JP2004127551A - 有機el装置とその製造方法、および電子機器 - Google Patents

有機el装置とその製造方法、および電子機器 Download PDF

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茅野 祐治
Shuichi Takei
武井 周一
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Abstract

【課題】アクティブマトリックス方式で駆動させる有機EL素子を用いた有機EL装置において、開口率を低下させることのない有機EL装置の製造方法を得ること。
【解決手段】陰極と陽極との間に発光層が形成されてなる有機EL素子を有する有機EL装置の製造方法であって、陰極を形成する工程と、陰極上に電子注入層を形成する工程と、電子注入層上の所定の位置にバンクを形成する工程と、電子注入層の表面に第1の表面処理を行う工程と、少なくともバンクの表面に第2の表面処理を行う工程と、バンクによって囲われた領域に発光層を形成する工程と、を有する。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、有機EL(Electro Luminescence)素子を表示素子として用いた有機EL装置とその製造方法、および電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報化社会の進展に伴い、持ち運びが可能なパーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistants)、インターネットに接続可能な携帯電話などの携帯される情報処理装置の普及が進行している。これらの情報処理装置に使用される表示装置として、バッテリの寿命を少しでものばすために、省電力型の表示装置が要求され、その研究開発が盛んに行われている。省電力型の携帯型情報処理装置向けの表示装置として、現在、有機EL装置が特に注目されている。
【0003】
この有機EL素子は、蛍光性化合物からなる発光層が陰極と陽極とで挟まれた構成を有し、発光層に電場を加えると、陰極からの電子と陽極からの正孔とが発光層に注入され、これらが再結合するときに生じるエネルギで、発光層を構成する蛍光性化合物が励起され、この励起された蛍光性化合物が基底状態に戻る時に発光現象を起すことによって発光層を発光させる素子である。このような有機EL素子は、自発光、高輝度、直流低電圧駆動および高速応答性などのすぐれた特性を有している。そして、このような有機EL装置は、低消費電力で高画質であり、さらに薄型軽量を実現することができると期待されている。
【0004】
有機EL装置を実現する方法として、単純マトリックスで有機EL素子を駆動する単純マトリックス方式と、アクティブマトリックスで有機EL素子を駆動するアクティブマトリックス方式とがある。単純マトリックス方式の駆動では、選択期間に高い電圧を印加して輝度を稼ぐ必要があるので、有機EL素子に大変な負担がかかり、しかも発光効率が低くなってしまう。これに対して、アクティブマトリックス方式の駆動では、有機EL素子に負担のかからない低い直流電圧によって駆動することができ、しかも発光効率の高い領域で駆動することができる。したがって、さらなる省電力化を実現する有機EL装置には、有機EL素子を薄膜トランジスタ(以下、TFTという)などのアクティブマトリックス方式で駆動することが望ましい。
【0005】
図14は、従来のアクティブマトリックス方式の有機EL装置の断面構造を示す図である(たとえば、特許文献1参照)。ガラスなどの透明基板からなる基板211上にTFTなどの能動素子212がマトリックス状に形成され、さらにその上に発光素子が形成されている。能動素子212と発光素子220との間には、下地を平坦化するための絶縁膜213が形成されている。
【0006】
発光素子220は、バンク226で仕切られた絶縁膜213上の開口部に、ITO(インジウムスズ酸化物)などの透明な導電性材料からなる陽極225、正孔注入輸送層224、発光層223、LiF層222および陰極221を順に積層させることによって形成される。なお、バンク226は、絶縁膜213上にSiO層227とアクリルなどの樹脂層228とが順に積層されることによって形成されている。
【0007】
このような構造を有する従来のアクティブマトリックス方式の有機EL装置は、ボトムエミッション型と呼ばれ、発光素子220で発光した光を、図14の下側、すなわち基板211側から取り出すようにしている。これにより、陰極221として不透明の金属または合金の薄膜を使用した場合でも、光を透明な基板211側から取り出すことが可能になり、表示機能を有する電気光学装置として使用することができる。
【0008】
【特許文献1】
国際公開第01/63975号パンフレット(第9〜10頁、第6図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなボトムエミッション型の有機EL装置の構造では、図14に示されるように、発光素子220と基板211との間に能動素子212や配線が存在するために、ディスプレイとしての表示面積に対する発光面積の比率を示す開口率が低くなってしまうという問題点があった。すなわち、図14に示されるように基板211側から光を取り出すボトムエミッション型の構造では、能動素子212や配線が存在する分だけ発光する面積を広くとることができず、基板211側から出射される光が減ってしまうという問題点があった。このような開口率の低下に伴う問題点に対して、有機EL装置の表示輝度を落とさないようにするために、画素あたりの輝度を高める方法がある。しかし、そのためには、駆動電圧を高くしなければならず、結果的に消費電力が高くなるとともに、有機EL素子に負担がかかるために、有機EL素子の寿命が短くなってしまうという問題点があった。
【0010】
この発明は上記に鑑みてなされたもので、アクティブマトリックス方式で駆動させる有機EL素子を用いた有機EL装置において、開口率を低下させることのない有機EL装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明にかかる有機EL装置の製造方法は、陰極と陽極との間に発光層が形成されてなる有機EL素子を有する有機EL装置の製造方法であって、前記陰極を形成する工程と、前記陰極上に電子注入層を形成する工程と、前記電子注入層上の所定の位置にバンクを形成する工程と、前記電子注入層の表面に第1の表面処理を行う工程と、少なくとも前記バンクの表面に第2の表面処理を行う工程と、前記バンクによって囲われた領域に前記発光層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、電子注入層の表面に施された第1の表面処理と、バンクの表面に施された第2の表面処理によって、インクジェットプロセスによる発光層を画素ごとのばらつきを抑えて形成することができる。
【0013】
つぎの発明にかかる有機EL装置の製造方法は、上記の発明において、前記第1の表面処理する工程は、前記電子注入層の表面に対して酸素プラズマ処理、UV照射処理、オゾン含有ガスへの暴露処理のうちいずれか一つ以上の処理を行うことを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、第1の表面処理する工程では、電子注入層の表面に対して酸素プラズマ処理、UV照射処理、オゾン含有ガスへの暴露処理のうちいずれか一つ以上の処理が行われ、電子注入層の表面が液体となじむようになる。
【0015】
つぎの発明にかかる有機EL装置の製造方法は、上記の発明において、前記撥液性処理工程は、前記第2の表面処理する工程は、前記バンクの表面に対してCFプラズマ処理を行うことを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、第2の表面処理する工程では、バンクの表面に対してCFプラズマ処理が行われる結果、バンクの表面が弗素化され、液体をよくはじくようになる。
【0017】
つぎの発明にかかる有機EL装置の製造方法は、上記の発明において、前記電子注入層形成工程の前に、前記陰極表面を不活性ガスで逆スパッタすることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、電子注入層形成工程の前に、陰極表面が不活性ガスによって逆スパッタされる結果、フォトリソグラフィなどによりエッチングされた陰極表面に付着した有機物やコンタミネーションを除去し、さらに、陰極の新鮮な表面が露出されるようになる。
【0019】
つぎの発明にかかる有機EL装置の製造方法は、上記の発明において、前記発光層を含む有機薄膜はインクジェット法により形成されることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、発光層を含む有機薄膜がインクジェット法によって形成される結果、各バンクに囲まれたそれぞれの素子形成領域内に、滴下される有機薄膜を構成するインク化された組成物の量のばらつきを抑えることができる。またスピンコート法、スプレー法などと比べて、高価な有機EL材料を無駄にせず、追加のプロセスを増やすことなくRGBの発光材料を塗り分けることができる。
【0021】
つぎの発明にかかる有機EL装置は、陰極と陽極との間に発光層が形成されてなる有機EL素子を有する有機EL装置であって、前記陰極を覆うように形成されてなる電子注入層と、前記電子注入層上の所定の位置に形成されてなるバンクと、前記バンクによって囲われた領域に形成されてなる前記発光層とを有することを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、有機EL装置は、陰極を覆うように形成されてなる電子注入層と、電子注入層上の所定の位置に形成されてなるバンクと、バンクによって囲われた領域に形成されてなる発光層とを有するように構成されている。これにより、それぞれの素子形成領域に滴下される有機薄膜を構成するインク化された組成物の量のばらつきを抑制することができるので、各素子形成領域内の発光層を含む有機薄膜の膜厚が一定に保たれた有機EL装置を提供することができる。
【0023】
つぎの発明にかかる有機EL装置は、上記の発明において、前記電子注入層の表面は溶液に対し親液性の特性を有することを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、電子注入層の表面が溶液となじむようになり、インクジェットプロセスによって発光層が形成される場合に、発光層を構成する材料からなる組成物が、電子注入層上をほぼ一様に広がるようになる。
【0025】
つぎの発明にかかる有機EL装置は、上記の発明において、前記陰極は、1層の導電性材料からなることを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、1層の導電性材料から陰極を構成するようにしている。そのため、陰極の作成工程を簡素化することができる。
【0027】
つぎの発明にかかる有機EL装置は、上記の発明において、前記導電性材料は、Al,Mg,Mg−Ag合金のうちいずれかであることを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、導電性材料として、Al,Mg,Mg−Ag合金のうちいずれかを用いることによって、有機EL装置にとって適した陰極を形成することができる。
【0029】
つぎの発明にかかる有機EL装置は、上記の発明において、前記陰極は、前記基体上に形成される第1の陰極層と、この第1の陰極層上に形成される第2の陰極層とからなることを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、基体上に形成される第1の陰極層として、フォト・エッチングプロセスでパターン形成可能な、そして基体との密着性のよい導電性材料を用いることができる。また、第1の陰極層上に形成される第2の陰極層として、仕事関数の小さい金属を使用することが可能となる。これにより、種々の基体に対応した有機EL装置を得ることができる。
【0031】
つぎの発明にかかる有機EL装置は、上記の発明において、前記第1の陰極層は、Al,Mo,Ti,W,Mo−Si合金,Ti−Si合金,W−Si合金,Ti−W合金,Al−Si−Cu合金,Al−Cu合金,ITO,IZO,またはTi,Cr,W,Ta,Vのうち一つ以上を含む金属もしくは合金とAg,Au,Cuの積層膜,またはTiN薄膜とTi,W,Ta,Ag,Au,Cuのうち一つ以上を含む金属もしくは合金の積層膜のうちいずれかであり、前記第2の陰極層は、アルカリ金属,アルカリ土類金属,Sc,Y,ランタノイドのうちいずれかであることを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、第1の陰極層として、フォト・エッチングプロセスでパターン形成可能で、基体との密着性のよいAl,Mo,Ti,W,Mo−Si合金,Ti−Si合金,W−Si合金,Ti−W合金,Al−Si−Cu合金,Al−Cu合金,ITO,IZO,またはTi,Cr,W,Ta,Vのうち一つ以上を含む金属もしくは合金とAg、Au、Cuの積層膜、またはTiN薄膜とTi,W,Ta,Ag,Au,Cuのうち一つ以上を含む金属もしくは合金の積層膜のうちいずれかが用いられる。また、第2の陰極層として、仕事関数の小さいアルカリ金属,アルカリ土類金属,Sc,Y,ランタノイドのうちいずれかが用いられる。
【0033】
つぎの発明にかかる有機EL装置は、上記の発明において、前記電子注入層は、金属酸化物または金属弗化物から構成されることを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、電子注入層として、金属酸化物または金属弗化物を用いることで、発光層を通過してきた正孔が陰極に到達しないようにブロックされると共に、陰極と発光層との界面で陰極の電子注入機能が調整される。
【0035】
つぎの発明にかかる電子機器は、上記の発明のいずれか1つに記載の製造方法で製造された有機EL装置を備えることを特徴とする。
【0036】
この発明によれば、各画素内の発光層を有する有機薄膜の厚さのばらつきを抑制すると共に、電子機器の表示品質を向上することができる。
【0037】
つぎの発明にかかる電子機器は、上記の発明のいずれか1つに記載の有機EL装置を備えることを特徴とする。
【0038】
この発明によれば、各画素内の発光層を有する有機薄膜の厚さのばらつきを抑制すると共に、電子機器の表示品質を向上することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる有機EL装置とその製造方法、および電子機器の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0040】
図1は、この発明にかかる有機EL装置の配線構造の平面模式図である。この図1に示されるように、有機EL装置1は、複数の走査線101と、走査線101に対してほぼ直角に交差する方向に延びる複数の信号線102と、信号線102に並列に延びる複数の電源線103とが、それぞれ配線された構成を有する。そして、走査線101と信号線102の各交点付近に、すなわちマトリックス状に、画素領域Aが設けられている。
【0041】
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオラインおよびアナログスイッチを備えるデータ駆動回路104が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタおよびレベルシフタを備える走査側駆動回路105が接続されている。
【0042】
画素領域Aのそれぞれには、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用のTFT112と、このスイッチング用のTFT112を介して信号線102から供給される画素信号を保持する保持容量capと、この保持容量capによって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用のTFT113と、この駆動用のTFT113を介して電源線103に電気的に接続した時に電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極(陰極)21と、この画素電極21と対向電極(陽極)25との間に挟み込まれた機能層110とが設けられている。これらの画素電極21と対向電極25と機能層110によって、発光素子が構成されている。なお、機能層110は、後述する発光層を含む有機薄膜および電子注入層に対応する。
【0043】
このような有機EL装置の配線構造によれば、走査線101が駆動されてスイッチング用のTFT112がオンになると、そのときの信号線102の電位が保持容量capに保持され、この保持容量capの状態に応じて、駆動用のTFT113のオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用のTFT113のチャネルを介して、電源線103から画素電極21に電流が流れ、さらに機能層110を介して陽極25に電流が流れる。機能層110は、この流れる電流量に応じて発光し、所望の状態を表示することができる。
【0044】
なお、上述した説明では、アクティブマトリックス型の素子としてTFTを用いた場合を説明したが、アクティブマトリックス型の素子としてTFD(薄膜ダイオード)を用いることもできる。
【0045】
図2および図3は、この発明にかかる有機EL装置の画素領域の構造を示す断面図であり、図1の機能層110部分のより詳細な構造を示すものである。また、図4は、この発明にかかる有機EL装置の画素領域部分の平面図である。この有機EL装置は、TFTなどの能動素子や配線が形成された有機EL用基板の表面を平坦化した基体部10と、有機EL素子が形成された発光素子部20とからなる。
【0046】
この発明では、開口率を低下させることのないアクティブマトリックス方式で駆動させる有機EL素子の構造として、図2および図3に示されるトップエミッション型構造を採用することを特徴とする。すなわち、発光素子部20から発した光は、図2および図3中下側の基体部10側からではなく、図2および図3中上側の発光素子部20の表面から出射される構造となっている。これにより、基体部10側から光を取り出していた従来の有機EL素子とは異なり、TFTや配線の存在しない発光素子部20側から光を取り出すので、開口率の低下を招くことなく、発光層からの光を取り出すことが可能になる。
【0047】
基体部10は、有機EL用基板11と平坦化絶縁層13とからなる。有機EL用基板11は、従来のボトムエミッション型の有機EL素子と同様に、石英ガラス、硼酸塩ガラス、燐酸塩ガラス、燐珪酸ガラス、ケイ酸塩ガラスなどの各種ガラス材料や、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレートなどの各種樹脂材料のほかに、単結晶を含む各種セラミックス材料や各種金属材料などを用いることができる。これらの有機EL用基板11には、アクティブマトリックス方式で有機EL素子を駆動するためのTFT12や配線が所定の位置に形成されている。この図2および図3に示されるTFT12は、以下に示されるようにして形成される。まず、有機EL用基板11上にポリシリコン膜15を形成し、このポリシリコン膜15の中央部付近にゲート絶縁膜19、ゲート電極18を順に形成する。つぎに、ポリシリコン膜15と有機EL用基板11表面を覆うように、第1の層間絶縁膜21を形成する。つぎに、ポリシリコン膜15のゲート絶縁膜19を挟むようにして、その両側のポリシリコン膜15表面上にソース電極16とドレイン電極17を形成する。その後、ポリシリコン膜15の各電極16〜18と有機EL用基板11表面を覆うように、第2の層間絶縁膜42を形成する。なお、この発明で使用される有機EL用基板11として、透明のものを用いる必要はなく、不透明のものを用いることも可能である。
【0048】
平坦化絶縁層13は、有機EL用基板11上に形成されたTFT12や配線などの上に絶縁性材料によって形成される。平坦化絶縁層13の厚さは少なくとも2μmは必要で、望ましくは3〜5μmである。この絶縁性材料としては、SOG(Spin−on glass)やPSG(phosphosilicate glass)などの無機材料を用いてもよいし、ポリイミド樹脂やアクリル樹脂などの有機材料を用いてもよいし、また、これらの無機材料と有機材料とを積層させたものを用いてもよい。この平坦化絶縁層13には、有機EL用基板11に形成されたTFT12と、平坦化絶縁層13上に形成される発光素子部20の陰極21とを電気的に接続するためのコンタクトホール14が形成されている。
【0049】
発光素子部20は、陰極(画素電極)21、電子注入層22、発光層23、正孔注入輸送層24、陽極25、絶縁膜27およびバンク28からなる。陰極21は、基体部10の平坦化絶縁層13上の有機EL素子を配置する箇所に、導電性材料をパターニングすることによって形成される。陰極21を1層として構成する場合には、陰極21に用いられる導電性材料は主に金属であり、Al,Mg,Mg−Ag合金などを用いることができる。また、陰極21を2層として構成する場合には、図3に示されるように基体部10に近い方の層を陰極層21Aとし、他の層を陰極層21Bとすると、陰極層21Aは、下地の平坦化絶縁層13と密着性がよく、フォトリソグラフィなどによってパターン形成可能な導電性材料であればよく、金属に限定されるものではない。例えば、陰極層21Aとして、Al,Mo,Ti,W,Mo−Si合金,Ti−Si合金,W−Si合金,Ti−W合金,Al−Si−Cu合金,Al−Cu合金,ITO,IZO,またはTi,Cr,W,Ta,Vのうち一つ以上を含む金属または合金とAg,Au,Cuの積層膜、またはTiN薄膜とTi,W,Ta,Ag,Au,Cuのうち一つ以上を含む金属または合金の積層膜などを例として挙げることができる。一方の陰極層21Bは、仕事関数の小さい金属であることが望ましく、例えば、アルカリ金属、Be以外のアルカリ土類金属、Sc、Y、原子番号57〜71のランタノイドなどを例として挙げることができる。なお、陰極21は、平坦化絶縁層13に形成されたコンタクトホール14を通じて、有機EL用基板11のTFT12と電気的に接続される。
【0050】
絶縁膜27はSiOやTiOなどの無機材料から構成され、画素形成領域の周囲を囲むように形成されている。この絶縁膜27は、バンク28と陰極21境界部において、発光層23または正孔注入輸送層24の成膜不良が発生した場合に、陰極と陽極がショートしないようにする機能を持っている。将来、陽極と陰極がショートしないプロセスが確立されれば、絶縁層27は形成する必要は無い。
【0051】
バンク28は、画素形成領域の周囲を囲むように形成され、画素形成領域にインクジェットプロセスにより滴下された組成物があふれない高さを有する。また、このバンク28はアクリル樹脂やポリイミド樹脂などの耐熱性および耐溶媒性のあるレジストから構成され、その表面には、液体をはじく撥液性処理が施されている。図2、図3に示されるようにバンク28は画素電極である陰極21の周縁部上に乗り上げるように形成されており、絶縁膜27は、バンク28に比べてやや画素電極21の中央側に形成されている。また、バンク28は、画素電極21を取り囲むように開口部30を有しており、この開口部30の上部は、下部よりも広く形成されている。ただし、バンク28の開口部30および絶縁膜27の開口部は、ともに画素電極21よりも狭く形成されている。
【0052】
電子注入層22は、発光層23を通過してきた正孔が陰極21に到達しないようにブロックすると共に、陰極21と発光層23の界面で陰極21の電子注入機能を調整する役割を有し、陰極21および絶縁膜27上に形成されている。この電子注入層22を構成する材料として、金属弗化物または金属酸化物を用いることができる。金属弗化物としては、LiF,NaF,KF,CsF,MgF,CaF,SrF,BaF,またはLiFとNaFとの混合物などを例として挙げることができる。また、金属酸化物としては、Al,Si,Cu,Ag,In,Th,V,Li,Na,K,Rb,Cs,Mg,Ca,Sr,Ba,Fe,Cr,Ta,W,Mo,Coの酸化物などを例として挙げることができる。特に、電子注入層22として、有機EL素子の特性を向上させる効果が大きいLiFを用いることが望ましい。この電子注入層22の厚さは、1〜3nmであることが望ましい。
【0053】
発光層23は、電子注入層22上に形成され、陰極21からの電子と後述する正孔注入輸送層24からの正孔とが、この発光層23で再結合するときのエネルギによって、光を発する。この発光層23を構成する材料として、[化1]〜[化5]に示すポリフルオレン系高分子誘導体、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体を例として挙げることができる。また、発光層23を赤色に発光させるには、ローダミン、DCMの誘導体、ナイルレッドなどを上記の発光層23を構成する材料に添加し、発光層23を緑色に発光させるには、キナクリドン、クマリン6などを上記の発光層23を構成する材料に添加し、そして、発光層23を青色に発光させるには、ペリレン、テトラフェニルブタジエンなどを上記の発光層23を構成する材料に添加する。
【0054】
【化1】
Figure 2004127551
【0055】
【化2】
Figure 2004127551
【0056】
【化3】
Figure 2004127551
【0057】
【化4】
Figure 2004127551
【0058】
【化5】
Figure 2004127551
【0059】
正孔注入輸送層24は、発光層23上に形成され、発光層23に正孔を注入する層である。この正孔注入輸送層24を構成する材料として、ポリエチレンジオキシチオフェンなどのポリチオフェン誘導体とポリスチレンスルホン酸などの混合物や、芳香族アミン誘導体(TPD、α−TPDなど)、MTDATA、銅フタロシアニン、ポリアニリン誘導体、ポリチオフェン誘導体、フェニルアミン誘導体などを例として挙げることができる。
【0060】
陽極25は、正孔注入輸送層24上に形成される。この陽極25は透明な導電性材料から構成され、例えば、ITO(インジウムスズ酸化物),IZO(インジウム亜鉛酸化物)などを用いることができる。
【0061】
このような構成を有する有機EL素子が、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)ごとに作製され、さらにはこのRGBからなる有機EL素子を一つの単位として、この単位を基板上に複数配列することによって有機EL装置が作製される。
【0062】
ここで、このようなトップエミッション型の有機EL装置の製造方法について説明する。図5は、この発明にかかる有機EL装置の製造方法の処理工程を示すフローチャートであり、図6〜図8は、この発明にかかる有機EL装置の製造方法の工程を示す図であり、有機EL装置が製造されていく過程の断面図が示されている。
【0063】
まず、平坦化絶縁層形成工程では、有機EL素子駆動用のドライバや配線、画素ごとのスイッチング素子であるTFT12などを形成した有機EL用基板上11に、平坦化絶縁層13を形成する(ステップS1、図6(a)〜(b))。この平坦化絶縁層13は、TFT12などが形成されている部分とその他の部分で、表面の凹凸がなくなる程度の厚さを有することが望ましい。そのためには、TFT12や配線がなされていない有機EL用基板11の表面から少なくとも2μmの厚さ、望ましくは3〜5μmの厚さの平坦化絶縁層13を形成する必要がある。その後、平坦化絶縁層13に、有機EL用基板11に形成されたTFT12や配線と接続するためのコンタクトホール14を形成する。
【0064】
つぎに、画素電極(陰極)形成工程では、平坦化絶縁層13上に陰極21となる導電性材料をスパッタや蒸着またはその他の成膜手段によって形成した後、フォト・エッチングプロセスを用いて、形成した導電性材料の薄膜を所定の画素形成位置に、画素電極形状にパターニングする(ステップS2、図6(c))。このとき、平坦化絶縁層13に形成されたコンタクトホール14内にも陰極21が成膜されるので、発光素子部20の陰極21とTFT12の端子とが、コンタクトホール14を介して接続されるようになる。
【0065】
つぎに、絶縁膜形成工程では、絶縁膜27を、パターニングした陰極21上および平坦化絶縁層13上に形成し、フォト・エッチングプロセスを用いて、陰極21の画素形成領域31を除いた部分が所定形状に開口するようにパターニングする(ステップS3、図6(d))。この結果、絶縁膜27は、画素電極である陰極21の周縁部上に乗り上げるように形成される。
【0066】
つぎに、電子注入層形成工程では、金属酸化物膜または金属弗化物膜からなる電子注入層22を、スパッタや蒸着、またはその他の成膜手段によって形成する(ステップS4、図7(a))。このとき、外部回路と接続するための有機EL用基板11の図示しない端子接続部に金属酸化物または金属弗化物が付着すると、ACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電フィルム)等を使って外部回路と接続する時に導通不良となる可能性がある。そのため、少なくとも端子接続部に金属酸化物または金属弗化物が付着しないようにして、金属酸化物膜または金属弗化物膜からなる電子注入層22を形成する必要がある。例えば、端子接続部をカバーするメタルマスクと有機EL用基板11を位置合わせして、スパッタまたは蒸着などの成膜手段によって、金属酸化物膜または金属弗化物膜を成膜する方法を用いることができる。または、端子接続部をレジストでカバーし、スパッタまたは蒸着などの成膜手段によって金属酸化物膜または金属弗化物膜を成膜後に、レジストを除去するリフトオフ法を用いることができる。
【0067】
なお、このステップS4の電子注入層形成工程の前に、スパッタや蒸着などの成膜手段における真空プロセスにおいて、陰極21を構成する導電性材料の表面を、アルゴンガスなどの不活性ガスによって逆スパッタすることが望ましい。画素電極である陰極21は、フォト・エッチングプロセスによってパターン形成されるので、陰極21表面が酸化された状態にあるとともに、フォト・エッチングプロセスで使用された有機物が残留している状態にある。そこで、アルゴンガスなどの不活性ガスによって逆スパッタを行うことによって、表面の酸化膜が除去されるとともに、残留している有機物が分解、除去され、陰極21表面がクリーニングされ、活性化される。
【0068】
つぎに、バンク形成工程では、感光性を有する有機樹脂を電子注入層22上に塗布し、フォトマスクを通してUVを照射した後に現像を行うことによって、画素形成領域31を取り囲むようにバンク28を形成する(ステップS5、図7(b))。このバンク28は、絶縁膜27の上位に形成されるが、絶縁膜27に比べて画素電極21のやや外側に形成される。また、バンク28の上部開口部は、下部開口部よりも広く形成されている。バンク28の厚さは特に限定されるものではないが、後述するインクジェットプロセスで画素形成領域31内に打ち込まれる組成物の量、回路基板との間に生じる電気的寄生容量などを考慮して決定される。
【0069】
なお、バンク28の開口部30の形状としては、図4に示されるように、画素電極21に対応してそれぞれ形成してもよいが、図9に示されるように、RGBの各色の発光部を同じ列(または同じ行)に形成する場合には、その各色の列(またはその各色の行)の画素電極21をまとめて囲むようにバンクの開口部30を形成してもよい。
【0070】
つぎに、親液性処理工程では、電子注入層22の表面に対して酸素プラズマ処理、UV照射処理、オゾン含有ガスへの暴露処理などを一つ以上行う(ステップS6)。この処理によって、陰極21表面に残留している有機物の異物を分解除去することができ、陰極21表面を活性化させることができる。さらに、陰極21表面の組成物に対する接触角が小さくなり、表面が親液性となるので、後述するインクジェットプロセスで打ち込まれる組成物とのなじみがよくなるという効果を有する。
【0071】
つぎに、撥液性処理工程では、バンク28の表面に対してCFプラズマ処理を行う(ステップS7)。このCFプラズマ処理によって、バンクの表面が弗素化され、撥液性を示すようになる。これによって、後述するインクジェットプロセスで打ち込まれる組成物のパターニングが良好になるという効果を有する。
【0072】
つぎに、発光層形成工程では、インクジェットプロセスによって、赤色、緑色または青色の高分子材料をそれぞれ溶解させた発光層を構成する材料の組成物を、対応する画素形成領域31内に打ち込んで乾燥させ、発光層23を形成する(ステップS8、図7(c))。図10は、インクジェットプロセスによる画素形成領域内へインクを打ち込む過程を示している。このインクジェットプロセスによって吐出されるインク化された組成物の液滴が、基板に到達する時の位置精度は±5〜15μmの範囲である。インクジェットヘッド51から吐出されるインク化された組成物の液滴52が、図10(a)のように、画素形成領域31から外れてバンク28側にずれてしまった場合でも、上述した工程によって、バンク28の表面は撥液化処理がなされ、電子注入層22は上述した工程によって親液化処理がなされているので、組成物の液滴52は図10(b)のようにバンク28と接触している部分ではバンク28の表面上をすべりおり、最終的に図10(c)に示されるように画素形成領域31内におさまるように移動する。この状態で、組成物の液滴52を乾燥させると、所定の画素形成領域31内に発光層23が形成される。このとき、所定の厚さを有するバンクが存在するので、画素形成領域31から組成物の流出を防止することができる。このように、インクジェットヘッド51から吐出される組成物の液滴52の位置精度が多少ずれても、画素形成領域31内に組成物の液滴52を高精度に入れることができる。なお、図10は、滴下された組成物の動きを説明するための図であり、1つの画素形成領域31には、組成物を乾燥させたときに所定の厚さとなるように、複数滴の組成物を滴下してもよい。
【0073】
つぎに、正孔注入輸送層形成工程では、乾燥して所定の厚さに形成された発光層23上にインクジェットプロセスによって、正孔注入材料を溶解させた組成物を各画素形成領域31に打ち込んで乾燥させ、正孔注入輸送層24を形成する(ステップS9、図8(a))。この正孔注入輸送層24の形成も、上述したステップS8の発光層形成工程で用いたインクジェットプロセスと同様にして行われる。
【0074】
つぎに、透明陽極形成工程では、正孔注入輸送層24の上に、スパッタや蒸着またはその他の成膜手段によって透明陽極25を形成する(ステップS10、図8(b))。
【0075】
そして、封止工程では、上述した工程によって有機EL素子が形成された有機EL用基板11を封止することによって(ステップS11、図8(c))、有機EL装置が製造される。有機EL用基板11の封止方法としては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下で、形成された有機EL素子の側から有機EL用基板11を透明な封止基板29によって封止する。封止基板29としては、例えば、石英ガラス、硼酸塩ガラス、燐酸塩ガラス、燐珪酸ガラス、珪酸塩ガラスなどの各種透明なガラス材料や、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレートなどの各種樹脂材料を用いることができる。このように、有機EL素子上を不活性ガス雰囲気下で封止することによって、大気中の水分や酸素が有機EL素子を形成する透明陽極25や発光層24などに対する影響を抑制するためのガスバリア構造が形成される。
【0076】
なお、上述したステップS8、S9のインクジェットプロセスは、蒸着などの成膜手段によって代替することも可能である。
【0077】
この実施の形態によれば、親液性処理工程によって電子注入層の表面を親液化し、撥液性処理工程によってバンク28の表面を撥液化することによって、バンク28の表面と電子注入層22の表面との濡れ性が大きく異なるようにしたので、インクジェットプロセスでの組成物の滴下位置が多少ずれても、滴下した組成物を確実に画素形成領域31に導くことができ、インクジェットプロセスで滴下する組成物の位置精度のばらつきを抑制することができる。これによって、各画素形成領域31内に打ち込まれるインク量のばらつきが抑制されるので、発光層23および正孔注入輸送層24の膜厚のばらつきも抑制され、歩留り向上や表示品質の改善が達成される。
【0078】
また、この実施の形態によれば、バンク28を形成する前に、電子注入層22を形成するようにしたので、上述したバンク28の表面を撥液化して、インクジェットプロセスで滴下する組成物の位置精度のばらつきを抑制することができるという効果を有する。これに対して、従来では、図14に示されるようにバンク226を形成した後にLiF層222を形成していたので、LiF層222に対してCFプラズマによる撥液性処理を行っても、LiF層222自体が弗化物であり、さらに、LiFには撥水性がないために、LiF層222を撥液化することができなかった。そのため、インクジェットプロセスで滴下する組成物の位置がずれてしまっても、この実施の形態の図10で説明したように画素形成領域31内に組成物を収めることはできない。
【0079】
つぎに、上述した有機EL装置を備えた電子機器の具体例について説明する。
【0080】
図11〜図13は、それぞれ、この発明にかかる有機EL装置を使用した電子機器の例である。図11は、携帯電話の一例を示す斜視図である。1000は携帯電話本体を示し、そのうち1001はこの発明の有機EL装置からなる表示部である。図12は、腕時計型の電子機器の一例を示す斜視図である。1100は時計機能を内蔵した時計本体を示し、1101はこの発明の有機EL装置からなる表示部である。そして、図13は、ワードプロセッサ機やパーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置の一例を示す斜視図である。この図13において、1200は携帯型情報処理装置を示し、1202はキーボードなどの入力部、1204は演算手段や記憶手段などが格納されている情報処理装置本体部、1206はこの発明の有機EL装置からなる表示部である。
【0081】
また、このような有機EL装置を備えた電子機器としては、図11に示される携帯電話、図12に示される腕時計型の電気機器、図13に示される携帯型情報処理装置のほかに、例えば、デジタルスチルカメラ、車載用モニタ、デジタルビデオカメラ、ビューファインダ型またはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワークステーション、テレビ電話機、POS端末機などの電気光学装置を備える電子危機を挙げることができる。したがって、これらの電子機器における電気的接続構造であっても、この発明が適用可能であることはいうまでもない。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、アクティブマトリックス方式の有機EL装置の製造方法において、バンクを形成する前に、陰極上に電子注入層を形成し、素子形成領域内に発光層を形成する前に、電子注入層の表面に対して親液性処理を行うとともに、バンクの表面に対して撥液性処理を行うようにしたので、インクジェットプロセスで各画素内に打ち込まれる組成物の位置精度のばらつきを抑制することができるという効果を有する。そのため、各画素内に打ち込まれる組成物の量を等しくすることができ、各画素に形成される膜厚のばらつきを抑えることができる。
【0083】
また、この発明によれば、トップエミッション型の有機EL装置としたので、基体上に能動素子や配線が配置されても、表示装置としての表示面積に対する発光面積の比率を示す開口率を高くすることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による有機EL装置の配線構造の平面模式図である。
【図2】この発明による有機EL装置の断面模式図である。
【図3】この発明による有機EL装置の断面模式図である。
【図4】この発明による有機EL装置の平面模式図である。
【図5】有機EL装置の製造工程を示すフローチャートである。
【図6】有機EL装置の製造工程を示す断面模式図である(その1)。
【図7】有機EL装置の製造工程を示す断面模式図である(その2)。
【図8】有機EL装置の製造工程を示す断面模式図である(その3)。
【図9】有機EL装置の平面模式図である。
【図10】インクジェットプロセスによる薄膜の形成工程を示す図であり、(a)はインクジェットヘッドからの組成物がバンクと画素形成領域の境界部に吐出された状態を示しており、(b)は組成物がバンクの斜面上をすべり落ちる状態を示しており、(c)は組成物が素子形成領域上に到達した状態を示している。
【図11】電子機器の一例を示す図である。
【図12】電子機器の一例を示す図である。
【図13】電子機器の一例を示す図である。
【図14】従来例の有機EL素子の断面模式図である。
【符号の説明】
1 有機EL装置、10 基体部、11 有機EL用基板、12 TFT、13平坦化絶縁層、14 コンタクトホール、15 ポリシリコン膜、16 ソース電極、17 ドレイン電極、18 ゲート電極、19 ゲート絶縁膜、20 素子発光部、21 画素電極(陰極)、22 電子注入層、23 発光層、24正孔注入輸送層、25 陽極、27 絶縁層、28 バンク、30 開口部、31 画素形成領域、41 第1の層間絶縁膜、42 第2の層間絶縁膜、51インクジェットヘッド、52 組成物の液滴、101 走査線、102 信号線、103 電源線、104 データ駆動回路、105 走査側駆動回路、110 機能層、112 スイッチング用のTFT、113 駆動用のTFT、1000 携帯電話本体、1001 表示部、1100 時計本体、1101 表示部、1200 携帯型情報処理装置、1202 入力部、1204 本体部、1206 表示部

Claims (14)

  1. 陰極と陽極との間に発光層が形成されてなる有機EL素子を有する有機EL装置の製造方法であって、
    前記陰極を形成する工程と、
    前記陰極上に電子注入層を形成する工程と、
    前記電子注入層上の所定の位置にバンクを形成する工程と、
    前記電子注入層の表面に第1の表面処理を行う工程と、
    少なくとも前記バンクの表面に第2の表面処理を行う工程と、
    前記バンクによって囲われた領域に前記発光層を形成する工程と、
    を有することを特徴とする有機EL装置の製造方法。
  2. 前記第1の表面処理する工程は、前記電子注入層の表面に対して酸素プラズマ処理、UV照射処理、オゾン含有ガスへの暴露処理のうちいずれか一つ以上の処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置の製造方法。
  3. 前記第2の表面処理する工程は、前記バンクの表面に対してCFプラズマ処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL装置の製造方法。
  4. 前記電子注入層形成工程の前に、前記陰極表面を不活性ガスで逆スパッタすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の有機EL装置の製造方法。
  5. 前記発光層を含む有機薄膜はインクジェット法により形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の有機EL装置の製造方法。
  6. 陰極と陽極との間に発光層が形成されてなる有機EL素子を有する有機EL装置であって、
    前記陰極を覆うように形成されてなる電子注入層と、
    前記電子注入層上の所定の位置に形成されてなるバンクと、
    前記バンクによって囲われた領域に形成されてなる前記発光層と
    を有することを特徴とする有機EL装置。
  7. 前記電子注入層の表面は溶液に対し親液性の特性を有することを特徴とする請求項6に記載の有機EL装置。
  8. 前記陰極は、1層の導電性材料からなることを特徴とする請求項6または7に記載の有機EL装置。
  9. 前記導電性材料は、Al,Mg,Mg−Ag合金のうちいずれかであることを特徴とする請求項8に記載の有機EL装置。
  10. 前記陰極は、前記基体上に形成される第1の陰極層と、この第1の陰極層上に形成される第2の陰極層とからなることを特徴とする請求項6に記載の有機EL装置。
  11. 前記第1の陰極層は、Al,Mo,Ti,W,Mo−Si合金,Ti−Si合金,W−Si合金,Ti−W合金,Al−Si−Cu合金,Al−Cu合金,ITO,IZO,またはTi,Cr,W,Ta,Vのうち一つ以上を含む金属または合金とAg,Au,Cuの積層膜、またはTiN薄膜とTi,W,Ta,Ag,Au,Cuのうち一つ以上を含む金属または合金の積層膜のうちいずれかであり、
    前記第2の陰極層は、アルカリ金属,アルカリ土類金属,Sc,Y,ランタノイドのうちいずれかであることを特徴とする請求項10に記載の有機EL装置。
  12. 前記電子注入層は、金属酸化物または金属弗化物から構成されることを特徴とする請求項6〜11のいずれか1つに記載の有機EL装置。
  13. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の製造方法で製造された有機EL装置を備えることを特徴とする電子機器。
  14. 請求項6〜12のいずれか1つに記載の有機EL装置を備えることを特徴とする電子機器。
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