JP2004123333A - エレベータのガイド装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】固定部材に摺動係合するシュー部材の摩耗状態を効率よく、かつ安価に点検できるエレベータのガイド装置の提供。
【解決手段】昇降路内に立設されるガイドレール2と、乗かごに取付けられ、ガイドレール2に摺動係合するガイドシュー3とを有し、このガイドシュー3の内部に、ガイドシュー3の磨耗に応じて露出する空洞部6を形成し、この空洞部6に粘着材7を充填した。これにより、ガイドシュー3の磨耗に応じてガイドレール2に向けて空洞部6から粘着材7が放出されるので、ガイドレール2とガイドシュー3間で摺動音が発生することによりガイドシュー3の磨耗を報知する。
【選択図】 図1
【解決手段】昇降路内に立設されるガイドレール2と、乗かごに取付けられ、ガイドレール2に摺動係合するガイドシュー3とを有し、このガイドシュー3の内部に、ガイドシュー3の磨耗に応じて露出する空洞部6を形成し、この空洞部6に粘着材7を充填した。これにより、ガイドシュー3の磨耗に応じてガイドレール2に向けて空洞部6から粘着材7が放出されるので、ガイドレール2とガイドシュー3間で摺動音が発生することによりガイドシュー3の磨耗を報知する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定部材に摺動係合するシュー部材を有するエレベータのガイド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレベータのガイド装置、例えば乗かごガイド装置では、乗かごの四方に設けられたガイドシューがガイドレールに摺動係合することにより、乗かごがガイドレールに沿って走行するよう乗かごの走行位置を決めている。そして、前記のガイドシューはガイドレールと摺動していることから、ガイドシューの当接面が摩耗してガイドレールとガイドシューとの隙間が発生するため、この隙間により乗かごの位置決め精度が悪化してしまう。この場合、乗かごの乗心地に影響するばかりか、乗かごとガイドレールとの位置関係が変わってしまい乗かごの非常止装置等の性能にも影響を与えることから、ガイドシューの摩耗状態を定期的に点検する必要がある。
【0003】
そこで従来、電気的な検出端子や出力信号の検出手段を備え、ガイドシューの摩耗状態を点検する乗かごガイド装置の摩耗検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、エレベータドアのガイド装置では、ドアの下端に設けられたドアシューが、乗場床またはかご床に固定されているドア敷居に摺動係合することにより、ドアがドア敷居に沿って閑閉するようドアの位置決めを行っている。そして、前記のドアシューはドア敷居と摺動していることから、ドアシューの当接面が摩耗してドア敷居とドアシューとの隙間が拡大するため、ドアの位置決め精度が悪化してしまう。この場合、ドアの開閉動作がスムーズに行われなくなるばかりか、ドアとドア回りの三方枠との位置関係が変わってしまいドアと三方枠との間に手を挟まれる可能性もあることから、ドアシューの磨耗状態を定期的に点検する必要がある。
【0005】
そこで従来、ドア敷居とドア下端の範囲にてドアシューの摩耗状態を目視点検することができるエレベータドアのガイド装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−71372号公報
(段落番号0018〜0031、図1〜7)
【0007】
【特許文献2】
特開平7−101654号公報
(段落番号0013〜0020、図1〜6)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の乗かごガイド装置の摩耗検出装置では、電気的な検出端子や出力信号の検出手段が必要なことから、摩耗したガイドシューの交換の作業効率が悪いだけでなく、装置費用がかかることから経済的にも問題がある。
【0009】
また、上述した従来のエレベータドアのガイド装置では、ドア敷居とドア下端の比較的狭い範囲においてドアシューを目視点検しなければならずドアシュー点検時の作業効率が悪いという問題がある。
【0010】
本発明は、上述した従来技術における実情に鑑みてなされたもので、その目的は、固定部材に摺動係合するシュー部材の摩耗状態を効率よく、かつ安価に点検することのできるエレベータのガイド装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る発明は、エレベータの所定箇所に固定される固定部材と、この固定部材に摺動係合するシュー部材とを有するエレベータのガイド装置において、前記シュー部材の内部に、このシュー部材が磨耗するに応じて前記シュー部材の表面より露出するよう空洞部を形成するとともに、この空洞部に粘着材を充填した構成にしてある。
【0012】
このように構成した請求項1に係る発明では、シュー部材が磨耗したとき、シュー部材の内部に形成される空洞部が露出し、この空洞部内に充填される粘着材が空洞部内より固定部材に向けて放出される。そして、この放出された粘着材は固定部材とシュー部材との間の粘着力を増加させるので、シュー部材が固定部材に摺動係合する際に粘着してシュー部材と固定部材間で比較的大きな摺動音が発生する。また、従来のように電気的な検出端子や出力信号の検出手段を設ける必要がない。これによって、前記の摺動音にてシュー部材の磨耗状態を効率よく、かつ安価に点検することができる。
【0013】
また本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記固定部材は、エレベータの昇降路内に立設されるガイドレールであり、前記シュー部材は、前記ガイドレールに摺動係合し前記乗かごが前記ガイドレールに沿って昇降するよう案内するガイドシューで構成されている。
【0014】
このように構成した請求項2に係る発明では、ガイドシューが磨耗したなら、ガイドシュー内部に形成される空洞部が露出し、この空洞部内に充填していた粘着材が空洞部内からガイドレールに向けて放出される。そして、この放出された粘着材によりガイドレールとガイドシューとの間の粘着力が増加し、ガイドレールがガイドシューと摺動する際にガイドレールとガイドシューとの間で比較的大きな摺動音が発生することから、この摺動音によってガイドシューの磨耗状態が効率よく点検可能となる。
【0015】
また本発明の請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記固定部材は、エレベータのドア敷居であり、前記シュー部材は、前記ドア敷居に摺動係合しドア下端が前記ドア敷居に沿って開閉するよう案内するドアシューで構成されている。
【0016】
このように構成した請求項3に係る発明では、ドアシューが磨耗したなら、ドアシュー内部に形成される空洞部が露出し、この空洞部内に充填していた粘着材が空洞部内からドア敷居に向けて放出される。そして、この放出された粘着材によりドア敷居とドアシューとの間の粘着力が増加し、ドア敷居がドアシューと摺動する際にドア敷居とドアシューの間で比較的大きな摺動音が発生することから、この摺動音によってドアシューの磨耗状態が効率よく点検可能となる。
【0017】
また本発明の請求項4に係る発明では、請求項1〜請求項3のいずれかに係る発明において、前記空洞部が露出する位置は、前記シュー部材の交換を必要とする磨耗限界位置またはそれより手前とした構成にしてある。
【0018】
このように構成した請求項4に係る発明では、シュー部材が磨耗限界位置かそれより手前の位置まで磨耗したときに、空洞部が露出して粘着材が固定部材に向けて放出され、固定部材とシュー部材との間の粘着力が増加して比較的大きな摺動音が発生することから、シュー部材の交換時期を容易に知ることができ、ガイド装置の保守点検作業を効率化することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のエレベータのガイド装置の実施の形態を図に基づき説明する。
【0020】
図1は本発明の一実施形態に係る乗かごのガイド装置を示す横断面図、図2は図1のガイド装置に設けられるガイドシューが摩耗した状態を示す横断面図、図3は図1のガイド装置の側面図である。
【0021】
図1〜図3に示すエレベータは、図示しない昇降路の全行程に渡り昇降する乗かご1を有している。そして、本実施形態の乗かご1のガイド装置は、昇降路内に立設され、乗かご1を案内するガイドレール2と、このガイドレール2に当接し摺動係合するガイドシュー3と、このガイドシュー3を保持する保持部4と、この保持部4が取付けられ、乗かご1に固定されるブラケット5とを有している。
【0022】
上述したガイドシュー3の内部には、ガイドレール2との当接面に対して略垂直方向に延びる左右一対の空洞部6が設けられ、この空洞部6内に粘着材7が充填されている。空洞部6の一端6aはガイドレール2との当接面から所定間隔離れた位置、例えば、ガイドシュー3の磨耗限界位置またはそれより手前に配置されており、ガイドシュー3の磨耗に応じて表面より空洞部6が露出するようになっている。また、空洞部6の他端6bには、粘着材7を注入する開口が形成され、この開口は粘着材7の注入後に蓋8で閉塞されている。
【0023】
この実施形態にあっては、ガイドシュー3がガイドレール2と摺動していることから、エレベータを所定期間使用すると、例えば図2に示すようにガイドシュー3が徐々に摩耗し、空洞部6の一端6aが露出して粘着材7が空洞部6内からガイドレール2に向けて放出される。そして、この放出された粘着材7はガイドレール2とガイドシュー3との間の粘着力を増加させるので、ガイドシュー3がガイドレール2と摺動する際にガイドシュー3がガイドレール2に対して粘着し比較的大きな摺動音が発生する。
【0024】
このように構成した本実施形態では、ガイドシュー3の磨耗時にガイドレール2とガイドシュー3間で比較的大きな摺動音が発生するので、この摺動音によりエレベータを利用する乗客または保守員が、ガイドシュー3が所定量摩耗していることが判断でき、乗かご1内においてもガイドシュー3の磨耗状態を効率よく点検可能となる。
【0025】
また、本実施形態にあっては、従来のように電気的な検出端子や出力信号の検出手段を設ける必要がないことから、経済的なエレベータのガイド装置を提供することができる。
【0026】
また、本実施形態にあっては、図1に示す状態で空洞部6の一端6aがガイドシュー3の磨耗限界位置またはそれより手前に配置されているので、ガイドシュー3の交換時期を容易に知ることができ、ガイド装置の保守点検作業の効率化を図ることができる。
【0027】
なお、上記実施形態では、ガイドレール2によりエレベータの所定箇所に固定される固定部材が構成され、ガイドシュー3により固定部材に摺動係合するシュー部材が構成されている。
【0028】
次に、エレベータドアのガイド装置を例にとり、本発明の他の実施形態を図4〜図6に基づいて説明する。図4は本発明の他の実施形態に係るエレベータドアのガイド装置を示す縦断面図、図5は図4のガイド装置に設けられるドアシューの摺動状態を示す縦断面図、図6は図4のガイド装置に設けられるドアシューが磨耗した状態を示す縦断面図である。
【0029】
図4〜図6に示すエレベータドアは、ドアパネル11を有し、このドアパネル11の回りを囲うように三方枠12が配置されている。そして、本実施形態のエレベータドアのガイド装置は、ドアパネル11の移動方向に沿って案内溝13を有し、ドアパネル11の下端を案内するドア敷居14と、ドアパネル11の直下に配置され、ドア敷居14の案内溝13に係合するドアシュー15と、ドアパネル11の下端にビス16で固定され、ドアシュー15を保持する保持部17とを備えている。
【0030】
ドアシュー15には、ドア敷居14の案内溝13との当接面に対して略垂直方向に空洞部18が設けられ、この空洞部18内に粘着材19が充填されている。空洞部18の両端18a,18bは、それぞれドア敷居14の案内溝13との当接面から所定間隔離れた位置、例えばドアシュー15の交換を必要とする磨耗限界位置またはそれより手前の位置に配置されており、空洞部18の両端18a,18bは、ドアシュー15の磨耗に応じて表面より露出するようになっている。
【0031】
この実施形態にあっては、ドアパネル11が図4に示すように理想的な状態にある場合、ドアシュー15がドア敷居14の案内溝13内の中心にあり、ドアシュー15と案内溝13との間に間隔d1が形成されるとともに、三方枠12とドアパネル11との間に間隔δ1が形成されている。しかしながら、実際には図5に示すように、ドア敷居14の案内溝13内でドアシュー15がどちらかに片寄った状態になり、三方枠12とドアパネル11の間に前記の間隔δ1より大きい間隔δ2が形成される。
【0032】
この状態でドアパネル11の開閉時にドアシュー15がドア敷居14の案内溝13と摺動していることから、エレベータを所定期間使用すると、例えば図6に示すように、ドアシュー15のドア敷居14の案内溝13に当接している当接面が経年的に摩耗する。そして、三方枠12とドアパネル11との間に前記の間隔δ2より大きい間隔δ3が形成されたとき、ドアシュー15の空洞部18の一端18aが露出する。次いで、空洞部18内に充填される粘着材19が空洞部18内よりドア敷居14の案内溝13に向けて放出され、この放出された粘着材19によりドア敷居14の案内溝13とドアシュー15との間の粘着力が増加し、ドアシュー15がドア敷居14の案内溝13と摺動する際にドア敷居14の案内溝13とドアシュー15間で比較的大きな摺動音が発生する。
【0033】
このように構成した本実施形態では、ドアシュー15の磨耗時に、空洞部18内から放出された粘着材19によりドアシュー15とドア敷居14間で比較的大きな摺動音を発生するので、この摺動音によりエレベータを利用する乗客または保守員が乗かご1または乗場においても立ったままの状態でドアシュー15が所定量摩耗していることが判断でき、ドアシュー15の磨耗状態を効率よく点検することができる。
【0034】
また、本実施形態にあっては、従来のように電気的な検出端子や出力信号の検出手段を設ける必要がないことから、経済的なエレベータのガイド装置を提供することができる。
【0035】
また、本実施形態にあっては、空洞部18の両端18a,18bをそれぞれドアシュー15の交換を必要とする磨耗限界位置またはそれより手前の位置に配置したので、ドアシュー15の交換時期を容易に知ることができ、ガイド装置の保守点検作業の効率化を図ることができる。
【0036】
なお、上記実施形態では、ドア敷居14によりエレベータの所定箇所に固定される固定部材が構成され、ドアシュー15により固定部材に摺動係合するシュー部材が構成されている。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、固定部材に固定部材に摺動係合するシュー部材の摩耗状態を効率よく、かつ安価に点検可能なエレベータのガイド装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る乗かごのガイド装置を示す横断面図である。
【図2】図1のガイド装置に設けられるガイドシューが摩耗した状態を示す横断面図である。
【図3】図1のガイド装置の側面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係るエレベータドアのガイド装置を示す縦断面図である。
【図5】図4のガイド装置に設けられるドアシューの摺動状態を示す縦断面図である。
【図6】図4のガイド装置に設けられるドアシューが磨耗した状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 乗かご
2 ガイドレール(固定部材)
3 ガイドシュー(シュー部材)
6 空洞部
7 粘着材
13 案内溝
14 ドア敷居(固定部材)
15 ドアシュー(シュー部材)
19 粘着材
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定部材に摺動係合するシュー部材を有するエレベータのガイド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレベータのガイド装置、例えば乗かごガイド装置では、乗かごの四方に設けられたガイドシューがガイドレールに摺動係合することにより、乗かごがガイドレールに沿って走行するよう乗かごの走行位置を決めている。そして、前記のガイドシューはガイドレールと摺動していることから、ガイドシューの当接面が摩耗してガイドレールとガイドシューとの隙間が発生するため、この隙間により乗かごの位置決め精度が悪化してしまう。この場合、乗かごの乗心地に影響するばかりか、乗かごとガイドレールとの位置関係が変わってしまい乗かごの非常止装置等の性能にも影響を与えることから、ガイドシューの摩耗状態を定期的に点検する必要がある。
【0003】
そこで従来、電気的な検出端子や出力信号の検出手段を備え、ガイドシューの摩耗状態を点検する乗かごガイド装置の摩耗検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、エレベータドアのガイド装置では、ドアの下端に設けられたドアシューが、乗場床またはかご床に固定されているドア敷居に摺動係合することにより、ドアがドア敷居に沿って閑閉するようドアの位置決めを行っている。そして、前記のドアシューはドア敷居と摺動していることから、ドアシューの当接面が摩耗してドア敷居とドアシューとの隙間が拡大するため、ドアの位置決め精度が悪化してしまう。この場合、ドアの開閉動作がスムーズに行われなくなるばかりか、ドアとドア回りの三方枠との位置関係が変わってしまいドアと三方枠との間に手を挟まれる可能性もあることから、ドアシューの磨耗状態を定期的に点検する必要がある。
【0005】
そこで従来、ドア敷居とドア下端の範囲にてドアシューの摩耗状態を目視点検することができるエレベータドアのガイド装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−71372号公報
(段落番号0018〜0031、図1〜7)
【0007】
【特許文献2】
特開平7−101654号公報
(段落番号0013〜0020、図1〜6)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の乗かごガイド装置の摩耗検出装置では、電気的な検出端子や出力信号の検出手段が必要なことから、摩耗したガイドシューの交換の作業効率が悪いだけでなく、装置費用がかかることから経済的にも問題がある。
【0009】
また、上述した従来のエレベータドアのガイド装置では、ドア敷居とドア下端の比較的狭い範囲においてドアシューを目視点検しなければならずドアシュー点検時の作業効率が悪いという問題がある。
【0010】
本発明は、上述した従来技術における実情に鑑みてなされたもので、その目的は、固定部材に摺動係合するシュー部材の摩耗状態を効率よく、かつ安価に点検することのできるエレベータのガイド装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る発明は、エレベータの所定箇所に固定される固定部材と、この固定部材に摺動係合するシュー部材とを有するエレベータのガイド装置において、前記シュー部材の内部に、このシュー部材が磨耗するに応じて前記シュー部材の表面より露出するよう空洞部を形成するとともに、この空洞部に粘着材を充填した構成にしてある。
【0012】
このように構成した請求項1に係る発明では、シュー部材が磨耗したとき、シュー部材の内部に形成される空洞部が露出し、この空洞部内に充填される粘着材が空洞部内より固定部材に向けて放出される。そして、この放出された粘着材は固定部材とシュー部材との間の粘着力を増加させるので、シュー部材が固定部材に摺動係合する際に粘着してシュー部材と固定部材間で比較的大きな摺動音が発生する。また、従来のように電気的な検出端子や出力信号の検出手段を設ける必要がない。これによって、前記の摺動音にてシュー部材の磨耗状態を効率よく、かつ安価に点検することができる。
【0013】
また本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記固定部材は、エレベータの昇降路内に立設されるガイドレールであり、前記シュー部材は、前記ガイドレールに摺動係合し前記乗かごが前記ガイドレールに沿って昇降するよう案内するガイドシューで構成されている。
【0014】
このように構成した請求項2に係る発明では、ガイドシューが磨耗したなら、ガイドシュー内部に形成される空洞部が露出し、この空洞部内に充填していた粘着材が空洞部内からガイドレールに向けて放出される。そして、この放出された粘着材によりガイドレールとガイドシューとの間の粘着力が増加し、ガイドレールがガイドシューと摺動する際にガイドレールとガイドシューとの間で比較的大きな摺動音が発生することから、この摺動音によってガイドシューの磨耗状態が効率よく点検可能となる。
【0015】
また本発明の請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記固定部材は、エレベータのドア敷居であり、前記シュー部材は、前記ドア敷居に摺動係合しドア下端が前記ドア敷居に沿って開閉するよう案内するドアシューで構成されている。
【0016】
このように構成した請求項3に係る発明では、ドアシューが磨耗したなら、ドアシュー内部に形成される空洞部が露出し、この空洞部内に充填していた粘着材が空洞部内からドア敷居に向けて放出される。そして、この放出された粘着材によりドア敷居とドアシューとの間の粘着力が増加し、ドア敷居がドアシューと摺動する際にドア敷居とドアシューの間で比較的大きな摺動音が発生することから、この摺動音によってドアシューの磨耗状態が効率よく点検可能となる。
【0017】
また本発明の請求項4に係る発明では、請求項1〜請求項3のいずれかに係る発明において、前記空洞部が露出する位置は、前記シュー部材の交換を必要とする磨耗限界位置またはそれより手前とした構成にしてある。
【0018】
このように構成した請求項4に係る発明では、シュー部材が磨耗限界位置かそれより手前の位置まで磨耗したときに、空洞部が露出して粘着材が固定部材に向けて放出され、固定部材とシュー部材との間の粘着力が増加して比較的大きな摺動音が発生することから、シュー部材の交換時期を容易に知ることができ、ガイド装置の保守点検作業を効率化することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のエレベータのガイド装置の実施の形態を図に基づき説明する。
【0020】
図1は本発明の一実施形態に係る乗かごのガイド装置を示す横断面図、図2は図1のガイド装置に設けられるガイドシューが摩耗した状態を示す横断面図、図3は図1のガイド装置の側面図である。
【0021】
図1〜図3に示すエレベータは、図示しない昇降路の全行程に渡り昇降する乗かご1を有している。そして、本実施形態の乗かご1のガイド装置は、昇降路内に立設され、乗かご1を案内するガイドレール2と、このガイドレール2に当接し摺動係合するガイドシュー3と、このガイドシュー3を保持する保持部4と、この保持部4が取付けられ、乗かご1に固定されるブラケット5とを有している。
【0022】
上述したガイドシュー3の内部には、ガイドレール2との当接面に対して略垂直方向に延びる左右一対の空洞部6が設けられ、この空洞部6内に粘着材7が充填されている。空洞部6の一端6aはガイドレール2との当接面から所定間隔離れた位置、例えば、ガイドシュー3の磨耗限界位置またはそれより手前に配置されており、ガイドシュー3の磨耗に応じて表面より空洞部6が露出するようになっている。また、空洞部6の他端6bには、粘着材7を注入する開口が形成され、この開口は粘着材7の注入後に蓋8で閉塞されている。
【0023】
この実施形態にあっては、ガイドシュー3がガイドレール2と摺動していることから、エレベータを所定期間使用すると、例えば図2に示すようにガイドシュー3が徐々に摩耗し、空洞部6の一端6aが露出して粘着材7が空洞部6内からガイドレール2に向けて放出される。そして、この放出された粘着材7はガイドレール2とガイドシュー3との間の粘着力を増加させるので、ガイドシュー3がガイドレール2と摺動する際にガイドシュー3がガイドレール2に対して粘着し比較的大きな摺動音が発生する。
【0024】
このように構成した本実施形態では、ガイドシュー3の磨耗時にガイドレール2とガイドシュー3間で比較的大きな摺動音が発生するので、この摺動音によりエレベータを利用する乗客または保守員が、ガイドシュー3が所定量摩耗していることが判断でき、乗かご1内においてもガイドシュー3の磨耗状態を効率よく点検可能となる。
【0025】
また、本実施形態にあっては、従来のように電気的な検出端子や出力信号の検出手段を設ける必要がないことから、経済的なエレベータのガイド装置を提供することができる。
【0026】
また、本実施形態にあっては、図1に示す状態で空洞部6の一端6aがガイドシュー3の磨耗限界位置またはそれより手前に配置されているので、ガイドシュー3の交換時期を容易に知ることができ、ガイド装置の保守点検作業の効率化を図ることができる。
【0027】
なお、上記実施形態では、ガイドレール2によりエレベータの所定箇所に固定される固定部材が構成され、ガイドシュー3により固定部材に摺動係合するシュー部材が構成されている。
【0028】
次に、エレベータドアのガイド装置を例にとり、本発明の他の実施形態を図4〜図6に基づいて説明する。図4は本発明の他の実施形態に係るエレベータドアのガイド装置を示す縦断面図、図5は図4のガイド装置に設けられるドアシューの摺動状態を示す縦断面図、図6は図4のガイド装置に設けられるドアシューが磨耗した状態を示す縦断面図である。
【0029】
図4〜図6に示すエレベータドアは、ドアパネル11を有し、このドアパネル11の回りを囲うように三方枠12が配置されている。そして、本実施形態のエレベータドアのガイド装置は、ドアパネル11の移動方向に沿って案内溝13を有し、ドアパネル11の下端を案内するドア敷居14と、ドアパネル11の直下に配置され、ドア敷居14の案内溝13に係合するドアシュー15と、ドアパネル11の下端にビス16で固定され、ドアシュー15を保持する保持部17とを備えている。
【0030】
ドアシュー15には、ドア敷居14の案内溝13との当接面に対して略垂直方向に空洞部18が設けられ、この空洞部18内に粘着材19が充填されている。空洞部18の両端18a,18bは、それぞれドア敷居14の案内溝13との当接面から所定間隔離れた位置、例えばドアシュー15の交換を必要とする磨耗限界位置またはそれより手前の位置に配置されており、空洞部18の両端18a,18bは、ドアシュー15の磨耗に応じて表面より露出するようになっている。
【0031】
この実施形態にあっては、ドアパネル11が図4に示すように理想的な状態にある場合、ドアシュー15がドア敷居14の案内溝13内の中心にあり、ドアシュー15と案内溝13との間に間隔d1が形成されるとともに、三方枠12とドアパネル11との間に間隔δ1が形成されている。しかしながら、実際には図5に示すように、ドア敷居14の案内溝13内でドアシュー15がどちらかに片寄った状態になり、三方枠12とドアパネル11の間に前記の間隔δ1より大きい間隔δ2が形成される。
【0032】
この状態でドアパネル11の開閉時にドアシュー15がドア敷居14の案内溝13と摺動していることから、エレベータを所定期間使用すると、例えば図6に示すように、ドアシュー15のドア敷居14の案内溝13に当接している当接面が経年的に摩耗する。そして、三方枠12とドアパネル11との間に前記の間隔δ2より大きい間隔δ3が形成されたとき、ドアシュー15の空洞部18の一端18aが露出する。次いで、空洞部18内に充填される粘着材19が空洞部18内よりドア敷居14の案内溝13に向けて放出され、この放出された粘着材19によりドア敷居14の案内溝13とドアシュー15との間の粘着力が増加し、ドアシュー15がドア敷居14の案内溝13と摺動する際にドア敷居14の案内溝13とドアシュー15間で比較的大きな摺動音が発生する。
【0033】
このように構成した本実施形態では、ドアシュー15の磨耗時に、空洞部18内から放出された粘着材19によりドアシュー15とドア敷居14間で比較的大きな摺動音を発生するので、この摺動音によりエレベータを利用する乗客または保守員が乗かご1または乗場においても立ったままの状態でドアシュー15が所定量摩耗していることが判断でき、ドアシュー15の磨耗状態を効率よく点検することができる。
【0034】
また、本実施形態にあっては、従来のように電気的な検出端子や出力信号の検出手段を設ける必要がないことから、経済的なエレベータのガイド装置を提供することができる。
【0035】
また、本実施形態にあっては、空洞部18の両端18a,18bをそれぞれドアシュー15の交換を必要とする磨耗限界位置またはそれより手前の位置に配置したので、ドアシュー15の交換時期を容易に知ることができ、ガイド装置の保守点検作業の効率化を図ることができる。
【0036】
なお、上記実施形態では、ドア敷居14によりエレベータの所定箇所に固定される固定部材が構成され、ドアシュー15により固定部材に摺動係合するシュー部材が構成されている。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、固定部材に固定部材に摺動係合するシュー部材の摩耗状態を効率よく、かつ安価に点検可能なエレベータのガイド装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る乗かごのガイド装置を示す横断面図である。
【図2】図1のガイド装置に設けられるガイドシューが摩耗した状態を示す横断面図である。
【図3】図1のガイド装置の側面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係るエレベータドアのガイド装置を示す縦断面図である。
【図5】図4のガイド装置に設けられるドアシューの摺動状態を示す縦断面図である。
【図6】図4のガイド装置に設けられるドアシューが磨耗した状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 乗かご
2 ガイドレール(固定部材)
3 ガイドシュー(シュー部材)
6 空洞部
7 粘着材
13 案内溝
14 ドア敷居(固定部材)
15 ドアシュー(シュー部材)
19 粘着材
Claims (4)
- エレベータの所定箇所に固定される固定部材と、この固定部材に摺動係合するシュー部材とを有するエレベータのガイド装置において、
前記シュー部材の内部に、このシュー部材が磨耗するに応じて前記シュー部材の表面より露出するよう空洞部を形成するとともに、この空洞部に粘着材を充填したことを特徴とするエレベータのガイド装置。 - 請求項1に記載のエレベータのガイド装置において、前記固定部材は、エレベータの昇降路内に立設されるガイドレールであり、前記シュー部材は、前記ガイドレールに摺動係合し前記乗かごが前記ガイドレールに沿って昇降するよう案内するガイドシューであることを特徴とするエレベータのガイド装置。
- 請求項1に記載のエレベータのガイド装置において、前記固定部材は、エレベータのドア敷居であり、前記シュー部材は、前記ドア敷居に摺動係合しドア下端が前記ドア敷居に沿って開閉するよう案内するドアシューであることを特徴とするエレベータのガイド装置。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のエレベータのガイド装置において、前記空洞部が露出する位置は、前記シュー部材の交換を必要とする磨耗限界位置またはそれより手前としたことを特徴とするエレベータのガイド装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002291300A JP2004123333A (ja) | 2002-10-03 | 2002-10-03 | エレベータのガイド装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002291300A JP2004123333A (ja) | 2002-10-03 | 2002-10-03 | エレベータのガイド装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004123333A true JP2004123333A (ja) | 2004-04-22 |
Family
ID=32282932
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002291300A Pending JP2004123333A (ja) | 2002-10-03 | 2002-10-03 | エレベータのガイド装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004123333A (ja) |
-
2002
- 2002-10-03 JP JP2002291300A patent/JP2004123333A/ja active Pending
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