JP2004125621A - マルチ型磁気センサ装置、及び被検出体の測定異常判定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構成よって被検出体の形状検出を高精度に行うことを可能とする。
【解決手段】磁気式形状検出センサ11により得た被検出体の表面形状に対応する凹凸パターン検出信号の異常部分を、磁気式材質検出センサ12の材質検出信号の波形異常部分に基づいて検出する測定異常検出手段を備え、その磁気式材質検出センサ12からの出力波形が被検出体の搬送移動速度の変動部分に対応して明瞭な変形形状となることを利用して、前記磁気式形状検出センサ11からの検出信号における搬送移動速度の変動部分に対応する異常部分を迅速かつ正確に把握可能としたもの。
【選択図】 図10
【解決手段】磁気式形状検出センサ11により得た被検出体の表面形状に対応する凹凸パターン検出信号の異常部分を、磁気式材質検出センサ12の材質検出信号の波形異常部分に基づいて検出する測定異常検出手段を備え、その磁気式材質検出センサ12からの出力波形が被検出体の搬送移動速度の変動部分に対応して明瞭な変形形状となることを利用して、前記磁気式形状検出センサ11からの検出信号における搬送移動速度の変動部分に対応する異常部分を迅速かつ正確に把握可能としたもの。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検出体の形状を検出するようにしたマルチ型磁気センサ装置及び被検出体の測定異常判定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ATM、自動販売機、自動券売機などには、挿入又は投入された磁気カードや硬貨(コイン)などの被検出体の真偽等を検出する装置が用いられている。例えば、被検出体の形状を磁気式の形状検出センサにより検出するようにした装置では、被検出体の走行方向における線上の形状情報を磁気式形状検出センサにより検出し、その凹凸パターン検出信号を、パターンマッチング法により基準パターンと比較して上記被検出体に形成されている表面形状の識別を行うようにしている。なお、磁気式形状検出センサでは、被検出体の走行方向における特定の線上における情報によって十分な情報量が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような磁気式形状検出センサを用いた装置では、被検出体の搬送移動速度に変動が生じると、その搬送移動速度の変動部分に対応して磁気式形状検出センサの凹凸パターン検出信号が変形してしまい、その変形部分が異常状態になって被検出体の形状検出が困難になってしまうという問題がある。
【0004】
このようなことから従来より、被検出体の表面全体の情報を瞬時に取り込むことによって、凹凸形状の識別を正確に行うようにした装置も開発されている。しかしながら、被検出体の表面全体の情報を得るためには、光学式のCCDカメラが必要となるなど高価に装置にならざるを得ない。また、磁気式形状検出センサを面状に配列することも考えられるが、寸法的にファインピッチでの配列は困難であり、面情報の分解能が劣るものになってしまう。
【0005】
そこで本発明は、簡易な構成よって、被検出体の形状検出を高精度に行うことができるようにした磁気センサを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願の請求項1にかかる磁気センサでは、磁気式形状検出センサにより出力される前記被検出体の表面形状に対応する凹凸パターン検出信号の異常部分を、磁気式材質検出センサにより出力される材質検出信号の波形異常部分に基づいて検出する測定異常検出手段を備えている。
このような構成を有する請求項1にかかるマルチ型磁気センサ装置によれば、磁気式材質検出センサからの材質検出信号が、被検出体の体積や凹凸形状に左右されない山形状の時間関数信号になっていることから、被検出体の搬送移動速度の変動部分に対応する波形が明瞭な変形形状となって現れる。従って、その磁気式材質検出センサによる材質検出信号を用いれば、送移動速度の変動による波形異常部分が直ちに把握されることとなり、磁気式形状検出センサからの凹凸パターン検出信号にも、上記材質検出信号の波形異常部分に対応した位置に異常部分が存在していることが迅速かつ正確に把握される。その結果、被検出体の形状検出が容易かつ高精度に行われるようになっている。
【0007】
従って、例えば請求項2にかかるマルチ型磁気センサ装置のように、上記請求項における測定異常検出手段を、磁気式材質検出センサによる材質検出信号の波形異常部分を検出したときの凹凸パターン検出信号を排除するように構成するか、請求項3にかかるマルチ型磁気センサ装置のように、上記請求項1における測定異常検出手段を、磁気式材質検出センサによる材質検出信号の波形異常部分を検出したときに凹凸パターン検出信号の異常部分を排除するように構成するか、請求項4にかかるマルチ型磁気センサ装置のように、上記請求項1における測定異常検出手段を、磁気式材質検出センサによる材質検出信号の波形異常部分を検出したときに凹凸パターン検出信号の異常部分を補正するように構成することなどによって、被検出体の形状検出が容易かつ高精度に行われるようになっている。
【0008】
また、本願の請求項5にかかるマルチ型磁気センサ装置では、上記請求項1における被検出体の表面形状に対応する凹凸パターン検出信号を、パターンマッチング手法を用いて基準形状情報と比較するように構成しており、そのようなパターンマッチング手法と組み合わせて用いることによって被検出体の高精度な形状検出が迅速に行われるようになっている。
【0009】
さらに、本願の請求項6にかかる被検出体の測定異常判定方法では、被検出体の材質を検出する磁気式材質検出センサを磁気式形状検出センサに並設しておき、上記磁気式形状検出センサにより前記被検出体の表面形状に対応して出力される凹凸パターン検出信号の異常部分を、前記磁気式材質検出センサによる材質検出信号の波形異常部分に基づいて検出するようにしている。
このような構成を有する請求項6にかかる被検出体の測定異常判定方法によれば、磁気式材質検出センサからの材質検出信号が、被検出体の体積や凹凸形状に左右されない山形状の時間関数信号になっていることから、被検出体の搬送移動速度の変動部分に対応する波形が明瞭な変形形状となって現れる。従って、その磁気式材質検出センサによる材質検出信号を用いれば、搬送移動速度の変動による波形異常部分が直ちに把握されることとなり、磁気式形状検出センサからの凹凸パターン検出信号にも、上記材質検出信号の波形異常部分に対応した位置に異常部分が存在していることが迅速かつ正確に把握される。その結果、被検出体の形状検出が容易かつ高精度に行われるようになっている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を硬貨識別装置に適用した場合の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
まず、本発明を適用した硬貨識別装置は、例えば図1に示されているような平面略「く」の状に折れ曲げられた形状の硬貨搬送路1を備えている。この硬貨搬送路1は、図示右端側の搬送入口部1aから図示左方側に向かって送られてきた検出すべき硬貨3を支持する底面摺動板1bを有しているとともに、その底面摺動板1bの直上に、搬送ベルト2が配置されている。この搬送ベルト2は、下側のベルト部分が上記底面摺動板1bとの間に硬貨3の厚さ分に相当する隙間を介して、略平行に対面するように配置されており、当該搬送ベルト2と底面摺動板1bとの間に硬貨3を挟持しながら、当該搬送ベルト2の延在方向に向かって硬貨3を搬送させるように構成されている。
【0012】
また、上記底面摺動板1bの一側部には、当該底面摺動板1bの縁部に沿うようにしてガイド4が立設されているとともに、そのガイド4に対して硬貨3を押し付ける硬貨規制レバー5が、上記硬貨搬送路21の折れ曲がり部分においてピン5aによって回動可能に軸支されている。上記硬貨規制レバー5は、前記底面摺動板1b上に支持されながら送られてくる硬貨3を、図示を省略したバネ等の付勢手段によって前記ガイド4側に押し付けるように構成されていて、当該硬貨規制レバー5が配置された部位から搬送方向下流側に向かって送り出された硬貨3は、上記ガイド4に対して外周面部を接触させた状態を維持しながら順次搬送されるようになっている。
【0013】
さらに、上記硬貨搬送路1の下流側部分には、硬貨3の表面に形成された凹凸形状及び材質を検出するためのマルチ型磁気センサ装置10が取り付けられている。すなわち、このマルチ型磁気センサ装置10は、特に図2に示されているように、被検出体としての硬貨3の底面側に対向配置されて当該硬貨3の表面形状を検出する磁気式形状検出センサ11と、上記硬貨3を挟み込むように配置されて当該硬貨3の材質を検出する磁気式材質検出センサ12とを、上記硬貨3の搬送方向と直交する方向に並列するように有している。
【0014】
そのうちの磁気式形状検出センサ11は、例えば図3に示されているような磁束変化を利用した渦電流損失型の磁気センサから構成されていて、一対の検出用磁極部111,112が、凹凸形状を有する硬貨3の識別面3aと対向しつつ相対移動するように配置されており、上記各検出用磁極部111,112には、検出用コイル114,115がそれぞれ巻回されている。また、上記一対の検出用磁極部111,112の間部分に配置された励磁用磁極部116には、励磁用コイル117が巻回されていて、その励磁用コイル117に対しては、図4に示された交流電源11aから、常時、一定の正弦波形を有する凹凸検出用の高周波励磁信号が供給されている。そして、その励磁信号に対応した磁束φ1,φ2が、当該励磁用磁極部116から前記各検出用磁極部111,112にかけてそれぞれ形成され、それらの各磁束φ1,φ2の変化に対応した検出信号が、上記各検出用コイル114,115からそれぞれ出力されるようになっている。
【0015】
すなわち、上記硬貨3の識別面3aには、上述した各磁束φ1,φ2に基づいて渦電流が発生し、それらの渦電流が磁束φ1,φ2を制限するように作用するが、その渦電流は、上記硬貨3の表面である識別面3aと、両検出用磁極部111,112との対向隙間の大きさに対応している。つまり、上記硬貨3の識別面3aが平坦面である場合には、上記両検出用磁極部111,112の双方が、共に識別面3aと同一の対向隙間となっているため、上述した渦電流による磁束φ1,φ2の制限量も同一となり、両検出用コイル114,115からは同一大きさの出力信号が得られる。これら検出用磁極部111,112側の検出用コイル114,115からの出力の各々は、それぞれ検波器11b,11c、及びローパスフィルター111d,11eを通して差動増幅器11fに入力され、当該差動増幅器11fから差動出力を得るように構成されている。上述した硬貨3の識別面3aが平坦面である場合には、上記両検出用コイル114,115による差動出力が0状態のままに維持される。
【0016】
一方、上記硬貨3の識別面3aが凹凸形状に変化している場合には、相対移動させると、上記識別面3aの凹凸形状に対応して、検出用磁極部111,112と識別面3aとの対向隙間の寸法が連続的に減少・拡大するように変化し、その対向隙間量の変化に伴って識別面3aに生じる渦電流も変化する。より具体的には、図3中の右側に先行する検出用磁極部111が、識別面3aの凸形状部分3bに対向した状態となっているときには、検出用磁極部111との対向隙間が狭くなって渦電流が大きくなり、その分、検出用コイル114からの出力が低下することとなる。一方、そのとき、図示左側の後行の検出用磁極部112では、識別面3aとの対向隙間が広い状態となっていることから、渦電流は小さく、検出用コイル115は大きい出力となる。その結果、上記両検出用コイル114,115からの差動出力は減少・増大することとなって凹凸部を含む出力波形が得られ、この差動出力波形に基づいて上記硬貨3の識別面3aに凸形状部分3bが存在していることが検出される。
【0017】
すなわち、このようにして上記検出用コイル114,115から得られる検出信号は、例えば図5(a),(b)に示されているように、硬貨3の識別面3aの凹凸形状にそれぞれ対応したものとなっているが、これらの両検出信号どうしは互いに時間ズレしており、上述した一方側の検出用磁極部111と、他方側の検出用磁極部112との間に形成される2箇所の感磁部どうしの間の間隔D(図3参照)に相当する分だけズレした状態で得られる。そして、これら両検出信号どうしの各時間ごとの差に相当する差動出力信号が、上述した差動増幅器11fから図5(c)のように得られる。得られた差動出力信号は、予め記憶されたマスターパターン(基準形状情報)と比較され、その比較結果に基づいて、検出すべき硬貨の金種及び真偽が判別されるようになっている。
【0018】
一方、磁気式材質検出センサ12は、例えば図6に示されているような磁束変化を利用した渦電流損失型の磁気センサから構成されていて、その磁気センサを構成している略C型の磁気コアSCには、検出すべき硬貨3の表裏に対向するようにして一対の対向磁極部121,121が設けられているとともに、それら一対の対向磁極部121,121どうしが基体コア部122により略C形状をなすように一体的に連結されている。また、上記一対の対向磁極部121,121には、励磁コイル123,123がそれぞれ巻回されているとともに、前記基体コア部122の略中央部分には検出コイル124が巻回されている。そして、上記励磁コイル123,123に通電したときに、上記一対の対向磁極部121,121どうしの間に掛け渡されるようにして発生する低周波の磁束が、前記被検出体としての硬貨3に対して磁気的に作用することによって当該硬貨3に渦電流を生じさせ、その渦電流の発生による磁束の変化を前記検出コイル124により検出して、当該検出コイル124からの検出信号に基づいて、前記被検出体としての硬貨3の材質を検出するようにしている。
【0019】
すなわち、図7に示されているような励磁回路125から励磁コイル123,123に通電したときに発生する磁束φが、前記被検出体としての硬貨3に対して磁気的に作用することによって当該硬貨3に渦電流を生じさせ、その渦電流の発生による磁束φの変化を、前記検出コイル124により検出している。その検出コイル124からの検出信号は、検出回路126に受けられ、当該検出回路126において、上記被検出体としての硬貨3の特に材質が検出されるようになっている。
【0020】
このとき、上述した検出回路126は、例えば図8に示されているような回路構成になされている。すなわち、図8に示された交流電源(発振器)126aからは、一定の正弦波形を有する励磁信号が、上述した励磁コイル123,123にそれぞれ供給されているとともに、上記検出コイル124からの検出信号は、検波器126b及びアンプ126cを通して減算増幅器126dに入力される。この減算増幅器126dは、上記検出信号と、オフセット用電源126eからの出力との間の差動出力信号を得るように構成されており、その差動出力信号に基づいて、硬貨Cの材質が検出されるようになっている。
【0021】
また、本実施形態においては、上述した磁気式形状検出センサ11により出力される硬貨3の表面形状に対応する凹凸パターン検出信号の異常部分を、磁気式材質検出センサ12により出力される材質検出信号の波形異常部分に基づいて検出する測定異常検出手段が設けられている。すなわち、上述した磁気式形状検出センサ11及び磁気式材質検出センサ12からの各検出信号が、例えば図9中のA線及びB線で示されているように得られる。これらの両検出信号は、図示のような時間関数による信号となっているものであるが、特に、上述した磁気式材質検出センサ12からの材質検出信号は、被検出体としての硬貨3の体積や凹凸形状に左右されない山形状の信号になっている。従って、被検出体としての硬貨3の搬送移動速度が何らかの原因によって変動した場合には、その変動部分に対応する波形が、図10中のB’で示されているような明瞭に変形した形状として現れる。従って、その硬貨3の搬送移動速度の変動による波形異常部分B’が、測定異常検出手段によって直ちに把握されるようになっている。
【0022】
そして、上述した磁気式形状検出センサ11からの凹凸パターン検出信号Aにも、上記磁気式材質検出センサ12からの材質出力信号により把握された搬送移動速度の変動部分B’に対応する異常部分A’を含むことが、前記測定異常検出手段によって迅速かつ正確に把握され、硬貨の形状検出が容易かつ高精度に行われるようになっている。
【0023】
より具体的には、例えば搬送移動速度の変動部分による異常部分A’を含む前記磁気式形状検出センサ11からの凹凸パターン検出信号Aの全体を排除したり、磁気式形状検出センサ11からの凹凸パターン検出信号Aの異常部分A’のみを排除したり、磁気式形状検出センサ11からの凹凸パターン検出信号Aの異常部分A’を適宜に補正したりすることなどによって、被検出体としての硬貨3の形状検出が容易かつ高精度に行われるようになっている。
【0024】
また、本実施形態では、被検出体としての硬貨3の表面形状に対応する凹凸パターン検出信号は、パターンマッチング手法を用いて基準形状情報と比較するようにしており、本発明は、そのようなパターンマッチング手法と組み合わせて用いることによって硬貨3の表面形状が、極めて高精度かつ迅速に検出されるようになっている。
【0025】
以上、本発明者によってなされた発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることはいうまでもない。
【0026】
例えば、上述した実施形態では、被検出体として硬貨を採用したものであるが、本発明は、それに限定されることなく、磁気カード等との多種多様な被検出体に対しても同様に適用する個とが可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1記載のマルチ型磁気センサ装置は、磁気式形状検出センサにより得た被検出体の表面形状に対応する凹凸パターン検出信号の異常部分を、磁気式材質検出センサの材質検出信号の波形異常部分に基づいて検出する測定異常検出手段を備え、その磁気式材質検出センサからの出力波形が被検出体の搬送移動速度の変動部分に対応して明瞭な変形形状となることを利用して、前記磁気式形状検出センサからの検出信号における搬送移動速度の変動部分に対応する異常部分を迅速かつ正確に把握可能としたものであるから、簡易な構成よって被検出体の形状検出を高精度に行うことができ、マルチ型磁気センサ装置の信頼性及び有用性を大幅に向上させることができる。
【0028】
例えば、請求項2にかかるマルチ型磁気センサ装置のように、磁気式材質検出センサからの材質検出信号により把握された搬送移動速度の変動に対応する異常部分を含む磁気式形状検出センサからの凹凸パターン検出信号の全体を排除するか、請求項3にかかるマルチ型磁気センサ装置のように、磁気式材質検出センサからの材質検出信号により把握された搬送移動速度の変動に対応する異常部分を含む磁気式形状検出センサからの凹凸パターン検出信号の異常部分のみを排除するか、請求項4にかかるマルチ型磁気センサ装置のように、磁気式材質検出センサ12からの材質検出信号により把握された搬送移動速度の変動に対応する異常部分を含む磁気式形状検出センサ11からの凹凸パターン検出信号の異常部分を適宜に補正することなどによって、被検出体の形状検出を容易かつ高精度に行うことができ、上述した効果を確実に得ることができる。
【0029】
また、本願の請求項5にかかるマルチ型磁気センサ装置は、上記請求項1における被検出体の表面形状に対応する凹凸パターン検出信号は、パターンマッチング手法を用いて基準形状情報と比較するようにしており、そのようなパターンマッチング手法と組み合わせて用いることによって被検出体の高精度な形状検出が迅速に行われるようにしたものであるから、上述した効果を確実に得ることができる。
【0030】
さらに、本願の請求項6にかかる被検出体の測定異常判定方法は、磁気式形状検出センサにより得た被検出体の表面形状に対応する凹凸パターン検出信号の異常部分を、磁気式材質検出センサの材質検出信号の波形異常部分に基づいて検出し、磁気式材質検出センサからの出力波形が被検出体の搬送移動速度の変動部分に対応して明瞭な変形形状となることを利用して、磁気式形状検出センサからの凹凸パターン検出信号における搬送移動速度の変動部分に対応する異常部分を迅速かつ正確に把握可能としたものであるから、簡易な構成よって被検出体の形状検出を高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】硬貨識別装置に設けられている硬貨搬送路の概略構造を表した平面説明図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるマルチ型磁気センサ装置の外観構造を表した正面説明図である。
【図3】図2に表した硬貨識別装置に用いられている磁気式形状検出センサ11の構造例を表した模式的側面説明図である。
【図4】図3に示されている磁気式形状検出センサ11硬貨識別装置に設けられた検出回路の一例を表したブロック図である。
【図5】図3に示されている磁気式形状検出センサ11の両検出用コイルからの検出信号の差動出力信号の一例を表した線図である。
【図6】図2に示されている硬貨識別装置に用いられている磁気式材質検出センサ12の構造例を表した模式的側面説明図である。
【図7】図6に示されている磁気式材質検出センサ12に設けられた検出回路の一例を表したブロック図である。
【図8】図7に示されている磁気式材質検出センサ12に付設された回路の構成を概略的に表したブロック線図である。
【図9】正常走行時における磁気式形状検出センサ11及び磁気式材質検出センサ12からの検出出力信号の一例を表した線図である。
【図10】異常走行状態を含む場合における磁気式形状検出センサ11及び磁気式材質検出センサ12からの検出出力信号の一例を表した線図である。
【符号の説明】
3 硬貨
3a 識別面
114,115 検出用コイル(検出用磁極部)
7 励磁用コイル(励磁用磁極部)
D 感磁部間隔
21 硬貨搬送路
25 コインセンサ
31 交流電源(発振器)
36 差動増幅器
41 加算手段
42 比較手段
R1 直流抵抗
43 インピーダンス変化検出手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検出体の形状を検出するようにしたマルチ型磁気センサ装置及び被検出体の測定異常判定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ATM、自動販売機、自動券売機などには、挿入又は投入された磁気カードや硬貨(コイン)などの被検出体の真偽等を検出する装置が用いられている。例えば、被検出体の形状を磁気式の形状検出センサにより検出するようにした装置では、被検出体の走行方向における線上の形状情報を磁気式形状検出センサにより検出し、その凹凸パターン検出信号を、パターンマッチング法により基準パターンと比較して上記被検出体に形成されている表面形状の識別を行うようにしている。なお、磁気式形状検出センサでは、被検出体の走行方向における特定の線上における情報によって十分な情報量が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような磁気式形状検出センサを用いた装置では、被検出体の搬送移動速度に変動が生じると、その搬送移動速度の変動部分に対応して磁気式形状検出センサの凹凸パターン検出信号が変形してしまい、その変形部分が異常状態になって被検出体の形状検出が困難になってしまうという問題がある。
【0004】
このようなことから従来より、被検出体の表面全体の情報を瞬時に取り込むことによって、凹凸形状の識別を正確に行うようにした装置も開発されている。しかしながら、被検出体の表面全体の情報を得るためには、光学式のCCDカメラが必要となるなど高価に装置にならざるを得ない。また、磁気式形状検出センサを面状に配列することも考えられるが、寸法的にファインピッチでの配列は困難であり、面情報の分解能が劣るものになってしまう。
【0005】
そこで本発明は、簡易な構成よって、被検出体の形状検出を高精度に行うことができるようにした磁気センサを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願の請求項1にかかる磁気センサでは、磁気式形状検出センサにより出力される前記被検出体の表面形状に対応する凹凸パターン検出信号の異常部分を、磁気式材質検出センサにより出力される材質検出信号の波形異常部分に基づいて検出する測定異常検出手段を備えている。
このような構成を有する請求項1にかかるマルチ型磁気センサ装置によれば、磁気式材質検出センサからの材質検出信号が、被検出体の体積や凹凸形状に左右されない山形状の時間関数信号になっていることから、被検出体の搬送移動速度の変動部分に対応する波形が明瞭な変形形状となって現れる。従って、その磁気式材質検出センサによる材質検出信号を用いれば、送移動速度の変動による波形異常部分が直ちに把握されることとなり、磁気式形状検出センサからの凹凸パターン検出信号にも、上記材質検出信号の波形異常部分に対応した位置に異常部分が存在していることが迅速かつ正確に把握される。その結果、被検出体の形状検出が容易かつ高精度に行われるようになっている。
【0007】
従って、例えば請求項2にかかるマルチ型磁気センサ装置のように、上記請求項における測定異常検出手段を、磁気式材質検出センサによる材質検出信号の波形異常部分を検出したときの凹凸パターン検出信号を排除するように構成するか、請求項3にかかるマルチ型磁気センサ装置のように、上記請求項1における測定異常検出手段を、磁気式材質検出センサによる材質検出信号の波形異常部分を検出したときに凹凸パターン検出信号の異常部分を排除するように構成するか、請求項4にかかるマルチ型磁気センサ装置のように、上記請求項1における測定異常検出手段を、磁気式材質検出センサによる材質検出信号の波形異常部分を検出したときに凹凸パターン検出信号の異常部分を補正するように構成することなどによって、被検出体の形状検出が容易かつ高精度に行われるようになっている。
【0008】
また、本願の請求項5にかかるマルチ型磁気センサ装置では、上記請求項1における被検出体の表面形状に対応する凹凸パターン検出信号を、パターンマッチング手法を用いて基準形状情報と比較するように構成しており、そのようなパターンマッチング手法と組み合わせて用いることによって被検出体の高精度な形状検出が迅速に行われるようになっている。
【0009】
さらに、本願の請求項6にかかる被検出体の測定異常判定方法では、被検出体の材質を検出する磁気式材質検出センサを磁気式形状検出センサに並設しておき、上記磁気式形状検出センサにより前記被検出体の表面形状に対応して出力される凹凸パターン検出信号の異常部分を、前記磁気式材質検出センサによる材質検出信号の波形異常部分に基づいて検出するようにしている。
このような構成を有する請求項6にかかる被検出体の測定異常判定方法によれば、磁気式材質検出センサからの材質検出信号が、被検出体の体積や凹凸形状に左右されない山形状の時間関数信号になっていることから、被検出体の搬送移動速度の変動部分に対応する波形が明瞭な変形形状となって現れる。従って、その磁気式材質検出センサによる材質検出信号を用いれば、搬送移動速度の変動による波形異常部分が直ちに把握されることとなり、磁気式形状検出センサからの凹凸パターン検出信号にも、上記材質検出信号の波形異常部分に対応した位置に異常部分が存在していることが迅速かつ正確に把握される。その結果、被検出体の形状検出が容易かつ高精度に行われるようになっている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を硬貨識別装置に適用した場合の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
まず、本発明を適用した硬貨識別装置は、例えば図1に示されているような平面略「く」の状に折れ曲げられた形状の硬貨搬送路1を備えている。この硬貨搬送路1は、図示右端側の搬送入口部1aから図示左方側に向かって送られてきた検出すべき硬貨3を支持する底面摺動板1bを有しているとともに、その底面摺動板1bの直上に、搬送ベルト2が配置されている。この搬送ベルト2は、下側のベルト部分が上記底面摺動板1bとの間に硬貨3の厚さ分に相当する隙間を介して、略平行に対面するように配置されており、当該搬送ベルト2と底面摺動板1bとの間に硬貨3を挟持しながら、当該搬送ベルト2の延在方向に向かって硬貨3を搬送させるように構成されている。
【0012】
また、上記底面摺動板1bの一側部には、当該底面摺動板1bの縁部に沿うようにしてガイド4が立設されているとともに、そのガイド4に対して硬貨3を押し付ける硬貨規制レバー5が、上記硬貨搬送路21の折れ曲がり部分においてピン5aによって回動可能に軸支されている。上記硬貨規制レバー5は、前記底面摺動板1b上に支持されながら送られてくる硬貨3を、図示を省略したバネ等の付勢手段によって前記ガイド4側に押し付けるように構成されていて、当該硬貨規制レバー5が配置された部位から搬送方向下流側に向かって送り出された硬貨3は、上記ガイド4に対して外周面部を接触させた状態を維持しながら順次搬送されるようになっている。
【0013】
さらに、上記硬貨搬送路1の下流側部分には、硬貨3の表面に形成された凹凸形状及び材質を検出するためのマルチ型磁気センサ装置10が取り付けられている。すなわち、このマルチ型磁気センサ装置10は、特に図2に示されているように、被検出体としての硬貨3の底面側に対向配置されて当該硬貨3の表面形状を検出する磁気式形状検出センサ11と、上記硬貨3を挟み込むように配置されて当該硬貨3の材質を検出する磁気式材質検出センサ12とを、上記硬貨3の搬送方向と直交する方向に並列するように有している。
【0014】
そのうちの磁気式形状検出センサ11は、例えば図3に示されているような磁束変化を利用した渦電流損失型の磁気センサから構成されていて、一対の検出用磁極部111,112が、凹凸形状を有する硬貨3の識別面3aと対向しつつ相対移動するように配置されており、上記各検出用磁極部111,112には、検出用コイル114,115がそれぞれ巻回されている。また、上記一対の検出用磁極部111,112の間部分に配置された励磁用磁極部116には、励磁用コイル117が巻回されていて、その励磁用コイル117に対しては、図4に示された交流電源11aから、常時、一定の正弦波形を有する凹凸検出用の高周波励磁信号が供給されている。そして、その励磁信号に対応した磁束φ1,φ2が、当該励磁用磁極部116から前記各検出用磁極部111,112にかけてそれぞれ形成され、それらの各磁束φ1,φ2の変化に対応した検出信号が、上記各検出用コイル114,115からそれぞれ出力されるようになっている。
【0015】
すなわち、上記硬貨3の識別面3aには、上述した各磁束φ1,φ2に基づいて渦電流が発生し、それらの渦電流が磁束φ1,φ2を制限するように作用するが、その渦電流は、上記硬貨3の表面である識別面3aと、両検出用磁極部111,112との対向隙間の大きさに対応している。つまり、上記硬貨3の識別面3aが平坦面である場合には、上記両検出用磁極部111,112の双方が、共に識別面3aと同一の対向隙間となっているため、上述した渦電流による磁束φ1,φ2の制限量も同一となり、両検出用コイル114,115からは同一大きさの出力信号が得られる。これら検出用磁極部111,112側の検出用コイル114,115からの出力の各々は、それぞれ検波器11b,11c、及びローパスフィルター111d,11eを通して差動増幅器11fに入力され、当該差動増幅器11fから差動出力を得るように構成されている。上述した硬貨3の識別面3aが平坦面である場合には、上記両検出用コイル114,115による差動出力が0状態のままに維持される。
【0016】
一方、上記硬貨3の識別面3aが凹凸形状に変化している場合には、相対移動させると、上記識別面3aの凹凸形状に対応して、検出用磁極部111,112と識別面3aとの対向隙間の寸法が連続的に減少・拡大するように変化し、その対向隙間量の変化に伴って識別面3aに生じる渦電流も変化する。より具体的には、図3中の右側に先行する検出用磁極部111が、識別面3aの凸形状部分3bに対向した状態となっているときには、検出用磁極部111との対向隙間が狭くなって渦電流が大きくなり、その分、検出用コイル114からの出力が低下することとなる。一方、そのとき、図示左側の後行の検出用磁極部112では、識別面3aとの対向隙間が広い状態となっていることから、渦電流は小さく、検出用コイル115は大きい出力となる。その結果、上記両検出用コイル114,115からの差動出力は減少・増大することとなって凹凸部を含む出力波形が得られ、この差動出力波形に基づいて上記硬貨3の識別面3aに凸形状部分3bが存在していることが検出される。
【0017】
すなわち、このようにして上記検出用コイル114,115から得られる検出信号は、例えば図5(a),(b)に示されているように、硬貨3の識別面3aの凹凸形状にそれぞれ対応したものとなっているが、これらの両検出信号どうしは互いに時間ズレしており、上述した一方側の検出用磁極部111と、他方側の検出用磁極部112との間に形成される2箇所の感磁部どうしの間の間隔D(図3参照)に相当する分だけズレした状態で得られる。そして、これら両検出信号どうしの各時間ごとの差に相当する差動出力信号が、上述した差動増幅器11fから図5(c)のように得られる。得られた差動出力信号は、予め記憶されたマスターパターン(基準形状情報)と比較され、その比較結果に基づいて、検出すべき硬貨の金種及び真偽が判別されるようになっている。
【0018】
一方、磁気式材質検出センサ12は、例えば図6に示されているような磁束変化を利用した渦電流損失型の磁気センサから構成されていて、その磁気センサを構成している略C型の磁気コアSCには、検出すべき硬貨3の表裏に対向するようにして一対の対向磁極部121,121が設けられているとともに、それら一対の対向磁極部121,121どうしが基体コア部122により略C形状をなすように一体的に連結されている。また、上記一対の対向磁極部121,121には、励磁コイル123,123がそれぞれ巻回されているとともに、前記基体コア部122の略中央部分には検出コイル124が巻回されている。そして、上記励磁コイル123,123に通電したときに、上記一対の対向磁極部121,121どうしの間に掛け渡されるようにして発生する低周波の磁束が、前記被検出体としての硬貨3に対して磁気的に作用することによって当該硬貨3に渦電流を生じさせ、その渦電流の発生による磁束の変化を前記検出コイル124により検出して、当該検出コイル124からの検出信号に基づいて、前記被検出体としての硬貨3の材質を検出するようにしている。
【0019】
すなわち、図7に示されているような励磁回路125から励磁コイル123,123に通電したときに発生する磁束φが、前記被検出体としての硬貨3に対して磁気的に作用することによって当該硬貨3に渦電流を生じさせ、その渦電流の発生による磁束φの変化を、前記検出コイル124により検出している。その検出コイル124からの検出信号は、検出回路126に受けられ、当該検出回路126において、上記被検出体としての硬貨3の特に材質が検出されるようになっている。
【0020】
このとき、上述した検出回路126は、例えば図8に示されているような回路構成になされている。すなわち、図8に示された交流電源(発振器)126aからは、一定の正弦波形を有する励磁信号が、上述した励磁コイル123,123にそれぞれ供給されているとともに、上記検出コイル124からの検出信号は、検波器126b及びアンプ126cを通して減算増幅器126dに入力される。この減算増幅器126dは、上記検出信号と、オフセット用電源126eからの出力との間の差動出力信号を得るように構成されており、その差動出力信号に基づいて、硬貨Cの材質が検出されるようになっている。
【0021】
また、本実施形態においては、上述した磁気式形状検出センサ11により出力される硬貨3の表面形状に対応する凹凸パターン検出信号の異常部分を、磁気式材質検出センサ12により出力される材質検出信号の波形異常部分に基づいて検出する測定異常検出手段が設けられている。すなわち、上述した磁気式形状検出センサ11及び磁気式材質検出センサ12からの各検出信号が、例えば図9中のA線及びB線で示されているように得られる。これらの両検出信号は、図示のような時間関数による信号となっているものであるが、特に、上述した磁気式材質検出センサ12からの材質検出信号は、被検出体としての硬貨3の体積や凹凸形状に左右されない山形状の信号になっている。従って、被検出体としての硬貨3の搬送移動速度が何らかの原因によって変動した場合には、その変動部分に対応する波形が、図10中のB’で示されているような明瞭に変形した形状として現れる。従って、その硬貨3の搬送移動速度の変動による波形異常部分B’が、測定異常検出手段によって直ちに把握されるようになっている。
【0022】
そして、上述した磁気式形状検出センサ11からの凹凸パターン検出信号Aにも、上記磁気式材質検出センサ12からの材質出力信号により把握された搬送移動速度の変動部分B’に対応する異常部分A’を含むことが、前記測定異常検出手段によって迅速かつ正確に把握され、硬貨の形状検出が容易かつ高精度に行われるようになっている。
【0023】
より具体的には、例えば搬送移動速度の変動部分による異常部分A’を含む前記磁気式形状検出センサ11からの凹凸パターン検出信号Aの全体を排除したり、磁気式形状検出センサ11からの凹凸パターン検出信号Aの異常部分A’のみを排除したり、磁気式形状検出センサ11からの凹凸パターン検出信号Aの異常部分A’を適宜に補正したりすることなどによって、被検出体としての硬貨3の形状検出が容易かつ高精度に行われるようになっている。
【0024】
また、本実施形態では、被検出体としての硬貨3の表面形状に対応する凹凸パターン検出信号は、パターンマッチング手法を用いて基準形状情報と比較するようにしており、本発明は、そのようなパターンマッチング手法と組み合わせて用いることによって硬貨3の表面形状が、極めて高精度かつ迅速に検出されるようになっている。
【0025】
以上、本発明者によってなされた発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることはいうまでもない。
【0026】
例えば、上述した実施形態では、被検出体として硬貨を採用したものであるが、本発明は、それに限定されることなく、磁気カード等との多種多様な被検出体に対しても同様に適用する個とが可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1記載のマルチ型磁気センサ装置は、磁気式形状検出センサにより得た被検出体の表面形状に対応する凹凸パターン検出信号の異常部分を、磁気式材質検出センサの材質検出信号の波形異常部分に基づいて検出する測定異常検出手段を備え、その磁気式材質検出センサからの出力波形が被検出体の搬送移動速度の変動部分に対応して明瞭な変形形状となることを利用して、前記磁気式形状検出センサからの検出信号における搬送移動速度の変動部分に対応する異常部分を迅速かつ正確に把握可能としたものであるから、簡易な構成よって被検出体の形状検出を高精度に行うことができ、マルチ型磁気センサ装置の信頼性及び有用性を大幅に向上させることができる。
【0028】
例えば、請求項2にかかるマルチ型磁気センサ装置のように、磁気式材質検出センサからの材質検出信号により把握された搬送移動速度の変動に対応する異常部分を含む磁気式形状検出センサからの凹凸パターン検出信号の全体を排除するか、請求項3にかかるマルチ型磁気センサ装置のように、磁気式材質検出センサからの材質検出信号により把握された搬送移動速度の変動に対応する異常部分を含む磁気式形状検出センサからの凹凸パターン検出信号の異常部分のみを排除するか、請求項4にかかるマルチ型磁気センサ装置のように、磁気式材質検出センサ12からの材質検出信号により把握された搬送移動速度の変動に対応する異常部分を含む磁気式形状検出センサ11からの凹凸パターン検出信号の異常部分を適宜に補正することなどによって、被検出体の形状検出を容易かつ高精度に行うことができ、上述した効果を確実に得ることができる。
【0029】
また、本願の請求項5にかかるマルチ型磁気センサ装置は、上記請求項1における被検出体の表面形状に対応する凹凸パターン検出信号は、パターンマッチング手法を用いて基準形状情報と比較するようにしており、そのようなパターンマッチング手法と組み合わせて用いることによって被検出体の高精度な形状検出が迅速に行われるようにしたものであるから、上述した効果を確実に得ることができる。
【0030】
さらに、本願の請求項6にかかる被検出体の測定異常判定方法は、磁気式形状検出センサにより得た被検出体の表面形状に対応する凹凸パターン検出信号の異常部分を、磁気式材質検出センサの材質検出信号の波形異常部分に基づいて検出し、磁気式材質検出センサからの出力波形が被検出体の搬送移動速度の変動部分に対応して明瞭な変形形状となることを利用して、磁気式形状検出センサからの凹凸パターン検出信号における搬送移動速度の変動部分に対応する異常部分を迅速かつ正確に把握可能としたものであるから、簡易な構成よって被検出体の形状検出を高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】硬貨識別装置に設けられている硬貨搬送路の概略構造を表した平面説明図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるマルチ型磁気センサ装置の外観構造を表した正面説明図である。
【図3】図2に表した硬貨識別装置に用いられている磁気式形状検出センサ11の構造例を表した模式的側面説明図である。
【図4】図3に示されている磁気式形状検出センサ11硬貨識別装置に設けられた検出回路の一例を表したブロック図である。
【図5】図3に示されている磁気式形状検出センサ11の両検出用コイルからの検出信号の差動出力信号の一例を表した線図である。
【図6】図2に示されている硬貨識別装置に用いられている磁気式材質検出センサ12の構造例を表した模式的側面説明図である。
【図7】図6に示されている磁気式材質検出センサ12に設けられた検出回路の一例を表したブロック図である。
【図8】図7に示されている磁気式材質検出センサ12に付設された回路の構成を概略的に表したブロック線図である。
【図9】正常走行時における磁気式形状検出センサ11及び磁気式材質検出センサ12からの検出出力信号の一例を表した線図である。
【図10】異常走行状態を含む場合における磁気式形状検出センサ11及び磁気式材質検出センサ12からの検出出力信号の一例を表した線図である。
【符号の説明】
3 硬貨
3a 識別面
114,115 検出用コイル(検出用磁極部)
7 励磁用コイル(励磁用磁極部)
D 感磁部間隔
21 硬貨搬送路
25 コインセンサ
31 交流電源(発振器)
36 差動増幅器
41 加算手段
42 比較手段
R1 直流抵抗
43 インピーダンス変化検出手段
Claims (6)
- 被検出体の表面形状を検出する磁気式形状検出センサと、上記被検出体の材質を検出する磁気式材質検出センサとを備えたマルチ型磁気センサ装置であって、
上記磁気式形状検出センサにより出力される前記被検出体の表面形状に対応する凹凸パターン検出信号の異常部分を、前記磁気式材質検出センサにより出力される材質検出信号の波形異常部分に基づいて検出する測定異常検出手段を備えていることを特徴とするマルチ型磁気センサ装置。 - 前記測定異常検出手段は、前記磁気式材質検出センサによる材質検出信号の波形異常部分を検出したときの前記凹凸パターン検出信号を排除するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のマルチ型磁気センサ装置。
- 前記測定異常検出手段は、前記磁気式材質検出センサによる材質検出信号の波形異常部分を検出したときに、前記凹凸パターン検出信号の異常部分を排除するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のマルチ型磁気センサ装置。
- 前記測定異常検出手段は、前記磁気式材質検出センサによる材質検出信号の波形異常部分を検出したときに、前記凹凸パターン検出信号の異常部分を補正するように構成されていることを特徴とする請求項1記載のマルチ型磁気センサ装置。
- 前記被検出体の表面形状に対応する凹凸パターン検出信号は、パターンマッチング手法を用いて基準形状情報と比較されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のマルチ型磁気センサ装置。
- 被検出体の表面形状を磁気式形状検出センサにより検出するとともに、その磁気式形状検出センサによる凹凸パターン検出信号における異常部分を判定する被検出体の測定異常判定方法であって、
上記被検出体の材質を検出する磁気式材質検出センサを上記磁気式形状検出センサに並設しておき、上記磁気式形状検出センサにより前記被検出体の表面形状に対応して出力される凹凸パターン検出信号の異常部分を、前記磁気式材質検出センサによる材質検出信号の波形異常部分に基づいて検出するようにしたことを特徴とする被検出体の測定異常判定方法。
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