JP2004122736A - 把手付き合成樹脂製壜体の成形法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】把手10をインサート材として、ポリエチレンテレフタレート樹脂製2軸延伸ブロー成形壜本体を胴部の後部に陥没設された凹部を有し、この凹部の凹部底面の中央部に縦突部を突出設した形状とし、把手を、起立姿勢で配置され、壜本体凹部底面へアンダーカット状に組付く一対の組付き梁片12の間に把手板11を連設した形状で、縦突条を形成する金型表面部分の、少なくとも左右端部を除く部分を予め粗面化したブロー割金型を用い、縦突部を形成する金型表面部分の左右端部と、前記一対の組付き梁片との間でアンダーカット部を形成するように、一対の左右の組付き梁片を縦突部の左右基端部となる位置近傍に位置させて、ブロー割金型内にセットした状態で、組み付き梁片の一部を壜本体へのインサート部として2軸延伸ブローする。
【選択図】 図7
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂性の把手をインサート材としてポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、PETと記す)製の壜本体を2軸延伸ブロー成形する、大型の把手付き合成樹脂製壜体の成形法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
予め一定形状に射出成形された把手をインサート材として、PET製壜本体を2軸延伸ブロー成形して構成される把手付き合成樹脂製壜体が、取扱いの便利な大型壜体として知られているが、この種の把手付き合成樹脂製壜体に使用される把手としては、特許文献1に示された把手、あるいはこの把手を改良した特許文献2に示された把手が、壜本体との安定して強固な組付きが確実に得られること、インサート材としての取扱いが容易であること等の理由によって、多数利用されている。
【0003】
この特許文献2に示された把手は、(以下、図1および図9〜図12参照)縦長板状の把手板11’の前方の先端面に嵌合突片15’を突設すると共に、相互に対向した側面に縦条状の係合突条16’を設けることにより、
壜本体1’へのアンダーカット状の強固な組付き部となる嵌合突部K’を形成した縦棒状の一対の組付き梁片12’を平行に配置し、把手板11’の上下端間に、両組付き梁片12’を、湾曲棒状の連結脚片12a’により、それぞれ架設状に連結した構成となっている。
【0004】
この図示した把手10’は、一対の組付き梁片12’が、壜本体1’の凹部3’の凹部底面4’に形成された縦突部5’を挟持するので、壜本体1’に対する把手10’の組付きが、安定して達成される。
【0005】
上記したような把手付き壜体はPETを射出成形したプリフォームP’をブロー成形型により壜本体1’にブロー成形する際に、予め射出成形により別体として成形された、たとえばポリプロピレン、PET等からなる把手10’を壜本体1’の胴部2’の後部に形成される把手取り付け用の凹部3’の凹部底面4’に同時にインサート成形を行って取り付けることにより得ることができる。
【0006】
上記インサート成形に際し、加熱により軟化したPET製プリフォームP’を、特には把手10’のインサート部であり、壜本体1’との組付き強度を発揮する嵌合突片15’および係合突条16’の形状に沿ってスムーズに変形させ、PETをこのインサート部の外周に沿って隙間なく回り込むようにさせることにより、壜本体1’と把手10’との高い組付き強度が得られる。
【0007】
【特許文献1】
特許第2998820号公報
【特許文献2】
特開2001−328636号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、酒、ジュースその他清涼飲料水等の分野では、より大型の容器へのニーズが高くなってきており、数リッター程度の大型容器で、落下衝撃等の厳しい条件下においても破損することがないように、把手の組付き強度のさらなる高強度化が課題となっている。
【0009】
射出成形あるいはダイレクトブロー成形法が溶融樹脂を流動させるように賦形するのに対し、2軸延伸ブロー成形法は比較的低温の軟化温度で延伸(膨張)変形させながら賦形するものであり、細かい構造を有する部位へのPETの回り込みは容易でないが、特に上記した把手付き壜体の場合、金型表面と把手インサート部との間隙で形成されるアンダーカット部へのPETの回り込みの良否が、組付き強度の大きさを決める重要な要素となり、このアンダーカット部における回り込み性の改良が大きな課題である。
【0010】
壜本体の容量が大きくなっても、注出性の面から、口部の口径を一定にするため、ブロー成形に際してプリフォームの口径も大きくすることなく一定にすることが多く、その結果、プリフォームからより離れた位置に把手のインサート部を配置することになり、プリフォームがインサート部に接触するまでの延伸により、PETが硬化するので、より大型の容器では上記した課題の解決はより重要なものとなっている。
【0011】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、把手のインサート部周縁、特には金型との間で形成されるアンダーカット部への樹脂の回り込み性の改良を技術的課題とし、もって、容量が数リッターに達する大形の容器に関しても安全性、取り扱い性に優れた合成樹脂製把手付き壜体の、成形法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決する本発明の内、請求項1記載の発明の手段は、
合成樹脂製の射出成形品である把手をインサート材として、ポリエチレンテレフタレート樹脂製の壜本体を2軸延伸ブロー成形する方法であること、
壜本体を胴部の後部に陥没設された凹部を有し、この凹部の凹部底面の中央部に縦突部を突出設した形状とすること、
把手を、起立姿勢で配置され、壜本体凹部底面へアンダーカット状に組付く一対の組付き梁片の間に把手板を連設した形状とすること、
把手を、起立姿勢で配置された一対の組付き梁片の間に把手板を連設した形状とすること、
縦突条を形成する金型表面部分の、少なくとも左右端部を除く部分を予め粗面化した、ブロー割金型を用いること、
縦突部を形成する金型表面部分の左右端部と、前記一対の組付き梁片との間でアンダーカット部を形成するように、一対の左右の組付き梁片を縦突部の左右基端部となる位置近傍に位置させて、ブロー割金型内にセットした状態で、組み付き梁片の一部を、壜本体へのインサート部として、2軸延伸ブローすること、
にある。
【0013】
エアブローにより膨張した軟化温度にあるPET製プリフォームは、左右に一対位置する組付き梁片の先端面あるいは対向側面に当接すると共に、その左右間の中央部分は壜本体の凹部底面の縦突部を形成する金型表面部分(以下、縦突部金型表面と記す。)の左右方向の中央に当接し、さらなる膨張変形によって、金型表面部分との接触部分を左右方向に拡大させながら変形し、最終的にPETがこの金型表面部分の左右端部と、組付き梁片との間で形成されるアンダーカット部に回り込むと推定される。
【0014】
請求項1記載の成形方法は上記推定を基に創案されたものであり、縦突部金型表面の少なくとも、左右端部を除く部分を予め粗面化したブロー割金型を用いることで、この金型表面部分に沿った軟化温度領域のPETの滑りを良くし、PETのスムーズな延伸(膨張)変形を達成できるものであり、その結果アンダーカット部へのPETの回り込みを十分に達成することができる。
【0015】
なお、縦突部金型表面のどの範囲まで粗面化するかは、組付き強度の改良効果と壜体側面からの透明性等に係わる外観性等のバランスを考えて選択することができる。
【0016】
請求項2記載の発明の手段は、請求項1記載の発明において、
把手を、起立姿勢で平行に配置された一対の組付き梁片の上下端間に把手板を一体設した形状とすること、
一対の組付き梁片を、壜本体の凹部底面へのアンダーカット状の強固な組付き部となる嵌合突部を突設した形状とすること、
縦突部を形成する金型表面部分の左右端部と、嵌合突部との間でアンダーカット部を形成するように、一対の左右の組付き梁片を縦突部の左右基端部となる位置近傍に位置させて、また嵌合突部の先端部をプリフォームの外周面に対向させて、把手をブロー割金型内にセットした状態で、嵌合突部を含む組み付き梁片の一部を、壜本体へのインサート部とすること、
にある。
【0017】
エアブローにより膨張した軟化温度にあるPET製プリフォームは、左右に一対位置する嵌合突部の先端面に当接すると共に、その左右間の中央部分は壜本体の凹部底面の縦突部を形成する縦突部金型表面の左右方向の中央に当接し、さらなる膨張変形によって、金型表面部分との接触部分を左右方向に拡大させながら変形し、最終的にPETがこの金型表面部分の左右端部と、嵌合突部との間で形成されるアンダーカット部に回り込むと推定される。
【0018】
請求項2記載の成形方法は上記推定を基に創案されたものであり、縦突部金型表面の少なくとも、左右端部を除く部分を予め粗面化したブロー割金型を用いることで、この金型表面部分に沿った軟化温度領域のPETの滑りを良くし、PETのスムーズな延伸(膨張)変形を達成できるものであり、その結果金型表面部分の左右端部と、嵌合突部との間で形成されるアンダーカット部へのPETの回り込みを十分に達成することができ、高い組付き強度を得ることが可能となる。
【0019】
請求項3記載の発明の手段は、請求項1または2記載の発明において、把手をポリエチレンテレフタレート樹脂製とすること、にある。
【0020】
請求項3記載の成形方法により、廃棄時における分別回収の取り扱いを容易とすることができ、全体を透明で外観の良い壜体とすることができる。
【0021】
請求項4記載の発明の手段は、請求項3記載の発明において、ブロー成形時に壜本体に接触する把手のインサート部の表面の略全体を予め粗面化すること、にある。
【0022】
ポリプロピレン製の把手に比較して、PET製の把手と、膨張変形するPET製プリフォームとの滑り性は良くないが、請求項3記載の成形方法により、相互の滑り性が良好となり、よりスムーズにプリフォームの膨張変形が達成できると共に、嵌合突部の外周へのPETの回り込みをより十分に達成することができる。
【0023】
請求項5記載の発明の手段は、請求項2、3または4記載の発明において、インサート部の一部である嵌合突部の表面を、角取りした円滑面とすること、にある。
【0024】
請求項5記載の発明の成形方法により、嵌合突部に接触した延伸変形中のプリフォームに対する引っ張り力の集中が、嵌合突部の表面が角取りした円滑面となっていることから、緩和され、これにより高い成形性を確保する。
【0025】
【0026】
請求項6記載の発明の成形方法により、PET製プリフォームが延伸されながら強力に押付けられる嵌合突部の表面を、細溝による凹凸にして両者間の接触摩擦抵抗を小さくすることにより、プリフォームの延伸変形をよりスムーズに、また嵌合突部外周へのPET回り込みをより十分に達成することができる。
【0027】
請求項7記載の発明の手段は、請求項2、3、4、5または6記載の発明において、嵌合突部を、一対の組付き梁片の対向側面と先端面とで形成されるコーナー部近傍に、直角を形成する一方の辺が対向側面から略垂直に、他方の辺が先端面から略垂直に突出するように、断面が略直角3角形状の嵌合突条を突設した構成とすること、にある。
【0028】
請求項7記載の成形方法に用いる把手の嵌合突条の構成は、把手をブロー割金型内にセットした際に嵌合突部の先端部をプリフォームの外周面により近く配置し、嵌合突部全体としてシンプルな形状とすることにより、プリフォームの延伸変形の初期段階に嵌合突部外周に沿っての変形を達成することを課題にして創案されたものであり、直角3角形の斜辺に相当する先端面を突き出すようにプリフォームの外周面近傍に対向して位置させることが可能となる。
【0029】
エアブローにより膨張したプリフォームはまずこの嵌合突条の先端面に当接し、先端面を覆い、両角部で曲がり込み、一方では嵌合突条の側面、組付き梁片の先端面に沿って変形し、また他方では組付き梁片の側面と、縦突部金型表面の端部との間で形成されるアンダーカット部にPETが回り込んで、把手のインサートが達成される。
【0030】
略直角3角形とした断面形状効果と、縦突部金型表面の少なくとも左右端部を除く部分を粗面化した効果とが相俟って、アンダーカット部へのPETの回り込みを高度に達成することができ、より大型の容器に十分対応可能な高い組付き強度を得ることができる。
【0031】
請求項8記載の発明の手段は、請求項2、3、4、5または6記載の発明において、嵌合突部を、組付き梁片の先端面に突設した嵌合突片と、一対の組付き梁片の対向面に突設した係合突条から構成することにある。
【0032】
請求項8記載の成形方法は、従来の形状の嵌合突部を有した把手をインサート材として2軸延伸ブロー成形を行なうものであるが、縦突部金型表面の粗面化の効果により、係合突条の側面と縦突部金型表面の端部との間で形成されるアンダーカット部へのPETの回り込みが十分に達成されるので、把手の形状を変えることなく、従来より高い組付き強度が達成される。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の把手付き合成樹脂製壜体の成形方法の一実施例を、図面(図1〜図8)を参照しながら説明する。
図1および図2は本一実施例の成形法によって得られる壜体を示し、大型(1リットル以上)なPET製2軸延伸ブロー成形品である壜本体1と、この壜本体1の有底円筒形状をした胴部2の後部に陥没形成された凹部3に、インサート成形手段により組付け固定された、PET製射出成形品である把手10とから構成されている。
【0034】
この壜本体1の凹部3は、その上下両端部を除く中央部分を直立した平坦面とした凹部底面4の中央に、上下方向に沿って比較的幅広な突条状の縦突部5を、ほぼ一定した高さで、凹部3の全高さ範囲にわたって膨出状に突設して構成されている。(図2参照)
【0035】
図3〜図6は本一実施例で使用する把手10を示したものであり、縦板状の把手板11の上下両端間に、上下両端部を湾曲させた連結脚片12aを介して、直線棒状の一対の組付き梁片12を平行に架設状に設け、この一対の組付き梁片12の対向側面14aと先端面13とで形成されるコーナー部近傍に、断面が略直角3角形状の嵌合突部Kの一形態である嵌合突条17を、直角を形成する一方の辺が対向側面14aから略垂直に、他方の辺が組付き梁片12の先端面13から略垂直に突出するように突設している。(図6(a)参照)
【0036】
また、嵌合突条17の断面形状の斜辺に相当する突条先端面19は緩やかな円弧状に形成し、組付き梁片12の一部と嵌合突条17からなるインサート部の表面の略全体を粗面化し、さらに嵌合突条17の外周面に多数の横溝状の細溝25を刻設することにより、ブロー成形時におけるPET製プリフォームPの膨張(延伸)変形時における滑り性を良好にしている。
【0037】
また、本一実施例では嵌合突片17を二山状に形成しており、中間に形成された谷部18ではインサート部を嵌合突条17から、組付き梁片12の先端面13に垂直な方向の突出部分を削った係合突条16としている。(図6(b)参照)この2山状の形状は、把手の軽量化と、成形時における壜本体1のPETをこの谷部18に回り込ませることによる、さらなる組み付き強度の向上を目的としたものである。なお、谷間18のない形状でも充分な組み付き強度を有するので、2山状にするかどうかは成形性等も考慮して選択して、設計することができる。さらに、この嵌合突片17の形状は目的に応じて、3山以上の形状とすることもできる。
【0038】
上記した把手10をインサート材として使用した本発明の把手付き合成樹脂製壜体の成形方法の一実施形態を以下に説明する。
図7は2軸延伸ブロー成形に用いる割金型内に前述した把手10、およびプリフォーム(2点鎖線で示す。)をセットした状態を横断面で示し、図8は2軸延伸ブロー成形におけるPET製プリフォームPの膨張変形工程(延伸工程)を示した説明図である。(推定される変形工程を2点鎖線で示した。)
【0039】
壜本体1の縦突部5を形成する縦突部金型表面32部分の左右端部32bと、嵌合突条17の突条側面20aとの間でアンダーカット33部を形成するように(図8参照)、一対の左右の組付き梁片12を縦突部5の左右基端部に相当するブロー割金型31部分に位置させるように、また嵌合突条17の突条先端面19がプリフォームPの外周面に対向するように、把手10をブロー割金型31内にセットして、2軸延伸ブロー成形を実施する。
【0040】
ここで、縦突部金型表面32のうち、左右端部32bを除いた中央部32aは予めサンドブラストによりその表面を粗面化している。
【0041】
エアブローによるプリフォームPの変形は次のように推定される。
すなわち、膨張変形(図8中の矢印Df)に従い軟化状態にあるプリフォームPは、まず緩やかに円弧状に形成された左右一対の突条先端面19に当接し、この突条先端面19を覆と共に、左右当接部分の中央に相当する部分が縦突部金型表面32の中央部分に当接する。
【0042】
さらに膨張変形が進行すると、PETは一方では角部21bで曲がり込み、突条側面20bおよび先端面13に沿って変形し外側側面14b先端部に至る。
【0043】
また他方では、角部21aでの曲がり込みと共に、縦突部金型表面32の中央に当接した部分において、金型表面部との接触部分を左右方向に拡大させながらの(図8の矢印S方向)、変形が進展し、嵌合突条17の突条側面20aと、縦突部金型表面32の端部32bとの間で形成されるアンダーカット部33にPETが回り込んでいくが、この際、縦突部金型表面32の中央部32aが粗面化処理されているので、PET樹脂のスムーズな膨張変形(図8の矢印S方向の変形。)を達成することができ、PETのアンダーカット部33への回り込みを高度に達成することができる。
【0044】
上記したPETのアンダーカット部33への回り込みの良否により組付き強度が大きく左右されるが、この強度を確認するために、4リッターの壜体をブロー成形して、把手部分を引っ張る方法での強度測定を実施した。本一実施例の方法で成形した壜体の強度は65Kgf、縦突部金型表面32の中央部32aを予め粗面化しないでブロー成形した場合の壜体の強度は45Kgfであり、本願発明の成形法の、特に縦突部金型表面32を粗面化することによる大幅な強度の向上が確認された。
【0045】
図9〜12には、本願発明の把手付き合成樹脂製壜体の成形法に使用する他の把手10’を示したものであり、縦長板状の把手板11’の前方の先端面に嵌合突片15’を突設すると共に、相互に対向した側面に縦条状の係合突条16’を設けることにより嵌合突部K’を構成している。
【0046】
この把手10’は2L程度の壜体に従来より用いられているものであるが、本把手10’においても、アンダーカット部の形状は、図8に示されたアンダーカット部33と同様の形状となり、縦突部金型表面32の中央部32aの粗面化により、組付き強度の改良効果が発揮される。
【0047】
なお、本願発明の成形方法の作用効果は上述した2種の形状の嵌合突部K、K’を有する把手に限定されるものでなく、アンダーカット状の強固な組付き部となる嵌合突部を突設した一対の組付き梁片で、壜本体の凹部底面の縦突部を挟持して組付き固定するタイプの把手において一般的に発揮されるものである。
【0048】
【発明の効果】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
請求項1記載の発明にあっては、縦突部金型表面の少なくとも左右端部を除く部分を予め粗面化したブロー割金型を用いることで、この金型表面部分に沿った軟化温度にあるPETの滑りを良くし、PETのスムーズな膨張変形を達成できるものであり、その結果アンダーカット部へのPETの回り込みを高度に達成することができる。
【0049】
請求項2記載の発明にあっては、金型表面部分の左右端部と、嵌合突部との間で形成されるアンダーカット部へのPETの回り込みを十分に達成することができ、高い組付き強度を得ることができる。
【0050】
請求項3の発明にあっては、廃棄時における分別回収の取り扱いを容易とすることができ、全体を透明で外観の良い壜体とすることができる。
【0051】
請求項4の発明にあっては、ブロー成形時に壜本体に接触する把手のインサート部の表面の略全体を予め粗面化することにより、PET製の把手と、膨張変形するプリフォームのPETとの、相互の滑り性が良好となり、よりスムーズにプリフォームの膨張変形が達成できると共に、嵌合突部の外周へのPETの回り込みをより十分に達成することができる。
【0052】
請求項5の発明にあっては、嵌合突部に接触した延伸変形中のプリフォームに対する引っ張り力の集中が、嵌合突片の表面が角取りした円滑面となっていることから、緩和され、これにより高い成形性を確保することができる。
【0053】
請求項6の発明にあっては、プリフォームが延伸されながら強力に押付けられる嵌合突部の表面を、細溝による凹凸にして両者間の接触摩擦抵抗を小さくすることにより、PETの延伸変形をよりスムーズに、また嵌合突部外周へのPET回り込みをより十分に達成することができる。
【0054】
請求項7の発明にあっては、嵌合突条の、略直角3角形とした断面形状効果と、縦突部金型表面の少なくとも左右端部を除く部分を粗面化した効果とが相俟って、アンダーカット部への樹脂の回り込みを高度に達成することができ、より大型の容器に十分対応可能な高い組付き強度を得ることができる。
【0055】
請求項8の発明にあっては、従来の形状の嵌合突部においても、縦突部金型表面の粗面化の効果により、係合突条の側面と縦突部金型表面の端部との間で形成されるアンダーカット部へのPETの回り込みが十分に達成されるので、把手の形状を変えることなく、従来より高い組付き強度が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成形法の一実施例により得られる把手付き合成樹脂製壜体を示す、全体側面図。
【図2】図1中、A−A線に沿って切断矢視した、横断平面図。
【図3】図1に示した実施例に使用した把手の、背面図。
【図4】図1に示した実施例に使用した把手の、正面図。
【図5】図2中のB−B線に沿って切断矢視した、図1に示した実施例に使用した把手の、全縦断側面図。
【図6】図5中、C−C線およびD−D線に沿って切断矢視した、要部横断平面図。
【図7】本発明の成形法の一実施例に用いるブロー割金型に把手をセットした状態を示した、横断面図。
【図8】図7の要部を拡大して示した、説明図。
【図9】把手付き合成樹脂製壜体の従来例を、図1中のA−A線に沿って切断矢視した、横断平面図。
【図10】図9中に示した従来例に使用した把手の、背面図。
【図11】図9中に示した従来例に使用した把手の、正面図。
【図12】図9中のE−E線に沿って切断矢視した、図9中に示した把手の、全縦断側面図。
【符号の説明】
1、1’ ; 壜本体
2、2’ ; 胴部
3、3’ ; 凹部
4、4’ ; 凹部底面
5、5’ ; 縦突部
10、10’ ; 把手
11、11’ ; 把手板
12、12’ ; 組付き梁片
12a、12a’; 連結脚片
13 ; 先端面
14a ; 対向側面
14b ; 外側側面
15’ ; 嵌合突片
16、16’ ; 係合突条
17 ; 嵌合突条
18 ; 谷部
19 ; 突条先端面
20a ; 突条側面
20b ; 突条側面
21a ; 角部
21b ; 角部
25 ; 細溝
31 ; ブロー割金型
32 ; 縦突部金型表面
32a ; 中央部
32b ; 端部
33 ; アンダーカット部
K、K’ ; 嵌合突部
P、P’ ; プリフォーム
Df ; 膨張変形方向
S ; 接触部拡大方向
Claims (8)
- 合成樹脂製の射出成形品である把手(10)をインサート材として、ポリエチレンテレフタレート樹脂製の壜本体(1)を2軸延伸ブロー成形する方法であり、壜本体(1)を胴部(2)の後部に陥没設された凹部(3)を有し、該凹部(3)の凹部底面(4)の中央部に縦突部(5)を突出設した形状とし、把手(10)を、起立姿勢で配置され、前記壜本体(1)凹部底面(4)へアンダーカット状に組付く一対の組付き梁片(12)の間に把手板(11)を連設した形状とし、前記縦突条(5)を形成する金型表面部分の、少なくとも左右端部を除く部分を予め粗面化した、ブロー割金型を用い、前記縦突部(5)を形成する金型表面部分の左右端部と、前記一対の組付き梁片(12)との間でアンダーカット部を形成するように、該一対の左右の組付き梁片(12)を縦突部(5)の左右基端部となる位置近傍に位置させて、前記ブロー割金型内にセットした状態で、前記組み付き梁片(12)の一部を、前記壜本体(1)へのインサート部として、2軸延伸ブローする、把手付き合成樹脂製壜体の成形方法。
- 把手(10)を、起立姿勢で平行に配置された一対の組付き梁片(12)の上下端間に把手板(11)を一体設した形状とし、前記一対の組付き梁片(12)を、壜本体(1)の凹部底面(4)へのアンダーカット状の強固な組付き部となる嵌合突部(K)を突設した形状とし、縦突部(5)を形成する金型表面部分の左右端部と、前記嵌合突部(K)との間でアンダーカット部を形成するように、前記一対の左右の組付き梁片(12)を縦突部(5)の左右基端部となる位置近傍に位置させて、また嵌合突部(K)の先端部をプリフォーム(P)の外周面に対向させて、前記把手(10)を前記ブロー割金型内にセットした状態で、前記嵌合突部(K)を含む組み付き梁片(12)の一部を、前記壜本体(1)へのインサート部とした、請求項1記載の把手付き合成樹脂製壜体の成形方法。
- 把手(10)をポリエチレンテレフタレート樹脂製とした、請求項1または2記載の把手付き合成樹脂製壜体の成形方法。
- ブロー成形時に壜本体(1)に接触する把手(10)のインサート部の表面の略全体を予め粗面化した、請求項3記載の把手付き合成樹脂製壜体の成形法。
- インサート部の一部である嵌合突部(K)の表面を、角取りした円滑面とした、請求項2、3または4記載の把手付き合成樹脂製壜体の成形法。
- 嵌合突部(K)の突出端面に、細溝(25)を刻設した、請求項2、3、4または5記載の把手付き合成樹脂製壜体の成形法。
- 嵌合突部(K)を、一対の組付き梁片(12)の対向側面(14a)と先端面(13)とで形成されるコーナー部近傍に、直角を形成する一方の辺が前記対向側面(14a)から略垂直に、他方の辺が前記先端面(13)から略垂直に突出するように、断面が略直角3角形状の嵌合突条(17)を突設した構成とした、請求項2、3、4、5または6記載の把手付き合成樹脂製壜体の成形法。
- 嵌合突部(K)を、組付き梁片(12)の先端面(13)に突設した嵌合突片(14)と、前記一対の組付き梁片(12)の対向面に突設した係合突条(16)から構成した、請求項2、3、4、5または6記載の把手付き合成樹脂製壜体の成形法。
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