JP2004124030A - 多層干渉性顔料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多層干渉性顔料は、高屈折率を有する金属酸化物と、低屈折率を有する金属酸化物を交互に積層させて被覆されている透明担体材料からなり、コアとなる高屈折率の金属酸化物が天然雲母、合成雲母、各種フイロケイ酸塩、薄片状ガラス、塩基性炭酸鉛、ビスマスオキシクロライド、または薄片状シリカから選択された薄片状担体材料に被覆された後剥離された薄膜であると共に、少なくともコアとなる金属酸化物の屈折率が2.0〜2.7であり、且つ、厚さが0.05〜0.6μmの範囲とする。
【選択図】図1
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、低屈折率を有する金属酸化物および高屈折率を有する金属酸化物の交互層で被覆され、鮮やかな干渉色で発色した多層干渉性顔料に関するものであり、具体的には、薄片状の基質表面にチタン組成物を被覆し、更に、この被覆チタン組成物を剥離し、剥離したチタン組成物を基質としてこの表面に低屈折率を有する金属酸化物と高屈折率を有する金属酸化物とを交互層で被覆した新規な多層干渉性顔料およびその製法に関する。より、詳細には、塗料、化粧品、インキ、プラスチック等の光機能性材料として有益な多層干渉性顔料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
先ず、本発明者らは先に、大きさが50〜800μmの薄片状基質の表面上に厚さ0.05〜0.6μmのチタン組成物の被覆層を形成し、該被覆組成物からチタン組成物の被覆層を剥離して形成される剥離組成物が高虹彩色酸化チタンであり、また、剥離組成物が、70〜95重量%の二酸化チタンまたは水酸化チタンである高虹彩色酸化チタンを発明している。
【0003】
上記の高虹彩色酸化チタンは、干渉色による色彩が認められ得る新規で卓越した光輝感、色の鮮明度を発現し、しかも余色が濁らないという特性を有している.
【0004】
一方、屈折率の異なる金属酸化物を交互に積層させる干渉性顔料が知られている。例えば、特公平7−759号では、金属箔粉末等の干渉色を得ることができない顔料に対抗して、有彩色の光輝性美観を得るために、表面が金属光沢を有する平板状の微細粉末の表面に、透明で平滑な二酸化チタンの薄膜と同様に透明で平滑な二酸化ケイ素の薄膜とを交互に二層以上六層積層形成してなる有彩色の光輝性パウダーが開示されている。
【0005】
また、特開平7−246366号では、顔料を使わず単体だけで発色させるために基材としてガラスフレークを用いてこれに高屈折率材に二酸化チタンと低屈折率材に二酸化ケイ素を用いて二酸化チタンと二酸化ケイ素とを交互に積層させて光干渉材およびそれを含有する塗料が開示されている。更に、特表2000−501774号および特表2000−517374号では、低屈折率と高屈折率の金属酸化物の交互層が被覆された透明キャリヤ材料からなり、この低屈折率の金属酸化物層が光学的に不活性である多層干渉顔料が開示されている。
【0006】
ところが、上記の顔料の場合、例えば、「各層の膜厚は、目的とする光輝の色彩に応じて調製する。この各膜厚は、原則として膜の屈折率×幾何学的厚み=求める有彩色の中心波長の4分の1厚さまたは、その整数倍の厚さとする」、「高屈折率の金属酸化物の厚さは、所望の干渉色に必要な光学的厚さの整数倍である。低屈折率の厚さは1から20nmである」等の記載があるものの、コアとなる平板状の微細粉末、あるいは、透明なキャリヤ材料にはガラスフレーク、マイカキャリヤ材料には、雲母、他のフィロケイ酸塩、薄片状二酸化ケイ素等の厚膜で且つ低透過率の材料が使用されていて、このため、多層顔料全体としてのエッジ効果等が影響して鮮明な干渉色を得ることが出来ない等の問題があった。
【0007】
ところで、元来、色彩は人間にとって生理的、心理的に清潔感、清涼感、安心感を与える非常に重要な色調である。現に、色彩が人間に及ぼし得る生理的、心理的な効果を活用して安全で能率的な作業環境や健康で快適な生活環境を創世する手法であり、また、特定の機能を有する高彩度顔料粉体を得ることは産業上様々な分野において大いに意義のあることである。
【0008】
通常、物質に色彩を付与させるには、各種の着色顔料が用いられる。この着色顔料は、光の吸収や散乱などの現象を利用して好みの色彩を施すが、着色顔料のみでは、近年の色彩に対する多様な感性と意匠の要望には対応することができない。また、この着色顔料に加えて光の干渉現象を利用した顔料である二酸化チタン被覆雲母を代表とした真珠光沢顔料が提供されている。この真珠顔料の大きな特徴は、角度によって微妙に色調が変化する、所謂、フリップフロップ効果を付与し得ることである。
【0009】
この種の真珠光沢顔料は、化粧料、塗料、粘着材、印刷インキ、樹脂練り込み等の各種の分野において利用されているが、以下のような欠点が指摘されている。例えば、真珠光沢顔料は、天然雲母や合成雲母、アルミナ、シリカ、ケイ酸ガラス、ホウ酸ガラスなどの薄片状乃至板状の粒子をコアとし、これに二酸化チタンを被覆し、その二酸化チタンの被覆量をコントロールすることによって様々な干渉色を持った真珠光沢を呈している。このために、このような真珠光沢顔料を化粧料や、塗料、印刷インキ、粘着剤、樹脂練り込み等に外用組成物の顔料として用いると、粒子の厚さが厚いために超薄膜としての膜厚制御ができないことや、粒子エッジの光散乱が強くなるために、フリップフロップ効果による意匠効果に欠けるなどの欠点がある。
【0010】
一方、屈折率の異なる金属酸化物を交互に積層させる干渉性顔料については、例えば、前記の特公平7−759号では、金属箔粉末等の干渉色を得ることが出来ない顔料に対抗して、有彩色の光輝性美観を得るために、表面が金属光沢を有する平板状の微細粉末の表面に、透明で平滑な二酸化チタンの薄膜と同様に透明で平滑な二酸化ケイ素の薄膜とを交互に二層以上六層積層形成してなる有彩色の光輝性パウダーが開示されているが、具体的には、厚みが5μm、粒径が60〜120μmのガラスフレークに厚さ0.15μmのニツケルメッキを施し、このニッケルメッキによって銀色の光輝性を持った粉末を基材粉末として用いると共に、この粉末を、イソプロピルアルコールに分散させ、これにテトラエトキシシランを加え、更に、水を加えて60℃に加熱し、60分間撹拌し続けた後、粉末を濾過、洗浄し120℃で乾燥してSiO2としている。そして、この粉末の表面に酸化チタンの被膜を形成するために、テトライソプロポキシチタンを加えて、更に、水を加えて60℃に加熱し、60分間撹拌した後、粉末を濾過、洗浄し、200℃で80分間熱処理した後、得られた粉末を同様な方法でSiO2の膜を形成し、200℃で熱処理して基材粉末の表面にSiO2/TiO2/SiO2の三層膜を形成する。また、基材粉末およびテトラエトキシシランとテトライソプロポキシチタンとを用いて上述と同様な方法でSiO2/TiO2/SiO2/TiO2/SiO2の順で被膜を形成している。
【0011】
ところが、明細書中には、「このようにして得られた粉末は鮮やかな青色を呈していた」等の記載があるものの、実際には、基材粉末(コア)があまりにも厚いためにエッジ効果が影響して鮮明な干渉色を得ることが出来ない、また、粉末が厚いために利用する用途が限られる等の問題があった。
【0012】
また、その他の例として、特開平7−246366号の顔料は、ガラスフレークを基材として、これを水に分散させてチタン塩とスズ塩を加えて、加水分解し、生成する酸化チタン水和物をガラスフレーク表面に沈着させている。
【0013】
この顔料は、生成物を水洗し乾燥させ、800〜1000℃で焼成し、酸化チタンとし、更に、この酸化チタンが沈着したガラスフレークを水に分散させ、これにテトラエトキシシラン、塩酸、エタノールを加えて、加水分解させている。
【0014】
この発明は、この際、水和物を生成させ、続いで重縮合反応が起こり、シリカがフレーク表面に沈着することを利用しているもので、「上記のステップ操作を繰り返して、ガラスフレーク表面にTiO2/SiO2/TiO2/SiO2/TiO2の層を沈着させ、さらに沈着の厚さを略1/4波長の奇数倍でコントロールすることにより光干渉材が得られる」との記載があるものの、基材がガラスフレークであるために、光干渉材の厚さが厚くなりエッジ効果が影響して鮮明な干渉色を得ることが出来ず、また、厚いために利用する用途が限られる等の問題があった。
【0015】
さらに、他の例として特表2000−501774号および特表2000−517374号では、雲母、各種フイロケイ酸塩、薄片状ガラス、またはWO93/08237に記載の技術により連続ベルト上で水ガラス溶液を固化および加水分解することにより調製される薄片状二酸化ケイ素等を透明担体材料として用いて、これに、例えば、塩酸水溶液を加えてpH1.8に調節し、懸濁液を75℃に撹拌しながら加熱して、塩化スズ溶液と苛性ソーダ溶液とを加えて酸化スズを被覆している。
【0016】
この顔料は、さらに、四塩化チタン溶液と苛性ソーダ水溶液とを加えて、酸化チタンを被覆し緑色の干渉色に達したら被覆を中断し、これに苛性ソーダ水溶液を加えてpH8.0に調節する。これに、水ガラス溶液を加えて二酸化ケイ素を被覆する、その後、塩酸水溶液を加えてpH1.8に調節して四塩化チタン溶液と苛性ソーダ溶液とを加えて第2の酸化チタン層を被覆する。緑色の干渉色に達したら被覆を中断し、水洗、濾過、乾燥し、850℃で30分間焼成する。
【0017】
このようにして得られた顔料は、「強い緑色の干渉色を有する」との記載があるものの、透明担体材料を用いるために、光干渉材の厚さが厚くなりエッジ効果が影響して鮮明な干渉色を得ることが出来ない、また、厚いために利用する用途が限られる等の問題があった。
【0018】
また、特表2000−515928号では、連続ベルト上に熱加水分解性チタン化合物の水性溶液をアプリケーターで塗布させ、次いで加水分解し、生成する塗膜を剥離し、生成する酸化チタンを担体材料として、これに、上述の特表2000−501774号と同じ方法で酸化ケイ素と酸化チタンとを交互に被覆することで、TiO2/SiO2/TiO2/SiO2/TiO2からなる5層系を得ている。
【0019】
ところが、「黄色干渉色や青色干渉色を有する」との記載があるものの、酸化チタンの担体材料としての厚さの制御がアプリケーターでは出来ない。そのために、粒子の厚さが100nmと厚く、しかも10nm以内の制御が出来ない。このようなことから担体材料の干渉色制御ができない、また、粒子の厚さが厚いためにエッジ効果が影響して鮮明な干渉色を得ることが出来ない。更に、ベルトによる製造であるために生産性も悪い等多くの問題があった。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題に鑑みて、色調がより鮮明で且つ干渉色の彩度が高く、粒子感のない滑らかな発色が可能な多層干渉性顔料を提供するものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記問題点を解決するため鋭意研究の結果、高屈折率を有する金属酸化物と低屈折率を有する金属酸化物を交互に積層させて被覆されている透明担体材料からなり、コアとなる高屈折率を有する金属酸化物が薄片状担体材料に被覆された後剥離された薄膜であることにとってこの課題を解消する新規な多層干渉性顔料を得た。
【0022】
より具体的には、本発明の多層干渉性顔料は、高屈折率を有する金属酸化物と、低屈折率を有する金属酸化物を交互に積層させて被覆されている透明担体材料からなる。
この内、少なくともコアとなる金属酸化物は、天然雲母、合成雲母、各種フイロケイ酸塩、薄片状ガラス、塩基性炭酸鉛、ビスマスオキシクロライド、または薄片状シリカから選択された薄片状担体材料に被覆された後剥離された薄膜であって、屈折率が2.0〜2.7の高屈折率を有し、且つ厚さが0.05〜0.7μmの範囲である。
一方、低屈折率を有する金属酸化物は、SiO2,Al2O3,AlOOH,BaO,BaSO4あるいはその混合物であり、前記高屈折率を有する金属酸化物と、低屈折率を有する金属酸化物の屈折率の差は少なくとも0.3〜1.2であり、多層顔料の透過率は40%以下で積層されている。
【0023】
図1に示すように、高屈折率層(屈折率n1)と低屈折率(屈折率n2)とが交互に、疎、密、疎、密、疎で積層されている場合、光が密から疎に行くときに反射する光a、cについては光の位相は変化しないが、光が疎から密に行くときに反射する光のbについては光の位相が半波長変化する。そこで、これらの位相を揃えてやれば、例えばaとbの光は干渉する。ここで、aとbの光の位相のずれを考えるに屈折率n2の低屈折率の厚さをχとすると、bの光学的距離については2χ・n2となるが、光bは反射した際に波長(λ)の位相が半波長変化しているので、実際には(2t+(1/2)λ)・n2になる。一方、aの光部分は位相が変化していないので、bの光は、(2t+(1/2)λ)・n2 二mλ(m=1、2、3、・・・・・)のとき、aの光と強め合う。これに、tについて解くと、t=(2m−1)λ/c4n2)(m=1、2、3、・・・・・)となり、bの光は、低屈折率層(屈折率n2)がλ/(4n2)の奇数倍の厚さの時に光りaと強め合う。
本発明は、このような干渉の原理を応用したものである。
【0024】
図2は、本発明の多層干渉材の断面図を示している。そのAの部分を拡大して示したのが図2である。図2から判るように、薄片状高屈折率基材層1に低屈折率材層2と高屈折率材層1とを交互に、積層し、透過率を40%以下としたものである。例えば図3に示す5層の場合、入射光のうち高屈折率基材層1及びその直下の界面で反射する光aと、低屈折率材層2及び高屈折率基材層1との界面で反射する光bとの干渉作用や、高屈折率材層1及び低屈折率材層2間の界面で反射する光cと、低屈折率材層2及び高屈折率材層1間の界面で反射する光dとの干渉作用や、高屈折率材層1及び低屈折率材層2間の界面で反射する光eと空気及び高屈折率材層1間の界面で反射する光5との干渉作用が生ずる。このような積層構造により、全体の光線反射率を簡単な構造により有効に高めることができ、濃い干渉光が発色できる。さらに高屈折率材層1の厚さを制御することによって干渉光に発色色調が変えられる。すなわち、層厚と積層数を制御して狙った色調以外の色が混ざらない鮮やかな発色が得られる。
積層体の反射率Rは積層する膜層の数2p+1(p=1、2、・・・・)により異なり、次式で表される。
(数1)
R=[{1−(nh/ne)2pnh}/{1+(nh/ne)2pnh}]2
nh:高屈折率材層の屈折率
ne:低屈折率剤層の屈折率
多層膜の層数:2p+1(p=1,2,…)
【0025】
例えばnhを2.5,neを1.5とし、5層に積層した場合、R=約88%、9層を積層した場合、R=約98%となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0027】
(コア高屈折率)
本発明に高屈折率の金属酸化物は、先ず、薄片状基質の表面にアナターゼ型もしくはルチル型酸化チタンをベースとする金属酸化物および又は金属水酸化物を含む被覆層を、光沢が得られる0.05〜0.6μmの特定の厚さまで被覆した組成物を形成する。
【0028】
薄片状基質は、平滑性に富み、その粒子の板径の大きさは、レーザー径で50〜800μmの範囲が好ましい。50μm以下では剥離した酸化チタン又は水酸化チタンの粒子径が細かすぎて、干渉光沢が十分に発揮できても酸化チタン又は水酸化チタンが剥離し難い。また、粒子の板径の大きさが、800μm以上になると、酸化チタン又は水酸化チタンの干渉光沢は十分に発揮できるが、剥離した粒子の機械的強度に弱いため利用する用途が限定される。
【0029】
最も好適には、100〜700μmの範囲である。100μm以下の基質を用いると、後述する剥離組成物の粒子が細かすぎて高虹彩色の干渉色の発色が弱くなる。また、基質の粒子径が700μmより大きくなると、剥離組成物の粒子による高虹彩色の干渉色の発色は強くなるが、粒子にザラツキ感が出て好ましくない。更に100〜300μmとすると、光沢が強く剥離が容易である。
【0030】
具体的に、図5と図6にコアを製造する工程概念図を示した。そして、この粒子径の範囲に入りやすい剥片状基質3としては、天然雲母、合成雲母、ガラスフレーク、シリカフレーク、アルミナフレーク、硫酸バリウム等が挙げられる。シリカフレークは、その形状、および表面の平滑性の度合いを制御することが比較的容易であり、更に、その表面に均一な被覆層4を、光沢が得られる特定の厚さまで被覆させることも比較的容易である等の点において薄片状基質3として選択するには好ましい素材である。
【0031】
薄片状基質の粒子の厚さは特に規定されないが、0.1〜10μmの範囲が好ましい。粒子の厚さが0.1μm以下の場合、基質の周辺が丸くカールし、被覆した酸化チタン又は水酸化チタンの干渉光沢が十分に発揮できない。また、粒子の厚さが10μm以上になると、粒子の平面と厚さ方向とに被覆した酸化チタン又は水酸化チタンが平面と厚さ方向とで剥離した酸化チタン又は水酸化チタンの干渉色が異なるために、全体として干渉光沢が不十分になる。
【0032】
被覆層は、酸化チタン又は水酸化チタン組成物を含む層であり、光沢が得られる特定の厚さまで被覆させる。これには、硫酸チタニルや四塩化チタンの可溶性水溶液又はチタンアルコラートの加水分解から得ることが好ましい。また、被覆層4は、シリカ及びまたはアルミナ、Zr,Ce,Zn等の金属酸化物の補強剤を含むことにより、耐光性と剥離組成物の粉砕強度を向上させることができる。
【0033】
被覆層である酸化チタン又は水酸化チタン組成物の層の厚さが0.05μm以下では剥離組成物の粒子が細かすぎて干渉の色が悪く光輝性がない又、厚さが0.6μm以上になると剥離組成物の粒子の厚さが厚すぎてエッジによる光散乱が多くなり干渉の色が悪く光輝性が悪くなる。したがって、コアとなる金属酸化物の厚さは、好ましくは0.1〜0.5μmである。
【0034】
被覆した粒子の大きさは、0.01〜0.05μm、好ましくは0.02〜0.04μm集合体であるが、基質の粒子の大きさ300μmの時に0.02μmの酸化チタン又は水酸化チタン組成物が最も剥離しやすい。基質の粒子の大きさが、800μmでは、被覆層の粒子は0.01μmと細かい粒子径でも剥離できるが、基質3の粒子径が100μm以下の大きさになると、被覆層の粒子径も0.05μmの大きさにしないと剥離することができない。即ち、基質の粒子径と被覆層4の粒子径とは逆比例の関係にある。
【0035】
本発明は、先ず、上記の如く被覆組成物を形成し、次に、この被覆組成物から被覆層を剥離し、これによって剥離組成物を最終的に得る。即ち、本発明に係わる高屈折率の金属酸化物は、この被覆組成物の被覆層である金属酸化物又は金属水酸化物を薄片状基質の表面から剥離して形成された剥離組成物である。
【0036】
剥片状基質は、市販の薄片状粉体の利用も可能であるが、天然雲母、合成雲母、硫酸バリウム、シリカフレーク、アルミナフレーク等が好ましい。例えば、インドのチップ状天然雲母を大気中で焼成し、この焼成チップ状天然雲母を解砕し、分級してこれをえることができる。
【0037】
また、剥離前に予め水ガラスや有機シリカ、可溶性アルミニウム塩等を用いて、シリカやアルミナ化合物で表面を更に被覆した後、被覆組成物を剥離することによって、耐光性がよく、しかもカールしない剥離組成物を得ることができる。被覆組成物は、上記の如く、先ず、薄片状基質の表面に酸化チタン又は水酸化チタン組成物を光沢が得られる特定の厚さまで被覆させて被覆層4を形成する。これには、硫酸チタニルや四塩化チタンの可溶性水溶液またはチタンアルコラートの加水分解から得ることが好ましい。
【0038】
剥離組成物を得るに際しては、予めこの被覆組成物を300〜800℃で焼成し、アルカリ中にて薄片状基質から被覆層を剥離することにより、カールが無く平滑性に優れた剥離組成物を得ることができる。
【0039】
これにより、剥離組成物の光沢と干渉色が向上する。焼成温度が300℃より低い場合は、何れも、剥離組成物の粒子がカールし、800℃より高い場合は、剥離組成物の酸化チタンが凝集し、剥離後の光沢と干渉色が悪くなる。
【0040】
剥離組成物は、濾過、水洗、乾燥後焼成し、光沢保持、カールの防止を行う。また、その他、剥離後の後処理としては、酸化鉄、コバルト、ニッケル、リチウム、ナトリウム、カリウム、着色無機化合物でコートしたり、有機顔料をコートして有機顔料着色物とすることについては、各種の用途、実施態様により公知により実現可能である。
このようにして得られた剥離組成物である高屈折率の金属酸化物は、0.05〜0.6μm粒子の厚みが選択されている。これは、虹彩色を呈する幾何学的膜厚と光学的膜厚(膜厚×屈折率)の関係で説明すると、概ね、幾何学的厚さが0.05〜0.5μmで、光学的厚さが0.1〜0.9μmの範囲で厚さを選択することが好ましいことを示している。
【0041】
組成物が薄すぎると、所望する干渉色を生ずることが困難になり、好ましくない。逆に、組成物が厚すぎると、干渉色強度が厚みの散乱により干渉の強度が低下するため、好ましくない。
【0042】
次に、上記の如く形成した高屈折率材層をコアとし、これにSiO2,Al2O3,AlOOH,BaO,BaSO4あるいはその混合物からなる低屈折率を有する金属酸化物を被覆する。
【0043】
図4に製造方法の概念図を示す。これは最初にコアとなる高屈折率を有する金属酸化物を薄片状担体材料に、例えば酸化チタンを被覆した後これを剥離して製造するものである。
【0044】
次に低屈折率を有する金属酸化物を剥離した酸化チタンに被覆する。低屈折率がシリカの場合は、剥離した酸化チタンを水に分散させ、苛性ソーダーでpHを8.8にし、この分散液を撹拌しながら80℃に加熱し、加水分解させて、水和物を被覆させる。続いて重縮合反応が起こり、シリカが酸化チタンの表面に被覆する。生成物を濾過水洗した。更にこれに酸化チタンを被覆する。酸化チタンは四塩化チタンの水溶液にスズ塩を加えて、加水分解し、生成する酸化チタン水和物をシリカ表面に被覆させる。四塩化チタンの量で被覆する膜厚を制御する。生成物を濾過、水洗、乾燥させる。乾燥粉体を700〜1000℃で焼成し、酸化チタンとする。ここで生成された粉体は、コアが酸化チタンでその表面がシリカ層と酸化チタン層で被覆された積層体が得られる。次にこの積層体に上記と同様な製法でシリカを被覆させる。また、更にこれに上記と同様な製法で酸化チタンを被覆させる。このようにして生成したのが図2の多層干渉性顔料の断面図である。
【0045】
上述のごとく、交互に積層される高屈折材層1と低屈折材層2の積層数と層膜の厚さを制御することにより、積層顔料の透過率(反射率)特定の干渉色の発色が決定される。
【0046】
以下具体的な製造例について記載する。尚、これらの製造例により本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0047】
(製造例1)
コアとなる高屈折率金属酸化物の剥離薄膜層の製法について詳述する。レーザー径が50〜200μm,平均径140μmのガラスフレーク(日本板硝子社製RCF140)1kgを40リットルの琺瑯引き容器に入れ、10%硫酸チタニル水溶液18リットルと、0.06モル/リットルの硫酸水溶液5リットル、これに尿素110g、更に上水10リットルを加えて、プロペラ撹拌しながら、加熱し90℃以上の温度で6時間加水分解した。放冷後、デカンテーションを繰返して水洗した。水洗後10%苛性ソーダー水溶液と上水30リットルを加えて、液のpHを8.8として加熱し、プロペラ撹拌しながら80℃とした。PHと温度を保持しながら1モル/リットルの水ガラス水溶液0.85リットルと1N塩酸水溶液を、水ガラス水溶液が毎分0.014リットルの流速で1時間加えた。その後更に3時間熟成した。放冷後、該分散液に1モル/リットルの炭酸ソーダー水溶液を加えてpH12とし4日間放置した。放置後プロペラ撹拌で10分間分散させた。撹拌を止めて静置して、上澄み液中の白色粉末をデカンテーション法で分離した。この操作を繰り返して上澄み液中の粉末を回収した。回収した粉末を水洗、濾過して150℃で乾燥した。乾燥後更に大気中600℃で2時間焼成し青色干渉色を持った白色粉末730gを得た。得られた粉末を理学電機社製X線回折装置ミニフレックスでそくていした。
【0048】
X線回折パターンは図7に示したようにブロードのピークであるが酸化チタンのアナターゼ型であった。また、日立社製走査型電子顕微鏡S−2100B型(SEM)で2000倍と20000倍で観察した。その結果は図8に示したように薄片状の粒子で板径が平均8μmで粒子の厚さが0.30μmであった。更に色調をしらべるために、武蔵塗料社製のアクリル系クリヤーラッカー30部に、本粉末1部を混合し、白黒の隠蔽率試験紙、JIS−K5400に4ミルのアプリケーターで塗布し、隠蔽率試験紙の黒地をミノルタ測色機CM−1000型で反射率を測定した。その結果を図9に示した。図9から分かるように480nmを中心とした反射率曲線を示し、青色であることが分かる。
【0049】
上述のようにして製造した、青色干渉色を持った酸化チタンの薄片状粉末をコアとし、これに低屈折率を持った金属酸化物と高屈折率を持った金属酸化物とを交互に被覆させることによって多層干渉性顔料を製造した。
【0050】
青色干渉色を持った酸化チタン薄片状粉末100gを5リットルのフラスコに秤取り、これに上水2リットルと10%の苛性ソーダーを加えてpH8.8とし、プロペラ撹拌しながら加熱し80℃とした、pHと温度を保持しながら12.5%の水ガラス水溶液と1N塩酸水溶液を、水ガラス水溶液が毎分0.017リットルの流速で2時間加えた。その後3時間熟成した。放冷後濾過、水洗、乾燥してシリカ被覆酸化チタンの青色干渉色を持った粉末230g得た。
【0051】
シリカ被覆酸化チタン230gを10リットルの琺瑯引き容器に入れ、これに10%の硫酸チタニル水溶液6.2リットルと0.06モル/リットルの硫酸水溶液1.8リットル及び尿素35g、上水1リットルを加えてプロペラ撹拌しながら加熱し90℃以上の温度で5時間加水分解した。放冷後、濾過水洗し150℃で乾燥した。乾燥粉末を大気中600℃で2時間焼成した。青色干渉色を持った粉末450g得た。得られた粉末は酸化チタンとシリカとを被覆した酸化チタンの粉末である。
【0052】
酸化チタンとシリカとを被覆した酸化チタンの粉末450gを50リットルの琺瑯引き容器に入れ上水30リットルと10%の苛性ソーダー水溶液を加えてpHを8.8に調製した。プロペラ撹拌しながら加熱して80℃とした。pHと温度を保持しながら12.5%の水ガラス水溶液を毎分0.02リットルと1N塩酸水溶液を2時間加えた。更に、その状態で3時間熟成させた。放冷後、濾過水洗し150℃で乾燥した。青色干渉色を持った粉末595g得た。得られた粉末はシリカー酸化チタンーシリカで被覆した酸化チタンの粉末である。
【0053】
シリカー酸化チタンーシリカで被覆した酸化チタンの粉末595gを10リットルの琺瑯引き容器に入れ10%硫酸チタニル水溶液6.8リットルと0.06モル/リットルの硫酸水溶液2.0リットル及び尿素38g、上水1リットルを加えてプロペラ撹拌しながら加熱し90℃以上の温度で5時間加水分解した。放冷後、濾過水洗し150℃で乾燥した。乾燥粉末を大気中600℃で2時間焼成した。鮮やかな青色干渉色を持った粉末845g得た。得られた粉末は酸化チタンーシリカー酸化チタンーシリカで被覆した酸化チタンの粉末である。
【0054】
(製造例2)
製造例1と同様にコアとなる高屈折率金属酸化物の剥離薄膜層の製法について詳述する。レーザー径が150〜500μm、平均径250μmの天然雲母粉砕分級品1kgを40リットルの琺瑯引き容器に入れ、10%硫酸チタニル水溶液14.4リットルと0.06モル/リットルの硫酸水溶液5.2リットル、これに尿素100g、更に上水15リットルを加えてプロペラ撹拌しながら、加熱し90℃以上の温度で6時間加水分解した。放冷後、デカンテーションを繰返して水洗した。水洗後10%苛性ソーダー水溶液と上水30リットルを加えて、液のpHを8.8として加熱し、プロペラ撹拌しながら80℃とした。pHと温度を保持しながら1モル/リットルの水ガラス水溶液0.68リットルと1N塩酸水溶液を、水ガラス水溶液が毎分0.014リットルの流速で50分加えた。その後更に3時間熟成した。法令後、該分散液に1モル/リットルの炭酸ソーダー水溶液を加えてpH12とし4日間放置した。放置後プロペラ撹拌で10分間分散させた。撹拌を止め静置して、上澄み液中の白色粉末をデカンテーション法で分離した。この操作を繰り返して上澄み液中の粉末を回収した。回収した粉末を水洗、濾過して150℃で乾燥した。乾燥後更に大気中600℃で2時間焼成し赤色干渉色を持った白色粉末580gを得た。
【0055】
得られた粉末を理学電機社製X線回折装置ミニフレックスで測定した。X線回折パターンはブロードのピークであるが酸化チタンのアナターゼ型であった。また、日立社製走査型電子顕微鏡S−2100B型(SEM)で2000倍と20000倍で観察した。その結果は薄片状の粒子で板径が平均8μmで粒子の厚さが0.25μmであった。更に色調を調べるために、武蔵塗料社製のアクリル系クリヤーラッカー30部に、本粉末1部を混合し、白黒の隠蔽率試験紙JIS−K5400に4ミルのアプリケーターで塗布し、隠蔽率試験紙の黒地をミノルタ測色機CM−1000型で反射率を測定した。その結果650nm以上の波長の反射率が高く赤色の干渉色であった。
【0056】
上述のようにして製造した、赤色干渉色を持った酸化チタンの薄片状粉末をコアとし、これに低屈折率を持った金属酸化物と高屈折率を持った金属酸化物とを交互に被覆させることによって多層干渉性顔料を製造した。
【0057】
赤色干渉色を持った酸化チタン薄片状粉末100gを5リットルのフラスコに秤取り、これに上水2リットルと10%の苛性ソーダーを加えてpH8.8とし、プロペラ撹拌しながら加熱し80℃とした、pHと温度とを保持しながら12.5%の水ガラス水溶液と1N塩酸水溶液を水ガラス水溶液が毎分0.02リットルの流速で2時間加えた。その後3時間熟成した。放冷後濾過、水洗、乾燥してシリカ被覆酸化チタンの赤色干渉色を持った粉末270g得た。
【0058】
シリカ被覆酸化チタン270gを10リットルの琺瑯引き容器に入れ、これに10%の硫酸チタニル水溶液7.3リットルと0.06モル/リットルの硫酸水溶液1.8リットル及び尿素35gを加えてプロペラ撹拌しながら加熱し90℃以上の温度で5時間加水分解した。放冷後、濾過水洗し150℃で乾燥した。乾燥粉末を大気中600℃で2時間焼成した。赤色干渉色を持った粉末530g得た。得られた粉末は酸化チタンとシリカとを被覆した酸化チタンの粉末であった。
【0059】
酸化チタンとシリカとを被覆した酸化チタン粉末530gを50リットルの琺瑯引き容器に入れ上水30リットルと10%の苛性ソーダー水溶液を加えてpHを8.8に調製した。プロペラ撹拌しながら加熱して80℃とした。pHと温度を保持しながら12.5%の水ガラス水溶液を毎分0.024リットルと1N塩酸水溶液を2時間加えた。更に、その状態で3時間熟成させた。放冷後、濾過水洗し150℃で乾燥した。赤色干渉色を持った粉末700g得た。得られた粉末はシリカ−酸化チタン−シリカで被覆した酸化チタンの粉末であった。
【0060】
シリカ−酸化チタン−シリカで被覆した酸化チタンの粉末700gを15リットルの琺瑯引き容器に入れ10%硫酸チタニル水溶液8.1リットルと0.06モル/リットルの硫酸水溶液2.0リットル及び尿素38gを加えてプロペラ撹拌しながら加熱し90℃以上の温度で5時間加水分解した。放冷後、濾過水洗し150℃で乾燥した。乾燥粉末を大気中600℃で2時間焼成した。鮮やかな赤色干渉色を持った粉末980g得た。得られた粉末は酸化チタン−シリカ−酸化チタン−シリカで被覆した酸化チタンの粉末であった。
【0061】
(製造例3)
製造例1及び製造例2と同様にコアとなる高屈折率金属酸化物の剥離薄膜層の製法について詳述する。レーザー径が500〜800μm、平均径650μmの天然雲母粉砕分級品2kgを40リットルの琺瑯引き容器に入れ、10%硫酸チタニル水溶液6リットルと、0.06モル/リットルの硫酸水溶液5リットル、これに尿素110g、更に上水15リットルを加えて、プロペラ撹拌しながら、加熱し90℃以上の温度で6時間加水分解した。放冷後、デカンテーションを繰り返して水洗した。水洗後10%苛性ソーダー水溶液と上水30リットルを加えて、液のpHを9.0として加熱し、プロペラ撹拌しながら80℃とした。pHと温度を保持しながら1モル/リットルの水ガラス水溶液0.37リットルと1N塩酸水溶液を、水ガラス水溶液が毎分0.014リットルの流速で1時間加えた。その後更に3時間熟成した。放冷後、該分散液に1モル/リットルの炭酸ソーダー水溶液を加えてpH11として3日間放置した。放置後プロペラ撹拌で10分間分散させた。撹拌を止めて靜置して、上澄み液中の白色粉末をデカンテーション法で分離した。この操作を繰り返して上澄み液中の粉末を回収した。回収した粉末を水洗、濾過して150℃で乾燥した。乾燥後更に大気中650℃で2時間焼成し緑色干渉色を持った白色粉末310gを得た。
【0062】
得られた粉末を理学電機社製X線回折装置ミニフレックスで測定した。X線回折パターンはブロードのピークであるが酸化チタンのアナターゼ型であった。また、日立社製走査型電子顕微鏡S−2100B型(SEM)で2000倍と20000倍で観察した。その結果薄片状の粒子で板径が平均10μmで粒子の厚さが0.35μmであった。更に色調を調べるために、武蔵塗料社製のアクリル系クリヤーラッカー30部に、本粉末1部を混合し、白黒の隠蔽率試験紙、JIS−K5400に4ミルのアプリケーターで塗布し、隠蔽率試験紙の黒地をミノルタ測色機CM−1000型で反射率を測定した。その結果から520nmを中心とした反射率曲線を示し、緑色であることが分かる。
【0063】
上述のようにして製造した、緑色干渉色を持った酸化チタンの薄片状粉末をコアとし、これに低屈折率を持った金属酸化物と高屈折率を持った金属酸化物とを交互に被覆させることによって多層干渉性顔料を製造した。
【0064】
緑色干渉色を持った酸化チタン薄片状粉末100gを5リットルのフラスコに秤取り、これに上水2リットルと10%の苛性ソーダー水溶液を加えてpH9.0とし、プロペラ撹拌しながら加熱し80℃とした、pHと温度を保持しながら12.5%の水ガラス水溶液と1N塩酸水溶液を、水ガラス水溶液が毎分0.015リットルの流速で2時間加えた。その後3時間熟成した。放冷後濾過、水洗、乾燥してシリカ被覆酸化チタンの緑色干渉色を持った粉末200g得た。
【0065】
シリカ被覆酸化チタン200gを10リットルの琺瑯引き容器に入れ、これに10%の硫酸チタニル水溶液5.4リットルと0.06モル/リットルの硫酸水溶液1.8リットル及び尿素35g、上水1リットルを加えてプロペラ撹拌しながら加熱し90℃以上の温度で5時間加水分解した。放冷後、濾過水洗し150℃で乾燥した。乾燥粉末を大気中600℃で2時間焼成した。緑色干渉色を持った粉末390g得た。得られた粉末は酸化チタンとシリカとを被覆した酸化チタンの粉末である。
【0066】
酸化チタンとシリカとを被覆した酸化チタンの粉末390gを50リットルの琺瑯引き容器に入れ上水30リットルと10%の苛性ソーダー水溶液を加えてpHを9.0に調製した。プロペラ撹拌しながら加熱して80℃とした。pHと温度を保持しながら12.5%の水ガラス水溶液を毎分0.017リットルと1N塩酸水溶液を2時間加えた。更に、その状態で3時間熟成させた。放冷後、濾過水洗し150℃で乾燥した。緑色干渉色を持った粉末515得た。得られた粉末はシリカ−酸化チタン−シリカで被覆した酸化チタンの粉末である。
【0067】
シリカ−酸化チタン−シリカで被覆した酸化チタンの粉末515gを10リットルの琺瑯引き容器に入れ10%硫酸チタニル水溶液6.0リットルと0.06モル/リットルの硫酸水溶液2.0リットル及び尿素38gを加えてプロペラ撹拌しながら加熱し90℃以上の温度で5時間加水分解した。放冷後、濾過水洗し150℃で乾燥した。乾燥粉末を大気中600℃で2時間焼成した。鮮やかな緑色干渉色を持った粉末730g得た。得られた粉末は酸化チタン−シリカ−酸化チタン−シリカで被覆した酸化チタンの粉末である。
【0068】
製造例1,2,3は何れも高屈折率の酸化チタンがコアであり、これに低屈折率のシリカと高屈折率の酸化チタンとを交互に被覆したものである。積層体の反射率は全て98%以上であった。
【0069】
本発明は、上記の如く製造された多層干渉性顔料を前述の用途として使用するものであり、以下、その代表的な用途例を記載する。なを、これらの用途により本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0070】
(用途例1)自動車用塗料
電着塗膜上に中塗り塗膜が形成された鋼板を用意し、カラーベース塗料を塗装後、140℃で30分間焼き付け乾燥した。次に、アクリル樹脂とメラミン樹脂からなる樹脂液中に上記製造例1により得られた青色干渉色を持った多層干渉色顔料を5重量%含むベース塗料を用意し、カラーベース塗膜表面に膜厚15μmとなるようにスプレー塗装した。そしてアクリルーメラミン系クリア塗装をさらに膜厚40μmとまるようにWet−on−Wetにてスプレー塗装し、140℃で30分間焼き付けてベース塗膜とクリア塗膜を一体的に硬化させた。
【0071】
(用途例2)自動車用塗料
用途例1と同様な方法で上記製造例2により得られた赤色干渉色を持った多層干渉色顔料を配合した。塗料の種類や塗膜厚さ等は用途例1と同一条件で塗装した。
【0072】
(用途例3)自動車用塗料
用途例1と同様な方法で上記製造例3により得られた緑色干渉色を持った多層干渉色顔料を配合した。塗料の種類や塗膜厚さ等は用途例1と同一条件で塗装した。
【0073】
(比較例1)自動車用塗料
用途例1と同様な方法で上記製造例1で、コアとして使用した青色干渉色を持った酸化チタンの薄片状粉末を配合した。塗料の種類や塗膜厚さ等は用途例1と同一条件で塗装した。
【0074】
(比較例2)自動車用塗料
用途例1と同様な方法で市販の干渉酸化チタン被覆雲母(メルク社製イリオジン225)を配合した。塗料の種類や塗膜厚さ等は用途例1と同一条件で塗装した。
【0075】
上記において得られた塗装鋼板について、判定専門者の目視によって光輝感、彩度、色調にとる意匠性の度合いを相対的に判定した。その結果を表1に示した。
【0076】
【表1】
表1に示した判定結果の基準は、◎印が良好、○印が普通、△印が劣ることを示している。
【0077】
(用途例4)化粧料粉末固形ファンデーション
下記1〜8を秤取りヘンシェルミキサーで混合し、これに9〜13を加熱溶解混合したものを添加混合後、パルベライザーで粉砕した。該混合粉砕品を中皿に成型し、所望する粉末固形ファンデーションを得た。
この用途例の粉末固形ファンデーションは、伸びが軽く、顔料色と本発明の多層干渉性顔料から生じる赤色干渉色との作用により、肌色を美しく改善する効果が認められた。
【0078】
(用途例5)印刷用インキ組成物
下記成分を混合し、サンドミルで混練して印刷用インキ組成物を得た。
この用途例の印刷用インキ組成物を用いて、塗膜厚(乾燥後)50μmで白紙上に印刷を行ったところ、塗装体は青色の鮮やかな光沢のある干渉色を有していた。
【0079】
(用途例6)印刷用インキ組成物
用途例5と同様の配合割合で、本発明の製造例3の緑色の多層干渉性顔料を配合し印刷用インキ組成物を得た。
【0080】
この用途例の印刷用インキ組成物を用いて、塗膜厚(乾燥後)50μmで白紙上に印刷を行ったところ、塗装体は緑色鮮やかな光沢のある干渉色を有していた。
【0081】
【発明の効果】
本発明は、上記の通り、低屈折率を有する金属酸化物及び高屈折率を有する金属酸化物の交互層で被覆されている鮮やかな干渉色を発色した多層干渉性顔料に関するものであり、具体的には、薄片状の基質表面にチタン組成物を被覆し、更に、この被覆チタン組成物を剥離し、剥離したチタン組成物を基質として、この表面に低屈折率を有する金属酸化物と高屈折率を有する金属酸化物とを交互層で被覆した新規な多層干渉性顔料を提供することを可能とした。更に、塗料、化粧品、インキ、プラスチック等に配合することにより鮮やかに干渉色で発色した光輝感と色の鮮明度を発現し、しかも余色が濁らない非常に優れた商品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理作用の説明
【図2】本発明の多層干渉性顔料の断面図
【図3】本発明の多層干渉材の図2Aの部分の拡大図
【図4】本発明の多層干渉性顔料の製造方法を示す概念図
【図5】本発明のコアとなる高屈折率金属酸化物の製造工程の概念図
【図6】本発明のコアとなる高屈折率金属酸化物の剥離工程の概念図
【図7】本発明の製造例1で製造したコア粉体のX線回折パターン
【図8】本発明の製造例1で製造したコア粉体の走査型電子顕微鏡の写真
【図9】本発明の製造例1で製造したコア粉体の測色反射率曲線
【符号の説明】
1 高屈折率層
2 低屈折率層
3 薄片状担体材料
4 高屈折率金属酸化物層
4a 高屈折率金
Claims (6)
- 高屈折率を有する金属酸化物と、低屈折率を有する金属酸化物を交互に積層させて被覆されている透明担体材料からなり、コアとなる高屈折率の金属酸化物が天然雲母、合成雲母、各種フイロケイ酸塩、薄片状ガラス、塩基性炭酸鉛、ビスマスオキシクロライド、または薄片状シリカから選択された薄片状担体材料に被覆された後剥離された薄膜であると共に、少なくともコアとなる金属酸化物の屈折率が2.0〜2.7であり、且つ、厚さが0.05〜0.6μmの範囲であることを特徴とする多層干渉性顔料。
- 前記高屈折率を有する金属酸化物と、低屈折率を有する金属酸化物の屈折率の差が少なくとも0.3〜1.2である請求項1記載の多層干渉性顔料。
- 前記多層干渉性顔料の透過率が40%以下で積層されていることを特徴とする請求項2記載の多層干渉性顔料。
- 前記高屈折率を有する酸化物が、TiO2,ZrO2,Fe2O3,Fe3O4,Cr2O3,またはZnO,あるいはこれらの酸化物の混合物、あるいはチタン酸鉄、水和鉄酸化物または低次チタン酸化物あるいはこれらの化合物の混合物であることを特徴とする請求項1記載の多層干渉性顔料。
- 前記低屈折率を有する金属酸化物が、SiO2,Al2O3,AlOOH,BaO、BaSO4あるいはその混合物であることを特徴とする請求項1記載の多層干渉性顔料。
- 前記多層干渉性顔料が、有色塗料、印刷インキ、プラスチック類、化粧品、セラミックスおよびガラス用釉において使用されることを特徴とする請求項1乃至請求項4記載の多層干渉性顔料。
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