JP2004132724A - キャスク搬送装置の制御方法及びキャスク搬送システム - Google Patents
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Abstract
【課題】エアパレットを用いてキャスクを自動搬送する際の安全性と信頼性とを図るとともに、異常発生に対して迅速に対応処理するキャスク搬送装置の制御方法及びキャスク搬送システムを提供すること。
【解決手段】キャスクが保管される貯蔵建屋内におけるキャスク搬送装置の走行経路上あるいはこの近傍に外部情報源20が備えられ、キャスク搬送装置には、走行における駆動源となる走行機構110と走行方向を操作する操舵機構106とを有する駆動装置101と、外部情報源20を検出する走路検出手段120と、該走路検出手段120から出力された経路情報に基づいて走行速度を制御する制御装置133とが備えられ、該制御装置133にて減速あるいは停止位置を認識して駆動装置101の制御を行うことで安定した搬送を実施することを可能とした。
【選択図】 図2
【解決手段】キャスクが保管される貯蔵建屋内におけるキャスク搬送装置の走行経路上あるいはこの近傍に外部情報源20が備えられ、キャスク搬送装置には、走行における駆動源となる走行機構110と走行方向を操作する操舵機構106とを有する駆動装置101と、外部情報源20を検出する走路検出手段120と、該走路検出手段120から出力された経路情報に基づいて走行速度を制御する制御装置133とが備えられ、該制御装置133にて減速あるいは停止位置を認識して駆動装置101の制御を行うことで安定した搬送を実施することを可能とした。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、核燃料集合体を収納するキャスクをエアパレットを用いて浮上させながら所望の位置まで移動することができるキャスク搬送装置の制御方法及びキャスク搬送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電所において発生した使用済みの燃料集合体は、図4の貯蔵建屋の一例を示した概略図に示すように、キャスク1と呼ばれる専用の貯蔵容器に所定の体数毎に収納される。このように燃料集合体を収納したキャスク1は、これら燃料集合体が再処理に供されるまでの間、その内部に燃料集合体を収納したまま貯蔵建屋に貯蔵される。
【0003】
上述した図4の貯蔵建屋における従来のキャスク搬送システムとしては、天井クレーン2をキャスク搬送装置として使用したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このキャスク搬送システムでは、貯蔵建屋内に設けられている天井クレーン2によって、専用トレーラ4等で搬入されたキャスク1が1基ずつ吊り上げられる。天井クレーン2で吊り上げたキャスク1は、貯蔵建屋内の所定の貯蔵場所に設置されている支持構造物5の上まで移動される。
【0004】
この支持構造物5は、略円柱形状のキャスク1を1基ずつ縦置きに載置することが可能なように円環リング形状に形成されており、さらに、この円環リング上に、それぞれ対称位置となるように図示しない固定治具が設けられている。キャスク1は、所定の支持構造物5上に降下して縦置きに載置されると、図示しない固定治具によって固定されることで、地震時にも安定して貯蔵される。
また、他のキャスク1が吊り下げ誤操作等によって接触あるいは転倒した場合であっても、それによって既に貯蔵されているキャスク1が転倒しないようにしっかりと固定されている。
【0005】
このように、天井クレーン2を使用する従来のキャスク搬送システムは、燃料集合体を収納したキャスク1の重量が約100トン以上にも及ぶために、貯蔵建屋における天井クレーン2の荷重設計は極めて厳しいものとなる。したがって、例えば、柱や梁などの施設構成部材が大きな荷重に耐えうるように設計する必要があるので、貯蔵建屋の建設コストを増大させる要因となっている。
また、天井クレーン2を用いてキャスク1を吊り上げて搬送することを可能にするためには、ある程度の階高を確保する必要があり、これによって貯蔵建屋が高さ方向に大型化してしまう。これもまた、貯蔵建屋の建設コストを増大させる要因となっている。
また、キャスク1を吊り上げて搬送した際に、万が一、落下するようなことがあると、キャスク1が破損する可能性もあり、キャスク1の破損による危険性も懸念される。
【0006】
このため、本発明者らは、図5に示すようなエアパレット7を用いてキャスク1を載せるキャスク固定用架台6を床面から浮上させ、静止摩擦係数を1/1000程度まで低減することによって、重量物であるキャスク1を作業員の人力あるいは搬送車100(キャスク搬送装置)等による比較的小さな力で搬送可能をとした(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
このキャスク搬送装置をなす搬送車100の構成を簡単に説明すると、符号101は走行機構と操舵機構とを少なくとも有する駆動装置、108はキャスク1を挟み込む把持アーム114を駆動するための把持装置、104は駆動輪を含む車輪、112は駆動装置101内に備えられたエアコンプレッサ、6はエアパレット7を装着したキャスク固定用架台6を示している。
なお、キャスク固定用架台6は搬送車100の一構成要素としてキャスク1の搬送する役目を担うとともに、キャスク1と一体となって貯蔵の際の目標地点に設置される。
【0008】
また、上記に類似する構成として、搬送車に備わるエアパレットをキャスクのエアパレット装着部、又はキャスク固定用架台のエアパレット装着部に装着し、そのままの形態で貯蔵の所定位置に搬送する場合もある(同特許文献2参照。)。
【0009】
また、上述の搬送車100の操作においては、これに搭乗する操作者が運転する手動式を主として説明がされているが、自動運転式あるいは遠隔操作式であってもよいことが記載されている(同特許文献2参照。)。
但し、上述の先行技術においては、自動運転式や遠隔操作式の具体的な制御方法についての記載はない。
【0010】
さらに、重量物を搬送する搬送車の無人化による制御方法が既に開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。
これによれば、走路内に誘導磁石を埋設し、搬送車に装着した磁気誘導センサで磁気を捉えて走行する磁気誘導方式や、走路内に高周波電流を流した電線を埋設し、搬送車側に装着したセンサで電界を捉えて走行する電磁誘導方式や、走路上に設置したマークをカメラで捉え、これを画像処理して追従走行する光学誘導方式や、走路外に地上基準点を設け、これをレーザ等により計測しながら自律走行する基準点誘導方式などが開示されている。
【0011】
【特許文献1】
特開平9−26497号公報(第3−第5段落、第11図)
【特許文献2】
特開2002−148386号公報(第46段落、第11図、及び第35段落、第7及び第8図、及び第43段落)
【非特許文献1】
三菱重工技報、平成11年第36巻第4号、p198
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述に説明したようなエアパレットを用いたキャスク搬送装置を有するキャスク搬送システムにおいて、使用済みの核燃料を収容するキャスクの搬送には、該キャスクの昇降動作、移動時の走行動作、床面に着地させる動作等が含まれるため、これらの動作における安全性が高く要求される。このため、従来では操作者の存在が必要とされ、手動によるキャスク搬送が主として行われてきた。
しかし、貯蔵建屋内でのキャスク搬送は、使用済燃料を管理する放射線の管理区域内での作業となるので、作業員の被爆を最小限に止めるためにはキャスク搬送の自動化を図ることが望まれている。
【0013】
そして、上述した特許文献2では、キャスク搬送の自動化も可能であることが記載されているが、前段に記載のキャスク搬送における安全性確保の点については触れられおらず、キャスク搬送の自動化を実現するには多くの課題が残されている。
また、非特許文献1には、搬送車の自動化を可能とする誘導方式が記載されているが、これにおいても、前段に記載の安全性確保の点については触れられおらず、安全性が重要視されるキャスク搬送の自動化を実現するには多くの課題が残されている。
【0014】
特に、エアパレットを用いたキャスク搬送において注視すべき点について例を挙げて説明すると、貯蔵建屋内では多数のキャスクが所定の位置に整然に配置されることになるため、キャスク搬送装置は方向転換を行いながら走行経路を辿って目標地点にキャスクを搬送する必要がある。その際、キャスク搬送装置の速度制御を行わずに決められた走行経路を辿る誘導のみを行うと、重心が高いことによる不安定なキャスクは、自らに作用する慣性力によって大幅に傾くことが予想され、エアパレットではこの傾きを保持しきれないので、床面にキャスクの下部が接触したり、最悪の場合にはキャスクが転倒してしまう恐れがある。
これらのことで、床面を破損させてしまうことによれば、均一な床面を必要とするエアパレットでのキャスク搬送に不都合を来たし、さらなる問題としては、転倒によってキャスクが破損した場合には、この周囲が被爆する恐れも生じかねない。
【0015】
また、貯蔵建屋の床面が必ずしも傾斜のない均一な平面とは限らず、特にキャスクを保存する期間が数十年に渡ると、床面が傾斜したり、凹凸が発生する可能性がある。従来技術を用いてこのような状態でのキャスク搬送の自動化を行うと、キャスク搬送装置が上述の床面変化に対応しきれなくなり、上述のようにキャスクの転倒などの恐れが懸念される。
【0016】
また、キャスクの搬送時に地震等の異常事態が発生した場合の対処方法については論じられてはおらず、異常事態の発生において有効に対処しうるキャスク搬送装置の制御方法、並びに、キャスク搬送装置を有するキャスク搬送システムの開発が急務とされている。
【0017】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、エアパレットを用いてキャスクを自動搬送する際の安全性と信頼性とを図るとともに、異常発生に対して迅速に対応処理するキャスク搬送装置の制御方法及びキャスク搬送システムを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用することとした。
請求項1に記載の発明は、キャスクをエアパレットにより床面から浮上させて貯蔵建屋内を搬送するキャスク搬送装置の制御方法であって、前記キャスク搬送装置又はキャスクに装着された走路検出手段により走行する経路上あるいはこの近傍に設けられた外部情報源から経路情報を入手するとともに、入手した経路情報に基づいて減速あるいは停止位置を認識してキャスク搬送装置の速度制御を行うことを特徴とする。
【0019】
このような制御方法によれば、キャスク搬送装置は、走行経路における減速あるいは停止を必要とする、例えばカーブ地点、傾斜地点、あるいは目標地点などの重要地点に関する情報を、走行検出手段が外部情報源を検出することによって認識する。そして、キャスク搬送装置は、これら重要地点における走行の速度制御を行って搬送を実行することになる。したがって、例えば上述の重要地点を通過する際の速度を自動で抑えることも可能となり、これによって、走行経路に応じたキャスク搬送が行われる。
【0020】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のキャスク搬送装置の制御方法において、前記キャスク搬送装置又は前記キャスクには、傾斜角を検出する傾斜センサ又は加速度を検出する加速度センサが備えてなり、前記傾斜センサ又は前記加速度センサの検出値が基準値を超えた場合、前記エアパレットに対するエアの供給を停止することを特徴とする。
【0021】
このような制御方法によれば、傾斜センサあるいは加速度センサが、搬送や昇降時等における異常発生の判断基準となる基準値を超えた検出値を検出した場合、エアパレットに対するエアの供給が停止される。これによって、エアパレットはキャスクを浮上させる機能を失うことになり、キャスクは床面に着地する。
したがって、キャスクを浮上状態における不安定な状態から、着地における安定した状態に素早く移行させることができる。なお、傾斜センサや加速度センサについては、この両方が共に備えられる場合であっても良いし、どちらか一方が備えられる場合であっても良い。また、傾斜センサや加速度センサが備えられる位置は、キャスク自体の動きを把握できる位置が望ましい。
【0022】
請求項3に記載の発明は、キャスクをエアパレットにより床面から浮上させて貯蔵建屋内を搬送するキャスク搬送装置を有するキャスク搬送システムであって、前記貯蔵建屋内には、前記キャスク搬送装置が走行する経路上あるいはこの近傍に外部情報源が備えられ、前記キャスク搬送装置には、走行における駆動源となる走行機構と走行方向を操作する操舵機構とを有する駆動装置と、前記外部情報源を検出する走路検出手段と、該走路検出手段から出力された経路情報に基づいて走行速度を制御する制御装置とが備えられてなることを特徴とする。
【0023】
このような構成とすることで、キャスク搬送装置は、駆動装置によって貯蔵装置内を走行するにあたり、自らの走行経路における減速あるいは停止を必要とする、例えばカーブ地点、傾斜地点、あるいは目標地点などの重要地点に関する情報を、走路検出手段が外部情報源を検出することで認識する。そして、この重要地点が経路上の何処に存在するかが認識されることで、経路上の重要地点等及びこの前後における走行の速度制御が制御装置によって決定される。したがって、例えば、上述の重要地点等を通過する際の速度が制御装置によって自動的に抑えられることになり、これによれば、走行経路に応じたキャスク搬送がなされる。
【0024】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のキャスク搬送システムにおいて、前記キャスク搬送装置又は前記キャスクには、傾斜角を検出する傾斜センサ又は加速度を検出する加速度センサが備えられてなり、
前記制御装置は、前記傾斜センサ又は前記加速度センサの検出値が基準値を超えた場合に前記エアパレットへのエアの供給を停止することを特徴とする。
【0025】
このような構成によれば、傾斜センサあるいは加速度センサが、キャスクの搬送や昇降時における異常発生の判断基準となる基準値を超えた検出値を検出した場合、エアパレットに対するエアの供給が停止される。これによって、エアパレットはキャスクを浮上させる機能を失うことになり、キャスクは床面に着地する。したがって、傾斜センサ又は加速度センサの異常な検出値を制御装置が認識した場合、キャスク搬送装置はキャスクの浮上状態における不安定な状態から着地における安定した状態に素早く移行する。なお、キャスクに備えられる傾斜センサや加速度センサについては、この両方が共に備えられる場合であっても良いし、どちらか一方が備えられる場合であっても良い。
【0026】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載のキャスク搬送システムにおいて、前記エアパレットにエアを供給する回路中には、該エアパレットからのエアの逆流を防止する逆止弁が備えられてなることを特徴とする。
【0027】
このような構成によれば、エアの供給が停止したことでエアパレットの機能が失われてキャスクが床面に着地する際、エアパレット中のエアは逆止弁よりも上流側に戻ることがなく、エアパレットの表面から序々に抜け出すことになる。したがって、キャスクが床面に向かって急激に落下して着地するようなことがなくなる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るキャスク搬送装置の制御方法及びキャスク搬送システムについて詳しく説明する。
【0029】
図1はキャスク固定用架台6に載せられたキャスク1を搬送するキャスク搬送装置100の構成を説明する側面図である。なお、従来技術にて説明した図5の搬送車100と構成が異なるが、機能上の点において同様であり、どちらの構成であっても本発明の構成及び制御方法を適用することが可能であるので、同一符号を付して説明するものとする。
また、図1のキャスク搬送装置100には、図示しないエア供給用の配管(エア供給用の回路)を通じてエア供給台車又はエアコンプレッサからのエアが供給されている。
【0030】
図示のキャスク搬送装置100は、水平断面を略正方形としたキャスク固定用架台6と、このキャスク固定用架台6の装着されたエアパレット7と、この一辺に取り付けられた駆動装置101と、キャスク固定用架台6の側面に位置するように配置された走行検出手段120とを主に備えて構成されている。
また、駆動装置101は、キャスク固定用架台6に結合される平面視が略H型のフレーム102に支持された駆動輪104を2つ備えた2輪タイプであり、駆動輪104を床面Fに接地させるエアバネやコイルバネ等を用いた付勢手段105と、走行方向を操作する操舵機構106と、駆動輪104を駆動させる走行モータ110とを主に備えて構成されている。
【0031】
駆動輪104の車軸104aは、走行モータ110に直接、あるいは、ベルトやチェーンを介して連結されている。この走行モータ110と車軸104aとの間は、必要に応じて減速機構等が設けられる。なお、走行モータ110は、2つの駆動輪104に対応してそれぞれ専用のものが備えられている。また、走行モータ110としては、電動モータの採用も可能ではあるが、エアパレット7と共用可能な圧縮空気で作動するエアモータが好ましい。
なお、これ以降の説明においては、各走行モータ110及びこれに関連する回路や部品等を含んで走行モータ110と同一符号を付した走行機構110として説明するものとする。
【0032】
走路検出手段120は、床面Fに対してごく僅かな隙間を有するように近接して備えられており、床面Fに埋設された後述する外部情報源20を検出することが可能とされている。本実施形態における走路検出手段120と外部情報源20とを特定すると、走路検出手段120は床面Fに向かって配置された磁気誘導センサとされ、外部情報源20は誘導磁石とされている。
なお、これ以降、磁気誘導センサには走路検出手段120と同一符号を付すものとし、誘導磁石には外部情報源20と同一符号を付して説明するものとする。
【0033】
キャスク1を貯蔵保管する貯蔵建屋の床面Fには、キャスク1が搬入されてくる入口から各キャスク1のそれぞれが設置される目標地点までの走行経路に沿って等間隔に配置された上述の誘導磁石20が埋設されており、上記磁気誘導センサ120に検出されて搬送経路に関わる経路情報を提供している。
【0034】
さらに、図1に示すキャスク搬送装置100には、図2に示すように、走行の自動制御を担う自動制御装置130(後述する制御装置133の母体となる本発明の制御装置を意味する。)と、エアパレット7へのエア供給量を制御するエア制御機構107と、駆動輪104の回転数を判断して走行距離を積算する測距センサ141と、走行や振動等における加速度を検出する加速度センサ142と、キャスク1の傾きを検出する傾斜センサ143とが備えられている。なお、加速度センサ141と、傾斜センサ143とについては、計測の対象をキャスク1としているため、キャスク固定用架台6に取り付けられている。
【0035】
次に、キャスク搬送装置100に備わる制御回路の概略構成にさらに図2を用いて説明する。
自動制御装置130には、外部情報源20から経路情報を入手した走路検出手段120からの出力信号を入力するとともに、該信号を記憶装置131、あるいは制御装置133に出力し、且つ、記憶装置131と制御装置133との間の信号で信号を処理して情報の受け渡しを行う信号処理装置132が備えられている。さらに、この信号処理装置132は、測距センサ141、加速度センサ142、及び傾斜センサ143からの信号を入力して他の装置131,133の機能に合わせて処理する機能を有している。
【0036】
そして、上述した記憶装置131が、信号処理装置131との間で信号の入出力を可能とするように自動制御装置130の一構成要素として備えられており、また、上述した制御装置133が、信号処理装置131との間で信号の入出力を可能とするように自動制御装置130の一構成要素として備えられている。
さらに、制御装置133は、図1の駆動装置101の主要部分をなす操舵機構106と、エア制御機構107と、走行機構110との動作を制御するとともに、これら各機器の動作状態を信号として入力している。
【0037】
さて、図2に示した制御回路に基づき、キャスク搬送の自動制御を行うキャスク搬送装置の制御装置133における制御フローについて図3をさらに参照しながら説明する。なお、図3に示される制御フローの判断ロジックは、図2の記憶装置131にプログラムとして記憶されているものであり、制御装置133が該記憶装置131のプログラムを読み込んで走行制御を決定するものである。
【0038】
まず、キャスク搬送の開始が指示されると、制御装置133は、搬送するキャスクの目標地点を認識あるいは検知し(S1)、エア制御機構107はもちろんのこと、操舵機構106、走行機構110の制御を行って搬送における走行制御を開始する(S2)。
そして、制御装置133は、随時、走行経路からのずれ量を走路検出手段120によって検出することで算出し(S3)、算出した数値と予め設定した許容しきい値(基準値)との比較を行う(S4)。
そして、比較した結果にてずれ量が許容しきい値を超えた場合、キャスク搬送装置を減速させるとともに、操舵機構106に信号を出力して経路の修正を実行する(S4a)。
そして、走行経路からのずれが許容しきい値の範囲内であれば、そのままの状態で走行が制御される。
【0039】
さらに、制御装置133では、目標位置までの搬送を開始した段階から測距センサ141を用いて走行距離を積算しており(S5)、予め入力された減速あるいは停止を必要とする重要地点までの距離と走行距離との比較を行う(S6)。ここに言う重要地点とは、上述したようにキャスク搬送装置の経路においてカーブする地点や、水平な床面から傾斜し始める地点や、到達目標となる設置地点などである。
したがって、制御装置133は、自らが認識した実際の走行距離と、開始地点から重要地点までの予め入力された距離、あるいは演算された距離と、がほぼ一致したことを判断すると、走行機構110に対して減速の指示を出す。そして、走行速度に合わせて操舵機構106に対しても速度に見合った操舵の指示を出す(S7)。
【0040】
これによって、例えば、カーブの手前になると、キャスク搬送装置は減速した状態でカーブを曲がることになり、遠心力によって傾こうとするキャスクの慣性力は減少してキャスクを転倒させようとする多大な転倒モーメントは生じない。また、傾斜地点の手前で速度が減速されることになり、キャスクの重心が急激に後ろ、あるいは前に移ることがなくなり、キャスク自体の慣性力によって転倒モーメントが多大に発生することがなくなる。
このことによって、キャスクが転倒するような問題は回避されることになり、また、キャスクを固定するキャスク固定用架台やキャスク自体が床面に接触するようなこともなくなる。
【0041】
そして、測距センサ141、又は外部情報源20により、目標地点付近に到達していることを制御装置133が認識すると(S8)、該制御装置133は、操舵機構106及び走行機構110を重要地点での減速制御と同様に行いつつ、ほぼ一定の減速度で目標地点に停止できるように走行を制御する(S9)。
そして、目標地点への到達が走路検出手段120等の検出によって制御装置133が確認すると、該制御装置133は、エア制御機構107にエアの供給を停止するように指示を出し、キャスクを床面Fに着地させる。
【0042】
さらに、制御装置133では、搬送の開始時から常に加速度センサと傾斜センサからの検出値を入力している(SS1)。これはキャスク搬送における異常発生を即座に捉えることを目的としている。制御装置133は、上述の各検出値と記憶装置131に記憶された加速度及び傾斜角における各許容しきい値(基準値)とを比較し(SS2)、どちらか一方の検出値が許容しきい値以上であることを判断すると、走行機構110へ減速の指示を出すとともに、エア制御機構107に対してエアパレットへのエア供給を停止するように指示を出す(SS3)。
【0043】
これによって、キャスク搬送装置は減速して緊急停止することになり、停止とほぼ同時にエア供給が遮断されることで、エアパレットはキャスクを浮上させる機能を失ってキャスク固定用架台に固定されたキャスクを床面Fに着地させる。キャスクを着地する際、エア制御機構はエアの供給をできるだけ早く停止させる方式をとっているが、エアパレットに対するエアの供給が急激に遮断されると、着地の際に大きな衝撃がキャスク及び床面に作用することが予想される。したがって、本発明に係る実施形態においては、エアコンプレッサ等からエアパレットまでを繋ぐエア供給用の配管(エア供給の回路)に逆止弁を備える構成としている。
【0044】
逆止弁は、通常の状態であればエアパレットに対するエア供給の際には機能を果たしていないが、エアの供給が停止されてエアパレット内の空気がエア供給用の配管に逆流した場合、このエアが逆流する経路を遮断する。したがって、エアパレット内の空気はエアパレットの下面に設けられた浮上作用を導く複数の小さな穴から抜けることになり、エアパレットが序々に潰れることで、緊急停止にてエアの供給が即座に停止されても、キャスクや床面には大きな衝撃荷重が作用しなくなる。
【0045】
以上説明した本実施形態のキャスク搬送装置を備えたキャスク搬送システム、及びキャスク搬送装置の制御方法によれば以下の効果を奏することができる。
キャスク搬送において不安定要素となりうるカーブ地点や傾斜地点での搬送速度を自らの判断で安全な速度に抑えることができ、キャスク搬送の自動化を最適化して実現することができる。また、地震等の異常発生に対してキャスク搬送の緊急停止を実行した場合であっても、走行経路に見合った速度で安定した搬送が常に維持されていることにより、緊急停止命令に対して安全性を確保しつつ適切な対応処理を素早く実施することができる。また、逆止弁の作用によって緊急停止時におけるキャスク着地の際の衝撃を抑えることができ、キャスクや床面の損傷を回避しつつ安全且つ安定した状態で着地させることができる。
【0046】
なお、本実施形態の変形例として、以下に説明する構成であってもよい。
第1の変形例は、上述した実施形態にて走路検出手段の一例として説明した磁気誘導センサに変更して磁気センサを採用することとし、外部情報手段の一例として説明した誘導磁石に変更して高周波電流を導通させる高周波ケーブルを採用する構成である。
磁気センサは、上述した実施形態と同様にキャスク搬送装置に設置するものとし、高周波ケーブルは、走行経路の床面に埋設する。そして、磁気センサにて高周波ケーブルから発せられる磁界を捉えながらキャスク搬送装置を誘導することとし、測距センサにて走行距離を積算することで重要地点を認識させる。
これによれば、本実施形態と同様な効果が得られるとともに、常に誘導が行われることで検知誤差が小さくなり、より正確な自動制御及び重要地点の認識を行うことができる。
【0047】
また、第2の変形例は、上述した実施形態にて走路検出手段の一例として説明した磁気誘導センサに変更してカメラと該カメラが捉えた画像を処理する画像処理装置とを採用することとし、外部情報手段の一例として説明した誘導磁石に変更して走行経路上の床面に配した目印を採用する構成である。
カメラ及び画像処理装置は、上述した実施形態と同様にキャスク搬送装置に設置するものとし、目印は、走行経路の床面に貼付することなどにより設置する。そして、カメラで目印を捉えてこの画像を画像処理することでキャスク搬送装置を誘導することとし、測距センサにて走行距離を積算することで重要地点を認識させる。
これによれば、本実施形態と同様な効果が得られるとともに、磁気や高周波電流によるノイズの発生を抑えて確実な自動制御及び重要地点の認識を行うことができる。また、走路検出手段として目印を簡易に設置することができ、経年的な床面の変形によって左右されることはなく、調整も容易であるために設置及び維持管理費用を削減することができる。
【0048】
また、第3の変形例は、上述した実施形態にて走路検出手段の一例として説明した磁気誘導センサに変更してレーザ計測設備を採用することとし、外部情報手段の一例として説明した誘導磁石に変更して走行経路外に設置した地上基準点を採用する構成である。
レーザ計測設備は、上述した実施形態と同様にキャスク搬送装置に設置するものとし、地上基準点は、経路上を走行するキャスク搬送装置が見渡せるような貯蔵建屋の内部に設置する。そして、レーザ計測設備が常に地上基準点を捉えることで地上基準点を基準とした距離や方向が特定されることになり、キャスク搬送装置の誘導が行われる。また、測距センサにて走行距離を積算することで重要地点を認識させるも同様に可能である。
これによれば、本実施形態と同様な効果が得られるとともに、磁気や高周波電流によるノイズの発生を抑えて確実な自動制御及び重要地点の認識を行うことができる。また、カメラによる撮影にて照明の明るさの差や汚れがあると誘導時の誤差の要因となるが、レーザ光などの収束性が高い光を用いることによれば、誤差の発生を大幅に削減することができる。
【0049】
なお、以上説明した実施形態、及びその変形例において、重要地点を特定する方法として測距センサを用いた走行距離から換算する方法を説明したが、これに限定解釈されるものではなく、外部情報源から直接受け取る経路情報から重要地点を特定することとしてもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明した本発明のキャスク搬送装置の制御方法及びキャスク搬送システムによれば以下の効果を奏する。
請求項1記載の発明によれば、外部情報源を検出する走路検出手段により経路情報を入手するとともに、入手した経路情報に基づいて減速あるいは停止位置を認識してキャスク搬送装置の速度制御を行うキャスク搬送装置の制御方法としているので、キャスク搬送において不安定要素となりうる地点での搬送速度を自らの判断で安全な速度に制御することができ、キャスク搬送の自動化を最適化して実現することができる。また、地震等の異常発生に対してキャスク搬送の緊急停止を実行した場合であっても、走行経路に見合った速度で安定した搬送が常に維持されていることにより、緊急停止命令に対して安全性を確保しつつ適切な対応処理を素早く実施することができる。
【0051】
請求項2記載の発明によれば、傾斜センサ又は加速度センサの検出値が基準値を超えた場合に、エアパレットへのエアの供給を停止するキャスク搬送装置の制御方法としているので、キャスクの昇降を含むキャスク搬送における異常発生を的確に判断してキャスクの安定化を早急に確保することができ、異常発生に対して迅速に対応する信頼性の高いキャスク搬送を実施することができる。そして、キャスク搬送の自動化をより安全な形態で実現することが可能となる。
【0052】
請求項3記載の発明によれば、キャスク搬送において不安定要素となりうる重要地点での搬送速度を制御装置の決定に基づき安全な速度に制御することができ、これによれば高い安全性が要求されるキャスク搬送の自動化を最良な形態で実現することができる。そして、地震等の異常発生に対してキャスク搬送の緊急停止が実行された場合であっても、走行経路に見合った速度で安定した搬送が常に維持されていることにより、緊急停止命令に対して安全性を確保しつつ適切な対応処理を素早く実施することができる。
【0053】
請求項4記載の発明によれば、傾斜センサ又は加速度センサの検出値が基準値を超えた場合、エアパレットへのエアの供給が停止されるので、キャスクの昇降を含むキャスク搬送における異常発生を的確に判断してキャスクの安定化を早急に確保することができ、異常発生に対して迅速に対応する信頼性の高いキャスク搬送システムを実現することができる。
【0054】
請求項5記載の発明によれば、エアパレットにエアを供給する回路中には、エアパレットからのエアの逆流を防止する逆止弁が備えられているので、エアパレットへのエア供給が遮断されるような異常発生時において急激なエア抜けを回避することができ、キャスクが床面に着地する際の衝撃を抑えることでキャスクの破損等を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるキャスク搬送装置の概略構成を説明する側面図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるキャスク搬送装置の制御回路の構成を説明する説明図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるキャスク搬送装置の制御フローを説明する流れ図である。
【図4】従来より一般に用いられているキャスク貯蔵建屋の構成を説明する側面図である。
【図5】キャスク搬送装置の一構成例である搬送車の概略構成を説明する斜視図である。
【符号の説明】
1 キャスク
6 キャスク固定用架台
7 エアパレット
20 誘導磁石(外部情報源)
100 キャスク搬送装置
101 駆動装置
106 操舵機構
107 エア制御機構
110 走行モータ(走行機構)
120 磁気誘導センサ(走路検出手段)
130 自動制御装置(制御装置)
131 記憶装置
132 信号処理装置
133 制御装置
141 測距センサ
142 加速度センサ
143 傾斜センサ
F 床面
【発明の属する技術分野】
本発明は、核燃料集合体を収納するキャスクをエアパレットを用いて浮上させながら所望の位置まで移動することができるキャスク搬送装置の制御方法及びキャスク搬送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電所において発生した使用済みの燃料集合体は、図4の貯蔵建屋の一例を示した概略図に示すように、キャスク1と呼ばれる専用の貯蔵容器に所定の体数毎に収納される。このように燃料集合体を収納したキャスク1は、これら燃料集合体が再処理に供されるまでの間、その内部に燃料集合体を収納したまま貯蔵建屋に貯蔵される。
【0003】
上述した図4の貯蔵建屋における従来のキャスク搬送システムとしては、天井クレーン2をキャスク搬送装置として使用したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
このキャスク搬送システムでは、貯蔵建屋内に設けられている天井クレーン2によって、専用トレーラ4等で搬入されたキャスク1が1基ずつ吊り上げられる。天井クレーン2で吊り上げたキャスク1は、貯蔵建屋内の所定の貯蔵場所に設置されている支持構造物5の上まで移動される。
【0004】
この支持構造物5は、略円柱形状のキャスク1を1基ずつ縦置きに載置することが可能なように円環リング形状に形成されており、さらに、この円環リング上に、それぞれ対称位置となるように図示しない固定治具が設けられている。キャスク1は、所定の支持構造物5上に降下して縦置きに載置されると、図示しない固定治具によって固定されることで、地震時にも安定して貯蔵される。
また、他のキャスク1が吊り下げ誤操作等によって接触あるいは転倒した場合であっても、それによって既に貯蔵されているキャスク1が転倒しないようにしっかりと固定されている。
【0005】
このように、天井クレーン2を使用する従来のキャスク搬送システムは、燃料集合体を収納したキャスク1の重量が約100トン以上にも及ぶために、貯蔵建屋における天井クレーン2の荷重設計は極めて厳しいものとなる。したがって、例えば、柱や梁などの施設構成部材が大きな荷重に耐えうるように設計する必要があるので、貯蔵建屋の建設コストを増大させる要因となっている。
また、天井クレーン2を用いてキャスク1を吊り上げて搬送することを可能にするためには、ある程度の階高を確保する必要があり、これによって貯蔵建屋が高さ方向に大型化してしまう。これもまた、貯蔵建屋の建設コストを増大させる要因となっている。
また、キャスク1を吊り上げて搬送した際に、万が一、落下するようなことがあると、キャスク1が破損する可能性もあり、キャスク1の破損による危険性も懸念される。
【0006】
このため、本発明者らは、図5に示すようなエアパレット7を用いてキャスク1を載せるキャスク固定用架台6を床面から浮上させ、静止摩擦係数を1/1000程度まで低減することによって、重量物であるキャスク1を作業員の人力あるいは搬送車100(キャスク搬送装置)等による比較的小さな力で搬送可能をとした(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
このキャスク搬送装置をなす搬送車100の構成を簡単に説明すると、符号101は走行機構と操舵機構とを少なくとも有する駆動装置、108はキャスク1を挟み込む把持アーム114を駆動するための把持装置、104は駆動輪を含む車輪、112は駆動装置101内に備えられたエアコンプレッサ、6はエアパレット7を装着したキャスク固定用架台6を示している。
なお、キャスク固定用架台6は搬送車100の一構成要素としてキャスク1の搬送する役目を担うとともに、キャスク1と一体となって貯蔵の際の目標地点に設置される。
【0008】
また、上記に類似する構成として、搬送車に備わるエアパレットをキャスクのエアパレット装着部、又はキャスク固定用架台のエアパレット装着部に装着し、そのままの形態で貯蔵の所定位置に搬送する場合もある(同特許文献2参照。)。
【0009】
また、上述の搬送車100の操作においては、これに搭乗する操作者が運転する手動式を主として説明がされているが、自動運転式あるいは遠隔操作式であってもよいことが記載されている(同特許文献2参照。)。
但し、上述の先行技術においては、自動運転式や遠隔操作式の具体的な制御方法についての記載はない。
【0010】
さらに、重量物を搬送する搬送車の無人化による制御方法が既に開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。
これによれば、走路内に誘導磁石を埋設し、搬送車に装着した磁気誘導センサで磁気を捉えて走行する磁気誘導方式や、走路内に高周波電流を流した電線を埋設し、搬送車側に装着したセンサで電界を捉えて走行する電磁誘導方式や、走路上に設置したマークをカメラで捉え、これを画像処理して追従走行する光学誘導方式や、走路外に地上基準点を設け、これをレーザ等により計測しながら自律走行する基準点誘導方式などが開示されている。
【0011】
【特許文献1】
特開平9−26497号公報(第3−第5段落、第11図)
【特許文献2】
特開2002−148386号公報(第46段落、第11図、及び第35段落、第7及び第8図、及び第43段落)
【非特許文献1】
三菱重工技報、平成11年第36巻第4号、p198
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述に説明したようなエアパレットを用いたキャスク搬送装置を有するキャスク搬送システムにおいて、使用済みの核燃料を収容するキャスクの搬送には、該キャスクの昇降動作、移動時の走行動作、床面に着地させる動作等が含まれるため、これらの動作における安全性が高く要求される。このため、従来では操作者の存在が必要とされ、手動によるキャスク搬送が主として行われてきた。
しかし、貯蔵建屋内でのキャスク搬送は、使用済燃料を管理する放射線の管理区域内での作業となるので、作業員の被爆を最小限に止めるためにはキャスク搬送の自動化を図ることが望まれている。
【0013】
そして、上述した特許文献2では、キャスク搬送の自動化も可能であることが記載されているが、前段に記載のキャスク搬送における安全性確保の点については触れられおらず、キャスク搬送の自動化を実現するには多くの課題が残されている。
また、非特許文献1には、搬送車の自動化を可能とする誘導方式が記載されているが、これにおいても、前段に記載の安全性確保の点については触れられおらず、安全性が重要視されるキャスク搬送の自動化を実現するには多くの課題が残されている。
【0014】
特に、エアパレットを用いたキャスク搬送において注視すべき点について例を挙げて説明すると、貯蔵建屋内では多数のキャスクが所定の位置に整然に配置されることになるため、キャスク搬送装置は方向転換を行いながら走行経路を辿って目標地点にキャスクを搬送する必要がある。その際、キャスク搬送装置の速度制御を行わずに決められた走行経路を辿る誘導のみを行うと、重心が高いことによる不安定なキャスクは、自らに作用する慣性力によって大幅に傾くことが予想され、エアパレットではこの傾きを保持しきれないので、床面にキャスクの下部が接触したり、最悪の場合にはキャスクが転倒してしまう恐れがある。
これらのことで、床面を破損させてしまうことによれば、均一な床面を必要とするエアパレットでのキャスク搬送に不都合を来たし、さらなる問題としては、転倒によってキャスクが破損した場合には、この周囲が被爆する恐れも生じかねない。
【0015】
また、貯蔵建屋の床面が必ずしも傾斜のない均一な平面とは限らず、特にキャスクを保存する期間が数十年に渡ると、床面が傾斜したり、凹凸が発生する可能性がある。従来技術を用いてこのような状態でのキャスク搬送の自動化を行うと、キャスク搬送装置が上述の床面変化に対応しきれなくなり、上述のようにキャスクの転倒などの恐れが懸念される。
【0016】
また、キャスクの搬送時に地震等の異常事態が発生した場合の対処方法については論じられてはおらず、異常事態の発生において有効に対処しうるキャスク搬送装置の制御方法、並びに、キャスク搬送装置を有するキャスク搬送システムの開発が急務とされている。
【0017】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、エアパレットを用いてキャスクを自動搬送する際の安全性と信頼性とを図るとともに、異常発生に対して迅速に対応処理するキャスク搬送装置の制御方法及びキャスク搬送システムを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用することとした。
請求項1に記載の発明は、キャスクをエアパレットにより床面から浮上させて貯蔵建屋内を搬送するキャスク搬送装置の制御方法であって、前記キャスク搬送装置又はキャスクに装着された走路検出手段により走行する経路上あるいはこの近傍に設けられた外部情報源から経路情報を入手するとともに、入手した経路情報に基づいて減速あるいは停止位置を認識してキャスク搬送装置の速度制御を行うことを特徴とする。
【0019】
このような制御方法によれば、キャスク搬送装置は、走行経路における減速あるいは停止を必要とする、例えばカーブ地点、傾斜地点、あるいは目標地点などの重要地点に関する情報を、走行検出手段が外部情報源を検出することによって認識する。そして、キャスク搬送装置は、これら重要地点における走行の速度制御を行って搬送を実行することになる。したがって、例えば上述の重要地点を通過する際の速度を自動で抑えることも可能となり、これによって、走行経路に応じたキャスク搬送が行われる。
【0020】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のキャスク搬送装置の制御方法において、前記キャスク搬送装置又は前記キャスクには、傾斜角を検出する傾斜センサ又は加速度を検出する加速度センサが備えてなり、前記傾斜センサ又は前記加速度センサの検出値が基準値を超えた場合、前記エアパレットに対するエアの供給を停止することを特徴とする。
【0021】
このような制御方法によれば、傾斜センサあるいは加速度センサが、搬送や昇降時等における異常発生の判断基準となる基準値を超えた検出値を検出した場合、エアパレットに対するエアの供給が停止される。これによって、エアパレットはキャスクを浮上させる機能を失うことになり、キャスクは床面に着地する。
したがって、キャスクを浮上状態における不安定な状態から、着地における安定した状態に素早く移行させることができる。なお、傾斜センサや加速度センサについては、この両方が共に備えられる場合であっても良いし、どちらか一方が備えられる場合であっても良い。また、傾斜センサや加速度センサが備えられる位置は、キャスク自体の動きを把握できる位置が望ましい。
【0022】
請求項3に記載の発明は、キャスクをエアパレットにより床面から浮上させて貯蔵建屋内を搬送するキャスク搬送装置を有するキャスク搬送システムであって、前記貯蔵建屋内には、前記キャスク搬送装置が走行する経路上あるいはこの近傍に外部情報源が備えられ、前記キャスク搬送装置には、走行における駆動源となる走行機構と走行方向を操作する操舵機構とを有する駆動装置と、前記外部情報源を検出する走路検出手段と、該走路検出手段から出力された経路情報に基づいて走行速度を制御する制御装置とが備えられてなることを特徴とする。
【0023】
このような構成とすることで、キャスク搬送装置は、駆動装置によって貯蔵装置内を走行するにあたり、自らの走行経路における減速あるいは停止を必要とする、例えばカーブ地点、傾斜地点、あるいは目標地点などの重要地点に関する情報を、走路検出手段が外部情報源を検出することで認識する。そして、この重要地点が経路上の何処に存在するかが認識されることで、経路上の重要地点等及びこの前後における走行の速度制御が制御装置によって決定される。したがって、例えば、上述の重要地点等を通過する際の速度が制御装置によって自動的に抑えられることになり、これによれば、走行経路に応じたキャスク搬送がなされる。
【0024】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のキャスク搬送システムにおいて、前記キャスク搬送装置又は前記キャスクには、傾斜角を検出する傾斜センサ又は加速度を検出する加速度センサが備えられてなり、
前記制御装置は、前記傾斜センサ又は前記加速度センサの検出値が基準値を超えた場合に前記エアパレットへのエアの供給を停止することを特徴とする。
【0025】
このような構成によれば、傾斜センサあるいは加速度センサが、キャスクの搬送や昇降時における異常発生の判断基準となる基準値を超えた検出値を検出した場合、エアパレットに対するエアの供給が停止される。これによって、エアパレットはキャスクを浮上させる機能を失うことになり、キャスクは床面に着地する。したがって、傾斜センサ又は加速度センサの異常な検出値を制御装置が認識した場合、キャスク搬送装置はキャスクの浮上状態における不安定な状態から着地における安定した状態に素早く移行する。なお、キャスクに備えられる傾斜センサや加速度センサについては、この両方が共に備えられる場合であっても良いし、どちらか一方が備えられる場合であっても良い。
【0026】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載のキャスク搬送システムにおいて、前記エアパレットにエアを供給する回路中には、該エアパレットからのエアの逆流を防止する逆止弁が備えられてなることを特徴とする。
【0027】
このような構成によれば、エアの供給が停止したことでエアパレットの機能が失われてキャスクが床面に着地する際、エアパレット中のエアは逆止弁よりも上流側に戻ることがなく、エアパレットの表面から序々に抜け出すことになる。したがって、キャスクが床面に向かって急激に落下して着地するようなことがなくなる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るキャスク搬送装置の制御方法及びキャスク搬送システムについて詳しく説明する。
【0029】
図1はキャスク固定用架台6に載せられたキャスク1を搬送するキャスク搬送装置100の構成を説明する側面図である。なお、従来技術にて説明した図5の搬送車100と構成が異なるが、機能上の点において同様であり、どちらの構成であっても本発明の構成及び制御方法を適用することが可能であるので、同一符号を付して説明するものとする。
また、図1のキャスク搬送装置100には、図示しないエア供給用の配管(エア供給用の回路)を通じてエア供給台車又はエアコンプレッサからのエアが供給されている。
【0030】
図示のキャスク搬送装置100は、水平断面を略正方形としたキャスク固定用架台6と、このキャスク固定用架台6の装着されたエアパレット7と、この一辺に取り付けられた駆動装置101と、キャスク固定用架台6の側面に位置するように配置された走行検出手段120とを主に備えて構成されている。
また、駆動装置101は、キャスク固定用架台6に結合される平面視が略H型のフレーム102に支持された駆動輪104を2つ備えた2輪タイプであり、駆動輪104を床面Fに接地させるエアバネやコイルバネ等を用いた付勢手段105と、走行方向を操作する操舵機構106と、駆動輪104を駆動させる走行モータ110とを主に備えて構成されている。
【0031】
駆動輪104の車軸104aは、走行モータ110に直接、あるいは、ベルトやチェーンを介して連結されている。この走行モータ110と車軸104aとの間は、必要に応じて減速機構等が設けられる。なお、走行モータ110は、2つの駆動輪104に対応してそれぞれ専用のものが備えられている。また、走行モータ110としては、電動モータの採用も可能ではあるが、エアパレット7と共用可能な圧縮空気で作動するエアモータが好ましい。
なお、これ以降の説明においては、各走行モータ110及びこれに関連する回路や部品等を含んで走行モータ110と同一符号を付した走行機構110として説明するものとする。
【0032】
走路検出手段120は、床面Fに対してごく僅かな隙間を有するように近接して備えられており、床面Fに埋設された後述する外部情報源20を検出することが可能とされている。本実施形態における走路検出手段120と外部情報源20とを特定すると、走路検出手段120は床面Fに向かって配置された磁気誘導センサとされ、外部情報源20は誘導磁石とされている。
なお、これ以降、磁気誘導センサには走路検出手段120と同一符号を付すものとし、誘導磁石には外部情報源20と同一符号を付して説明するものとする。
【0033】
キャスク1を貯蔵保管する貯蔵建屋の床面Fには、キャスク1が搬入されてくる入口から各キャスク1のそれぞれが設置される目標地点までの走行経路に沿って等間隔に配置された上述の誘導磁石20が埋設されており、上記磁気誘導センサ120に検出されて搬送経路に関わる経路情報を提供している。
【0034】
さらに、図1に示すキャスク搬送装置100には、図2に示すように、走行の自動制御を担う自動制御装置130(後述する制御装置133の母体となる本発明の制御装置を意味する。)と、エアパレット7へのエア供給量を制御するエア制御機構107と、駆動輪104の回転数を判断して走行距離を積算する測距センサ141と、走行や振動等における加速度を検出する加速度センサ142と、キャスク1の傾きを検出する傾斜センサ143とが備えられている。なお、加速度センサ141と、傾斜センサ143とについては、計測の対象をキャスク1としているため、キャスク固定用架台6に取り付けられている。
【0035】
次に、キャスク搬送装置100に備わる制御回路の概略構成にさらに図2を用いて説明する。
自動制御装置130には、外部情報源20から経路情報を入手した走路検出手段120からの出力信号を入力するとともに、該信号を記憶装置131、あるいは制御装置133に出力し、且つ、記憶装置131と制御装置133との間の信号で信号を処理して情報の受け渡しを行う信号処理装置132が備えられている。さらに、この信号処理装置132は、測距センサ141、加速度センサ142、及び傾斜センサ143からの信号を入力して他の装置131,133の機能に合わせて処理する機能を有している。
【0036】
そして、上述した記憶装置131が、信号処理装置131との間で信号の入出力を可能とするように自動制御装置130の一構成要素として備えられており、また、上述した制御装置133が、信号処理装置131との間で信号の入出力を可能とするように自動制御装置130の一構成要素として備えられている。
さらに、制御装置133は、図1の駆動装置101の主要部分をなす操舵機構106と、エア制御機構107と、走行機構110との動作を制御するとともに、これら各機器の動作状態を信号として入力している。
【0037】
さて、図2に示した制御回路に基づき、キャスク搬送の自動制御を行うキャスク搬送装置の制御装置133における制御フローについて図3をさらに参照しながら説明する。なお、図3に示される制御フローの判断ロジックは、図2の記憶装置131にプログラムとして記憶されているものであり、制御装置133が該記憶装置131のプログラムを読み込んで走行制御を決定するものである。
【0038】
まず、キャスク搬送の開始が指示されると、制御装置133は、搬送するキャスクの目標地点を認識あるいは検知し(S1)、エア制御機構107はもちろんのこと、操舵機構106、走行機構110の制御を行って搬送における走行制御を開始する(S2)。
そして、制御装置133は、随時、走行経路からのずれ量を走路検出手段120によって検出することで算出し(S3)、算出した数値と予め設定した許容しきい値(基準値)との比較を行う(S4)。
そして、比較した結果にてずれ量が許容しきい値を超えた場合、キャスク搬送装置を減速させるとともに、操舵機構106に信号を出力して経路の修正を実行する(S4a)。
そして、走行経路からのずれが許容しきい値の範囲内であれば、そのままの状態で走行が制御される。
【0039】
さらに、制御装置133では、目標位置までの搬送を開始した段階から測距センサ141を用いて走行距離を積算しており(S5)、予め入力された減速あるいは停止を必要とする重要地点までの距離と走行距離との比較を行う(S6)。ここに言う重要地点とは、上述したようにキャスク搬送装置の経路においてカーブする地点や、水平な床面から傾斜し始める地点や、到達目標となる設置地点などである。
したがって、制御装置133は、自らが認識した実際の走行距離と、開始地点から重要地点までの予め入力された距離、あるいは演算された距離と、がほぼ一致したことを判断すると、走行機構110に対して減速の指示を出す。そして、走行速度に合わせて操舵機構106に対しても速度に見合った操舵の指示を出す(S7)。
【0040】
これによって、例えば、カーブの手前になると、キャスク搬送装置は減速した状態でカーブを曲がることになり、遠心力によって傾こうとするキャスクの慣性力は減少してキャスクを転倒させようとする多大な転倒モーメントは生じない。また、傾斜地点の手前で速度が減速されることになり、キャスクの重心が急激に後ろ、あるいは前に移ることがなくなり、キャスク自体の慣性力によって転倒モーメントが多大に発生することがなくなる。
このことによって、キャスクが転倒するような問題は回避されることになり、また、キャスクを固定するキャスク固定用架台やキャスク自体が床面に接触するようなこともなくなる。
【0041】
そして、測距センサ141、又は外部情報源20により、目標地点付近に到達していることを制御装置133が認識すると(S8)、該制御装置133は、操舵機構106及び走行機構110を重要地点での減速制御と同様に行いつつ、ほぼ一定の減速度で目標地点に停止できるように走行を制御する(S9)。
そして、目標地点への到達が走路検出手段120等の検出によって制御装置133が確認すると、該制御装置133は、エア制御機構107にエアの供給を停止するように指示を出し、キャスクを床面Fに着地させる。
【0042】
さらに、制御装置133では、搬送の開始時から常に加速度センサと傾斜センサからの検出値を入力している(SS1)。これはキャスク搬送における異常発生を即座に捉えることを目的としている。制御装置133は、上述の各検出値と記憶装置131に記憶された加速度及び傾斜角における各許容しきい値(基準値)とを比較し(SS2)、どちらか一方の検出値が許容しきい値以上であることを判断すると、走行機構110へ減速の指示を出すとともに、エア制御機構107に対してエアパレットへのエア供給を停止するように指示を出す(SS3)。
【0043】
これによって、キャスク搬送装置は減速して緊急停止することになり、停止とほぼ同時にエア供給が遮断されることで、エアパレットはキャスクを浮上させる機能を失ってキャスク固定用架台に固定されたキャスクを床面Fに着地させる。キャスクを着地する際、エア制御機構はエアの供給をできるだけ早く停止させる方式をとっているが、エアパレットに対するエアの供給が急激に遮断されると、着地の際に大きな衝撃がキャスク及び床面に作用することが予想される。したがって、本発明に係る実施形態においては、エアコンプレッサ等からエアパレットまでを繋ぐエア供給用の配管(エア供給の回路)に逆止弁を備える構成としている。
【0044】
逆止弁は、通常の状態であればエアパレットに対するエア供給の際には機能を果たしていないが、エアの供給が停止されてエアパレット内の空気がエア供給用の配管に逆流した場合、このエアが逆流する経路を遮断する。したがって、エアパレット内の空気はエアパレットの下面に設けられた浮上作用を導く複数の小さな穴から抜けることになり、エアパレットが序々に潰れることで、緊急停止にてエアの供給が即座に停止されても、キャスクや床面には大きな衝撃荷重が作用しなくなる。
【0045】
以上説明した本実施形態のキャスク搬送装置を備えたキャスク搬送システム、及びキャスク搬送装置の制御方法によれば以下の効果を奏することができる。
キャスク搬送において不安定要素となりうるカーブ地点や傾斜地点での搬送速度を自らの判断で安全な速度に抑えることができ、キャスク搬送の自動化を最適化して実現することができる。また、地震等の異常発生に対してキャスク搬送の緊急停止を実行した場合であっても、走行経路に見合った速度で安定した搬送が常に維持されていることにより、緊急停止命令に対して安全性を確保しつつ適切な対応処理を素早く実施することができる。また、逆止弁の作用によって緊急停止時におけるキャスク着地の際の衝撃を抑えることができ、キャスクや床面の損傷を回避しつつ安全且つ安定した状態で着地させることができる。
【0046】
なお、本実施形態の変形例として、以下に説明する構成であってもよい。
第1の変形例は、上述した実施形態にて走路検出手段の一例として説明した磁気誘導センサに変更して磁気センサを採用することとし、外部情報手段の一例として説明した誘導磁石に変更して高周波電流を導通させる高周波ケーブルを採用する構成である。
磁気センサは、上述した実施形態と同様にキャスク搬送装置に設置するものとし、高周波ケーブルは、走行経路の床面に埋設する。そして、磁気センサにて高周波ケーブルから発せられる磁界を捉えながらキャスク搬送装置を誘導することとし、測距センサにて走行距離を積算することで重要地点を認識させる。
これによれば、本実施形態と同様な効果が得られるとともに、常に誘導が行われることで検知誤差が小さくなり、より正確な自動制御及び重要地点の認識を行うことができる。
【0047】
また、第2の変形例は、上述した実施形態にて走路検出手段の一例として説明した磁気誘導センサに変更してカメラと該カメラが捉えた画像を処理する画像処理装置とを採用することとし、外部情報手段の一例として説明した誘導磁石に変更して走行経路上の床面に配した目印を採用する構成である。
カメラ及び画像処理装置は、上述した実施形態と同様にキャスク搬送装置に設置するものとし、目印は、走行経路の床面に貼付することなどにより設置する。そして、カメラで目印を捉えてこの画像を画像処理することでキャスク搬送装置を誘導することとし、測距センサにて走行距離を積算することで重要地点を認識させる。
これによれば、本実施形態と同様な効果が得られるとともに、磁気や高周波電流によるノイズの発生を抑えて確実な自動制御及び重要地点の認識を行うことができる。また、走路検出手段として目印を簡易に設置することができ、経年的な床面の変形によって左右されることはなく、調整も容易であるために設置及び維持管理費用を削減することができる。
【0048】
また、第3の変形例は、上述した実施形態にて走路検出手段の一例として説明した磁気誘導センサに変更してレーザ計測設備を採用することとし、外部情報手段の一例として説明した誘導磁石に変更して走行経路外に設置した地上基準点を採用する構成である。
レーザ計測設備は、上述した実施形態と同様にキャスク搬送装置に設置するものとし、地上基準点は、経路上を走行するキャスク搬送装置が見渡せるような貯蔵建屋の内部に設置する。そして、レーザ計測設備が常に地上基準点を捉えることで地上基準点を基準とした距離や方向が特定されることになり、キャスク搬送装置の誘導が行われる。また、測距センサにて走行距離を積算することで重要地点を認識させるも同様に可能である。
これによれば、本実施形態と同様な効果が得られるとともに、磁気や高周波電流によるノイズの発生を抑えて確実な自動制御及び重要地点の認識を行うことができる。また、カメラによる撮影にて照明の明るさの差や汚れがあると誘導時の誤差の要因となるが、レーザ光などの収束性が高い光を用いることによれば、誤差の発生を大幅に削減することができる。
【0049】
なお、以上説明した実施形態、及びその変形例において、重要地点を特定する方法として測距センサを用いた走行距離から換算する方法を説明したが、これに限定解釈されるものではなく、外部情報源から直接受け取る経路情報から重要地点を特定することとしてもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明した本発明のキャスク搬送装置の制御方法及びキャスク搬送システムによれば以下の効果を奏する。
請求項1記載の発明によれば、外部情報源を検出する走路検出手段により経路情報を入手するとともに、入手した経路情報に基づいて減速あるいは停止位置を認識してキャスク搬送装置の速度制御を行うキャスク搬送装置の制御方法としているので、キャスク搬送において不安定要素となりうる地点での搬送速度を自らの判断で安全な速度に制御することができ、キャスク搬送の自動化を最適化して実現することができる。また、地震等の異常発生に対してキャスク搬送の緊急停止を実行した場合であっても、走行経路に見合った速度で安定した搬送が常に維持されていることにより、緊急停止命令に対して安全性を確保しつつ適切な対応処理を素早く実施することができる。
【0051】
請求項2記載の発明によれば、傾斜センサ又は加速度センサの検出値が基準値を超えた場合に、エアパレットへのエアの供給を停止するキャスク搬送装置の制御方法としているので、キャスクの昇降を含むキャスク搬送における異常発生を的確に判断してキャスクの安定化を早急に確保することができ、異常発生に対して迅速に対応する信頼性の高いキャスク搬送を実施することができる。そして、キャスク搬送の自動化をより安全な形態で実現することが可能となる。
【0052】
請求項3記載の発明によれば、キャスク搬送において不安定要素となりうる重要地点での搬送速度を制御装置の決定に基づき安全な速度に制御することができ、これによれば高い安全性が要求されるキャスク搬送の自動化を最良な形態で実現することができる。そして、地震等の異常発生に対してキャスク搬送の緊急停止が実行された場合であっても、走行経路に見合った速度で安定した搬送が常に維持されていることにより、緊急停止命令に対して安全性を確保しつつ適切な対応処理を素早く実施することができる。
【0053】
請求項4記載の発明によれば、傾斜センサ又は加速度センサの検出値が基準値を超えた場合、エアパレットへのエアの供給が停止されるので、キャスクの昇降を含むキャスク搬送における異常発生を的確に判断してキャスクの安定化を早急に確保することができ、異常発生に対して迅速に対応する信頼性の高いキャスク搬送システムを実現することができる。
【0054】
請求項5記載の発明によれば、エアパレットにエアを供給する回路中には、エアパレットからのエアの逆流を防止する逆止弁が備えられているので、エアパレットへのエア供給が遮断されるような異常発生時において急激なエア抜けを回避することができ、キャスクが床面に着地する際の衝撃を抑えることでキャスクの破損等を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるキャスク搬送装置の概略構成を説明する側面図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるキャスク搬送装置の制御回路の構成を説明する説明図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるキャスク搬送装置の制御フローを説明する流れ図である。
【図4】従来より一般に用いられているキャスク貯蔵建屋の構成を説明する側面図である。
【図5】キャスク搬送装置の一構成例である搬送車の概略構成を説明する斜視図である。
【符号の説明】
1 キャスク
6 キャスク固定用架台
7 エアパレット
20 誘導磁石(外部情報源)
100 キャスク搬送装置
101 駆動装置
106 操舵機構
107 エア制御機構
110 走行モータ(走行機構)
120 磁気誘導センサ(走路検出手段)
130 自動制御装置(制御装置)
131 記憶装置
132 信号処理装置
133 制御装置
141 測距センサ
142 加速度センサ
143 傾斜センサ
F 床面
Claims (5)
- キャスクをエアパレットにより床面から浮上させて貯蔵建屋内を搬送するキャスク搬送装置の制御方法であって、
前記キャスク搬送装置又はキャスクに装着された走路検出手段により、走行する経路上あるいはこの近傍に設けられた外部情報源から経路情報を入手するとともに、入手した経路情報に基づいて減速あるいは停止位置を認識してキャスク搬送装置の速度制御を行うことを特徴とするキャスク搬送装置の制御方法。 - 請求項1記載のキャスク搬送装置の制御方法において、
前記キャスク搬送装置又は前記キャスクには、傾斜角を検出する傾斜センサ又は加速度を検出する加速度センサが備えてなり、
前記傾斜センサ又は前記加速度センサの検出値が基準値を超えた場合、前記エアパレットに対するエアの供給を停止することを特徴とするキャスク搬送装置の制御方法。 - キャスクをエアパレットにより床面から浮上させて貯蔵建屋内を搬送するキャスク搬送装置を有するキャスク搬送システムであって、
前記貯蔵建屋内には、前記キャスク搬送装置が走行する経路上あるいはこの近傍に外部情報源が備えられ、
前記キャスク搬送装置には、走行における駆動源となる走行機構と走行方向を操作する操舵機構とを有する駆動装置と、前記外部情報源を検出する走路検出手段と、該走路検出手段から出力された経路情報に基づいて走行速度を制御する制御装置とが備えられてなることを特徴とするキャスク搬送システム。 - 請求項3に記載のキャスク搬送システムにおいて、
前記キャスク搬送装置又は前記キャスクには、傾斜角を検出する傾斜センサ又は加速度を検出する加速度センサが備えられてなり、
前記制御装置は、前記傾斜センサ又は前記加速度センサの検出値が基準値を超えた場合に前記エアパレットへのエアの供給を停止することを特徴とするキャスク搬送システム。 - 請求項3又は請求項4に記載のキャスク搬送システムにおいて、
前記エアパレットにエアを供給する回路中には、該エアパレットからのエアの逆流を防止する逆止弁が備えられてなることを特徴とするキャスク搬送システム。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007248068A (ja) * | 2006-03-13 | 2007-09-27 | Hitachi Ltd | 使用済燃料貯蔵用キャスク搬送システム |
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CN112599276A (zh) * | 2020-12-09 | 2021-04-02 | 中广核研究院有限公司 | 核电厂放射性废过滤器滤芯搬运装置 |
-
2002
- 2002-10-08 JP JP2002294907A patent/JP2004132724A/ja not_active Withdrawn
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