JP2004131880A - コンベアベルト補強用織物 - Google Patents

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Takashi Yoshitomi
吉冨 孝
Hirosuke Watanabe
渡邊 博佐
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Abstract

【課題】高剛性、高強力と耐疲労性とが両立可能で、しかも軽量で、廃棄処分が容易なコンベアベルト補強用の織物を提供すること。
【解決手段】コンベアベルト補強用の織物であって、該織物はタテ糸とヨコ糸とを互いに交差させ、これらに絡み糸を絡ませた組織から成り、且つ該タテ糸が、1段目に1本に引き揃えられたマルチフィラメント糸に下撚りをかけ、2段目に該下撚り糸2本以上を引き揃えて中撚りをかけ、さらに3段目に該中撚り糸4本以上を引き揃えて中撚り糸の逆方向に上撚りをかけた3段撚り構造からなる芳香族ポリアミド繊維の諸撚糸である。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコンベアベルトを補強するための芯体織物として使用される補強用織物に関するものであり、特に、その耐久性および接着性に優れた、コンベアベルトの補強用織物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンベヤベルトは、一般に、ゴム層の内部に、強度を確保するための補強層が埋設されている。この補強層としては、コンベヤベルトの用途に応じ、ナイロン等の有機繊維からなる織物やスチールコード等が従来から使用されている。
【0003】
中でも、補強層としてスチールコードを埋設したコンベヤベルトは、ナイロン等の有機繊維からなる織物を埋設したコンベヤベルトよりもはるかに強度が高く、高張力が要求される用途に適している。しかし、このコンベヤベルトは、スチールコードを使用するが故に重量が重く、腐食(さび)を生じやすく、廃棄処分する際に手間がかかるという欠点があった。
【0004】
このような問題を解決するため、近年、従来の有機繊維よりもはるかに高強度・高剛性のアラミド繊維からなる織物やコードが使用されるようになってきている。
【0005】
つまり、アラミド繊維コードは優れた強力、弾性率、寸法安定性等の特性を有している上、軽量で、廃棄処分が容易なため、コンベヤベルトの他、苛酷な条件下で使用されるタイヤ、ベルト、ホース等のゴム複合体の補強用繊維として有用であり、スチールやワイヤ代替の軽量化補強繊維として今後ますます需要拡大が期待されている。
【0006】
このようなアラミド繊維をコンベヤベルトの補強層として使用する場合、一般に、タテ糸とヨコ糸とが単に交差して置かれているだけで、通常の平織のようにタテ糸とヨコ糸が絡み合っておらず、タテ糸とヨコ糸とを別の絡み糸で絡めることにより、実質的にタテ糸とヨコ糸とが直線状に配置されたストレートワープ織と称される特殊織物を使用する。
【0007】
そして、これら特殊織物のタテ糸は、強力利用率を上げるため引き揃えを重視した3段撚り構成、すなわち1段目に1本に引き揃えられたマルチフィラメント糸に下撚りをかけ、2段目に該下撚り糸2本以上を引き揃えて中撚りをかけ、さらに3段目に該中撚り糸を引き揃えて中撚り糸の逆方向に上撚りをかけた3段撚り構成となっていることが多い。
【0008】
例えば、特公平5−43608号公報には、1段目に1本に引き揃えられたマルチフィラメント糸に下撚りをかけ、2段目に該下撚り糸2本以上を引き揃えて中撚りをかけ、さらに3段目に該中撚り糸を2本又は3本引き揃えて中撚り糸の逆方向に上撚りをかけた3段撚り構成のタテ糸を使用することが開示されている。
【0009】
しかしながら、上記方法においては、繊維が充分に引き揃えられて強力利用率は向上するものの、耐疲労性については充分な向上効果が得られないという問題があった。
【0010】
つまり、コンベヤベルトの補強層として使用する織物のタテ糸を、強力利用率の向上を重視した構成にすると、伸長、圧縮の繰り返しによる耐疲労性が悪くなり、コンベヤベルトの補強層としてアラミド繊維を使用しても、高剛性、高強力と耐疲労性とが両立できず、結局高張力が要求される用途には使用できないという問題があった。
【0011】
【特許文献1】
特公平5−43608号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上記従来技術の有する問題点を解消し、高剛性、高強力と耐疲労性とが両立可能で、しかも軽量で、廃棄処分が容易なコンベアベルト補強用の織物を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、3段撚り構成における上撚りの引揃え本数を4本以上とするとき、強力利用率を維持しつつ、繰り返し変形に対する耐疲労性を著しく向上させることが可能であることを究明した。
【0014】
かくして本発明によれば、コンベアベルト補強用の織物であって、該織物はタテ糸とヨコ糸とを互いに交差させ、これらに絡み糸を絡ませた組織から成り、且つ該タテ糸が、1段目に1本に引き揃えられたマルチフィラメント糸に下撚りをかけ、2段目に該下撚り糸2本以上を引き揃えて中撚りをかけ、さらに3段目に該中撚り糸4本以上を引き揃えて中撚り糸の逆方向に上撚りをかけた3段撚り構造からなる芳香族ポリアミド繊維の諸撚糸であることを特徴とするコンベアベルト補強用織物が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明におけるコンベヤベルトとは、たとえば上部カバーゴム層及び下部カバーゴム層との間に織物(芯体織物と呼ばれる)からなる補強層を埋設しているものである。この補強層は2層以上でもよく、2層以上の補強層を有する場合は通常補強層間にゴム層が存在する。
【0016】
上記芯体織物としては、タテ糸とヨコ糸とを互いに交差させ、これに絡み糸を絡ませた組織からなり、通常の平織のようにタテ糸とヨコ糸が絡み合っておらず、実質的にタテ糸とヨコ糸とが直線状に配置されたストレートワープ織と称される特殊織物が好ましく使用される。
【0017】
そして、本発明においては、上記芯体織物のタテ糸が、1段目に1本に引き揃えられたマルチフィラメント糸に下撚りをかけ、2段目に該下撚り糸2本以上を引き揃えて中撚りをかけ、さらに3段目に該中撚り糸4本以上を引き揃えて中撚り糸の逆方向に上撚りをかけた3段撚り構造からなる芳香族ポリアミド繊維の諸撚糸であることが肝要である。
【0018】
ここで、アラミド繊維とは下記一般式で表される繰り返し単位のうちの1種又は2種以上からなる重合体、または共重合体からなる繊維であり、13.2cN/dtex以上の引張強度を有するものが好ましく例示される。
【0019】
【化1】
Figure 2004131880
【0020】
ここでR、Rは同一でも相異なっていてもよく、水素原子、炭素数5以下のアルキル基から選ばれる。炭素数5以下のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基などが挙げられ、好ましくは水素原子である。またArとしては下記一般式を例示することが出来る。
【0021】
【化2】
Figure 2004131880
【0022】
ここで、芳香族基としては例えば1、4−フェニレン基、1、3−フェニレン基、4、4´−ビフェニレン基、1、5−ナフチレン基、2、6−ナフチレン基、2、5−ピリジレン基などを挙げることができるが、好ましくは1、4−フェニレン基が選ばれる。
【0023】
また、上記芳香族基は例えばハロゲン基(例えば塩素、臭素、フッ素)、低級アルキル基(メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基)、低級アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基)、シアノ基、アセチル基、ニトロ基などを置換基として含んでいても良い。
【0024】
上記重合体または共重合体からなる繊維の代表例としては、ポリパラアミノベンズアミド、ポリパラフェニレンテレフタラミド、ポリパラアミノベンズヒドラジドテレフタルアミド、ポリテレフタル酸ヒドラジド、ポリメタフェニレンイソフタラミドなどもしくはこれらの共重合体からなる繊維を挙げることができる。
【0025】
上記アラミド繊維を構成するポリマーの分子量、繊維の繊度、フィラメント数、断面形状、繊維物性、微細構造、添加剤含有の有無等にはなんら限定はなく、従来公知のものが任意に採用できる。
【0026】
本発明において、1段目の下撚り、2段目の中撚り、さらに3段目の上撚りの撚り数は、10cm当たり5〜15回、特に7〜10回程度が好ましい。該撚り数が10cm当たり5回未満の場合は屈曲時の原糸の座屈が生じやすく、成形後のベルトの耐疲労性が低下することがあり、一方該撚り数が10cm当たり15回を越える場合は原糸の強力寄与率が低下して、撚糸の切断強度が低下することがある。
【0027】
上記の撚糸に使用する撚糸機としては、リング撚糸機、2重撚糸機、イタリー撚糸機などがあげられるが、特に限定されない。
【0028】
次いで、本発明においては、上記のアラミド繊維コードを織物とするが、その際、アラミド繊維コードをタテ糸に用い、ヨコ糸と交差させて別の絡み糸で絡めることにより、実質的にタテ糸とヨコ糸とが直線状に配置されたストレートワープ織などの特殊織物とすることが好ましい。
【0029】
ここで、使用するヨコ糸としては、撚りを施したポリエステル長繊維などが好ましく例示される。
【0030】
また、絡み糸としては、ポリエステル長繊維などが好ましく例示され、その繊度は2000〜300dtex程度が好ましい。
【0031】
アラミド繊維コードをタテ糸に配して得られた織物は、次いでエポキシを主成分とする第一処理剤、続いてレゾルシン、ホルマリン、ゴムラテックスを主成分とする第二処理剤で表面処理されることが好ましい。
【0032】
この表面処理は、コンベヤベルトの上部カバーゴム層及び下部カバーゴム層との接着を高めるための手段であり、第一処理剤及び第二処理剤の付着量はそれぞれ0.3〜1.5重量%及び4.0〜8.0重量%であることが好ましい。
【0033】
また、第一処理剤及び第二処理剤を付着させる際の熱処理温度はそれぞれ180〜245℃及び180〜245℃であることが好ましい。
【0034】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。尚、実施例中の各物性は下記の方法により測定した。
【0035】
(1)タテ糸の強力
接着処理後の補強布からタテ糸を抜き取り、JIS L1013法に準じてその切断点の強力を求めた。
【0036】
(2)疲労時強力保持率
ベルト式疲労テスターを用い、厚さ2mmのゴムシート2枚の間に、補強布を挟み、150℃で30分間、491×10Pa(50kg/cm)のプレス圧力で加硫して得られたシートを、50mm幅×500mm長さのベルト形状に切断した後、25kgの荷重をかけて直径100mmのローラーに取り付け、該ローラーを120℃の雰囲気下で、120rpmで20万回往復運動させた後、コードを取り出し残強力を測定してその強力保持率を求めた。
【0037】
[実施例1〜3、比較例1〜3]
24.7cN/dtexの引張強度を有するアラミド繊維(帝人(株)製、テクノーラT−200)を表1に示す構成で撚糸コードとしてタテ糸に用い、切断伸度が24%のポリエチレンテレフタレート繊維(帝人(株)製、「S504R」)からなる1670dtex/2の撚糸コードをヨコ糸として用いて、タテ糸が表1に示すエンド数、ヨコ糸が15本/5cmのエンド数となるように、1670dtexのポリエチレンテレフタレート繊維からなる絡み糸で絡めて、図1に示す組織を有する補強用織物を製造した。
【0038】
次に、得られた補強用織物を、第一処理剤であるエポキシ水系エマルジョン、続いて第二処理液であるレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスを含む水分散液にて接着処理を施した。
【0039】
次いで、接着処理した補強用織物の両面に厚さ2mmのSBRゴムを配置し、金型内で150℃、30分の加熱を行って疲労時強力保持率測定用のシートを得た。
【0040】
接着処理後の補強布から抜き取ったタテ糸の強力、及びゴム補強体の疲労時強力保持率を表1に併せて示す。
【0041】
【表1】
Figure 2004131880
【0042】
表1から明らかな如く、タテ糸の単位繊度あたりの強力は上撚り本数に関係なくほぼ一定であるが、疲労時強力保持率は、上撚り本数が4本以上の場合顕著に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の補強用織物の組織の1例を示す組織図。
【符号の説明】
○  ヨコ糸
×  絡み糸
無印 タテ糸

Claims (1)

  1. コンベアベルト補強用の織物であって、該織物はタテ糸とヨコ糸とを互いに交差させ、これらに絡み糸を絡ませた組織から成り、且つ該タテ糸が、1段目に1本に引き揃えられたマルチフィラメント糸に下撚りをかけ、2段目に該下撚り糸2本以上を引き揃えて中撚りをかけ、さらに3段目に該中撚り糸4本以上を引き揃えて中撚り糸の逆方向に上撚りをかけた3段撚り構造からなる芳香族ポリアミド繊維の諸撚糸であることを特徴とするコンベアベルト補強用織物。
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