JP2004123567A - 抗癌剤耐性克服剤 - Google Patents

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Yoshiichi Sugimoto
杉本 芳一
Satomi Tsukahara
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Taiho Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

【課題】抗癌剤耐性克服剤の提供。
【解決手段】一般式(1)
【化1】
Figure 2004123567

[式中、Rは水素原子、基−(CH−NR(ここで、nは1〜4を、R及びRは同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)、又は基−(CH−SO(ここで、n及びRは前記と同じ)を示し;
は水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換基としてニトロ基を有してもよいフェニル基が置換した炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基又は燐酸基を示し;
は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示す]
で表される1,1,2−トリフェニル−1−ブテン誘導体又はその製薬上許容される塩を有効成分とする抗癌剤耐性克服剤。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は抗癌剤耐性克服剤及びBCRP阻害剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩酸イリノテカンはトポソメラーゼIを阻害することにより、抗腫瘍作用を発揮し、日本において小細胞肺癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、胃癌、直腸・結腸癌、乳癌等の治療に広く用いられている。しかしながら白血球減少、骨髄抑制等の血液毒性、下痢、悪心、嘔吐などの消化器毒性などの強い副作用が報告されており、使用にあたっては慎重な投与が求められている。これら塩酸イリノテカン等のカンプトテシン類、ミトキサントロン等の抗癌剤は、患者によって、抗癌剤が効く癌と全く効かない癌があること、またこれら薬剤の長期連用により抗癌効果が低下する場合があることが指摘されている。この抗癌剤の効果が癌腫によって又は抗癌剤の長期使用によって低下する現象は癌細胞が耐性を獲得したものとして理解されている。
【0003】
癌細胞による、これらの抗癌剤に対する耐性獲得のメカニズムについては、最近の研究によると、ATP結合カセット(ABC)トランスポーターと呼ばれる一群の膜タンパク質が薬剤排出ポンプとして耐性に関与する。このトランスポーターはATPを加水分解し、そのエネルギーを利用して濃度勾配に逆らって薬物を細胞外へ排出する。ABCトランスポータの一つである耐性タンパク質(BCRP)は、ミトキサントロンやドキソルビシン等のトポイソメラーゼII(TopoII)阻害剤やイリノテカン、トポテカン、SN−38等のトポイソメラーゼI(TopoI)阻害剤で選択した細胞株にも高発現し、これらの薬剤に対する耐性に関与していることが知られている(非特許文献1及び2参照)。すなわち、抗癌剤が長期連用されると癌細胞内に抗癌剤の細胞内蓄積を減少させる作用を有することが判明した。
【0004】
一方、タモキシフェンを代表とする1,1,2−トリフェニル−1−ブテン誘導体は強い抗エストロジェン作用を有し(特許文献1参照)、エストロジェンと強力に結合することによりホルモン依存性乳癌の増殖を抑制する治療薬として広く用いられている。
塩酸イリノテカンの副作用である下痢を軽減又は抑制する目的で、タモキシフェンをイリノテカン投与前に投与することが報告されている(特許文献2参照)。また、イリノテカンの副作用低減のためタモキシフェンを併用することが報告されている(特許文献3参照)。
【0005】
またタモキシフェン以外にも多くの抗エストロジェン作用を有する1,1,2−トリフェニル−1−ブテン誘導体が報告されている(特許文献4〜9参照)が、これらの化合物が癌細胞による抗癌剤耐性獲得に対していかなる作用を有するかについては検討されていない。
【0006】
【非特許文献1】
最新医学, 2001年3月, 56巻3号, p.89−95
【非特許文献2】
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1998年, 第95巻, p.15665−15670, 1998
【特許文献1】
英国特許第1013907号明細書
【特許文献2】
国際公開第98/37892号パンフレット
【特許文献3】
国際公開第96/01127号パンフレット
【特許文献4】
特公昭41−8346号公報
【特許文献5】
特開昭54−44644号公報
【特許文献6】
特開昭55−66547号公報
【特許文献7】
特開昭62−99352号公報
【特許文献8】
国際公開第87/07609号パンフレット
【特許文献9】
特開平2−279658号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、癌細胞による抗癌剤耐性獲得を阻害する薬剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは白血病細胞K562にBCRP遺伝子を導入して、外来性BCRP遺伝子を保有し、BCRPを発現するイリノテカン抗癌剤耐性細胞を樹立した。そして、さらにこの細胞を用いて抗癌剤耐性機構の研究および抗癌剤耐性克服作用を有する化合物について鋭意研究したところ、後記式(1)の1,1,2−トリフェニル−1−ブテン誘導体が優れたBCRP阻害作用および抗癌剤耐性克服作用を有することを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は一般式(1)
【0010】
【化3】
Figure 2004123567
【0011】
[式中、Rは水素原子、基−(CH−NR(ここで、nは1〜4を、R及びRは同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)、又は基−(CH−SO(ここで、n及びRは前記と同じ);
は水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換基としてニトロ基を有してもよいフェニル基が置換した炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基又は燐酸基を示し;
は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を示す]
で表される1,1,2−トリフェニル−1−ブテン誘導体又はその製薬上許容される塩を有効成分とする抗癌剤耐性克服剤、及びBCRP阻害剤を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
一般式(1)中、炭素数1〜4のアルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル基等の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。炭素数1〜4のアルコキシ基としてはメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、イソプロピルオキシ基等の直鎖状又は分枝状のアルコキシ基が挙げられる。炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基としては前記定義した炭素数1〜4の直鎖状又は分枝状のアルキル基にヒドロキシ基が1つ置換したものを表し、具体的にはヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル基等が例示される。
【0013】
式−(CH−NRで示される基、すなわちアミノアルキル基又はモノもしくはジアルキルアミノアルキル基としては、アミノメチル、アミノエチル、ジメチルアミノメチル、ジエチルアミノメチル、メチルエチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、メチルアミノメチル、エチルアミノメチル、メチルアミノエチル、プロピルアミノエチル等が例示される。また、式−(CH−SOで示される基、すなわちスルフォニルアルキル基又はアルキルスルフォニルアルキル基としては、スルフォニルメチル、スルフォニルエチル、メチルスルフォニルメチル、エチルスルフォニルメチル、プロピルスルフォニルメチル、メチルスルフォニルエチル、エチルスルフォニルエチル、プロピルスルフォニルエチル、メチルスルフォニルプロピル等が例示される。
【0014】
置換基としてニトロ基を有していてもよいフェニル基が置換した炭素数1〜4のアルコキシ基としては、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ、フェニルプロポキシ、フェニルブトキシ、p−ニトロベンジルオキシ、p−ニトロフェネチルオキシ基が挙げられ、好ましくはベンジルオキシ又はp−ニトロベンジルオキシ基である。アシルオキシ基としては、例えばホルミルオキシ、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ等の炭素数1〜4のアシルオキシ基が挙げられ、好ましくはアセトキシ基である。
【0015】
一般式(1)の化合物の製薬上許容される塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩等の金属塩;アンモニウム塩のような無機塩、塩酸塩、硝酸塩、硫酸鉛、燐酸塩等の無機酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、トシル酸塩の有機酸塩が例示される。
【0016】
本発明化合物において、好ましい化合物としては、上記一般式(1)において、Rが基−(CH−NR(ここで、nは1〜4を、R及びRは同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)を示し;
が水酸基、置換基としてニトロ基を有してもよいフェニル基が置換した炭素数1〜4のアルコキシ基又は燐酸基を示し;
が水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示す化合物又はその製薬上許容される塩である。
本発明化合物において、より好ましいものとしては表1の化合物が例示できる。
【0017】
【表1】
Figure 2004123567
【0018】
TAG−1:1,1−ビス−4−ヒドロキシフェニル−2−(4−イソプロピルフェニル)−1−ブテン
TAG−2:(Z)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−1−ブテン
TAG−3:(Z)−1−[4−[2−(メタンスルフォニル)エトキシ]フェニル]−1,2−ジフェニル−1−ブテン
TAG−5:(Z)−1−(4−ハイドロキシフェニル)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−2−(4−メトキシフェニル)−1−ブテン
TAG−7:(E)−1−(4−アセトキシフェニル)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−2−フェニル−1−ブテン
TAG−8:(Z)−2−[4−(2−ハイドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]−1−(4−ハイドロキシフェニル)−1−[4−[2−(メチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−ブテン
TAG−11:(E)−1−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−2−フェニル−1−ブテン 塩酸塩
TAG−12:(E)−4−[1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−2−(4−イソプロピルフェニル)−1−ブテニル]フェニル モノホスフェートナトリウム塩
TAG−13:4−[1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−2−(4−エトキシフェニル)−1−ブテニル]フェニル モノホスフェートナトリウム塩
TAG−54:(Z)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−エチルフェニル)−1−ブテン 塩酸塩
TAG−72:(Z)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−イソプロピルフェニル)−1−ブテン 塩酸塩
TAG−100:(Z)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ブテン
TAG−126:(Z)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ブテン 塩酸塩
TAG−139:(E)−1−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−[4−(4−ニトロベンジルオキシ)フェニル]−2−フェニル−1−ブテン 塩酸塩
【0019】
一般式(1)で表される1,1,2−トリフェニル−1−ブテン誘導体は全て公知化合物であり、特公昭41−8346号公報、特開昭54−44644号公報、特開昭55−66547号公報、特開昭62−99352号公報、国際公開第87/07609号パンフレット、特開平2−279658号公報に記載された方法で容易に合成可能である。
【0020】
一般式(1)の化合物は、後記実施例に示すように、BCRPを阻害し、優れた抗癌剤耐性を克服する作用を有し、抗癌剤耐性克服剤として有用である。その抗癌剤耐性は、トポイソメラーゼI又はII阻害剤に起因する耐性が特に好ましい。
【0021】
本発明の抗癌剤耐性克服剤の対象となる抗癌剤としては、BCRPにより耐性を生じるトポイソメラーゼI又はII阻害作用を有する抗癌剤が好ましく、例えば塩酸イリノテカン、トポテカン、SN−38等のカンプトテシン類;ミトキサントロン等のアンスラキノン類;7−ヒドロキシスタロウスポリン等のスタウロスポリン類;アドリアマイシン等のアンスラサイクリン類が挙げられる。また、本発明の抗癌剤耐性克服剤の対象癌は、前記の抗癌剤の適用対象となる癌であれば特に制限されない。
【0022】
本発明の(A)抗癌剤耐性克服剤と(B)前記の癌細胞が耐性を獲得し得る抗癌剤とを併用すれば、耐性を克服した癌に対する治療効果が回復するので、これら成分(A)および(B)を含有する組成物は新たな抗癌剤として有用である。
【0023】
本発明の抗癌剤耐性克服剤又は新たな抗癌剤は、これらの成分が従来用いられている製剤をそのまま併用することにより投与しても良いが、これらの成分を含む新たな製剤としてもよい。製剤としては、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、液剤、丸剤、乳剤、懸濁剤等の経口剤、注射剤、坐剤、軟膏剤、硬膏剤、貼付剤等の非経口剤のいずれでもよく、それぞれ当業者に公知慣用の製造方法により製造できる。
【0024】
経口用固形製剤を調製する場合には、本発明の有効成分に賦形剤、必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を加えた後、常法により錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤等を製造することができる。賦形剤としては、例えば乳糖、マンニトール、蔗糖、澱粉、タルク、ステアリン酸マグネシウム、結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、グリセリン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム等が、結合剤としてはポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、エチルセルロース、アラビアゴム、シェラック、白糖等が、崩壊剤としては乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、寒天末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等が、滑沢剤としてはステアリン酸マグネシウム、タルク等が、矯味剤としては白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が使用できる。その他、着色剤、矯臭剤等は公知のものを用いることができる。なお、錠剤とする場合は周知の方法によりコーティングしてもよい。
【0025】
経口用液体製剤を調製する場合は、本発明の有効成分に矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を加えて常法により内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することができる。この場合矯味剤としては上記のものが、緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム等が、安定化剤としてはトラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が使用できる。
【0026】
上記の各投与単位形態中に配合されるべき式(1)の化合物の量は、これを適用すべき患者の症状、その剤型、投与法等により異なるが1日あたり1mg〜10g、特に100mg〜3gが好ましい。また、癌細胞が耐性を獲得し得る抗癌剤(B)の投与量は、通常の薬効量でよく、例えば、1mg〜1g、特に2mg〜300mgが好ましい。
【0027】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0028】
実施例1(BCRP発現細胞の作成)
(1)BCRP遺伝子
本発明では、PCR法を用いてヒト胎盤mRNAより単離したヒトBCRPcDNAを用いた。このPCRでは、Clontech社のHuman placenta Marathon−ready cDNAを鋳型とし、プライマーとしてヒトBCRPのcDNAの5’側のプライマー1S(CCT GAG ATC CTG AGC CTT TGG TT)(配列番号1)及び3’側のプライマー5AS(GAT GGC AAG GGA ACA GAA AAC AAC A)(配列番号2)の2本のオリゴヌクレオチドを用いて、Clontech社の Advantage cDNA PCR kitを用いて、94℃で1分の反応を1回行った後、94℃で30秒、68℃で3分の反応を35回繰り返し、最後に94℃で30秒、68℃で15分の反応を1回おこない、約2150bpの増幅されたcDNAを得た。これをpCR2.1プラスミドにサブクローニングして、Applied Biosystems社のABI PRISM377 DNAシークエンサーを用いて塩基配列を決定した。独立な4クローンの塩基配列を決定し、PCRによる変異と推定される部分は除いて、本遺伝子のコード領域の塩基配列とそれから予想されるアミノ酸配列を推定した。この塩基配列を配列番号3、推定されるアミノ酸配列を配列番号4に示す。本発明では、この配列を野生型BCRPの配列とする。本発明のBCRPの配列はDDBJ accession number AB056867 として登録されている。
【0029】
(2)BCRP発現プラスミドの作成
次に、このBCRP cDNAにMycエピトープを付けてレトロウイルスベクターに挿入するために、末端の修飾を目的とした2度目のPCRを行った。Mycエピトープタグを付加するためのPCRでは、上記のPCR反応で得られたヒトBCRP cDNAを鋳型とし、Mycエピトープタグを含む5’側のプライマー5Myc−204S (CCC CGC GGC ATG GAA CAA AAA CTC ATC TCA GAA GAG GAT CTG TCT TCC AGT AAT GTC GAA GTT TTT ATC CCCA GTG TC )(配列番号5)および3’側のプライマー8AS(CGC CTC GTG GAT GGC AAG GGA ACA GAA AAC AAC A)(配列番号6)の2本のオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた。PCRはClontech社のAdvantage cDNA PCR kitを用いて、94℃で1分の反応を1回行った後、94℃で30秒、68℃で3分の反応を20回繰り返し、最後に94℃で30秒、68℃で15分の反応を1回おこない、約2200bpの増幅されたcDNAを得た。増幅されたcDNAをサブクローニングして塩基配列を決定し、PCRによる変異が起きていないことを確認した。
【0030】
このcDNAの両末端をSstII とXhoIの2種の制限酵素で切断後、SstII とXhoIで切断したpHaプラスミドベクターとT4 DNAリガーゼを用いてライゲーションした。このライゲーション反応液をE. coli DH5alphaに導入し、pHaプラスミドベクターのSstIIサイトとXhoIサイトの間にBCRP cDNAが挿入されたクローンpHaMycBCRPを得た。
【0031】
(3)BCRPレトロウイルスの作成
最初に、マウスのamphotropic retrovirus packaging cell lineであるPA317細胞にリン酸カルシウム法を用いてpHaMycBCRPを導入した。遺伝子導入後の細胞を1 ng/mlのミトキサントロンで選択し、遺伝子導入細胞を得た。この細胞の培養上清を集めて0.45μmのフィルターで濾過してレトロウイルス液とした。
【0032】
(4)K562/MycBCRP細胞の作成
MycBCRPレトロウイルス液をヒト白血病K562細胞の培養に加えて遺伝子導入を行った。レトロウイルスを添加した細胞を20ng/mlのSN−38(7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン:塩酸イリノテカンの活性代謝物)で選択し、遺伝子導入細胞を得た。この細胞をK562/MycBCRP細胞と名付けた。K562細胞及びK562/MycBCRP細胞は7%のウシ胎児血清を添加したRPMI1640培地で培養した。K562/MycBCRP細胞にBCRP蛋白が発現していることは、抗BCRP抗体を用いたウエスタンブロットにて確認した。K562細胞はヒトの白血病細胞であるが、もともとBCRPを発現していないこと、培養が容易であること、ミトキサントロン、塩酸イリノテカンなどのBCRPによって輸送される抗癌剤に高い感受性を示すことから、BCRP遺伝子導入細胞の親株として適している。
【0033】
実施例2(細胞増殖試験)
K562細胞とK562/MycBCRP細胞のSN−38(イリノテカンの活性代謝物)およびミトキサントロンに対する感受性を細胞増殖阻害試験にて調べた。両細胞を12穴プレート(イワキ)に1万個/1ml/ウエルでまき、続いてメディウムで各濃度に希釈した薬剤をウエルあたり1ml加えた。このプレートを5%炭酸ガス培養器で37℃、5日間培養した。5日後、9.5mlのセルパック希釈液(東亞医用電子)を入れたビーカーに各ウエルの細胞液をそれぞれ加え、Sysmex CDA−500自動細胞数計測装置(東亞医用電子)にて細胞数を計測した。
【0034】
図1には、各濃度の薬剤添加時における細胞数を薬剤無添加の細胞数で除し
((%)対コントロール)で表した。これより、各細胞に対するIC50を算出し、K562細胞のIC50とK562/MycBCRP細胞のIC50より耐性の度合いを算出した(表2)。その結果、K562/MycBCRP細胞はSN−38に21倍の耐性を、ミトキサントロンに11倍の耐性を示した。また、同様の実験を行った結果、トポテカンについては10倍の耐性を示した。
【0035】
【表2】
Figure 2004123567
【0036】
参考例1(K562細胞とK562/MycBCRP細胞の増殖に対するタモキシフェンの効果)
次に、BCRPによる抗癌剤耐性に対するタモキシフェンの効果を調べた。K562細胞とK562/MycBCRP細胞の両細胞を12穴プレート(イワキ)に1万個/1ml/ウエルでまき、続いてメディウムで各濃度に希釈したタモキシフェンをウエルあたり0.5ml加え、メディウムで各濃度に希釈したSN−38あるいはミトキサントロンをウエルあたり0.5ml加えた。このプレートを5%炭酸ガス培養器で37℃、5日間培養した。5日後、9.5mlのセルパック希釈液(東亞医用電子)をいれたビーカーに各ウエルの細胞液をそれぞれ加え、Sysmex CDA−500自動細胞数計測装置(東亞医用電子)にて細胞数を計測した。
【0037】
図2に、0.5μM、1μMあるいは2μMのタモキシフェンによるBCRPの抗癌剤耐性の克服を示す。タモキシフェンはBCRPを発現しないK562細胞のミトキサントロンに対する抗癌剤感受性を増大させた。K562/MycBCRP細胞の培養にタモキシフェンを加えると、SN−38、ミトキサントロンに対する感受性はほとんど亢進しなかった。
【0038】
参考例2(トレミフェン、タモキシフェンによるBCRP発現細胞のトポテカン取り込み試験)
タモキシフェンおよびトレミフェンが抗癌剤の細胞への取り込みに影響を与えるかどうかを調べた。K562/MycBCRP細胞を100μMのトレミフェン、タモキシフェンの存在下あるいは非存在下で20μMのトポテカンと37℃、30分間加温したのち、細胞外の薬剤を氷冷リン酸緩衝生理食塩水で洗浄除去した。細胞に取り込まれたトポテカンの蛍光を日本ベクトン社のFACS Caliburで測定した。その結果を図3に示す。トレミフェン、タモキシフェンはK562/MycBCRP細胞のトポテカンの細胞内取り込みには影響しなかった。よって、トレミフェン、タモキシフェンはBCRPによる抗癌剤の細胞外排出を阻害する作用は弱いと考えられた(図3)。
【0039】
実施例3(式(1)の化合物によるBCRP発現細胞のトポテカン取り込みの増大:その1)
式(1)の化合物が抗癌剤の細胞への取り込みに影響を与えるかどうかを調べた。K562/MycBCRP細胞を30μMの式(1)の化合物の存在下あるいは非存在下で20μMのトポテカンと37℃、30分間加温したのち、細胞外の薬剤を氷冷リン酸緩衝生理食塩水で洗浄除去した。細胞に取り込まれたトポテカンの蛍光を日本ベクトン社のFACS Caliburで測定した。
【0040】
その結果を図4に示す。式(1)の化合物はK562/MycBCRP細胞のトポテカンの細胞内取り込みを増加させた。特に、TAG−8およびTAG−11は特に強いBCRP阻害作用を示した。
また、K562細胞におけるトポテカンの細胞内取り込みも同様に検証したが、式(1)の化合物はK562細胞においてトポテカンの細胞内取り込みには影響を与えなかった。
【0041】
実施例4(K562細胞とK562/MycBCRP細胞の増殖に対する式(1)の化合物TAG−11の効果)
次に、BCRPによる抗癌剤耐性に対するTAG−11の効果を調べた。K562細胞とK562/MycBCRP細胞の両細胞を12穴プレート(イワキ)に1万個/1ml/ウエルでまき、続いてメディウムで各濃度に希釈したTAG−11をウエルあたり0.5ml加え、メディウムで各濃度に希釈したSN−38あるいはミトキサントロンをウエルあたり0.5ml加えた。このプレートを5%炭酸ガス培養器で37℃、5日間培養した。5日後、9.5mlのセルパック希釈液(東亞医用電子)をいれたビーカーに各ウエルの細胞液をそれぞれ加え、Sysmex CDA−500自動細胞数計測装置(東亞医用電子)にて細胞数を計測した。
【0042】
図5に、0.5μM、1μMあるいは2μMのTAG−11によるBCRPの抗癌剤耐性の克服を示す。K562/MycBCRP細胞の培養にTAG11−を加えると、SN−38、ミトキサントロンに対する感受性がTAG−11の濃度依存的に増大した。
【0043】
実施例5(式(1)の化合物によるBCRP発現細胞のトポテカン取り込みの増大:その2)
TAG−11がBCRP阻害作用を示したことから、TAG−11の構造類似体を中心に、抗癌剤の細胞への取り込みに影響を与えるかどうかを再度調べた。K562/MycBCRP細胞を30μMの式(1)の化合物の存在下あるいは非存在下で20μMのトポテカンと37℃、30分間加温したのち、細胞外の薬剤を氷冷リン酸緩衝生理食塩水で洗浄除去した。細胞に取り込まれたトポテカンの蛍光を日本ベクトン社のFACS Caliburで測定した。その結果を図6に示す。式(1)の化合物はK562/MycBCRP細胞のトポテカンの細胞内取り込みを増加させた。なかでも、TAG−54、TAG−72、TAG−100、TAG−126、TAG−139は特に強いBCRP阻害作用を示した。
【0044】
実施例6(K562細胞とK562/MycBCRP細胞の増殖に対するTAG−139の効果)
次に、BCRPによる抗癌剤耐性に対するTAG−139の効果を調べた。K562細胞とK562/MycBCRP細胞の両細胞を12穴プレート(イワキ)に1万個/1ml/ウエルでまき、続いてメディウムで各濃度に希釈したTAG−139をウエルあたり0.5ml加え、メディウムで各濃度に希釈したSN−38あるいはミトキサントロンをウエルあたり0.5ml加えた。このプレートを5%炭酸ガス培養器で37℃、5日間培養した。5日後、9.5mlのセルパック希釈液(東亞医用電子)をいれたビーカーに各ウエルの細胞液をそれぞれ加え、Sysmex CDA−500自動細胞数計測装置(東亞医用電子)にて細胞数を計測した。
【0045】
図7に、0.5μM、1μMあるいは2μMのTAG139によるBCRPの抗癌剤耐性の克服を示す。TAG−139はBCRPを発現しないK562細胞のミトキサントロンに対する抗癌剤感受性を増大させた。K562/MycBCRP細胞の培養にTAG−139を加えると、SN−38、ミトキサントロンに対する感受性がTAG−139の濃度依存的に増大した。
【0046】
以上より、式(1)の化合物は、BCRPの発現により低下した抗癌剤の細胞内取り込みを上昇(回復)させることにより、BCRPによる抗癌剤耐性を克服すること、その耐性克服作用は既知の耐性克服剤よりも強いものであることが判明した。
【0047】
【発明の効果】
本発明の抗癌剤耐性克服剤によれば耐性発生により充分に薬効の発現できなかった抗癌剤の効果を良好に回復できることから、抗癌剤の投薬量の管理が容易となり、その結果、副作用を抑制した癌化学療法が可能となる。
【0048】
【配列表】
Figure 2004123567
Figure 2004123567
Figure 2004123567
Figure 2004123567
Figure 2004123567
Figure 2004123567
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Figure 2004123567
Figure 2004123567
Figure 2004123567
Figure 2004123567

【図面の簡単な説明】
【図1】K562細胞とK562/MycBCRP細胞の各薬剤に対する感受性を示す図である。白四角はK562細胞、黒四角はK562/MycBCRP細胞での結果を示す。
【図2】K562細胞とK562/MycBCRP細胞の増殖に対するタモキシフェンの効果を示す図である。
【図3】トレミフェン、タモキシフェンによるBCRP発現細胞のトポテカン取り込み試験結果を示す図である(縦軸は細胞数、横軸は蛍光強度を示し、太線はトポテカンを含んだ場合、点線はトポテカンを含まない場合を示す。BCRP阻害活性が強いと、蛍光強度のピークが右側へシフトする)。
【図4】式(1)の化合物によるBCRP発現細胞のトポテカン取り込みの増大を示す図である。
【図5】K562細胞とK562/MycBCRP細胞の増殖に対するTAG−11の効果を示す図である。白丸、白菱形、白三角及び白四角はK562細胞、黒丸、黒菱形、黒三角及び黒四角はK562/MycBCRP細胞での結果を示す。
【図6】式(1)の化合物によるBCRP発現細胞のトポテカン取り込みの増大を示す図である。
【図7】K562細胞とK562/MycBCRP細胞の増殖に対するTAG−139の効果を示す図である。白丸、白菱形、白三角及び白四角はK562細胞、黒丸、黒菱形、黒三角及び黒四角はK562/MycBCRP細胞での結果を示す。

Claims (9)

  1. 一般式(1)
    Figure 2004123567
    [式中、Rは水素原子、基−(CH−NR(ここで、nは1〜4を、R及びRは同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)、又は基−(CH−SO(ここで、n及びRは前記と同じ)を示し;
    は水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換基としてニトロ基を有してもよいフェニル基が置換した炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基又は燐酸基を示し;
    は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示す]
    で表される1,1,2−トリフェニル−1−ブテン誘導体又はその製薬上許容される塩を有効成分とする抗癌剤耐性克服剤。
  2. 抗癌剤耐性が、トポイソメラーゼI又はII阻害剤に起因する抗癌剤耐性である請求項1記載の抗癌剤耐性克服剤。
  3. トポイソメラーゼI又はII阻害剤がカンプトテシン類である請求項2記載の抗癌剤耐性克服剤。
  4. カンプトテシン類がイリノテカン、トポテカン、SN−38又はそれらの薬学的に許容される酸付加塩である請求項2又は3記載の抗癌剤耐性克服剤。
  5. 上記一般式(1)において、Rが基−(CH−NR(ここで、nは1〜4を、R及びRは同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)を示し;
    が水酸基、置換基としてニトロ基を有してもよいフェニル基が置換した炭素数1〜4のアルコキシ基又は燐酸基を示し;
    が水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示す]
    で表される1,1,2−トリフェニル−1−ブテン誘導体又はその製薬上許容される塩である請求項1〜5のいずれか1項記載の抗癌剤耐性克服剤。
  6. 上記一般式(1)で表される化合物が、
    1,1−ビス−4−ヒドロキシフェニル−2−(4−イソプロピルフェニル)−1−ブテン、
    (Z)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−1−ブテン、
    (Z)−1−[4−[2−(メタンスルフォニル)エトキシ]フェニル]−1,2−ジフェニル−1−ブテン、
    (Z)−1−(4−ハイドロキシフェニル)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−2−(4−メトキシフェニル)−1−ブテン、
    (E)−1−(4−アセトキシフェニル)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−2−フェニル−1−ブテン、
    (Z)−2−[4−(2−ハイドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]−1−(4−ハイドロキシフェニル)−1−[4−[2−(メチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−ブテン、
    (E)−1−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−2−フェニル−1−ブテン、
    (E)−4−[1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−2−(4−イソプロピルフェニル)−1−ブテニル]フェニル モノホスフェート、
    4−[1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−2−(4−エトキシフェニル)−1−ブテニル]フェニル モノホスフェート、
    (Z)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−エチルフェニル)−1−ブテン、
    (Z)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−イソプロピルフェニル)−1−ブテン、
    (Z)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ブテン、
    (Z)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ブテン、
    又は(E)−1−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−[4−(4−ニトロベンジルオキシ)フェニル]−2−フェニル−1−ブテン及びこれらの製薬上許容される塩である請求項1〜5のいずれか1項記載の抗癌剤耐性克服剤。
  7. 一般式(1)
    Figure 2004123567
    [式中、Rは水素原子、基−(CH−NR(ここで、nは1〜4をR及びRは同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)、又は基−(CH−SO(ここで、n及びRは前記と同じ)を示し;
    は水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換基としてニトロ基を有してもよいフェニル基が置換した炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアシルオキシ基又は燐酸基を示し;
    は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示す]
    で表される1,1,2−トリフェニル−1−ブテン誘導体又はその製薬上許容される塩を有効成分とするBCRP阻害剤。
  8. 上記一般式(1)において、Rが基−(CH−NR(ここで、nは1〜4を、R及びRは同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す)を示し;
    が水酸基、置換基としてニトロ基を有してもよいフェニル基が置換した炭素数1〜4のアルコキシ基又は燐酸基を示し;
    が水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基を示すものである請求項7記載のBCRP阻害剤。
  9. 上記一般式(1)で表される化合物が、
    1,1−ビス−4−ヒドロキシフェニル−2−(4−イソプロピルフェニル)−1−ブテン、
    (Z)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−(4−メトキシフェニル)−2−フェニル−1−ブテン、
    (Z)−1−[4−[2−(メタンスルフォニル)エトキシ]フェニル]−1,2−ジフェニル−1−ブテン、
    (Z)−1−(4−ハイドロキシフェニル)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−2−(4−メトキシフェニル)−1−ブテン、
    (E)−1−(4−アセトキシフェニル)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−2−フェニル−1−ブテン、
    (Z)−2−[4−(2−ハイドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]−1−(4−ハイドロキシフェニル)−1−[4−[2−(メチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−ブテン、
    (E)−1−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−2−フェニル−1−ブテン、
    (E)−4−[1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−2−(4−イソプロピルフェニル)−1−ブテニル]フェニル モノホスフェート、
    4−[1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−2−(4−エトキシフェニル)−1−ブテニル]フェニル モノホスフェート、
    (Z)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−エチルフェニル)−1−ブテン、
    (Z)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−イソプロピルフェニル)−1−ブテン、
    (Z)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ブテン、
    (Z)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−ブテン、
    又は(E)−1−1−[4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]−1−[4−(4−ニトロベンジルオキシ)フェニル]−2−フェニル−1−ブテン及びこれらの製薬上許容される塩である請求項7又は9記載のBCRP阻害剤。
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JP2009516695A (ja) * 2005-11-22 2009-04-23 スミスクライン ビーチャム コーポレーション 化合物

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