JP2004132911A - 展開部材、処理ユニットおよび処理装置 - Google Patents

展開部材、処理ユニットおよび処理装置 Download PDF

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Osamu Tanaka
田中 修
Shigeo Takei
武井 繁夫
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Abstract

【課題】例えば核酸のような被処理物を、より少ない量の処理液で処理することができる展開部材、処理ユニットおよび処理装置を提供すること。
【解決手段】カバープレート(展開部材)560は、被処理物を付着させたプレート(支持体)PであるマイクロアレイMに重ね合わせ、このマイクロアレイMとの間に形成される隙間569に、前記被処理物を処理する処理液を展開させるものである。このカバープレート560は、隙間569を規制するスペーサ565を有し、そのマイクロアレイMと対向する側の展開面561aが段差のない平滑面であるのが好ましい。また、展開面561aの平面度(JIS B 0621に規定)をX[μm]とし、スペーサ565の平均厚さをY[μm]としたとき、Y/Xが1.1以上であるのが好ましい。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、展開部材、処理ユニットおよび処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、核酸(RNA、DNA)に対するハイブリダイゼーション等の処理を行なう場合には、支持体上に核酸を付着させ、かかる核酸に反応液を接触させて処理することが行なわれる。
【0003】
まず、支持体上に反応液を滴下して、さらに、この上から展開部材を重ね合わせ、それらの間に形成された隙間に反応液を展開させることにより、核酸と反応液とを接触させる。次に、この状態で、核酸と反応液とを加熱しつつ、反応させる。
【0004】
そして、核酸の反応結果を解析する。すなわち、反応液と反応することにより、例えば、着色、蛍光、放射能等による標識が施された核酸を解析する。
【0005】
このような核酸の解析手法を行う処理装置として、支持体(スライドガラス40)上へ重ね合わて、反応液(試薬)を展開する展開部材(カバープレート52)を備えるサンプル処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。なお、ここで使用した符号は、特許文献1に記載の符号である。
【0006】
ところで、このような核酸の解析手法に用いられる反応液(処理液)は、高価なものである。したがって、反応液の使用量は、できるだけ少なくするのが好ましい。
【0007】
ところが、前記のサンプル処理装置では、例えば展開部材の支持体側の面の表面性状(例えば、表面のうねり等)の影響により、反応液の使用量を十分に少なくできていないのが現状である。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−296219号公報(図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、例えば核酸のような被処理物を、より少ない量の処理液で処理することができる展開部材、処理ユニットおよび処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(24)の本発明により達成される。
【0011】
(1) 被処理物を付着させた支持体に重ね合わせ、前記支持体との間に形成される隙間に、前記被処理物を処理する処理液を展開させる展開部材であって、前記展開部材は、前記隙間を規制するスペーサを有することを特徴とする展開部材。
【0012】
(2) 前記スペーサは、複数設けられている上記(1)に記載の展開部材。
【0013】
(3) 前記スペーサは、前記展開部材の前記支持体と対向する側の展開面の縁部付近に設けられている上記(2)に記載の展開部材。
【0014】
(4) 前記展開面は、ほぼ四角形状をなし、前記スペーサは、少なくとも前記展開面の四隅に設けられている上記(2)または(3)に記載の展開部材。
【0015】
(5) 前記スペーサは、平面視での形状がほほ扇状をなしている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の展開部材。
【0016】
(6) 前記スペーサの平均厚さは、5〜30μmである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の展開部材。
【0017】
(7) 前記スペーサは、印刷法により形成されたものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の展開部材。
【0018】
(8) 前記スペーサは、硬化性樹脂を含む材料で構成されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の展開部材。
【0019】
(9) 前記硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂である上記(8)に記載の展開部材。
【0020】
(10) 前記硬化性樹脂の含有量は、20〜60wt%である上記(8)または(9)に記載の展開部材。
【0021】
(11) 前記展開面は、段差のない平滑面である上記(3)ないし(10)のいずれかに記載の展開部材。
【0022】
(12) 前記展開面の平面度(JIS B 0621に規定)をX[μm]とし、前記スペーサの平均厚さをY[μm]としたとき、
Y/Xが1.1以上である上記(3)ないし(11)のいずれかに記載の展開部材。
【0023】
(13) 前記Xは、20μm以下である上記(12)に記載の展開部材。
【0024】
(14) 前記展開部材は、その少なくとも前記展開面付近がガラス材料で構成されている上記(3)ないし(13)のいずれかに記載の展開部材。
【0025】
(15) 前記展開部材は、その自重程度またはそれ以上の力で前記処理液を押圧することにより、前記隙間に展開させるよう構成されている上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の展開部材。
【0026】
(16) 前記展開部材は、変位機構により前記支持体に重ね合わされた位置と前記支持体から離間した位置との間で変位可能とされている上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の展開部材。
【0027】
(17) 前記展開部材は、前記変位機構により前記支持体に対してスライド可能とされている上記(16)に記載の展開部材。
【0028】
(18) 前記被処理物は、核酸である上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の展開部材。
【0029】
(19) 前記処理液は、前記被処理物と反応し得る反応液である上記(1)ないし(18)のいずれかに記載の展開部材。
【0030】
(20) 前記処理液は、前記核酸と反応し得るプローブを含む液体である上記(19)に記載の展開部材。
【0031】
(21) 前記隙間に供給される前記処理液の量は、15〜80μLである上記(1)ないし(20)のいずれかに記載の展開部材。
【0032】
(22) 上記(1)ないし(21)のいずれかに記載の展開部材を備え、前記支持体を収納可能であることを特徴とする処理ユニット。
【0033】
(23) 上記(22)に記載の処理ユニットが着脱自在に収納される処理槽を備えることを特徴とする処理装置。
【0034】
(24) 前記処理槽は、密閉可能である上記(23)に記載の処理装置。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の展開部材、処理ユニットおよび処理装置を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0036】
なお、以下では、被処理物の一例として、核酸(DNA、cDNA、RNA等)を代表とし、この核酸(核酸断片)をプレート(平板状の支持体)に散点状に付着させたマイクロアレイ(DNAチップ)を処理するマイクロアレイ処理装置に、本発明の処理装置を適用した場合について説明する。
【0037】
また、反応液(処理液)の一例として、被験者から採取された核酸(例えばmRNA、DNA等)、または、この核酸を基に合成されたもの(例えばcDNA等)を標識化した物質(以下、「プローブ」と言う。)を含む液体を代表に説明する。なお、標識化の方法としては、例えば、色素、蛍光物質、放射性物質等を核酸に付与する方法が挙げられる。また、以下では、かかるプローブを含む液体を「プローブ液R」と言う。
【0038】
図1は、本発明の処理装置をマイクロアレイ処理装置に適用した場合の実施形態を示す全体構成図、図2は、本発明の処理ユニットの分解斜視図(一部を省略して示す)、図3は、図2に示す処理ユニットが備えるカバープレートの側面図(X)および下面図(Y)、図4は、図2に示す処理ユニットが備える処理タブの平面図、図5は、図4中のA−A線断面図、図6は、図4中のB−B線断面図、図7は、図2に示す処理ユニットの作動状態を示す断面図、図8は、図1に示すマイクロアレイ処理装置における処理槽の構成を示す斜視図、図9は、図8に示す処理槽(本体部)の前半分側を示す平面図、図10は、第1接続口と第2接続口との接続状態を示す断面図、図11〜図13は、それぞれ、図8に示す処理槽が備える蓋体開閉機構の構成を示す概略図、図14は、図11〜図13に示す蓋体開閉機構の構成を示す平面図(一部切り欠いて示す)、図15は、図11〜図13に示す蓋体開閉機構の動作を説明するための図、図16は、図1に示すマイクロアレイ処理装置が備える装置本体の内部構成を示す模式図である。なお、図8では、蓋体開閉機構を省略して示し、図16では、2つの処理槽のうちの一方のみを示してある。また、図7では、スペーサが省略されている。
【0039】
また、以下の説明では、図1、図2、図5〜図8、図11〜図13および図15中の上側を「上方」または「上端」、下側を「下方」または「下端」と言う。また、図1および図8中の紙面左手前側を「前方」、紙面右手奥側を「後方」と、図11〜図13および図15中左側を「前方」、右側を「後方」と、図14中の上側を「前方」、下側を「後方」と言う。
【0040】
図1に示すマイクロアレイ処理装置1(以下、単に「装置1」と言う。)は、2つの処理槽(反応槽)3、3を備える装置本体2と、各部の作動を制御する制御手段10の一部を構成するパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」と言う。)110と、各処理槽3内に着脱自在に収納(設置)される合計4つの処理ユニット30とを有している。
【0041】
この装置1によれば、核酸(被処理物)Sとプローブ液(反応液)Rとを反応させるとともに、各種液体等により核酸Sを処理することができる。そして、核酸Sの反応結果からは、例えば、遺伝子DNA(核酸)の変異解析、多型解析、塩基配列解析、発現解析(存在の有無)、さらに、これらに基づいて各種疾患の診断等を、好適に行なうことができる。
【0042】
以下、各部の構成について説明する。
まず、処理ユニット30について、図2〜図7を参照しつつ説明する。なお、各処理ユニット30は、それぞれ同一の構成であるので、以下では、1つを代表して説明する。
【0043】
処理ユニット30は、図2に示すように、核酸Sを付着させたプレートP(以下、「マイクロアレイM」と言う。)を収納する処理タブ(収納部材)40と、この処理タブ40に対して着脱自在に設置されるカバーカセット50とを有している。
【0044】
処理タブ40は、全体形状としてトレー状(箱形)をなしており、底部41と、底部41の縁部に沿って立設された側壁部42とを有している。
【0045】
また、底部41には、複数(本実施形態では、3つ)の枠状をなす隔壁部43が立設され、これにより、各隔壁部43の内側にそれぞれ空間431と、各隔壁部43と側壁部42とで囲まれる部分に空間421とが画成されている。
【0046】
各空間431内には、それぞれマイクロアレイMが収納される。そして、これらの空間431内において、核酸Sには、例えば、プローブ液Rとの反応、洗浄液Wによる洗浄、気体Gによる乾燥等の各種処理が施される。すなわち、本実施形態では、空間(処理空間)431とプレートPとで、核酸(被処理物)Sを処理する処理部300が構成される。
【0047】
なお、空間431の容積(容量)は、マイクロアレイM(プレートP)の寸法等により適宜設定され、特に限定されないが、通常、3〜10mL程度とされる。
【0048】
また、空間421内には、処理ユニット30(処理槽3)内の湿度を保つための保湿液Hが供給される。すなわち、本実施形態では、保湿液Hは、各処理部300の周囲に供給される。
【0049】
各隔壁部43には、それぞれ、図4および図5中左側に、処理タブ40(隔壁部43および底部41)を厚さ方向に貫通して、第1供給路451が形成されている。各第1供給路451を介して、それぞれ、洗浄液W、気体G等が空間431内に供給される。
【0050】
図5に示すように、第1供給路451の下端には、第2接続口452が形成されている。第2接続口452は、処理タブ40の底面401に形成された円形の凹部44の中心部から下方に向かって略円筒状に突出するように形成されている。
【0051】
本実施形態では、第2接続口452は、底面401から突出しないように形成されている。これにより、処理タブ40を机上等に置いたり、複数の処理タブ40を重ねたりする際に、安定して載置することができたり、第2接続口452の損傷を防止することができるという利点がある(後述する第2接続口462、472および482についても同様)。
【0052】
第1供給路451の上端には、第1供給路開口(開口部)453が形成されており、洗浄液W、気体G等は、第1供給路開口453から流出して空間431内に供給される。
【0053】
また、各隔壁部43の内側に位置する底部41には、第1供給路451と反対側(図4および図5中右側)に斜面432がそれぞれ形成され、各斜面432が最も深くなる位置には、それぞれ溝436が形成されている。
【0054】
さらに、各溝436の中央付近には、それぞれ、処理タブ40(底部41)を厚さ方向に貫通して、第1排出路461が形成されている。これにより、各空間431内からは、それぞれ、使用後の洗浄液W、余剰のプローブ液R等(以下、これらを総称して、「廃液」と言う。)を、斜面432、溝436および第1排出路461を介して、速やかに処理ユニット30(処理槽3)の外部に排出(排液)することができる。
【0055】
図5に示すように、第1排出路461の下端には、第2接続口462が前記第2接続口452と同様に形成されている。また、第1排出路461の上端には、第1排出路開口(開口部)463が形成されている。廃液は、この第1排出路開口463から流入して、処理ユニット30(処理槽3)の外部に排出される。
【0056】
また、各隔壁部43の内側には、それぞれ、空間431内にマイクロアレイMを収納した状態で、マイクロアレイMの周囲を囲むようにして、複数の切欠きが形成されている。
【0057】
具体的には、図4中左側の上下に、一対の大型切欠き433a、433bが、四隅に切欠き434a〜434dが、また、斜面432の周囲に切欠き435a〜435eが、それぞれ形成されている。
【0058】
これらの大型切欠き433a、433b、および、切欠き434a〜434d、435a〜435eを設けることにより、図4中矢印で示すように、前記廃液をマイクロアレイMの上面(図4中紙面手前)側から下面(図4中紙面奥)側へ、より迅速かつ確実に移送することができる。
【0059】
なお、空間431内からマイクロアレイMを取り出したり、空間431内にマイクロアレイMを収納(設置)したりする操作の際には、大型切欠き433a、433bに、それぞれ、例えば親指と人指し指を挿入するようにすると、その操作をより容易かつ確実に行なうことができる。
【0060】
図4中の下側の隔壁部43と中央の隔壁部43との間における底部41には、空間421に連通する第2供給路471が底部41を厚さ方向に貫通して形成されている。この第2供給路471を介して、空間421内に保湿液H等を供給することができる。
【0061】
図6に示すように、第2供給路471の下端には、第2接続口472が前記第2接続口452と同様に形成されている。また、第2供給路471の上端には、第2供給路開口(開口部)473が形成されている。保湿液Hは、この第2供給路開口473から流出して、空間421内に供給される。
【0062】
ここで、第2供給路開口473の上側近傍には、第2供給路開口473を覆うようにして、受液板(噴出方向変更手段)を設けるようにしてもよい。
【0063】
これにより、保湿液Hが、処理ユニット30内に比較的勢いよく噴出した場合でも、受液板に衝突して、その勢いが緩和されるとともに、噴出方向が変更される。このため、保湿液Hが、不適当な方向(特に、図2および図6中上方)に飛散し、空間431内(処理部300)に混入するのを防止することができる。その結果、核酸Sとプローブ液Rとの反応に際し、この反応をより精度よく行なうことができる。
【0064】
また、図4中の上側の隔壁部43と中央の隔壁部43との間における底部41には、第2排出路481が第2供給路471と同様に形成されている。すなわち、第2排出路481の下端には、前記第2接続口452と同様の第2接続口482が形成されており、第2排出路481の上端には、第2排出路開口(開口部)483が形成されている。使用後の保湿液Hは、第2排出路開口483から流入して、処理ユニット30(処理槽3)の外部に排出される。
【0065】
このような処理タブ40の上部には、着脱自在にカバーカセット50が装着される。このカバーカセット50を処理タブ40に装着することにより、処理ユニット30の内部空間は、比較的高い気密性が保持される。
【0066】
このカバーカセット50は、図2に示すように、フレーム500と、スライド扉540、550と、カバープレート(展開部材)560とを有している。
【0067】
フレーム500は、第1部材510と、第1部材510の上部に、順次、設置された第2部材520および第3部材530とを有している。そして、これら3つの部材510、520、530は、例えばネジ等により、相互に連結されている。
【0068】
第1部材510は、フレーム500の主要部を構成する部材である。この第1部材510には、処理タブ40の各空間431に対応する位置に、それぞれ、上面および下面(図2中の上下の面)に開放する空間511が形成され、全体形状として枠状をなしている。
【0069】
また、各空間511に臨む一対の内壁面512、512には、それぞれ、第1案内溝512aおよび第2案内溝512bが形成されている。各第1案内溝512aには、後述するカバープレート560の第1軸563の端部が、それぞれ挿入され、一方、各第2案内溝512bには、カバープレート560の第2軸564の端部が、それぞれ挿入されている。
【0070】
また、図7に示すように、第1部材510の下端部には、その縁部に沿って係合部513が形成されている。カバーカセット50を処理タブ40に装着した状態で、この係合部513が、処理タブ40の側壁部42の上縁部に係合する。これにより、カバーカセット50が処理タブ40に固定、位置決めされる。
【0071】
この第1部材510の上部には、第2部材520が設置されている。この第2部材520は、平板状の部材で構成され、第1部材510の各空間511に対応する位置に、それぞれ凹部521が凹没形成されている。
【0072】
また、各凹部521には、それぞれ、その底部の図2中紙面右奥側に開口部522が形成されている。これらの開口部522を介して、後述するスライド扉550のフック553が、それぞれ下方に向って突出している。
【0073】
なお、各開口部522は、それぞれ、実質的にカバーカセット50の窓部50aを構成する部分である(図7参照)。処理タブ40にカバーカセット50を装着した状態で、核酸Sへプローブ液Rを供給する操作を行なう際には、これらの窓部50aを介して、その操作を行なうことができる。
【0074】
第2部材520の上部には、第3部材530が設置されている。この第3部材530も、平板状の部材で構成され、第2部材520の各凹部521に対応する位置には、それぞれ開口部531が形成されている。これらの開口部531を介して、後述するスライド扉540の操作ノブ542およびスライド扉550の操作ノブ552が、それぞれ、上方に向かって突出している。
【0075】
また、各開口部531の開口面積は、第2部材520の各凹部521の開口面積より小さく設定されている。このため、第3部材530を第2部材520に接合した状態では、各凹部521と第3部材530との間には、それぞれスライド空間521aが形成されている。これらのスライド空間521aには、スライド扉540の扉本体541とスライド扉550の扉本体551とが、それぞれ位置し、これらがフレーム500に対してスライド(水平移動)可能となっている。
【0076】
スライド扉540は、カバーカセット50の窓部50aを開閉する部材であり、平板状の扉本体541と、扉本体541から上方に向って突出形成された板片状の操作ノブ542とを有している。
【0077】
扉本体541は、スライド空間521a内に位置し、操作ノブ542は、第3部材530の開口部531を介して上方に向って突出している。操作ノブ542をスライドさせる操作を行なうと、扉本体541は、フレーム500に対してスライドする。
【0078】
また、扉本体541の下部には、スライド扉550の扉本体551が挿入される溝(凹部)543が形成されている。
なお、このスライド扉540は、必要に応じて、省略することもできる。
【0079】
スライド扉550も、前記スライド扉540と同様の機能を有しており、平板状の扉本体551と、扉本体551から上方に向って突出形成された板片状の操作ノブ552とを有している。操作ノブ552をスライドさせる操作を行なうと、扉本体551は、フレーム500に対してスライドする。
【0080】
さらに、扉本体551には、操作ノブ552と反対側(図7中右側)に、下方に向って突出するフック553が形成されている。このフック553は、2つの板片状の脚部で構成され、これらの脚部同士の間には、カバープレート560の第1軸563が係合可能なフック溝553aが形成されている。
【0081】
カバープレート(展開部材)560は、マイクロアレイMに重ね合わせ、これらの間に形成される隙間569に、プローブ液(処理液)Rを展開させるための部材である。
【0082】
このカバープレート560は、マイクロアレイMに対向する側に展開面561aを有するカバープレート本体561と、カバープレート本体561から立設された一対の側壁部562、562とを有している。
【0083】
カバープレート本体561は、平板状の部材で構成され、マイクロアレイMに重ね合わせた状態で、核酸Sの付着領域を包含することができる大きさ(寸法)を有している。
【0084】
また、カバープレート560は、隙間569を規制するスペーサ565を有している。このスペーサ565は、カバープレート560をマイクロアレイMに重ね合わせた状態で、いずれも平坦面(平滑面)を構成する展開面561aとマイクロアレイMを構成するプレートPの上面とが、他方に対して傾斜することなく互いにほぼ平行となるように保持する機能を有するものである。すなわち、スペーサ565は、隙間569の厚さ(幅)を、ほぼ一定に保持する機能を有するものである。これにより、核酸Sへ供給するプローブ液Rの量を正確に調整することが可能となるとともに、核酸Sに対してプローブ液Rを均一に供給することが可能となる。その結果、正確な核酸Sの反応結果が得られる。
【0085】
また、図3(Y)に示すように、展開面(カバープレート本体561の下面)561aは、ほぼ長方形状(四角形状)をなしており、本実施形態では、4つ(複数)のスペーサ565が、それぞれ、展開面561aの縁部付近、特に、四隅に設けられている。また、各スペーサ565は、互いにほぼ等しい厚さに設定されている。このような構成により、隙間569の厚さを、より容易かつ正確に一定に保持することが可能となる。
【0086】
また、各スペーサ565は、それぞれ、平面視での形状がほぼ扇状をなしている。これにより、プローブ液R中の気泡の隙間569からの排出をより良好に行うことができる。
【0087】
なお、スペーサ565は、隙間569を規制すること、すなわち、隙間569の厚さをほぼ一定に保持することができれば、図示の構成に限定されず、いかなるものであってもよい。例えば、スペーサ565は、展開面561aのほぼ中央に1つのみ設けた構成、展開面561aの縁部付近に複数個設けた構成等とすることができる。後者の場合において、スペーサ565を5つ以上設ける場合には、本実施形態のように、少なくとも展開面561aの四隅に設けるようにするのが好ましい。
【0088】
スペーサ565の平均厚さ、すなわち、隙間569の平均厚さは、特に限定されないが、5〜30μm程度であるのが好ましく、5〜20μm程度であるのがより好ましい。スペーサ565が薄すぎると、後述する展開面561aの平面度等によっては、核酸Sにプローブ液Rを均一に供給するのが困難となる場合があり、一方、スペーサ565の厚さを前記上限値を超えて厚くしても、貴重なプローブ液Rが無駄になるだけで、それ以上、核酸Sの反応結果の向上が期待できない。
【0089】
このようなスペーサ565は、例えば、スクリーン印刷のような印刷法、ガラス溶着、シート材の接着等により形成することができるが、これらの中でも、特に、印刷法により形成するのが好ましい。印刷法によれば、所望の形状やパターンのスペーサ565を、容易かつ精度よく形成することができる。
【0090】
また、このようなスペーサ565の構成材料は、硬化性樹脂を含む材料であるのが好ましい。かかる材料を用いることにより、スペーサ565の形成をより容易に行うことができる。
【0091】
この硬化性樹脂としては、例えば、尿素樹脂、フェノール樹脂のような熱硬化性樹脂、アクリル樹脂のような光硬化性樹脂、エポキシ樹脂のような反応硬化性樹脂、嫌気硬化性樹脂等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、これらの中でも、特に、熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂を用いることにより、大掛かりな設備を必要とせず、スペーサ565の形成を効率よく行うことができる。
【0092】
硬化性樹脂の含有量は、特に限定されないが、20〜60wt%程度であるのが好ましく、35〜50wt%程度であるのがより好ましい。硬化性樹脂の含有量を、前記範囲とすることにより、スペーサ565の構成材料の粘度上昇を防止(抑制)することができるとともに、構成材料を速やかに硬化させることもできる。
【0093】
また、スペーサ565の構成材料中には、必要に応じて、例えば、硬化開始剤、硬化促進剤、硬化遅延剤、無機フィラー、界面活性剤、カップリング剤、着色剤、粘度調整剤、離型剤、酸化防止剤、消泡剤等の各種添加剤を配合(混合)するようにしてもよい。
【0094】
なお、スペーサ565は、例えばAu等の金属材料を蒸着(真空蒸着)等することにより形成することもできる。
【0095】
また、展開面561aは、好ましくは段差のない平滑面とされ、これにより、マイクロアレイMとカバープレート本体561との間に形成されるデッドスペースをより小さくすることができ、貴重なプローブ液Rがより有効に利用される。
【0096】
この展開面561aの平面度(JIS B 0621に規定)をX[μm]とし、スペーサ565の平均厚さをY[μm]としたとき、Y/Xは、できるだけ大きくなるよう設定するのが好ましい。具体的には、Y/Xは、1.1以上であるのが好ましく、1.1〜10程度であるのがより好ましい。これにより、プローブ液Rの展開をより均一なものとすることができる。このため、少量のプローブ液Rであっても、核酸Sに均一に接触させることができ、核酸Sの好適な反応結果が得られる。
【0097】
なお、前記Xの具体的な値は、特に限定されないが、20μm以下であるのが好ましく、15μm以下であるのがより好ましく、5〜10μm程度であるのがさらに好ましい。展開面561aの平面度を前記範囲とすることにより、前記効果がより向上するとともに、隙間569に気泡(ボイド)が混入した場合であっても、この気泡が後述する核酸Sとプローブ液Rとの反応の際に、隙間569から円滑に抜け出るようになる。
【0098】
なお、展開面561aの平面度は、スペーサ565の厚さに応じて適宜設定するようにすればよい。
【0099】
カバープレート560は、例えば、各種ガラス材料、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイドのような各種樹脂材料等で構成することができるが、これらの中でも、特に、ガラス材料で構成するのが好ましい。カバープレート560をガラス材料で構成することにより、加熱された場合であっても、カバープレート560が大きく膨張することが防止(抑制)され、隙間569に一旦、均一に供給されたプローブ液Rが、不均一になってしまうのを防止(抑制)することができる。また、ガラス材料を用いることにより、展開面561aの平面度を前記範囲に調整するのが容易であるという利点もある。
【0100】
また、カバープレート560を、前記のような材料、すなわち、非金属材料で構成することにより、プローブ液R中に金属イオンが混入し、核酸Sとプローブ液Rとの反応が阻害されるのを好適に防止することもできる。
【0101】
なお、カバープレート560の展開面561aには、必要に応じて、例えば研磨等を施して、展開面561aの平面度を前記範囲となるように調整するようにしてもよい。
【0102】
また、カバープレート560は、その全体がガラス材料で構成されたものに限らず、その少なくとも展開面561a付近がガラス材料で構成されたものであればよく、例えば、ガラス材料で構成される平板状(膜状)の部材が固着(固定)されたもの等であってもよい。
【0103】
このように、本発明によれば、プローブ液Rの使用量が少量であっても、核酸Sの好適な反応結果が得られる。このプローブ液Rの使用量、すなわち、隙間569に供給されるプローブ液Rの量は、特に限定されないが、15〜80μL程度であるのが好ましく、30〜65μL程度であるのがより好ましい。プローブ液Rの使用量が少な過ぎると、プローブ液Rの種類、スペーサ565の平均厚さ等によっては、核酸Sとプローブ液Rとを均一に接触させることができない場合があり、一方、プローブ液Rの使用量を前記上限値を超えて多くしても、プローブ液Rが無駄になるだけで、核酸Sの反応結果の向上が期待できない。
【0104】
このようなカバープレート560は、スライド機構(変位機構)590により、マイクロアレイMに重ね合わされる位置(図7(C)に示す位置)とマイクロアレイMから離間する位置(図7(A)に示す位置)との間でスライド(変位)可能とされている。以下、このスライド機構590について説明する。
【0105】
カバープレート560の側壁部562、562には、これらを貫通するようにして、棒状の第1軸563および棒状の第2軸564が設置されている。そして、第1軸563の両端部は、それぞれ第1部材510の各第1案内溝512aに、第2軸564の両端部は、それぞれ第1部材510の各第2案内溝512bに挿入され、これにより、カバープレート560は、第1部材510(フレーム500)に支持されている。
【0106】
この状態で、第1軸563の中央部分は、スライド扉550のフック553に係合している。これらの係合作用により、スライド扉550をフレーム500に対してスライドさせる操作を行なうと、このスライド扉550の移動に伴って、カバープレート560もスライド(変位)する。なお、このとき、カバープレート560の移動は、各第1案内溝512aおよび各第2案内溝512bによって、案内(規制)されている。
【0107】
すなわち、本実施形態では、第1軸563、第2軸564、第1案内溝512a、第2案内溝512bおよびスライド扉550により、スライド機構590が構成されている。
【0108】
そして、このカバープレート560は、マイクロアレイMに重ね合されると、その自重でプローブ液Rを押圧することにより、これらの隙間569にプローブ液Rを展開させる。このような構成により、処理ユニット30の構成の複雑化や大型化を防止することができる。
【0109】
なお、カバープレート560は、その自重程度以上の力でプローブ液Rを押圧し得るような構成のものであってもよい。この場合、カバープレート560をマイクロアレイMに重ね合わせた状態から、さらにマイクロアレイMに向かって押圧(付勢)し得る機構を設けるようにすればよい。かかる機構は、スライド機構590に付加される構成、または、別途設けられる構成のいずれであってもよい。このような構成により、プローブ液Rの使用量(供給量)をさらに少なくすることができる。
【0110】
また、核酸Sとプローブ液Rとの反応は、後述するように、このマイクロアレイMにカバープレート560を重ね合せた状態で行なわれる。
【0111】
このような処理ユニット30では、カバープレート560以外の各部も、カバープレート560で挙げた材料と同様の材料(すなわち、非金属材料)で構成するのが好ましい。これにより、前述したのと同様に、プローブ液R中に金属イオンが混入し、核酸Sとプローブ液Rとの反応が阻害されるのを好適に防止することができる。
【0112】
次に、装置本体2について、図1および図8〜図16を参照しつつ説明する。図1に示す装置本体2は、前方に水平ステージ2aと、後方に垂直ステージ2bとを備えている。水平ステージ2aには、チップ設置部21と、プローブ液収納容器設置部22と、容器設置部23と、2つの密閉可能な処理槽3、3とが設けられ、垂直ステージ2bには、プローブ液供給手段(反応液供給手段)6が設けられている。
【0113】
また、装置本体2の内部には、主に、圧力センサ309と、供給用回路7と、排出用回路8と、温度調整手段9と、制御手段10の一部を構成する部材と、各部の作動に必要な電力を供給する電源部(図示せず)とが設けられている。以下、順次説明する。
【0114】
<チップ設置部21>
チップ設置部21は、後述する分注装置61のノズル612に装着される複数のチップ(管状部材)を設置する場所である。
【0115】
このチップ設置部21は、水平ステージ2aの上面(図1中上側の面)に形成された複数の穴(凹部)211で構成されている。各穴211には、それぞれ、チップを起立状態で設置することができる。
【0116】
このように、チップ設置部21には、複数のチップを設置しておくことができるので、1回のマイクロアレイMの処理操作において、複数の異なるプローブ液Rを用いる場合には、各プローブ液Rごとに用いるチップを取り替えることができる。これにより、異なるプローブ液R同士が混ざり合うこと(コンタミネーション)を防止することができ、各核酸Sに対して正確な処理を施すことができる。
【0117】
<プローブ液収納容器設置部22>
プローブ液収納容器設置部22は、プローブ液Rが収納された複数の容器を設置する場所である。
【0118】
このプローブ液収納容器設置部22は、水平ステージ2aの上面(図1中上側の面)に形成された複数の穴(凹部)221で構成されている。各穴221には、それぞれ、前記容器を起立状態で設置することができる。
【0119】
また、プローブ液収納容器設置部22には、ヒータ付蓋体222が回動自在に設置されている。ヒータ付蓋体222は、平板状の部材で構成されており、水平ステージ2aに当接した状態で、全ての穴221を覆うことができ、穴221に設置された各容器とともに、気密性が保持されるようになっている。
【0120】
なお、このヒータ付蓋体222が備えるヒータ(図示せず)は、後述する温度調整手段9の一部を構成する。
【0121】
また、ヒータ付蓋体222の内面(図1中下側の面)には、その縁部付近に沿って、例えばシリコーンゴム等の弾性材料で構成される封止部材(図示せず)が設置されている。これにより、ヒータ付蓋体222が水平ステージ2aに当接した状態での気密性を向上することができる。
【0122】
<容器設置部23>
容器設置部23は、後述する複数の容器72a〜72hを設置する場所である。
【0123】
この容器設置部23は、水平ステージ2aの上面(図1中上側の面)に形成された複数の穴(凹部)231で構成されている。各穴231には、それぞれ、各容器72a〜72hを起立状態で設置することができる。
【0124】
<処理槽3>
各処理槽3は、図8に示すように、それぞれ、処理ユニット収納部(凹部)31を備える本体部32と、本体部32に対してスライド可能(変位可能)に設けられた蓋体37とを有している。
【0125】
図1に示すように、各処理ユニット収納部31には、それぞれ、処理ユニット30を前方と後方とに2つ並べて収納(設置)することができるようになっている。すなわち、本実施形態の装置本体2には、処理ユニット30を合計4つ設置することができ、装置本体2では、最大12個のマイクロアレイMを、同時に処理することができる。
【0126】
なお、各処理槽3は、それぞれ同一の構成であるので、以下では、1つを代表して説明する。
【0127】
図8に示すように、本体部32は、全体形状としてトレー状(箱形)をなしており、底部33と、底部33の縁部に沿って立設する側壁部34とで構成されている。
【0128】
図9に示すように、底部33の前半分側には、3つの第1接続口351と、3つの第1接続口352と、1つの第1接続口353と、1つの第1接続口354とが設けられている。
【0129】
以下では、処理槽3内(処理ユニット収納部31)に設置(装着)される2つの処理ユニット30のうちの一方に対応する処理槽3の前半分側の構成について説明する。処理槽3の後半分側には、他方の処理ユニット30に対応する第1接続口351〜354等が前半分側と同様に設けられているが、その説明は省略する。
【0130】
第1接続口351は、処理タブ40の第2接続口452に対応した位置に配置されており、第1接続口352は、第2接続口462に対応した位置に配置されており、第1接続口353は、第2接続口472に対応した位置に配置されており、第1接続口354は、第2接続口482に対応した位置に配置されている。
【0131】
これらの第1接続口351〜354は、互いに同じ構造になっている。すなわち、図10に示すように、第1接続口351〜354は、それぞれ、底部33に設置されたシール受け部材36によって形成されている。なお、図10では、代表して、第1接続口353と第2接続口472との接続状態を示している。
【0132】
シール受け部材36は、全体形状としてほぼ円筒状(円柱状)をなしている。このシール受け部材36の下側の部分である埋入部361は、底部33に埋入した状態になっており、上側の部分である突出部362は、処理槽3の底面331から突出した状態になっている。
【0133】
シール受け部材36の外周には、Oリング363が設置されており、これにより、シール受け部材36と底部33との隙間が気密的(液密的)に封止され、処理槽3の気密性が確保されている。また、シール受け部材36は、例えば図示しないボルト等により底部33に固定されている。
【0134】
突出部362の内周には、弾性体で構成されたオイルシール(シール部材)39が設置されている。また、突出部362の外径は、処理タブ40の凹部44の内径とほぼ等しいか、または、若干小さく設定されている。
【0135】
このような構成により、処理槽3内(処理ユニット収納部31)に処理タブ40を装着する際、処理槽3側の第1接続口351〜354と、これに対応する処理タブ40側の第2接続口452、462、472、482とがそれぞれ液密に接続されるようになっている。
【0136】
すなわち、図10に示すように、処理槽3内(処理ユニット収納部31)に処理タブ40を装着した状態では、第2接続口452、462、472、482が、それぞれ、対応する第1接続口351〜354におけるオイルシール39の内側に挿入される。これにより、第1接続口351〜354と、これに対応する第2接続口452、462、472、482とは、それぞれ液密に接続される。また、この状態では、突出部362が凹部44内に挿入されることにより、処理タブ40が処理槽3に対し、位置決め(固定)される。
【0137】
このオイルシール39の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴムのような各種ゴム材料や、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0138】
本実施形態では、処理槽3内(処理ユニット収納部31)に処理タブ40を装着した状態では、処理槽3の底面331と、処理タブ40の底面401とが接触(または近接)する。これにより、底部33から処理タブ40に熱が伝わり易く(熱伝導効率が高く)、後述する第1温度調整ユニット91による温度調整をより精密かつ確実に行うことができる。
【0139】
また、処理タブ40(処理ユニット30)は、処理槽3に対し着脱自在になっていることから、マイクロアレイM(被処理物)を処理タブ40にセット(収納)した後に、処理タブ40を処理槽3内に装着することができる。このため、マイクロアレイM(被処理物)を装置1にセットするのが容易となる。また、使用後には、処理槽3から処理タブ40を取り外して、容易に洗浄等を行うことができ、便利である。
【0140】
また、処理タブ40を処理槽3に装着するのに伴なって、第1接続口351〜354と、これに対応する第2接続口452、462、472、482とがそれぞれ液密に接続されることから、作業を迅速かつ容易に行うことができるとともに、洗浄液W、保湿液H、気体G等の供給・排出を確実に行うことができる。
【0141】
特に、本実施形態では、第1接続口351〜354は、同一平面上(底面331上)に配置され、第2接続口452、462、472および482は、同一平面上(底面401上)に配置されている。これにより、第1接続口351〜354と、これに対応する第2接続口452、462、472、482との接続がより容易な操作でより確実になされる。
【0142】
なお、第1接続口351〜354と、第2接続口452、462、472および482との形状、構造は、図示の構成に限らず、両者が液密に接続可能なものであれば、いかなるものでもよい。また、オイルシール39のようなシール部材は、第2接続口側に設けられていても、双方に設けられていてもよい。
【0143】
また、図10に示すように、シール受け部材36の埋入部361には、円筒状をなすチューブ接続部364が設けられている。このチューブ接続部364の内部は、埋入部361および突出部362の内部(内側)に連通している。図示の構成では、チューブ接続部364は、シール受け部材36の中心軸に垂直な向きに形成されている。
【0144】
図9に示すように、3つの第1接続口351におけるシール受け部材36には、下流側分岐ライン(流路)74a〜74cを構成するチューブがそれぞれ接続されており、第1接続口353におけるシール受け部材36には、下流側分岐ライン(流路)74dを構成するチューブが接続されており、3つの第1接続口352におけるシール受け部材36には、分岐ライン(流路)81a〜81cを構成するチューブがそれぞれ接続されており、第1接続口354におけるシール受け部材36には、分岐ライン(流路)81dを構成するチューブが接続されている。
【0145】
これらの各ラインのチューブは、図10に示すように、その内側にチューブ接続部364が挿入・嵌合することにより、シール受け部材36に接続される。なお、下流側分岐ライン74a〜74dおよび分岐ライン81a〜81dについては後述する。
【0146】
また、本実施形態の装置1は、処理タブ40を処理槽3内に装着する際に処理タブ40の向きを間違えるのを防止する手段を有している。以下、この点について説明する。
【0147】
本実施形態では、処理タブ40の形状によって、装着の向きの間違いが防止される。すなわち、図4に示すように、処理タブ40は、平面視で長方形状をなしており、その長辺の長さは、処理槽3の幅方向の内法L(図9参照)とほぼ等しいか、または、若干小さく設定されている。
【0148】
これにより、処理タブ40を処理槽3内に装着する際には、処理タブ40の長辺の長さが前記Lに一致することにより、処理タブ40の向きを90°間違えて装着することが防止される。
【0149】
また、本実施形態では、第1接続口351、352および第2接続口452、462の配置によっても、処理タブ40の装着の向きの間違いが防止される。すなわち、図4および図5に示すように、処理タブ40の縁から第2接続口452までの長さLは、処理タブ40の縁から第2接続口462までの長さLより短く設定されている。また、このLは、処理槽3の前側の内壁から第1接続口351までの長さL(図9参照)とほぼ等しいか、または、若干小さく設定されている。
【0150】
このような構成により、処理タブ40の向きを180°間違えて装着しようとした場合、前記Lと前記Lとの長さの違いにより、第1接続口351と第2接続口462とは接続されないため、処理タブ40の向きを180°間違えて装着することが防止される。
【0151】
なお、処理タブ40の向きを間違えて装着するのを防止する手段としては、図示のような構成に限らず、いかなるものでもよい。例えば、処理タブ40と処理槽3との一方に凸部を設け、他方に該凸部が挿入し得る凹部を設けたようなものや、一部の第1接続口および第2接続口の径を異ならせることによって正しい向き以外では装着できないようなものであってもよい。
【0152】
このような本体部32に対して、平板状をなす蓋体37が蓋体開閉機構3Aによりスライド可能に設置されている。以下、蓋体開閉機構3Aについて説明する。
【0153】
図11〜図15に示す蓋体開閉機構3Aは、主に、蓋体37を搬送するキャリッジ391と、キャリッジ391と蓋体37とを連結するリンクプレート392a、392bと、蓋体37をキャリッジ391に引き付けた状態で保持するスプリング393と、リンクプレート392aを起立状態とする第1ストッパ394と、キャリッジ391の前方への移動を規制する第2ストッパ399とを有している。
【0154】
キャリッジ391は、箱状をなしており、図14に示すように、その内部には、キャリッジ391の駆動源であるモータ38が搭載されている。
【0155】
モータ38は、ギア列383を介してシャフト397aを回転駆動するようになっている。また、このシャフト397aの両端部には、後述するラックギア398a、398bに噛合するピニオンギア397が固定されている。これにより、モータ38の駆動力は、ギア列383を介してピニオンギア397に伝達される。
【0156】
また、キャリッジ391の両側部には、それぞれ、リンクプレート392a、392bの一端部を回転可能に支持する軸391a、391bが突出形成されている。各軸391a、391bの端部には、それぞれ、ローラ396が回転可能に装着され、各ローラ396は、それぞれ、後述する固定壁395に形成されたガイド溝395aに挿入されている。
【0157】
モータ38は、ブレーキ付きのモータ、すなわち、電力供給がなされない場合には、回転が停止し、その位置を維持できるように構成されたモータであるのが好ましい。
【0158】
図1および図14に示すように、本体部32の両側部には、一対の固定壁395が設けられている。
【0159】
各固定壁395には、それぞれ、前記ローラ396を案内するガイド溝395aが厚さ方向に貫通して形成されている。このガイド溝395aは、固定壁395の上方縁部から後方縁部に沿って、ほぼL字状をなすように形成されている。
【0160】
また、固定壁395には、ガイド溝395aの直線部分に沿って、ラックギア398a、398bが並設されている。各ラックギア398a、398bには、それぞれ、キャリッジ391が備えるピニオンギア397が噛合する。
【0161】
このような構成により、キャリッジ391は、モータ38の駆動により、本体部32の後方の位置(図11に示す位置、以下、「退避位置」と言う。)と、本体部32の上方の位置(図13に示す位置、以下、「上方位置」と言う。)との間で移動する。このキャリッジ391の移動に伴って、蓋体37が退避位置と上方位置との間で搬送される。
【0162】
なお、上方位置と退避位置とは、図11等に示すように、互いにほぼ垂直をなす位置関係に代わり、ほぼ直線状をなす位置関係にあってもよい。
【0163】
また、固定壁395には、そのガイド溝395aの前方端部付近に第1ストッパ394が固着(固定)されている。この第1ストッパ394は、キャリッジ391が上方位置に移動したとき、リンクプレート392aに当接し、リンクプレート392aを起立させる機能を有するものである。
【0164】
この第1ストッパ394の形状は、リンクプレート392aが容易に起立し得る形状であれば、いかなるものであってもよいが、当接面が曲面を構成する部材であることが好ましく、回動自在に設けられたローラ等で構成されているのがより好ましい。これにより、リンクプレート392aのスムースな起立動作を促すことができる。
【0165】
また、図14に示すように、蓋体37の両側部には、それぞれ、軸374が2つずつ突出形成されている。各軸374には、それぞれ、リンクプレート392a、392bの他端部が回転可能に支持されている。すなわち、キャリッジ391には、リンクプレート392a、392bを介して、蓋体37が連結されている。
【0166】
また、スプリング393は、その一端が蓋体37の側部に固定され、その他端がキャリッジ391の側部に固定されている。蓋体37は、スプリング393の弾性力によりキャリッジ391に引き寄せられ、この状態で搬送される。このため、蓋体37が本体部32の縁部等と干渉(接触)するのが防止され、処理槽3の開閉動作を円滑に行うことができる。
【0167】
蓋体37により処理ユニット収納部31を塞ぐ(処理槽3を閉状態とする)場合には、まず、モータ38を駆動して、キャリッジ391を移動させることにより、蓋体37を退避位置から上方位置に向かって搬送する(図15(a)参照)。
【0168】
そして、リンクプレート392aの下端側が第1スットパ394に当接すると、それ以上、リンクプレート392aの前方への移動が規制(阻止)される。なお、この状態では、キャリッジ391自体の前方への移動は規制されていない(図15(b)参照)。このため、キャリッジ391の前方への移動に伴い、リンクプレート392aは、徐々に起立する。また、このとき、リンクプレート392bも連動して起立する。
【0169】
キャリッジ391は、上方位置にあるとき、ガイド溝395aにより、その上下方向の移動が規制されているので、リンクプレート392a、392bが起立すると、蓋体37は、スプリング393の張力に抗して本体部32に向かって、ほぼ垂直に下降するようになる。
【0170】
また、蓋体37の上部には、第2ストッパ399が設置されており、図15(b)に示す状態から、さらにキャリッジ391が前方へ移動すると、キャリッジ391は、この第2スットパ399に当接し、それ以上の前方への移動が規制(阻止)される(図15(c)参照)。
【0171】
このキャリッジ391の停止位置は、起立状態のリンクプレート392a、392bが蓋体37に対してほぼ垂直となるよう設定されている。これにより、蓋体37は、本体部32に向かってほぼ垂直に押圧される。このため、処理槽3内の圧力が上昇し、蓋体37を上方に向かって押圧力が作用した場合であっても、蓋体37が上方に持ち上がることが防止される。すなわち、処理槽3の閉状態を維持することができる。
【0172】
この第2ストッパ399は、例えば、進退自在なボルト等で構成され、キャリッジ391の停止位置を適宜調整できるようになっている。
【0173】
また、蓋体37の内面(下面)には、その縁部付近に沿って、前記オイルシール39の構成材料で挙げたのと同様の弾性材料(弾性体)で構成された封止部材375が設置されている。蓋体37により処理ユニット収納部31を塞いだ状態(処理槽3を閉じた状態)では、封止部材375が側壁部34(本体部32)の上縁部に密着する。これにより、処理槽3を気密的に封止(密閉)することができる。
【0174】
また、リンクプレート392a、392bの長手方向の長さは、それぞれ、これらが起立状態(蓋体37に対してほぼ垂直となった状態)となったとき、封止部材375が側壁部34(本体部32)の上縁部に圧接し得る程度に、蓋体37を本体部32に向かって押圧するように設定されている。これにより、処理槽3の気密性をより向上させることができる。
【0175】
一方、蓋体37を本体部32から取り外す(処理槽3を開状態とする)場合には、前記とは逆に、モータ38を駆動して、キャリッジ391を上方位置から退避位置に向かって移動させると、スプリング393の張力により、蓋体37が上方に引き上げられる。さらに、キャリッジ391を移動(後退)させれば、このキャリッジ391の移動に伴い、蓋体37は、順次、図12、図11に示すような状態を経て、退避位置に向かって搬送される。
【0176】
なお、蓋体37が退避位置にある場合、本体部32の上方には、蓋体開閉機構3Aを構成する部材が存在しないため、例えば、プローブ液Rの供給(分注操作)等の各種処理操作を容易かつ確実に行うことができる。
【0177】
このような蓋体開閉機構3Aでは、主に、キャリッジ391、リンクプレート392a、392b、ガイド溝395a、ローラ396、ラックギア398a、398b等により、本体部32の上方位置と退避位置との間で、蓋体37を搬送する搬送機構が構成され、主に、リンクプレート392a、第1ストッパ394および第2ストッパ399により、蓋体37の移動方向を変更する移動方向変更機構が構成されている。そして、前記移動方向変更機構は、前記搬送機構により本体部32の上縁部とほぼ平行となるように(図15に示すように)、本体部32の後方(側方)から上方位置に搬送された蓋体37の移動方向を、本体部32に向かう方向(図15中、下方向)に変更する。
【0178】
また、このような蓋体開閉機構3Aによれば、単一の駆動源を用いて、蓋体37の開閉動作と、本体部32に対する押圧操作を行うことができるという利点がある。なお、これらの動作を行う2つの機構(搬送機構および移動方向変更機構)は、個別に(独立して)設けられていてもよい。
【0179】
また、このような蓋体開閉機構3Aによれば、第1スットパ394によるリンクプレート392aの移動の規制、および、第2ストッパ399によるキャリッジ391の移動の規制という簡単な方法で、蓋体37の搬送動作や押圧動作を容易かつ確実に制御することができる。
【0180】
また、蓋体37は、図8に示すように、内部材37aと、この内部材37aの外面側を覆うように固定された補強部材37bとを有しており、これらの内部材37aと補強部材37bとは、一体的にスライド(変位)するよう構成されている。この補強部材37bは、内部材37aの構成材料より高硬度の材料で構成されている。
【0181】
このような構成により、前述したような蓋体開閉機構3Aによる蓋体37への押圧力を、蓋体37全体にほぼ均一かつ確実に加えることができる。これにより、処理槽3の閉状態をより確実に維持することができる。
【0182】
補強部材37bの構成材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、銅、真鍮、アルミニウム、チタン、または、これらのうちの少なくとも1種を含む合金等の各種金属材料を用いることができる。
【0183】
また、補強部材37bのみを前記金属材料で構成することにより、蓋体37全体を金属材料で構成する場合に比べて、蓋体37全体の重量が極端に増大するのを防止(抑制)することができる。このため、モータ38として、大型のモータ(大出力のもの)を使用することなく、蓋体開閉機構3Aは、その機能を如何なく発揮することができる。すなわち、蓋体37をこのような構成とすることにより、蓋体開閉機構3Aの小型化、延いては、装置1の小型化に貢献することができる。
【0184】
また、図8および図16に示すように、蓋体37には、処理槽3の開閉状態を検知するための開閉センサ373が設けられている。
【0185】
<圧力センサ309>
圧力センサ(圧力検出手段)309は、処理ユニット30(処理槽3)内の圧力を検出するものであり、各処理槽3(本体部32)の外側部に固定(設置)されている。
【0186】
後述するように、核酸Sとプローブ液Rとを反応させる際には、これらを加熱しつつ行われる。このとき、密閉状態にある処理槽3は、この加熱による内部温度に伴い、内部の空気が膨張したり、後述する保湿液Hが蒸発したり等して、次第に、内部圧力が上昇する。
【0187】
圧力センサ309を設けることにより、処理槽3内の圧力を検出することができるので、処理槽3内の圧力上昇が検出されない場合には、処理槽3の気密性が十分に保持されていないこと、すなわち、処理槽3に何らかの異常があることが判る。
【0188】
この場合、核酸Sとプローブ液Rとの反応における比較的早い段階で、一旦処理操作を中断し、前記異常個所を修復(修理)した後、再度、処理操作を開始することができる。このため、貴重なプローブ液R、マイクロアレイM等を無駄にしてしまうことが防止される。
【0189】
<プローブ液供給手段6>
プローブ液供給手段(反応液供給手段)6は、主に、核酸(被処理物)Sと反応し得るプローブ液(反応液)Rを、核酸(被処理物)Sに供給する機能を有するものであり、図1に示すように、分注装置61と、分注装置61を3次元方向に移動可能な移動機構62とを有している。
【0190】
分注装置61は、液体の吸引および排出が可能な装置であり、分注ポンプ611と、その下端部(先端部)に設けられ、管状のチップを装着可能なノズル612とを備えている。
【0191】
分注ポンプ611は、例えば、ピストン型ポンプ、シリンジ型(プランジャー型)ポンプ等で構成することができる。
【0192】
移動機構62は、分注装置61をx軸方向(図1中左右方向)に移動可能なx軸方向移動機構62aと、分注装置61をy軸方向(図1中前後方向)に移動可能なy軸方向移動機構62bと、分注装置61をz軸方向(図1中上下方向)に移動可能なz軸方向移動機構62cとで構成されており、分注装置61は、z軸方向移動機構62cを構成する部材に固定されている。
【0193】
また、図1に示すように、z軸方向移動機構62cを構成する部材の下端部には、棒状をなす操作部材(係合部材)63が設けられている。移動機構62によって、この操作部材63を移動させて、スライド扉540およびスライド扉550のスライド操作を行なうことができる。
【0194】
なお、このスライド扉540およびスライド扉550のスライド操作は、操作部材63に代わり、分注装置61のノズル612を用いて行なうようにしてもよい。
【0195】
<供給用回路7>
供給用回路7は、処理槽3(処理ユニット30)内へ、各種液体(洗浄液W、保湿液H、フラッシング液F)や、気体Gを供給するための回路である。
【0196】
この供給用回路7は、図16に示すように、主供給ライン70と、上流側分岐ライン71a〜71hと、下流側分岐ライン74a〜74dと、ドレーンライン76とを有している。
【0197】
主供給ライン70は、供給用回路7の主要部を構成し、その途中には、上流側から順に、ポンプ78と、三方バルブ79とが設けられている。この主供給ライン70は、三方バルブ79において、2つの処理槽3、3に向って二股に分岐した後、さらに、分岐した主供給ライン70は、それぞれ、2つの処理タブ40に対応するように二股に分岐している。
【0198】
主供給ライン70の上流側には、各上流側分岐ライン71a〜71hの一端(下流端)が接続されている。これらの上流側分岐ライン71a〜71hの他端(上流端)には、それぞれ、容器72a〜72hが接続されている。
【0199】
本実施形態では、各容器72a〜72e内には、それぞれ、洗浄液Wが充填されており、容器72f内には、保湿液Hが、容器72g内には、フラッシング液Fが、また、容器72h内には、気体Gが、それぞれ、充填されている。
【0200】
また、各上流側分岐ライン71a〜71hの途中には、それぞれ、それらの流路を開閉し得る上流側バルブ73a〜73hが設けられている。
【0201】
一方、主供給ライン70の下流側には、各下流側分岐ライン74a〜74dの一端(上流端)、および、ドレーンライン76の一端(上流端)が、それぞれ接続されている。
【0202】
前述したように、各下流側分岐ライン74a〜74cの他端(下流端)は、それぞれ各第1接続口351に接続され、下流側分岐ライン74dの他端(下流端)は、第1接続口353に接続されている。また、ドレーンライン76の他端(下流端)は、後述する主排出ライン80の途中に接続されている。
【0203】
また、各下流側分岐ライン74a〜74d、および、ドレーンライン76の途中には、それぞれ、それらの流路を開閉し得る下流側バルブ75a〜75d、77が設けられている。
【0204】
このような構成において、各容器72a〜72e、各上流側分岐ライン71a〜71e、各上流側バルブ73a〜73e、主供給ライン70の一部、ポンプ78、三方バルブ79、各下流側分岐ライン74a〜74c、および、各下流側バルブ75a〜75cにより、核酸(被処理物)Sを洗浄するための洗浄液Wを供給する洗浄液供給手段7Wが構成されている。
【0205】
また、容器72f、上流側分岐ライン71f、上流側バルブ73f、主供給ライン70の一部、ポンプ78、三方バルブ79、下流側分岐ライン74d、および、下流側バルブ75dにより、処理ユニット30(処理槽3)内の湿度を保つための保湿液Hを供給する保湿液供給手段7Hが構成されている。
【0206】
また、容器72h、上流側分岐ライン71h、上流側バルブ73h、主供給ライン70の一部、ポンプ78、三方バルブ79、各下流側分岐ライン74a〜74c、および、各下流側バルブ75a〜75cにより、核酸(被処理物)Sを乾燥するための気体Gを供給する気体供給手段7Gが構成されている。
【0207】
さらに、容器72g、上流側分岐ライン71g、上流側バルブ73g、主供給ライン70の一部、ポンプ78、三方バルブ79、各下流側分岐ライン74a〜74d、76および、各下流側バルブ75a〜75d、77により、処理槽3(各空間431、421)、供給用回路7および排出用回路8内を洗浄するためのフラッシング液Fを供給するフラッシング液供給手段7Fが構成されている。
【0208】
図16に示すように、処理槽3内に、処理ユニット30を収納した状態では、各空間431(処理槽3)内と、洗浄液供給手段7W、気体供給手段7Gおよびフラッシング液供給手段7Fとが接続され、空間421(処理槽3)内と、保湿液供給手段7Hおよびフラッシング液供給手段7Fとが接続されている。
【0209】
具体的には、▲1▼:各第1接続口351内に各第2接続口452が、それぞれ挿入され、各第1接続口351と各第1供給路451とが、それぞれ連通し、これにより、各空間431内と、洗浄液供給手段7W、気体供給手段7Gおよびフラッシング液7Fの流路(内部空間)とが連通している。
【0210】
また、▲2▼:第1接続口353内に第2接続口472が挿入され、第1接続口353と第2供給路471とが連通し、これにより、空間421内と、保湿液供給手段7Hおよびフラッシング液7Fの流路(内部空間)とが連通している。
【0211】
また、本実施形態では、洗浄液供給手段7W、保湿液供給手段7H、気体供給手段7Gおよびフラッシング液供給手段7Fは、それらの一部(主供給ライン70の一部、ポンプ78、三方バルブ79等)を共用するように構成されている。これにより、回路構成を簡易にすることができ、装置本体2(装置1全体)の簡略化と小型化とを図ることができる。
【0212】
なお、本発明では、洗浄液供給手段7W、保湿液供給手段7H、気体供給手段7Gおよびフラッシング液供給手段7Fのうちの任意の2または3の各手段が、それらの一部を共用するように構成されていてもよく、各手段が、それぞれ、個別に(独立して)設けられていてもよい。
【0213】
ここで、洗浄液W、保湿液H、気体G、フラッシング液Fについて、それぞれ説明する。
【0214】
洗浄液Wは、主に、核酸Sとプローブ液Rとを反応させた後、余剰のプローブ液Rを洗い流すために用いられるものであり、核酸Sの反応結果に影響を与えないものであるのが好ましく、例えば、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液等の緩衝液を主とするものであるのが好ましい。このような緩衝液を主とする洗浄液Wは、プローブとの反応性に乏しく、また、核酸Sへのダメージ(損傷)を極めて小さくすることができるという利点がある。
【0215】
また、洗浄液W中には、必要に応じて、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、硫酸デキストラン、Tween−20、NP−40、Triton X−100のような界面活性剤等の各種添加剤を添加してもよい。
【0216】
各容器72a〜72e内に充填される洗浄液Wは、全てが同一の条件のものであってもよいし、少なくとも1つが異なる条件のものであってもよい。洗浄液Wの条件を変える場合には、例えば、組成、濃度、温度等のうちの1または2以上を適宜変更するようにすればよい。
【0217】
例えば、容器72a内に洗浄液Waを充填し、容器72b内に洗浄液Waと異なる条件の洗浄液Wbを充填しておけば、上流側バルブ73aと73bとを切替えること、すなわち、容器72aと容器72bとを切替えることで、容易に、互いに異なる条件の洗浄液W(洗浄液Waおよび洗浄液Wb)を、核酸Sに対して供給し、核酸Sを洗浄することができる。
【0218】
したがって、各容器72a〜72e内に充填する洗浄液Wの条件を全て異なる条件としておくことにより、本実施形態では、5種類の異なる条件の洗浄液Wにより、核酸(被処理物)Sの洗浄を行なうことができる。
【0219】
保湿液Hは、処理ユニット30(処理槽3)内の湿度を保持し、これにより、例えば、核酸Sとプローブ液Rとの反応等に際して、プローブ液R中の液性成分の蒸発を防止(抑制)するためのものである。この保湿液Hとしては、特に限定されないが、例えば、蒸留水、イオン交換水、超純水、RO水のような各種水等が挙げられる。
なお、保湿液Hは、前記洗浄液Wをそのまま用いるようにしてもよい。
【0220】
気体Gは、各種処理の終了後、核酸(被処理物)Sを乾燥するのに用いるものである。この気体Gとしては、例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウムのような不活性ガス等が挙げられる。
【0221】
フラッシング液Fは、処理槽3(各空間431、421)、供給用回路7および排出用回路8内を洗浄するために用いるものである。このフラッシング液Fとしては、特に限定されないが、例えば、蒸留水、イオン交換水、超純水、RO水のような各種水が挙げられる。
【0222】
<排出用回路8>
排出用回路(排液手段)8は、処理ユニット30(処理槽3)内から、廃液(例えば、余剰のプローブ液R、使用後の洗浄液W、使用後の保湿液H等)を排出(排液)するための回路である。
【0223】
この排出用回路8は、図16に示すように、主排出ライン80と、分岐ライン81a〜81dとを有している。
【0224】
前述したように、各分岐ライン81a〜81cの一端(上流端)は、それぞれ、各第1接続口352に接続され、分岐ライン81dの一端(上流端)は、第1接続口354に接続されている。
【0225】
図16に示すように、処理槽3内に、処理ユニット30を収納した状態では、各空間431および空間421内と、排出用回路(排液手段)8とが、それぞれ接続されている。
【0226】
具体的には、各第1接続口352内に各第2接続口462がそれぞれ挿入され、各第1接続口352と各第1排出路461とがそれぞれ連通する。また、第1接続口354内に第2接続口482が挿入され、第1接続口354と第2排出路481とが連通する。これにより、各空間431および空間421と、排出用回路(排出手段)8の流路(内部空間)とが連通している。
【0227】
また、各分岐ライン81a〜81dの他端(下流端)は、それぞれ、排出用回路8の主要部を構成する主排出ライン80に接続され、さらに、主排出ライン80の途中には、ドレーンライン76が合流している(接続されている)。
【0228】
各主排出ライン80は、処理槽3の外部に設置されたマニホールド83において合流して1つとなり、1つになった主排出ライン80の端部には、廃液回収容器85が接続されている。
【0229】
また、各分岐ライン81a〜81dの途中には、それぞれ、バルブ82a〜82dが設置され、主排出ライン80の下流側(マニホールド83と廃液回収容器85との間)には、ポンプ84が設置されている。
【0230】
また、廃液回収容器85の近傍には、廃液の回収量(貯留量)をモニタするための液量センサ(廃液量検知手段)86が設置されている。本実施形態では、これらの廃液回収容器85および液量センサ86は、廃液回収部800に設置されており、この廃液回収部800は、図1に示すように、装置本体2の外部に設置されている。なお、廃液回収容器85および液量センサ86は、装置本体2の内部に設置する(組み込む)ようにしてもよい。
【0231】
このような排出用回路8および供給用回路7は、複数の可撓性を有するチューブが接続されて、構成されている。これらチューブの構成材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル重合体(PFA)のようなフッ素系樹脂等の各種樹脂材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、2層以上の積層体として)用いることができる。
【0232】
また、前記各容器72a〜72hおよび廃液回収容器85の構成材料としては、それぞれ、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホンのような各種樹脂材料、各種ガラス材料等が挙げられる。
【0233】
また、各上流側バルブ73a〜73h、各下流側バルブ75a〜75d、77、各バルブ82a〜82d、および、三方バルブ79は、それぞれ、例えば、電磁モータ、ソレノイド、または、シリンダ(油圧または空気圧)等の各種駆動源で駆動し得るもので構成することができる。
【0234】
<温度調整手段9>
温度調整手段9は、装置本体2の各部の温度を調整するものである。この温度調整手段9は、図1および図16に示すように、第1温度調整ユニット91と、第2温度調整ユニット92と、第3温度調整ユニット93と、第4温度調整ユニット94とを有している。
【0235】
第1温度調整ユニット91および第2温度調整ユニット92は、それぞれ、各処理部300(処理ユニット30内)の温度を調整するものである。
【0236】
第1温度調整ユニット91は、処理槽3の底部33に接触または近接して(または底部33内に)設けられている。一方、第2温度調整ユニット92は、処理槽3の蓋体37に設けられている。
【0237】
すなわち、本実施形態では、第1温度調整ユニット91および第2温度調整ユニット92により、各処理ユニット30内(各処理部300)の温度を上下方向(2方向)から調整し得るよう構成されている。
【0238】
なお、各処理部300の温度は、上下方向に加え、さらに他の方向(例えば、側方等)から調整し得るよう構成してもよい。
【0239】
また、第1温度調整ユニット91は、所定距離(所定間隔)離間して設けられたペルチェ素子911a、911bと、これらの近傍にそれぞれ設置された温度センサ912a、912bとを有し、各処理部300を加熱および/または冷却することにより、核酸Sおよびプローブ液Rの温度を調整することができる。
【0240】
一方、第2温度調整ユニット92は、所定距離(所定間隔)離間して設けられたヒータ921a、921bと、これらの近傍にそれぞれ設置された温度センサ922a、922bとを有し、各処理部300を加熱することにより、核酸Sおよびプローブ液Rの温度を調整することができる。
【0241】
このように、処理槽3では、ペルチェ素子911a、911b、および、ヒータ921a、921bを、それぞれ、離間して設けることにより、複数の処理部300のうち、第1組の処理部300と第2組の処理部300との間で、すなわち、各処理ユニット30毎に、異なる温度調整条件を設定し得るよう構成されている。本実施形態では、4つの処理ユニット30において、それぞれ、異なる温度調整条件を設定することができる。
【0242】
この温度調整条件としては、例えば、温度、昇温速度、降温速度、加熱(加温)時間、温度履歴パターン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0243】
なお、第2温度調整ユニット92では、ヒータに代わり、ペルチェ素子を用いるようにしてもよい。
【0244】
第3温度調整ユニット93は、プローブ液収納容器設置部22の温度を調整するものである。
【0245】
この第3温度調整ユニット93は、図1に示すように、プローブ液収納容器設置部22の下部(装置本体2の内部)に設置されたペルチェ素子931と、その近傍に設置された温度センサ932とを有し、プローブ液収納容器設置部22を加熱および/または冷却することにより、プローブ液Rの温度を調整することができる。
【0246】
第4温度調整ユニット94は、容器設置部23の温度を調整するものである。この第4温度調整ユニット94は、所定の穴231に対応する位置の下部(装置本体2の内部)に設けられた複数(本実施形態では、5つ)のヒータ941a〜941d、941fと、それらの近傍に設置された温度センサ942a〜942d、942fとを有しており、所定の穴231内に設置された容器を加熱することにより、前記容器内に充填された液体(あるいは気体)の温度を調整することができる。
【0247】
なお、本実施形態では、所定(5つ)の穴231内には、それぞれ容器72a〜72d、72fが設置されている。
【0248】
なお、第4温度調整ユニット94では、ヒータに代わり、ペルチェ素子を用いるようにしてもよい。
【0249】
<制御手段10>
制御手段10は、装置本体2(装置1)の各部の作動を制御するものである。
【0250】
この制御手段10は、図1に示すように、パソコン110と、装置本体2の内部に設置されたCPUボード120、装置制御ボード130、温度制御ボード140、I/Oボード(入出力ボード)150およびリレーボード160とを有している。
【0251】
パソコン110は、モニタ(表示手段)111およびキーボード(入力手段)112とを有している。このパソコン110は、CPUボード120を介して装置本体2に電気的に接続されている。
【0252】
CPUボード120は、所定のプログラム、テーブル等が記録されたメモリ(記憶部)121を備えており、プローブ液供給手段6(分注装置61、移動機構62)およびモータ38等を制御する装置制御ボード130と、ペルチェ素子911a、911b、931およびヒータ921a、921b、941a〜941d、941fを制御する温度制御ボード140と、I/Oボード150を介してリレーボード160とが、それぞれ電気的に接続されている。
【0253】
さらに、リレーボード160には、各上流側バルブ73a〜73h、各下流側バルブ75a〜75d、77、各バルブ82a〜82d、三方バルブ79および各ポンプ78、84が、それぞれ電気的に接続されており、これらへの通電を制御している。
【0254】
また、CPUボード120には、各温度センサ912a、912b、922a、922b、932、942a〜942d、942f、開閉センサ373、液量センサ86および圧力センサ309が、それぞれ電気的に接続され、これらからの情報(検出信号)がCPUボード120に随時入力されている。
【0255】
なお、CPUボード120には、図示しない電源部が電気的に接続され、電力の供給を必要とする各部に電力が供給されている。
【0256】
以下、CPUボード120が、装置制御ボード130、温度制御ボード140およびI/Oボード150を介して行なう装置本体2の各部の制御を、単に、「制御手段10の制御」と記載する。
【0257】
また、本実施形態では、パソコン110が装置本体2の外部に設けられた構成であるが、装置本体2には、パソコン110に相当する構成を組み込むようにしてもよい。
【0258】
次に、マイクロアレイ処理装置1の使用方法および作用の一例について、説明する。
【0259】
[1] まず、操作者(測定者)は、洗浄液W(洗浄液Wa〜We)をそれぞれ充填した容器72a〜72e、保湿液Hを充填した容器72f、フラッシング液Fを充填した容器72g、および、気体Gを充填した容器72hを、それぞれ用意する。
【0260】
次いで、各容器72a〜72hを、容器設置部23の所定の穴231内に設置し、それぞれ各上流側分岐ライン71a〜71h(洗浄液供給手段7W、保湿液供給手段7H、気体供給手段7Gおよびフラッシング液供給手段7F)に接続する。
【0261】
なお、図16に示すように、本実施形態では、容器72a〜72d、72fが、それぞれ加熱可能(温度調整可能)とされている。
【0262】
[2] 次に、操作者は、装置本体2の電源スイッチ(図示せず)をONする。これにより、各ペルチェ素子911a、911b、各ヒータ921a、921bを作動して、処理槽3(処理ユニット収納部31)内に設置された各処理ユニット30を、それぞれ所定温度(例えば25〜30℃程度)に予備加熱(加温)する。
【0263】
また、このとき、ヒータ941a〜941d、941fを、それぞれ作動して、洗浄液Wa〜Wdおよび保湿液Hを、それぞれ所定温度に加熱(加温)する。
【0264】
[3] 次に、操作者は、パソコン110の電源スイッチ(図示せず)をONする。これにより、メモリ121に記録されたプログラムを実行する。
【0265】
そして、操作者は、モニタ111に表示された表示画面に従って、キーボード112を操作して、マイクロアレイMの処理における各種処理条件、使用する洗浄液W(Wa〜We)の選択(設定)等の情報の入力を行なう。
なお、本実施形態では、洗浄液Wa〜Wdを使用するように設定する。
【0266】
[4] 次に、操作者がモニタ111の表示画面に従って、キーボード112を操作すると、装置本体2は、プライミング処理を行なう。
【0267】
まず、各上流側バルブ73a〜73d、73f〜73g、三方バルブ79および下流側バルブ77をそれぞれ開放し、ポンプ78を作動する。これにより、各洗浄液Wa〜Wd、保湿液H、フラッシング液Fを、それぞれ各上流側分岐ライン71a〜71d、71f〜71gへ導入する。
【0268】
次いで、ポンプ78を所定回数、回転すると、各上流側バルブ73a〜73d、73f〜73g、三方バルブ79および下流側バルブ77をそれぞれ閉塞し、かつ、ポンプ78を停止する。これにより、各上流側分岐ライン71a〜71d、71f〜71gには、それぞれ、各上流側バルブ73a〜73d、73f〜73gの位置まで、洗浄液Wa〜Wd、保湿液Hおよびフラッシング液Fが導入された状態となる。
【0269】
[5] 次に、操作者がモニタ111の表示画面に従って、キーボード112を操作すると、装置本体2は、処理槽3を開状態とする。
【0270】
まず、制御手段10の制御により、モータ38を駆動して、キャリッジ391を退避位置に向かって移動させると、蓋体37は、スプリング393の張力により上方に引き上げられ、本体部32から離間する。さらに、キャリッジ391を後方へ移動させると、このキャリッジ391の移動に伴って、蓋体37が搬送される。そして、キャリッジ391および蓋体37は、退避位置に至り、処理槽3は、開状態となる。
【0271】
[6] 次に、操作者は、処理槽3(処理ユニット収納部31)内に設置された各処理ユニット30のカバーカセット50を、それぞれ取り外す。なお、この状態では、各処理タブ40は、処理槽3内にそれぞれ設置されている。
【0272】
次いで、操作者は、所定数のマイクロアレイMを、各処理タブ40の各空間431に、それぞれ収納(設置)する。
【0273】
そして、操作者は、各処理タブ40に、カバーカセット50をそれぞれ装着する。なお、このとき、各カバーカセット50の各窓部50aは、好ましくは閉状態(図7(A)に示す状態)とされている。
【0274】
[7] 次に、操作者がモニタ111の表示画面に従って、キーボード112を操作すると、装置本体2は、核酸Sとプローブ液Rとの反応処理、核酸Sの洗浄処理、核酸Sの乾燥処理を、順次行なう。
【0275】
[7−1] 核酸Sとプローブ液Rとの反応
まず、プローブ液供給手段6の移動機構62を作動する。この移動機構62によって、操作部材63を移動させて、スライド扉540の操作ノブ542に図7中右側から当接させる。この状態から、操作部材63を図7中左側に向って移動させると、スライド扉540が同方向に移動して、これにより、窓部50aが開状態(図7(B)に示す状態)とされる。
【0276】
次いで、移動機構62によって、分注装置61を、チップ設置部21の所定の穴211に設置されたチップの上方より接近させ、ノズル612にチップを装着する。
【0277】
次いで、かかるチップが装着された分注装置61を、移動機構62によって移動させ、プローブ液収納容器設置部22の所定の穴221に設置された容器内から、プローブ液Rをチップ内に吸引する。
【0278】
なお、プローブとして、特にDNAのような二本鎖の核酸に標識したものを用いる場合には、プローブ液Rのチップ内への吸引に先立って、プローブ液Rを、例えば65〜95℃程度に加熱(加温)した後、例えば4〜10℃程度まで急冷、または、例えば20〜30℃程度まで除冷して、プローブを一本鎖としておくのが好ましい。これにより、核酸Sとプローブ液Rとの反応に際し、この反応をより迅速かつ精度よく行なうことができる。
【0279】
また、このプローブ液Rの加熱(加温)は、ヒータ付蓋体222によりプローブ液収納容器設置部22(各穴221)を覆い、各容器の気密性を保持した状態で行なうのが好ましい。これにより、プローブ液R中の液性成分の蒸発をより確実に防止することができる。
【0280】
その後、移動機構62によって分注装置61を移動させ、チップの先端部(下端部)を、開状態の窓部50aから処理ユニット30の内部に挿入し、マイクロアレイMの上方近傍に位置させる。この状態で、チップ内のプローブ液Rを排出することにより、核酸Sへプローブ液Rを供給する。
【0281】
次いで、移動機構62によって、分注装置61をチップ設置部21の上方に移動させる。そして、使用済みのチップをノズル612から、例えばチップ離脱手段(図示せず)等により取り外し、チップ設置部21の所定の穴211に再設置する(戻す)。
【0282】
なお、使用済みのチップは、別途、チップ廃棄部を設け、このチップ廃棄部に廃棄するようにしてもよい。
【0283】
次いで、移動機構62によって、操作部材63を移動させて、スライド扉550の操作ノブ552に図7中左側から当接させる。この状態から、操作部材63を図7中右側に向って移動させると、操作ノブ552がスライド扉540の扉本体541に当接して、スライド扉550およびスライド扉540が、一体的に図7中右側に向って移動する。これにより、窓部50aが閉状態(図7(C)に示す状態)とされる。
【0284】
また、スライド扉550のフック553には、カバープレート560の第1軸563の中央部分が係合しており、スライド扉550の移動に伴って、カバープレート560も図7中右側に向って移動する。このとき、カバープレート560は、図7(B)において二点鎖線で示すように、カバープレート本体561が図7中左側から順に、マイクロアレイM(プレートP)に接近していき、窓部50aが閉状態となるとほぼ同時に、マイクロアレイMに重ね合わせられる。これにより、カバープレート本体561(カバープレート560)とマイクロアレイMとの間に形成された隙間569には、プローブ液Rが均一に展開され、核酸Sとプローブ液Rとを均一に接触させることができる。
【0285】
特に、本発明では、カバープレート560にスペーサ565を設けたことにより、隙間569の厚さ(幅)をほぼ一定とすることができる。このため、少量のプローブ液Rであっても、隙間569に確実かつ均一に展開させることができる。
【0286】
以上のような操作を繰り返し行なって、各マイクロアレイM(核酸S)に対して、プローブ液Rをそれぞれ供給する。
【0287】
また、この工程に併行して、各処理タブ40の空間421内には、それぞれ保湿液Hが供給される。
【0288】
具体的には、上流側バルブ73f、三方バルブ79および下流側バルブ75dを、それぞれ開放し、ポンプ78を作動する。
【0289】
これにより、容器72f内から、上流側分岐ライン71f、主供給ライン70、下流側分岐ライン74d、第1接続口353および第2供給路471を介して、所定量の保湿液Hを移送し、各空間421内に供給する。
【0290】
この保湿液Hの供給量としては、特に限定されないが、5.0〜10.0mL程度とするのが好ましい。
【0291】
次に、制御手段10の制御により、モータ38を駆動して、キャリッジ391を上方位置に向かって移動させると、このキャリッジ391の移動に伴って、蓋体37が搬送される。次いで、蓋体37は、上方位置に至ると、本体部32に向かって移動し、処理ユニット収納部31を塞いだ状態となる。さらに、この状態から、蓋体37は、本体部32に向かって押圧される。これにより、封止部材375が本体部32の上縁部に圧着(圧接)して、処理槽3は、気密的に封止される(密閉される)。
【0292】
次いで、制御手段10は、各ペルチェ素子911a、911b、各ヒータ921a、921bの温度が上昇するように制御する。これにより、各処理ユニット30の内部温度が上昇し、これに伴って各処理部300の温度が上昇する。すなわち、各処理部300において、それぞれ核酸Sおよびプローブ液Rが加熱される。
【0293】
この加熱状態を維持しつつ、核酸Sとプローブ液Rとを反応させる。核酸Sとプローブ液Rとを、加熱しつつ、反応させることにより、この反応を効率よく(精度よく)進行させることができるとともに、反応時間の短縮を図ることができる。
【0294】
この加熱の温度(加熱温度)としては、特に限定されないが、45〜75℃程度とするのが好ましく、50〜70℃程度とするのがより好ましい。加熱温度が低くすぎると、核酸Sとプローブ液Rとを十分に反応させることができない場合がある。一方、加熱温度を高くし過ぎると、プローブ液R中のプローブの種類等によっては、プローブに熱分解が生じ、解析精度の低下を招く場合がある。
【0295】
また、この加熱により、処理槽3の内部の温度も上昇する。これにより、処理槽3内の空気が膨張したり、保湿液Hが蒸発したり等するのに伴って、次第に、処理槽3内の圧力が上昇する。このとき、蓋体37は、蓋体開閉機構3Aにより、本体部32に押し付けられているため、処理槽3内の圧力上昇による蓋体37を押し上げる力に抗して、処理槽3の閉状態を維持することができる。
【0296】
なお、前記加熱の開始とほぼ同時に、圧力センサ309による処理槽3内の圧力検出が開始されており、処理槽3内の圧力上昇が検出された場合、次工程以降の処理を継続し、処理槽3内の圧力上昇が検出されない場合、処理操作を中断する。処理槽3内の圧力上昇が検出されない場合には、処理槽3に何らかの異常があることを、例えば、パソコン110のモニタ111への表示、アラームによる警報等により報知する。
【0297】
また、加熱の時間(加熱時間)も、前記加熱温度等により適宜設定され、特に限定されないが、2〜20時間程度とするのが好ましく、16〜18時間程度とするのがより好ましい。加熱時間が短すぎると、核酸Sとプローブ液Rとを十分に反応させることができない場合がある。一方、加熱時間を長くしても、それ以上、効果の増大が認められず、加熱温度等によっては、プローブ液R中のプローブに熱分解が生じ、解析精度の低下を招く場合がある。
【0298】
本実施形態では、処理槽3は、密閉されており、特に、各処理部300の周囲(各空間421内)には、それぞれ保湿液Hが供給され、湿度が好適に維持されている。このため、核酸Sとプローブ液Rとの反応に際し、各処理部300の温度上昇に伴う、プローブ液R中の液性成分の蒸発が好適に防止(抑制)される。
【0299】
また、本実施形態では、各処理ユニット30(各処理部300)の温度を上下方向から加熱(調整)し得るよう構成されているため、処理槽3内の温度をより均一とすることができる。これにより、各処理ユニット30(処理槽3)内の湿度を、より均一に保つことができ、前記効果をより向上することができる。なお、このときの湿度は、45〜80%RH程度であるのが好ましい。
【0300】
さらに、制御手段10により、各ペルチェ素子911a、911b、各ヒータ921a、921bの作動を適宜制御することにより、各処理ユニット30内に設置されているマイクロアレイMを1組として、各組の間で異なる温度調整条件を設定することができる。このため、例えば、同一の被験者から採取して調製したプローブ液Rに対して、異なる種類のマイクロアレイMを用いて、異なる検査(処理)を行ないたい場合等には、かかる検査(処理)を同時に行なうことができ、便利である。
【0301】
[7−2] 核酸Sの洗浄
次に、所定の加熱時間が経過すると、制御手段10の制御により、各ヒータ921a、921bを停止する。また、前記と同様にして、処理槽3が開状態とされる。
【0302】
なお、処理槽3の開放は、蓋体37が所定温度(例えば、25〜30℃程度)にまで低下してから行なうようにしてもよい。
【0303】
次いで、プローブ液供給手段6の移動機構62を作動する。この移動機構62によって、操作部材63を移動させて、スライド扉550の操作ノブ552に図7中右側から当接させる。この状態から、操作部材63を図7中左側に向って移動させると、スライド扉550が同方向に移動する。このとき、スライド扉550のフック553には、カバープレート560の第1軸563の中央部分が係合し、カバープレート560も図7中左側に向って移動して、図7(A)に示す状態とされる。すなわち、マイクロアレイMからカバープレート560を離間させる(取り外す)。
【0304】
かかる操作を繰り返し行なって、各マイクロアレイMから、それぞれカバープレート560を離間させる。
【0305】
なお、このとき、各ペルチェ素子911a、911bによる加熱は、継続されている。換言すれば、マイクロアレイMからカバープレート560を離間させる操作は、各処理部300の温度を比較的高温に維持しつつ、行なうのが好ましい。これにより、例えば、核酸Sがカバープレート560のカバープレート本体561に接触しているような場合であっても、核酸Sと反応したプローブ、このプローブが有する標識、あるいは、核酸S自体がカバープレート本体561(展開面561a)へ付着(移行)してしまうのを防止(抑制)して、核酸Sの反応結果の解析に際し、その解析精度の低下を防止(抑制)することができる。
【0306】
また、前記操作の開始とほぼ同時に、または、これに先立って、制御手段10の制御により、上流側バルブ73a、三方バルブ79および各下流側バルブ75a〜75cを開放し、ポンプ78を作動する。これにより、洗浄液Waを、上流側分岐ライン71a、主供給ライン70、各下流側分岐ライン74a〜74c、各第1接続口351および第1供給路451を介して移送し、各空間431内にそれぞれ供給する。
【0307】
すなわち、洗浄液Waを供給しつつ、マイクロアレイMからカバープレート560を離間させる操作を行なうようにする。これにより、マイクロアレイMの核酸Sの付着部位(処理部300の被処理物の設置部位)において、プローブ液(反応液)Rが空気と接触することによる急激な乾燥を防止(抑制)して、未反応のプローブ(不要なプローブ)が析出するのを好適に防止(抑制)することができる。このため、余剰のプローブ液Rをより効率よく洗い流すことができ、その結果、核酸Sの反応結果の解析に際し、その解析精度の向上を図ることができる。
【0308】
なお、各空間431内に所定量の洗浄液Waを供給すると、上流側バルブ73a、三方バルブ79および各下流側バルブ75a〜75cを閉塞し、ポンプ78を停止する。
【0309】
この洗浄液Waの所定量(供給量)は、プローブ液Rの供給量の50〜200倍程度であるのが好ましく、100〜150倍程度であるのがより好ましい。
【0310】
また、前述したように、マイクロアレイMからカバープレート560を離間させる操作は、比較的高温で行なうのが好ましい。したがって、洗浄液Waとしては、前記操作の開始時点における各処理部300の温度が、急激に低下するのを防止(抑制)することができる程度の温度(例えば、40〜70℃程度)のものを用いるのが好ましく、45〜65℃程度のものを用いるのがより好ましい。
【0311】
次いで、全てのマイクロアレイMからカバープレート560を離間させる操作を完了すると、各バルブ82a〜82cを開放し、ポンプ84を作動する。これにより、各空間431内の廃液(使用後の洗浄液Waおよび余剰のプローブ液R)を、各第1排出路461、各第1接続口352、分岐ライン81a〜81cおよび主排出ライン80を介して移送し、廃液回収容器85内に回収する。すなわち、各空間431(処理槽3)内から排液を行なう。
【0312】
その後、ポンプ84を所定回数、回転すると、各バルブ82a〜82cを閉塞し、ポンプ84を停止する。これにより、排液を終了する。
【0313】
なお、この排液操作は、例えば、マニホールド83とポンプ84との間に、主排出ライン80の流路内を流れる気泡を検出することができる気泡センサを設け、この気泡センサからの情報(検出信号)に基づいて、すなわち、気泡センサによる気泡の検出により、終了するようにしてもよい。
【0314】
次いで、上流側バルブ73b、三方バルブ79および各下流側バルブ75a〜75cを開放し、ポンプ78を作動する。これにより、洗浄液Wbを、上流側分岐ライン71b、主供給ライン70、各下流側分岐ライン74a〜74c、各第1接続口351および第1供給路451を介して移送し、各空間431内にそれぞれ供給する。
【0315】
その後、各空間431内に、それぞれ所定量の洗浄液Wbを供給すると、上流側バルブ73b、三方バルブ79および各下流側バルブ75a〜75cを閉塞し、ポンプ78を停止する。
【0316】
次いで、制御手段10は、各ペルチェ素子911a、911bが所定温度(例えば、25〜30℃程度)となるように制御する。これにより、各処理部300の温度を低下させる。
【0317】
次いで、前記と同様にして、各空間431内から排液を行なう。
次いで、前記と同様にして、各空間431内に洗浄液Wbをそれぞれ供給した後、各空間431内からそれぞれ排液を行なう。
【0318】
この洗浄液Wbは、例えば、その組成および濃度を、前記洗浄液Waと同様のものとし、また、その温度を、20〜30℃程度とするのが好ましい。
【0319】
また、洗浄液Wbの供給量としては、好ましくは、前記洗浄液Waとほぼ同量とする。
【0320】
次いで、上流側バルブ73c、三方バルブ79および各下流側バルブ75a〜75cを開放し、ポンプ78を作動する。これにより、洗浄液Wcを、上流側分岐ライン71c、主供給ライン70、各下流側分岐ライン74a〜74c、各第1接続口351および第1供給路451を介して移送し、各空間431内にそれぞれ供給する。
【0321】
その後、各空間431内に、それぞれ所定量の洗浄液Wcを供給すると、上流側バルブ73c、三方バルブ79および各下流側バルブ75a〜75cを閉塞し、ポンプ78を停止する。
【0322】
次いで、制御手段10は、各ペルチェ素子911a、911bが所定温度(例えば、35〜45℃程度)となるように制御する。これにより、各処理部300の温度を上昇させる。
【0323】
次いで、前記と同様にして、各空間431内から排液を行なう。
次いで、前記と同様にして、各空間431内に洗浄液Wcをそれぞれ供給した後、各空間431内からそれぞれ排液を行なう。
【0324】
この洗浄液Wcは、その濃度(例えば、塩濃度、界面活性剤濃度等)を、例えば前記洗浄液Wbより低いものとし、また、その温度を、例えば前記洗浄液Wbより若干高い温度(例えば、35〜45℃程度)とするのが好ましい。
【0325】
また、洗浄液Wcの供給量としては、好ましくは、前記洗浄液Waとほぼ同量とする。
【0326】
次いで、上流側バルブ73d、三方バルブ79および各下流側バルブ75a〜75cを開放し、ポンプ78を作動する。これにより、洗浄液Wdを、上流側分岐ライン71d、主供給ライン70、各下流側分岐ライン74a〜74c、各第1接続口351および第1供給路451を介して移送し、各空間431内にそれぞれ供給する。
【0327】
その後、各空間431内に、それぞれ所定量の洗浄液Wdを供給すると、上流側バルブ73d、三方バルブ79および各下流側バルブ75a〜75cを閉塞し、ポンプ78を停止する。
【0328】
次いで、制御手段10は、各ペルチェ素子911a、911bが所定温度(例えば、20〜30℃程度)となるように制御する。これにより、各処理部300の温度を低下させる。
【0329】
次いで、前記と同様にして、各空間431内から排液を行なう。
次いで、前記と同様にして、各空間431内に洗浄液Wdをそれぞれ供給した後、各空間431内からそれぞれ排液を行なう。
【0330】
この洗浄液Wdは、その組成を、前記洗浄液Wa〜Wcと異なるもの(例えば、界面活性剤を添加しないもの等)とし、また、その温度を、例えば、20〜30℃程度とするのが好ましい。
【0331】
また、洗浄液Wdの供給量としては、好ましくは、前記洗浄液Waとほぼ同量とする。
【0332】
以上のように、各洗浄液Wa〜Wdの条件を適宜設定して用いることにより、核酸Sの洗浄をより確実に行なうこと、すなわち、余剰のプローブ液R(未反応のプローブ)をより確実に、核酸Sから除去することができる。その結果、核酸Sの反応結果の解析に際し、その解析精度をより向上することができる。
【0333】
なお、各洗浄液Wa〜Wdの条件設定は、前述したものに限定されるものでないことは、言うまでもない。また、核酸Sの洗浄処理では、必要に応じて、異なる条件の洗浄液を、さらに追加して用いるようにしてもよいし、洗浄液Wb〜Wdのいずれかを省略するようにしてもよい。
【0334】
[7−3] 核酸Sの乾燥
次に、上流側バルブ73h、三方バルブ79および各下流側バルブ75a〜75cを開放し、ポンプ78を作動する。これにより、気体Gを、上流側分岐ライン71h、主供給ライン70、各下流側分岐ライン74a〜74c、各第1接続口351および第1供給路451を介して移送し、各空間431内にそれぞれ供給する。
【0335】
気体Gの各空間431内への供給により、各空間431内において、それぞれ核酸Sに気体Gを接触させ、核酸Sの乾燥を行なう。
【0336】
その後、各空間431内に、それぞれ所定量の気体Gを供給すると、上流側バルブ73h、三方バルブ79および各下流側バルブ75a〜75cを閉塞し、ポンプ78を停止する。
【0337】
なお、以上のような核酸Sの洗浄処理および乾燥処理において、各空間431内に供給する洗浄液Wや気体Gを変更する(切替える)場合には、次のようにすることもできる。
【0338】
例えば、各空間431内へ供給する洗浄液Wbを洗浄液Wcに変更する場合には、まず、上流側バルブ73c、三方バルブ79および下流側バルブ77を開放し、各ポンプ78、84を作動する。これにより、一旦、主供給ライン70の流路内に残存する洗浄液Wbを、ドレーンライン76および主排出ライン80を介して移送し、廃液回収容器85内に回収する。
【0339】
次いで、主供給ライン70の流路内を、十分に満たすことができる洗浄液Wcを供給した後、下流側バルブ77を閉塞し、ポンプ84を停止するとともに、各下流側バルブ75a〜75cを開放して、洗浄液Wcを、各空間431内にそれぞれ供給するようにする。
【0340】
このような操作は、洗浄液Wbを洗浄液Wcへ変更する場合だけでなく、その他、例えば、洗浄液Waを洗浄液Wbへ変更する場合、洗浄液Wcを洗浄液Wdへ変更する場合、洗浄液Wdを気体Gへ変更する場合等にも、行なうことができる。
【0341】
これにより、例えば、各洗浄液Wa〜Wdおよび気体Gを、互いに混合したくないような場合等には、これらが混合されるのを好適に低減(抑制)することができる。
【0342】
[8] 次に、操作者は、処理槽3(処理ユニット収納部31)内に設置された各処理ユニット30のカバーカセット50をそれぞれ取り外し、各マイクロアレイMを、各処理タブ40の各空間431内から回収する。
そして、各マイクロアレイMを、それぞれ核酸Sの反応結果の解析に供する。
【0343】
[9] 次に、操作者がモニタ111の表示画面に従って、キーボード112を操作すると、装置本体2は、フラッシング処理を行なう。
【0344】
まず、上流側バルブ73g、三方バルブ79、各下流側バルブ75a〜75d、77および各バルブ82a〜82dを開放し、各ポンプ78、84を作動する。これにより、フラッシング液Fを、上流側分岐ライン71gおよび主供給ライン70を通過させ、さらに、このうちの一部を、処理槽3(各空間431、421)内を介して、また、残りを、ドレーンライン76から直接、主排出ライン80へ移送して、廃液回収容器85内に回収する。
【0345】
次いで、所定量のフラッシング液Fを供給すると、上流側バルブ73gを閉塞する。なお、三方バルブ79、各下流側バルブ75a〜75d、77および各バルブ82a〜82dの開放状態、および、各ポンプ78、84の作動状態を維持する。これにより、供給用回路7、処理槽3(各空間431、421)および排出用回路8内に残存するフラッシング液Fを移送し、廃液回収容器85内に回収する。これにより、供給用回路7、処理槽3(各空間431、421)および排出用回路8内を洗浄する。
【0346】
その後、ポンプ78およびポンプ84を所定回数、回転すると、三方バルブ79、各下流側バルブ75a〜75d、77および各バルブ82a〜82dを閉塞し、各ポンプ78、84を停止する。これにより、フラッシング処理を終了する。
【0347】
なお、フラッシング処理は、前述したような気泡センサからの情報(検出信号)に基づいて終了するようにしてもよい。
【0348】
[10] 次に、操作者は、各処理タブ40に、新たに用意したカバーカセット50を、それぞれ装着する。
【0349】
そして、操作者がモニタ111の表示画面に従って、キーボード112を操作すると、装置本体2は、前記と同様にして、処理槽3を閉状態とする。
【0350】
次いで、操作者は、パソコン110および装置本体2の電源スイッチをオフして、1回のマイクロアレイMの処理を終了する。
【0351】
なお、以上の工程[1]〜[10]には、必要に応じて、任意の工程を追加するようにしてもよい。
【0352】
以上、本発明の展開部材、処理ユニットおよび処理装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されず、展開部材、処理ユニットおよび処理装置の構成要素は、同様の機能を発揮する任意のものに置換することができる。
【0353】
例えば、処理装置が備える蓋体開閉機構は、蓋体を本体部に対してスライドさせるものに限定されず、蓋体を本体部に対して回動させるものであってもよい。
【0354】
また、被処理物としては、例えば、生体組織、細胞、タンパク質、脂質、ホルモン類等であってもよい。
【0355】
また、反応液(処理液)は、被処理物と反応し得るものであればよく、例えば、染色液、標識化抗原や標識化抗体を含む液体等であってもよい。
【0356】
このようなことから、本発明の処理装置は、マイクロアレイ処理装置のみならず、各種被処理物を処理するための処理装置に適用することができる。この場合、各種処理条件は、前述したようなものに限定されることなく、例えば、被処理物の種類、処理目的(検査目的)等に応じて、適宜設定することができる。
【0357】
【実施例】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0358】
(実施例1)
まず、図3に示すようなカバープレート(展開部材)を製造した。なお、カバープレートの仕様は、以下のようにし、スペーサは、スクリーン印刷(印刷法)により扇状(半径:2mm)に形成した。また、展開面は、研磨により以下のような平面度とした。
【0359】
Figure 2004132911
【0360】
次に、図2に示すような処理ユニットを製造した。なお、処理ユニットの各部は、それぞれ、ポリフェニレンサルファイドを用いて製造した。
次に、図1に示すようなマイクロアレイ処理装置を製造した。
【0361】
(実施例2)
スペーサの平均厚さを10μmとした以外は、前記実施例1と同様のカバープレートを製造した。また、前記実施例1と同様にして、処理ユニットおよびマイクロアレイ処理装置を製造した。
【0362】
(実施例3)
スペーサの平均厚さを15μmとした以外は、前記実施例1と同様のカバープレートを製造した。また、前記実施例1と同様にして、処理ユニットおよびマイクロアレイ処理装置を製造した。
【0363】
(実施例4)
展開面の平面度を10μmとし、スペーサの平均厚さを20μmとした以外は、前記実施例1と同様のカバープレートを製造した。また、前記実施例1と同様にして、処理ユニットおよびマイクロアレイ処理装置を製造した。
【0364】
(実施例5)
カバープレートの構成材料をポリフェニレンサルファイドとし、展開面の平面度を15μmとし、スペーサの平均厚さを20μmとした以外は、前記実施例1と同様のカバープレートを製造した。また、前記実施例1と同様にして、処理ユニットおよびマイクロアレイ処理装置を製造した。
【0365】
(実施例6)
展開面の平面度を20μmとし、スペーサの平均厚さを25μmとした以外は、前記実施例5と同様のカバープレートを製造した。また、前記実施例1と同様にして、処理ユニットおよびマイクロアレイ処理装置を製造した。
【0366】
(実施例7)
展開面の平面度を25μmとし、スペーサの平均厚さを30μmとした以外は、前記実施例5と同様のカバープレートを製造した。また、前記実施例1と同様にして、処理ユニットおよびマイクロアレイ処理装置を製造した。
【0367】
(比較例)
スペーサを省略した以外は、前記実施例7と同様のカバープレートを製造した。また、前記実施例1と同様にして、処理ユニットおよびマイクロアレイ処理装置を製造した。
【0368】
なお、実施例1〜7および比較例において、展開面の平面度は、三次元測定器((株)ミツトヨ社製、「AE112」)を用いて測定した。
【0369】
[評価]
核酸を付着させた支持体としてマイクロアレイ(タカラバイオ社製、「IntelliGene Human Cancer CHIP Ver.3.0 J02606」)と、以下のようにして調製したプローブ液(処理液)とを用意した。
【0370】
<プローブ液の調製>
まず、培養細胞HT−29(Colon, adenocarcinoma; Human)ATCCNo:HTB−38より、RNAを抽出した。
【0371】
次に、この抽出したRNAを20μg用意し、Cy3−dUTP、Cy5−dUTPを、各々別々に逆転写酵素活性により取り込ませ、Cy3−dUTP、Cy5−dUTPにより標識されたcDNAを合成した。各々別々に合成終了したcDNA反応溶液(Cy3−dUTP、Cy5−dUTP反応溶液)を一つの溶液として混ぜ合わせ、粗精製のcDNA反応溶液とした。
【0372】
得られた粗精製のcDNA反応溶液は、遠心精製の工程により遠心精製および濃縮を行い、約5μLまで濃縮精製した。
【0373】
次に、SSC、SDS、Human COT−1 DNA、yest tRNAおよびpoly(A)RNAを含むBufferに、前記標識の精製濃縮液約5μL添加し、溶液の全体が15μLになるように調整し、プローブ液とした。
【0374】
なお、Buffer中の各添加物の配合量(濃度)は、次の通リである。
Buffer15μLあたり、SSC:3.4%、SDS:0.3%、Human COT−1 DNA:20μg、yest tRNA:20μg、poly(A)RNA:20μg
【0375】
実施例1〜7および比較例のマイクロアレイ処理装置を用いて、以下のようにして、マイクロアレイの処理を行った。
【0376】
まず、各マイクロアレイ処理装置に、それぞれ、前記マイクロアレイを9枚ずつセットした。次いで、3枚のマイクロアレイには、プローブ液を80μL、他の3枚のマイクロアレイには、プローブ液を50μL供給するよう設定し、前述した処理工程に準じて、各マイクロアレイの処理を行った。なお、各マイクロアレイ処理装置の処理条件は、同一の条件に設定した。
【0377】
次に、処理後の各マイクロアレイについて、それぞれ、処理結果(反応結果)をマイクロアレイ解析装置(Axon社製、「GenePix4000A」)により解析した。
【0378】
[評価I:プローブ液の展開性評価]
各マイクロアレイにプローブ液を供給し、カバープレートを重ね合わせた状態を目視にて確認し、マイクロアレイとカバープレートとに形成された隙間でのプローブ液の展開状態を、以下の4段階の基準に従って評価した。
【0379】
◎:プローブ液の展開は、全体に均一であった。
○:隙間の縁部には、プローブ液が展開されていない部分が僅かに存在した。
△:隙間の縁部には、プローブ液が展開されていない部分が存在し、隙間の中央部には、多数の小さな気泡が存在した。
×:プローブ液の展開は、不均一であった。
【0380】
[評価II:処理結果の評価]
各マイクロアレイの処理結果を解析し、この処理結果を、以下の4段階の基準に従って評価した。
【0381】
◎:解析に全く問題なし。
○:解析にほとんど問題なし。
△:解析に支障あり。
×:解析不能。
これらの評価結果を、表1に示す。
【0382】
【表1】
Figure 2004132911
【0383】
表1に示すように、各実施例(本発明)では、いずれも、プローブ液の供給量に係わらず、プローブ液の展開が好適になされ、処理結果(反応結果)の解析も問題なく行うことができた。
【0384】
これに対し、比較例では、プローブ液の供給量の減少により、極端にプローブ液の展開性が悪くなり、処理結果(反応結果)の解析にも支障を来たしたり、解析不能なものとなった。
【0385】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、例えば、プローブを含む液体等の貴重な処理液を無駄にすることなく、有効に利用することができる。しかも、少量の処理液であっても、均一に展開させることができ、被処理物と処理液とを均一に接触させることができる。
【0386】
また、本発明によれば、例えば核酸のような被処理物を処理する作業が容易であるとともに、その作業に要する手間と時間とを軽減することができ、特に、その実施の自動化に貢献する。
【0387】
このようなことから、本発明によれば、例えばガン遺伝子、変異遺伝子等の探索を、より簡便かつ効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理装置をマイクロアレイ処理装置に適用した場合の実施形態を示す全体構成図である。
【図2】本発明の処理ユニットの分解斜視図(一部を省略して示す)である。
【図3】図2に示す処理ユニットが備えるカバープレートの側面図(X)および下面図(Y)である。
【図4】図2に示す処理ユニットが備える処理タブの平面図である。
【図5】図4中のA−A線断面図である。
【図6】図4中のB−B線断面図である。
【図7】図2に示す処理ユニットの作動状態を示す断面図である。
【図8】図1に示すマイクロアレイ処理装置における処理槽の構成を示す斜視図である。
【図9】図8に示す処理槽(本体部)の前半分側を示す平面図である。
【図10】第1接続口と第2接続口との接続状態を示す断面図である。
【図11】図8に示す処理槽が備える蓋体開閉機構の構成を示す概略図(蓋体が退避位置にある状態を示す)である。
【図12】図8に示す処理槽が備える蓋体開閉機構の構成を示す概略図(蓋体が搬送されている状態を示す)である。
【図13】図8に示す処理槽が備える蓋体開閉機構の構成を示す概略図(蓋体が上部位置にある状態を示す)である。
【図14】図11〜図13に示す蓋体開閉機構の構成を示す平面図(一部切り欠いて示す)である。
【図15】図11〜図13に示す蓋体開閉機構の動作を説明するための図である。
【図16】図1に示すマイクロアレイ処理装置が備える装置本体の内部構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1      マイクロアレイ処理装置
2      装置本体
2a     水平ステージ
2b     垂直ステージ
21     チップ設置部
211    穴
22     プローブ液収納容器設置部
221    穴
222    ヒータ付蓋体
23     容器設置部
231    穴
3      処理槽
3A     蓋体開閉機構
31     処理ユニット収納部
32     本体部
33     底部
331    底面
34     側壁部
341    封止部材
351〜354 第1接続口
36     シール受け部材
361    埋入部
362    突出部
363    Oリング
364    チューブ接続部
37     蓋体
37a    内部材
37b    補強部材
373    開閉センサ
374    軸
375    封止部材
38     モータ
383    ギア列
391    キャリッジ
391a、391b 軸
392a、392b リンクプレート
393    スプリング
394    第1ストッパ
395    固定壁
395a   ガイド溝
396    ローラ
397    ピニオンギア
397a   シャフト
398a、398b ラックギア
399    第2ストッパ
39     オイルシール
309    圧力センサ
30     処理ユニット
300    処理部
40     処理タブ
401    底面
41     底部
42     側壁部
421    空間
43     隔壁部
431    空間
432    斜面
433a、433b 大型切欠き
434a〜434d 切欠き
435a〜435e 切欠き
436    溝
44     凹部
451    第1供給路
452    第2接続口
453    第1供給路開口
461    第1排出路
462    第2接続口
463    第1排出路開口
471    第2供給路
472    第2接続口
473    第2供給路開口
481    第2排出路
482    第2接続口
483    第2排出路開口
50     カバーカセット
50a    窓部
500    フレーム
510    第1部材
511    空間
512    内壁面
512a   第1案内溝
512b   第2案内溝
513    係合部
520    第2部材
521    凹部
521a   スライド空間
522    開口部
530    第3部材
531    開口部
540    スライド扉
541    扉本体
542    操作ノブ
543    溝
550    スライド扉
551    扉本体
552    操作ノブ
553    フック
553a   フック溝
560    カバープレート
561    カバープレート本体
561a   展開面
562    側壁部
563    第1軸
564    第2軸
565    スペーサ
569    隙間
590    スライド機構
6      プローブ液供給手段
61     分注装置
611    分注ポンプ
612    ノズル
62     移動機構
62a    x軸方向移動機構
62b    y軸方向移動機構
62c    z軸方向移動機構
63     操作部材
7      供給用回路
7W     洗浄液供給手段
7H     保湿液供給手段
7G     気体供給手段
7F     フラッシング液供給手段
70     主供給ライン
71a〜71h 上流側分岐ライン
72a〜72h 容器
73a〜73h 上流側バルブ
74a〜74d 下流側分岐ライン
75a〜75d 下流側バルブ
76     ドレーンライン
77     下流側バルブ
78     ポンプ
79     三方バルブ
8      排出用回路
80     主排出ライン
81a〜81d 分岐ライン
82a〜82d バルブ
83     マニホールド
84     ポンプ
85     廃液回収容器
86     液量センサ
800    廃液回収部
9      温度調節手段
91     第1温度調整ユニット
911a、911b ペルチェ素子
912a、912b 温度センサ
92     第2温度調整ユニット
921a、921b ヒータ
922a、922b 温度センサ
93     第3温度調整ユニット
931    ペルチェ素子
932    温度センサ
94     第4温度調整ユニット
941a〜941d、941f ヒータ
942a〜942d、942f 温度センサ
10     制御手段
110    パーソナルコンピュータ
111    モニタ
112    キーボード
120    CPUボード
121    メモリ
130    装置制御ボード
140    温度制御ボード
150    I/Oボード
160    リレーボード
S      核酸
P      プレート
M      マイクロアレイ
R      プローブ液
W(Wa〜We) 洗浄液
H      保湿液
F      フラッシング液
G      気体

Claims (24)

  1. 被処理物を付着させた支持体に重ね合わせ、前記支持体との間に形成される隙間に、前記被処理物を処理する処理液を展開させる展開部材であって、
    前記展開部材は、前記隙間を規制するスペーサを有することを特徴とする展開部材。
  2. 前記スペーサは、複数設けられている請求項1に記載の展開部材。
  3. 前記スペーサは、前記展開部材の前記支持体と対向する側の展開面の縁部付近に設けられている請求項2に記載の展開部材。
  4. 前記展開面は、ほぼ四角形状をなし、前記スペーサは、少なくとも前記展開面の四隅に設けられている請求項2または3に記載の展開部材。
  5. 前記スペーサは、平面視での形状がほほ扇状をなしている請求項1ないし4のいずれかに記載の展開部材。
  6. 前記スペーサの平均厚さは、5〜30μmである請求項1ないし5のいずれかに記載の展開部材。
  7. 前記スペーサは、印刷法により形成されたものである請求項1ないし6のいずれかに記載の展開部材。
  8. 前記スペーサは、硬化性樹脂を含む材料で構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の展開部材。
  9. 前記硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂である請求項8に記載の展開部材。
  10. 前記硬化性樹脂の含有量は、20〜60wt%である請求項8または9に記載の展開部材。
  11. 前記展開面は、段差のない平滑面である請求項3ないし10のいずれかに記載の展開部材。
  12. 前記展開面の平面度(JIS B 0621に規定)をX[μm]とし、前記スペーサの平均厚さをY[μm]としたとき、
    Y/Xが1.1以上である請求項3ないし11のいずれかに記載の展開部材。
  13. 前記Xは、20μm以下である請求項12に記載の展開部材。
  14. 前記展開部材は、その少なくとも前記展開面付近がガラス材料で構成されている請求項3ないし13のいずれかに記載の展開部材。
  15. 前記展開部材は、その自重程度またはそれ以上の力で前記処理液を押圧することにより、前記隙間に展開させるよう構成されている請求項1ないし14のいずれかに記載の展開部材。
  16. 前記展開部材は、変位機構により前記支持体に重ね合わされた位置と前記支持体から離間した位置との間で変位可能とされている請求項1ないし15のいずれかに記載の展開部材。
  17. 前記展開部材は、前記変位機構により前記支持体に対してスライド可能とされている請求項16に記載の展開部材。
  18. 前記被処理物は、核酸である請求項1ないし17のいずれかに記載の展開部材。
  19. 前記処理液は、前記被処理物と反応し得る反応液である請求項1ないし18のいずれかに記載の展開部材。
  20. 前記処理液は、前記核酸と反応し得るプローブを含む液体である請求項19に記載の展開部材。
  21. 前記隙間に供給される前記処理液の量は、15〜80μLである請求項1ないし20のいずれかに記載の展開部材。
  22. 請求項1ないし21のいずれかに記載の展開部材を備え、前記支持体を収納可能であることを特徴とする処理ユニット。
  23. 請求項22に記載の処理ユニットが着脱自在に収納される処理槽を備えることを特徴とする処理装置。
  24. 前記処理槽は、密閉可能である請求項23に記載の処理装置。
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