JP2004126426A - 定着装置クリーニング方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】定着装置における定着用回転体上の汚れを従来の複雑なクリーニング機構によらずに、また、熱によらずに、定着装置の分解を要することなく簡単に効果的に除去できるようにし、それだけ画像形成装置を小型、低価格で提供できるとともにメインテナンスの簡略化及びロングライフ化を実現できるようにする。
【解決手段】記録紙S上に形成された未定着トナー像を記録紙Sに定着させる定着ローラ101及びこれに押圧される加圧ローラ102を有する定着装置10を備えた画像形成装置において、定着装置クリーニングにあたりクリーニング用媒体Scを定着装置10に搬送して定着ローラ101及び加圧ローラ102のニップ部にかみ込ませ、該ニップ部がクリーニング用媒体Scをかみ込んだ状態で媒体Scの搬送速度を記録紙の正規の搬送速度(画像形成モードにおける搬送速度)より低下させ、それにより定着ローラ101及び加圧ローラ102を媒体Scに対しスリップ動作させて、それらローラ上のトナー等による汚れをクリーニングする。
【選択図】 図2
【解決手段】記録紙S上に形成された未定着トナー像を記録紙Sに定着させる定着ローラ101及びこれに押圧される加圧ローラ102を有する定着装置10を備えた画像形成装置において、定着装置クリーニングにあたりクリーニング用媒体Scを定着装置10に搬送して定着ローラ101及び加圧ローラ102のニップ部にかみ込ませ、該ニップ部がクリーニング用媒体Scをかみ込んだ状態で媒体Scの搬送速度を記録紙の正規の搬送速度(画像形成モードにおける搬送速度)より低下させ、それにより定着ローラ101及び加圧ローラ102を媒体Scに対しスリップ動作させて、それらローラ上のトナー等による汚れをクリーニングする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は記録材上に形成された未定着トナー像を該記録材に定着させる定着装置を備えた画像形成装置における該定着装置のクリーニング方法及び該定着装置クリーニング方法の実施に適する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、電子写真方式等の作像手法により原稿画像に応じたトナー像を記録材上に形成し、該未定着トナー像を定着装置を用いて記録材に定着する。
【0003】
定着装置は一般的には一対の定着用の回転体を有している。そのうち一方は記録材上の未定着トナー像に接触してこれを加熱溶融させる加熱回転体であり、他方は加熱回転体へ記録材を押圧するための加圧回転体である。
【0004】
このような定着装置において未定着トナー像を記録材に加熱加圧下に定着させる場合、溶融不良トナーや、溶融しすぎたトナーが生じることがあり、これらトナーは加熱回転体表面にオフセット付着し、さらに、記録材が両回転体ニップ部を通過していないときに加圧回転体表面に転移付着していく。
【0005】
このように定着用の回転体に付着したトナー汚れは記録材の回転体への巻きつき、記録材裏面の汚れ等を引き起こす原因となる。
【0006】
このため画像形成装置に定着装置のクリーニング機構を搭載することが行われてきたが、近年、画像形成装置の小型化、低コスト化が求められ、かかる小型で低価格の画像形成装置では画像形成装置の大型化、高価格化を招く複雑なクリーニング機構を搭載し難くなっている。そのため小型で低価格の画像形成装置では、定着装置の汚れが増してくると、該装置を交換したり、分解清掃することが一般的に行われている。
【0007】
一方、複雑でコスト高につくクリーニング機構を設けないで定着装置をクリーニングする手法として次のようなものも提案されている。
【0008】
例えば、特開平2−160276号公報は、遅くとも定着用回転体に搬送される際に粘着性を示す粘着層を表面に有するクリーニングシートを定着装置に通して回転体上のトナー汚れをそれに転写し除去するクリーニング方法を開示している。かかるクリーニングシートとして、シートの略全面に予めトナーを定着させたシートを開示しており、該シートが定着装置に突入することにより該トナーが加熱されて粘着性を発現し、定着用回転体上のトナー汚れを除去するようにしている。
【0009】
また、特開平11−344888号公報は、定着装置のクリーニングにあたり、記録材を定着ニップ部にくわえ込ませ、該定着ニップ部の加熱、その後の冷却により該記録材に接触しているトナー汚れを記録材に転写し、次いで記録材を所定量送ったところで再び定着ニップ部の加熱、その後の冷却により次のトナー汚れを記録材に転写するという操作を繰り返してクリーニングを行うことを開示している。
【0010】
特開平2000−147930号公報は、定着装置のクリーニングにあたり、記録材を定着ニップ部に、未定着トナー像を記録材に定着させるときよりも低速で通過させ、その間に定着ニップ部の加熱、冷却を繰り返すなどしてトナー汚れを記録材に転写してクリーニングすることを開示している。
【0011】
【特許文献1】特開平2−160276号公報
【特許文献2】特開平11−344888号公報
【特許文献3】特開平2000−147930号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる文献記載の定着装置クリーニングはいずれも熱により定着用回転体上のトナー汚れをクリーニングシートや記録材に転写してクリーニングを行うものであるため、クリーニング効果の点でなお満足できるものではない。
【0013】
そこで本発明は、記録材上に形成された未定着トナー像を該記録材に定着させる定着用回転体対を有する定着装置を備えた画像形成装置における該定着装置のクリーニング方法であって、定着用回転体上の汚れを従来の複雑なクリーニング機構によらずに、また、熱によらずに、簡単に効果的に除去でき、それだけ画像形成装置を小型、低価格で提供できるとともにそのメインテナンスの簡略化及びロングライフ化を実現できる定着装置クリーニング方法を提供することを課題とする。
【0014】
また本発明は、記録材上に形成された未定着トナー像を該記録材に定着させる定着用回転体対を有する定着装置を備えた画像形成装置であって、定着用回転体上の汚れを従来の複雑なクリーニング機構によらずに、また、熱によらずに、簡単に効果的に除去でき、それだけ小型、低価格で提供できるとともにメインテナンスの簡略化及びロングライフ化を実現できる画像形成装置を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記課題を解決すべく研究を重ね、次の知見を得た。
クリーニングモードにおいてクリーニング用媒体を定着装置へ搬送し、該定着装置における定着用回転体対のニップ部にかみ込ませ、その状態でクリーニング用媒体の搬送速度をトナー画像を形成する記録材の正規の搬送速度(画像形成モード時の搬送速度)より低下させる一方、定着装置の定着用回転体対は回転させておけば、該回転体対がクリーニング用媒体に対しスリップ動作(擦り動作)し、このスリップ動作により定着用回転体上の汚れがクリーニング用媒体に拭き取られる。しかもそのとき定着用回転体は加熱しなくてもよい。
【0016】
このような定着装置クリーニングにより、定着用回転体上のトナー等による汚れを従来の複雑なクリーニング機構によらずに、また、熱によらずに、定着装置の分解を要することなく簡単に効果的に除去できる。複雑なクリーニング機構を採用しなくてもよいので、それだけ画像形成装置を小型、低価格で提供できるともに画像形成装置のメインテナンスを簡略化できる。画像形成装置のロングライフ化も実現できる。
【0017】
本発明はかかる知見に基づき次の定着装置クリーニング方法及びその実施に適する画像形成装置を提供する。
(1)定着装置クリーニング方法
記録材上に形成された未定着トナー像を該記録材に定着させる定着用回転体対を有する定着装置を備えた画像形成装置における該定着装置のクリーニング方法であり、
定着装置クリーニングにあたりクリーニング用媒体を定着装置に搬送して該定着装置における定着用回転体対のニップ部にかみ込ませる工程と、
前記定着用回転体対のニップ部が前記クリーニング用媒体をかみ込んだ状態で該クリーニング用媒体の搬送速度を前記記録材の正規の搬送速度より低下させる工程と、
前記クリーニング用媒体の搬送速度が低下せしめられている状態で前記定着用回転体対を回転させて該クリーニング用媒体に対しスリップ動作させる工程と、
を含む定着装置クリーニング方法。
(2)画像形成装置
記録材上に形成された未定着トナー像を該記録材に定着させる定着用回転体対を有する定着装置を備えた画像形成装置であって、
定着装置クリーニングにあたりクリーニング用媒体を定着装置に搬送する媒体搬送装置と、
前記定着用回転体対のニップ部が前記媒体搬送装置により搬送されてくる前記クリーニング用媒体をかみ込んだ状態で該クリーニング用媒体の搬送速度を前記記録材の正規の搬送速度より低下させる媒体搬送制御装置と、
前記媒体搬送制御装置により前記クリーニング用媒体の搬送速度が低下せしめられている状態で前記定着用回転体対を回転させて該クリーニング用媒体に対しスリップ動作させる定着装置動作制御装置と、
を備えている画像形成装置。
【0018】
前記定着装置クリーニング方法及び画像形成装置において、「クリーニング用媒体搬送速度を記録材の正規の搬送速度より低下させる」とは、換言すれば「クリーニング用媒体搬送速度を通常の画像形成モードにおける記録材の搬送速度より低下させる」ことであり、それは、
(1) 媒体搬送装置による搬送を中断させること、
(2) 媒体搬送装置による搬送は続けるが、その搬送速度を記録材の正規の搬送速度より低下させること、
(3) 媒体搬送装置による搬送は続けるが、間欠的に搬送すること(従って間欠的搬送全体としては搬送速度が記録材の正規の搬送速度より低下すること)、
(4) 媒体搬送装置以外の手段で媒体搬送を中断したり、阻止したりすること、
(5) これらの2以上の組み合わせ、
などである。
【0019】
なお、画像形成装置は通常、記録材の詰まり(ジャム)を検出する装置が付いているが、ジャム検出装置のある画像形成装置の場合、定着装置クリーニングのためにクリーニング用媒体の搬送速度が記録材の正規の搬送速度より低下せしめられている間は、換言すればクリーニング用媒体に対する定着用回転体対のスリップ動作の間はジャム検出を禁止する構成とすればよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。以下に説明する画像形成装置はいずれも基本的にはクリーニング用媒体を定着装置に搬送する媒体搬送装置と、該定着装置の定着用回転体対のニップ部が搬送されてくるクリーニング用媒体をかみ込んだ状態でクリーニング用媒体の搬送速度をトナー画像を形成する記録材の正規の搬送速度より低下させる媒体搬送制御装置と、クリーニング用媒体の搬送速度が低下せしめられている状態で定着用回転体対を回転させて該クリーニング用媒体に対しスリップ動作させる定着装置動作制御装置とを備えている。
【0021】
クリーニング用媒体の搬送速度が低下せしめられている状態での定着用回転体対の回転速度は、それには限定されないが、代表的には正規のもの、換言すれば画像形成モード時のものとすればよい。場合によっては、前記スリップ動作がなされる範囲で正規のものより低速にしてもよい。
(第1実施形態)
第1実施形態の画像形成装置は、前記基本構成の画像形成装置において、前記媒体搬送制御装置が前記媒体搬送装置動作を制御するものであり、該媒体搬送制御装置は、前記定着用回転体対のニップ部が前記媒体搬送装置により搬送されてくる前記クリーニング用媒体をかみ込んだ状態で該媒体搬送装置による該クリーニング用媒体の搬送を中断させ、該搬送中断による前記定着用回転体対の該クリーニング用媒体に対する所定時間のスリップ動作の後、該媒体搬送装置による該クリーニング用媒体排出のための搬送を許可する画像形成装置である。
【0022】
その1例を図1から図4を参照して説明する。
図1は第1実施形態の画像形成装置例の構成を概略的に示しており、図2は図1の画像形成装置において定着装置クリーニングを行っている状態を示しており、図3はクリーニング工程説明図であり、図4はクリーニングモードにおけるクリーニング制御のフローチャートである。
【0023】
図1に示す画像形成装置は、略中央部にイメージングカートリッジ1を有し、その上方に画像露光装置(いわゆるプリントヘッド)2を、さらに上方に画像読み取り装置3を有している。
カートリッジ1の下方には記録材(ここでは記録紙S)を収容する給紙トレイ5並びに給紙ローラ6及びこれに対向する搬送ローラ61備えている。
【0024】
給紙ローラ6から上方へ向けて、さらにカートリッジ1の側方からその上方へかけて、記録材通路を形成するための図示省略のガイド部材が配置されており、該記録材通路に沿って画像形成用タイミングローラ対7、転写ローラ8、クリーニング用タイミングローラ対9、定着装置10、排紙ローラ対DRが順次配置されており、排紙ローラ対DRは排紙トレイ4に臨んでいる。
【0025】
排紙トレイ4は装置カバーCの一部を利用して形成されており、画像露光装置2と画像読み取り装置3の間に位置している。
装置カバーC内には画像形成装置の動作を制御する制御部CONTも設けられている。
【0026】
これら各部についてさらに説明する。
イメージングカートリッジ1は、ドラム型の感光体11を含んでおり、感光体11に帯電装置(ここでは帯電ローラ)12及び現像ローラ13が臨んでいる。現像ローラ13の側方には、それには限定されないが、ここでは1成分現像剤(トナー)Tを収容するトナー収容部131が有り、ここにはトナー攪拌供給回転部材132が配置されている。部材132と現像ローラ13の間にトナー供給回転部材133があり、現像ローラ13に臨んでいる。帯電ローラ12と現像ローラ13の間には画像露光用のスリットが形成されている。転写ローラ8は感光体11に臨んでいる。
【0027】
画像読み取り装置3はこれに設けられた図示省略の原稿台上に載置される原稿の画像を光学的に走査し、光電変換して画像データとして読み取るもので、画像露光装置2は図示省略の半導体レーザー、ポリゴンミラー等を含んでおり、画像読み取り装置3で得られた画像データに基づいてカートリッジ1における感光体11に画像露光を施すものである。
【0028】
なお、画像露光装置2及び画像読み取り装置3に代えて、アナログ複写機における画像読み取り部のごときものを採用し、該画像読み取り部で原稿画像を光学的に走査するとともに該画像読み取り部から感光体11に画像露光を施すようにしてもよい。
【0029】
給紙トレイ5は先端部511が上下に揺動可能の押上板51を含んでおり、記録紙Sの供給時には押上板51の先端部511を給紙ローラ6に下方から接近するように駆動できる。給紙トレイ5の上方には折り畳み式の手差しトレイ50も設けられている。
【0030】
定着装置10は定着用回転体対として、ここでは定着ローラ101と加圧ローラ102を有している。
【0031】
定着ローラ101は従来の定着ローラと同様のものであり、アルミニゥム、鉄などからなる断面円形の中空状金属体の表周面にシリコンゴム、PTFE(ポリ4フッ化エチレン)等の離型材をコーティングし、必要に応じ、さらにその表面にシリコン系等のオイルを塗布したもので、ローラ中心軸上には図示省略の加熱源(通常は電気ヒータ)が設けられ、これにより定着ローラ表面温度を記録紙Sにトナー像を定着するための温度に設定することができる。
【0032】
加圧ローラ102も従来の加圧ローラと同様のものであり、金属製芯金上にシリコン等からなる耐熱性ゴム層を設け、必要に応じ、さらにその表面をフッソ樹脂(代表的にはPTFE)チューブなどで被覆したものである。
【0033】
後述するように、定着装置クリーニングのためのクリーニング用媒体搬送装置を構成する給紙ローラ6、画像形成用タイミングローラ対7、感光体11、転写ローラ8等も画像形成装置において従来から使用されているものである。クリーニング用タイミングローラ対9も画像形成用タイミングローラ対7と同様のものである。
【0034】
制御部CONTは画像形成装置の動作を制御するもので、前記した各部は制御部CONTからの指示に基づいて動作する。制御部CONTにはまた、画像読み取り装置3に付設した操作パネルPAが接続されている。
【0035】
操作パネルPAには、画像形成開始を指示するプリントキーK1、画像形成枚数の設定等に用いるテンキーK2、各種情報を表示する液晶ディスプレイ部DS等のほか、さらに定着装置クリーニングモード設定キーK3も設けられている。
【0036】
以上説明した画像形成装置によると、画像形成モードにおいては、イメージングカートリッジ1において感光体11が図1中反時計方向に回転駆動され、その表面が帯電用電圧を印加された帯電ローラ12により所定電位に一様に帯電され、その帯電域にプリントヘッド2から画像露光される。プリントヘッド2は、画像読み取り装置3において読み取られた原稿の画像データに基づいて感光体11表面に画像露光する。
【0037】
かくして感光体11上に静電潜像が形成され、この潜像は現像ローラ13により現像されて可視トナー像とされ、感光体11の回転によって転写ローラ8が位置する転写領域へ移動していく。
【0038】
一方、給紙トレイ5に収容された記録紙Sが給紙ローラ6と搬送ローラ61により1枚ずつ引き出され、タイミングローラ対7へ搬送される。タイミングローラ対7は感光体11上のトナー像と同期をとって記録紙Sを転写領域へ送り込む。転写領域においては転写電圧を印加された転写ローラ8により感光体上トナー像が記録紙S上に転写される。
【0039】
このようにトナー像が転写された記録紙Sは、画像形成モードにおいては記録紙搬送ローラとして作用するクリーニング用タイミングローラ対9を経て定着装置10へ搬送され、そこの定着ローラ101と加圧ローラ102のニップ部を通過するときにトナー像が加熱加圧下に定着され、その後排紙ローラDRにより排紙トレイ4上に排出される。
【0040】
このように記録紙S上に画像形成できるのであるが、画像形成を繰り返すうちに定着装置10の定着ローラ101や加圧ローラ102の表面が次第にトナー等で汚れていく。そこで、この画像形成装置では図2乃至図4に示すように定着装置クリーニングを実施できる。
【0041】
先ず、予め準備したクリーニング用媒体Scを給紙トレイ5に収容するとともに、操作パネルPAにおける定着装置クリーニングモード設定キーK3を押してクリーニングモードを設定する。なお、キーK3をもう一度押すとクリーニングモードが解除され、通常の画像形成モードに戻る。
【0042】
クリーニング用媒体Scは、一般的に言えば、定着ローラの熱や画像形成装置各部での媒体搬送力に耐え、定着用回転体対の汚れを落とし、しかも定着用回転体を傷つけないものが好ましい。例えば耐熱温度200℃以上、耐引っ張り荷重50N(約5kg)以上のものが望ましい。具体的には、大型複写機で採用されているウエッブクリーニング方式で用いる耐熱性の不織布、紙、布、フェルト等を使用できる。ここでも、そのようなウエッブクリーニング方式で用いるクリーニング用媒体を採用する。なお、支障がなければ、通常の記録紙もクリーニング用媒体として使用できる。
【0043】
次いでプリントキーK1を押す。すると、クリーニングモードがスタートし、制御部CONTによる図4のフローチャートに示す制御のもとに、給紙ローラ6、搬送ローラ61、タイミングローラ対7、感光体11、転写ローラ8及びクリーニング用タイミングローラ対9、定着ローラ101、加圧ローラ102及び排紙ローラ対DR等が画像形成モードにおいて記録紙Sを搬送するときと同様に駆動開始される(図4のステップS1)。引き続き媒体Scが給紙ローラ6に引き出され、画像形成用タイミングローラ対7、感光体11及び転写ローラ8のニップ部を経てクリーニング用タイミングローラ対9へ送られる〔図3(A)、図4のステップS2〕。
【0044】
タイミングローラ対9は図3(D)に示すように、平行なローラ軸91、91のそれぞれにローラ92を間隔をあけて複数個支持させたもので、ローラ92間には媒体検出センサSaが配置されている。センサSaは記録紙通過のときそれに保持されたトナー像を乱さないように記録紙の裏面に接触するように配置されている。
【0045】
媒体Scがタイミングローラ対9に到達してセンサSaにて検出されてから(図4のステップS3)所定時間の経過後、すなわち、該媒体Scが定着ローラ101と加圧ローラ102のニップ部に入り込み、さらに少なくとも媒体Scの先端が該ニップ部を通り抜けるに要する時間の経過ののち、タイミングローラ対9及びそれより上流側(媒体搬送方向において上流側)の回転ローラ群及び感光体11が停止される〔図3(B)、図4のステップS4〕。このとき、定着ローラ101及び加圧ローラ102については記録紙Sを正規の(画像形成モードにおける)搬送速度で搬送できる速さで回転させ続ける。かくして媒体Scが定着ローラ101と加圧ローラ102にかみ込まれた状態で媒体Scの搬送が中断され、定着ローラ101及び加圧ローラ102は搬送が中断された媒体Scに対しスリップ動作を開始し、これによりそれらローラ101、102のクリーニングが開始され、それらローラ101、102上のトナー等による汚れが媒体Scに擦り落とされる。なお、クリーニング時における定着ローラ101及び加圧ローラ102の回転速度は媒体Scに対するこれらローラのスリップ動作が可能な範囲で画像形成モードにおけるそれより低速にしてもよい。この点は後述する第4、第5実施形態においても同様である。
【0046】
かかるクリーニング開始後所定時間(クリーニングに要する時間、例えば定着ローラ101等が10回転以上回転するに要する時間、それとは限らないが例えば5秒間程度)の経過の後、すなわちクリーニングが終了すると(図4のステップS5)、再びタイミングローラ対9及びそれより上流側のローラ群及び感光体11が再駆動開始され〔図3(C)参照、図4のステップS6〕、媒体Scは排紙ローラ対DRを経て排紙トレイ4に排出され(図4のステップS7)、クリーニングモードは終了する。
【0047】
以上の説明から分かるように、給紙ローラ6、搬送ローラ61、タイミングローラ対7、感光体11、転写ローラ8及びクリーニング用タイミングローラ対9はクリーニング用媒体Scを定着装置へ搬送する媒体搬送装置を兼ねている。また、制御部CONTは、定着装置クリーニングにあたり媒体Scの搬送装置の動作を制御する媒体搬送制御装置として機能する部分及び定着用ローラ対101、102を回転させつづけて媒体Scに対しそれらをスリップ動作させる定着装置動作制御装置として機能する部分を含んでいる。
【0048】
ここで、媒体Scをタイミングローラ対9と定着用ローラ対101、102の両方で挟んだ状態でタイミングローラ対9を停止させてローラ対101、102を媒体Scに対しスリップ動作させるための条件等について説明しておく。
【0049】
ローラ対101、102を媒体Scに対しスリップ動作させるための条件は、定着用ローラ対101、102による媒体Scの搬送力をfa、定着用ローラ対101、102と媒体Scとの摩擦力をfbとすると、fa>fbであり、
媒体Scが停止する条件は、タイミングローラ対9或いはタイミングローラ対9以前の媒体搬送系の保持力をfgすると、fg>fbであり、
定着装置10において媒体Scが破れない条件は、媒体Scが破れる限界の力をLとすると、fb<Lである。
【0050】
十分なクリーニング効果をあげるために、定着用ローラ対101、102による媒体Scの搬送力を概ね1.7kgf〜8.3kgf程度とする場合を例示できる。
【0051】
なお、以上の説明では定着装置クリーニングを開始するタイミングをクリーニング用タイミングローラ対に媒体Scが到来してから前記所定時間経過後としたが、クリーニング開始タイミングは画像形成用タイミングローラ対7に媒体Scが到来してから媒体Scが定着用ローラ対のニップ部にかみ込まれるまでに要する時間を計測して決定してもよい。このようにするとタイミングローラ対9を不要とすることが可能となり、画像形成装置のコストをそれだけ抑制することができる。また、クリーニング開始タイミングは例えば感光体11と転写ローラ8のニップ部の下流側に設けた媒体検出センサ(記録紙通過のときは記録紙上トナー像に接触しないように記録紙裏面に接触するか、又は非接触型のセンサ)による媒体Sc検出からの時間計測によって決定したり、媒体Scが長いものである場合には、定着装置10の下流側に配置される排紙センサによる媒体Scの検出によりクリーニングを開始してもよい。
(第2実施形態)
第2実施形態の画像形成装置は、前記基本構成の画像形成装置において、前記媒体搬送制御装置が前記媒体搬送装置動作を制御するものであり、該媒体搬送制御装置は、前記定着用回転体対のニップ部が前記媒体搬送装置により搬送されてくる前記クリーニング媒体をかみ込んだ状態で該媒体搬送装置による該クリーニング用媒体の搬送を続けさせるが、該媒体搬送速度を前記記録材の正規の搬送速度より低速にし、それによる前記定着用回転体対の該クリーニング用媒体に対する所定時間のスリップ動作の後、該媒体搬送装置による該クリーニング用媒体排出のための搬送を許可する画像形成装置である。
【0052】
その具体的1例を説明すると、それは図1に示す画像形成装置において、制御部CONTによる図4に示す制御におけるステップS4を、タイミングローラ対9及びそれより上流側の回転ローラ群及び感光体11を正規の(画像形成モードにおける)記録紙Sの搬送速度を得るより低速で回転させるステップに置き換えるとともに、図4に示す制御におけるステップS6を、タイミングローラ対9及びそれより上流側の回転ローラ群及び感光体11を記録紙Sの正規搬送速度を得る回転速度に戻すステップに置き換えたものである。
【0053】
このように媒体Scを低速化することによっても、画像形成モードのときと同じ速度で回転する定着用ローラ対101、102は媒体Scに対しスリップ動作し、それにより該ローラ対はクリーニングされる。なお、定着用ローラ対101、102の回転速度を低速移動する媒体Scに対し該ローラ対がスリップ動作する範囲で画像形成モード時の回転速度より低速にすることも可能である。
【0054】
いずれにしてもこのクリーニングによると、クリーニング用媒体Scの広い範囲をクリーニングに使用できる。
(第3実施形態)
第3実施形態の画像形成装置は、前記基本構成の画像形成装置において、前記媒体搬送制御装置が前記媒体搬送装置動作を制御するものであり、該媒体搬送制御装置は、前記定着用回転体対のニップ部が該媒体搬送装置により搬送されてくる前記クリーニング用媒体をかみ込んだ状態で該媒体搬送装置による該クリーニング用媒体の搬送を続けさせるが、該媒体搬送を間欠的に行わせ、それによる前記定着用回転体対の該クリーニング用媒体に対する所定時間のスリップ動作の後、該媒体搬送装置による該クリーニング用媒体排出のための搬送を許可する画像形成装置である。
【0055】
この画像形成装置の場合、定着用回転体対はクリーニング用媒体に対し間欠的にスリップ動作するので、前記「所定時間のスリップ動作」の該「所定時間」としては、媒体を間欠的に搬送する間の時間としてもよいし、定着用回転体対が媒体に対し実際にスリップ動作する時間の合計時間としてもよい。
【0056】
この実施形態の具体的1例を説明すると、それは図1に示す画像形成装置において、制御部CONTによる図4に示す制御におけるステップS4を、タイミングローラ対9及びそれより上流側の回転ローラ群及び感光体11を間欠的に回転させ、これにより媒体Scを定着用ローラ対101、102のニップ部に間欠的に通過させるステップに置き換えるとともに、図4に示す制御におけるステップS6を、タイミングローラ対9及びそれより上流側のローラ群及び感光体11を連続回転に戻すステップに置き換えたものである。
【0057】
このように媒体Scを間欠的に搬送することによっても、その間欠的搬送における媒体Scの停止時に定着用ローラ対101、102が停止媒体Scに対しスリップ動作し、それにより該ローラ対はクリーニングされる。
【0058】
このクリーニングによっても、クリーニング用媒体Scの広い範囲をクリーニングに使用できる。
【0059】
なお、この実施形態の場合、媒体Scの停止時に定着ローラ101や加圧ローラ102上の同じ部分ばかりが媒体Scに接触せず、クリーニングの終了までにはローラ101、102の表周面の全体が媒体Scに対しスリップ動作しているように媒体Scの間欠的送りを制御する。定着用ローラ対101、102の回転速度については、クリーニングのためのスリップ動作を可能とする範囲で画像形成モード時のそれより低速にすることも可能である。
(第4実施形態)
第4実施形態の画像形成装置は、前記基本構成の画像形成装置において、前記媒体搬送制御装置が少なくとも前記クリーニング用媒体の保持装置を含んでおり、該保持装置は、前記定着用回転体対のニップ部が前記媒体搬送装置により搬送されてくる前記クリーニング用媒体をかみ込んだ状態で該クリーニング用媒体を保持して該媒体の搬送を中断し、該搬送中断されたクリーニング用媒体に対する前記定着用回転体対の所定時間のスリップ動作の後、該クリーニング用媒体の保持を解除する画像形成装置である。
【0060】
その具体的1例を説明すると、それは図1に示す画像形成装置において、クリーニング用タイミングローラ対9に代えて、図5に示すように、媒体Scの搬送路に媒体保持装置90を設け、該装置90は媒体搬送路を間にして配置された一対の媒体保持部材901を含むものとし、制御部CONTによる図4に示す制御におけるステップS4中の「ローラ対9等停止」を「上流側回転ローラ群等停止及び一対の保持部材901による媒体Scの保持」に置き換えるとともに、ステップS6における「ローラ対9等の再駆動開始」を「上流側回転ローラ群等の再駆動開始及び一対の保持部材901の開放」に置き換えたものである。
【0061】
一対の保持部材901は図示省略の駆動装置により媒体Scを通過させる開放位置(図5(A)参照)と媒体Scを挟着保持する位置(図5(B)参照)とを選択的にとることができる。媒体Sc検出センサSaは保持部材901の近傍に配置される。
【0062】
この実施形態においても、媒体Scの搬送が保持部材901、901による媒体Scの挟着保持により中断されることで、定着用ローラ対101、102が媒体Scに対しスリップ動作し、それらローラがクリーニングされる。
【0063】
なお、この実施形態においては、媒体Scが損傷したり、クリーニング後の媒体Scの排出等に支障がないのであれば、保持部材が媒体Scを挟着保持するとき、それより上流側の回転ローラ群等は駆動状態のままでもよい。
(第5実施形態)
第5実施形態の画像形成装置は、前記基本構成の画像形成装置において、前記媒体搬送制御装置が少なくとも前記クリーニング用媒体に設けられたストッパ部材を含んでおり、該ストッパ部材は、前記定着用回転体対のニップ部が前記媒体搬送装置により搬送されてくる前記クリーニング媒体をかみ込んだ状態で該媒体搬送装置に支えて該クリーニング用部材の搬送を阻止できるものであり、前記定着装置動作制御装置は、前記定着用回転体対ニップ部にかみ込まれて搬送阻止されるクリーニング用媒体に対し前記定着用回転体対を所定時間スリップ動作させた後、該定着用回転体対を停止させて該クリーニング用媒体の前記搬送の方向とは逆方向への引き抜きを可能にする画像形成装置である。
【0064】
その具体的1例を図6に示す。図6の画像形成装置は図1に示す画像形成装置において、クリーニング用媒体としてストッパ部材STを設けた媒体Scを用いるとともに、制御部CONTによる図4に示す制御を図8に示す制御に置き換えたものである。その他は図1に示す画像形成装置と同様であり、図1の画像形成装置と同じ部品には図1と同じ参照符号を付してある。
【0065】
この画像形成装置における定着装置クリーニングは次のように実施される。
【0066】
先ず、ストッパ部材ST付きのクリーニング用媒体Scを給紙トレイ5に収容するとともにクリーニングモードを設定する。
【0067】
クリーニングモードがスタートすると、制御部CONTによる図8のフローチャートに示す制御のもとに、給紙ローラ6、搬送ローラ61、タイミングローラ対7、感光体11、転写ローラ8及びクリーニング用タイミングローラ対9、定着ローラ101、加圧ローラ102及び排紙ローラ対DR等が駆動開始される(図8のステップS10)。これにより、媒体Scはクリーニング用タイミングローラ対9へ向け搬送開始される(図8のステップS20)。
【0068】
媒体Scがタイミングローラ対9に到達してセンサSa(図3(D)参照)にて検出されてから〔図7(A)、図8のステップS30〕、媒体Scが定着ローラ101と加圧ローラ102のニップ部に入り込み、さらに媒体Scの先端が該ニップ部を通り抜けるとともに媒体Sc上のストッパ部材STが丁度給紙ローラ6に当接する位置に到来するに要する時間(所定時間)の経過ののち、タイミングローラ対9及びそれより上流側の回転ローラ群及び感光体11が停止される〔図7(B)、図8のステップS40〕。かくして媒体Scが定着ローラ101と加圧ローラ102のニップ部にかみ込まれた状態で媒体Scの搬送が阻止され、定着用ローラ対101、102が媒体Scに対しスリップ動作を開始し、それらローラのクリーニングが開始される。
【0069】
クリーニング開始後、クリーニングに要する所定時間の経過の後、すなわちクリーニングが終了すると(図8のステップS50)、定着用ローラ対101、102を停止させ(図8のステップS60)、操作パネルPAに予め設けておいた媒体Sc引き抜き指示表示部(図示省略のランプ等或いは表示部DS)に表示させる(図8のステップ70)。かくして媒体Scを、その後端部を掴んで、それまでの媒体Sc搬送方向とは逆方向に引き抜くことができる。媒体Scの引き抜き除去が前記センサSaの媒体非検出により検知されると(図8のステップS80)、クリーニングモードが終了する。なお、媒体Scの引き抜き完了を検知する別のセンサを設けてもよい。
【0070】
以上の説明から分かるように、第5実施形態の画像形成装置における制御部CONTは、定着装置クリーニングにあたり媒体Scの搬送装置部分の動作を制御する媒体搬送制御装置として機能する部分及び媒体Sc引き抜きにあたり定着用ローラ対101、102を停止させる定着装置動作制御装置として機能する部分を含む。
【0071】
以上説明した図6の画像形成装置では、媒体Scがタイミングローラ対9にあるセンサSaに検出されてから、前記の所定時間の経過の後にタイミングローラ対9、給紙ローラ6等が停止されるが、センサSaに代えて、媒体Sc上のストッパ部材STが給紙ローラ6に当接するタイミングで媒体Scを検出するセンサを設け、該センサが媒体Scを検出するとタイミングローラ対9以前のローラ等を停止させてクリーニングを開始させるとともに該センサが媒体Scを検出してからクリーニングに要する時間の経過ののち、定着用ローラ対を停止させて媒体Scの引き抜きを可能にしてもよい。
【0072】
いずれにしてもストッパ部材STが給紙ローラ6に支える状態では媒体Scが定着用ローラ対101、102にかみ込まれるように媒体Scの長さ及び媒体Sc上のストッパ部材の位置を定めておく。
【0073】
また、いずれにしてもストッパ部材STは給紙ローラ6が傷つかない程度に柔らかいゴム等の材料で形成することが好ましい。図示の例ではストッパ部材STは媒体Scを挟み込むように設けられているが、媒体Scの片面に貼着する等してもよい。
【0074】
次に第5実施形態に属する画像形成装置の他の具体例を図9に示す。
図9の画像形成装置は、図1の画像形成装置において、手差しトレイ50に代えて、記録紙やクリーニング用媒体を挿入できるスリットを有する部材G及び該部材から記録紙やクリニング用媒体を、給紙トレイ5’からの記録紙搬送路に割り込む態様で画像形成用タイミングローラ対7へ案内する案内部材PLを設けるとともに、クリーニング用タイミングローラ対9を除去したものである。また、クリーニング用媒体Scとして図10に例示するように媒体Scの後端部にストッパ部材ST’を有するものを採用する。その他は図1に示す画像形成装置と同様であり、図1の画像形成装置と同じ部品には図1と同じ参照符号を付してある。画像形成装置の動作は本例での制御部CONT’の指示に基づいてなされる。
【0075】
スリット付き部材Gは記録紙やクリーニング用媒体のガイドとしても機能させるために、ここでは樹脂或いは板金で形成する。
【0076】
クリーニング用媒体Sc上のストッパ部材ST’は、定着装置クリーニング後に該媒体Scを手で引き抜く際の安全性を考慮して、それには限定されないが、ここでは樹脂或いは厚手のボール紙で媒体Scの端部を挟み込む形態に形成され、接着又は圧入により媒体端部に取り付けられている。部材ST’には引き抜きを容易にするために、図9及び図10に示すように指F(図9参照)を挿入できる穴Hが形成されている。媒体Scはそのストッパ部材ST’が手差し部の部材Gに当接するまで挿入したとき、先端が定着ローラ101と加圧ローラ102のニップ部を通ってその先まで達する長さを有している。
【0077】
この画像形成装置における定着装置クリーニングは次のように実施される。
先ず、画像形成装置をクリーニングモードに設定して、タイミングローラ対7、感光体11、転写ローラ8、定着用ローラ対101、102等を駆動回転する。
【0078】
その状態でストッパ部材ST’付きの媒体Scをその先端から部材Gのスリットに手差し挿入し、さらにタイミングローラ対7まで挿入する。すると媒体Scはそこからローラ対7並びに感光体11と転写ローラ8のニップ部を経て定着装置10へ送り込まれ、定着ローラ101と加圧ローラ102のニップ部にかみ込まれた状態となり、且つ、ストッパ部材ST’が部材Gに当接してそれ以上の搬送が阻止される。この段階では、媒体Scの損傷その他の支障がないのであれば、タイミングローラ対7、感光体11及び転写ローラ8は駆動しつづけてもよいが、ここではこれらを停止させる。
【0079】
部材G、タイミングローラ対7、感光体11と転写ローラ8のニップ部等はクリーニング用媒体Scを定着装置10へ搬送する媒体搬送装置を兼ねている。
【0080】
かくして定着ローラ101、加圧ローラ102は搬送を阻止された媒体Scに対しスリップ回転動作し、これにより定着ローラ101及び加圧ローラ102上のトナー汚れ等が媒体Scに擦り取られ、それらローラがクリーニングされる。
【0081】
クリーニング後は、媒体上のストッパ部材ST’の穴Hに指Fを挿入する等して媒体Scを逆方向に引っ張って抜き取る。このとき、媒体Scの破損や定着用ローラ対101、102の損傷等の支障がないのであれば、定着用ローラ対101、102は駆動したままでもよいが、ここではそれらを停止させる。タイミングローラ対7、感光体11及び転写ローラ8についても同様である。
【0082】
図9に示す画像形成装置の場合も、クリーニング後媒体Scの引き抜きを指示する表示部を設けたり、媒体Scの引き抜き除去を検知するセンサを設けて、該センサによる媒体Scの引き抜き完了検出によりクリーニングモードを終了する構成とすればよい。
【0083】
以上説明した各実施形態における定着装置クリーニグにおいては、定着ローラ101や加圧ローラ102のクリーニングにあたり、定着ローラ101を加熱する必要はないが、加熱してもよい。加熱する必要がないことから言えば、クリーニング用媒体Scはそれほど耐熱性は要求されないが、定着ローラ101が未だ熱いうちにクリーニングを開始することがある場合に備えて、前記のように耐熱性を有するものが好ましいと言える。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によると、記録材上に形成された未定着トナー像を該記録材に定着させる定着用回転体対を有する定着装置を備えた画像形成装置における該定着装置のクリーニング方法であって、定着用回転体上の汚れを従来の複雑なクリーニング機構によらずに、また、熱によらずに、定着装置の分解を要することなく簡単に効果的に除去でき、それだけ画像形成装置を小型、低価格で提供できるとともにそのメインテナンスの簡略化及びロングライフ化を実現できる定着装置クリーニング方法を提供することができる。
【0085】
また本発明によると、記録材上に形成された未定着トナー像を該記録材に定着させる定着用回転体対を有する定着装置を備えた画像形成装置であって、定着用回転体上の汚れを従来の複雑なクリーニング機構によらずに、また、熱によらずに、定着装置の分解を要することなく簡単に効果的に除去でき、それだけ小型、低価格で提供できるとともにメインテナンスの簡略化及びロングライフ化を実現できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の画像形成装置例の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の画像形成装置において定着装置クリーニングを行っている状態を示す図である。
【図3】図1に示す画像形成装置におけるクリーニング工程の説明図である。
【図4】図1の画像形成装置における定着装置のクリーニングモードでのクリーニング制御を示すフローチャートである。
【図5】第4実施形態の画像形成装置における定着装置クリーニング工程を示す図である。
【図6】第5実施形態の画像形成装置の1例の構成を概略的に示す図である。
【図7】図6に示す画像形成装置におけるクリーニング工程の説明図である。
【図8】図6の画像形成装置における定着装置のクリーニングモードでのクリーニング制御を示すフローチャートである。
【図9】第5実施形態の画像形成装置の他の例の構成を概略的に示す図である。
【図10】クリーニング用媒体の他の例の斜視図である。
【符号の説明】
1 イメージングカートリッジ
11 感光体
12 帯電装置(帯電ローラ)
13 現像ローラ
T トナー
131 トナー収容部
132 トナー攪拌供給回転部材
133 トナー供給回転部材
2 画像露光装置(いわゆるプリントヘッド)
3 画像読み取り装置
4 排紙トレイ
5 給紙トレイ
51 押上板
52 押上板の先端部
50 手差しトレイ
6 給紙ローラ
61 搬送ローラ
7 画像形成用タイミングローラ対
8 転写ローラ
9 クリーニング用タイミングローラ対
91 ローラ軸
92 ローラ
Sa 媒体検出センサ
10 定着装置
101 定着ローラ
102 加圧ローラ
DR 排紙ローラ対
C 装置カバー
PA 操作パネル
CONT 制御部
C 装置カバー
S 記録紙
Sc クリーニング用媒体
ST、ST’ ストッパ部材
K1 プリントキー
K2 テンキー
K3 クリーニングモード設定キー
DS 液晶ディスプレイ部
90 媒体保持装置
901 媒体保持部材
G スリット付き部材
PL 記録紙等案内部材
【発明の属する技術分野】
本発明は記録材上に形成された未定着トナー像を該記録材に定着させる定着装置を備えた画像形成装置における該定着装置のクリーニング方法及び該定着装置クリーニング方法の実施に適する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、電子写真方式等の作像手法により原稿画像に応じたトナー像を記録材上に形成し、該未定着トナー像を定着装置を用いて記録材に定着する。
【0003】
定着装置は一般的には一対の定着用の回転体を有している。そのうち一方は記録材上の未定着トナー像に接触してこれを加熱溶融させる加熱回転体であり、他方は加熱回転体へ記録材を押圧するための加圧回転体である。
【0004】
このような定着装置において未定着トナー像を記録材に加熱加圧下に定着させる場合、溶融不良トナーや、溶融しすぎたトナーが生じることがあり、これらトナーは加熱回転体表面にオフセット付着し、さらに、記録材が両回転体ニップ部を通過していないときに加圧回転体表面に転移付着していく。
【0005】
このように定着用の回転体に付着したトナー汚れは記録材の回転体への巻きつき、記録材裏面の汚れ等を引き起こす原因となる。
【0006】
このため画像形成装置に定着装置のクリーニング機構を搭載することが行われてきたが、近年、画像形成装置の小型化、低コスト化が求められ、かかる小型で低価格の画像形成装置では画像形成装置の大型化、高価格化を招く複雑なクリーニング機構を搭載し難くなっている。そのため小型で低価格の画像形成装置では、定着装置の汚れが増してくると、該装置を交換したり、分解清掃することが一般的に行われている。
【0007】
一方、複雑でコスト高につくクリーニング機構を設けないで定着装置をクリーニングする手法として次のようなものも提案されている。
【0008】
例えば、特開平2−160276号公報は、遅くとも定着用回転体に搬送される際に粘着性を示す粘着層を表面に有するクリーニングシートを定着装置に通して回転体上のトナー汚れをそれに転写し除去するクリーニング方法を開示している。かかるクリーニングシートとして、シートの略全面に予めトナーを定着させたシートを開示しており、該シートが定着装置に突入することにより該トナーが加熱されて粘着性を発現し、定着用回転体上のトナー汚れを除去するようにしている。
【0009】
また、特開平11−344888号公報は、定着装置のクリーニングにあたり、記録材を定着ニップ部にくわえ込ませ、該定着ニップ部の加熱、その後の冷却により該記録材に接触しているトナー汚れを記録材に転写し、次いで記録材を所定量送ったところで再び定着ニップ部の加熱、その後の冷却により次のトナー汚れを記録材に転写するという操作を繰り返してクリーニングを行うことを開示している。
【0010】
特開平2000−147930号公報は、定着装置のクリーニングにあたり、記録材を定着ニップ部に、未定着トナー像を記録材に定着させるときよりも低速で通過させ、その間に定着ニップ部の加熱、冷却を繰り返すなどしてトナー汚れを記録材に転写してクリーニングすることを開示している。
【0011】
【特許文献1】特開平2−160276号公報
【特許文献2】特開平11−344888号公報
【特許文献3】特開平2000−147930号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる文献記載の定着装置クリーニングはいずれも熱により定着用回転体上のトナー汚れをクリーニングシートや記録材に転写してクリーニングを行うものであるため、クリーニング効果の点でなお満足できるものではない。
【0013】
そこで本発明は、記録材上に形成された未定着トナー像を該記録材に定着させる定着用回転体対を有する定着装置を備えた画像形成装置における該定着装置のクリーニング方法であって、定着用回転体上の汚れを従来の複雑なクリーニング機構によらずに、また、熱によらずに、簡単に効果的に除去でき、それだけ画像形成装置を小型、低価格で提供できるとともにそのメインテナンスの簡略化及びロングライフ化を実現できる定着装置クリーニング方法を提供することを課題とする。
【0014】
また本発明は、記録材上に形成された未定着トナー像を該記録材に定着させる定着用回転体対を有する定着装置を備えた画像形成装置であって、定着用回転体上の汚れを従来の複雑なクリーニング機構によらずに、また、熱によらずに、簡単に効果的に除去でき、それだけ小型、低価格で提供できるとともにメインテナンスの簡略化及びロングライフ化を実現できる画像形成装置を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記課題を解決すべく研究を重ね、次の知見を得た。
クリーニングモードにおいてクリーニング用媒体を定着装置へ搬送し、該定着装置における定着用回転体対のニップ部にかみ込ませ、その状態でクリーニング用媒体の搬送速度をトナー画像を形成する記録材の正規の搬送速度(画像形成モード時の搬送速度)より低下させる一方、定着装置の定着用回転体対は回転させておけば、該回転体対がクリーニング用媒体に対しスリップ動作(擦り動作)し、このスリップ動作により定着用回転体上の汚れがクリーニング用媒体に拭き取られる。しかもそのとき定着用回転体は加熱しなくてもよい。
【0016】
このような定着装置クリーニングにより、定着用回転体上のトナー等による汚れを従来の複雑なクリーニング機構によらずに、また、熱によらずに、定着装置の分解を要することなく簡単に効果的に除去できる。複雑なクリーニング機構を採用しなくてもよいので、それだけ画像形成装置を小型、低価格で提供できるともに画像形成装置のメインテナンスを簡略化できる。画像形成装置のロングライフ化も実現できる。
【0017】
本発明はかかる知見に基づき次の定着装置クリーニング方法及びその実施に適する画像形成装置を提供する。
(1)定着装置クリーニング方法
記録材上に形成された未定着トナー像を該記録材に定着させる定着用回転体対を有する定着装置を備えた画像形成装置における該定着装置のクリーニング方法であり、
定着装置クリーニングにあたりクリーニング用媒体を定着装置に搬送して該定着装置における定着用回転体対のニップ部にかみ込ませる工程と、
前記定着用回転体対のニップ部が前記クリーニング用媒体をかみ込んだ状態で該クリーニング用媒体の搬送速度を前記記録材の正規の搬送速度より低下させる工程と、
前記クリーニング用媒体の搬送速度が低下せしめられている状態で前記定着用回転体対を回転させて該クリーニング用媒体に対しスリップ動作させる工程と、
を含む定着装置クリーニング方法。
(2)画像形成装置
記録材上に形成された未定着トナー像を該記録材に定着させる定着用回転体対を有する定着装置を備えた画像形成装置であって、
定着装置クリーニングにあたりクリーニング用媒体を定着装置に搬送する媒体搬送装置と、
前記定着用回転体対のニップ部が前記媒体搬送装置により搬送されてくる前記クリーニング用媒体をかみ込んだ状態で該クリーニング用媒体の搬送速度を前記記録材の正規の搬送速度より低下させる媒体搬送制御装置と、
前記媒体搬送制御装置により前記クリーニング用媒体の搬送速度が低下せしめられている状態で前記定着用回転体対を回転させて該クリーニング用媒体に対しスリップ動作させる定着装置動作制御装置と、
を備えている画像形成装置。
【0018】
前記定着装置クリーニング方法及び画像形成装置において、「クリーニング用媒体搬送速度を記録材の正規の搬送速度より低下させる」とは、換言すれば「クリーニング用媒体搬送速度を通常の画像形成モードにおける記録材の搬送速度より低下させる」ことであり、それは、
(1) 媒体搬送装置による搬送を中断させること、
(2) 媒体搬送装置による搬送は続けるが、その搬送速度を記録材の正規の搬送速度より低下させること、
(3) 媒体搬送装置による搬送は続けるが、間欠的に搬送すること(従って間欠的搬送全体としては搬送速度が記録材の正規の搬送速度より低下すること)、
(4) 媒体搬送装置以外の手段で媒体搬送を中断したり、阻止したりすること、
(5) これらの2以上の組み合わせ、
などである。
【0019】
なお、画像形成装置は通常、記録材の詰まり(ジャム)を検出する装置が付いているが、ジャム検出装置のある画像形成装置の場合、定着装置クリーニングのためにクリーニング用媒体の搬送速度が記録材の正規の搬送速度より低下せしめられている間は、換言すればクリーニング用媒体に対する定着用回転体対のスリップ動作の間はジャム検出を禁止する構成とすればよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。以下に説明する画像形成装置はいずれも基本的にはクリーニング用媒体を定着装置に搬送する媒体搬送装置と、該定着装置の定着用回転体対のニップ部が搬送されてくるクリーニング用媒体をかみ込んだ状態でクリーニング用媒体の搬送速度をトナー画像を形成する記録材の正規の搬送速度より低下させる媒体搬送制御装置と、クリーニング用媒体の搬送速度が低下せしめられている状態で定着用回転体対を回転させて該クリーニング用媒体に対しスリップ動作させる定着装置動作制御装置とを備えている。
【0021】
クリーニング用媒体の搬送速度が低下せしめられている状態での定着用回転体対の回転速度は、それには限定されないが、代表的には正規のもの、換言すれば画像形成モード時のものとすればよい。場合によっては、前記スリップ動作がなされる範囲で正規のものより低速にしてもよい。
(第1実施形態)
第1実施形態の画像形成装置は、前記基本構成の画像形成装置において、前記媒体搬送制御装置が前記媒体搬送装置動作を制御するものであり、該媒体搬送制御装置は、前記定着用回転体対のニップ部が前記媒体搬送装置により搬送されてくる前記クリーニング用媒体をかみ込んだ状態で該媒体搬送装置による該クリーニング用媒体の搬送を中断させ、該搬送中断による前記定着用回転体対の該クリーニング用媒体に対する所定時間のスリップ動作の後、該媒体搬送装置による該クリーニング用媒体排出のための搬送を許可する画像形成装置である。
【0022】
その1例を図1から図4を参照して説明する。
図1は第1実施形態の画像形成装置例の構成を概略的に示しており、図2は図1の画像形成装置において定着装置クリーニングを行っている状態を示しており、図3はクリーニング工程説明図であり、図4はクリーニングモードにおけるクリーニング制御のフローチャートである。
【0023】
図1に示す画像形成装置は、略中央部にイメージングカートリッジ1を有し、その上方に画像露光装置(いわゆるプリントヘッド)2を、さらに上方に画像読み取り装置3を有している。
カートリッジ1の下方には記録材(ここでは記録紙S)を収容する給紙トレイ5並びに給紙ローラ6及びこれに対向する搬送ローラ61備えている。
【0024】
給紙ローラ6から上方へ向けて、さらにカートリッジ1の側方からその上方へかけて、記録材通路を形成するための図示省略のガイド部材が配置されており、該記録材通路に沿って画像形成用タイミングローラ対7、転写ローラ8、クリーニング用タイミングローラ対9、定着装置10、排紙ローラ対DRが順次配置されており、排紙ローラ対DRは排紙トレイ4に臨んでいる。
【0025】
排紙トレイ4は装置カバーCの一部を利用して形成されており、画像露光装置2と画像読み取り装置3の間に位置している。
装置カバーC内には画像形成装置の動作を制御する制御部CONTも設けられている。
【0026】
これら各部についてさらに説明する。
イメージングカートリッジ1は、ドラム型の感光体11を含んでおり、感光体11に帯電装置(ここでは帯電ローラ)12及び現像ローラ13が臨んでいる。現像ローラ13の側方には、それには限定されないが、ここでは1成分現像剤(トナー)Tを収容するトナー収容部131が有り、ここにはトナー攪拌供給回転部材132が配置されている。部材132と現像ローラ13の間にトナー供給回転部材133があり、現像ローラ13に臨んでいる。帯電ローラ12と現像ローラ13の間には画像露光用のスリットが形成されている。転写ローラ8は感光体11に臨んでいる。
【0027】
画像読み取り装置3はこれに設けられた図示省略の原稿台上に載置される原稿の画像を光学的に走査し、光電変換して画像データとして読み取るもので、画像露光装置2は図示省略の半導体レーザー、ポリゴンミラー等を含んでおり、画像読み取り装置3で得られた画像データに基づいてカートリッジ1における感光体11に画像露光を施すものである。
【0028】
なお、画像露光装置2及び画像読み取り装置3に代えて、アナログ複写機における画像読み取り部のごときものを採用し、該画像読み取り部で原稿画像を光学的に走査するとともに該画像読み取り部から感光体11に画像露光を施すようにしてもよい。
【0029】
給紙トレイ5は先端部511が上下に揺動可能の押上板51を含んでおり、記録紙Sの供給時には押上板51の先端部511を給紙ローラ6に下方から接近するように駆動できる。給紙トレイ5の上方には折り畳み式の手差しトレイ50も設けられている。
【0030】
定着装置10は定着用回転体対として、ここでは定着ローラ101と加圧ローラ102を有している。
【0031】
定着ローラ101は従来の定着ローラと同様のものであり、アルミニゥム、鉄などからなる断面円形の中空状金属体の表周面にシリコンゴム、PTFE(ポリ4フッ化エチレン)等の離型材をコーティングし、必要に応じ、さらにその表面にシリコン系等のオイルを塗布したもので、ローラ中心軸上には図示省略の加熱源(通常は電気ヒータ)が設けられ、これにより定着ローラ表面温度を記録紙Sにトナー像を定着するための温度に設定することができる。
【0032】
加圧ローラ102も従来の加圧ローラと同様のものであり、金属製芯金上にシリコン等からなる耐熱性ゴム層を設け、必要に応じ、さらにその表面をフッソ樹脂(代表的にはPTFE)チューブなどで被覆したものである。
【0033】
後述するように、定着装置クリーニングのためのクリーニング用媒体搬送装置を構成する給紙ローラ6、画像形成用タイミングローラ対7、感光体11、転写ローラ8等も画像形成装置において従来から使用されているものである。クリーニング用タイミングローラ対9も画像形成用タイミングローラ対7と同様のものである。
【0034】
制御部CONTは画像形成装置の動作を制御するもので、前記した各部は制御部CONTからの指示に基づいて動作する。制御部CONTにはまた、画像読み取り装置3に付設した操作パネルPAが接続されている。
【0035】
操作パネルPAには、画像形成開始を指示するプリントキーK1、画像形成枚数の設定等に用いるテンキーK2、各種情報を表示する液晶ディスプレイ部DS等のほか、さらに定着装置クリーニングモード設定キーK3も設けられている。
【0036】
以上説明した画像形成装置によると、画像形成モードにおいては、イメージングカートリッジ1において感光体11が図1中反時計方向に回転駆動され、その表面が帯電用電圧を印加された帯電ローラ12により所定電位に一様に帯電され、その帯電域にプリントヘッド2から画像露光される。プリントヘッド2は、画像読み取り装置3において読み取られた原稿の画像データに基づいて感光体11表面に画像露光する。
【0037】
かくして感光体11上に静電潜像が形成され、この潜像は現像ローラ13により現像されて可視トナー像とされ、感光体11の回転によって転写ローラ8が位置する転写領域へ移動していく。
【0038】
一方、給紙トレイ5に収容された記録紙Sが給紙ローラ6と搬送ローラ61により1枚ずつ引き出され、タイミングローラ対7へ搬送される。タイミングローラ対7は感光体11上のトナー像と同期をとって記録紙Sを転写領域へ送り込む。転写領域においては転写電圧を印加された転写ローラ8により感光体上トナー像が記録紙S上に転写される。
【0039】
このようにトナー像が転写された記録紙Sは、画像形成モードにおいては記録紙搬送ローラとして作用するクリーニング用タイミングローラ対9を経て定着装置10へ搬送され、そこの定着ローラ101と加圧ローラ102のニップ部を通過するときにトナー像が加熱加圧下に定着され、その後排紙ローラDRにより排紙トレイ4上に排出される。
【0040】
このように記録紙S上に画像形成できるのであるが、画像形成を繰り返すうちに定着装置10の定着ローラ101や加圧ローラ102の表面が次第にトナー等で汚れていく。そこで、この画像形成装置では図2乃至図4に示すように定着装置クリーニングを実施できる。
【0041】
先ず、予め準備したクリーニング用媒体Scを給紙トレイ5に収容するとともに、操作パネルPAにおける定着装置クリーニングモード設定キーK3を押してクリーニングモードを設定する。なお、キーK3をもう一度押すとクリーニングモードが解除され、通常の画像形成モードに戻る。
【0042】
クリーニング用媒体Scは、一般的に言えば、定着ローラの熱や画像形成装置各部での媒体搬送力に耐え、定着用回転体対の汚れを落とし、しかも定着用回転体を傷つけないものが好ましい。例えば耐熱温度200℃以上、耐引っ張り荷重50N(約5kg)以上のものが望ましい。具体的には、大型複写機で採用されているウエッブクリーニング方式で用いる耐熱性の不織布、紙、布、フェルト等を使用できる。ここでも、そのようなウエッブクリーニング方式で用いるクリーニング用媒体を採用する。なお、支障がなければ、通常の記録紙もクリーニング用媒体として使用できる。
【0043】
次いでプリントキーK1を押す。すると、クリーニングモードがスタートし、制御部CONTによる図4のフローチャートに示す制御のもとに、給紙ローラ6、搬送ローラ61、タイミングローラ対7、感光体11、転写ローラ8及びクリーニング用タイミングローラ対9、定着ローラ101、加圧ローラ102及び排紙ローラ対DR等が画像形成モードにおいて記録紙Sを搬送するときと同様に駆動開始される(図4のステップS1)。引き続き媒体Scが給紙ローラ6に引き出され、画像形成用タイミングローラ対7、感光体11及び転写ローラ8のニップ部を経てクリーニング用タイミングローラ対9へ送られる〔図3(A)、図4のステップS2〕。
【0044】
タイミングローラ対9は図3(D)に示すように、平行なローラ軸91、91のそれぞれにローラ92を間隔をあけて複数個支持させたもので、ローラ92間には媒体検出センサSaが配置されている。センサSaは記録紙通過のときそれに保持されたトナー像を乱さないように記録紙の裏面に接触するように配置されている。
【0045】
媒体Scがタイミングローラ対9に到達してセンサSaにて検出されてから(図4のステップS3)所定時間の経過後、すなわち、該媒体Scが定着ローラ101と加圧ローラ102のニップ部に入り込み、さらに少なくとも媒体Scの先端が該ニップ部を通り抜けるに要する時間の経過ののち、タイミングローラ対9及びそれより上流側(媒体搬送方向において上流側)の回転ローラ群及び感光体11が停止される〔図3(B)、図4のステップS4〕。このとき、定着ローラ101及び加圧ローラ102については記録紙Sを正規の(画像形成モードにおける)搬送速度で搬送できる速さで回転させ続ける。かくして媒体Scが定着ローラ101と加圧ローラ102にかみ込まれた状態で媒体Scの搬送が中断され、定着ローラ101及び加圧ローラ102は搬送が中断された媒体Scに対しスリップ動作を開始し、これによりそれらローラ101、102のクリーニングが開始され、それらローラ101、102上のトナー等による汚れが媒体Scに擦り落とされる。なお、クリーニング時における定着ローラ101及び加圧ローラ102の回転速度は媒体Scに対するこれらローラのスリップ動作が可能な範囲で画像形成モードにおけるそれより低速にしてもよい。この点は後述する第4、第5実施形態においても同様である。
【0046】
かかるクリーニング開始後所定時間(クリーニングに要する時間、例えば定着ローラ101等が10回転以上回転するに要する時間、それとは限らないが例えば5秒間程度)の経過の後、すなわちクリーニングが終了すると(図4のステップS5)、再びタイミングローラ対9及びそれより上流側のローラ群及び感光体11が再駆動開始され〔図3(C)参照、図4のステップS6〕、媒体Scは排紙ローラ対DRを経て排紙トレイ4に排出され(図4のステップS7)、クリーニングモードは終了する。
【0047】
以上の説明から分かるように、給紙ローラ6、搬送ローラ61、タイミングローラ対7、感光体11、転写ローラ8及びクリーニング用タイミングローラ対9はクリーニング用媒体Scを定着装置へ搬送する媒体搬送装置を兼ねている。また、制御部CONTは、定着装置クリーニングにあたり媒体Scの搬送装置の動作を制御する媒体搬送制御装置として機能する部分及び定着用ローラ対101、102を回転させつづけて媒体Scに対しそれらをスリップ動作させる定着装置動作制御装置として機能する部分を含んでいる。
【0048】
ここで、媒体Scをタイミングローラ対9と定着用ローラ対101、102の両方で挟んだ状態でタイミングローラ対9を停止させてローラ対101、102を媒体Scに対しスリップ動作させるための条件等について説明しておく。
【0049】
ローラ対101、102を媒体Scに対しスリップ動作させるための条件は、定着用ローラ対101、102による媒体Scの搬送力をfa、定着用ローラ対101、102と媒体Scとの摩擦力をfbとすると、fa>fbであり、
媒体Scが停止する条件は、タイミングローラ対9或いはタイミングローラ対9以前の媒体搬送系の保持力をfgすると、fg>fbであり、
定着装置10において媒体Scが破れない条件は、媒体Scが破れる限界の力をLとすると、fb<Lである。
【0050】
十分なクリーニング効果をあげるために、定着用ローラ対101、102による媒体Scの搬送力を概ね1.7kgf〜8.3kgf程度とする場合を例示できる。
【0051】
なお、以上の説明では定着装置クリーニングを開始するタイミングをクリーニング用タイミングローラ対に媒体Scが到来してから前記所定時間経過後としたが、クリーニング開始タイミングは画像形成用タイミングローラ対7に媒体Scが到来してから媒体Scが定着用ローラ対のニップ部にかみ込まれるまでに要する時間を計測して決定してもよい。このようにするとタイミングローラ対9を不要とすることが可能となり、画像形成装置のコストをそれだけ抑制することができる。また、クリーニング開始タイミングは例えば感光体11と転写ローラ8のニップ部の下流側に設けた媒体検出センサ(記録紙通過のときは記録紙上トナー像に接触しないように記録紙裏面に接触するか、又は非接触型のセンサ)による媒体Sc検出からの時間計測によって決定したり、媒体Scが長いものである場合には、定着装置10の下流側に配置される排紙センサによる媒体Scの検出によりクリーニングを開始してもよい。
(第2実施形態)
第2実施形態の画像形成装置は、前記基本構成の画像形成装置において、前記媒体搬送制御装置が前記媒体搬送装置動作を制御するものであり、該媒体搬送制御装置は、前記定着用回転体対のニップ部が前記媒体搬送装置により搬送されてくる前記クリーニング媒体をかみ込んだ状態で該媒体搬送装置による該クリーニング用媒体の搬送を続けさせるが、該媒体搬送速度を前記記録材の正規の搬送速度より低速にし、それによる前記定着用回転体対の該クリーニング用媒体に対する所定時間のスリップ動作の後、該媒体搬送装置による該クリーニング用媒体排出のための搬送を許可する画像形成装置である。
【0052】
その具体的1例を説明すると、それは図1に示す画像形成装置において、制御部CONTによる図4に示す制御におけるステップS4を、タイミングローラ対9及びそれより上流側の回転ローラ群及び感光体11を正規の(画像形成モードにおける)記録紙Sの搬送速度を得るより低速で回転させるステップに置き換えるとともに、図4に示す制御におけるステップS6を、タイミングローラ対9及びそれより上流側の回転ローラ群及び感光体11を記録紙Sの正規搬送速度を得る回転速度に戻すステップに置き換えたものである。
【0053】
このように媒体Scを低速化することによっても、画像形成モードのときと同じ速度で回転する定着用ローラ対101、102は媒体Scに対しスリップ動作し、それにより該ローラ対はクリーニングされる。なお、定着用ローラ対101、102の回転速度を低速移動する媒体Scに対し該ローラ対がスリップ動作する範囲で画像形成モード時の回転速度より低速にすることも可能である。
【0054】
いずれにしてもこのクリーニングによると、クリーニング用媒体Scの広い範囲をクリーニングに使用できる。
(第3実施形態)
第3実施形態の画像形成装置は、前記基本構成の画像形成装置において、前記媒体搬送制御装置が前記媒体搬送装置動作を制御するものであり、該媒体搬送制御装置は、前記定着用回転体対のニップ部が該媒体搬送装置により搬送されてくる前記クリーニング用媒体をかみ込んだ状態で該媒体搬送装置による該クリーニング用媒体の搬送を続けさせるが、該媒体搬送を間欠的に行わせ、それによる前記定着用回転体対の該クリーニング用媒体に対する所定時間のスリップ動作の後、該媒体搬送装置による該クリーニング用媒体排出のための搬送を許可する画像形成装置である。
【0055】
この画像形成装置の場合、定着用回転体対はクリーニング用媒体に対し間欠的にスリップ動作するので、前記「所定時間のスリップ動作」の該「所定時間」としては、媒体を間欠的に搬送する間の時間としてもよいし、定着用回転体対が媒体に対し実際にスリップ動作する時間の合計時間としてもよい。
【0056】
この実施形態の具体的1例を説明すると、それは図1に示す画像形成装置において、制御部CONTによる図4に示す制御におけるステップS4を、タイミングローラ対9及びそれより上流側の回転ローラ群及び感光体11を間欠的に回転させ、これにより媒体Scを定着用ローラ対101、102のニップ部に間欠的に通過させるステップに置き換えるとともに、図4に示す制御におけるステップS6を、タイミングローラ対9及びそれより上流側のローラ群及び感光体11を連続回転に戻すステップに置き換えたものである。
【0057】
このように媒体Scを間欠的に搬送することによっても、その間欠的搬送における媒体Scの停止時に定着用ローラ対101、102が停止媒体Scに対しスリップ動作し、それにより該ローラ対はクリーニングされる。
【0058】
このクリーニングによっても、クリーニング用媒体Scの広い範囲をクリーニングに使用できる。
【0059】
なお、この実施形態の場合、媒体Scの停止時に定着ローラ101や加圧ローラ102上の同じ部分ばかりが媒体Scに接触せず、クリーニングの終了までにはローラ101、102の表周面の全体が媒体Scに対しスリップ動作しているように媒体Scの間欠的送りを制御する。定着用ローラ対101、102の回転速度については、クリーニングのためのスリップ動作を可能とする範囲で画像形成モード時のそれより低速にすることも可能である。
(第4実施形態)
第4実施形態の画像形成装置は、前記基本構成の画像形成装置において、前記媒体搬送制御装置が少なくとも前記クリーニング用媒体の保持装置を含んでおり、該保持装置は、前記定着用回転体対のニップ部が前記媒体搬送装置により搬送されてくる前記クリーニング用媒体をかみ込んだ状態で該クリーニング用媒体を保持して該媒体の搬送を中断し、該搬送中断されたクリーニング用媒体に対する前記定着用回転体対の所定時間のスリップ動作の後、該クリーニング用媒体の保持を解除する画像形成装置である。
【0060】
その具体的1例を説明すると、それは図1に示す画像形成装置において、クリーニング用タイミングローラ対9に代えて、図5に示すように、媒体Scの搬送路に媒体保持装置90を設け、該装置90は媒体搬送路を間にして配置された一対の媒体保持部材901を含むものとし、制御部CONTによる図4に示す制御におけるステップS4中の「ローラ対9等停止」を「上流側回転ローラ群等停止及び一対の保持部材901による媒体Scの保持」に置き換えるとともに、ステップS6における「ローラ対9等の再駆動開始」を「上流側回転ローラ群等の再駆動開始及び一対の保持部材901の開放」に置き換えたものである。
【0061】
一対の保持部材901は図示省略の駆動装置により媒体Scを通過させる開放位置(図5(A)参照)と媒体Scを挟着保持する位置(図5(B)参照)とを選択的にとることができる。媒体Sc検出センサSaは保持部材901の近傍に配置される。
【0062】
この実施形態においても、媒体Scの搬送が保持部材901、901による媒体Scの挟着保持により中断されることで、定着用ローラ対101、102が媒体Scに対しスリップ動作し、それらローラがクリーニングされる。
【0063】
なお、この実施形態においては、媒体Scが損傷したり、クリーニング後の媒体Scの排出等に支障がないのであれば、保持部材が媒体Scを挟着保持するとき、それより上流側の回転ローラ群等は駆動状態のままでもよい。
(第5実施形態)
第5実施形態の画像形成装置は、前記基本構成の画像形成装置において、前記媒体搬送制御装置が少なくとも前記クリーニング用媒体に設けられたストッパ部材を含んでおり、該ストッパ部材は、前記定着用回転体対のニップ部が前記媒体搬送装置により搬送されてくる前記クリーニング媒体をかみ込んだ状態で該媒体搬送装置に支えて該クリーニング用部材の搬送を阻止できるものであり、前記定着装置動作制御装置は、前記定着用回転体対ニップ部にかみ込まれて搬送阻止されるクリーニング用媒体に対し前記定着用回転体対を所定時間スリップ動作させた後、該定着用回転体対を停止させて該クリーニング用媒体の前記搬送の方向とは逆方向への引き抜きを可能にする画像形成装置である。
【0064】
その具体的1例を図6に示す。図6の画像形成装置は図1に示す画像形成装置において、クリーニング用媒体としてストッパ部材STを設けた媒体Scを用いるとともに、制御部CONTによる図4に示す制御を図8に示す制御に置き換えたものである。その他は図1に示す画像形成装置と同様であり、図1の画像形成装置と同じ部品には図1と同じ参照符号を付してある。
【0065】
この画像形成装置における定着装置クリーニングは次のように実施される。
【0066】
先ず、ストッパ部材ST付きのクリーニング用媒体Scを給紙トレイ5に収容するとともにクリーニングモードを設定する。
【0067】
クリーニングモードがスタートすると、制御部CONTによる図8のフローチャートに示す制御のもとに、給紙ローラ6、搬送ローラ61、タイミングローラ対7、感光体11、転写ローラ8及びクリーニング用タイミングローラ対9、定着ローラ101、加圧ローラ102及び排紙ローラ対DR等が駆動開始される(図8のステップS10)。これにより、媒体Scはクリーニング用タイミングローラ対9へ向け搬送開始される(図8のステップS20)。
【0068】
媒体Scがタイミングローラ対9に到達してセンサSa(図3(D)参照)にて検出されてから〔図7(A)、図8のステップS30〕、媒体Scが定着ローラ101と加圧ローラ102のニップ部に入り込み、さらに媒体Scの先端が該ニップ部を通り抜けるとともに媒体Sc上のストッパ部材STが丁度給紙ローラ6に当接する位置に到来するに要する時間(所定時間)の経過ののち、タイミングローラ対9及びそれより上流側の回転ローラ群及び感光体11が停止される〔図7(B)、図8のステップS40〕。かくして媒体Scが定着ローラ101と加圧ローラ102のニップ部にかみ込まれた状態で媒体Scの搬送が阻止され、定着用ローラ対101、102が媒体Scに対しスリップ動作を開始し、それらローラのクリーニングが開始される。
【0069】
クリーニング開始後、クリーニングに要する所定時間の経過の後、すなわちクリーニングが終了すると(図8のステップS50)、定着用ローラ対101、102を停止させ(図8のステップS60)、操作パネルPAに予め設けておいた媒体Sc引き抜き指示表示部(図示省略のランプ等或いは表示部DS)に表示させる(図8のステップ70)。かくして媒体Scを、その後端部を掴んで、それまでの媒体Sc搬送方向とは逆方向に引き抜くことができる。媒体Scの引き抜き除去が前記センサSaの媒体非検出により検知されると(図8のステップS80)、クリーニングモードが終了する。なお、媒体Scの引き抜き完了を検知する別のセンサを設けてもよい。
【0070】
以上の説明から分かるように、第5実施形態の画像形成装置における制御部CONTは、定着装置クリーニングにあたり媒体Scの搬送装置部分の動作を制御する媒体搬送制御装置として機能する部分及び媒体Sc引き抜きにあたり定着用ローラ対101、102を停止させる定着装置動作制御装置として機能する部分を含む。
【0071】
以上説明した図6の画像形成装置では、媒体Scがタイミングローラ対9にあるセンサSaに検出されてから、前記の所定時間の経過の後にタイミングローラ対9、給紙ローラ6等が停止されるが、センサSaに代えて、媒体Sc上のストッパ部材STが給紙ローラ6に当接するタイミングで媒体Scを検出するセンサを設け、該センサが媒体Scを検出するとタイミングローラ対9以前のローラ等を停止させてクリーニングを開始させるとともに該センサが媒体Scを検出してからクリーニングに要する時間の経過ののち、定着用ローラ対を停止させて媒体Scの引き抜きを可能にしてもよい。
【0072】
いずれにしてもストッパ部材STが給紙ローラ6に支える状態では媒体Scが定着用ローラ対101、102にかみ込まれるように媒体Scの長さ及び媒体Sc上のストッパ部材の位置を定めておく。
【0073】
また、いずれにしてもストッパ部材STは給紙ローラ6が傷つかない程度に柔らかいゴム等の材料で形成することが好ましい。図示の例ではストッパ部材STは媒体Scを挟み込むように設けられているが、媒体Scの片面に貼着する等してもよい。
【0074】
次に第5実施形態に属する画像形成装置の他の具体例を図9に示す。
図9の画像形成装置は、図1の画像形成装置において、手差しトレイ50に代えて、記録紙やクリーニング用媒体を挿入できるスリットを有する部材G及び該部材から記録紙やクリニング用媒体を、給紙トレイ5’からの記録紙搬送路に割り込む態様で画像形成用タイミングローラ対7へ案内する案内部材PLを設けるとともに、クリーニング用タイミングローラ対9を除去したものである。また、クリーニング用媒体Scとして図10に例示するように媒体Scの後端部にストッパ部材ST’を有するものを採用する。その他は図1に示す画像形成装置と同様であり、図1の画像形成装置と同じ部品には図1と同じ参照符号を付してある。画像形成装置の動作は本例での制御部CONT’の指示に基づいてなされる。
【0075】
スリット付き部材Gは記録紙やクリーニング用媒体のガイドとしても機能させるために、ここでは樹脂或いは板金で形成する。
【0076】
クリーニング用媒体Sc上のストッパ部材ST’は、定着装置クリーニング後に該媒体Scを手で引き抜く際の安全性を考慮して、それには限定されないが、ここでは樹脂或いは厚手のボール紙で媒体Scの端部を挟み込む形態に形成され、接着又は圧入により媒体端部に取り付けられている。部材ST’には引き抜きを容易にするために、図9及び図10に示すように指F(図9参照)を挿入できる穴Hが形成されている。媒体Scはそのストッパ部材ST’が手差し部の部材Gに当接するまで挿入したとき、先端が定着ローラ101と加圧ローラ102のニップ部を通ってその先まで達する長さを有している。
【0077】
この画像形成装置における定着装置クリーニングは次のように実施される。
先ず、画像形成装置をクリーニングモードに設定して、タイミングローラ対7、感光体11、転写ローラ8、定着用ローラ対101、102等を駆動回転する。
【0078】
その状態でストッパ部材ST’付きの媒体Scをその先端から部材Gのスリットに手差し挿入し、さらにタイミングローラ対7まで挿入する。すると媒体Scはそこからローラ対7並びに感光体11と転写ローラ8のニップ部を経て定着装置10へ送り込まれ、定着ローラ101と加圧ローラ102のニップ部にかみ込まれた状態となり、且つ、ストッパ部材ST’が部材Gに当接してそれ以上の搬送が阻止される。この段階では、媒体Scの損傷その他の支障がないのであれば、タイミングローラ対7、感光体11及び転写ローラ8は駆動しつづけてもよいが、ここではこれらを停止させる。
【0079】
部材G、タイミングローラ対7、感光体11と転写ローラ8のニップ部等はクリーニング用媒体Scを定着装置10へ搬送する媒体搬送装置を兼ねている。
【0080】
かくして定着ローラ101、加圧ローラ102は搬送を阻止された媒体Scに対しスリップ回転動作し、これにより定着ローラ101及び加圧ローラ102上のトナー汚れ等が媒体Scに擦り取られ、それらローラがクリーニングされる。
【0081】
クリーニング後は、媒体上のストッパ部材ST’の穴Hに指Fを挿入する等して媒体Scを逆方向に引っ張って抜き取る。このとき、媒体Scの破損や定着用ローラ対101、102の損傷等の支障がないのであれば、定着用ローラ対101、102は駆動したままでもよいが、ここではそれらを停止させる。タイミングローラ対7、感光体11及び転写ローラ8についても同様である。
【0082】
図9に示す画像形成装置の場合も、クリーニング後媒体Scの引き抜きを指示する表示部を設けたり、媒体Scの引き抜き除去を検知するセンサを設けて、該センサによる媒体Scの引き抜き完了検出によりクリーニングモードを終了する構成とすればよい。
【0083】
以上説明した各実施形態における定着装置クリーニグにおいては、定着ローラ101や加圧ローラ102のクリーニングにあたり、定着ローラ101を加熱する必要はないが、加熱してもよい。加熱する必要がないことから言えば、クリーニング用媒体Scはそれほど耐熱性は要求されないが、定着ローラ101が未だ熱いうちにクリーニングを開始することがある場合に備えて、前記のように耐熱性を有するものが好ましいと言える。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によると、記録材上に形成された未定着トナー像を該記録材に定着させる定着用回転体対を有する定着装置を備えた画像形成装置における該定着装置のクリーニング方法であって、定着用回転体上の汚れを従来の複雑なクリーニング機構によらずに、また、熱によらずに、定着装置の分解を要することなく簡単に効果的に除去でき、それだけ画像形成装置を小型、低価格で提供できるとともにそのメインテナンスの簡略化及びロングライフ化を実現できる定着装置クリーニング方法を提供することができる。
【0085】
また本発明によると、記録材上に形成された未定着トナー像を該記録材に定着させる定着用回転体対を有する定着装置を備えた画像形成装置であって、定着用回転体上の汚れを従来の複雑なクリーニング機構によらずに、また、熱によらずに、定着装置の分解を要することなく簡単に効果的に除去でき、それだけ小型、低価格で提供できるとともにメインテナンスの簡略化及びロングライフ化を実現できる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の画像形成装置例の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の画像形成装置において定着装置クリーニングを行っている状態を示す図である。
【図3】図1に示す画像形成装置におけるクリーニング工程の説明図である。
【図4】図1の画像形成装置における定着装置のクリーニングモードでのクリーニング制御を示すフローチャートである。
【図5】第4実施形態の画像形成装置における定着装置クリーニング工程を示す図である。
【図6】第5実施形態の画像形成装置の1例の構成を概略的に示す図である。
【図7】図6に示す画像形成装置におけるクリーニング工程の説明図である。
【図8】図6の画像形成装置における定着装置のクリーニングモードでのクリーニング制御を示すフローチャートである。
【図9】第5実施形態の画像形成装置の他の例の構成を概略的に示す図である。
【図10】クリーニング用媒体の他の例の斜視図である。
【符号の説明】
1 イメージングカートリッジ
11 感光体
12 帯電装置(帯電ローラ)
13 現像ローラ
T トナー
131 トナー収容部
132 トナー攪拌供給回転部材
133 トナー供給回転部材
2 画像露光装置(いわゆるプリントヘッド)
3 画像読み取り装置
4 排紙トレイ
5 給紙トレイ
51 押上板
52 押上板の先端部
50 手差しトレイ
6 給紙ローラ
61 搬送ローラ
7 画像形成用タイミングローラ対
8 転写ローラ
9 クリーニング用タイミングローラ対
91 ローラ軸
92 ローラ
Sa 媒体検出センサ
10 定着装置
101 定着ローラ
102 加圧ローラ
DR 排紙ローラ対
C 装置カバー
PA 操作パネル
CONT 制御部
C 装置カバー
S 記録紙
Sc クリーニング用媒体
ST、ST’ ストッパ部材
K1 プリントキー
K2 テンキー
K3 クリーニングモード設定キー
DS 液晶ディスプレイ部
90 媒体保持装置
901 媒体保持部材
G スリット付き部材
PL 記録紙等案内部材
Claims (5)
- 記録材上に形成された未定着トナー像を該記録材に定着させる定着用回転体対を有する定着装置を備えた画像形成装置における該定着装置のクリーニング方法であり、
定着装置クリーニングにあたりクリーニング用媒体を定着装置に搬送して該定着装置における定着用回転体対のニップ部にかみ込ませる工程と、
前記定着用回転体対のニップ部が前記クリーニング用媒体をかみ込んだ状態で該クリーニング用媒体の搬送速度を前記記録材の正規の搬送速度より低下させる工程と、
前記クリーニング用媒体の搬送速度が低下せしめられている状態で前記定着用回転体対を回転させて該クリーニング用媒体に対しスリップ動作させる工程と、
を含むことを特徴とする定着装置クリーニング方法。 - 記録材上に形成された未定着トナー像を該記録材に定着させる定着用回転体対を有する定着装置を備えた画像形成装置であって、
定着装置クリーニングにあたりクリーニング用媒体を定着装置に搬送する媒体搬送装置と、
前記定着用回転体対のニップ部が前記媒体搬送装置により搬送されてくる前記クリーニング用媒体をかみ込んだ状態で該クリーニング用媒体の搬送速度を前記記録材の正規の搬送速度より低下させる媒体搬送制御装置と、
前記媒体搬送制御装置により前記クリーニング用媒体の搬送速度が低下せしめられている状態で前記定着用回転体対を回転させて該クリーニング用媒体に対しスリップ動作させる定着装置動作制御装置と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。 - 前記媒体搬送制御装置は前記媒体搬送装置動作を制御するものであり、該媒体搬送制御装置は、前記定着用回転体対のニップ部が前記媒体搬送装置により搬送されてくる前記クリーニング用媒体をかみ込んだ状態で該クリーニング用媒体の搬送速度を前記記録材の正規の搬送速度より低下させるにあたり、(1) 該媒体搬送装置による該クリーニング用媒体の搬送を中断させるか、(2) 該媒体搬送装置による該クリーニング用媒体の搬送を続けさせるが、該媒体搬送の速度を前記記録材の正規の搬送速度より低速にするか、又は(3) 該媒体搬送装置による該クリーニング用媒体の搬送を続けさせるが、該媒体搬送を間欠的に行わせ、該クリーニング用媒体の搬送速度低下による前記定着用回転体対の該クリーニング用媒体に対する所定時間のスリップ動作後、該媒体搬送装置による該クリーニング用媒体排出のための搬送を許可する請求項2記載の画像形成装置。
- 前記媒体搬送制御装置は少なくとも前記クリーニング用媒体の搬送路に臨設された媒体保持装置を含んでおり、該保持装置は、前記定着用回転体対のニップ部が前記媒体搬送装置により搬送されてくる前記クリーニング用媒体をかみ込んだ状態で該クリーニング用媒体を保持して該媒体の搬送を中断し、搬送中断された該クリーニング用媒体に対する前記定着用回転体対の所定時間のスリップ動作後、該クリーニング用媒体の保持を解除する請求項2記載の画像形成装置。
- 前記媒体搬送制御装置は少なくとも前記クリーニング用媒体に設けられたストッパ部材を含んでおり、該ストッパ部材は、前記定着用回転体対のニップ部が前記媒体搬送装置により搬送されてくる前記クリーニング媒体をかみ込んだ状態で該媒体搬送装置に支えて該クリーニング用媒体の搬送を阻止するものであり、前記定着装置動作制御装置は、前記定着用回転体対ニップ部にかみ込まれ、搬送阻止されたクリーニング用媒体に対し前記定着用回転体対を所定時間スリップ動作させた後、該定着用回転体対を停止させて該クリーニング用媒体の前記搬送の方向とは逆方向への引き抜きを可能にする請求項2記載の画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002293515A JP2004126426A (ja) | 2002-10-07 | 2002-10-07 | 定着装置クリーニング方法及び画像形成装置 |
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JP2002293515A JP2004126426A (ja) | 2002-10-07 | 2002-10-07 | 定着装置クリーニング方法及び画像形成装置 |
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JP2004126426A true JP2004126426A (ja) | 2004-04-22 |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
US7792474B2 (en) | 2007-01-18 | 2010-09-07 | Konica Minolta Business Technologies, Inc. | Image forming apparatus with cleaning mode |
JP2021015164A (ja) * | 2019-07-10 | 2021-02-12 | 富士ゼロックス株式会社 | 画像形成装置 |
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2002
- 2002-10-07 JP JP2002293515A patent/JP2004126426A/ja active Pending
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