JP2004133557A - 受益権発行装置、受益権発行方法、及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】株式市場で取引される個別株式を取得させ、個別株式及び他の株式を含む投資信託の受益権を発行させる受益権発行装置は、個別株式の株式識別情報と取得希望期日を取得し、この個別株式の株式市場での現在価格を取得し、受益権価格を取得し、現在価格、取得希望期日、及び受益権価格に基づいて投資信託受益権取得権利と個別株式との交換比率を算出して出力し、個別株式を交換比率で受益権取得権利と交換することに応じる提供了承通知を取得し、この通知が取得された場合に受益権取得権利を交換比率で個別株式と交換する処理を行い、投資信託を構成する全ての個別株式及び他の株式が取得された場合に受益権の発行処理を実行し、受益権を受益権取得権利と交換する処理を行う。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、受益権発行装置、受益権発行方法、及びプログラムに関する。特に本発明は、株式市場に上場されている個別株式と、当該個別株式を含んで構成される投資信託との交換処理を行う受益権発行装置、受益権発行方法、及びプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
株価指数を構成する全銘柄の株式を所定の割合で含むことを条件に、株式市場に上場可能となる上場投資信託が取り引きされている(非特許文献1参照)。従来、新たに上場投資信託を組成する場合に、機関投資家等は、自己資金により必要な株式を株式市場等から調達している(非特許文献2参照)。
【0003】
【非特許文献1】
日本経済新聞、平成14年1月29日夕刊「入門マネーレッスン」
【0004】
【非特許文献2】
NRI野村総合研究所資本市場研究部発行「資本市場クォータリー」
平成12年 Vol.4 No.1夏号P219−221
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法によると、機関投資家等は、上場投資信託の組成に必要な数量の個別株式を株式市場で購入する場合に、株式市場での個別株式の株価にマーケットインパクトを与えるおそれがある。
そこで本発明は、上記の課題を解決することのできる受益権発行装置、受益権発行方法、及びプログラムを提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の第1の形態によると、株式市場で取引される株式である個別株式を株式市場を通さずに取得させると共に、個別株式及び他の株式を予め定められた構成比率で含む投資信託の受益権を発行させる受益権発行装置は、個別株式を識別する株式識別情報及び個別株式の取得希望期日を取得してメモリに格納する個別株式情報取得部と、メモリに格納された株式識別情報で識別される個別株式の、株式市場における現在価格を示す株価及び/又は指値の価格に対応付けられた指値注文の数を示す板情報を取得して、メモリに格納する市場情報取得部と、受益権の価格である受益権価格を取得してメモリに格納する投資信託情報取得部と、メモリに格納された株価及び/又は板情報、取得希望期日、並びに受益権価格に基づいて、投資信託の受益権を取得する権利である受益権取得権利と、個別株式との交換比率を算出して出力すると共にメモリに格納する交換比率出力部と、個別株式を交換比率に基づいて受益権取得権利と交換することに応じる旨を示す提供了承通知を取得してメモリに格納する提供了承通知取得部と、提供了承通知が取得された場合に、交換比率をメモリから読み出し、受益権取得権利を当該交換比率に基づいて個別株式と交換する処理を行う受益権取得権利交換執行部と、投資信託を構成する全ての個別株式及び他の株式が取得された場合に、受益権の発行処理を実行させ、受益権を受益権取得権利と交換する処理を行う受益権交換部とを備える。
【0007】
また、交換比率は、単位数量の個別株式に対する交換対象である受益権取得権利の数量を示し、交換比率出力部は、交換比率をメモリに格納する日から取得希望日までの期間である残存期間が予め定められた目標期間より短いと判断した場合に、残存期間が目標期間より長いと判断した場合より大きい交換比率を出力してもよい。
また、市場情報取得部は、メモリに格納された株式識別情報で識別される個別株式の、株式市場における板情報を取得して、メモリに格納し、個別株式情報取得部は、更に、個別株式の取得希望数量を取得しメモリに格納し、交換比率出力部は、板情報に基づいて、取得希望数量分の個別株式を、株式市場で買う場合の平均購入価格を算出し、当該平均購入価格及び受益権価格に基づいて、交換比率を算出して出力すると共にメモリに格納してもよい。
【0008】
また、市場情報取得部は、株式市場における個別株式の出来高を示す出来高情報を更に取得してメモリに格納し、交換比率出力部は、メモリに格納された株式識別情報により識別される個別株式の、メモリに格納された出来高情報が示す出来高に対する取得希望数量の割合である対出来高取得希望数量が、株式識別情報に対応して予め定められた出来高基準割合を下回ると判断した場合に、交換比率を出力し、対出来高取得希望数量が出来高基準割合を上回ると判断された場合に、受益権取得権利を個別株式と交換すべきでない旨を示す情報を出力してもよい。
また、交換比率は、単位数量の個別株式に対する交換対象である受益権取得権利の数量を示し、提供了承通知取得部は、交換了承通知に対応付けて、更に個別株式の提供希望数量をメモリに格納し、メモリに格納された提供希望数量がメモリに格納された取得希望数量を満たすか否かを判断し、提供希望数量が取得希望数量に満たないと判断された場合に、交換比率出力部は、提供希望数量に基づいて、交換比率を小さくしてもよい。
【0009】
また、投資信託は、個別株式と他の株式とを構成比率で含むことを条件として、株式市場に上場可能となる上場投資信託であり、個別株式情報取得部は、新たに組成される上場投資信託の組成予定日を取得希望期日として、当該上場投資信託を組成するために不足する株式を識別する情報を株式識別情報として、当該上場投資信託を組成するために不足する株式数を取得希望数量としてそれぞれ取得しメモリに格納してもよい。
また、取得希望期日までに提供了承通知が取得されない場合に、受益権交換部は、株式市場から買い付けることにより取得した個別株式を用いて、投資信託の受益権を発行する処理を行い、交換比率出力部は、交換が成立しないと仮定した場合に個別株式と交換されずに余剰する受益権の数量である受益権余剰数量を、株価及び/又は板情報、受益権価格、並びに取得希望数量を用いて算出してメモリに格納し、更に、メモリに格納された当該受益権余剰数量に基づいて、交換比率を算出してメモリに格納すると共に出力してもよい。
また、交換比率出力部は、受益権余剰数量分の受益権を株式市場で売却するコストである売却コストを算出してメモリに格納し、メモリに格納された当該売却コストに基づき、交換比率を算出してメモリに格納すると共に出力してもよい。
【0010】
また、交換比率出力部は、受益権余剰数量分の受益権の、株式市場における価格変動リスクを低減するためのリスクヘッジコストを算出してメモリに格納し、メモリに格納された当該リスクヘッジコストに基づき、交換比率を算出して出力してもよい。
本発明の第2の形態によると、株式市場で取引される株式である個別株式を株式市場を通さずに取得させると共に、個別株式及び他の株式を予め定められた構成比率で含む投資信託の受益権をコンピュータにより発行させる受益権発行方法は、コンピュータにより、個別株式を識別する株式識別情報及び個別株式の取得希望期日を取得してメモリに格納させる段階と、メモリに格納された株式識別情報で識別される個別株式の、株式市場における現在価格を示す株価及び/又は指値の価格に対応付けられた指値注文の数を示す板情報を取得して、メモリに格納させる段階と、受益権の価格である受益権価格を取得してメモリに格納させる段階と、メモリに格納された株価及び/又は板情報、取得希望期日、並びに受益権価格に基づいて、投資信託の受益権を取得する権利である受益権取得権利と、個別株式との交換比率を算出して出力すると共にメモリに格納させる段階と、個別株式を交換比率に基づいて受益権取得権利と交換することに応じる旨を示す提供了承通知を取得してメモリに格納させる段階と、提供了承通知が取得された場合に、交換比率をメモリから読み出し、受益権取得権利を当該交換比率に基づいて個別株式と交換する処理を行わせる段階と、投資信託を構成する全ての個別株式及び他の株式が取得された場合に、受益権の発行処理を実行させ、受益権を受益権取得権利と交換する処理を行わせる段階とを備える。
【0011】
本発明の第3の形態によると、株式市場で取引される株式である個別株式を株式市場を通さずに取得させると共に、個別株式及び他の株式を予め定められた構成比率で含む投資信託の受益権をコンピュータにより発行させるプログラムは、コンピュータを、個別株式を識別する株式識別情報及び個別株式の取得希望期日を取得してメモリに格納する個別株式情報取得部と、メモリに格納された株式識別情報で識別される個別株式の、株式市場における現在価格を示す株価及び/又は指値の価格に対応付けられた指値注文の数を示す板情報を取得して、メモリに格納する市場情報取得部と、受益権の価格である受益権価格を取得してメモリに格納する投資信託情報取得部と、メモリに格納された株価及び/又は板情報、取得希望期日、並びに受益権価格に基づいて、投資信託の受益権を取得する権利である受益権取得権利と、個別株式との交換比率を算出して出力すると共にメモリに格納する交換比率出力部と、個別株式を交換比率に基づいて受益権取得権利と交換することに応じる旨を示す提供了承通知を取得してメモリに格納する提供了承通知取得部と、提供了承通知が取得された場合に、交換比率をメモリから読み出し、受益権取得権利を当該交換比率に基づいて個別株式と交換する処理を行う受益権取得権利交換執行部と、投資信託を構成する全ての個別株式及び他の株式が取得された場合に、受益権の発行処理を実行させ、受益権を受益権取得権利と交換する処理を行う受益権交換部として機能させる。
なお上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションも又発明となりうる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
図1は、株式交換システム10の機能ブロック図である。株式交換システム10は、株式市場で取引される個別株式と、この個別株式及び他の株式を予め定められた構成比率で含む投資信託の受益権との交換を、個別株式取得側端末100及び受益権発行装置200間において適切に行わせることを目的とする。株式交換システム10は、証券会社や機関投資家等の個別株式取得希望者により管理される個別株式取得側端末100と、交換比率等を出力することにより交換の仲介を行う受益権発行装置200と、個人投資家等の個別株式提供希望者により管理される個別株式提供側端末300とを備える。受益権発行装置200及び個別株式提供側端末300は、例えば、インターネット等の通信回線で接続されている。
【0014】
個別株式取得側端末100は、投資信託を新たに組成する時に不足する個別株式を取得するために、当該個別株式を識別する株式識別情報及び個別株式の取得希望期日等の株式取得条件を、受益権発行装置200に入力する。受益権発行装置200は、これらの情報等に基づき、単位数量の個別株式と交換される受益権の数量の比率を示す交換比率を算出し、個別株式取得側端末100及び個別株式提供側端末300の双方に出力する。個別株式提供側端末300は、個別株式提供側端末300の利用者である個別株式提供希望者から、交換に応じる旨の入力を受け付けると、その旨を受益権発行装置200に通知する。これを受けて、受益権発行装置200は、投資信託の組成後に受益権を取得する権利である受益権取得権利と、個別株式とを交換する。受益権発行装置200は、取得した個別株式を用いて投資信託を組成させ、その投資信託の受益権を、当該受益権と同数の受益権取得権利と交換する。
従って、株式交換システム10は、受益権発行装置200により算出された適切な交換比率により、個別株式取得者及び個別株式提供者間で個別株式及び受益権の交換を行わせることができるので、個別株式の株式市場での価格形成に影響を与えることなく、上場投資信託を組成させることができる。
【0015】
受益権発行装置200は、上場投資信託データベース210と、個別株式情報取得部220と、市場情報データベース230と、投資信託情報取得部235と、市場情報取得部240と、交換比率出力部250と、提供了承通知取得部270と、受益権取得権利交換執行部280と、受益権交換部290とを有する。
【0016】
上場投資信託データベース210は、上場投資信託の組成条件を格納しており、個別株式取得側端末100又は受益権取得権利交換執行部280から組成条件更新指示を受け取ると、格納している組成条件を更新する。また、上場投資信託データベース210は、必要に応じて、組成条件を個別株式情報取得部220及び受益権交換部290に送る。
【0017】
上場投資信託とは、複数の個別株式を予め定められた構成比率で含む株式バスケットを信託機関に拠出することを必要条件として、株式市場に上場可能となる投資信託である。そして、上場投資信託の組成条件とは、例えば、新たに組成される上場投資信託の組成予定日と、当該上場投資信託を組成するために不足する個別株式を識別する情報と、当該上場投資信託を組成するために不足する個別株式の株式数とを含む。
なお、構成比率とは、上場投資信託を構成する個別株式の株数の比率であってもよいし、個別株式の時価総額の比率であってもよい。
【0018】
個別株式情報取得部220は、組成条件を上場投資信託データベース210から取得し、交換比率出力部250に送る。具体的には、個別株式情報取得部220は、上場投資信託の組成予定日を個別株式の取得希望日として取得し、上場投資信託を組成するために不足する株式の識別情報を、取得を希望する個別株式の株式識別情報として取得し、上場投資信託を組成するために不足する株式数を、取得を希望する個別株式の取得希望数量として取得する。そして、個別株式情報取得部220は、取得した情報を交換比率出力部250に送る。また、個別株式情報取得部220は、株式識別情報を市場情報取得部240に送り、株式識別情報に対応付けた取得希望数量を提供了承通知取得部270に送る。
【0019】
市場情報データベース230は、個別株式及び上場投資信託の株式市場での取引記録である市場情報を格納しており、市場情報取得部240及び投資信託情報取得部235からの要求に従い、市場情報を市場情報取得部240及び投資信託情報取得部235に送る。市場情報データベース230は、市場情報として、例えば、株式市場に上場される個別株式の、現在価格を示す株価、指値の価格に対応付けられた指値注文の数を示す板情報、及び出来高を示す出来高情報を格納している。
【0020】
投資信託情報取得部235は、市場情報データベース230内から、上場投資信託の受益権価格を選択し、交換比率出力部250に送る。
市場情報取得部240は、交換比率出力部250から受け取った株式識別情報により識別される個別株式の市場情報を、市場情報データベース230内から選択し、交換比率出力部250に送る。
【0021】
交換比率出力部250は、個別株式情報取得部220から受け取った株式識別情報、取得希望数量、及び取得希望日と、市場情報取得部240から受け取った市場情報と、投資信託情報取得部235から受け取った受益権価格とに基づき、個別株式と受益権との交換比率を算出し、株式識別情報と共に、個別株式取得側端末100及び個別株式提供側端末300に出力する。
また、交換比率出力部250は、提供希望数量及び個別株式の株式識別情報と共に、交換比率の再計算指示を提供了承通知取得部270から受け取った場合に、提供希望数量に基づいて、以前に計算した交換比率より小さい新たな交換比率を計算して、株式識別情報と共に、個別株式取得側端末100及び個別株式提供側端末300に再び出力する。
【0022】
提供了承通知取得部270は、交換比率に基づく数の受益権と、個別株式とを交換比率出力部250が出力した交換比率で交換することに応じる旨を示す提供了承通知を、個別株式の提供希望数量に対応付けて個別株式提供側端末300から取得した場合に、次の処理を行う。
提供了承通知取得部270は、この提供希望数量が個別株式取得希望者の取得希望数量を満たすか否かを判断する。提供了承通知取得部270は、提供希望数量が取得希望数量を満たすと判断した場合に、取得希望数量及び個別株式の株式識別情報を、交換を執行する旨の交換指示と共に、受益権取得権利交換執行部280に送る。一方、提供了承通知取得部270は、提供希望数量が取得希望数量に満たないと判断した場合に、交換比率の再計算指示を、提供希望数量及び個別株式の株式識別情報と共に、交換比率出力部250に送る。
【0023】
受益権取得権利交換執行部280は、交換指示と共に、取得希望数量及び個別株式の株式識別情報を提供了承通知取得部270から受け取った場合に、受益権取得権利を交換比率に基づいて個別株式提供側端末300が持つ個別株式と交換する処理を行う。例えば、受益権取得権利交換執行部280は、交換に際して必要となる取引書類の雛型を作成して発行する処理を行ってもよいし、証券取引等を管理する外部の装置に、個別株式の取引を行う旨の指示を送ってもよい。また、受益権取得権利交換執行部280は、証券会社等により管理される証券口座における、現金及び預かり証券の情報を更新する処理を行ってもよい。
そして、受益権取得権利交換執行部280は、交換の執行結果である執行通知を、個別株式取得側端末100、受益権交換部290及び個別株式提供側端末300に送る。また、受益権取得権利交換執行部280は、執行された取引により充足された個別株式に相当する情報を削除する旨を示す組成条件更新指示を上場投資信託データベース210に送る。更に、受益権取得権利交換執行部280は、発行した受益権取得権利の数を、受益権取得権利の発行先を識別する情報に対応付けて、上場投資信託データベース210に格納する。
【0024】
受益権交換部290は、上場投資信託データベース210から受け取った組成情報に基づき、上場投資信託を構成するのに必要な全ての個別株式が取得された場合に、上場投資信託の受益権を発行する旨の指示を個別株式取得側端末100に送る。これを受けて、個別株式取得側端末100は、上場投資信託を発行する。そして、受益権交換部290は、上場投資信託の受益権を、個別株式提供側端末300が持つ受益権取得権利と交換する処理を行う。例えば、受益権交換部290は、上場投資信託データベース210から受け取った、受益権取得権利の発行先(例えば、個別株式提供側端末300の利用者)に対応付けられた証券口座に、機関投資家等の証券口座から、受益権を振り替える処理を行うと共に、当該振り替えた旨の通知を個別株式提供側端末300に送る。
【0025】
このように、株式交換システム10は、個別株式取得側端末100及び個別株式提供側端末300間で、個別株式と受益権とを交換する適切な交換比率を算出し、個別株式取得側端末100及び個別株式提供側端末300に出力することができる。そして、株式交換システム10は、個別株式取得希望者及び個別株式提供希望者に、適正な交換比率で、個別株式と受益権とを交換させると共に、上場投資信託を組成する処理を行うことができる。
【0026】
図2は、上場投資信託データベース210の詳細例を示す。上場投資信託データベース210は、上場投資信託の組成条件情報として、上場投資信託を識別する情報と、上場投資信託の組成予定日と、組成総量とを対応付けて格納する。また、上場投資信託データベース210は、各上場投資信託において、上場投資信託を組成するために不足する株式を識別する情報である「不足株式銘柄」に、上場投資信託を組成するために不足する当該不足株式銘柄の株式数である「不足株式数」を対応付けて格納する。さらに、上場投資信託データベース210は、各「不足株式銘柄」に対応付けて、当該銘柄を取得したために発行した受益権取得権利の数量を、受益権取得権利の発行先を識別する情報に対応付けて格納している。
【0027】
例えば、上場投資信託データベース210は、9月30日を組成予定日とし、E社が発行する市場平均型上場投資信託の組成総量が50万株であり、当該上場投資信託を組成するために、A銀行の株式及びB製薬の株式がそれぞれ30万株及び10万株不足していることを示している。更に、上場投資信託データベース210は、既に取得したA銀行の株式との交換により発行した10万株の受益権取得権利の発行先が、A氏であることを示す情報を格納している。
【0028】
本図で示すように、上場投資信託データベース210は、上場投資信託の組成条件情報を格納している。従って、個別株式情報取得部220は、上場投資信託の組成予定日を、個別株式の取得希望日として、上場投資信託を組成するために不足する株式の識別情報を、取得を希望する個別株式の株式識別情報として、上場投資信託を組成するために不足する株式数を、取得を希望する個別株式の取得希望数量として、それぞれ上場投資信託データベース210から取得することができる。
また、上場投資信託データベース210が発行済みの受益権取得権利について、発行数量と発行先識別情報とを対応付けて格納しているので、受益権交換部290は、上場投資信託の受益権を個別株式提供希望者に適切に提供することができる。
【0029】
図3は、市場情報データベース230の詳細例を示す。市場情報データベース230は、株式識別情報に、過去25営業日の出来高を平均した値である出来高25日移動平均と、株式市場での取引状況を示す板情報とを対応付けて、市場情報として格納している。
【0030】
例えば、市場情報データベース230は、A銀行の株式において、出来高25日移動平均が6万株である旨を格納している。また、市場情報データベース230は、A銀行の株式が株式市場において、300,000円、299,000円、298,000円、297,000円、296,000円、及び295,000円の指値で、それぞれ売り5,000株、売り7,000株、売り1,000株、買い20,000株、買い12,000株、及び買い2,000株の注文が為されている旨を格納している。また、最も現在に近い時刻に為された取引である現在価格が、298,000円である旨を、(株価)と表現する。
【0031】
すなわち、上場投資信託データベース210は、A銀行の株式の現在価値は、298,000円である旨を格納している。また、上場投資信託データベース210は、A銀行の株式を298,000円で1,000株、299,000円で7,000株、及び300,000円で5,000株を買い入れることができる旨を格納している。すなわち、本図に示した例において、新たに成行き注文により8,000株を買い入れようとした場合において、平均購入価格は、298、875円である旨を示している((298,000×1,000+299,000×7,000)÷8,000=298,875)。
【0032】
このように、上場投資信託データベース210は、株式市場における個別株式の株価と、株式市場において買付け可能な株式の価格の算出に用いられる板情報と、株式市場における最近の取引が活発であるか否かを示す出来高25日移動平均情報とを格納する。従って、市場情報取得部240及び交換比率出力部250は、株式市場における個別株式の取引状況を高い精度で認識し、交換比率の算出及び交換すべきか否かのメッセージの出力に用いることができる。
【0033】
図4は、交換比率出力部250が出力する交換比率の詳細例を示す。交換比率出力部250は、個別株式取得希望者が受益権との交換により取得を希望する個別株式の株式識別情報に、取得を希望する個別株式の数である取得希望数量と、個別株式と受益権との交換比率とを対応付けて出力している。
【0034】
例えば、交換比率出力部250は、A銀行の株式10万株を、21:1の交換比率で、即ち、210万株の上場投資信託と交換する旨を出力している。一方、交換比率出力部250は、A銀行の株式5万株を、20:1の交換比率で、即ち、100万株の上場投資信託と交換する旨を出力している。
【0035】
このように、交換比率出力部250は、複数の取得希望数量に応じて、互いに異なる複数の交換比率を出力することができる。この場合、個別株式情報取得部220は、同一の個別株式について、複数の互いに異なる取得希望数量を個別に取得し、交換比率出力部250は、当該複数の取得希望数量それぞれに対して交換比率を算出してもよい。
【0036】
なお、交換比率を出力する他の例として、交換比率出力部250は、交換対象である個別株式の取得価格及び取得株数と、受益権の提供価格及び提供株数とを出力してもよい。この場合、受益権取得権利交換執行部280は、個別株式を取得価格で取得株数分取得すると共に、受益権を提供価格で提供株数分取得する権利を受益権取得権利として与える処理を行う。すなわち、この場合、交換とは、個別株式及び受益権の取引条件を決定し、取引者に通知する処理である。
【0037】
図5は、株式交換システム10の動作フローを示す。個別株式取得側端末100は、上場投資信託の組成条件情報を受益権発行装置200に入力する(ステップS100)。上場投資信託データベース210は、個別株式取得側端末100からの入力に応じて組成条件を更新する(ステップS200)。そして、個別株式情報取得部220は、上場投資信託の組成条件情報を取得する(ステップS210)。続いて、投資信託情報取得部235は、上場投資信託の受益権価格を取得する(ステップS215)。また、市場情報取得部240は、個別株式取得希望者が取得を希望する個別株式に関する市場情報を取得する(ステップS220)。続いて、個別株式取得側端末100、受益権発行装置200、及び個別株式提供側端末300は、受益権取得権利と、個別株式とを交換する処理を行う(ステップS230)。
【0038】
受益権交換部290は、取得希望期限までに上場投資信託を構成すべき全ての個別株式が取得されていない場合に(ステップS280:NO)、不足する個別株式を株式市場で購入すべき指示を個別株式取得側端末100に送る(ステップS285)。これを受けて、個別株式取得側端末100は、個別株式の購入処理を行う(ステップS150)。
【0039】
受益権交換部290は、上場投資信託を構成する全ての個別株式が取得された場合に、受益権を発行する(ステップS290)。そして、受益権交換部290は、受益権を、既に個別株式との交換により発行しておいた受益権取得権利と交換する処理を行う(ステップS295)。これを受けて、個別株式提供側端末300は、受益権を取得する処理を行う(ステップS330)。
【0040】
このように、受益権発行装置200は、上場投資信託の組成に必要な個別株式を取得するために、受益権取得権利を個別株式提供側端末300に提供する。その後、上場投資信託が組成された後に、受益権発行装置200は、受益権取得権利を受益権と交換する処理を行う。従って、株式交換システム10は、上場投資信託を組成すると共に、組成した上場投資信託の受益権を、組成に必要な個別株式と交換する処理を円滑に行うことができる。
例えば、個別株式取得側端末100の管理者である証券会社又は機関投資家は、上場投資信託及び個別株式を保持することにより生じる価格変動リスクを軽減しつつ、上場投資信託を円滑に組成することができる。
【0041】
図6は、受益権取得権利交換処理(ステップS230)の動作フローを示す。交換比率出力部250は、株価及び/又は板情報、取得希望期日、受益権価格、並びに取得希望数量に基づいて、個別株式と、受益権との交換比率を算出し個別株式取得側端末100及び個別株式提供側端末300に出力する(ステップS240)。算出の詳細については図7で説明する。個別株式取得側端末100は、受信した交換比率を、個別株式取得希望者に表示する(ステップS110)。また、個別株式提供側端末300は、交換比率を、個別株式提供希望者に表示する(ステップS300)。
【0042】
個別株式提供側端末300は、交換比率に基づく数の受益権を、個別株式と交換することに応じる旨を示す入力を個別株式提供希望者から受付けた場合に、当該交換に応じる旨を示す通知である提供了承通知を、個別株式の提供希望数量に対応付けて受益権発行装置200に送る(ステップS310)。提供了承通知取得部270は、提供了承通知を個別株式の提供希望数量に対応付けて受け取った場合に(ステップS250)、提供希望数量が取得希望数量に満たないか否かを判断する(ステップS260)。
【0043】
提供了承通知取得部270は、提供希望数量が取得希望数量に満たないと判断した場合に(ステップS260:YES)、交換が成立しない旨を示す不成立通知を個別株式取得側端末100及び個別株式提供側端末300に送る(ステップS274)。そして、提供了承通知取得部270は、現在の日時が上場投資信託の期日に達していないと判断した場合に(ステップS275:NO)、S240に戻り、交換比率の再算出を行う。現在の日時が上場投資信託の組成期日に達したと判断され場合に(ステップS275:YES)、本図の処理を終了し図5の処理に戻る。一方、提供希望数量が取得希望数量に達すると判断された場合に(ステップS260:NO)、受益権取得権利交換執行部280は、交換を執行し、交換が執行した旨の通知を個別株式取得側端末100及び個別株式提供側端末300に送る(ステップS270)。そして、受益権取得権利交換執行部280は、受益券取得権利を発行した結果(発行数量及び発行先等)を、上場投資信託データベース210に格納し、成立した交換取引により充足された個別株式に相当する情報を、上場投資信託データベース210から取り除く(ステップS272)。
【0044】
個別株式取得側端末100及び個別株式提供側端末300は、受益権発行装置200からの通知に基づいて、それぞれ交換取引が成立しなく、かつ上場投資信託の組成期日に達していないと判断した場合に(ステップS130:NO及びステップS320:NO)、それぞれステップS110及び個別株式提供側端末300に戻り処理を継続する。一方、個別株式取得側端末100及び個別株式提供側端末300は、交換取引が成立又は上場投資信託の組成期日に達したと判断した場合に(ステップS130:YES及びステップS130:YES)、交換取引の結果を、それぞれ個別株式取得希望者及び個別株式提供希望者に表示する(ステップS140及びステップS325)。
【0045】
このように、株式交換システム10は、個別株式及び受益権の適切な交換比率を算出すると共に、個別株式取得側端末100及び受益権発行装置200の交換交渉を適切に仲介することができる。
【0046】
図7は、交換比率出力(ステップS240)の動作フローを示す。市場情報取得部240は、図3に例示したような出来高25日移動平均を取得する(ステップS400)。そして、交換比率出力部250は、株式識別情報により識別される個別株式の、出来高25日移動平均に対する、取得希望数量の割合である対出来高取得希望数量を算出する。続いて、交換比率出力部250は、対出来高取得希望数量が、株式識別情報に対応して予め定められた出来高基準割合を上回ると判断した場合に(ステップS410:NO)、個別株式を受益権と交換すべきでなく、株式市場から購入すべきである旨のメッセージを、交換比率に代えて、個別株式取得側端末100に出力する。なお、本動作フローでは、メッセージを出力する場合には、交換比率を出力しないが、他の例として、市場情報取得部240は、交換比率と共にメッセージを出力してもよい。
【0047】
対出来高取得希望数量が、出来高基準割合を下回ると判断した場合に(ステップS410:YES)、受益権発行装置200は、交換比率基準値を算出する(ステップS430)。詳細は、図8で説明する。続いて、提供了承通知取得部270が、提供希望数量を未だ取得していないと判断した場合に(ステップS460:NO)、交換比率出力部250は、以下の処理を行う。まず、交換比率出力部250は、希望取得数量を入力とすると、交換比率基準値を出力する関数であって、入力である希望取得数量が減少するのに応じて、出力である交換比率が減少する関数を生成する。そして、交換比率出力部250は、当該関数に、希望取得数量、当該希望取得数量の1/2、及び1/10の値をそれぞれ代入することにより、希望取得数量、当該希望取得数量の1/2、及び当該希望取得数量の1/10のそれぞれに対応付けられた交換比率を算出して出力する(ステップS480)。
【0048】
一方、提供了承通知取得部270が、提供希望数量を取得した場合に(ステップS460:YES)、交換比率出力部250は、ステップS480で説明した関数を生成し、当該関数に、提供希望数量を入力させることにより、提供希望数量に応じて既に算出した交換比率より小さい交換比率を算出して出力する(ステップS490)。
【0049】
本図で示したように、交換比率出力部250は、まず、交換比率基準値を算出し、当該交換比率基準値を、提供希望数量又は取得希望数量に応じて減じることにより、交換比率を算出して出力する。したがって、交換比率出力部250は、数量に応じて異なる交換比率を適切に算出することができる。
【0050】
図8は、交換比率基準値出力(ステップS430)の動作フローを示す。交換比率出力部250は、板情報に基づいて、取得希望数量分の個別株式を、成行き注文により株式市場で買うと仮定した場合の平均購入価格を算出する(ステップS435)。
【0051】
例えば、交換比率出力部250は、図3に示した情報の例に基づいて、A銀行の株式の取得希望数量が8,000株である場合、成行き注文により8,000株を買うと仮定した場合の、平均購入価格として、298、875円を算出する(計算例:(298,000×1,000+299,000×7,000)÷8,000=298,875)。
【0052】
他の例として、交換比率出力部250は、図3に示した板情報における指値注文の数に、個別株式に応じて予め定められた倍率を乗じた情報である、仮想板情報を用いてもよい。例えば、図3の例において、交換比率出力部250は、A銀行の298,000円の売り指値注文数である1,000株に、予め定められた倍率である10倍を乗じた10,000株を用いてもよい。この場合、交換比率出力部250は、A銀行の株式の取得希望数量が80,000株である場合の平均購入価格として、298、875円を算出する(計算例:(298,000×10,000+299,000×70,000)÷80,000=298,875)。
この場合、交換比率出力部250は、個別株式売買の注文の潜在的需要を考慮に入れ、株式市場における平均購入価格を算出することができる。
【0053】
交換比率出力部250は、交換比率を算出してメモリ等に格納する日から、上場投資信託の組成予定日までの期間である残存期間を算出する(ステップS440)。そして、交換比率出力部250は、この残存期間が、予め定められた目標期間より短いと判断した場合に、ステップS435で算出した平均購入価格に予め定められた緊急割増率を乗じる。例えば、交換比率出力部250は、平均購入価格である298,875円に、緊急割増率である1.05を乗じることにより、割増平均購入価格である313,819を算出する。即ち、交換比率出力部250は、交換比率を算出する日から取得希望日までの残存期間が目標期間より短いと判断した場合に、残存期間が目標期間より長いと判断した場合より大きい交換比率を出力する。
【0054】
交換比率出力部250は、交換が成立しないと仮定した場合に個別株式と交換されずに余剰する受益権の数量である受益権余剰数量を、株価及び/又は板情報、受益権価格、並びに取得希望数量を用いて算出する(ステップS445)。例えば、交換比率出力部250は、板情報及び取得希望数量に基づき算出された割増平均購入価格の、受益権価格当たりの価格比率を算出する。そして、交換比率出力部250は、個別株式の取得希望数量にこの価格比率を乗じることにより、受益権余剰数量を算出する。また、交換比率出力部250は、この価格比率の逆数を、暫定的な交換比率基準値として算出する。
なお、他の例として、板情報が得られない場合等に、交換比率出力部250は、割増平均購入価格に代えて、株価を用いて受益権余剰数量を算出してもよい。
【0055】
交換比率出力部250は、受益権余剰数量分の受益権を株式市場で売却する売却コストを算出する(ステップS450)。例えば、交換比率出力部250は、受益権の売却に要する証券取引所及び証券会社への手数料を、受益権余剰数量に基づき算出してもよいし、受益権を売却することにより受益権の市場価格に与える影響を、受益権余剰数量に基づき算出してもよい。そして、交換比率出力部250は、売却コストのうち予め定められた割合のコストを、暫定的な交換比率基準値から減じる。
【0056】
交換比率出力部250は、受益権余剰数量分の受益権の、株式市場における価格変動リスクを低減するためのリスクヘッジコストを算出する(ステップS455)。例えば、交換比率出力部250は、受益権余剰数量分のプットオプションを購入するコストを、リスクヘッジコストとして算出する。
より詳しくは、個別株式取得希望者は、上場投資信託に必要な全ての個別株式を受益権との交換により取得できない場合に、上場投資信託組成後に余剰した受益権を保有するので、受益権の価格変動リスクを有する。このような価格変動リスクを低減するためには、リスクを軽減するためのリスクヘッジコストが必要である。例えば、個別株式取得希望者は、受益権と同じような値動きをする証券を所定価格で売却する権利(プットオプション)を購入する。これによって、受益権の価格が下落した場合には、この証券の価格が下がるので、個別株式取得希望者は、プットオプションによって、逆に利益を得ることができる。従って、個別株式取得希望者は、プットオプションを予め購入しておくことで、受益権の価格変動リスクを低減することができる。このようなリスクヘッジを行うためには、プットオプションを購入する費用が必要である。
そして、交換比率出力部250は、リスクヘッジコストのうち予め定められた割合のコストを、暫定的な交換比率基準値から更に減じることにより、最終的な交換比率基準値を算出する。
【0057】
このように、交換比率出力部250は、単位数量の個別株式に対する交換対象である受益権取得権利の数量である交換比率を、交換できないと仮定した場合に生ずる売却コストやリスクヘッジコストに基づき算出することができる。従って、個別株式取得希望者は、株式市場より有利な条件で個別株式を取得でき、個別株式提供希望者は、株式市場より有利な条件で個別株式を提供することができる。
【0058】
なお、他の例として、交換比率出力部250は、交換比率の算出に、個別株式及び上場投資信託の価格、当該価格の過去の変動率を示すボラティリティ、個別株式及び上場投資信託間の過去の価格変動の相関係数、金利や為替等の経済マクロデータ、財務諸表等の経済ミクロデータ、並びに売買により生じる税金のうち少なくとも1つを更に用いてもよい。更に、交換比率出力部250は、これらのデータの変動履歴を予め格納しておき、当該データの変動と、個別株式の株価との相関に基づき、データマイニング等の手法を用いて個別株式の将来の株価予測値を算出し、当該株価予測値に基づいて交換比率を用いてもよい。
【0059】
図9は、株式交換システム10のハードウェア構成の一例を示す。受益権発行装置200は、CPU700、ROM702、RAM704、通信インタフェース706、ハードディスクドライブ708、データベースインタフェース710、フレキシブルディスクドライブ712、及びCD−ROMドライブ714を備える。CPU700は、ROM702及びRAM704に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。通信インタフェース706は、ネットワークを介して他のネットワーク機器と通信する。データベースインタフェース710は、データベースへのデータの書込、及びデータベースの内容の更新を行う。また、ROM702及びRAM704は、本発明に係るメモリの一例であり、図1に示した各部材が算出する値や情報を一時的に格納する。
【0060】
フレキシブルディスクドライブ712は、フレキシブルディスク720からデータ又はプログラムを読み取りCPU700に提供する。CD−ROMドライブ714は、CD−ROM722からデータ又はプログラムを読み取りCPU700に提供する。データベースインタフェース710は、各種データベース724と接続してデータを送受信する。
【0061】
受益権発行装置200に提供されるプログラムは、フレキシブルディスク720又はCD−ROM722等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。記録媒体に格納されたプログラムは圧縮されていても非圧縮であってもよい。プログラムは記録媒体から読み出され、CPU700により実行される。
【0062】
記録媒体に格納されて提供されるプログラム、即ち受益権発行装置200にインストールされるプログラムは、機能構成として、個別株式情報取得モジュール、投資信託情報取得モジュール、市場情報取得モジュール、交換比率出力モジュール、提供了承通知取得モジュール、受益権取得権利交換執行モジュール、及び受益権交換モジュールを有する。各モジュールが受益権発行装置200に働きかけて行わせる動作は、図1から図8において説明した受益権発行装置200における、対応する部材の動作と同一であるから、説明を省略する。
【0063】
記録媒体の一例としてのフレキシブルディスク720又はCD−ROM722には、本出願で説明した全ての実施形態における受益権発行装置200の動作の一部又は全ての機能を格納することができる。
【0064】
これらのプログラムは記録媒体から直接RAM704に読み出されて実行されても、一旦ハードディスク708にインストールされた後にRAM704に読み出されて実行されてもよい。更に、上記プログラムは単一の記録媒体に格納されても複数の記録媒体に格納されてもよい。また、暗号化、圧縮等により符号化された形態で格納されていてもよい。
【0065】
記録媒体としては、フレキシブルディスク、CD−ROMの他にも、DVD、PD等の光学記録媒体、MD等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、ICカードやミニチュアカードなどの半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークやインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスク又はRAM等の格納装置を記録媒体として使用し、ネットワークを介してプログラムを受益権発行装置200に提供してもよい。
【0066】
以上の説明から明らかなように、株式交換システム10は、個別株式及び受益権の適切な交換比率を算出すると共に、個別株式取得側端末100及び受益権発行装置200の交換交渉を適切に仲介することができる。したがって、株式交換システム10は、上場投資信託の組成に必要な数量の個別株式を取得する際に、個別株式の株式市場以外から取得することができ、個別株式の株式市場での価格にマーケットインパクトを与えることなく、上場投資信託を発行させることが可能である。
【0067】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることができる。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0068】
【発明の効果】
上記説明から明らかなように、本発明によれば個別株式及び当該個別株式を含んで生成される受益権の適切な交換比率を算出し、受益券の発行を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、株式交換システム10の機能ブロック図。
【図2】図2は、上場投資信託データベース210の詳細例を示す図。
【図3】図3は、市場情報データベース230の詳細例を示す図。
【図4】図4は、交換比率出力部250が出力する交換比率の詳細例を示す図。
【図5】図5は、株式交換システム10の動作フロー図。
【図6】図6は、受益権取得権利交換処理の動作フロー図。
【図7】図7は、交換比率出力の動作フロー図。
【図8】図8は、交換比率基準値出力の動作フロー図。
【図9】図9は、株式交換システム10のハードウェア構成を示す図。
【符号の説明】
10 株式交換システム
100 個別株式取得側端末
200 受益権発行装置
210 上場投資信託データベース
220 個別株式情報取得部
230 市場情報データベース
235 投資信託情報取得部
240 市場情報取得部
250 交換比率出力部
270 提供了承通知取得部
280 受益権取得権利交換執行部
290 受益権交換部
300 個別株式提供側端末
Claims (11)
- 株式市場で取引される株式である個別株式を前記株式市場を通さずに取得させると共に、前記個別株式及び他の株式を予め定められた構成比率で含む投資信託の受益権を発行させる受益権発行装置であって、
前記個別株式を識別する株式識別情報及び前記個別株式の取得希望期日を取得してメモリに格納する個別株式情報取得部と、
前記メモリに格納された前記株式識別情報で識別される前記個別株式の、前記株式市場における現在価格を示す株価及び/又は指値の価格に対応付けられた指値注文の数を示す板情報を取得して、前記メモリに格納する市場情報取得部と、
前記受益権の価格である受益権価格を取得して前記メモリに格納する投資信託情報取得部と、
前記メモリに格納された前記株価及び/又は前記板情報、前記取得希望期日、並びに前記受益権価格に基づいて、前記投資信託の前記受益権を取得する権利である受益権取得権利と、前記個別株式との交換比率を算出して出力すると共に前記メモリに格納する交換比率出力部と、
前記個別株式を前記交換比率に基づいて前記受益権取得権利と交換することに応じる旨を示す提供了承通知を取得して前記メモリに格納する提供了承通知取得部と、
前記提供了承通知が取得された場合に、前記交換比率を前記メモリから読み出し、前記受益権取得権利を当該交換比率に基づいて前記個別株式と交換する処理を行う受益権取得権利交換執行部と、
前記投資信託を構成する全ての前記個別株式及び前記他の株式が取得された場合に、前記受益権の発行処理を実行させ、前記受益権を前記受益権取得権利と交換する処理を行う受益権交換部と
を備えることを特徴とする受益権発行装置。 - 前記交換比率は、単位数量の前記個別株式に対する交換対象である前記受益権取得権利の数量を示し、
前記交換比率出力部は、前記交換比率を前記メモリに格納する日から前記取得希望日までの期間である残存期間が予め定められた目標期間より短いと判断した場合に、前記残存期間が前記目標期間より長いと判断した場合より大きい前記交換比率を出力することを特徴とする請求項1記載の受益権発行装置。 - 前記市場情報取得部は、前記メモリに格納された前記株式識別情報で識別される前記個別株式の、前記株式市場における前記板情報を取得して、前記メモリに格納し、
前記個別株式情報取得部は、更に、前記個別株式の取得希望数量を取得し前記メモリに格納し、
前記交換比率出力部は、前記板情報に基づいて、前記取得希望数量分の前記個別株式を、前記株式市場で買う場合の平均購入価格を算出し、当該平均購入価格及び前記受益権価格に基づいて、前記交換比率を算出して出力すると共に前記メモリに格納することを特徴とする請求項1記載の受益権発行装置。 - 前記市場情報取得部は、前記株式市場における前記個別株式の出来高を示す出来高情報を更に取得して前記メモリに格納し、
前記交換比率出力部は、前記メモリに格納された前記株式識別情報により識別される前記個別株式の、前記メモリに格納された前記出来高情報が示す前記出来高に対する前記取得希望数量の割合である対出来高取得希望数量が、前記株式識別情報に対応して予め定められた出来高基準割合を下回ると判断した場合に、前記交換比率を出力し、前記対出来高取得希望数量が前記出来高基準割合を上回ると判断された場合に、前記受益権取得権利を前記個別株式と交換すべきでない旨を示す情報を出力することを特徴とする請求項3記載の受益権発行装置。 - 前記交換比率は、単位数量の前記個別株式に対する交換対象である前記受益権取得権利の数量を示し、
前記提供了承通知取得部は、前記交換了承通知に対応付けて、更に前記個別株式の提供希望数量を前記メモリに格納し、前記メモリに格納された前記提供希望数量が前記メモリに格納された前記取得希望数量を満たすか否かを判断し、
前記提供希望数量が前記取得希望数量に満たないと判断された場合に、前記交換比率出力部は、前記提供希望数量に基づいて、前記交換比率を小さくすることを特徴とする請求項3記載の受益権発行装置。 - 前記投資信託は、前記個別株式と前記他の株式とを前記構成比率で含むことを条件として、株式市場に上場可能となる上場投資信託であり、
前記個別株式情報取得部は、新たに組成される前記上場投資信託の組成予定日を前記取得希望期日として、当該上場投資信託を組成するために不足する株式を識別する情報を前記株式識別情報として、当該上場投資信託を組成するために不足する株式数を前記取得希望数量としてそれぞれ取得し前記メモリに格納することを特徴とする請求項3記載の受益権発行装置。 - 前記取得希望期日までに前記提供了承通知が取得されない場合に、前記受益権交換部は、前記株式市場から買い付けることにより取得した個別株式を用いて、前記投資信託の前記受益権を発行する処理を行い、
前記交換比率出力部は、交換が成立しないと仮定した場合に前記個別株式と交換されずに余剰する前記受益権の数量である受益権余剰数量を、前記株価及び/又は前記板情報、前記受益権価格、並びに前記取得希望数量を用いて算出して前記メモリに格納し、更に、前記メモリに格納された当該受益権余剰数量に基づいて、前記交換比率を算出して前記メモリに格納すると共に出力することを特徴とする請求項3記載の受益権発行装置。 - 前記交換比率出力部は、前記受益権余剰数量分の前記受益権を前記株式市場で売却するコストである売却コストを算出して前記メモリに格納し、前記メモリに格納された当該売却コストに基づき、前記交換比率を算出して前記メモリに格納すると共に出力することを特徴とする請求項7記載の受益権発行装置。
- 前記交換比率出力部は、前記受益権余剰数量分の前記受益権の、前記株式市場における価格変動リスクを低減するためのリスクヘッジコストを算出して前記メモリに格納し、前記メモリに格納された当該リスクヘッジコストに基づき、前記交換比率を算出して出力することを特徴とする請求項7記載の受益権発行装置。
- 株式市場で取引される株式である個別株式を前記株式市場を通さずに取得させると共に、前記個別株式及び他の株式を予め定められた構成比率で含む投資信託の受益権をコンピュータにより発行させる受益権発行方法であって、
前記コンピュータにより、
前記個別株式を識別する株式識別情報及び前記個別株式の取得希望期日を取得してメモリに格納させる段階と、
前記メモリに格納された前記株式識別情報で識別される前記個別株式の、前記株式市場における現在価格を示す株価及び/又は指値の価格に対応付けられた指値注文の数を示す板情報を取得して、前記メモリに格納させる段階と、
前記受益権の価格である受益権価格を取得して前記メモリに格納させる段階と、
前記メモリに格納された前記株価及び/又は前記板情報、前記取得希望期日、並びに前記受益権価格に基づいて、前記投資信託の前記受益権を取得する権利である受益権取得権利と、前記個別株式との交換比率を算出して出力すると共に前記メモリに格納させる段階と、
前記個別株式を前記交換比率に基づいて前記受益権取得権利と交換することに応じる旨を示す提供了承通知を取得して前記メモリに格納させる段階と、
前記提供了承通知が取得された場合に、前記交換比率を前記メモリから読み出し、前記受益権取得権利を当該交換比率に基づいて前記個別株式と交換する処理を行わせる段階と、
前記投資信託を構成する全ての前記個別株式及び前記他の株式が取得された場合に、前記受益権の発行処理を実行させ、前記受益権を前記受益権取得権利と交換する処理を行わせる段階と
を備えることを特徴とする受益権発行方法。 - 株式市場で取引される株式である個別株式を前記株式市場を通さずに取得させると共に、前記個別株式及び他の株式を予め定められた構成比率で含む投資信託の受益権をコンピュータにより発行させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記個別株式を識別する株式識別情報及び前記個別株式の取得希望期日を取得してメモリに格納する個別株式情報取得部と、
前記メモリに格納された前記株式識別情報で識別される前記個別株式の、前記株式市場における現在価格を示す株価及び/又は指値の価格に対応付けられた指値注文の数を示す板情報を取得して、前記メモリに格納する市場情報取得部と、
前記受益権の価格である受益権価格を取得して前記メモリに格納する投資信託情報取得部と、
前記メモリに格納された前記株価及び/又は前記板情報、前記取得希望期日、並びに前記受益権価格に基づいて、前記投資信託の前記受益権を取得する権利である受益権取得権利と、前記個別株式との交換比率を算出して出力すると共に前記メモリに格納する交換比率出力部と、
前記個別株式を前記交換比率に基づいて前記受益権取得権利と交換することに応じる旨を示す提供了承通知を取得して前記メモリに格納する提供了承通知取得部と、
前記提供了承通知が取得された場合に、前記交換比率を前記メモリから読み出し、前記受益権取得権利を当該交換比率に基づいて前記個別株式と交換する処理を行う受益権取得権利交換執行部と、
前記投資信託を構成する全ての前記個別株式及び前記他の株式が取得された場合に、前記受益権の発行処理を実行させ、前記受益権を前記受益権取得権利と交換する処理を行う受益権交換部と
して機能させることを特徴とするプログラム。
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