JP2004134104A - ショートアーク型放電ランプ - Google Patents
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Abstract
【課題】大出力、高輝度、ショートアーク化が進んだ反射型液晶、DMD(Digital Micro−mirror Device)用のショートアーク型放電ランプであって発光部を構成する石英ガラスのうち陰極根元に紫外線照射歪を生じさせることもない放電ランプの構造を提供することである。
【解決手段】バルブ中央の発光部11において陰極20と円錐台状の先端部を有する陽極30が対向配置され、発光物質としてキセノンガスが封入されて、陽極30は、その先端面の実質的全域に微小凹凸加工が施されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】バルブ中央の発光部11において陰極20と円錐台状の先端部を有する陽極30が対向配置され、発光物質としてキセノンガスが封入されて、陽極30は、その先端面の実質的全域に微小凹凸加工が施されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はショートアーク型放電ランプに関し、特に、光変調素子に光を照射させてその反射光を利用することで映像を映し出す、いわゆるDLPを使ったプロジェクター装置の光源であるショートアーク型キセノンランプや半導体リソグラフィ用の光源であるショートアーク型水銀ランプに関する。
【0002】
近年、透過型液晶、反射型液晶、DMD(Digital Micro−mirror Device)などの画像素子を大出力光源で光照射させ、その透過光または反射光を拡大投射することにより、スクリーン上に映像を投写するタイプの画像プロジェクターの使用が急速に高まっている。その際の光源としては、透過型液晶画像素子用には従来はメタルハライドランプが主流であったが最近では集光効率の高い超高圧水銀ランプが使用されている。
【0003】
一方、DMDと反射型液晶の反射型画像素子では、比較的低出力のプロジェクター装置においては、透過型と同様にメタルハライドランプや超高圧水銀ランプが使用されているが、光出力の大きいプロジェクター装置に大型のキセノンランプが使用されている。具体的にはkWオーダの高輝度大出力キセノンランプが採用され、特に,最近のXGA、SXGAなどの小型の高精度DMDにおいては、より一層ショートアーク化した大出力キセノンランプを登場するようになった。因みに、大出力のメタルハライドランプの存在するものの、輝度が必ずしも十分ではない。また、透過型液晶画像素子においては、液晶の耐熱性の問題から高密度の光照射ができないため大出力のキセノンランプは、あまり使われていない。
【0004】
つまり、キセノンランプそのものについては、古くから知られるものではあるが、反射型液晶、DMD(Digital Micro−mirror Device)などの画像素子を光照射させるという用途は新しいものであり、このような用途において、大出力、高輝度、ショートアーク化という新しい要求が求められているわけである。
【0005】
図2は、このような新しい用途におけるショートアーク型放電ランプの電極の概略的な拡大構成を示す。
放電ランプは発光空間には陰極20と陽極30が、例えば3.0mm程度の間隙をもって対向配置しており、その間にアーク輝点Pが形成される。このアーク輝点Pから放射光がA,Bに示す方向に放射して、放電ランプの周囲に配置された凹面反射鏡などにより集光などされる。
【0006】
ここで、通常、陽極30は陰極20から電子衝突を受けるため熱容量に関係から支持棒30a(電極棒ともいう)の先端に大型の先端ヘッド30bが形成される。また、陰極20の先端は、支持棒をそのままコーン状に形成させることもあるが、大出力タイプのランプにあっては陽極同様に支持棒より太径の先端ヘッドを設けることが多い。
さらに、陽極30の先端ヘッド30bは、アークを良好に位置決めさせるという理由から、その先端を平面状にしている。
【0007】
しかしながら、大出力、高輝度、ショートアーク化が進んだ反射型液晶、DMD(Digital Micro−mirror Device)用のショートアーク型放電ランプにあっては、アーク輝点Pからの放射光が陽極先端平面で不所望に反射して、図示Cのような放射光を生じさせる。
この放射光は、凹面反射鏡などで良好に補足できないばかりか、強度の強い反射光として発光管を構成する石英ガラスを局部的に照射する。これにより、石英ガラスに歪を生じさせ、これにより放電ランプが破損するという事態を生じかねない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明が解決しようとする課題は、大出力、高輝度、ショートアーク化が進んだ反射型液晶、DMD(Digital Micro−mirror Device)用のショートアーク型放電ランプであって発光部を構成する石英ガラスのうち陰極根元に紫外線照射歪を生じさせることもない放電ランプの構造を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明のショートアーク型放電ランプは、バルブ中央の発光部において陰極と円錐台状の先端部を有する陽極が対向配置され、発光物質としてキセノンガスが封入されて、前記陽極は、その先端面の実質的全域に微小凹凸加工が施されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記凹凸は、幅0.1〜2.0mmの微小な溝から形成されることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、前記凹凸は、渦巻き状、あるいは同心円状に形成されたことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、前記凹凸は、格子型の溝であることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、前記凹凸は、平行な溝であることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明のショートアーク型放電ランプの一実施例を表す。
放電ランプ10は、例えば石英ガラスからなる発光部11とこの発光部から両端に伸びるロッド状の封止部12から構成されている。発光部11には陰極20と陽極30が、2.0〜5.0mmの範囲であって、例えば3.0mmの間隙をもって対向配置しており、その間にアーク輝点Pが形成される。
発光部11は封止部12の管軸方向(図面の左右方向)に細長く伸びる形態、例えば紡錘形をしている。
【0012】
発光部12内には、陰極20と陽極30が対向するように配置している。
陰極20は、例えばタングステンよりなるロッド状のものであって、その先端部分が先端に向かうに従って細くなる概略円錐状に形成されており、後端は封止部12と接合されている。
陽極30は、例えばタングステンからなり、陰極と同様に先端に向かうに従ってその外径が小さくなるように円錐台状に形成され、先端にはアークを受容するだけの先端平面が形成される。陽極30の後端も封止部12と接合されている。
なお、陽極30の先端平面には後述する複数の溝が形成されている。
【0013】
発光部12内には、発光物質としてキセノンガスが封入される。その封入量は、例えば1.5MPa以上(点灯時におけるキセノンガスの動作圧力が6〜10MPa)である。
陰極20と陰極30の後端は、口金13内において、前記のように封止部12の石英ガラスで貫通する形で接合封止されるが、この封止はいわゆる段継シールなどで行なわれる。
【0014】
図3(a)〜(e)は陽極30の先端ヘッドの拡大図を示す。
各図とも共通して、陽極30は先端平面部31、斜面部32、胴体部33より形成されており、先端平面部31には、その全域にわたり微小な凹凸加工が施されている。
このような微小な凹凸加工を先端平面全域に施すことで、アーク輝点から先端平面に向かって照射する放射光は、散乱して反射されることとなり、局部的に発光管を照射することはない。なお、凹凸加工は陽極の先端平面の実質的に全域にわたって形成されるものであり、例えば、部分的に粒が付着するなどにより形成される凹凸では本発明の散乱反射の作用効果を奏することはできない。この点で本発明の微小な凹凸とは、陽極の先端平面にの実質全域にわたって加工されるものであり、アークの保持などの理由からあまり大きな凹凸であってはならない。少なくとも幅2mm以下の微小な凹凸である必要がある。
【0015】
図3(a)は、陽極30の先端平面31に同心円状の微小な溝が形成される。溝の深さは、例えば0.1〜2.0mmの範囲であって、例えば1mmであり、その数は1〜10個の範囲であって、例えば5個形成されている。なお、同心円状ではなく、渦巻き状に溝を形成することもできる。
【0016】
図3(b)は、陽極30の先端平面31に格子型の溝が形成される。溝の深さは、前記と同様であり、格子溝の面積は、0.05〜1.0mm2の範囲であって、例えば0.1m
m2であり、その数は50〜200個の範囲であって、例えば 100 個形成されている。
【0017】
図3(c)は、陽極30の先端平面31に逆かまぼこ型の凹凸が形成される。図3(d)は、陽極30の先端平面31に平行溝が形成される。溝の深さは、例えば0.1〜2.0mmの範囲であって、例えば1mmであり、その数は1〜20個の範囲であって、例えば5個形成されている。
【0018】
図3(e)は、陽極30の先端平面31にかまぼこ型の凹凸が形成される。
【0019】
陽極30について、数値例をあげると、先端ヘッド(先端平面部、斜面部、胴体部)の長さは15mm〜50mmの範囲であって、例えば20mm、胴部の外径は10mm〜25mmの範囲であって、例えば10mmである。また、先端平面は直径2〜25mm範囲であって、例えば3mmである。
また、陰極20についても、数値例をあげると、先端ヘッドに長さは10mm〜25mmの範囲であって、例えば15mm、外径は4mm〜15mmの範囲であって、例えば6mmである。また、先端角は20°〜60°の範囲であって、例えば40°である。なお、陰極20も先端平面部を形成することができるが、通常がアークを安定に発生させるため先端の尖らせた形状となる。
【0020】
なお、上記実施例では発光物質としてキセノンガスを封入したショートアーク型放電ランプを対象としたが、発光物質として水銀を封入した水銀ランプであってもかまわない。
この場合、陰極と陽極の距離、すなわち、電極間距離は2mm〜5mmの範囲であって、例えば3.0mmの間隙をもって対向配置しており、その間にアーク輝点Pが形成される。
なお、陽極の先端平面には、当然ながら、前述した溝が形成されている。
発光部内には、発光物質として水銀が封入され、さらにキセノンガス、アルゴンガス、クリプトンガスなども封入される。その封入量は、例えば水銀30mg/cc、キセノンガス0.2Mpa(点灯時におけるキセノンガスの動作圧力が0.8MPa)である。
【0021】
図4は本発明の効果を示す実験データであり、キセノンを封入したショートアーク型放電ランプの放射光の強度分布を表している。(a)は陽極の先端面に図3(a)で示した微小凹凸加工が施された放電ランプの強度分布を示し、(b)は微小凹凸加工が施されていない放電ランプの強度分布を示している。
両者は凹凸加工の有無を除いて実質的に同一仕様の放電ランプであって、具体的には、キセノンガス1.5Mpa封入しており、定格電力約3000Wで点灯させたものである。
なお、縦軸の数値は一番強度の強いところを100としたときの相対値を表し、放射方向ごとにおける強度が示されている。実験は配光分布測定器(測定器)によって測定された。
【0022】
図4(a)と(b)を比較すると、陽極先端に凹凸加工を施していない(b)においては陰極根元方向である角度35°近傍に紫外線強度の強い部分が見られるのに対し、陽極先端に凹凸加工を施している(a)においては紫外線強度が集中的に強い部分が見当たらず均一に放射されていることが示されている。
つまり、陽極先端に凹凸加工を施していない放電ランプは、陽極の先端平面において強い反射機能を有し放射光が強く反射されているのに対し、陽極先端に凹凸加工を施した放電ランプは、当該凹凸によってアーク輝点からの放射光を散乱反射させていることがわかる。
なお、図4においては図において右方向の放射光分布のみをプロットしているが、これは便宜的なものであり、アーク輝点を中心に全方向に紫外線が放射していることがいうまでもない。
【0023】
以上、説明したように本発明のショートアーク型放電ランプは、陰極と円錐台状の先端部を有する陽極が対向配置されて、陽極の先端面の実質的全域に微小凹凸加工が施されているので、アーク輝点からの放射光を微小凹凸加工で散乱させることができる。このため、陽極先端面からの反射光が発光管の一部を集中的に直射するという問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るショートアーク型放電ランプを示す。
【図2】電極の概略的な拡大構成を示す。
【図3】この発明の陽極の先端ヘッドを示す。
【図4】この発明の効果を示す。
【符号の説明】
10 放電ランプ
11 発光部
12 封止部
20 陰極
30 陽極
【発明の属する技術分野】
この発明はショートアーク型放電ランプに関し、特に、光変調素子に光を照射させてその反射光を利用することで映像を映し出す、いわゆるDLPを使ったプロジェクター装置の光源であるショートアーク型キセノンランプや半導体リソグラフィ用の光源であるショートアーク型水銀ランプに関する。
【0002】
近年、透過型液晶、反射型液晶、DMD(Digital Micro−mirror Device)などの画像素子を大出力光源で光照射させ、その透過光または反射光を拡大投射することにより、スクリーン上に映像を投写するタイプの画像プロジェクターの使用が急速に高まっている。その際の光源としては、透過型液晶画像素子用には従来はメタルハライドランプが主流であったが最近では集光効率の高い超高圧水銀ランプが使用されている。
【0003】
一方、DMDと反射型液晶の反射型画像素子では、比較的低出力のプロジェクター装置においては、透過型と同様にメタルハライドランプや超高圧水銀ランプが使用されているが、光出力の大きいプロジェクター装置に大型のキセノンランプが使用されている。具体的にはkWオーダの高輝度大出力キセノンランプが採用され、特に,最近のXGA、SXGAなどの小型の高精度DMDにおいては、より一層ショートアーク化した大出力キセノンランプを登場するようになった。因みに、大出力のメタルハライドランプの存在するものの、輝度が必ずしも十分ではない。また、透過型液晶画像素子においては、液晶の耐熱性の問題から高密度の光照射ができないため大出力のキセノンランプは、あまり使われていない。
【0004】
つまり、キセノンランプそのものについては、古くから知られるものではあるが、反射型液晶、DMD(Digital Micro−mirror Device)などの画像素子を光照射させるという用途は新しいものであり、このような用途において、大出力、高輝度、ショートアーク化という新しい要求が求められているわけである。
【0005】
図2は、このような新しい用途におけるショートアーク型放電ランプの電極の概略的な拡大構成を示す。
放電ランプは発光空間には陰極20と陽極30が、例えば3.0mm程度の間隙をもって対向配置しており、その間にアーク輝点Pが形成される。このアーク輝点Pから放射光がA,Bに示す方向に放射して、放電ランプの周囲に配置された凹面反射鏡などにより集光などされる。
【0006】
ここで、通常、陽極30は陰極20から電子衝突を受けるため熱容量に関係から支持棒30a(電極棒ともいう)の先端に大型の先端ヘッド30bが形成される。また、陰極20の先端は、支持棒をそのままコーン状に形成させることもあるが、大出力タイプのランプにあっては陽極同様に支持棒より太径の先端ヘッドを設けることが多い。
さらに、陽極30の先端ヘッド30bは、アークを良好に位置決めさせるという理由から、その先端を平面状にしている。
【0007】
しかしながら、大出力、高輝度、ショートアーク化が進んだ反射型液晶、DMD(Digital Micro−mirror Device)用のショートアーク型放電ランプにあっては、アーク輝点Pからの放射光が陽極先端平面で不所望に反射して、図示Cのような放射光を生じさせる。
この放射光は、凹面反射鏡などで良好に補足できないばかりか、強度の強い反射光として発光管を構成する石英ガラスを局部的に照射する。これにより、石英ガラスに歪を生じさせ、これにより放電ランプが破損するという事態を生じかねない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明が解決しようとする課題は、大出力、高輝度、ショートアーク化が進んだ反射型液晶、DMD(Digital Micro−mirror Device)用のショートアーク型放電ランプであって発光部を構成する石英ガラスのうち陰極根元に紫外線照射歪を生じさせることもない放電ランプの構造を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明のショートアーク型放電ランプは、バルブ中央の発光部において陰極と円錐台状の先端部を有する陽極が対向配置され、発光物質としてキセノンガスが封入されて、前記陽極は、その先端面の実質的全域に微小凹凸加工が施されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記凹凸は、幅0.1〜2.0mmの微小な溝から形成されることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、前記凹凸は、渦巻き状、あるいは同心円状に形成されたことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、前記凹凸は、格子型の溝であることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、前記凹凸は、平行な溝であることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明のショートアーク型放電ランプの一実施例を表す。
放電ランプ10は、例えば石英ガラスからなる発光部11とこの発光部から両端に伸びるロッド状の封止部12から構成されている。発光部11には陰極20と陽極30が、2.0〜5.0mmの範囲であって、例えば3.0mmの間隙をもって対向配置しており、その間にアーク輝点Pが形成される。
発光部11は封止部12の管軸方向(図面の左右方向)に細長く伸びる形態、例えば紡錘形をしている。
【0012】
発光部12内には、陰極20と陽極30が対向するように配置している。
陰極20は、例えばタングステンよりなるロッド状のものであって、その先端部分が先端に向かうに従って細くなる概略円錐状に形成されており、後端は封止部12と接合されている。
陽極30は、例えばタングステンからなり、陰極と同様に先端に向かうに従ってその外径が小さくなるように円錐台状に形成され、先端にはアークを受容するだけの先端平面が形成される。陽極30の後端も封止部12と接合されている。
なお、陽極30の先端平面には後述する複数の溝が形成されている。
【0013】
発光部12内には、発光物質としてキセノンガスが封入される。その封入量は、例えば1.5MPa以上(点灯時におけるキセノンガスの動作圧力が6〜10MPa)である。
陰極20と陰極30の後端は、口金13内において、前記のように封止部12の石英ガラスで貫通する形で接合封止されるが、この封止はいわゆる段継シールなどで行なわれる。
【0014】
図3(a)〜(e)は陽極30の先端ヘッドの拡大図を示す。
各図とも共通して、陽極30は先端平面部31、斜面部32、胴体部33より形成されており、先端平面部31には、その全域にわたり微小な凹凸加工が施されている。
このような微小な凹凸加工を先端平面全域に施すことで、アーク輝点から先端平面に向かって照射する放射光は、散乱して反射されることとなり、局部的に発光管を照射することはない。なお、凹凸加工は陽極の先端平面の実質的に全域にわたって形成されるものであり、例えば、部分的に粒が付着するなどにより形成される凹凸では本発明の散乱反射の作用効果を奏することはできない。この点で本発明の微小な凹凸とは、陽極の先端平面にの実質全域にわたって加工されるものであり、アークの保持などの理由からあまり大きな凹凸であってはならない。少なくとも幅2mm以下の微小な凹凸である必要がある。
【0015】
図3(a)は、陽極30の先端平面31に同心円状の微小な溝が形成される。溝の深さは、例えば0.1〜2.0mmの範囲であって、例えば1mmであり、その数は1〜10個の範囲であって、例えば5個形成されている。なお、同心円状ではなく、渦巻き状に溝を形成することもできる。
【0016】
図3(b)は、陽極30の先端平面31に格子型の溝が形成される。溝の深さは、前記と同様であり、格子溝の面積は、0.05〜1.0mm2の範囲であって、例えば0.1m
m2であり、その数は50〜200個の範囲であって、例えば 100 個形成されている。
【0017】
図3(c)は、陽極30の先端平面31に逆かまぼこ型の凹凸が形成される。図3(d)は、陽極30の先端平面31に平行溝が形成される。溝の深さは、例えば0.1〜2.0mmの範囲であって、例えば1mmであり、その数は1〜20個の範囲であって、例えば5個形成されている。
【0018】
図3(e)は、陽極30の先端平面31にかまぼこ型の凹凸が形成される。
【0019】
陽極30について、数値例をあげると、先端ヘッド(先端平面部、斜面部、胴体部)の長さは15mm〜50mmの範囲であって、例えば20mm、胴部の外径は10mm〜25mmの範囲であって、例えば10mmである。また、先端平面は直径2〜25mm範囲であって、例えば3mmである。
また、陰極20についても、数値例をあげると、先端ヘッドに長さは10mm〜25mmの範囲であって、例えば15mm、外径は4mm〜15mmの範囲であって、例えば6mmである。また、先端角は20°〜60°の範囲であって、例えば40°である。なお、陰極20も先端平面部を形成することができるが、通常がアークを安定に発生させるため先端の尖らせた形状となる。
【0020】
なお、上記実施例では発光物質としてキセノンガスを封入したショートアーク型放電ランプを対象としたが、発光物質として水銀を封入した水銀ランプであってもかまわない。
この場合、陰極と陽極の距離、すなわち、電極間距離は2mm〜5mmの範囲であって、例えば3.0mmの間隙をもって対向配置しており、その間にアーク輝点Pが形成される。
なお、陽極の先端平面には、当然ながら、前述した溝が形成されている。
発光部内には、発光物質として水銀が封入され、さらにキセノンガス、アルゴンガス、クリプトンガスなども封入される。その封入量は、例えば水銀30mg/cc、キセノンガス0.2Mpa(点灯時におけるキセノンガスの動作圧力が0.8MPa)である。
【0021】
図4は本発明の効果を示す実験データであり、キセノンを封入したショートアーク型放電ランプの放射光の強度分布を表している。(a)は陽極の先端面に図3(a)で示した微小凹凸加工が施された放電ランプの強度分布を示し、(b)は微小凹凸加工が施されていない放電ランプの強度分布を示している。
両者は凹凸加工の有無を除いて実質的に同一仕様の放電ランプであって、具体的には、キセノンガス1.5Mpa封入しており、定格電力約3000Wで点灯させたものである。
なお、縦軸の数値は一番強度の強いところを100としたときの相対値を表し、放射方向ごとにおける強度が示されている。実験は配光分布測定器(測定器)によって測定された。
【0022】
図4(a)と(b)を比較すると、陽極先端に凹凸加工を施していない(b)においては陰極根元方向である角度35°近傍に紫外線強度の強い部分が見られるのに対し、陽極先端に凹凸加工を施している(a)においては紫外線強度が集中的に強い部分が見当たらず均一に放射されていることが示されている。
つまり、陽極先端に凹凸加工を施していない放電ランプは、陽極の先端平面において強い反射機能を有し放射光が強く反射されているのに対し、陽極先端に凹凸加工を施した放電ランプは、当該凹凸によってアーク輝点からの放射光を散乱反射させていることがわかる。
なお、図4においては図において右方向の放射光分布のみをプロットしているが、これは便宜的なものであり、アーク輝点を中心に全方向に紫外線が放射していることがいうまでもない。
【0023】
以上、説明したように本発明のショートアーク型放電ランプは、陰極と円錐台状の先端部を有する陽極が対向配置されて、陽極の先端面の実質的全域に微小凹凸加工が施されているので、アーク輝点からの放射光を微小凹凸加工で散乱させることができる。このため、陽極先端面からの反射光が発光管の一部を集中的に直射するという問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るショートアーク型放電ランプを示す。
【図2】電極の概略的な拡大構成を示す。
【図3】この発明の陽極の先端ヘッドを示す。
【図4】この発明の効果を示す。
【符号の説明】
10 放電ランプ
11 発光部
12 封止部
20 陰極
30 陽極
Claims (5)
- バルブ中央の発光部において陰極と円錐台状の先端部を有する陽極が対向配置され、発光物質が封入されたショートアーク型放電ランプにおいて、
前記陽極は、その先端面の実質的全域に微小凹凸加工が施されていることを特徴とするショートアーク型放電ランプ。 - 前記凹凸は、幅0.1〜2.0mmの微小な溝から形成されることを特徴とする請求項1のショートアーク型放電ランプ。
- 前記凹凸は、渦巻き状、あるいは同心円状に形成されたことを特徴とする請求項1のショートアーク型放電ランプ。
- 前記凹凸は、格子型の溝であることを特徴とする請求項1のショートアーク型放電ランプ。
- 前記凹凸は、平行な溝であることを特徴とする請求項1のショートアーク型放電ランプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002294719A JP2004134104A (ja) | 2002-10-08 | 2002-10-08 | ショートアーク型放電ランプ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002294719A JP2004134104A (ja) | 2002-10-08 | 2002-10-08 | ショートアーク型放電ランプ |
Publications (1)
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JP2004134104A true JP2004134104A (ja) | 2004-04-30 |
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JP2002294719A Withdrawn JP2004134104A (ja) | 2002-10-08 | 2002-10-08 | ショートアーク型放電ランプ |
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JP (1) | JP2004134104A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102009022266A1 (de) | 2008-05-27 | 2009-12-03 | Ushiodenki Kabushiki Kaisha | Xenonlampe |
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2002
- 2002-10-08 JP JP2002294719A patent/JP2004134104A/ja not_active Withdrawn
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