JP2004134462A - アルミニウム固体電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】よりESRの小さい優れたコンデンサ特性のアルミニウム固体電解コンデンサを提供。
【解決手段】表面に誘電体酸化皮膜が形成されたアルミニウム箔上に、順次、導電性プレコート層及び電解重合導電性高分子膜からなる固体電解質層、導電層が形成され、アルミニウム箔が陽極リードを介し、また導電体層が陰極リードを介して、リードフレームに各々接続され、外装が施されてなるアルミニウム固体電解コンデンサにおいて、銅合金表面に、順次ニッケル層、厚さ0.005〜10μmのパラジウム層及び金層が形成された陽極リード及びリードフレームを用いて作製したアルミニウム固体電解コンデンサである。
【選択図】 図1
【解決手段】表面に誘電体酸化皮膜が形成されたアルミニウム箔上に、順次、導電性プレコート層及び電解重合導電性高分子膜からなる固体電解質層、導電層が形成され、アルミニウム箔が陽極リードを介し、また導電体層が陰極リードを介して、リードフレームに各々接続され、外装が施されてなるアルミニウム固体電解コンデンサにおいて、銅合金表面に、順次ニッケル層、厚さ0.005〜10μmのパラジウム層及び金層が形成された陽極リード及びリードフレームを用いて作製したアルミニウム固体電解コンデンサである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、アルミニウム固体電解コンデンサに関し、より詳しくは、等価直列抵抗(以下「ESR」と略記)のより小さいアルミニウム固体電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、表面に誘電体酸化皮膜が形成されたアルミニウム箔上に、順次、導電性高分子からなる固体電解質層、導電体層を形成させたコンデンサ素子を得、ついで該素子の陽極箔と導電体層とに、リードフレームの陽極リード及び陰極リードを各々接続させ、モールド樹脂等で外装させたアルミニウム固体電解コンデンサが、知られている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
一般に、コンデンサ特性は、ESRが小さいほど好ましく、ESRを小さくするためには、コンデンサ素子の内部抵抗とリードフレームとの抵抗を小さくすること、並びにコンデンサ素子とリードフレームとの接触抵抗を小さくすることが要求されている。
【0004】
近年、コンデンサ素子の内部抵抗については、固体電解質層の改良等により、著しく改善されているため、リードフレーム自体の抵抗やコンデンサ素子とリードフレームとの接触抵抗を無視することができなくなってきており、また、複数個のコンデンサ素子を積層させることにより、コンデンサの高容量化に対応しているが、この場合、リードフレーム自体の抵抗やコンデンサ素子とリードフレームとの接触抵抗が問題となり、上記抵抗を低減させて、コンデンサのESRを小さくさせることが要望されている。
【0005】
上記課題を解決するために、鉄、銅または鉄−ニッケル合金の基材上に、銀、白金、ニッケル、パラジウム、錫、半田の少なくとも1種の金属を、塗布、メッキまたは蒸着させたリードフレームを用いたチップ型積層固体電解コンデンサが提案されている。(例えば、特許文献2参照)
【0006】
【特許文献1】
特開平5−159983号公報(第3〜4頁、第1〜4図)
【特許文献2】
特開平11−274003号公報(第2〜3頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、リードフレームの抵抗やコンデンサ素子とリードフレームとの接触抵抗をより小さくさせることにより、ESRのより小さい優れた特性のアルミニウム固体電解コンデンサを実現することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、銅合金表面に、複数の導電材料を形成させた特定構造の陽極リード及びリードフレームを用いることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、表面に誘電体酸化皮膜が形成されたアルミニウム箔上に、順次、導電性プレコート層及び電解重合導電性高分子膜からなる固体電解質層、導電体層が形成され、アルミニウム箔が陽極リードを介し、また導電体層が陰極リードを介して、リードフレームに各々接続され、外装が施されてなるアルミニウム固体電解コンデンサにおいて、陽極リード及びリードフレームが、銅合金表面に、順次ニッケル層、パラジウム層及び金層が形成されてなることを特徴とするアルミニウム固体電解コンデンサであり、また、上記陽極リード及びリードフレーム上に形成されたパラジウム層の厚さが、0.005〜10μmであることを特徴とするアルミニウム固体電解コンデンサである。
【0010】
以下、本発明を、図面を参照して、詳細に説明する。
【0011】
本発明に用いられるコンデンサ素子は、特開平5−159983号公報、特開平6−314639号公報、特開平6−314640号公報、特開平6−314641号公報等に開示された方法を用いて作製することができるが、特開平6−314640号公報の開示された方法を例にとり、以下に説明する。
【0012】
大面積のアルミニウム箔1の表面をエッチングした後、アジピン酸アンモニウム等の水溶液中で陽極化成を行い、表面に誘電体酸化皮膜を形成させた後、図1に示すように、誘電体酸化皮膜2を形成させたアルミニウム箔1の両面に、陽極引出部分3と固体電解質を形成させる部分4を一対とするパターン(第1のパターン)を残して、エポキシ樹脂等を用いて第1の絶縁性塗膜5を形成させる。次に、第1のパターンより少なくとも一部が大きいパターン(第2のパターン)を残して、シリコン樹脂等を用いて第2の絶縁性塗膜6を形成させる。続いて、第2のパターン内に露出した第1の絶縁性塗膜5の一部7上及び第2の絶縁性塗膜6の一部上に、銀ペースト等を用いて、電解重合時に給電電極となる導電性塗膜8を形成させる。この時、導電性塗膜は、第1のパターン内に露出した誘電体酸化皮膜に接触しないように離して形成させる。第2のパターン内には、誘電体酸化皮膜2、第1の絶縁性塗膜5の一部7及び導電性塗膜8の一部9が露出する。
【0013】
続いて、図2に示すように、第2の絶縁性塗膜6上に形成させた導電性塗膜8の一部上に、エポキシ樹脂等を用いて第3の絶縁性塗膜10を形成させ、導電性塗膜8をマスキングする。この時、導電性塗膜8の末端部はマスキングしないで露出したままにしておく。
【0014】
次に、第2のパターン内に露出した誘電体酸化皮膜2、第1の絶縁性塗膜の一部7及び導電性塗膜8の一部9上に、導電性プレコート層を形成させる。この時、第1のパターンで露出する陽極引出部分3には、導電性プレコート層を形成させない。
【0015】
導電性プレコート層の形成は、導電性高分子モノマーの化学重合、マンガン塩の熱分解、TCNQ錯体溶液の含浸、乾燥等、周知の方法を用いることができるが、ピロールモノマー溶液及び酸化剤溶液を各々一定量滴下して化学重合ポリピロール膜を形成させる方法が好ましい。
【0016】
次に、アジピン酸アンモニウム等の化成液に浸漬し、導電性プレコート層形成時までに生じた誘電体酸化皮膜の損傷部を化成修復する。
【0017】
その後、導電性プレコート層上に、電解重合により、ポリピロール等の導電性高分子膜を形成させる。電解重合方法は、周知の方法を用いることができる。
【0018】
ついで、電解重合導電性高分子膜の表面に、銀ペーストやカーボンペーストを用いて、導電体層11を形成させる。
【0019】
以上の処理を、アルミニウム箔の裏面にも行う。
【0020】
次に、マス目毎に切り離し、コンデンサ素子を作製する。図2に示す切断箇所で、陽極引出部分3と固体電解質を形成させる部分4を残して、第1の絶縁性塗膜5及び第2の絶縁性塗膜6上を、カッター等の機械的手段やYAGレーザー等の熱的手段を用いて切断する。
【0021】
また、所定形状の銅合金表面に、順次、ニッケル層、厚さ0.005〜10μmのパラジウム層及び金層を、塗布、メッキ等により形成させて、本発明に用いられる陽極リード及びリードフレームを準備する。
【0022】
作製した複数個のコンデンサ素子の導電体層11同士が重なり合うように積層し、導電体層11は、金ワイヤー等の陰極リード12を介して、先に準備したリードフレームの陰極13に接続させる。一方、該素子のアルミニウム箔1は、先に準備した陽極リード14を介して、直接電気的もしくは熱的手段を用いて、先に準備したリードフレームの陽極15に接続させる。
【0023】
その後、樹脂モールドまたは外装ケースに密封する等の外装16を施して、本発明のアルミニウム固体電解コンデンサを完成する。
【0024】
図3は、2個のコンデンサ素子を積層した時の本発明のアルミニウム固体電解コンデンサの概略断面図である。
【0025】
本発明のアルミニウム固体電解コンデンサは、銅合金表面に、順次、ニッケル層、厚さ0.005〜10μmのパラジウム層及び金層を形成させた、陽極リード及びリードフレームを用いることにより、より小さいESRが達成できる。
【0026】
また、本発明のアルミニウム固体電解コンデンサは、複数個のコンデンサ素子を積層させた場合でも、ESRが小さく、優れたコンデンサ特性を有している。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を、実施例に基づき、図面を参照して、説明する。なお、本発明は、実施例によりなんら限定されない。
【0028】
実施例1
特開平6−314640号公報の実施例1に準じて、図1に示すように、表面をエッチングしたアルミニウム箔(縦30mm×横50mm、厚さ50μm)1を、アジピン酸アンモニウム水溶液中、電圧40Vで化成処理し、誘電体酸化皮膜2を形成した。陽極引出部分(縦1mm×横3mm)3と固体電解質を形成させる部分(縦5mm×横3mm)4の2つに分離されたマス目状の第1のパターン(縦2列×横8列)を残して、エポキシ樹脂をスクリーン印刷して、第1の絶縁性塗膜5を形成した。続いて、陽極引出部分3と固体電解質を形成させる部分4のマス目状の第1のパターンを残して、シリコーン樹脂をスクリーン印刷して、第2の絶縁性塗膜6を形成した。続いて、図1に示すように、該絶縁性塗膜5上に、銀ペーストを塗布し、魚の骨状に導電性塗膜8を形成した。
【0029】
第2のパターン内には、誘電体酸化皮膜2、第1の絶縁性塗膜5の一部7及び導電性塗膜8の一部9が露出している。裏面も同様に処理した。
【0030】
第2のパターン内に、8チャンネルのマルチチャンネルマイクロピペット(SOCOREX社製)を用い、ピロールモノマー30質量%のエタノール溶液5μlを滴下し、1分間放置した後、さらに8チャンネルのマルチチャンネルマイクロピペットを用い、過硫酸アンモニウム0.1mol/lの水溶液10μlを滴下した。その後、5分間放置した後、水洗、乾燥して、導電性プレコート層である化学重合ポリピロール膜を形成した。裏面も同様に処理した。
【0031】
その後、該箔を、アジピン酸アンモニウム水溶液中、電圧40Vで陽極酸化し、誘電体酸化皮膜2を化成修復した。
【0032】
次に、導電性塗膜8の端部の一部分を電源に接続し、ピロールモノマー0.4mol/l、1,7−ナフタレンスルホン酸テトラエチルアンモニウム0.4mol/l及びアセトニトリルの電解液を含むステンレス容器中に浸漬した。導電性塗膜8を陽極とし、ステンレス容器との間に定電流電解重合(0.3mA/ピン、90分)を行い、電解重合ポリピロール膜を形成した。
【0033】
形成させた電解重合ポリピロール膜上に、コロイダルカーボン及び銀ペーストを塗布して、導電体層11を形成した。ついで、粘着テープでリングに固定し、ダイサー(ディスコ製DAD−2H/6)を用いて、図2に示す切断箇所を切断して、16個のコンデンサ素子を作製した。
【0034】
一方、所定の形状の銅合金(Cu−3Ni−0.5Si)表面に、ワット浴により、厚さ2μmの無光沢ニッケルメッキ層を施した後、金属パラジウム浴中で厚さ5μmのパラジウム層を施した。引き続き、シアン浴中、厚さ0.01μmの金層を形成させて、本発明に用いる陽極リード14及びリードフレームを準備した。
【0035】
図3に示すように、先に作製した2個のコンデンサ素子の導電体層11同士が重なり合うように積層し、導電体層11は、金ワイヤーの陰極リード12を介して、上記準備したリードフレームの陰極13に接続した。一方、アルミニウム箔1は、上記準備した陽極リード14を介して、上記準備したリードフレームの陽極15に、超音波ハンダ機で溶接した。
【0036】
次に、エポキシ樹脂でモールドして外装16を施して、定格電圧16V、定格静電容量22μFのアルミニウム固体電解コンデンサを、8個完成した。
【0037】
完成したコンデンサの初期特性の平均値は、120Hzでの静電容量(以下「C」と略記)が10.5μF、120Hzでの損失角の正接(以下「tanδ」と略記)が0.68%、100kHzでのESRが10mΩ、16Vでの漏れ電流(以下「LC」と略記)が0.01μAであった。結果を表1に示す。
【0038】
比較例1
実施例1において、パラジウム層の厚さを0.001μmとした以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム固体電解コンデンサを完成した。完成したコンデンサの初期特性の平均値は、Cが10.3μF、tanδが0.76%、ESRが45mΩ、LCが0.03μAであった。結果を表1に示す。
【0039】
比較例2
実施例1において、パラジウム層の厚さを20μmとした以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム固体電解コンデンサを完成した。完成したコンデンサの初期特性の平均値は、Cが10.3μF、tanδが0.72%、ESRが45mΩ、LCが0.03μAであった。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
本発明のアルミニウム固体電解コンデンサは、銅合金表面に、順次、ニッケル層、厚さ0.005〜10μmのパラジウム層及び金層を形成させた、陽極リード及びリードフレームを用いることにより、より小さいESRが達成できる。
【0042】
また、本発明のアルミニウム固体電解コンデンサは、コンデンサ素子を複数積層させた場合でも、ESRが小さく、優れたコンデンサ特性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミニウム箔上に絶縁性塗膜でパターンを形成した平面図である。
【図2】切断箇所を示す平面図である。
【図3】本発明のアルミニウム固体電解コンデンサの概略断面図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム箔
2 誘電体酸化皮膜
3 陽極引出部分
4 固体電解質層を形成させる部分
5 第1の絶縁性塗膜
6 第2の絶縁性塗膜
7 第1の絶縁性塗膜の一部
8 導電性塗膜
9 導電性塗膜の一部
10 第3の絶縁性塗膜
11 導電体層
12 陰極リード
13 リードフレームの陰極
14 陽極リード
15 リードフレームの陽極
16 外装
【産業上の利用分野】
本発明は、アルミニウム固体電解コンデンサに関し、より詳しくは、等価直列抵抗(以下「ESR」と略記)のより小さいアルミニウム固体電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、表面に誘電体酸化皮膜が形成されたアルミニウム箔上に、順次、導電性高分子からなる固体電解質層、導電体層を形成させたコンデンサ素子を得、ついで該素子の陽極箔と導電体層とに、リードフレームの陽極リード及び陰極リードを各々接続させ、モールド樹脂等で外装させたアルミニウム固体電解コンデンサが、知られている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
一般に、コンデンサ特性は、ESRが小さいほど好ましく、ESRを小さくするためには、コンデンサ素子の内部抵抗とリードフレームとの抵抗を小さくすること、並びにコンデンサ素子とリードフレームとの接触抵抗を小さくすることが要求されている。
【0004】
近年、コンデンサ素子の内部抵抗については、固体電解質層の改良等により、著しく改善されているため、リードフレーム自体の抵抗やコンデンサ素子とリードフレームとの接触抵抗を無視することができなくなってきており、また、複数個のコンデンサ素子を積層させることにより、コンデンサの高容量化に対応しているが、この場合、リードフレーム自体の抵抗やコンデンサ素子とリードフレームとの接触抵抗が問題となり、上記抵抗を低減させて、コンデンサのESRを小さくさせることが要望されている。
【0005】
上記課題を解決するために、鉄、銅または鉄−ニッケル合金の基材上に、銀、白金、ニッケル、パラジウム、錫、半田の少なくとも1種の金属を、塗布、メッキまたは蒸着させたリードフレームを用いたチップ型積層固体電解コンデンサが提案されている。(例えば、特許文献2参照)
【0006】
【特許文献1】
特開平5−159983号公報(第3〜4頁、第1〜4図)
【特許文献2】
特開平11−274003号公報(第2〜3頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、リードフレームの抵抗やコンデンサ素子とリードフレームとの接触抵抗をより小さくさせることにより、ESRのより小さい優れた特性のアルミニウム固体電解コンデンサを実現することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、銅合金表面に、複数の導電材料を形成させた特定構造の陽極リード及びリードフレームを用いることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、表面に誘電体酸化皮膜が形成されたアルミニウム箔上に、順次、導電性プレコート層及び電解重合導電性高分子膜からなる固体電解質層、導電体層が形成され、アルミニウム箔が陽極リードを介し、また導電体層が陰極リードを介して、リードフレームに各々接続され、外装が施されてなるアルミニウム固体電解コンデンサにおいて、陽極リード及びリードフレームが、銅合金表面に、順次ニッケル層、パラジウム層及び金層が形成されてなることを特徴とするアルミニウム固体電解コンデンサであり、また、上記陽極リード及びリードフレーム上に形成されたパラジウム層の厚さが、0.005〜10μmであることを特徴とするアルミニウム固体電解コンデンサである。
【0010】
以下、本発明を、図面を参照して、詳細に説明する。
【0011】
本発明に用いられるコンデンサ素子は、特開平5−159983号公報、特開平6−314639号公報、特開平6−314640号公報、特開平6−314641号公報等に開示された方法を用いて作製することができるが、特開平6−314640号公報の開示された方法を例にとり、以下に説明する。
【0012】
大面積のアルミニウム箔1の表面をエッチングした後、アジピン酸アンモニウム等の水溶液中で陽極化成を行い、表面に誘電体酸化皮膜を形成させた後、図1に示すように、誘電体酸化皮膜2を形成させたアルミニウム箔1の両面に、陽極引出部分3と固体電解質を形成させる部分4を一対とするパターン(第1のパターン)を残して、エポキシ樹脂等を用いて第1の絶縁性塗膜5を形成させる。次に、第1のパターンより少なくとも一部が大きいパターン(第2のパターン)を残して、シリコン樹脂等を用いて第2の絶縁性塗膜6を形成させる。続いて、第2のパターン内に露出した第1の絶縁性塗膜5の一部7上及び第2の絶縁性塗膜6の一部上に、銀ペースト等を用いて、電解重合時に給電電極となる導電性塗膜8を形成させる。この時、導電性塗膜は、第1のパターン内に露出した誘電体酸化皮膜に接触しないように離して形成させる。第2のパターン内には、誘電体酸化皮膜2、第1の絶縁性塗膜5の一部7及び導電性塗膜8の一部9が露出する。
【0013】
続いて、図2に示すように、第2の絶縁性塗膜6上に形成させた導電性塗膜8の一部上に、エポキシ樹脂等を用いて第3の絶縁性塗膜10を形成させ、導電性塗膜8をマスキングする。この時、導電性塗膜8の末端部はマスキングしないで露出したままにしておく。
【0014】
次に、第2のパターン内に露出した誘電体酸化皮膜2、第1の絶縁性塗膜の一部7及び導電性塗膜8の一部9上に、導電性プレコート層を形成させる。この時、第1のパターンで露出する陽極引出部分3には、導電性プレコート層を形成させない。
【0015】
導電性プレコート層の形成は、導電性高分子モノマーの化学重合、マンガン塩の熱分解、TCNQ錯体溶液の含浸、乾燥等、周知の方法を用いることができるが、ピロールモノマー溶液及び酸化剤溶液を各々一定量滴下して化学重合ポリピロール膜を形成させる方法が好ましい。
【0016】
次に、アジピン酸アンモニウム等の化成液に浸漬し、導電性プレコート層形成時までに生じた誘電体酸化皮膜の損傷部を化成修復する。
【0017】
その後、導電性プレコート層上に、電解重合により、ポリピロール等の導電性高分子膜を形成させる。電解重合方法は、周知の方法を用いることができる。
【0018】
ついで、電解重合導電性高分子膜の表面に、銀ペーストやカーボンペーストを用いて、導電体層11を形成させる。
【0019】
以上の処理を、アルミニウム箔の裏面にも行う。
【0020】
次に、マス目毎に切り離し、コンデンサ素子を作製する。図2に示す切断箇所で、陽極引出部分3と固体電解質を形成させる部分4を残して、第1の絶縁性塗膜5及び第2の絶縁性塗膜6上を、カッター等の機械的手段やYAGレーザー等の熱的手段を用いて切断する。
【0021】
また、所定形状の銅合金表面に、順次、ニッケル層、厚さ0.005〜10μmのパラジウム層及び金層を、塗布、メッキ等により形成させて、本発明に用いられる陽極リード及びリードフレームを準備する。
【0022】
作製した複数個のコンデンサ素子の導電体層11同士が重なり合うように積層し、導電体層11は、金ワイヤー等の陰極リード12を介して、先に準備したリードフレームの陰極13に接続させる。一方、該素子のアルミニウム箔1は、先に準備した陽極リード14を介して、直接電気的もしくは熱的手段を用いて、先に準備したリードフレームの陽極15に接続させる。
【0023】
その後、樹脂モールドまたは外装ケースに密封する等の外装16を施して、本発明のアルミニウム固体電解コンデンサを完成する。
【0024】
図3は、2個のコンデンサ素子を積層した時の本発明のアルミニウム固体電解コンデンサの概略断面図である。
【0025】
本発明のアルミニウム固体電解コンデンサは、銅合金表面に、順次、ニッケル層、厚さ0.005〜10μmのパラジウム層及び金層を形成させた、陽極リード及びリードフレームを用いることにより、より小さいESRが達成できる。
【0026】
また、本発明のアルミニウム固体電解コンデンサは、複数個のコンデンサ素子を積層させた場合でも、ESRが小さく、優れたコンデンサ特性を有している。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を、実施例に基づき、図面を参照して、説明する。なお、本発明は、実施例によりなんら限定されない。
【0028】
実施例1
特開平6−314640号公報の実施例1に準じて、図1に示すように、表面をエッチングしたアルミニウム箔(縦30mm×横50mm、厚さ50μm)1を、アジピン酸アンモニウム水溶液中、電圧40Vで化成処理し、誘電体酸化皮膜2を形成した。陽極引出部分(縦1mm×横3mm)3と固体電解質を形成させる部分(縦5mm×横3mm)4の2つに分離されたマス目状の第1のパターン(縦2列×横8列)を残して、エポキシ樹脂をスクリーン印刷して、第1の絶縁性塗膜5を形成した。続いて、陽極引出部分3と固体電解質を形成させる部分4のマス目状の第1のパターンを残して、シリコーン樹脂をスクリーン印刷して、第2の絶縁性塗膜6を形成した。続いて、図1に示すように、該絶縁性塗膜5上に、銀ペーストを塗布し、魚の骨状に導電性塗膜8を形成した。
【0029】
第2のパターン内には、誘電体酸化皮膜2、第1の絶縁性塗膜5の一部7及び導電性塗膜8の一部9が露出している。裏面も同様に処理した。
【0030】
第2のパターン内に、8チャンネルのマルチチャンネルマイクロピペット(SOCOREX社製)を用い、ピロールモノマー30質量%のエタノール溶液5μlを滴下し、1分間放置した後、さらに8チャンネルのマルチチャンネルマイクロピペットを用い、過硫酸アンモニウム0.1mol/lの水溶液10μlを滴下した。その後、5分間放置した後、水洗、乾燥して、導電性プレコート層である化学重合ポリピロール膜を形成した。裏面も同様に処理した。
【0031】
その後、該箔を、アジピン酸アンモニウム水溶液中、電圧40Vで陽極酸化し、誘電体酸化皮膜2を化成修復した。
【0032】
次に、導電性塗膜8の端部の一部分を電源に接続し、ピロールモノマー0.4mol/l、1,7−ナフタレンスルホン酸テトラエチルアンモニウム0.4mol/l及びアセトニトリルの電解液を含むステンレス容器中に浸漬した。導電性塗膜8を陽極とし、ステンレス容器との間に定電流電解重合(0.3mA/ピン、90分)を行い、電解重合ポリピロール膜を形成した。
【0033】
形成させた電解重合ポリピロール膜上に、コロイダルカーボン及び銀ペーストを塗布して、導電体層11を形成した。ついで、粘着テープでリングに固定し、ダイサー(ディスコ製DAD−2H/6)を用いて、図2に示す切断箇所を切断して、16個のコンデンサ素子を作製した。
【0034】
一方、所定の形状の銅合金(Cu−3Ni−0.5Si)表面に、ワット浴により、厚さ2μmの無光沢ニッケルメッキ層を施した後、金属パラジウム浴中で厚さ5μmのパラジウム層を施した。引き続き、シアン浴中、厚さ0.01μmの金層を形成させて、本発明に用いる陽極リード14及びリードフレームを準備した。
【0035】
図3に示すように、先に作製した2個のコンデンサ素子の導電体層11同士が重なり合うように積層し、導電体層11は、金ワイヤーの陰極リード12を介して、上記準備したリードフレームの陰極13に接続した。一方、アルミニウム箔1は、上記準備した陽極リード14を介して、上記準備したリードフレームの陽極15に、超音波ハンダ機で溶接した。
【0036】
次に、エポキシ樹脂でモールドして外装16を施して、定格電圧16V、定格静電容量22μFのアルミニウム固体電解コンデンサを、8個完成した。
【0037】
完成したコンデンサの初期特性の平均値は、120Hzでの静電容量(以下「C」と略記)が10.5μF、120Hzでの損失角の正接(以下「tanδ」と略記)が0.68%、100kHzでのESRが10mΩ、16Vでの漏れ電流(以下「LC」と略記)が0.01μAであった。結果を表1に示す。
【0038】
比較例1
実施例1において、パラジウム層の厚さを0.001μmとした以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム固体電解コンデンサを完成した。完成したコンデンサの初期特性の平均値は、Cが10.3μF、tanδが0.76%、ESRが45mΩ、LCが0.03μAであった。結果を表1に示す。
【0039】
比較例2
実施例1において、パラジウム層の厚さを20μmとした以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム固体電解コンデンサを完成した。完成したコンデンサの初期特性の平均値は、Cが10.3μF、tanδが0.72%、ESRが45mΩ、LCが0.03μAであった。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】
本発明のアルミニウム固体電解コンデンサは、銅合金表面に、順次、ニッケル層、厚さ0.005〜10μmのパラジウム層及び金層を形成させた、陽極リード及びリードフレームを用いることにより、より小さいESRが達成できる。
【0042】
また、本発明のアルミニウム固体電解コンデンサは、コンデンサ素子を複数積層させた場合でも、ESRが小さく、優れたコンデンサ特性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミニウム箔上に絶縁性塗膜でパターンを形成した平面図である。
【図2】切断箇所を示す平面図である。
【図3】本発明のアルミニウム固体電解コンデンサの概略断面図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム箔
2 誘電体酸化皮膜
3 陽極引出部分
4 固体電解質層を形成させる部分
5 第1の絶縁性塗膜
6 第2の絶縁性塗膜
7 第1の絶縁性塗膜の一部
8 導電性塗膜
9 導電性塗膜の一部
10 第3の絶縁性塗膜
11 導電体層
12 陰極リード
13 リードフレームの陰極
14 陽極リード
15 リードフレームの陽極
16 外装
Claims (2)
- 表面に誘電体酸化皮膜が形成されたアルミニウム箔上に、順次、導電性プレコート層及び電解重合導電性高分子膜からなる固体電解質層、導電体層が形成され、アルミニウム箔が陽極リードを介し、また導電体層が陰極リードを介して、リードフレームに各々接続され、外装が施されてなるアルミニウム固体電解コンデンサにおいて、陽極リード及びリードフレームが、銅合金表面に、順次ニッケル層、パラジウム層及び金層を形成させてなることを特徴とするアルミニウム固体電解コンデンサ。
- パラジウム層の厚みが、0.005〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム固体電解コンデンサ。
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JP2002295230A JP2004134462A (ja) | 2002-10-08 | 2002-10-08 | アルミニウム固体電解コンデンサ |
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JP2010177360A (ja) * | 2009-01-28 | 2010-08-12 | Sanyo Electric Co Ltd | 固体電解コンデンサ |
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- 2002-10-08 JP JP2002295230A patent/JP2004134462A/ja active Pending
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