JP2004130249A - 嫌気・好気循環型活性汚泥処理法における生物脱リン促進法 - Google Patents

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田中 茂穂
Wataru Fujii
藤井 渉
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Abstract

【課題】本発明は、嫌気・好気循環型活性汚泥処理法を利用して、高度生物脱リンを安定して達成することを目的とする。
【解決手段】本発明の嫌気・好気循環型活性汚泥処理法を利用した生物脱リンを促進させる方法は、好気槽14内に、トレーサー試験により定義される理論段数を2段以上形成し、その間を循環させ、且つ、前記理論段のうちの少なくとも1つの理論段の溶存酸素濃度を2mg/L以下にして、リン除去率を70%以上にする。または、好気槽14内に、トレーサー試験により定義される理論段数を2段以上形成し、その間を循環させ、且つ、好気槽14内に貯留される活性汚泥中の任意の20箇所以上で溶存酸素濃度を測定したときの測定値の標準偏差が1mg/L以上、該測定値の5%以上が2mg/L以下となるような溶存酸素濃度分布を形成することにより、リン除去率を70%以上にする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機物排水の処理に用いられる活性汚泥処理法において、湖沼や河川、閉鎖水域等の環境富養化を引き起こす排水中のリンを生物学的に高度除去する排水処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在広く用いられている排水処理方法として活性汚泥処理方法があるが、従来から実施されている曝気槽のみの活性汚泥処理方法では、排水中のBOD成分〈生物学的酸素要求量)しか除くことはできなかった。そこで、近年更なる高度処理法として生物学的脱窒法が考案され、更に、自然界に存在するリン蓄積菌の特殊作用を利用した脱リンも同時に行うプロセスが開発され、実用化段階に入っている。
【0003】
リン蓄積菌は、嫌気条件下(溶存酸素がない状態であって、結合状態酸素もないほうが望ましい。)において、細胞内に蓄えたポリリン酸を分解することにより、嫌気槽中の有機物を取り込み高分子有機物として体内に蓄積する。分解されたポリリン酸は上清中に無機リンとして放出される。この状態のリン蓄積菌を好気条件下に曝すと、体内に蓄えた高分子有機物を栄養源として増殖を行い、同時に上清中の無機リンを過剰摂取し、再度ポリリン酸として蓄積する。この嫌気・好気サイクルを繰り返すことにより、排水中のリンを除くことが可能となる。また、嫌気条件下では通常の細菌は呼吸が停止し、高分子有機物を摂取することができない。そのため、嫌気槽内に原水を供給することにより、嫌気槽内ではリン蓄積菌が排水中有機物の大半を摂取することが可能となり、リン蓄積菌の優先化が起こる。
【0004】
脱窒の知見と合わせ、これらの知見を実プロセスに反映したものがAO方式である。図3は、AO方式を用いた排水処理システムの一例を示す概略図であり、嫌気槽2槽と、好気槽1槽と(+沈殿槽)の計3(+1)槽は直列に連結されている。まず、原水は第一嫌気槽31へ導入されて、次いで第一嫌気槽31から第二嫌気槽32を経て好気槽33へ送られ、好気槽33から沈殿槽34へ送られて、最終的には処理水として河川等に放流される。また、好気槽33と第二嫌気槽32はスラリー循環している。沈殿槽34に滞留した汚泥の一部は第一嫌気槽31へ返送され、残りは余剰汚泥として系外へ排出される。これらのプロセスを行うことにより硝化・脱窒とともにリン蓄積菌作用を発現させ、原水中のリンを50%〜90%程度除去することが可能である。AO方式の循環形式としては様々なバリエーションが存在する(UCTプロセス、Bardenphoプロセスなど)。
【0005】
また、一般的なAO方式とは異なる槽列構造により高効率生物脱リンを達成する手段としては、好気槽の多段化(例えば、特許文献1参照。)、好気槽内循環流型単槽法(例えば、特許文献2参照。)、整流板により好気槽内に無酸素領域を設ける方法(例えば、特許文献3参照。)等がある。
【0006】
【特許文献1】
特開昭58−174294号公報
【特許文献2】
特開昭59−216697号公報
【特許文献3】
特開2000−5794号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、AO方式ではある程度のリンは除去できるものの、近年排水規制値が厳しくなり、かつ原水中のリン濃度が高い場合もあるため更なる高度処理が必要とされている。また、2つの嫌気槽を1つにすると脱リン性能は不安定となるため、従来の活性汚泥処理設備から高度処理施設への改造を行う際には嫌気槽2つ・好気槽1つの計3槽(+沈殿槽)が必要であり、敷地面積の増大は否めない。
一方、AO方式とは異なる槽列構造の場合、単にその構造をとるだけでは高効率生物脱リンを達成することが困難であり、また運良く生物脱リンが実施されても定量的な指標がないため目標値に対して安定な運転を行うことが難しい。また、不安定なリン除去を回避するためにポリ塩化アルミニウム等の無機系凝集剤を添加する方法もあるが、維持費が嵩むことになる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、脱リン性能が不安定な理由が好気槽内の流動状態、溶存酸素分布、有機酸の濃度にあることを突き止め、それらを改善することにより、安定に高効率生物脱リンを達成できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明の生物脱リン促進法は、好気槽内に、トレーサー試験により定義される理論段数を2段以上形成し、その間を循環させ、且つ少なくとも1つの理論段の溶存酸素濃度を2mg/L以下にして、リン除去率を70%以上にすることを特徴とする。
本発明の生物脱リン促進法は、好気槽内に、トレーサー試験により定義される理論段数を2段以上形成し、その間を循環させ、且つ好気槽内に貯留される活性汚泥中の任意の20箇所以上で溶存酸素濃度を測定したときの測定値の標準偏差が1mg/L以上、該測定値の5%以上が2mg/L以下となるような溶存酸素濃度分布を形成することにより、リン除去率を70%以上にすることを特徴とする。
また、上記理論段のうち、少なくとも1段以上に対して活性汚泥中の発酵酸有機物量を0.15mg/L以上とすることが好ましい。
また、上記理論段間流量[m/hr]/好気槽体積[m]が、1.5[1/hr]以下であることが好ましい。
また、上記活性汚泥中の混合液浮遊物質(MLSS)濃度が5000mg/L以上であることが好ましい。
また、上記好気槽は偏流形成手段を有することが好ましい。
また、上記好気槽の縦・横・高さのいずれかの長さをその他のいずれかの長さに比べて2倍以上とすることが好ましい。
また、上記好気槽内に貯留される活性汚泥の一部を嫌気槽に循環させる、嫌気・好気循環変法であることが好ましい。
また、上記好気槽内に膜分離装置を設け、その濾液を系外に取り出すことが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の処理対象としては、例えば、下水やし尿などの生活排水、工場等から排出される有機性産業排水等が挙げられる。なお、本明細書においては、これらを総称して「活性汚泥」という。
【0011】
以下、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の生物脱リン促進法が適用される嫌気槽・好気槽各1槽の2槽循環型活性型汚泥処理システムの一例を示す概略図である。
まず、活性汚泥は貯留槽35から原水ポンプ33により嫌気槽11へ移送される。嫌気槽11は嫌気状態を維持する為、必要に応じて窒素ガスが供給されるようになっている。ここでは、リン蓄積菌によるBOD吸収およびリンの放出と、従属栄養細菌による脱窒処理が行われる。次いで、活性汚泥は好気槽14へ移送される。好気槽14内部には空気、酸素が供給されて好気状態となっている。ここでは、リン蓄積菌によるリン吸収と、好気性従属栄養細菌による生物処理と、硝化細菌による硝化が行われる。また、好気槽14では生物処理のほか、膜分離装置16、処理水ポンプ37を用いて固液分離処理が行われる。固液分離処理された処理水は河川等に放流される。
【0012】
本発明の一実施形態例としては、好気槽14内に、トレーサー試験において定義される理論段数を少なくとも2段有し、そのうち1つ以上の理論段において、溶存酸素濃度2mg/L以下、好ましくは1mg/L以下とする。これにより、好気槽14内をリン蓄積菌が増殖しやすい領域と、BOD低下に寄与する好気性従属栄養細菌が増殖しやすい領域とに分離することが可能となる。好気槽14内の溶存酸素濃度が均一に混合した状態であると、リン蓄積菌より増殖速度の速い好気性細菌が増殖し、増殖速度の遅いリン蓄積菌の増殖が抑制されてしまう。その結果、リン蓄積菌による脱リン効果を十分に得ることができない。
従って、本実施形態例のように、好気槽14内を各菌体に適合するように生育領域の分離をすることによって、増殖速度の遅いリン蓄積菌を優先的に増殖させることができ、活性汚泥中のリンを効率良く除去することができるので、リン除去率を70%以上とすることができる。ここで、リン除去率とは、原水ポンプ12を用いて嫌気槽11へ移送される活性汚泥(原水)中に含まれる全リン量に対する値である。
【0013】
なお、上記トレーサー試験とは、装置内の混合状態を確認する方法の1つであって、トレーサー(色素、電解液、放射性同位元素等)を用いたインパルス応答試験である。この方法は、装置内に水、若しくは実液(活性汚泥)を連続的に投入・抜き出しを行い、ある時間にトレーサーをパルス状に添加する。その後、装置からのトレーサーの溶出挙動を数値解析することにより、装置内の混合状態を推定することができる。
【0014】
また、トレーサー試験において定義される理論段数とは、以下のようにして計算することができる。
1.トレーサーをパルス投入した時点をt=0とし、以降連続的に溶出するトレーサー濃度c(t)を測定する。
2.c(t)と時間軸(t)に囲まれた面積Q(=∫c(t)dt)によりc(t)を除し、規格化した分布関数E(t)(=c(t)/Q)を求める。
3.E(t)の平均値tおよび分散σ を求める。ただし、σは標準偏差である。
4.N=t /σ により、槽列モデル槽数Nが求められる。得られた槽列モデル槽数Nが理論段数に相当する。
【0015】
上記トレーサー試験は、実運転時の条件変動範囲内と同じ条件で測定される。すなわち、曝気風量、水理学的滞留時間(HRT)、固形分滞留時間(SRT)、液粘度、液密度、液温、制御方法などの条件について、実際に装置を運転したときの変動範囲内で測定される。このようにして算出された理論段を形成することにより、生物脱リンを安定して達成することができる。
【0016】
理論段形成は、偏流形成手段を採用することにより達成される。偏流形成手段としては、例えば、図1に示すような仕切り板15や、図2に示すようなドラフトチューブ25や、それ以外にもバッフル等が挙げられる。また、これら以外に、好気槽14の底部に設けられた散気管53からの曝気による上昇流発生断面積を好気槽14断面積に対し1/2以下とする方法、好気槽14の縦・横・高さのいずれかをその他の長さに比べて2倍以上にする方法などを挙げることができる。
【0017】
形成された理論段のうち、1段以上の理論段の溶存酸素濃度を2mg/L以下とするには、例えば、酸素供給源51、圧力計52、散気管53、噴出し口53A、各散気管53に供給される酸素量を調整する制御装置(図示略)から構成される空気供給手段を用いることができる。
図1に示す空気供給手段では、好気槽14内部に設けられた仕切り板15の左右に散気管53を2つに枝分させ、好気槽下方部に各散気管53の噴出し口53Aを配置している。各噴出し口53Aは仕切り板15で区切られているので、流体の流れ方向を制御でき、且つ、上述したように、各散気管53に供給される酸素量は、制御装置により調整されているので、好気槽14内に所望の溶存酸素濃度分布を形成することが可能となる。
また、図2に示す空気供給手段では、散気管53を好気槽14の底部に配置し、噴出し口53Aをドラフトチューブ25の内側に向けて配置している。このような構造によれば、噴出し口53Aから供給される酸素(空気)は、整流効果により上下循環流を形成し、ドラフトチューブ25の外側の溶存酸素濃度を2mg/L以下とすることができる。
【0018】
また、上記以外の実施形態例としては、好気槽14内に貯留される活性汚泥において、理論段数を少なくとも2段保持し、且つ好気槽14内の活性汚泥中、任意の20箇所以上で溶存酸素濃度を測定したときの測定値の標準偏差が1mg/L以上であり、測定値の5%以上が2mg/L以下となるような溶存酸素濃度分布を形成する。ここで、任意の20箇所以上とは、好気槽14内に貯留された活性汚泥の断面及び液深方向に対し、満遍なく、無作為に選ばれた20箇所以上ということを意味する。
このような溶存酸素分布を形成することにより、好気槽14の中をリン蓄積菌が増殖しやすい領域と、好気性従属栄養細菌が増殖しやすい領域とに分離することができるため、リン蓄積菌を優先的に増殖させることができる。そのため、リン蓄積菌による活性汚泥中のリンの除去を促進することができるので、リン除去率を70%以上とすることができる。
【0019】
本実施形態例における理論段形成は、前記実施形態例で述べたような偏流形成手段を適用すればよい。
また、上記溶存酸素濃度の分布形成は、流動分布に付随する成り行き分布で形成する他に、前実施形態例で述べたような散気管53や機械攪拌(図示略)などを複数設け、各装置の影響を受ける領域に対して個別の制御を行うことによっても達成される。
【0020】
本発明において、形成される理論段のうち1段以上の理論段に対して、活性汚泥中の蟻酸、酢酸、プロピオン酸などに代表される発酵酸有機物量を0.15mg/L以上とすることが好ましい。これにより、好気槽14内を各菌体に適合するように生育領域の分離をすることが可能なため、リン蓄積菌の増殖速度が加速され、結果として生物脱リンが促進される。なお、発酵酸有機物の分布形成は、上述した理論段形成、溶存酸素濃度の分布形成のうち少なくとも一つを行うことにより達成され、さらに活性汚泥(原水)の流量、処理槽内の汚泥濃度、循環汚泥量などを適宜調整することによって達成しても良い。ここで、循環汚泥とは好気槽14中に滞留した汚泥の一部を嫌気槽11に循環させたものをいう。
【0021】
また、理論段間流量[m/hr]/好気槽体積[m]を1.5[1/hr]以下とすることが好ましく、更に好ましくは0.5[1/hr]以下とする。理論段間流量が1.5[1/hr]を超えると、好気槽14内の溶存酸素濃度、発酵酸有機物などが均一に混合されてしまう傾向にある。
従って、理論段間流量を1.5[1/hr]以下とすれば、結果として、リン蓄積菌と好気性従属栄養細菌の生育領域が分離され、生物脱リン反応が促進される。
【0022】
上記理論段間流量を制御するには、例えば、水中ポンプ攪拌、ポンプ循環、攪拌吐出流、曝気による同伴流、温度による対流等の流体を動かす一般的な方法を用いることができ、これらの装置より流出する流体速度を目視観察の他に、面積式流量計、渦巻き式流量計、電磁式流量計、タービン流量計等の一般的な流体計測機器を用いて観測し、所定の流量となるように調節してやればよい。また、流量観測以外にも、槽内の温度分布、溶存酸素、有機物やマーカー物質等の濃度分布を溶存酸素計、電気伝導度計、濁度計、酸化還元電位計、pH計などの計測機器を用いて測定し、それを流量換算しても良い。
流量調節にあたっては、上記の観測で得られた流体速度もしくはそれ相当の物理量に対し手動式、電動式、油圧式、空気圧式により当該流体動力機器のタイマー制御やインバータ制御による運転制御のほかに、バルブ開度調節等の簡便な方法を用いても良い。また、あらかじめ所定流量となるように選定した機器を用いて無制御で運転しても良い。
また、制御系にあたっては手動で制御する他に、インライン計測を行いフィードバック、フィードフォワード、シーケンス制御等の一般的な自動制御を用いても良い。
【0023】
本発明においては、好気槽14内に貯留される活性汚泥中の混合液浮遊物質(MLSS)濃度が5000mg/L以上であることが好ましい。混合液浮遊物質(MLSS)が5000mg/L以上の場合、細菌による酸素消費速度や基質消費速度が十分に高くなって、流れ方向に分布が形成されやすくなり、その結果、リン蓄積菌と好気性従属栄養細菌の生育領域が分離され、生物脱リン反応が促進される。
また、混合液浮遊物質(MLSS)濃度を上昇させるには、嫌気槽11・好気槽14を各1槽備えている他、好気槽14に連結された沈殿槽(図示略)を具備した装置を用い、沈降槽からの汚泥返送を多くしたり、後段で述べるような膜分離装置16や担体固定を用いて達成することができる。
【0024】
処理された活性汚泥は、好気槽14内に設置された膜分離装置16により濾過され、処理水(濾液)として河川等に排出される。膜分離装置16としては特に制限はないが、中空糸膜ユニットなどが挙げられる。また、好気槽14内に滞留した汚泥の一部は、汚泥循環ポンプ30を具備する配管を介して嫌気槽11に移送され、残りは余剰汚泥として系外へ排出される。
【0025】
本発明を実施することができる装置としては、少なくとも嫌気槽および好気槽を各1槽備え、その間を循環させることができるものであれば、特に制限はなく、例えば、図1、図2に示すような嫌気槽11/好気槽14からなる2槽循環型の装置が挙げられる。このような装置であれば、比較的小さい敷地面積で済む。また、従来広く用いられているAO方式の装置にも適用できるので、新たな設備コストを必要としない。更に、沈殿槽を有する装置でも適用することができる。
以上説明したように、本発明の生物脱リン促進方法によれば、凝集剤等を用いることなく、高度生物脱リンを安定して達成することができる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。
【0027】
(実施例1−1)
図1に示す2槽循環活性汚泥試験装置(1000ml×2)を用いて活性汚泥試験を行った。好気槽14内は仕切り板15によって左右2つの領域に分割し、第二好気領域(図中、Bで示す領域)のみ酸素濃度が3mg/Lとなるように連続的に曝気した。第一好気領域(図中、Aで示す領域)は、無曝気成り行きとした。左右2領域間はポンプ循環を行い、その流量を8L/Dとなるように流量を調節した。また、第一好気領域Aと嫌気槽11間は、24L/Dで循環を行った。処理水は第二好気領域Bに膜分離装置16(中空糸膜ユニット)を浸漬し、間欠的に抜き出した。ここに、CODcr(化学的酸素要求量、クロム酸法)=260.0mg/L、全窒素=39.8mg/L、全リン=6.0mg/Lの活性汚泥(原水)を8L/Dで供給し、22.5℃で3ヶ月馴養してMLSS10000mg/L程度まで上昇させた後の処理水を分析した結果、処理水全リン濃度=0.36mg/Lとなりリン除去率は94.0%に達した。このとき、第一好気領域Aの溶存酸素濃度は0.01mg/L以下であった。運転停止直前に飽和NaCl水溶液1mlを好気槽14に添加して、処理水及び循環汚泥の電気伝導度を測定した結果、好気槽14の理論段は2〜3段であった。
【0028】
(比較例1−1)
実施例1と同等の試験において、好気槽14内の仕切り板15を除去し(理論段1)、第一好気領域Aと第二好気領B域間のポンプ循環を停止して、好気槽14の溶存酸素濃度が2mg/Lとなるように曝気して運転を行った結果、処理水全リン濃度=3.07mg/Lとなり、リン除去率は48.8%であった。
【0029】
(実施例1−2)
実施例1と同等の試験において、第一好気領域Aと第二好気領域B間の循環ポンプ流量=40L/Dとなるように調節し、第二好気領域Bの溶存酸素濃度=3mg/L、第一好気領域Aを無曝気成り行きとして運転を行った結果、処理水全リン濃度=0.68mg/Lとなり、リン除去率は88.7%であった。このとき、第一好気領域Aの溶存酸素濃度は0.01mg/L以下であった。
【0030】
(比較例1−2)
実施例1と同等の試験において、第一好気領域Aと第二好気領域B間の循環ポンプ流量=8L/Dとなるように調節し、第二好気領域Bの溶存酸素濃度=3mg/L、第一好気領域Aの溶存酸素濃度=2.5mg/Lとして運転を行った結果、処理水全リン濃度=4.67mg/Lとなり、リン除去率は22.2%であった。
【0031】
(実施例1−3)
実施例1と同等の試験において、第一好気領域Aと第二好気領域B間の循環ポンプ流量=8L/Dとなるように調節し、第二好気領域Bの溶存酸素濃度=3mg/L、第一好気領域Aは無曝気成り行きとし、さらに汚泥抜き出し量を増やしMLSSを4700mg/Lまで落として運転した結果、処理水全リン濃度=0.46mg/Lとなり、リン除去率は92.4%であった。このとき、第一好気領域Aの溶存酸素濃度は0.01mg/L以下であった。
【0032】
上記実施例および比較例の実施条件および結果をまとめて表1に示す。
【表1】
Figure 2004130249
【0033】
(実施例2)
図2に示す2槽循環活性汚泥試験装置(1000ml×2)を用いて活性汚泥試験を行った。好気槽14内に断面積が好気槽断面積の1/2であるドラフトチューブ25を挿入し、ドラフトチューブ25下部にエアレーターを設置した。そして、ドラフトチューブ25内の酸素濃度が6mg/Lとなるように連続的に曝気した。このとき、ドラフトチューブ25による整流効果により上下循環流が形成された。目視観察による線流速測定から、その流量は10ml/min程度であった。処理水はドラフトチューブ25内に膜分離装置16(中空糸膜ユニット)を浸漬し間欠的に抜き出した。また、好気槽14下部から嫌気槽11へ24L/Dで循環を行った。ここに、CODcr=325.0mg/L、全窒素=29.4mg/L、全リン=4.7mg/Lの活性汚泥(原水)を8L/Dで供給し、22.5℃で3ヶ月馴養してMLSS10000mg/Lまで上昇させた後の処理水を分析した結果、処理水全リン濃度=0.15mg/Lとなりリン除去率は96.8%に達した。このとき、ドラフトチューブ25内部及び外部に対してそれぞれ10点ずつ計20点溶存酸素濃度を測定したところ、ドラフトチューブ25外部は液深の増加につれ、溶存酸素濃度が低下し底部ではほぼ0mg/Lとなっていた。ドラフトチューブ25内外全ての溶存酸素濃度測定結果に対し、標準偏差は2.1mg/L、溶存酸素濃度が2mg/L以下の測定点数は20%であった。運転停止直前に飽和NaCl水溶液1mlを好気槽14に添加して、処理水及び循環汚泥の電気伝導度を測定した結果、好気槽14理論段は5〜6段であった。
【0034】
(比較例2−1)
実施例2と同等の試験において、好気槽14内部のドラフトチューブ25を取り除き理論段を1として、好気槽14内の溶存酸素濃度=6mg/Lとなるように連続的に曝気した状態で運転したところ、処理水全リン濃度=3.16mg/Lとなりリン除去率は32.8%であった。
【0035】
【発明の効果】
O方式のように嫌気槽2槽・好気槽1槽の計3槽を用いなくとも、好気槽に偏流を起こさせる内部構造やポンプの設置のみを行い、かつその中の流動状態や分布を適正に設定してやることにより嫌気槽1槽・好気槽1槽の計2槽で、高効率生物脱リンを行うことができる。
本発明によれば、AO方式に比べ敷地面積や設備費の大幅減少が可能となる上、またその他槽列構造の異なる系においてもブラックボックスであり成行きであったファクターが明確になることにより、安定した生物脱リンが期待でき、凝集剤投入の比例費、固定費の削減が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】2槽循環型活性型汚泥処理システムの一例を示す概略図である。
【図2】2槽循環型活性型汚泥処理システムの別の一例を示す概略図である。
【図3】AO方式を用いた排水処理システムの一例を示す概略図である。
【符号の説明】
11・・・嫌気槽
14・・・好気槽
15・・・仕切り板
16・・・膜分離装置
25・・・ドラフトチューブ

Claims (9)

  1. 嫌気・好気循環型活性汚泥処理法を利用して生物脱リンを促進させる方法であって、
    好気槽内に、トレーサー試験により定義される理論段数を2段以上形成し、その間を循環させ、且つ、前記理論段のうちの少なくとも1つの理論段の溶存酸素濃度を2mg/L以下にして、リン除去率を70%以上にすることを特徴とする生物脱リン促進法。
  2. 嫌気・好気循環型活性汚泥処理法を利用して生物脱リンを促進させる方法であって、
    好気槽内に、トレーサー試験により定義される理論段数を2段以上形成し、その間を循環させ、且つ、好気槽内に貯留される活性汚泥中の任意の20箇所以上で溶存酸素濃度を測定したときの測定値の標準偏差が1mg/L以上、該測定値の5%以上が2mg/L以下となるような溶存酸素濃度分布を形成することにより、リン除去率を70%以上にすることを特徴とする生物脱リン促進法。
  3. 前記理論段のうち、少なくとも1段に対して活性汚泥中の発酵酸有機物量を0.15mg/L以上とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の生物脱リン促進法。
  4. 理論段間流量[m/hr]/好気槽体積[m]が1.5[1/hr]以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の生物脱リン促進法。
  5. 前記活性汚泥中の混合液浮遊物質(MLSS)濃度が5000mg/L以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の生物脱リン促進法。
  6. 前記好気槽が偏流形成手段を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の生物脱リン促進法。
  7. 前記偏流形成手段は、好気槽の縦・横・高さのいずれかの長さをその他のいずれかの長さに比べて2倍以上としたものであることを特徴とする請求項6に記載の生物脱リン促進法。
  8. 前記好気槽内に貯留される活性汚泥の一部を嫌気槽に循環させる、嫌気・好気循環変法であることを特徴とする請求項1〜7のいずかに記載の生物脱リン促進法。
  9. 前記好気槽内に膜分離装置を設け、その濾液を系外に取り出すことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の生物脱リン促進法。
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