JP2004135922A - 糸カセット、ミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】縫製準備作業がしやすい糸カセットを提供すること。
【解決手段】糸供給源から糸切断刃26に至る前の糸34を保持する第1の糸保持部と、糸切断刃26に対して第1の糸保持部と反対側に位置し、糸供給源である糸駒18から糸切断刃26に至った後の糸34を保持する第2の糸保持部とが糸カセットには備えらている。こうして、糸切断刃26の刃部の近傍で、糸34を2箇所保持するように、糸カセットは構成されている。作業者が糸34を糸カセットに掛けることに伴って、糸34が糸切断刃26に接触し、糸34が鋭角に屈曲されたときに、糸34が糸切断刃26にて切断される。
【選択図】    図13

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、糸供給源から至る糸を切断する糸切断刃を備えた糸カセット、並びに、糸カセットを装着するためのカセット装着部を備えるミシンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の供給源が備えられる糸カセットを用いたミシンでは、本出願人による特開2002−191886号公報(特許文献1)の明細書及び図面に記載したように、糸カセットに糸供給源としての糸駒が備えられ、その糸駒から引き出された糸は、糸カセットに形成された糸道に掛けられる。このとき、作業者が糸カセットの糸道に糸を掛けるには、一方の手に糸カセットを持ち、他方の手で糸端を持ち糸を糸道に掛ける。その糸駒から引き出された糸が糸道に対して長い場合には、余った糸が何らかの部材(糸カセットやミシン本体の表面カバーの継ぎ目等)に絡むことを防止するために、作業者が糸道に糸を掛け終えると、糸を掛け終えた他方の手で糸カセットとは別部材の挟みを持って、糸カセットから垂れ下がった余分な糸をその挟みで切っていた。
【0003】
また、糸カセットを用いないミシンではあるが、本出願人による特開平8−173676号公報(特許文献2)の明細書及び図面に記載したように、ミシンのアーム部に糸供給源としての糸駒が備えられ、その糸駒から引き出された糸は、アーム部に形成された糸道に掛けられる。その糸駒から引き出された糸が糸道に対して長い場合には、余った糸が何らかの部材(ミシンの表面カバーの継ぎ目等)に絡むことを防止するために、作業者が糸を持って、その糸を直線的に張り、その糸の中間部がアーム部の側面に設置られた糸切断刃に対して当接するように、所定の位置までその糸を移動することによって、その余った糸を切っていた。
【0004】
【特許文献1】特開2002−191886号公報(第7頁乃至第10頁、図23)
【特許文献2】特開平8−173676号公報(第4頁、図2、図3)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載した従来の糸カセットでは、糸カセットから垂れ下がった余分な糸が挟みによって切られているが、糸は軽いので、多少の風(例えば、扇風機の風)が吹いたとしても、垂れ下がった糸は揺らいでしまい、作業者が挟みで切ることが困難である。また、糸カセットを一旦机などに置いて、糸の端部を一方の手で持って、糸を固定してから、その糸を挟みで切ることも考えられるが、糸カセットをミシン本体に装着するために、再び、その糸カセットを手で持たなければならず、縫製準備作業が煩雑化するという問題点があった。
【0006】
また、特許文献2に記載した従来のミシンでは、直線上に張られた糸の中間部に糸切断刃が当接し、糸が糸切断刃によって鈍角に屈曲され、糸の切断が確実なものではなかった。そのため、作業者は糸駒から糸が引き出されないように、一方の手で切断刃よりも糸駒寄り(上流側)の糸をしっかりと押さえ、且つ、他方の手で糸(糸端)を移動する。即ち、作業者は両手を用いて糸を切断する必要があり、縫製準備が煩雑化するという問題点があった。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、縫製準備作業がしやすい糸カセット、並びに、その糸カセットを装着可能なミシンを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に記載の糸カセットは、糸供給源から至る糸に関し、その糸の伸展方向が鋭角に屈曲する部分の糸を切断するように、前記糸切断刃が配置されたものである。
【0009】
請求項1に記載の糸カセットにおいては、糸供給源から至る糸に関し、伸展方向が鋭角に屈曲した糸が前記糸切断刃に当接する。
【0010】
請求項2に記載の糸カセットは、請求項1に記載の糸カセットの構成を備え、糸供給源から前記糸切断刃に至る前の前記糸を保持する第1の保持部材と、前記糸切断刃に対して前記第1の保持部材と反対側に位置し、前記糸供給源から前記糸切断刃に至った後の糸を保持する第2の保持部材とを備えている。
【0011】
請求項2に記載の糸カセットにおいては、請求項1に記載の糸カセットの作用を奏し、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とが前記糸切断刃に対して側方にそれぞれ位置し、その糸切断刃に至る前後において糸が保持される。
【0012】
請求項3に記載の糸カセットは、糸供給源から前記糸切断刃に至る前の糸を保持する第1の保持部材と、前記糸切断刃に対して前記第1の保持部材と反対側に位置し、前記糸供給源から前記糸切断刃に至った後の糸を保持する第2の保持部材とを備えている。
【0013】
請求項3に記載の糸カセットにおいては、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とが前記糸切断刃に対して側方にそれぞれ位置し、その糸切断刃に至る前後において糸が保持される。
【0014】
請求項4に記載の糸カセットは、請求項3に記載の糸カセットの構成を備え、前記糸供給源から至る糸に関し、その糸の伸展方向が反対方向に屈曲する部分の糸を切断するように、前記糸切断刃が配置されているものである。
【0015】
請求項4に記載の糸カセットにおいては、請求項3に記載の糸カセットの作用を奏し、糸供給源から至る糸に関し、伸展方向が鋭角に屈曲した糸が前記糸切断刃に当接する。
【0016】
請求項5に記載の糸カセットは、請求項1乃至4の何れかに記載の糸カセットの構成を備え、前記糸切断刃に糸が到達可能に、前記糸切断刃を覆う覆い部材を備えている。
【0017】
請求項5に記載の糸カセットは、請求項1乃至4の何れかに記載の糸カセットの構成の作用を奏し、前記糸切断刃に糸が到達可能に、前記糸切断刃が覆い部材によって覆われている。即ち、糸切断刃の不必要な露出がない。
【0018】
請求項6に記載のミシンは、前記請求項1乃至5の何れかに記載の糸カセットを装着するカセット装着部を備えている。
【0019】
請求項6に記載のミシンにおいては、前記請求項1乃至5の何れかに記載の糸カセットと同様の作用を奏す。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。尚、方向については、図2に示す方向に従って説明する。
【0021】
図1乃至図13に示す糸カセット10は、本出願人による特願2002―264499号の明細書及び図面に記載されたミシン本体12に用いられるものであり、そのミシン本体12には、糸カセット10を装着するためのカセット装着部14がアーム部16の前面に設けられている。このカセット装着部14は、上下動される縫針15の上方に設けられている。
【0022】
図1乃至図3に示すように、糸カセット10は、糸供給源である糸駒18を収容するための糸駒収容部20と、その糸駒収容部20に連通する糸道22と、その糸道22の終端近傍に設けられた糸保持部材24(図7参照)と、その糸保持部材24の近傍に配置された糸切断刃26(図7参照)と、その糸駒収容部20の前面で前後方向に回動可能に設けれた開閉蓋28と、上記ミシン本体12のピニオン(図示略)に螺合するラック部30と、そのミシン本体12のカセット装着部14への装着時に糸カセット10の向きを安定させるための案内部32とを有している。
【0023】
まず、糸カセット10の糸道22について説明する。
【0024】
この糸カセット10の糸道22は、糸駒18から引き出された糸34を沿わせるためのものであり、糸駒収容部20の上方の糸カセット10の上面、糸駒収容部20の左方に位置する糸カセット10の左側面、糸駒収容部20の下方に位置する糸カセット10の下面、糸駒収容部20の右方に位置する糸カセット10の右側面、並びに、糸駒収容部20の下方に位置する糸カセット10の前面のそれぞれに形成されている。それら糸道22は、糸カセット10の表面部を構成する部材同士の隙間で画定されたり、糸カセット10の表面部を構成する部材に凹み等で画定される。その隙間は糸カセット10の表面部にあり、糸道22の開口部となっている。
【0025】
糸カセット10の上面では、前側上部40と後側上部42とが前後方向において離間しており、それら前側上部40と後側上部42との間の隙間で糸カセット10の上面の糸道44が画定されている。その糸道44は、前後方向に伸長し上下方向の深さ(奥行き)を有する部分と、左右方向に伸長し上下方向の深さ(奥行き)を有する部分とから構成されている。糸カセット10の左側面では、前側左部46と後側左部48とが前後方向において離間しており、それら前側左部46と後側左部48との間の隙間で糸カセット10の左側面の糸道50が画定され、上下方向に伸長し左右方向の深さ(奥行き)を有している。
【0026】
糸駒収容部20の上部は、糸カセット10の上面の糸道44に連通し、その糸道44の左部は、糸カセット10の左側面の糸道50の上部と連通し、その糸道50の下部は、糸カセット10の下面の糸道56の左部に連通する。尚、図示しないが、その糸道44の左部において、糸34が下方に伸長するように、その糸34を屈曲するためのピンや、その糸道50の下部において、糸34が右方に伸長するように、その糸34を屈曲するためのピンが、糸カセット10には設けられている。
【0027】
図4乃至図6に示すように、糸カセット10の下面では、前側下部52と後側下部54とが前後方向において離間しており、それら前側下部52と後側下部54との間の隙間で画定され、左右方向に伸長し上下方向の深さ(奥行き)を有している。尚、糸カセット10の左側部の糸道50は、上記ラック部30や案内部32とは左右方向及び前後方向において離間しており、糸カセット10のミシン本体12への装着に際して、糸34がそれらラック部30や案内部32に引っ掛からないように、糸カセット10は構成されている。
【0028】
図6に示すように、糸カセット10の右側部には、前後方向に離間した位置に、線状の2本のリブが右方に張り出して形成され、そのリブの一部を切り欠いて形成した右側面前方凹み部58と右側面後方凹み部60とが形成されている。この右側面前方凹み部58、右側面後方凹み部60、並びに、それら右側面前方凹み部58と右側面後方凹み部60との間の右側面で糸カセット10の右側面の糸道62が画定される。
【0029】
こうして、糸カセット10の下面の糸道56の右部から至る糸34が糸カセット10の右側面の端部で屈曲され、図3に2点鎖線で示すように、糸カセット10の右側面に沿って前方に渡って位置するように、糸カセット10の右側面は構成されている。
【0030】
糸カセット10の前面では、糸カセット10の右側面の前端部に後方へ向かって凹んだ前端凹み部66と、前側下部52の前面から前方に突出する支え部68と、その支え部68に連続して一体に形成され、前側下部52に対して前方に離間した前方垂直面70とが形成されている。その前端凹み部66と、前側下部52の前面と前方垂直面70との間の隙間で画定された部分とから糸カセット10の前面の糸道72が画定されている。そして、その糸カセット10の前面の糸道72が前方垂直面70の外周部に沿って伸長し、前方垂直面70の外周部に対応して上下方向或いは左右方向の深さ(奥行き)を有している。
【0031】
図2及び図10に示すように、上記前方垂直面70の左側の外周部は、円弧状に形成されており(円弧形状部分と称す)、前方垂直面70の左側は、略「U」の字を時計回りに90度回転させたような形状である。そして、糸カセット10の前面の糸道72のうち、前側下部52の前面と前方垂直面70によって画定される部分は、前方垂直面70の下方において左右方向に伸長する部分と(下側左右部分74と称す)、その下側左右部分74の左部から上方に伸長する部分(上下部分76と称す)と、その上下部分76の上部から右方に伸長する部分(上側左右部分78と称す)とから構成され、上記下側左右部分74と上側左右部分78とは略平行に伸展し、上下方向に離間し、左右方向において重複するが、下側左右部分74は、上側左右部分78よりも長く形成されている。
【0032】
上側左右部分78の右端は、糸道22の終端にあたり、その部分には、上述した支え部68が前側下部52の前面に一体的に形成されている。従って、この支え部68によって、前側下部52の前面と前方垂直面70との間の隙間が一定に保たれているように構成されている。そして、前側下部52の前面は、支え部68を介して前方垂直面70の上部の一部のみでしか連続していないので、上側左右部分78は上方に開口部を有し、上下部分76は左方に開口部を有し、下側左右部分74は下方に開口部を有しており、上下部分76は上側左右部分78及び下側左右部分74をつなぐための部分であり、それら上側左右部分78、上下部分76、下側左右部分74、並びに、それらの開口部は連通している。即ち、上記前方垂直面70の左側に沿って、略「U」の字を時計回りに90度回転させたように糸34を掛けるように、糸カセット10は構成されている。
【0033】
こうして、その糸カセット10の右側面に沿って掛けられた糸34が前端凹み部66に掛けられ、糸34が糸カセット10の右側面の前端凹み部66で屈曲され、前端凹み部66から至る糸34が前方垂直面70(及び後述の糸保持部材24)に至るように、糸カセット10は構成されている。
【0034】
尚、支え部68の上面は前下がりに傾斜し、支え部68の左側面は、左右方向に対して直交する垂直面である。この支え部68の上面が傾斜して、開閉蓋28の下方において空間を成していることにより、支え部68の上面が水平面であって開閉蓋28の下方に位置している場合(図9に2点鎖線で示す形状)に比べて、開閉蓋28の回動空間が大きい。上述した前側上部40、前側下部52、支え部68、並びに、前方垂直面70は樹脂で一体に形成されている。
【0035】
上述したように糸道22が画定されており、作業者が一方の手に糸カセット10を持ち、その糸駒収容部20に収容された糸駒18から引き出された糸34を他方の手で引き出し、その他方の手を用いて糸道22に沿って糸カセット10の上面、左側面、下面、右側面、前面にこの順序で糸34を掛けることができるように、糸カセット10は構成されている。
【0036】
次に、糸カセット10の糸切断刃26について説明する。
【0037】
糸切断刃26は、図7に示すように、略平行四辺形の板状であり、面部を有し、面部の一端に刃部80を有するものである。この糸切断刃26は、図8及び図9に示すように、上述した上側左右部分78及び下側左右部分74に対して平行に、その上側左右部分78と下側左右部分74との間の上下方向の中央の位置において、水平な状態に配置されている。即ち、糸切断刃26は、上下方向に伸張する上下部分76に対して直交するように配置されている。
【0038】
そして、糸切断刃26の刃部80は左方に位置し、上記前方垂直面70の外周部のうち、前方垂直面70の左側の円弧形状部分の左端よりも右側に位置し、前方垂直面70の後側に配置されている。即ち、糸切断刃26の刃部80の前部は、前方垂直面70に覆われ、その刃部80の前部は露出していないが、糸34が上下部分76の開口部から刃部80には到達可能に、糸切断刃26は配置されている。即ち、この前方垂直面70が覆い部材に相当する。尚、糸道22の開口部はミシン本体12で利用可能な糸34よりも幅の広いを有するものである。
【0039】
上述したように、平行な2本の糸道22である上側左右部分78と下側左右部分74との間に、それら2本の糸道22の伸長方向に沿って平行に糸切断刃26が配置され、それら上側左右部分78と下側左右部分74とをつなぐ上下部分76から糸34が糸切断刃26に到達可能に、その糸切断刃26の刃部80が配置されている。即ち、その上下部分76にある糸34を、この糸切断刃26は切断可能である。
【0040】
尚、糸切断刃26の面部がほぼ水平に進展するように、糸切断刃26が配置され、その糸切断刃26の面部が前後方向に突出する突出部82と平行であり、その前後方向における糸切断刃102の位置が止め輪102によって固定されている。
【0041】
そして、糸道22のうち前方垂直面70によって画定される部分に対する糸掛けは、上述した下側左右部分74、上下部分76、上側左右部分78の順に行われ、その糸道22のうち前方垂直面70によって画定される部分(掛けられた糸34)が反転するように、上記前方垂直面70は構成されている。従って、その糸道22が反転する部分に対応して、上下部分76の近傍に上記糸切断刃26の刃部80が配置されているので、上下部分76よりも下流側(糸端側)の糸34が上側左右部分78に沿って糸カセット10に掛けられることに伴って、上下部分76に沿った糸34が反転部分となり、この上下部分76に沿って糸カセット10に掛けられた糸34が糸切断刃26に当接して、その上下部分76に沿って糸カセット10に掛けられた糸34が鋭角に屈曲され、その鋭角に屈曲した糸34が糸切断刃26によって切断されるように、糸切断刃26は配置されている。即ち、糸供給源である糸駒18から至る糸34に関し、その糸34の伸展方向が鋭角に屈曲する部分の糸34を切断するように、上記糸切断刃26が配置されている。
【0042】
前方垂直面70の後面には、後方に突出する突起部82が一体に形成され、この突起部82は、内環部82aとその内環部82aの周囲に位置する外環部82bとで構成され、内環部82aは外環部82bよりも後方へ突出している。これら内環部82a及び外環部82bの上下方向における中央部分には、左右方向に伸長する溝部84が形成されており、その溝部84は後方側及び左方側に渡る開口部を有している。その溝部84の前側壁面には、糸切断刃26がこの溝部84の上下壁面に平行に、且つ、溝部84の前側壁面(糸カセット10の前面)に略直交するように、配置されている。この糸切断刃26の左端部の刃部80は、上記溝部84から左方に突出し、上述した糸道22の反転部分となる上下部分76の近傍に位置している。
【0043】
図10及び図11に示すように、この溝部84の内側の上壁面(内環部82a)には、前後方向に伸長し、下方へ張り出した2本のリブ86,88が左右方向に離れて一体的に形成されている。そのリブ86,86とで規定される左右方向の範囲であって、溝部84の内側の下壁面(内環部82a)には、前後方向に伸長し、上方へ張り出した1本のリブ90が、一体的に形成されている。そのリブ86,88は糸切断刃26の上面に当接し、且つ、リブ90はその糸切断刃26の下面に当接するに構成されている。図7に示すように、前方垂直面70の後面で、溝部84よりも左側には、後方に突出する係合部92が一体的に形成されており、その係合部92は糸切断刃26の刃部80の先端の前部と係合可能に形成されている。
【0044】
それらリブ86,88,90及び係合部92によって、糸切断刃26の上下方向における位置が固定されるように、前方垂直面70は構成されている。また、この溝部84の内側の右壁面は、糸切断刃26の右端部と当接するように構成されており、この溝部84の内側の右壁面及び係合部92によって、糸切断刃26の左右方向における位置が固定されるように、前方垂直面70は構成されている。糸切断刃26の前後方向における位置は、この溝部84の内側の前壁面及び後述する構成(止め輪102)によって固定されるように、前方垂直面70は構成されている。
【0045】
次に、糸カセット10の糸保持部材24について説明する。
【0046】
糸カセット10の糸保持部材24は、糸34を狭持するための狭持手段としての糸案内皿94及び糸案内板96と、この糸案内皿94をその糸案内板96の方向に付勢する付勢手段としての2つの圧縮バネ98,100と、糸案内板96の後方への移動を規制(禁止)するための規制手段としての止め輪102とを有している。
【0047】
糸案内皿94は貫通部を有し、その貫通部を上記外環部82bの外周側面に、前後方向に摺動可能に通されている。糸案内板96も貫通部を有し、糸案内皿94及び外環部82bよりも後方において、その貫通部を上記内環部82aに通され、糸案内板96の前面が外環部82bの後面と接触している。糸案内板96よりも後方の内環部82aに、止め輪102が前後方向移動不可能に嵌合されている。そのため、その案内板96の前面が外環部82bの後面に接触した状態で、その糸案内板96が止め輪102によって固定されている。即ち、前方垂直面70と糸案内板96との前後方向における距離が一定に決められている。尚、工具を用いることによって、この止め輪102は必要に応じて内環部82aから取り外し可能であり、その取り外した止め輪102或い別の止め輪102をその内環部82aに再び嵌合することが可能なように、糸カセット10は構成されている。
【0048】
上記突出部82よりも左側において、上記前方垂直面70の後面には、後方に突出するように形成された座部104,106が2箇所一体的に形成され、それら2つの座部104,106は互いに上下方向に離間して形成されている。また、これら2つの座部104,106にそれぞれ対向する糸案内皿94の前面には、前方に突出する座部108,110が2箇所一体的に形成され、それらの2つの座部108,110も上下方向に離間して形成されている。更に、対向する一対の座部104,108、或いは、一対の座部106,110同士は前後方向において離間している。これらの4つの座部104,106,108,110については、糸切断刃26が配置される溝部84の上側と下側とにそれぞれ、一対ずつ配置されている。
【0049】
その糸案内皿94の前面と前方垂直面70の後面との間には、2つの圧縮バネ98,100が前後方向に伸縮可能に配置され、それぞれの圧縮バネ98,100の後端は糸案内皿94の前面に接触しており、糸案内板96に向かって糸案内皿94を後方へ押している。上述した4つの座部104,106,108,110の中央には円柱部が形成され、円柱部の周囲はドーナツ状に凹んでおり、その円柱部の直径よりもこれら2つの圧縮バネ98,100の内径はわずかに大きく、凹んだドーナツ状の外径よりも小さい。これら2つの圧縮バネ98,100は、対向する一対の座部104,108、或いは、一対の座部106,110の円柱部をそれぞれ両端に通されることによって、2つの圧縮バネ98,100の上下方向における位置が固定されている。上述したように、対向する一対の座部104,108、或いは、一対の座部106,110は互いに前後方向に離間しているので、2つの圧縮バネ98,100は前後方向に伸縮自在であり、糸案内皿94は前後方向に移動可能である。即ち、糸道22の一部である上側左右部分78や下側左右部分74の伸長方向である左右方向に対して直交する方向に移動可能に構成されている。
【0050】
上記2つの圧縮バネ98,100の弾性力は、糸案内皿94と糸案内板96との間に進入した糸34によって2つの圧縮バネ98,100がそれぞれ圧縮され、その糸34が押圧されながらも、糸案内皿94がその糸34によって前方へ移動される程度の強さであり、且つ、その進入した糸34に外力(重力以外)が作用していなければ、糸案内皿94と糸案内板96とに挟まれた糸34をその位置に保持し、その糸34が外力によって引かれると、その糸34の移動を許容する程度の強さである。
【0051】
糸案内皿94と糸案内板96とは、2組の対向する一対の座部104,108、或いは、一対の座部106,110の位置において部分的に接触している。糸案内皿94と糸案内板96とが接触した部分の周囲で、上側左右部分78の下方や下側左右部分74の上方にあたる糸案内皿94と糸案内板96とはわずかに離間して、その部分には略均一な隙間が形成されている。糸案内皿94と糸案内板96との接触した部分の周囲で、上下部分76の右方にあたる糸案内皿94と糸案内板96とは徐々に離間して、その糸案内皿94と糸案内板96との隙間は奥(右方)に行くほど狭くなっている。
【0052】
上述の2組の対向する一対の座部106,110の後方において、糸切断刃26の下方で且つ糸切断刃26の刃部80の近傍で、糸案内皿94と糸案内板96とが互いに接触する部分を第1の糸保持部と以下称す。また、上述の2組の対向する一対の座部104,108の後方において、糸切断刃26の上方で且つ糸切断刃26の刃部80の近傍で、糸案内皿94と糸案内板96とが互いに接触する部分を第2の糸保持部と以下称す。これら第1の糸保持部と第2の糸保持部とは糸切断刃26に対して互いに反対側に位置している。即ち、第1の糸保持部と第2の糸保持部とは糸切断刃26を上下に挟んで配置されていると共に、下側上下部分74と上側左右部分78とによって上下方向に挟まれて配置されている。
【0053】
図12に示すように、上記糸案内皿94や糸案内板96には、前方垂直面70の突出部82を挿入可能な開口を有する貫通部分112,114と、その貫通部112,114から糸切断刃26の配置方向に沿ったスリット116,118とが連通して形成されている。これらスリット116,118が突出部82の溝部84に連通するように、糸案内皿94と糸案内板96とは配置されており、このスリット116には、糸切断刃26の前部が位置し、スリット118には、糸切断刃26の後部が位置する。
【0054】
糸案内板96の貫通部分114の周囲の後面と糸切断刃26の後端とは共に、前後方向に直交する垂直面上に位置している。そして、上記止め輪102は、前方から見て、突出部82の溝部84に交差するように配置されると共に、その溝部84に配置された糸切断刃26の右側後端にも接して位置している。従って、止め輪102は、上述した糸案内板96と同様に、糸切断刃26の前後方向における位置も固定している。即ち、糸切断刃26及びその切断刃26の近傍で糸34を保持するために用いる糸案内板96について後方への抜け止めのための部材を兼用している。
【0055】
上述した4つの座部104,106,108,110は、糸切断刃26の配置される溝部84やスリット116,118の上側と下側とにそれぞれ一対ずつ設けられ、上記糸切断刃26の刃部80の近傍において、その刃部80に対して上下部分76から離れる方向に設けられており、2組の対向する一対の座部106,110と一対の座部104,108とはそれぞれ、糸道22における糸切断刃26の刃部80の上流部(糸駒18側)と、糸道22における糸切断刃26の刃部80の下流部(糸端側)にそれぞれ配置されている。
【0056】
このように、糸切断刃26の刃部80の近傍で、糸34を2箇所保持するように、糸カセット10は構成されている。即ち、糸供給源から糸切断刃26に至る前の糸34を保持する第1の糸保持部と、糸切断刃26に対して第1の糸保持部と反対側に位置し、糸供給源である糸駒18から糸切断刃26に至った後の糸34を保持する第2の糸保持部とが糸カセット10には備えらている。また、本願発明の所定方向とは、突出部82が突出する前後方向である。
【0057】
上述した構成のうち、糸案内板96が第1糸案内部材に、糸案内皿94が第2糸案内部材に、圧縮バネ98,100が付勢部材に、止め輪102が固定部材に、突出部82が突出部材に相当する。
【0058】
次に、上述した構成の糸カセット10に作業者が糸34を掛け、その糸34を切断する作業について説明する。
【0059】
作業者は一方の手に糸カセット10を持ち、他方の手で開閉蓋28を前方へ回動し、他方の手で糸駒収容部20に糸駒18を装着する。次に、作業者は、他方の手で糸駒18からある程度糸34を引き出し、他方の手で開閉蓋28を後方へ回動する。続いて、作業者は、糸カセット10を一方の手で持った状態で、糸カセット10の上面の糸道44、糸カセット10の左側面の糸道50、糸カセット10の下面の糸道56、糸カセット10の右側面の糸道62、並びに、糸カセット10の前面の糸道72に沿ってこの順序で、一方の手に持った糸カセット10にその引き出した糸34を他方の手で掛ける。この糸掛け作業においては、作業者は糸カセット10の周囲に沿って他方の手を移動すると、その他方の手の移動に伴って、糸駒18から糸34が徐々に引き出される。
【0060】
そして、糸カセット10の前面の糸道72に沿った糸掛け作業では、作業者は糸34を前端凹み部66に掛け、糸34が略90度屈曲され、続いて、下側左右部分74に沿って右から左に、上下部分76に沿って下から上に、上側左右部分78に沿って左から右に、作業者は糸34を他方の手で糸カセット10に掛ける。
【0061】
上述の糸掛け作業の際に、下側左右部分74に沿って掛けられた糸34は、第1の糸保持部の間に進入して、下方の圧縮バネ100の弾性力に抗して糸案内皿94を前方へ移動し、その糸案内皿94と糸案内板96とによって狭持されて保持される。上側左右部分78に沿って掛けられた糸34は、第2の糸保持部の間に進入して、上方の圧縮バネ98の弾性力に抗して糸案内皿94を前方へ移動し、その糸案内皿94と糸案内板96とによって狭持されて保持される。即ち、糸供給源から糸切断刃26に至る前の糸34が第1の糸保持部によって保持され、その糸切断刃26に対して第1の糸保持部と反対側に位置し、糸供給源から糸切断刃26に至った後(糸端側)の糸34が第2の糸保持部によって保持される。そして、作業者がその他方の手を支え部68を越えて移動すると、第1の糸保持部と第2の糸保持部とによって保持された間の上下部分76に沿って掛けられた糸34が糸切断刃26によって切断される。それから、作業者は、その糸掛け及び糸切断を完了した糸カセット10を一方の手でミシン本体12のカセット装着部14に装着する。
【0062】
糸切断について詳述すると、まず、上下部分76に沿って糸カセット10に掛けられた糸34は、上下方向に伸展しているが、作業者が上側左右部分78に沿って左から右に糸34の端部を持った他方の手を移動するにつれて、その上下部分76に沿って糸カセット10に掛けられた糸34が左方に移動し、その掛けられた糸34の上下方向における中間部分(第1の糸保持部と第2の糸保持部とによって保持された間の糸34)が糸切断刃26の刃部80に当接して、その掛けられた糸34が屈曲する。
【0063】
作業者が右方に糸34の端部を持った他方の手を更に移動すると、その掛けられた糸34は糸切断刃26の刃部80に対して摺動しつつ移動し、糸切断刃26によって屈曲された糸34の成す角度は、鈍角から鋭角に徐々に変化する。そして、その掛けられた糸34が図13に示すような鋭角を成すまで、作業者が糸34を左から右に他方の手で更に移動すると、糸34が糸切断刃26の刃部80によって切断される(糸34が切断される位置Pを図7に黒丸にて示す)。作業者が糸34を左から右に他方の手で更に移動すると、その糸切断刃26の刃部80よりも上流側(糸駒18側)の糸34は、第1の糸保持部に保持されたままであり、その糸切断刃26の刃部80よりも下流側(糸端側)の糸34は、第2の糸保持部に対して摺動し、上側左右部78から外れる。即ち、糸供給源である糸駒18から至る糸34に関し、その糸34の伸展方向が鋭角に屈曲する部分が糸切断刃26によって確実に切断される。
【0064】
尚、作業者が下側左右部分74や上側左右部分78に沿って糸34を移動する際には、作業者は全く水平に糸34を持った他方の手を移動する必要はなく、作業者が下側左右部分74に沿って糸34を移動する際に、作業者は若干左上がりに右から左に他方の手を移動し、上側左右部分78に沿って糸34を移動する際に、作業者は若干右上がりに左から右に他方の手を移動させてもよい。同様に、作業者が上下部分76に沿って糸34を移動する際には、作業者は全く垂直に他方の手を移動する必要はなく、作業者が上下部分76に沿って糸34を移動する際に、作業者は若干右方に斜めに下から上に他方の手を移動してもよい。
【0065】
以上、説明したように上述の糸カセットに10によれば、一方の手に糸カセット10を持ち、他方の手で糸掛け及び糸切断を行えるので、縫製準備が簡単に行える。特に、糸掛けに伴って、糸34が確実に切断されるので、縫製準備が従来の物に比べて一層容易に可能である。
【0066】
尚、特許文献1に記載した糸カセット10に、特許文献2に記載した従来のミシンの切断刃を単に設けただけの構成(仮想構成)では、直線的に張られた糸の中間部が切断刃に当接し、糸が切断刃によって鈍角に屈曲するだけである。従って、そうした構成においては、糸が確実に切断されない虞がある。しかし、上述した実施の形態においては、糸34が鋭角に屈曲されており、確実に切断されるので、縫製準備がし易い。
【0067】
また、上述した仮想構成では、特許文献2に記載した従来のミシンのように、切断刃が糸道の終端部に配置されることになり、作業者がその切断刃よりも下流側の糸をどこまで移動すれば、糸がその切断刃によって切断されるかが全く見当がつかず、糸切断位置まで糸を移動することに熟練を要していた。このような仮想構成であると、糸を糸道に正確に掛けるだけでも手間であることに加え、その後の糸切断作業においても覚えなければならないことがあり、初心者には使い勝手が悪いものとなる虞がある。即ち、縫製前の縫製準備でさえ、かなりの熟練を要する虞がある。
【0068】
しかし、上述した実施の形態のおいては、作業者が端部をどこまで移動させれば、糸34が切断されるかの目安として、上側左右部分78や支え部68が機能して、作業者が正規の位置まで糸34を移動するようになるので、確実に糸34が切断される。
【0069】
上述した実施の形態では、糸切断刃26の刃部80よりも前方垂直面70が左側に張り出しており、また、糸切断刃26の刃部80よりも前方垂直面70が前後方向における広い幅を有し、その刃部80が前方垂直面70によって覆われているため、糸切断刃26が不用意に露出しておらず、糸切断刃26に何らかの物品が衝突して、糸切断刃26やその物品が破損することが防止できる。
【0070】
上述した実施の形態では、糸切断刃26と糸案内板96とを共に1つの止め輪102によって突出部82の突出方向(板状の糸切断刃26の水平上に配置された面部に対して平行な前後方向)における位置が固定されているので、糸切断刃26と糸案内板96とそれぞれ別の固定部材で固定する構成比べて、糸カセット10の構成を簡素化及び軽量化できる。また、その前後方向において、圧縮バネ98、100は糸案内板96及び糸切断刃26に対して止め輪102と反対側の前方に位置しており、作業者が止め輪102を内環部82aから取り外したとしても、糸案内板96が糸カセット10に装着された状態にあり、その糸案内板96と前方垂直面70と前後方向の間に圧縮バネ98,100が配置されているため、圧縮バネ98,100が糸カセット10から脱落することがない。更に、作業者が止め輪102を内環部82aから取り外したとしても、糸切断刃26が突出部82の溝部84のリブ86,88,90に挟持された状態にあるため、糸切断刃26が糸カセット10から脱落することがない。従って、糸カセット10を廃棄するための糸切断刃26の取り外しや、糸切断刃26の刃部80が磨耗したための糸切断刃26の交換が容易に行える。
【0071】
上述した実施の形態においては、支え部68の上面が傾斜して、開閉蓋28の下方において空間を成していることにより、支え部68の上面が水平面であって開閉蓋28の下方に接近して位置している場合(図9に2点鎖線で示す形状)に比べて、開閉蓋28の下方における糸34の伸長方向を水平な左右方向に近づけるように、糸34が伸長されて、糸切断刃26によって屈曲された糸34が成す角度を小さくすることができるので、確実に糸34が切断される。また、この支え部68の上面が傾斜して、開閉蓋28の下方において空間を成していることにより、支え部68の上面が水平面であって開閉蓋28の下方に位置している場合に比べて、開閉蓋28の回動角を大きくとることができ、糸駒装着部20の開口部が大きく、糸駒18を糸駒装着部20への装着が容易である。
【0072】
以下、上述した実施の形態の一部を変形した変形例について説明する。
【0073】
上述した実施の形態においては、本願発明の第1の糸保持部材及び第2の糸保持部材が1つの共有の糸案内皿94や糸案内板96の一部分(第1の糸保持部、第2の糸保持部)として形成されたが、第1の糸保持部材及び第2の糸保持部材がそれぞれ別の独立した部材として糸カセット10に設けられてもよい。
【0074】
上述した実施の形態においては、糸案内板96の前方に配置された糸案内皿94が前方垂直面70及び糸案内板96に対して前後方向に移動可能に構成されたが、糸案内皿94の前後方向における位置を固定し、その糸案内皿94に対して、前方垂直面70或いは糸案内板96のいずれか一方を移動可能にし、その移動可能な一方を圧縮バネ等で付勢して、糸34を糸案内皿94と糸案内板96との間で狭持するように、糸カセット10を構成してもよい。
【0075】
上述した実施の形態においては、上記第1の糸保持部と第2の糸保持部とがそれぞれ別の弾性体としての2つの圧縮バネ98,100によって糸34を保持するように付勢されたが、第1の糸保持部及び第2の糸保持部が1つの共通した圧縮バネによって糸34を保持するように、糸カセット10を構成してもよい。尚、糸34を保持するために力を付勢する付勢部材は、圧縮バネに限らず、引っ張りバネ、リンク、磁石等その他の機構であってもよい。また、バネはコイルバネに限らず、板バネ、スポンジであってもよく、材質は、金属に限らず、プラスチックやゴムであってもよい。
【0076】
上述した実施の形態においては、第1の糸保持部及び第2の糸保持部が弾性体としての圧縮バネ98,100によって糸34を保持するように付勢されたが、第1の糸保持部や第2の糸保持部を付勢する部材を糸道22を構成する部材とは別に設けるのではなく、糸カセット10の糸道22を構成する部材の糸切断刃26の前後に相当する部分に、上述の第1糸保持部や第2の糸保持部の代わりに糸34を狭持する細いスリットをそれぞれ形成し、そのスリットによって糸34が狭持されて、糸切断刃26の前後において保持されるように構成してもよい。
【0077】
更に、そのようなスリットによって糸34を狭持する構成においては、スリットの幅が「V」の字のように、スリットの奥へいくにつれて徐々に狭くなるように構成すると、糸34の狭持が確実に行える。そして、このようなスリットは摩耗すると、糸34を確実に保持できなくなる虞があり、糸34が不用意に引っ掛かったりする虞があるので、そのようなスリットが形成された部分のみを糸カセット10本体に対して交換可能にするように構成してもよい。尚、摩耗対策ではなく、糸34の径や材質を考慮して、そのようなスリットが形成された部分のみを糸カセット10本体に対して交換可能にするように構成してもよい。
【0078】
上述した実施の形態においては、第1の糸保持部及び第2の糸保持部が弾性体としての圧縮バネによって糸34を保持するように付勢されたが、第1の糸保持部や第2の糸保持部を付勢する部材を設けるのではなく、第1の糸保持部や第2の糸保持部自体が弾性を有して、糸34を保持する力を生じ、糸カセット10の糸道22における糸切断刃26の前後に相当する部分において糸34が保持されるように構成してもよい。例えば、糸カセット10の糸道22における糸切断刃26の前後に相当する部分に毛羽を設け、その毛羽にて糸34を保持するように、糸カセット10を構成する。
【0079】
上述した糸カセット10は、糸34が巻回された糸駒18を囲む壁面を備えているが、そうした壁面を糸カセット10に設けず、糸駒18は露出していてもよい。また、糸34は糸駒18に巻回されている必要はなく、必要に応じて引き出し可能であれば、巻き芯の無い糸34のみの塊であり、その糸34の塊が糸カセット10に取り付けられるものであってもよい。
【0080】
上述した実施の形態においては、糸カセット10の糸道22において、第1の糸保持部、糸切断刃26、第2の糸保持部の順に連続しているが、第1の糸保持部と糸切断刃26との間、或いは、糸切断刃26と第2の糸保持部との間の少なくとも一方に、糸34を伸展方向を変更するためのピンを設け、そのピンによって伸展方向を変更された糸34が糸切断刃26に当接するように構成してもよい。
【0081】
上述した実施の形態においては、糸カセット10に糸供給源としての糸駒18が取り付けられるが、糸駒18が糸カセット10には取り付けられず、糸駒18がミシン本体12などに取り付けられ、糸カセット10がそのミシン本体12の糸駒18から引き出された糸34のための糸道22が形成されたものであってもよい。
【0082】
上述した実施の形態のおいては、支え部68が糸34が切断されるかの目安となるが、更に、その支え部68の上面に図1に破線で示すような目印200を描画し、その位置まで糸34を移動すべきことを作業者に積極的に報知してもよい。
【0083】
上述した実施の形態においては、第1の糸保持部及び第2の糸保持部の2つの糸保持部を設けたが、必要に応じて糸保持部は、1つでも3以上であってもよい。
【0084】
上述した実施の形態においては、作業者が止め輪102を内環部82aから取り外すと、糸切断刃26の取り外しが可能となるが、作業者が止め輪102を内環部82aから取り外さず、止め輪102が固定位置から取り外し位置に移動されると、糸切断刃26の取り外しが可能となるように、糸カセット10を構成してもよい。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、請求項1記載の糸カセットでは、糸供給源から至る糸に関し、伸展方向が鋭角に屈曲した糸が糸切断刃に当接するので、糸が確実に切断されて、縫製準備がし易い。
【0086】
請求項2に記載の糸カセットでは、請求項1記載の効果を奏し、第1の保持部材と第2の保持部材とが糸切断刃に対して側方にそれぞれ位置し、その糸切断刃に至る前後において糸が保持されるので、糸の状態が安定し、糸が一層確実に切断されて、縫製準備がし易い。
【0087】
請求項3に記載の糸カセットでは、第1の保持部材と前記第2の保持部材とが糸切断刃に対して側方にそれぞれ位置し、その糸切断刃に至る前後において糸が保持されるので、糸が確実に切断されて、縫製準備がし易い。
【0088】
請求項4に記載の糸カセットでは、請求項3記載の効果を奏し、糸供給源から至る糸に関し、伸展方向が鋭角に屈曲した糸が糸切断刃に当接するので、糸の状態が安定し、糸が一層確実に切断されて、縫製準備がし易い。
【0089】
請求項5に記載の糸カセットでは、請求項1乃至4の何れかに記載の効果を奏し、糸切断刃が覆い部材で覆われているので、糸供給源から至る糸を掛ける際に、何らかの物品に接触して、糸切断刃が破損することが防止されている。
【0090】
請求項6に記載のミシンでは、前記請求項1乃至5の何れかに記載の糸カセットと同様に、糸が確実に切断されて、縫製準備がし易い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るミシン本体及び糸カセットの図である。
【図2】本実施の形態に係る糸カセットの左上方からの斜視図である。
【図3】本実施の形態に係る糸カセットの右上方からの斜視図である。
【図4】本実施の形態に係る糸カセットの下面を示す図である。
【図5】本実施の形態に係る糸カセットの左側面の下部を示す拡大図である。
【図6】本実施の形態に係る糸カセットの右側面の下部を示す拡大図である。
【図7】本実施の形態に係る糸カセットの糸保持部材の断面図(図10のA−A断面)である。
【図8】本実施の形態に係る糸カセットの糸保持部材の断面図(図10のB−B断面)である。
【図9】本実施の形態に係る糸カセットの糸保持部材の断面図(図10のC−C断面)である。
【図10】本実施の形態に係る糸カセットの前方垂直面を示す図である。
【図11】本実施の形態に係る糸カセットの糸保持部材の糸案内皿を示す図である。
【図12】本実施の形態に係る糸カセットの糸保持部材の糸案内板を示す図である。
【図13】本実施の形態に係る糸カセットの糸保持部材に保持された糸の経路を示す図である。
【符号の説明】
10 糸カセット
22 糸道
24 糸保持部材
26 切断刃
70 前方垂直面
94 糸案内皿
96 糸案内板
98 圧縮バネ
100 圧縮バネ
102 止め輪

Claims (6)

  1. 糸供給源から至る糸を切断する糸切断刃を備えた糸カセットにおいて、
    糸供給源から至る糸に関し、その糸の伸展方向が鋭角に屈曲する部分の糸を切断するように、前記糸切断刃が配置されていることを特徴とする糸カセット。
  2. 糸供給源から前記糸切断刃に至る前の前記糸を保持する第1の保持部材と、前記糸切断刃に対して前記第1の保持部材と反対側に位置し、前記糸供給源から前記糸切断刃に至った後の糸を保持する第2の保持部材とを備えることを特徴とする請求項1に記載の糸カセット。
  3. 糸供給源から至る糸を切断する糸切断刃を備えた糸カセットにおいて、
    糸供給源から前記糸切断刃に至る前の糸を保持する第1の保持部材と、
    前記糸切断刃に対して前記第1の保持部材と反対側に位置し、前記糸供給源から前記糸切断刃に至った後の糸を保持する第2の保持部材と
    を備えることを特徴とする糸カセット。
  4. 糸供給源から至る糸に関し、その糸の伸展方向が反対方向に屈曲する部分の糸を切断するように、前記糸切断刃が配置されていることを特徴とする請求項3に記載の糸カセット。
  5. 前記糸切断刃に糸が到達可能に、前記糸切断刃を覆う覆い部材を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の糸カセット。
  6. 前記請求項1乃至5の何れかに記載の前記糸カセットを装着可能なカセット装着部を備えるミシン。
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