JP2004123024A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ギヤ精度を低下させることなく耐磨耗性及び曲げ強度を向上させた電動パワーステアリング装置を提供すること。
【解決手段】電動パワーステアリング装置は、ラック軸1を取り巻くボールスクリュウナット3と、複数のギヤ(2a、6a)を備えた回転減速手段を介して該ボールスクリュウナット3を回転させる動力補助用電動モータ5とを備えており、該ギヤ(2a、6a)の内の少なくとも一つの少なくとも噛合い面(例えば、2a)はNi−Pを主成分とするメッキ硬化処理が施されている。
【選択図】 図3
【解決手段】電動パワーステアリング装置は、ラック軸1を取り巻くボールスクリュウナット3と、複数のギヤ(2a、6a)を備えた回転減速手段を介して該ボールスクリュウナット3を回転させる動力補助用電動モータ5とを備えており、該ギヤ(2a、6a)の内の少なくとも一つの少なくとも噛合い面(例えば、2a)はNi−Pを主成分とするメッキ硬化処理が施されている。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用の電動パワーステアリング装置に関し、特に、ボールスクリューナットによる減速方式を採用した電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両のステアリング装置(舵取装置)には、手動式と動力補助式のものがあり、後者は、手動による操舵力を何らかの動力で補助することで手動力を軽減するものである。この動力補助式のステアリング装置には電気式と油圧式のものがある。前者の電気式のものは電動パワーステアリング装置と呼ばれ、この内、ボールスクリューナットを用いた減速機構付きの電動パワーステアリング装置が開示されている。その構成は、電動モータにモータ軸と同一軸線に第1歯車が連結されており、これと噛合うボールスクリューナットと一体の第2歯車がナットと共に回転自在に支持されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特公平6−504号公報(第2頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の上記ボールスクリュー式の電動パワーステアリング装置においては、第1歯車、第2歯車、及びボールスクリューナットのように、歯車同士を組み合わせた減速機構を採用しているため、噛合せの歯面は高い耐磨耗性及び曲げ強度を満足させるため硬化処理が必要とされると共に、伝達効率の向上や作動音対策のため高いギヤ精度が要求される。硬化処理を行う一般的な方法としては浸炭焼入れ等の熱処理や各種窒化処理があるが、ギヤ加工後に熱処理または窒化処理を行うと熱変形によりギヤ精度が低下してしまうという問題がある。また、熱処理の場合、研磨、超硬ホブ等による仕上げ加工を行うことによりギヤ精度を確保することができるが、非常に高価になってしまい量産性が低いといった問題がある。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、ギヤ精度を低下させることなく耐磨耗性及び曲げ強度を向上させることができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、ステアリングホイールに連結されステアリングホイールと共に回転する回転軸手段と、
操向車輪の操舵を行うために反対方向に直線運動可能な長尺部材と、
前記回転軸手段及び前記長尺部材と駆動的に連結されており、前記回転軸手段にしたがって回転するピニオンギヤと、前記長尺部材の第1の軸方向位置に設けられ、このピニオンギヤに噛合うラックギヤとから成るラック及びピニオン手段と、
前記長尺部材の第2の軸方向位置に設けられたねじ手段と、このねじ手段の少なくとも一部を取り巻くナット手段と、前記ねじ手段と前記ナット手段との間に介装された多数のボールとから成るボールスクリュー手段と、
前記長尺部材とは軸線を異にして配置された電動モータユニットと、
この電動モータユニットの出力軸の回転を減速して前記ボールスクリュー手段のナット手段に伝達するために、少なくとも2つの噛合い要素を備えた噛合い式回転減速手段とを具備した電動パワーステアリング装置において、
前記回転減速手段の前記要素のうち、少なくとも一つの要素の、他の要素との接触部分には、硬化被膜が形成されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置を提供する。
また、本発明の電動パワーステアリング装置では、前記硬化被膜は、Ni−Pが主成分であることが好ましい。
【0007】
上記のように構成されたことにより、ギヤ精度を低下させることなく耐磨耗性及び曲げ強度を向上させることができる。また、噛合せ歯面の精度及び硬度が維持できる。このため、2つの噛合い要素の接触時の振動が少なくなり、回転減速手段の駆動時の作動音の発生や、これら要素間の隙間による叩き音の発生が防止できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る電動パワーステアリング装置の車室側部分を示した斜視図であり、図2は本発明に係る電動パワーステアリング装置の断面構成図であり、図3は回転減速手段のギヤ配置を示す図2のB−B線に沿った断面図である。
【0009】
図1において、符号101で示した部材は、ステアリングコラムであり、アッパステアリングシャフト103を回転自在に支持している。アッパステアリングシャフト103には、その上端にステアリングホイール105が装着される一方、下端にユニバーサルジョイント107を介してロアステアリングシャフト109が連結されている。ロアステアリングシャフト109には、その下端に更にラック&ピニオン機構やパワーアシスト機構等からなるステアリングギヤ111が連結されている。図1中、符号113はステアリングコラム101を覆うコラムカバーを示し、符号15、15はステアリングギヤ111の左右端に連結されたタイロッドをそれぞれ示している。
【0010】
図2において、電動モータユニットであるブラシレス電動モータ5の出力回転軸の同一軸線上該出力回転軸とは別体の軸12(図3参照)にピニオンギヤ6が固定され、このピニオンギヤ6に減速ギヤ2が噛合っている。
【0011】
減速ギヤ2はナット状のボールスクリューナット3に外嵌固定、又はこれと一体的に形成されている。ボールスクリューナット3はハウジング7に対してベアリング8、8及びナットダンパ13を介して回転自在に支持されており、ラック軸1を内嵌して、すなわち取り巻いて設けてある。ラック軸1には、ボールスクリューナット3の螺条溝3aと剛体のボール4を介して間接的に係合する螺条溝1bが形成されている。すなわち、このボールスクリューナット3とラック軸1とは、螺条溝3aと螺条溝1bの谷部に回転自在に嵌合する多数のボール4を介して間接的に係合しており、螺条溝1bの軸方向の一部にボールスクリューナット3が外嵌している。ボールスクリューナット3とボール4により公知のいわゆるボールスクリュー又はボールねじを構成している。ピニオンギヤ6、減速ギヤ2、及びボールスクリューナット3により回転減速手段が、螺条溝1b、ボールスクリューナット3及びボール4によりボールスクリュー手段がそれぞれ構成されている。ハウジング7の一端部にはラックストロークダンパ14が配設され、ラックエンドでハウジング7とボールジョイント9が衝突した際のエネルギーを散逸するようになっている。
【0012】
上記電動モータ5は、固定子(図示しない)、回転軸を有する回転子(図示しない)等から成っており、本実施形態の場合、ラック軸1と略平行な軸線方向に配置されている。電動モータ5は設置空間に応じて適宜傾けて配置しても良い。ラック軸1の一端部はボールジョイント9を介してタイロッド15と連結されている。
【0013】
ラック軸1の図中、螺条溝1bの左側部分(先端部)にはラック1aが形成されている。このラック1aは、ステアリングホイール105にステアリングシャフト103及びユニバーサルジョイント107を介して連結されたロアステアリングシャフト109の下端部に連結されているピニオンシャフト10に外嵌固定されかつピニオンギヤボックス11内に内蔵されたピニオンギヤ(図示しない)と噛合っている。ロアステアリングシャフト109等とピニオンシャフト10により回転軸手段が、ラック1aとピニオンギヤによりラック及びピニオン手段がそれぞれ構成されている。ラック及びピニオン手段自体は、回転軸手段とラック軸1とを駆動的に連結する周知のものである。
【0014】
上記電動モータ5の回転軸に固定されたピニオンギヤ6の歯部6aと減速ギヤ2の歯部2aとが噛合い電動モータ5の駆動力を回転減速手段を介してラック軸1に伝達している。図3に示すように、減速ギヤ2の歯部2a全体若しくは歯車表面には、Ni−Pを主成分としたメッキによる硬化処理が施されている。この硬化処理によって、歯車表面にはNi−Pを主成分とした高硬度の被膜が形成される。
【0015】
本発明によるNi−Pを主成分としたメッキによる硬化処理では、熱処理若しくは窒化処理より低い熱処理温度で要求される歯面硬度が確保でき、熱変形等に起因するギヤ精度の低下を生じることなく耐磨耗性及び曲げ強度を向上させることができる。また、Ni−Pを主成分としたメッキによる硬化処理では、研磨、超硬ホブ等が不要であるため、より安価な工程設定を組むことができる。
【0016】
上記構成における電動パワーステアリング装置の動作について簡単に説明する。運転者がステアリングホイール105に加えるトルク、若しくは車速等の情報に基づいて電動モータ5を制御するが、その制御回路に関する詳細な説明は本発明と直接関係がないため省略する。
【0017】
制御装置は検出されたトルクや車速に応じた好適な補助力が得られるよう電動モータ5の出力を制御する。電動モータ5の回転軸とピニオンギヤ6の軸は結合されている。この場合、ピニオンギヤ6の回転が減速ギヤ2を介してボールスクリューナット3に伝達されてボールスクリューナット3を回転させ、この回転によりラック軸1が矢印Aのいずれかの方向に駆動されることにより操向車輪の操舵が行われる。この際のラック軸1が受ける負荷に応じたステアリングシャフト103のトルク、及び車速が検出され、これらの検出値に応じて電動モータ5の出力が制御されることにより、手動操舵力に電動補助力が適宜加えられる。
【0018】
本実施の形態では、電動モータ5のピニオンギヤ6が減速ギヤ2と噛合う際、噛合い面のギヤ精度及び硬度がNi−Pを主成分としたメッキによる硬化処理により確保されているため、噛合い歯面で発生する振動は非常に少なくなる。また、噛合う歯と歯の隙間も高精度に維持できるため、ギヤ叩き音の発生も十分に防止される。
【0019】
尚、この実施形態では、減速ギヤ2の歯部2aのみをNi−Pを主成分としたメッキによる硬化処理を行っているが、この構成に限らず、減速ギヤ2と噛合うピニオンギヤ6の歯部6aのみか、あるいはその両方の歯部2a、6aをNi−Pを主成分としたメッキによる硬化処理を行っても良い。要するに、前記回転減速手段のギヤの内、少なくとも一つのギヤの、少なくとも他方のギヤと噛合う部分がNi−Pを主成分としたメッキによる硬化処理を行っていれていれば、所望の効果を期待することができる。
【0020】
尚、本実施の形態の説明では、歯部の硬化処理にNi−Pを主成分とするメッキによる硬化処理について説明しているが、主成分はNi−Pの限定されるものではない。また硬化処理法もメッキに限定されるものではない。すなわち、低温で所望の歯面硬度が得られる硬化処理であれば同様の効果が期待できる。また、ピニオンギヤ6、減速ギヤ2は、平歯車、ハスバ歯車、カサ歯車又はハイポイドギヤでも良い。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、回転減速手段の噛合い要素のうち、少なくとも一つの要素の他方の要素との接触部分を、Ni−Pを主成分としたメッキによる硬化処理を施すことによって、ギヤ精度を低下させることなく耐磨耗性及び曲げ強度を向上させた電動パワーステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動パワーステアリング装置の車室側部分を示した斜視図。
【図2】本発明に係る電動パワーステアリング装置の断面構成図。
【図3】回転減速手段のギヤ配置を示す図2のB−B断面図。
【符号の説明】
1 ラック軸
1a ラックギヤ
1b、3a 螺条溝
2 減速ギヤ
3 ボールスクリューナット
4 ボール
5 電動モータユニット
6 ピニオンギヤ(モータ側)
7 ハウジング
8 ベアリング
18 中間ギヤ
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用の電動パワーステアリング装置に関し、特に、ボールスクリューナットによる減速方式を採用した電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両のステアリング装置(舵取装置)には、手動式と動力補助式のものがあり、後者は、手動による操舵力を何らかの動力で補助することで手動力を軽減するものである。この動力補助式のステアリング装置には電気式と油圧式のものがある。前者の電気式のものは電動パワーステアリング装置と呼ばれ、この内、ボールスクリューナットを用いた減速機構付きの電動パワーステアリング装置が開示されている。その構成は、電動モータにモータ軸と同一軸線に第1歯車が連結されており、これと噛合うボールスクリューナットと一体の第2歯車がナットと共に回転自在に支持されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特公平6−504号公報(第2頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の上記ボールスクリュー式の電動パワーステアリング装置においては、第1歯車、第2歯車、及びボールスクリューナットのように、歯車同士を組み合わせた減速機構を採用しているため、噛合せの歯面は高い耐磨耗性及び曲げ強度を満足させるため硬化処理が必要とされると共に、伝達効率の向上や作動音対策のため高いギヤ精度が要求される。硬化処理を行う一般的な方法としては浸炭焼入れ等の熱処理や各種窒化処理があるが、ギヤ加工後に熱処理または窒化処理を行うと熱変形によりギヤ精度が低下してしまうという問題がある。また、熱処理の場合、研磨、超硬ホブ等による仕上げ加工を行うことによりギヤ精度を確保することができるが、非常に高価になってしまい量産性が低いといった問題がある。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、ギヤ精度を低下させることなく耐磨耗性及び曲げ強度を向上させることができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、ステアリングホイールに連結されステアリングホイールと共に回転する回転軸手段と、
操向車輪の操舵を行うために反対方向に直線運動可能な長尺部材と、
前記回転軸手段及び前記長尺部材と駆動的に連結されており、前記回転軸手段にしたがって回転するピニオンギヤと、前記長尺部材の第1の軸方向位置に設けられ、このピニオンギヤに噛合うラックギヤとから成るラック及びピニオン手段と、
前記長尺部材の第2の軸方向位置に設けられたねじ手段と、このねじ手段の少なくとも一部を取り巻くナット手段と、前記ねじ手段と前記ナット手段との間に介装された多数のボールとから成るボールスクリュー手段と、
前記長尺部材とは軸線を異にして配置された電動モータユニットと、
この電動モータユニットの出力軸の回転を減速して前記ボールスクリュー手段のナット手段に伝達するために、少なくとも2つの噛合い要素を備えた噛合い式回転減速手段とを具備した電動パワーステアリング装置において、
前記回転減速手段の前記要素のうち、少なくとも一つの要素の、他の要素との接触部分には、硬化被膜が形成されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置を提供する。
また、本発明の電動パワーステアリング装置では、前記硬化被膜は、Ni−Pが主成分であることが好ましい。
【0007】
上記のように構成されたことにより、ギヤ精度を低下させることなく耐磨耗性及び曲げ強度を向上させることができる。また、噛合せ歯面の精度及び硬度が維持できる。このため、2つの噛合い要素の接触時の振動が少なくなり、回転減速手段の駆動時の作動音の発生や、これら要素間の隙間による叩き音の発生が防止できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る電動パワーステアリング装置の車室側部分を示した斜視図であり、図2は本発明に係る電動パワーステアリング装置の断面構成図であり、図3は回転減速手段のギヤ配置を示す図2のB−B線に沿った断面図である。
【0009】
図1において、符号101で示した部材は、ステアリングコラムであり、アッパステアリングシャフト103を回転自在に支持している。アッパステアリングシャフト103には、その上端にステアリングホイール105が装着される一方、下端にユニバーサルジョイント107を介してロアステアリングシャフト109が連結されている。ロアステアリングシャフト109には、その下端に更にラック&ピニオン機構やパワーアシスト機構等からなるステアリングギヤ111が連結されている。図1中、符号113はステアリングコラム101を覆うコラムカバーを示し、符号15、15はステアリングギヤ111の左右端に連結されたタイロッドをそれぞれ示している。
【0010】
図2において、電動モータユニットであるブラシレス電動モータ5の出力回転軸の同一軸線上該出力回転軸とは別体の軸12(図3参照)にピニオンギヤ6が固定され、このピニオンギヤ6に減速ギヤ2が噛合っている。
【0011】
減速ギヤ2はナット状のボールスクリューナット3に外嵌固定、又はこれと一体的に形成されている。ボールスクリューナット3はハウジング7に対してベアリング8、8及びナットダンパ13を介して回転自在に支持されており、ラック軸1を内嵌して、すなわち取り巻いて設けてある。ラック軸1には、ボールスクリューナット3の螺条溝3aと剛体のボール4を介して間接的に係合する螺条溝1bが形成されている。すなわち、このボールスクリューナット3とラック軸1とは、螺条溝3aと螺条溝1bの谷部に回転自在に嵌合する多数のボール4を介して間接的に係合しており、螺条溝1bの軸方向の一部にボールスクリューナット3が外嵌している。ボールスクリューナット3とボール4により公知のいわゆるボールスクリュー又はボールねじを構成している。ピニオンギヤ6、減速ギヤ2、及びボールスクリューナット3により回転減速手段が、螺条溝1b、ボールスクリューナット3及びボール4によりボールスクリュー手段がそれぞれ構成されている。ハウジング7の一端部にはラックストロークダンパ14が配設され、ラックエンドでハウジング7とボールジョイント9が衝突した際のエネルギーを散逸するようになっている。
【0012】
上記電動モータ5は、固定子(図示しない)、回転軸を有する回転子(図示しない)等から成っており、本実施形態の場合、ラック軸1と略平行な軸線方向に配置されている。電動モータ5は設置空間に応じて適宜傾けて配置しても良い。ラック軸1の一端部はボールジョイント9を介してタイロッド15と連結されている。
【0013】
ラック軸1の図中、螺条溝1bの左側部分(先端部)にはラック1aが形成されている。このラック1aは、ステアリングホイール105にステアリングシャフト103及びユニバーサルジョイント107を介して連結されたロアステアリングシャフト109の下端部に連結されているピニオンシャフト10に外嵌固定されかつピニオンギヤボックス11内に内蔵されたピニオンギヤ(図示しない)と噛合っている。ロアステアリングシャフト109等とピニオンシャフト10により回転軸手段が、ラック1aとピニオンギヤによりラック及びピニオン手段がそれぞれ構成されている。ラック及びピニオン手段自体は、回転軸手段とラック軸1とを駆動的に連結する周知のものである。
【0014】
上記電動モータ5の回転軸に固定されたピニオンギヤ6の歯部6aと減速ギヤ2の歯部2aとが噛合い電動モータ5の駆動力を回転減速手段を介してラック軸1に伝達している。図3に示すように、減速ギヤ2の歯部2a全体若しくは歯車表面には、Ni−Pを主成分としたメッキによる硬化処理が施されている。この硬化処理によって、歯車表面にはNi−Pを主成分とした高硬度の被膜が形成される。
【0015】
本発明によるNi−Pを主成分としたメッキによる硬化処理では、熱処理若しくは窒化処理より低い熱処理温度で要求される歯面硬度が確保でき、熱変形等に起因するギヤ精度の低下を生じることなく耐磨耗性及び曲げ強度を向上させることができる。また、Ni−Pを主成分としたメッキによる硬化処理では、研磨、超硬ホブ等が不要であるため、より安価な工程設定を組むことができる。
【0016】
上記構成における電動パワーステアリング装置の動作について簡単に説明する。運転者がステアリングホイール105に加えるトルク、若しくは車速等の情報に基づいて電動モータ5を制御するが、その制御回路に関する詳細な説明は本発明と直接関係がないため省略する。
【0017】
制御装置は検出されたトルクや車速に応じた好適な補助力が得られるよう電動モータ5の出力を制御する。電動モータ5の回転軸とピニオンギヤ6の軸は結合されている。この場合、ピニオンギヤ6の回転が減速ギヤ2を介してボールスクリューナット3に伝達されてボールスクリューナット3を回転させ、この回転によりラック軸1が矢印Aのいずれかの方向に駆動されることにより操向車輪の操舵が行われる。この際のラック軸1が受ける負荷に応じたステアリングシャフト103のトルク、及び車速が検出され、これらの検出値に応じて電動モータ5の出力が制御されることにより、手動操舵力に電動補助力が適宜加えられる。
【0018】
本実施の形態では、電動モータ5のピニオンギヤ6が減速ギヤ2と噛合う際、噛合い面のギヤ精度及び硬度がNi−Pを主成分としたメッキによる硬化処理により確保されているため、噛合い歯面で発生する振動は非常に少なくなる。また、噛合う歯と歯の隙間も高精度に維持できるため、ギヤ叩き音の発生も十分に防止される。
【0019】
尚、この実施形態では、減速ギヤ2の歯部2aのみをNi−Pを主成分としたメッキによる硬化処理を行っているが、この構成に限らず、減速ギヤ2と噛合うピニオンギヤ6の歯部6aのみか、あるいはその両方の歯部2a、6aをNi−Pを主成分としたメッキによる硬化処理を行っても良い。要するに、前記回転減速手段のギヤの内、少なくとも一つのギヤの、少なくとも他方のギヤと噛合う部分がNi−Pを主成分としたメッキによる硬化処理を行っていれていれば、所望の効果を期待することができる。
【0020】
尚、本実施の形態の説明では、歯部の硬化処理にNi−Pを主成分とするメッキによる硬化処理について説明しているが、主成分はNi−Pの限定されるものではない。また硬化処理法もメッキに限定されるものではない。すなわち、低温で所望の歯面硬度が得られる硬化処理であれば同様の効果が期待できる。また、ピニオンギヤ6、減速ギヤ2は、平歯車、ハスバ歯車、カサ歯車又はハイポイドギヤでも良い。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、回転減速手段の噛合い要素のうち、少なくとも一つの要素の他方の要素との接触部分を、Ni−Pを主成分としたメッキによる硬化処理を施すことによって、ギヤ精度を低下させることなく耐磨耗性及び曲げ強度を向上させた電動パワーステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動パワーステアリング装置の車室側部分を示した斜視図。
【図2】本発明に係る電動パワーステアリング装置の断面構成図。
【図3】回転減速手段のギヤ配置を示す図2のB−B断面図。
【符号の説明】
1 ラック軸
1a ラックギヤ
1b、3a 螺条溝
2 減速ギヤ
3 ボールスクリューナット
4 ボール
5 電動モータユニット
6 ピニオンギヤ(モータ側)
7 ハウジング
8 ベアリング
18 中間ギヤ
Claims (2)
- ステアリングホイールに連結されステアリングホイールと共に回転する回転軸手段と、
操向車輪の操舵を行うために反対方向に直線運動可能な長尺部材と、
前記回転軸手段及び前記長尺部材と駆動的に連結されており、前記回転軸手段にしたがって回転するピニオンギヤと、前記長尺部材の第1の軸方向位置に設けられ、このピニオンギヤに噛合うラックギヤとから成るラック及びピニオン手段と、
前記長尺部材の第2の軸方向位置に設けられたねじ手段と、このねじ手段の少なくとも一部を取り巻くナット手段と、前記ねじ手段と前記ナット手段との間に介装された多数のボールとから成るボールスクリュー手段と、
前記長尺部材とは軸線を異にして配置された電動モータユニットと、
この電動モータユニットの出力軸の回転を減速して前記ボールスクリュー手段のナット手段に伝達するために、少なくとも2つの噛合い要素を備えた噛合い式回転減速手段とを具備した電動パワーステアリング装置において、
前記回転減速手段の前記要素のうち、少なくとも一つの要素の、他の要素との接触部分には、硬化被膜が形成されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記硬化被膜は、Ni−Pが主成分であることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002292828A JP2004123024A (ja) | 2002-10-04 | 2002-10-04 | 電動パワーステアリング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002292828A JP2004123024A (ja) | 2002-10-04 | 2002-10-04 | 電動パワーステアリング装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004123024A true JP2004123024A (ja) | 2004-04-22 |
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ID=32283967
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004123024A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110380572A (zh) * | 2019-08-07 | 2019-10-25 | 无锡艾尔特线性运动机械有限公司 | 电动推杆 |
-
2002
- 2002-10-04 JP JP2002292828A patent/JP2004123024A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110380572A (zh) * | 2019-08-07 | 2019-10-25 | 无锡艾尔特线性运动机械有限公司 | 电动推杆 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060110 |