JP2004125922A - ポジ型平版印刷版原版 - Google Patents

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JP2004125922A
JP2004125922A JP2002286565A JP2002286565A JP2004125922A JP 2004125922 A JP2004125922 A JP 2004125922A JP 2002286565 A JP2002286565 A JP 2002286565A JP 2002286565 A JP2002286565 A JP 2002286565A JP 2004125922 A JP2004125922 A JP 2004125922A
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Akihiro Endo
遠藤 章浩
Kaoru Iwato
岩戸 薫
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Abstract

【課題】塗布液の安定性に優れ、現像安定性及び現像ラチチュードの良好な、耐刷性もよいダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型感光性の平版印刷版原版を提供すること
【解決手段】支持体上に、光を吸収して熱を発生する物質と、フェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂を含有する画像記録層を設けたポジ型平版印刷版原版において、前記画像記録層に、水酸基のα位にトリフッ化メチル基を有している特定構造の化合物を含有させる。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オフセット印刷マスターとして使用できるポジ型平版印刷版原版に関するものであり、特にコンピュータで作成されて出力されたディジタル画像信号を赤外線レーザ光で記録して直接製版できるいわゆるダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型感光性平版印刷版原版に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンピュータのディジタルデータから直接製版するシステムとしては、▲1▼電子写真法によるもの、▲2▼Arレーザによる露光と後加熱の組み合わせによる光重合系、▲3▼感光性樹脂上に銀塩感材を積層したもの、▲4▼シルバーマスタータイプのもの、▲5▼放電破壊やレーザ光によりシリコーンゴム層を破壊することによるもの等が知られている。
【0003】
しかしながら、▲1▼の電子写真法を用いるものは、帯電、露光、現像等処理が煩雑であり、装置が複雑で大がかりなものになる。▲2▼の方法では後加熱工程を要するほか、高感度な版材を要し、明室での取扱いが難しくなる。▲3▼、▲4▼の方法では銀塩を使用するため処理が煩雑になり、コストが高くなる欠点がある。また▲5▼の方法は比較的完成度の高い方法であるが、版面に残るシリコーン滓の除去に問題点を残している。一方、近年におけるレーザの発展は目ざましく、特に近赤外から赤外に発光領域を持つ固体レーザ・半導体レーザは高出力かつ小型の装置が容易に入手できるようになってきている。コンピュータ等のディジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザは非常に有用である。
【0004】
従来公知のダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版においては、アルカリ可溶性高分子化合物として、ノボラック樹脂等のフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂が用いられている。このポジ型平版印刷版原版は、光熱変換剤の露光領域における熱の作用でノボラック樹脂等の会合状態が変化するので、露光部と非露光部との熱に対する挙動差により、溶解性に識別性が生じ(溶解ディスクリミネーション)、それによって製版されるが、その溶解速度差が狭いために、実際の製版作業においては、アルカリ活性の些細な変動の影響を受けやすく安定性に欠けていた。
【0005】
そこで、アルカリ溶解阻止剤(溶解インヒビター)によって現像ラチチュードを拡大させる技術の開発が活発に行なわれており、例えば、特許文献1(国際公開第98/42507号パンフレット)には、水素結合基を有する化合物を現像ラチチュード拡大用溶解インヒビターとして用いることが提案されている。しかし、水素結合では、露光部での結合解離も抑制若しくは可逆反応を起こし、感度低下、焼き溜性の悪化を引き起こした。更に、印刷版原版の感光層に添加した場合、経時により水素結合するサイト数が変動し現像可能な現像液のアルカリ活性度が変化するといった致命的な欠陥を有していた。
【0006】
また、特許文献2(特開平7−285275号公報)において、ノボラック樹脂等のフェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂に、光を吸収して熱を発生する物質と、種々のオニウム塩、キノンジアジド化合物類等を添加した画像記録材料を提案している。これらの画像記録材料では、画像部ではオニウム塩、キノンジアジド化合物類等が、アルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる溶解阻止剤として働き、非画像部では熱により分解して溶解阻止剤としては働かず、画像形成する。しかしながら、この画像記録材料では、オニウム塩、キノンジアジド化合物類等が、可視領域に光吸収域(350〜500nm)を有するため、取扱い場所は黄色燈下に制限されるという不便がある。また、得られた印刷版をさらに長期にわたって使用可能にするには、クリーナー液等の溶剤で洗浄した後再使用できるようにする必要があるが、ノボラック樹脂は耐溶剤性が低く、印刷中にクリーナー液を使用すると耐刷性が低下するという問題があった。
【0007】
また、特許文献3(特開平11−190903号公報)において、クリスタルバイオレットラクトン(CVL)等をはじめとする酸解離性のラクトン骨格を有する色素とノボラックとの相互作用を用いて、アルカリ不溶性を高めつつ、熱がかかると容易に解除されることでディスクリミネーションを拡大する技術が開示されている。しかし、CVLとノボラックの相互作用構築には、塗布−乾燥後、ある一定条件下の湿度管理された環境下で加熱が必要であり、又、自然経時で相互作用の度合いが変化し、感度が安定しないという欠点を有していた。
【0008】
また、特許文献4(特開2000−241966号公報)において、ノボラック樹脂を構成するフェノール類とは異なるフェノール性水酸基含有化合物を添加することで、感度、及び画像部と非画像部とのコントラストに優れ、画像部の残膜率も十分に保持される技術が開示されている。更にまた、特許文献5(特開2000−338670号公報)には、ノボラック樹脂も含む全フェノール性水酸基含有化合物に対する、分子量1500以下のフェノール性水酸基含有化合物の割合を規定することで、実質的に、フェノール性低分子化合物によって画像部と非画像部のコントラストを向上させる技術が開示されている。しかしながら、フェノール性水酸基含有化合物だけで上記の効果を得るには、一定以上の添加量が必要であり、耐刷性の低下、特に一般的に印刷作業中に用いられるプレートクリーナーに対する耐性を目覚しく低下させるという欠点を有していた。一方、特許文献6(特開平10−282643号公報)には同様の効果を狙って、有機酸/有機酸塩を添加する技術も提案されている。しかしながら、カルボン酸含有化合物の添加は、一層、耐刷性の劣化が顕著に表れることが判明した。
【0009】
更にまた、印刷版原版の、フェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂を含有する画像記録層に、現像性の付与の目的で有機酸あるいはその酸無水物を用いることは、特許文献7(特開昭60−88942号公報)及び特許文献8(特開昭63−276048号公報)で公知である。特に好ましい例としては、特許文献9(米国特許第4115128号明細書)に記載されている環状酸無水物の無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。更に、特許文献10(特開2001−133965号公報)には、前述に加えメルドラム酸、アスコルビン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸も記載されている。しかし、これらの化合物は経時安定性に問題があり、塗布液中、又は、塗布後感材中で加水分解し酸となることで現像性が変化するという欠点を有していた。更に、現像後の耐刷性を低下させる問題も有していた。
【0010】
上記のように、従来公知のダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版原版は、画像部と非画像部との識別性を高めようとすれば、耐溶剤性、可視光安全性、耐用性、製造安定性など実用上必要な付随特性が伴わない状況にあった。
【0011】
【特許文献1】
国際公開第98/42507号パンフレット
【特許文献2】
特開平7−285275号公報
【特許文献3】
特開平11−190903号公報
【特許文献4】
特開2000−241966号公報
【特許文献5】
特開2000−338670号公報
【特許文献6】
特開平10−282643号公報
【特許文献7】
特開昭60−88942号公報
【特許文献8】
特開昭63−276048号公報
【特許文献9】
米国特許第4115128号明細書
【特許文献10】
特開2001−133965号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような背景から行なわれたものであり、従って、本発明の目的は、ポジ型平版印刷版原版における、フェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂と光熱変換剤とを含む画像記録層を備えたポジ型平版印刷版原版の画像形成性を改善して、上記の問題を解決することであり、具体的には、塗布液の安定性に優れ、現像安定性及び現像ラチチュードが良好で、耐刷性にも優れたダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型感光性の平版印刷版原版を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、平版印刷版原版の実用特性を損なう上記した問題点の解決に注力して検討を進めたところ、光を吸収して熱を発生する物質と、フェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂を含有する画像記録層を設けた感熱性の平版印刷版原版において、水酸基のα位に電子吸引性基のトリフッ化メチル基を有する一定の構造をもつ化合物が画像記録層の未露光部の耐アルカリ性を損なうことなく露光部のアルカリ溶解性を特異的に高めることを見出して、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明は、次のポジ型平版印刷版原版を提供する。
(1)支持体上に、光を吸収して熱を発生する物質と、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂とを含有し、更に下記一般式(I)で表される化合物を含有する画像記録層を有することを特徴とするポジ型平版印刷版原版。
【0015】
【化2】
Figure 2004125922
【0016】
式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はトリフッ化メチル基を表す。
(2)一般式(I)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、デシル基、ラウリル基及びセシル基から選択されるアルキル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、プロポキシプロピル基及びプロポキシブチル基から選択されるアルコキシ基、フェニル基及びナフチル基から選択されるアリール基、又はトリフッ化メチル基を表し、上記アルキル基、アルコキシ基及びアリール基は、更にエーテル、チオエーテル、ケトン、スルフォニル、スルフォキシド、エステル、チオエステル、アミド及び尿素基からなる群から選択される極性基による連結を含んでもよいことを特徴とする前記(1)記載のポジ型平版印刷版原版。
【0017】
本発明のポジ型平版印刷版原版が奏する効果のメカニズムの詳細は明らかではないが、上記一般式(I)で表される化合物(以下「本発明の化合物」と略称する)が、水酸基のα位に電子吸引性基のトリフッ化メチル基(−CF)を有することで、その水酸基のpKaが小さくなり、該化合物の少量添加で現像性が高められること、更に、本発明の化合物の水酸基は、カルボン酸等の水酸基以外の酸基より、フェノール性水酸基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂との相互作用性に優れることから、非画像部の耐現像性を維持しつつ、露光部の現像性を向上させることが可能となり、結果的に、露光部と未露光部のアルカリ溶解性の差異(溶解ディスクリミネーション)が拡大すると共に、感度向上効果が発現されるものと推定している。
【0018】
【発明の実施の形態】
[本発明の化合物]
本発明の平版印刷版原版は、画像記録層中に本発明の化合物、すなわち上記一般式(I)で表される化合物を含有していることを特徴としている。
本発明の化合物は、水酸基のα位にトリフッ化メチル基を有していることが特徴である。
上記一般式(I)におけるR、Rは、それが水素原子以外の置換基である場合、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はトリフッ化メチル基から選ばれる疎水性基であれば特に限定されないが、特に好ましい置換基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、デシル、ラウリル、セシル等のアルキル基;例えばメトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、プロポキシプロピル基、プロポキシブチル基等のアルコキシ基;例えばフェニル、ナフチル等のアリール基が挙げられる。これらの置換基は、エーテル、チオエーテル、ケトン、スルフォニル、スルフォキシド、エステル、チオエステル、アミド、尿素基等の極性基による連結を含んでいても構わない。また、場合によって、水酸基、活性メチレン基、チオール基、カルボン酸基、スルフォン酸基、燐酸基等の酸基及びフッ素置換基を含有していてもよい。又、複素環置換基を含有しても構わない。
【0019】
以下に本発明の化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、これらはLancaster Synthesisで容易に入手できる市販品である。
【0020】
【化3】
Figure 2004125922
【0021】
本発明の一般式(I)で表される化合物の好ましい添加量としては、画像記録層を形成する画像形成材料中の固形分量中の0.1wt%〜20wt%が好ましく、0.3wt%〜10wt%が更に好ましく、最も好ましい添加量は0.5wt%〜8wt%である。
【0022】
[アルカリ可溶性樹脂]
本発明においては、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂が画像記録層のバインダーとして必須である。このアルカリ可溶性樹脂としては、ノボラック樹脂が好ましく用いられる。ノボラック樹脂としては、公知のノボラック樹脂を適宜選択して用いることができる。ノボラック樹脂の例として、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、o−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−、o−またはm−/p−、m−/o−、o−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/(2,3−又は2,5−混合のいずれでもよい)キシレノールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−、o−またはm−/p−、m−/o−、o−/p−混合のいずれでもよい)/2,3−又は2,5−混合のいずれでもよい)キシレノールホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
本発明において使用するノボラック樹脂としては、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂が好ましく、重量平均分子量Mwが2,000〜10,000のものが特に好ましい。
【0023】
また、本発明の効果を損なわない範囲において、ノボラック樹脂とその他のアルカリ可溶性樹脂とを混合して用いることもできる。このノボラック樹脂と混合して用いることのできるその他のアルカリ可溶性樹脂としては、フェノール変性キシレン樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ポリハロゲン化ヒロドキシスチレン、特開昭51−34711号公報に開示されているようなフェノール性水酸基を有するアクリル樹脂、特開平2−866号公報に記載のスルホンアミド基を有するアクリル樹脂や、ウレタン系樹脂、カルボン酸変性ポリビニルブチラール樹脂等、種々のアルカリ可溶性の高分子が挙げられる。これらは、単層にブレンドされて形成されても、それぞれ単独、またはブレンドされて2層以上の層構成を有しても構わない。
【0024】
上記ウレタン系の樹脂としては、特開昭63−124047号公報、同63−261350号公報、同63−287942号公報、同63−287943号公報、同63−287944号公報、同63−287946号公報、同63−287947号公報、同63−287948号公報、同63−287949号公報、特開平1−134354号公報、同1−255854号公報に記載されているものが好ましく用いられる。
【0025】
本発明において、その他のアルカリ可溶性樹脂として、特に好ましくは、(a−1)フェノール性水酸基、(a−2)スルホンアミド基、(a−3)活性イミド基のいずれかの官能基を分子内に有する高分子化合物が挙げられ、例えば以下のものが例示される。
【0026】
(a−1)フェノール性水酸基を有する高分子化合物としては、側鎖にフェノール性水酸基を有する高分子化合物を用いることができる。側鎖にフェノール性水酸基を有する高分子化合物としては、フェノール性水酸基と重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重合、あるいは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物を挙げることができる。フェノール性水酸基を有する重合性モノマーとしては、フェノール性水酸基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、またはヒドロキシスチレン等が挙げられる。具体的には、N−(2−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−ヒドロキシフェニルアクリレート、m−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、o−ヒドロキシフェニルメタクリレート、m−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p−ヒドロキシフェニルメタクリレート、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、2−(2−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート等を好適に使用することができる。かかるフェノール性水酸基を有する樹脂は、1種類以上あるいは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
(a−2)スルホンアミド基を有する高分子化合物としては、スルホンアミド基を有する重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物を挙げることができる。スルホンアミド基を有する重合性モノマーとしては、1分子中に、窒素原子上に少なくとも1つの水素原子が結合したスルホンアミド基−NH−SO−と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ1つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーが挙げられる。その中でも、アクリロイル基、アリル基、またはビニロキシ基と、置換あるいはモノ置換アミノスルホニル基または置換スルホニルイミノ基とを有する低分子化合物が好ましい。このような化合物としては、例えば、下記一般式(a)〜(e)で表される化合物が挙げられるが、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0028】
【化4】
Figure 2004125922
【0029】
式中、X、Xは、それぞれ独立に酸素原子又はNRを表す。R、Rは、それぞれ独立に水素原子又はCHを表す。R、R、R、R12、R16は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。R、R、R13は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。また、R、R17は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。R、R10、R14は、それぞれ独立に水素原子又はCHを表す。R11、R15は、それぞれ独立に単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。Y、Yは、それぞれ独立に単結合又はCOを表す。
【0030】
中でも、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
【0031】
(a−3)活性イミド基を有する高分子化合物は、下記式で表される活性イミド基を分子内に有するものであり、この高分子化合物としては、1分子中に、下記の式で表わされる活性イミノ基と、重合可能な不飽和結合をそれぞれ一つ以上有する低分子化合物からなる重合性モノマーを単独重合、或いは該モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物を挙げることができる。
【0032】
【化5】
Figure 2004125922
【0033】
このような化合物としては、具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
【0034】
さらに、その他のアルカリ可溶性樹脂としては、前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、及び活性イミド基を有する重合性モノマーのうちの2種以上を重合させた高分子化合物、或いはこれら2種以上の重合性モノマーに他の重合性モノマーを共重合させて得られる高分子化合物を使用することができる。フェノール性水酸基を有する重合性モノマーに、スルホンアミド基を有する重合性モノマー及び/又は活性イミド基を有する重合性モノマーを共重合させる場合には、これら成分の配合質量比は50:50から5:95の範囲にあることが好ましく、40:60から10:90の範囲にあることが特に好ましい。
【0035】
その他のアルカリ可溶性樹脂が前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーと、他の重合性モノマーとの共重合体である場合には、アルカリ可溶性を付与するモノマーは10モル%以上含むことが好ましく、20モル%以上含むものがより好ましい。共重合成分が10モル%より少ないと、アルカリ可溶性が不十分となりやすく、現像ラチチュードの向上効果が十分達成されないことがある。
【0036】
前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーと共重合させるモノマー成分としては、例えば、下記(1)〜(12)に挙げるモノマーを用いることができるがこれらに限定されるものではない。
(1)例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアルキルアクリレート。
(3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート。
(4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミドもしくはメタクリルアミド。
(5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
【0037】
(6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(10)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
【0038】
その他のアルカリ可溶性樹脂が、前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーの単独重合体あるいは共重合体の場合、重量平均分子量が2000以上、数平均分子量が500以上のものが好ましい。さらに好ましくは、重量平均分子量が5000〜300000で、数平均分子量が800〜250000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10のものである。
【0039】
これらその他のアルカリ可溶性樹脂は、それぞれ1種類あるいは2種類以上を組み合わせてもよく、ノボラック樹脂に対して、質量比で0.05/1〜1/0.1の割合で用いることが好ましく、より好ましくは0.1/1〜1/0.2である。
【0040】
[光を吸収して熱を発生する物質]
本発明では、光を吸収して熱を発生する物質(光熱変換物質)として、種々の顔料もしくは染料を添加することができる。顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
【0041】
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
【0042】
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0043】
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の画像記録層塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると画像記録層の均一性の点で好ましくない。
【0044】
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載がある。
【0045】
染料としては、市販の染料及び文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料などの染料が挙げられる。本発明において、これらの顔料、もしくは染料のうち赤外光、もしくは近赤外光を吸収するものが、赤外光もしくは近赤外光を発光するレーザでの利用に適する点で特に好ましい。
【0046】
そのような赤外光、もしくは近赤外光を吸収する顔料としてはカーボンブラックが好適に用いられる。また、赤外光、もしくは近赤外光を吸収する染料としては例えば特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料、米国特許5,380,635号に記載のジヒドロペリミジンスクアリリウム染料等を挙げることができる。
【0047】
また、染料として米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物等が、また、市販品としては、Epolight III−178、Epolight III−130、Epolight III−125、Epolight IV −62A(エポリン社製)等が、特に好ましく用いられる。
【0048】
また、染料として特に好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。これらの顔料もしくは染料は、画像記録層を形成する画像形成材料全固形分中0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10質量%、顔料の場合特に好ましくは1〜10質量%の割合で添加することができる。顔料もしくは染料の添加量が0.01質量%未満であると感度が低くなり、また50質量%を越えると、得られる画像記録層の均一性が失われ、画像記録層の耐久性が悪くなる。これらの染料もしくは顔料は、他の成分と同一の層に添加してもよいし、別の層を設けそこへ添加してもよい。別の層とする場合、後述の熱分解性でありかつ分解しない状態では該結着剤の溶解性を実質的に低下させる物質を含む層に隣接する層へ添加するのが望ましい。
【0049】
[その他の成分]
本発明において、画像記録層を形成する画像形成材料には、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。例えばオニウム塩、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物等の熱分解性であり、分解しない状態ではアルカリ水可溶性高分子化合物の溶解性を実質的に低下させる物質を併用することは、画像部の現像液への溶解阻止性の向上を図る点では、好ましい。オニウム塩としてはジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等を挙げる事ができる。
【0050】
本発明において用いられるオニウム塩として、好適なものとしては、例えば S. I. Schlesinger, Photogr. Sci. Eng., 18, 387(1974) 、T. S. Bal et al, Polymer, 21, 423(1980) 、特開平5−158230号公報に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3−140140号の明細書に記載のアンモニウム塩、D. C. Necker et al, Macromolecules, 17, 2468(1984)、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo, Oct (1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号に記載のホスホニウム塩、J. V. Crivello et al, Macromorecules,10(6), 1307 (1977)、Chem. & Eng. News, Nov. 28, p31 (1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第339,049号、同第410,201号、特開平2−150848号、特開平2−296514号に記載のヨードニウム塩、J. V. Crivello et al, Polymer J. 17, 73 (1985)、J. V. Crivello et al. J. Org. Chem., 43, 3055 (1978)、W. R. Watt et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 22, 1789 (1984) 、J. V. Crivello et al, Polymer Bull., 14, 279 (1985) 、J. V. Crivello et al, Macromorecules, 14(5) ,1141(1981)、J. V.Crivello et al, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 2877 (1979) 、欧州特許第370,693号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同3,902,114号、同410,201号、同339,049 号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号に記載のスルホニウム塩、J.V. Crivello et al, Macromorecules, 10(6), 1307 (1977)、J. V. Crivello etal, J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed., 17, 1047 (1979) に記載のセレニウム塩、C. S. Wen et al, Teh, Proc. Conf. Rad. Curing ASIA, p478 Tokyo,Oct (1988)に記載のアルソニウム塩等が挙げられる。
【0051】
オニウム塩の対イオンとしては、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの中でも特に六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸のごときアルキル芳香族スルホン酸が好適である。
【0052】
オニウム塩の添加剤の添加量は、画像形成材料全固形分中好ましくは1〜50質量%、更に好ましくは5〜30質量%、特に好ましくは10〜30質量%である。本発明において添加剤とバインダーは、同一層へ含有させることが好ましい。
【0053】
また、更に感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を併用することもできる。環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−Δ4 −テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4′−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4′,4″−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4′,3″,4″−テトラヒドロキシ−3,5,3′,5′−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。更に、有機酸類としては、特開昭60−88942号、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類及びカルボン酸類などがあり、具体的には、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香酸、イソフタル酸、アジピン酸、p−トルイル酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エルカ酸、ラウリン酸、n−ウンデカン酸、アスコルビン酸などが挙げられる。上記の環状酸無水物、フェノール類及び有機酸類の画像形成材料全固形分中に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
【0054】
また、本発明における画像記録層を形成する画像形成材料中には、現像条件に対する処理の安定性を広げるため、特開昭62−251740号公報や特開平3−208514号公報に記載されているような非イオン界面活性剤、特開昭59−121044号公報、特開平4−13149号公報に記載されているような両性界面活性剤を添加することができる。非イオン界面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。両面活性剤の具体例としては、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインやN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工業(株)製)等が挙げられる。上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の画像形成材料中に占める割合は、0.05〜15質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0055】
更にまた、本発明における画像記録層を形成する画像形成材料中には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
【0056】
画像の着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性染料を挙げることができる。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)などを挙げることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。これらの染料は、画像形成材料全固形分中0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%の割合で添加することができる。更に本発明における画像形成材料中には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸またはメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
【0057】
[画像記録層の形成]
本発明における画像記録層は、通常上記各成分を溶媒に溶かして塗布液を作製し、これを適当な支持体上に塗布することにより形成され、このようにして画像記録層を形成することにより本発明のポジ型平版印刷版原版を製造することができる。ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。塗布液中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。また塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、一般的に0.5〜5.0g/m が好ましい。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、画像記録層の皮膜特性は低下する。
【0058】
本発明における画像記録層の塗布液中には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、塗布液全固形分中0.01〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。
【0059】
[支持体]
本発明に使用される支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィルム等が含まれる。
【0060】
本発明において支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において支持体として特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明において支持体に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明において支持体に用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
【0061】
支持体としてアルミニウム板を用いる場合、アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸または硝酸電解液中で交流または直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。この様に粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
【0062】
陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は1.0g/mより少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。この親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか、または電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
【0063】
[下塗層]
本発明のポジ型平版印刷版原版は、支持体上にポジ型感光性画像形成材料で形成された画像記録層を設けたものであるが、必要に応じてその間に下塗層を設けることができる。下塗層成分としては、種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
【0064】
この有機下塗層は次のような方法で設けることができる。即ち、水またはメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液を支持体上に塗布、乾燥して設ける方法と、水またはメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、支持体を浸漬して上記化合物を吸着させ、その後水などによって洗浄、乾燥して有機下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10質量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。また後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpH1〜12の範囲に調整することもできる。また、画像記録層の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。有機下塗層の被覆量は、2〜200mg/mが適当であり、好ましくは5〜100mg/mである。上記の被覆量が2mg/mよりも少ないと十分な耐刷性能が得られない。また、200mg/mより大きくても同様である。
【0065】
[露光、現像]
上記のようにして作製されたポジ型平版印刷版原版は、通常、像露光、現像処理を施される。像露光に用いられる活性光線の光源としては、近赤外から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レーザ、半導体レーザが特に好ましい。
【0066】
本発明のポジ型平版印刷版原版の現像液及び補充液としては、従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウム及び同リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。
【0067】
これらのアルカリ剤は単独もしくは2種以上を組み合わせて用いられる。これらのアルカリ剤の中で特に好ましい現像液は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩水溶液である。その理由はケイ酸塩の成分である酸化珪素SiOとアルカリ金属酸化物(MO)の比率と濃度によって現像性の調節が可能となるためであり、例えば、特開昭54−62004号公報、特公昭57−7427号公報に記載されているようなアルカリ金属ケイ酸塩が有効に用いられる。
【0068】
更に自動現像機を用いて現像する場合には、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換する事なく、多量の平版印刷版を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。現像液及び補充液には、現像性の促進や抑制、現像カスの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高める目的で、必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤が挙げられる。
【0069】
更に現像液及び補充液には必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。一般に、現像液及び補充液を用いて現像処理された平版印刷版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理されるが、本発明の平版印刷版原版から製版された平版印刷版でも、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
【0070】
近年、製版・印刷業界では、製版作業の合理化及び標準化のため、平版印刷版原版の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、平版印刷版原版を搬送する装置と各処理液槽及びスプレー装置とからなり、露光済みの平版印刷版原版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は、処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによって平版印刷版原版を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
【0071】
本発明のポジ型平版印刷版原版を画像露光し、現像し、水洗及び/又はリンス及び/又はガム引きして得られた平版印刷版に不必要な画像部(例えば原画フィルムのフィルムエッジ跡など)がある場合には、その不必要な画像部の消去が行われる。このような消去は、例えば特公平2−13293号公報に記載されているような消去液を不必要画像部に塗布し、そのまま所定の時間放置したのちに水洗することにより行う方法が好ましいが、特開平59−174842号公報に記載されているようなオプティカルファイバーで導かれた活性光線を不必要画像部に照射したのち現像する方法も利用できる。
【0072】
以上のようにして得られた平版印刷版は、所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版としたい場合にはバーニング処理が施される。平版印刷版をバーニング処理する場合には、該バーニング処理前に、特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、あるいは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
【0073】
整面液の塗布量は、一般に0.03〜0.8g/m(乾燥質量)が適当である。整面液が塗布された平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(たとえば富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:「BP−1300」)などで高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像記録層を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
【0074】
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来より行われている処理を施こすことができるが、水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合には、ガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。この様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0075】
【実施例】
以下、本発明を実施例、比較例によって更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。
【0076】
実施例1〜7及び比較例1〜3
〔平版印刷版原版の作製〕
厚み0.3mmのアルミニウム板(材質1050)をトリクロロエチレンで洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと400メッシュのパミスー水懸濁液を用い、この表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。この板を45℃の25%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に20%硝酸に20秒間浸漬し、水洗した。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/mであった。次にこの板を7%硫酸を電解液として、電流密度15A/dmで3g/mの直流陽極酸化皮膜を設けた後、水洗し、乾燥した。
これを珪酸ナトリウム2.5重量%水溶液で30℃で10秒処理し、下記下塗り液を塗布し、塗膜を80℃で15秒間乾燥し基板を得た。乾燥後の塗膜の被覆量は15mg/mであった。
[下塗り液]
・下記化合物                                  0.3g
・メタノール                                100g
・水                                           1g
【0077】
【化6】
Figure 2004125922
【0078】
以下の画像記録層用塗布液Aを調整した。得られた基板に、この塗布液Aを塗布量が1.6g/mになるよう塗布し、140℃、60秒で乾燥して、画像記録層を形成し、実施例1〜7の平版印刷版原版を得た。
[画像記録層用塗布液A]
・N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/
メタクリル酸メチル/アクリロニトリル (33/37/30 Mw5300)   1.90g
・m−クレゾール/p−クレゾール(60/40)、Mw:3500         0.47g
・p−トルエンスルホン酸                                  0.01g
・ビスフェノールスルフォネート                            0.14g
・下記赤外線吸収染料 (1)                                 0.16g
・下記化合物(2)                                           0.03g
・着色染料(エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ−β−ナフタレンス
ルフォン酸にかえたもの)                               0.05g
・テトラヒドロ無水フタル酸                                 0.19g
・フッ素含有ポリマー(メガファックF−176大日本インキ製 20%)0.01g
・γ−ブチルラクトン                                     11.98g
・メチルエチルケトン                                     25.00g
・1−メトキシ−2−プロパノール                         12.75g
・表1の化合物D(式(I)の化合物)                        0.15g
【0079】
【化7】
Figure 2004125922
【0080】
上記画像記録層用塗布液Aにおいて、化合物D(式(I)の化合物)を添加しなかったこと以外は、該塗布液Aと同様の組成の画像記録層用塗布液を比較例1として用い、また、化合物Dとしてビスフェノールスルフォネート(BPSP)(比較例2)又はテトラヒドロ無水フタル酸(THPA)(比較例3)を用いたこと以外は、該塗布液Aと同様の組成の画像記録層用塗布液を比較例2、3として用い、その他は上記と同様にして比較例1〜3の平版印刷版原版を得た。
【0081】
実施例8〜9及び比較例4〜5
〔平版印刷版原版の作製〕
実施例1〜7と同様の方法で得られた下塗り層までの基板に以下の画像記録層用塗布液Bを塗布し、120℃で50秒乾燥して、(B)層を形成した。乾燥後の塗布量は0.9g/mであった。
その後、以下の画像記録層用塗布液Cを塗布し、140℃で60秒乾燥して、(C)層(上層)を形成し、実施例8〜9の平版印刷版原版を得た。乾燥後の画像記録層用塗布液の合計塗布量は1.3g/mであった。
また、下記画像記録層用塗布液Bにおいて、化合物Dを添加しなかったこと以外は、該塗布液Bと同様の組成の画像記録層用塗布液を比較例4として用い、また、化合物Dとしてビスフェノールスルフォネート(BPSP)を用いたこと以外は、該塗布液Bと同様の組成の画像記録層用塗布液を比較例5として用い、その他は(C)層(上層)の形成も含めて上記と同様にして比較例4〜5の平版印刷版原版を得た。
【0082】
[画像記録層用塗布液B]
・メチルエチルケトン                                25.40g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル               12.97g
・γ−ブチルラクトン                                      13.18g
・N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/メタ
クリル酸メチル/アクリロニトリル(33/37/30 Mw53000)      2.13g
・p−トルエンスルホン酸                                     0.01g
・ビスフェノールスルホネ−ト                               0.13g
・上記赤外線吸収染料 (1)                                  0.11g
・上記化合物(2)                                           0.03g
・着色染料(エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ
−β−ナフタレンスルフォン酸にかえたもの)                  0.05g
・テトラヒドロ無水フタル酸                                 0.19g
・メガファックF−176(大日本インキ製フッ素界面活性剤 20%)    0.01g
・表1の化合物D                                          0.15g
【0083】
[画像記録層用塗布液C]
・プロピレングリコールモノメチルエーテル                 12.87g
・m,p−クレゾールノボラック(m/p=6/4 Mw3500)                 0.21g
・メガファックF−176(大日本インキ製フッ素界面活性剤 20%)    0.01g
・上記赤外線吸収染料 (1)                                   0.02g
・ブチルメタクリレート/エチルメタクリレート/メタクリル酸
(37/37/26 Mw49000)                                       0.02g
【0084】
〔平版印刷版原版の評価〕
得られた実施例1〜9及び比較例1〜5の平版印刷版原版を、保存、露光を行い、下記の方法で現像処理を行って、感度と経時安定性を評価した。
【0085】
(感度安定性)
得られた平版印刷版原版を3日間自然放置したものと45℃75%RH下3日放置したものを作成した。
これらの平版印刷版原版をクレオ社プレートセッターTrendsetter3244Fを用いて露光し、自動現像機で現像した。露光条件は、回転数を150rpmに固定し、出力を3〜12Wまで各1W毎に変化させてクリア感度を求めた。なお、クリア感度は、露光部が現像により完全に溶解するために必要な最小出力量(w)を感度と定義する。
浸漬型現像槽を有する市販の自動現像機LP−940H(富士写真フイルム(株)製)の現像処理槽に、富士写真フィルム社製DT−1(1:8)を20リットル仕込み、30℃に保温し、LP−940Hの第二浴目には、水道水を8リットル、第三浴目には、FP−2W(富士写真フイルム(株)製):水=1:1希釈したフィニッシングガム液を8リットル仕込んだ。処理スピードは現像時間12秒になるように設定し印刷版原版を現像し変化度を測定した。本来、放置条件の影響を受けず変化が見られない印刷版原版が安定性に優れ望ましい。
【0086】
(現像ラチチュード安定性)
平版印刷版原版をクレオ社プレートセッターTrendsetter3244Fを用いてGATFチャ−トを175lpiで露光し自動現像機で現像した。露光条件は、回転数を150rpmに固定し、出力を9Wで行った。LP−940H(富士写真フイルム(株)製)の現像処理槽に、富士写真フィルム社製DT−1R(1:5)を20リットル仕込み、30℃に保温し、LP−940Hの第二浴目には、水道水を8リットル、第三浴目には、FP−2W(富士写真フイルム(株)製):水=1:1希釈したフィニッシングガム液を8リットル仕込んだ。処理スピードは現像時間12秒になるように設定した後、二酸化炭素を吹き込み、伝導度50、45、40mS/cmとした。それぞれの現像活性時に得られた画像再現性を175lpiの50%網点面積率をGretag社製D19C型反射濃度計にて測定し、ユール・ニールセン式にて求め、変動率を観測した。その差が小さいほど現像ラチチュードが良好である事を示し、Δ5%以内の変動巾以下であれば実用可能なレベルである。
【0087】
(耐刷性)
上記45mS/cm時の現像液で現像した平版印刷版を用いて、ハイデルベルグ社製ハイデルKOR−D機で上質紙に印刷した。5000枚印刷毎にクリーナ−液(富士写真フィルム社製「プレートクリーナーCL2」)で版面を拭きながら印刷した。それぞれの最終印刷枚数を表1に示す、ここでの最終枚数とは、平版印刷版の画像記録層が膜ベリを起こし、部分的にインキがつかなくなる、いわゆる版飛びを起こすまでの枚数である。
結果を下記表1に示す。
【0088】
【表1】
Figure 2004125922
【0089】
実施例10及び比較例6
〔平版印刷版原版の作製〕
実施例1〜9と同様の方法で得られた下塗り層までの基板に以下の画像記録層用塗布液(感光液S)を塗布量が1.60g/mになるよう塗布したのち、150℃で50秒乾燥して平版印刷版原版を得た。
【0090】
[感光液S]
Figure 2004125922
【0091】
作成直後、包装形態に梱包し40℃で一週間放置した平版印刷版用原版を、実施例10とした。更に、上記感光液Sに表1の化合物D(化合物3)を除去した感光液を塗布し、実施例10と同様に包装形態に梱包し40℃で一週間放置した平版印刷版用原版を比較例6とした。
【0092】
〔平版印刷版の性能評価〕
(感度安定性及び現像ラチチュード安定性)
得られた平版印刷版原版を3日間自然放置したものと45℃75%RH下3日放置したものを作成した。
これらの平版印刷版原版をクレオ社プレートセッターTrendsetter3244Fを用いて露光し、自動現像機で現像した。露光条件は、回転数を150rpmに固定し、出力を3〜12Wまで各1W毎に変化させてクリア感度を求めた。なお、クリア感度は、露光部が現像により完全に溶解するために必要な最小出力量(w)を感度と定義する。
【0093】
前記のようにして作成した実施例10及び比較例6の平版印刷版について、下記現像液(電導度83mS/cm)で現像し、富士写真フイルム(株)リンス液FP−2W(1:7)を仕込んだ自動現像機(富士写真フイルム(株)製:「PSプロセッサー900H」)を用いて現像し、クリアの得られる感光量を感度とした。
純水                                      870.0g
ソルビトール(59.5%)                  122.4g
KOH(48%)                                   61.9g
パイオニンD1107(竹本油脂製ノニオン系界面活性剤)  0.5g
また、上記セッターを用いて出力9W、主走査速度回転数150rpmにて露光した後、上記現像液(電導度83mS/cm)に加えて二酸化炭素の吹き込みにより75mS/cm、70mS/cmの3水準を使用し、それぞれの現像液にて得られた175lpiの50%網点面積率をGRETAG社製D19C型反射濃度計にて測定し、ユール・ニールセン式にて求め、その変動率を観測した。
結果を表2に示す。
【0094】
【表2】
Figure 2004125922
【0095】
以上のように、化合物Dとして本発明の化合物を添加した平版印刷版は、無添加あるいは本発明の化合物に類似した構造の比較化合物を添加した平版印刷版に比べて経時安定性、現像安定性、耐刷性に優れることが判る。
【0096】
【発明の効果】
本発明によれば、塗布液の安定性に優れ、現像安定性及び現像ラチチュードの良好な、耐刷性もよいダイレクト製版用の赤外線レーザ用ポジ型感光性の平版印刷版原版が提供される。

Claims (2)

  1. 支持体上に、光を吸収して熱を発生する物質と、フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂とを含有し、更に下記一般式(I)で表される化合物を含有する画像記録層を有することを特徴とするポジ型平版印刷版原版。
    Figure 2004125922
    式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はトリフッ化メチル基を表す。
  2. 一般式(I)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、デシル基、ラウリル基及びセシル基から選択されるアルキル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、プロポキシプロピル基及びプロポキシブチル基から選択されるアルコキシ基、フェニル基及びナフチル基から選択されるアリール基、又はトリフッ化メチル基を表し、上記アルキル基、アルコキシ基及びアリール基は、更にエーテル、チオエーテル、ケトン、スルフォニル、スルフォキシド、エステル、チオエステル、アミド及び尿素基からなる群から選択される極性基による連結を含んでもよいことを特徴とする請求項1記載のポジ型平版印刷版原版。
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