JP2004132002A - シールドトンネル用二次覆工省略型セグメント - Google Patents
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Abstract
【課題】接合連結後におけるセグメント縁部の被覆を簡単且つ均一に行うことが出来る機能構造を備えたセグメントを提供することにある。
【解決手段】複数のセグメントをトンネルの軸方向及び円周方向に接続することによってシールドトンネルを構築する二次覆工省略型セグメントであって、セグメントのトンネル内空側表面において、セグメント継手面及びリング継手面より所定幅内側位置に、凹溝付きアンカー4の開口側を内表面に露出させて埋設固定し、その凹溝付きアンカーより内側のコンクリート2表面にシート3を被覆し、更に、前記凹溝付きアンカーの凹溝内にシール材6を配置充填し、隣接するセグメントの凹溝付きアンカーに亘って断面略門形の被覆継手材Bを押し込み固定自在とした。
【選択図】 図3
【解決手段】複数のセグメントをトンネルの軸方向及び円周方向に接続することによってシールドトンネルを構築する二次覆工省略型セグメントであって、セグメントのトンネル内空側表面において、セグメント継手面及びリング継手面より所定幅内側位置に、凹溝付きアンカー4の開口側を内表面に露出させて埋設固定し、その凹溝付きアンカーより内側のコンクリート2表面にシート3を被覆し、更に、前記凹溝付きアンカーの凹溝内にシール材6を配置充填し、隣接するセグメントの凹溝付きアンカーに亘って断面略門形の被覆継手材Bを押し込み固定自在とした。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シールドトンネルの構築に使用するセグメントに関し、詳しくは鉄筋コンクリートセグメント(RCセグメント)やコンクリート中詰め鋼製セグメント等の二次覆工省略型セグメントの内面を、金属板や合成樹脂板により被覆したセグメントにおいて、隣接するセグメントとの継手部を内面被覆材と同等の部材で被覆できる機能を備えたセグメントの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、シールドトンネル(下水道管渠や貯溜槽)の内面を腐食から保護する方法としては、セグメントを組み立て完成後に、合成樹脂材を塗装(刷毛塗り、吹付け)するか、合成樹脂材と化学繊維による積層が行なわれていた。
しかし、この方法では、被覆作業に手数を要すると共に、被覆層は均一化しにくく、数年で被覆層が剥離したり、劣化が見られ、耐久性の面で問題があった。
【0003】
又、トンネル内面の保護の他に、水路の流量増加や水路勾配の低減のための粗度係数改善、或いは、下水道等に流入する砂礫等による摩耗を防止する目的として、二次覆工省略型セグメントを用いて構築するシールドトンネルにおいては、内面をシートライニングしたセグメントが使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
その内面をシートライニングしたセグメントは、コンクリートセグメントの内面部分と、ボルトボックス内面とを一体に湾曲した樹脂部材により被覆した内面樹脂被覆セグメントである。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−270289号公報(第5頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記セグメントをトンネルの軸方向及び周方向に接続配置する場合、セグメント継手面(周方向の継手面)又はリング継手面(軸方向の継手面)に位置する鋼殻(枠)或いは連結板相互をボルト・ナット、或いは連結金具で締結する。その為、コンクリート内側面を被覆する合成樹脂製シートは、セグメントの外周縁寄りを残して、それより内側部分が被覆されている。
従って、セグメントA’を接合連結した後の縁部分に行う前記の被覆作業は、図5に示すように、目地部11に樹脂系の目地材(粘性物)12を充填し、且つその目地材の表面を帯状の樹脂製シート13で覆うと共に、該樹脂製シートの両側部をセグメントA’の合成樹脂製シート10に接着剤で接着するか、溶接による接合が行われていた。これらは、現場施工の部分が多くなり、長時間を要すると共に、信頼性が危ぶまれるきらいがあった。特に、地震等の振動に対しては追従しきれず、目地材に亀裂が入ったり、表面を覆う樹脂製シートが破けたり、剥離するといった問題を有する。
【0006】
本発明は、上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、接合連結後におけるセグメント縁部の被覆を簡単且つ均一に行うことが出来る機能構造を備えたセグメントを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する為に本発明が講じた技術的手段は、コンクリート内側面を合成樹脂製シートで被覆した二次覆工省略型セグメントのセグメント継手面及びリング継手面より内側位置に、凹溝付きアンカーを埋設固定し、このアンカーの凹溝に、コンクリート内面を被覆する被覆シートと同等材で成型した被覆継手材を押し込み固定するようにした。
即ち、複数のセグメントをトンネルの軸方向及び円周方向に接続することによってシールドトンネルを構築する二次覆工省略型セグメントであって、セグメントのトンネル内空側表面において、セグメント継手面及びリング継手面より所定幅内側位置に、凹溝付きアンカーの開口側を内表面に露出させて埋設固定し、その凹溝付きアンカーより内側のコンクリート表面にシートを被覆し、更に、前記凹溝付きアンカーの凹溝内にシール材を配置充填し、隣接するセグメントの凹溝付きアンカーに亘って断面略門形の被覆継手材を押し込み固定自在とした構成を特徴とする(請求項1)。
上記の二次覆工省略型セグメントとしては、コンクリート中詰め鋼製セグメントや鉄筋コンクリートセグメント(R・Cセグメント)が挙げられる。
又、本発明の凹溝付きアンカーは、外周面に突起等を有したアンカー機能を備えたものに限定されず、突起等を有しないものも含まれるものであり、且つその凹溝付きアンカーは、セグメント継手面及びリング継手面より所定幅内側に離れた位置に、全周に沿って連続して埋設固定する。
上記構成により、トンネルの軸方向及び円周方向に接続配置したセグメントにおける接合面を跨いで、成型品の被覆継手材に形成された係合脚部をアンカーの凹溝に押し込み固定することで、接合配置されたセグメントの継手部を被覆(シール)することができる。そして、セグメントの組み立て時或いは地震時において、セグメント相互間の目開きは変動するが、前記アンカーの凹溝とこのアンカーに押し込む被覆継手材の組み合わせによって、前記目開きの変動に対して柔軟に対応(追従)させることができる。
【0008】
前記セグメントに埋設固定する凹溝付きアンカーの凹溝は、被覆継手材が押し込まれる方向には挿入を許容し、押し込まれた被覆継手材が抜け出る方向には移動を阻止する断面形状を有していることを特徴とする(請求項2)。この構成により、被覆継手材の被覆固定は、該継手材に形成された係合脚部を凹溝に押し込むだけで完了でき、しかも押し込んだ被覆継手材の係合脚部はその凹溝の形態により抜け出る方向への移動が阻止される為、長期に亘って被覆形態を維持できる。
【0009】
前記コンクリートの表面を被覆するシート及びセグメント相互に架設する被覆継手材は、耐食性及び耐摩耗性に優れた金属製部材、例えばステンレススチール、チタン、樹脂被覆鋼板等で形成してもよい(請求項3)。
又、コンクリートの表面を被覆するシート及びセグメント相互に架設する被覆継手材は、耐食性及び耐摩耗性に優れた合成樹脂材、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニール、ポリエステル、ビニールエステル等が挙げられ、更に合成樹脂材と化学繊維を組み合わせた繊維強化樹脂材(FRP)としてもよい(請求項4)。それにより、長期に亘って安定した継手部の被覆(シール)を維持することができる。
【0010】
そして、前記凹溝付きアンカーの凹溝内に充填するシール材としては、柔軟性の特性をもつ素材、例えばブチルゴム、未硬化のシリコンゴム、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる(請求項5)。又、前記シール材としては、例えば、ウレタン系の水膨張性材料であってもよい(請求項6)。尚、水膨張性材料からなるシール材は、前記凹溝の底部に挿入セットしても、或いは被覆継手材における凹溝内に押し込まれる部材(係合脚部)の先端に取り付けてもよい。これにより、セグメント相互の接合面間に雨水等が浸入するのを防止でき、水密性に富んだ被覆構造を提供できる。
【0011】
また、前記凹溝付きアンカーの上面と、そのアンカーに押し込み取付けられる被覆継手材の内表面との間には、該被覆継手材の押し込みによってはみ出すシール材の逃げ空間を設けることができる(請求項7)。それにより、被覆継手材がシール材で押し上げられることも無く、綺麗な取付状態を確立できる。
更に、前記したコンクリート中詰め鋼製セグメントは、トンネル内表面をのぞく5面が鋼板で覆われたものが好適である(請求項8)。
尚、本発明におけるセグメントの接合配置は、セグメントの角部の交点が十字状となる配置、或いはT字状となる配置等があるため、被覆継手材は交点部以外の直線部に使用するものに限らず、十字交点用或いはT字交点用の継手材も含まれるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、二次覆工省略型セグメントであるコンクリート中詰め鋼製セグメントAと、該セグメントA相互の接合部間に配置する被覆継手材Bを用いて構築したトンネルTを示す外観図である。
トンネルTを構築する二次覆工省略型セグメントAは、トンネル内表面を除く5面を鋼板で形成した鋼殻1の内部にコンクリート2を充填して硬化させ、且つそのコンクリート2の内表面に合成樹脂製シート3を被覆し、更に前記鋼殻1の内側面に沿って凹溝付きアンカー4が埋設固定されている。
【0013】
鋼殻1は、鋼板を用いて平面矩形状の扁平箱形に形成されると共に、長辺方向が所定の曲率をなした円弧状に湾曲形成されている。それにより、この鋼殻1で構成された二次覆工省略型セグメントAを、その円弧方向を円周方向に揃えて連結することで円筒に構成することが出来る。尚、鋼殻1における円弧形状の曲率は、構築しようとするトンネル等の内径に応じて決定される。
【0014】
上記鋼殻1の内部にコンクリートを打ち込み一体化する方法としては、既に提案済みの特開2001−58308号に記載の方法を利用することが出来る。
即ち、鋼殻1の内側に、コンクリートを投入するに必要な開口を残して内面型枠を取り付け、その開口よりコンクリートを該鋼殻1内一杯に充填した後、前記開口を蓋体で閉鎖し、その後鋼殻を反転させて内面型枠が下側となるようにしてコンクリートを硬化させ、硬化後、内面型枠及び蓋体を脱型することで、コンクリート中詰め鋼製セグメントが完成される。しかしながら、本発明における二次覆工省略型セグメントAはコンクリート2の内面に合成樹脂製シート3が被覆固着されたものであるため、前記した製法における内面型枠及び蓋体の内面に、予め防食性能、平滑性能、耐摩耗性能を有した合成樹脂製シート2を、脱型時に該内面型枠や蓋体から分離可能に取付ける。尚、内面型枠や蓋体に対して合成樹脂製シート3を分離可能に取付ける手段としては、例えば両面接着テープを使用する。
【0015】
合成樹脂製シート3は、ポリエチレン樹脂でシート状に形成され、且つその一側面(打設されたコンクリートと接する面)にコンクリートとの固着一体化を計る略T字形のリブ3’が所定間隔をおいて並列的に一体に形成されている。そして、この合成樹脂製シート3は、前記鋼殻1の内側縁より所定寸法内側に入った大きさとし、鋼殻1の内側縁と前記合成樹脂製シート3の外周縁との間に凹溝付きアンカー4が配置固定される。尚、合成樹脂製シート3の一側面に並列して形成されるリブ3’は、鋼殻1の短辺と平行となるように配置形成されている。それにより、鋼殻1の湾曲形状に対して合成樹脂製シート3も同様に湾曲してコンクリート2の内面に積層一体化される。尚、前記合成樹脂製シート3に形成するアンカー機能のリブ3’は、図示のT字形に限定されず、例えばL字形、或いは蟻溝形、更には突起アンカーを散在させた形態等、何れでもよい。
【0016】
凹溝付きアンカー4は、硬質塩化ビニル樹脂材によって断面略コ字形に形成し内部に凹溝4’を形成した枠体4aと、その枠体4aの外側面にコンクリート2との固着一体化を計る突起4b,4b’が形成されており、前記凹溝4’における相対向する起立壁4c,4c’の内面には断面略直角三角形状の舌片5,5’が、その傾斜面を上方に向け、上下方向に複数段(図面は2段)突出形成されている。
凹溝4’内に形成される舌片5,5’は、後述する被覆継手材Bに形成される係合脚部8の押し込みは許容し、係合脚部8が抜け出る方向の動きを阻止する働きを行なうものであれば、その形状は限定されない。
【0017】
又、凹溝付きアンカー4における枠体4aの凹溝4’を挟む起立壁の上端は、前記鋼殻1の内側面に接合する側の起立壁4cの高さを、もう一方の起立壁4c’の高さより低く形成し、それにより凹溝付きアンカー4に押し込みセットされる被覆継手材Bのシート部の表面を、前記二次覆工省略型セグメントAの合成樹脂製シート3表面と面一となるようセットした場合、被覆継手材Bのシート部の内面と起立壁4cの上面との間に、シール材の逃げ空間9が形成されるように構成されている。
前記起立壁4cと4c’の上面の高低差は、起立壁4c’の外側面に突設した突起4bの厚さ分としてあるが、これに限定されるものではない。
【0018】
更に、前記凹溝付きアンカー4の凹溝4’内には、柔軟性の特性を持つシール材6が充填されている。このシール材6としては、シリコンゴム、水膨張性材料(ウレタン系)が挙げられる。尚、水膨張性材料からなるシール材6は、凹溝4’内に充填配置してもよいが、該凹溝付きアンカー4に押し込む被覆継手材Bの係合脚部8の先端に取り付けてもよい。
そして、このシール材6として柔軟性の特性を有するシリコンゴムを使用した場合、被覆継手材Bの係合脚部を凹溝4’に押し込むことで前記シール材6は凹溝4’からはみ出すが、そのはみ出したシール材6は前記逃げ空間9に入り込み、被覆継手材Bの取り付け高さが保持される。勿論、水膨張性材料の場合は、水と触れることで膨張し、凹溝4’内のシール性を保持するが、膨張によってはみ出した材料は、前記したと同様、逃げ空間9に流れる。
又、凹溝4’内へのシール材6の充填量は、図示の場合、二段目の溝位まで入れる。
【0019】
上記した凹溝付きアンカー4を埋設した二次覆工省略型セグメントAをトンネルの軸方向及び円周方向に接続配置した場合、各セグメントの鋼殻1を含む周縁部分以外は合成樹脂製シート3で被覆されるが、鋼殻1の周縁部分は鋼板及び鋼殻1の内周に沿って埋設した凹溝付きアンカー4の開口側が露出する。この露出部分を、成型品の被覆継手材Bで別途被覆し、それにより二次覆工省略型セグメントで構築するトンネルの内表面は防食性、耐摩耗性の合成樹脂製シートで覆われることになる。
【0020】
二次覆工省略型セグメントAの周縁部分を被覆する被覆継手材Bは、前記セグメントAにおけるコンクリート2の内表面を覆う合成樹脂製シート3と同じ材料のポリエチレン樹脂材を用いて、セグメントAにおける鋼殻1の周縁を覆う水平被覆部7と、その水平被覆部7の幅方向の両端に直角に連接した係合脚部8,8’とで断面略門形形状に形成されている。
前記水平被覆部7は、接合配置した二次覆工省略型セグメントAの両周縁部を跨いで覆うことが出来る横幅を有し、長尺帯状をなしている。
係合脚部8,8’は、前記水平被覆部7の幅方向両端より直角下向き方向に脚片8aが所定長さ連設され、その脚片8aの内外両側面に、略直角三角形状の係合突起8bが、その斜辺を下向きにして突出形成されている。
【0021】
即ち、脚片8aの内外両側面に突出形成する係合突起8bは、前記凹溝付きアンカー4の凹溝4’内面の舌片5,5’に対して、押し込み時は舌片5,5’の斜辺と係合突起8bの斜辺が対向するため、該係合突起8bは舌片5,5’を乗り越えて押し込まれる。逆に、凹溝4’に押し込まれた係合脚部8,8’は、係合突起8bの水平面が舌片5,5’の水平面と対向して係合するため、抜け出る方向への動きは阻止される。それにより、凹溝付きアンカー4に係合脚部8,8’を押し込んでセットした被覆継手材Bは、離脱分離することなく保持される。尚、被覆継手材Bは、図示した形状に限定されるものでなく、例えば係合脚部8,8’の上部外側に水平被覆部を延長突設して断面略鳥居形状とし、セグメントの合成樹脂製シート3の外周端面と接合するようにしてもよい。
【0022】
上記した被覆継手材Bは、接合配置された二次覆工省略型セグメントA同士の長辺及び短辺の接合部に取り付けられるが、この二次覆工省略型セグメントAを図示するようにずらして接合配置した場合、各セグメントの交差はT字状の交差となる。又、二次覆工省略型セグメントAをずらさずに格子状に配置した場合、各セグメントの交差は十字状となる。
従って、上記した交差部については交差部専用の被覆継手材B’を別途用意し、セグメントAの露出部が発生しないようにする。
図示の被覆継手材B’は、T字状交差部用の継手材で、この被覆継手材B’と前記した直線用の被覆継手材Bの端面同士は突合せ接合し、必要により両者を溶接又は接着により連結する。
【0023】
上記の如く構成した二次覆工省略型セグメントAをトンネルの軸方向及び円周方向に接合配置してトンネルを構築し、構築後、各セグメントAの接合部に、被覆継手材Bを、係合脚部8,8’を二次覆工省略型セグメントAに埋設固定した凹溝付きアンカー4の凹溝4’に押し込んで定着固定する。それにより、セグメントの接合部における周縁部を、該二次覆工省略型セグメントAにおけるコンクリート2の表面を被覆する合成樹脂製シート3と同等材料で、しかも同じ高さで面一に被覆することが出来る。
そして、被覆継手材Bはセグメントに埋設固定の凹溝付きアンカー4の凹溝4’に係合脚部8,8’が嵌合して保持されている為、二次覆工省略型セグメントAと被覆継手材Bは相対的に移動し得る余裕があり、その為、地震による振動に対して追従でき、従って被覆継手材Bが破損して、セグメントの周縁部が露出するといった心配はない。即ち、シールドトンネルを構成する二次覆工省略型セグメントの接合部(継手部)は、セグメントの組み立て時或いは地震時において、継手部の目開きが変動するが、凹溝付きアンカー4と被覆継手材Bの組み合わせによって前記目開きの変動に対し、柔軟に対応することが出来る。
又、上記セグメントが鉄筋や鋼材を内蔵したRCセグメント、或いはSRCセグメントである場合は、合成樹脂製シート及び被覆継手材が鉄筋や鋼材を環境から遮断し、防食効果を発揮する。それにより、コンクリートの被り量を薄くでき、結果、セグメントの厚さを薄くすることができる。
更に、コンクリート中詰め鋼製セグメントの場合は、コンクリート被りの薄い部分の鋼殻に施す防食塗装を省略できる。
又、本発明によるシールドトンネルは、下水道用、雨水排水用、地下河川、地下通路(洞道)、共同溝等の水密性が要求されるシールドトンネルにも利用できるものである。
【0024】
【発明の効果】
本発明のシールドトンネル用二次覆工省略型セグメントは、請求項1記載の構成により、トンネル構築後に、帯状をした成型品の被覆継手材を接合部を跨ぐ両セグメントの凹溝付きアンカーに押し込むことで定着固定することが出来る。因って、被覆作業を簡単且つ短時間で行なうことが出来ると共に、均一で信頼性のある被覆構造を完成できる。
そして、請求項2記載の構成により、被覆継手材の取り付けは一方向への押し込みで完了でき、定着後は抜け方向の動きが阻止される為、該被覆継手材が剥離する危険はなく、長期に亘って安定した被覆構造を保持することが出来る。
又、請求項3、4記載の構成により、シールドトンネルの内面防食保護、水路の粗度係数改善、下水道等に流入する砂礫等による摩耗防止に適合した二次覆工省略型セグメントを提供できる。
請求項5、6記載の構成により、被覆継手材の押し込みセット部を確実にシールすることが出来る。
更に、請求項7記載の構成により、被覆継手材の押し込みでシール材がはみ出ても、該被覆継手材を合成樹脂製シートと面一にセットすることが出来る。
又、請求項8記載の構成により、セグメントの水密性を高めることが出来ると共に、水圧による合成樹脂製シートの剥離を防止できる。更に、合成樹脂製シート及び被覆継手材が環境から鋼殻を遮断するため、該鋼殻のコンクリート被りの薄い部分に施す防食塗装を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る二次覆工省略型セグメントで構築したトンネルの外観
を示す断面図である。
【図2】同セグメントの接合形態を示す説明斜視図である。
【図3】図2の(3)−(3)線に沿える拡大断面図である。
【図4】同分解斜視図である。
【図5】従来の被覆構造を示す断面図である。
【符号の説明】
A…二次覆工省略型セグメント B、B’…被覆継手材
1…鋼殻 2…コンクリート
3…合成樹脂製シート 4…凹溝付きアンカー
6…シール材 9…逃げ空間
【発明の属する技術分野】
本発明は、シールドトンネルの構築に使用するセグメントに関し、詳しくは鉄筋コンクリートセグメント(RCセグメント)やコンクリート中詰め鋼製セグメント等の二次覆工省略型セグメントの内面を、金属板や合成樹脂板により被覆したセグメントにおいて、隣接するセグメントとの継手部を内面被覆材と同等の部材で被覆できる機能を備えたセグメントの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、シールドトンネル(下水道管渠や貯溜槽)の内面を腐食から保護する方法としては、セグメントを組み立て完成後に、合成樹脂材を塗装(刷毛塗り、吹付け)するか、合成樹脂材と化学繊維による積層が行なわれていた。
しかし、この方法では、被覆作業に手数を要すると共に、被覆層は均一化しにくく、数年で被覆層が剥離したり、劣化が見られ、耐久性の面で問題があった。
【0003】
又、トンネル内面の保護の他に、水路の流量増加や水路勾配の低減のための粗度係数改善、或いは、下水道等に流入する砂礫等による摩耗を防止する目的として、二次覆工省略型セグメントを用いて構築するシールドトンネルにおいては、内面をシートライニングしたセグメントが使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
その内面をシートライニングしたセグメントは、コンクリートセグメントの内面部分と、ボルトボックス内面とを一体に湾曲した樹脂部材により被覆した内面樹脂被覆セグメントである。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−270289号公報(第5頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記セグメントをトンネルの軸方向及び周方向に接続配置する場合、セグメント継手面(周方向の継手面)又はリング継手面(軸方向の継手面)に位置する鋼殻(枠)或いは連結板相互をボルト・ナット、或いは連結金具で締結する。その為、コンクリート内側面を被覆する合成樹脂製シートは、セグメントの外周縁寄りを残して、それより内側部分が被覆されている。
従って、セグメントA’を接合連結した後の縁部分に行う前記の被覆作業は、図5に示すように、目地部11に樹脂系の目地材(粘性物)12を充填し、且つその目地材の表面を帯状の樹脂製シート13で覆うと共に、該樹脂製シートの両側部をセグメントA’の合成樹脂製シート10に接着剤で接着するか、溶接による接合が行われていた。これらは、現場施工の部分が多くなり、長時間を要すると共に、信頼性が危ぶまれるきらいがあった。特に、地震等の振動に対しては追従しきれず、目地材に亀裂が入ったり、表面を覆う樹脂製シートが破けたり、剥離するといった問題を有する。
【0006】
本発明は、上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、接合連結後におけるセグメント縁部の被覆を簡単且つ均一に行うことが出来る機能構造を備えたセグメントを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する為に本発明が講じた技術的手段は、コンクリート内側面を合成樹脂製シートで被覆した二次覆工省略型セグメントのセグメント継手面及びリング継手面より内側位置に、凹溝付きアンカーを埋設固定し、このアンカーの凹溝に、コンクリート内面を被覆する被覆シートと同等材で成型した被覆継手材を押し込み固定するようにした。
即ち、複数のセグメントをトンネルの軸方向及び円周方向に接続することによってシールドトンネルを構築する二次覆工省略型セグメントであって、セグメントのトンネル内空側表面において、セグメント継手面及びリング継手面より所定幅内側位置に、凹溝付きアンカーの開口側を内表面に露出させて埋設固定し、その凹溝付きアンカーより内側のコンクリート表面にシートを被覆し、更に、前記凹溝付きアンカーの凹溝内にシール材を配置充填し、隣接するセグメントの凹溝付きアンカーに亘って断面略門形の被覆継手材を押し込み固定自在とした構成を特徴とする(請求項1)。
上記の二次覆工省略型セグメントとしては、コンクリート中詰め鋼製セグメントや鉄筋コンクリートセグメント(R・Cセグメント)が挙げられる。
又、本発明の凹溝付きアンカーは、外周面に突起等を有したアンカー機能を備えたものに限定されず、突起等を有しないものも含まれるものであり、且つその凹溝付きアンカーは、セグメント継手面及びリング継手面より所定幅内側に離れた位置に、全周に沿って連続して埋設固定する。
上記構成により、トンネルの軸方向及び円周方向に接続配置したセグメントにおける接合面を跨いで、成型品の被覆継手材に形成された係合脚部をアンカーの凹溝に押し込み固定することで、接合配置されたセグメントの継手部を被覆(シール)することができる。そして、セグメントの組み立て時或いは地震時において、セグメント相互間の目開きは変動するが、前記アンカーの凹溝とこのアンカーに押し込む被覆継手材の組み合わせによって、前記目開きの変動に対して柔軟に対応(追従)させることができる。
【0008】
前記セグメントに埋設固定する凹溝付きアンカーの凹溝は、被覆継手材が押し込まれる方向には挿入を許容し、押し込まれた被覆継手材が抜け出る方向には移動を阻止する断面形状を有していることを特徴とする(請求項2)。この構成により、被覆継手材の被覆固定は、該継手材に形成された係合脚部を凹溝に押し込むだけで完了でき、しかも押し込んだ被覆継手材の係合脚部はその凹溝の形態により抜け出る方向への移動が阻止される為、長期に亘って被覆形態を維持できる。
【0009】
前記コンクリートの表面を被覆するシート及びセグメント相互に架設する被覆継手材は、耐食性及び耐摩耗性に優れた金属製部材、例えばステンレススチール、チタン、樹脂被覆鋼板等で形成してもよい(請求項3)。
又、コンクリートの表面を被覆するシート及びセグメント相互に架設する被覆継手材は、耐食性及び耐摩耗性に優れた合成樹脂材、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニール、ポリエステル、ビニールエステル等が挙げられ、更に合成樹脂材と化学繊維を組み合わせた繊維強化樹脂材(FRP)としてもよい(請求項4)。それにより、長期に亘って安定した継手部の被覆(シール)を維持することができる。
【0010】
そして、前記凹溝付きアンカーの凹溝内に充填するシール材としては、柔軟性の特性をもつ素材、例えばブチルゴム、未硬化のシリコンゴム、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる(請求項5)。又、前記シール材としては、例えば、ウレタン系の水膨張性材料であってもよい(請求項6)。尚、水膨張性材料からなるシール材は、前記凹溝の底部に挿入セットしても、或いは被覆継手材における凹溝内に押し込まれる部材(係合脚部)の先端に取り付けてもよい。これにより、セグメント相互の接合面間に雨水等が浸入するのを防止でき、水密性に富んだ被覆構造を提供できる。
【0011】
また、前記凹溝付きアンカーの上面と、そのアンカーに押し込み取付けられる被覆継手材の内表面との間には、該被覆継手材の押し込みによってはみ出すシール材の逃げ空間を設けることができる(請求項7)。それにより、被覆継手材がシール材で押し上げられることも無く、綺麗な取付状態を確立できる。
更に、前記したコンクリート中詰め鋼製セグメントは、トンネル内表面をのぞく5面が鋼板で覆われたものが好適である(請求項8)。
尚、本発明におけるセグメントの接合配置は、セグメントの角部の交点が十字状となる配置、或いはT字状となる配置等があるため、被覆継手材は交点部以外の直線部に使用するものに限らず、十字交点用或いはT字交点用の継手材も含まれるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、二次覆工省略型セグメントであるコンクリート中詰め鋼製セグメントAと、該セグメントA相互の接合部間に配置する被覆継手材Bを用いて構築したトンネルTを示す外観図である。
トンネルTを構築する二次覆工省略型セグメントAは、トンネル内表面を除く5面を鋼板で形成した鋼殻1の内部にコンクリート2を充填して硬化させ、且つそのコンクリート2の内表面に合成樹脂製シート3を被覆し、更に前記鋼殻1の内側面に沿って凹溝付きアンカー4が埋設固定されている。
【0013】
鋼殻1は、鋼板を用いて平面矩形状の扁平箱形に形成されると共に、長辺方向が所定の曲率をなした円弧状に湾曲形成されている。それにより、この鋼殻1で構成された二次覆工省略型セグメントAを、その円弧方向を円周方向に揃えて連結することで円筒に構成することが出来る。尚、鋼殻1における円弧形状の曲率は、構築しようとするトンネル等の内径に応じて決定される。
【0014】
上記鋼殻1の内部にコンクリートを打ち込み一体化する方法としては、既に提案済みの特開2001−58308号に記載の方法を利用することが出来る。
即ち、鋼殻1の内側に、コンクリートを投入するに必要な開口を残して内面型枠を取り付け、その開口よりコンクリートを該鋼殻1内一杯に充填した後、前記開口を蓋体で閉鎖し、その後鋼殻を反転させて内面型枠が下側となるようにしてコンクリートを硬化させ、硬化後、内面型枠及び蓋体を脱型することで、コンクリート中詰め鋼製セグメントが完成される。しかしながら、本発明における二次覆工省略型セグメントAはコンクリート2の内面に合成樹脂製シート3が被覆固着されたものであるため、前記した製法における内面型枠及び蓋体の内面に、予め防食性能、平滑性能、耐摩耗性能を有した合成樹脂製シート2を、脱型時に該内面型枠や蓋体から分離可能に取付ける。尚、内面型枠や蓋体に対して合成樹脂製シート3を分離可能に取付ける手段としては、例えば両面接着テープを使用する。
【0015】
合成樹脂製シート3は、ポリエチレン樹脂でシート状に形成され、且つその一側面(打設されたコンクリートと接する面)にコンクリートとの固着一体化を計る略T字形のリブ3’が所定間隔をおいて並列的に一体に形成されている。そして、この合成樹脂製シート3は、前記鋼殻1の内側縁より所定寸法内側に入った大きさとし、鋼殻1の内側縁と前記合成樹脂製シート3の外周縁との間に凹溝付きアンカー4が配置固定される。尚、合成樹脂製シート3の一側面に並列して形成されるリブ3’は、鋼殻1の短辺と平行となるように配置形成されている。それにより、鋼殻1の湾曲形状に対して合成樹脂製シート3も同様に湾曲してコンクリート2の内面に積層一体化される。尚、前記合成樹脂製シート3に形成するアンカー機能のリブ3’は、図示のT字形に限定されず、例えばL字形、或いは蟻溝形、更には突起アンカーを散在させた形態等、何れでもよい。
【0016】
凹溝付きアンカー4は、硬質塩化ビニル樹脂材によって断面略コ字形に形成し内部に凹溝4’を形成した枠体4aと、その枠体4aの外側面にコンクリート2との固着一体化を計る突起4b,4b’が形成されており、前記凹溝4’における相対向する起立壁4c,4c’の内面には断面略直角三角形状の舌片5,5’が、その傾斜面を上方に向け、上下方向に複数段(図面は2段)突出形成されている。
凹溝4’内に形成される舌片5,5’は、後述する被覆継手材Bに形成される係合脚部8の押し込みは許容し、係合脚部8が抜け出る方向の動きを阻止する働きを行なうものであれば、その形状は限定されない。
【0017】
又、凹溝付きアンカー4における枠体4aの凹溝4’を挟む起立壁の上端は、前記鋼殻1の内側面に接合する側の起立壁4cの高さを、もう一方の起立壁4c’の高さより低く形成し、それにより凹溝付きアンカー4に押し込みセットされる被覆継手材Bのシート部の表面を、前記二次覆工省略型セグメントAの合成樹脂製シート3表面と面一となるようセットした場合、被覆継手材Bのシート部の内面と起立壁4cの上面との間に、シール材の逃げ空間9が形成されるように構成されている。
前記起立壁4cと4c’の上面の高低差は、起立壁4c’の外側面に突設した突起4bの厚さ分としてあるが、これに限定されるものではない。
【0018】
更に、前記凹溝付きアンカー4の凹溝4’内には、柔軟性の特性を持つシール材6が充填されている。このシール材6としては、シリコンゴム、水膨張性材料(ウレタン系)が挙げられる。尚、水膨張性材料からなるシール材6は、凹溝4’内に充填配置してもよいが、該凹溝付きアンカー4に押し込む被覆継手材Bの係合脚部8の先端に取り付けてもよい。
そして、このシール材6として柔軟性の特性を有するシリコンゴムを使用した場合、被覆継手材Bの係合脚部を凹溝4’に押し込むことで前記シール材6は凹溝4’からはみ出すが、そのはみ出したシール材6は前記逃げ空間9に入り込み、被覆継手材Bの取り付け高さが保持される。勿論、水膨張性材料の場合は、水と触れることで膨張し、凹溝4’内のシール性を保持するが、膨張によってはみ出した材料は、前記したと同様、逃げ空間9に流れる。
又、凹溝4’内へのシール材6の充填量は、図示の場合、二段目の溝位まで入れる。
【0019】
上記した凹溝付きアンカー4を埋設した二次覆工省略型セグメントAをトンネルの軸方向及び円周方向に接続配置した場合、各セグメントの鋼殻1を含む周縁部分以外は合成樹脂製シート3で被覆されるが、鋼殻1の周縁部分は鋼板及び鋼殻1の内周に沿って埋設した凹溝付きアンカー4の開口側が露出する。この露出部分を、成型品の被覆継手材Bで別途被覆し、それにより二次覆工省略型セグメントで構築するトンネルの内表面は防食性、耐摩耗性の合成樹脂製シートで覆われることになる。
【0020】
二次覆工省略型セグメントAの周縁部分を被覆する被覆継手材Bは、前記セグメントAにおけるコンクリート2の内表面を覆う合成樹脂製シート3と同じ材料のポリエチレン樹脂材を用いて、セグメントAにおける鋼殻1の周縁を覆う水平被覆部7と、その水平被覆部7の幅方向の両端に直角に連接した係合脚部8,8’とで断面略門形形状に形成されている。
前記水平被覆部7は、接合配置した二次覆工省略型セグメントAの両周縁部を跨いで覆うことが出来る横幅を有し、長尺帯状をなしている。
係合脚部8,8’は、前記水平被覆部7の幅方向両端より直角下向き方向に脚片8aが所定長さ連設され、その脚片8aの内外両側面に、略直角三角形状の係合突起8bが、その斜辺を下向きにして突出形成されている。
【0021】
即ち、脚片8aの内外両側面に突出形成する係合突起8bは、前記凹溝付きアンカー4の凹溝4’内面の舌片5,5’に対して、押し込み時は舌片5,5’の斜辺と係合突起8bの斜辺が対向するため、該係合突起8bは舌片5,5’を乗り越えて押し込まれる。逆に、凹溝4’に押し込まれた係合脚部8,8’は、係合突起8bの水平面が舌片5,5’の水平面と対向して係合するため、抜け出る方向への動きは阻止される。それにより、凹溝付きアンカー4に係合脚部8,8’を押し込んでセットした被覆継手材Bは、離脱分離することなく保持される。尚、被覆継手材Bは、図示した形状に限定されるものでなく、例えば係合脚部8,8’の上部外側に水平被覆部を延長突設して断面略鳥居形状とし、セグメントの合成樹脂製シート3の外周端面と接合するようにしてもよい。
【0022】
上記した被覆継手材Bは、接合配置された二次覆工省略型セグメントA同士の長辺及び短辺の接合部に取り付けられるが、この二次覆工省略型セグメントAを図示するようにずらして接合配置した場合、各セグメントの交差はT字状の交差となる。又、二次覆工省略型セグメントAをずらさずに格子状に配置した場合、各セグメントの交差は十字状となる。
従って、上記した交差部については交差部専用の被覆継手材B’を別途用意し、セグメントAの露出部が発生しないようにする。
図示の被覆継手材B’は、T字状交差部用の継手材で、この被覆継手材B’と前記した直線用の被覆継手材Bの端面同士は突合せ接合し、必要により両者を溶接又は接着により連結する。
【0023】
上記の如く構成した二次覆工省略型セグメントAをトンネルの軸方向及び円周方向に接合配置してトンネルを構築し、構築後、各セグメントAの接合部に、被覆継手材Bを、係合脚部8,8’を二次覆工省略型セグメントAに埋設固定した凹溝付きアンカー4の凹溝4’に押し込んで定着固定する。それにより、セグメントの接合部における周縁部を、該二次覆工省略型セグメントAにおけるコンクリート2の表面を被覆する合成樹脂製シート3と同等材料で、しかも同じ高さで面一に被覆することが出来る。
そして、被覆継手材Bはセグメントに埋設固定の凹溝付きアンカー4の凹溝4’に係合脚部8,8’が嵌合して保持されている為、二次覆工省略型セグメントAと被覆継手材Bは相対的に移動し得る余裕があり、その為、地震による振動に対して追従でき、従って被覆継手材Bが破損して、セグメントの周縁部が露出するといった心配はない。即ち、シールドトンネルを構成する二次覆工省略型セグメントの接合部(継手部)は、セグメントの組み立て時或いは地震時において、継手部の目開きが変動するが、凹溝付きアンカー4と被覆継手材Bの組み合わせによって前記目開きの変動に対し、柔軟に対応することが出来る。
又、上記セグメントが鉄筋や鋼材を内蔵したRCセグメント、或いはSRCセグメントである場合は、合成樹脂製シート及び被覆継手材が鉄筋や鋼材を環境から遮断し、防食効果を発揮する。それにより、コンクリートの被り量を薄くでき、結果、セグメントの厚さを薄くすることができる。
更に、コンクリート中詰め鋼製セグメントの場合は、コンクリート被りの薄い部分の鋼殻に施す防食塗装を省略できる。
又、本発明によるシールドトンネルは、下水道用、雨水排水用、地下河川、地下通路(洞道)、共同溝等の水密性が要求されるシールドトンネルにも利用できるものである。
【0024】
【発明の効果】
本発明のシールドトンネル用二次覆工省略型セグメントは、請求項1記載の構成により、トンネル構築後に、帯状をした成型品の被覆継手材を接合部を跨ぐ両セグメントの凹溝付きアンカーに押し込むことで定着固定することが出来る。因って、被覆作業を簡単且つ短時間で行なうことが出来ると共に、均一で信頼性のある被覆構造を完成できる。
そして、請求項2記載の構成により、被覆継手材の取り付けは一方向への押し込みで完了でき、定着後は抜け方向の動きが阻止される為、該被覆継手材が剥離する危険はなく、長期に亘って安定した被覆構造を保持することが出来る。
又、請求項3、4記載の構成により、シールドトンネルの内面防食保護、水路の粗度係数改善、下水道等に流入する砂礫等による摩耗防止に適合した二次覆工省略型セグメントを提供できる。
請求項5、6記載の構成により、被覆継手材の押し込みセット部を確実にシールすることが出来る。
更に、請求項7記載の構成により、被覆継手材の押し込みでシール材がはみ出ても、該被覆継手材を合成樹脂製シートと面一にセットすることが出来る。
又、請求項8記載の構成により、セグメントの水密性を高めることが出来ると共に、水圧による合成樹脂製シートの剥離を防止できる。更に、合成樹脂製シート及び被覆継手材が環境から鋼殻を遮断するため、該鋼殻のコンクリート被りの薄い部分に施す防食塗装を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る二次覆工省略型セグメントで構築したトンネルの外観
を示す断面図である。
【図2】同セグメントの接合形態を示す説明斜視図である。
【図3】図2の(3)−(3)線に沿える拡大断面図である。
【図4】同分解斜視図である。
【図5】従来の被覆構造を示す断面図である。
【符号の説明】
A…二次覆工省略型セグメント B、B’…被覆継手材
1…鋼殻 2…コンクリート
3…合成樹脂製シート 4…凹溝付きアンカー
6…シール材 9…逃げ空間
Claims (8)
- 複数のセグメントをトンネルの軸方向及び円周方向に接続することによってシールドトンネルを構築する二次覆工省略型セグメントであって、セグメントのトンネル内空側表面において、セグメント継手面及びリング継手面より所定幅内側位置に、凹溝付きアンカーの開口側を内表面に露出させて埋設固定し、その凹溝付きアンカーより内側のコンクリート表面にシートを被覆し、更に、前記凹溝付きアンカーの凹溝内にシール材を配置充填し、隣接するセグメントの凹溝付きアンカーに亘って断面略門形の被覆継手材を押し込み固定自在としたことを特徴とする二次覆工省略型セグメント。
- 前記凹溝付きアンカーにおける凹溝が、被覆継手材が押し込まれる方向には挿入を許容し、押し込まれた被覆継手材が抜け出る方向には移動を阻止する断面形状を有していることを特徴とする請求項1記載の二次覆工省略型セグメント。
- 前記コンクリートの表面を被覆するシート及びセグメント相互に架設する被覆継手材が、耐食性及び耐摩耗性に優れた金属製部材で形成されていることを特徴とする請求項1又は2項記載の二次覆工省略型セグメント。
- 前記コンクリートの表面を被覆するシート及びセグメント相互に架設する被覆継手材が、耐食性及び耐摩耗性に優れた合成樹脂材、又は繊維強化樹脂材で形成されていることを特徴とする請求項1又は2項記載の二次覆工省略型セグメント。
- 前記凹溝付きアンカーの凹溝内に充填するシール材が、柔軟性の特性をもつ素材であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の二次覆工省略型セグメント。
- 前記凹溝付きアンカーの凹溝内に充填するシール材が、水膨張性材料であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の二次覆工省略型セグメント。
- 前記凹溝付きアンカーの上面と、そのアンカーに押し込み取付けられる被覆継手材の内表面との間に、該被覆継手材の押し込みによってはみ出すシール材の逃げ空間を設けたことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の二次覆工省略型セグメント。
- 前記セグメントは、トンネル内表面をのぞく5面が鋼板で覆われていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の二次覆工省略型セグメント。
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