JP2004135779A - バックル装置 - Google Patents

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JP2004135779A JP2002301969A JP2002301969A JP2004135779A JP 2004135779 A JP2004135779 A JP 2004135779A JP 2002301969 A JP2002301969 A JP 2002301969A JP 2002301969 A JP2002301969 A JP 2002301969A JP 2004135779 A JP2004135779 A JP 2004135779A
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Akiyuki Kamikawa
神川 晃幸
Masahiro Taniguchi
谷口 政弘
Kiyonari Tajima
田島 聖也
Osamu Shoji
東海林 修
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Tokai Rika Co Ltd
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Abstract

【課題】磁気センサとマグネットとで構成され、ラッチ等のロック部材とタングプレートとの係合及び係合解除を簡単で且つ確実に検出できる非接触式のバックルスイッチを有するバックル装置を得る。
【解決手段】スイッチ本体64の可動部分と共にスライドするマグネット96とマグネット100との間に、透磁率が空気よりも低いブロック98が設けられている。このため、マグネット96及びマグネット100の何れか一方が形成する磁界に対する何れか他方が形成する磁界の影響を小さくできる。これにより、マグネット96で生じる磁力線B1の向きと、マグネット100で生じる磁力線B2の向きを概ね反対にできる。このため、磁力線B1が通過した際にが通過するホール素子94で生じるホール電圧と、磁力線B2が通過した際にが通過するホール素子94で生じるホール電圧と、レベル差を大きくできる。
【選択図】  図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のシートベルト装置を構成し、ウエビングベルトに取り付けられたタングプレートを保持するためのバックル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の座席に着座した乗員の身体を拘束するためのシートベルト装置を構成するウエビングベルトは、その長手方向基端が、例えば、座席側方に設けられた巻取装置の巻取軸に係止されており、先端がこの巻取装置の近傍に設けられたアンカプレートに固定されている。また、ウエビングベルトの長手方向中間部は巻取装置の上方、例えば、車両のセンタピラーの上端側に設けられたスルーアンカの挿通孔を貫通して下方側へ折り返されている。
【0003】
このスルーアンカでの折り返し部分と先端との間でウエビングベルトはタングプレートに形成された挿通孔を通過しており、タングプレートを引っ張ることで巻取装置の巻取軸に巻き取られたウエビングベルトが引き出される。このウエビングベルトの引出状態で座席を介して巻取装置とは反対側に設けられたバックル装置にタングプレートを挿入して連結させることで、ウエビングベルトの装着状態となる。
【0004】
一方、タングプレートが連結されるバックル装置は、バックル装置内でのタングプレートの移動軌跡上にイジェクタが設けられている。イジェクタは、圧縮コイルスプリング等の付勢手段によってバックル装置へのタングプレートの挿入方向とは反対方向に付勢されており、バックル装置内にタングプレートが挿入されると、タングプレートにイジェクタが押圧されて付勢手段の付勢力に抗して移動する。ウエビングベルトの装着状態を解除するためにバックル装置とタングプレートとの機械的連結を解除すると、付勢手段が付勢力でイジェクタを介してタングプレートを押圧して、バックル装置からタングプレートを抜け出させる構造となっている。
【0005】
一方、バックル装置には、所謂「バックルスイッチ」を設けた構造のものがあり、このようなバックルスイッチの構造の一例が下記特許文献1に開示されている。以下、特許文献1に開示されているバックルスイッチに関して簡単に説明する(詳細に関しては特許文献1を参照されたい)。
【0006】
この特許文献1に開示されているバックルスイッチは、スイッチスプリングの付勢力により先端ラッチ検出部がロックピンに圧接したアーム部を備えている。アーム部の基端部には一対のマグネット部材が互いに接した状態で一体的に固定されている。一対のマグネット部材は磁界の方向が反対方向となるように設けられており、更に、マグネット部材に対向してICホール素子が設けられている。
【0007】
スイッチスプリングの付勢力に抗してアーム部がスイッチケースの内部に入り込んだ状態では、一対のマグネット部材の一方がICホール素子に対向し、スイッチスプリングの付勢力によりアーム部がスイッチケースから突出した状態では一対のマグネット部材の他方がICホール素子に対向する。
【0008】
ロックピンはスライダに保持されており、更に、スライダを介してスライダスプリングによりロック位置側へ付勢され、これにより、常にラッチ(ラッチ部材)の上面に当接している。ラッチがラッチ解除位置からラッチ位置へ移動するとスライダスプリングの付勢力でロックピンがロック解除位置からロック位置へ移動し、更に、ロックピンが移動するとスイッチスプリングの付勢力でアーム部がスイッチケースから突出する構造となっている。
【0009】
すなわち、ラッチ解除位置とラッチ位置との間でのラッチの移動に連動したアーム部の移動により、ICホール素子と対向するマグネット部材が一方から他方に切り替わる。このように、ICホール素子と対向するマグネット部材が切り替わることでICホール素子に加わる磁界の向きが変わる。これにより、ICホール素子における起電力の電流の向きが逆になり、マグネット部材が切り替わったこと、すなわち、ラッチが移動してラッチがタングプレート(タング)に係合し、又は、係合が解除されたことを検出できる構造となっている。
【0010】
さらに、上記のようなバックルスイッチは、制御回路を介して車両のインパネに設けられたインジケータに接続されており、タングプレートにラッチが係合していない状態(すなわち、バックル装置にタングプレートが装着されていない状態)ではインジケータを点灯させて、乗員にウエビングベルトの装着を促し、タングプレートがラッチに係合した状態(すなわち、タングプレートがバックル装置にタングプレートが装着された状態)ではインジケータを消灯させる構造となっている。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−157603
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたバックルスイッチは、磁極の向きが相反する一対のマグネット部材が互いに接した状態で一体的に固定されている。このような構造では、一方のマグネット部材が形成する磁界と、他方のマグネット部材が形成する磁界と、が互いに干渉する。このため、一方のマグネット部材がICホール素子と対向している状態でICホール素子を通過する磁界の向きに対して、他方のマグネット部材がICホール素子と対向している状態でICホール素子を通過する磁界の向きが反対方向にならない。
【0013】
したがって、上記特許文献1に開示された構成のように、磁界の向きが反対になったことをICホール素子が検出することでラッチが移動してラッチがタングプレートに係合し、又は、係合が解除されたと正確に判定することは困難である。
【0014】
もちろん、特許文献1に開示された構成でも、タングプレートに係合するまでラッチが移動した場合には、向きが反対にならないまでも磁界(磁気)が変化する。このため、この磁界(磁気)の変化をICホール素子で検出すればラッチがタングプレートに係合し、又は、係合が解除されたことを判定することは可能である。
【0015】
しかしながら、この場合、予め、タングプレートに係合するまでラッチが移動した状態、及び、係合解除状態の各々の状態でICホール素子を通過する磁界(磁気)に対応してICホール素子から出力されるホール電圧を閾値としてECU等の制御手段や判定手段に設定しなければならない。
【0016】
しかも、磁界の強さ等はアーム部のスライドに伴うマグネット部材の移動量のみならずマグネット部材とICホール素子との間隔(ギャップ)の大きさにも影響される。このため、上記の特許文献1に開示されたバックルスイッチでは、厳密にラッチがタングプレートに係合したこと、又は、係合が解除されたと判定することが難しい。
【0017】
本発明は、上記事実を考慮して、磁気センサとマグネットとで構成され、ラッチ等のロック部材とタングプレートとの係合及び係合解除を簡単で且つ確実に検出できる非接触式のバックルスイッチを有するバックル装置を得ることが目的である。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、装置本体内に挿入されたタングプレートに対して接離移動可能なロック部材を有し、前記タングプレートの挿入状態で前記ロック部材が前記タングプレートに対して接近して係合することにより、前記装置本体内で前記タングプレートを保持するバックル装置であって、周囲の磁界を形成する磁気を検出し、検出した磁気に対応した電気信号を出力する磁気センサと、N極及びS極の何れか一方の磁極が前記磁気センサの側へ向いた状態で前記磁気センサの側方に設けられ、前記装置本体内への前記タングプレートの挿入及び前記装置本体からの前記タングプレートを抜き取りに連動して前記磁極の向きに対して略直交する方向へスライドすると共に、前記装置本体内から前記タングプレートが抜き取られた状態で前記磁極の向きに沿って前記何れか一方の磁極が前記磁気センサと対向する第1マグネットと、磁極の向きが前記第1マグネットとは反対向きで、前記装置本体内からの前記タングプレートの抜き取り方向側で前記第1マグネットから離間した状態で前記第1マグネットに一体的に設けられ、前記装置本体内への前記タングプレートの挿入状態で前記磁気センサと対向する第2マグネットと、を含めて構成されるバックルスイッチを備える、ことを特徴としている。
【0019】
上記構成のバックル装置によれば、シートベルト装置を構成するウエビングベルトに取り付けられたタングプレートが装置本体に挿入され、この状態で、装置本体内に設けられたロック部材がタングプレートに接近してタングプレートに係合すると、ロック部材によりタングプレートが保持される。これにより、装置本体への挿入方向とは反対方向へのタングプレートの移動が規制される。したがって、この状態で、例えば、乗員の身体にウエビングベルトが装着されていれば、ウエビングベルトにより乗員の身体が保持される。
【0020】
一方、本バックル装置にはバックルスイッチが設けられており、装置本体内にタングプレートが挿入されていない状態では、バックルスイッチの第1マグネットのN極及びS極の何れか一方の磁極が磁気センサの側方で磁気センサに対向している。
【0021】
この状態で、装置本体内にタングプレートが挿入されると、このタングプレートの挿入移動に連動して第1マグネットがその磁極の向きに対して略直交する方向へスライド移動する。また、第1マグネットがスライド移動すると第1マグネットと一体的に設けられた第2マグネットが共にスライド移動し、装置本体にタングプレートが挿入された状態では、第2マグネットが磁気センサと対向する。
【0022】
ここで、第2マグネットは磁極の向きが第1マグネットとは反対向きとされているため、装置本体内へのタングプレートの挿入前と挿入後では磁気センサに対向する磁極が切り替わる。
【0023】
ところで、本バックル装置では、上記の第1マグネットと第2マグネットとはそのスライド方向に沿って互いに離間して設けられているため、第1マグネット及び第2マグネットの何れか一方が形成する磁界に対する何れか他方が形成する磁界の影響(干渉)が少ない(又は、影響がない)。
【0024】
このため、第1マグネット又は第2マグネットのN極が磁気センサに対向している状態では、N極から出た磁力線が概ね第1マグネット又は第2マグネットの磁極の向きに沿って磁気センサに向かって磁気センサを通過する。
【0025】
これに対して、第1マグネット又は第2マグネットのS極が磁気センサに対向している状態では、概ね第1マグネット又は第2マグネットの磁極の向きに沿って磁気センサを通過した磁力線N極から出たの磁気が磁気センサに向かい、磁気センサを通過した磁力線がS極に向かう。
【0026】
すなわち、本バックル装置では、装置本体に対するタングプレートの挿入前の状態と挿入後の状態とで磁気センサを通過する磁力線の向きが概ね反転する。このように、磁気センサが検出する磁気が大きく変化することで、磁気センサから出力される電気信号のレベルが大きく変化する(例えば、磁気センサから出力される電気信号が電圧や電流であれば電圧値や電流値の正負が逆転する)。これにより、第1マグネット及び第2マグネットがスライドしたこと、すなわち、装置本体にタングプレートが挿入され、又は、装置本体からタングプレートが抜き取られたことを磁気センサから出力された電気信号に基づいて確実に検出できる。
【0027】
しかも、装置本体に対するタングプレートの挿入前と挿入後とで磁気センサから出力される電気信号のレベルが大きく変化するため、装置本体に対するタングプレートの挿入前及び挿入後の各状態を判定するための電気信号のレベル設定が容易になる。
【0028】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載のバックル装置において、前記第1マグネットと前記第2マグネットとの間で前記第1マグネット及び前記第2マグネットに一体的に設けられ、前記第1マグネット及び前記第2マグネットの何れか一方から他方への磁気の通過を制限するギャップ部材を含めて前記バックルスイッチを構成した、ことを特徴としている。
【0029】
上記構成のバックル装置では、バックルスイッチの第1マグネットと第2マグネットとの間にギャップ部材が第1マグネットと及び2マグネットと一体的に設けられている。ギャップ部材は第1マグネットと第2マグネットとの間に介在することで、第1マグネット及び第2マグネットの何れか一方から他方への磁気の通過を制限している。これにより、第1マグネット及び第2マグネットの何れか一方の磁界が何れか他方の磁界に与える影響をより少なくできる。
【0030】
なお、本発明において、ギャップ部材を設ける目的は、第1マグネット及び第2マグネットの何れか一方が形成する磁界に対する何れか他方が形成する磁界の影響を小さく若しくはなくすことである。
【0031】
したがって、ギャップ部材は、磁気を完全に遮断できる部材が好ましいのは勿論であるが、完全に磁気を遮断できなくても磁気の通過を制限できればよい。
【0032】
また、本発明において、ギャップ部材は磁気の通過を制限できる構造であれば、その材質に限定されるものではない。但し、材質的には、透磁率が空気よりも大きければ、第1マグネットと第2マグネットとの間に何も設けないエアギャップの方がよいことから、少なくとも、透磁率が空気よりも小さい方が好ましい。
【0033】
【発明の実施の形態】
<本実施の形態の構成>
図1には本発明の一実施の形態に係るバックル装置10の構成が分解斜視図により示されている。
【0034】
この図に示されるように、バックル装置10はバックルボディ14を備えている。バックルボディ14は、長手方向略中央部において、幅方向を軸方向とする軸周りに側面視略U字形状に折り曲げられた板状部材で、上記のように折り曲げられることで、厚さ方向に互いに対向した上板14A及び下板14Bを有する構造となる。
【0035】
バックルボディ14の開口端(すなわち、U字の開口側)からは基端側が図示しない車両に固定された板状のアンカプレート12の先端側が入り込み、上板14A、アンカプレート12、及び下板14Bを貫通するリベット14D等の締結手段によりバックルボディ14とアンカプレート12とが一体的に固定されている。
【0036】
これに対して、バックルボディ14の底部側(すなわち、U字の底部)における幅方向略中央には挿入孔16が形成されている。挿入孔16は、本バックル装置10と共に車両のシートベルト装置を構成する長尺帯状のウエビングベルト(図示省略)の長手方向中間部に取り付けられたタングプレート20が貫通する。タングプレート20は挿入孔16を貫通することで上板14Aと下板14Bとの間の挿入部18に挿入される。
【0037】
また、上板14Aと下板14Bとの間にはイジェクタ22がバックルボディ14の長手方向(矢印A方向及びその反対方向)に沿ってスライド可能に配置されている。但し、挿入孔16側へ所定量イジェクタ22がスライドすると、イジェクタ22の角部22Aにバックルボディ14が干渉し、イジェクタ22のスライドを一定範囲に制限する。
【0038】
さらに、アンカプレート12の先端部とイジェクタ22との間にはイジェクトスプリング24が配置されている。イジェクトスプリング24は圧縮コイルスプリングとされており、その一端はアンカプレート12の先端部に当接し、他端がイジェクタ22に当接して、イジェクタ22を挿入孔16側へ付勢している。
【0039】
また、イジェクタ22のアンカプレート12側の端部における幅方向両端には、それぞれ角片26が突出形成されている。これらの角片26の長手方向略中央部には、図示しない突起部が形成されており、イジェクタ22がアンカプレート12側へスライドするとこの突起部が後述するボタン28に形成された図示しない突起を押圧する。
【0040】
一方、バックルボディ14の上板14A上にはボタン28が取付けられている。ボタン28はバックルボディ14の長手方向に沿って厚さ方向とされた押圧操作用の押圧板30を備えている。また、バックルボディ14の幅方向に沿った押圧板30の両端近傍には、アンカプレート12側へ向けて一対の外板32が形成されている。
【0041】
これらの外板32は、バックルボディ14の幅方向に沿って厚さ方向とされている。これらの外板32の幅方向に沿った下板14B側の端部には、爪片36が外板32の対向方向内側へ向けて屈曲形成されており、バックルボディ14の幅方向外側から上板14Aと下板14Bとの間に入り込んでいる。
【0042】
このため、外板32が上板14Aの幅方向外側に位置することで、ボタン28がバックルボディ14の幅方向に沿った移動が上板14Aに規制され、爪片36が上板14Aと下板14Bとの間に入り込むことでバックルボディ14の厚さ方向にボタン28の移動が上板14A又は下板14Bに規制される。これにより、バックルボディ14に対するボタン28の移動が、バックルボディ14の長手方向に沿ったスライドに制限されている。
【0043】
また、これらの外板32の内側には、バックルボディ14の幅方向に沿って厚さ方向とされた一対の内板34が形成されている。
【0044】
一方、上板14A上の外板32よりも内側には、保持ブロック44が内板34を跨ぐように設けられている。保持ブロック44には、バックルボディ14の長手方向に沿って互いに対向した一対の保持板46が設けられており、更に、これらの保持板46の間にロック部材としてのラッチ48がバックルボディ14の厚さ方向(各図の矢印B方向及びその反対方向)にスライド可能に設けられている。
【0045】
ラッチ48は略ブロック状の係合片52を備えており、ラッチ48がバックルボディ14の厚さ方向下方(下板14B側)へスライド移動することで係合片52が上板14Aに形成された貫通孔14Cを貫通する。さらに、この状態でタングプレート20が上板14Aと下板14Bとの間に挿入されていれば、タングプレート20に形成された係合孔42を係合片52が貫通して、下板14Bに形成された貫通孔(図示省略)を貫通する。
【0046】
但し、上述した一対の内板34の内面(互いに対向する側の面)には、突起38が形成されており、バックルボディ14の長手方向に沿ったボタン28に対する所定位置に保持ブロック44が位置している状態では、突起38が係合片52の下面に干渉し、下板14B側へのラッチ48のスライドを規制している。
【0047】
一方、係合片52の上端からは、両内板34側へ向けて当接片50が形成されている。これらの当接片50に対応して、両内板34の突起38よりも押圧板30側には、解除部40が形成されている。解除部40はその上面が押圧板30に向かうにつれて漸次バックルボディ14から離間する方向に傾斜した傾斜面とされている。係合片52が貫通孔14Cを貫通するまで下降した状態で、保持ブロック44に対し、ボタン28がアンカプレート12側へ移動すると、解除部40の上面が当接片50の下面に当接し、アンカプレート12側へのボタン28の移動に伴い、解除部40が当接片50、すなわち、ラッチ48を上方へ持ち上げて、貫通孔14Cから抜け出させる構成となっている。
【0048】
一方、保持ブロック44には一対の板ばね片76が形成されている。板ばね片76はその先端が押圧板30に当接しており、バックルボディ14の長手方向に沿ったアンカプレート12とは反対側の方向(すなわち、各図の矢印A方向とは反対方向)にボタン28を付勢している。
【0049】
また、ボタン28の保持ブロック44よりもアンカプレート12側には、板ばね状のロックスプリング54の基端が固定されている。ロックスプリング54の先端は、上述した一対の当接片50の間で係合片52の上端に当接しており、ラッチ48を係合方向(矢印B方向)に付勢している。
【0050】
これまでに説明したバックルボディ14、イジェクタ22、ボタン28、イジェクトスプリング24、保持ブロック44、ラッチ48、及びロックスプリング54によって、装置本体としてのバックル本体56が構成されている。
【0051】
このバックル本体56に対して、長手方向両端が開放された略四角筒状のカバー58が装着されており、カバー58によってバックル本体56が覆われている。
【0052】
一方、上板14Aのアンカプレート12側における幅方向略中央には、異常検出手段としての機械式スイッチ62が取り付けられている。機械式スイッチ62は、ホルダ70を備えている。ホルダ70はカバー58のアンカプレート12側の開口からカバー58内に挿入可能に形成されている。また、ホルダ70の幅方向両端部には、一対の係止片72が形成されている。これらの係止片72の先端には係止突起74が形成されており、カバー58にホルダ70を挿入すると、係止突起74がカバー58に形成された図示しない係止孔に係止される。これにより、カバー58にホルダ70が装着される構成となっている。
【0053】
ホルダ70は、カバー58への装着状態でボタン28側へ向けて開口した略箱形状に形成されており、その内側にはスライダ66の一部がバックルボディ14の長手方向に沿ってスライド可能に収容されていると共に、圧縮コイルスプリング等のリターンスプリングにより、ホルダ70の開口側へ付勢されている。
【0054】
スライダ66の本体66Bの先端(バックルボディ14の長手方向に沿ってボタン28側)にはスイッチ本体64が設けられている。スイッチ本体64はバックルボディ14に固定される図示しない導電性の固定接点と、スライダ66の本体66Bと共にスライド移動する図示しない導電性の摺動接点とを備えており、スライダ66がホルダ70の後壁(底)70A側に所定量スライドすることで摺動接点と固定接点とが摺接して導通する構成となっている。
【0055】
図2に示されるように、スイッチ本体64は制御手段としてのECU82に電気的に接続されており、スイッチ本体64の摺動接点と固定接点との接触(導通)及び離間(導通解除)はECU82により検知される。
【0056】
また、図1及び図5に示されるように、スイッチ本体64の可動部分(スライドする部分)にはバックルスイッチ90を構成する第1マグネットとしてのマグネット96が設けられている。マグネット96は、磁極の向き(N極及びS極の何れか一方から他方の側への向き)が略上下方向(すなわち、スライダ66のスライド方向に対して直交する方向)とされており、本実施の形態ではS極の側でスイッチ本体64の可動部分に一体的に固着されている。
【0057】
一方、スライダ66のスライド方向に沿ったマグネット96の一側方にはギャップ部材としてのブロック98が設けられている。ブロック98はプラスチックや木材等の非磁性体で且つ透磁率が空気よりも小さな材質(すなわち、磁気を通し難い材質)により形成されており、マグネット96と同様にスイッチ本体64の可動部分に一体的に固着されている。
【0058】
さらに、ブロック98を介してマグネット96とは反対側には、第1マグネットとしてバックルスイッチ90を構成するマグネット100が設けられている。マグネット100は、磁極の向きがマグネット96とは反対方向になるようにN極側がスイッチ本体64の可動部分に一体的に固着されている。
【0059】
また、スライダ66のスライド方向に沿ったマグネット100の略中央部からブロック98を介してスライダ66のスライド方向に沿ったマグネット96の略中央部までの長さは、スライダ66のスライド可能範囲(ストローク)に略等しく。このような寸法関係になるように、マグネット96、ブロック98、及びマグネット100の各部位の寸法が設定されている。
【0060】
一方、ホルダ70には磁気センサとしてバックルスイッチ90を構成するホール素子94が設けられている。ホール素子94は、マグネット96、ブロック98、及びマグネット100を介してバックルボディ14とは反対側(すなわち、上方側)に配置されており、上述したリターンスプリングの付勢力以外の外力がスライダ66に作用していない状態では、マグネット96がホール素子94と対向している。
【0061】
従来周知のとおり、ホール素子94は通過する磁束密度に対応して磁気検出信号(タング装着信号又はタング装着解除信号)としてのホール電圧が変化する構成となっている。また、ホール素子94は、ECU82に電気的に接続されており、ホール素子94におけるホール電圧の変化がECU82により検知される構成となっている。
【0062】
一方、図1及び図3に示されるように、バックルボディ14の幅方向に沿った本体66Bの両端は、各々が略棒状の一対のウイング部68が形成されている。ウイング部68はバックルボディ14の長手方向に沿ってボタン28側に向けて平行に延出されており、その先端はイジェクタ22の角片26の先端と対向している。したがって、イジェクタ22がアンカプレート12側へ向けて一定量スライドすると、角片26の先端がウイング部68の先端に当接し、更に、この状態からイジェクタ22がアンカプレート12側へ向けてスライドすると、角片26がウイング部68を押圧してスライダ66をスライドさせる構成となっている。
【0063】
<本実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態に係るバックル装置10の作用並びに効果について説明する。
【0064】
本バックル装置10では、タングプレート20をバックルボディ14の挿入部18に挿入すると、イジェクタ22にタングプレート20が当接する。この状態から更にタングプレート20をアンカプレート12側へ挿入すると、タングプレート20によりイジェクタ22が押圧されてアンカプレート12側へスライドする。
【0065】
上板14Aに形成された貫通孔14Cの貫通方向に沿って貫通孔14Cとタングプレート20の係合孔42とが概ね対向するまでタングプレート20が挿入されると、イジェクタ22の角片26に形成された突起部がボタン28に形成された突起を押圧して、ボタン28をアンカプレート12側へ一定量スライドさせる。
【0066】
アンカプレート12側へボタン28がスライドすることで、内板34に形成された突起38も共にスライドし、係合片52の下面に対する突起38の干渉が解除される。このように、係合片52のスライド規制が解除されると、ロックスプリング54の付勢力によりラッチ48が下降して、係合片52が上板14Aの貫通孔14C並びにタングプレート20の係合孔42を貫通する。これにより、タングプレート20の移動が規制され、タングプレート20と本バックル装置10とが機械的な連結状態となる。
【0067】
一方、上述したスライダ66は、タングプレート20に押圧されたイジェクタ22からの押圧力でリターンスプリングの付勢力に抗してホルダ70の後壁70A側へスライドする(図4参照)ため、リターンスプリングの付勢力以外の外力がスライダ66に付与されていなければ、マグネット96のN極がホール素子94に対向している。この状態では、ホール素子94からタング装着解除信号としての所定の大きさのホール電圧が出力されてECU82に入力される。
【0068】
このタング装着解除信号としてのホール電圧がECU82に入力されると、ECU82は警告ランプ84を通電状態として、警告ランプ84を点灯させる。これにより、車両の座席に着席した乗員は、点灯している警告ランプ84を確認することで、タングプレート20が本バックル装置10に装着されていないこと、すなわち、ウエビングベルトの装着状態ではないことを確認でき、ウエビングベルトの装着が促される。
【0069】
これに対し、上記のように、タングプレート20と本バックル装置10とが機械的な連結状態となるまでタングプレート20がイジェクタ22をアンカプレート12側へ押圧し、これにより、スライダ66がホルダ70の後壁70A側へスライドする。
【0070】
また、このようにスライダ66がホルダ70の後壁70A側へスライドすると、マグネット96、ブロック98、及びマグネット100がスライダ66と一体的にスライドする。ここで、スライダ66のスライド方向に沿ったマグネット96の略中央部からブロック98を介してスライダ66のスライド方向に沿ったマグネット100の略中央部までの長さは、スライダ66のスライド可能範囲(ストローク)に略等しい。
【0071】
このため、スライダ66がホルダ70の後壁70A側へスライドすることで、図5の(A)に示されるように、それまでホール素子94と対向していたマグネット96は、図5の(B)に示されるように、ホール素子94から離間すると共に、マグネット100がホール素子94に接近してマグネット100がホール素子94に対向する。
【0072】
ここで、マグネット100の磁極の向きは、マグネット96の磁極の向きとは反対であるため、ホール素子94はマグネット100のS極と対向する。
【0073】
これにより、図5の(A)及び(B)に示されるように、それまでマグネット96で生じた磁力線B1が通過していたホール素子94には、マグネット100で生じた磁力線B2が通過するようになる。上記のように、マグネット96とマグネット100とでは、磁極の向きが反対であるため、ホール素子94を通過する磁力線の向きが概ね反転し、それ以前(すなわち、ホール素子94とマグネット96とが対向していた状態)とは極性が逆のホール電圧が生じ、タング装着解除信号としてのホール電圧とは信号レベル(電圧値)が異なるタング装着信号としてのホール電圧がホール素子94から出力される。
【0074】
タング装着信号としてのホール電圧がECU82に入力されると、ECU82は警告ランプ84への通電を解除し、警告ランプ84が消灯される。これにより、車両の座席に着席した乗員は、消灯された警告ランプ84を確認することで、タングプレート20が本バックル装置10に装着されたこと、すなわち、ウエビングベルトの装着状態になったことを確認できる。
【0075】
ここで、本バックル装置10では、上記のように、マグネット96とマグネット100とが離間して設けられている。このため、マグネット96及びマグネット100の何れか一方が形成する磁界に対する何れか他方が形成する磁界の影響が小さくなる。しかも、マグネット96とマグネット100との間には、空気よりも透磁率が小さなブロック98が設けられており、マグネット96及びマグネット100の何れか一方の磁気の何れか他方の側への通過が制限される。このため、より一層、マグネット96及びマグネット100の何れか一方が形成する磁界に対する何れか他方が形成する磁界の影響が小さくなる。
【0076】
これにより、マグネット96のN極で生じた磁気は、マグネット100の影響を大きく受けることなく、マグネット96の周囲を通過してマグネット100のS極へ向かい、また、マグネット100のN極で生じた磁気は、マグネット96の影響を大きく受けることなく、マグネット100の周囲を通過してマグネット100のS極へ向かう。
【0077】
このため、本バックル装置10では、ホール素子94がマグネット96と対向している状態でホール素子94を通過する磁気の向きに対して、ホール素子94がマグネット100と対向している状態でホール素子94を通過する磁力線の向きを概ね逆にすることができる。これにより、ホール素子94がマグネット96と対向している状態とホール素子94がマグネット100と対向している状態とで、ホール電圧のレベル(電圧値)を大きく変化させることができる。
【0078】
このように、ホール電圧のレベル(電圧値)を大きく変化させることができることで、以上の状態の切り替わりの判定をECU82にて行なう際の閾値の設定を厳格にせずに、多少の誤差を見込んだ設定ができるようになり、その結果、上記の閾値の設定が容易になる。
【0079】
しかも、以上のように、ホール電圧のレベル(電圧値)を大きく変化させることができることで、各マグネット96、100とホール素子94との間のギャップ(エアギャップ)による影響を無視しても上記の状態の切り替わりを判定できるようになるため、マグネット96、100及びホール素子94を組み付けスイッチ本体64の可動部分やホルダ70に組み付ける際の組み付け誤差等を厳格に考慮しなくてもよくなり、組み付けにおける作業性を向上させることができ、この結果、製造コストを安価にできるというメリットも生まれる。
【0080】
なお、上記の各実施の形態では、磁気センサにホール素子94を適用した構成であった。しかしながら、本発明において磁気センサは、マグネット96の磁気の変化を検出して、この変化に応じた信号を出力する構成あれば、ホール素子94に限定されるものではなく、例えば、磁気抵抗素子や巨大磁気抵抗素子等の磁気センサをホール素子94に代えて適用してもよい。
【0081】
また、本実施の形態では、ホール素子94で生じたホール電圧の変化に基づいて警告ランプ84を点灯又は消灯させるだけの構成であったが、これ以外にも、例えば、車両の助手席等に対応して設けられ、車両急減速状態になった場合に、当該座席(例えば、助手席)の前方側で袋体を膨張展開させるエアバック装置の展開制御を、ホール素子94で生じたホール電圧の変化に基づいて行なう構成としてもよい。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のバックル装置では、バックルスイッチを構成するマグネットと磁気センサにより、ラッチ等のロック部材とタングプレートとの係合及び係合解除を簡単で且つ確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るバックル装置の分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施のの形態に係るバックル装置と、エアバッグ装置、並びに警告ランプの関係を示す概略的なブロック図である。
【図3】タングプレートが挿入される前の状態を示すバックル装置の平断面図である。
【図4】タングプレートが挿入された状態でのバックル装置の平断面図である。
【図5】スライダ、マグネット、及び磁気センサの各位置の関係を示す概略的な側面図で、(A)はタングプレートが挿入される前の状態を示し、(B)はタングプレートが挿入された状態を示す。
【符号の説明】
10  バックル装置
20  タングプレート
48  ラッチ(ロック部材)
56  バックル本体(装置本体)
92  マグネット
94  ホール素子(磁気センサ)
96  マグネット(第1マグネット)
96  ブロック(ギャップ部材)
100  マグネット(第2マグネット)

Claims (2)

  1. 装置本体内に挿入されたタングプレートに対して接離移動可能なロック部材を有し、前記タングプレートの挿入状態で前記ロック部材が前記タングプレートに対して接近して係合することにより、前記装置本体内で前記タングプレートを保持するバックル装置であって、
    周囲の磁界を形成する磁気を検出し、検出した磁気に対応した電気信号を出力する磁気センサと、
    N極及びS極の何れか一方の磁極が前記磁気センサの側へ向いた状態で前記磁気センサの側方に設けられ、前記装置本体内への前記タングプレートの挿入及び前記装置本体からの前記タングプレートを抜き取りに連動して前記磁極の向きに対して略直交する方向へスライドすると共に、前記装置本体内から前記タングプレートが抜き取られた状態で前記磁極の向きに沿って前記何れか一方の磁極が前記磁気センサと対向する第1マグネットと、
    磁極の向きが前記第1マグネットとは反対向きで、前記装置本体内からの前記タングプレートの抜き取り方向側で前記第1マグネットから離間した状態で前記第1マグネットに一体的に設けられ、前記装置本体内への前記タングプレートの挿入状態で前記磁気センサと対向する第2マグネットと、
    を含めて構成されるバックルスイッチを備える、
    ことを特徴とするバックル装置。
  2. 前記第1マグネットと前記第2マグネットとの間で前記第1マグネット及び前記第2マグネットに一体的に設けられ、前記第1マグネット及び前記第2マグネットの何れか一方から他方への磁気の通過を制限するギャップ部材を含めて前記バックルスイッチを構成した、
    ことを特徴とする請求項1記載のバックル装置。
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