、あるいは、2つの電極の間の誘電泳動電界(誘電泳動法の場合))における磁界分布と誘電泳動電界分布との計算によって、既に証明されている。
 本発明に関して、様々な応用例を与えることができる。生物学においては、拡散プロセスを加速することによって、可動ターゲットを固定プローブに対して接近させ得ることが、頻繁に要望されている。例えばその場合、本発明による混合デバイスの中心コア上の捕獲表面をメッキすることができ、これにより、捕獲速度を増大させることができる。化学においては、反応に際して、比率(化学量論的比率)が明確に規定されるようにして混合を行うことが、多くの場合において要求される。本発明による混合デバイスは、この要求を特に好適に満たしている。
本発明の第1実施形態による混合デバイスを概略的に示す図である。 本発明の第1実施形態による混合デバイスの一例を示す図である。 本発明の第2実施形態による混合デバイスを概略的に示す図である。 本発明の第2実施形態による混合デバイスの一例を示す平面図である。 本発明の第2実施形態による混合デバイスの一例を示す側面図である。
符号の説明
A1 永久磁石
A2 永久磁石
ai 電磁石
b  常磁性ビーズ
C  チャンバ
Ei 電極
L1 流体
L2 流体
Nd 誘電体コア
Nm 強磁性コア
p  粒子(分子)

Claims (8)

  1.  流体どうしを混合するためのデバイスであって、
     混合対象をなす複数の流体(L1,L2)が存在するチャンバ(C)を具備している場合において、
     前記チャンバ(C)内に存在している粒子を、力の作用によって、中心点回りにおいて、この中心点に対して径方向擾乱を有した軌跡に沿って、移動させるための手段(ai,Ei)を具備していることを特徴とするデバイス。
  2.  請求項1記載のデバイスにおいて、
     前記粒子が、常磁性ビーズ(b)であり、
     前記粒子移動手段が、前記中心点回りに回転する磁界を形成するための手段を備えていることを特徴とするデバイス。
  3.  請求項2記載のデバイスにおいて、
     前記中心点回りに回転する磁界を形成するための前記手段が、前記中心点回りに回転する複数の永久磁石(A1,A2)と、前記中心点付近に配置された強磁性コア(Nm)と、を有していることを特徴とするデバイス。
  4.  請求項2記載のデバイスにおいて、
     前記中心点回りに回転する磁界を形成するための前記手段が、複数の電磁石(ai)と、前記中心点付近に配置された強磁性コア(Nm)と、を有していることを特徴とするデバイス。
  5.  請求項1記載のデバイスにおいて、
     前記粒子が、混合対象をなす前記複数の流体のうちの少なくとも一方の流体の中の分子(p)であり、
     前記粒子移動手段が、前記中心点回りに回転する誘電泳動電界を形成するための手段を備えていることを特徴とするデバイス。
  6.  請求項5記載のデバイスにおいて、
     前記中心点回りに回転する誘電泳動電界を形成するための前記手段が、
      前記中心点付近に配置された誘電体コア(Nd)であるとともに、混合対象をなす複数の流体の誘電率よりも大きな誘電率(ε )を有している誘電体コア(Nd)と、
      前記チャンバの周縁回りに配置された複数の電極対(Ei)であるとともに、対をなす各電極が、前記チャンバ(C)の側面上において互いに反対側に位置している、複数の電極対(Ei)と、
    を有し、
     前記電極対に対して、前記誘電体コア回りに回転するようにして交番的に、交流電流が供給されることを特徴とするデバイス。
  7.  請求項6記載のデバイスにおいて、
     前記複数の電極(Ei)が、混合対象をなす複数の流体から電気的に絶縁され、これにより、前記流体の局所的イオン化が防止されていることを特徴とするデバイス。
  8.  請求項6または7記載のデバイスにおいて、
     前記複数の電極(Ei)に対して供給される前記交流電流の周波数が、1kHz〜100kHzとされていることを特徴とするデバイス。
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