以下、本発明のシート加工装置について、写真用紙のフライング式枚葉切断装置を例にして、添付の図面に示す好適な実施形態に基づいて説明する。ここで、図1および図2は本発明のシート加工装置の一実施形態の全体を示す正面図であって、図1は上流側に配置された原反供給装置と切断装置の一部を、図2は下流側に配置された切断装置の残部および製品集積装置を示すものである。また、図3は原反供給装置の搬送ロール装置とダンサーロール装置を示す正面図であり、図4は切断装置の上流側の回転スリッター装置、メジャーロール装置および供給ロール装置を示す正面図、図5は回転スリッター装置の詳細を示す正面図、図6は切断装置の下流側のフライングシャーカッター装置とその両側の伸縮コンベア装置を示す正面図、図7および図8はフライングシャーカッター装置の詳細を示す正面図および平面図である。
本発明のシート加工装置の一実施形態である写真用紙のフライング式枚葉切断装置10は、全体の構成が非常に長いので、切断線A−Aで切断して図1および図2に分けて描かれているが、図1から図2に一連につながっているものであって、図1に示す上流側から図2に示す下流側に向かって、左から右に向かって長尺のロール紙を送ることによって切断などの加工が行われるものである。そして、上流から順に、原反供給装置12、切断装置14および製品集積装置16に分けられる。
原反供給装置12は、図1に示すように、原反となる長尺のロール状に巻かれた写真用紙Wを保持するとともにこの長尺のロール状に巻かれた写真用紙Wを巻き出して供給する巻き出し装置18、この巻き出し装置18から巻き出された長尺の写真用紙Wのテンションを検出するテンション検出装置20、巻き出し装置18から巻き出された写真用紙Wの巻き癖を除去する巻き癖除去装置22、巻き出された長尺の写真用紙Wを保持して切断装置に供給する搬送ロール装置24および切断装置14に供給される長尺の写真用紙Wに所定のテンションを付与するダンサーロール装置26から構成されている。
また、切断装置14は、図1に示すように、長尺の写真用紙Wを所要の幅で幅方向に切断する回転スリッター装置28、写真用紙Wの送り速度を検出するメジャーロール装置30、幅方向に切断された写真用紙Wを供給する供給ロール装置32、および図2に示すように、幅方向に切断された写真用紙Wを所要の長さで長手方向に切断するフライングシャーカッター装置34とこのフライングシャーカッター装置34の上流側と下流側に配置された1対の伸縮コンベア装置36、38とから構成されており、図2に示す製品集積装置16は、搬送コンベア装置40と製品ストック装置42とから構成されている。
巻き出し装置18は、前述したように、原反となる長尺のロール状に巻かれた写真用紙Wを保持するとともに、この長尺のロール状に巻かれた写真用紙Wを巻き出して供給するものであって、原反となる長尺のロール状に巻かれた写真用紙Wの巻き芯を1対の保持アーム44で保持するとともに、この保持アーム44を開閉することによってロール状の写真用紙Wを交換可能とするものである。そして、この保持アーム44は、ロール状の写真用紙Wの外形寸法に応じて保持アーム44の高さや間隔、ロール状に巻かれた写真用紙Wの巻き出し位置等が調整可能となっている。
巻き出し装置18に保持された長尺のロール状に巻かれた写真用紙Wは、搬送ロール装置24によって引き出されるが、保持アーム44に設けられたブレーキによって、たとえば5〜10kg程度のテンションを付与して巻き出されるようにコントロールされる。このテンションのコントロールは、テンション検出装置20によって写真用紙Wのテンションを検出し、この検出されたテンションに応じて保持アーム44に設けられたブレーキの強さを制御することによって、写真用紙Wが常時ほぼ一定のテンションで巻き出されるように調整される。
ここで、本実施形態では、テンション検出装置20の中央の検出ロール46の支持台48にロードセル(図示しない)を配置し、このロードセルによって写真用紙Wに付与されたテンションを検出するものであり、ロードセルにかかる負荷を検出して保持アーム44のブレーキにフィードバックし、ブレーキの強さを制御する。この保持アーム44に設けられたブレーキとしては、ブレーキの強さを任意に制御することができるパウダーブレーキを使用することが望ましい。
巻き癖除去装置22は、巻き出し装置18から巻き出されたロール状の写真用紙Wの巻き癖を除去するものであって、直径12mm程度のデカーラー50(小径のプーリー)によって、ロール状に巻かれていたことによって巻き癖がついてカールしている写真用紙Wを反対向きに小さな曲率半径で曲げて巻き癖を除去するものである。この巻き癖除去装置22には、巻き出し装置18に保持される長尺のロール状の写真用紙Wの向きに応じてどちら側の巻き癖でも除去することができるように、2個のデカーラー50が上下に配置されており、また、強さの異なる巻き癖を適切に除去できるように、2個のデカーラー50の上下方向の位置が調整可能とされている。この実施形態では、このデカーラー50の位置を調整ねじ52で調整できるようになっており、さらに、容易に調整できるように、調整ねじ52を駆動するモーター54が設けられている。
本実施形態においては、デカーラー50の位置の調整は、オペレータ等が切断装置14で切断された後の写真用紙Wの巻き癖の残り具合(カールの強さ)を観察し、それに応じてデカーラー50の位置を調整するように操作することによって行われる。なお、切断装置14の下流側に、写真用紙Wの巻き癖の残り量、すなわち写真用紙Wの反り量を検出する検出器を設け、その検出結果に応じて自動的にモーター54が駆動されて、調整ねじ52が調整される形態とするのも好ましい。
搬送ロール装置24は、巻き出し装置18から巻き出された長尺の写真用紙Wを保持して駆動し、切断装置14に供給するものであって、図3により詳細に示されるように、上下1対のニップローラー56、58を有している。そして、上側のローラー56は油圧または空圧のシリンダー60で下側のローラー58に押圧されている。下側のローラー58は下方に配置された減速機付きの駆動モーター62で写真用紙Wを送る方向に駆動されている。
この上側のローラー56と下側のローラー58とは、長尺の写真用紙Wを保持して巻き出し装置18から巻き出すとともに、写真用紙Wを所定の速度で送るものであって、下側のローラー58が送り速度の基準となる駆動側となるので、耐磨耗性の高い焼入れ鋼や特殊鋼を研磨して仕上げてあることが望ましく、上側のローラー56は、挟持して搬送する写真用紙Wに滑りが発生しないように下側のローラー58に押圧するものなので、ゴムなどの摩擦係数が高い材料とすることが望ましい。そして、このように構成することによって、巻き出し装置18から巻き出された写真用紙Wのテンションに変動が生じても、滑りの発生を最小限に抑えて、下流の切断装置14にその影響を与えないようにすることができる。
ダンサーロール装置26は、搬送ロール装置24から切断装置14に送られる長尺の写真用紙Wに所定のテンションを付与するものであって、長尺の写真用紙Wは、2個のアイドルローラー64と、2本の支持ロッド66で上下動可能に支持されているスライドブロック68に配置されたテンションローラー70との間に巻回されている。テンションローラー70は、左側に配置された1対のプーリー72、74に巻回されたチェーン76に連結されており、このチェーン76には重錘78が設けられている。
したがって、2個のアイドルローラー64とテンションローラー70に巻回された長尺の写真用紙Wは、支持ロッド66で支持されたスライドブロック68と重錘78との重さの差で下方に付勢されることになり、この荷重のほぼ1/2が長尺の写真用紙Wに付与されるテンションとなって、テンションローラー70の上下方向の位置に関係なく一定の荷重となる。この写真用紙Wに付与されるテンションは、写真用紙Wの厚さや幅によっても異なるが、通常、2〜3kg程度とすることが望ましい。
本実施形態のフライング式枚葉切断装置10は、このように構成されているので、巻き出し装置18から巻き出すときの5〜10kgであって、ロールの径などによって変動するテンションは搬送ロール装置24で遮断され、切断装置14に伝えられるテンションは、このダンサーロール装置26で付与される2〜3kgの新たな適正なテンションとなるので、写真用紙Wを巻き出し装置18から安定して巻き出すために必要な5〜10kg程度の高いテンションによって生じていたロールの回転むらやスリップがなくなって、従来技術では0.3mm程度が限度であった切断装置14で切断する写真用紙の精度のバラツキを0〜0.1mm程度に向上することができる。
テンションローラー70の位置は、上流側の搬送ロール装置24と下流側の供給ロール装置32との送り速度に差が生じると、当然のことながら、上方または下方に移動する。このため、1対のプーリー72、74の一方にプーリーの回転方向の位置を検出する検出装置(図示しない)を設け、あるいはスライドブロック68に上下方向の位置を検出する検出装置(図示しない)を設けることによって、搬送ロール装置24と供給ロール装置32との送り速度の差を検出することができるので、この検出信号で搬送ロール装置24と供給ロール装置32の少なくとも一方の回転数を制御することによって、完全に同期した送り速度で写真用紙Wを送ることができる。そして、本実施形態では、上流側の搬送ロール装置24の送り速度を変更すると、巻き出し装置18にまで影響があって各種の問題が生じるので、下流側の供給ロール装置32の送り速度を変更するように構成している。
回転スリッター装置28は、図4に示すように、写真用紙Wの上側に配置された回転スリッター80(図5参照)と、下側に配置されたバックアップローラー82とを有しており、回転スリッター80の回転刃84で長尺の写真用紙Wを所要の幅で幅方向に切断する。この回転スリッター80の回転刃84は、V字状の鋭利な切刃を有しており、この回転刃84の切刃を写真用紙Wの上側から、写真用紙Wの下側に配置されたバックアップローラー82に向かって押圧することによって写真用紙Wを切断するものであって、後述する供給ロール装置32による写真用紙Wの移動によって、写真用紙Wを切断するとともに回転スリッター80の回転刃84が回転する。
回転スリッター80は、油圧または空圧のシリンダー86で上下方向に移動する横梁88にクランプ90(図5参照)で固定されており、写真用紙Wの幅方向の寸法と同じ間隔で配置された多数の回転スリッター80によって写真用紙Wを幅方向に切断する。ここで、図5に示す回転スリッター80に示された歯車92は、写真用紙Wの幅方向の寸法と同じ間隔で配置された回転スリッター80の取付位置の微調整を行う調整機構であり、調整ねじ94は、シリンダー86で回転スリッター80が下降して写真用紙Wを切断する際の回転刃84の切り込み深さを調整するための調整機構である。
回転スリッター80の回転刃84を支持する下側のバックアップローラー82は、回転刃84の切刃が喰い込んでも傷がついたり磨耗したりすることの少ないゴムや軟質のプラスチック等の材質であって、詳細は後述するように、供給ロール装置32による写真用紙Wの移動と同期して回転する。
メジャーロール装置30は、写真用紙Wの送り速度を検出するものであって、写真用紙Wの移動によって回転する上下1対のニップロール96、98を有しており、上側のロール96は、油圧または空圧のシリンダー100で下側のロール98に押圧されている。この1対のニップロール96、98のいずれか一方にエンコーダー等の回転検出機構を配置して、写真用紙Wの移動によるニップロール96、98の回転によって写真用紙Wの送りを検出する。そして、この回転検出機構で検出した写真用紙Wの送り量の所定のタイミングで後述するフライングシャーカッター装置34を作動して写真用紙Wを長手方向に切断する。
このニップロール96、98は、写真用紙Wの送り検出側のロールは、送り検出の精度を出すために、耐摩耗性の高い金属ロールとするのが好ましい。例えば焼き入れ鋼や特殊鋼を研磨して仕上げたものが好適に利用される。また、他方のロールは、被搬送物(ここでは写真用紙W)に勾配があった場合等にも滑りや偏りが無く良好なニップ性および搬送性を得るために、ゴムロールとするのが好ましい。
供給ロール装置32は、回転スリッター装置28で幅方向に切断された写真用紙Wをフライングシャーカッター装置34に供給するものであって、上下1対のニップロール102、104を有しており、上側のロール102は、油圧または空圧のシリンダー106で下側のロール104に押圧されている。そして、下側のロール104は、モーター108によって所定速度で回転するとともに、この供給ロール装置32で送られる写真用紙Wの送り速度と前述した回転スリッター装置28のバックアップローラー82における写真用紙Wの送り速度との間に送り速度の誤差が生じないように、チェーン110で連動して写真用紙Wの送り速度が一致するように構成されている。
図6は切断装置14の下流側のフライングシャーカッター装置34とその両側の伸縮コンベア装置36、38を示す正面図であり、図7および図8はフライングシャーカッター装置34の詳細を示す正面図および平面図である。フライングシャーカッター装置34は、幅方向に切断された写真用紙Wを所要の長さで長手方向に切断するものであって、写真用紙Wを停止しないで、カッター装置を写真用紙Wの送り速度に同期して移動させながら切断する。
このカッター装置を写真用紙Wの送り速度に同期して移動させる機構は、図6のほぼ中央に描かれた偏心カム112によって写真用紙Wの送り方向に、シャーカッターの上刃114と下刃116とを写真用紙Wの送り速度に同期して移動させるものであって、前述したメジャーロール装置30の回転検出機構で検出した写真用紙Wの送り量が、所定のタイミングとなった位置でフライングシャーカッター装置34の作動信号を送出して、この作動信号によって図示しないサーボモーターが作動して偏心カム112が1回転して停止する。
偏心カム112は、基台118に左右方向(写真用紙の送り方向)に移動可能に載置されたスライドブロック120にリンク122で連結されており、偏心カム112の1回転によってスライドブロック120が左右方向に1往復する。スライドブロック120には、取付台124を介してシャーカッターの下刃116が固定されており、また、基台118に設けられた上刃114の駆動機構(詳細は後述する)を介してシャーカッターの上刃114(取付台126)が固定されている。
図7および図8に示すように、基台118に配置されたカム軸128に固定された偏心カム130がリンク132を介して第1のフレーム134に連結されている。この第1のフレーム134は、スライド136によって上下方向に移動自在に基台118に設けられており、第1のフレーム134には、スライド138によって左右方向(図7では紙面に直交する方向)に移動自在に第2のフレーム140が設けられている。そして、この第2のフレーム140の上側の梁140aに、取付台126を介してシャーカッターの上刃114が固定されている。
また、第2のフレーム140の内側には、スライド142によってスライドブロック120が上下方向に移動自在(スライドブロック120に対して第2のフレーム140が上下方向に移動自在)に設けられており、スライド144によって基台118に対して左右方向(図7では紙面に直交する方向)に移動自在に設けられている。そして、スライドブロック120には、取付台124を介してシャーカッターの下刃116が固定され、上側の取付台126と下側の取付台124とは、ガイドピン146によって横方向に移動しないように案内されている。
このフライングシャーカッター装置34は、原反となる写真用紙Wの幅より長いカッターで切断するものであり、全体の幅は非常に広くなるので、図6および図7では左側の一部のみを示している。当業者であれば、フライングシャーカッター装置34の中央部は図6および図7の右側の構造の繰り返しであり、右端に図6および図7の左側とほぼ同様の機構が設けられていることは容易に理解できるで筈である。
上刃114の駆動機構は、このように構成されているので、メジャーロール装置30の回転検出機構から所定のタイミングで作動信号が送出されると、図示しないサーボモーターが断続的に作動して、カム軸128が1回転して停止する。このとき、偏心カム130が1回転することによって、リンク132で連結された第1のフレーム134が、スライド136とスライド142に案内されて、上刃114の固定された第2のフレーム140とともに上下方向に1往復する。
同様に、偏心カム112が1回転すると、第2のフレーム140に固定された上刃114とスライドブロック120に固定された下刃116とが、ガイドピン146によって一体となって、スライド138に案内されて、左右方向(図7では紙面に直交する方向)に1往復する。
偏心カム112の1回転によるシャーカッターの左右方向の移動速度は、偏心カム112の回転位置によって大幅に変動するが、回転中心と偏心位置を結ぶ線がリンク122と直交する位置で最も高速となって移動速度の変化率が最小となるので、この位置でスライドブロック120の移動速度を写真用紙Wの移動速度に一致させて写真用紙Wを切断すると、実質的にスライドブロック120の移動速度と写真用紙Wの移動速度とを一致させることができる。
そして、この位置(移動速度の変化率が最小となる位置)におけるスライドブロック120の移動速度は、偏心カム112の偏心量と回転数によって定まるので、偏心カム112の偏心量と回転数を適宜設定することによって、スライドブロック120の移動速度と写真用紙Wの移動速度とを一致させることができ、スライドブロック120の移動速度の微調整は、偏心カム112の回転数を調整することによって行うことができる。
同様に、カム軸128に固定された偏心カム130の1回転による上刃114の1往復も移動速度が大幅に変動するが、最高速度となる位置で写真用紙Wを切断することによって切断に要する時間が最短となり、スライドブロック120の移動速度の変動の影響を最小にすることができる。もちろん、上刃114を上下方向に移動させるタイミングとスライドブロック120を左右方向(図7では紙面に直交する写真用紙の送り方向)に移動させるタイミングとは異なっており、それぞれ、最適なタイミングで作動を開始させることが望ましい。
また、カム軸128に固定された偏心カム130の1回転に要する時間と偏心カム112の1回転に要する時間とも異なっており、カム軸128に固定された偏心カム130の1回転に要する時間(上刃114を上下方向に1往復させる時間)は、極力短くすることが望ましい。すなわち、本実施形態におけるフライングシャーカッター装置34は、供給ロール装置32によって一定の送り速度で送られる写真用紙Wを長手方向の所要の長さに切断することができるタイミングで上刃114を上下方向に1往復させ、このとき、上刃114と下刃116とを写真用紙Wの送り速度と同じ速度で左右方向(写真用紙の送り方向)に移動させて写真用紙Wを長手方向の所要の長さに切断するものである。なお、特に、フライングシャーカッター装置34を高速で作動する場合には、偏心カム112および偏心カム130の回転速度を写真用紙Wの送り速度と切断長さに応じて設定し、偏心カム112および偏心カム130の一方または両方を連続的に回転させる形態としてもよい。
このフライングシャーカッター装置34の上流側と下流側には、1対の伸縮コンベア装置36、38(図6参照)が配置されている。この1対の伸縮コンベア装置36、38は、写真用紙Wを搬送する搬送コンベアをフライングシャーカッター装置34の左右方向の動きに連動して移動するものであって、上流側の伸縮コンベア装置36と下流側の伸縮コンベア装置38がほぼ対称な構成になっているので、以下に一括して説明する。伸縮コンベア装置36、38は、スライドブロック120に回転可能に配置された連動プーリー150、152と、固定位置に配置された固定プーリー154、156および158、160と、連動プーリー150、152の移動に伴って伸縮する搬送ベルト162、164とともに移動するスライドプーリー166、168と、搬送ベルト162、164のテンションをとる任意のテンション機構170、172からなっており、スライドプーリー166、168は、図示しない任意の付勢手段によってフライングシャーカッター装置34から離れる方向に付勢されている。
伸縮コンベア装置36、38は、このように構成されているので、写真用紙Wを切断する際に、フライングシャーカッター装置34のスライドブロック120が左右方向に移動すると、スライドブロック120に回転可能に配置された連動プーリー150、152もともに左右方向に移動する。そして、この連動プーリー150、152の左右移動によって生じる搬送ベルト162、164の引っ張りやたるみはスライドプーリー166、168によって吸収される。
すなわち、写真用紙Wの切断の際に、フライングシャーカッター装置34のスライドブロック120が右方向に移動すると、スライドブロック120に配置された連動プーリー150、152はともに右方向に移動し、上流側の伸縮コンベア装置36の搬送ベルト162は引っ張られ、下流側の伸縮コンベア装置38の搬送ベルト164にはたるみが生じる。ここで、上流側の搬送ベルト162を巻回するスライドプーリー166はフライングシャーカッター装置34から離れる方向に付勢されているので、搬送ベルト162の引っ張りによって右方向に移動する。同様に、下流側の搬送ベルト164を巻回するスライドプーリー168もフライングシャーカッター装置34から離れる方向に付勢されているので、搬送ベルト164のたるみが生じても右方向に移動してたるみを吸収する。このことは、フライングシャーカッター装置34のスライドブロック120が左方向に移動するときも全く同様である。
このように構成することによって、フライングシャーカッター装置34のスライドブロック120が左右方向に移動しても、写真用紙Wの切断刃(上刃114および下刃116)と搬送ベルト162、164の端部とを常に接近した状態に保持することができ、写真用紙Wのカールなどによって、搬送ベルト162から切断刃へのまたは切断刃から搬送ベルト164への乗り移りに失敗するなどの事故を完全に防止することができる。
伸縮コンベア装置36、38は、図6から明らかなように、上流側の伸縮コンベア装置36の上面は、下刃116の上面と同じ高さかやや高い位置に、下流側の伸縮コンベア装置38の上面は、下刃116の上面より低い位置に配置されている。特に、下刃116の上面と下流側の伸縮コンベア装置38の上面との高さの差は、下刃116と伸縮コンベア装置38とか干渉することなく、切断された写真用紙Wをスムーズに受け渡しするために必要なものであり、この実施形態では、約20mmに設定されている。なお、この高さの差は、切断された写真用紙Wのサイズに応じて、写真用紙Wが向きを変えることなく伸縮コンベア装置38に乗り移れるように適宜設定されればよく、例えば名刺サイズ等のさらに小さな用紙に切断される場合には、20mm以下とするのが好ましい。
下流側の伸縮コンベア装置38の送り速度は、上流側の伸縮コンベア装置36の送り速度よりやや遅くなるように設定されている。このように送り速度を設定することによって、搬送される写真用紙Wの上に切断された写真用紙Wの一部が重なるように配列して写真用紙Wを搬送することができるので、製品ストック装置42で重ねてストックすることが容易になる。
この固定されたカッターの刃の上面と下流側のコンベア装置の上面との高さの差は、例えば固定されたカッターの刃と回転するロータリーカッターの刃とで切断する場合には、カッターの直径によっても異なるが、100mm〜140mm程度の高さを差を要するので、写真用紙Wの切断長さが短いときには姿勢が不安定になり、下流側のコンベア装置の上面にきちんと整列して搬送することが困難になるので、この点においても、フライングカッターを使用することが有利となる。
このように、フライングシャーカッター装置34と、その下流側に設けられた、フライングシャーカッターの移動と同期して移動する伸縮コンベア装置38を有することにより、従来、カット後に整列した状態で搬送するのが難しかった小型の製品、例えば写真のL版サイズや名刺サイズの製品等であっても、搬送ベルト164上に整列した状態で移すことができ、その整列状態で製品集積装置16へ搬送することができるので、製品集積装置16において効率よく集積することができる。
下流側の伸縮コンベア装置38の上方には、搬送される写真用紙Wの浮き上がりを防止する押さえローラー装置174が設けられている。この押さえローラー装置174は、取付軸176に取り付けられた押さえローラー178、180によって、整列して搬送される写真用紙Wが風などの外乱によって乱れるのを防止するために、自重または軽い付勢力で上から押さえるものであって、上流側の伸縮コンベア装置36にも、幅方向を切断された写真用紙Wがカールなどで浮き上がるのを防止するために設置することが望ましい。
切断装置14の下流には、図2に示すように、製品集積装置16が配置されている。製品集積装置16は、搬送コンベア装置40と製品ストック装置42とから構成されている。搬送コンベア装置40は、下流側の伸縮コンベア装置36で整列して搬送された写真用紙Wを受け取って製品ストック装置42に搬送するものであって、その先端部に不良品排出ダンパー182が設けられている(図6参照)。この不良品排出ダンパー182は、新しい原反のロールに交換した後の最初の切断のように、所定の寸法に切断されていない写真用紙Wを排出するものであって、図2の右端に描かれているように、ゲート184と排出シュート186が設けられており、排出する写真用紙Wが搬送されてきたときには、想像線で示すようにゲート184が立ち上がり、排出する写真用紙Wを排出シュート186に案内して、図示しない不良品集積位置にストックする。搬送コンベア装置40のその他の構成は、公知の各種の技術を利用することができる。
製品ストック装置42は、搬送コンベア装置40で整列して搬送された写真用紙Wを受け取って、載置台に積み重ねてストックするものであり、ストッパー機構や写真用紙Wの厚さに応じて上下する載置台の上下機構等を有しているが、いずれも、公知の各種の機構を採用することができる。
なお、切断装置14と製品集積装置16との間に印刷装置を配置し、所定の寸法に切断された写真用紙Wに印刷を行った後に製品として集積するのも好ましい。一般に、印刷装置では、印刷前に被印刷物の姿勢の若干の傾きを正すことは行われるが、例えば矩形の被印刷物(枚葉紙等)が90度回転してしまう等、大きく方向が変わっている場合、その姿勢を正すのは困難である。そのため、印刷装置には、一旦整列させて集積された被印刷物を供給することが行われる。しかし、フライング式枚葉切断装置10によれば、フライングシャーカッター装置34とその下流に設けられた伸縮コンベア装置38により、例え小サイズの写真用紙Wであっても整列した状態で搬送できるので、カット後の写真用紙Wをそのまま印刷装置に供給することができる。
上記では、切断装置14が回転スリッター装置28とフライングシャーカッター装置34とを有し、写真用紙Wを所定の寸法に切断するフライング式枚葉切断装置10について説明したが、本発明のシート加工装置を構成する切断装置はこれには限定されず、回転スリッター装置28を有さず、フライングシャーカッター装置34に代えてフライング式の打ち抜き装置を有し、これにより所定寸法の写真用紙Wを得る形態としてもよい。
例えば、フライング式の打ち抜き装置は、フライングシャーカッター装置34の切断刃(上刃114および下刃116)をパンチとダイスに変えることによって得ることができる。このようなフライング式の打ち抜き装置は、フライングシャーカッター装置34と同様に、写真用紙Wを停止させずに、打ち抜き装置を写真用紙Wの送り速度に同期して移動させながら打ち抜き加工を行うことができる。なお、フライングシャーカッター装置34を打ち抜き装置とする場合、上型および下型のどちらをパンチとし、どちらを上下方向に移動するかは制限的でなく、製品の形態等に応じて適宜決定されればよい。
打ち抜き装置とする場合、製品と不要部分との分離は、打ち抜き装置の下流側で行ってもよい。打ち抜き後のシートが製品となる場合には、打ち抜き装置の下流側に製品の巻取り装置等を備え、打ち抜きカスは抜き落として適宜回収すればよい。また、所定の形状に抜かれた部材(ブランク)が製品となる場合には、ブランクを伸縮コンベア装置38の搬送ベルト164を製品の落下位置に配置し、伸縮コンベア装置38によって製品集積装置16へ搬送すればよい。
このように、本発明のフライング式枚葉切断装置10において、切断装置14のフライングシャーカッター装置34を打ち抜き装置とした場合にも、写真用紙Wは、巻き出し装置18での巻き出し時に掛かる高いテンションが搬送ロール装置24で遮断され、ダンサーロール装置26で新たに適正なテンションが付与されて、安定した状態で切断装置14に供給される。そのため、切断装置14では、高いテンションが掛かるときに起こりがちなロールの回転むらやスリップ等が防止されるので、打抜き装置における加工精度を向上させることができる。
また、フライングシャーカッター装置34の位置に設けられる打ち抜き装置の下流側には、伸縮コンベア装置38が配置されているので、打ち抜き装置によって小型の製品を製造する場合にも、製品が搬送ベルト164へ乗り移る際に製品の向きが大きくずれたり、製品が散乱したり、乗り移りに失敗する等の事故を防止でき、整列した状態で搬送することができ、製品集積装置16において効率良く集積することができる。
次に、本発明のシート加工装置の他の実施形態を説明する。
本発明のシート加工装置は、上記のフライング式枚葉切断装置10において、回転スリッター装置28を有さず、フライングシャーカッター装置34に代えてプレス加工装置を有するものであってもよい。図9は、このようなシート加工装置に利用可能なプレス加工装置の一例を示す図であり、プラスチック等の可塑性材料をプレス加工するプレス加工装置の正面図である。なお、本実施形態は、切断装置14として回転スリッター装置28を有さず、フライングシャーカッター装置34に代えてプレス加工装置を有する以外は、上述の例と同様の構成を有するので、プレス加工装置以外の構成要素については説明を省略する。
図9に示すプレス加工装置190は、油圧シリンダー192によって所定の時間だけ継続して押圧する油圧プレスであって、プラスチックシートPの送りとともに図中右方向に移動し、押圧が終了すると左方向に移動して元の位置に戻る左右方向の移動が可能に構成されている。本実施形態では、油圧シリンダー192は、上下のプレス型194、196の下方に配置されており、油圧シリンダー192のシリーダーロッド198が上昇することによって、取付け板200を介して本体に固定されている上型194に向かって、取付け板202を介してシリーダーロッド198に固定されている下型196が上昇し、上型194と下型196との間に配置されたプラスチックシートPを押圧して、所望の形状に変形させる。
本実施形態では、図9に示すように、減速機付きのモーター204でボールネジ206を回転して、プレス加工装置190の本体208を左右方向に移動させるように構成している。この減速機付きのモーター204は、サーボ制御されるものであって、上述の例と同様に、メジャーロール装置30の回転検出機構でプラスチックシートPの送り量を検出し、図中右方向にはこの送り速度に同期して移動し、左方向には早送りで移動するように制御される。
もちろん、このプレス加工装置190の押圧手段や本体208を左右方向に移動させる駆動手段は、本実施形態に示したサーボ制御される油圧シリンダー192や減速機付きのモーター204に限定されるものではなく、プラスチックシートPを所定の時間だけ継続して押圧できる任意の押圧手段、たとえば、ばね圧やねじを使用した押圧手段や、プラスチックシートPの搬送速度と同じ速度で右方向に移動することができる任意の駆動手段、たとえば、カムによる駆動手段などを採用することができる。
そして、本実施形態では、前述したように、下型196が油圧シリンダー192によって上昇することによってプレス加工を行うものである。このように構成することによって、プレス加工装置190の下側の空間に油圧シリンダー192を配置して、全体の構造を小さく簡略化することができる。もちろん、上型194を油圧シリンダー192で押圧するように構成することもできる。このように、上型194を上下動させて押圧するように構成すると、プラスチックシートPが固定された下型196上を移動し、プラスチックシートPがより安定して搬送されるので、有利になる面もある。
本実施形態においても、上述の例と同様に、プレス加工装置190の上流側の原反供給装置12には、搬送ロール装置24およびダンサーロール装置26が備えられているので、巻き出し装置18によってプラスチックシートPに掛かる強いテンションは搬送ロール装置24によって遮断され、ダンサーロール装置26によって新たに適正なテンションが付与される。これにより、プレス加工装置190へのプラスチックシートPの搬送が安定して行われるので、搬送位置のずれや送りの不良によって生じる成形不良や装置側の故障等を生じることが無く、プレス加工装置190による加工を安定して高精度に行うことができ、歩留まりを良好にでき、生産性を向上させることができる。
なお、プレス加工装置190は、プラスチックシートPにプレス加工を施すとともにカッターで個々の製品に切断するものとしてもよいし、プレス加工装置190の下流側に切断装置を備え、その切断装置で個々の製品に切断してもよい。プレス加工装置190または切断装置によって切断されたプラスチックシートPの製品は、切断位置に近接して配置される伸縮コンベア装置38によって搬送されるので、製品が小型である場合にも、搬送ベルト164への乗り移り時に支障を生じることなく、整列した状態で搬送することができ、製品集積装置16において効率良く集積することができる。
また、本実施形態において、プレス加工装置190の上型194に台板を取り付け、下型196にトムソン刃等の型抜刃を取り付けることにより、プレス加工装置190を型抜き装置としてもよい。
以上では、フライングシャーカッター装置で写真用紙Wを所定の寸法に切断するフライング式枚葉切断装置、および、プレス加工装置でプラスチックシートPを所望の形状にプレス加工するフライング式プレス加工装置について説明したが、本発明のシート加工装置における被加工物は、写真用紙やプラスチックシートに限定されるものではなく、本発明は、一般のシート加工装置にも全く同様に適用することができることは言うまでもない。すなわち、本発明のシート加工装置で切断されるシートとしては、写真用紙以外にも、普通紙や各種のコーティング紙、プラスチックフィルム、プラスチックシート、布地、不織布、金属箔や、これらの多層体、さらに、これらに薬剤や接着剤等を塗布したものなど、各種のシート状被加工物が例示される。
なお、フライングシャーカッター装置34等における、写真用紙Wの搬送方向に、写真用紙Wの送り速度に同期してフライングシャーカッター装置34等を移動させる機構、および、上刃114等を切断方向に移動させる機構の具体的な構成は、上述の例に制限されるものでは無い。
以上に説明したように、本発明に係るシート加工装置は、原反供給装置が、長尺のシートを所定の送り速度で搬送する搬送ロール装置と、この搬送ロール装置の下流に配置され、前記長尺のシートに常に一定のテンションを付加するダンサーロール装置とを有することを特徴とし、あるいは、切断装置が、長尺のシートに幅方向のカットを行う回転スリッターと、長手方向のカットを行うフライングシャーカッターとを有し、回転スリッターが上流側に、フライングシャーカッターが下流側に配置されていることを特徴とし、または、切断装置の上流側および下流側に、フライングシャーカッターの移動と同期して移動する1対の伸縮コンベア装置を有することを特徴とするものであり、また、本発明に係るシート加工装置は、上記の切断装置に代えてプレス加工装置を有し、上記と同様の特徴を有するものであって、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の改良や変更を行うことができることはいうまでもない。