JP2004131352A - 光ファイバ母材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロッドインチューブ法による光ファイバ母材の製造方法において、製造条件の最適化を行って、寸法の種類の少ない材料であっても、母材化の条件を極力一定にする。
【解決手段】与えられた仕様に基づいて、コアの直径に対するクラッドの外径の比率の目標値(目標C/C値)を得るために選択されたクラッドパイプ及びガラスロッドの組み合わせによって得られる光ファイバ母材の製造方法において、予想C/C値又は予想カットオフ波長の少なくとも一方が所定の範囲外にあるときに、ガラスロッドとクラッドパイプとの炉への挿入速度の比率である送り比を変更した後、予想C/C値又は予想カットオフ波長を再計算する工程を包含する。
【選択図】 図1
【解決手段】与えられた仕様に基づいて、コアの直径に対するクラッドの外径の比率の目標値(目標C/C値)を得るために選択されたクラッドパイプ及びガラスロッドの組み合わせによって得られる光ファイバ母材の製造方法において、予想C/C値又は予想カットオフ波長の少なくとも一方が所定の範囲外にあるときに、ガラスロッドとクラッドパイプとの炉への挿入速度の比率である送り比を変更した後、予想C/C値又は予想カットオフ波長を再計算する工程を包含する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロッドインチューブ法を用いる光ファイバ母材の製造方法に関し、特に、その製造条件を最適にするための対策に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の光ファイバ母材の製造方法として、OVD(Outside Vapor−phase Deposition)法、VAD(Vapor−phase Axial Deposition)法及びMCVD(Modified Chemical Vapor Deposition)法の3つが主に用いられている。このVAD法やMCVD法を用いて光ファイバ母材を製造する場合、生産性を向上させる観点から、光ファイバ母材の大部分を占めるクラッドを別工程によって形成する手法が採用されている。この手法の1つにロッドインチューブ法がある(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
このようなロッドインチューブ法において、例えば図2に示すように、VAD法やMCVD法を用いて製造したコア用のガラスロッド(又はコア及びクラッドの一部となる部分を含むものもある)11をクラッドパイプ12に挿入した後、ガラスロッド11とクラッドパイプ12とを電気炉(ヒータ)13でガラスの融点以上に加熱することによって両者を一体化させ、場合によっては同時に延伸を行い、光ファイバ母材(プリフォーム)14を得る(以下、この工程を母材化という)。このときクラッドパイプ12の内部空間15を減圧することによるクラッドパイプ12の内外の圧力差を利用して、ガラスロッド11とクラッドパイプ12とを一体化することが知られている。
【0004】
上記方法により得られる光ファイバ母材14は、与えられた仕様の光ファイバ特性(カットオフ波長λc)を有している必要がある。このカットオフ波長λcは、コアとクラッドとの比屈折率差ΔN、及びコアの直径に対するクラッドの外径の比率(コアクラッド比C/C)から計算することができる。従って、与えられた仕様のカットオフ波長λc及び比屈折率差ΔNに基づいて、製造する光ファイバ母材におけるコアクラッド比C/Cの目標値(目標C/C値)を決定することができる。この目標C/C値を決定すれば、目標C/C値を得るために必要なガラスロッド11の断面積SR及び目標C/C値を得るために必要なクラッドパイプ12の断面積Spを算出することができる。このため、理論的には、上記断面積SRを有するガラスロッド11及び上記断面積Spを有するクラッドパイプ12をそれぞれ用意しておき、両者を組み合わせて母材化を行えば、与えられた仕様のカットオフ波長λcを有する光ファイバ母材14を得ることが可能となる。
【0005】
しかしながら、実際には、用意するクラッドパイプ12の断面積Spは一般に各パイプごとに±5%程度の製造誤差を有するため、用意したクラッドパイプ12のうちの任意の1つと、用意したガラスロッド11のうちの任意の1つとを組み合わせて母材化を行っても、目標C/C値から所定の範囲内のC/C値を有する光ファイバ母材が得られないことがある。
【0006】
また、その製法の特徴からガラスロッドとクラッドパイプとを一体化させる際に、空隙、異物の混入等による輝点及びコア偏心が発生しやすく、これらを抑制するには母材化条件を極力一定にすることが望ましい。
【0007】
上記母材化条件とは、例えば炉内の温度、ガラスロッドとクラッドパイプとの送り速度及びその比率(送り比)、母材の引取り速度、ガラスロッド及びクラッドパイプ間のすきま(クリアランス)、ガラスロッド及びクラッドパイプ間の減圧度、炉内の不活性ガスの流量等をいう。
【0008】
そこで、本出願人は、目標C/C値から所定の範囲内のC/C値を有する光ファイバ母材を簡便なプロセスで効率よく製造する方法として、与えられた仕様に基づいて、製造する光ファイバ母材における目標C/C値を決定する工程と、複数のガラスロッドから1つのガラスロッドを選択する工程と、複数のクラッドパイプを用意する工程と、上記選択された1つのガラスロッドの比屈折率差及び断面積に基づいて、上記目標C/C値を得るために必要なクラッドパイプの目標断面積Sを算出する工程と、上記複数のクラッドパイプの中から上記目標断面積Sに最も近い断面積を有するクラッドパイプを選択する工程とを包含するものを提案している(特許文献3参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平7−10580号公報
【特許文献2】
特開2000−178039号公報
【特許文献3】
特開2001−139338号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献3のものであっても、クラッドパイプの種類の最適化が十分とはいえず、また近年クラッドパイプの大型化が進んで高価になっており、この高価なクラッドパイプの在庫費用がかさむこととなるため、改良の余地がある。
【0011】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ロッドインチューブ法による光ファイバ母材の製造方法において、炉内で同時に加熱させるガラスロッドとクラッドパイプとの供給量の比を操作することにより、寸法の種類の少ない材料であっても、母材化の条件を極力一定にし、製造条件の最適化を行おうとすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明では、ロッドインチューブ法を用いた光ファイバ母材の製造方法において、コア用の複数のガラスロッドから1つのガラスロッドを選択する工程と、与えられた仕様に基づいて、製造する光ファイバ母材におけるコアの直径に対するクラッドの外径の比率の目標値である目標C/C値を決定する工程と、選択された1つのガラスロッドの比屈折率差及び断面積に基づいて、目標C/C値を得るために必要なクラッドパイプの断面積の目標値である目標断面積Sを算出する工程と、複数のクラッドパイプの中から目標断面積Sに最も近い断面積を有するクラッドパイプを選択するパイプ選択工程と、選択されたクラッドパイプ及びガラスロッドの組み合わせによって得られる光ファイバ母材について、コアの直径に対するクラッドの外径の比率の予想値である予想C/C値又は予想カットオフ波長の少なくとも一方を算出する工程と、算出された予想C/C値と上記目標C/C値との差、又は上記算出された予想カットオフ波長と上記与えられた仕様のカットオフ波長との差の少なくとも一方が所定の範囲内にあるか否かを判定する第1判定工程と、この第1判定工程において、C/C値の差又はカットオフ波長の差の少なくとも一方が所定の範囲外にあるときに、ガラスロッドとクラッドパイプとの炉への挿入速度の比率である送り比を変更した後、予想C/C値又は予想カットオフ波長を再計算する工程と、送り比が所定の範囲内にあるか否かを判定する第2判定工程と、送り比が所定の範囲内にあれば、新たに算出された予想C/C値と上記目標C/C値との差、又は新たに算出された予想カットオフ波長と与えられた仕様のカットオフ波長との差との少なくとも一方が所定の範囲内にあるか否かを判定する第3判定工程と、上記第1及び第3判定工程において、C/C値の差又はカットオフ波長の差の少なくとも一方が所定の範囲内にあるときに、母材化を実行する工程と、送り比が所定の範囲内になければ、母材化を中止する工程とを包含する。
【0013】
上記の構成によると、ガラスロッド及びクラッドパイプの送り比が1である場合には母材化が実行不能であるような場合であっても、送り比を変更することで寸法の種類が少ないクラッドパイプから広範囲のコアクラッド比C/Cの光ファイバ母材を製造することができる。従って、最小限のクラッドパイプの在庫から多くの仕様を満たした光ファイバ母材が製造される。
【0014】
また、送り比を所定の範囲内で変更することで、母材化の条件を極力一定にし、製造条件の最適化を行うことができるため、光ファイバ母材の輝点及びコア偏心の発生を抑制することができる。
【0015】
請求項2の発明では、パイプ選択工程で選択される複数のクラッドパイプは、公称断面積が最小値から最大値まで最小値の15〜30%間隔で変化するものとする。
【0016】
上記の構成によると、15〜30%間隔の公称断面積を有する複数のクラッドパイプを在庫として保有しておけば、ガラスロッド及びクラッドパイプの送り比を調整することで、広範囲の仕様の光ファイバ母材を製造することができるため、最小限の種類による好適なクラッドパイプの在庫が実現できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法の各工程を示す工程図である。
【0018】
まず、コア用の複数のガラスロッドから1つのガラスロッドを選択する(工程S11)。ガラスロッドは、例えばVAD法やMCVD法を用いて別工程で形成されたガラスロッド(又はコア及びクラッドの一部となる部分を含むものもある)を用いる。上記1つのガラスロッドは、予め用意した複数のガラスロッドから任意に選択すればよく、例えばコア及びクラッドの一部となる部分を含むVADロッドからなる。
【0019】
次に、与えられた仕様に基づいて、製造する光ファイバ母材における、コアの直径に対するクラッドの外径(母材の外径)の比率であるコアクラッド比C/Cの目標値(目標C/C値)を決定する(工程S12)。このコアクラッド比C/Cは光ファイバ母材の屈折率が大きいものほど大きくなる。ここで、与えられた仕様のカットオフ波長λcは例えば1.28であり、これを目標カットオフ波長λcとしている。この目標カットオフ波長λcを得るための目標C/C値は、下記式(I)によって決定することができる。
【0020】
目標C/C値=14.5×(ΔN/0.350)0.5×K …(I)
【0021】
すなわち、上記目標C/C値は理想状態の14.5に(ΔN/0.350)0.5及びKの補正項を掛けたものである。ここで、(ΔN/0.350)0.5の項は比屈折率差の補正項であり、ΔNはコア・クラッド間の比屈折率差を意味する。ΔNの標準値は0.350であり、このΔNを0.350で割った値の平方根の項を目標C/Cの値に乗じることによって、比屈折率差の補正を行う。一方、上記Kの項は形状の補正項であり、その標準値は1.00であるが、コアガラスの製造に用いるすす付けバーナの器差などによってKが1.00以外の値をとる。このため、目標C/Cの値にKを乗じて補正を行う。例えば、ΔNが0.330〜0.370であり、またKが0.95〜1.00である場合、目標C/C値は13.38〜14.91となる。
【0022】
次に、選択された1つのガラスロッドの比屈折率差ΔN及び断面積に基づいて、目標C/C値を得るために必要なクラッドパイプの断面積の目標値(目標断面積S)を算出する(工程S13)。目標断面積Sは下記式(II)から算出することができる。
【0023】
【0024】
上記DvはVADロッドの外径を表し、またdはVADロッドに含まれるコアの直径を表している(図2参照)。さらに、Vはガラスロッドとクラッドパイプとの炉への挿入速度の比率である送り比を表している。上記{S+(π/4)×(Dv×V0.5)2]の項は、一体化後の母材の面積を表し、[{S+(π/4)×(Dv×V0.5)2]・(4/π)]0.5の項は、一体化した母材の外径を表している。そして、Dv及びdにV0.5の項が掛けられることで、送り比Vの平方根を掛けたものが見かけ上のVADロッド外径及びコアの直径となっている。
【0025】
上記工程S13で目標断面積Sを算出した後、在庫にある複数のクラッドパイプのうちから目標断面積Sに最も近い断面積を有するクラッドパイプを選択する(パイプ選択工程S14)。クラッドパイプは、例えばOVD法などで形成したガラス微粒堆積体の軸心に孔を設けた後、脱水・焼結を行って透明ガラス化することによって製造される。ここで、上記複数のクラッドパイプは、公称断面積が最小値から最大値まで最小値の15〜30%間隔で変化するものであるとし、例えば、内径が同じで2種類以上の外径のものを用意する。尚、各クラッドパイプの断面積についてのデータベースが作成されているときには、工程S13〜S14をソフトウェアを用いて実行することも可能である。
【0026】
上記工程S14を実行した後、選択されたクラッドパイプ及びガラスロッドの組み合わせによって得られる光ファイバ母材について、コアの直径に対するクラッドの外径の比率の予想値(予想C/C値)又は予想カットオフ波長の少なくとも一方を算出する(工程S15)。このとき、予想C/C値及び予想カットオフ波長のどちらを算出するかは適宜判断すればよく、両方を算出してもよい。
【0027】
次に、上記算出された予想C/C値と上記目標C/C値との差、又は上記算出された予想カットオフ波長と上記与えられた仕様のカットオフ波長との差の少なくとも一方が所定の範囲内にあるか否かを判定する(第1判定工程S16)。尚、送り比Vの初期値は1とし、ガラスロッドとクラッドパイプとの炉への挿入速度は等しいものとする。
【0028】
上記第1判定工程S16の判定がYESの場合には、上記組合せを用いて母材化を実行し、光ファイバ母材を製造する。母材化は公知の技術を用いて行えばよい。尚、母材化の前にガラスロッドとクラッドパイプとのクリアランスc(図2に示す)、すなわち、ガラスロッドの外径とクラッドパイプの内径との差を1/2した値が所定の範囲内にあるか否かを判定するのが望ましい。例えば、クリアランスcが1mm〜3mmにあれば、母材化を実行する一方、クリアランスcが1mmより小さいか、又は3mmよりも大きいときには、母材化を中止すればよい。
【0029】
一方、上記第1判定工程S16の判定がNOの場合には、上記送り比Vの値を変更し、予想C/C又は予想セットオフ波長の少なくとも一方を再計算する(工程S17)。このように送り比Vを変更することで、同じ寸法のクラッドパイプであっても広範囲のコアクラッド比C/Cを有する母材を製造することができる。
【0030】
次に、送り比Vが所定の範囲内にあるかを判定する(第2判定工程S18)。この送り比Vの所定の範囲は例えば0.85〜1.0とする。この送り比Vの変化は母材化条件に大きな影響を及ぼすことから、一定の範囲にとどめることが必要である。従って、判定がNOのときには、母材化を中止する。この場合、別のクラッドパイプを新たに用意することや、ガラスロッドを延伸加工することなどによって、母材化を実行することが可能になる。
【0031】
一方、上記第2判定工程S18の判定がYESのときには、新たに算出された予想C/C値と上記目標C/C値との差、又は上記新たに算出された予想カットオフ波長と上記与えられた仕様のカットオフ波長との差との少なくとも一方が所定の範囲内にあるか否かを判定する(第3判定工程S19)。そして、判定がYESの場合には、上記と同様に母材化を実行する。一方、判定がNOの場合には、上記工程S17を実行し、送り比Vをさらに変更して再計算を行う。これにより、最適な送り比Vが得られる。尚、この繰返し計算はソフトウェアによって行われるのが望ましい。また、必ずしも、この繰返し計算を設けなくてもよく、上記判定がNOの場合には、母材化を中止してもよい。
【0032】
従って、本発明の実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法によると、従来の光ファイバ母材の製造方法では母材化が実行不能であるようなガラスロッド及びクラッドパイプの組み合わせであっても、送り比Vを変更することで母材化が可能となり、寸法の種類が少ないクラッドパイプから広範囲のクラッド比C/Cの光ファイバ母材を製造することができる。よって、最小限のクラッドパイプの在庫から広範囲の仕様を満たした光ファイバ母材が製造される。
【0033】
また、送り比を所定の範囲内で変更することで、母材化の条件を極力一定にして製造条件の最適化を行うことができる。よって、光ファイバ母材の輝点及びコア偏心の発生を抑制することができる。
【0034】
さらに、送り比Vを変更することで寸法の種類が少ないクラッドパイプから広範囲のクラッド比C/Cの光ファイバ母材を製造することができるため、公称断面積が最小値から最大値まで最小値の15〜30%間隔で変化する複数のクラッドパイプを在庫として保有しておけば、広範囲のコアクラッド比C/Cを有する光ファイバ母材の製造をカバーすることが可能となる。従って、上記実施形態の作用効果により、寸法の種類が少ない好適なクラッドパイプの在庫が実現できる。
【0035】
【実施例】
次に、具体的に実施した実施例について説明する。VADロッド外径Dvが50mmのガラスロッドを6本と、外径が200mmで内径が54mmのクラッドパイプ3本及び外径が180mmで内径が54mmのクラッドパイプ3本とを用意して、各々のガラスロッドとクラッドパイプとの組み合わせで上記実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法を実施した結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
この表1の結果から、内径が同じで外径の異なる2種類の公称値のクラッドパイプを用意すれば、VADの器差やすす付け条件による製造時のばらつきを相当な広範囲でカバーすることが可能であることが判った。
【0038】
すなわち、外径の大きいパイプと外径の小さいパイプとの公称断面積の比率が1.26のときに、これらの2種類のクラッドパイプのみを用いても、送り比Vを1.00又は0.85に適切に調整することで、コアクラッド比C/Cが3.6〜4.3という広範囲に亘り母材化条件を一定にできることが判明した。
【0039】
従って、本発明の光ファイバ母材の製造方法によって、最小限のクラッドパイプの在庫から広範囲の仕様を満たした光ファイバ母材を製造できることが判った。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明の光ファイバ母材の製造方法によると、与えられた仕様に基づく目標C/C値を得るために選択されたクラッドパイプ及びガラスロッドの組み合わせによって得られる光ファイバ母材について、予想C/C値又は予想カットオフ波長の少なくとも一方が所定の範囲外にあるときに、ガラスロッドとクラッドパイプとの送り比を変更した後、予想C/C値又は予想カットオフ波長を再計算する工程を包含させたことにより、最小限のクラッドパイプの在庫により、多くの仕様を満たした光ファイバ母材が製造されると共に、光ファイバ母材の輝点及びコア偏心の発生を抑制することができる。
【0041】
請求項2の発明によると、パイプ選択工程で選択される複数のクラッドパイプは、公称断面積が最小値から最大値まで最小値の15〜30%間隔で変化するものとしたことにより、好適なクラッドパイプの在庫が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法の工程を示す工程図である。
【図2】ロッドインチューブ法による光ファイバ母材の製造方法の説明図である。
【符号の説明】
11 ガラスロッド
12 クラッドパイプ
13 電気炉
14 光ファイバ母材
λc カットオフ波長
S 目標断面積
C/C コアクラッド比
V 送り比
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロッドインチューブ法を用いる光ファイバ母材の製造方法に関し、特に、その製造条件を最適にするための対策に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の光ファイバ母材の製造方法として、OVD(Outside Vapor−phase Deposition)法、VAD(Vapor−phase Axial Deposition)法及びMCVD(Modified Chemical Vapor Deposition)法の3つが主に用いられている。このVAD法やMCVD法を用いて光ファイバ母材を製造する場合、生産性を向上させる観点から、光ファイバ母材の大部分を占めるクラッドを別工程によって形成する手法が採用されている。この手法の1つにロッドインチューブ法がある(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
このようなロッドインチューブ法において、例えば図2に示すように、VAD法やMCVD法を用いて製造したコア用のガラスロッド(又はコア及びクラッドの一部となる部分を含むものもある)11をクラッドパイプ12に挿入した後、ガラスロッド11とクラッドパイプ12とを電気炉(ヒータ)13でガラスの融点以上に加熱することによって両者を一体化させ、場合によっては同時に延伸を行い、光ファイバ母材(プリフォーム)14を得る(以下、この工程を母材化という)。このときクラッドパイプ12の内部空間15を減圧することによるクラッドパイプ12の内外の圧力差を利用して、ガラスロッド11とクラッドパイプ12とを一体化することが知られている。
【0004】
上記方法により得られる光ファイバ母材14は、与えられた仕様の光ファイバ特性(カットオフ波長λc)を有している必要がある。このカットオフ波長λcは、コアとクラッドとの比屈折率差ΔN、及びコアの直径に対するクラッドの外径の比率(コアクラッド比C/C)から計算することができる。従って、与えられた仕様のカットオフ波長λc及び比屈折率差ΔNに基づいて、製造する光ファイバ母材におけるコアクラッド比C/Cの目標値(目標C/C値)を決定することができる。この目標C/C値を決定すれば、目標C/C値を得るために必要なガラスロッド11の断面積SR及び目標C/C値を得るために必要なクラッドパイプ12の断面積Spを算出することができる。このため、理論的には、上記断面積SRを有するガラスロッド11及び上記断面積Spを有するクラッドパイプ12をそれぞれ用意しておき、両者を組み合わせて母材化を行えば、与えられた仕様のカットオフ波長λcを有する光ファイバ母材14を得ることが可能となる。
【0005】
しかしながら、実際には、用意するクラッドパイプ12の断面積Spは一般に各パイプごとに±5%程度の製造誤差を有するため、用意したクラッドパイプ12のうちの任意の1つと、用意したガラスロッド11のうちの任意の1つとを組み合わせて母材化を行っても、目標C/C値から所定の範囲内のC/C値を有する光ファイバ母材が得られないことがある。
【0006】
また、その製法の特徴からガラスロッドとクラッドパイプとを一体化させる際に、空隙、異物の混入等による輝点及びコア偏心が発生しやすく、これらを抑制するには母材化条件を極力一定にすることが望ましい。
【0007】
上記母材化条件とは、例えば炉内の温度、ガラスロッドとクラッドパイプとの送り速度及びその比率(送り比)、母材の引取り速度、ガラスロッド及びクラッドパイプ間のすきま(クリアランス)、ガラスロッド及びクラッドパイプ間の減圧度、炉内の不活性ガスの流量等をいう。
【0008】
そこで、本出願人は、目標C/C値から所定の範囲内のC/C値を有する光ファイバ母材を簡便なプロセスで効率よく製造する方法として、与えられた仕様に基づいて、製造する光ファイバ母材における目標C/C値を決定する工程と、複数のガラスロッドから1つのガラスロッドを選択する工程と、複数のクラッドパイプを用意する工程と、上記選択された1つのガラスロッドの比屈折率差及び断面積に基づいて、上記目標C/C値を得るために必要なクラッドパイプの目標断面積Sを算出する工程と、上記複数のクラッドパイプの中から上記目標断面積Sに最も近い断面積を有するクラッドパイプを選択する工程とを包含するものを提案している(特許文献3参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平7−10580号公報
【特許文献2】
特開2000−178039号公報
【特許文献3】
特開2001−139338号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献3のものであっても、クラッドパイプの種類の最適化が十分とはいえず、また近年クラッドパイプの大型化が進んで高価になっており、この高価なクラッドパイプの在庫費用がかさむこととなるため、改良の余地がある。
【0011】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ロッドインチューブ法による光ファイバ母材の製造方法において、炉内で同時に加熱させるガラスロッドとクラッドパイプとの供給量の比を操作することにより、寸法の種類の少ない材料であっても、母材化の条件を極力一定にし、製造条件の最適化を行おうとすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明では、ロッドインチューブ法を用いた光ファイバ母材の製造方法において、コア用の複数のガラスロッドから1つのガラスロッドを選択する工程と、与えられた仕様に基づいて、製造する光ファイバ母材におけるコアの直径に対するクラッドの外径の比率の目標値である目標C/C値を決定する工程と、選択された1つのガラスロッドの比屈折率差及び断面積に基づいて、目標C/C値を得るために必要なクラッドパイプの断面積の目標値である目標断面積Sを算出する工程と、複数のクラッドパイプの中から目標断面積Sに最も近い断面積を有するクラッドパイプを選択するパイプ選択工程と、選択されたクラッドパイプ及びガラスロッドの組み合わせによって得られる光ファイバ母材について、コアの直径に対するクラッドの外径の比率の予想値である予想C/C値又は予想カットオフ波長の少なくとも一方を算出する工程と、算出された予想C/C値と上記目標C/C値との差、又は上記算出された予想カットオフ波長と上記与えられた仕様のカットオフ波長との差の少なくとも一方が所定の範囲内にあるか否かを判定する第1判定工程と、この第1判定工程において、C/C値の差又はカットオフ波長の差の少なくとも一方が所定の範囲外にあるときに、ガラスロッドとクラッドパイプとの炉への挿入速度の比率である送り比を変更した後、予想C/C値又は予想カットオフ波長を再計算する工程と、送り比が所定の範囲内にあるか否かを判定する第2判定工程と、送り比が所定の範囲内にあれば、新たに算出された予想C/C値と上記目標C/C値との差、又は新たに算出された予想カットオフ波長と与えられた仕様のカットオフ波長との差との少なくとも一方が所定の範囲内にあるか否かを判定する第3判定工程と、上記第1及び第3判定工程において、C/C値の差又はカットオフ波長の差の少なくとも一方が所定の範囲内にあるときに、母材化を実行する工程と、送り比が所定の範囲内になければ、母材化を中止する工程とを包含する。
【0013】
上記の構成によると、ガラスロッド及びクラッドパイプの送り比が1である場合には母材化が実行不能であるような場合であっても、送り比を変更することで寸法の種類が少ないクラッドパイプから広範囲のコアクラッド比C/Cの光ファイバ母材を製造することができる。従って、最小限のクラッドパイプの在庫から多くの仕様を満たした光ファイバ母材が製造される。
【0014】
また、送り比を所定の範囲内で変更することで、母材化の条件を極力一定にし、製造条件の最適化を行うことができるため、光ファイバ母材の輝点及びコア偏心の発生を抑制することができる。
【0015】
請求項2の発明では、パイプ選択工程で選択される複数のクラッドパイプは、公称断面積が最小値から最大値まで最小値の15〜30%間隔で変化するものとする。
【0016】
上記の構成によると、15〜30%間隔の公称断面積を有する複数のクラッドパイプを在庫として保有しておけば、ガラスロッド及びクラッドパイプの送り比を調整することで、広範囲の仕様の光ファイバ母材を製造することができるため、最小限の種類による好適なクラッドパイプの在庫が実現できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法の各工程を示す工程図である。
【0018】
まず、コア用の複数のガラスロッドから1つのガラスロッドを選択する(工程S11)。ガラスロッドは、例えばVAD法やMCVD法を用いて別工程で形成されたガラスロッド(又はコア及びクラッドの一部となる部分を含むものもある)を用いる。上記1つのガラスロッドは、予め用意した複数のガラスロッドから任意に選択すればよく、例えばコア及びクラッドの一部となる部分を含むVADロッドからなる。
【0019】
次に、与えられた仕様に基づいて、製造する光ファイバ母材における、コアの直径に対するクラッドの外径(母材の外径)の比率であるコアクラッド比C/Cの目標値(目標C/C値)を決定する(工程S12)。このコアクラッド比C/Cは光ファイバ母材の屈折率が大きいものほど大きくなる。ここで、与えられた仕様のカットオフ波長λcは例えば1.28であり、これを目標カットオフ波長λcとしている。この目標カットオフ波長λcを得るための目標C/C値は、下記式(I)によって決定することができる。
【0020】
目標C/C値=14.5×(ΔN/0.350)0.5×K …(I)
【0021】
すなわち、上記目標C/C値は理想状態の14.5に(ΔN/0.350)0.5及びKの補正項を掛けたものである。ここで、(ΔN/0.350)0.5の項は比屈折率差の補正項であり、ΔNはコア・クラッド間の比屈折率差を意味する。ΔNの標準値は0.350であり、このΔNを0.350で割った値の平方根の項を目標C/Cの値に乗じることによって、比屈折率差の補正を行う。一方、上記Kの項は形状の補正項であり、その標準値は1.00であるが、コアガラスの製造に用いるすす付けバーナの器差などによってKが1.00以外の値をとる。このため、目標C/Cの値にKを乗じて補正を行う。例えば、ΔNが0.330〜0.370であり、またKが0.95〜1.00である場合、目標C/C値は13.38〜14.91となる。
【0022】
次に、選択された1つのガラスロッドの比屈折率差ΔN及び断面積に基づいて、目標C/C値を得るために必要なクラッドパイプの断面積の目標値(目標断面積S)を算出する(工程S13)。目標断面積Sは下記式(II)から算出することができる。
【0023】
【0024】
上記DvはVADロッドの外径を表し、またdはVADロッドに含まれるコアの直径を表している(図2参照)。さらに、Vはガラスロッドとクラッドパイプとの炉への挿入速度の比率である送り比を表している。上記{S+(π/4)×(Dv×V0.5)2]の項は、一体化後の母材の面積を表し、[{S+(π/4)×(Dv×V0.5)2]・(4/π)]0.5の項は、一体化した母材の外径を表している。そして、Dv及びdにV0.5の項が掛けられることで、送り比Vの平方根を掛けたものが見かけ上のVADロッド外径及びコアの直径となっている。
【0025】
上記工程S13で目標断面積Sを算出した後、在庫にある複数のクラッドパイプのうちから目標断面積Sに最も近い断面積を有するクラッドパイプを選択する(パイプ選択工程S14)。クラッドパイプは、例えばOVD法などで形成したガラス微粒堆積体の軸心に孔を設けた後、脱水・焼結を行って透明ガラス化することによって製造される。ここで、上記複数のクラッドパイプは、公称断面積が最小値から最大値まで最小値の15〜30%間隔で変化するものであるとし、例えば、内径が同じで2種類以上の外径のものを用意する。尚、各クラッドパイプの断面積についてのデータベースが作成されているときには、工程S13〜S14をソフトウェアを用いて実行することも可能である。
【0026】
上記工程S14を実行した後、選択されたクラッドパイプ及びガラスロッドの組み合わせによって得られる光ファイバ母材について、コアの直径に対するクラッドの外径の比率の予想値(予想C/C値)又は予想カットオフ波長の少なくとも一方を算出する(工程S15)。このとき、予想C/C値及び予想カットオフ波長のどちらを算出するかは適宜判断すればよく、両方を算出してもよい。
【0027】
次に、上記算出された予想C/C値と上記目標C/C値との差、又は上記算出された予想カットオフ波長と上記与えられた仕様のカットオフ波長との差の少なくとも一方が所定の範囲内にあるか否かを判定する(第1判定工程S16)。尚、送り比Vの初期値は1とし、ガラスロッドとクラッドパイプとの炉への挿入速度は等しいものとする。
【0028】
上記第1判定工程S16の判定がYESの場合には、上記組合せを用いて母材化を実行し、光ファイバ母材を製造する。母材化は公知の技術を用いて行えばよい。尚、母材化の前にガラスロッドとクラッドパイプとのクリアランスc(図2に示す)、すなわち、ガラスロッドの外径とクラッドパイプの内径との差を1/2した値が所定の範囲内にあるか否かを判定するのが望ましい。例えば、クリアランスcが1mm〜3mmにあれば、母材化を実行する一方、クリアランスcが1mmより小さいか、又は3mmよりも大きいときには、母材化を中止すればよい。
【0029】
一方、上記第1判定工程S16の判定がNOの場合には、上記送り比Vの値を変更し、予想C/C又は予想セットオフ波長の少なくとも一方を再計算する(工程S17)。このように送り比Vを変更することで、同じ寸法のクラッドパイプであっても広範囲のコアクラッド比C/Cを有する母材を製造することができる。
【0030】
次に、送り比Vが所定の範囲内にあるかを判定する(第2判定工程S18)。この送り比Vの所定の範囲は例えば0.85〜1.0とする。この送り比Vの変化は母材化条件に大きな影響を及ぼすことから、一定の範囲にとどめることが必要である。従って、判定がNOのときには、母材化を中止する。この場合、別のクラッドパイプを新たに用意することや、ガラスロッドを延伸加工することなどによって、母材化を実行することが可能になる。
【0031】
一方、上記第2判定工程S18の判定がYESのときには、新たに算出された予想C/C値と上記目標C/C値との差、又は上記新たに算出された予想カットオフ波長と上記与えられた仕様のカットオフ波長との差との少なくとも一方が所定の範囲内にあるか否かを判定する(第3判定工程S19)。そして、判定がYESの場合には、上記と同様に母材化を実行する。一方、判定がNOの場合には、上記工程S17を実行し、送り比Vをさらに変更して再計算を行う。これにより、最適な送り比Vが得られる。尚、この繰返し計算はソフトウェアによって行われるのが望ましい。また、必ずしも、この繰返し計算を設けなくてもよく、上記判定がNOの場合には、母材化を中止してもよい。
【0032】
従って、本発明の実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法によると、従来の光ファイバ母材の製造方法では母材化が実行不能であるようなガラスロッド及びクラッドパイプの組み合わせであっても、送り比Vを変更することで母材化が可能となり、寸法の種類が少ないクラッドパイプから広範囲のクラッド比C/Cの光ファイバ母材を製造することができる。よって、最小限のクラッドパイプの在庫から広範囲の仕様を満たした光ファイバ母材が製造される。
【0033】
また、送り比を所定の範囲内で変更することで、母材化の条件を極力一定にして製造条件の最適化を行うことができる。よって、光ファイバ母材の輝点及びコア偏心の発生を抑制することができる。
【0034】
さらに、送り比Vを変更することで寸法の種類が少ないクラッドパイプから広範囲のクラッド比C/Cの光ファイバ母材を製造することができるため、公称断面積が最小値から最大値まで最小値の15〜30%間隔で変化する複数のクラッドパイプを在庫として保有しておけば、広範囲のコアクラッド比C/Cを有する光ファイバ母材の製造をカバーすることが可能となる。従って、上記実施形態の作用効果により、寸法の種類が少ない好適なクラッドパイプの在庫が実現できる。
【0035】
【実施例】
次に、具体的に実施した実施例について説明する。VADロッド外径Dvが50mmのガラスロッドを6本と、外径が200mmで内径が54mmのクラッドパイプ3本及び外径が180mmで内径が54mmのクラッドパイプ3本とを用意して、各々のガラスロッドとクラッドパイプとの組み合わせで上記実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法を実施した結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
この表1の結果から、内径が同じで外径の異なる2種類の公称値のクラッドパイプを用意すれば、VADの器差やすす付け条件による製造時のばらつきを相当な広範囲でカバーすることが可能であることが判った。
【0038】
すなわち、外径の大きいパイプと外径の小さいパイプとの公称断面積の比率が1.26のときに、これらの2種類のクラッドパイプのみを用いても、送り比Vを1.00又は0.85に適切に調整することで、コアクラッド比C/Cが3.6〜4.3という広範囲に亘り母材化条件を一定にできることが判明した。
【0039】
従って、本発明の光ファイバ母材の製造方法によって、最小限のクラッドパイプの在庫から広範囲の仕様を満たした光ファイバ母材を製造できることが判った。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明の光ファイバ母材の製造方法によると、与えられた仕様に基づく目標C/C値を得るために選択されたクラッドパイプ及びガラスロッドの組み合わせによって得られる光ファイバ母材について、予想C/C値又は予想カットオフ波長の少なくとも一方が所定の範囲外にあるときに、ガラスロッドとクラッドパイプとの送り比を変更した後、予想C/C値又は予想カットオフ波長を再計算する工程を包含させたことにより、最小限のクラッドパイプの在庫により、多くの仕様を満たした光ファイバ母材が製造されると共に、光ファイバ母材の輝点及びコア偏心の発生を抑制することができる。
【0041】
請求項2の発明によると、パイプ選択工程で選択される複数のクラッドパイプは、公称断面積が最小値から最大値まで最小値の15〜30%間隔で変化するものとしたことにより、好適なクラッドパイプの在庫が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法の工程を示す工程図である。
【図2】ロッドインチューブ法による光ファイバ母材の製造方法の説明図である。
【符号の説明】
11 ガラスロッド
12 クラッドパイプ
13 電気炉
14 光ファイバ母材
λc カットオフ波長
S 目標断面積
C/C コアクラッド比
V 送り比
Claims (2)
- ロッドインチューブ法を用いた光ファイバ母材の製造方法において、
コア用の複数のガラスロッドから1つのガラスロッドを選択する工程と、
与えられた仕様に基づいて、製造する光ファイバ母材におけるコアの直径に対するクラッドの外径の比率の目標値である目標C/C値を決定する工程と、
上記選択された1つのガラスロッドの比屈折率差及び断面積に基づいて、上記目標C/C値を得るために必要なクラッドパイプの断面積の目標値である目標断面積Sを算出する工程と、
複数のクラッドパイプの中から上記目標断面積Sに最も近い断面積を有するクラッドパイプを選択するパイプ選択工程と、
上記選択されたクラッドパイプ及びガラスロッドの組み合わせによって得られる光ファイバ母材について、コアの直径に対するクラッドの外径の比率の予想値である予想C/C値又は予想カットオフ波長の少なくとも一方を算出する工程と、
上記算出された予想C/C値と上記目標C/C値との差、又は上記算出された予想カットオフ波長と上記与えられた仕様のカットオフ波長との差の少なくとも一方が所定の範囲内にあるか否かを判定する第1判定工程と、
上記第1判定工程において、C/C値の差又はカットオフ波長の差の少なくとも一方が所定の範囲外にあるときに、上記ガラスロッドとクラッドパイプとの炉への挿入速度の比率である送り比を変更した後、上記予想C/C値又は予想カットオフ波長を再計算する工程と、
上記送り比が所定の範囲内にあるか否かを判定する第2判定工程と、
上記送り比が所定の範囲内にあれば、上記新たに算出された予想C/C値と上記目標C/C値との差、又は上記新たに算出された予想カットオフ波長と上記与えられた仕様のカットオフ波長との差との少なくとも一方が所定の範囲内にあるか否かを判定する第3判定工程と、
上記第1及び第3判定工程において、C/C値の差又はカットオフ波長の差の少なくとも一方が所定の範囲内にあるときに、母材化を実行する工程と、
上記送り比が所定の範囲内になければ、母材化を中止する工程とを包含することを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。 - 請求項1の光ファイバ母材の製造方法において、
パイプ選択工程で選択される複数のクラッドパイプは、公称断面積が最小値から最大値まで最小値の15〜30%間隔で変化するものであることを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
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-
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- 2002-10-15 JP JP2002300005A patent/JP2004131352A/ja active Pending
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