JP2004132084A - トンネルボーリングマシンおよびトンネル切羽前方探査方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トンネル切羽前方探査方法に用いる受振器5を、TBM1に連結される後続台車4上に多数搭載する。その際、受振器5は、受振器保持部を備える移動機構に保持し、移動機構により、弾性波の測定時に、後続台車4から、トンネル内面51bに向かって当接させ、測定終了後、そこから離間させて撤収するようにする。移動機構としては、トンネル側側部4aには、アクチュエータとボウスプリング6の組合せによるものを、連結側側部4bには、直動機構7によるものを用いる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネルボーリングマシンおよびトンネル切羽前方探査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トンネル掘削施工において、弾性波を用いたトンネル切羽前方探査方法の技術が利用されてきた。例えば、HSP(Horizontal Seismic Profiling)、TSP(Tunnel Seismic Prediction)などとして知られる技術である。これらは、震源を用いて弾性波を地山中に伝播させ、その反射波を受振器で検知することにより、弾性波を反射させる地質変化が生じる場所などを探査する技術である。図8に、これらの探査方法による測定の概念図を示した。
【0003】
掘削中のトンネル51において、切羽51aの近傍にダイナマイト震源30が、トンネル内面51bに複数の受振器52が、それぞれ設置されている。ダイナマイト震源30の発破により、弾性波31が地山50内に伝播される。ここで、図示矢印は、弾性波31の進行経路を示す。弾性波31は、地山50内の地質構成の変化により、透過、屈折または反射を起こして伝播する。断層や緩みのある岩盤32では弾性波31が反射され、反射波の振動波形が各受振器52までの距離や途中の地質に応じて時差を伴って計測される。ダイナマイト震源30および受振器52…の設置位置情報を加味して、個々の計測波形に周知の解析処理を施すことにより、岩盤32の位置や緩みの度合いなどを推定し、グラフ・図表などを表示することができる。
【0004】
図9は、トンネル51のほぼ中心部における平面視断面図であり、HSPにおけるダイナマイト震源30と受振器52…の設置例を示している。ダイナマイト震源30は、切羽51aの中央前方に設けられた発破孔33に埋め込まれている。受振器52…は、トンネル内面51bにトンネル掘進方向の左右に所定間隔をおいて埋め込まれた受振器ボルト34に固定されている。受振器52…の設置数は、片側で10〜20個が一般的である。一例として、切羽51aから20m程度の位置から3mおきに片側20個の受振器52を配置することが考えられるが、この場合、受振器52…は、切羽51aから坑口側の20m〜77mまでに設置される。
【0005】
このような切羽前方探査方法に関連する技術として、
特許文献1には、掘削機本体のリアグリッパ内に反射波受信機を設けた装置が記載されている。
特許文献2には、トンネルボーリングマシンのメイングリッパおよび後続台車に4個の加速度計が配設された装置と、トンネルボーリングマシンの掘削用ドリルによる振動を弾性波として利用する技術が記載されている。
特許文献3には、トンネル穿孔機械のドリル・ヘッド・構造のフロントプレートに、音響(地震)の信号を送受信する送信機装置と受信機装置とを設けた装置が記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−53390号公報(段落番号<0048>、<0052>、図3)
【特許文献2】
特開2000−170478号公報(段落番号<0017>、<0021〜24>、<0030>、図1−2)
【特許文献3】
特開平7−280946号公報(段落番号<0022>、<0025>、図1−2)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術に係るトンネル切羽前方探査方法には、以下の問題があった。
受振器52…を図9のように設置する場合、トンネル内面51bに受振器ボルト34を打ち込み、それぞれに受振器52を設置して信号ケーブルで結線してセットする必要がある。
NATM工法を始めとする従来のトンネル掘削工法のように切羽後方の既掘削断面内に十分なスペースがある場合、設置作業自体には支障はないものの、多数の受振器52を設置し、測定が終了したら撤収しなければならず、かなりの時間がかかるという問題があった。
また、トンネルボーリングマシン(以下、TBMと略称する)工法の場合、NATM工法などとは異なり、TBMを駆動するための後続台車が、通常は後方100m程度まで連結され、それらがトンネル断面積内でも広い面積を占有するため、受振器52を設置する作業空間が、30cm〜100cm程度と狭くなっていた。このため、トンネルの下側に後続台車の車輪を避けながら45°などの角度で削孔し、そこにボルトを埋め込んで固定する、といった容易ならざる作業が行われることもある。その結果、作業効率が劣るものとなり、作業時間がきわめて長くなるという問題があった。その場合、配置方向をトンネル左右壁面で相互に合わせておく必要がある3成分受振器は使用することが困難であった。
3成分受振器を用いる場合には、トンネル壁面に水平孔を掘削し、鉄筋棒を挿入してモルタルで固定して、その先端に受振器を固定するというさらに時間を要する作業が必要になるという問題があった。
また、トンネル切羽前方探査は、トンネル施工中は頻繁に行う必要があるので、工期を短縮して経済的な施工を行うために、探査時間を短縮することが強く求められていた。
【0008】
特許文献1に記載の技術では、リアグリッパに反射波受信機を設けることで、受信機の設置作業を容易化している。しかしながら、リアグリッパは掘削機本体に設けられ、切羽の比較的近傍に位置しており、しかも多数の受信機を、間隔を置いて配置することができないから、図9に示すような配置をとることができない。そのため、探査精度が向上できないという問題があった。
特許文献2に記載の技術では、従来のTSP法では振動計を複数個の設置する作業が煩雑であることに鑑み、加速度計をTBMに設置し、その少なくとも2つの出力から弾性波速度を演算できるようにしている。しかしながら、加速度計を簡易的に設置するための構成については一切開示がなく、加速度計を多数設置する場合に簡易的かつ迅速な探査ができるとは認められない。すなわち、振動計を多数設置する場合に好都合な方法ではないという問題があった。
特許文献3に記載の技術では、フロントプレートに受信機装置を設けるから、受信機装置の設置は容易であるが、図9に示すような配置をとることができないので、探査精度を向上できないという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、複数の受振器の設置と撤収が容易であって、探査精度と作業効率とを向上することができるトンネルボーリングマシンおよびトンネル切羽前方探査方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、先端に掘削手段を有するトンネル掘削機と、該トンネル掘削機を駆動するためにその後方に連結された複数の後続台車とを備えるトンネルボーリングマシンであって、震源により地山内に伝播される弾性波を用いてトンネル切羽前方探査を行うために、弾性波を検出して信号を発生する受振器と、該受振器が固定された受振器保持部と、該受振器保持部を移動させることにより、前記受振器をトンネル内面に対して選択的に当接または離間する移動機構とを、前記後続台車に備える。
この発明によれば、トンネルの掘進とともに移動する後続台車から移動機構により受振器をトンネル内面に設置することができるので、受振器の切羽からの位置および配設ピッチを常に適切に保つことができ、しかも、人手によらずに迅速に受振器をトンネル内面に設置し、トンネル内面から離間させて撤収することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のトンネルボーリングマシンにおいて、前記受振器が複数であって、前記後続台車の連結方向においてトンネル切羽前方探査が可能な配置間隔を設けて前記複数の後続台車に配置された構成とする。
この発明によれば、複数の受振器が、あらかじめトンネル切羽前方探査が可能な配置間隔で設けて複数の後続台車に配置されているので、受振器を多数必要とするトンネル切羽前方探査であっても、それぞれの受振器を後続台車からトンネル内面に移動することにより、ただちにトンネル切羽探査のための受振器の配置が行える。
【0012】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載のトンネルボーリングマシンにおいて、前記受振器保持部が、前記後続台車の側部から前記トンネル内面に向けて、弓状に張り出し可能に保持された弾性可撓体であり、かつその長手方向の一端が前記後続台車の側部に固定されたものであり、前記受振器が、前記弾性可撓体の長手方向所定位置のトンネル内面側に固定され、前記移動機構が、前記後続台車の側部に設けられ、前記弾性可撓体を後続台車側から押圧して、該弾性可撓体をトンネル内面側に撓ませつつ移動させて、該弾性可撓体の弾性力を用いることにより、トンネル内面に対して前記受振器を当接または離間させる構成とする。
この発明によれば、弾性可撓体および移動機構が後続台車の側部に設けられているので、後続台車の利用空間を損なうことなく受振器を保持することができ、受振器は弾性可撓体によりトンネル内面に当接されるので、適切な押圧力を付勢して当接させることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項1または2に記載のトンネルボーリングマシンにおいて、前記移動機構が、前記複数の後続台車を連結する台車連結部近傍に設けられ、前記後続台車側から前記トンネル内面側に向けて伸縮可能な可動部材を備え、該可動部材の先端に前記受振器保持部が設けられた構成とする。
この発明によれば、台車連結部近傍に受振器と移動機構を設けるので、後続台車内の空間を有効利用しつつ、受振器を保持することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれかに記載のトンネルボーリングマシンにおいて、前記受振器が、前記後続台車からの振動を低減する防振部材を介して前記受振器保持部に固定された構成とする。
この発明によれば、受振器が雑振動源となる後続台車本体から防振されるので、測定精度を向上することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明では、請求項2〜5のいずれかに記載のトンネルボーリングマシンにおいて、前記複数の受振器を前記トンネル内面に対して選択的に当接または離間させるべく前記移動機構を遠隔制御する移動機構制御手段と、前記複数の受振器が電気的に接続され、該受振器が検出する信号データを収集するデータ収録手段と、該データ収録手段により収集された信号データを解析するデータ解析手段とが、前記後続台車上に搭載された構成とする。
この発明によれば、受振器の設置と撤収とを後続台車上から制御し、受振器からの信号を収集し、データ解析することができるので、後続台車の移動とともにトンネル切羽前方探査を行うことができる。
【0016】
請求項7に記載の発明では、先端に掘削手段を有するトンネル掘削機と、該トンネル掘削機を駆動するためにその後方に連結された複数の後続台車とを備えるトンネルボーリングマシンによるトンネル掘削施工に用いるための、弾性波によるトンネル切羽前方探査方法であって、前記後続台車を停車させて、該後続台車に設けられた移動機構に受振器保持部を介して固定された、弾性波を検出して信号を発生する複数の受振器を、前記移動機構により移動させてトンネル内面に当接させる受振器設置工程を行い、続いて、トンネル坑内の所定位置を加振して弾性波を検出する弾性波計測工程を行い、その後、前記後続台車がトンネル掘進方向に移動できるように、前記移動機構により前記複数の受振器をトンネル内面から離間させる受振器離間工程を行うことを特徴とするトンネル切羽前方探査方法とする。
この発明によれば、複数の受振器を、受振器設置工程と受振器離間工程とを人手によらず移動機構により行うことができるので、探査精度および作業効率を向上することができる。
【0017】
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載のトンネル切羽前方探査方法において、トンネルの掘削のために前記後続台車が停車するときに、前記受振器設置工程、前記弾性波計測工程および前記受振器離間工程を行い、トンネルボーリングマシンを前進させ、次にトンネル掘削を行うために前記後続台車を停車させてから、これらの工程を繰り返すことにより、トンネル掘削施工の進行に合わせて時系列の探査データを取得し、それらの解析結果を前記後続台車に搭載した表示手段に表示することを特徴とするトンネル切羽前方探査方法とする。
この発明によれば、トンネル掘進に合わせて探査を繰り返し、取得した時系列の探査データを表示することにより、刻々と変化するトンネル切羽前方の地質変化を容易に把握することができるとともに、トンネル掘進によって次第に接近するトンネル前方の不良地山の情報が近づくにつれて探査精度が向上する。
【0018】
請求項9に記載の発明では、請求項8に記載のトンネル切羽前方探査方法において、前記弾性波計測工程を、前記掘削手段による掘削に伴う加振により形成された弾性波を用いて行うことを特徴とするトンネル切羽前方探査方法とする。
この発明によれば、トンネル掘削作業時に弾性波を発生させて探査を行うので、弾性波を発生させるために震源を設置するなどの手間が省けるとともに、トンネル掘削と並行してトンネル切羽前方探査を行うことができる。
【0019】
請求項10に記載の発明では、請求項9に記載のトンネル切羽前方探査方法において、前記弾性波計測工程を、前記後続台車停止中にトンネル掘削が行われる間、所定サンプリング間隔で反復して行い、それによりトンネル掘進中の時系列の探査データの取得し、該探査データをそれぞれ解析し、それぞれの解析結果を、前記後続台車に搭載した前記表示手段に前記所定サンプリング間隔とほぼ同一の時間間隔で、順次表示することを特徴とするトンネル切羽前方探査方法とする。
この発明によれば、トンネルの掘削が継続する間、掘削に伴う加振により形成された弾性波により、所定サンプリング間隔で探査データの取得と解析を行い、その結果をほぼ同じ時間間隔で時系列にしたがって表示するから、トンネル掘削中におけるトンネル切羽前方の様子を、実時間とほぼ等しい、いわゆるリアルタイムで表示することが可能となる。そして、トンネル掘進によって次第に接近するトンネル前方の不良地山の情報が近づくにつれて探査精度が向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。なお、すべての図面を通して、異なる実施形態であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付すことにより、適宜説明を省略する。
【0021】
本発明の実施の形態に係るTBM1(トンネルボーリングマシン)について説明する。
図1(a)、(b)は、本実施形態に係るTBM1の概略構成を示す平面視および正面視の部分断面説明図である。
【0022】
TBM1は、トンネル掘削機2と複数の後続台車4とからなる。
トンネル掘削機2は、カッタヘッド2a(掘削手段)、ヘッド駆動部2b、スライドジャッキ2c、2cおよびグリッパ2d、2dを備える。
カッタヘッド2aは、先端に切羽51aと対向する回転面板を備え、その回転面板に地山50を掘削するために前方に突出する複数のカッタ工具と、掘削ずりをトンネル掘削機2内部に取り込む開口とを備えている。そして、掘削断面内で回転しながら、掘進方向に推進されることにより全面掘削が可能とされている。
ヘッド駆動部2bは、カッタヘッド2aを回転駆動するモータと適宜の駆動伝達機構とを備え、カッタヘッド2aを回転可能に保持している。
【0023】
スライドジャッキ2cは、ヘッド駆動部2bの後方(坑口側)からトンネル内面51bの方向に向かう斜め方向に延ばされた油圧ジャッキによる推進機構である。スライドジャッキ2cの伸長方向は、ヘッド駆動部2bとの取付部に設けられた不図示の油圧ジャッキなどにより可変とされている。
グリッパ2dは、トンネル内面51bに押着されてスライドジャッキ2cが伸長されたときにトンネル内面51bに反力をとるもので、トンネル内面51b側には適宜の押着形状が設けられている。
【0024】
なお、トンネル掘削機2は、全面掘削が可能であれば、周知のどのような形式の装置でもよい。さらに、図示はしないが、切羽51aを削孔する削孔機、支保工エレクタおよびずり搬出手段などの周知の機構は当然に備えている。
【0025】
後続台車4は、連結部8、直動機構7(移動機構)、ボウスプリング6(弾性可撓体)および受振器5などを備え、トンネル51の下半部に水平に設けられた区画板9(図2参照)上に設けられたレール9a上を牽引走行可能とされた台車である。以下、図2〜4を参照してより詳しく説明する。図2(a)は、後続台車4の概略構成を説明するために編成の一部を拡大した正面視説明図である。図2(b)、(c)は、それぞれ図2(a)のA−A断面図およびB−B断面図である。図3は、ボウスプリング6および受振器5の構成および取付の概略を説明するための図2におけるC−C断面図である。図4(a)、(b)は、受振器5の構成および取付の詳細を説明するための平面視および正面視の説明図である。
【0026】
後続台車4のトンネル幅方向断面は、中央に作業台車14が走行可能な矩形の空間が形成されて、その左右に台車室4d、4dが設けられ、それぞれの上部が台車上面4cにより結合されている。台車上面4cは、トンネルの上半の中間部に位置し、その上に適宜の装置や配管を配置するスペースが設けられている。また、作業者が歩いて天井側のトンネル内面51bへの作業ができるようになっている。台車上面4cの左右には、手すり10、10が設けられている。
【0027】
台車室4d、4dの下面には、それぞれ区画板9の上面に固定されたレール9a上を転動する車輪4e…が設けられている。このため、後続台車4のトンネル側側部4a、4aは、後続台車4が移動しても、トンネル内面51bと所定距離を隔てて対向するような位置関係を保つようになっている。
連結部8は、台車上面4cの中央に設けられ、隣接する後続台車4を機械的・電気的に連結している。
【0028】
直動機構7は、ロッド7a(可動部材)が一軸方向に伸縮して往復移動可能な機構であり、例えば、油圧ピストンや電動アクチュエータなどの機構が採用できる。直動機構7は、連結側側部4bに2台配置され、トンネル断面のほぼ中心を通る水平方向を、ロッド7aの先端が、トンネル側側部4aからトンネル内面51bまでそれぞれ伸縮するようになっている。
ロッド7a、7aの先端(受振器保持部)には、防振ゴム16(防振部材)を介して受振器5がそれぞれ固定されている。その固定方法に関しては、後述するボウスプリング6の場合と同様なのでここでは説明を省略する。
防振ゴム16は、適宜のゴム硬度と振動減衰特性を備える合成ゴムであれば、どのような材質でもよい。
【0029】
ボウスプリング6は、図1(a)に示したように、トンネル側側部4aから平面視で凸の弓状に張り出し、凸部のほぼ頂点に設けられた受振器保持部6a(図3(a)参照)に受振器5が配置され、トンネル内面51bに対して受振器5を押圧可能とされている弾性可撓体である。その取付高さは、直動機構7の高さとそろえられている。ボウスプリング6としては、例えば、鋼製、合成樹脂、合成ゴムの板ばねや、それら材料を適宜複合させた板ばねを採用することができる。
【0030】
図3(a)に示したのは、ボウスプリング6が、受振器5をトンネル内面51bに押圧している様子である。なお、ほぼ対称なボウスプリング6の右側半分の図示は省略している。
ボウスプリング6は、一方の端部がトンネル側側部4aに対して、例えばボルト・ナットなどの固定部材17により固定されている。不図示の他方の端部は、トンネル側側部4aに設けられた、例えばローラなどのスライド支承により、トンネル側側部4aに沿って長手方向にスライド可能に支持されている。受振器5は、防振ゴム16を介してトンネル内面51b側に設置されている。
【0031】
ボウスプリング6の固定端と受振器5の長手方向の中間位置には、ピン支点を備える回動係止部15dが設けられ、トンネル側側部4aに固定されたアクチュエータ15(移動機構)と結合されている。
アクチュエータ15は、シリンダ15aとアーム15bとを備える。
シリンダ15aは、トンネル側側部4aに沿って、ボウスプリング6の弓形を含む平面内に設けられた1軸方向の伸縮機構であり、例えば、油圧ピストン、電動アクチュエータなどが採用できる。
アーム15bは、シリンダ15aの可動側先端の回動支点15cと、回動係止部15dとにそれぞれ、回動可能に結合されているロッド部材である。
【0032】
受振器5は、図4に示したように、受振センサ5a、係止板5b、ケース5cおよび不図示の信号線ケーブルからなる。
受振センサ5aは、トンネル切羽前方探査に用いる周知の振動センサであり、3軸方向の加速度または速度をそれぞれ検出し、信号ケーブルを介して電気信号として出力するセンサである。所定の感度を備えていれば、周知のどのような加速度センサ、速度センサを採用してもよい。加速度センサは鋭い応答特性を備える利点がある。また、速度センサは、雑振動が多い場合などでも安定した測定ができるという利点がある。
【0033】
係止板5bは、表面側でトンネル内面51bと当接するために、表面に2条の直線状の凸部5eを設けた矩形板であり、裏面側に受振センサ5aを配設している。このため、受振センサ5aは、トンネル内面51bに直接当たらないように係止板5bによって保護されている。図4(a)に示したように、凸部5eは、ボウスプリング6の長手方向と平行に配置され、図2(c)に示したように、凸部5eのみがトンネル内面51bに当接するように構成されている。係止板5bは、受振センサ5aの応答特性に影響しないような質量と剛性を有していれば、どのような材質でもよく、例えば鋼板や合成樹脂板などが採用できる。
係止板5bの形状・大きさは、トンネル内面51bへ安定して当接させることができれば、どのような形状であってもよく、当接する部分が凸部5eのような形状に限定されるものでもない。例えば、係止板5bから凸部5eを取り去った板状として、その外周の対辺で当接させてもよい。本実施形態のように凸部5eを設けておけば、安定した当接が可能となる。また、凸部5eや、矩形版の対辺など、当接部を平行2直線状に設けるようにすれば、円筒面であるトンネル内面51bに押圧することで、受振センサ5aの配置方向をトンネル51の延設方向に確実に合わせることができ、複数の受振センサ5aの測定軸方向を揃えやすくなり、その結果、探査精度を向上することができるという利点がある。
【0034】
ケース5cは、係止板5bの裏側に受振センサ5aを取り囲むように固定された筒体である。その開口部の周辺には、固定用孔を設けたフランジ状の取付部5dが設けられている。また、図示を省略しているが、ケース5cの筒体側面には受振センサ5aの信号ケーブルを通すケーブル孔が設けられている。
【0035】
図4(b)に、受振器5とボウスプリング6の取付部の構成を示した。ボウスプリング6のトンネル内面51b側(図示上側)に防振ゴム16が載せられ、その上に受振器5が取付部5dを下に向けて載せられている。取付部5dに設けられた取付孔には軟性の合成ゴムで製作されたブッシング20が挿通され、その中に、ボルト18が挿通され、ブッシング20を挟みつつ、ナット19が締めこまれている。すなわち、ボルト18とナット19とが、ブッシング20を介して取付部5dおよびボウスプリング6を共締め固定している。このため、受振器5とボウスプリング6とは、防振ゴム16およびブッシング20によって、防振支持されている。防振ゴム16およびブッシング20のゴム硬度やゴム材料を適宜に設定することにより、測定に必要な振動数範囲において、受振器5とボウスプリング6とを振動絶縁することが可能である。
【0036】
なお、防振部材としては、防振ゴム16以外の部材を採用してもよいことは言うまでもない。例えば、ワイヤーロープをコイル状に巻いて弾性支持体を構成したワイヤーロープ防振器などを好適に用いることができる。ワイヤーロープ防振器は、ワイヤーの内部摩擦による振動減衰特性や、変位量が大きく取れることによる衝撃吸収性などの優れた性能を有している。
また、受振器5を直動機構7に取り付ける場合もほぼ同様にして防振取り付けすることができる。
【0037】
受振器5は、トンネル幅方向の左右にそれぞれ連結側側部4bに1個、トンネル側側部4aに2個設けられており(図1(a)、図2(a)参照)、それぞれトンネル延設方向に所定距離を隔てて配置されている。例えば、3m程度の等間隔を空けて配置されている。また、トンネル幅方向の左右の対応する受振器5、5は、切羽51aから同じ距離にあり、互いに表裏の関係にある。このようにすれば、データ解析が簡単となり効率よい計算処理が行える。
ただし、実際の配置位置をデータ解析時に用いれば、配置間隔は等間隔に限るものではなく、さらに、互いに表裏の関係になくてもよい。
【0038】
また、受振器5…の個数は、TBM1全体では、それぞれに後続台車4の台数をかけた個数が搭載されている。例えば、後続台車4が8台ならば48個である。ただし、HSPなどでは、一般に受振器の個数は20〜40個であるから、必要な個数を満足していれば、必ずしもすべての後続台車4に受振器5を搭載する必要はない。
【0039】
また受振器5の移動機構である直動機構7…、アクチュエータ15…は、それぞれを独立に駆動する駆動部21a、21b(図5参照)に接続されている。駆動部21a、21bは、それぞれトンネル幅方向の左側、右側に設けられた受振器5の駆動を分担している。
【0040】
台車室4dは、種々の用途に用いられ、例えば、図2(a)に示したように、泥水タンクなどの作業機器11や、トンネル切羽前方探査を行うための波形収録器12、コンピュータ13、モニタ13aなどを備えている。この他にも、例えば、吹付プラント、ポンプユニット、油圧ポンプ、油水のタンク類、コンプレッサ、バキュームポンプ、集塵機、トランス、電気制御ユニット、資材類などを各後続台車4に分けて搭載している。それらは、必要に応じて、管路、電気ケーブルによって結合され、台車上面4c上や連結部8中などに配設または配線されている。
【0041】
次に、受振器5をトンネル内面51bに当接または離間させる動作について説明する。
受振器5の当接と離間は、アクチュエータ15を駆動することにより行う。
受振器5をトンネル内面51bに当接させる場合、図3(a)に示したように、アクチュエータ15を伸長させて、回動支点15cを回動係止部15d側に移動させる。すると、アーム15bがトンネル側側部4aに対して次第に大きな角度で交差するようになり、ボウスプリング6が回動係止部15dを介してトンネル内面51b側に押圧される。ボウスプリング6は、長手方向の他端がスライド移動可能とされているので、次第に弓状の張り出しが大きくなり、やがて受振器5がトンネル内面51bに当接する。ボウスプリング6により所定の弾性力が防振ゴム16に付勢される位置で、アクチュエータ15の動きを止めて、その位置を固定する。
【0042】
受振器5をトンネル内面51bから離間させる場合は、図3(b)に示したように、アクチュエータ15を後退させる。すると、回動支点15cと回動係止部15dとの水平方向距離が大きくなるので、ボウスプリング6がトンネル側側部4a側に引き戻され、その弾性力により長手方向の他端がスライドして、弓状の張り出しを減少させるように移動する。このようにして、受振器5がトンネル内面51bから離間する。
【0043】
次に、本実施形態に係るTBM1を用いて、弾性波によるトンネル切羽前方探査(以下、探査と略称する)を行う方法について説明する。本実施形態では、弾性波によるトンネル切羽前方探査方法(以下、探査方法と略称する)として、周知のHSPを用いる。そのため、HSP自体の説明は、必要最小限に留め、本発明の特徴を中心に説明する。
【0044】
図5は、本実施形態に係る探査方法を行うための測定システムの概略ブロック図である。
探査の各工程はコンピュータ13によって制御される。
コンピュータ13には、信号ケーブル102、103により、それぞれ波形収録器12、移動機構制御手段22が接続されている。
【0045】
波形収録器12は、受振器5…が出力する信号を、増幅し、必要に応じて適宜フィルタを通した後、波形をサンプリングして、デジタル信号化する計測装置である。信号ケーブル100a、100bを通してトンネル延設方向の左、右側の受振器5…の信号出力が入力されると、それらをデジタル信号としてコンピュータ13に出力する。
【0046】
移動機構制御手段22は、受振器5…それぞれを移動させる移動機構を選択的に動作させる動作信号と、駆動力を供給する駆動制御装置であり、信号ケーブル101により駆動部21a、21bが接続され、駆動部21a、21bは、トンネル延設方向それぞれ左、右側の受振器5…を移動するそれぞれの移動機構に接続されている。
【0047】
またコンピュータ13には、信号ケーブル104、105により、それぞれ、表示手段であるプリンタ24、モニタ13aが接続されている。コンピュータ13はパソコンなどの汎用コンピュータを採用することができる。コンピュータ13は、例えばハードディスク、DVD、MOなどの内蔵式またはリムーバル式の記憶部13bを備え、波形収録器12から入力される信号データ、解析結果や解析結果の表示データを記憶できる。また、図示していないが、パソコンに一般的に接続される入出力装置は当然に備えているものである。
リムーバル式のDVD、MOなどのリムーバル式の記憶部を備えれば、それらの記憶媒体に波形データをいったん記憶させ、波形解析処理はさらに別のコンピュータで行って、その電子出力結果をコンピュータ13に再読み込みさせるなどの分散処理も可能である。
【0048】
本測定システムでは、コンピュータ13にロードされた適宜のプログラムにより、任意の受振器5をトンネル内面51bに当接させて、その位置での振動波形を波形収録器12に収録することができ、測定終了後、受振器5をトンネル内面51bから離間させることができる。そして、デジタル信号化された各受振器5の振動波形をHSP手法に基づいて解析し、トンネル切羽前方の軟弱地質層などの位置、分布をモニタ13aや、プリンタ24に出力して、図示表示することができる。
【0049】
TBM1は、以上に説明した測定システムを後続台車4に搭載している。そして、トンネル51を所定距離掘進するごとに探査を行う。その結果、例えば、前方に軟弱地盤などを発見した場合、軟弱地盤へのグラウト注入補強など、必要な対策を行いながら、次の掘進を行う。
本探査方法は、受振器設置工程、弾性波計測工程および受振器離間工程からなる。
【0050】
受振器設置工程では、受振器5…を、係止板5bを介してトンネル内面51bに一斉に当接させて、測定位置に設置する。このときの当接力は、受振器5の感度や振動絶縁効果などを考慮して適宜に決めればよい。検出すべき弾性波は、例えば波長10mといった比較的長波長を有するものなので、受振器5は、トンネル内面51bから離れない程度の力で押圧していればよい。
【0051】
また、設置する受振器5は、すべての受振器5を用いてもよいし、一部だけを用いてもよい。すべてを用いる場合、測定ノイズが多数の受振器5により平均化される効果が期待でき測定精度を向上させることができる。一方、一部を用いる場合は、データ処理に係る時間が短縮されるため、測定時間を短縮できるという利点がある。
一部を当接させる場合、切羽51aからの距離によって、例えば、切羽51a側の先頭部分と後方部分とを使い分けてもよいし、間引き使用して受振器5の配置ピッチを広げて使用してもよい。
【0052】
弾性波計測工程では、適宜の手段により切羽51aを衝撃加振し、それにより地山50内に伝播する弾性波の振動を受振器5…で検出する。そして、図5に示した測定システムにより、データ解析を行って、モニタ13aやプリンタ24に解析結果を表示する。表示は、グラフや図表などの静止画で行ってもよいし、モニタ13aでは、動画グラフィック表示を採用してもよい。
衝撃加振は、従来行われている種々の手段を用いることができる。例えば、ダイナマイト震源、剛球やハンマによる打撃が採用できる。
【0053】
受振器離間工程では、弾性波計測の終了を検知後、受振器5…を一斉にトンネル内面51bから離間させる。そして、後続台車4が移動可能となるようにする。
以上で、1回の探査を終了し、トンネルの掘削とそれに伴うTBM1の前進を開始する。
【0054】
このような本探査方法によれば、トンネル内面51bに対して削孔、モルタル充填などの受振器設置作業を行うことなく、人手を要しない移動機構により多数の受振器5を一斉に設置することができ、作業性を著しく向上させることができる。また、受振器5の設置位置が後続台車4に対して固定されているから、設置誤差、設置ミスなどによる測定精度の低下を防止することができる。
しかも、その制御、解析などを、後続台車4に作業員が乗り込んだまま簡便に操作することができるから、後続台車4の移動とともに、この探査を繰り返しても効率よく作業することができる。
【0055】
なお、加振は、上記の衝撃加振手段によらず、カッタヘッド2aや掘削ドリルを稼動して、それらにより発生する弾性波を用いてもよい。その場合、カッタヘッド2aや掘削ドリルを急稼動急停止して、衝撃的な加振を行うことができる。さらには、通常の掘削作業で生じる弾性波をランダム加振震源とみなして信号解析を行うことも可能である。これらのようにすれば、掘削作業と並行して、弾性波計測工程を行うことができ、作業効率を向上できるという利点がある。
【0056】
また、本実施形態に係る探査方法の変形例として、上記カッタヘッド2aや掘削ドリルによる加振を利用し、後続台車4が停車するたびに、上記の受振器設置工程、弾性波計測工程および受振器離間工程を繰り返し、それらの時系列の解析結果を記憶する探査方法とすることもできる。
このような時系列の解析結果は、時系列グラフ化したり、モニタ13a上に動画表示したり、あるいは重ね合わせ表示したりして、一括表示処理することが可能である。そのようにすれば、時々刻々変化する地山50の様子を、容易に把握できるので、地盤補強などのすばやい対策の立案が可能となる。また、このように解析情報を増やすことにより、個々の測定・解析誤差があったとしても、例えばその前後の解析結果から総合的に判断することが可能となるから、信頼性の高い探査が可能となる。
【0057】
さらに、探査方法の別の変形例としては、上記変形例において、弾性波計測工程を、後続台車4が停止中にトンネル掘削が続く間に、所定サンプリング間隔で反復して行うことにより、時系列の探査データを取得する。そして、それぞれの探査データを取得するごとに、探査データの解析を行って、所定のサンプリング間隔ごとの時系列解析結果を得るようにする。その結果は、記憶するとともに、所定サンプリング間隔とほぼ同じ時間間隔で、モニタ13a上に、例えば視認しやすいマップ状などの画像により順次表示する。そのためにコンピュータ13は、演算能力を適宜のものとして、解析時間が所定サンプリング間隔以下となるようにしておく。
このようにすれば、モニタ13a上で、サンプリング間隔程度の時間遅れで、いわゆるリアルタイムに、時々刻々変化する地山50の様子を連続的に表示することができる。例えば、動画にしたり、実画像に似せたバーチャル画像化したり、あるいはレーダー画像風にしたりして分かりやすく表示することができる。その結果、地山50の様子がさらに容易に把握でき、迅速な掘削施工の判断が可能となる。
【0058】
次に、本実施形態の第1変形例について説明する。
図6は、本実施形態の第1変形例に係る移動機構の配置を説明するためのトンネル幅方向断面を示す概略説明図である。図6(a)、(b)は、それぞれ受振器5の当接時、離間時の様子を示す。
本変形例では、移動機構として、図3と全く同じ構成を備えるが、ボウスプリング6、アクチュエータ15の配置方向を、それぞれの長手方向が鉛直方向となるようにした。受振器5の当接位置は、図3と同様、トンネル断面中心の水平横方向に当たる位置である。
このような配置によれば、移動機構が縦長に配置されるので、一つの後続台車4内に、比較的多数の受振器5を設置することができる。したがって、後続台車4の編成が短い場合でも、測定精度を向上させるのに必要な多数の受振器5を設置することができるという利点がある。
【0059】
次に、本実施形態に係る第2変形例について説明する。
図7は、本実施形態の第2変形例に係る移動機構の概略構成を説明するための、平面視断面説明図である。図7(a)、(b)は、それぞれ受振器5の当接時、離間時の様子を示す。
【0060】
本変形例では、ボウスプリング6およびアクチュエータ15を用いる代わりに、移動機構として、平行移動機構25を用いる。平行移動機構25は、シリンダ15a、緩衝器28、平行リンク支持台27および平行リンク26からなり、平行リンク26の一部である保持部26a(受振器保持部)に防振ゴム16を介して受振器5を固定する。
【0061】
シリンダ15aは、トンネル側側部4aに水平方向に向けて伸長可能に固定されている。
平行リンク26は、保持部26a、バー26b、26c、26cからなり、それらが互いにピン支点で結合されて平行四辺形リンクを構成している。バー26c、26cの中間部には、トンネル側側部4aに固定された平行リンク支持台27に回動可能に係止される回動支点26a、26aが設けられている。そして、保持部26aがトンネル側側部4aおよびトンネル内面51bと平行を保ったまま、トンネル内面51bに当接し、また離間する移動が可能となっている。
緩衝器28は、ばねと振動減衰機構を内蔵した継手部材であり、シリンダ15aの可動側先端と、平行リンク26の一部をなすバー26bとを接合している。
【0062】
平行移動機構25の動作は、シリンダ15aを図示矢印方向に伸長・後退させることにより行う。
図7(a)に示したようにシリンダ15aを伸長させると、緩衝器28を介して、バー26bが移動され、保持部26aが円弧軌道を描いてトンネル内面51b側に移動される。そのため、受振器5がトンネル内面51bに当接される。緩衝器28を備えるため、受振器5が当接する際の衝撃は吸収されるとともに、シリンダ15aを所定位置で停止することにより、適宜の押圧力で押圧保持される。
図7(b)に示したようにシリンダ15aを後退させると、受振器5はトンネル内面51bから離間される。
このような平行移動機構25によれば、受振器5をソフトに当接することができるから、当接時の衝撃で受振器5を破損するといった事故を低減することができる利点がある。
【0063】
なお、上記の説明では、ボウスプリング6は、トンネル側側部4aに対して、一端が固定され、他端がスライド自在に支持されているとして説明した。そのようにすれば、受振器5を安定的に保持することができるが、ボウスプリング6の剛性によっては、図3、6に実線で図示されている通りに、受振器5を保持している部分より他端側の部材を割愛して受振器5を片持ち状に保持してもよい。
【0064】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明のトンネルボーリングマシンおよびトンネル切羽前方探査方法によれば、複数の受振器の設置と撤収が容易であって、探査精度と作業効率とを向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るトンネルボーリングマシンの概略構成を示す平面視および正面視の部分断面説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る後続台車の概略構成を説明するための正面図およびトンネル幅方向の断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る受振器とその移動機構を説明するための概略説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る受振器の構成を説明するための平面説明図および正面説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る探査方法を行うための測定システムの概略ブロック図である。
【図6】本発明の実施形態の第1変形例に係る移動機構の配置を説明するためのトンネル幅方向断面の概略説明図である。
【図7】本発明の実施形態の第2変形例に係る移動機構の概略構成を説明するための平面視断面説明図である。
【図8】従来の弾性波を用いたトンネル切羽前方探査方法による測定の概念図である。
【図9】従来の弾性波を用いたトンネル切羽前方探査方法におけるダイナマイト震源と受振器の配置例を示すトンネルの平面視断面図である。
【符号の説明】
1 TBM(トンネルボーリングマシン)
2 トンネル掘削機
2a カッタヘッド(掘削手段)
4 後続台車
4a トンネル側側部
4b 連結側側部
5 受振器
5a 受振センサ
5b 係止板
6 ボウスプリング(弾性可撓体)
6a 受振器保持部
7 直動機構(移動機構)
7a ロッド(可動部材)
8 連結部
12 波形収録器(データ収録手段)
13 コンピュータ(データ解析手段)
13a モニタ(表示手段)
13b 記憶部
15 アクチュエータ(移動機構)
16 防振ゴム(防振部材)
22 移動機構制御手段
24 プリンタ(表示手段)
25 平行移動機構(移動機構)
26a 保持部(受振器保持部)
51b トンネル内面
Claims (10)
- 先端に掘削手段を有するトンネル掘削機と、該トンネル掘削機を駆動するためにその後方に連結された複数の後続台車とを備えるトンネルボーリングマシンであって、
震源により地山内に伝播される弾性波を用いてトンネル切羽前方探査を行うために、弾性波を検出して信号を発生する受振器と、
該受振器が固定された受振器保持部と、
該受振器保持部を移動させることにより、前記受振器をトンネル内面に対して選択的に当接または離間する移動機構とを、
前記後続台車に備えることを特徴とするトンネルボーリングマシン。 - 請求項1に記載のトンネルボーリングマシンにおいて、
前記受振器が複数であって、前記後続台車の連結方向においてトンネル切羽前方探査が可能な配置間隔を設けて前記複数の後続台車に配置されたことを特徴とするトンネルボーリングマシン。 - 請求項1または2に記載のトンネルボーリングマシンにおいて、
前記受振器保持部が、前記後続台車の側部から前記トンネル内面に向けて、弓状に張り出し可能に保持された弾性可撓体であり、かつその長手方向の一端が前記後続台車の側部に固定されたものであり、
前記受振器が、前記弾性可撓体の長手方向所定位置のトンネル内面側に固定され、
前記移動機構が、前記後続台車の側部に設けられ、前記弾性可撓体を後続台車側から押圧して、該弾性可撓体をトンネル内面側に撓ませつつ移動させて、該弾性可撓体の弾性力を用いることにより、トンネル内面に対して前記受振器を当接または離間させる構成とされたことを特徴とするトンネルボーリングマシン。 - 請求項1または2に記載のトンネルボーリングマシンにおいて、
前記移動機構が、前記複数の後続台車を連結する台車連結部近傍に設けられ、前記後続台車側から前記トンネル内面側に向けて伸縮可能な可動部材を備え、
該可動部材の先端に前記受振器保持部が設けられたことを特徴とするトンネルボーリングマシン。 - 請求項1〜4のいずれかに記載のトンネルボーリングマシンにおいて、
前記受振器が、前記後続台車からの振動を低減する防振部材を介して前記受振器保持部に固定されたことを特徴とするトンネルボーリングマシン。 - 請求項2〜5のいずれかに記載のトンネルボーリングマシンにおいて、
前記複数の受振器を前記トンネル内面に対して選択的に当接または離間させるべく前記移動機構を遠隔制御する移動機構制御手段と、
前記複数の受振器が電気的に接続され、該受振器が検出する信号データを収集するデータ収録手段と、
該データ収録手段により収集された信号データを解析するデータ解析手段とが、
前記後続台車上に搭載されたことを特徴とするトンネルボーリングマシン。 - 先端に掘削手段を有するトンネル掘削機と、該トンネル掘削機を駆動するためにその後方に連結された複数の後続台車とを備えるトンネルボーリングマシンによるトンネル掘削施工に用いるための、弾性波によるトンネル切羽前方探査方法であって、
前記後続台車を停車させて、
該後続台車に設けられた移動機構に受振器保持部を介して固定された、弾性波を検出して信号を発生する複数の受振器を、前記移動機構により移動させてトンネル内面に当接させる受振器設置工程を行い、
続いて、トンネル坑内の所定位置を加振して弾性波を検出する弾性波計測工程を行い、
その後、前記後続台車がトンネル掘進方向に移動できるように、前記移動機構により前記複数の受振器をトンネル内面から離間させる受振器離間工程を行うことを特徴とするトンネル切羽前方探査方法。 - 請求項7に記載のトンネル切羽前方探査方法において、
トンネルの掘削のために前記後続台車が停車するときに、
前記受振器設置工程、前記弾性波計測工程および前記受振器離間工程を行い、
トンネルボーリングマシンを前進させ、次にトンネル掘削を行うために前記後続台車を停車させてから、これらの工程を繰り返すことにより、トンネル掘削施工の進行に合わせて時系列の探査データを取得し、それらの解析結果を前記後続台車に搭載した表示手段に表示することを特徴とするトンネル切羽前方探査方法。 - 請求項8に記載のトンネル切羽前方探査方法において、
前記弾性波計測工程を、前記掘削手段による掘削に伴う加振により形成された弾性波を用いて行うことを特徴とするトンネル切羽前方探査方法。 - 請求項9に記載のトンネル切羽前方探査方法において、
前記弾性波計測工程を、前記後続台車停止中にトンネル掘削が行われる間、所定サンプリング間隔で反復して行い、それによりトンネル掘進中の時系列の探査データの取得し、該探査データをそれぞれ解析し、それぞれの解析結果を、前記後続台車に搭載した前記表示手段に前記所定サンプリング間隔とほぼ同一の時間間隔で、順次表示することを特徴とするトンネル切羽前方探査方法。
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