JP2003323546A - L/sファンド運用システム - Google Patents

L/sファンド運用システム

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JP2003323546A
JP2003323546A JP2002127992A JP2002127992A JP2003323546A JP 2003323546 A JP2003323546 A JP 2003323546A JP 2002127992 A JP2002127992 A JP 2002127992A JP 2002127992 A JP2002127992 A JP 2002127992A JP 2003323546 A JP2003323546 A JP 2003323546A
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Shigeki Ishii
重樹 石井
Kenji Nonaka
賢二 野中
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SPARX ASSET MAN CO Ltd
SPARX ASSET MANAGEMENT CO Ltd
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SPARX ASSET MANAGEMENT CO Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】この発明は、ファンドマネージャー、トレーダ
ー、コンプライアンス及びバックオフィスの各DBを連
携させて一つの運用システムとし、迅速・的確なロング
・ショート・ファンドの運用を可能とするサポート・シ
ステムを提供することを目的とする。 【解決手段】本発明のL/Sファンド運用システムは、
注文指示DB、発注管理DB、ファンド管理DB、取引
管理DB、時価ファイルDB及び残高管理DBを有し、
これらDBをファンドマネージャー、トレーダー、コン
プライアンス及びバックオフィス間で一元管理し、これ
らのDBからキャッシュバランス及びL/S比をリアル
タイムで計算し、該キャッシュバランス及びL/S比の
投資制約条件に基づくファンドマネージャーが運用可能
な投資余力をリアルタイムで表示することにより、迅速
・的確なポジション管理を可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、L/Sファンド運
用システムに関し、特に該ファンドの迅速・的確な運用
をサポートするファンドマネージャー、トレーダー、コ
ンプライアンス及びバックオフィス間の運用システムに
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ファンドの運用は、図2に示され
るように、ファンドマネージャー、トレーダー、コンプ
ライアンス(バックオフィス)それぞれがスタンド・ア
ロンのデータシステムを有し、それぞれが独自に運用さ
れていた。すなわち、図2に示されるように、ファンド
マネージャー1は、自己の運用計画20に基づき個々の
注文指示21を出し、トレーダー2は、ファンドマネー
ジャーの指示に基づき市場での値動きを見ながら、発注
管理22を行っていた。トレーダーの発注は証券会社と
の間で発注伝票23、出来連絡24,照合25,配分指
示26,出来情報27の形で行われ、これらの発注処理
情報は、DB41に格納されてトレーダーにより管理さ
れていた。なお、トレーダー2は、ファンドマネージャ
ーの指示に基づき市場での値動きを見ながら発注処理を
行う。発注自体はトレーダーに任されているので、ファ
ンドマネージャーの指示は大まかな注文指示であり、個
別の注文の売買はトレーダーの運用に任されるので、個
別注文のファンドマネージャーの指示が即時に忠実に実
行される訳ではない。
【0003】これらの取引データは、その日の取引が終
了するとバックオフィスの取引DB44に入力され、銘
柄DB43,残高DB45,時価終値DBの各データを
用いて銘柄情報の管理、約定取引の入力、資産残
高の作成、約定指示書の作成等の作業がバック・オフ
ィスで行われ、上記DBのデータが更新される。これら
の更新データからポートフォリオ28,約定指示書29
が作成され、コンプライアンスに渡されて承認を得る。
なお、コンプライアンス部門とは、ファンドマネージャ
ー等により有価証券等が適正な取引を行っているかをど
うか監視する役割の部門をいう。
【0004】以上のように、ファンドマネージャー1は
運用計画20や注文指示21をDB40で管理し、トレ
ーダー2はDB41で発注管理を行っているが、これら
DB40,DB41とバックオフィスの各DBがそれぞ
れがスタンド・アロンのデータシステムで処理されてい
る。従って、キャッシュバランスや空売り等のポジショ
ン管理のデータ処理はバックオフィス4の役目である
が、これらの管理は一日の取引が完了してからでないと
集計出来ない状況にあった。すなわち、従来のスタンド
アロンのシステムでは、例えば、ファンドマネ−ジャー
は自分の出した発注指示ができているかどうかといった
ことすら相場が立っているときはいちいちトレーダに確
認しないと分からない状況にあった。
【0005】ところで、出願人は今回顧客にロング・シ
ョート・ファンド(以下、L/Sファンドという。)に
リンクした運用商品を提案しようとしている。ここで
「ロング」とは証券用語で「買い建て」のことであり、
「ショート」は「空売り」を意味する。このロング・シ
ョート・ファンドの「ロング」は日本株や外国株などの
現物買いで、同じく「ショート」は、投資信託による国
内取引の場合は日本株の一般信用取引又は制度信用取引
による「空売り」で運用され、またオフショアファンド
または口座の場合は借り株による空売りで運用される。
【0006】しかし、このロング・ショート運用、特に
ショート運用をするストラテジー・ファンドにおいて
は、前記のようにファンドマネージャー1、トレーダー
2、バックオフィスの各DBがそれぞれがスタンド・ア
ロンのデータシステムで処理されている状態では、迅速
・的確な運用ができないことが判明した。すなわち、前
記のように各DBがスタンドアロンの場合、これらの管
理は一日の取引が完了してからでないと集計出来ない状
況であって、特にファンドマネージャーが、株価が変動
し、担保余力やキャッシュポジションが刻々変動する状
況下においてリアルタイムにポジション管理が把握でき
ないので、発注にはポジション管理に余分な余裕を持た
せざるを得ず、従ってその分ファンドの無駄が生じ、結
果的には運用コストが増大してしまう欠点があった。特
に、短期勝負となるショ−ト運用の場合は、この処理の
遅さは致命的であり、ファンド運用者の悩みの種となっ
ていた。
【0007】なお、この発明に関連する先行技術とし
て、特開平6−28384号公報、特開平6−2363
83号公報、特開2000−172760号公報、特開
2000−353196号公報、特開平5−27433
2号公報等がある。
【0008】特開平6−28384号公報はフロントオ
フィスとバックオフィスを連携させ、証券売買支援シス
テムと証券管理システムを統合させ、リアルタイムでポ
ジション管理をさせよようとするものであるが、ロング
・ショート・ファンドの運用を可能とするサポート・シ
ステムに関する開示がない。また、特開平6−2363
83号公報は、やはりリアルタイムでポジション管理を
させよようとするものであるが、具体的には「ベーシス
ポイント」及び「デルタ値」(同公報[0036])を
市場特性値としてウオッチし、ポジション調整をするも
のであり、ロング・ショート・ファンドの運用を可能と
するサポート・システムに関する開示はない。
【0009】特開2000−172760号公報は主と
して債券売買のトレーダー情報を商品を分離することな
く統合的に管理しようとするものであるが、やはり、ロ
ング・ショート・ファンドの運用を可能とするサポート
・システムに関する開示がない。特開2000−353
196号公報は、ポートーフォリオマネージャー(ファ
ンドマネージャー)とトレーダー間の注文処理に関する
ものであるが、バックオフィスを含めた統合システムで
はなく部分的なものであり、またロング・ショート・フ
ァンドの運用を可能とするサポート・システムに関する
開示はない。特開平5−274332号公報はアセット
アロケーションに関するものであるが、やはり部分的な
ものであり、またロング・ショート・ファンドの運用を
可能とするサポート・システムに関する開示はない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、ファンド
マネージャー、トレーダー、コンプライアンス及びバッ
クオフィスの各DBを連携させて、一つの運用システム
として構築することにより、リアルタイムでのポジショ
ン管理を可能にして、迅速・的確なロング・ショート・
ファンドの運用を可能とするサポート・システムを提供
することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のL/Sファンド
運用システムは、注文指示DB、発注管理DB、ファン
ド管理DB、取引管理DB、時価ファイルDB及び残高
管理DBを有し、これらDBをファンドマネージャー、
トレーダー、コンプライアンス及びバックオフィス間で
一元管理し、これらのDBのデータからキャッシュバラ
ンス及びL/S比をリアルタイムで計算して、該キャッ
シュバランス及びL/S比の投資制約条件に基づくファ
ンドマネージャーが運用可能な投資余力をリアルタイム
で表示することにより、迅速・的確なポジション管理を
可能にすることを特徴とする。
【0012】また、前記投資制約条件のデータはファン
ド管理DBに格納され、該データにはさらに銘柄の集中
規制、銘柄の属性管理(投資規制)のデータを含むこと
を特徴とする。
【0013】さらに、前記ファンド管理の表示には、空
売りの担保となっている現株に売り注文を出した場合の
禁止または警告表示を含み、また空売り不適格銘柄を誤
って空売りした場合に警告表示をすることも含み、前記
投資制約条件には絶対基準の規制に対しやや緩めの警告
基準(ウォーニング)並びに、該絶対基準に対しての禁
止表示と二段構えの警報表示をすることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明
のL/Sファンド運用システムを示す。なお、図1にお
いて、図2と同じ機能の箇所は同じ符号を用いている。
【0015】図2と同様に、ファンドマネージャー1
は、自己の運用計画20に基づき個々の注文指示21を
出し(注文のインプットにアクセスできるのはファンド
マネージャーだけである)、トレーダー2は、ファンド
マネージャーの指示に基づき市場での値動きを見なが
ら、発注管理22を行う。トレーダーの発注処理は、証
券会社との間で発注伝票23、出来連絡24,照合2
5,配分指示26,出来情報27の形で行われる。
【0016】この発明のL/Sファンド運用システムに
おいて、従来と異なる点は、ファンドマネージャー1の
運用計画20や注文指示21の管理DB、トレーダー2
の発注管理のDB及びバックオフィスのキャッシュバラ
ンスや空売り等のポジション管理のDBが一元管理され
ていて、どこからでもそれぞれの情報が取れる点であ
る。
【0017】例えば、ファンドマネージャーの注文指示
は注文指示DB11で管理され、トレーダーの発注管理
情報は、発注管理DB12で管理される。
【0018】トレーダー2は、ファンドマネージャーの
指示に基づき市場での値動きを見ながら発注処理を行
う。発注自体はトレーダーに任されているので、ファン
ドマネージャーの指示は売買の別と株数の注文指示であ
り、個別の注文の売買はトレーダーの運用に任される。
【0019】約定された取引データ及びマーケットの取
引時価は、短いスパンで時価ファイルDBを参照しリア
ルタイムでファンド管理DB14,取引管理DB15,
残高管理DB16に入力される。バックオフィスでは、
ファンド管理DB14,取引管理DB15,残高管理D
B16,時価DB17の各データを用いて銘柄情報の
管理、約定取引の入力、資産残高の作成、約定指
示書の作成等の作業が自動的に行われ、上記DBのデー
タが更新される。
【0020】これらのデータファイルの例が、図15に
示される。時価ファイルはリアルタイムで時価情報9を
取り込んでいるので、これら取引データは常時変化して
いるが、その時のポジションがリアルタイムに表示され
る。なお、これらの更新は、1時間毎とかに行われる
が、時価ファイルの更新のみは終値による1日1回とか
でもよい。大事なことは、ファンドマネージャーの指示
によりなされた発注処理により生じたその時のポジショ
ンの変動がリアルタイムに表示される点である。そし
て、この発明に特徴的なことは、該ポジションの指標と
してL/Sファンド特有の指標がいくつか包含されてい
る点である。その具体例を以下に示す。
【0021】L/Sファンドの場合、運用に当たって次
のようないくつかの制約条件がある。 (1)上記ショートの投資総額とロングの投資総額の比
率(L:S)は重要であり、このL:Sの比率は投資リ
スクに関連し、この比率は例えば2以下にならないよう
に運用される。
【0022】この場合、「L:S>2」を絶対基準とす
ると、「例えばL:S>2.2」をウォーニング基準と
して何らかの警告表示がなされる。
【0023】(2)原則として、両建て(すなわちロン
グで持っている銘柄買いと同一銘柄を空売りする行為、
ないしはポジションを取ることをさす)、あるいはつな
ぎ売り(すなわち現物と同じ銘柄を空売りすることをさ
す)は行わない。これもウォーニング基準として警告表
示がなされる。
【0024】(3)ファンド属性としての特殊な投資規
制が存在することがある。例えば、出資者がイスラム教
徒などの場合、タバコとか酒の会社に投資してはいけな
いといった投資規制である。この場合は、ファンドマネ
ージャーの注文指示の段階で禁止警告が出され、トレー
ダーへの注文指示がストップされる。この他に取引金額
が少ないために信用取引銘柄としては不適切である銘柄
をあらかじめDBに格納しておき、日々これを更新し、フ
ァンドマネージャーがこれらをうっかり空売りするとき
もストップすることができる。
【0025】(4)銘柄の、分散投資等の基準がある。
すなわち、ファンドの運用銘柄は原則として1つの銘柄
で、例えば、全体の投資総額の10%以上投資すること
ができない。これはファンドの運用リスクを軽減するた
めの組み入れ制限処置であり、絶対基準ではないが警告
の対象となる。
【0026】この場合も、株価は常時変動しているの
で、現時点であといくら買うことができるのか(建て玉
余力)をファンドマネージャーは常に知りたい状況にあ
る。しかし、従来の運用システムではこのポジションが
1日単位でしか分からないので、ファンドマネージャー
は10%規制に株価変動の範囲を見極めて、かなりのマ
ージンを見越して運用せざるを得なかった。これは的確
な運用とはいえず、いわば機会損失を生じる結果となっ
て運用成績にも影響を与える大きな問題である。
【0027】(5)一方、信用取引には委託証拠金が必
要になる。信用売りに対して株価が上昇したばあいには
追い証も発生する。これらはすべてファンドのキャッシ
ュポジションに影響を与えるので、リアルタイムで使用
可能なキャッシュポジションを把握していないと上記建
て玉余力も分からない。キャッシュの不足は致命的なの
で、これは絶対基準となり、やや低いレベルでの警告基
準も設けられる。
【0028】上記「警告基準」及び「禁止基準」は常に
コンプライアンス(バックオフィス)で監視されている
が、これらはファンドマネージャーの注文指示の段階で
時価評価が算出され、該時価評価に基づいて自動的に警
告がなされたり、あるいは注文取り消しが行われる。以
上のようなリアルタイムのポジション管理は従来の手作
業では不可能である。
【0029】例えば、実際のL/Sファンドの運用は、
標準的には図3に示される比率で行われる。すなわち、
図3(a)に示されるように、ファンド総額の内、50
%がロングの運用、20%がショートの運用に回され
る。この時の標準的キャッシュバランスは図3(b)の
如くなる。
【0030】図3(a)において、ロングは現物買いな
のでキャッシュを使い、ショートは逆に空売りなのでキ
ャッシュが入ってくる。しかし、このキャッシュはショ
ートを執行したブローカーに預け金として預託される。
又、ショートは別途委託証拠金を納める必要があり、委
託証拠金は拘束されたキャッシュであり、事実上使えな
い。また、ショートの取引継続にコストが掛かるので、
ショートは主に短期の運用となる。ショート取引をしよ
うとする場合、委託証拠金を必要とするのでキャッシュ
ポジションに余裕がないとできない。また、「レバレッ
ジ(L/S比)」の上限があるので、これを越える取引
はできない。ファンドマネージャーはこれらのポジショ
ンを常に把握していないと、現実目の前に有望な株が見
えていても注文を出せるかどうかの判断ができない。従
来の1日1回という処理の遅いシステムでは、勢い安全
を見込んでマージンを大きく取ることになり、結果相場
のチャンスを失ってしまうことになる。後で、「あのと
き売れるポジションにあったのに」と気づいても遅いの
である。
【0031】このことは、特に短期勝負のショート運用
には致命的な欠陥である。また、キャシュポジションの
状況が効率的にフィードバックされると、現在フリーの
キャッシュを短期金融市場で運用することが可能であ
る。従来のシステムでは、キャシュポジションの状況が
効率的にフィードバックされていない、すなわちその時
使えるキャッシュの額が掴めていないのでマネージャー
はバッファーを設けて運用しており、上記のような余裕
資金のキャッシュの短期金融市場での運用はなされてい
ない。フリーのキャッシュとは、次のようなものであ
る。
【0032】(イ)信用売り見合いのキャッシュは拘束
されているので、フリーではない。 (ロ)ショートの決済(バイ・バック)予定金は拘束さ
れているキャッシュと委託保証金である。
【0033】なお、上記の空売り(ショート)の場合の
委託証拠金の説明は、国内一般信用取引の場合であり、
海外ファンド及び口座(オフショア)の場合は多少仕組
みが異なる。その違いを表1に示す。表1の(a)の場
合が国内一般信用取引の場合であり、20億円のショー
トの取り組みに対してその30%、すなわち6億円の委
託証拠金を納める必要がある。ただし、委託証拠金は代
用有価証券で換えることもでき、上記有価証券(現物
株)は売ることができない。一方、海外取引の場合は、
委託証拠金を必要としないので上記国内取引のような制
約はない。表1の「実質運用可能原資」とは、図3
(b)に示されるような投資制限に基づいた運用限度額
を意味する。
【表1】
【0034】このシステムにおいては、コンプライアン
ス部門の事前承認を得るため、ファンドマネージャーに
よる仮注文指示に基づくシミュレーションを行うことも
できる。すなわち、上記仮注文指示による上記制約条件
のクリア結果とか、ポートフォリオのシミュレーション
を作成し、コンプライアンスに提示して事前承認を得て
から正式の注文指示を出すやり方であって、相場が急激
に変動していないときには用いるとファンドマネージャ
ーにとって取引の安全性が増すことになる。このような
シミュレーションは、従来の1日1回の集計による手作
業では事実上不可能な作業であり、存在しなかった。
【0035】次に、具体的な処理の例を図4〜6を用い
て説明する。なお、実施例はこれに限られず、種々変更
が可能である。図4、図10は、ファンドマネージャー
1がトレーダー2に注文指示を出すときのフローであ
り、以下の手順で行われる。
【0036】図7の注文指示登録画面によりファンド
マネージャーが注文指示を出す。指示は、図10に示さ
れるように、通常は複数のファンドに配分を予定された
特定銘柄の発注(71)がなされる。 該指示は、コンプライアンス処理53に掛けられる。
コンプライアンス部門は、注文取引モニタ画面(図9)
により注文に不正取引がないかどうかをチェックし、ま
た各種制約条件を満足するかどうかのチェックを行う
(図10の72)。前記キャッシュポジションやレバレ
ッジのチェックは過去の履歴情報54を用い、制約条件
に従って自動的にモニター上に警告等の表示がなされる
(図10の77)。 警告の場合は、ファンドマネージャーの方に警告がな
される。
【0037】図5は取引過程を示し、トレーダーからの
取引注文がマーケットで処理され、これが取引トランザ
クションDB55に記録される。同時に、ファンドマネ
ージャーは注文出来モニタ画面により発注処理がなされ
たかどうか、あるいは出来数量の確認等をすることがで
きる。より具体的には図10の73に示されるように、
特定銘柄の注文が発注システムに入力され(74)、同
時に、取引DBへの入力も行われる(図10の76)。
これらはファンドマネージャーの端末でもリアルタイム
でモニタリングができる(図10の78)。
【0038】発注処理ができた時のフローが図11に示
される。ブローカーからの出来連絡は即座に入力され
(図11の82)、同時にファンドマネージャーの端末
にもリアルタイムで表示される(図11の83)。出来
銘柄は、約定入力(84)により各ファンドへの配分が
なされる(図11の85)。同時に、取引DBや約定D
Bの更新が行われる(図11の86)。
【0039】図6は、発注処理後のコンプライアンス処
理を示し、以下の処理過程からなる。 取引完了と共に取引トランザクションの内容は履歴D
Bに移される。 同時に、時価情報DBから刻々変化する時価情報を取
り込んで、ポートフォリオを作成すると共に、取引が各
種制約条件を満たしているかのコンプライアンス処理6
3がなされる。
【0040】これらを残高管理、注文指示管理・取り引
き管理の観点からまとめたフローが図12,13に示さ
れる。また、このシステムのシステム構成図が図14
に、キャッシュバランスの画面例を図16に、その表示
されるデータ例を図17に示す。さらに、ポートフォリ
オの画面例を図18に示す。
【0041】以下、簡単な運用例を挙げて、本発明のシ
ステムの動作を説明する。 図19,20,21は、8
月13日15:00、14日9:30,14日15:0
0のポートフォリオの例である。図19に示されるよう
に、同一銘柄組み入れ比率をロングで30%、ショート
で20%を上限とする投資規制があった場合、同図91
に示されるように、総額3億のファンドにおいて時価X
株数=97,250,000円は32.42%となって、
上記組み入れ比率の規制を越えてしまうので、同図92
に表示されるようにNGとなってしまう。なお、NGの
表示は色を変えるとか、点滅させる等注目し易い表示と
することが望ましい。
【0042】同様に、同図93はショート運用の場合の
組み入れ規制オーバーの例であり、NG(94)表示と
なる。この表示がでると、次の日、図20に示されるよ
うに、ロングの場合は一部売却(95)し、ショートの
場合は買い戻す(97)ことにより96,98に示され
るように前記組み入れ制限をクリアすることになる。上
記組み入れ率の計算は、時価が刻々と変わっていくので
常時見ている必要がある。また、他の株、例えば図20
のE株(16.50%)を買い増そうとしたとき、あと
どのくらい買うことができるかが一目瞭然に分かる。
【0043】図21は、上記のように9:30の段階で
は、組み入れ率をクリアしていたのに、15:00の時
点では、株価が上昇して上記組み入れ率の上限を超えて
NG(99)となった例である。また、別の指標を見る
と、L/S比は図19において評価金額で見ると約1.
88(A/B)である。L/Sの基準を2以上とする
と、8月13日15:00(図19)において、L/S
比は1.88であって下限をわりこんでいることとな
り、警告が表示される。しかし、8月14日の調整の結
果、L/S比は2.37(図20)、2.39(図2
1)となり、上記L/S比の基準もクリアしていること
が分かる。図20のG株の購入は、F株、Z株の処分の
結果、キャッシュに6000万の運用余資が生じたこと
がリアルタイムに分かったための運用である。
【0044】この発明は上記のように株価の変動に逐次
対応して表示も連動するので、常時前記投資規制をクリ
アできているかどうか監視できる。これらの表示は、従
来は刻々変動する時価に連動するものがなかったので、
かなりの余裕をもった運用をするしかなかった。従っ
て、この発明の運用システムは、資金運用効率を高める
効果がある。更には、当面必要のないキャッシュポジシ
ョンで運用可能な部分については、金利が高く元本が減
少しない投資案件、例えばMMFやオーバーナイトで銀行
に貸付ける短期の運用にぎりぎりまわすことにより運用
成績をあげることができるという効果を期待できる。
【0045】同様にして、前記(1)〜(5)の各投資
規制条件が監視される。また、ロング運用における運用
例として次のようなものもあげられる。通常はファンド
運用には資金調達先が連動し、資金不足の場合は自動的
に融資がなされる仕組みとなっているが、時として外貨
建ての買いの場合、日本円がキャッシュで余っているに
も拘わらず、外貨建ての融資がなされるケースがある。
これは両建てになっており、明らかに金利面で運用コス
ト増となる。ファンドマネージャーはキャッシュポジシ
ョンをリアルタイムで見ていれば、このような場合に円
から外貨(例えば、スイスフラン)への転換指示を出す
ことによって上記のような両建てを回避することができ
る。
【0046】これはショート運用との絡みで前記フリー
のキャッシュを常時把握していないとできないことであ
るが、従来のシステムはキャッシュポジションがリアル
タイムにフィードバックされていないのでこのような無
駄が生じていた。また、ロングの現株が空売りの担保と
成っている場合もあり、該担保株の売りに対して禁止ま
たは警告が発生する。これもL/S運用特有の問題であ
る。
【0047】
【発明の効果】以上のように、本発明のシステムによれ
ば、リアルタイムで刻々変化するポジションを常時把握
できるので、各種制約条件を満たす取引の安全性が担保
され、ファンドマネージャーは従来よりマージンを少な
くしたファンドの運用が可能となり、迅速・的確な運用
ができる顕著な効果が生じる。
【0048】従来の手作業で行った上記制約条件の検証
では、注文時のチェックまで行うことは不可能であり、
この点を含むシステムは存在しない。また、仮注文によ
るシミュレーションも可能であり、容易にコンプライア
ンスの事前承認を取り付けられる利便性もある。従来の
手作業では、このようなシミュレーションは事実上不可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のL/Sファンド運用システム
全体の概念図である。
【図2】図2は、従来のファンド運用のシステム全体の
概念図である。
【図3】図3は、ファンド運用の参考図である。
【図4】図4は、ファンドマネージャーがトレーダー2
に注文指示を出すときのフローを示す。
【図5】図5は、トレーダによる取引過程を示す。
【図6】図6は、発注処理後のコンプライアンス処理を
示す。
【図7】図7は、注文指示の画面例を示す。
【図8】図8は、注文出来モニタの画面例を示す。
【図9】図9は、注文取引モニタの画面例を示す。
【図10】図10は、ファンドマネージャーがトレーダ
ー2に注文指示を出すときのフローを示す。
【図11】図11は、注文指示が出来たときのフローを
示す。
【図12】図12は、残高管理のフローを示す。
【図13】図13は、注文指示管理・取引管理のフロー
を示す。
【図14】図14は、システム構成図を示す。
【図15】図15は、取引履歴DBの例を示す。
【図16】図16は、キャッシュバランスの画面例を示
す。
【図17】図17は、図16の具体的表示例である。
【図18】図18は、ポートフォリオの画面例を示す。
【図19】図19は、ファンドの運用例を示す。
【図20】同じく図20は、ファンドの運用例を示す。
【図21】同じく図21は、ファンドの運用例を示す。
【符号の説明】
1 ファンドマネージャー 2 トレーダ 3 証券会社 10 コンプライアンスDB 11 注文指示DB 12 発注管理DB 15 取引管理DB 16 残高管理DB 17 時価ファイルDB
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野中 賢二 東京都品川区大崎1−11−2 スパーク ス・アセット・マネジメント投信株式会社 内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】注文指示DB、発注管理DB、ファンド管
    理DB、取引管理DB、時価ファイルDB及び残高管理
    DBを有し、これらDBをファンドマネージャー、トレ
    ーダー、コンプライアンス及びバックオフィス間で一元
    管理し、これらのDBのデータからキャッシュバランス
    及びL/S比をリアルタイムで計算して、該キャッシュ
    バランス及びL/S比の投資制約条件に基づくファンド
    マネージャーが運用可能な投資余力をリアルタイムで表
    示することにより、迅速・的確なポジション管理を可能
    にすることを特徴とするL/Sファンド運用システム。
  2. 【請求項2】前記投資制約条件のデータはファンド管理
    DBに格納され、該データにはさらに銘柄の集中規制、
    銘柄の属性管理(投資規制)のデータを含むことを特徴
    とする前記請求項1記載のL/Sファンド運用システ
    ム。
  3. 【請求項3】前記ファンド管理の表示には、空売りの担
    保となっている現株に売り注文を出した場合の禁止また
    は警告表示を含むことを特徴とする前記請求項1または
    2記載のL/Sファンド運用システム。
  4. 【請求項4】前記投資制約条件には絶対基準の規制に対
    しやや緩めの警告基準を設け、該絶対基準に対しては禁
    止表示を、該警告基準に対しては警報表示をすることを
    特徴とする前記請求項1〜3の内、いずれか1項記載の
    L/Sファンド運用システム。
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