JP2004126335A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】4連タンデム方式のカラー画像形成装置において、2色重ね合わせ文字などにおいて、トナーの転写チリが発生しやすい。その防止のため、転写ベルトの表面抵抗率を1012Ω/□以上にすると、下流においてプレ転写による飛び散り画像が発生しやすくなる。これを防ぐためバックアップローラを高抵抗にすると、白抜けの異常画像が発生しやすくなる。
【解決手段】感光体ドラム40と転写ローラ63からなる転写ニップの上流側の近傍に、直径6mmの金属ローラの表面に1mm厚のABS樹脂(体積抵抗率:1015〜16Ω・cm)を圧入し、その最終外径を8mmとしたものの表面を、ダイスによって10点平均粗さ12μmに転造加工したものを用いた。これによってトナーのチリも、画像の白抜けもともに防止することができた。
【選択図】 図1
【解決手段】感光体ドラム40と転写ローラ63からなる転写ニップの上流側の近傍に、直径6mmの金属ローラの表面に1mm厚のABS樹脂(体積抵抗率:1015〜16Ω・cm)を圧入し、その最終外径を8mmとしたものの表面を、ダイスによって10点平均粗さ12μmに転造加工したものを用いた。これによってトナーのチリも、画像の白抜けもともに防止することができた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、複写機、レーザービームプリンター等の中間転写方式のカラー画像形成装置における転写ベルトの内側に配設される高抵抗ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年におけるカラー画像出力装置の高速化、及び高機能化の流れにより、従来は中間転写体を用いたカラー画像形成装置が主流であったのに対し、最近では複数の像担持体、及び現像装置を含む画像形成ユニットを中間転写ベルト(以下単に転写ベルトという)に対向させた位置に並列に並べ、像担持体上のトナー像を転写ベルト上に静電吸着させた記録材上に、順次転写させる構成の4連タンデム直接転写方式のカラー画像形成装置が主流を占める様になってきた(例えば、特許文献1 参照。)。
4連タンデム転写方式では、色別の画像形成工程をステーションと呼んでいる。4色あるので、工程の流れの順に第1ステーションないし第4ステーションと呼ぶ。
【0003】
しかしながら、4連タンデム直接転写方式を用いたカラー画像形成装置は、従来方式である中間転写体を用いたカラー画像形成装置に比べ、圧倒的に速いプリント速度を得られるメリットがある反面、記録材を搬送しながら、像担持体より直接転写を行うために、搬送中の記録材がレジストローラ、定着ローラ等転写ベルト以外の搬送系による搬送力を受けている場合には、これら搬送ローラと記録材を担持している転写ベルトとの間の微妙な線速差により、色ずれが発生してしまうと言うデメリットをもつ。
【0004】
また、例えばレジストローラより供給された記録材の進行方向と、転写ベルトの進行方向とに微妙なベクトル差があり用紙がスキューされながら搬送された場合なども、同様に色ずれとなってしまう可能性がある。
この様な不具合を回避する方式として、複数の像担持体、及び現像装置を含む画像形成ユニットを転写ベルトに対向させた位置に並列に並べた4連タンデム方式であって、各色の像担持体上のトナー像を転写ベルト上に直接転写させ、転写ベルト上で4色の色重ねを行った後に、2次転写工程で記録材に対し一括して転写する4連タンデム中間転写方式が提案されている。
【0005】
この様な転写ベルト上にトナー像を直接転写させる転写ベルトには、2色重ね合わせ文字の様な画像に発生しやすい転写チリを防止するために、表面抵抗率が1012Ω/□以上の高抵抗の表層を持つ構成が望ましい。ところが、転写ベルトを高抵抗化してしまうと、転写ベルトが各色の転写ニップ通過により像担持体との間で生じる剥離放電により帯電するために、下流ステーションに進むに従い、転写ベルトは徐々にチャージアップ(電荷量が蓄積されていく)してしまい、次ステーションのニップ入口部であって、転写紙がまだ感光体に密着していない領域で転写バイアスによる強電界が形成されている場合には、プレ転写による飛び散り画像が発生しやすくなる。
この様なプレ転写による異常画像は、特に機械の小型化を図るために像担持体である感光体を小径化した場合に、像担持体と転写バイアス印加部材とのニップ幅が狭くなってしまうために、より顕著に発生しやすくなる。
【0006】
この様な不具合を防止するためには、転写紙が転写バイアスの強電界を受ける前に感光体と密着させる様にするために押圧ローラを設ける構成とすれば良く、この押圧ローラを導電性ローラとして接地する構成とすれば、転写ニップ入口の電界を弱くすることができるのであるが(例えば、特許文献2 参照。)、4連タンデム転写方式にはこの導電性押圧ローラをそのまま適用する事はできない。
尚、特許文献2には、モノクロ単色機で、像担持体上のトナー像を転写ベルトに直接転写する方式の実施例が記載されているため、以下転写紙を転写ベルトと読み替える必要がある。
【0007】
特許文献2の実施例に示される様に、転写ニップ部への進入時点で、転写ベルト上にまだトナー像が形成されていない場合には、転写ニップ入口部の電界をできるだけ小さくするために押圧ローラを導電性とすればよいのであるが、4連タンデム中間転写方式の場合、第1ステーション以降の転写ベルト上にはトナー像が形成されているため、転写ベルト上のトナーにかかる電界は、転写ベルトが次ステーションの導電性押圧ローラに近づくに従い、∞(無限大)から急激に小さくなる。そして、トナーとローラ(GND)とのギャップがパッシェン則に示される放電限界を超えた時点で放電が起こり、トナーのチリとなってしまう。この様なローラに対するチリは特にR、G、Bの様な2色重ねのライン像で発生しやすい。
そのために、4連タンデム機にあっては転写ニップ入口部に配置するローラは導電性であるよりもむしろある程度の抵抗(抵抗層)を持ったものすなわち高抵抗ローラであることが望ましい。
【0008】
しかしながら、高抵抗体(体積抵抗率:1010Ω・cm以上)である転写ベルトに対し、同程度の高抵抗の押圧ローラを当接させ、転写ベルトを回転させると、今度はローラとベルトとの間で摩擦帯電が生じてしまうために、ローラに蓄積される帯電電荷がある限界値を超えてしまうと、同様に異常放電を起こしてしまう。
そして、この異常放電が起こった転写ベルト上にトナー像がある場合には、放電を受けた転写ベルト上の部分は、放電を受けなかった周囲に対し電位が異なるために、次のステーションで転写バイアス印加による転写を行おうとした時にその部分だけ、必要な電界が得られず、転写が行われなくなってしまう異常画像が発生することが判った。
ここで言う異常画像とは、特にハーフトーン部において目立ちやすく、ハーフトーン画像の一部が米粒状に白く抜ける様な斑点画像であり、その発生のしやすさは、ローラ、及び転写ベルトが高抵抗化してしまう低温低湿環境条件下において特に発生しやすくなる。
【0009】
以上をまとめると次の通りとなる。
<ニーズ> 高速化 → <手段> 4連タンデム方式
<ニーズ> 高画質化 → <手段> 中間転写ベルト表層の高抵抗化。
<ニーズ> 小型化 → <手段> 小径ドラム
→ そうすると、転写ニップ幅が狭くなり、転写ニップに入る前に転写電界が作用してしまい、前飛びのチリが発生する。
→<対策>転写ニップ入口側に押圧ローラを設ける。
→ただし、導電性であった場合・・・ この導電ローラに対し転写ベルト上のトナーが散る現象が発生してしまう。
絶縁性であった場合・・・ この絶縁ローラと転写ベルトとで摩擦帯電によって起こる異常放電により、米粒状の白抜け画像が発生してしまう。
と言う具合にどちらであっても不具合が生じてしまう。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−324883号公報(図1)
【特許文献2】
特開昭63−97976号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、4連タンデム転写方式を用いた画像形成装置において、転写ベルトユニットの内側に配置する高抵抗ローラの特性値を明確にすることにより、特に低湿環境において像担持体から転写ベルトへの転写時に発生しやすくなる異常画像を防止し、良好な画質が得られるカラー画像形成装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明では、像担持体上に形成された色の異なる複数のトナー像を、転写バイアス印加部材により中間転写ベルト上で重ね転写し、これを記録材に一括転写する事によりカラー画像を得る画像形成装置において、前記中間転写ベルトの内側から該中間転写ベルトに当接させる体積抵抗率1010Ω・cm以上の高抵抗ローラを有し、該高抵抗ローラの表面粗さを、10点平均粗さRz=6μm以上、または、算術平均粗さRa=1.5μm以上とすることを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明では、請求項1に記載の画像形成装置において、前記像担持体は色別に複数有し、前記高抵抗ローラは、転写ニップ形成の補助ローラとして、各像担持体の転写ニップ上流側であって、該転写ニップ近傍の転写ベルト内側におのおの配置することを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明では、請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記転写バイアス印加部材は、その部材自身の弾性力により、前記中間転写ベルト裏側から前記像担持体に対し、ある所定の圧力で押圧していることを特徴とする。
請求項4の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記転写バイアス印加部材は、ローラ状のバイアス印加部材であることを特徴とする。
請求項5の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記転写バイアス印加部材は、ブラシ状のバイアス印加部材であることを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記転写バイアス印加部材は、マイラ状のバイアス印加部材であることを特徴とする。
請求項7の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記転写バイアス印加部材は、ブレード状のバイアス印加部材であることを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記像担持体は、外径40mm以下であることを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明では、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記中間転写ベルトの表面抵抗率は1012Ω/□以上であることを特徴とする。
請求項10の発明では、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記高抵抗ローラは、金属ローラの芯金に樹脂層を設けた構成とすることを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明では、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記高抵抗ローラの表層は、サンドブラスト加工により、初期値Rz=12μm以上の10点平均粗さを有する凹凸を構成させることを特徴とする。
請求項12の発明では、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記高抵抗ローラの表層は、ダイスによる転造加工により所定の表面粗さを有する凹凸を構成させることを特徴とする。
請求項13の発明では、請求項12に記載の画像形成装置において、前記高抵抗ローラの表面粗さの初期値を10点平均粗さRz=7μm以上としたことを特徴とする。
【0019】
【実施例】
以下に実施例に従って本発明を説明する。
図1は本発明を適用したカラー画像形成装置の概略図である。
図中符号100は複写装置本体、200はそれを載せる給紙テーブル、300は複写装置本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)、10は転写ベルト、14は駆動ローラ、18は帯電ローラ、19はクリーニング装置、20は現像ユニット、21は書き込み部、22は第2転写部、24は搬送ベルト、25は定着装置、40は感光体ドラム、44は給紙カセット、51は手差し給紙部、57は排紙部、62は転写バイアス印加部材としての転写ローラ、63は高抵抗ローラをそれぞれ示す。
また、符号Cはシアン、Mはマゼンタ、Yはイエロー、Kはブラックの各色を示す。特に、色を区別する必要のないときは色別の符号は省略する。符号Pは記録材としての転写紙を示す。
【0020】
転写ベルト10が水平に展張された部分に、感光体ドラム40C、40M、40Y、40Kが、転写ベルト10の進行方向に向かってこの順に並んで第1ステーションから第4ステーションを形成している。各感光体ドラム40の周囲には、帯電ローラ18、現像ユニット20、クリーニング装置19が、感光体ドラムの回転方向に沿ってこの順に並んでいる。現像ユニット20とクリーニング装置19の間において、感光体ドラム40は転写ベルト10と接し、転写ローラ62に所定の圧力で押圧されて、転写ベルト10との間に第1転写部としての転写ニップを形成する。
第4ステーションの下流には、転写紙Pに画像を転写するための第2転写部22を有する。第2転写部を通った転写紙Pを搬送する搬送ベルト24が転写ベルト10の下方に設けられている。搬送ベルト24の下流側には定着装置25が有り、その下流には排紙部57が設けられている。給紙テーブル100には複数の給紙カセット44が装着されている。
【0021】
以下、このカラー画像形成装置の作像部における動作を説明する。
画像形成に先立ち、その直径が40mmである感光体ドラム40は不図示のメインモータにより回転駆動される。除電ローラに印加されたACバイアス(DC成分はゼロ)により感光体ドラム40表面は除電され、その表面電位が略−50vの基準電位となる。各感光体ドラム40は、順次タイミングを取りながら、帯電ローラ18にACバイアスを重畳したDCバイアス(−500〜−700v)を印加する事により、ほぼDC成分に等しい電位に均一に帯電される。その表面電位はほぼ−500v〜−700vに一様に帯電される。ただし、目標帯電電位はプロセス制御部により決定される。
【0022】
ついで、スキャナ部にて読みとられた原稿画像は、各色毎の2値化されたLD発光信号に変換され、シリンダレンズ、ポリゴンモータ、fθレンズ、第1〜第3ミラー、及びWTLレンズ等を含む書き込み部21により、それぞれ対応する色の情報で露光され、照射された部分の感光体上表面電位が略−50vとなり、画像情報に対応した静電潜像が形成される。現像ユニット20で、現像スリーブにACバイアスを重畳したDC−300〜−600vが印加される事により、静電潜像部に2成分現像方式によるトナー(Q/M:−20〜−30μC/g)が色別に現像され、トナー像が形成される。
【0023】
第1転写部としての転写ローラ62に印加されるトナーの帯電極性とは逆極性のバイアス(転写バイアス)により、画像は転写ベルト10上に転写される。上記のタイミングとは、感光体ドラム40Cによる転写画像が感光体ドラム40Mの転写ニップに至ったとき、感光体ドラム40Mによる画像が丁度重なって転写されるようなタイミングのことである。以後の色についても同様である。
【0024】
転写ローラ62は体積抵抗率がおよそ106〜108Ωc・m程度の、一般に中抵抗と呼ばれる範囲の抵抗を有する弾性材料で構成されており、ベルト側に所定の圧力を以て押し当てられている。所定の圧力とは、装置の不使用状態で長期間放置されても、ローラ表面に永久ひずみが残らない程度の変形が生ずる圧力とする。したがって、使用する材質、直径等によって、許容される所定の圧力は異なる。圧力の与え方は、ローラ軸に対してバネ部材を用いて押圧するのが多く用いられる方法であるが、ここでは、感光体ドラムと転写ローラの軸間距離を所定値に固定し、転写ローラの部材自身の弾性力によって押圧力を得る方法をとっている。
【0025】
4色の重ね転写が終わったあと、転写ベルト上の画像は駆動ローラ14の位置で折り返して第2転写部へ至る。給紙カセット44或いは手差し給紙部51などから送られてきた転写紙Pは、第2転写部22で転写ベルト10と密着され、必要な電界が与えられて、画像が転写される。画像転写後の転写紙Pは、搬送ベルト24により、定着装置25に送り込まれ、画像が定着された後、排紙部57へ排紙される。
【0026】
ここで、本発明に係る高抵抗ローラ63の説明をする。これら高抵抗ローラ63の役割は、感光体40と転写ベルト10とで構成される転写ニップを広くすることであり、転写ユニット内で位置決めされる様に図示しないバネによって加圧され、いわゆる補助ローラの役割をする。ここでは以下、バックアップローラと称す。
【0027】
感光体ドラムの直径が十分大きければ、転写ニップも必然的に大きくとれるので、バックアップローラを必要としないが、装置全体の小型化を達成するため、感光体ドラムも直径40mmかそれ以下にしようとしている。前述のように、転写バイアス印加部材による高い押圧力は期待できないので、この太さでは転写ニップの幅が不足し、転写が正しく行われない虞がある。そこでバックアップローラを感光体ドラムの近傍に設けて、転写ニップを広げなければならない。
バックアップローラの配置位置は転写ニップの上流側であるが、転写ベルトを感光体側に押すことによって、転写ニップを広くとれるようにすることがねらいであるから、転写ニップからあまり離れてしまってはその効果が薄れる。
【0028】
例えばバックアップローラ63Mを例にとると、感光体ドラム40Mからあまり離れて、感光体ドラム40Cに近くなりすぎると、感光体ドラム40Cの転写ニップは広がるが、感光体ドラム40Mの転写ニップはさほど広がらないことになる。その分はバックアップローラ63Yがカバーしてくれるが、第4ステーションの感光体ドラム40Kの転写ニップは広がらないままになる。したがって、バックアップローラ63は対応する感光体ドラム40からあまり離れたところには置かない方がよい。なるべくなら、バックアップローラの配置位置は、対応する感光体ドラムと、上流側の感光体ドラムとの中間点か、その位置より対応する感光体ドラムに近い方がよい。
【0029】
本実施例では、感光体ドラム40の直径を40mmとし、バックアップローラ63は直径6mmの金属ローラに1mm厚のABS樹脂(体積抵抗率:1015〜16Ω・cm)を圧入し、その最終外径を8mmとしたものの表面をダイスによって転造加工したものを用いたが、この条件を決めるにあたっては、以下の様な実験を行い、厚み条件を決定した。ただし、被覆する樹脂の体積抵抗率は上記に限定されるものではなく、前述のように1010Ω・cm以上であれば十分使用し得る。
【0030】
【0031】
図2は実験結果を表すグラフである。
図は各条件において、カラー画像を形成し、トナーのチリの状態を目視で判定し、最悪のレベル1から最良のレベル5までの、中間を含む9段階評価をしたものである。レベル3以上が実用的に許容できる範囲と想定している。
金属ローラのみの場合は、トナー付着量が本来の制御範囲であっても、トナー付着量が多くなると、実用に耐えないほどのトナーのチリが発生することが分かった。
【0032】
金属ローラ+絶縁チューブの場合は、トナー付着量が本来の制御範囲であればトナーのチリの状態は一応許容できる範囲に収まることが分かった。ただし、トナー付着量が制御範囲上限の+0.1mg/cm2のときの評価値がレベル3、すなわち、許容できる限界であったことから、この実験で取り上げていない因子の変動によってはトナーのチリがもっと増える危険性もあり、安心できる状態ではない。
【0033】
金属ローラ+樹脂層の場合、トナー付着量の制御範囲はもちろん、それを超えてトナー付着を行っても、評価レベルはあまり下がらないことが分かった。少なくとも、トナー付着量の制御範囲であれば、たとえその他の因子が変動したとしても、トナーのチリの状態がすぐに許容限界を下回るような虞はないといえる。
【0034】
図3はトナーのチリが発生するときの現象を説明するための模式図である。
同図において、符号Pはチリが発生に関係する場所を示す。P1はバックアップローラ63Mの上流側近傍、P2は感光体ドラム40Mから転写ベルト10へ画像が転写された直後の転写ニップ出口付近、P3はバックアップローラ63Yの上流側近傍である。
なお、チリの発生を説明する図であるため、バックアップローラ63は金属ローラで構成されているものとする。
【0035】
第1ステーション(シアン)を通過した転写ベルト10は、通過の際の剥離放電によりマイナスに帯電する。これは本実施例における画像形成装置においては、ネガポジ現像方式を用い、マイナス帯電した感光体40に対し、マイナストナーを現像し、これをプラスの転写バイアスにより転写させているため、転写ニップ部における剥離放電では、感光体40のマイナス電荷が転写ベルト10上に放電されるためである。
【0036】
この様にマイナスに帯電した転写ベルト10に対し、第2ステーション(マゼンタ)ではマイナスのトナーを転写するために、転写後の状態は転写ベルトのマイナスとトナーのマイナスとで反発しあうために、電気的に非常に不安定な状態となる。
【0037】
この様に電気的に不安定な転写ベルト10上のトナーが、ベルト搬送により金属であるバックアップローラ63Mの近傍P1に近づくと、トナーにかかる電界は∞(無限大)から急激に小さくなるために、あるパッシェン則で示される放電限界点を超えるとローラに対し放電するためにチリとなる。
感光体ドラム40Mにより、マゼンタトナーがシアントナー上に重ねて転写され、転写ニップ出口にかかると、感光体ドラム40Mから転写ベルト10が離れるときの剥離放電により転写ベルト、及びシアントナー上のマゼンタトナーは更にマイナスに帯電する。転写ベルト10とトナーの誘電率の違いにより、文字部分であるトナー部の方がトナーの無い周囲に対しより高いマイナスに帯電し更に電気的に不安定な状態となる。
【0038】
また、マゼンタトナー転写後の第3ステーションでは、前記と同様、バックアップローラ63Yの近傍P3に近づくと、トナーにかかる電界が放電限界点を超えたときローラに対し放電するためここでもチリが発生する。
以下、図示を省略したが、このようにして、トナー部が順次高いマイナスに帯電し更に電気的に不安定な状態となり、第4ステーションにおけるバックアップローラ62Kが金属ローラであった場合には、先と同様に、或いはそれ以上に激しく放電が起こるために、より悪い状態のチリが発生するものと考えられる。
【0039】
これに対し、金属ローラの周囲に絶縁チューブを巻く、またはより厚みのある樹脂層を巻く事により、GNDに対する電気的な距離を稼げるために、異常放電に対する余裕度が増し、樹脂層厚み1mmとした場合には、図2に示す通り、目標のトナー付着量制御範囲内において、先の9段階評価で、ほぼ問題ないランク4.5以上の画像が得られる結果となった。
なお、重ね画像におけるチリに対しては、転写ベルトの表面抵抗率をトナーの抵抗率(ほぼ絶縁)にできるだけ近づけるほうが有利であることから、転写ベルトの表面抵抗率は1012Ω/□以上のものを用いた。
【0040】
そこで、このバックアップローラ条件、すなわち、金属ローラ(直径6mm)+ABS樹脂(厚さ1mm)の条件にて、各種通紙確認を行ったところ、先のチリと同様、低湿環境において、ハーフトーンが部分的に米粒状に白抜けしてしまう不具合が発生した。
これについての原因解析を行った結果、白抜けの程度は、第4ステーションであるBKのバックアップローラの表面粗さとの相関が高い事が判明した。
【0041】
図4は、10点平均粗さRzと画像の良否との関係を示すグラフである。
図5は、算術平均粗さRaと画像の良否との関係を示すグラフである。
両図において、縦軸は画像の良否を、良(○)、否(×)の二値評価したランクを示す。
図4においては、Rzが5、67μmでは良画像は得られず、6、46μmでは良画像が得られた。したがって、ほぼ6μm以上であれば良画像が得られる、すなわち、米粒状白抜けの異常画像が防止できることが分かった。また図5においては、Raが1.38μmでは良画像が得られず、1.54μmでは良画像が得られた。したがって、ほぼ1.5μm以上であれば同様に良画像が得られることが分かった。
Rz、Raの上限については特に調べてないが、少なくとも今回実験できた最大値、Rz=20.29μm、Ra=4.25においては十分良画像が得られることが分かっている。
【0042】
これまでの経験から、表面粗さの非常に小さい金属ローラ(Ra=0.3μm)ではトナーのチリの不具合が発生しないことが分かっている。この事実と、今回の実験結果から白抜けの発生原因について考えてみる。
白抜けは低湿環境下のみで発生していること、第4ステーションの転写ニップ進入前に、バックアップローラ63Kで受ける異常放電により、BKのハーフトーンが部分的に転写できていないことから、以下のように考えられる。
【0043】
図6は転写ニップ近傍における感光体ドラムと転写ベルトの電位関係を示す模式図である。
図6(a)は転写ベルトが帯電していない状態を示す図である。図6(b)は転写ベルトが部分的に高いマイナス帯電をしている状態を示す図である。太い矢印は長さで転写電界のレベルを模式的に表している。
図6(a)に示すように、通常は転写ベルトが特に帯電していなければ、転写電界は所定の値が確保されて、予定どおりの転写が行われる。
【0044】
図6(b)に示すように、バックアップローラ63の転写ベルト10との摩擦帯電により、ローラがマイナス、ベルトがプラスに帯電し、Q点において異常放電により、転写ベルト10裏面が部分的に非常に高いマイナスに帯電されたとする。その帯電を受けてしまった部分だけが、必要な転写電界が得られず、画像が転写できなくなって、白抜けになってしまったものと思われる。
【0045】
バックアップローラと転写ベルトの間で起こる異常放電現象は、両者のの表面状態が非常になめらかである場合には、放電限界のしきい値が高くなるために、放電が発生しにくいと考えられる。
或る程度の表面粗さがあってもその値が小さい場合は、やはり放電限界のしきい値が高いため、1回の放電で起こる時に授受される電荷量も非常に高くなる。したがって、その放電により転写ベルトをより強くマイナスに帯電させてしまい、この様な異常画像になってしまったものと考えられる。
逆に、針状に放電しやすい箇所が何カ所もある場合には、微少エネルギーによる放電が連続して起こるために、部分的な強いマイナス帯電の部分の発生が無く、異常画像にはならないと考えられる。
【0046】
以上の検討結果に基づき、表面を各種加工方法により作製したバックアップローラの耐久試験を行った。
本試験では、転写ニップを確保するためのバックアップローラとして、金属ローラの外側に体積抵抗率が1015〜16Ω・cmのABS樹脂層(厚み1mm)を圧入し、その表面に対し、加工法を変えて、同程度の表面粗さで3種類の表面状態を形成した。
形成した表面状態は、ローラ表面を紙ヤスリにて粗したもの、サンドブラストにより粗したもの、及び、ダイスによりアヤメ状に転造加工したものの3種類である。
図12はアヤメ状転造加工のローラの構成を示す部分図である。
図において符号62aは直径6mmの金属ローラ、62bは厚さ1mmのABS樹脂層、62cは模式的に表したアヤメ状凹凸部の一部をそれぞれ示す。
試験方法は、直径40mmの感光体ドラムを有する通常の画像形成装置に組み込んで、画像形成を行い、通紙枚数で数えて10万枚、30万枚、50万枚、100万枚の各時点で、画像の白抜けと表面粗さの変化の関係をチェックした。
【0047】
図7は耐久試験の結果を示すグラフである。
図中、白丸で囲ったプロットは、画像中に米粒状の白抜けが発生していたことを示す。
紙ヤスリによる粗しローラは20万枚付近で白抜けが発生している。したがって、その前後のチェックポイントである10万枚と30万枚におけるローラ表面の粗さを見ると、10点平均粗さRzは約6.8μmと約5.5μmであった。
両者の中間値は6.15μmとなり、これは先に図4に示す実験で得られた許容限界値Rz=6μmとほぼ一致する。そこで、Rz=6μmを白抜け発生限界と見て良い。
以下の説明では表面粗さとしてすべて10点平均粗さRzを使用し、単に表面粗さとのみ表現する。
【0048】
サンドブラスト加工品は100万枚通紙後も表面粗さは6μm以上を維持しており、白抜けも発生しなかった。ただし、100万枚通紙後の表面粗さが約6.7μmと白抜け限界に非常に近かった。グラフの推移から見ると、これ以上通紙を続ければ、じきに白抜け限界以下の表面粗さになるのは明らかである。ただし、バックアップローラの交換時期を100万枚通紙時点として、それ以上は摩耗したバックアップローラを使用しないようにメンテナンスするのであれば、サンドブラスト法による粗しローラでも十分使用できる。実験では初期値を表面粗さを12μmとしたが、初期値をそれより大きくすればさらに余裕ができるので、安心して使用できる。
【0049】
一方、転造ローラは100万枚通紙後も、表面粗さRzはわずか1μmしか減少しておらず、白抜け限界より遙かに大きな値を保っている。すなわち、ダイスによりアヤメ状に転造加工したローラが、最も耐久性に優れていることが判った。これは、ローラ表面の微少な凹凸の、凸部が転造加工により加工硬化したことによるものと思われる。これに対し、紙ヤスリによる加工は、単に部分的な除去により凹部を形成するのみであるから、凸部において加工硬化は生じない。また、サンドブラストによる加工は、砂の吹きつけの衝撃により凹部を形成するものであるから、凹部には圧縮による加工硬化が生ずるが、凸部には部分的にしかそのような現象は生じない。そのため、この両者は凸部の摩耗が速かったと考えられる。
【0050】
この試験では転造ローラの表面粗さRzを12μmとしたが、耐久目標が仮に100万枚だったとすれば、その最終時点で白抜け限界以上の表面粗さを保っていればよいとすると、初期の表面粗さは7μmくらいでも良いことになる。見方を変えれば、Rz=12μmで形成した場合には、トナーのチリに関しても、画像の白抜けに関しても、十分な余裕があるので、感光体ドラム40の直径を、上記実験値の40mmより更に小さくしても、まだ十分良好な画像が得られる見込みがある。
【0051】
バイアス印加部材としては、転写ローラのほかに、転写ブラシ、転写マイラ、転写ブレード等、公知の部材が使用し得る。いずれも経時的な永久ひずみを起こさないためには、高い押圧力を与えることはできない。
図8ないし図11は転写ローラ以外のバイアス印加部材の使用例を、マゼンタ色の第2ステーションを例にとって示す図である。いずれも一般に中抵抗と呼ばれるレベルの導電性が付与されている。
図8はローラ状のブラシをバイアス印加部材として用いる例、図9は単なる帯状のブラシをバイアス印加部材として使用する例、図10は薄い板状のマイラをバイアス印加部材として使用する例、図11は板状の弾性材料をバイアス印加部材として使用する例をそれぞれ示した図である。
【0052】
以上の実施例では、転写ベルトの内側であって転写ニップ形成の補助的手段としてのバックアップローラに、本発明を適用した場合の実施例について示したが、この転写ベルトとバックアップローラとの間で起こる放電現象を利用すれば、転写ベルトを除電できるものと思われる。転写ニップ入口にあって、転写ニップを確保するためのバックアップローラのみならず、転写ユニット内の他の部分にあるローラに対しても本発明を適用すれば、転写ベルト自身を効果的に除電できるものと思われる。
また、4連タンデム方式の中間転写ベルトのみならず、4連タンデム直接転写方式の転写ベルト内側のローラ、及び、1ドラム中間転写方式の転写ベルト内側のローラに対しても有効である。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、特に低温低湿環境において発生しやすい2色重ねの文字画像の転写チリ、及び、ハーフトーン画像において目立ちやすい米粒状の白抜け画像等の異常画像を、効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したカラー画像形成装置の概略図である。
【図2】実験結果を表すグラフである。
【図3】トナーのチリが発生するときの現象を説明するための模式図である。
【図4】10点平均粗さRzと画像の良否との関係を示すグラフである。
【図5】算術平均粗さRaと画像の良否との関係を示すグラフである。
【図6】転写ニップ近傍における感光体ドラムと転写ベルトの電位関係を示す模式図である。
【図7】耐久試験の結果を示すグラフである。
【図8】ローラ状のブラシをバイアス印加部材として用いる例を示す図である。
【図9】帯状のブラシをバイアス印加部材として用いる例を示す図である。
【図10】薄い板状のマイラをバイアス印加部材として用いる例を示す図である。
【図11】板状の弾性部材をバイアス印加部材として用いる例を示す図である。
【図12】アヤメ状転造加工のローラの構成を示す部分図である
【符号の説明】
10 転写ベルト
40 感光体ドラム
62 転写ローラ
63 バックアップローラ
【産業上の利用分野】
本発明は、複写機、レーザービームプリンター等の中間転写方式のカラー画像形成装置における転写ベルトの内側に配設される高抵抗ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年におけるカラー画像出力装置の高速化、及び高機能化の流れにより、従来は中間転写体を用いたカラー画像形成装置が主流であったのに対し、最近では複数の像担持体、及び現像装置を含む画像形成ユニットを中間転写ベルト(以下単に転写ベルトという)に対向させた位置に並列に並べ、像担持体上のトナー像を転写ベルト上に静電吸着させた記録材上に、順次転写させる構成の4連タンデム直接転写方式のカラー画像形成装置が主流を占める様になってきた(例えば、特許文献1 参照。)。
4連タンデム転写方式では、色別の画像形成工程をステーションと呼んでいる。4色あるので、工程の流れの順に第1ステーションないし第4ステーションと呼ぶ。
【0003】
しかしながら、4連タンデム直接転写方式を用いたカラー画像形成装置は、従来方式である中間転写体を用いたカラー画像形成装置に比べ、圧倒的に速いプリント速度を得られるメリットがある反面、記録材を搬送しながら、像担持体より直接転写を行うために、搬送中の記録材がレジストローラ、定着ローラ等転写ベルト以外の搬送系による搬送力を受けている場合には、これら搬送ローラと記録材を担持している転写ベルトとの間の微妙な線速差により、色ずれが発生してしまうと言うデメリットをもつ。
【0004】
また、例えばレジストローラより供給された記録材の進行方向と、転写ベルトの進行方向とに微妙なベクトル差があり用紙がスキューされながら搬送された場合なども、同様に色ずれとなってしまう可能性がある。
この様な不具合を回避する方式として、複数の像担持体、及び現像装置を含む画像形成ユニットを転写ベルトに対向させた位置に並列に並べた4連タンデム方式であって、各色の像担持体上のトナー像を転写ベルト上に直接転写させ、転写ベルト上で4色の色重ねを行った後に、2次転写工程で記録材に対し一括して転写する4連タンデム中間転写方式が提案されている。
【0005】
この様な転写ベルト上にトナー像を直接転写させる転写ベルトには、2色重ね合わせ文字の様な画像に発生しやすい転写チリを防止するために、表面抵抗率が1012Ω/□以上の高抵抗の表層を持つ構成が望ましい。ところが、転写ベルトを高抵抗化してしまうと、転写ベルトが各色の転写ニップ通過により像担持体との間で生じる剥離放電により帯電するために、下流ステーションに進むに従い、転写ベルトは徐々にチャージアップ(電荷量が蓄積されていく)してしまい、次ステーションのニップ入口部であって、転写紙がまだ感光体に密着していない領域で転写バイアスによる強電界が形成されている場合には、プレ転写による飛び散り画像が発生しやすくなる。
この様なプレ転写による異常画像は、特に機械の小型化を図るために像担持体である感光体を小径化した場合に、像担持体と転写バイアス印加部材とのニップ幅が狭くなってしまうために、より顕著に発生しやすくなる。
【0006】
この様な不具合を防止するためには、転写紙が転写バイアスの強電界を受ける前に感光体と密着させる様にするために押圧ローラを設ける構成とすれば良く、この押圧ローラを導電性ローラとして接地する構成とすれば、転写ニップ入口の電界を弱くすることができるのであるが(例えば、特許文献2 参照。)、4連タンデム転写方式にはこの導電性押圧ローラをそのまま適用する事はできない。
尚、特許文献2には、モノクロ単色機で、像担持体上のトナー像を転写ベルトに直接転写する方式の実施例が記載されているため、以下転写紙を転写ベルトと読み替える必要がある。
【0007】
特許文献2の実施例に示される様に、転写ニップ部への進入時点で、転写ベルト上にまだトナー像が形成されていない場合には、転写ニップ入口部の電界をできるだけ小さくするために押圧ローラを導電性とすればよいのであるが、4連タンデム中間転写方式の場合、第1ステーション以降の転写ベルト上にはトナー像が形成されているため、転写ベルト上のトナーにかかる電界は、転写ベルトが次ステーションの導電性押圧ローラに近づくに従い、∞(無限大)から急激に小さくなる。そして、トナーとローラ(GND)とのギャップがパッシェン則に示される放電限界を超えた時点で放電が起こり、トナーのチリとなってしまう。この様なローラに対するチリは特にR、G、Bの様な2色重ねのライン像で発生しやすい。
そのために、4連タンデム機にあっては転写ニップ入口部に配置するローラは導電性であるよりもむしろある程度の抵抗(抵抗層)を持ったものすなわち高抵抗ローラであることが望ましい。
【0008】
しかしながら、高抵抗体(体積抵抗率:1010Ω・cm以上)である転写ベルトに対し、同程度の高抵抗の押圧ローラを当接させ、転写ベルトを回転させると、今度はローラとベルトとの間で摩擦帯電が生じてしまうために、ローラに蓄積される帯電電荷がある限界値を超えてしまうと、同様に異常放電を起こしてしまう。
そして、この異常放電が起こった転写ベルト上にトナー像がある場合には、放電を受けた転写ベルト上の部分は、放電を受けなかった周囲に対し電位が異なるために、次のステーションで転写バイアス印加による転写を行おうとした時にその部分だけ、必要な電界が得られず、転写が行われなくなってしまう異常画像が発生することが判った。
ここで言う異常画像とは、特にハーフトーン部において目立ちやすく、ハーフトーン画像の一部が米粒状に白く抜ける様な斑点画像であり、その発生のしやすさは、ローラ、及び転写ベルトが高抵抗化してしまう低温低湿環境条件下において特に発生しやすくなる。
【0009】
以上をまとめると次の通りとなる。
<ニーズ> 高速化 → <手段> 4連タンデム方式
<ニーズ> 高画質化 → <手段> 中間転写ベルト表層の高抵抗化。
<ニーズ> 小型化 → <手段> 小径ドラム
→ そうすると、転写ニップ幅が狭くなり、転写ニップに入る前に転写電界が作用してしまい、前飛びのチリが発生する。
→<対策>転写ニップ入口側に押圧ローラを設ける。
→ただし、導電性であった場合・・・ この導電ローラに対し転写ベルト上のトナーが散る現象が発生してしまう。
絶縁性であった場合・・・ この絶縁ローラと転写ベルトとで摩擦帯電によって起こる異常放電により、米粒状の白抜け画像が発生してしまう。
と言う具合にどちらであっても不具合が生じてしまう。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−324883号公報(図1)
【特許文献2】
特開昭63−97976号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、4連タンデム転写方式を用いた画像形成装置において、転写ベルトユニットの内側に配置する高抵抗ローラの特性値を明確にすることにより、特に低湿環境において像担持体から転写ベルトへの転写時に発生しやすくなる異常画像を防止し、良好な画質が得られるカラー画像形成装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明では、像担持体上に形成された色の異なる複数のトナー像を、転写バイアス印加部材により中間転写ベルト上で重ね転写し、これを記録材に一括転写する事によりカラー画像を得る画像形成装置において、前記中間転写ベルトの内側から該中間転写ベルトに当接させる体積抵抗率1010Ω・cm以上の高抵抗ローラを有し、該高抵抗ローラの表面粗さを、10点平均粗さRz=6μm以上、または、算術平均粗さRa=1.5μm以上とすることを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明では、請求項1に記載の画像形成装置において、前記像担持体は色別に複数有し、前記高抵抗ローラは、転写ニップ形成の補助ローラとして、各像担持体の転写ニップ上流側であって、該転写ニップ近傍の転写ベルト内側におのおの配置することを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明では、請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記転写バイアス印加部材は、その部材自身の弾性力により、前記中間転写ベルト裏側から前記像担持体に対し、ある所定の圧力で押圧していることを特徴とする。
請求項4の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記転写バイアス印加部材は、ローラ状のバイアス印加部材であることを特徴とする。
請求項5の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記転写バイアス印加部材は、ブラシ状のバイアス印加部材であることを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記転写バイアス印加部材は、マイラ状のバイアス印加部材であることを特徴とする。
請求項7の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記転写バイアス印加部材は、ブレード状のバイアス印加部材であることを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記像担持体は、外径40mm以下であることを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明では、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記中間転写ベルトの表面抵抗率は1012Ω/□以上であることを特徴とする。
請求項10の発明では、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記高抵抗ローラは、金属ローラの芯金に樹脂層を設けた構成とすることを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明では、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記高抵抗ローラの表層は、サンドブラスト加工により、初期値Rz=12μm以上の10点平均粗さを有する凹凸を構成させることを特徴とする。
請求項12の発明では、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記高抵抗ローラの表層は、ダイスによる転造加工により所定の表面粗さを有する凹凸を構成させることを特徴とする。
請求項13の発明では、請求項12に記載の画像形成装置において、前記高抵抗ローラの表面粗さの初期値を10点平均粗さRz=7μm以上としたことを特徴とする。
【0019】
【実施例】
以下に実施例に従って本発明を説明する。
図1は本発明を適用したカラー画像形成装置の概略図である。
図中符号100は複写装置本体、200はそれを載せる給紙テーブル、300は複写装置本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)、10は転写ベルト、14は駆動ローラ、18は帯電ローラ、19はクリーニング装置、20は現像ユニット、21は書き込み部、22は第2転写部、24は搬送ベルト、25は定着装置、40は感光体ドラム、44は給紙カセット、51は手差し給紙部、57は排紙部、62は転写バイアス印加部材としての転写ローラ、63は高抵抗ローラをそれぞれ示す。
また、符号Cはシアン、Mはマゼンタ、Yはイエロー、Kはブラックの各色を示す。特に、色を区別する必要のないときは色別の符号は省略する。符号Pは記録材としての転写紙を示す。
【0020】
転写ベルト10が水平に展張された部分に、感光体ドラム40C、40M、40Y、40Kが、転写ベルト10の進行方向に向かってこの順に並んで第1ステーションから第4ステーションを形成している。各感光体ドラム40の周囲には、帯電ローラ18、現像ユニット20、クリーニング装置19が、感光体ドラムの回転方向に沿ってこの順に並んでいる。現像ユニット20とクリーニング装置19の間において、感光体ドラム40は転写ベルト10と接し、転写ローラ62に所定の圧力で押圧されて、転写ベルト10との間に第1転写部としての転写ニップを形成する。
第4ステーションの下流には、転写紙Pに画像を転写するための第2転写部22を有する。第2転写部を通った転写紙Pを搬送する搬送ベルト24が転写ベルト10の下方に設けられている。搬送ベルト24の下流側には定着装置25が有り、その下流には排紙部57が設けられている。給紙テーブル100には複数の給紙カセット44が装着されている。
【0021】
以下、このカラー画像形成装置の作像部における動作を説明する。
画像形成に先立ち、その直径が40mmである感光体ドラム40は不図示のメインモータにより回転駆動される。除電ローラに印加されたACバイアス(DC成分はゼロ)により感光体ドラム40表面は除電され、その表面電位が略−50vの基準電位となる。各感光体ドラム40は、順次タイミングを取りながら、帯電ローラ18にACバイアスを重畳したDCバイアス(−500〜−700v)を印加する事により、ほぼDC成分に等しい電位に均一に帯電される。その表面電位はほぼ−500v〜−700vに一様に帯電される。ただし、目標帯電電位はプロセス制御部により決定される。
【0022】
ついで、スキャナ部にて読みとられた原稿画像は、各色毎の2値化されたLD発光信号に変換され、シリンダレンズ、ポリゴンモータ、fθレンズ、第1〜第3ミラー、及びWTLレンズ等を含む書き込み部21により、それぞれ対応する色の情報で露光され、照射された部分の感光体上表面電位が略−50vとなり、画像情報に対応した静電潜像が形成される。現像ユニット20で、現像スリーブにACバイアスを重畳したDC−300〜−600vが印加される事により、静電潜像部に2成分現像方式によるトナー(Q/M:−20〜−30μC/g)が色別に現像され、トナー像が形成される。
【0023】
第1転写部としての転写ローラ62に印加されるトナーの帯電極性とは逆極性のバイアス(転写バイアス)により、画像は転写ベルト10上に転写される。上記のタイミングとは、感光体ドラム40Cによる転写画像が感光体ドラム40Mの転写ニップに至ったとき、感光体ドラム40Mによる画像が丁度重なって転写されるようなタイミングのことである。以後の色についても同様である。
【0024】
転写ローラ62は体積抵抗率がおよそ106〜108Ωc・m程度の、一般に中抵抗と呼ばれる範囲の抵抗を有する弾性材料で構成されており、ベルト側に所定の圧力を以て押し当てられている。所定の圧力とは、装置の不使用状態で長期間放置されても、ローラ表面に永久ひずみが残らない程度の変形が生ずる圧力とする。したがって、使用する材質、直径等によって、許容される所定の圧力は異なる。圧力の与え方は、ローラ軸に対してバネ部材を用いて押圧するのが多く用いられる方法であるが、ここでは、感光体ドラムと転写ローラの軸間距離を所定値に固定し、転写ローラの部材自身の弾性力によって押圧力を得る方法をとっている。
【0025】
4色の重ね転写が終わったあと、転写ベルト上の画像は駆動ローラ14の位置で折り返して第2転写部へ至る。給紙カセット44或いは手差し給紙部51などから送られてきた転写紙Pは、第2転写部22で転写ベルト10と密着され、必要な電界が与えられて、画像が転写される。画像転写後の転写紙Pは、搬送ベルト24により、定着装置25に送り込まれ、画像が定着された後、排紙部57へ排紙される。
【0026】
ここで、本発明に係る高抵抗ローラ63の説明をする。これら高抵抗ローラ63の役割は、感光体40と転写ベルト10とで構成される転写ニップを広くすることであり、転写ユニット内で位置決めされる様に図示しないバネによって加圧され、いわゆる補助ローラの役割をする。ここでは以下、バックアップローラと称す。
【0027】
感光体ドラムの直径が十分大きければ、転写ニップも必然的に大きくとれるので、バックアップローラを必要としないが、装置全体の小型化を達成するため、感光体ドラムも直径40mmかそれ以下にしようとしている。前述のように、転写バイアス印加部材による高い押圧力は期待できないので、この太さでは転写ニップの幅が不足し、転写が正しく行われない虞がある。そこでバックアップローラを感光体ドラムの近傍に設けて、転写ニップを広げなければならない。
バックアップローラの配置位置は転写ニップの上流側であるが、転写ベルトを感光体側に押すことによって、転写ニップを広くとれるようにすることがねらいであるから、転写ニップからあまり離れてしまってはその効果が薄れる。
【0028】
例えばバックアップローラ63Mを例にとると、感光体ドラム40Mからあまり離れて、感光体ドラム40Cに近くなりすぎると、感光体ドラム40Cの転写ニップは広がるが、感光体ドラム40Mの転写ニップはさほど広がらないことになる。その分はバックアップローラ63Yがカバーしてくれるが、第4ステーションの感光体ドラム40Kの転写ニップは広がらないままになる。したがって、バックアップローラ63は対応する感光体ドラム40からあまり離れたところには置かない方がよい。なるべくなら、バックアップローラの配置位置は、対応する感光体ドラムと、上流側の感光体ドラムとの中間点か、その位置より対応する感光体ドラムに近い方がよい。
【0029】
本実施例では、感光体ドラム40の直径を40mmとし、バックアップローラ63は直径6mmの金属ローラに1mm厚のABS樹脂(体積抵抗率:1015〜16Ω・cm)を圧入し、その最終外径を8mmとしたものの表面をダイスによって転造加工したものを用いたが、この条件を決めるにあたっては、以下の様な実験を行い、厚み条件を決定した。ただし、被覆する樹脂の体積抵抗率は上記に限定されるものではなく、前述のように1010Ω・cm以上であれば十分使用し得る。
【0030】
【0031】
図2は実験結果を表すグラフである。
図は各条件において、カラー画像を形成し、トナーのチリの状態を目視で判定し、最悪のレベル1から最良のレベル5までの、中間を含む9段階評価をしたものである。レベル3以上が実用的に許容できる範囲と想定している。
金属ローラのみの場合は、トナー付着量が本来の制御範囲であっても、トナー付着量が多くなると、実用に耐えないほどのトナーのチリが発生することが分かった。
【0032】
金属ローラ+絶縁チューブの場合は、トナー付着量が本来の制御範囲であればトナーのチリの状態は一応許容できる範囲に収まることが分かった。ただし、トナー付着量が制御範囲上限の+0.1mg/cm2のときの評価値がレベル3、すなわち、許容できる限界であったことから、この実験で取り上げていない因子の変動によってはトナーのチリがもっと増える危険性もあり、安心できる状態ではない。
【0033】
金属ローラ+樹脂層の場合、トナー付着量の制御範囲はもちろん、それを超えてトナー付着を行っても、評価レベルはあまり下がらないことが分かった。少なくとも、トナー付着量の制御範囲であれば、たとえその他の因子が変動したとしても、トナーのチリの状態がすぐに許容限界を下回るような虞はないといえる。
【0034】
図3はトナーのチリが発生するときの現象を説明するための模式図である。
同図において、符号Pはチリが発生に関係する場所を示す。P1はバックアップローラ63Mの上流側近傍、P2は感光体ドラム40Mから転写ベルト10へ画像が転写された直後の転写ニップ出口付近、P3はバックアップローラ63Yの上流側近傍である。
なお、チリの発生を説明する図であるため、バックアップローラ63は金属ローラで構成されているものとする。
【0035】
第1ステーション(シアン)を通過した転写ベルト10は、通過の際の剥離放電によりマイナスに帯電する。これは本実施例における画像形成装置においては、ネガポジ現像方式を用い、マイナス帯電した感光体40に対し、マイナストナーを現像し、これをプラスの転写バイアスにより転写させているため、転写ニップ部における剥離放電では、感光体40のマイナス電荷が転写ベルト10上に放電されるためである。
【0036】
この様にマイナスに帯電した転写ベルト10に対し、第2ステーション(マゼンタ)ではマイナスのトナーを転写するために、転写後の状態は転写ベルトのマイナスとトナーのマイナスとで反発しあうために、電気的に非常に不安定な状態となる。
【0037】
この様に電気的に不安定な転写ベルト10上のトナーが、ベルト搬送により金属であるバックアップローラ63Mの近傍P1に近づくと、トナーにかかる電界は∞(無限大)から急激に小さくなるために、あるパッシェン則で示される放電限界点を超えるとローラに対し放電するためにチリとなる。
感光体ドラム40Mにより、マゼンタトナーがシアントナー上に重ねて転写され、転写ニップ出口にかかると、感光体ドラム40Mから転写ベルト10が離れるときの剥離放電により転写ベルト、及びシアントナー上のマゼンタトナーは更にマイナスに帯電する。転写ベルト10とトナーの誘電率の違いにより、文字部分であるトナー部の方がトナーの無い周囲に対しより高いマイナスに帯電し更に電気的に不安定な状態となる。
【0038】
また、マゼンタトナー転写後の第3ステーションでは、前記と同様、バックアップローラ63Yの近傍P3に近づくと、トナーにかかる電界が放電限界点を超えたときローラに対し放電するためここでもチリが発生する。
以下、図示を省略したが、このようにして、トナー部が順次高いマイナスに帯電し更に電気的に不安定な状態となり、第4ステーションにおけるバックアップローラ62Kが金属ローラであった場合には、先と同様に、或いはそれ以上に激しく放電が起こるために、より悪い状態のチリが発生するものと考えられる。
【0039】
これに対し、金属ローラの周囲に絶縁チューブを巻く、またはより厚みのある樹脂層を巻く事により、GNDに対する電気的な距離を稼げるために、異常放電に対する余裕度が増し、樹脂層厚み1mmとした場合には、図2に示す通り、目標のトナー付着量制御範囲内において、先の9段階評価で、ほぼ問題ないランク4.5以上の画像が得られる結果となった。
なお、重ね画像におけるチリに対しては、転写ベルトの表面抵抗率をトナーの抵抗率(ほぼ絶縁)にできるだけ近づけるほうが有利であることから、転写ベルトの表面抵抗率は1012Ω/□以上のものを用いた。
【0040】
そこで、このバックアップローラ条件、すなわち、金属ローラ(直径6mm)+ABS樹脂(厚さ1mm)の条件にて、各種通紙確認を行ったところ、先のチリと同様、低湿環境において、ハーフトーンが部分的に米粒状に白抜けしてしまう不具合が発生した。
これについての原因解析を行った結果、白抜けの程度は、第4ステーションであるBKのバックアップローラの表面粗さとの相関が高い事が判明した。
【0041】
図4は、10点平均粗さRzと画像の良否との関係を示すグラフである。
図5は、算術平均粗さRaと画像の良否との関係を示すグラフである。
両図において、縦軸は画像の良否を、良(○)、否(×)の二値評価したランクを示す。
図4においては、Rzが5、67μmでは良画像は得られず、6、46μmでは良画像が得られた。したがって、ほぼ6μm以上であれば良画像が得られる、すなわち、米粒状白抜けの異常画像が防止できることが分かった。また図5においては、Raが1.38μmでは良画像が得られず、1.54μmでは良画像が得られた。したがって、ほぼ1.5μm以上であれば同様に良画像が得られることが分かった。
Rz、Raの上限については特に調べてないが、少なくとも今回実験できた最大値、Rz=20.29μm、Ra=4.25においては十分良画像が得られることが分かっている。
【0042】
これまでの経験から、表面粗さの非常に小さい金属ローラ(Ra=0.3μm)ではトナーのチリの不具合が発生しないことが分かっている。この事実と、今回の実験結果から白抜けの発生原因について考えてみる。
白抜けは低湿環境下のみで発生していること、第4ステーションの転写ニップ進入前に、バックアップローラ63Kで受ける異常放電により、BKのハーフトーンが部分的に転写できていないことから、以下のように考えられる。
【0043】
図6は転写ニップ近傍における感光体ドラムと転写ベルトの電位関係を示す模式図である。
図6(a)は転写ベルトが帯電していない状態を示す図である。図6(b)は転写ベルトが部分的に高いマイナス帯電をしている状態を示す図である。太い矢印は長さで転写電界のレベルを模式的に表している。
図6(a)に示すように、通常は転写ベルトが特に帯電していなければ、転写電界は所定の値が確保されて、予定どおりの転写が行われる。
【0044】
図6(b)に示すように、バックアップローラ63の転写ベルト10との摩擦帯電により、ローラがマイナス、ベルトがプラスに帯電し、Q点において異常放電により、転写ベルト10裏面が部分的に非常に高いマイナスに帯電されたとする。その帯電を受けてしまった部分だけが、必要な転写電界が得られず、画像が転写できなくなって、白抜けになってしまったものと思われる。
【0045】
バックアップローラと転写ベルトの間で起こる異常放電現象は、両者のの表面状態が非常になめらかである場合には、放電限界のしきい値が高くなるために、放電が発生しにくいと考えられる。
或る程度の表面粗さがあってもその値が小さい場合は、やはり放電限界のしきい値が高いため、1回の放電で起こる時に授受される電荷量も非常に高くなる。したがって、その放電により転写ベルトをより強くマイナスに帯電させてしまい、この様な異常画像になってしまったものと考えられる。
逆に、針状に放電しやすい箇所が何カ所もある場合には、微少エネルギーによる放電が連続して起こるために、部分的な強いマイナス帯電の部分の発生が無く、異常画像にはならないと考えられる。
【0046】
以上の検討結果に基づき、表面を各種加工方法により作製したバックアップローラの耐久試験を行った。
本試験では、転写ニップを確保するためのバックアップローラとして、金属ローラの外側に体積抵抗率が1015〜16Ω・cmのABS樹脂層(厚み1mm)を圧入し、その表面に対し、加工法を変えて、同程度の表面粗さで3種類の表面状態を形成した。
形成した表面状態は、ローラ表面を紙ヤスリにて粗したもの、サンドブラストにより粗したもの、及び、ダイスによりアヤメ状に転造加工したものの3種類である。
図12はアヤメ状転造加工のローラの構成を示す部分図である。
図において符号62aは直径6mmの金属ローラ、62bは厚さ1mmのABS樹脂層、62cは模式的に表したアヤメ状凹凸部の一部をそれぞれ示す。
試験方法は、直径40mmの感光体ドラムを有する通常の画像形成装置に組み込んで、画像形成を行い、通紙枚数で数えて10万枚、30万枚、50万枚、100万枚の各時点で、画像の白抜けと表面粗さの変化の関係をチェックした。
【0047】
図7は耐久試験の結果を示すグラフである。
図中、白丸で囲ったプロットは、画像中に米粒状の白抜けが発生していたことを示す。
紙ヤスリによる粗しローラは20万枚付近で白抜けが発生している。したがって、その前後のチェックポイントである10万枚と30万枚におけるローラ表面の粗さを見ると、10点平均粗さRzは約6.8μmと約5.5μmであった。
両者の中間値は6.15μmとなり、これは先に図4に示す実験で得られた許容限界値Rz=6μmとほぼ一致する。そこで、Rz=6μmを白抜け発生限界と見て良い。
以下の説明では表面粗さとしてすべて10点平均粗さRzを使用し、単に表面粗さとのみ表現する。
【0048】
サンドブラスト加工品は100万枚通紙後も表面粗さは6μm以上を維持しており、白抜けも発生しなかった。ただし、100万枚通紙後の表面粗さが約6.7μmと白抜け限界に非常に近かった。グラフの推移から見ると、これ以上通紙を続ければ、じきに白抜け限界以下の表面粗さになるのは明らかである。ただし、バックアップローラの交換時期を100万枚通紙時点として、それ以上は摩耗したバックアップローラを使用しないようにメンテナンスするのであれば、サンドブラスト法による粗しローラでも十分使用できる。実験では初期値を表面粗さを12μmとしたが、初期値をそれより大きくすればさらに余裕ができるので、安心して使用できる。
【0049】
一方、転造ローラは100万枚通紙後も、表面粗さRzはわずか1μmしか減少しておらず、白抜け限界より遙かに大きな値を保っている。すなわち、ダイスによりアヤメ状に転造加工したローラが、最も耐久性に優れていることが判った。これは、ローラ表面の微少な凹凸の、凸部が転造加工により加工硬化したことによるものと思われる。これに対し、紙ヤスリによる加工は、単に部分的な除去により凹部を形成するのみであるから、凸部において加工硬化は生じない。また、サンドブラストによる加工は、砂の吹きつけの衝撃により凹部を形成するものであるから、凹部には圧縮による加工硬化が生ずるが、凸部には部分的にしかそのような現象は生じない。そのため、この両者は凸部の摩耗が速かったと考えられる。
【0050】
この試験では転造ローラの表面粗さRzを12μmとしたが、耐久目標が仮に100万枚だったとすれば、その最終時点で白抜け限界以上の表面粗さを保っていればよいとすると、初期の表面粗さは7μmくらいでも良いことになる。見方を変えれば、Rz=12μmで形成した場合には、トナーのチリに関しても、画像の白抜けに関しても、十分な余裕があるので、感光体ドラム40の直径を、上記実験値の40mmより更に小さくしても、まだ十分良好な画像が得られる見込みがある。
【0051】
バイアス印加部材としては、転写ローラのほかに、転写ブラシ、転写マイラ、転写ブレード等、公知の部材が使用し得る。いずれも経時的な永久ひずみを起こさないためには、高い押圧力を与えることはできない。
図8ないし図11は転写ローラ以外のバイアス印加部材の使用例を、マゼンタ色の第2ステーションを例にとって示す図である。いずれも一般に中抵抗と呼ばれるレベルの導電性が付与されている。
図8はローラ状のブラシをバイアス印加部材として用いる例、図9は単なる帯状のブラシをバイアス印加部材として使用する例、図10は薄い板状のマイラをバイアス印加部材として使用する例、図11は板状の弾性材料をバイアス印加部材として使用する例をそれぞれ示した図である。
【0052】
以上の実施例では、転写ベルトの内側であって転写ニップ形成の補助的手段としてのバックアップローラに、本発明を適用した場合の実施例について示したが、この転写ベルトとバックアップローラとの間で起こる放電現象を利用すれば、転写ベルトを除電できるものと思われる。転写ニップ入口にあって、転写ニップを確保するためのバックアップローラのみならず、転写ユニット内の他の部分にあるローラに対しても本発明を適用すれば、転写ベルト自身を効果的に除電できるものと思われる。
また、4連タンデム方式の中間転写ベルトのみならず、4連タンデム直接転写方式の転写ベルト内側のローラ、及び、1ドラム中間転写方式の転写ベルト内側のローラに対しても有効である。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、特に低温低湿環境において発生しやすい2色重ねの文字画像の転写チリ、及び、ハーフトーン画像において目立ちやすい米粒状の白抜け画像等の異常画像を、効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したカラー画像形成装置の概略図である。
【図2】実験結果を表すグラフである。
【図3】トナーのチリが発生するときの現象を説明するための模式図である。
【図4】10点平均粗さRzと画像の良否との関係を示すグラフである。
【図5】算術平均粗さRaと画像の良否との関係を示すグラフである。
【図6】転写ニップ近傍における感光体ドラムと転写ベルトの電位関係を示す模式図である。
【図7】耐久試験の結果を示すグラフである。
【図8】ローラ状のブラシをバイアス印加部材として用いる例を示す図である。
【図9】帯状のブラシをバイアス印加部材として用いる例を示す図である。
【図10】薄い板状のマイラをバイアス印加部材として用いる例を示す図である。
【図11】板状の弾性部材をバイアス印加部材として用いる例を示す図である。
【図12】アヤメ状転造加工のローラの構成を示す部分図である
【符号の説明】
10 転写ベルト
40 感光体ドラム
62 転写ローラ
63 バックアップローラ
Claims (13)
- 像担持体上に形成された色の異なる複数のトナー像を、転写バイアス印加部材により中間転写ベルト上で重ね転写し、これを記録材に一括転写する事によりカラー画像を得る画像形成装置において、前記中間転写ベルトの内側から該中間転写ベルトに当接させる体積抵抗率1010Ω・cm以上の高抵抗ローラを有し、該高抵抗ローラの表面粗さを、10点平均粗さRz=6μm以上、または、算術平均粗さRa=1.5μm以上とすることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1に記載の画像形成装置において、前記像担持体は色別に複数有し、前記高抵抗ローラは、転写ニップ形成の補助ローラとして、各像担持体の転写ニップ上流側であって、該転写ニップ近傍の転写ベルト内側におのおの配置することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記転写バイアス印加部材は、その部材自身の弾性力により、前記中間転写ベルト裏側から前記像担持体に対し、ある所定の圧力で押圧していることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記転写バイアス印加部材は、ローラ状のバイアス印加部材であることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記転写バイアス印加部材は、ブラシ状のバイアス印加部材であることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記転写バイアス印加部材は、マイラ状のバイアス印加部材であることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記転写バイアス印加部材は、ブレード状のバイアス印加部材であることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし7のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記像担持体は、外径40mm以下であることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし8のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記中間転写ベルトの表面抵抗率は1012Ω/□以上であることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし9のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記高抵抗ローラは、金属ローラの芯金に樹脂層を設けた構成とすることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし10のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記高抵抗ローラの表層は、サンドブラスト加工により、初期値Rz=12μm以上の10点平均粗さを有する凹凸を構成させることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1ないし10のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記高抵抗ローラの表層は、ダイスによる転造加工により、所定の表面粗さを有する凹凸を構成させることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項12に記載の画像形成装置において、前記高抵抗ローラの表面粗さの初期値を10点平均粗さRz=7μm以上としたことを特徴とする画像形成装置。
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