JP2004122346A - 研磨用キャリアプレート - Google Patents
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Abstract
【課題】研磨時に研磨対象物に生じる衝撃を十分に抑制すると共に、研磨対象物を容易に装着可能なキャリアプレートを提供する。
【解決手段】前記研磨対象物装着孔2が、研磨対象物3の半径と同一な半径を有する第1の扇孔21と研磨対象物3の半径以上の半径を有する第2の扇孔22とからなり略円形状を形成しているので、研磨対象物3を第2の扇孔22から第1の扇孔21へ挿入することで円滑に研磨対象物装着孔2に装着できる。
【選択図】 図1
【解決手段】前記研磨対象物装着孔2が、研磨対象物3の半径と同一な半径を有する第1の扇孔21と研磨対象物3の半径以上の半径を有する第2の扇孔22とからなり略円形状を形成しているので、研磨対象物3を第2の扇孔22から第1の扇孔21へ挿入することで円滑に研磨対象物装着孔2に装着できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、研磨する研磨対象物を装着するキャリアプレートに関し、特に、研磨時に研磨対象物に対する衝撃を抑えるキャリアプレートに関する。
【0002】
【従来の技術】
第1の従来のキャリアプレートとしては、特開2000−301451号公報に開示されるものがあり、以下に図10ないし図12に基づいて説明していく。図10はキャリアプレートの平面図、図11は図10のA−A断面図でワーク保持孔の内周端面を示す図および図12はワーク保持孔に曲面凹部を形成した場合のキャリアプレートとワークの関係を示す断面図を示す。
【0003】
この従来のキャリアプレート1は、前記図10においてワークを保持するワーク保持孔2を備えたキャリアプレートであって、少なくとも前記ワーク保持孔2の周縁部分に含まれる領域は、樹脂を含浸したガラス繊維が同心円状に配向して構成される(図11参照)。
このような従来のキャリアプレート1によれば、前記ワーク保持孔2の周縁部分を、樹脂を含浸したガラス繊維を同心円状に配向させて構成しているため、すべての繊維がワーク保持孔2の円周方向に沿って形成され、内面が平滑面となって、ワークの外周面の傷や磨耗を抑制できる。
【0004】
また、この従来のキャリアプレート1は、図12に示すように、前記ワーク保持孔2の端面には、厚み方向に沿って中間部が湾曲して陥没する曲面凹部24が形成されることで、ワークの端面との接触面積が増えて、研磨中のワーク端面の傷や磨耗が更に抑制される。
【0005】
第2の従来のキャリアプレートとして、特開2001−351881号公報に開示されるものもあり、以下に図13に基づいて説明していく。図13はプラスチックからなるテンプレートで穴を覆うキャリアプレートを示す。
この従来のキャリアプレートは、前記図13においてテンプレート5が、半導体ウェーハ3のエッジとキャリアプレート1との間の自由空間を複数の別々の空隙7に分割するように形成されていることを特徴とする、プラスチックからなるテンプレート5で覆われた半導体ウェーハ3のための穴を有するものである。
【0006】
この従来のキャリアプレート1によれば、研磨中に、キャリアプレート1が回転し、かつそれに伴ってテンプレート5も回転し、その際歯6は、空隙7を満たす液状の研磨助剤(研磨剤及びストップ剤)の恒常的な緊密混合を生じさせる。また、このキャリアプレート1は、図13に示すように、ウェーハ3を各歯が点接触により支持固定しているため、研磨中にある程度のウェーハ3に対する衝撃を抑えることができる。
【0007】
【特許文献1】特開平2000−301451号公報
【特許文献2】特開2001−351881号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
第1の従来のキャリアプレートは以上のように構成されているが、通常、ウェーハ装着孔が自動装置によりウェーハを装着・脱着され、この自動装置によるウェーハの装着・脱着の円滑化のためにウェーハの半径よりも若干大きめの半径のウェーハ装着孔が用いられており、この場合確かにウェーハ装着孔の端面厚み方向を湾曲にすることで厚み方向の接触面積は増えるものの、未だ平面方向の接触は点接触によるのみで、研磨時のウェーハにかかる衝撃を十分に抑制できず、ウェーハ端面の傷や磨耗が生じ、時としてウェーハに亀裂が生じる場合もあるという課題を有する。また、前記ウェーハ装着孔の端面厚み方向を湾曲することで、研磨時に切削剤がこの湾曲部分に詰まり、ウェーハを切削するためにウェーハより高い硬度を有する切削剤が詰まった湾曲部分によりウェーハの端面に傷が生じるという課題を有する。
【0009】
第2の従来のキャリアプレートも以上のように構成されており、前記歯が複数形成されておりこの歯全てにウェーハを接触させる形態ではウェーハと同一半径に略近いウェーハ装着孔となっている必要があり、このようなウェーハ装着孔にウェーハを装着する際にウェーハと略同一半径であるために円滑に装着することができないという課題を有し、また、前記歯によりウェーハを点接触する支持構造により一応の衝撃の抑制が図れるものの十分ではなく、さらにまた、研磨時に生じる力により容易に歯が変形し、歯が変形した後は予期しない不規則な衝撃がウェーハにかかりウェーハを破損するという課題を有する。
【0010】
そこで、本発明は上記課題を解決する為になされたもので、研磨時に研磨対象物に生じる衝撃を十分に抑制すると共に、研磨対象物を容易に装着可能なキャリアプレートを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る研磨用キャリアプレートは、研磨対象物が装着される略円形の穴からなる研磨対象物装着孔を有する研磨用キャリアプレートにおいて、前記研磨対象物装着孔が、装着される研磨対象物の半径と同一半径を有する頂角が180度以下となる扇状の第1の扇孔と、当該研磨対象物の半径以上の半径を有する扇状の第2の扇孔とから少なくとも形成されるものである。このように本発明においては、前記研磨対象物装着孔が、研磨対象物の半径と同一な半径を有する第1の扇孔と研磨対象物の半径以上の半径を有する第2の扇孔とからなり略円形状を形成しているので、研磨対象物を第2の扇孔から第1の扇孔へ挿入することで円滑に研磨対象物装着孔に装着できる。
【0012】
また、本発明に係る研磨用キャリアプレートは必要に応じて、前記研磨対象物装着孔の第1の扇孔が研磨時に研磨対象物に対して生じる水平方向の力のベクトル方向に形成されるものである。このように本発明においては、研磨対象物の半径と同一な半径を有する第1の扇孔と研磨対象物の半径以上の半径を有する第2の扇孔とからなり、装着完了後は研磨対象物と同一半径を有する第1の扇孔に研磨対象物が面接触し、研磨時には研磨対象物に対して生じる合力のベクトル方向に第1の扇孔を形成しているため面接触を維持したまま研磨対象物が固定され、衝撃が研磨対象物に生じない。
【0013】
また、本発明に係る研磨用キャリアプレートは必要に応じて、前記研磨対象物装着孔の端面を前記研磨対象物装着孔を形成するプレート本体より低硬度材質の樹脂からなる保護部で被覆するものである。このように本発明においては、研磨対象物装着孔の端面に保護部が形成されているので、装着動作中及び研磨動作中の研磨対象物装着孔での研磨対象物の水平移動により研磨対象物が前記保護部に接触しても衝撃が吸収され、研磨対象物に対する過大な衝撃とならず損傷を与えない。また、保護部と研磨対象物の端面との間に研磨剤が入り込んだ状態で、保護部と研磨対象物とが接触しても保護部が柔かいために研磨対象物の端面に傷が生じない。
【0014】
また、本発明に係る研磨用キャリアプレートは必要に応じて、前記保護部の外周にくさび型の凸部を複数形成し、前記研磨対象物装着孔の端面に前記保護部の凸部に対応した凹部を形成し、前記研磨対象物装着孔の凹部に前記保護部の凸部を嵌合させたものである。このように本発明においては、前記保護部の外周に形成された凸部と、この凸部に対応して研磨対象物装着孔の端面に形成された凹部とを嵌合させているので、取り替え等のための脱着が容易にできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(本発明の第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る研磨用キャリアプレートを、図1ないし図4に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る研磨用キャリアプレート、図2は図1の要部断面図、図3は本実施形態に係る研磨用キャリアプレートを配設したラッピング装置の平面図、図4は図3に示すラッピング装置にウェーハを装着した形態図を示す。
【0016】
前記各図において本実施形態に係る研磨用キャリアプレート1は、ガラス繊維12入りエポキシ板11からなる円盤状の板体からなり、この板体に研磨対象物であるウェーハ3が装着される略円形の孔からなるウェーハ装着孔2が板体の中央から偏倚して形成されるプレート本体10からなるものである。
【0017】
前記ウェーハ装着孔2は、装着されるウェーハ3の半径と同一半径を有する頂角が180度以下となる扇状の第1の扇孔21(点2a、点2c及び点2dで囲まれる扇)と、当該ウェーハ3の半径より大きな半径を有する頂角が180度以上となる扇状の第2の扇孔22(点2b、点2c及び点2dで囲まれる扇)とから少なくとも形成され、前記第1の扇孔21と第2の扇孔22とが合わせって略円形の孔を形成する。第1の扇孔21の弧と第2の扇孔22の弧との接合部分(図1では2cおよび2dに該当)に角が突出する場合は、ある一点で第1の扇孔21の弧から第2の扇孔22の弧へかわるのではなく、緩やかに所定部分を介して第1の扇孔21の弧から徐々に第2の扇孔22の弧へ接合する形態が望ましい。このような緩やかな接合部分をウェーハ装着孔2に有することで、実際にウェーハ3が装着されて研磨時に、研磨による摩擦力及び回転による遠心力等によりウェーハ3がウェーハ装着孔2のどの部分に接触しても角の突出部分がないため、大きな衝撃を受けることがないため好ましい。
【0018】
また、ウェーハ装着孔2における第1の扇孔21と第2の扇孔22との形成位置は、第1の扇孔21の弧の中央21aが、ウェーハ装着孔2にウェーハ3を装着し、研磨した場合に、ウェーハ3に生じる水平方向の合力のベクトル方向に位置するように形成し、当該ベクトル方向と逆方向に第2の扇孔22の弧の中央22aが位置するように形成されるものである。ここで、研磨時にウェーハ3に生じる力としては、ウェーハ3を研磨する定盤による摩擦力(下定盤41及び上定盤42の回転並びにキャリアプレートの自転から生じる)、および、キャリアプレート1が配設され当該キャリアプレート1を回転させるラッピング装置4によるキャリアプレート1の回転に伴い生じる遠心力等がある。例えば、研磨時に遠心力がベクトルαあり、摩擦力がベクトルβあった場合に、その合力がベクトルγとなり、このベクトルγの方向成分に応じて第1の扇孔21を形成することとなる。ただし、水平方向に生じる力として、他の要素を考慮しなければならない場合、当然にその要素も勘案して第1の扇孔21を形成しなければないない。また、ウェーハ3を第1の扇孔21に固定することができる場合には、どの方向に第1の扇孔21を形成しても構わない。
【0019】
本実施形態に係るキャリアプレートを配設され、ウェーハ3を研磨するラッピング装置4は、ウェーハ3を下方向から研磨する下定盤41と、ウェーハを上方向から研磨する上定盤42とからなり、これら下定盤41と上定盤42との中間位置に複数のキャリアプレート1が配設される構成である。前記下定盤41と上定盤42とは互いに逆方向に回転するものであり、例えば、下定盤41が時計回りに回転するとすれば、上定盤42が逆時計回りに回転する。また、前記キャリアプレート1が配設される位置には複数の歯車が設けられ、これら複数の歯車が回転することで、キャリアプレート1は自転する。なお、本実施形態に係るキャリアプレート1は、前記説明したラッピング装置4に配設されて用いられるだけに限定されるのではなく、当然に他の多様なラッピング装置に配設されても用いることができる。
【0020】
次に、本実施形態に係るキャリアプレートにウェーハを装着する動作について説明する。キャリアプレート1に装着するウェーハ3を真空吸引機(図示しない)や専用の取り出し装置(図示しない)により保持し、キャリアプレート1のウェーハ装着孔2の直上にウェーハ3を水平移動させる。ウェーハ装着孔2の直上に移動させたウェーハ3をさらに精確に移動させて、ウェーハ装着孔2の第2の扇孔22の弧の中点22aとウェーハ3とを鉛直上方向から見た場合に接触しているようにする。かかる状態のウェーハ3をそのまま鉛直下方向に降下させることで、実際に第2の扇孔22の弧の中点22aにウェーハ3が接した状態でウェーハ装着孔2に嵌合する。ここで、第2の扇孔22の半径がウェーハ3の半径よりも大きく形成されているので、第2の扇孔22に合わせてウェーハ3を装着することは容易に実行することができる。さらに、第2の扇孔22の弧の中点22aに接したウェーハを第1の扇孔21方向に水平移動させることで、ウェーハ3がウェーハ装着孔2に面接触した状態となる。
【0021】
次に、本実施形態に係るキャリアプレートを用いたウェーハの研磨動作について説明する。
前記装着動作によりウェーハ3が装着されたキャリアプレート1の上下に位置するラッピング装置4の上定盤42と下定盤41をウェーハ3に当接させる。ラップ液をウェーハ3の上下表面に注入し、前記上定盤42と下定盤41を回転させると共に、前記複数歯車を回転させることでキャリアプレート1自体を自転させる。この上定盤42の回転によりウェーハ3の上表面が研磨され、下定盤41の回転によりウェーハ3の下表面が研磨される。また、キャリアプレート1自体の自転により、一層迅速に上定盤41・下定盤42が両表面を研磨することができる。この研磨時に前述した通り、ウェーハ3に対して遠心力及び摩擦力が生じる。
【0022】
このように本実施形態に係るキャリアプレートによれば、前記ウェーハ装着孔2が、ウェーハ3の半径と同一な半径を有する第1の扇孔21とウェーハ3の半径より大きな半径を有する第2の扇孔22とからなり略円形状を形成しているので、ウェーハ3を第2の扇孔22から挿入することで円滑に装着が可能となり、また、装着完了後はウェーハ3と同一半径を有する第1の扇孔21にウェーハ3が面接触し、研磨時にはウェーハ3に対して生じる合力のベクトル方向に第1の扇孔21を形成しているため面接触を維持したままウェーハ3が固定され、衝撃がウェーハ3に生じない。
【0023】
なお、本実施形態に係るキャリアプレートにおいて、第1の扇孔21及び第2の扇孔22の弧の両端同士接した形態でウェーハ装着孔2を形成しているが、図5に示すように、第1の扇孔21の弧の両端点2c及び点2dと第2の扇孔22の弧の両端点2c´及び点2dとをそれぞれ直線で結線してウェーハ装着孔2を形成することもできる。
【0024】
また、本実施形態に係るキャリアプレートにおいて、図6に示すように、ウェーハ装着孔2が同一半径を有する半円である第1の扇孔21(点2a、点2c及び点2dで囲まれる扇)及び第2の扇孔22(点2b、点2c´及び点2d´で囲まれる扇)からなり、第1の扇孔21の弧の両端点2c及び点2dと第2の扇孔22の弧の両端点2c´及び点2d´とをそれぞれ直線で結線してウェーハ装着孔2を形成することもできる。この場合、装着動作は、ウェーハ3をウェーハ装着孔2の直上に移動させ、精確に水平移動させて鉛直上方向からみた場合に線間2c−2c´及び線間2d−2d´に接した状態にする。かかる状態のウェーハ3をそのまま鉛直下方向に降下させることで、実際に線間2c−2c´及び線間2d−2d´に接した状態でウェーハ装着孔2に嵌めることができる。。ここで、線間2c−2c´から線間2d−2d´までの距離は少なくとも半径以上あり、ウェーハ3とウェーハ装着孔2とは2点だけの点接触であるため、第1の扇孔21方向にウェーハ3を水平移動させることで面接触となり、装着を容易に行うことができる。
【0025】
さらにまた、本実施形態に係るキャリアプレートにおいて、図7に示すように、ウェーハ装着孔2が同一半径を有する第1の扇孔21(点2a、点2c及び点2dで囲まれる扇)及び第2の扇孔22(点2b、点2c´及び点2d´で囲まれる扇)からなり、第1の扇孔21の弧の両端点2c及び点2dと第2の扇孔22の弧の両端点2c´及び点2d´とをそれぞれ緩やかな曲線で結線してウェーハ装着孔2を形成することもできる。この場合、装着動作は、ウェーハ3をウェーハ装着孔2の直上に移動させ、精確に水平移動させて鉛直上方向からみた場合にウェーハ3の中央がウェーハ装着孔2の中央と重なる様にする。かかる状態のウェーハ3をそのまま鉛直下方向に降下させることで、ウェーハ装着孔2に容易に嵌めることができる。ここで、曲線間2c−2c´から曲線間2d−2d´までの距離は少なくとも半径以上あり、第1の扇孔21方向にウェーハ3を水平移動させることで面接触となり、装着を容易に行うことができる。
【0026】
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について、図8または図9に基づいて説明する。図8及び図9は本実施形態に係る研磨用キャリアプレートを示す。
本実施形態に係るキャリアプレートは、前記第1の実施形態に係るキャリアプレートと同様に構成され、ウェーハ装着孔2の端面にABS樹脂からなる保護部である介在層23が形成されることを異にする構成である。
前記ウェーハ装着孔2は、端面に介在層23が形成されたとしても、前記第1の実施形態と同様の第1の扇孔21と第2の扇孔22とから形成され、ウェーハ3が円滑に装着されるものであって、第1の扇孔21と第2の扇孔22の各半径が小さくするものではない。
【0027】
前記ウェーハ装着孔2の端面に形成される介在層23は、ウェーハ装着孔2の断面と同一断面を有する金型から射出成形される。したがって、前記介在層23が磨耗等により変形した等取替えの必要が生じた場合には、研磨時におけるウェーハ3に対する衝撃を考慮して、ウェーハ装着孔2の端面から介在層23を切り取る等して除去し、再び新たな介在層23を前記金型から射出成形する。
ウェーハ3の装着動作及び研磨動作は前記第1の実施形態と同様であり、説明を略す。
【0028】
このように本実施形態に係るキャリアプレートによれば、ウェーハ装着孔2の端面にABS樹脂からなる介在層23が形成されているので、装着動作中及び研磨動作中のウェーハ装着孔2でのウェーハ3の水平移動によりウェーハ3が前記樹脂に接触しても衝撃が吸収され、ウェーハ3に対する過大な衝撃とならず損傷を与えない。また、介在層23とウェーハ3の端面との間に研磨剤が入り込んだ状態で、介在層23とウェーハ3との接触しても介在層が柔かいためにウェーハ3の端面に傷が生じない。
【0029】
なお、本実施形態に係るキャリアプレートにおいて、図9に示すように、前記介在層23の外周に円弧状くさび型の凸部23aを複数形成し、ウェーハ装着孔2の端面に前記介在層23の凸部23aに対応した凹部23bを形成し、前記ウェーハ装着孔2の凹部23bに前記介在層23の凸部23aを嵌合させることもでき、取り替え等のための脱着が容易である。ここで、凸部23aを円弧状くさび型としたが、V字状くさび型等多種多様なくさび型とすることができ、凸部23aと凹部23bとが嵌合して固定できると共に取り替え等のための脱着が容易であれば、いかような形状のくさび型でも構わない。
【0030】
また、本実施形態に係るキャリアプレートにおいて、前記ウェーハ装着孔2にウェーハ3が装着され、前記介在層23の内周端面とウェーハ3とが接触した場合に、所定摩擦力が生じるように、介在層23の表面に凹凸を形成し、または、介在層23の構成物質を変更することもでき、面接触で広く支持すると共に、所定摩擦力で一層強固に支持することができ、研磨時にウェーハを確実に動かさないようにすることができる。
【0031】
(本発明のその他の実施形態)
前記各実施の形態において、研磨対象物がウェーハ3となっているが、これに限定されるものでなく、レンズ等の光学部品も研磨対象物となる。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、前記研磨対象物装着孔が、研磨対象物の半径と同一な半径を有する第1の扇孔と研磨対象物の半径以上の半径を有する第2の扇孔とからなり略円形状を形成しているので、研磨対象物を第2の扇孔から第1の扇孔へ挿入することで円滑に研磨対象物装着孔に装着できるという効果を奏する。
【0033】
また、本発明においては、研磨対象物の半径と同一な半径を有する第1の扇孔と研磨対象物の半径より大きな半径を有する第2の扇孔とからなり、装着完了後は研磨対象物と同一半径を有する第1の扇孔に研磨対象物が面接触し、研磨時には研磨対象物に対して生じる合力のベクトル方向に第1の扇孔を形成しているため面接触を維持したまま研磨対象物が固定され、衝撃が研磨対象物に生じないという効果を有する。
【0034】
また、本発明においては、研磨対象物装着孔の端面に保護部が形成されているので、装着動作中及び研磨動作中の研磨対象物装着孔での研磨対象物の水平移動により研磨対象物が前記保護部に接触しても衝撃が吸収され、研磨対象物に対する過大な衝撃とならず損傷を与えない。また、保護部と研磨対象物の端面との間に研磨剤が入り込んだ状態で、保護部と研磨対象物とが接触しても保護部が柔かいために研磨対象物の端面に傷が生じないという効果を有する。
【0035】
また、本発明においては、前記保護部の外周に形成された凸部と、この凸部に対応して研磨対象物装着孔の端面に形成された凹部とを嵌合させているので、取り替え等のための脱着が容易にできるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る研磨用キャリアプレートである。
【図2】図1の要部断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る研磨用キャリアプレートを配設したラッピング装置の平面図である。
【図4】図3に示すラッピング装置にウェーハを装着した形態図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る研磨用キャリアプレートである。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る研磨用キャリアプレートである。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る研磨用キャリアプレートである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る研磨用キャリアプレートである。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る研磨用キャリアプレートである。
【図10】従来のキャリアプレートの平面図である。
【図11】図10のA−A断面図でワーク保持孔の内周端面を示す図である。
【図12】ワーク保持孔に曲面凹部を形成した場合の従来のキャリアプレートとワークの関係を示す断面図である。
【図13】プラスチックからなるテンプレートで穴を覆う従来のキャリアプレートである。
【符号の説明】
1 キャリアプレート
2 ウェーハ装着孔
2a、2b、2c、2d 点
3 ウェーハ
4 ラッピング装置
5 テンプレート
6 歯
7 空隙
10 プレート本体
11 エポキシ板
12 ガラス繊維
13 歯車
21 第1の扇孔
21a 第1の扇孔の弧の中央
22 第2の扇孔
22a 第2の扇孔の弧の中央
23 介在層
23a 介在層の凸部
23b 介在層の凸部
24 曲面凹部
41 下定盤
42 上定盤
【発明の属する技術分野】
本発明は、研磨する研磨対象物を装着するキャリアプレートに関し、特に、研磨時に研磨対象物に対する衝撃を抑えるキャリアプレートに関する。
【0002】
【従来の技術】
第1の従来のキャリアプレートとしては、特開2000−301451号公報に開示されるものがあり、以下に図10ないし図12に基づいて説明していく。図10はキャリアプレートの平面図、図11は図10のA−A断面図でワーク保持孔の内周端面を示す図および図12はワーク保持孔に曲面凹部を形成した場合のキャリアプレートとワークの関係を示す断面図を示す。
【0003】
この従来のキャリアプレート1は、前記図10においてワークを保持するワーク保持孔2を備えたキャリアプレートであって、少なくとも前記ワーク保持孔2の周縁部分に含まれる領域は、樹脂を含浸したガラス繊維が同心円状に配向して構成される(図11参照)。
このような従来のキャリアプレート1によれば、前記ワーク保持孔2の周縁部分を、樹脂を含浸したガラス繊維を同心円状に配向させて構成しているため、すべての繊維がワーク保持孔2の円周方向に沿って形成され、内面が平滑面となって、ワークの外周面の傷や磨耗を抑制できる。
【0004】
また、この従来のキャリアプレート1は、図12に示すように、前記ワーク保持孔2の端面には、厚み方向に沿って中間部が湾曲して陥没する曲面凹部24が形成されることで、ワークの端面との接触面積が増えて、研磨中のワーク端面の傷や磨耗が更に抑制される。
【0005】
第2の従来のキャリアプレートとして、特開2001−351881号公報に開示されるものもあり、以下に図13に基づいて説明していく。図13はプラスチックからなるテンプレートで穴を覆うキャリアプレートを示す。
この従来のキャリアプレートは、前記図13においてテンプレート5が、半導体ウェーハ3のエッジとキャリアプレート1との間の自由空間を複数の別々の空隙7に分割するように形成されていることを特徴とする、プラスチックからなるテンプレート5で覆われた半導体ウェーハ3のための穴を有するものである。
【0006】
この従来のキャリアプレート1によれば、研磨中に、キャリアプレート1が回転し、かつそれに伴ってテンプレート5も回転し、その際歯6は、空隙7を満たす液状の研磨助剤(研磨剤及びストップ剤)の恒常的な緊密混合を生じさせる。また、このキャリアプレート1は、図13に示すように、ウェーハ3を各歯が点接触により支持固定しているため、研磨中にある程度のウェーハ3に対する衝撃を抑えることができる。
【0007】
【特許文献1】特開平2000−301451号公報
【特許文献2】特開2001−351881号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
第1の従来のキャリアプレートは以上のように構成されているが、通常、ウェーハ装着孔が自動装置によりウェーハを装着・脱着され、この自動装置によるウェーハの装着・脱着の円滑化のためにウェーハの半径よりも若干大きめの半径のウェーハ装着孔が用いられており、この場合確かにウェーハ装着孔の端面厚み方向を湾曲にすることで厚み方向の接触面積は増えるものの、未だ平面方向の接触は点接触によるのみで、研磨時のウェーハにかかる衝撃を十分に抑制できず、ウェーハ端面の傷や磨耗が生じ、時としてウェーハに亀裂が生じる場合もあるという課題を有する。また、前記ウェーハ装着孔の端面厚み方向を湾曲することで、研磨時に切削剤がこの湾曲部分に詰まり、ウェーハを切削するためにウェーハより高い硬度を有する切削剤が詰まった湾曲部分によりウェーハの端面に傷が生じるという課題を有する。
【0009】
第2の従来のキャリアプレートも以上のように構成されており、前記歯が複数形成されておりこの歯全てにウェーハを接触させる形態ではウェーハと同一半径に略近いウェーハ装着孔となっている必要があり、このようなウェーハ装着孔にウェーハを装着する際にウェーハと略同一半径であるために円滑に装着することができないという課題を有し、また、前記歯によりウェーハを点接触する支持構造により一応の衝撃の抑制が図れるものの十分ではなく、さらにまた、研磨時に生じる力により容易に歯が変形し、歯が変形した後は予期しない不規則な衝撃がウェーハにかかりウェーハを破損するという課題を有する。
【0010】
そこで、本発明は上記課題を解決する為になされたもので、研磨時に研磨対象物に生じる衝撃を十分に抑制すると共に、研磨対象物を容易に装着可能なキャリアプレートを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る研磨用キャリアプレートは、研磨対象物が装着される略円形の穴からなる研磨対象物装着孔を有する研磨用キャリアプレートにおいて、前記研磨対象物装着孔が、装着される研磨対象物の半径と同一半径を有する頂角が180度以下となる扇状の第1の扇孔と、当該研磨対象物の半径以上の半径を有する扇状の第2の扇孔とから少なくとも形成されるものである。このように本発明においては、前記研磨対象物装着孔が、研磨対象物の半径と同一な半径を有する第1の扇孔と研磨対象物の半径以上の半径を有する第2の扇孔とからなり略円形状を形成しているので、研磨対象物を第2の扇孔から第1の扇孔へ挿入することで円滑に研磨対象物装着孔に装着できる。
【0012】
また、本発明に係る研磨用キャリアプレートは必要に応じて、前記研磨対象物装着孔の第1の扇孔が研磨時に研磨対象物に対して生じる水平方向の力のベクトル方向に形成されるものである。このように本発明においては、研磨対象物の半径と同一な半径を有する第1の扇孔と研磨対象物の半径以上の半径を有する第2の扇孔とからなり、装着完了後は研磨対象物と同一半径を有する第1の扇孔に研磨対象物が面接触し、研磨時には研磨対象物に対して生じる合力のベクトル方向に第1の扇孔を形成しているため面接触を維持したまま研磨対象物が固定され、衝撃が研磨対象物に生じない。
【0013】
また、本発明に係る研磨用キャリアプレートは必要に応じて、前記研磨対象物装着孔の端面を前記研磨対象物装着孔を形成するプレート本体より低硬度材質の樹脂からなる保護部で被覆するものである。このように本発明においては、研磨対象物装着孔の端面に保護部が形成されているので、装着動作中及び研磨動作中の研磨対象物装着孔での研磨対象物の水平移動により研磨対象物が前記保護部に接触しても衝撃が吸収され、研磨対象物に対する過大な衝撃とならず損傷を与えない。また、保護部と研磨対象物の端面との間に研磨剤が入り込んだ状態で、保護部と研磨対象物とが接触しても保護部が柔かいために研磨対象物の端面に傷が生じない。
【0014】
また、本発明に係る研磨用キャリアプレートは必要に応じて、前記保護部の外周にくさび型の凸部を複数形成し、前記研磨対象物装着孔の端面に前記保護部の凸部に対応した凹部を形成し、前記研磨対象物装着孔の凹部に前記保護部の凸部を嵌合させたものである。このように本発明においては、前記保護部の外周に形成された凸部と、この凸部に対応して研磨対象物装着孔の端面に形成された凹部とを嵌合させているので、取り替え等のための脱着が容易にできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(本発明の第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る研磨用キャリアプレートを、図1ないし図4に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る研磨用キャリアプレート、図2は図1の要部断面図、図3は本実施形態に係る研磨用キャリアプレートを配設したラッピング装置の平面図、図4は図3に示すラッピング装置にウェーハを装着した形態図を示す。
【0016】
前記各図において本実施形態に係る研磨用キャリアプレート1は、ガラス繊維12入りエポキシ板11からなる円盤状の板体からなり、この板体に研磨対象物であるウェーハ3が装着される略円形の孔からなるウェーハ装着孔2が板体の中央から偏倚して形成されるプレート本体10からなるものである。
【0017】
前記ウェーハ装着孔2は、装着されるウェーハ3の半径と同一半径を有する頂角が180度以下となる扇状の第1の扇孔21(点2a、点2c及び点2dで囲まれる扇)と、当該ウェーハ3の半径より大きな半径を有する頂角が180度以上となる扇状の第2の扇孔22(点2b、点2c及び点2dで囲まれる扇)とから少なくとも形成され、前記第1の扇孔21と第2の扇孔22とが合わせって略円形の孔を形成する。第1の扇孔21の弧と第2の扇孔22の弧との接合部分(図1では2cおよび2dに該当)に角が突出する場合は、ある一点で第1の扇孔21の弧から第2の扇孔22の弧へかわるのではなく、緩やかに所定部分を介して第1の扇孔21の弧から徐々に第2の扇孔22の弧へ接合する形態が望ましい。このような緩やかな接合部分をウェーハ装着孔2に有することで、実際にウェーハ3が装着されて研磨時に、研磨による摩擦力及び回転による遠心力等によりウェーハ3がウェーハ装着孔2のどの部分に接触しても角の突出部分がないため、大きな衝撃を受けることがないため好ましい。
【0018】
また、ウェーハ装着孔2における第1の扇孔21と第2の扇孔22との形成位置は、第1の扇孔21の弧の中央21aが、ウェーハ装着孔2にウェーハ3を装着し、研磨した場合に、ウェーハ3に生じる水平方向の合力のベクトル方向に位置するように形成し、当該ベクトル方向と逆方向に第2の扇孔22の弧の中央22aが位置するように形成されるものである。ここで、研磨時にウェーハ3に生じる力としては、ウェーハ3を研磨する定盤による摩擦力(下定盤41及び上定盤42の回転並びにキャリアプレートの自転から生じる)、および、キャリアプレート1が配設され当該キャリアプレート1を回転させるラッピング装置4によるキャリアプレート1の回転に伴い生じる遠心力等がある。例えば、研磨時に遠心力がベクトルαあり、摩擦力がベクトルβあった場合に、その合力がベクトルγとなり、このベクトルγの方向成分に応じて第1の扇孔21を形成することとなる。ただし、水平方向に生じる力として、他の要素を考慮しなければならない場合、当然にその要素も勘案して第1の扇孔21を形成しなければないない。また、ウェーハ3を第1の扇孔21に固定することができる場合には、どの方向に第1の扇孔21を形成しても構わない。
【0019】
本実施形態に係るキャリアプレートを配設され、ウェーハ3を研磨するラッピング装置4は、ウェーハ3を下方向から研磨する下定盤41と、ウェーハを上方向から研磨する上定盤42とからなり、これら下定盤41と上定盤42との中間位置に複数のキャリアプレート1が配設される構成である。前記下定盤41と上定盤42とは互いに逆方向に回転するものであり、例えば、下定盤41が時計回りに回転するとすれば、上定盤42が逆時計回りに回転する。また、前記キャリアプレート1が配設される位置には複数の歯車が設けられ、これら複数の歯車が回転することで、キャリアプレート1は自転する。なお、本実施形態に係るキャリアプレート1は、前記説明したラッピング装置4に配設されて用いられるだけに限定されるのではなく、当然に他の多様なラッピング装置に配設されても用いることができる。
【0020】
次に、本実施形態に係るキャリアプレートにウェーハを装着する動作について説明する。キャリアプレート1に装着するウェーハ3を真空吸引機(図示しない)や専用の取り出し装置(図示しない)により保持し、キャリアプレート1のウェーハ装着孔2の直上にウェーハ3を水平移動させる。ウェーハ装着孔2の直上に移動させたウェーハ3をさらに精確に移動させて、ウェーハ装着孔2の第2の扇孔22の弧の中点22aとウェーハ3とを鉛直上方向から見た場合に接触しているようにする。かかる状態のウェーハ3をそのまま鉛直下方向に降下させることで、実際に第2の扇孔22の弧の中点22aにウェーハ3が接した状態でウェーハ装着孔2に嵌合する。ここで、第2の扇孔22の半径がウェーハ3の半径よりも大きく形成されているので、第2の扇孔22に合わせてウェーハ3を装着することは容易に実行することができる。さらに、第2の扇孔22の弧の中点22aに接したウェーハを第1の扇孔21方向に水平移動させることで、ウェーハ3がウェーハ装着孔2に面接触した状態となる。
【0021】
次に、本実施形態に係るキャリアプレートを用いたウェーハの研磨動作について説明する。
前記装着動作によりウェーハ3が装着されたキャリアプレート1の上下に位置するラッピング装置4の上定盤42と下定盤41をウェーハ3に当接させる。ラップ液をウェーハ3の上下表面に注入し、前記上定盤42と下定盤41を回転させると共に、前記複数歯車を回転させることでキャリアプレート1自体を自転させる。この上定盤42の回転によりウェーハ3の上表面が研磨され、下定盤41の回転によりウェーハ3の下表面が研磨される。また、キャリアプレート1自体の自転により、一層迅速に上定盤41・下定盤42が両表面を研磨することができる。この研磨時に前述した通り、ウェーハ3に対して遠心力及び摩擦力が生じる。
【0022】
このように本実施形態に係るキャリアプレートによれば、前記ウェーハ装着孔2が、ウェーハ3の半径と同一な半径を有する第1の扇孔21とウェーハ3の半径より大きな半径を有する第2の扇孔22とからなり略円形状を形成しているので、ウェーハ3を第2の扇孔22から挿入することで円滑に装着が可能となり、また、装着完了後はウェーハ3と同一半径を有する第1の扇孔21にウェーハ3が面接触し、研磨時にはウェーハ3に対して生じる合力のベクトル方向に第1の扇孔21を形成しているため面接触を維持したままウェーハ3が固定され、衝撃がウェーハ3に生じない。
【0023】
なお、本実施形態に係るキャリアプレートにおいて、第1の扇孔21及び第2の扇孔22の弧の両端同士接した形態でウェーハ装着孔2を形成しているが、図5に示すように、第1の扇孔21の弧の両端点2c及び点2dと第2の扇孔22の弧の両端点2c´及び点2dとをそれぞれ直線で結線してウェーハ装着孔2を形成することもできる。
【0024】
また、本実施形態に係るキャリアプレートにおいて、図6に示すように、ウェーハ装着孔2が同一半径を有する半円である第1の扇孔21(点2a、点2c及び点2dで囲まれる扇)及び第2の扇孔22(点2b、点2c´及び点2d´で囲まれる扇)からなり、第1の扇孔21の弧の両端点2c及び点2dと第2の扇孔22の弧の両端点2c´及び点2d´とをそれぞれ直線で結線してウェーハ装着孔2を形成することもできる。この場合、装着動作は、ウェーハ3をウェーハ装着孔2の直上に移動させ、精確に水平移動させて鉛直上方向からみた場合に線間2c−2c´及び線間2d−2d´に接した状態にする。かかる状態のウェーハ3をそのまま鉛直下方向に降下させることで、実際に線間2c−2c´及び線間2d−2d´に接した状態でウェーハ装着孔2に嵌めることができる。。ここで、線間2c−2c´から線間2d−2d´までの距離は少なくとも半径以上あり、ウェーハ3とウェーハ装着孔2とは2点だけの点接触であるため、第1の扇孔21方向にウェーハ3を水平移動させることで面接触となり、装着を容易に行うことができる。
【0025】
さらにまた、本実施形態に係るキャリアプレートにおいて、図7に示すように、ウェーハ装着孔2が同一半径を有する第1の扇孔21(点2a、点2c及び点2dで囲まれる扇)及び第2の扇孔22(点2b、点2c´及び点2d´で囲まれる扇)からなり、第1の扇孔21の弧の両端点2c及び点2dと第2の扇孔22の弧の両端点2c´及び点2d´とをそれぞれ緩やかな曲線で結線してウェーハ装着孔2を形成することもできる。この場合、装着動作は、ウェーハ3をウェーハ装着孔2の直上に移動させ、精確に水平移動させて鉛直上方向からみた場合にウェーハ3の中央がウェーハ装着孔2の中央と重なる様にする。かかる状態のウェーハ3をそのまま鉛直下方向に降下させることで、ウェーハ装着孔2に容易に嵌めることができる。ここで、曲線間2c−2c´から曲線間2d−2d´までの距離は少なくとも半径以上あり、第1の扇孔21方向にウェーハ3を水平移動させることで面接触となり、装着を容易に行うことができる。
【0026】
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について、図8または図9に基づいて説明する。図8及び図9は本実施形態に係る研磨用キャリアプレートを示す。
本実施形態に係るキャリアプレートは、前記第1の実施形態に係るキャリアプレートと同様に構成され、ウェーハ装着孔2の端面にABS樹脂からなる保護部である介在層23が形成されることを異にする構成である。
前記ウェーハ装着孔2は、端面に介在層23が形成されたとしても、前記第1の実施形態と同様の第1の扇孔21と第2の扇孔22とから形成され、ウェーハ3が円滑に装着されるものであって、第1の扇孔21と第2の扇孔22の各半径が小さくするものではない。
【0027】
前記ウェーハ装着孔2の端面に形成される介在層23は、ウェーハ装着孔2の断面と同一断面を有する金型から射出成形される。したがって、前記介在層23が磨耗等により変形した等取替えの必要が生じた場合には、研磨時におけるウェーハ3に対する衝撃を考慮して、ウェーハ装着孔2の端面から介在層23を切り取る等して除去し、再び新たな介在層23を前記金型から射出成形する。
ウェーハ3の装着動作及び研磨動作は前記第1の実施形態と同様であり、説明を略す。
【0028】
このように本実施形態に係るキャリアプレートによれば、ウェーハ装着孔2の端面にABS樹脂からなる介在層23が形成されているので、装着動作中及び研磨動作中のウェーハ装着孔2でのウェーハ3の水平移動によりウェーハ3が前記樹脂に接触しても衝撃が吸収され、ウェーハ3に対する過大な衝撃とならず損傷を与えない。また、介在層23とウェーハ3の端面との間に研磨剤が入り込んだ状態で、介在層23とウェーハ3との接触しても介在層が柔かいためにウェーハ3の端面に傷が生じない。
【0029】
なお、本実施形態に係るキャリアプレートにおいて、図9に示すように、前記介在層23の外周に円弧状くさび型の凸部23aを複数形成し、ウェーハ装着孔2の端面に前記介在層23の凸部23aに対応した凹部23bを形成し、前記ウェーハ装着孔2の凹部23bに前記介在層23の凸部23aを嵌合させることもでき、取り替え等のための脱着が容易である。ここで、凸部23aを円弧状くさび型としたが、V字状くさび型等多種多様なくさび型とすることができ、凸部23aと凹部23bとが嵌合して固定できると共に取り替え等のための脱着が容易であれば、いかような形状のくさび型でも構わない。
【0030】
また、本実施形態に係るキャリアプレートにおいて、前記ウェーハ装着孔2にウェーハ3が装着され、前記介在層23の内周端面とウェーハ3とが接触した場合に、所定摩擦力が生じるように、介在層23の表面に凹凸を形成し、または、介在層23の構成物質を変更することもでき、面接触で広く支持すると共に、所定摩擦力で一層強固に支持することができ、研磨時にウェーハを確実に動かさないようにすることができる。
【0031】
(本発明のその他の実施形態)
前記各実施の形態において、研磨対象物がウェーハ3となっているが、これに限定されるものでなく、レンズ等の光学部品も研磨対象物となる。
【0032】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、前記研磨対象物装着孔が、研磨対象物の半径と同一な半径を有する第1の扇孔と研磨対象物の半径以上の半径を有する第2の扇孔とからなり略円形状を形成しているので、研磨対象物を第2の扇孔から第1の扇孔へ挿入することで円滑に研磨対象物装着孔に装着できるという効果を奏する。
【0033】
また、本発明においては、研磨対象物の半径と同一な半径を有する第1の扇孔と研磨対象物の半径より大きな半径を有する第2の扇孔とからなり、装着完了後は研磨対象物と同一半径を有する第1の扇孔に研磨対象物が面接触し、研磨時には研磨対象物に対して生じる合力のベクトル方向に第1の扇孔を形成しているため面接触を維持したまま研磨対象物が固定され、衝撃が研磨対象物に生じないという効果を有する。
【0034】
また、本発明においては、研磨対象物装着孔の端面に保護部が形成されているので、装着動作中及び研磨動作中の研磨対象物装着孔での研磨対象物の水平移動により研磨対象物が前記保護部に接触しても衝撃が吸収され、研磨対象物に対する過大な衝撃とならず損傷を与えない。また、保護部と研磨対象物の端面との間に研磨剤が入り込んだ状態で、保護部と研磨対象物とが接触しても保護部が柔かいために研磨対象物の端面に傷が生じないという効果を有する。
【0035】
また、本発明においては、前記保護部の外周に形成された凸部と、この凸部に対応して研磨対象物装着孔の端面に形成された凹部とを嵌合させているので、取り替え等のための脱着が容易にできるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る研磨用キャリアプレートである。
【図2】図1の要部断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る研磨用キャリアプレートを配設したラッピング装置の平面図である。
【図4】図3に示すラッピング装置にウェーハを装着した形態図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る研磨用キャリアプレートである。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る研磨用キャリアプレートである。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る研磨用キャリアプレートである。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る研磨用キャリアプレートである。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る研磨用キャリアプレートである。
【図10】従来のキャリアプレートの平面図である。
【図11】図10のA−A断面図でワーク保持孔の内周端面を示す図である。
【図12】ワーク保持孔に曲面凹部を形成した場合の従来のキャリアプレートとワークの関係を示す断面図である。
【図13】プラスチックからなるテンプレートで穴を覆う従来のキャリアプレートである。
【符号の説明】
1 キャリアプレート
2 ウェーハ装着孔
2a、2b、2c、2d 点
3 ウェーハ
4 ラッピング装置
5 テンプレート
6 歯
7 空隙
10 プレート本体
11 エポキシ板
12 ガラス繊維
13 歯車
21 第1の扇孔
21a 第1の扇孔の弧の中央
22 第2の扇孔
22a 第2の扇孔の弧の中央
23 介在層
23a 介在層の凸部
23b 介在層の凸部
24 曲面凹部
41 下定盤
42 上定盤
Claims (4)
- 研磨対象物が装着される略円形の穴からなる研磨対象物装着孔を有する研磨用キャリアプレートにおいて、
前記研磨対象物装着孔が、装着される研磨対象物の半径と同一半径を有する頂角が180度以下となる扇状の第1の扇孔と、当該研磨対象物の半径以上の半径を有する扇状の第2の扇孔とから少なくとも形成されることを
特徴とする研磨用キャリアプレート。 - 前記請求項1に記載の研磨用キャリアプレートにおいて、
前記研磨対象物装着孔の第1の扇孔が研磨時に研磨対象物に対して生じる水平方向の力のベクトル方向に形成されることを
特徴とする研磨用キャリアプレート。 - 前記請求項1または2に記載の研磨用キャリアプレートにおいて、
前記研磨対象物装着孔の端面を前記研磨対象物装着孔を形成するプレート本体より低硬度材質の樹脂からなる保護部で被覆することを
特徴とする研磨用キャリアプレート。 - 前記請求項3に記載の研磨用キャリアプレートにおいて、
前記保護部の外周にくさび型の凸部を複数形成し、
前記研磨対象物装着孔の端面に前記保護部の凸部に対応した凹部を形成し、
前記研磨対象物装着孔の凹部に前記保護部の凸部を嵌合させたことを
特徴とする研磨用キャリアプレート。
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JP2002294290A JP2004122346A (ja) | 2002-10-07 | 2002-10-07 | 研磨用キャリアプレート |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010120112A (ja) * | 2008-11-19 | 2010-06-03 | Shin Etsu Handotai Co Ltd | 両面研磨装置用キャリア及びこれを用いた両面研磨装置並びに両面研磨方法 |
WO2018163721A1 (ja) * | 2017-03-06 | 2018-09-13 | 信越半導体株式会社 | 両面研磨装置用キャリア |
JP2018144221A (ja) * | 2017-03-06 | 2018-09-20 | 信越半導体株式会社 | 両面研磨装置用キャリア |
-
2002
- 2002-10-07 JP JP2002294290A patent/JP2004122346A/ja active Pending
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