JP2004129346A - Dcモータの駆動回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温時でもロータを低速で回転させることを可能にする。
【解決手段】ロータを回転させるためにロータの回転位置に従ってコイルへの通電を制御する駆動IC14を有し、温度センサ(サーミスタ)22の検出温度に応じてロータの回転速度を可変するDCモータの駆動制御回路であって、方形波信号と三角波信号又は充電波形信号とを生成する信号発生手段と、温度センサの出力電圧と三角波信号又は充電波形信号の電圧とを比較する比較手段(コンパレータ)29と、方形波信号と比較手段の出力の両方でコイルに流す電流をオンオフする通電制御回路で構成され、少なくとも低温時における電流のオンオフが方形波信号に基づいて行われるようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】ロータを回転させるためにロータの回転位置に従ってコイルへの通電を制御する駆動IC14を有し、温度センサ(サーミスタ)22の検出温度に応じてロータの回転速度を可変するDCモータの駆動制御回路であって、方形波信号と三角波信号又は充電波形信号とを生成する信号発生手段と、温度センサの出力電圧と三角波信号又は充電波形信号の電圧とを比較する比較手段(コンパレータ)29と、方形波信号と比較手段の出力の両方でコイルに流す電流をオンオフする通電制御回路で構成され、少なくとも低温時における電流のオンオフが方形波信号に基づいて行われるようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファンモータ等のDCモータにおいて、特に温度センサで温度を検出し、検出した温度によって速度を変える可変速のDCモータの駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
図13は、従来使用されている温度によって回転速度を変える可変速のファンモータに適用される2相半波(ユニポーラ)ブラシレスDCモータ駆動回路のブロック図を示す。
【0003】
図13の回路は、周囲温度を検出する温度センサとしてのサーミスタ4、三角波発生回路1、比較回路2、コイルに流す電流を駆動する駆動回路3と、2相のコイル5、6で構成されている。駆動回路3は、ロータの回転位置を検出する位置検出器からの信号に従ってコイル5、6に交互に電流が流れるよう通電状態を切り換える動作を行い、さらに比較回路2の出力に応じてコイル5、6に流す電流をオンオフするように機能する。
【0004】
比較回路2の出力がハイレベルの場合は駆動回路3はコイル5、6に交互に電流を流すが、比較回路2の出力がロウレベルの場合はコイル5、6の両方に電流を流さない。サーミスタ4は負の温度係数を持つ抵抗体で、サーミスタ4の抵抗は温度が高くなると小さくなる。このため図13のサーミスタ4の端子電圧は温度が高くなると低くなる。このサーミスタ4の端子電圧は比較回路2に入力される。三角波発生回路1はロータの回転周期より十分短い周期の三角波信号を発生し、この三角波信号の電圧も比較回路2に入力される。比較回路2はサーミスタ4の端子電圧と三角波信号電圧とを比較し比較結果を駆動回路3に入力してコイル5、6に流れる電流をオンオフする。コイル5、6に流れる電流は比較回路2の出力でオンオフされるので断続的に流れる。オンオフの周期は三角波発生回路1で発生する三角波信号の周期になる。
【0005】
コイル5、6に流れる平均電流はコイル5、6に流れる電流のオンオフの周期に対するオン時間の割合によって増減し、オン時間が増せば平均電流も増加し、オン時間が減れば平均電流も減少する。又、コイル5、6に発生する駆動トルクも平均電流に比例して増減する。従ってオン時間の割合を変えることによってロータの回転数を変える事ができる。ロータにはインペラが一体的に設けられており、ロータの回転速度の大小によりインペラによる送風量が変化し、ファンの冷却性能を変えることができる。
【0006】
次に図14の波形図を用いてサーミスタ4の端子電圧と三角波信号と比較回路2の出力を説明する。図14は周囲温度がそれぞれ高温時、常温時、低温時における各信号の波形を表す。尚、常温とは高温と低温の中間の温度を意味する。
【0007】
まず高温時には、サーミスタ4の端子電圧は三角波信号電圧の最低値より低い電圧になり、比較回路2の出力は常時ハイレベルになる。この為、コイルに流れる電流は比較回路2によってはオフされず、コイル5、6に継続的に交互に電流が流れ、常に何れかのコイル5、6が励磁状態となって駆動トルクは最大になりロータは最高速度で回転する。
【0008】
次に常温時には、サーミスタ4の端子電圧は三角波信号電圧のピーク値と最低値の中間の電圧になり、比較回路2の出力はデューティが約50%の方形波になる。この為、コイル5、6にそれぞれ流れる電流はオンオフされて間欠的に流れ、平均電流は高温時の半分になり、回転数は高温時より低下する。
【0009】
更に周囲温度が低下して低温時になると、サーミスタ4の端子電圧は三角波信号電圧のピーク値より高い電圧になり、比較回路2の出力は常時ロウレベルになる。この為、コイル5、6への通電回路は常時オフにされ、ロータは停止する。
【0010】
このように従来の可変速のDCモータ駆動回路は、周囲温度の変化に応じてコイルに流す電流のオン時間を変化させ、コイルに流れる平均電流を増減させて回転数を変化させていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の可変速のDCモータ駆動回路では、低温時になると、サーミスタ4の端子電圧は三角波信号電圧のピーク値より高い電圧になり、比較回路2の出力は常時ロウレベルになる為、コイルに流れる電流は常時オフにされ、従ってロータは回転停止し、送風動作は停止していた。
【0012】
ところが、周囲温度に応じてロータの回転を変化させる場合に、低温時でもファンの回転を停止させず低い回転数で回転させて、空気を循環させたいという用途がある。このような用途では従来の可変速のDCモータ駆動回路では対応する事が出来なかった。
【0013】
本発明は、従来の駆動回路の有するこのような問題点に留意してなされたものであり、その目的とするところは、低温時でもロータを低速で回転させることができるDCモータ駆動回路を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明のDCモータ駆動回路にあっては、ロータを回転させるためにロータの回転位置に従ってコイルへの通電を制御する駆動回路部を有し、温度センサの検出温度に応じてロータの回転速度を可変するDCモータの駆動制御回路であって、方形波信号と三角波信号又は充電波形信号とを生成する信号発生手段と、温度センサの出力電圧と三角波信号又は充電波形信号の電圧とを比較する比較手段と、前記方形波信号と前記比較手段の出力の両方でコイルに流す電流をオンオフする通電制御回路で構成され、少なくとも低温時における電流のオンオフが方形波信号に基づいて行われるようにしたものである(請求項1)。
【0015】
このような構成のDCモータ駆動回路にあっては、通電制御回路によるコイル電流のオンオフが比較手段の出力と方形波信号との両方で行われ、かつ少なくとも低温時には方形波信号によってコイルへの電流制御が行われるため、温度センサの検出温度によるコイルへの通電制御が行われ検出温度に応じたロータの回転が得られる上、低温時におけるコイル通電が零になることはなく、低温時におけるロータの回転が確保される。
【0016】
上記DCモータ駆動回路において、方形波信号のデューティを変える手段を有するのが望ましく(請求項2)、そうすることにより低温時のロータの回転数を可変設定することが可能となる。加えて、三角波信号又は充電波形信号の増減の傾きを任意に湾曲させる手段を有するようにしてもよく(請求項3)、これにより検出温度の変化に対するロータの回転数の変化の状況を任意に選択できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
〔第1の実施形態〕
図1は本発明のDCモータ駆動回路を2相半波(ユニポーラ)のファンモータに適用した場合の第1の実施形態の回路図である。
【0018】
ホール素子13、駆動回路部となる駆動IC14、コンデンサ19、2相のコイル17、18は従来より使用されている駆動回路と同じであり、駆動IC14としては例えばローム株式会社製の型番BA6811Fが使用される。
【0019】
第1の実施形態ではコイル17、18に流れる電流の経路にトランジスタ15を挿入して、コイル17、18に流れる電流をオンオフする構成になっている。トランジスタ15のベース端子は回転数制御回路20で制御される。
【0020】
回転数制御回路20は、温度センサとしてのサーミスタ22、演算増幅器26、コンパレータ29、ダイオード30、抵抗21、23、24、25、27及びコンデンサ28で構成されている。演算増幅器26、抵抗23、24、25、27及びコンデンサ28は良く知られた三角波発生回路を構成し、演算増幅器26の出力はハイレベルとロウレベルを繰返すことによって方形波信号を出力し、コンデンサ28と抵抗27の接続点の端子には三角波もしくは充電波形の信号電圧が発生する。
【0021】
三角波発生回路の動作を図2を用いて説明すると、例えば電源電圧が12Vで、抵抗23、24、25の抵抗値が等しく、演算増幅器26の出力がロウレベルの場合に0V、ハイレベルの場合に電源電圧の12Vまで振れる場合は、演算増幅器26の出力がハイレベルの時は演算増幅器26の非反転入力端子の電圧は8Vになり、演算増幅器26の出力がロウレベルの時は演算増幅器26の非反転入力端子の電圧は4Vになる。
【0022】
図2に演算増幅器26の出力電圧と非反転入力端子の電圧の波形図を示す。抵抗23と抵抗24の抵抗値が等しい場合、演算増幅器26の出力の方形波信号のハイレベルとロウレベルの期間は等しくなる。コンデンサ28は抵抗27を通して演算増幅器26の出力電圧によって充電又は放電されるので、コンデンサ28の端子には図2の破線で示すような4Vと8Vの間を上下する三角波にほぼ等しい波形の充放電信号が発生する。
【0023】
方形波信号と三角波信号(充放電信号)の波形、サーミスタ22の抵抗21側の端子電圧及び回転数制御回路20の端子33の出力電圧の波形を図3で説明する。図3では、図14と同様に周囲温度が高温時と常温時と低温時の各信号の波形を表している。方形波と三角波は周囲温度が変わっても波形は変わらないが、サーミスタ22の抵抗値は温度によって変化する為、サーミスタ22の端子電圧は高温時は低くなり低温時は高くなる。
【0024】
図3の波形図で、方形波信号がハイレベルの場合は三角波信号の電圧は上昇し、方形波信号がロウレベルの場合は三角波信号の電圧は低下する。この三角波信号は図1のコンパレータ29でサーミスタ22の端子電圧と比較される。即ち、三角波信号はコンパレータ29の反転入力端子に入力され、サーミスタ22の端子電圧はコンパレータ29の非反転入力端子に入力され、三角波信号の電圧がサーミスタ22の端子電圧より高いとコンパレータ29の出力はロウレベルになる。コンパレータ29の出力は回転数制御回路20の端子33に供給される。
【0025】
演算増幅器26の出力もダイオード30を通して回転数制御回路20の端子33に供給される。従って、演算増幅器26の出力がロウレベルでもコンパレータ29の出力がロウレベルでも回転数制御回路20の端子33の出力電圧はロウレベルになり、いわゆるワイヤードORの回路を構成している。
【0026】
図3において、高温時はサーミスタ22の端子電圧は三角波信号電圧の最低値より低くなり、従ってコンパレータ29の出力は常にロウレベルになり、端子33の出力電圧も常にロウレベルになる。端子33の出力電圧は抵抗を通してトランジスタ15のベースに供給され、トランジスタ15を常にオン状態にする。このためコイル17、18に流れる電流は回転数制御回路20でオフにされないのでロータは最高速度で回転し、送風能力も最大となる。
【0027】
次に図3の常温時にはサーミスタ22の端子電圧は三角波信号のピーク値と最低値の中間の電圧になり、コンパレータ29の出力はデューティが約50%の方形波になる。一方、演算増幅器26の出力の方形波信号もロウレベルの期間はダイオード30を通して端子33の電圧をロウレベルにする。従って端子33の電圧は図3に示すように、期間Aでは演算増幅器26の出力の方形波信号によってロウレベルにされ、期間Bではコンパレータ29によってロウレベルにされる。
【0028】
このため、端子33の出力電圧はロウレベルのデューティが約75%の方形波になる。この出力電圧がトランジスタ15のベースに供給され、コイルに流れる電流を約75%のデューティでオンするので、コイル17、18に流れる平均電流は高温時の電流の約75%に減少し、回転数は高温時より低下する。
【0029】
更に周囲温度が低下して低温時になると、サーミスタ22の端子電圧は三角波信号のピーク値より高い電圧になり、コンパレータ29の出力はロウレベルにならない。一方演算増幅器26の出力の方形波信号は周囲温度の変化に関らず約50%のデューティでロウレベルになるので、図3に示すように低温時は端子33は演算増幅器26の出力の方形波信号で期間Aの間、ロウレベルになる。このため、コイル17、18に流れる電流は約50%のデューティでオンするのでコイルに流れる平均電流は高温時の電流の約50%に減少し、回転数は常温時より低下する。
【0030】
このように、第1の実施形態では、端子33の出力電圧はサーミスタ22の端子電圧の変化によってコイルに流れる電流のデューティが変化する。更に、低温時においてもデューティは0%にならないので、従来の駆動回路のように低温時に、ロータの回転が停止する事がない。
【0031】
尚、トランジスタ15のコレクタとエミッタ間に接続された抵抗16は低温時の回転数を調整する為のものでこの抵抗を小さくすれば低温時の回転数を上げる事が出来る。
【0032】
〔第2の実施形態〕
図4は本発明の第2の実施形態を示す駆動回路の回路図である。第1の実施形態では回転数制御回路20の出力電圧がロウレベルの時コイル17、18に流れる電流がオンになる例であったが、第2の実施形態では回転数制御回路38の出力電圧がハイレベルの場合にコイル17、18に電流が流れる例である。
【0033】
図4において、駆動IC34は例えばローム株式会社製の型番BA6406Fで構成され、駆動IC34の出力端子OUT1、OUT2の何れかがハイレベルの時ハイレベルになった出力端子に接続されたトランジスタ35、36の何れかがオンになってコイル17、18の何れかに電流を流す。トランジスタ37はコイル17、18に流れる電流をオンオフするためのもので、トランジスタ37のベース入力がハイレベルの場合トランジスタ37がオンになってコイル電流が流れるが、トランジスタ37のベース入力がロウレベルの場合はトランジスタ37がオフになって何れのコイルへも電流は流れない。
【0034】
回転数制御回路38はサーミスタ22、演算増幅器39、40、ダイオード41、42、抵抗21、23、24、25、27及びコンデンサ28で構成され、演算増幅器39、抵抗23、24、25、27及びコンデンサ28が三角波発生回路を構成しており、この点は第1の実施形態と同様であるが、サーミスタ22の端子電圧と三角波信号の比較を演算増幅器40で行い、両演算増幅器39、40の何れかの出力がハイレベルの時に回転数制御回路38の端子33の出力電圧がハイレベルになる点が第1の実施形態と異なる。
【0035】
図4において、高温時はサーミスタ22の端子電圧は三角波信号の最低値より低くなり、従って演算増幅器40の出力は常にハイレベルになり、端子33の出力電圧も常にハイレベルになる。端子33の出力電圧はトランジスタ37のベースに供給され、トランジスタ37を常にオン状態にする。このためコイル17、18に流れる電流は回転数制御回路38でオフにされないのでロータは最高速度で回転する。
【0036】
周囲温度が低下して低温時になると、サーミスタ22の端子電圧は三角波信号のピーク値より高い電圧になり、演算増幅器40の出力は常にロウレベルになってハイレベルにならない。一方、演算増幅器39の出力は周囲温度の変化に関らず約50%のデューティでハイレベルになるので、低温時は端子33の出力電圧は演算増幅器39の出力によって約50%のデューティでハイレベルになる。従ってトランジスタ37を約50%のデューティでオンする。このため、コイル17、18に流れる電流は約50%のデューティでオンするのでコイルに流れる平均電流は高温時の約50%に減少し、回転数は低下する。
【0037】
次に常温時にはサーミスタ22の端子電圧は三角波信号のピーク値と最低値の中間の電圧になり、演算増幅器40の出力はデューティが約50%の方形波になる。端子33は演算増幅器39、40の両方の出力でハイレベルになる。演算増幅器39の出力も演算増幅器40の出力もデューティは約50%であるが、両方のハイレベルになる期間は第1の実施形態と同様に期間の一部が互いに重なっているため、端子33にはハイレベルのデューティが約75%である方形波信号が出力される。このため、常温時には約75%のデューティで電流がコイル17、18に流れ、ロータは高温時と低温時のそれぞれの回転数の間の回転数で回転することになる。
【0038】
この第2の実施形態では2個の演算増幅器39、40で回転数制御回路38を構成することができるので、市販されている2個入りの安価な演算増幅器を使用できる利点がある。
【0039】
〔第3の実施実施形態〕
図5は本発明の第3の実施形態を示す駆動回路の回路図である。第3の実施形態は第1の実施形態と同様に回転数制御回路の出力電圧がロウレベルの時コイルに流れる電流がオンになる例であるが、コイルの駆動方式が単相全波の回路に適用した点が第1の実施形態と異なる。
【0040】
図5において、駆動IC34は例えばローム株式会社製のBA6406Fで構成され、駆動IC34の二つの出力がトランジスタ43、44のそれぞれのベースを駆動すると共にスイッチ素子49、50をそれぞれ駆動する。トランジスタ43、44のコレクタはそれぞれスイッチ素子47、48に接続され、スイッチ素子47、48をそれぞれ駆動する。
【0041】
単相の二つのコイル51、52は直列に接続され、一端はスイッチ素子47、49の接続点に接続され、他端はスイッチ素子48、50の接続点に接続されており、スイッチ素子49、50は駆動IC34から入力される信号がハイレベルの時オンになり、スイッチ素子47、48はトランジスタ43、44のコレクタから入力される信号がロウレベルの時オンになる。
【0042】
駆動IC34の二つの出力は交互にハイレベルになり、トランジスタ43のベースに接続された駆動IC34の出力がハイレベルになるとスイッチ素子50がオンになる。同時にトランジスタ43もオンになり、トランジスタ43のコレクタ電圧はロウレベルになり、スイッチ素子47がオンになる。このため、電流は電源端子11からスイッチ素子47を通ってコイル51及びコイル52に流れ、スイッチ素子50を経由してグランド端子12に流れる。
【0043】
一方、トランジスタ44のベースに接続された駆動IC34の出力がハイレベルになるとスイッチ素子49がオンになる。同時にトランジスタ44もオンになり、トランジスタ44のコレクタ電圧はロウレベルになり、スイッチ素子48がオンになる。このため、電流は電源端子11からスイッチ素子48を通ってコイル52及びコイル51に流れ、スイッチ素子49を経由してグランド端子12に流れる。このようにコイルの駆動方式が単相全波の回路ではコイル51、52に方向の異なる電流を交互に流して回転トルクを得る。
【0044】
回転数制御回路54はサーミスタ22、コンパレータ55、56、ダイオード30、抵抗21、23、24、25、27、57及びコンデンサ28で構成されている。コンパレータ55の出力はプルアップ抵抗57でプルアップされているため、第1及び第2の実施形態の演算増幅器26、39と同様な動作を行う。このため、コンパレータ55は抵抗23、24、25、27及びコンデンサ28と共に三角波発生回路を構成している。
【0045】
回転数制御回路54は第1の実施形態の回転数制御回路20と同様に、サーミスタ22の端子電圧と三角波信号の比較をコンパレータ56で行い、コンパレータ55、56の出力の何れかがロウレベルの時に端子33の出力電圧がロウレベルになる。
【0046】
回転数制御回路54の端子33の出力電圧がロウレベルになると、トランジスタ43、44のどちらかのエミッタに電流が流れ、それぞれのコレクタのどちらかの電圧がロウレベルになり、スイッチ素子47、48の何れかがオンになる。逆に端子33がハイレベルの場合は、トランジスタ43、44の両方に電流が流れないため、両方のコレクタ電圧はハイレベルのままで、スイッチ素子47、48の両方ともオンにならない。このためコイル51、52には電流は流れない。このように回転数制御回路54の端子33の出力電圧でコイル51、52に流れる電流をオンオフできる。
【0047】
図5で、高温時はサーミスタ22の端子電圧は三角波信号の最低値より低くなり、従ってコンパレータ56の出力は常にロウレベルになり端子33の出力電圧も常にロウレベルになる。端子33の出力電圧はトランジスタ43、44のエミッタに供給され、トランジスタ43、44の一方のコレクタをロウレベルにし、スイッチ素子47、48の何れかをオン状態にする。このためコイル51、52に流れる電流は回転数制御回路54でオフにされないのでロータは最高速度で回転する。
【0048】
周囲温度が低下して低温時になると、サーミスタ22の端子電圧は三角波信号のピーク値より高い電圧になり、コンパレータ56の出力は常にハイレベルになりロウレベルにならない。一方、コンパレータ55の出力は周囲温度の変化に関らず約50%のデューティでロウレベルになるので、低温時は端子33はコンパレータ55の出力によって約50%のデューティでロウレベルになる。このため、コイル51、52に流れる電流は約50%のデューティでオンするのでコイル51、52に流れる平均電流は高温時の約50%に減少し、回転数は低下する。
【0049】
次に常温時にはサーミスタ22の端子電圧は三角波信号のピーク値と最低値の中間の電圧になり、コンパレータ56の出力はデューティが約50%の方形波になる。端子33はコンパレータ55、コンパレータ56の両方の出力でロウレベルになる。コンパレータ55の出力もコンパレータ56の出力もデューティは約50%であるが、両方のロウレベルになる期間は第1の実施形態と同様に期間の一部が互いに重なっているため、端子33にはロウレベルのデューティが約75%の方形波が出力される。このため、常温時にはコイルへの電流は約75%のデューティで流れ、ロータは高温時と低温時の回転数の間の回転数で回転する。
【0050】
図5の第3実施形態の利点は、2個のコンパレータ55、56で回転数制御回路54を構成することができ、市販されている2個入りの安価なコンパレータを使用できる点である。
【0051】
〔第4の実施形態〕
図6は第1の実施形態における回転数制御回路20の接続を変えて同じ機能を持つ回路を構成したもので、回転数制御回路のみを取出した回路図である。
【0052】
図1の回転数制御回路20では演算増幅器26の出力がロウレベルの場合にダイオード30を通して端子33をロウレベルにしていたが、図6の第4の実施形態では、ダイオード30をコンパレータ29の非反転入力端子に接続し、コンパレータ29の出力をロウレベルにするようにしている。
【0053】
演算増幅器26の出力がハイレベルの場合はダイオード30によって演算増幅器26の電圧は遮られ、コンパレータ29の非反転入力は演算増幅器26の出力の影響を受けず、サーミスタ22の端子電圧のみがコンパレータ29の非反転入力端子に入力され、サーミスタ22の端子電圧と三角波信号がコンパレータ29で比較され、比較結果に応じたコンパレータ29の出力電圧が端子33に供給される。
【0054】
演算増幅器26の出力がロウレベルの場合には演算増幅器26の出力はダイオード30を通してコンパレータ29の非反転入力をほぼ0Vにし、コンパレータ29の出力をロウレベルにする。従って、演算増幅器26の出力がロウレベルでも端子33の出力電圧はロウレベルになり、図1の第1の実施形態の回転数制御回路20と同じ機能を果たす。
【0055】
〔第5、第6の実施形態〕
第1〜第4の実施形態では、三角波発生回路で作られる方形波信号は、抵抗23と抵抗24の値を等しく選ぶ事で方形波のデューティを約50%にしてハイレベルとロウレベルの期間をはほぼ等しくしていた。方形波信号のハイレベルとロウレベルの期間によって低温時の回転数は決まるので、低温時の回転数を極端に低くしたい場合や高温時の回転数に近い回転数で回転させたい場合は、三角波発生回路のハイレベルとロウレベルの期間を異なる時間にする必要が有る。
【0056】
第5の実施形態及び第6の実施形態では、方形波のデューティを変える手段を有し、低温時の回転数を選択できる三角波発生回路を使用した回転数制御回路の例である。
【0057】
図7は第5の実施形態の駆動回路における回転数制御回路のみを取出した回路図であり、回転数制御回路以外の構成と接続は第1の実施形態と同様である。図7では、第1の実施形態の回転数制御回路20における演算増幅器26と抵抗23、24、25、27及びコンデンサ28で構成された三角波発生回路に、ダイオード59と抵抗58との直列回路を抵抗27の両端に接続して、方形波信号のロウレベルのデューティを50%より小さくした具体例である。
【0058】
図8は第5の実施形態の三角波発生回路の波形図を示す。コンデンサ28が充電される場合は抵抗27を通してコンデンサ28に電流が流れ込む。従ってコンデンサ28が充電される期間は図2の場合と同じ長さになる。一方、コンデンサ28が放電される場合はダイオード59が導通状態になるため、抵抗27と抵抗58の両方の抵抗を通して電流が流れ出る。このため、コンデンサ28の放電は第一の実施例に比べて急速に行われ、コンデンサ28が放電される期間は第1の実施形態に比べて短くなる。従って、図8の波形図のように方形波信号のロウレベルの期間はハイレベルの期間に比較して短くなり、ロウレベルのデューティは50%以下になる。このように第5の実施形態では方形波信号のロウレベルのデューティを第1の実施形態より小さくでき、低温時におけるロータの回転数を下げることができる。
【0059】
図9は第6の実施形態の回転数制御回路のみを取出した回路図であり、回転数制御回路以外の構成と接続は第1の実施形態と同様である。図9において、第1の実施形態における回転数制御回路20の、演算増幅器26、抵抗23、24、25、27及びコンデンサ28で構成された三角波発生回路に、ダイオード61と抵抗60との直列回路を抵抗27の両端に接続して、方形波のロウレベルのデューティを50%より大きくした具体例であり、ダイオード61の向きが第5の実施形態の場合と逆になっている。
【0060】
コンデンサ28が放電される場合は抵抗27を通してコンデンサ28から電流が流れ出る。従ってコンデンサ28が放電される期間は第1の実施形態と同じ長さになる。一方、コンデンサ28が充電される場合はダイオード61が導通状態になるため、抵抗27と抵抗60の両方の抵抗を通して電流が流れ込む。このため、コンデンサ28の充電は第1の実施形態に比べて急速に行われ、コンデンサ28が充電される期間は第1の実施形態に比べて短くなる。従って、方形波信号のハイレベルの期間はロウレベルの期間に比較して短くなり、ロウレベルのデューティは50%より大きくなる。このように第6の実施形態では方形波信号のロウレベルのデューティを第1の実施形態より大きくでき、低温時におけるロータの回転数を上げることができる。
【0061】
〔第7の実施形態〕
第1〜第6の実施形態の三角波発生回路で作られる三角波信号の傾斜は、指数関数状あるいはほぼ直線状に上昇又は下降する。これに対して第7の実施形態では、三角波信号の傾斜を任意に湾曲させ、温度による回転数の変化の状況を任意に設定できるようにしたものである。回転数の変化の状況の例としては、例えば高温から温度を下げていくと温度が高い範囲では急速に回転数が低下し、低温では回転数がゆっくり低下するというような、温度の変化に対する回転数の変化の状況を設定できる。
【0062】
図10は第7の実施形態の回転数制御回路のみを取出した回路図であり、回転数制御回路以外の構成と接続は第1の実施形態と同様である。図10において、第1の実施形態における回転数制御回路20の、演算増幅器26、抵抗23、24、25、27及びコンデンサ28で構成された三角波発生回路に、ダイオード59と抵抗58との直列回路を抵抗27の両端に接続し、抵抗58とダイオード59の接続点とグランドの間にコンデンサ62を接続して、三角波信号の充電時の波形を湾曲させた具体例である。また、この回路は、第5の実施形態(図7)における抵抗58とダイオード59の接続点とグランドの間にコンデンサ62を接続した回路でもある。
【0063】
図11に第7の実施形態における三角波発生回路の波形図を示す。第1の実施形態ではコンデンサ28が充電される場合は抵抗27を通してコンデンサ28に電流が流れ込んだが、第7の実施形態では抵抗27を通して流れ込む電流はコンデンサ28に流れ込む一方、抵抗58を通してコンデンサ62にも流れ込む。このため、コンデンサ28の電圧は充電が開始された直後は第1の実施形態に比較してゆっくり立上る。
【0064】
抵抗58を通してコンデンサ62が十分に充電されると抵抗27を通して流れ込む電流の多くの部分がコンデンサ28に流れ込み、コンデンサ28の電圧は第1の実施形態とほぼ同程度の傾斜で上昇する。このため、図11の波形図のようにコンデンサ28の端子電圧、つまり演算増幅器26の反転入力端子の電圧が上昇する場合は下に向かって湾曲した擬似三角波の波形になる。コンデンサ28が放電される場合は、コンデンサ62はダイオード59によって短時間で放電されるため、コンデンサ62の影響は現れず、第5の実施形態(図7)と同様な傾斜でコンデンサ28の端子電圧は低下する。
【0065】
図12は図11の演算増幅器26の反転入力の電圧とサーミスタ22の端子電圧を比較した場合のコンパレータ29の出力波形を5通りの温度について表した波形図である。同図における温度T1とは温度が高温から低下してロータの回転数が最高速度の回転数から低下し始める温度である。又、温度T2とは常温の温度と温度T1との間の温度である。
【0066】
サーミスタ22で検知した温度が高温の場合は、サーミスタ22の端子電圧は低くなり、演算増幅器26の反転入力端子の擬似三角波信号の最低値より低くなる。このためコンパレータ29の出力は図12のようにロウレベルになる。
【0067】
サーミスタ22で検知した温度がT1の温度の場合は、サーミスタ22の端子電圧は、演算増幅器26の反転入力端子の擬似三角波信号の最低値とほぼ等しくなる。このためコンパレータ29の出力は図12のように短い期間ハイレベルになる。
【0068】
サーミスタ22で検知した温度がT2の温度の場合は、サーミスタ22の端子電圧は、演算増幅器26の反転入力端子の擬似三角波信号の最低値よりわずかに高い電圧になるが、擬似三角波信号は下に向かって湾曲した形状であるため、最低値からわずかに高くてもコンパレータ29の出力がハイレベルになる期間は図12のように急激に広くなる。
【0069】
サーミスタ22で検知した温度が常温の場合は、擬似三角波信号が下に向かって湾曲した形状でない場合はコンパレータ29の出力はロウレベルのデューティがほぼ50%になるが、本実施形態では下に向かって湾曲した形状となるため、コンパレータ29の出力は図12のようにロウレベルのデューティが50%以下になる。
【0070】
サーミスタ22で検知した温度が低温の場合は、サーミスタ22の端子電圧は高くなり、演算増幅器26の反転入力端子の擬似三角波信号のピーク値より高くなる。このためコンパレータ29の出力は図12のようにハイレベルになる。
【0071】
このように第7の実施形態では温度を高温から下げていくと、コンパレータ29の出力がハイレベルになるデューティは急激に大きくなる。このため、高温から温度を下げていくと温度が高い範囲ではロータの回転数は急速に低下する。一方低温では回転数がゆっくり低下する。このような特性は、温度が高くなった場合に熱暴走を防ぐため急激に回転数を上げて冷却したいような半導体の冷却装置に適する。
【0072】
尚、図10に示した第7の実施形態では、擬似三角波信号を下に向かって湾曲させた波形の場合であるが、この擬似三角波信号を種々の形状に変化させることで回転数の変化の状況を任意に設定できる。
【0073】
以上、本発明に従う実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であるのは言うまでもない。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、低温時でもロータを低速で回転させることができ、ファンモータのように周囲温度に応じてロータの回転を変化させ送風量を変化させる場合に、低温時でもロータの回転を停止させず低い回転数で回転させて、空気を循環させたいという用途に適用することができる。又、低温時のロータの低速回転数を任意に選択する事ができ、さらに温度の変化に対する回転数の変化の状況を任意に設定する事も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のDCモータ駆動回路の第1の実施形態を示す全体回路図である。
【図2】図1における三角波発生回路の波形図である。
【図3】図1における高温時、常温時及び低温時の動作説明用の波形図である。
【図4】本発明のDCモータ駆動回路の第2の実施形態を示す全体回路図である。
【図5】本発明のDCモータ駆動回路の第3の実施形態を示す全体回路図である。
【図6】本発明のDCモータ駆動回路の第4の実施形態を示す回転数制御回路の回路図である。
【図7】本発明のDCモータ駆動回路の第5の実施形態を示す回転数制御回路の回路図である。
【図8】図7の三角波発生回路の波形図である。
【図9】本発明のDCモータ駆動回路の第6の実施形態を示す回転数制御回路の回路図である。
【図10】本発明のDCモータ駆動回路の第7の実施形態を示す回転数制御回路の回路図である。
【図11】図10の三角波発生回路の波形図である。
【図12】図10のコンパレータの出力の波形図である。
【図13】従来のDCモータ駆動回路を示すブロック図である。
【図14】図13における高温時、常温時及び低温時の動作説明用の波形図である。
【符号の説明】
13 ホール素子
14、34 駆動IC
15、37、43、44 トランジスタ
17、18、51、52 コイル
20、38、54 回転数制御回路
22 サーミスタ
29、56 コンパレータ
40 演算増幅器
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファンモータ等のDCモータにおいて、特に温度センサで温度を検出し、検出した温度によって速度を変える可変速のDCモータの駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
図13は、従来使用されている温度によって回転速度を変える可変速のファンモータに適用される2相半波(ユニポーラ)ブラシレスDCモータ駆動回路のブロック図を示す。
【0003】
図13の回路は、周囲温度を検出する温度センサとしてのサーミスタ4、三角波発生回路1、比較回路2、コイルに流す電流を駆動する駆動回路3と、2相のコイル5、6で構成されている。駆動回路3は、ロータの回転位置を検出する位置検出器からの信号に従ってコイル5、6に交互に電流が流れるよう通電状態を切り換える動作を行い、さらに比較回路2の出力に応じてコイル5、6に流す電流をオンオフするように機能する。
【0004】
比較回路2の出力がハイレベルの場合は駆動回路3はコイル5、6に交互に電流を流すが、比較回路2の出力がロウレベルの場合はコイル5、6の両方に電流を流さない。サーミスタ4は負の温度係数を持つ抵抗体で、サーミスタ4の抵抗は温度が高くなると小さくなる。このため図13のサーミスタ4の端子電圧は温度が高くなると低くなる。このサーミスタ4の端子電圧は比較回路2に入力される。三角波発生回路1はロータの回転周期より十分短い周期の三角波信号を発生し、この三角波信号の電圧も比較回路2に入力される。比較回路2はサーミスタ4の端子電圧と三角波信号電圧とを比較し比較結果を駆動回路3に入力してコイル5、6に流れる電流をオンオフする。コイル5、6に流れる電流は比較回路2の出力でオンオフされるので断続的に流れる。オンオフの周期は三角波発生回路1で発生する三角波信号の周期になる。
【0005】
コイル5、6に流れる平均電流はコイル5、6に流れる電流のオンオフの周期に対するオン時間の割合によって増減し、オン時間が増せば平均電流も増加し、オン時間が減れば平均電流も減少する。又、コイル5、6に発生する駆動トルクも平均電流に比例して増減する。従ってオン時間の割合を変えることによってロータの回転数を変える事ができる。ロータにはインペラが一体的に設けられており、ロータの回転速度の大小によりインペラによる送風量が変化し、ファンの冷却性能を変えることができる。
【0006】
次に図14の波形図を用いてサーミスタ4の端子電圧と三角波信号と比較回路2の出力を説明する。図14は周囲温度がそれぞれ高温時、常温時、低温時における各信号の波形を表す。尚、常温とは高温と低温の中間の温度を意味する。
【0007】
まず高温時には、サーミスタ4の端子電圧は三角波信号電圧の最低値より低い電圧になり、比較回路2の出力は常時ハイレベルになる。この為、コイルに流れる電流は比較回路2によってはオフされず、コイル5、6に継続的に交互に電流が流れ、常に何れかのコイル5、6が励磁状態となって駆動トルクは最大になりロータは最高速度で回転する。
【0008】
次に常温時には、サーミスタ4の端子電圧は三角波信号電圧のピーク値と最低値の中間の電圧になり、比較回路2の出力はデューティが約50%の方形波になる。この為、コイル5、6にそれぞれ流れる電流はオンオフされて間欠的に流れ、平均電流は高温時の半分になり、回転数は高温時より低下する。
【0009】
更に周囲温度が低下して低温時になると、サーミスタ4の端子電圧は三角波信号電圧のピーク値より高い電圧になり、比較回路2の出力は常時ロウレベルになる。この為、コイル5、6への通電回路は常時オフにされ、ロータは停止する。
【0010】
このように従来の可変速のDCモータ駆動回路は、周囲温度の変化に応じてコイルに流す電流のオン時間を変化させ、コイルに流れる平均電流を増減させて回転数を変化させていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の可変速のDCモータ駆動回路では、低温時になると、サーミスタ4の端子電圧は三角波信号電圧のピーク値より高い電圧になり、比較回路2の出力は常時ロウレベルになる為、コイルに流れる電流は常時オフにされ、従ってロータは回転停止し、送風動作は停止していた。
【0012】
ところが、周囲温度に応じてロータの回転を変化させる場合に、低温時でもファンの回転を停止させず低い回転数で回転させて、空気を循環させたいという用途がある。このような用途では従来の可変速のDCモータ駆動回路では対応する事が出来なかった。
【0013】
本発明は、従来の駆動回路の有するこのような問題点に留意してなされたものであり、その目的とするところは、低温時でもロータを低速で回転させることができるDCモータ駆動回路を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明のDCモータ駆動回路にあっては、ロータを回転させるためにロータの回転位置に従ってコイルへの通電を制御する駆動回路部を有し、温度センサの検出温度に応じてロータの回転速度を可変するDCモータの駆動制御回路であって、方形波信号と三角波信号又は充電波形信号とを生成する信号発生手段と、温度センサの出力電圧と三角波信号又は充電波形信号の電圧とを比較する比較手段と、前記方形波信号と前記比較手段の出力の両方でコイルに流す電流をオンオフする通電制御回路で構成され、少なくとも低温時における電流のオンオフが方形波信号に基づいて行われるようにしたものである(請求項1)。
【0015】
このような構成のDCモータ駆動回路にあっては、通電制御回路によるコイル電流のオンオフが比較手段の出力と方形波信号との両方で行われ、かつ少なくとも低温時には方形波信号によってコイルへの電流制御が行われるため、温度センサの検出温度によるコイルへの通電制御が行われ検出温度に応じたロータの回転が得られる上、低温時におけるコイル通電が零になることはなく、低温時におけるロータの回転が確保される。
【0016】
上記DCモータ駆動回路において、方形波信号のデューティを変える手段を有するのが望ましく(請求項2)、そうすることにより低温時のロータの回転数を可変設定することが可能となる。加えて、三角波信号又は充電波形信号の増減の傾きを任意に湾曲させる手段を有するようにしてもよく(請求項3)、これにより検出温度の変化に対するロータの回転数の変化の状況を任意に選択できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
〔第1の実施形態〕
図1は本発明のDCモータ駆動回路を2相半波(ユニポーラ)のファンモータに適用した場合の第1の実施形態の回路図である。
【0018】
ホール素子13、駆動回路部となる駆動IC14、コンデンサ19、2相のコイル17、18は従来より使用されている駆動回路と同じであり、駆動IC14としては例えばローム株式会社製の型番BA6811Fが使用される。
【0019】
第1の実施形態ではコイル17、18に流れる電流の経路にトランジスタ15を挿入して、コイル17、18に流れる電流をオンオフする構成になっている。トランジスタ15のベース端子は回転数制御回路20で制御される。
【0020】
回転数制御回路20は、温度センサとしてのサーミスタ22、演算増幅器26、コンパレータ29、ダイオード30、抵抗21、23、24、25、27及びコンデンサ28で構成されている。演算増幅器26、抵抗23、24、25、27及びコンデンサ28は良く知られた三角波発生回路を構成し、演算増幅器26の出力はハイレベルとロウレベルを繰返すことによって方形波信号を出力し、コンデンサ28と抵抗27の接続点の端子には三角波もしくは充電波形の信号電圧が発生する。
【0021】
三角波発生回路の動作を図2を用いて説明すると、例えば電源電圧が12Vで、抵抗23、24、25の抵抗値が等しく、演算増幅器26の出力がロウレベルの場合に0V、ハイレベルの場合に電源電圧の12Vまで振れる場合は、演算増幅器26の出力がハイレベルの時は演算増幅器26の非反転入力端子の電圧は8Vになり、演算増幅器26の出力がロウレベルの時は演算増幅器26の非反転入力端子の電圧は4Vになる。
【0022】
図2に演算増幅器26の出力電圧と非反転入力端子の電圧の波形図を示す。抵抗23と抵抗24の抵抗値が等しい場合、演算増幅器26の出力の方形波信号のハイレベルとロウレベルの期間は等しくなる。コンデンサ28は抵抗27を通して演算増幅器26の出力電圧によって充電又は放電されるので、コンデンサ28の端子には図2の破線で示すような4Vと8Vの間を上下する三角波にほぼ等しい波形の充放電信号が発生する。
【0023】
方形波信号と三角波信号(充放電信号)の波形、サーミスタ22の抵抗21側の端子電圧及び回転数制御回路20の端子33の出力電圧の波形を図3で説明する。図3では、図14と同様に周囲温度が高温時と常温時と低温時の各信号の波形を表している。方形波と三角波は周囲温度が変わっても波形は変わらないが、サーミスタ22の抵抗値は温度によって変化する為、サーミスタ22の端子電圧は高温時は低くなり低温時は高くなる。
【0024】
図3の波形図で、方形波信号がハイレベルの場合は三角波信号の電圧は上昇し、方形波信号がロウレベルの場合は三角波信号の電圧は低下する。この三角波信号は図1のコンパレータ29でサーミスタ22の端子電圧と比較される。即ち、三角波信号はコンパレータ29の反転入力端子に入力され、サーミスタ22の端子電圧はコンパレータ29の非反転入力端子に入力され、三角波信号の電圧がサーミスタ22の端子電圧より高いとコンパレータ29の出力はロウレベルになる。コンパレータ29の出力は回転数制御回路20の端子33に供給される。
【0025】
演算増幅器26の出力もダイオード30を通して回転数制御回路20の端子33に供給される。従って、演算増幅器26の出力がロウレベルでもコンパレータ29の出力がロウレベルでも回転数制御回路20の端子33の出力電圧はロウレベルになり、いわゆるワイヤードORの回路を構成している。
【0026】
図3において、高温時はサーミスタ22の端子電圧は三角波信号電圧の最低値より低くなり、従ってコンパレータ29の出力は常にロウレベルになり、端子33の出力電圧も常にロウレベルになる。端子33の出力電圧は抵抗を通してトランジスタ15のベースに供給され、トランジスタ15を常にオン状態にする。このためコイル17、18に流れる電流は回転数制御回路20でオフにされないのでロータは最高速度で回転し、送風能力も最大となる。
【0027】
次に図3の常温時にはサーミスタ22の端子電圧は三角波信号のピーク値と最低値の中間の電圧になり、コンパレータ29の出力はデューティが約50%の方形波になる。一方、演算増幅器26の出力の方形波信号もロウレベルの期間はダイオード30を通して端子33の電圧をロウレベルにする。従って端子33の電圧は図3に示すように、期間Aでは演算増幅器26の出力の方形波信号によってロウレベルにされ、期間Bではコンパレータ29によってロウレベルにされる。
【0028】
このため、端子33の出力電圧はロウレベルのデューティが約75%の方形波になる。この出力電圧がトランジスタ15のベースに供給され、コイルに流れる電流を約75%のデューティでオンするので、コイル17、18に流れる平均電流は高温時の電流の約75%に減少し、回転数は高温時より低下する。
【0029】
更に周囲温度が低下して低温時になると、サーミスタ22の端子電圧は三角波信号のピーク値より高い電圧になり、コンパレータ29の出力はロウレベルにならない。一方演算増幅器26の出力の方形波信号は周囲温度の変化に関らず約50%のデューティでロウレベルになるので、図3に示すように低温時は端子33は演算増幅器26の出力の方形波信号で期間Aの間、ロウレベルになる。このため、コイル17、18に流れる電流は約50%のデューティでオンするのでコイルに流れる平均電流は高温時の電流の約50%に減少し、回転数は常温時より低下する。
【0030】
このように、第1の実施形態では、端子33の出力電圧はサーミスタ22の端子電圧の変化によってコイルに流れる電流のデューティが変化する。更に、低温時においてもデューティは0%にならないので、従来の駆動回路のように低温時に、ロータの回転が停止する事がない。
【0031】
尚、トランジスタ15のコレクタとエミッタ間に接続された抵抗16は低温時の回転数を調整する為のものでこの抵抗を小さくすれば低温時の回転数を上げる事が出来る。
【0032】
〔第2の実施形態〕
図4は本発明の第2の実施形態を示す駆動回路の回路図である。第1の実施形態では回転数制御回路20の出力電圧がロウレベルの時コイル17、18に流れる電流がオンになる例であったが、第2の実施形態では回転数制御回路38の出力電圧がハイレベルの場合にコイル17、18に電流が流れる例である。
【0033】
図4において、駆動IC34は例えばローム株式会社製の型番BA6406Fで構成され、駆動IC34の出力端子OUT1、OUT2の何れかがハイレベルの時ハイレベルになった出力端子に接続されたトランジスタ35、36の何れかがオンになってコイル17、18の何れかに電流を流す。トランジスタ37はコイル17、18に流れる電流をオンオフするためのもので、トランジスタ37のベース入力がハイレベルの場合トランジスタ37がオンになってコイル電流が流れるが、トランジスタ37のベース入力がロウレベルの場合はトランジスタ37がオフになって何れのコイルへも電流は流れない。
【0034】
回転数制御回路38はサーミスタ22、演算増幅器39、40、ダイオード41、42、抵抗21、23、24、25、27及びコンデンサ28で構成され、演算増幅器39、抵抗23、24、25、27及びコンデンサ28が三角波発生回路を構成しており、この点は第1の実施形態と同様であるが、サーミスタ22の端子電圧と三角波信号の比較を演算増幅器40で行い、両演算増幅器39、40の何れかの出力がハイレベルの時に回転数制御回路38の端子33の出力電圧がハイレベルになる点が第1の実施形態と異なる。
【0035】
図4において、高温時はサーミスタ22の端子電圧は三角波信号の最低値より低くなり、従って演算増幅器40の出力は常にハイレベルになり、端子33の出力電圧も常にハイレベルになる。端子33の出力電圧はトランジスタ37のベースに供給され、トランジスタ37を常にオン状態にする。このためコイル17、18に流れる電流は回転数制御回路38でオフにされないのでロータは最高速度で回転する。
【0036】
周囲温度が低下して低温時になると、サーミスタ22の端子電圧は三角波信号のピーク値より高い電圧になり、演算増幅器40の出力は常にロウレベルになってハイレベルにならない。一方、演算増幅器39の出力は周囲温度の変化に関らず約50%のデューティでハイレベルになるので、低温時は端子33の出力電圧は演算増幅器39の出力によって約50%のデューティでハイレベルになる。従ってトランジスタ37を約50%のデューティでオンする。このため、コイル17、18に流れる電流は約50%のデューティでオンするのでコイルに流れる平均電流は高温時の約50%に減少し、回転数は低下する。
【0037】
次に常温時にはサーミスタ22の端子電圧は三角波信号のピーク値と最低値の中間の電圧になり、演算増幅器40の出力はデューティが約50%の方形波になる。端子33は演算増幅器39、40の両方の出力でハイレベルになる。演算増幅器39の出力も演算増幅器40の出力もデューティは約50%であるが、両方のハイレベルになる期間は第1の実施形態と同様に期間の一部が互いに重なっているため、端子33にはハイレベルのデューティが約75%である方形波信号が出力される。このため、常温時には約75%のデューティで電流がコイル17、18に流れ、ロータは高温時と低温時のそれぞれの回転数の間の回転数で回転することになる。
【0038】
この第2の実施形態では2個の演算増幅器39、40で回転数制御回路38を構成することができるので、市販されている2個入りの安価な演算増幅器を使用できる利点がある。
【0039】
〔第3の実施実施形態〕
図5は本発明の第3の実施形態を示す駆動回路の回路図である。第3の実施形態は第1の実施形態と同様に回転数制御回路の出力電圧がロウレベルの時コイルに流れる電流がオンになる例であるが、コイルの駆動方式が単相全波の回路に適用した点が第1の実施形態と異なる。
【0040】
図5において、駆動IC34は例えばローム株式会社製のBA6406Fで構成され、駆動IC34の二つの出力がトランジスタ43、44のそれぞれのベースを駆動すると共にスイッチ素子49、50をそれぞれ駆動する。トランジスタ43、44のコレクタはそれぞれスイッチ素子47、48に接続され、スイッチ素子47、48をそれぞれ駆動する。
【0041】
単相の二つのコイル51、52は直列に接続され、一端はスイッチ素子47、49の接続点に接続され、他端はスイッチ素子48、50の接続点に接続されており、スイッチ素子49、50は駆動IC34から入力される信号がハイレベルの時オンになり、スイッチ素子47、48はトランジスタ43、44のコレクタから入力される信号がロウレベルの時オンになる。
【0042】
駆動IC34の二つの出力は交互にハイレベルになり、トランジスタ43のベースに接続された駆動IC34の出力がハイレベルになるとスイッチ素子50がオンになる。同時にトランジスタ43もオンになり、トランジスタ43のコレクタ電圧はロウレベルになり、スイッチ素子47がオンになる。このため、電流は電源端子11からスイッチ素子47を通ってコイル51及びコイル52に流れ、スイッチ素子50を経由してグランド端子12に流れる。
【0043】
一方、トランジスタ44のベースに接続された駆動IC34の出力がハイレベルになるとスイッチ素子49がオンになる。同時にトランジスタ44もオンになり、トランジスタ44のコレクタ電圧はロウレベルになり、スイッチ素子48がオンになる。このため、電流は電源端子11からスイッチ素子48を通ってコイル52及びコイル51に流れ、スイッチ素子49を経由してグランド端子12に流れる。このようにコイルの駆動方式が単相全波の回路ではコイル51、52に方向の異なる電流を交互に流して回転トルクを得る。
【0044】
回転数制御回路54はサーミスタ22、コンパレータ55、56、ダイオード30、抵抗21、23、24、25、27、57及びコンデンサ28で構成されている。コンパレータ55の出力はプルアップ抵抗57でプルアップされているため、第1及び第2の実施形態の演算増幅器26、39と同様な動作を行う。このため、コンパレータ55は抵抗23、24、25、27及びコンデンサ28と共に三角波発生回路を構成している。
【0045】
回転数制御回路54は第1の実施形態の回転数制御回路20と同様に、サーミスタ22の端子電圧と三角波信号の比較をコンパレータ56で行い、コンパレータ55、56の出力の何れかがロウレベルの時に端子33の出力電圧がロウレベルになる。
【0046】
回転数制御回路54の端子33の出力電圧がロウレベルになると、トランジスタ43、44のどちらかのエミッタに電流が流れ、それぞれのコレクタのどちらかの電圧がロウレベルになり、スイッチ素子47、48の何れかがオンになる。逆に端子33がハイレベルの場合は、トランジスタ43、44の両方に電流が流れないため、両方のコレクタ電圧はハイレベルのままで、スイッチ素子47、48の両方ともオンにならない。このためコイル51、52には電流は流れない。このように回転数制御回路54の端子33の出力電圧でコイル51、52に流れる電流をオンオフできる。
【0047】
図5で、高温時はサーミスタ22の端子電圧は三角波信号の最低値より低くなり、従ってコンパレータ56の出力は常にロウレベルになり端子33の出力電圧も常にロウレベルになる。端子33の出力電圧はトランジスタ43、44のエミッタに供給され、トランジスタ43、44の一方のコレクタをロウレベルにし、スイッチ素子47、48の何れかをオン状態にする。このためコイル51、52に流れる電流は回転数制御回路54でオフにされないのでロータは最高速度で回転する。
【0048】
周囲温度が低下して低温時になると、サーミスタ22の端子電圧は三角波信号のピーク値より高い電圧になり、コンパレータ56の出力は常にハイレベルになりロウレベルにならない。一方、コンパレータ55の出力は周囲温度の変化に関らず約50%のデューティでロウレベルになるので、低温時は端子33はコンパレータ55の出力によって約50%のデューティでロウレベルになる。このため、コイル51、52に流れる電流は約50%のデューティでオンするのでコイル51、52に流れる平均電流は高温時の約50%に減少し、回転数は低下する。
【0049】
次に常温時にはサーミスタ22の端子電圧は三角波信号のピーク値と最低値の中間の電圧になり、コンパレータ56の出力はデューティが約50%の方形波になる。端子33はコンパレータ55、コンパレータ56の両方の出力でロウレベルになる。コンパレータ55の出力もコンパレータ56の出力もデューティは約50%であるが、両方のロウレベルになる期間は第1の実施形態と同様に期間の一部が互いに重なっているため、端子33にはロウレベルのデューティが約75%の方形波が出力される。このため、常温時にはコイルへの電流は約75%のデューティで流れ、ロータは高温時と低温時の回転数の間の回転数で回転する。
【0050】
図5の第3実施形態の利点は、2個のコンパレータ55、56で回転数制御回路54を構成することができ、市販されている2個入りの安価なコンパレータを使用できる点である。
【0051】
〔第4の実施形態〕
図6は第1の実施形態における回転数制御回路20の接続を変えて同じ機能を持つ回路を構成したもので、回転数制御回路のみを取出した回路図である。
【0052】
図1の回転数制御回路20では演算増幅器26の出力がロウレベルの場合にダイオード30を通して端子33をロウレベルにしていたが、図6の第4の実施形態では、ダイオード30をコンパレータ29の非反転入力端子に接続し、コンパレータ29の出力をロウレベルにするようにしている。
【0053】
演算増幅器26の出力がハイレベルの場合はダイオード30によって演算増幅器26の電圧は遮られ、コンパレータ29の非反転入力は演算増幅器26の出力の影響を受けず、サーミスタ22の端子電圧のみがコンパレータ29の非反転入力端子に入力され、サーミスタ22の端子電圧と三角波信号がコンパレータ29で比較され、比較結果に応じたコンパレータ29の出力電圧が端子33に供給される。
【0054】
演算増幅器26の出力がロウレベルの場合には演算増幅器26の出力はダイオード30を通してコンパレータ29の非反転入力をほぼ0Vにし、コンパレータ29の出力をロウレベルにする。従って、演算増幅器26の出力がロウレベルでも端子33の出力電圧はロウレベルになり、図1の第1の実施形態の回転数制御回路20と同じ機能を果たす。
【0055】
〔第5、第6の実施形態〕
第1〜第4の実施形態では、三角波発生回路で作られる方形波信号は、抵抗23と抵抗24の値を等しく選ぶ事で方形波のデューティを約50%にしてハイレベルとロウレベルの期間をはほぼ等しくしていた。方形波信号のハイレベルとロウレベルの期間によって低温時の回転数は決まるので、低温時の回転数を極端に低くしたい場合や高温時の回転数に近い回転数で回転させたい場合は、三角波発生回路のハイレベルとロウレベルの期間を異なる時間にする必要が有る。
【0056】
第5の実施形態及び第6の実施形態では、方形波のデューティを変える手段を有し、低温時の回転数を選択できる三角波発生回路を使用した回転数制御回路の例である。
【0057】
図7は第5の実施形態の駆動回路における回転数制御回路のみを取出した回路図であり、回転数制御回路以外の構成と接続は第1の実施形態と同様である。図7では、第1の実施形態の回転数制御回路20における演算増幅器26と抵抗23、24、25、27及びコンデンサ28で構成された三角波発生回路に、ダイオード59と抵抗58との直列回路を抵抗27の両端に接続して、方形波信号のロウレベルのデューティを50%より小さくした具体例である。
【0058】
図8は第5の実施形態の三角波発生回路の波形図を示す。コンデンサ28が充電される場合は抵抗27を通してコンデンサ28に電流が流れ込む。従ってコンデンサ28が充電される期間は図2の場合と同じ長さになる。一方、コンデンサ28が放電される場合はダイオード59が導通状態になるため、抵抗27と抵抗58の両方の抵抗を通して電流が流れ出る。このため、コンデンサ28の放電は第一の実施例に比べて急速に行われ、コンデンサ28が放電される期間は第1の実施形態に比べて短くなる。従って、図8の波形図のように方形波信号のロウレベルの期間はハイレベルの期間に比較して短くなり、ロウレベルのデューティは50%以下になる。このように第5の実施形態では方形波信号のロウレベルのデューティを第1の実施形態より小さくでき、低温時におけるロータの回転数を下げることができる。
【0059】
図9は第6の実施形態の回転数制御回路のみを取出した回路図であり、回転数制御回路以外の構成と接続は第1の実施形態と同様である。図9において、第1の実施形態における回転数制御回路20の、演算増幅器26、抵抗23、24、25、27及びコンデンサ28で構成された三角波発生回路に、ダイオード61と抵抗60との直列回路を抵抗27の両端に接続して、方形波のロウレベルのデューティを50%より大きくした具体例であり、ダイオード61の向きが第5の実施形態の場合と逆になっている。
【0060】
コンデンサ28が放電される場合は抵抗27を通してコンデンサ28から電流が流れ出る。従ってコンデンサ28が放電される期間は第1の実施形態と同じ長さになる。一方、コンデンサ28が充電される場合はダイオード61が導通状態になるため、抵抗27と抵抗60の両方の抵抗を通して電流が流れ込む。このため、コンデンサ28の充電は第1の実施形態に比べて急速に行われ、コンデンサ28が充電される期間は第1の実施形態に比べて短くなる。従って、方形波信号のハイレベルの期間はロウレベルの期間に比較して短くなり、ロウレベルのデューティは50%より大きくなる。このように第6の実施形態では方形波信号のロウレベルのデューティを第1の実施形態より大きくでき、低温時におけるロータの回転数を上げることができる。
【0061】
〔第7の実施形態〕
第1〜第6の実施形態の三角波発生回路で作られる三角波信号の傾斜は、指数関数状あるいはほぼ直線状に上昇又は下降する。これに対して第7の実施形態では、三角波信号の傾斜を任意に湾曲させ、温度による回転数の変化の状況を任意に設定できるようにしたものである。回転数の変化の状況の例としては、例えば高温から温度を下げていくと温度が高い範囲では急速に回転数が低下し、低温では回転数がゆっくり低下するというような、温度の変化に対する回転数の変化の状況を設定できる。
【0062】
図10は第7の実施形態の回転数制御回路のみを取出した回路図であり、回転数制御回路以外の構成と接続は第1の実施形態と同様である。図10において、第1の実施形態における回転数制御回路20の、演算増幅器26、抵抗23、24、25、27及びコンデンサ28で構成された三角波発生回路に、ダイオード59と抵抗58との直列回路を抵抗27の両端に接続し、抵抗58とダイオード59の接続点とグランドの間にコンデンサ62を接続して、三角波信号の充電時の波形を湾曲させた具体例である。また、この回路は、第5の実施形態(図7)における抵抗58とダイオード59の接続点とグランドの間にコンデンサ62を接続した回路でもある。
【0063】
図11に第7の実施形態における三角波発生回路の波形図を示す。第1の実施形態ではコンデンサ28が充電される場合は抵抗27を通してコンデンサ28に電流が流れ込んだが、第7の実施形態では抵抗27を通して流れ込む電流はコンデンサ28に流れ込む一方、抵抗58を通してコンデンサ62にも流れ込む。このため、コンデンサ28の電圧は充電が開始された直後は第1の実施形態に比較してゆっくり立上る。
【0064】
抵抗58を通してコンデンサ62が十分に充電されると抵抗27を通して流れ込む電流の多くの部分がコンデンサ28に流れ込み、コンデンサ28の電圧は第1の実施形態とほぼ同程度の傾斜で上昇する。このため、図11の波形図のようにコンデンサ28の端子電圧、つまり演算増幅器26の反転入力端子の電圧が上昇する場合は下に向かって湾曲した擬似三角波の波形になる。コンデンサ28が放電される場合は、コンデンサ62はダイオード59によって短時間で放電されるため、コンデンサ62の影響は現れず、第5の実施形態(図7)と同様な傾斜でコンデンサ28の端子電圧は低下する。
【0065】
図12は図11の演算増幅器26の反転入力の電圧とサーミスタ22の端子電圧を比較した場合のコンパレータ29の出力波形を5通りの温度について表した波形図である。同図における温度T1とは温度が高温から低下してロータの回転数が最高速度の回転数から低下し始める温度である。又、温度T2とは常温の温度と温度T1との間の温度である。
【0066】
サーミスタ22で検知した温度が高温の場合は、サーミスタ22の端子電圧は低くなり、演算増幅器26の反転入力端子の擬似三角波信号の最低値より低くなる。このためコンパレータ29の出力は図12のようにロウレベルになる。
【0067】
サーミスタ22で検知した温度がT1の温度の場合は、サーミスタ22の端子電圧は、演算増幅器26の反転入力端子の擬似三角波信号の最低値とほぼ等しくなる。このためコンパレータ29の出力は図12のように短い期間ハイレベルになる。
【0068】
サーミスタ22で検知した温度がT2の温度の場合は、サーミスタ22の端子電圧は、演算増幅器26の反転入力端子の擬似三角波信号の最低値よりわずかに高い電圧になるが、擬似三角波信号は下に向かって湾曲した形状であるため、最低値からわずかに高くてもコンパレータ29の出力がハイレベルになる期間は図12のように急激に広くなる。
【0069】
サーミスタ22で検知した温度が常温の場合は、擬似三角波信号が下に向かって湾曲した形状でない場合はコンパレータ29の出力はロウレベルのデューティがほぼ50%になるが、本実施形態では下に向かって湾曲した形状となるため、コンパレータ29の出力は図12のようにロウレベルのデューティが50%以下になる。
【0070】
サーミスタ22で検知した温度が低温の場合は、サーミスタ22の端子電圧は高くなり、演算増幅器26の反転入力端子の擬似三角波信号のピーク値より高くなる。このためコンパレータ29の出力は図12のようにハイレベルになる。
【0071】
このように第7の実施形態では温度を高温から下げていくと、コンパレータ29の出力がハイレベルになるデューティは急激に大きくなる。このため、高温から温度を下げていくと温度が高い範囲ではロータの回転数は急速に低下する。一方低温では回転数がゆっくり低下する。このような特性は、温度が高くなった場合に熱暴走を防ぐため急激に回転数を上げて冷却したいような半導体の冷却装置に適する。
【0072】
尚、図10に示した第7の実施形態では、擬似三角波信号を下に向かって湾曲させた波形の場合であるが、この擬似三角波信号を種々の形状に変化させることで回転数の変化の状況を任意に設定できる。
【0073】
以上、本発明に従う実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であるのは言うまでもない。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、低温時でもロータを低速で回転させることができ、ファンモータのように周囲温度に応じてロータの回転を変化させ送風量を変化させる場合に、低温時でもロータの回転を停止させず低い回転数で回転させて、空気を循環させたいという用途に適用することができる。又、低温時のロータの低速回転数を任意に選択する事ができ、さらに温度の変化に対する回転数の変化の状況を任意に設定する事も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のDCモータ駆動回路の第1の実施形態を示す全体回路図である。
【図2】図1における三角波発生回路の波形図である。
【図3】図1における高温時、常温時及び低温時の動作説明用の波形図である。
【図4】本発明のDCモータ駆動回路の第2の実施形態を示す全体回路図である。
【図5】本発明のDCモータ駆動回路の第3の実施形態を示す全体回路図である。
【図6】本発明のDCモータ駆動回路の第4の実施形態を示す回転数制御回路の回路図である。
【図7】本発明のDCモータ駆動回路の第5の実施形態を示す回転数制御回路の回路図である。
【図8】図7の三角波発生回路の波形図である。
【図9】本発明のDCモータ駆動回路の第6の実施形態を示す回転数制御回路の回路図である。
【図10】本発明のDCモータ駆動回路の第7の実施形態を示す回転数制御回路の回路図である。
【図11】図10の三角波発生回路の波形図である。
【図12】図10のコンパレータの出力の波形図である。
【図13】従来のDCモータ駆動回路を示すブロック図である。
【図14】図13における高温時、常温時及び低温時の動作説明用の波形図である。
【符号の説明】
13 ホール素子
14、34 駆動IC
15、37、43、44 トランジスタ
17、18、51、52 コイル
20、38、54 回転数制御回路
22 サーミスタ
29、56 コンパレータ
40 演算増幅器
Claims (3)
- ロータを回転させるためにロータの回転位置に従ってコイルへの通電を制御する駆動回路部を有し、温度センサの検出温度に応じてロータの回転速度を可変するDCモータの駆動制御回路であって、
方形波信号と三角波信号又は充電波形信号とを生成する信号発生手段と、前記温度センサの出力電圧と前記三角波信号又は充電波形信号の電圧とを比較する比較手段と、前記方形波信号と前記比較手段の出力の両方で前記コイルに流す電流をオンオフする通電制御回路で構成され、少なくとも低温時における電流のオンオフが方形波信号に基づいて行われるようにしたDCモータの駆動回路。 - 前記方形波信号のデューティを変える手段を有し、低温時の前記ロータの回転数が可変設定される請求項1記載のDCモータの駆動回路。
- 前記三角波信号又は充電波形信号の増減の傾きを任意に湾曲させる手段を有し、温度変化に対する前記ロータの回転数の変化の状況を任意に選択可能とした請求項1又は請求項2記載のDCモータの駆動回路。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008167638A (ja) * | 2006-09-19 | 2008-07-17 | Seiko Epson Corp | ブラシレスモータ |
-
2002
- 2002-09-30 JP JP2002287601A patent/JP2004129346A/ja not_active Withdrawn
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