JP2004134860A - 表面実装型アンテナの共振周波数調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】共振周波数および指向性を容易に調整できる表面実装型アンテナの共振周波数調整方法を提供すること。
【解決手段】容量結合された給電電極6および放射電極7や、放射電極7に連続するグラウンド電極8等を有するアンテナ素子3を、接地導体1を設けた絶縁基板2上に表面実装して、給電時に放射電極7および接地導体1から電波が放射されるようにした表面実装型アンテナにおいて、接地導体1に電流の経路長を変化させるスリット11を設けることにより共振周波数を調整する。例えば、グラウンド電極8の近傍で接地導体1を流れる電流を迂回させる位置にスリット11を設ければ、電流の経路長が増大するので共振周波数が低くなる。また、スリット11の向きや形状を適宜選択することにより、スリット11に沿って流れる電流の向きを意図的に変化させて電波の指向性を調整することが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】容量結合された給電電極6および放射電極7や、放射電極7に連続するグラウンド電極8等を有するアンテナ素子3を、接地導体1を設けた絶縁基板2上に表面実装して、給電時に放射電極7および接地導体1から電波が放射されるようにした表面実装型アンテナにおいて、接地導体1に電流の経路長を変化させるスリット11を設けることにより共振周波数を調整する。例えば、グラウンド電極8の近傍で接地導体1を流れる電流を迂回させる位置にスリット11を設ければ、電流の経路長が増大するので共振周波数が低くなる。また、スリット11の向きや形状を適宜選択することにより、スリット11に沿って流れる電流の向きを意図的に変化させて電波の指向性を調整することが可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体通信機器等に組み込まれるアンテナであって、高周波信号が給電されるアンテナ素子を基板上に表面実装して構成される表面実装型アンテナの共振周波数調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
表面実装型アンテナはアンテナ素子が基板上に簡単に実装できるため、低コスト化を図る上で有利である。かかる表面実装型アンテナの製造工程では、組立後に共振周波数を測定して、所望の共振周波数が得られるかどうかを検査するが、その際、所望の共振周波数が得られないアンテナをすべて不良品にしてしまうと歩留まりが悪化して、良品の製造コストも上昇してしまう。
【0003】
そこで従来、アンテナ素子に設けた電極の一部を削り取って共振周波数を調整するという方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる従来提案において、アンテナ素子を構成しているセラミック等の誘電体基板の表面には、高周波信号が給電される給電電極と、給電電極に連続する放射電極と、給電電極に対して絶縁されたグラウンド電極と、放射電極に連続する側面電極とが設けられている。このアンテナ素子をプリント基板上に表面実装して、該プリント基板に設けられた接地導体とアンテナ素子のグラウンド電極とをはんだ付けした後、共振周波数を測定して所望の値が得られない場合には、放射電極またはグラウンド電極または側面電極をルータ等によって部分的に削り取ることにより、共振周波数を調整する。このようにして表面実装後に共振周波数の調整を行えば、製造歩留まりを大幅に向上させることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−249932号公報(第3−4頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来提案は、実装後にアンテナ素子の電極を部分的に削り取って共振周波数を調整するという手法であり、削る量や削る位置のわずかな相違で共振周波数が大きく変化しやすいため、電極の切削作業を慎重かつ高精度に行わねばならず、それゆえ共振周波数の調整作業が煩雑であるという問題があった。また、かかる従来提案は電波の指向性の調整には不向きであった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、共振周波数および指向性を容易に調整できる表面実装型アンテナの共振周波数調整方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明による表面実装型アンテナの共振周波数調整方法では、誘電体基板の表面に容量結合された給電電極および放射電極と該放射電極に連続するグラウンド電極とを設けてなるアンテナ素子と、少なくとも片面に接地導体を有する絶縁基板とを備え、前記アンテナ素子を前記グラウンド電極が前記接地導体と接続するように前記絶縁基板上に表面実装して、前記給電電極に高周波信号を給電することにより励振可能なアンテナとなし、かつ、前記接地導体に電流の経路長を変化させるスリットを設けて共振周波数を変化させるようにした。
【0008】
アンテナ素子の給電電極と放射電極とを連続させずに容量結合しておき、この放射電極と接地導体とをグラウンド電極を介して短絡するという構成の表面実装型アンテナは、給電時に放射電極と接地導体とを連続して流れる電流が発生するため、放射電極および接地導体から電波が放射されることになる。したがって、接地導体に電流の経路長を変化させるスリットを設けることにより、共振長を変化させて共振周波数を調整することができる。例えば、グラウンド電極の近傍で接地導体を流れる電流の経路長を増大させる位置に該スリットを設けておけば、共振長が長くなるため共振周波数を低くすることができる。また、このスリットはアンテナ素子自体ではなく実装面側の接地導体に設けるので、スリットの位置や大きさに若干の誤差があっても共振周波数が大きく変化することはなく、それゆえ共振周波数の調整作業は比較的容易に行える。また、このスリットの向きや形状を適宜選択することにより、スリットに沿って流れる電流の向きを意図的に変化させることができるので、電波の指向性を調整することも可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明の実施形態例に係る表面実装型アンテナの平面図、図2は図1に示すアンテナ素子の斜視図、図3は該表面実装型アンテナを垂直偏波アンテナとして使用したときの指向性結果を示す特性図、図4は該表面実装型アンテナを水平偏波アンテナとして使用したときの指向性結果を示す特性図である。
【0010】
図1に示す表面実装型アンテナは、片面の全面に銅箔等からなる接地導体1を設けた絶縁基板2上に、図2に示すアンテナ素子3を表面実装して概略構成されている。アンテナ素子3は略四角柱状の誘電体基板4の表面に銀等からなる電極部5を設けたものであり、この電極部5の一部が給電電極6や放射電極7やグラウンド電極8となっている。具体的には、誘電体基板4の一側面に給電電極6やグラウンド電極8が設けられ、誘電体基板4の天面に放射電極7が設けられ、誘電体基板4の底面と隣接する複数箇所にはんだ接続部9が設けられている。給電電極6と放射電極7は連続はしていないが容量結合されており、放射電極7とグラウンド電極8は連続している。なお、給電電極6には同軸ケ−ブル等の給電線10を介して高周波信号が給電される。
【0011】
かかるアンテナ素子3は、長方形状の絶縁基板2上の接地導体1が設けられている面の隅部に搭載されて、グラウンド電極8やはんだ接続部9を図示せぬリフロー炉内で接地導体1とはんだ付けすることにより表面実装される(図1において符号12は固化したはんだを示している)。そして、アンテナ素子3の実装後に共振周波数や指向性を調整する際には、図1に示すように、アンテナ素子3の側面に沿う略L字形のスリット11を接地導体1に形成する。このスリット11は、アンテナ素子3のグラウンド電極8の近傍で接地導体1を流れる電流を迂回させる位置に設けられており、接地導体1をルータ等によって削り取ることにより形成されたものである。
【0012】
上述した表面実装型アンテナは、アンテナ素子3の給電電極6と放射電極7とを連続させずに容量結合しておき、この放射電極7と接地導体1とをグラウンド電極8を介して短絡するという構成になっているので、給電電極6に高周波信号が給電されると、放射電極7と接地導体1とを連続して流れる電流が発生して励振し、放射電極7および接地導体1から電波が放射される。したがって、接地導体1に電流の経路長を増大させるスリット11を設けると、共振長が長くなって共振周波数は低くなる。
【0013】
すなわち、アンテナ素子3を表面実装した後、共振周波数の測定を行い、その値が所望の共振周波数よりも高かったならば、グラウンド電極8の近傍で接地導体1に略L字形のスリット11を形成する。このスリット11は給電時にグラウンド電極8の近傍において接地導体1を流れる電流を遮って迂回させる働きをするので、電流の経路長を増大させて共振周波数を低くすることができる。それゆえ、電流の経路長をどの程度増大させるかに応じてスリット11の長さや形状を適宜設定することにより、共振周波数を必要量だけ低下させることができる。
【0014】
なお、測定した共振周波数が所望の値よりも低かった場合には、例えばアンテナ素子3から遠い位置で接地導体1を分断するスリットを形成して電流の経路長を短縮させることにより、共振周波数を高める調整が可能となる。このほか、予め共振周波数を所望の値よりも若干高くなるように設計しておき、スリット11の長さや形状によって必要量だけ共振周波数を低下させるという調整方法も可能である。
【0015】
また、スリット11はアンテナ素子3ではなく実装面側の接地導体1に設けるので、スリット11の位置や大きさに若干の誤差があっても共振周波数が大きく変化することはない。したがって、本実施形態例のように接地導体1にスリット11を形成するという共振周波数の調整作業は、アンテナ素子3の電極を削り取って共振周波数を調整するという従来の手法に比べて容易に行える。
【0016】
また、アンテナ素子3を表面実装して指向性を測定した結果、所望の指向性が得られなかった場合には、グラウンド電極8の近傍において接地導体1を流れる電流の向きをスリット11によって変化させることにより、指向性の改善が図れる。つまり、スリット11によって遮られた電流は該スリット11に沿って流れていくので、特定方向へ放射される電波を意図的に増大させることができる。例えば、この表面実装型アンテナを起立させて垂直偏波アンテナとして使用する場合、絶縁基板2に対して垂直な面(水平面)内での指向性を測定すると図3に破線で示すような特性曲線が得られる。これに対して、アンテナ素子3の電極を削り取って共振周波数を調整した比較例の指向性を測定すると図3に実線で示すような特性曲線が得られ、スリット11を形成して電流の流れる向きを調整することにより斜め前方の利得が増大することが確認された。
【0017】
同様に、この表面実装型アンテナを水平に置いて水平偏波アンテナとして使用する場合に、絶縁基板2に対して垂直な面(鉛直面)内での指向性を測定すると図4に破線で示すような特性曲線が得られる。これに対して、アンテナ素子3の電極を削り取って共振周波数を調整した比較例の指向性を測定すると図4に実線で示すような特性曲線が得られ、スリット11を形成して電流の流れる向きを調整することにより、利得のピークを真上(仰角90度)方向へシフトさせる調整が行えることが確認された。
【0018】
なお、上記実施形態例では、接地導体1が絶縁基板2の片面だけに設けてある場合について説明したが、接地導体1を絶縁基板2の表裏両面に設けてもよく、その場合、グラウンド電極8と裏面側の接地導体とに導通されるスルーホールを絶縁基板2の適宜箇所(好ましくはグラウンド電極8の近傍)に設けておけばよい。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0020】
給電時にアンテナ素子の放射電極と実装面側の接地導体とを連続して流れる電流が発生して、放射電極および接地導体から電波が放射されるようにした表面実装型アンテナにおいて、接地導体に電流の経路長を変化させるスリットを設けることにより、共振長を変化させて共振周波数を調整することができるので、共振周波数の調整作業を比較的容易に行える。また、このスリットの向きや形状を適宜選択することにより、スリットに沿って流れる電流の向きを意図的に変化させることができるので、電波の指向性を調整することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例に係る表面実装型アンテナの平面図である。
【図2】図1に示すアンテナ素子の斜視図である。
【図3】該表面実装型アンテナを垂直偏波アンテナとして使用したときの指向性結果を示す特性図である。
【図4】該表面実装型アンテナを水平偏波アンテナとして使用したときの指向性結果を示す特性図である。
【符号の説明】
1 接地導体
2 絶縁基板
3 アンテナ素子
4 誘電体基板
6 給電電極
7 放射電極
8 グラウンド電極
9 はんだ付け部
10 給電線
11 スリット
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体通信機器等に組み込まれるアンテナであって、高周波信号が給電されるアンテナ素子を基板上に表面実装して構成される表面実装型アンテナの共振周波数調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
表面実装型アンテナはアンテナ素子が基板上に簡単に実装できるため、低コスト化を図る上で有利である。かかる表面実装型アンテナの製造工程では、組立後に共振周波数を測定して、所望の共振周波数が得られるかどうかを検査するが、その際、所望の共振周波数が得られないアンテナをすべて不良品にしてしまうと歩留まりが悪化して、良品の製造コストも上昇してしまう。
【0003】
そこで従来、アンテナ素子に設けた電極の一部を削り取って共振周波数を調整するという方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる従来提案において、アンテナ素子を構成しているセラミック等の誘電体基板の表面には、高周波信号が給電される給電電極と、給電電極に連続する放射電極と、給電電極に対して絶縁されたグラウンド電極と、放射電極に連続する側面電極とが設けられている。このアンテナ素子をプリント基板上に表面実装して、該プリント基板に設けられた接地導体とアンテナ素子のグラウンド電極とをはんだ付けした後、共振周波数を測定して所望の値が得られない場合には、放射電極またはグラウンド電極または側面電極をルータ等によって部分的に削り取ることにより、共振周波数を調整する。このようにして表面実装後に共振周波数の調整を行えば、製造歩留まりを大幅に向上させることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−249932号公報(第3−4頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来提案は、実装後にアンテナ素子の電極を部分的に削り取って共振周波数を調整するという手法であり、削る量や削る位置のわずかな相違で共振周波数が大きく変化しやすいため、電極の切削作業を慎重かつ高精度に行わねばならず、それゆえ共振周波数の調整作業が煩雑であるという問題があった。また、かかる従来提案は電波の指向性の調整には不向きであった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、共振周波数および指向性を容易に調整できる表面実装型アンテナの共振周波数調整方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明による表面実装型アンテナの共振周波数調整方法では、誘電体基板の表面に容量結合された給電電極および放射電極と該放射電極に連続するグラウンド電極とを設けてなるアンテナ素子と、少なくとも片面に接地導体を有する絶縁基板とを備え、前記アンテナ素子を前記グラウンド電極が前記接地導体と接続するように前記絶縁基板上に表面実装して、前記給電電極に高周波信号を給電することにより励振可能なアンテナとなし、かつ、前記接地導体に電流の経路長を変化させるスリットを設けて共振周波数を変化させるようにした。
【0008】
アンテナ素子の給電電極と放射電極とを連続させずに容量結合しておき、この放射電極と接地導体とをグラウンド電極を介して短絡するという構成の表面実装型アンテナは、給電時に放射電極と接地導体とを連続して流れる電流が発生するため、放射電極および接地導体から電波が放射されることになる。したがって、接地導体に電流の経路長を変化させるスリットを設けることにより、共振長を変化させて共振周波数を調整することができる。例えば、グラウンド電極の近傍で接地導体を流れる電流の経路長を増大させる位置に該スリットを設けておけば、共振長が長くなるため共振周波数を低くすることができる。また、このスリットはアンテナ素子自体ではなく実装面側の接地導体に設けるので、スリットの位置や大きさに若干の誤差があっても共振周波数が大きく変化することはなく、それゆえ共振周波数の調整作業は比較的容易に行える。また、このスリットの向きや形状を適宜選択することにより、スリットに沿って流れる電流の向きを意図的に変化させることができるので、電波の指向性を調整することも可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明の実施形態例に係る表面実装型アンテナの平面図、図2は図1に示すアンテナ素子の斜視図、図3は該表面実装型アンテナを垂直偏波アンテナとして使用したときの指向性結果を示す特性図、図4は該表面実装型アンテナを水平偏波アンテナとして使用したときの指向性結果を示す特性図である。
【0010】
図1に示す表面実装型アンテナは、片面の全面に銅箔等からなる接地導体1を設けた絶縁基板2上に、図2に示すアンテナ素子3を表面実装して概略構成されている。アンテナ素子3は略四角柱状の誘電体基板4の表面に銀等からなる電極部5を設けたものであり、この電極部5の一部が給電電極6や放射電極7やグラウンド電極8となっている。具体的には、誘電体基板4の一側面に給電電極6やグラウンド電極8が設けられ、誘電体基板4の天面に放射電極7が設けられ、誘電体基板4の底面と隣接する複数箇所にはんだ接続部9が設けられている。給電電極6と放射電極7は連続はしていないが容量結合されており、放射電極7とグラウンド電極8は連続している。なお、給電電極6には同軸ケ−ブル等の給電線10を介して高周波信号が給電される。
【0011】
かかるアンテナ素子3は、長方形状の絶縁基板2上の接地導体1が設けられている面の隅部に搭載されて、グラウンド電極8やはんだ接続部9を図示せぬリフロー炉内で接地導体1とはんだ付けすることにより表面実装される(図1において符号12は固化したはんだを示している)。そして、アンテナ素子3の実装後に共振周波数や指向性を調整する際には、図1に示すように、アンテナ素子3の側面に沿う略L字形のスリット11を接地導体1に形成する。このスリット11は、アンテナ素子3のグラウンド電極8の近傍で接地導体1を流れる電流を迂回させる位置に設けられており、接地導体1をルータ等によって削り取ることにより形成されたものである。
【0012】
上述した表面実装型アンテナは、アンテナ素子3の給電電極6と放射電極7とを連続させずに容量結合しておき、この放射電極7と接地導体1とをグラウンド電極8を介して短絡するという構成になっているので、給電電極6に高周波信号が給電されると、放射電極7と接地導体1とを連続して流れる電流が発生して励振し、放射電極7および接地導体1から電波が放射される。したがって、接地導体1に電流の経路長を増大させるスリット11を設けると、共振長が長くなって共振周波数は低くなる。
【0013】
すなわち、アンテナ素子3を表面実装した後、共振周波数の測定を行い、その値が所望の共振周波数よりも高かったならば、グラウンド電極8の近傍で接地導体1に略L字形のスリット11を形成する。このスリット11は給電時にグラウンド電極8の近傍において接地導体1を流れる電流を遮って迂回させる働きをするので、電流の経路長を増大させて共振周波数を低くすることができる。それゆえ、電流の経路長をどの程度増大させるかに応じてスリット11の長さや形状を適宜設定することにより、共振周波数を必要量だけ低下させることができる。
【0014】
なお、測定した共振周波数が所望の値よりも低かった場合には、例えばアンテナ素子3から遠い位置で接地導体1を分断するスリットを形成して電流の経路長を短縮させることにより、共振周波数を高める調整が可能となる。このほか、予め共振周波数を所望の値よりも若干高くなるように設計しておき、スリット11の長さや形状によって必要量だけ共振周波数を低下させるという調整方法も可能である。
【0015】
また、スリット11はアンテナ素子3ではなく実装面側の接地導体1に設けるので、スリット11の位置や大きさに若干の誤差があっても共振周波数が大きく変化することはない。したがって、本実施形態例のように接地導体1にスリット11を形成するという共振周波数の調整作業は、アンテナ素子3の電極を削り取って共振周波数を調整するという従来の手法に比べて容易に行える。
【0016】
また、アンテナ素子3を表面実装して指向性を測定した結果、所望の指向性が得られなかった場合には、グラウンド電極8の近傍において接地導体1を流れる電流の向きをスリット11によって変化させることにより、指向性の改善が図れる。つまり、スリット11によって遮られた電流は該スリット11に沿って流れていくので、特定方向へ放射される電波を意図的に増大させることができる。例えば、この表面実装型アンテナを起立させて垂直偏波アンテナとして使用する場合、絶縁基板2に対して垂直な面(水平面)内での指向性を測定すると図3に破線で示すような特性曲線が得られる。これに対して、アンテナ素子3の電極を削り取って共振周波数を調整した比較例の指向性を測定すると図3に実線で示すような特性曲線が得られ、スリット11を形成して電流の流れる向きを調整することにより斜め前方の利得が増大することが確認された。
【0017】
同様に、この表面実装型アンテナを水平に置いて水平偏波アンテナとして使用する場合に、絶縁基板2に対して垂直な面(鉛直面)内での指向性を測定すると図4に破線で示すような特性曲線が得られる。これに対して、アンテナ素子3の電極を削り取って共振周波数を調整した比較例の指向性を測定すると図4に実線で示すような特性曲線が得られ、スリット11を形成して電流の流れる向きを調整することにより、利得のピークを真上(仰角90度)方向へシフトさせる調整が行えることが確認された。
【0018】
なお、上記実施形態例では、接地導体1が絶縁基板2の片面だけに設けてある場合について説明したが、接地導体1を絶縁基板2の表裏両面に設けてもよく、その場合、グラウンド電極8と裏面側の接地導体とに導通されるスルーホールを絶縁基板2の適宜箇所(好ましくはグラウンド電極8の近傍)に設けておけばよい。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0020】
給電時にアンテナ素子の放射電極と実装面側の接地導体とを連続して流れる電流が発生して、放射電極および接地導体から電波が放射されるようにした表面実装型アンテナにおいて、接地導体に電流の経路長を変化させるスリットを設けることにより、共振長を変化させて共振周波数を調整することができるので、共振周波数の調整作業を比較的容易に行える。また、このスリットの向きや形状を適宜選択することにより、スリットに沿って流れる電流の向きを意図的に変化させることができるので、電波の指向性を調整することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例に係る表面実装型アンテナの平面図である。
【図2】図1に示すアンテナ素子の斜視図である。
【図3】該表面実装型アンテナを垂直偏波アンテナとして使用したときの指向性結果を示す特性図である。
【図4】該表面実装型アンテナを水平偏波アンテナとして使用したときの指向性結果を示す特性図である。
【符号の説明】
1 接地導体
2 絶縁基板
3 アンテナ素子
4 誘電体基板
6 給電電極
7 放射電極
8 グラウンド電極
9 はんだ付け部
10 給電線
11 スリット
Claims (2)
- 誘電体基板の表面に容量結合された給電電極および放射電極と該放射電極に連続するグラウンド電極とを設けてなるアンテナ素子と、少なくとも片面に接地導体を有する絶縁基板とを備え、前記アンテナ素子を前記グラウンド電極が前記接地導体と接続するように前記絶縁基板上に表面実装して、前記給電電極に高周波信号を給電することにより励振可能なアンテナとなし、かつ、前記接地導体に電流の経路長を変化させるスリットを設けて共振周波数を変化させることを特徴とする表面実装型アンテナの共振周波数調整方法。
- 請求項1の記載において、前記スリットを、前記グラウンド電極の近傍で前記接地導体を流れる電流の経路長を増大させる位置に設けたことを特徴とする表面実装型アンテナの共振周波数調整方法。
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JP2002294962A JP2004134860A (ja) | 2002-10-08 | 2002-10-08 | 表面実装型アンテナの共振周波数調整方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2005203873A (ja) * | 2004-01-13 | 2005-07-28 | Alps Electric Co Ltd | パッチアンテナ |
JP2009033481A (ja) * | 2007-07-27 | 2009-02-12 | Sony Corp | カメラモジュール |
CN105762490A (zh) * | 2014-12-19 | 2016-07-13 | 联想(北京)有限公司 | 一种天线 |
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2002
- 2002-10-08 JP JP2002294962A patent/JP2004134860A/ja not_active Withdrawn
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