JP2004129749A - 眼内レンズの折曲装置およびそれを用いた眼内レンズの流通用包装体 - Google Patents
眼内レンズの折曲装置およびそれを用いた眼内レンズの流通用包装体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004129749A JP2004129749A JP2002295707A JP2002295707A JP2004129749A JP 2004129749 A JP2004129749 A JP 2004129749A JP 2002295707 A JP2002295707 A JP 2002295707A JP 2002295707 A JP2002295707 A JP 2002295707A JP 2004129749 A JP2004129749 A JP 2004129749A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- pair
- intraocular lens
- support
- support arms
- portions
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Apparatus For Disinfection Or Sterilisation (AREA)
- Prostheses (AREA)
Abstract
【課題】眼内レンズを片手での簡単な操作で、外れ落ち等を防止せしめつつ安定して折り曲げることが出来る、新規な構造の眼内レンズ用折曲装置を提供すること。
【解決手段】机上等に載置されるベース部20に対して相対変位可能に立設された一対の支持腕部22,22の上端部に対して、眼内レンズ12の両端縁部を支持せしめる一対の支持部32,32を設けて、一対の支持腕部22,22に外挿した押下部材18を下方に押し下げることにより、該押下部材18で一対の支持腕部22,22を相対接近方向に押圧変形させ、一対の支持部32,32を相互に接近させることによって眼内レンズ12に対して折曲力を及ぼすようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】机上等に載置されるベース部20に対して相対変位可能に立設された一対の支持腕部22,22の上端部に対して、眼内レンズ12の両端縁部を支持せしめる一対の支持部32,32を設けて、一対の支持腕部22,22に外挿した押下部材18を下方に押し下げることにより、該押下部材18で一対の支持腕部22,22を相対接近方向に押圧変形させ、一対の支持部32,32を相互に接近させることによって眼内レンズ12に対して折曲力を及ぼすようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【技術分野】
本発明は、変形可能な軟質材料で形成された眼内レンズを眼内に挿入する前に折り曲げるために用いられる眼内レンズの折曲装置と、かかる折曲装置を利用した眼内レンズの流通用包装体に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、白内障手術等で水晶体を除去した無水晶体眼の屈折力を補う目的で、眼内に挿入して使用する眼内レンズが知られており、近年では、有水晶体眼への眼内レンズの適用も検討されている。ところで、眼内レンズを眼内に挿入するに際しては、眼球組織に設けた切開部から眼内レンズを眼内に挿し入れる必要があるが、近年では、水晶体の超音波乳化吸引術の普及等に伴って小さい切開創での水晶体摘出手術が可能になったことから、如何に小さな切開創から眼内レンズを眼内に挿し入れることが出来るか、ということが重要視されるようになってきている。そこにおいて、眼の切開創を小さくすることに対する実際上の制約は、眼内レンズの外径寸法であり、眼内レンズをそのままの状態で挿入する限り、眼球組織に形成する切開創の大きさを眼内レンズの外径寸法より小さくすることができない。
【0003】
そこで、このような問題に鑑み、折曲げ可能な軟質材料で形成された眼内レンズを採用し、それを略直径方向に延びる仮想的な折曲線に沿って折り曲げ、鑷子等で摘んで直接に、或いは適当な挿入器具を用いて、かかる折曲状態で眼内レンズを眼内に挿し入れることが行われるようになってきている。
【0004】
また、眼内レンズを鑷子等で巧く半分に折り畳むことが難しいことから、近年では、眼内レンズの折曲作業を補助するための折曲装置が幾つか提案されている。具体的には、従来の眼内レンズの折曲装置としては、(i)例えば特許文献1において、基台上に突設した細幅の縦リブの先端に眼内レンズの折曲線を合わせて載置せしめた状態で、縦リブの両側に突出した眼内レンズの両縁部を鑷子で下方に押さえて折り曲げるようにしたものが提案されている。また、(ii)例えば特許文献2,3には、蝶番状に連結された一対のプレート部の対向する端縁部によって眼内レンズにおける折曲線を挟んだ両縁部を把持せしめて、かかる一対のプレート部を相互に折り畳むことにより眼内レンズを折り曲げるようにしたものが提案されている。更にまた、(iii )例えば特許文献4,5,6,7には、相互に接近/離隔変位可能とされた一対の支持部材によって眼内レンズにおける折曲線を挟んだ両縁部を支持せしめて、それら一対の支持部材を手指による押圧操作で相互に接近させることにより眼内レンズを折り曲げるようにしたものが提案されている。(iv)更に、例えば特許文献8には、平板状の基盤に突設した一対の弾性支持突起によって眼内レンズにおける折曲線を挟んだ両縁部を支持せしめて、基盤上でスライドせしめられるカバーの水平方向への押圧スライド操作で、それら一対の弾性支持突起を相互に接近させることにより眼内レンズを折り曲げるようにしたものが提案されている。(v)また、例えば特許文献9には、ボトルケースのキャップに突設した一対の弾性支持突起によって眼内レンズにおける折曲線を挟んだ両縁部を支持せしめて、かかる一対の弾性支持突起を手指による押圧操作で相互に接近させることにより眼内レンズを折り曲げるようにしたものが提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特表2000−508568号公報
【特許文献2】
特開平3−215258号公報
【特許文献3】
特開2000−24017号公報
【特許文献4】
特開平4−309348号公報
【特許文献5】
特開平6−205798号公報
【特許文献6】
特表平11−507288号公報
【特許文献7】
特開2001−161727号公報
【特許文献8】
特開2002−102261号公報
【特許文献9】
米国特許第6183513号明細書
【0006】
しかしながら、上記(i)に記載の装置では、鑷子の操作が難しく、眼内レンズを安定して折り曲げることが難しいという問題があった。また、(ii)に記載の装置は、両手で一対のプレート部を折り畳んだ後、折り畳んだままの状態を保ったまま片手に持ち替え、もう一方の手で鑷子を操作して、折り曲げた眼内レンズを摘む必要があることから、作業が面倒で難しいということに加えて、眼内レンズを折り曲げる際にレンズがレンズ保持部から外れ落ちてしまい易い構造上の問題があった。また、(iii )に記載の装置は、片手で装置を持ち上げた状態で操作するにしても、或いは机等の上に装置を載置した状態で操作するにしても、一対の支持部材に対して両側から反対方向の力を加えなければならないことから、外力を及ぼすための操作部材が大型化して装置の全体サイズが大きくなってしまうという問題があることに加えて、両側から加える力が相互に偏心することで眼内レンズを正確に折り曲げられなかったり外れ落ちてしまうおそれもあった。更にまた、(iv)に記載の装置は、基盤を片手で抑えつつ、他方の手でカバーを押圧スライド操作しなければならないことから、作業が面倒で難しいという問題があったり、折り曲げた時点で眼内レンズは既に露出した非保護状態に置かれ、すぐにレンズを鑷子等で摘み上げるのでなければ雑菌等の汚染などという問題が発生するおそれがあった。また、(v)に記載の装置は、片手で装置を持ち上げた状態で一対の弾性支持突起に対して両側から反対方向の力を加えなければならないことから、一対の弾性支持突起を手指で容易に把持できる程に大きくしなければ良好な作業性が実現できず、結局、装置の全体サイズの大型化が避け難いという問題があることに加えて、両側から加える力が相互に偏心することで眼内レンズを正確に折り曲げられなかったり外れ落ちてしまうおそれがあるために、折り曲げたレンズを鑷子等で摘み上げるまで常に力を加えて折り曲げ状態を保持しなければならず、折り曲げ時の安定性に欠けるという問題もあったのである。
【0007】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、眼内レンズを片手での簡単な操作で、両側から加える力が相互に偏心することなく安定して折り曲げることが出来、しかもコンパクト化により、載置面積を少なくすることで、手狭なテーブル等の上でも載置して操作することが容易に実現可能である新規な構造の折曲装置を提供することにある。
【0008】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0009】
すなわち、本発明の第一の態様は、折曲げ可能な眼内レンズを略直径方向に延びる仮想折曲線に沿って折り曲げる際に用いられる眼内レンズの折曲装置であって、(a)平坦な支持面に安定して載置され得るベース部と、(b)該ベース部から上方に向かってそれぞれ突設されて、少なくとも先端部分が水平方向で相互に離隔して対向位置せしめられた一対の支持腕部と、(c)かかる一対の支持腕部における各先端部分に形成されて、前記眼内レンズを前記仮想折曲線に直交する直径方向の両側部分で協働して支持せしめる一対の支持部と、(d)前記一対の支持腕部の外周面に形成された、上方に行くに従って相互に内方に向かって傾斜した一対の案内面と、(e)前記一対の支持腕部に外挿されて組み付けられた、前記一対の案内面に摺接せしめられる一対の押圧面を内周面に備えた押下部材とを備え、前記一対の支持部で前記眼内レンズを支持せしめた状態下で、前記一対の支持腕部に外挿した前記押下部材を下方に押し下げることにより、該押下部材における前記一対の押圧面で該一対の支持腕部における前記一対の案内面を内方に押圧せしめて該一対の支持腕部を内方に向かって変形させ、該一対の支持部を相互に接近させることによって該眼内レンズに対して折曲力を及ぼすようにした眼内レンズの折曲装置を、特徴とする。
【0010】
このような本態様に従う構造とされた眼内レンズの折曲装置においては、テーブル等の所定の台上にベース部を載置せしめた状態で、該ベース部に突設された一対の支持腕部に対して外挿された押下部材を下方に向かって押圧するだけで、一対の支持腕部が変形せしめられて一対の支持部を相互に接近せしめられることとなり、それによって、かかる一対の支持部で支持せしめた眼内レンズを折り曲げることが出来る。
【0011】
すなわち、かかる眼内レンズの折曲装置では、眼内レンズを折り曲げるために必要なのは、単に、押下部材を下方に押し下げるだけであり、それ故、眼内レンズの折り曲げを、極めて容易に安定して且つ速やかに行うことが出来るのである。しかも、眼内レンズを折り曲げるために折曲装置に及ぼす外力が、下方に向かう一方向の力で済み、両側から加えた力が相互に偏心しないことに加えて、外力を及ぼす際にもテーブル等の所定の台上に載置されたままの状態で操作せしめられることから、眼内レンズを折り曲げる際にも折曲装置の状態ひいては眼内レンズの支持状態が安定し、眼内レンズが支持部から脱落することなく、眼内レンズを安定して仮想折曲線で折り曲げることが可能となるのである。また、眼内レンズを折り曲げるために折曲装置を持ち上げたりする必要がないことから、大型の把持部や操作部を設ける必要がないのであり、装置全体のコンパクトが有利に実現可能となるのである。
【0012】
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る眼内レンズの折曲装置において、前記一対の支持腕部の弾性的な変形によって、前記一対の支持部が相互に接近せしめられるようにすると共に、かかる一対の支持腕部を弾性的な変形状態に保持せしめる変形保持手段を設けたことを、特徴とする。このような本態様における眼内レンズの折曲装置においては、押下部材を押し下げ操作して一対の支持部を接近せしめた後、手指による外力を解除しても、一対の支持部が接近状態に維持されて眼内レンズが折曲状態に保持せしめられることから、折り曲げた眼内レンズを鑷子で摘む作業等を、一層容易に安定して行うことが可能となる。
【0013】
また、本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る眼内レンズの折曲装置において、前記一対の支持腕部を上方から覆うことにより、前記一対の支持部によって支持された前記眼内レンズを覆う蓋体を設けたことを、特徴とする。このような本態様における眼内レンズの折曲装置においては、眼内レンズの折り曲げ時において、眼内レンズに対して不用意に手などが触れてしまうことを防止できる。また万一、眼内レンズを折り曲げる際に眼内レンズが一対の支持部から外れて、眼内レンズ自体の弾性により飛び跳ねるように離脱しても、蓋体によって外部への飛び出しが防止されるという効果も期待できる。それ故、離脱した眼内レンズが床や机の上などに落ちてしまって雑菌の付着などで使用できなくなることが回避され得る。
【0014】
また、本発明の第四の態様は、前記第三の態様に係る眼内レンズの折曲装置において、前記蓋体の下端の開口部を前記押下部材の上端部に当接せしめて、該蓋体に対して下方に押圧する外力を及ぼすことにより該蓋体と共に該押下部材が下方に押し下げられるようにしたことを、特徴とする。このような本態様に係る眼内レンズの折曲装置においては、蓋体を押し下げ操作することにより、押下部材が押し下げられて、一対の支持腕部を変形せしめて一対の支持部を相互に接近させることが出来るのであり、それ故、例えば、装置の最上部に設けられた蓋体の上面を手指で下方に向かって押さえるだけで眼内レンズを折り曲げることが可能となり、操作を一層容易に且つ速やかに行うことが出来る。
【0015】
また、本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れかの態様に係る眼内レンズの折曲装置において、前記ベース部の中央に透孔を設けると共に、該ベース部において該透孔を挟んで水平方向一方向に対向する両側から前記一対の支持腕部を上方に向かって突設することにより、該一対の支持腕部における前記一対の支持部で支持せしめた前記眼内レンズの存在を、該ベース部の透孔を通じて下方から視認可能としたことを、特徴とする。このような本態様においては、眼内レンズの存在を目視で容易に確認することが可能となる。特に、前記第三又は第四の態様において蓋体を採用した際において、蓋体が不透明であったり、蓋体の上面中央に識別等のための表示シールを貼着した場合に、かかる蓋体を装着したままでも、眼内レンズの有無を確認することが出来るのである。
【0016】
また、本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れかの態様に係る眼内レンズの折曲装置において、前記一対の支持腕部に外挿せしめた前記押下部材の下方への変位を阻止する解除可能なセフティロック手段を設けたことを、特徴とする。このような本態様においては、輸送時等のように眼内レンズを折り曲げる必要のない状況下で意に反して押下部材が押し下げられて眼内レンズが折曲状態となってしまうことが防止され得る。
【0017】
また、本発明の第七の態様は、前記第一乃至第六の何れかの態様に係る眼内レンズの折曲装置において、前記一対の支持腕部における対向方向内方への各変形部位の離隔距離を、前記一対の支持部における前記眼内レンズの各支持位置の離隔距離よりも大きくして、かかる一対の支持腕部が対向方向内方に変形せしめられることにより、該一対の支持部が相互に接近する方向で且つ斜め下方に向かって変位せしめられるようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、眼内レンズを折り曲げる際に、眼内レンズの直径方向の両側部分を支持せしめる一対の支持部が、眼内レンズの径方向線に対して眼内レンズの端縁部分を斜め下方に向かって押さえ込む方向に変位せしめられることから、眼内レンズの外方への飛び出しが一層有利に防止されて、眼内レンズをより安定して折り曲げることが可能となる。
【0018】
また、本発明の第八の態様は、前記第一乃至第七の何れかの態様に係る眼内レンズの折曲装置を用い、前記一対の支持腕部に形成された前記一対の支持部によって前記眼内レンズを支持せしめた状態下で、かかる折曲装置の全体を滅菌バッグに収容せしめてなる眼内レンズの流通用包装体を、特徴とする。このような本態様においては、本発明に従う構造とされた眼内レンズの折曲装置を、そのまま、眼内レンズの流通用包装体として用いることが可能となる。それ故、眼内レンズを、予め、本発明に従う構造とされた折曲装置にセットした状態で流通させて、それを手術の際に、初めて流通用包装体から取り出して、そのまま使用することが出来るのであり、それによって、レンズを折り曲げる際の作業を一層容易に且つ速やかに行うことが可能となると共に、眼内レンズの移植手術直前まで、眼内レンズの滅菌状態が一層高度に実現され得ることとなる。
【0019】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照つつし、詳細に説明する。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として、鉛直上下方向に相当する図1中の上下方向を言うものとする。
【0020】
先ず、図1には、本実施形態の眼内レンズ用折曲装置(以下、単に「折曲装置」という)10に対して眼内レンズ12を支持せしめた状態が、縦断面図として示されている。更に、図2には、かかる折曲装置10によって眼内レンズ12を折り曲げると共に、該眼内レンズ12を取出可能に外部に露出せしめた状態が、縦断面図として示されている。かかる折曲装置10は、全体として略ハット形状を呈する装置本体14に対して、それぞれセフティロック手段としての筒状のロックスリーブ16および押下部材としての押下リング18が外挿されて組み付けられていると共に、逆カップ形状の蓋体19が被せられて組み付けられることによって構成されている。そして、装置本体14の上端部分で眼内レンズ12を保持するようになっている。
【0021】
より詳細には、装置本体14は、図3〜5に示されているように、下端開口部に円環形の鍔形状をもって形成されたベース部20と、該ベース部20から上方に突設された一対の支持腕部22,22を含んで構成されている。なお、この装置本体14は、例えばポリプロピレン,ポリスチレン,ポリエチレンや、ポリ塩化ビニル,ポリイミド等の適当な熱可塑性材料によって、ベース部20と一対の支持腕部22,22を備えた一体成形品として形成されている。
【0022】
そこにおいて、ベース部20は、その下端面23が所定幅で環状に広がる平坦な載置面とされており、かかる下端面23において机等の上に安定して載置され得るようになっている。また、一対の支持腕部22,22は、ベース部20において径方向一方向(図3,4中の左右方向)で対向位置する各部位から上方に向かって突出形成されており、それぞれ半割りの略逆カップ形状をもって相互に対向位置せしめられている。なお、一対の支持腕部22,22の対向面間には、全体に亘って所定幅の隙間24が形成されており、それによって、一対の支持腕部22,22が相互に接近方向に向かって変形変位可能とされている(図2参照)。
【0023】
また、本実施形態では、一対の支持腕部22,22が、何れも、全体としては半割りの逆カップ形状とされることにより、特に上底部における剛性が確保されている。一方、各支持腕部22の下端縁部には、ベース部20との接続部位において周方向両側から延びるスリット25,25が形成されており、各支持腕部22の下端縁部が、周方向中央に残された小幅の接続部26においてのみ、ベース部20に対して連結されている。そして、このように一対の支持腕部22,22のベース部20に対する接続部26が周方向に小幅とされていることにより、一対の支持腕部22,22が、かかる接続部26,26における変形に基づいて、相互に接近方向に向かって容易に変位せしめられるようになっているのである。
【0024】
更にまた、一対の支持腕部22,22における上底部には、一対の支持腕部22,22の対向方向に所定幅をもって直線的に延びる中央凸部30,30が形成されていると共に、かかる中央凸部30,30の幅方向中央部分には、隙間24を挟んで対向位置する部位において、相互に向き合って開口する一対の係合溝32,32が形成されている。なお、各係合溝32を形成する上下の嘴状部分は、上側よりも下側の方が対向方向に大きく突出せしめられており、かかる下側の突出部分によってレンズ載置部34が形成されている。
【0025】
そして、図4に仮想線で示されていると共に、図1に実線で図示されているように、眼内レンズ12を、径方向一方向での両端縁部において、一対の支持腕部22,22のレンズ載置部34,34に載置せしめると共に、一対の係合溝32,32に入り込ませることにより、眼内レンズ12が、水平方向に広がった状態で一対の係合溝32,32により支持されるようになっている。なお、このことから明らかなように、本実施形態では、一対の係合溝32,32の形成部位によって、眼内レンズ12を支持する一対の支持部が構成されている。
【0026】
また、一対の支持腕部22,22における各底壁部の間に形成された隙間24は、一対の係合溝32,32を挟んだ両側部分で互いに反対側に向かって「く」字状に屈曲せしめられている。これにより、一対の係合溝32,32を幅方向に挟んだ両側部分で各一方の支持腕部22から他方の支持腕部22に向かって相互に反対側に突出せしめられた一対の突出部分36,36が形成されており、これらの突出部分36,36によって、眼内レンズ12において外周方向に突設された円弧状のハプティックス38,38を支持するようになっている。特に本実施形態では、各突出部分36,36上に位置決めピン40,40が突設されており、これらの位置決めピン40,40で一対のハプティックス38,38を係止せしめることにより、一対の係合溝32,32で支持せしめた眼内レンズ12を、ハプティックス38,38の突出方向を基準としてレンズ中心軸回りに位置決めし得るようになっている。
【0027】
また一方、一対の支持腕部22,22における周壁部は、下方に向かって僅かに広がるテーパ形状とされており、特にそれぞれの周方向中央部分の外周面には、所定幅をもって略一定の傾斜角度で高さ方向(突出方向)に延びる傾斜案内面42が、上端部から下方に向かって所定長さで形成されている。なお、一対の支持腕部22,22における周壁部のうち、それぞれの周方向両端部分は、それぞれ略鉛直方向に広がる縦壁部44,44とされている。また、一対の支持腕部22,22の周方向両端部で隙間24を挟んで互いに対向せしめられた各縦壁部44,44の対向部位には、高さ方向の中間部分において対向幅寸法が変化せしめられた段付状の抜止係止部46が形成されており、かかる抜止係止部46によって後述する押下リング18の離脱が防止されるようになっている。
【0028】
さらに、このような装置本体14には、図1に示されているように、一対の支持腕部22,22に対して上方から押下リング18が外挿されることによって組み付けられている。かかる押下リング18は、図6〜8に示されているように、全体として略円環形状を呈しており、例えば硬質の合成樹脂や金属によって形成されている。
【0029】
また、押下リング18の内周面には、径方向一方向で対向する部分において周方向所定幅で略平行に広がる平坦面48,48が形成されていると共に、各平坦面48の下端縁部には、内方に突出する係止突起50が設けられている。そして、一対の平坦面48,48が支持腕部22,22の縦壁部44,44の外周面に重ね合わされることにより、押下リング18が装置本体14に対して周方向に位置決めされて組み付けられている。また、押下リング18は、一対の支持腕部22,22に対して外挿されて、上下方向に相対変位可能とされているが、内方に突設された係止突起50,50が一対の支持腕部22,22に形成された抜止係止部46,46に対して係止されることにより、押下リング18が装置本体14から不用意に抜け出すことが防止されている。
【0030】
更にまた、装置本体14に装着された押下リング18の内周面には、一対の平坦面48,48の対向方向に直交する径方向で対向位置する部分において軸方向下方に向かって拡開するように傾斜した一対の押圧面52,52が形成されており、これらの押圧面52,52が、一対の支持腕部22,22における一対の傾斜案内面42,42に対して重ね合わされている。これにより、一対の支持腕部22,22に外挿された押下リング18は、図1に示されているように、所定大きさの隙間24を挟んで対向位置せしめられた一対の支持腕部22,22の傾斜案内面22,22上に一対の押圧面52,52が載置されることにより、一対の支持腕部22,22の上端部近くに位置決め保持されるようになっている。
【0031】
また、そのような装着状態下、押下リング18に外力を及ぼして押し下げて、一対の傾斜案内面42,42に対して一対の押圧面52,52を下方に摺動せしめることにより、図2に示されているように、傾斜案内面42,42の傾斜角度に応じた量だけ、一対の支持腕部22,22が相互に接近方向に変位せしめられるようになっている。特に本実施形態では、各支持腕部22の傾斜方向への変形剛性が、下端部に設けられた接続部26において特に小さくされており、押下リング18が押し下げられて一対の支持腕部22,22に対して内方(相対的接近方向)への外力が及ぼされた際、それら一対の支持腕部22,22が、それぞれの下端部(接続部26)において屈曲されるようにして内方に変形変位せしめられるようになっている。
【0032】
なお、一対の支持腕部22,22には、隙間24を挟んで対向せしめられた各周方向端面において、高さ方向の中間部分で対向方向に突出する係止爪27がそれぞれ一体形成されている。これら合計4つの係止爪27は、何れも、全体としてカップ状を呈する一対の支持腕部22,22の外周側に位置せしめられる面が、上端部から下方に行くに従って次第に外方に突出する傾斜面とされている。そして、押下リング18を下方に押し下げると、押下リング18の係止突起50,50が各係止爪27を乗り越えて下方にまで至り、一対の支持腕部22,22を相対的な接近位置に相互に位置せしめた際には、押下リング18の係止突起50,50が各係止爪27の下面に係合して、押下リング18の上方への変位が阻止され、一対の支持腕部22,22が相対的な接近位置に保持され得るようになっている。要するに、本実施形態では、押下リング18の係止突起50,50を各係止爪27に係止せしめて押下リング18の上方への変位を阻止する係止機構によって、変形保持手段が構成されているのである。
【0033】
そして、かくの如き押下リング18の押下操作による一対の支持腕部22,22の内方への変形変位を、図1に示されているように眼内レンズ12の端縁部を一対の係合溝32,32で支持せしめてセットした状態下で行うことにより、図2に示されているように、一対の係合溝32,32が相互に接近せしめられることに伴って眼内レンズ12が折り曲げられるようにして、一対の係合溝32,32の対向方向に直交する径方向線を仮想折曲線(図4参照)54として、上方に凸となる二つ折り状に折り曲げられるようこととなる。即ち、このようにして折り曲げられた眼内レンズ12は、一対の支持腕部22,22の上端面から更に上方に突出して保持されるのであり、それ故、図示しない鑷子等によって、容易に摘んで手術等にそのまま使用することが出来るのである。特に本実施形態では、押下リング18を押下操作して一対の支持腕部22,22を相互に接近位置せしめた後、外力を加え続けなくても、係止爪27により押下リング18が押下位置に保持されて一対の支持脚部22,22が相互に接近状態に保持されることにより、眼内レンズ12を折曲状態に安定して保持せしめることが出来ることから、その後の眼内レンズ12の鑷子等による取扱いの作業性が一層向上せしめられ得る。
【0034】
ここにおいて、一対の支持腕部22,22を内方に変形変位させることに伴って眼内レンズ12に及ぼされる外力:Fの作用を示す概略図が、図9に示されている。即ち、一対の支持腕部22,22の内方への変形変位は、各下端部に形成された接続部26,26を中心とした内方への略回転変位として考えることが出来る。そして、かかる一対の支持腕部22,22が内方に変形変位せしめられることに伴い、眼内レンズ12には、一対の係合溝32,32を介して、接続部26,26を中心とする円の接線方向に外力:F,Fが及ぼされることとなる。特に、本実施形態では、接続部26,26の離隔距離:Laが、一対の係合溝32,32の離隔距離:Lbよりも大きく設定されている(La>Lb)ことから、かかる外力:F,Fが、眼内レンズ12に対して、その径方向中心軸(レンズ光軸56に対して直交する径方向線)55に平行な圧縮力:Fa,Faと、レンズ光軸56と平行に下方に向かう押下力:Fb,Fbを、分力としてそれぞれ生ずることとなる。
【0035】
而して、眼内レンズ12は、径方向の圧縮力:Fa,Faで圧縮されると弾性変形せしめられて、圧縮力が及ぼされる径方向線55の方向で寸法が小さくなる一方、それに直交する径方向(紙面に垂直な方向)と軸方向(レンズ肉厚方向)では、ポアソン比に対応する量だけ寸法が増大する。その際、眼内レンズ12の下方への膨出変形が、眼内レンズ12を支持する一対の支持腕部22,22におけるレンズ載置部34,34で阻止されることから、その反力として、眼内レンズ12には上方に向かって押し上げる外力が作用せしめられることとなり、その結果、眼内レンズ12が上方に凸となるように弾性変形せしめられるのである。しかも、眼内レンズ12が上方に凸となると圧縮力:Fa,Faが眼内レンズ12の弾性中心軸を外れて曲げモーメントを生ずることとなり、その結果、小さな外力:F,Fで、眼内レンズ12に対して有効な折曲力が効率的に及ぼされて、図2に示されているように、眼内レンズ12が略二つ折り状になるまで速やかに変形され得るのである。
【0036】
しかも、このような圧縮力:Fa,Faの作用に伴う眼内レンズ12の折り曲げ変形に際しては、それと同時に眼内レンズ12に対して押下力:Fb,Fbが及ぼされることから、眼内レンズ12の上方への変位に伴う係合溝32,32からの抜け出しや外部への飛び出しが効果的に抑えられて、目的とする眼内レンズ12の折り曲げ変形が一層安定して行われ得るのである。
【0037】
さらに、本実施形態では、装置本体14に対して、一対の支持腕部22の突出方向外方から蓋体19が被せられ、押下リング18の上方に組み付けられている。この蓋体19は、図10〜11に示されているように、円形の逆カップ形状を有しており、下端開口部が、一対の支持腕部22の上端部に外挿されて、押下リング18に対して載置されている。
【0038】
なお、蓋体19の開口端縁部には、径方向一方向で対向位置する部位において、それぞれ開口方向下方に向かって突出する一対の係止片57,57が一体形成されている。また一方、押下リング18の内周面には、これら一対の係止片57,57を抜出不能に係止し得る係止凹部58,58が、周方向一方向に開口して形成されていると共に、これら係止凹部58,58における周方向の開口部側には、軸方向に延びて上端面に開口する差入溝60,60が形成されている。
【0039】
そして、蓋体19の係止片57,57を、押下リング18に形成された差入溝60,60から軸方向に差し入れた後、蓋体19を押下リング18に対して周方向に相対回動させることにより、係止片57,57が係止凹部58,58に嵌め入れられて、蓋体19の押下リング18からの不用意な離脱が防止されるようになっている。なお、蓋体19を押下リング18から外す場合には、蓋体19を係止時と反対側に回動操作して、係止片57,57を係止凹部58,58から抜け出させることによって、蓋体19の押下リング18への係止を容易に解除することが可能とされている。
【0040】
また、本実施形態では、装置本体14に対して、一対の支持腕部22にロックスリーブ16が外挿され、押下リング18の下方に組み付けられている。このロックスリーブ16は、図12〜13に示されているように、一対の支持腕部22の下端部分の外周面形状よりも僅かに大きな内周面形状を有する薄肉の略筒体形状を有しており、適当な熱可塑性樹脂材等によって成形されている。なお、ロックスリーブ16の周上の一カ所には、軸方向全長に亘って延びる細幅の切断予定部62が設けられている。この切断予定部62には、周方向一方の端縁部から延び出して外方に突出せしめられた把手64が一体形成されていると共に、この把手64が、周方向他方の端縁部に対して、切断容易な薄肉連結部66で連結されている
【0041】
そして、かかるロックスリーブ16は、一対の支持腕部22に外挿されて、装置本体14のベース部20と押下リング18の軸方向対向面間に配設されている。かかる組み付け状態下、ロックスリーブ16の軸方向両端面は、ベース部20と押下リング18の各対向面に対して当接せしめられており、以て、押下リング18を、一対の支持腕部22に対する軸方向の上端位置に位置決め保持せしめて、不用意な下方への押し下げ作動を阻止せしめ得るようになっている。一方、押下リング18を押し下げて、前述の如く眼内レンズ12を折曲操作するに際しては、ロックスリーブ16の把手64に対して手指で外力を及ぼして薄肉連結部66を切断した後、ロックスリーブ16を一対の支持腕部22から外周側に引き剥がすようにして離脱せしめて、ロックスリーブ16による押下リング18への変位規制を解除することによって、速やかに対応することが出来るようにされている。
【0042】
従って、上述の如き構造とされた折曲装置10においては、眼内レンズ12を一対の係合溝32,32で支持せしめた状態下において、押下リング18の押し下げによる眼内レンズ12の折曲作動がロックスリーブ16で阻止されていると共に、眼内レンズ12も蓋体19で覆われて保護されていることから、かかる眼内レンズ12が安定して保持され得ることとなる。
【0043】
それ故、眼内レンズ12を支持せしめた状態で、折曲装置10を適当な保護ケースやバッグ等に入れて密封し、必要に応じて滅菌処理することにより、折曲装置10に入れた状態で、眼内レンズ12をメーカーから手術現場まで輸送することも出来る。
【0044】
また、手術の現場で眼内レンズ12を使用するに際しても、かかる折曲装置10は、ベース部20を机等の上に載置したままの状態で、押下リング18を鉛直下方に向かって、即ち机等の支持面に対して垂直な一方向だけに外力を及ぼすことによって、一対の支持腕部22,22を内方に変形変位させて眼内レンズ12折り曲げることが出来ることから、外力の作用状態下でも安定状態が極めて有利に保持され得るのであり、眼内レンズ12の折曲操作を安定して容易に、且つ速やかに行うことが可能となるのである。
【0045】
特に本実施形態では、押下リング18の上に蓋体19が載置されていることから、蓋体19を装着したまま、この蓋体19の上面を掌や指腹で下方に押すだけで押下リング18を押し下げることが出来るのであり、それ故、上述の如き眼内レンズ12の折曲操作を、眼内レンズに不用意に触れることなく一層容易に且つ一層安定して行うことが出来る。また、万一、眼内レンズ12が係合溝32,32から外れて離脱した場合でも、蓋体19を装着したまま操作することで眼内レンズ12の外部への飛び出しが防止されて、手術現場の床面等への眼内レンズ12の落下が防止されることから、眼内レンズ12への雑菌の付着が回避されて、かかる眼内レンズ12を再び係合溝32,32にセットしてそのまま使用することも出来るのである。
【0046】
更にまた、上述の如き折曲装置10においては、装置本体14が中空構造とされており、ベース部20側から覗けば、一対の支持腕部22,22間で支持せしめた眼内レンズ10を隙間24を通して直接に目視することが可能となっていることから、例えば、透視不可能な蓋体19が装着されたままの状態でも、更に透明な滅菌ケースや滅菌バッグに収容されたままの状態でも、眼内レンズ12の有無を容易に確認することが出来るという利点もある。
【0047】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0048】
例えば、前記実施形態では、一対の支持腕部22,22が下端の接続部26,26で屈曲状に変形せしめられるようになっていたが、かかる支持腕部22,22は、眼内レンズ12を支持せしめる先端部分が少なくとも相対的に接近する方向に変形変位せしめられるようになっていれば良く、例えばそれら支持腕部22,22の高さ方向中間部分を直接に弾性変形させることによって一対の係合溝32,32が相互に接近方向に変位せしめられるようにすることも可能である。
【0049】
また、押下リング18の押し下げによって相互に接近位置せしめられた一対の支持腕部22,22を、かかる接近状態に保持せしめる変形保持手段は、例示の如き支持腕部22,22に突設した複数の係止爪27で押下リング18を押し下げ端に位置決めする係止機構の他、例えば、一対の支持腕部22,22同士を、相対的な接近位置に相互に直接に係止せしめる係止機構等も、採用可能である。
【0050】
更にまた、前記実施形態では、一対の支持腕部22,22の屈曲変形点である接続部26,26の離隔距離:Laが、眼内レンズ12の支持位置である係合溝32,32の離隔距離:Lbよりも大きく設定されていたが、それら両距離を、La≦Lbとなるように設定することによって、本発明に係る折曲装置を構成することも、勿論、可能である。
【0051】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた眼内レンズの折曲装置においては、折曲装置を机上等の安定する場所に載置せしめたままの状態で押下リングに対して下方に向かう一方向の外力だけを加えることにより、眼内レンズを折曲変形させることが出来ることから、眼内レンズの折曲操作を、極めて安定した状態で、しかも容易に且つ速やかに行うことが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての眼内レンズ用折曲装置を示す縦断面図である。
【図2】図1に示された眼内レンズ用折曲装置における眼内レンズの折曲操作を説明するための説明図である。
【図3】図1に示された眼内レンズ用折曲装置を構成する装置本体の縦断面図であり、図4におけるIII −III 断面に相当する図である。
【図4】図3に示された装置本体の平面図である。
【図5】図4におけるV−V断面図である。
【図6】図1に示された眼内レンズ用折曲装置を構成する押下リングの平面図である
【図7】図6におけるVII −VII 断面図である。
【図8】図6におけるVIII−VIII断面図である。
【図9】図1に示された眼内レンズ用折曲装置による眼内レンズの折曲作動を説明するための説明図である。
【図10】図1に示された眼内レンズ用折曲装置を構成する蓋体の縦断面図であり、図11におけるX−X断面に相当する図である。
【図11】図10に示された蓋体の底面図である。
【図12】図1に示された眼内レンズ用折曲装置を構成するロックスリーブの平面図である。
【図13】図12におけるXIII−XIII断面図である。
【符号の説明】
10 眼内レンズ用折曲装置
12 眼内レンズ
14 装置本体
16 ロックスリーブ
18 押下リング
19 蓋体
20 ベース部
22 支持腕部
24 隙間
32 係合溝
42 傾斜案内面
52 押圧面
54 仮想折曲線
【技術分野】
本発明は、変形可能な軟質材料で形成された眼内レンズを眼内に挿入する前に折り曲げるために用いられる眼内レンズの折曲装置と、かかる折曲装置を利用した眼内レンズの流通用包装体に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、白内障手術等で水晶体を除去した無水晶体眼の屈折力を補う目的で、眼内に挿入して使用する眼内レンズが知られており、近年では、有水晶体眼への眼内レンズの適用も検討されている。ところで、眼内レンズを眼内に挿入するに際しては、眼球組織に設けた切開部から眼内レンズを眼内に挿し入れる必要があるが、近年では、水晶体の超音波乳化吸引術の普及等に伴って小さい切開創での水晶体摘出手術が可能になったことから、如何に小さな切開創から眼内レンズを眼内に挿し入れることが出来るか、ということが重要視されるようになってきている。そこにおいて、眼の切開創を小さくすることに対する実際上の制約は、眼内レンズの外径寸法であり、眼内レンズをそのままの状態で挿入する限り、眼球組織に形成する切開創の大きさを眼内レンズの外径寸法より小さくすることができない。
【0003】
そこで、このような問題に鑑み、折曲げ可能な軟質材料で形成された眼内レンズを採用し、それを略直径方向に延びる仮想的な折曲線に沿って折り曲げ、鑷子等で摘んで直接に、或いは適当な挿入器具を用いて、かかる折曲状態で眼内レンズを眼内に挿し入れることが行われるようになってきている。
【0004】
また、眼内レンズを鑷子等で巧く半分に折り畳むことが難しいことから、近年では、眼内レンズの折曲作業を補助するための折曲装置が幾つか提案されている。具体的には、従来の眼内レンズの折曲装置としては、(i)例えば特許文献1において、基台上に突設した細幅の縦リブの先端に眼内レンズの折曲線を合わせて載置せしめた状態で、縦リブの両側に突出した眼内レンズの両縁部を鑷子で下方に押さえて折り曲げるようにしたものが提案されている。また、(ii)例えば特許文献2,3には、蝶番状に連結された一対のプレート部の対向する端縁部によって眼内レンズにおける折曲線を挟んだ両縁部を把持せしめて、かかる一対のプレート部を相互に折り畳むことにより眼内レンズを折り曲げるようにしたものが提案されている。更にまた、(iii )例えば特許文献4,5,6,7には、相互に接近/離隔変位可能とされた一対の支持部材によって眼内レンズにおける折曲線を挟んだ両縁部を支持せしめて、それら一対の支持部材を手指による押圧操作で相互に接近させることにより眼内レンズを折り曲げるようにしたものが提案されている。(iv)更に、例えば特許文献8には、平板状の基盤に突設した一対の弾性支持突起によって眼内レンズにおける折曲線を挟んだ両縁部を支持せしめて、基盤上でスライドせしめられるカバーの水平方向への押圧スライド操作で、それら一対の弾性支持突起を相互に接近させることにより眼内レンズを折り曲げるようにしたものが提案されている。(v)また、例えば特許文献9には、ボトルケースのキャップに突設した一対の弾性支持突起によって眼内レンズにおける折曲線を挟んだ両縁部を支持せしめて、かかる一対の弾性支持突起を手指による押圧操作で相互に接近させることにより眼内レンズを折り曲げるようにしたものが提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特表2000−508568号公報
【特許文献2】
特開平3−215258号公報
【特許文献3】
特開2000−24017号公報
【特許文献4】
特開平4−309348号公報
【特許文献5】
特開平6−205798号公報
【特許文献6】
特表平11−507288号公報
【特許文献7】
特開2001−161727号公報
【特許文献8】
特開2002−102261号公報
【特許文献9】
米国特許第6183513号明細書
【0006】
しかしながら、上記(i)に記載の装置では、鑷子の操作が難しく、眼内レンズを安定して折り曲げることが難しいという問題があった。また、(ii)に記載の装置は、両手で一対のプレート部を折り畳んだ後、折り畳んだままの状態を保ったまま片手に持ち替え、もう一方の手で鑷子を操作して、折り曲げた眼内レンズを摘む必要があることから、作業が面倒で難しいということに加えて、眼内レンズを折り曲げる際にレンズがレンズ保持部から外れ落ちてしまい易い構造上の問題があった。また、(iii )に記載の装置は、片手で装置を持ち上げた状態で操作するにしても、或いは机等の上に装置を載置した状態で操作するにしても、一対の支持部材に対して両側から反対方向の力を加えなければならないことから、外力を及ぼすための操作部材が大型化して装置の全体サイズが大きくなってしまうという問題があることに加えて、両側から加える力が相互に偏心することで眼内レンズを正確に折り曲げられなかったり外れ落ちてしまうおそれもあった。更にまた、(iv)に記載の装置は、基盤を片手で抑えつつ、他方の手でカバーを押圧スライド操作しなければならないことから、作業が面倒で難しいという問題があったり、折り曲げた時点で眼内レンズは既に露出した非保護状態に置かれ、すぐにレンズを鑷子等で摘み上げるのでなければ雑菌等の汚染などという問題が発生するおそれがあった。また、(v)に記載の装置は、片手で装置を持ち上げた状態で一対の弾性支持突起に対して両側から反対方向の力を加えなければならないことから、一対の弾性支持突起を手指で容易に把持できる程に大きくしなければ良好な作業性が実現できず、結局、装置の全体サイズの大型化が避け難いという問題があることに加えて、両側から加える力が相互に偏心することで眼内レンズを正確に折り曲げられなかったり外れ落ちてしまうおそれがあるために、折り曲げたレンズを鑷子等で摘み上げるまで常に力を加えて折り曲げ状態を保持しなければならず、折り曲げ時の安定性に欠けるという問題もあったのである。
【0007】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、眼内レンズを片手での簡単な操作で、両側から加える力が相互に偏心することなく安定して折り曲げることが出来、しかもコンパクト化により、載置面積を少なくすることで、手狭なテーブル等の上でも載置して操作することが容易に実現可能である新規な構造の折曲装置を提供することにある。
【0008】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0009】
すなわち、本発明の第一の態様は、折曲げ可能な眼内レンズを略直径方向に延びる仮想折曲線に沿って折り曲げる際に用いられる眼内レンズの折曲装置であって、(a)平坦な支持面に安定して載置され得るベース部と、(b)該ベース部から上方に向かってそれぞれ突設されて、少なくとも先端部分が水平方向で相互に離隔して対向位置せしめられた一対の支持腕部と、(c)かかる一対の支持腕部における各先端部分に形成されて、前記眼内レンズを前記仮想折曲線に直交する直径方向の両側部分で協働して支持せしめる一対の支持部と、(d)前記一対の支持腕部の外周面に形成された、上方に行くに従って相互に内方に向かって傾斜した一対の案内面と、(e)前記一対の支持腕部に外挿されて組み付けられた、前記一対の案内面に摺接せしめられる一対の押圧面を内周面に備えた押下部材とを備え、前記一対の支持部で前記眼内レンズを支持せしめた状態下で、前記一対の支持腕部に外挿した前記押下部材を下方に押し下げることにより、該押下部材における前記一対の押圧面で該一対の支持腕部における前記一対の案内面を内方に押圧せしめて該一対の支持腕部を内方に向かって変形させ、該一対の支持部を相互に接近させることによって該眼内レンズに対して折曲力を及ぼすようにした眼内レンズの折曲装置を、特徴とする。
【0010】
このような本態様に従う構造とされた眼内レンズの折曲装置においては、テーブル等の所定の台上にベース部を載置せしめた状態で、該ベース部に突設された一対の支持腕部に対して外挿された押下部材を下方に向かって押圧するだけで、一対の支持腕部が変形せしめられて一対の支持部を相互に接近せしめられることとなり、それによって、かかる一対の支持部で支持せしめた眼内レンズを折り曲げることが出来る。
【0011】
すなわち、かかる眼内レンズの折曲装置では、眼内レンズを折り曲げるために必要なのは、単に、押下部材を下方に押し下げるだけであり、それ故、眼内レンズの折り曲げを、極めて容易に安定して且つ速やかに行うことが出来るのである。しかも、眼内レンズを折り曲げるために折曲装置に及ぼす外力が、下方に向かう一方向の力で済み、両側から加えた力が相互に偏心しないことに加えて、外力を及ぼす際にもテーブル等の所定の台上に載置されたままの状態で操作せしめられることから、眼内レンズを折り曲げる際にも折曲装置の状態ひいては眼内レンズの支持状態が安定し、眼内レンズが支持部から脱落することなく、眼内レンズを安定して仮想折曲線で折り曲げることが可能となるのである。また、眼内レンズを折り曲げるために折曲装置を持ち上げたりする必要がないことから、大型の把持部や操作部を設ける必要がないのであり、装置全体のコンパクトが有利に実現可能となるのである。
【0012】
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る眼内レンズの折曲装置において、前記一対の支持腕部の弾性的な変形によって、前記一対の支持部が相互に接近せしめられるようにすると共に、かかる一対の支持腕部を弾性的な変形状態に保持せしめる変形保持手段を設けたことを、特徴とする。このような本態様における眼内レンズの折曲装置においては、押下部材を押し下げ操作して一対の支持部を接近せしめた後、手指による外力を解除しても、一対の支持部が接近状態に維持されて眼内レンズが折曲状態に保持せしめられることから、折り曲げた眼内レンズを鑷子で摘む作業等を、一層容易に安定して行うことが可能となる。
【0013】
また、本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る眼内レンズの折曲装置において、前記一対の支持腕部を上方から覆うことにより、前記一対の支持部によって支持された前記眼内レンズを覆う蓋体を設けたことを、特徴とする。このような本態様における眼内レンズの折曲装置においては、眼内レンズの折り曲げ時において、眼内レンズに対して不用意に手などが触れてしまうことを防止できる。また万一、眼内レンズを折り曲げる際に眼内レンズが一対の支持部から外れて、眼内レンズ自体の弾性により飛び跳ねるように離脱しても、蓋体によって外部への飛び出しが防止されるという効果も期待できる。それ故、離脱した眼内レンズが床や机の上などに落ちてしまって雑菌の付着などで使用できなくなることが回避され得る。
【0014】
また、本発明の第四の態様は、前記第三の態様に係る眼内レンズの折曲装置において、前記蓋体の下端の開口部を前記押下部材の上端部に当接せしめて、該蓋体に対して下方に押圧する外力を及ぼすことにより該蓋体と共に該押下部材が下方に押し下げられるようにしたことを、特徴とする。このような本態様に係る眼内レンズの折曲装置においては、蓋体を押し下げ操作することにより、押下部材が押し下げられて、一対の支持腕部を変形せしめて一対の支持部を相互に接近させることが出来るのであり、それ故、例えば、装置の最上部に設けられた蓋体の上面を手指で下方に向かって押さえるだけで眼内レンズを折り曲げることが可能となり、操作を一層容易に且つ速やかに行うことが出来る。
【0015】
また、本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れかの態様に係る眼内レンズの折曲装置において、前記ベース部の中央に透孔を設けると共に、該ベース部において該透孔を挟んで水平方向一方向に対向する両側から前記一対の支持腕部を上方に向かって突設することにより、該一対の支持腕部における前記一対の支持部で支持せしめた前記眼内レンズの存在を、該ベース部の透孔を通じて下方から視認可能としたことを、特徴とする。このような本態様においては、眼内レンズの存在を目視で容易に確認することが可能となる。特に、前記第三又は第四の態様において蓋体を採用した際において、蓋体が不透明であったり、蓋体の上面中央に識別等のための表示シールを貼着した場合に、かかる蓋体を装着したままでも、眼内レンズの有無を確認することが出来るのである。
【0016】
また、本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れかの態様に係る眼内レンズの折曲装置において、前記一対の支持腕部に外挿せしめた前記押下部材の下方への変位を阻止する解除可能なセフティロック手段を設けたことを、特徴とする。このような本態様においては、輸送時等のように眼内レンズを折り曲げる必要のない状況下で意に反して押下部材が押し下げられて眼内レンズが折曲状態となってしまうことが防止され得る。
【0017】
また、本発明の第七の態様は、前記第一乃至第六の何れかの態様に係る眼内レンズの折曲装置において、前記一対の支持腕部における対向方向内方への各変形部位の離隔距離を、前記一対の支持部における前記眼内レンズの各支持位置の離隔距離よりも大きくして、かかる一対の支持腕部が対向方向内方に変形せしめられることにより、該一対の支持部が相互に接近する方向で且つ斜め下方に向かって変位せしめられるようにしたことを、特徴とする。このような本態様においては、眼内レンズを折り曲げる際に、眼内レンズの直径方向の両側部分を支持せしめる一対の支持部が、眼内レンズの径方向線に対して眼内レンズの端縁部分を斜め下方に向かって押さえ込む方向に変位せしめられることから、眼内レンズの外方への飛び出しが一層有利に防止されて、眼内レンズをより安定して折り曲げることが可能となる。
【0018】
また、本発明の第八の態様は、前記第一乃至第七の何れかの態様に係る眼内レンズの折曲装置を用い、前記一対の支持腕部に形成された前記一対の支持部によって前記眼内レンズを支持せしめた状態下で、かかる折曲装置の全体を滅菌バッグに収容せしめてなる眼内レンズの流通用包装体を、特徴とする。このような本態様においては、本発明に従う構造とされた眼内レンズの折曲装置を、そのまま、眼内レンズの流通用包装体として用いることが可能となる。それ故、眼内レンズを、予め、本発明に従う構造とされた折曲装置にセットした状態で流通させて、それを手術の際に、初めて流通用包装体から取り出して、そのまま使用することが出来るのであり、それによって、レンズを折り曲げる際の作業を一層容易に且つ速やかに行うことが可能となると共に、眼内レンズの移植手術直前まで、眼内レンズの滅菌状態が一層高度に実現され得ることとなる。
【0019】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照つつし、詳細に説明する。なお、以下の説明中、上下方向とは、原則として、鉛直上下方向に相当する図1中の上下方向を言うものとする。
【0020】
先ず、図1には、本実施形態の眼内レンズ用折曲装置(以下、単に「折曲装置」という)10に対して眼内レンズ12を支持せしめた状態が、縦断面図として示されている。更に、図2には、かかる折曲装置10によって眼内レンズ12を折り曲げると共に、該眼内レンズ12を取出可能に外部に露出せしめた状態が、縦断面図として示されている。かかる折曲装置10は、全体として略ハット形状を呈する装置本体14に対して、それぞれセフティロック手段としての筒状のロックスリーブ16および押下部材としての押下リング18が外挿されて組み付けられていると共に、逆カップ形状の蓋体19が被せられて組み付けられることによって構成されている。そして、装置本体14の上端部分で眼内レンズ12を保持するようになっている。
【0021】
より詳細には、装置本体14は、図3〜5に示されているように、下端開口部に円環形の鍔形状をもって形成されたベース部20と、該ベース部20から上方に突設された一対の支持腕部22,22を含んで構成されている。なお、この装置本体14は、例えばポリプロピレン,ポリスチレン,ポリエチレンや、ポリ塩化ビニル,ポリイミド等の適当な熱可塑性材料によって、ベース部20と一対の支持腕部22,22を備えた一体成形品として形成されている。
【0022】
そこにおいて、ベース部20は、その下端面23が所定幅で環状に広がる平坦な載置面とされており、かかる下端面23において机等の上に安定して載置され得るようになっている。また、一対の支持腕部22,22は、ベース部20において径方向一方向(図3,4中の左右方向)で対向位置する各部位から上方に向かって突出形成されており、それぞれ半割りの略逆カップ形状をもって相互に対向位置せしめられている。なお、一対の支持腕部22,22の対向面間には、全体に亘って所定幅の隙間24が形成されており、それによって、一対の支持腕部22,22が相互に接近方向に向かって変形変位可能とされている(図2参照)。
【0023】
また、本実施形態では、一対の支持腕部22,22が、何れも、全体としては半割りの逆カップ形状とされることにより、特に上底部における剛性が確保されている。一方、各支持腕部22の下端縁部には、ベース部20との接続部位において周方向両側から延びるスリット25,25が形成されており、各支持腕部22の下端縁部が、周方向中央に残された小幅の接続部26においてのみ、ベース部20に対して連結されている。そして、このように一対の支持腕部22,22のベース部20に対する接続部26が周方向に小幅とされていることにより、一対の支持腕部22,22が、かかる接続部26,26における変形に基づいて、相互に接近方向に向かって容易に変位せしめられるようになっているのである。
【0024】
更にまた、一対の支持腕部22,22における上底部には、一対の支持腕部22,22の対向方向に所定幅をもって直線的に延びる中央凸部30,30が形成されていると共に、かかる中央凸部30,30の幅方向中央部分には、隙間24を挟んで対向位置する部位において、相互に向き合って開口する一対の係合溝32,32が形成されている。なお、各係合溝32を形成する上下の嘴状部分は、上側よりも下側の方が対向方向に大きく突出せしめられており、かかる下側の突出部分によってレンズ載置部34が形成されている。
【0025】
そして、図4に仮想線で示されていると共に、図1に実線で図示されているように、眼内レンズ12を、径方向一方向での両端縁部において、一対の支持腕部22,22のレンズ載置部34,34に載置せしめると共に、一対の係合溝32,32に入り込ませることにより、眼内レンズ12が、水平方向に広がった状態で一対の係合溝32,32により支持されるようになっている。なお、このことから明らかなように、本実施形態では、一対の係合溝32,32の形成部位によって、眼内レンズ12を支持する一対の支持部が構成されている。
【0026】
また、一対の支持腕部22,22における各底壁部の間に形成された隙間24は、一対の係合溝32,32を挟んだ両側部分で互いに反対側に向かって「く」字状に屈曲せしめられている。これにより、一対の係合溝32,32を幅方向に挟んだ両側部分で各一方の支持腕部22から他方の支持腕部22に向かって相互に反対側に突出せしめられた一対の突出部分36,36が形成されており、これらの突出部分36,36によって、眼内レンズ12において外周方向に突設された円弧状のハプティックス38,38を支持するようになっている。特に本実施形態では、各突出部分36,36上に位置決めピン40,40が突設されており、これらの位置決めピン40,40で一対のハプティックス38,38を係止せしめることにより、一対の係合溝32,32で支持せしめた眼内レンズ12を、ハプティックス38,38の突出方向を基準としてレンズ中心軸回りに位置決めし得るようになっている。
【0027】
また一方、一対の支持腕部22,22における周壁部は、下方に向かって僅かに広がるテーパ形状とされており、特にそれぞれの周方向中央部分の外周面には、所定幅をもって略一定の傾斜角度で高さ方向(突出方向)に延びる傾斜案内面42が、上端部から下方に向かって所定長さで形成されている。なお、一対の支持腕部22,22における周壁部のうち、それぞれの周方向両端部分は、それぞれ略鉛直方向に広がる縦壁部44,44とされている。また、一対の支持腕部22,22の周方向両端部で隙間24を挟んで互いに対向せしめられた各縦壁部44,44の対向部位には、高さ方向の中間部分において対向幅寸法が変化せしめられた段付状の抜止係止部46が形成されており、かかる抜止係止部46によって後述する押下リング18の離脱が防止されるようになっている。
【0028】
さらに、このような装置本体14には、図1に示されているように、一対の支持腕部22,22に対して上方から押下リング18が外挿されることによって組み付けられている。かかる押下リング18は、図6〜8に示されているように、全体として略円環形状を呈しており、例えば硬質の合成樹脂や金属によって形成されている。
【0029】
また、押下リング18の内周面には、径方向一方向で対向する部分において周方向所定幅で略平行に広がる平坦面48,48が形成されていると共に、各平坦面48の下端縁部には、内方に突出する係止突起50が設けられている。そして、一対の平坦面48,48が支持腕部22,22の縦壁部44,44の外周面に重ね合わされることにより、押下リング18が装置本体14に対して周方向に位置決めされて組み付けられている。また、押下リング18は、一対の支持腕部22,22に対して外挿されて、上下方向に相対変位可能とされているが、内方に突設された係止突起50,50が一対の支持腕部22,22に形成された抜止係止部46,46に対して係止されることにより、押下リング18が装置本体14から不用意に抜け出すことが防止されている。
【0030】
更にまた、装置本体14に装着された押下リング18の内周面には、一対の平坦面48,48の対向方向に直交する径方向で対向位置する部分において軸方向下方に向かって拡開するように傾斜した一対の押圧面52,52が形成されており、これらの押圧面52,52が、一対の支持腕部22,22における一対の傾斜案内面42,42に対して重ね合わされている。これにより、一対の支持腕部22,22に外挿された押下リング18は、図1に示されているように、所定大きさの隙間24を挟んで対向位置せしめられた一対の支持腕部22,22の傾斜案内面22,22上に一対の押圧面52,52が載置されることにより、一対の支持腕部22,22の上端部近くに位置決め保持されるようになっている。
【0031】
また、そのような装着状態下、押下リング18に外力を及ぼして押し下げて、一対の傾斜案内面42,42に対して一対の押圧面52,52を下方に摺動せしめることにより、図2に示されているように、傾斜案内面42,42の傾斜角度に応じた量だけ、一対の支持腕部22,22が相互に接近方向に変位せしめられるようになっている。特に本実施形態では、各支持腕部22の傾斜方向への変形剛性が、下端部に設けられた接続部26において特に小さくされており、押下リング18が押し下げられて一対の支持腕部22,22に対して内方(相対的接近方向)への外力が及ぼされた際、それら一対の支持腕部22,22が、それぞれの下端部(接続部26)において屈曲されるようにして内方に変形変位せしめられるようになっている。
【0032】
なお、一対の支持腕部22,22には、隙間24を挟んで対向せしめられた各周方向端面において、高さ方向の中間部分で対向方向に突出する係止爪27がそれぞれ一体形成されている。これら合計4つの係止爪27は、何れも、全体としてカップ状を呈する一対の支持腕部22,22の外周側に位置せしめられる面が、上端部から下方に行くに従って次第に外方に突出する傾斜面とされている。そして、押下リング18を下方に押し下げると、押下リング18の係止突起50,50が各係止爪27を乗り越えて下方にまで至り、一対の支持腕部22,22を相対的な接近位置に相互に位置せしめた際には、押下リング18の係止突起50,50が各係止爪27の下面に係合して、押下リング18の上方への変位が阻止され、一対の支持腕部22,22が相対的な接近位置に保持され得るようになっている。要するに、本実施形態では、押下リング18の係止突起50,50を各係止爪27に係止せしめて押下リング18の上方への変位を阻止する係止機構によって、変形保持手段が構成されているのである。
【0033】
そして、かくの如き押下リング18の押下操作による一対の支持腕部22,22の内方への変形変位を、図1に示されているように眼内レンズ12の端縁部を一対の係合溝32,32で支持せしめてセットした状態下で行うことにより、図2に示されているように、一対の係合溝32,32が相互に接近せしめられることに伴って眼内レンズ12が折り曲げられるようにして、一対の係合溝32,32の対向方向に直交する径方向線を仮想折曲線(図4参照)54として、上方に凸となる二つ折り状に折り曲げられるようこととなる。即ち、このようにして折り曲げられた眼内レンズ12は、一対の支持腕部22,22の上端面から更に上方に突出して保持されるのであり、それ故、図示しない鑷子等によって、容易に摘んで手術等にそのまま使用することが出来るのである。特に本実施形態では、押下リング18を押下操作して一対の支持腕部22,22を相互に接近位置せしめた後、外力を加え続けなくても、係止爪27により押下リング18が押下位置に保持されて一対の支持脚部22,22が相互に接近状態に保持されることにより、眼内レンズ12を折曲状態に安定して保持せしめることが出来ることから、その後の眼内レンズ12の鑷子等による取扱いの作業性が一層向上せしめられ得る。
【0034】
ここにおいて、一対の支持腕部22,22を内方に変形変位させることに伴って眼内レンズ12に及ぼされる外力:Fの作用を示す概略図が、図9に示されている。即ち、一対の支持腕部22,22の内方への変形変位は、各下端部に形成された接続部26,26を中心とした内方への略回転変位として考えることが出来る。そして、かかる一対の支持腕部22,22が内方に変形変位せしめられることに伴い、眼内レンズ12には、一対の係合溝32,32を介して、接続部26,26を中心とする円の接線方向に外力:F,Fが及ぼされることとなる。特に、本実施形態では、接続部26,26の離隔距離:Laが、一対の係合溝32,32の離隔距離:Lbよりも大きく設定されている(La>Lb)ことから、かかる外力:F,Fが、眼内レンズ12に対して、その径方向中心軸(レンズ光軸56に対して直交する径方向線)55に平行な圧縮力:Fa,Faと、レンズ光軸56と平行に下方に向かう押下力:Fb,Fbを、分力としてそれぞれ生ずることとなる。
【0035】
而して、眼内レンズ12は、径方向の圧縮力:Fa,Faで圧縮されると弾性変形せしめられて、圧縮力が及ぼされる径方向線55の方向で寸法が小さくなる一方、それに直交する径方向(紙面に垂直な方向)と軸方向(レンズ肉厚方向)では、ポアソン比に対応する量だけ寸法が増大する。その際、眼内レンズ12の下方への膨出変形が、眼内レンズ12を支持する一対の支持腕部22,22におけるレンズ載置部34,34で阻止されることから、その反力として、眼内レンズ12には上方に向かって押し上げる外力が作用せしめられることとなり、その結果、眼内レンズ12が上方に凸となるように弾性変形せしめられるのである。しかも、眼内レンズ12が上方に凸となると圧縮力:Fa,Faが眼内レンズ12の弾性中心軸を外れて曲げモーメントを生ずることとなり、その結果、小さな外力:F,Fで、眼内レンズ12に対して有効な折曲力が効率的に及ぼされて、図2に示されているように、眼内レンズ12が略二つ折り状になるまで速やかに変形され得るのである。
【0036】
しかも、このような圧縮力:Fa,Faの作用に伴う眼内レンズ12の折り曲げ変形に際しては、それと同時に眼内レンズ12に対して押下力:Fb,Fbが及ぼされることから、眼内レンズ12の上方への変位に伴う係合溝32,32からの抜け出しや外部への飛び出しが効果的に抑えられて、目的とする眼内レンズ12の折り曲げ変形が一層安定して行われ得るのである。
【0037】
さらに、本実施形態では、装置本体14に対して、一対の支持腕部22の突出方向外方から蓋体19が被せられ、押下リング18の上方に組み付けられている。この蓋体19は、図10〜11に示されているように、円形の逆カップ形状を有しており、下端開口部が、一対の支持腕部22の上端部に外挿されて、押下リング18に対して載置されている。
【0038】
なお、蓋体19の開口端縁部には、径方向一方向で対向位置する部位において、それぞれ開口方向下方に向かって突出する一対の係止片57,57が一体形成されている。また一方、押下リング18の内周面には、これら一対の係止片57,57を抜出不能に係止し得る係止凹部58,58が、周方向一方向に開口して形成されていると共に、これら係止凹部58,58における周方向の開口部側には、軸方向に延びて上端面に開口する差入溝60,60が形成されている。
【0039】
そして、蓋体19の係止片57,57を、押下リング18に形成された差入溝60,60から軸方向に差し入れた後、蓋体19を押下リング18に対して周方向に相対回動させることにより、係止片57,57が係止凹部58,58に嵌め入れられて、蓋体19の押下リング18からの不用意な離脱が防止されるようになっている。なお、蓋体19を押下リング18から外す場合には、蓋体19を係止時と反対側に回動操作して、係止片57,57を係止凹部58,58から抜け出させることによって、蓋体19の押下リング18への係止を容易に解除することが可能とされている。
【0040】
また、本実施形態では、装置本体14に対して、一対の支持腕部22にロックスリーブ16が外挿され、押下リング18の下方に組み付けられている。このロックスリーブ16は、図12〜13に示されているように、一対の支持腕部22の下端部分の外周面形状よりも僅かに大きな内周面形状を有する薄肉の略筒体形状を有しており、適当な熱可塑性樹脂材等によって成形されている。なお、ロックスリーブ16の周上の一カ所には、軸方向全長に亘って延びる細幅の切断予定部62が設けられている。この切断予定部62には、周方向一方の端縁部から延び出して外方に突出せしめられた把手64が一体形成されていると共に、この把手64が、周方向他方の端縁部に対して、切断容易な薄肉連結部66で連結されている
【0041】
そして、かかるロックスリーブ16は、一対の支持腕部22に外挿されて、装置本体14のベース部20と押下リング18の軸方向対向面間に配設されている。かかる組み付け状態下、ロックスリーブ16の軸方向両端面は、ベース部20と押下リング18の各対向面に対して当接せしめられており、以て、押下リング18を、一対の支持腕部22に対する軸方向の上端位置に位置決め保持せしめて、不用意な下方への押し下げ作動を阻止せしめ得るようになっている。一方、押下リング18を押し下げて、前述の如く眼内レンズ12を折曲操作するに際しては、ロックスリーブ16の把手64に対して手指で外力を及ぼして薄肉連結部66を切断した後、ロックスリーブ16を一対の支持腕部22から外周側に引き剥がすようにして離脱せしめて、ロックスリーブ16による押下リング18への変位規制を解除することによって、速やかに対応することが出来るようにされている。
【0042】
従って、上述の如き構造とされた折曲装置10においては、眼内レンズ12を一対の係合溝32,32で支持せしめた状態下において、押下リング18の押し下げによる眼内レンズ12の折曲作動がロックスリーブ16で阻止されていると共に、眼内レンズ12も蓋体19で覆われて保護されていることから、かかる眼内レンズ12が安定して保持され得ることとなる。
【0043】
それ故、眼内レンズ12を支持せしめた状態で、折曲装置10を適当な保護ケースやバッグ等に入れて密封し、必要に応じて滅菌処理することにより、折曲装置10に入れた状態で、眼内レンズ12をメーカーから手術現場まで輸送することも出来る。
【0044】
また、手術の現場で眼内レンズ12を使用するに際しても、かかる折曲装置10は、ベース部20を机等の上に載置したままの状態で、押下リング18を鉛直下方に向かって、即ち机等の支持面に対して垂直な一方向だけに外力を及ぼすことによって、一対の支持腕部22,22を内方に変形変位させて眼内レンズ12折り曲げることが出来ることから、外力の作用状態下でも安定状態が極めて有利に保持され得るのであり、眼内レンズ12の折曲操作を安定して容易に、且つ速やかに行うことが可能となるのである。
【0045】
特に本実施形態では、押下リング18の上に蓋体19が載置されていることから、蓋体19を装着したまま、この蓋体19の上面を掌や指腹で下方に押すだけで押下リング18を押し下げることが出来るのであり、それ故、上述の如き眼内レンズ12の折曲操作を、眼内レンズに不用意に触れることなく一層容易に且つ一層安定して行うことが出来る。また、万一、眼内レンズ12が係合溝32,32から外れて離脱した場合でも、蓋体19を装着したまま操作することで眼内レンズ12の外部への飛び出しが防止されて、手術現場の床面等への眼内レンズ12の落下が防止されることから、眼内レンズ12への雑菌の付着が回避されて、かかる眼内レンズ12を再び係合溝32,32にセットしてそのまま使用することも出来るのである。
【0046】
更にまた、上述の如き折曲装置10においては、装置本体14が中空構造とされており、ベース部20側から覗けば、一対の支持腕部22,22間で支持せしめた眼内レンズ10を隙間24を通して直接に目視することが可能となっていることから、例えば、透視不可能な蓋体19が装着されたままの状態でも、更に透明な滅菌ケースや滅菌バッグに収容されたままの状態でも、眼内レンズ12の有無を容易に確認することが出来るという利点もある。
【0047】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0048】
例えば、前記実施形態では、一対の支持腕部22,22が下端の接続部26,26で屈曲状に変形せしめられるようになっていたが、かかる支持腕部22,22は、眼内レンズ12を支持せしめる先端部分が少なくとも相対的に接近する方向に変形変位せしめられるようになっていれば良く、例えばそれら支持腕部22,22の高さ方向中間部分を直接に弾性変形させることによって一対の係合溝32,32が相互に接近方向に変位せしめられるようにすることも可能である。
【0049】
また、押下リング18の押し下げによって相互に接近位置せしめられた一対の支持腕部22,22を、かかる接近状態に保持せしめる変形保持手段は、例示の如き支持腕部22,22に突設した複数の係止爪27で押下リング18を押し下げ端に位置決めする係止機構の他、例えば、一対の支持腕部22,22同士を、相対的な接近位置に相互に直接に係止せしめる係止機構等も、採用可能である。
【0050】
更にまた、前記実施形態では、一対の支持腕部22,22の屈曲変形点である接続部26,26の離隔距離:Laが、眼内レンズ12の支持位置である係合溝32,32の離隔距離:Lbよりも大きく設定されていたが、それら両距離を、La≦Lbとなるように設定することによって、本発明に係る折曲装置を構成することも、勿論、可能である。
【0051】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた眼内レンズの折曲装置においては、折曲装置を机上等の安定する場所に載置せしめたままの状態で押下リングに対して下方に向かう一方向の外力だけを加えることにより、眼内レンズを折曲変形させることが出来ることから、眼内レンズの折曲操作を、極めて安定した状態で、しかも容易に且つ速やかに行うことが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての眼内レンズ用折曲装置を示す縦断面図である。
【図2】図1に示された眼内レンズ用折曲装置における眼内レンズの折曲操作を説明するための説明図である。
【図3】図1に示された眼内レンズ用折曲装置を構成する装置本体の縦断面図であり、図4におけるIII −III 断面に相当する図である。
【図4】図3に示された装置本体の平面図である。
【図5】図4におけるV−V断面図である。
【図6】図1に示された眼内レンズ用折曲装置を構成する押下リングの平面図である
【図7】図6におけるVII −VII 断面図である。
【図8】図6におけるVIII−VIII断面図である。
【図9】図1に示された眼内レンズ用折曲装置による眼内レンズの折曲作動を説明するための説明図である。
【図10】図1に示された眼内レンズ用折曲装置を構成する蓋体の縦断面図であり、図11におけるX−X断面に相当する図である。
【図11】図10に示された蓋体の底面図である。
【図12】図1に示された眼内レンズ用折曲装置を構成するロックスリーブの平面図である。
【図13】図12におけるXIII−XIII断面図である。
【符号の説明】
10 眼内レンズ用折曲装置
12 眼内レンズ
14 装置本体
16 ロックスリーブ
18 押下リング
19 蓋体
20 ベース部
22 支持腕部
24 隙間
32 係合溝
42 傾斜案内面
52 押圧面
54 仮想折曲線
Claims (8)
- 折曲げ可能な眼内レンズを略直径方向に延びる仮想折曲線に沿って折り曲げる際に用いられる眼内レンズの折曲装置であって、
平坦な支持面に安定して載置され得るベース部と、
該ベース部から上方に向かってそれぞれ突設されて、少なくとも先端部分が水平方向で相互に離隔して対向位置せしめられた一対の支持腕部と、
かかる一対の支持腕部における各先端部分に形成されて、前記眼内レンズを前記仮想折曲線に直交する直径方向の両側部分で協働して支持せしめる一対の支持部と、
前記一対の支持腕部の外周面に形成された、上方に行くに従って相互に内方に向かって傾斜した一対の案内面と、
前記一対の支持腕部に外挿されて組み付けられた、前記一対の案内面に摺接せしめられる一対の押圧面を内周面に備えた押下部材と
を備え、前記一対の支持部で前記眼内レンズを支持せしめた状態下で、前記一対の支持腕部に外挿した前記押下部材を下方に押し下げることにより、該押下部材における前記一対の押圧面で該一対の支持腕部における前記一対の案内面を内方に押圧せしめて該一対の支持腕部を内方に向かって変形させ、該一対の支持部を相互に接近させることによって該眼内レンズに対して折曲力を及ぼすようにしたことを特徴とする眼内レンズの折曲装置。 - 前記一対の支持腕部の弾性的な変形によって、前記一対の支持部が相互に接近せしめられるようにすると共に、かかる一対の支持腕部を弾性的な変形状態に保持せしめる変形保持手段を設けた請求項1に記載の眼内レンズの折曲装置。
- 前記一対の支持腕部を上方から覆うことにより、前記一対の支持部によって支持された前記眼内レンズを覆う蓋体を設けた請求項1又は2に記載の眼内レンズの折曲装置。
- 前記蓋体の下端の開口部を前記押下部材の上端部に当接せしめて、該蓋体に対して下方に押圧する外力を及ぼすことにより該蓋体と共に該押下部材が下方に押し下げられるようにした請求項3に記載の眼内レンズの折曲装置。
- 前記ベース部の中央に透孔を設けると共に、該ベース部において該透孔を挟んで水平方向一方向に対向する両側から前記一対の支持腕部を上方に向かって突設することにより、該一対の支持腕部における前記一対の支持部で支持せしめた前記眼内レンズの存在を、該ベース部の透孔を通じて下方から視認可能とした請求項1乃至4の何れかに記載の眼内レンズの折曲装置。
- 前記一対の支持腕部に外挿せしめた前記押下部材の下方への変位を阻止する解除可能なセフティロック手段を設けた請求項1乃至5の何れかに記載の眼内レンズの折曲装置。
- 前記一対の支持腕部における対向方向内方への各変形部位の離隔距離を、前記一対の支持部における前記眼内レンズの各支持位置の離隔距離よりも大きくして、かかる一対の支持腕部が対向方向内方に変形せしめられることにより、該一対の支持部が相互に接近する方向で且つ斜め下方に向かって変位せしめられるようにした請求項1乃至6の何れかに記載の眼内レンズの折曲装置。
- 請求項1乃至7の何れかに記載の眼内レンズの折曲装置を用い、前記一対の支持腕部に形成された前記一対の支持部によって前記眼内レンズを支持せしめた状態下で、かかる折曲装置の全体を滅菌バッグに収容せしめたことを特徴とする眼内レンズの流通用包装体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002295707A JP2004129749A (ja) | 2002-10-09 | 2002-10-09 | 眼内レンズの折曲装置およびそれを用いた眼内レンズの流通用包装体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002295707A JP2004129749A (ja) | 2002-10-09 | 2002-10-09 | 眼内レンズの折曲装置およびそれを用いた眼内レンズの流通用包装体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004129749A true JP2004129749A (ja) | 2004-04-30 |
Family
ID=32285881
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002295707A Withdrawn JP2004129749A (ja) | 2002-10-09 | 2002-10-09 | 眼内レンズの折曲装置およびそれを用いた眼内レンズの流通用包装体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004129749A (ja) |
-
2002
- 2002-10-09 JP JP2002295707A patent/JP2004129749A/ja not_active Withdrawn
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20230219741A1 (en) | Package for drills, a method and an arrangement therefore | |
JP3944555B2 (ja) | 眼内挿入用レンズの挿入システム | |
AU713073B2 (en) | Contact lens package with insertion feature | |
US7320404B2 (en) | Medical packaging | |
US20020077633A1 (en) | Insertion system for intraocular lens | |
US20030212408A1 (en) | Insertion system for intraocular lens | |
US5720391A (en) | Packaging and holder for heart valve prosthesis | |
US5171241A (en) | Device for folding an intraocular lens and holding it in the folded state | |
JP2016538202A (ja) | コンタクトレンズ用の包装のまたはそれに関する改良 | |
CN101141932A (zh) | 医用包装,医用容器,医用包装系统,以及用于从容器中取出医用元件的方法 | |
US6244487B1 (en) | Safety ampule breaker | |
US20080308698A1 (en) | Medical equipment tray system | |
RU2352235C2 (ru) | Устройство с безопасной гайкой серьги, предназначенное для пирсинга ушей | |
US20100133133A1 (en) | Packaging for Sterile Implant | |
US20050035015A1 (en) | Packaging for a dental implant | |
US20190315563A1 (en) | Package for drills, a method and an arrangement therefore | |
JP2004129749A (ja) | 眼内レンズの折曲装置およびそれを用いた眼内レンズの流通用包装体 | |
JP4489765B2 (ja) | 不正開封防止真空チューブホルダ組立体およびそのための針ハブ組立体 | |
US6401916B2 (en) | Soft intraocular lens container having folding function | |
US6622855B1 (en) | Intraocular lens case | |
JP2002360692A (ja) | 容器兼用注射器の補助グリップ | |
JP2007244510A (ja) | 点眼補助具 | |
JPWO2004087019A1 (ja) | 眼内レンズの流通コンテナ | |
RU2258447C2 (ru) | Устройства с шарнирными кольцевыми серьгами для пирсинга ушей | |
JP2001346817A (ja) | 眼内レンズケース |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050701 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20060718 |