JP2004133642A - 多系統流量制御装置及びその制御方法 - Google Patents

多系統流量制御装置及びその制御方法 Download PDF

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Nobuhiro Nagai
永井 伸浩
Shigeru Matsuo
松尾  茂
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Abstract

【課題】低価格化を図り、かつ、効率のよいプラント運用を可能とする。
【解決手段】各流体流入系統の流体流量検出器1a〜1nからのプロセス検出流量加算値と、目標流量設定器70からのトータル目標流量設定値から調節信号MVを演算するPID演算器50と、この調節信号MVの上下限によって制御系統の切替えを行い、制御系接続回路4a〜4nをON/OFFすることによって、PID制御系統を1系統に限定する制御系統判定手段40を設けることによって上記PID演算器50にて複数の流体流入系統を制御することを可能とする。
【効果】制御系統判定手段により、制御する流体流入系統を1系統に限定したことによって、1台のPID演算器にてトータル流量を制御することを実現し各系統毎のPID演算器を不要としたことで制御装置の低価格化を図ることができ、かつ効率のよいプラント運用を実現する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流量制御装置及び流量制御方法に係り、特に、複数の流体流入系統をそれぞれ流量調整して流量制御するのに好適な多系統流量制御装置及び流量制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2001−42949号公報
従来、浄水場設備は設備停止による社会的影響の大きさから現場での機器単体操作を重視したプラント監視システムが主流であった。しかし、近年、監視操作員の不足や計算機の進歩に伴い、計算機を多重化する等により設備停止の危険性を回避し且つ少人数の監視員で監視可能な中央での一元監視操作によるプラント監視システムが主流となっている。このような流れにより、従来複数の流入系統から同一地点へ流入するプラントでは各系統のアクチュエータを直接操作することによりトータル流体流量を調整している。このような技術は、例えば、特開2001−42949号公報に記載されている。
【0003】
ところで、トータル流体流量目標値を中央から設定することにより各系統の流体流入系統を自動制御する流量制御装置が求められている。この装置では、目標とするトータル流体流量を分配する。各系統は分配された目標値に従い流体流量を制御している。したがって、流体流入系統毎に流体流量を制御するPID演算器を必要とする。そのため、流体流入系統数が多くなるほどその制御装置は煩雑な回路となってしまう。
【0004】
流体流量検出部と流体流量を調節するアクチュエータをもつ流体流入系統から流入するトータル流体流量について、トータル目標流量設定器にて設定されたトータル目標流量QSVを設定された分配比率に従い各流体流入系統の目標流量QSVa〜QSVnに分配する。分配された各系統の目標流量と流体流量検出部からのプロセス検出流量の偏差からアクチュエータへの調節信号MVa〜MVnを演算する。さらに、調節信号MVa〜MVnを出力する。
【0005】
分配比率設定器にてあらかじめ設定された各流体流入系統への分配比率Ra〜Rn(Ra+Rb+…+Rn=1)に従いトータル目標流量QSVを各系統の目標流量QSVα=Rα×QSVα(α:a〜n)へ分配する。各流体流入系統では分配された目標流量QSVa〜QSVnとプロセス検出流量をPID演算器し、アクチュエータへの調節信号MVa〜MVnを演算する。
【0006】
すなわち、トータル目標流量QSVを各流体流入系統の目標流量QSVa〜QSVnに分配し、これら分配された各流体流入系統の目標流量に従い系統単位に流量制御することによりトータル目標流量の確保を行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の制御装置では、流体流量検出部の異常や現場モード等の要因にて制御不可の流体流入系統が存在する場合等に各流体流入系統への分配比率を再設定する必要が生じる。また、分配された流体流入系統毎の目標流量QSVa〜QSVnとプロセス検出流量からアクチュエータ操作信号MVa〜MVnを演算するためのPID演算器をn個必要とし、そのため制御装置のコストが上がる。
【0008】
さらに、トータル目標流量を各流体流入系統へ分配し系統単位に流量制御を行っているために結果としてトータル流量の過不足が発生する問題がある。2系統にて流量制御を行う場合、トータル目標流量QSVは目標流量分配器によりそれぞれの系統の目標流量QSVa,QSVbに分配され、各々の流体流入系統では流量検出器からのプロセス検出流量Qa,Qbが目標流量QSVa,QSVbになるようにアクチュエータを制御する。しかし、各々の制御系には調整不可領域GAPa,GAPbが有るためにトータルのプロセス検出流量ΣQはトータル目標流量QSVから2系統の調整不可領域合計ΣGAP分の過不足を生じる。この調整不可領域合計ΣGAPは流体流入系統数が多くなるほど大きい値となる。
【0009】
また、トータル目標流量を確保するのに必要な流体流入系統のみを制御するのではなく、トータル目標流量を全ての流体流入系統へ分配し、これら分配された目標流量に従い系統毎に流量制御するために全流体流入系統のアクチュエータを動作させることとなり、その結果としてアクチュエータの動作電力や摩耗等ランニングコストが高い。
【0010】
本発明の目的は少なくとも上記問題点の1つを解決することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、複数のアクチュエータのうちの1つを除いた他のアクチュエータに流量が略一定となるように操作信号を出力し、複数のアクチュエータのうちの1つに合流流体流量が目標値となるように操作信号を出力するように構成した。
【0012】
或いは、各流体流入系統の検出流量の合算値と目標値との偏差からフィードバック演算して調節信号を出力する演算手段と、演算手段の調節信号が上下限の値となった場合に流体流入系統を1系統選択すると共に、他のアクチュエータから選択された1系統のアクチュエータに切替えて調節信号を操作信号として出力する制御系統判定手段を有するように構成した。
【0013】
好ましくは、トータル目標流量を設定するトータル目標流量設定器と各流体流入系統の流体流量検出器からのプロセス検出流量の合計値を演算する加算器とトータル目標流量設定器の出力と加算器の出力との偏差からアクチュエータ調節信号MVを演算するPID演算器と、PID演算器にて演算された調節信号の大きさから制御実施する系統を1系統のみ選択する制御系統判定手段を設け、この制御系統判定手段にて選択された流体流入系統のアクチュエータへの操作出力器に対してのみPID演算器にて演算された調節信号MVを出力することにより、1台のPID演算器にて独立した複数の流体流入系統から同一地点へ流入するトータル流体流量の制御を実施する。
【0014】
さらに、好ましくは、PID演算器にて演算された調節信号を出力する流体流入系統を常に1系統に限定することにより、目標流量の過不足を1系統の調整不可領域内に抑える。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の流量制御装置の構成を示すもので、各々独立した流体流入系統a〜nにそれぞれ流体流量検出部1a〜1n及び、流体流量を調節するアクチュエータ2a〜2nが設置されており、流体流入系統a〜nは同一地点へ流出する構成となっている。尚、図1において、各流体流入系統の流体流量を調節するアクチュエータに調節弁を図示したが、可変速ポンプ等流体流量を調節するアクチュエータで構成されるプラントでも本発明の効果は損なわれない。
【0017】
本発明の流量制御装置100は、トータル目標流量QSVを設定するトータル目標流量設定器70と各流体流入系統の流体流量検出部(あるいは流体流量検出器と称す。以下同様。)1a〜1nからのプロセス検出流量の加算値ΣQを演算する加算器60と、トータル目標流量設定器70にて設定されたトータル目標流量QSVと加算器60にて演算された流体流量合計値ΣQの偏差から調節信号MVを演算するPID演算器50と、PID演算器50にて演算された調節信号MVの大きさから制御系統の切替要求を判定し制御系接続回路4a〜4nを切替えることによって、調節信号MVを出力する系統を1系統のみ選択する制御系統判定手段40とアクチュエータ2a〜2nの操作信号MVa〜MVnへ調節信号MVを出力する操作信号出力器3a〜3nで構成される。
【0018】
次に、本発明の制御系統判定手段の動作について図2,図3を参照し説明する。図3にて時間T0にトータル目標流量QSVが設定されると、図2においてステップS0からステップS1に移行して制御系統判定手段40は、制御を実施する流体流入系統を1系統のみ選択する。この選択手法としては、複数の流体流入系統に対し昇順に順番を付けて若い番号の系統のアクチュエータから運転/停止させる手法や、運転時間の短いアクチュエータを運転し、運転時間の長いアクチュエータを停止させる選択手法等がある。本発明はこれら選択手法を制限するものではなく、いかなる選択手法を用いても本発明の効力に影響を与えることはない。よって選択手法はアクチュエータの特徴,プラント運用方法等によって本発明を実施するプラントに促した手法を選定する。
【0019】
ここで流体流入系統aが制御実施系統と選択されステップS2へ移行する。ステップS2では、PID演算器50の演算を流体流入系統a〜nの現状値から開始させるために、アクチュエータ調節信号MVa〜MVnをPID演算器50の演算値である調節信号MVへ初期値として入力する。この例では流体流入系統aのアクチュエータ調節信号MVa(MVa=0)をPID演算器調節信号MVへ入力する。次に、ステップS3に移行して制御系接続回路4aをONすることによって選択された流体流入系統aをPID演算器50へ接続し、ステップS4へ移行してPID演算器50のPID演算を開始する。S5において、制御系統判定手段40は、PID演算器50の演算値である調節信号MVを流体流入系統aの操作信号出力器3aへ操作信号MVaとして出力する。選択された流体流入系統aのアクチュエータ2aはMVaに従い流体流入系統のプロセス流量加算値ΣQがトータル目標流量QSVとなるように制御される。
【0020】
図3にて時間T2にトータル目標流量QSVが増加し、流体流入系統aの調節信号MVaが100%に到達してもPID演算器50の演算が制御GAP内で安定しない時、すなわちプロセス検出流量加算値ΣQがトータル目標流量QSVに到達できない時は図2ステップS6にて調節信号MVa=100%一定時間(時間T)継続を判定して、ステップS8へ移行する。次に、ステップS8にて制御系接続回路4aをOFFすることによって流体流入系統aをPID演算器50から切り離してアクチュエータ2aの操作信号MVaを100%固定とする。ステップS8にてPID演算器50へ接続している制御系が無くなることによって、ステップS9においてPID演算器50の演算は停止して再びステップS1へ戻り、制御系統判定手段40は、停止している流体流入系統b〜nから次の制御系統を選択する。図3において時間T3に制御系統判定手段40は流体流入系統bを次の制御系統に選択してステップS2にて流体流入系統bの調節信号MVb(=0)をPID演算器調節信号MVへ初期値として入力し流体流入系統bのアクチュエータ2bを制御することによりプロセス流量加算値ΣQがトータル目標流量QSVになるよう流体流入系統bの調節信号MVbを演算する。時間T4にトータル目標流量QSVが増加して流体流入系統bの調節信号MVbが100%となり、ステップS8にて制御系接続回路4bをOFFして調節信号MVb=100%固定として、時間T5に次の制御系統に流体流入系統cを選択する。
【0021】
時間T6にトータル目標流量QSVが減少して流体流入系統cの調節信号MVcが0%に到達してもPID演算器(制御手段)50のPID演算が制御GAP内で安定しない時すなわちプロセス検出流量加算値ΣQがトータル目標流量QSVより多い時はステップS7にて調節信号MVc=0%一定時間(時間Tを判定してステップS8にて制御系接続回路4cをOFFすることによって流体流入系統cをPID演算器50から切り離し、切り離した流体流出系統cのアクチュエータ操作信号MVcは0%固定、すなわち停止状態となり、ステップS1の制御系統選択にて運転している流体流入系統a・bから次の制御系統を選択する。ここで流体流入系統aが次の制御実施系統に選択されステップS2にて流体流入系統aの調節信号MVa(=100%)をPID演算器50の調節信号MVへ初期値として入力してステップS3にて制御系接続回路4aをONしてプロセス検出流量加算値ΣQがトータル目標流量QSVとなるように流体流入系統aのアクチュエータ2aの調節信号MVaを演算する。
【0022】
本実施例では、制御系統判定手段40での制御系接続回路4a〜4nを切替える条件を制御実施している流体流入系統の調節信号MVa〜MVn=100%又は0%として説明したが、この値は本発明を実施するプラント構成やアクチュエータの特徴により可変とする。
【0023】
また、制御中の流体流入系統a〜nの流量検出器1a〜1n異常時やアクチュエータ2a〜2n異常時に制御系統判定手段40にて制御系接続回路4a〜4nをOFFすることによって制御系統から異常発生した流体流入系統を切離して異常発生した流体流入系統のアクチュエータ2a〜2nへの操作信号を0%とし、新たに正常な流体流入系統から制御系統を選択することによってプラントの異常時に他の系統へ影響を与えずにトータル流体流量の安定的継続性を確保できる。
【0024】
本実施例によれば、制御系統判定手段40により制御を実施する流体流入系統を1系統に限定し、かつ制御系統が切替わる際にPID演算を初期化することによって、流体流入系統毎にPID演算器を持つことなく1台のPID演算器によって複数の独立した流体流入系統から流入するトータル流入流量を制御することが可能となり、また、アクチュエータの運転台数を最小限に抑えることによって、アクチュエータの動作電力を軽減でき、さらに、制御安定状態でのトータル目標流量とプロセス検出流量加算値との偏差を1系統分の制御GAP内に抑えることにより精度の高い制御を可能とし、また、流体流入系統に異常が発生した場合でもトータル流体流量の安定的継続性を確保することができる。
【0025】
このように、制御系統判定手段により制御実施する流体流入系統を1系統に限定することによって、1台のPID演算器による複数の流体流入系統から流入する流体流量を制御することが可能となり、制御装置の単純化を実現できる。また、使用系統を最小限に抑えることができるため、アクチュエータの動作電力・摩耗を抑えることができる。さらに、制御実施する流体流入系統を常に1系統に限定することによって、制御実施する系統に異常が発生して制御不可となった場合は正常な系統へ制御実施する系統を切替えてトータル流体流量の安定的継続性を確保できる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、制御装置の単純化を実現できる。また、アクチュエータの動作電力・摩耗を抑えることができる共に、安定的継続性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる流量制御装置構成図。
【図2】本発明に係わる制御系統判定手段動作フロー図。
【図3】本発明に係わる流量制御装置によるプラント動作例を示す説明図。
【符号の説明】
a〜n…流体流入系統、1a〜1n…流体流量検出器、2a〜2n…アクチュエータ、3a〜3n…操作信号出力器、40…制御系統判定手段、4a〜4n…制御系接続回路、50,5a〜5n…PID演算器、60…プロセス検出流量加算器、70…目標流量設定器。

Claims (10)

  1. 複数の流体流入系統をそれぞれ流量調整する複数のアクチュエータに対して、それぞれ、操作信号を出力して制御することで合流流体流量が目標流量となるように制御する流量制御装置において、前記流量制御装置は、前記複数のアクチュエータのうちの1つを除いた他のアクチュエータに流量が略一定となるように操作信号を出力し、前記複数のアクチュエータのうちの1つに合流流体流量が目標値となるように操作信号を出力するように構成したことを特徴とする多系統流量制御装置。
  2. 請求項1において、前記1つのアクチュエータに出力された操作信号が所定値になると流量が略一定となるように操作信号を固定し、他のアクチュエータの1つに対して合流流体流量が目標値となるように操作信号を出力するよう、操作信号の出力を切替えることを特徴とする多系統流量制御装置。
  3. 請求項2において、複数の流体流入系統に予め番号を付しおき、前記操作信号の切替えは前記番号順になすことを特徴とする多系統流量制御装置。
  4. 請求項2において、前記操作信号の切替えは、運転時間の短いアクチュエータを起動し、運転時間の長いアクチュエータを停止することを特徴とする多系統流量制御装置。
  5. 請求項2において、前記操作信号の切替えは、操作信号が所定値になってから所定時間後になすことを特徴とする多系統流量制御装置。
  6. 請求項2において、操作信号を固定する値はプラント構成或いはアクチュエータの特徴に応じて可変とすることを特徴とする多系統流量制御装置。
  7. 請求項6において、前記操作信号の固定は0%或いは100%であることを特徴とする多系統流量制御装置。
  8. 請求項2乃至7において、前記操作信号はPID制御によるものであることを特徴とする多系統流量制御装置。
  9. 各々独立した複数の流体流入系統から合流して流入する合流流体流量を制御する流量制御装置において、各流体流入系統の検出流量の合算値と目標値との偏差からフィードバック演算して調節信号を出力する演算手段と、前記演算手段の調節信号が上下限の値となった場合に流体流入系統を1系統選択すると共に、他のアクチュエータから前記選択された1系統のアクチュエータに切替えて前記調節信号を操作信号として出力する制御系統判定手段を有することを特徴とする多系統流量制御装置。
  10. 複数の流体流入系統をそれぞれ流量調整する複数のアクチュエータのうちの1つを除いた他のアクチュエータに流量が略一定となるように操作信号を出力し、前記複数のアクチュエータのうちの1つに合流流体流量が目標値となるように操作信号を出力することを特徴とする多系統流量制御方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009199432A (ja) * 2008-02-22 2009-09-03 Advance Denki Kogyo Kk 流体の切換制御方法及び切換制御装置
KR101251111B1 (ko) * 2010-11-01 2013-04-04 이태일 수 처리 약품을 투입하여 수질 목표값을 유지하기 위한 pid 자동제어용 plc 시스템

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