JP2004130252A - 洗米装置および洗米方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】米を破砕することなく洗浄することができ、米の洗浄状態を均一に保ち、炊飯品質が低下することを防ぐことができ、装置をコンパクトにすることができ、しかも生産効率を高くすることができる洗米装置および洗米方法を提供する。
【解決手段】米と水を収容する浸漬タンク10と、浸漬タンク10の下端部に接続され、浸漬タンク10に水を供給するための洗浄水供給手段15とを備えた洗米装置であって、浸漬タンク10が、上部タンク11と上部タンク11よりも断面積が小さい下部タンク12とから構成されており、下部タンク12に洗浄水供給手段15から空気溶解水を供給すると、下部タンクと上部タンク11との連結部分の水平断面全体に微細気泡が存在する。炊飯釜Kに供給される米の洗浄状態を確実に均一にすることができ、炊飯品質を向上させることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】米と水を収容する浸漬タンク10と、浸漬タンク10の下端部に接続され、浸漬タンク10に水を供給するための洗浄水供給手段15とを備えた洗米装置であって、浸漬タンク10が、上部タンク11と上部タンク11よりも断面積が小さい下部タンク12とから構成されており、下部タンク12に洗浄水供給手段15から空気溶解水を供給すると、下部タンクと上部タンク11との連結部分の水平断面全体に微細気泡が存在する。炊飯釜Kに供給される米の洗浄状態を確実に均一にすることができ、炊飯品質を向上させることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は洗米装置および洗米方法に関する。精米された状態の米には、その表面に汚れやヌカのカス等が付着しており、また米同士の間にもホコリやヌカのカス等が混入している。このため、炊飯する前には、洗米することによってヌカ等を洗い流す必要がある。ところで、一般家庭では、米の量が少ないので手作業によって丁寧に米を洗うことができるが、給食工場や食品工場等では一度に大量の米を炊く必要があるため、手作業によって洗米を行うことはできない。したがって、自動で、しかも一度に大量の米を洗うことができる洗米装置が使用されている。本発明はかかる洗米装置およびこの装置に採用される洗米方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から使用されている洗米装置は、洗米するための洗米機と、洗米された米を水に浸漬するための浸漬タンクと、この浸漬タンク内の米と水を計量して所定の量ずつ炊飯釜に供給する計量器を備えている。従来の洗米装置の洗米機では、流水による洗浄が一般的であり、洗米用タンク内に常時水流を発生させることによって、米同士を接触させ、両者の間に発生する摩擦力によって米を洗浄している。
【0003】
ところが、流水による洗米では、常時清潔な水を洗米用タンクに供給するとともに汚れた水を洗米用タンクから排出しなければならないため、洗米に大量の水を必要とする。そして、米同士を接触させるため、接触したときの摩擦力が強ければ、米が破砕してしまう。すると、正常な形状の米の中に、大量の破砕した米が混じった状態の米を炊くことになるから、炊飯品質が低下してしまう。また、洗米用の洗米機と浸漬用の浸漬タンクが必要となるため、装置が大型化してしまう。
【0004】
上記の問題を解決する洗米装置として、以下に示す技術(従来例1、特許文献1)がある。
図5において符号1は、洗米前の米を水に浸漬する浸漬槽を示している。この浸漬槽1の下部には、配管8が連結されており、この配管8から高濃度に酸素が溶解した水(以下、単に酸素溶解水という)が供給されている。この酸素溶解水は、水温25℃大気圧下において水に溶解することができる酸素の量よりも多い、30ppm 〜40ppm の酸素が溶解しているものである。
このため、「高濃度に酸素気体を溶解した水を配管8で送り浸漬槽1内で大気圧下に解放することにより、槽1内に5ミクロン程度の超微細気泡1cを発生せしめるようになっている。そして、この気泡により浸漬槽1内は白濁状態となり、その中に精米を浸漬すると、米糠全体に気泡が付着し、米粒周辺の汚れやぬかを吸着して浮上する。そこで、この浮上した気泡を分離すると、精米は優しく洗米される」と記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−259440号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、酸素溶解水の溶存酸素濃度が30〜40ppm の場合、約4〜5気圧の場合における溶存酸素濃度と同じになる。このため、水が酸素溶解装置7から浸漬槽1まで流れる間に配管8内の圧力が4〜5気圧以下となると配管8内において気泡が発生し成長してしまう。すると、その気泡は浸漬槽1に供給されるから、浸漬槽1内で微細な気泡が発生してもその微細な気泡の多くは成長した気泡に吸収されてしまう。よって、微細な気泡による洗米効果が十分に得られず、大きな気泡が移動するときに発生する水流によって米同士を接触させて米を洗うことになるから、洗米状態にムラができたりし、米を破砕したりしてしまう可能性がある。
また、水に高濃度の酸素を溶解させるために、酸素発生器が必要になるから、設備費用が高くなるという問題も生じる。
【0007】
浸漬槽1内で発生した微細気泡は、浸漬槽1内を水平方向に広がりながら上昇する。つまり、微細気泡は、浸漬槽1内において、その下方から上方に向かって逆円錐状に広がりながら流れることになる。このため、微細気泡の流れの外周面と浸漬槽1の内面との間には、微細気泡が通過しない部分Aができ、その部分には微細気泡と全く接触しない米ができるので、米の洗浄状態を均一にすることができず、炊飯品質が低下する。
また、浸漬槽1の底部をテーパ状のテーパ部として、テーパ部内面の広がり角度θ1を微細気泡の水平方向への広がり角度θ2より小さくなるように形成しておけば、浸漬槽1内の全ての米と微細気泡とを接触させることはできる。しかし、テーパ部の広がり角度θ1を小さくすると、浸漬槽1の直径が小さくなり、浸漬槽1の容積が小さくなるので浸漬槽1内に収容できる米の量が少なくなるため、生産性が低くなる。浸漬槽1を縦長にすれば浸漬槽1内に収容できる米の量を多くすることができるが、浸漬している米の最下限から上面までの積層厚さが大きくなり、微細気泡が米の上面まで浮上出来なくなる。すると、米糠が積層米内部で堆積することになるから、炊飯品質が低下してしまう。
浸漬槽1に供給する酸素溶解水の流量を多くすれば、浸漬槽1内で発生する微細気泡も多くなり、微細気泡の水平方向への広がり角度θ2も大きくなるので、テーパ部の広がり角θ1を大きくでき、浸漬槽1の直径が大きくできる。しかし、酸素溶解水の流量を大きくするには、ポンプや酸素発生器を大型化しなければならないので、設備費やランニングコストが大幅に増加するし、メンテナンス性が悪化し、生産効率が低下する。
したがって、従来例1の洗米装置では、米の洗浄状態を均一にすることができないので、炊飯品質が低下することを防ぐことができず、しかも、コンパクトかつ生産効率の高い装置とすることはできない。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑み、米を破砕することなく洗浄することができ、米の洗浄状態を均一に保ち、炊飯品質が低下することを防ぐことができ、装置をコンパクトにすることができ、しかも生産効率を高くすることができる洗米装置および洗米方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の洗米方法は、米と水を収容する浸漬タンクと、該浸漬タンクの下端部に接続され、該浸漬タンクに水を供給するための洗浄水供給手段とを備えた洗米装置において、前記洗浄水供給手段によって、前記浸漬タンクに、該洗浄水供給手段と前記浸漬タンクとの接続部分における飽和溶解量よりも少ない量の空気を溶解させた空気溶解水を供給し、該空気溶解水を前記浸漬タンク内に供給したときに発生する微細気泡によって、該浸漬タンク内の米を洗浄することを特徴とする。
請求項2の洗米方法は、請求項1記載の発明において、前記空気溶解水中の空気の溶解量が、前記洗浄水供給手段と前記浸漬タンクとの接続部分における空気の飽和溶解量の65〜75%であることを特徴とする。
請求項3の洗米装置は、米と水を収容する浸漬タンクと、該浸漬タンクの下端部に接続され、該浸漬タンクに水を供給するための洗浄水供給手段とを備えた洗米装置であって、前記洗浄水供給手段が、前記浸漬タンクに、該洗浄水供給手段と前記浸漬タンクとの接続部分における飽和溶解量よりも少ない量の空気を溶解させた空気溶解水を供給することを特徴とする。
請求項4の洗米装置は、請求項3記載の発明において、前記空気溶解水中の空気の溶解量が、前記洗浄水供給手段と前記浸漬タンクとの接続部分における空気の飽和溶解量の65〜75%であることを特徴とする。
請求項5の洗米装置は、請求項3記載の発明において、前記洗浄水供給手段が、前記浸漬タンクとの接続部に、前記浸漬タンク内に前記空気溶解水を放出する放出部を備えており、該放出部が、前記洗浄水供給手段における前記空気溶解水の圧力と前記浸漬タンク内の水の圧力の差圧を、所定の値以上に維持することを特徴とする。
請求項6の洗米装置は、請求項3記載の発明において、前記浸漬タンクが、上部タンクと、該上部タンクよりも断面積が小さい下部タンクとから構成されており、前記洗浄水供給手段が、前記下部タンクの下端部に接続されており、該下部タンクの下端であって、前記洗浄水供給手段との接続部分よりも下方に、該浸漬タンク内の米および水を炊飯釜に供給するための米供給口が形成されており、前記下部タンク内において、前記上部タンクとの連結部分の水平断面全体に微細気泡が存在することを特徴とする。
請求項7の洗米装置は、請求項6記載の発明において、前記浸漬タンクの上部タンクが、その下端部に前記下部タンクに向けて下傾するテーパ面を有するテーパ部を備えており、該テーパ部のテーパ面に、該上部タンク内に気体を供給する気体供給口が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明によれば、浸漬タンクの下端部から、洗浄水供給手段によって空気溶解水を供給すると、空気溶解水に溶解していた空気が気化して微細気泡が発生する。すると、微細気泡が浸漬タンク内を上昇するときに、微細気泡を浸漬タンク内の米と接触させることができる。このため、微細気泡によって米に大きな力を加えることなく洗浄することができるので、洗浄時に米が破砕することを防ぐことができ、炊飯品質を向上させることができる。また、空気溶解水に溶解している空気の量は、洗浄水供給手段と浸漬タンクとの接続部分における空気の飽和溶解量よりも少ない。このため、空気溶解水に溶解している空気が、洗浄水供給手段から浸漬タンクに送られる間に気化することを防ぐことができるので、浸漬タンク内においてのみ確実に微細気泡を発生させることができる。
請求項2の発明によれば、空気溶解水に溶解している空気が、洗浄水供給手段から浸漬タンクに送られる間に気化することをより確実に防ぐことができるので、浸漬タンク内においてのみ確実に微細気泡を発生させることができる。しかも、米の洗浄に必要かつ十分な量の微細気泡を浸漬タンク内に確実に発生させることができるので、米の洗浄状態をより良好な状態とすることができる。
請求項3の発明によれば、浸漬タンクの下端部から、洗浄水供給手段によって空気溶解水を供給すると、空気溶解水に溶解していた空気が気化して微細気泡が発生する。すると、微細気泡が浸漬タンク内を上昇するときに、微細気泡を浸漬タンク内の米と接触させることができる。このため、微細気泡によって米に大きな力を加えることなく洗浄することができるので、洗浄時に米が破砕することを防ぐことができ、炊飯品質を向上させることができる。また、空気溶解水に溶解している空気の量は、洗浄水供給手段と浸漬タンクとの接続部分における空気の飽和溶解量よりも少ない。このため、空気溶解水に溶解している空気が、洗浄水供給手段から浸漬タンクに送られる間に気化することを防ぐことができるので、浸漬タンク内においてのみ確実に微細気泡を発生させることができる。
請求項4の発明によれば、空気溶解水に溶解している空気が、洗浄水供給手段から浸漬タンクに送られる間に気化することをより確実に防ぐことができるので、浸漬タンク内においてのみ確実に微細気泡を発生させることができる。しかも、米の洗浄に必要かつ十分な量の微細気泡を浸漬タンク内に確実に発生させることができるので、米の洗浄状態をより良好な状態とすることができる。
請求項5の発明によれば、空気溶解水の圧力と前記浸漬タンク内の水の圧力との差圧を、所定の値以上に維持することができるから、放出部から空気溶解水を放出したときに、空気溶解水の圧力の低下を所定の値以上に保つことができる。このため、放出部から空気溶解水を放出したときに、空気溶解水に溶解している空気を一気に気化させることができるから、浸漬タンク内に多数の気泡をほぼ同時に発生させることができる。よって、気泡径の小さい微細気泡を、確実かつ大量に発生させることができる。
請求項6の発明によれば、浸漬タンク内の米は、下部タンクの下端に設けられた米供給口から炊飯釜に供給される。つまり、浸漬タンク内の米は、必ず下部タンク内を通って炊飯釜に供給される。そして、上部タンクと下部タンクの接続部分には、その水平断面全体に微細気泡が存在するので、上部タンク内の米が下部タンク内に流入するときに、必ず微細気泡と接触させることができる。つまり、上部タンク内において微細気泡と接触できなかった米も、下部タンク内に入るときには必ず微細気泡によって洗米されるから、炊飯釜に供給される米の洗浄状態を向上することができ、炊飯品質を向上させることができる。しかも、下部タンクはその断面積が小さいので、米と微細気泡との接触機会が多くなるため、米の洗浄が進み、米の洗浄状態、およびその均一性を向上させることができる。また、断面積の小さい下部タンクに空気溶解水を供給しているので、空気溶解水の流量を少なくしても確実に下部タンクと上部タンクの接続部分の断面全体に微細気泡を存在させることができる。よって、洗浄水供給手段の容量を小さくすることができるので、装置をコンパクトにすることができ、設備費やランニングコストを抑えることができ、メンテナンス性を向上させることができる。さらに、下部タンク内において米を確実に微細気泡に接触させることができるから、米と微細気泡の接触機会を増やすために上部タンクの断面積を小さくする必要がない。すると、浸漬タンクの高さを抑えても浸漬タンクの内容積を大きくすることができるから、浸漬タンクの内容積を大きくしても、微細気泡を米の上面まで確実に浮上させることができる。よって、米糠が積層米内部で堆積することを防ぐことができ、米の洗米状態が低下することを防ぐことができるから、炊飯品質を向上させることができる。
請求項7の発明によれば、上部タンクの下端をテーパ部としているから、上部タンク内において、微細気泡と接触しない米の量を少なくすることができる。しかも、気体供給口から気体を供給したときに発生する気泡の移動によって上部タンク内の米の位置を変えることができる。つまり、上部タンク内において、微細気泡と接触しない米の割合を少なくすることができるから、米の位置による米の洗浄状態の相違を少なくすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本実施形態の洗米装置の概略説明図である。同図において、符号10は浸漬タンクを示している。この浸漬タンク10の下方には、図示しない炊飯手段に炊飯釜Kを搬送するための搬送コンベアCが設けられている。また、浸漬タンク10の下端には、浸漬タンク10内の米と水を計量して、前記炊飯釜Kに供給するための計量器13が設けられている。
このため、浸漬タンク10内に収容されている米と水を、計量器13によって搬送コンベアC上を搬送される炊飯釜Kに所定の量ずつ供給することができるので、所定の量の米と水が入った炊飯釜Kを炊飯手段に連続して供給することができる。
【0012】
図1において符号15は洗浄水供給手段を示している。この洗浄水供給手段15は、浸漬タンク10の上端部に接続された、浸漬タンク10内の水を吸引する配管17と、この配管17を通して吸引された水に空気を加圧溶解させて空気溶解水を形成する溶解水形成部16と、溶解水形成部16で形成された空気溶解水を浸漬タンク10の下端部に供給する配管18を備えている。
【0013】
このため、洗浄水供給手段15によって浸漬タンク10内に空気溶解水を供給すると、空気溶解水中に溶解していた空気が気化して、微細気泡が発生する。この微細気泡が米に接触すると、米に接触したときの衝撃によって破裂し、衝撃波が発生するので、その衝撃波によって米表面に付着した米糠が剥離される。剥離された米糠は米と米の間の水中に浮遊するが、やがて、その表面に微細気泡が付着して、微細気泡とともに水面まで浮上する。つまり、微細気泡によって、大きな力を加えることなく優しく米の表面を洗浄することができ、米と米の間から米糠等も除去することができるから、浸漬タンク10内の米を破砕することなく確実に洗米することができ、炊飯品質を向上させることができる。
【0014】
しかも、浸漬タンク10内の水を再利用して空気溶解水を生成するから、洗米に使用する水の量を少なくすることができ、洗米コストを低減することができる。
【0015】
なお、配管17の浸漬タンク10内の一端には、浸漬タンク10の水上に浮上した米糠等を吸引しないようにフィルタ17a が設けられているので、水面に浮上した米糠等が再び浸漬タンク10内に入ることを防ぐことができる。
さらになお、炊飯釜Kに供給することによって浸漬タンク10内の水が減少すると、洗浄水供給手段15から同量の水が追加供給される。このとき、追加供給される水は、浸漬タンク10から吸引された水と同様に、空気が加圧溶解されて空気溶解水となり、その後、浸漬タンク10内に供給される。
【0016】
つぎに、本発明の特徴である浸漬タンク10および空気溶解水について詳細に説明する。
まず、空気溶解水について詳細に説明する。
前述したように、空気溶解水は、洗浄水供給手段15によって、空気が加圧溶解されたものである。この空気溶解水には、配管18と浸漬タンク10との接続部分J(以下、単に接続部分Jという)における配管18内の水圧に対する飽和溶解量(以下、単に接続部分Jにおける飽和溶解量という)よりも少ない量の空気、たとえば、接続部分Jにおける飽和溶解量の65〜75%の空気が溶解されている。具体的にいえば、水温が25℃の場合、接続部分Jにおける水圧が4atm であれば、空気の溶解量は45〜52ml/lとなるように調整される。
【0017】
このため、配管18内では空気溶解水に溶解している空気は気化させずに、浸漬タンク10内においてのみ空気溶解水に溶解している空気を気化させることができるから、浸漬タンク10内において確実に微細気泡を発生させることができる。
【0018】
なお、空気溶解水に溶解している空気の溶解量は、接続部分Jにおける飽和溶解量よりも少なければよいが、接続部分Jにおける飽和溶解量の65〜75%とすれば、配管18内における気泡の発生を確実に防ぐことができる。そして、空気溶解水に溶解している空気の大部分が微細気泡となるから、米の洗浄に必要かつ十分な量の微細気泡を浸漬タンク10に確実に発生させることができるので、米の洗浄状態をより良好な状態とすることができる。
【0019】
つぎに、本発明の洗米装置において、最も特徴的な構造を有する浸漬タンク10を詳細に説明する。
図2は本実施形態の洗米装置の浸漬タンク10の概略説明図である。図1および図2において、符号11は浸漬タンク10の上部タンク11を示している。この上部タンク11は、その上端が大気解放されており、洗米する精米を投入する精米投入口となっている。
一方、上部タンク11の下端には、筒状の下部タンク12が設けられている。この下部タンク12の上端には、前記上部タンク11内部と連通する連通口12a が形成されており、その下端には、浸漬タンク10内の米と水を前記計量器13に供給するための米供給口12h が形成されている。
このため、計量器13を介して下部タンク12の米供給口12h から米と水を炊飯釜Kに供給することができ、炊飯釜Kに供給された量と同量の米と水を上部タンク11から下部タンク12内に補給することができるのである。
【0020】
ところで、下部タンク12には、前記連通口12a と米供給口12h の間であって、その下端近傍に前記洗浄水供給手段15の配管18が接続されている。そして、この下部タンク12は、その水平断面の断面積D2が上部タンク11の水平断面の断面積D1よりも小さくなるように形成されている。しかも、下部タンク12は、接続部分Jにおける水平断面が、配管18から前記空気溶解水が流入したときにほぼその断面全体に微細気泡が発生するような大きさに形成されている。
【0021】
このため、前記洗浄水供給手段15の配管18から下部タンク12内に空気溶解水を供給すれば、接続部分Jの位置における下部タンク12の水平断面のほぼ全体に大量の微細気泡が発生する。そして、大量の微細気泡は、下部タンク12内を上昇するにしたがって、その存在領域が水平方向に広がるので、上部タンク11と下部タンク12の接続部分、つまり、連通口12a では確実にその断面全体に存在する。
すると、上部タンク11から下部タンク12に米が補給されるときに、上部タンク11から流入する全ての米を確実に微細気泡と接触させることができるから、上部タンク11内において微細気泡と接触できない米があったとしても、その米が下部タンク12内に流入すれば、確実に微細気泡と接触させることができる。つまり、上部タンク11内において洗米されなかった米であっても、少なくとも下部タンク12の連通口12a を通過するときに微細気泡によって洗米することができるし、上部タンク11において洗米された米は、下部タンク12の連通口12a を通過するときにもさらに洗米することができる。
【0022】
よって、上記のごとき構造を有する下部タンク12を備えた浸漬タンク10を使用すれば、米が上部タンク11から下部タンク12に流入するときに、全ての米を確実に微細気泡によって洗米することができ、米と米の間の米糠等も微細気泡によって取り除くことができるから、炊飯釜Kに未洗浄の米が供給されることを確実に防ぐことができ、炊飯釜Kに供給する米の洗浄状態を均一にすることができ、炊飯品質を向上させることができる。
【0023】
また、下部タンク12は、上部タンク11に比べてその断面積が小さく、その内容積も小さいので、下部タンク12内では、単位体積あたり存在する微細気泡の量を非常に多くすることができる。このため、米と微細気泡との接触機会が多くなるから、米の洗浄が進み、米の洗浄状態、およびその均一性をさらに向上させることができる。つまり、下部タンク12において、事実上、仕上げ洗米を行うことができるから、炊飯釜Kに供給される米の洗浄状態をより確実に均一にすることができ、炊飯品質をさらに高めることができる。
例えば、上部タンク11の容積を約400kgの米が充填できる800リットルとし、下部タンク12の容積を炊飯釜K2杯分、具体的には約15〜17kgの米が充填できる21〜25リットルとした場合、上部タンク11内に米が滞留する時間は90分程度であるのに対し、下部タンク12内に米が滞留する平均時間は2分程度である。しかし、上述したような空気溶解量の空気飽和水を下部タンク12内に毎分約70リットル吐出した場合、下部タンク12内の米と空気飽和水の比率は1対2.5以上となり、下部タンク12内における空気飽和水の濃度は、上部タンク11内における空気飽和水の濃度の25倍以上となる。このため、下部タンク12内では、たとえ滞留時間が短くても、上部タンク11に比べて十分な米の洗浄効果を得ることができるから、米の洗浄状態、およびその均一性をさらに向上させることができる。
【0024】
なお、下部タンク12は、連通口12a においてその断面全体に微細気泡存在する大きさに形成されていればよく、接続部分Jから上方に行くに従って広くなるように形成してもよいし、接続部分Jから連通口12a まで水平断面の断面積が一定になるように形成してもよい。
とくに、下部タンク12を、接続部分Jから連通口12a まで水平断面の断面積が一定になるように形成し、かつ接続部分Jにおける水平断面を、その断面全体に微細気泡が確実に存在しうる大きさとすれば、下部タンク12内に入っている米の洗浄状態をより均一かつ良好な状態とすることができるから、より一層、炊飯品質を向上させることができる。
【0025】
さらに、断面積の小さい下部タンク12に空気溶解水を供給しているので、空気溶解水の流量を少なくしても確実に下部タンク12と上部タンク11の接続部分の水平断面全体に微細気泡を存在させることができる。よって、洗浄水供給手段15の容量を小さくすることもできるので、装置をコンパクトにすることができ、設備費やランニングコストを抑えることができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0026】
さらに、下部タンク12内において、米を確実に微細気泡に接触させることができ、十分な米の洗浄効果を得ることができるから、米と微細気泡の接触機会を増やすために上部タンク11の断面積を小さくする必要がない。このため、浸漬タンク11の高さH1を抑えても、上部タンク11内の断面積を大きくすることによって浸漬タンク10の内容積を大きくすることができる。よって、浸漬タンク10の内容積を大きくしても、微細気泡を米の上面まで確実に浮上させることができるので、米糠が積層米内部で堆積することを防ぐことができ、米の洗米状態が低下することを防ぐことができる。
【0027】
また、図3に示すように、洗浄水供給手段15の配管18と浸漬タンク10との接続部分Jに、公知のバルブやオリフィス等の放出部19を設けてもよい。
この場合、接続部分Jにおける配管18内の空気溶解水の圧力を、放出部19溶解水形成部16において水に加える気圧とほぼ同じ圧力、例えば約0.2〜0.4MPaに保つことができる。よって、配管18内において空気溶解水に溶解している空気が気化することを確実に防ぐことができる。しかも、接続部分Jにおける加圧タンク10内の水圧は、せいぜい0.02MPaであるから、放出部19から下部タンク12内に空気溶解水を放出させれば、空気溶解水の圧力を急激に低下させることができる。すると、空気溶解水に溶解していたる空気を一気に気化させることができるから、加圧タンク10内に多数の気泡をほぼ同時に発生させることができるし、多数の気泡をほぼ同時に発生させるから、個々の気泡の直径を小さくすることができる。
そして、放出部19がバルブなどのように配管18から浸漬タンク10に流入する流量を調整できるものであれば、溶解水形成部16において水に加える気圧を低くしたとしても、接続部分Jにおける配管18内の空気溶解水の圧力と下部タンク12内の水の圧力との差圧を、所定の値以上に維持することができる。よって、浸漬タンク10における微細気泡の形成を制御することができるから、浸漬タンク10における米の洗浄状態を放出部19によって制御することもできる。
【0028】
さらに、上部タンク11の下端部を、下部タンク12に向かって下傾したテーパ面を有するテーパ部11a に形成すれば、上部タンク11内において、微細気泡と接触しない米の量を少なくすることができるし、上部タンク11から下部タンク12への米の供給をスムースに行うことができる。
【0029】
そして、図4に示すように、浸漬タンク10の上部タンク11のテーパ部11a において、そのテーパ面に気体供給口21を設け、気体供給口21をブロワ等の高圧空気を供給することができる空気供給機22に接続しておけば、この気体供給口21から上部タンク11内に気体を供給することができる。すると、気体供給口21から気体を供給したときに気泡が発生するので、この気泡の移動によって上部タンク11内の米の位置を変えることができる。
すると、上部タンク11内において、テーパ面上に位置していた米であっても、水流によって上部タンク11の中央部、つまり微細気泡が大量存在する部分に向けて移動させることも可能となる。よって、上部タンク11内において、微細気泡と接触しない米の割合を少なくすることができるから、米の位置による米の洗浄状態の相違を少なくすることができ、炊飯品質を向上させることができる。
【0030】
【実施例】
本発明の洗米装置による米の洗浄効果、および炊飯品質に与える影響を確認するために、本発明の洗米装置によって洗米した米、およびその米を炊飯してその状態を調べた。
浸漬タンク10は、その上部タンク11の容積を1500リットル、下部タンク12の容量を25リットル、浸漬タンク10の全高H1は2.5m、下部タンクの高さH2は0.6mである。
空気溶解水は、その流量は80l/minであり、この場合の下部タンク12内の米と空気飽和水の体積比率は約1対3となる。配管18と浸漬タンク10との接続部分には、放出部19としてバルブを設けており、この放出部19における配管18内の空気溶解水の圧力は0.3MPaであり、接続部分Jにおける溶解量は4%である。
上部タンク11のテーパ部11a に設けられた空気供給部21からは、間欠的に空気を供給した。供給される空気の流量は3.0l/minであり、供給回数は2分に1回であり、空気を供給する時間は1回あたり2秒である。
この浸漬タンク10内において、500kgの米を洗米して、洗米後の米の表面の白度、炊飯後の御飯中における塊状の米糠の有無、米糠臭を調べた。
【0031】
洗米終了後、炊飯釜Kに投入された米の表面の白度を測定すると、米糠が付着して黄色くなった米がなく、炊飯釜K内の米の全てがほぼ同じ白度であることが確認された。炊飯しても、全ての炊飯釜Kで塊状になった米糠は発見されず、炊飯釜Kで米糠臭を感じなかった。したがって、浸漬タンク10内において、斑のない洗浄が行われていること、および米から米糠が確実に除去されていると考えられる。
【0032】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、微細気泡によって米に大きな力を加えることなく洗浄することができるので、洗浄時に米が破砕することを防ぐことができ、炊飯品質を向上させることができる。また、浸漬タンク内においてのみ確実に微細気泡を発生させることができる。
請求項2の発明によれば、浸漬タンク内においてのみ確実に微細気泡を発生させることができ、しかも、米の洗浄状態をより均一かつ良好な状態とすることができる。
請求項3の発明によれば、微細気泡によって米に大きな力を加えることなく洗浄することができるので、洗浄時に米が破砕することを防ぐことができ、炊飯品質を向上させることができる。浸漬タンク内においてのみ確実に微細気泡を発生させることができる。
請求項4の発明によれば、浸漬タンク内においてのみ確実に微細気泡を発生させることができ、しかも、米の洗浄状態をより均一かつ良好な状態とすることができる。
請求項5の発明によれば、浸漬タンク内に多数の気泡をほぼ同時に発生させることができるから、気泡径の小さい微細気泡を、確実かつ大量に発生させることができる。
請求項6の発明によれば、炊飯釜に供給される米の洗浄状態を確実に均一にすることができる。また、洗浄水供給手段の容量を小さくすることができるので、装置をコンパクトにすることができ、設備費やランニングコストを抑えることができ、メンテナンス性を向上させることができる。さらに、米糠が積層米内部で堆積することを防ぐことができ、米の洗米状態が低下することを防ぐことができる。
請求項7の発明によれば、上部タンク内において、微細気泡と接触しない米の割合を少なくすることができるから、米の位置による米の洗浄状態の相違を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の洗米装置の概略説明図である。
【図2】本実施形態の洗米装置の浸漬タンク10の概略説明図である。
【図3】放出部19を設けた浸漬タンク10の概略説明図である。
【図4】気体供給口21を設けた浸漬タンク10の概略説明図である。
【図5】従来の洗米装置の概略説明図である。
【符号の説明】
10 浸漬タンク
11 上部タンク
12 下部タンク
12h 米供給口
13 計量器
15 洗浄水供給手段
19 放出部
21 気体供給口
【発明の属する技術分野】
本発明は洗米装置および洗米方法に関する。精米された状態の米には、その表面に汚れやヌカのカス等が付着しており、また米同士の間にもホコリやヌカのカス等が混入している。このため、炊飯する前には、洗米することによってヌカ等を洗い流す必要がある。ところで、一般家庭では、米の量が少ないので手作業によって丁寧に米を洗うことができるが、給食工場や食品工場等では一度に大量の米を炊く必要があるため、手作業によって洗米を行うことはできない。したがって、自動で、しかも一度に大量の米を洗うことができる洗米装置が使用されている。本発明はかかる洗米装置およびこの装置に採用される洗米方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から使用されている洗米装置は、洗米するための洗米機と、洗米された米を水に浸漬するための浸漬タンクと、この浸漬タンク内の米と水を計量して所定の量ずつ炊飯釜に供給する計量器を備えている。従来の洗米装置の洗米機では、流水による洗浄が一般的であり、洗米用タンク内に常時水流を発生させることによって、米同士を接触させ、両者の間に発生する摩擦力によって米を洗浄している。
【0003】
ところが、流水による洗米では、常時清潔な水を洗米用タンクに供給するとともに汚れた水を洗米用タンクから排出しなければならないため、洗米に大量の水を必要とする。そして、米同士を接触させるため、接触したときの摩擦力が強ければ、米が破砕してしまう。すると、正常な形状の米の中に、大量の破砕した米が混じった状態の米を炊くことになるから、炊飯品質が低下してしまう。また、洗米用の洗米機と浸漬用の浸漬タンクが必要となるため、装置が大型化してしまう。
【0004】
上記の問題を解決する洗米装置として、以下に示す技術(従来例1、特許文献1)がある。
図5において符号1は、洗米前の米を水に浸漬する浸漬槽を示している。この浸漬槽1の下部には、配管8が連結されており、この配管8から高濃度に酸素が溶解した水(以下、単に酸素溶解水という)が供給されている。この酸素溶解水は、水温25℃大気圧下において水に溶解することができる酸素の量よりも多い、30ppm 〜40ppm の酸素が溶解しているものである。
このため、「高濃度に酸素気体を溶解した水を配管8で送り浸漬槽1内で大気圧下に解放することにより、槽1内に5ミクロン程度の超微細気泡1cを発生せしめるようになっている。そして、この気泡により浸漬槽1内は白濁状態となり、その中に精米を浸漬すると、米糠全体に気泡が付着し、米粒周辺の汚れやぬかを吸着して浮上する。そこで、この浮上した気泡を分離すると、精米は優しく洗米される」と記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−259440号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、酸素溶解水の溶存酸素濃度が30〜40ppm の場合、約4〜5気圧の場合における溶存酸素濃度と同じになる。このため、水が酸素溶解装置7から浸漬槽1まで流れる間に配管8内の圧力が4〜5気圧以下となると配管8内において気泡が発生し成長してしまう。すると、その気泡は浸漬槽1に供給されるから、浸漬槽1内で微細な気泡が発生してもその微細な気泡の多くは成長した気泡に吸収されてしまう。よって、微細な気泡による洗米効果が十分に得られず、大きな気泡が移動するときに発生する水流によって米同士を接触させて米を洗うことになるから、洗米状態にムラができたりし、米を破砕したりしてしまう可能性がある。
また、水に高濃度の酸素を溶解させるために、酸素発生器が必要になるから、設備費用が高くなるという問題も生じる。
【0007】
浸漬槽1内で発生した微細気泡は、浸漬槽1内を水平方向に広がりながら上昇する。つまり、微細気泡は、浸漬槽1内において、その下方から上方に向かって逆円錐状に広がりながら流れることになる。このため、微細気泡の流れの外周面と浸漬槽1の内面との間には、微細気泡が通過しない部分Aができ、その部分には微細気泡と全く接触しない米ができるので、米の洗浄状態を均一にすることができず、炊飯品質が低下する。
また、浸漬槽1の底部をテーパ状のテーパ部として、テーパ部内面の広がり角度θ1を微細気泡の水平方向への広がり角度θ2より小さくなるように形成しておけば、浸漬槽1内の全ての米と微細気泡とを接触させることはできる。しかし、テーパ部の広がり角度θ1を小さくすると、浸漬槽1の直径が小さくなり、浸漬槽1の容積が小さくなるので浸漬槽1内に収容できる米の量が少なくなるため、生産性が低くなる。浸漬槽1を縦長にすれば浸漬槽1内に収容できる米の量を多くすることができるが、浸漬している米の最下限から上面までの積層厚さが大きくなり、微細気泡が米の上面まで浮上出来なくなる。すると、米糠が積層米内部で堆積することになるから、炊飯品質が低下してしまう。
浸漬槽1に供給する酸素溶解水の流量を多くすれば、浸漬槽1内で発生する微細気泡も多くなり、微細気泡の水平方向への広がり角度θ2も大きくなるので、テーパ部の広がり角θ1を大きくでき、浸漬槽1の直径が大きくできる。しかし、酸素溶解水の流量を大きくするには、ポンプや酸素発生器を大型化しなければならないので、設備費やランニングコストが大幅に増加するし、メンテナンス性が悪化し、生産効率が低下する。
したがって、従来例1の洗米装置では、米の洗浄状態を均一にすることができないので、炊飯品質が低下することを防ぐことができず、しかも、コンパクトかつ生産効率の高い装置とすることはできない。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑み、米を破砕することなく洗浄することができ、米の洗浄状態を均一に保ち、炊飯品質が低下することを防ぐことができ、装置をコンパクトにすることができ、しかも生産効率を高くすることができる洗米装置および洗米方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の洗米方法は、米と水を収容する浸漬タンクと、該浸漬タンクの下端部に接続され、該浸漬タンクに水を供給するための洗浄水供給手段とを備えた洗米装置において、前記洗浄水供給手段によって、前記浸漬タンクに、該洗浄水供給手段と前記浸漬タンクとの接続部分における飽和溶解量よりも少ない量の空気を溶解させた空気溶解水を供給し、該空気溶解水を前記浸漬タンク内に供給したときに発生する微細気泡によって、該浸漬タンク内の米を洗浄することを特徴とする。
請求項2の洗米方法は、請求項1記載の発明において、前記空気溶解水中の空気の溶解量が、前記洗浄水供給手段と前記浸漬タンクとの接続部分における空気の飽和溶解量の65〜75%であることを特徴とする。
請求項3の洗米装置は、米と水を収容する浸漬タンクと、該浸漬タンクの下端部に接続され、該浸漬タンクに水を供給するための洗浄水供給手段とを備えた洗米装置であって、前記洗浄水供給手段が、前記浸漬タンクに、該洗浄水供給手段と前記浸漬タンクとの接続部分における飽和溶解量よりも少ない量の空気を溶解させた空気溶解水を供給することを特徴とする。
請求項4の洗米装置は、請求項3記載の発明において、前記空気溶解水中の空気の溶解量が、前記洗浄水供給手段と前記浸漬タンクとの接続部分における空気の飽和溶解量の65〜75%であることを特徴とする。
請求項5の洗米装置は、請求項3記載の発明において、前記洗浄水供給手段が、前記浸漬タンクとの接続部に、前記浸漬タンク内に前記空気溶解水を放出する放出部を備えており、該放出部が、前記洗浄水供給手段における前記空気溶解水の圧力と前記浸漬タンク内の水の圧力の差圧を、所定の値以上に維持することを特徴とする。
請求項6の洗米装置は、請求項3記載の発明において、前記浸漬タンクが、上部タンクと、該上部タンクよりも断面積が小さい下部タンクとから構成されており、前記洗浄水供給手段が、前記下部タンクの下端部に接続されており、該下部タンクの下端であって、前記洗浄水供給手段との接続部分よりも下方に、該浸漬タンク内の米および水を炊飯釜に供給するための米供給口が形成されており、前記下部タンク内において、前記上部タンクとの連結部分の水平断面全体に微細気泡が存在することを特徴とする。
請求項7の洗米装置は、請求項6記載の発明において、前記浸漬タンクの上部タンクが、その下端部に前記下部タンクに向けて下傾するテーパ面を有するテーパ部を備えており、該テーパ部のテーパ面に、該上部タンク内に気体を供給する気体供給口が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項1の発明によれば、浸漬タンクの下端部から、洗浄水供給手段によって空気溶解水を供給すると、空気溶解水に溶解していた空気が気化して微細気泡が発生する。すると、微細気泡が浸漬タンク内を上昇するときに、微細気泡を浸漬タンク内の米と接触させることができる。このため、微細気泡によって米に大きな力を加えることなく洗浄することができるので、洗浄時に米が破砕することを防ぐことができ、炊飯品質を向上させることができる。また、空気溶解水に溶解している空気の量は、洗浄水供給手段と浸漬タンクとの接続部分における空気の飽和溶解量よりも少ない。このため、空気溶解水に溶解している空気が、洗浄水供給手段から浸漬タンクに送られる間に気化することを防ぐことができるので、浸漬タンク内においてのみ確実に微細気泡を発生させることができる。
請求項2の発明によれば、空気溶解水に溶解している空気が、洗浄水供給手段から浸漬タンクに送られる間に気化することをより確実に防ぐことができるので、浸漬タンク内においてのみ確実に微細気泡を発生させることができる。しかも、米の洗浄に必要かつ十分な量の微細気泡を浸漬タンク内に確実に発生させることができるので、米の洗浄状態をより良好な状態とすることができる。
請求項3の発明によれば、浸漬タンクの下端部から、洗浄水供給手段によって空気溶解水を供給すると、空気溶解水に溶解していた空気が気化して微細気泡が発生する。すると、微細気泡が浸漬タンク内を上昇するときに、微細気泡を浸漬タンク内の米と接触させることができる。このため、微細気泡によって米に大きな力を加えることなく洗浄することができるので、洗浄時に米が破砕することを防ぐことができ、炊飯品質を向上させることができる。また、空気溶解水に溶解している空気の量は、洗浄水供給手段と浸漬タンクとの接続部分における空気の飽和溶解量よりも少ない。このため、空気溶解水に溶解している空気が、洗浄水供給手段から浸漬タンクに送られる間に気化することを防ぐことができるので、浸漬タンク内においてのみ確実に微細気泡を発生させることができる。
請求項4の発明によれば、空気溶解水に溶解している空気が、洗浄水供給手段から浸漬タンクに送られる間に気化することをより確実に防ぐことができるので、浸漬タンク内においてのみ確実に微細気泡を発生させることができる。しかも、米の洗浄に必要かつ十分な量の微細気泡を浸漬タンク内に確実に発生させることができるので、米の洗浄状態をより良好な状態とすることができる。
請求項5の発明によれば、空気溶解水の圧力と前記浸漬タンク内の水の圧力との差圧を、所定の値以上に維持することができるから、放出部から空気溶解水を放出したときに、空気溶解水の圧力の低下を所定の値以上に保つことができる。このため、放出部から空気溶解水を放出したときに、空気溶解水に溶解している空気を一気に気化させることができるから、浸漬タンク内に多数の気泡をほぼ同時に発生させることができる。よって、気泡径の小さい微細気泡を、確実かつ大量に発生させることができる。
請求項6の発明によれば、浸漬タンク内の米は、下部タンクの下端に設けられた米供給口から炊飯釜に供給される。つまり、浸漬タンク内の米は、必ず下部タンク内を通って炊飯釜に供給される。そして、上部タンクと下部タンクの接続部分には、その水平断面全体に微細気泡が存在するので、上部タンク内の米が下部タンク内に流入するときに、必ず微細気泡と接触させることができる。つまり、上部タンク内において微細気泡と接触できなかった米も、下部タンク内に入るときには必ず微細気泡によって洗米されるから、炊飯釜に供給される米の洗浄状態を向上することができ、炊飯品質を向上させることができる。しかも、下部タンクはその断面積が小さいので、米と微細気泡との接触機会が多くなるため、米の洗浄が進み、米の洗浄状態、およびその均一性を向上させることができる。また、断面積の小さい下部タンクに空気溶解水を供給しているので、空気溶解水の流量を少なくしても確実に下部タンクと上部タンクの接続部分の断面全体に微細気泡を存在させることができる。よって、洗浄水供給手段の容量を小さくすることができるので、装置をコンパクトにすることができ、設備費やランニングコストを抑えることができ、メンテナンス性を向上させることができる。さらに、下部タンク内において米を確実に微細気泡に接触させることができるから、米と微細気泡の接触機会を増やすために上部タンクの断面積を小さくする必要がない。すると、浸漬タンクの高さを抑えても浸漬タンクの内容積を大きくすることができるから、浸漬タンクの内容積を大きくしても、微細気泡を米の上面まで確実に浮上させることができる。よって、米糠が積層米内部で堆積することを防ぐことができ、米の洗米状態が低下することを防ぐことができるから、炊飯品質を向上させることができる。
請求項7の発明によれば、上部タンクの下端をテーパ部としているから、上部タンク内において、微細気泡と接触しない米の量を少なくすることができる。しかも、気体供給口から気体を供給したときに発生する気泡の移動によって上部タンク内の米の位置を変えることができる。つまり、上部タンク内において、微細気泡と接触しない米の割合を少なくすることができるから、米の位置による米の洗浄状態の相違を少なくすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本実施形態の洗米装置の概略説明図である。同図において、符号10は浸漬タンクを示している。この浸漬タンク10の下方には、図示しない炊飯手段に炊飯釜Kを搬送するための搬送コンベアCが設けられている。また、浸漬タンク10の下端には、浸漬タンク10内の米と水を計量して、前記炊飯釜Kに供給するための計量器13が設けられている。
このため、浸漬タンク10内に収容されている米と水を、計量器13によって搬送コンベアC上を搬送される炊飯釜Kに所定の量ずつ供給することができるので、所定の量の米と水が入った炊飯釜Kを炊飯手段に連続して供給することができる。
【0012】
図1において符号15は洗浄水供給手段を示している。この洗浄水供給手段15は、浸漬タンク10の上端部に接続された、浸漬タンク10内の水を吸引する配管17と、この配管17を通して吸引された水に空気を加圧溶解させて空気溶解水を形成する溶解水形成部16と、溶解水形成部16で形成された空気溶解水を浸漬タンク10の下端部に供給する配管18を備えている。
【0013】
このため、洗浄水供給手段15によって浸漬タンク10内に空気溶解水を供給すると、空気溶解水中に溶解していた空気が気化して、微細気泡が発生する。この微細気泡が米に接触すると、米に接触したときの衝撃によって破裂し、衝撃波が発生するので、その衝撃波によって米表面に付着した米糠が剥離される。剥離された米糠は米と米の間の水中に浮遊するが、やがて、その表面に微細気泡が付着して、微細気泡とともに水面まで浮上する。つまり、微細気泡によって、大きな力を加えることなく優しく米の表面を洗浄することができ、米と米の間から米糠等も除去することができるから、浸漬タンク10内の米を破砕することなく確実に洗米することができ、炊飯品質を向上させることができる。
【0014】
しかも、浸漬タンク10内の水を再利用して空気溶解水を生成するから、洗米に使用する水の量を少なくすることができ、洗米コストを低減することができる。
【0015】
なお、配管17の浸漬タンク10内の一端には、浸漬タンク10の水上に浮上した米糠等を吸引しないようにフィルタ17a が設けられているので、水面に浮上した米糠等が再び浸漬タンク10内に入ることを防ぐことができる。
さらになお、炊飯釜Kに供給することによって浸漬タンク10内の水が減少すると、洗浄水供給手段15から同量の水が追加供給される。このとき、追加供給される水は、浸漬タンク10から吸引された水と同様に、空気が加圧溶解されて空気溶解水となり、その後、浸漬タンク10内に供給される。
【0016】
つぎに、本発明の特徴である浸漬タンク10および空気溶解水について詳細に説明する。
まず、空気溶解水について詳細に説明する。
前述したように、空気溶解水は、洗浄水供給手段15によって、空気が加圧溶解されたものである。この空気溶解水には、配管18と浸漬タンク10との接続部分J(以下、単に接続部分Jという)における配管18内の水圧に対する飽和溶解量(以下、単に接続部分Jにおける飽和溶解量という)よりも少ない量の空気、たとえば、接続部分Jにおける飽和溶解量の65〜75%の空気が溶解されている。具体的にいえば、水温が25℃の場合、接続部分Jにおける水圧が4atm であれば、空気の溶解量は45〜52ml/lとなるように調整される。
【0017】
このため、配管18内では空気溶解水に溶解している空気は気化させずに、浸漬タンク10内においてのみ空気溶解水に溶解している空気を気化させることができるから、浸漬タンク10内において確実に微細気泡を発生させることができる。
【0018】
なお、空気溶解水に溶解している空気の溶解量は、接続部分Jにおける飽和溶解量よりも少なければよいが、接続部分Jにおける飽和溶解量の65〜75%とすれば、配管18内における気泡の発生を確実に防ぐことができる。そして、空気溶解水に溶解している空気の大部分が微細気泡となるから、米の洗浄に必要かつ十分な量の微細気泡を浸漬タンク10に確実に発生させることができるので、米の洗浄状態をより良好な状態とすることができる。
【0019】
つぎに、本発明の洗米装置において、最も特徴的な構造を有する浸漬タンク10を詳細に説明する。
図2は本実施形態の洗米装置の浸漬タンク10の概略説明図である。図1および図2において、符号11は浸漬タンク10の上部タンク11を示している。この上部タンク11は、その上端が大気解放されており、洗米する精米を投入する精米投入口となっている。
一方、上部タンク11の下端には、筒状の下部タンク12が設けられている。この下部タンク12の上端には、前記上部タンク11内部と連通する連通口12a が形成されており、その下端には、浸漬タンク10内の米と水を前記計量器13に供給するための米供給口12h が形成されている。
このため、計量器13を介して下部タンク12の米供給口12h から米と水を炊飯釜Kに供給することができ、炊飯釜Kに供給された量と同量の米と水を上部タンク11から下部タンク12内に補給することができるのである。
【0020】
ところで、下部タンク12には、前記連通口12a と米供給口12h の間であって、その下端近傍に前記洗浄水供給手段15の配管18が接続されている。そして、この下部タンク12は、その水平断面の断面積D2が上部タンク11の水平断面の断面積D1よりも小さくなるように形成されている。しかも、下部タンク12は、接続部分Jにおける水平断面が、配管18から前記空気溶解水が流入したときにほぼその断面全体に微細気泡が発生するような大きさに形成されている。
【0021】
このため、前記洗浄水供給手段15の配管18から下部タンク12内に空気溶解水を供給すれば、接続部分Jの位置における下部タンク12の水平断面のほぼ全体に大量の微細気泡が発生する。そして、大量の微細気泡は、下部タンク12内を上昇するにしたがって、その存在領域が水平方向に広がるので、上部タンク11と下部タンク12の接続部分、つまり、連通口12a では確実にその断面全体に存在する。
すると、上部タンク11から下部タンク12に米が補給されるときに、上部タンク11から流入する全ての米を確実に微細気泡と接触させることができるから、上部タンク11内において微細気泡と接触できない米があったとしても、その米が下部タンク12内に流入すれば、確実に微細気泡と接触させることができる。つまり、上部タンク11内において洗米されなかった米であっても、少なくとも下部タンク12の連通口12a を通過するときに微細気泡によって洗米することができるし、上部タンク11において洗米された米は、下部タンク12の連通口12a を通過するときにもさらに洗米することができる。
【0022】
よって、上記のごとき構造を有する下部タンク12を備えた浸漬タンク10を使用すれば、米が上部タンク11から下部タンク12に流入するときに、全ての米を確実に微細気泡によって洗米することができ、米と米の間の米糠等も微細気泡によって取り除くことができるから、炊飯釜Kに未洗浄の米が供給されることを確実に防ぐことができ、炊飯釜Kに供給する米の洗浄状態を均一にすることができ、炊飯品質を向上させることができる。
【0023】
また、下部タンク12は、上部タンク11に比べてその断面積が小さく、その内容積も小さいので、下部タンク12内では、単位体積あたり存在する微細気泡の量を非常に多くすることができる。このため、米と微細気泡との接触機会が多くなるから、米の洗浄が進み、米の洗浄状態、およびその均一性をさらに向上させることができる。つまり、下部タンク12において、事実上、仕上げ洗米を行うことができるから、炊飯釜Kに供給される米の洗浄状態をより確実に均一にすることができ、炊飯品質をさらに高めることができる。
例えば、上部タンク11の容積を約400kgの米が充填できる800リットルとし、下部タンク12の容積を炊飯釜K2杯分、具体的には約15〜17kgの米が充填できる21〜25リットルとした場合、上部タンク11内に米が滞留する時間は90分程度であるのに対し、下部タンク12内に米が滞留する平均時間は2分程度である。しかし、上述したような空気溶解量の空気飽和水を下部タンク12内に毎分約70リットル吐出した場合、下部タンク12内の米と空気飽和水の比率は1対2.5以上となり、下部タンク12内における空気飽和水の濃度は、上部タンク11内における空気飽和水の濃度の25倍以上となる。このため、下部タンク12内では、たとえ滞留時間が短くても、上部タンク11に比べて十分な米の洗浄効果を得ることができるから、米の洗浄状態、およびその均一性をさらに向上させることができる。
【0024】
なお、下部タンク12は、連通口12a においてその断面全体に微細気泡存在する大きさに形成されていればよく、接続部分Jから上方に行くに従って広くなるように形成してもよいし、接続部分Jから連通口12a まで水平断面の断面積が一定になるように形成してもよい。
とくに、下部タンク12を、接続部分Jから連通口12a まで水平断面の断面積が一定になるように形成し、かつ接続部分Jにおける水平断面を、その断面全体に微細気泡が確実に存在しうる大きさとすれば、下部タンク12内に入っている米の洗浄状態をより均一かつ良好な状態とすることができるから、より一層、炊飯品質を向上させることができる。
【0025】
さらに、断面積の小さい下部タンク12に空気溶解水を供給しているので、空気溶解水の流量を少なくしても確実に下部タンク12と上部タンク11の接続部分の水平断面全体に微細気泡を存在させることができる。よって、洗浄水供給手段15の容量を小さくすることもできるので、装置をコンパクトにすることができ、設備費やランニングコストを抑えることができ、メンテナンス性を向上させることができる。
【0026】
さらに、下部タンク12内において、米を確実に微細気泡に接触させることができ、十分な米の洗浄効果を得ることができるから、米と微細気泡の接触機会を増やすために上部タンク11の断面積を小さくする必要がない。このため、浸漬タンク11の高さH1を抑えても、上部タンク11内の断面積を大きくすることによって浸漬タンク10の内容積を大きくすることができる。よって、浸漬タンク10の内容積を大きくしても、微細気泡を米の上面まで確実に浮上させることができるので、米糠が積層米内部で堆積することを防ぐことができ、米の洗米状態が低下することを防ぐことができる。
【0027】
また、図3に示すように、洗浄水供給手段15の配管18と浸漬タンク10との接続部分Jに、公知のバルブやオリフィス等の放出部19を設けてもよい。
この場合、接続部分Jにおける配管18内の空気溶解水の圧力を、放出部19溶解水形成部16において水に加える気圧とほぼ同じ圧力、例えば約0.2〜0.4MPaに保つことができる。よって、配管18内において空気溶解水に溶解している空気が気化することを確実に防ぐことができる。しかも、接続部分Jにおける加圧タンク10内の水圧は、せいぜい0.02MPaであるから、放出部19から下部タンク12内に空気溶解水を放出させれば、空気溶解水の圧力を急激に低下させることができる。すると、空気溶解水に溶解していたる空気を一気に気化させることができるから、加圧タンク10内に多数の気泡をほぼ同時に発生させることができるし、多数の気泡をほぼ同時に発生させるから、個々の気泡の直径を小さくすることができる。
そして、放出部19がバルブなどのように配管18から浸漬タンク10に流入する流量を調整できるものであれば、溶解水形成部16において水に加える気圧を低くしたとしても、接続部分Jにおける配管18内の空気溶解水の圧力と下部タンク12内の水の圧力との差圧を、所定の値以上に維持することができる。よって、浸漬タンク10における微細気泡の形成を制御することができるから、浸漬タンク10における米の洗浄状態を放出部19によって制御することもできる。
【0028】
さらに、上部タンク11の下端部を、下部タンク12に向かって下傾したテーパ面を有するテーパ部11a に形成すれば、上部タンク11内において、微細気泡と接触しない米の量を少なくすることができるし、上部タンク11から下部タンク12への米の供給をスムースに行うことができる。
【0029】
そして、図4に示すように、浸漬タンク10の上部タンク11のテーパ部11a において、そのテーパ面に気体供給口21を設け、気体供給口21をブロワ等の高圧空気を供給することができる空気供給機22に接続しておけば、この気体供給口21から上部タンク11内に気体を供給することができる。すると、気体供給口21から気体を供給したときに気泡が発生するので、この気泡の移動によって上部タンク11内の米の位置を変えることができる。
すると、上部タンク11内において、テーパ面上に位置していた米であっても、水流によって上部タンク11の中央部、つまり微細気泡が大量存在する部分に向けて移動させることも可能となる。よって、上部タンク11内において、微細気泡と接触しない米の割合を少なくすることができるから、米の位置による米の洗浄状態の相違を少なくすることができ、炊飯品質を向上させることができる。
【0030】
【実施例】
本発明の洗米装置による米の洗浄効果、および炊飯品質に与える影響を確認するために、本発明の洗米装置によって洗米した米、およびその米を炊飯してその状態を調べた。
浸漬タンク10は、その上部タンク11の容積を1500リットル、下部タンク12の容量を25リットル、浸漬タンク10の全高H1は2.5m、下部タンクの高さH2は0.6mである。
空気溶解水は、その流量は80l/minであり、この場合の下部タンク12内の米と空気飽和水の体積比率は約1対3となる。配管18と浸漬タンク10との接続部分には、放出部19としてバルブを設けており、この放出部19における配管18内の空気溶解水の圧力は0.3MPaであり、接続部分Jにおける溶解量は4%である。
上部タンク11のテーパ部11a に設けられた空気供給部21からは、間欠的に空気を供給した。供給される空気の流量は3.0l/minであり、供給回数は2分に1回であり、空気を供給する時間は1回あたり2秒である。
この浸漬タンク10内において、500kgの米を洗米して、洗米後の米の表面の白度、炊飯後の御飯中における塊状の米糠の有無、米糠臭を調べた。
【0031】
洗米終了後、炊飯釜Kに投入された米の表面の白度を測定すると、米糠が付着して黄色くなった米がなく、炊飯釜K内の米の全てがほぼ同じ白度であることが確認された。炊飯しても、全ての炊飯釜Kで塊状になった米糠は発見されず、炊飯釜Kで米糠臭を感じなかった。したがって、浸漬タンク10内において、斑のない洗浄が行われていること、および米から米糠が確実に除去されていると考えられる。
【0032】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、微細気泡によって米に大きな力を加えることなく洗浄することができるので、洗浄時に米が破砕することを防ぐことができ、炊飯品質を向上させることができる。また、浸漬タンク内においてのみ確実に微細気泡を発生させることができる。
請求項2の発明によれば、浸漬タンク内においてのみ確実に微細気泡を発生させることができ、しかも、米の洗浄状態をより均一かつ良好な状態とすることができる。
請求項3の発明によれば、微細気泡によって米に大きな力を加えることなく洗浄することができるので、洗浄時に米が破砕することを防ぐことができ、炊飯品質を向上させることができる。浸漬タンク内においてのみ確実に微細気泡を発生させることができる。
請求項4の発明によれば、浸漬タンク内においてのみ確実に微細気泡を発生させることができ、しかも、米の洗浄状態をより均一かつ良好な状態とすることができる。
請求項5の発明によれば、浸漬タンク内に多数の気泡をほぼ同時に発生させることができるから、気泡径の小さい微細気泡を、確実かつ大量に発生させることができる。
請求項6の発明によれば、炊飯釜に供給される米の洗浄状態を確実に均一にすることができる。また、洗浄水供給手段の容量を小さくすることができるので、装置をコンパクトにすることができ、設備費やランニングコストを抑えることができ、メンテナンス性を向上させることができる。さらに、米糠が積層米内部で堆積することを防ぐことができ、米の洗米状態が低下することを防ぐことができる。
請求項7の発明によれば、上部タンク内において、微細気泡と接触しない米の割合を少なくすることができるから、米の位置による米の洗浄状態の相違を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の洗米装置の概略説明図である。
【図2】本実施形態の洗米装置の浸漬タンク10の概略説明図である。
【図3】放出部19を設けた浸漬タンク10の概略説明図である。
【図4】気体供給口21を設けた浸漬タンク10の概略説明図である。
【図5】従来の洗米装置の概略説明図である。
【符号の説明】
10 浸漬タンク
11 上部タンク
12 下部タンク
12h 米供給口
13 計量器
15 洗浄水供給手段
19 放出部
21 気体供給口
Claims (7)
- 米と水を収容する浸漬タンクと、該浸漬タンクの下端部に接続され、該浸漬タンクに水を供給するための洗浄水供給手段とを備えた洗米装置において、
前記洗浄水供給手段によって、前記浸漬タンクに、該洗浄水供給手段と前記浸漬タンクとの接続部分における飽和溶解量よりも少ない量の空気を溶解させた空気溶解水を供給し、
該空気溶解水を前記浸漬タンク内に供給したときに発生する微細気泡によって、該浸漬タンク内の米を洗浄する
ことを特徴とする洗米方法。 - 前記空気溶解水中の空気の溶解量が、前記洗浄水供給手段と前記浸漬タンクとの接続部分における空気の飽和溶解量の65〜75%である
ことを特徴とする請求項1記載の洗米方法。 - 米と水を収容する浸漬タンクと、該浸漬タンクの下端部に接続され、該浸漬タンクに水を供給するための洗浄水供給手段とを備えた洗米装置であって、
前記洗浄水供給手段が、
前記浸漬タンクに、該洗浄水供給手段と前記浸漬タンクとの接続部分における飽和溶解量よりも少ない量の空気を溶解させた空気溶解水を供給する
ことを特徴とする洗米装置。 - 前記空気溶解水中の空気の溶解量が、前記洗浄水供給手段と前記浸漬タンクとの接続部分における空気の飽和溶解量の65〜75%である
ことを特徴とする請求項3記載の洗米装置。 - 前記洗浄水供給手段が、
前記浸漬タンクとの接続部に、前記浸漬タンク内に前記空気溶解水を放出する放出部を備えており、
該放出部が、前記洗浄水供給手段における前記空気溶解水の圧力と前記浸漬タンク内の水の圧力の差圧を、所定の値以上に維持する
ことを特徴とする請求項3記載の洗米装置。 - 前記浸漬タンクが、
上部タンクと、該上部タンクよりも断面積が小さい下部タンクとから構成されており、
前記洗浄水供給手段が、前記下部タンクの下端部に接続されており、
該下部タンクの下端であって、前記洗浄水供給手段との接続部分よりも下方に、該浸漬タンク内の米および水を炊飯釜に供給するための米供給口が形成されており、
前記下部タンク内において、前記上部タンクとの連結部分の水平断面全体に微細気泡が存在する
ことを特徴とする請求項3記載の洗米装置。 - 前記浸漬タンクの上部タンクが、その下端部に前記下部タンクに向けて下傾するテーパ面を有するテーパ部を備えており、
該テーパ部のテーパ面に、該上部タンク内に気体を供給する気体供給口が設けられている
ことを特徴とする請求項6記載の洗米装置。
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JP2011200858A (ja) * | 2010-03-02 | 2011-10-13 | Akita Univ | マイクロバブルを使用した洗米装置 |
JP2013039526A (ja) * | 2011-08-16 | 2013-02-28 | Yoko Yoshizaki | 穀粒物洗滌機 |
-
2002
- 2002-10-11 JP JP2002298724A patent/JP2004130252A/ja active Pending
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JP4655770B2 (ja) * | 2005-06-14 | 2011-03-23 | 味の素株式会社 | 洗米方法及び装置 |
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