JP2004132992A - 多数の微量蛍光を測定する方法 - Google Patents

多数の微量蛍光を測定する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 複数の微量な試料含有液中に発生する蛍光を好適な条件で測定すること。
【解決手段】 複数の試料含有液に由来する多数の微量蛍光を測定する方法であって、気密性と遮光性を有する蓋を、複数の微量の試料含有液をそれぞれ複数箇所に収容する収容体に被せた状態で、前記試料含有液中に含まれる蛍光色素を、前記収容体を通過する光ビームで励起するとともに、前記試料含有液から発して前記収容体を通過する蛍光を個々の試料含有液毎に測定することを特徴とする方法。
【選択図】 なし

Description

 本発明は、複数の微量な試料含有液を好適な測定条件で高スループットで測定する方法に関する。特に、本発明は、血球のような細胞表面上に存在し得る多型物質を低ノイズで判別する方法、例えば輸血検査方法に有用である。
 現在、臨床で使用される輸血検査方法は、その大部分が凝集像を検出することを原理としている。例えば、オリンパス社製のPK7200は、赤血球血型や感染症検査等に広く用いられている全自動の輸血検査装置であり、その特徴は、検査に用いるマイクロプレートに具備される反応ウェルの底面にある。即ち、該反応ウェル底面は、数μm幅で溝を設けた擂り鉢状を呈する。被検血球と抗血清試薬、または被検血清とコントロール血球とを混合して反応した場合、該ウェル内で一定時間後に特異的反応が生じたウェルでは、血球と血清が抗原抗体反応により相互に結合して凝集塊を形成し、その凝集塊がウェル底面の溝に保持されて、ウェル底面一面に広がった均一像として光学的に検出される。一方、特異的な抗原抗体反応が起きなかった場合は、凝集塊は形成されず、血球は溝を超えて沈降しウェル最低部に丸く濃い沈降像を示す。PK7200は、これらの凝集像(陽性)と非凝集像(陰性)をCCDカメラにより光学的に検出し、ABO型血液型判定等を行う。このような検出装置は、明確で安定した反応像を得られることにより、高感度に検出できることで知られるが、凝集パターン形成には20分から80分の反応時間が必要であり、また、反応液には50μLを必要とし、それにより使用される試薬コストは低いものとは言えない。このような状況にあって、迅速性やコストの低減化が求められている。
 一方、オリンパス社製のマイクロタイピングシステムABDカード(Micro Typing Sstem:以下、MTSと称す)は、ゲルカラム遠心凝集法による血液型判定法であり、オリンパスより抗体試薬、および遠心機、恒温機、分注機、読取装置等が市販されている。その原理は、凝集反応を指標とするものであり、カードタイプの特殊なマイクロチューブの中に充填したゲルカラム中に、赤血球或いは赤血球と血清(または血漿)の混合物を注入し、その凝集反応の有無をチューブを遠心することにより判定の高速化および反応結果の可視化を行う。MTSを使用した場合、反応が陰性であれば赤血球は凝集せずにマイクロチューブの底に集まり、陽性の場合は凝集してゲルの上部から中間部に補足される。つまり、ゲル中の赤血球の凝集位置で判定を行い弱陽性判定を含む半定量性を有している。この方法は、試験管やマイクロプレートを用いた輸血検査システムに比較すれば判定時間が短く、結果が明瞭に判定でき、血液検体は微量で済む。また、操作技術が簡単であり、反応像が長時間安定である等の特徴があるが、近年要求される程の迅速性を満たすには不十分である。また、MTSは、インキュベーション時間を必要とし、凝集パターンを介して間接的に検出する方法であるため、必要となる試薬コストや周辺機器の多さから、マイクロプレート方式を凌駕するものではない。
 従って、本発明の目的は、複数の微量な試料含有液中に発生する蛍光を好適な条件で測定することである。
 発明者等は、鋭意研究の結果、上記の課題を解決し目的を達成する手段を開発した。即ち、本発明は以下の手段を提供する。
(1)複数の試料含有液に由来する多数の微量蛍光を測定する方法であって、
 気密性と遮光性を有する蓋を、複数の微量の試料含有液をそれぞれ複数箇所に収容する収容体に被せた状態で、前記試料含有液中に含まれる蛍光色素を、前記収容体を通過する光ビームで励起するとともに、前記試料含有液から発して前記収容体を通過する蛍光を個々の試料含有液毎に測定することを特徴とする方法。
(2)少なくとも励起された蛍光色素から発する蛍光を受光する際に、試料含有液の一部に、光学的な焦点を形成する(1)に記載の方法。
(3)試料含有液が、複数個の細胞を含んでいる(1)または(2)に記載の方法。
(4)収容体の試料含有液を収容する箇所に、固相化された細胞を含んでいる(3)に記載の方法。
(5)測定に寄与しない細胞を、測定領域に侵入しないように隔離する(3)に記載の方法。
(6)試料含有液を、異なる種類の蛍光色素によって区別される複数の試薬と反応させた状態で測定を行う、(1)〜(3)の何れか1に記載の方法。
(7)試料含有液を、異なる分子量の蛋白質によって区別される複数の試薬と反応させた状態で測定を行う、(1)〜(3)の何れか1に記載の方法。
 本発明の適用により、従来、このような試験方法の簡易化、自動化および反応時間の短縮化において問題となっていた遠心洗浄等によるB−F分離の操作が一切不要である。
 また、本発明の方法は、抗原抗体反応1分子の測定であるため標準血球は複数種の混合が可能であり、オモテ試験およびウラ試験と同様に、不規則性抗体等のスクリーニングも1ウェル中で行うことが可能である。
 本発明では、発光する信号を検出する領域が、実施例で示した通り数μの赤血球を個別に測定できる程度の微小領域であり、測定に必要となる検体体積及び試薬体積が微量である。従って、血型のように、複数の判別項目を有する検査を行っても検体も試薬も微量で済み、また全ての血型について小型の容器に一括して収めることも可能である。従って、検体量および試薬量を低減するばかりでなく、検査時間を短縮し、検査を高速で行うことが可能である。
 また、従来法では、血型等の多型を検査する手法では、何れも多型の数に応じて異なる容器中で多型毎に反応させ測定することが必要である。しかしながら、本発明では、異なる特異性を有した試薬をそれぞれ異なる蛍光物質で標識することにより、どの蛍光物質に動的変化が生じたかを容易に検出することが可能である。従って、同一容器内で異なる血型に特異性を有する複数の試薬を混合して、複数の検査が同時に判定でき、且つ検体の必要量および反応容器数を低減することが可能であり検査の簡便化が可能である。
 また、検体と試薬の混合のみの検査工程であり、全自動のシステム化も容易に実現できる。
 従来法では、異なる特異性を有した試薬を夫々の特異性、多型に応じて異なる容器中で反応させる場合には、96ウェルプレートタイプ、またそれに相当する形状大きさの容器を用いる必要がある。これらの従来の手法では、検体となる血液サンプルや試薬を多量に要するばかりでなく、同時に測定できる項目数が限られてしまう。しかしながら、本方法を使用すれば、ウェルを使用するばかりではなく、スライドグラスに試料を点着する方法も用いることが可能である。従って、多数の検体数を1枚のスライドグラスで測定することが可能である。また、多項目を1枚のスライドグラスで測定することも可能である。
 1.測定原理
 本発明は、試料中の抗原と抗体との反応を、標識化抗体の運動状態を蛍光相関分光法を用いて直接的に観察することにより、標識化抗体の存在状態を解析し、それによって試料中で抗原抗体反応が生じているか否かを判定する方法である。
 従って、本方法は、例えば、血球血型の判定、特に、赤血球血型オモテ試験およびウラ試験、不規則抗体の検出、抗血球特異抗原および抗体の検出、ウイルスおよび細菌等の抗原および抗体の検出等の目的に使用することが可能である。
 具体的には、本方法は、試料中の検出対象となる抗原または抗体を検出するために、蛍光物質を付した前記抗原または抗体に特異的な抗体または抗原を使用し、前記蛍光物質の蛍光強度のゆらぎを経時的に測定し、得られたデータを蛍光自己相関関数で変換することにより、蛍光物質を具備する分子の分子数および大きさを検出することが可能である。
 本発明の方法では、測定開始から終了するまでの間、試料に存在する物質を何れもB−F分離等の分離操作を行うことなく標的分子の運動状態を測定することが可能である。本方法における標識分子の運動状態の測定は、試料および任意の試薬を反応容器に添加した時点から、経時的に該容器中で反応が進行する過程において継続して追跡することにより行われる。従って、抗原抗体反応による標識分子の運動状態の変化を経時的に測定することが可能である。また、この測定は、該反応系において進行する抗原抗体反応に応じた自然状態のままで高精度に測定することが可能である。
 例えば、本発明を血型試験に使用した場合、夫々の血型に特異的に起こる検体の抗原または抗体と標識試薬の反応を1血球レベルで捕らえ、複数の経過時点で標識物質を測定し、その時間的な位置変化を検出することが可能である。この位置変化は分子の大きさに依存して生じるため、その変化を定量的に検出することにより、標識試薬が検体に含まれる標的に結合した場合の特異的反応の進行を動的に計測することが可能である。
 従って、従来の輸血検査で実施されていた凝集反応または洗浄反応、遠心反応凝集パターン形成等の特異反応そのもの以外の工程は不要であり、検体と試薬の混合直後にリアルタイムに測定開始できる。このため、従来法に比較して検査時間を短縮し検査工程を簡便化すること可能であり、非特異反応も低減できる。
 蛍光強度のゆらぎを観察する手段は、以下に説明する蛍光相関分光法を使用することが可能である。
 2.蛍光相関分光法
 蛍光相関分光法(Fluorescence Correlation Spectroscopy,以下FCSと称す)の原理等を以下に示す。また、金城政孝により特許出願中の「核酸配列の増幅反応を用いた標的核酸の検出方法においても、FCSの測定原理および光学系の構成その他が記載されているので参照されたい。
 FCSは、蛍光標識分子の運動状態を測定し、得られたデータを自己相関関数を用いて変換し、個々の標的分子の微小運動を正確に測定する技術である。FCSを用いた生物学的材料に関する測定データの演算手法は、これまでに、標識された核酸プローブと標的核酸分子とのハイブリダイゼーション反応において利用された方法等が開示されている(Kinjo,M.,Rigler,R.,Nucleic Acids Research,23,1795−1799,1995)。
 まず、測定装置の構成、顕微鏡視野下の極微小領域における平均数個の蛍光分子のブラウン運動に由来する蛍光の「ゆらぎ」を通して、均一系の溶液に含まれる蛍光分子の濃度や分子間作用を物理的な分離過程を経ずに、しかもほぼ実時間でモニタできることである。このようにFCSは溶液中の自由な分子運動を検出しているため、幅広い研究対象に応用できると期待されている技術である。
 3.FCS装置
 基本的な測定系を図1に例示する。このFCS装置は、共焦点光学系を用いた倒立型の蛍光顕微鏡1と試料からの蛍光を測定するためのフォトマルチプライヤ2と測定データを受信して自己相関関数による演算を行って数値化またはグラフ化を行うデータ処理装置3と、演算結果を画面上に表示する表示装置4とを備えている。
 試料含有液11は、図1に示す通り、試料台12に載せたスライドガラス13上に点着させることで、簡単にセットできる。この装置では、特に、微量の試料含有液11を用いるため、水分蒸発を防止するための蓋14をスライドガラス13上にかぶせてある。この蓋14は、好ましくは、光透過性がなるべく低いものを用いることで、気密性と遮光性を同時に得られる。ただし、蓋の内面は、励起光線の反射を防止するように、できるだけ光反射性の低いものを使用するのが好ましい。試料含有液11が位置するスライドガラス13部分の真下には、試料含有液11中で焦点を結ぶように設定した対物レンズ15が配置してある。
 なお、蛍光顕微鏡1は、落射型でもよい。落射型においては、対物レンズ15のレンズ下面に直接的に試料含有液11を点着してもよい。また、蛍光顕微鏡1の光源であるレーザー発生装置16は、図1ではアルゴン(Ar)イオンレーザーを使用しているが、蛍光の種類に応じてクリプトンアルゴン(Kr−Ar)イオンレーザー、ヘリウムネオン(He−Ne)レーザー、ヘリウムカドミウム(He−Cd)レーザー等に種々変更してかまわない。また、蛍光顕微鏡1におけるスライドガラス13の搬入や搬出、スライドガラス13等への試料含有液の点着、蓋14の開閉等の各種動作は、必要に応じて適宜自動化してもよい。
 図2は、図1の蛍光顕微鏡1の測定部分を示す拡大図である。図2において、スライドガラス13と所定の開口数(図ではFA=1.2)の対物レンズ15との位置関係により、微小視野領域20が形成される。この微小視野領域20は、図3に示すように、実際には、ボリュームを持ったレーザ光線の焦点(図では中間のくびれた部分)から上下に伸びた略円柱状の視野を有している。この視野領域20は、焦点を基準位置として、光軸上の長さZと平均半径Wにより既定される。このような、微小領域20における蛍光測定は、蛍光分子の微小運動を追跡し得る最小限の領域にまで小さくするこにより、試料含有液11中の焦点付近以外の蛍光分子に由来するノイズを有効に除去し、1個ずつ蛍光分子を正確に測定するのに寄与している。
 以上、FCS装置の例を記載したが、本方法は、これに限定されるものではない。この発明の実施の形態の各構成は、各種の変形、変更が可能である。以下、好ましい態様について更に説明する。
 微小分子の運動状態の測定手段は、焦点付近の回折限定領域に齎される微小視野内での測定を実施できる光学系を有する手段が好ましい。または、測定手段は共焦点光学系により形成される微小視野内での測定を実施する顕微鏡を有する手段が好ましい。
 測定工程の微小視野が、共焦点光学系により形成されることにより、被写界深度の深い測定データが得られるので、個々の任意の標識分子が視野内でに常に合焦して正確な位置および出力データを測定手段に供給することが出来る。微小視野が、焦点付近の回折限定領域であることにより、ここの標識分子は高いS/N比で測定できる。
 回折限定領域は、平均直径30±20μmのアパーチャーにより形成されるのが好ましい。また、回折限定領域は、平均直径20±10μmのアパーチャーにより形成されるのが好ましい。また、微小視野は平均半径200±50nmおよび光軸上の平均長さ2000±500nmの略円柱状領域であるのが好ましい。
 微量領域が平均半径200±50nmおよび光軸上の平均長さ2000±500nmの略円柱状領域であることにより、測定視野内に照準された標識分子に関する自由な微小運動を効率よく取得することが出来る。
 回折限定が平均直径15±5μmのピンホールにより形成されることにより、少数の選ばれた標識分子からの測定データを効率よく得ることが出来る。
 微小の測定視野内を出入りする標識分子の運動速度を、所定の空間内において1以上のここの標識分子から測定される出力強度の増減または消出を指標として測定している。従って、基質分子を標識する標識分子の種類は複数の測定時点において、長時間に亘り略一定の出力を維持するような標識材料であるのが好ましい。標識に用いる蛍光色素としては、DAPI、FITC、ローダミン、Cy3、CY3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7等の種々の公知物質が含まれる。
 また、各項目の抗体試薬は蛍光物質の種類で標識して判別することも可能である。更に、抗原抗体反応に影響を与えない蛋白質で修飾することにより分子量で変化を付ける方法も実施することも可能である。この場合、どの分子量の抗体試薬の移動速度に変化が生じたかが検出の指標であり、用いる蛍光物質は1種類で多項目の判定が可能となる。
 測定工程が、蛍光分子の液中での動き易さを測定する場合には、フォトマルチプライヤやフォトダイオード等の蛍光測定手段により蛍光データを受光することができる。蛍光測定手段は、単一フォトンを計測し得るような測定モードを備えている方が蛍光分子に関する個別の測定を行うのに有利である。
 本方法の測定工程は、標識分子の液対中のゆらぎ運動を測定するものであるため、個々の標的分子の微小運動を正確に測定することができる。ゆらぎ運動の測定を行うにあたっては、自己相関関数(Autocorrelation function)を用いて演算する。特に、本方法は標識分子として蛍光を用いているので、自己相関蛍光分光法(Fluoresende Correlation Spectroscopy、略してFCS)を採用するのが好ましい。
 測定手法は、抗原抗体反応に伴う標識分子の大きさ変化に関する測定を行うものであれば適宜選択してよいが、蛍光顕微鏡等が有効に利用できる。測定工程が、3次元の微小視野内において実行されることにより、標的分子の試料含有液中における自由な微小運動を抗原抗体反応に応じて自然状態のままで高精度に測定できる。これに対して二次元的な視野内で測定すると、ブラウン運動のように、標識分子の三次元的に自由な移動をもれなく捕らえることができなので、測定精度が低い。極微小の平均半径からなるアパーチャー(ピンホール、光ファイバ端面等)から出射するように光学設計することによって得ることがもできるが、レーザー光線による収束光が好ましい。
 励起光であるレーザー光は、試料溶液のほんの1点に集中され、且つ共焦点光学系の特性からその1点からの蛍光発光を検出系で捕らえることになる。実際の容器中の測定領域は理想的な点ではなく、図3に示すような円柱状の領域となる。その大きさは例えば、直径約500nm、軸長約2000nm、容積としてフェムトリットルである。FCSの測定領域は溶液であり、領域中に存在する蛍光分子はブラウン運動を行っている。従って、一定の測定領域のおける分子の数は常に一定ではなく、ある値を中心に変動して「数ゆらぎ」が生じている。更にこの数ゆらぎに起因して、測定される蛍光強度に「強度ゆらぎ」が発生する。この蛍光強度のゆらぎを解析することで拡散速度に関する情報と分子の数に関する情報を得ることが出来る。
 また、評価手段は、所定時間内に得られる複数の測定データを記憶する手段と、記憶した複数の測定データを自己相関関数で演算する演算手段とを有するのが好ましい。更に、この評価手段は、所定の測定領域内で得られる複数の標識分子に関する測定データを記憶する手段と、記憶した測定データをここの標識分子倍に自己相関関数で演算する演算手段とを有するのが好ましい。
 また、データ出力手段は、自己相関関数で演算された結果に基づいて、複数の追跡データに関する時間的な位置変化を表現する統計学的データに変換する変換手段を含むのが好ましい。
 評価手段は、所定時間内に得られる複数の測定データを記憶する手段と、記憶した複数の測定データを自己相関関数で演算する演算手段とを有する。更に、この評価手段は所定の測定領域内で得られる複数の標識分子に関する測定データを記憶する手段と、記憶した測定データを個々の標識分子毎に自己相関関数で演算する演算手段とを有する。
 データ出力手段は、自己相関関数で演算された結果に基づいて、複数の追跡データに関する時間的な位置変化を表現する統計学的データに変換する変換手段を含むのが好ましい。
 本方法に使用することが可能な反応容器は、上述で示したスライドグラスに点着するタイプ(図4)、マイクロウェルを多数設けたマイクロプレート(図5および6)または適当な数のウェルを具備するプレート(図7、8および9)を使用することが可能である。その場合、必要な反応容量は微量で十分であるため、384ウェル等の超マイクロウェルプレートタイプも適用可能で輸血検査を極めて高速のハイスループット化することが出来る。
 4.自己相関関数
 上述の装置により測定され、得られたデータの好ましい解析方法を以下に説明する。蛍光信号を約1分間測定する。得られた蛍光信号を逐次記憶部に記憶させると共に、蛍光自己相関関数G(t)に適用させることにより解析されるようにプログラミングして評価する。好ましいの蛍光自己相関関数G(t)は、測定領域内での蛍光分子の平均数N、蛍光標識物質を含む非反応分子としての遊離の標識化基質分子の並進時間τmonoと、抗原抗体反応後に標的分子に結合した標識化基質分子の並進時間τpolyとから、Rigler等の方法(Fluorescence Spectroscopy−New Methods and applications, Springer Berlin, 13−24,In J. R. Ladowicz(Ed.),1992を参照されたい)に基づき、以下の式1によって計算した。
Figure 2004132992
 数式1において、yは反応成分の割合τmono=Wo/4Dmono、τpoly=Wo/4Dpoly、S=Wo/Zo(ここで、Woは焦点付近の微小視野に形成される略円柱状の測定領域(図3を参照されたい))の体積要素の径であり、2Zoはその長さを意味する)、DmonoおよびDpolyは夫々非結合成分および結合成分の並進拡散係数である。
 FCSにより生物化学によける2つの重要なパラメータを得ることが可能である。検出領域(10−15L)における分子の平均数と分子の並進拡散係数である。本発明では、FCSを1分子計測の道具として用いて抗原抗体反応に関する解析を行った。
 以下に示す本発明の1つの好ましい例は、特異的反応前と反応後におけるこうした情報の時間的な変化を検出、変換して図10から13に示したように拡散速度から分子の大きさを検出することを利用した血型の同定方法である。また、本発明の他の好ましい例は、後述する血型に関する方法のみならず、同様の構成によってウィルスや細菌等の感染症またはその他抗原抗体反応を介した判定検査に応用することも可能である等の幅広い応用が可能である。
 [実施例]
 FCS測定
 以下の試験は、図1に示したFCS装置を用いてFCS測定を実行した。即ち、その試料液滴を試料用スライドに添加した状態で市販のFCS装置(ConfoCor,CarlZissJe naGmbH)の試料台に載せ、倍率40倍の対物レンズ(C−Apochromat,NA=1.2)により、レンズ内を通ってきたCW Ar+レーザービームで励起し、得られる放出光はアバランシュ・ダイオード(APD)であるSPCM−200−PQ(EG&G社)でシングル・フォトン・カウンティング・モードによりその蛍光信号として測定した。測定した蛍光信号は、デジタル・コリレーターであるALV5000/E(ALV GmbH)で解析することにより評価した。焦点領域の試料体積は、ローダミン6Gの拡散係数値から決定した。また、体積要素は、フルオレッセインとFlu−dUTPの溶液の濃度を用いて定めた。
 例1:赤血球血液型オモテ試験
 図8のような複数の凹みを有したスライドガラス状の測定用容器のコントロールウェルには、FITC等の蛍光で標識した抗体試薬を分注し、直ちに測定する。測定容器の体積は、例えば10μl前後であればFCSの測定領域として十分である。また、コントロールウェルと測定用ウェルを各々別にする必要性は必ずしもなく、試薬混合の前後を夫々コントロールと被検試料群として測定する方式でもよい。
 また、使用する試料中の赤血球濃度は、通常の血液型オモテ試験に使用されるものに比較して、低い濃度、即ち、10〜10cells/μLでよく、好ましくは2〜5×10cells/μLである。従って、本発明の方法を血型試験に使用すれば、従来法と比較してより少ない採血量で試験を行うことが可能である。即ち、全血の希釈率は0.1%前後でよい。
 反応系としては、図9のように、FITCで標識した抗A抗体および抗B抗体を夫々別々のウェルで試験する反応系以外に、図7のような1つのウェル内でに、抗A抗体をFITCで、抗B抗体をCy3で標識して同じウェルにて混合する系も可能である。試験の判定は、標識した蛍光物質の移動度に変化があったものを、抗体と血球とが反応した反応陽性(+)とし、移動度に変化のないものを、抗体と血球とが反応しなかった反応陰性(−)とする。
Figure 2004132992
 本反応方法によれば、抗原と抗体とを混合するワンステップのみで測定することが可能である。従って、凝集パターン形成に必要なインキュベーション時間や遠心操作は不要となる。また、測定領域が極微小であるために、反応に要する検体血球や抗体試薬も微量でよく、従って、反応コストが低減できる。また、固相面や凝集パターンを介さずに、純粋に、抗原抗体1分子間の反応の有無を蛍光分子の移動度の変化で直接捕らえるため、非特異性の反応が生じる機会が少なく、測定数値として定量的判定が可能である。このことは、現在の輸血検査で問題となっている亜型の判定上からも重要な特徴である。
 更に、実施例図7で示したように1検体の判定につき、同一容器で複数項目測定でき、測定時間の短縮や検体および試薬量等の削減も可能となる。
 また、反応系の試料を超音波等の適切な手段により攪拌してもよい。
 例2:赤血球血液型ウラ試験
 A型およびB型の標準血球と被検血清とを混合した後で、これを、蛍光標識した標準抗体を予め分注しておいたウェルに添加し、混合して直ちに測定する。この場合の判定原理は、被検血清中の抗血液型抗体と標準抗体との競合反応によるものである。
 オモテ試験と同様に異なる蛍光物質を標識に用いることにより、A型およびB型の両方の標準血球、並びに抗Aおよび抗B両方の蛍光標識標準抗体を1検体について、同一ウェル内にて反応することが可能である。
 試験の判定は、標識した蛍光物質の移動度に変化があったものを、抗体と血球とが反応した反応陽性(+)とし、移動度に変化のないものを、抗体と血球とが反応しなかった反応陰性(−)とする。
Figure 2004132992
 例3:不規則性抗体のスクリーニング試験
 赤血球に対する不規則性抗体のスクリーニング試験を行うためには、反応ウェルに二次抗体である抗ヒトグロブリン血清を蛍光標識したものを予め分注しておく。次に、標準血球、即ち、臨床的に重要な抗体を検出するのに十分な抗原構成とした、通常2〜3種類のO型正常ヒト血球と被検血清とを混合し、これを前記反応ウェルに分注して、直ちに測定を行う。
 被検血清中に遊離している不規則性抗体以外のグロブリンに対しても蛍光標識血清は結合し、それにより蛍光物質の移動度に変化が現れる。しかしながら、標準血球に結合した不規則抗体が存在する場合には、蛍光物質の移動速度の変化は前者の場合よりも顕著に大きく変化するので、不規則性抗体の存在の判定は容易である。
 例4:応用
 本発明の方法は、スクリーニング後の抗体同定にも応用することが可能である。この場合、臨床的に重要な抗原構成をパネルとして配分した抗体同定用のパネル血球を別ウェルで反応を用い、その反応パターンを解析することにより抗体を同定する。
 また、標準血球を用いた反応を用いる場合、所望に応じて標準血球を反応容器に固相化すること、あるいは、仕切りを設けて微小視野内に血球が侵入しないような反応容器を使用することも好ましい。これにより、バックグラウンドを最小とすることが可能である。
 実施例1〜3に示したように、本発明は、解決すべき課題の項で述べた現状の輸血検査の各問題点の全てを解決するものである。
本発明の方法に使用するのに好ましいFCS装置の例を示す図。 図1に示すFCS装置に具備される蛍光顕微鏡の測定部分の拡大図。 微小視野領域を示す図。 試料を点着したスライドグラスを示す断面図。 マイクロプレートを示す図。 マイクロプレートを示す断面図。 マイクロプレートを示す図。 マイクロプレートを示す図。 マイクロプレートを示す図。 微小視野領域における比較的小さい分子の動きを示す図。 比較的小さい分子の経時的なゆらぎを示すグラフ。 微小視野領域における比較的大きい分子の動きを示す図。 比較的大きい分子の経時的なゆらぎを示すグラフ。
符号の説明
1…蛍光顕微鏡  2…フォトマルチプライヤ  3…データ処理装置
4…表示装置  11…試料含有液  12…試料台  13…スライドガラス
14…蓋  15…対物レンズ   16…レーザー発生装置

Claims (7)

  1.  気密性と遮光性を有する蓋を、複数の微量の試料含有液をそれぞれ複数箇所に収容する収容体に被せた状態で、前記試料含有液中に含まれる蛍光色素を、前記収容体を通過する光ビームで励起するとともに、前記試料含有液から発して前記収容体を通過する蛍光を個々の試料含有液毎に測定することを特徴とする、複数の試料含有液に由来する多数の微量蛍光を測定する方法。
  2.  少なくとも励起された蛍光色素から発する蛍光を受光する際に、試料含有液の一部に、光学的な焦点を形成する請求項1に記載の方法。
  3.  試料含有液が、複数個の細胞を含んでいる請求項1または2に記載の方法。
  4.  収容体の試料含有液を収容する箇所に、固相化された細胞を含んでいる請求項3に記載の方法。
  5.  測定に寄与しない細胞を、測定領域に侵入しないように隔離する請求項3に記載の方法。
  6.  試料含有液を、異なる種類の蛍光色素によって区別される複数の試薬と反応させた状態で測定を行う、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
  7.  試料含有液を、異なる分子量の蛋白質によって区別される複数の試薬と反応させた状態で測定を行う、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
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