JP2004126119A - 光ファイバカプラを用いたマッハツェンダ干渉計の製造方法 - Google Patents

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Mitsuyoshi Takeda
武田 光善
Hiroyuki Sasaki
佐々木 弘之
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Abstract

【課題】2つの光ファイバカプラを連続して製造することにより外乱の影響を受けにくくし、かつ第1に続く第2の光ファイバカプラを所要の性能を有するように製造可能とする。
【解決手段】一端側から入射させた光の分岐比を他端側で測定しながら光ファイバ31,32を融着延伸して第1の光ファイバカプラ21を製造し、それに続く第2の光ファイバカプラ22を製造する部分に近接させて他の2本の光ファイバ51,52を光ファイバ31,32と平行に配置し、光ファイバ51の一端側から光を入射させ、光ファイバ51,52の他端側で光の分岐比を測定しながら光ファイバ31,32と光ファイバ51,52とを同一条件で同時に融着延伸して所要の性能を有する第2の光ファイバカプラ22を製造する。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は融着延伸法によって製造された光ファイバカプラを用いるマッハツェンダ干渉計に関し、特にマッハツェンダ干渉計を構成する2つの光ファイバカプラを連続して製造する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、マッハツェンダ干渉計について説明する。
図3はマッハツェンダ干渉計の原理図を示したものであり、光源11から出射された光aはハーフミラー12で2つの光路に分けられ、2つに分けられた光b,cはそれぞれ異なる光路A,Bを通過した後に、ハーフミラー13で合波され、この合波された光dが光検出器14で観測される。図3中、15,16はミラー(全反射ミラー)を示す。
【0003】
光検出器14で検出される光量は、ハーフミラー13で合波される時点での2つの光b,cの状態により異なり、例えば2つの光b,cが逆相で合波されれば検出光量は0となり、逆に同相で合波されれば検出光量は2つの光b,cの光量の和となる。
従って、2つの光路A,Bの状態が変わると、光路A,Bを通過してくる光b,cの状態が変化して、光検出器14で観測される光量が変化する。この原理を応用したものがマッハツェンダ干渉計である。
図4は光ファイバカプラを用いたマッハツェンダ干渉計の構成を模式的に示したものであり、以下、この図4に示したマッハツェンダ干渉計の従来の製造方法を説明する。
【0004】
(1)まず、光ファイバカプラ21を融着延伸法によって製造する。
(2)次に、光ファイバカプラ22を同じく融着延伸法によって製造する。
(3)これら2つの光ファイバカプラ21,22を2ヶ所で接続する。図4中、×印を付した部分23,24は接続部を示す。
接続は光ファイバカプラ21の2本の光ファイバの端面と光ファイバカプラ22の2本の光ファイバの端面とを互いに突き当て、融着接続する(スプライス接続する)ことによって行われる。
【0005】
次に、上記の融着延伸法による光ファイバカプラの製造方法を図5を参照して説明する。
(1)2本の光ファイバ31,32の中央部分の被覆をそれぞれ除去し、光ファイバ素線31a,32aをアライメントして接触させる。そして、光ファイバ31の一端を光源11に接続する。光ファイバ31の他端には光検出器14を接続し、この他端と同じ側に位置する光ファイバ32の他端にも光検出器14′を接続する。
(2)光源11によって光ファイバ31に光を入射させ、2つの光検出器14,14′で光の分岐比を測定しながら、光ファイバ素線31a,32aの融着延伸を行い、所要の分岐比になった時点で延伸を停止する。41はバーナによる加熱部分を示す。
(3)固定基板42に光ファイバ31,32を接着剤で固定する。これにより、所要の性能を有する光ファイバカプラが完成する。43は接着部分を示す。
このように光ファイバカプラを用いたマッハツェンダ干渉計は、従来においては融着延伸法によって2つの光ファイバカプラを別個に製造し、それらを接続することによって製造されていた(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−19949号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図4に示した光ファイバカプラを用いたマッハツェンダ干渉計においては、光路Aと光路Bの長さが長くなるにつれて外乱が入り易くなり、また外乱の大きさも大きくなっていく。外乱の例としては、例えば温度(温度分布を含む)、光ファイバの位置(全長に渡っての相対位置)、光ファイバのストレス(ストレスの大きさとその分布)等があり、このような外乱要素を小さくしていくことが必要であるが、現実的には全ての外乱要素を充分に小さくすることは困難となっていた。
【0008】
一方、外乱の影響を小さくする効果的な方法として、光路A,Bの長さを極力短かくするといった方法があるが、従来の製造方法では別個に製造した2つの光ファイバカプラを融着接続するために余長が必要であり、このため光路A,Bの長さを短かくする上で限界があった。
これに対し、例えば2つの光ファイバカプラを連続して製造するようにすれば、接続のための余長が不要となり、光路A,Bを極めて短かくすることができる。しかしながら、この場合、以下に示すような問題が生じる。
【0009】
即ち、図6に示したような製造方法において、まず、第1の光ファイバカプラ21を前述の融着延伸法によって製造することは問題ないが、第2の光ファイバカプラ22を融着延伸法によって同様に製造することは不可能となる。
これは光ファイバカプラ22の製造時には光源11からの光は光ファイバカプラ21で分岐されて光路A,Bの両方から融着延伸部分に至り、つまり光路A,Bの一方のみに光を入射させることができないため、光ファイバカプラ22自体の性能(分岐比)を確認することができないことによる。
【0010】
この発明の目的は上述した問題に鑑み、光ファイバカプラを用いたマッハツェンダ干渉計の製造方法において、2つの光ファイバカプラを連続して製造することにより、外乱の影響を受けにくくし、かつ第1の光ファイバカプラに続く第2の光ファイバカプラもそれ自体の性能を確認でき、所要の性能を実現できるようにした製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明によれば、連続して製造された2つの光ファイバカプラを用いて構成されるマッハツェンダ干渉計は、一端側から入射させた光の分岐比を他端側で測定しながら2本の光ファイバを融着延伸して所要の性能を有する第1の光ファイバカプラを製造し、その第1の光ファイバカプラに続く第2の光ファイバカプラを製造する部分に近接させて他の2本の光ファイバを上記2本の光ファイバと平行に配置し、上記他の2本の光ファイバの一端側から光を入射させ、他端側で光の分岐比を測定しながら、上記2本の光ファイバと上記他の2本の光ファイバとを同一条件で同時に融着延伸して所要の性能を有する第2の光ファイバカプラを製造することによって製造される。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図面を参照して実施例により説明する。
図1はこの発明による製造方法によって製造された光ファイバカプラを用いたマッハツェンダ干渉計の一構成例を示したものであり、図2はその製造方法を示したものである。以下、図2を参照してこの発明の実施例を説明する。なお、図4及び5と対応する部分には同一符号を付してある。
(1) 第1の光ファイバカプラ21を製造する。製造は図5に示した融着延伸法を用いて行われ、一端側から入射させた光の分岐比を他端側で測定しながら、2本の光ファイバ31,32(光ファイバ素線31a,32a)を融着延伸して所要の性能を有する第1の光ファイバカプラ21を製造する。
【0013】
(2)−1 第1の光ファイバカプラ21に続く第2の光ファイバカプラ22を製造するために、光ファイバ素線31a,32aをアライメントする。同時に、この光ファイバカプラ22を製造する部分に近接させて、第3の光ファイバカプラを製造するために、他の2本の光ファイバ51,52を光ファイバ31,32と平行に配置し、光ファイバ素線51a,52aをアライメントする。
(2)−2 光ファイバ51の一端に光源11を接続し、光ファイバ51の他端及びこの他端と同じ側に位置する光ファイバ52の他端にそれぞれ光検出器14,14′を接続する。
【0014】
(2)−3 光源11によって光ファイバ51に光を入射させ、2つの光検出器14,14′で光の分岐比を測定しながら、光ファイバ素線51a,52aの融着延伸と光ファイバ素線31a,32aの融着延伸を同時に行う。この時の延伸条件は2つの光ファイバカプラ22及び25の性能が等しくなるように、加熱等の条件を同一条件に設定する。
(2)−4 光ファイバカプラ25の性能(分岐比)が所要の性能になった時点で延伸を停止する。
【0015】
以上により、所要の性能を有する第2の光ファイバカプラ22が製造される。
光ファイバ31,32,51,52は図5(3)と同様に固定基板42に接着剤によって固定され、この固定基板42を円筒状のスリーブ44に収納し、パッケージすることで図1に示したマッハツェンダ干渉計が完成する。
なお、図1では全体を、つまり光ファイバカプラ21,22及び25を1つのパッケージに収納しているが、パッケージの方法はこれに限らず、用途に応じて適宜選定され、例えば第1の光ファイバカプラ21を1つのパッケージに収納し、第2の光ファイバカプラ22と第3の光ファイバカプラ25とを別の1つのパッケージに収納し、2つのパッケージからなるようにしてもよい。また、第3の光ファイバカプラ25はマッハツェンダ干渉計としては不要のため、必ずしもパッケージする必要はなく、取り除いてもよい。
【0016】
上記のような製造方法においては、光ファイバカプラ22と25との性能が等しくなるように同一条件で融着延伸を行うことが重要であるが、この条件出しは例えば上記のようにして製造された第2の光ファイバカプラ22を第1の光ファイバカプラ21と切断分離して、その単体の性能を実際に確認することによって、より厳密に行うことができる。
次に、上記の製造方法を用いて試作したマッハツェンダ干渉計の2つの光ファイバカプラ21,22の性能を例示する。
【0017】
<試作−1>
▲1▼第1の光ファイバカプラ21の性能
・分岐比  50.0%:50.0%
・過剰損失 0.07dB
▲2▼第2の光ファイバカプラ22の性能
・分岐比  49.7%:50.3%
・過剰損失 0.12dB
<試作−2>
▲1▼第1の光ファイバカプラ21の性能
・分岐比  49.9%:49.9%
・過剰損失 0.07dB
▲2▼第2の光ファイバカプラ22の性能
・分岐比  50.4%:49.6%
・過剰損失 0.11dB
パッケージの大きさは試作−1、試作−2共、スリーブ44の外径φ3mm、スリーブ44の長さ65mmであり、光路A,Bの長さは約10mmであった。
【0018】
なお、上記における第2の光ファイバカプラ22の性能は、製造時における第3の光ファイバカプラ25の性能を示したものであり、第2の光ファイバカプラ22を第1の光ファイバカプラ21と切断分離して単体で確認した性能も同じ性能となっていた。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明では2つの光ファイバカプラを連続して製造することにより、それら光ファイバカプラ間の光路を短かくすることができ、よって外乱の影響を受けにくいマッハツェンダ干渉計を製造することができる。
また、第1の光ファイバカプラに続く第2の光ファイバカプラの製造時に、その第2の光ファイバカプラを製造する部分に近接させて第3のもう一つの光ファイバカプラを同一条件で同時に製造するようにして、この第3の光ファイバカプラに光を入射させて所要の性能を満足するように製造することにより、第2の光ファイバカプラの所要の性能を実現することができるものとなっており、よってこの発明によれば光の分岐比を測定しながら融着延伸された2つの光ファイバカプラが連続して製造された良好な性能を有するマッハツェンダ干渉計を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による製造方法によって製造されたマッハツェンダ干渉計の一構成の概要を示す斜視図。
【図2】この発明による製造方法を説明するための図。
【図3】マッハツェンダ干渉計の原理を説明するための図。
【図4】光ファイバカプラを用いたマッハツェンダ干渉計の構成を示す模式図。
【図5】光ファイバカプラの融着延伸法による製造方法を説明するための図。
【図6】2つの光ファイバカプラを連続して製造する従来の方法を説明するための図。

Claims (1)

  1. 連続して製造された2つの光ファイバカプラを用いて構成されるマッハツェンダ干渉計の製造方法であって、
    一端側から入射させた光の分岐比を他端側で測定しながら2本の光ファイバを融着延伸して所要の性能を有する第1の光ファイバカプラを製造し、
    その第1の光ファイバカプラに続く第2の光ファイバカプラを製造する部分に近接させて他の2本の光ファイバを上記2本の光ファイバと平行に配置し、
    上記他の2本の光ファイバの一端側から光を入射させ、他端側で光の分岐比を測定しながら、上記2本の光ファイバと上記他の2本の光ファイバとを同一条件で同時に融着延伸して所要の性能を有する第2の光ファイバカプラを製造することを特徴とする光ファイバカプラを用いたマッハツェンダ干渉計の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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