JP2004121966A - 液滴吐出装置、描画パターン作製方法、描画パターン作製プログラムおよび電子機器 - Google Patents
液滴吐出装置、描画パターン作製方法、描画パターン作製プログラムおよび電子機器 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】吐出した液状材料のうちで無駄となる液状材料の量を低減することができる液滴吐出装置、描画パターン作製方法、描画パターン作製プログラムおよび電子機器を提供する。
【解決手段】液状材料を吐出するインクジェットヘッド20と、インクジェットヘッド20の位置を制御する位置制御手段と、少なくとも円10の形状の一部を含む描画したいパターンのパラメータを取り込む入力手段と、入力手段が入力したパラメータに基づいてインクジェットヘッド20の吐出位置を算出して位置制御手段を制御するとともに、インクジェットヘッド20の吐出タイミングを制御する演算手段とを有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】液状材料を吐出するインクジェットヘッド20と、インクジェットヘッド20の位置を制御する位置制御手段と、少なくとも円10の形状の一部を含む描画したいパターンのパラメータを取り込む入力手段と、入力手段が入力したパラメータに基づいてインクジェットヘッド20の吐出位置を算出して位置制御手段を制御するとともに、インクジェットヘッド20の吐出タイミングを制御する演算手段とを有することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴吐出装置、描画パターン作製方法、描画パターン作製プログラムおよび電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクなどの液状材料を吐出して薄膜形成又はパターニングなどを行う液滴吐出装置として、一般にインクジェット技術を応用した装置がある。この液滴吐出装置は、液状材料供給部からの液状材料(インクなど)の供給を受けるインクジェットヘッドと、基板等をインクジェットヘッドに対して相対的に移動させるステージとを備える。そして、液滴吐出装置は、吐出データに基づいてインクジェットヘッドを移動させながら基板上に液滴を吐出させ、薄膜形成やパターニングなどを行う(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−166541号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の液滴吐出装置は、長方形の基板上に薄膜形成又はパターニングなどを行うことを前提に作製されており、シリコンウェハなど円形基板の全面に薄膜を形成することについては考慮していなかった。そこで、従来の液滴吐出装置は、円形基板の全面に液状材料を吐出する場合は、その円形基板を含む長方形の領域全体に液状材料を吐出しなければならず、製造工程において無駄となる液状材料が大量に発生していた。また、所望の円形基板のみに液状材料を吐出しようとすると、その円形基板毎に長時間をかけてプログラムなどを作成しなければならなかった。このように従来の液滴吐出装置は、いずれにしても製造コストを上昇させる原因を持っていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、吐出した液状材料のうちで無駄となる液状材料の量を低減することができる液滴吐出装置、描画パターン作製方法、描画パターン作製プログラムおよび電子機器の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために本発明の液滴吐出装置は、平面形状の少なくとも一部に円形の外形を含む描画領域に液体材料を吐出する複数のノズルを備えたインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を相対的に制御する位置制御手段と、前記描画領域のデータと前記描画領域に描画するためのパラメータとを設定する設定手段と、前記設定手段が設定したデータ及びパラメータに基いて前記複数のノズルの各々の吐出可否位置を算出して、前記位置制御手段を制御するとともに、前記複数のノズルの各々の吐出タイミングを制御する演算手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、液滴吐出装置によって円形状などの描画領域(所望パターン)に液状材料を塗布するときに、その所望パターンについてのデータ及びパラメータを設定することで、簡易にその所望パターンを作製することができる。従来の液滴吐出装置では、例えば、長方形の基板の全面(長方形領域)に液状材料を吐出することはできたが、シリコンウェハなどの円形基板の表面全体(円形領域)のみに液状を吐出することができなかった。
したがって、本発明によれば、液滴吐出方式を用いて円形状の基板の表面全体に液状材料を塗布するときに、その円形状の基板にのみ液状材料を吐出することができるので、四角形状の領域に液状材料を吐出した場合よりも、無駄となる液状材料の量を大幅に低減することができる。したがって、本発明によれば、製造コストを低減する液滴吐出装置を提供することができる。
【0007】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記複数のノズルは前記インクジェットヘッドに一定の間隔で直線上に配置されていることが好ましい。
本発明によれば、複数のノズルをもったインクジェットヘッドと前記描画領域との位置を相対的に走査させることで、迅速に、円形状を含む所望の形状の描画パターンに液状材料を塗布することができる。
【0008】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記設定手段が、前記描画領域のデータとして少なくとも円についてのデータを取り込むとともに、前記パラメータとして少なくとも前記インクジェットヘッドのノズルの吐出動作についてのデータを取り込むことが好ましい。
本発明によれば、円についてのデータ及びノズルの吐出動作についてのデータを取り込むことで、所望の描画パターンを簡易に作成することができる。
【0009】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記設定手段が、前記描画領域のデータとして少なくとも円についてのデータを取り込むとともに、前記パラメータとして少なくとも前記インクジェットヘッドのノズルの吐出動作についてのデータとフラッシングについてのデータとを取り込むことが好ましい。
本発明によれば、所望のフラッシング動作を簡易に実行させることができる。なお、フラッシング動作は、液滴吐出の直前などに行うものであって、ノズルにおける吐出不良を防ぐために、インクジェットヘッドの各ノズルから被塗布面以外のところに液状材料を強制的に吐出させる動作である。
【0010】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記円についてのデータが、円の半径を示すデータを有することが好ましい。
本発明によれば、例えばシリコンウェハなどの円形基板全面が描画パターンであるときに、その円形の描画パターンを簡易に作製することができ、その円形の描画パターンのみに液状材料を吐出することができる。
【0011】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記描画領域が、円形状において一部の円弧を直線状に切り取った切り欠き部を有し、前記円についてのデータは、円の半径を示すデータと、該半径に対する前記切り欠き部の割合を示すデータとを有することが好ましい。
本発明によれば、シリコンウェハなどのように円板形状における一部の円弧を切り取ったパターンについて、簡易に、そのパターンのデータを作製することができ、無駄となる液状材料の量を大幅に低減することができる。
【0012】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記ノズルの吐出動作についてのデータは、前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させながら該ノズルから液滴を連続的に吐出するときに各吐出位置間を該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置が相対的に移動する距離である吐出間隔を有することが好ましい。
本発明によれば、ノズルから液滴を吐出させ、吐出間隔だけノズルと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させてまた液滴を吐出させるという動作を繰り返すときに、その吐出間隔をパラメータとして設定することで、簡易に所望の描画パターンのデータを作製することができる。
【0013】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記ノズルの吐出動作についてのデータが、前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させながら該ノズルから液滴を連続的に吐出するときに各吐出位置間を該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置が相対的に移動する距離である吐出間隔と、該ノズルの垂直線に対する角度であるヘッド角度とを有することが好ましい。
本発明によれば、吐出間隔とヘッド角度をパラメータとして設定することで、簡易に所望の描画パターンのデータを作製することができる。
【0014】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記ノズルの吐出動作についてのデータが、前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させながら該ノズルから液滴を連続的に吐出するときに各吐出位置間を該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置が相対的に移動する距離である吐出間隔と、該ノズルの垂直線に対する角度であるヘッド角度と、複数の該ノズルにおいて前記演算手段の制御対象となるノズルの数を指定する使用ノズル数とを有することが好ましい。
本発明によれば、吐出間隔とヘッド角度とノズル指定値をパラメータとして設定することで、簡易に所望の描画パターンのデータを作製することができる。ここで、使用ノズル数とは、例えば200個のノズルが直線上に配置されている場合、一番端から11個目のノズル(開始ノズル)から180個目までのノズル(終了ノズル)の170個を使用するように指定することをいう。
【0015】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記フラッシングについてのデータが、フラッシングをする前において前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させる距離である助走距離と、フラッシングしながら該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させる距離であるフラッシング距離と、該フラッシングをした後に該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させる距離である空走距離とを有することが好ましい。
本発明によれば、簡易に、所望のフラッシング動作を行わせることができる。
【0016】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記インクジェットヘッドが、主走査方向に対して直交する方向の副走査方向に一定の間隔であるノズル間隔をもって直線上に配置された複数のノズルを有し、該複数のノズルは、一番端に配置されたノズルを1番として1づつ増した番号からなるノズル番号が順次付けられており、前記演算手段は、前記インクジェットヘッドがX軸方向に前記吐出間隔の整数(X)倍だけ移動して該ノズルからX回だけ液滴の吐出が可能となるときの該Xを吐出可能回数として算出し、描画可能領域を全て走査するのに必要な主走査の数を主走査数として算出するとともに、前記インクジェットヘッドが移動することで前記ノズルが移動した位置が、前記描画したいパターンの領域内か否かを描画領域判定式を用いて判断し、該描画領域判定式は、[(前記吐出間隔×前記吐出可能回数−前記円の半径)2+[{前記ノズル番号+前記使用ノズル数×(前記主走査数−1)}×前記ノズル間隔−前記円の半径]2−前記円の半径2] からなることが好ましい。
本発明によれば、所望のデータ及びパラメータを設定することで、所望の円形状の描画パターンを作製するためのデータをなすものであって、インクジェットヘッドの移動動作及び各ノズルの吐出動作を制御するデータを、簡易に作製することができる。
【0017】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記演算手段が前記描画領域判定式の計算結果が負となった場合、該描画領域判定式で規定される位置が、前記描画したいパターン内にあると判断し、該描画したいパターン内に移動してきた前記ノズルから液状材料を吐出させることが好ましい。
本発明によれば、シリコンウェハなどの円形基板の表面全体のみに、正確に液状材料を吐出することができ、無駄となる液状材料の量をより大幅に低減することができる。
【0018】
本発明の描画パターン作製方法は、液滴吐出装置を用いて描画パターンを作製する描画パターン作製方法において、少なくとも円形状の一部を含む描画領域のデータと該描画領域に描画するためのパラメータとを取り込み、前記描画領域のデータ及びパラメータに基づいて前記液滴吐出装置のインクジェットヘッドの吐出位置を算出するとともに、該インクジェットヘッドの吐出タイミングを制御することを特徴とする。
本発明によれば、液滴吐出装置を用いて円形状などの所望パターンに液状材料を塗布するときに、その所望パターンのパラメータを設定することで、簡易にその所望パターンのデータを作製することができる。したがって、本発明によれば、液滴吐出方式を用いて円形状の基板の表面全体に液状材料を塗布するときに、無駄となる液状材料の量を大幅に低減することができ、製造コストを低減することができる。
【0019】
また、本発明の描画パターン作製方法は、前記描画領域のデータが、円の半径を示すデータを含み、前記パラメータは、前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させながら該インクジェットヘッドのノズルから液滴を連続的に吐出するときに各吐出位置間を該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置が相対的に移動する距離である吐出間隔を含み、前記吐出位置の算出は、前記インクジェットヘッドがX軸方向に前記吐出間隔の整数(X)倍だけ移動して該ノズルからX回だけ液滴の吐出が可能となるときの該Xを吐出可能回数と定義し、前記インクジェットヘッドが描画可能領域を全て走査するのに必要な主走査の数を主走査数と定義し、前記インクジェットヘッドにおいて前記副走査方向に一定間隔で配置された複数のノズル同士の間隔をノズル間隔と定義し、前記複数のノズル毎に、一番端に配置されたノズルを1番として1づつ増した番号を付けたノズル番号と定義し、描画領域判定式として、[(前記吐出間隔×前記吐出可能回数−前記円の半径)2+[{前記ノズル番号+前記使用ノズル数×(前記主走査数−1)}×前記ノズル間隔−前記円の半径]2−前記円の半径2] の値を算出し、前記描画判定式の値が負となった場合、描画したいパターン内にあると判断することが好ましい。
本発明によれば、所定のパラメータを設定することで、所望の円形状の描画パターンを作製するためのデータをなすものであって、インクジェットヘッドの移動動作及び各ノズルの吐出動作を制御するデータを、簡易に作製することができる。
【0020】
本発明の描画パターン作製プログラムは、液滴吐出装置を制御して描画パターンを作製させる描画パターン作製プログラムにおいて、少なくとも円形状の一部を含む描画領域のデータと該描画領域に描画するためのパラメータとを取り込むステップと、前記描画領域のデータ及びパラメータに基づいて前記液滴吐出装置のインクジェットヘッドの吐出位置を算出するとともに、該インクジェットヘッドの吐出タイミングを制御するステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明によれば、液滴吐出装置を用いて円形状などの所望パターンに液状材料を塗布するときに、その所望パターンのパラメータを設定することで、簡易にその所望パターンのデータを作製することができる。したがって、本発明によれば、液滴吐出方式を用いて円形状の基板の表面全体に液状材料を塗布するときに、無駄となる液状材料の量を大幅に低減することができ、製造コストを低減することができる。
【0021】
また、本発明の描画パターン作製プログラムは、前記描画領域のデータ及びパラメータを取り込むステップが、円の半径を示すデータと、前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させながら該インクジェットヘッドのノズルから液滴を連続的に吐出するときに各吐出位置間を該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置が相対的に移動する距離である吐出間隔とを少なくとも取り込み、前記吐出タイミングを制御するステップは、前記インクジェットヘッドがX軸方向に前記吐出間隔の整数(X)倍だけ移動して該ノズルからX回だけ液滴の吐出が可能となるときの該Xを吐出可能回数と定義し、前記インクジェットヘッドが描画可能領域を全て走査するのに必要な主走査の数を主走査数と定義し、前記インクジェットヘッドにおいて前記副走査方向に一定間隔で配置された複数のノズル同士の間隔をノズル間隔と定義し、前記複数のノズル毎に、一番端に配置されたノズルを1番として1づつ増した番号を付けたノズル番号と定義し、描画領域判定式として、[(前記吐出間隔×前記吐出可能回数−前記円の半径)2+[{前記ノズル番号+前記使用ノズル数×(前記主走査数−1)}×前記ノズル間隔−前記円の半径]2−前記円の半径2] の値を算出し、前記描画判定式の値が負となった場合、描画したいパターン内に該ノズル番号のノズルがあると判断することが好ましい。
本発明によれば、所望のデータ及びパラメータを設定することで、所望の円形状の描画パターンを作製するためのデータをなすものであって、インクジェットヘッドの移動動作及び各ノズルの吐出動作を制御するデータを、簡易に作製することができる。
【0022】
本発明の電子機器は、前記液滴吐出装置あるいは前記描画パターン作製方法を用いて作製されたことを特徴とする。
本発明によれば、製造時において無駄となる構成材料の量を低減することができ、安価な電子機器を提供することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る液滴吐出装置について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る液滴吐出装置の吐出動作を示す説明図である。円10は、中心点Oと半径rで規定される円であり、例えばシリコンウェハの上面に相当するものである。すなわち円10の内側領域が液滴吐出領域である。
【0024】
円10は、X軸とY軸で規定される平面上にあるものとする。インクジェットヘッド20は、本実施形態に係る液滴吐出装置の構成要素である。また、インクジェットヘッド20は、液状材料の吐出口となるものであって、一定の間隔をもって直線上に配置された複数のn個のノズル21−N(N=1,2,…,n)を備えている。ここで、インクジェットヘッド20は、各ノズル21−Nの配置がなす直線がY軸と平行となるように、配置される。
尚、nの数について、本実施形態ではnが180個の場合を例にとって説明する。
【0025】
そして、インクジェットヘッド20は、図1の矢印方向に、すなわちX軸と平行に主走査される。この走査は、位置制御手段(図示せず)によって制御される。なお、インクジェットヘッド20の位置は固定させ、円10をなす基板を移動させることで主走査してもよい。
【0026】
この主走査の途中において、複数のノズル21−1,21−2,…21−180のうちで円10の内側に入ったノズルから液状材料が吐出される。1回の主走査が終わると、インクジェットヘッド20はY軸方向に所定距離だけ移動(副走査)させられる。そして、2回目主走査が上記1回目の主走査と同様に行われる。これらの主走査が繰り返されることで、円10の内側全体に液状材料が吐出される。
ところで、1回の主走査毎にY軸方向に移動させる副走査の距離(所定距離)は、通常は、X軸方向への1回の主走査でカバーする吐出領域のY軸上の長さに設定する。
【0027】
このような動作を行うために、本液滴吐出装置は、描画したいパターン(円形基板表面の形状など)のデータとそのパターンを描画するための液滴吐出装置のパラメータとを設定する設定手段(図示せず)と、設定したデータ及びパラメータに基づいてインクジェットヘッド20の各ノズル21−1,21−2,…21−180が吐出すべき位置を算出して位置制御手段を制御するとともに、各ノズル21−1,21−2,…21−180の吐出タイミングを制御する演算手段(図示せず)とを備える。
【0028】
演算手段は、下記の数式(数1)に示す描画領域判定式を用いて、描画したいパターンに関して、各ノズルにインクを吐出させる位置と吐出させない位置ついてのデータを作製する。
[数1]
描画領域判定式=[(吐出間隔×吐出可能回数−円の半径)2+[{ノズル番号+使用ノズル数×(主走査数−1)}×ノズル間隔−円の半径]2−円の半径2)ここで、上記数式(数1)の右辺の計算結果が正の値となった場合には、その地点は描画領域外であり、右辺の計算結果が負の値となった場合には、その地点は描画領域内であると判定する。
描画領域の判定は、図1のX軸に(吐出間隔×吐出可能回数)の値を、Y軸に{ノズル番号+使用ノズル数×(主走査数−1)}の値を取った時の前記ノズル番号に相当するノズル位置をXY軸上の座標で表し、そのノズル位置が描画領域の内か外かの判定を行う。ここで、吐出可能回数とノズル番号、主走査数はノズルの位置を示す可変の値である。
【0029】
上記数式(数1)において、吐出間隔は、インクジェットヘッド20をX軸方向に移動させながら例えばノズル21−1から液滴を連続的に吐出するときに各吐出位置間を該インクジェットヘッドが基板(ウェーハ)に対して相対的に移動する距離である。すなわち、インクジェットヘッド20をX軸方向に主走査する過程で、各ノズル21−1,2,…,180が吐出可能となった位置から、X軸方向に吐出間隔だけ移動した後、再び各ノズル21−1,2,…,180が吐出可能となる。
【0030】
上記数式(数1)において、吐出可能回数は、インクジェットヘッド20が基板(ウェーハ)に対してX軸方向に上記吐出間隔の整数(X)倍だけ相対的に移動して、各吐出位置においてノズルが1回ずつ、X回だけ液滴吐出が可能となるときのそのXである。すなわち、吐出可能回数は、インクジェットヘッド20を主走査する過程で、そのインクジェットヘッド20がX軸方向にどれだけ移動したかを示す値であり、上記吐出間隔を1単位として表した値である。例えば、吐出可能回数(X)は、1〜1000までの整数とする。
【0031】
上記数式(数1)において、ノズル番号は、ノズル21−1,2,…,180毎に付けられた番号である。例えば、インクジェットヘッド20において、一番端に配置されたノズル21−1(Y軸の一番低い位置)を1番として1づつ増した番号を各ノズルにノズル番号として付ける。
【0032】
上記数式(数1)において、使用ノズル数は、複数のノズル21−1,2,…,180の内、例えば両端の各10個ずつのノズルを使用しないこととした場合には、一番端から11個目のノズル(開始ノズル)から170個目までのノズル(終了ノズル)の160ノズルを使用するように指定することをいう。
【0033】
上記数式(数1)において、主走査数は、インクジェットヘッドが描画可能領域を全て走査するのに必要となる主走査の回数である。
ヘッド20がX軸方向の主走査を1回終了するたびに、ヘッド20はY軸方向に所定距離(X軸方向への1回の主走査でカバーするY軸上の長さ分)移動する副走査を行い、そして次の主走査が行われるが、上記数式1において主走査数とは、ヘッド20が描画領域上を全て移動するために必要な主走査の回数である。
【0034】
上記数式(数1)において、ノズル間隔は、インクジェットヘッド20における各ノズル21−1,2,…,180同士の物理的な間隔である。上記数式(数1)において、円の半径とは、円10の半径rである。
【0035】
ここで、「円の半径」と「吐出間隔」は、上記設定手段によって設定される。「吐出間隔」についてはオペレータが液滴吐出装置に入力し、「円の半径」についてはオペレータが形状データを上記設定手段に設定入力する等の方法により設定される。なお、「吐出間隔」は、定数として予め液滴吐出装置に設定しておいてもよい。そして、「吐出可能回数」は、演算手段によって自動的に計数される。「ノズル番号」及び「ノズル間隔」は、予め定められた値である。
【0036】
演算手段は、インクジェットヘッド20の各ノズル21−1,2,…,180の移動可能領域の全てのノズル位置について、上記数式(数1)に示す描画領域判定式の右辺を計算し、各計算結果を記憶する。その計算結果が負となった場合は、その描画領域判定式で規定される位置(ノズルの位置)が、描画したいパターン内にあると判断する。一方、計算結果が正となった場合は、その描画領域判定式で規定される位置(ノズルの位置)が、描画したいパターン外にあると判断する。これらの判断結果も演算手段は記憶しておく。
【0037】
そして、演算手段は、インクジェットヘッド20を走査させて液滴動作をさせるときに、上記描画領域判定式についての計算結果及び判断結果に基づいて、各ノズル21−1,21−2,…21−180の吐出動作を制御する。これらにより、本液滴吐出装置は、所望の描画パターンである円10の内側領域のみに液状材料を吐出することができる。
【0038】
次に、上記描画領域判定式に具体的な数値を入れた計算例を説明する。
上記判定式において変数は、描画領域の半径r、吐出間隔、吐出可能回数、主走査数、使用ノズル数、ノズル番号、ノズル間隔の7つであるが、この内、ノズル位置に関係しないデータである、描画領域のデータである半径r、及び吐出装置側のパラメータである、吐出間隔、使用ノズル数、ノズル間隔は予め以下のように設定されていたものとする。
・半径r=5000μm ・吐出間隔=10μm
・使用ノズル数=170 ・ノズル間隔=141μm
この場合を図1に示す。図1に示すように、ヘッド20の長さが描画領域のY軸方向の長さ(2r)に対して大変長いため、主走査数は1回(主走査数=1)で全ての描画領域をカバーできることが分る。ここで、図1に示すA点について判定した事例を示す。A点の位置から、ノズル番号は10、吐出可能回数は1であったとする。
描画領域判定式A=(10×1−5000)2+[{10+170×(1−1)}×141−5000]2−50002
=12788200(正)
となる。そこで、この描画領域判定式で用いた数値で規定される図1のA点の位置は、円10の外側であって描画領域ではないことがわかる。
【0039】
次に、図1のB点について判定した事例を示す。B点の位置から、ノズル番号は50、吐出可能回数は500であったとする。すると、描画領域判定式は、
描画領域判定式B=(10×500−5000)2+[{50+(170×(1−1))}×141−5000]2−50002
=−20797500(負)
となる。そこで、この描画領域判定式で用いた数値で規定される図1のB点の位置は、円10の内側であって描画領域であることがわかる。
【0040】
次に、本実施形態に係る液滴吐出装置のフラッシング動作などについて、図2を参照して説明する。図2は、本液滴吐出装置のフラッシング動作などを示す説明図である。フラッシングは、各ノズル21−1,21−2,…21−180での吐出不良を抑制するための処置である。
【0041】
特に吐出する液状材料中の溶媒の揮発性が高い場合などに、液状材料の吐出が連続的になされないノズルでは、その開口に滞留する液状材料が溶媒の揮発によって粘度上昇を起こす。甚だしい場合にはノズル開口で液状材料が固化したり、ここに塵埃が付着したり、さらには気泡の混入などによりノズル開口に目詰まりが発生する。これらの発生を防止するために、液滴吐出の直前、さらには吐出と吐出の間にフラッシングを行う。
【0042】
具体的には、図2に示すように、助走領域Rと、フラッシング領域Fと、空走領域Kを設定する。助走領域RのX軸方向の長さは助走距離X1、フラッシング領域FのX軸方向の長さはフラッシング距離X2、空走領域KのX軸方向の長さは空走距離X3とする。助走距離X1、フラッシング距離X2及び空走距離X3は、それぞれパラメータとして上記入力手段に入力される。助走領域R、フラッシング領域F及び空走領域KのY軸方向の幅は、円10aの直径と同じ長さを持つように、上記演算手段によって設定される。また、助走領域R、フラッシング領域F及び空走領域KのY軸方向の位置は、円10aのY軸方向の位置と一致するように、演算手段によって設定される。
【0043】
上記のように助走領域R、フラッシング領域F及び空走領域Kが設定されると、先ずインクジェットヘッド20は、例えば図2に示すように、助走領域Rの左下角に初期位置として移動する。次いで、インクジェットヘッド20はX軸にそって図面右方向に助走領域Rを移動していく。この助走領域Rでは吐出動作を行わない。
【0044】
次いで、インクジェットヘッド20はフラッシング領域Fに入りさらに移動していく。このフラッシング領域Fでは、インクジェットヘッド20の全ノズル21−1,21−2,…21−180について強制的に吐出を行わせる。次いで、インクジェットヘッド20は空走領域Kに入りさらに移動していく。この空走領域Kでは吐出動作は行わない。
【0045】
次いで、インクジェットヘッドは、さらに図面右方向に移動していき、円10aにおいての描画動作をおこなう。このようにして、1回の走査を終了した後、インクジェットヘッド20のY軸方向の位置をX軸方向への1回の主走査でカバーする吐出領域のY軸上の長さ分だけ図面上側にずらし、X軸方向の位置を初期位置に戻して再度上記のフラッシング動作及び描画動作を繰り返す。
【0046】
次に、円10aが切り欠き部10bを有している場合の描画動作について説明する。切り欠き部10bは、円10aをなす半径rの円形状において、一部の円弧を直線状に切り取った部分である。すなわち、切り欠き部10bは、描画領域ではなく液状材料が吐出されない。また、切り欠き部10bのX軸方向の幅は幅Lとする。
【0047】
そして、円10aの半径rに対する切り欠き部10bの幅Lの割合を示すデータがパラメータとして上記設定手段に入力される。この設定に基づいて、演算手段が切り欠き部10bの領域を算出し、切り欠き部10bについて吐出動作を行わせないようにする。
【0048】
次に、上記設定手段の具体例について図3を参照して説明する。図3は設定手段によるパラメータの入力画面を示す説明図である。この入力画面には、「円の設定」欄と、「未使用ノズル」欄と、「吐出設定」欄と、「フラッシング」欄とがある。まず、「円の設定」欄では、「円の半径」、「内円半径1」及び「内円半径2」の項目がある。
【0049】
「円の半径」は、液状材料を吐出して描画しようとする円の半径を指定するものである。「内円半径1」は、「円の半径」がなす円の内側に設けられる円の半径を指定するものである。
【0050】
また、「円の設定」の欄では、「円1波形」、「円2波形」及び「円3波形」の項目もある。「円1波形」は、例えば「円の半径」がなす円の吐出波形を指定するものである。「円2波形」は、例えば「内円半径1」がなす円の吐出波形を指定するものである。「円3波形」は、例えば「内円半径2」がなす円の吐出波形を指定するものである。例えば、波形は1〜3(1:大ドット、2:中ドット、3:小ドット)まで選択できるものとし、それ以外の数値を入力した円の領域は吐出しないとする。そして、例えば「円の半径」、「円1波形」を1とした円の内側領域から、「内円半径1」、「円2波形」を0とした円の内側領域を差し引いた領域が液状材料の吐出領域となる。
【0051】
この吐出領域について、図4を参照して説明する。図4は、「円の半径」と「内円半径1」で規定される吐出領域を示すものである。ここでは、「円の半径」で半径r1が指定され、「内円半径1」で半径r2が指定されたものとする。半径r1がなす円が円10cであり、半径r2がなす円が円10dである。そして、円10cの領域から円10dの領域を抜き取った斜線領域が吐出領域となる。なお、「円の半径」で指定される円の中心点と、「内円半径1」で指定される円の中心点と、「内円半径2」で指定される円の中心点とは、同一である場合に限定されず、それぞれ異なる位置に中心点をもつものとしてもよい。
【0052】
「未使用ノズル」の欄には、「%で指定」及び「数で指定」の項目がある。「%で指定」は、例えば全ノズル21−1,21−2,…21−180のうちで吐出動作をさせないノズルの割合を指定するものである。「数で指定」は、例えば全ノズル21−1,21−2,…21−180のうちで吐出動作をさせないノズルの数を指定するものである。
【0053】
「吐出設定」欄には、「Head角度」、「開始ノズル」、「終了ノズル」及び「吐出間隔」の項目がある。「Head角度」は、ノズル21−1,21−2,…21−180の垂直線に対する角度であるヘッド角度を指定するものであり、例えば0度から90度までの範囲で指定できる。
【0054】
「開始ノズル」は、全ノズル21−1,21−2,…21−180のうちで吐出動作をさせるノズルのうちで最小のノズル番号を指定するものである。「終了ノズル」は、全ノズル21−1,21−2,…21−180のうちで吐出動作をさせるノズルのうちで最大のノズル番号を指定するものである。したがって、全ノズル21−1,21−2,…21−180のうちで、「開始ノズル」で指定されるノズルから「終了ノズル」で指定されるノズルまでが、演算手段の制御対象となるノズルである。また、「開始ノズル」と「終了ノズル」が本発明における「ノズル指定値」をなすものである。「吐出間隔」は、上記数式(数1)の説明で述べたように、インクジェットヘッド20と前記描画領域との位置をX軸方向に相対的に移動させながら例えばノズル21−1から液滴を連続的に吐出するときに各吐出位置間を該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置が相対的に移動する距離である。
【0055】
「フラッシング」の欄には、「助走距離」、「F範囲」及び「空走距離」の項目がある。「助走距離」は、図2に示す上記の助走距離X1を指定するものである。また「F範囲」は、上記のフラッシング距離X2を指定するものである。また「空走距離」は、上記の空走距離X3を指定するものである。
【0056】
次に、本実施形態の変形例について図5を参照して説明する。図5は本実施形態の変形例を示す説明図である。本変形例では、例えば円10eと四角形11を入力手段で指定する。そして、円10eの内側領域と四角形11の内側領域の重複部分である斜線領域を演算手段によって算出し、その斜線領域を吐出領域とする。
これらにより、円形状の少なくとも一部を含む多様な形状の領域について、液滴吐出方式で液状材料を塗布することができる。
【0057】
次に、本実施形態に係る液滴吐出装置の全体構成について、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態の液滴吐出装置の全体構成を示す斜視図である。この液滴吐出装置101は、例えば、電子光学素子である有機EL基板の製造工程においてオーバーコートなどを形成する装置である。液滴吐出装置101は、ベース架台102に載置されたXYテーブル103と、XYテーブル103の上方に設けられたインクジェットヘッド20とを備えている。XYテーブル103の上には、図1に示す円10をなすシリコンウェハなどの基板が固定されている。
【0058】
インクジェットヘッド20は、架台105に設けられた支持部材106に取り付けられており、液状材料を吐出する複数のノズル(図示せず、図1のノズル21−1,21−2,…21−180に相当)を備えている。インクジェットヘッド20の各ノズルには、インク供給チューブ107aと、吐出動作を制御する電気信号用ケーブル(図示せず)が接続されている。インク供給チューブ107aのもう一方の端部には、三方弁、容存酸素系などを含む弁ボックス108及びインク供給チューブ107bを介してインク供給ユニット109が接続されている。
【0059】
このような構成のもとに液滴吐出装置101は、インク供給ユニット109のタンク内のインク(液状材料)を、インク供給チューブ107b、弁ボックス108及びインク供給チューブ107aを介してインクジェットヘッド20に移送する。そして、インクジェットヘッド20に移送されたインクが各ノズルから吐出されて基板の被塗布面である円10に塗布される。
【0060】
この吐出動作において、XYテーブル103は、インクジェットヘッド20がX軸方向への走査をするように駆動される。また、インクジェットヘッド20の各ノズルの吐出タイミングは、上記演算手段によって、XYテーブル103の動きに同期して制御される。
【0061】
これらにより、本実施形態の液滴吐出装置101によれば、円10の形状などの所望パターンに液状材料を塗布するときに、その所望パターンのパラメータを設定することで、簡易にその所望パターンのデータを作製することができる。従来の液滴吐出装置では、例えば、長方形の基板の全面(長方形領域)に液状材料を吐出することはできたが、シリコンウェハなどの円形基板の表面全体(円形領域)のみに液状を吐出することができなかった。
【0062】
したがって、本実施形態の液滴吐出装置101によれば、円10の形状の基板にのみ液状材料を吐出することができるので、四角形状の領域に液状材料を吐出した場合よりも、無駄となる液状材料の量を大幅に低減することができる。したがって、本実施形態によれば、製造コストを大幅に低減することができる液滴吐出装置101を提供することができる。
【0063】
(電子機器)
上記実施形態の液滴吐出装置を用いて製造された電子機器の例について説明する。
図7は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図7において、符号1000は上記の液滴吐出装置を用いて製造された回路基板を有する携帯電話本体を示し、符号1001は上記の液滴吐出装置を用いて製造されたフラットパネルディスプレイを有する表示部を示している。
【0064】
図8は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図8において、符号1100は上記の液滴吐出装置を用いて製造された回路基板を有する時計本体を示し、符号1101は上記の液滴吐出装置を用いて製造されたフラットパネルディスプレイを有する表示部を示している。
【0065】
図9は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図9において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は上記の液滴吐出装置を用いて製造された回路基板を有する情報処理装置本体、符号1206は上記の液滴吐出装置を用いて製造されたフラットパネルディスプレイを有する表示部を示している。
【0066】
図7から図9に示す電子機器は、上記実施形態の液滴吐出装置を用いて製造されるので、製造工程において無駄となる液状材料を大幅に低減することができ、製造コストを大幅に低減することができる。
【0067】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、実施形態で挙げた具体的な材料や構成などはほんの一例に過ぎず適宜変更が可能である。
【0068】
また、上述した実施形態において、液滴吐出装置の演算手段は、図示しない記憶部に記憶されたプログラムを実行することで実現してもよい。ここで、記憶部は、例えばハードディスク装置や光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリやRAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成されるものとする。また、上記記憶部とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含む。
【0069】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されたものでもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、上述した処理の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記プログラムは、上述した処理を他のプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る液滴吐出装置の動作の説明図である。
【図2】同上の装置のフラッシング動作などを示す説明図である。
【図3】同上の装置の入力画面を示す説明図である。
【図4】同上の装置で円を2つ指定した吐出領域を示す説明図である。
【図5】同上の装置における吐出領域の変形例を示す説明図である。
【図6】同上の装置の全体構成を示す斜視図である。
【図7】本実施形態の基板を備えた電子機器の一例を示す図である。
【図8】本実施形態の基板を備えた電子機器の一例を示す図である。
【図9】本実施形態の基板を備えた電子機器の一例を示す図である。
【符号の説明】
10,10a,10c,10d、10e…円、10b…切り欠き部、11…四角形、20…インクジェットヘッド、21−1〜21−180…ノズル、F…フラッシング領域、K…空走領域、L…幅、O…中心点、R…助走領域、r,r1,r2…半径、X1…助走距離、X2…フラッシング距離、X3…空走距離
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴吐出装置、描画パターン作製方法、描画パターン作製プログラムおよび電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクなどの液状材料を吐出して薄膜形成又はパターニングなどを行う液滴吐出装置として、一般にインクジェット技術を応用した装置がある。この液滴吐出装置は、液状材料供給部からの液状材料(インクなど)の供給を受けるインクジェットヘッドと、基板等をインクジェットヘッドに対して相対的に移動させるステージとを備える。そして、液滴吐出装置は、吐出データに基づいてインクジェットヘッドを移動させながら基板上に液滴を吐出させ、薄膜形成やパターニングなどを行う(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−166541号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の液滴吐出装置は、長方形の基板上に薄膜形成又はパターニングなどを行うことを前提に作製されており、シリコンウェハなど円形基板の全面に薄膜を形成することについては考慮していなかった。そこで、従来の液滴吐出装置は、円形基板の全面に液状材料を吐出する場合は、その円形基板を含む長方形の領域全体に液状材料を吐出しなければならず、製造工程において無駄となる液状材料が大量に発生していた。また、所望の円形基板のみに液状材料を吐出しようとすると、その円形基板毎に長時間をかけてプログラムなどを作成しなければならなかった。このように従来の液滴吐出装置は、いずれにしても製造コストを上昇させる原因を持っていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、吐出した液状材料のうちで無駄となる液状材料の量を低減することができる液滴吐出装置、描画パターン作製方法、描画パターン作製プログラムおよび電子機器の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために本発明の液滴吐出装置は、平面形状の少なくとも一部に円形の外形を含む描画領域に液体材料を吐出する複数のノズルを備えたインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を相対的に制御する位置制御手段と、前記描画領域のデータと前記描画領域に描画するためのパラメータとを設定する設定手段と、前記設定手段が設定したデータ及びパラメータに基いて前記複数のノズルの各々の吐出可否位置を算出して、前記位置制御手段を制御するとともに、前記複数のノズルの各々の吐出タイミングを制御する演算手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、液滴吐出装置によって円形状などの描画領域(所望パターン)に液状材料を塗布するときに、その所望パターンについてのデータ及びパラメータを設定することで、簡易にその所望パターンを作製することができる。従来の液滴吐出装置では、例えば、長方形の基板の全面(長方形領域)に液状材料を吐出することはできたが、シリコンウェハなどの円形基板の表面全体(円形領域)のみに液状を吐出することができなかった。
したがって、本発明によれば、液滴吐出方式を用いて円形状の基板の表面全体に液状材料を塗布するときに、その円形状の基板にのみ液状材料を吐出することができるので、四角形状の領域に液状材料を吐出した場合よりも、無駄となる液状材料の量を大幅に低減することができる。したがって、本発明によれば、製造コストを低減する液滴吐出装置を提供することができる。
【0007】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記複数のノズルは前記インクジェットヘッドに一定の間隔で直線上に配置されていることが好ましい。
本発明によれば、複数のノズルをもったインクジェットヘッドと前記描画領域との位置を相対的に走査させることで、迅速に、円形状を含む所望の形状の描画パターンに液状材料を塗布することができる。
【0008】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記設定手段が、前記描画領域のデータとして少なくとも円についてのデータを取り込むとともに、前記パラメータとして少なくとも前記インクジェットヘッドのノズルの吐出動作についてのデータを取り込むことが好ましい。
本発明によれば、円についてのデータ及びノズルの吐出動作についてのデータを取り込むことで、所望の描画パターンを簡易に作成することができる。
【0009】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記設定手段が、前記描画領域のデータとして少なくとも円についてのデータを取り込むとともに、前記パラメータとして少なくとも前記インクジェットヘッドのノズルの吐出動作についてのデータとフラッシングについてのデータとを取り込むことが好ましい。
本発明によれば、所望のフラッシング動作を簡易に実行させることができる。なお、フラッシング動作は、液滴吐出の直前などに行うものであって、ノズルにおける吐出不良を防ぐために、インクジェットヘッドの各ノズルから被塗布面以外のところに液状材料を強制的に吐出させる動作である。
【0010】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記円についてのデータが、円の半径を示すデータを有することが好ましい。
本発明によれば、例えばシリコンウェハなどの円形基板全面が描画パターンであるときに、その円形の描画パターンを簡易に作製することができ、その円形の描画パターンのみに液状材料を吐出することができる。
【0011】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記描画領域が、円形状において一部の円弧を直線状に切り取った切り欠き部を有し、前記円についてのデータは、円の半径を示すデータと、該半径に対する前記切り欠き部の割合を示すデータとを有することが好ましい。
本発明によれば、シリコンウェハなどのように円板形状における一部の円弧を切り取ったパターンについて、簡易に、そのパターンのデータを作製することができ、無駄となる液状材料の量を大幅に低減することができる。
【0012】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記ノズルの吐出動作についてのデータは、前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させながら該ノズルから液滴を連続的に吐出するときに各吐出位置間を該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置が相対的に移動する距離である吐出間隔を有することが好ましい。
本発明によれば、ノズルから液滴を吐出させ、吐出間隔だけノズルと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させてまた液滴を吐出させるという動作を繰り返すときに、その吐出間隔をパラメータとして設定することで、簡易に所望の描画パターンのデータを作製することができる。
【0013】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記ノズルの吐出動作についてのデータが、前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させながら該ノズルから液滴を連続的に吐出するときに各吐出位置間を該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置が相対的に移動する距離である吐出間隔と、該ノズルの垂直線に対する角度であるヘッド角度とを有することが好ましい。
本発明によれば、吐出間隔とヘッド角度をパラメータとして設定することで、簡易に所望の描画パターンのデータを作製することができる。
【0014】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記ノズルの吐出動作についてのデータが、前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させながら該ノズルから液滴を連続的に吐出するときに各吐出位置間を該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置が相対的に移動する距離である吐出間隔と、該ノズルの垂直線に対する角度であるヘッド角度と、複数の該ノズルにおいて前記演算手段の制御対象となるノズルの数を指定する使用ノズル数とを有することが好ましい。
本発明によれば、吐出間隔とヘッド角度とノズル指定値をパラメータとして設定することで、簡易に所望の描画パターンのデータを作製することができる。ここで、使用ノズル数とは、例えば200個のノズルが直線上に配置されている場合、一番端から11個目のノズル(開始ノズル)から180個目までのノズル(終了ノズル)の170個を使用するように指定することをいう。
【0015】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記フラッシングについてのデータが、フラッシングをする前において前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させる距離である助走距離と、フラッシングしながら該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させる距離であるフラッシング距離と、該フラッシングをした後に該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させる距離である空走距離とを有することが好ましい。
本発明によれば、簡易に、所望のフラッシング動作を行わせることができる。
【0016】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記インクジェットヘッドが、主走査方向に対して直交する方向の副走査方向に一定の間隔であるノズル間隔をもって直線上に配置された複数のノズルを有し、該複数のノズルは、一番端に配置されたノズルを1番として1づつ増した番号からなるノズル番号が順次付けられており、前記演算手段は、前記インクジェットヘッドがX軸方向に前記吐出間隔の整数(X)倍だけ移動して該ノズルからX回だけ液滴の吐出が可能となるときの該Xを吐出可能回数として算出し、描画可能領域を全て走査するのに必要な主走査の数を主走査数として算出するとともに、前記インクジェットヘッドが移動することで前記ノズルが移動した位置が、前記描画したいパターンの領域内か否かを描画領域判定式を用いて判断し、該描画領域判定式は、[(前記吐出間隔×前記吐出可能回数−前記円の半径)2+[{前記ノズル番号+前記使用ノズル数×(前記主走査数−1)}×前記ノズル間隔−前記円の半径]2−前記円の半径2] からなることが好ましい。
本発明によれば、所望のデータ及びパラメータを設定することで、所望の円形状の描画パターンを作製するためのデータをなすものであって、インクジェットヘッドの移動動作及び各ノズルの吐出動作を制御するデータを、簡易に作製することができる。
【0017】
また、本発明の液滴吐出装置は、前記演算手段が前記描画領域判定式の計算結果が負となった場合、該描画領域判定式で規定される位置が、前記描画したいパターン内にあると判断し、該描画したいパターン内に移動してきた前記ノズルから液状材料を吐出させることが好ましい。
本発明によれば、シリコンウェハなどの円形基板の表面全体のみに、正確に液状材料を吐出することができ、無駄となる液状材料の量をより大幅に低減することができる。
【0018】
本発明の描画パターン作製方法は、液滴吐出装置を用いて描画パターンを作製する描画パターン作製方法において、少なくとも円形状の一部を含む描画領域のデータと該描画領域に描画するためのパラメータとを取り込み、前記描画領域のデータ及びパラメータに基づいて前記液滴吐出装置のインクジェットヘッドの吐出位置を算出するとともに、該インクジェットヘッドの吐出タイミングを制御することを特徴とする。
本発明によれば、液滴吐出装置を用いて円形状などの所望パターンに液状材料を塗布するときに、その所望パターンのパラメータを設定することで、簡易にその所望パターンのデータを作製することができる。したがって、本発明によれば、液滴吐出方式を用いて円形状の基板の表面全体に液状材料を塗布するときに、無駄となる液状材料の量を大幅に低減することができ、製造コストを低減することができる。
【0019】
また、本発明の描画パターン作製方法は、前記描画領域のデータが、円の半径を示すデータを含み、前記パラメータは、前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させながら該インクジェットヘッドのノズルから液滴を連続的に吐出するときに各吐出位置間を該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置が相対的に移動する距離である吐出間隔を含み、前記吐出位置の算出は、前記インクジェットヘッドがX軸方向に前記吐出間隔の整数(X)倍だけ移動して該ノズルからX回だけ液滴の吐出が可能となるときの該Xを吐出可能回数と定義し、前記インクジェットヘッドが描画可能領域を全て走査するのに必要な主走査の数を主走査数と定義し、前記インクジェットヘッドにおいて前記副走査方向に一定間隔で配置された複数のノズル同士の間隔をノズル間隔と定義し、前記複数のノズル毎に、一番端に配置されたノズルを1番として1づつ増した番号を付けたノズル番号と定義し、描画領域判定式として、[(前記吐出間隔×前記吐出可能回数−前記円の半径)2+[{前記ノズル番号+前記使用ノズル数×(前記主走査数−1)}×前記ノズル間隔−前記円の半径]2−前記円の半径2] の値を算出し、前記描画判定式の値が負となった場合、描画したいパターン内にあると判断することが好ましい。
本発明によれば、所定のパラメータを設定することで、所望の円形状の描画パターンを作製するためのデータをなすものであって、インクジェットヘッドの移動動作及び各ノズルの吐出動作を制御するデータを、簡易に作製することができる。
【0020】
本発明の描画パターン作製プログラムは、液滴吐出装置を制御して描画パターンを作製させる描画パターン作製プログラムにおいて、少なくとも円形状の一部を含む描画領域のデータと該描画領域に描画するためのパラメータとを取り込むステップと、前記描画領域のデータ及びパラメータに基づいて前記液滴吐出装置のインクジェットヘッドの吐出位置を算出するとともに、該インクジェットヘッドの吐出タイミングを制御するステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明によれば、液滴吐出装置を用いて円形状などの所望パターンに液状材料を塗布するときに、その所望パターンのパラメータを設定することで、簡易にその所望パターンのデータを作製することができる。したがって、本発明によれば、液滴吐出方式を用いて円形状の基板の表面全体に液状材料を塗布するときに、無駄となる液状材料の量を大幅に低減することができ、製造コストを低減することができる。
【0021】
また、本発明の描画パターン作製プログラムは、前記描画領域のデータ及びパラメータを取り込むステップが、円の半径を示すデータと、前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させながら該インクジェットヘッドのノズルから液滴を連続的に吐出するときに各吐出位置間を該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置が相対的に移動する距離である吐出間隔とを少なくとも取り込み、前記吐出タイミングを制御するステップは、前記インクジェットヘッドがX軸方向に前記吐出間隔の整数(X)倍だけ移動して該ノズルからX回だけ液滴の吐出が可能となるときの該Xを吐出可能回数と定義し、前記インクジェットヘッドが描画可能領域を全て走査するのに必要な主走査の数を主走査数と定義し、前記インクジェットヘッドにおいて前記副走査方向に一定間隔で配置された複数のノズル同士の間隔をノズル間隔と定義し、前記複数のノズル毎に、一番端に配置されたノズルを1番として1づつ増した番号を付けたノズル番号と定義し、描画領域判定式として、[(前記吐出間隔×前記吐出可能回数−前記円の半径)2+[{前記ノズル番号+前記使用ノズル数×(前記主走査数−1)}×前記ノズル間隔−前記円の半径]2−前記円の半径2] の値を算出し、前記描画判定式の値が負となった場合、描画したいパターン内に該ノズル番号のノズルがあると判断することが好ましい。
本発明によれば、所望のデータ及びパラメータを設定することで、所望の円形状の描画パターンを作製するためのデータをなすものであって、インクジェットヘッドの移動動作及び各ノズルの吐出動作を制御するデータを、簡易に作製することができる。
【0022】
本発明の電子機器は、前記液滴吐出装置あるいは前記描画パターン作製方法を用いて作製されたことを特徴とする。
本発明によれば、製造時において無駄となる構成材料の量を低減することができ、安価な電子機器を提供することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態に係る液滴吐出装置について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る液滴吐出装置の吐出動作を示す説明図である。円10は、中心点Oと半径rで規定される円であり、例えばシリコンウェハの上面に相当するものである。すなわち円10の内側領域が液滴吐出領域である。
【0024】
円10は、X軸とY軸で規定される平面上にあるものとする。インクジェットヘッド20は、本実施形態に係る液滴吐出装置の構成要素である。また、インクジェットヘッド20は、液状材料の吐出口となるものであって、一定の間隔をもって直線上に配置された複数のn個のノズル21−N(N=1,2,…,n)を備えている。ここで、インクジェットヘッド20は、各ノズル21−Nの配置がなす直線がY軸と平行となるように、配置される。
尚、nの数について、本実施形態ではnが180個の場合を例にとって説明する。
【0025】
そして、インクジェットヘッド20は、図1の矢印方向に、すなわちX軸と平行に主走査される。この走査は、位置制御手段(図示せず)によって制御される。なお、インクジェットヘッド20の位置は固定させ、円10をなす基板を移動させることで主走査してもよい。
【0026】
この主走査の途中において、複数のノズル21−1,21−2,…21−180のうちで円10の内側に入ったノズルから液状材料が吐出される。1回の主走査が終わると、インクジェットヘッド20はY軸方向に所定距離だけ移動(副走査)させられる。そして、2回目主走査が上記1回目の主走査と同様に行われる。これらの主走査が繰り返されることで、円10の内側全体に液状材料が吐出される。
ところで、1回の主走査毎にY軸方向に移動させる副走査の距離(所定距離)は、通常は、X軸方向への1回の主走査でカバーする吐出領域のY軸上の長さに設定する。
【0027】
このような動作を行うために、本液滴吐出装置は、描画したいパターン(円形基板表面の形状など)のデータとそのパターンを描画するための液滴吐出装置のパラメータとを設定する設定手段(図示せず)と、設定したデータ及びパラメータに基づいてインクジェットヘッド20の各ノズル21−1,21−2,…21−180が吐出すべき位置を算出して位置制御手段を制御するとともに、各ノズル21−1,21−2,…21−180の吐出タイミングを制御する演算手段(図示せず)とを備える。
【0028】
演算手段は、下記の数式(数1)に示す描画領域判定式を用いて、描画したいパターンに関して、各ノズルにインクを吐出させる位置と吐出させない位置ついてのデータを作製する。
[数1]
描画領域判定式=[(吐出間隔×吐出可能回数−円の半径)2+[{ノズル番号+使用ノズル数×(主走査数−1)}×ノズル間隔−円の半径]2−円の半径2)ここで、上記数式(数1)の右辺の計算結果が正の値となった場合には、その地点は描画領域外であり、右辺の計算結果が負の値となった場合には、その地点は描画領域内であると判定する。
描画領域の判定は、図1のX軸に(吐出間隔×吐出可能回数)の値を、Y軸に{ノズル番号+使用ノズル数×(主走査数−1)}の値を取った時の前記ノズル番号に相当するノズル位置をXY軸上の座標で表し、そのノズル位置が描画領域の内か外かの判定を行う。ここで、吐出可能回数とノズル番号、主走査数はノズルの位置を示す可変の値である。
【0029】
上記数式(数1)において、吐出間隔は、インクジェットヘッド20をX軸方向に移動させながら例えばノズル21−1から液滴を連続的に吐出するときに各吐出位置間を該インクジェットヘッドが基板(ウェーハ)に対して相対的に移動する距離である。すなわち、インクジェットヘッド20をX軸方向に主走査する過程で、各ノズル21−1,2,…,180が吐出可能となった位置から、X軸方向に吐出間隔だけ移動した後、再び各ノズル21−1,2,…,180が吐出可能となる。
【0030】
上記数式(数1)において、吐出可能回数は、インクジェットヘッド20が基板(ウェーハ)に対してX軸方向に上記吐出間隔の整数(X)倍だけ相対的に移動して、各吐出位置においてノズルが1回ずつ、X回だけ液滴吐出が可能となるときのそのXである。すなわち、吐出可能回数は、インクジェットヘッド20を主走査する過程で、そのインクジェットヘッド20がX軸方向にどれだけ移動したかを示す値であり、上記吐出間隔を1単位として表した値である。例えば、吐出可能回数(X)は、1〜1000までの整数とする。
【0031】
上記数式(数1)において、ノズル番号は、ノズル21−1,2,…,180毎に付けられた番号である。例えば、インクジェットヘッド20において、一番端に配置されたノズル21−1(Y軸の一番低い位置)を1番として1づつ増した番号を各ノズルにノズル番号として付ける。
【0032】
上記数式(数1)において、使用ノズル数は、複数のノズル21−1,2,…,180の内、例えば両端の各10個ずつのノズルを使用しないこととした場合には、一番端から11個目のノズル(開始ノズル)から170個目までのノズル(終了ノズル)の160ノズルを使用するように指定することをいう。
【0033】
上記数式(数1)において、主走査数は、インクジェットヘッドが描画可能領域を全て走査するのに必要となる主走査の回数である。
ヘッド20がX軸方向の主走査を1回終了するたびに、ヘッド20はY軸方向に所定距離(X軸方向への1回の主走査でカバーするY軸上の長さ分)移動する副走査を行い、そして次の主走査が行われるが、上記数式1において主走査数とは、ヘッド20が描画領域上を全て移動するために必要な主走査の回数である。
【0034】
上記数式(数1)において、ノズル間隔は、インクジェットヘッド20における各ノズル21−1,2,…,180同士の物理的な間隔である。上記数式(数1)において、円の半径とは、円10の半径rである。
【0035】
ここで、「円の半径」と「吐出間隔」は、上記設定手段によって設定される。「吐出間隔」についてはオペレータが液滴吐出装置に入力し、「円の半径」についてはオペレータが形状データを上記設定手段に設定入力する等の方法により設定される。なお、「吐出間隔」は、定数として予め液滴吐出装置に設定しておいてもよい。そして、「吐出可能回数」は、演算手段によって自動的に計数される。「ノズル番号」及び「ノズル間隔」は、予め定められた値である。
【0036】
演算手段は、インクジェットヘッド20の各ノズル21−1,2,…,180の移動可能領域の全てのノズル位置について、上記数式(数1)に示す描画領域判定式の右辺を計算し、各計算結果を記憶する。その計算結果が負となった場合は、その描画領域判定式で規定される位置(ノズルの位置)が、描画したいパターン内にあると判断する。一方、計算結果が正となった場合は、その描画領域判定式で規定される位置(ノズルの位置)が、描画したいパターン外にあると判断する。これらの判断結果も演算手段は記憶しておく。
【0037】
そして、演算手段は、インクジェットヘッド20を走査させて液滴動作をさせるときに、上記描画領域判定式についての計算結果及び判断結果に基づいて、各ノズル21−1,21−2,…21−180の吐出動作を制御する。これらにより、本液滴吐出装置は、所望の描画パターンである円10の内側領域のみに液状材料を吐出することができる。
【0038】
次に、上記描画領域判定式に具体的な数値を入れた計算例を説明する。
上記判定式において変数は、描画領域の半径r、吐出間隔、吐出可能回数、主走査数、使用ノズル数、ノズル番号、ノズル間隔の7つであるが、この内、ノズル位置に関係しないデータである、描画領域のデータである半径r、及び吐出装置側のパラメータである、吐出間隔、使用ノズル数、ノズル間隔は予め以下のように設定されていたものとする。
・半径r=5000μm ・吐出間隔=10μm
・使用ノズル数=170 ・ノズル間隔=141μm
この場合を図1に示す。図1に示すように、ヘッド20の長さが描画領域のY軸方向の長さ(2r)に対して大変長いため、主走査数は1回(主走査数=1)で全ての描画領域をカバーできることが分る。ここで、図1に示すA点について判定した事例を示す。A点の位置から、ノズル番号は10、吐出可能回数は1であったとする。
描画領域判定式A=(10×1−5000)2+[{10+170×(1−1)}×141−5000]2−50002
=12788200(正)
となる。そこで、この描画領域判定式で用いた数値で規定される図1のA点の位置は、円10の外側であって描画領域ではないことがわかる。
【0039】
次に、図1のB点について判定した事例を示す。B点の位置から、ノズル番号は50、吐出可能回数は500であったとする。すると、描画領域判定式は、
描画領域判定式B=(10×500−5000)2+[{50+(170×(1−1))}×141−5000]2−50002
=−20797500(負)
となる。そこで、この描画領域判定式で用いた数値で規定される図1のB点の位置は、円10の内側であって描画領域であることがわかる。
【0040】
次に、本実施形態に係る液滴吐出装置のフラッシング動作などについて、図2を参照して説明する。図2は、本液滴吐出装置のフラッシング動作などを示す説明図である。フラッシングは、各ノズル21−1,21−2,…21−180での吐出不良を抑制するための処置である。
【0041】
特に吐出する液状材料中の溶媒の揮発性が高い場合などに、液状材料の吐出が連続的になされないノズルでは、その開口に滞留する液状材料が溶媒の揮発によって粘度上昇を起こす。甚だしい場合にはノズル開口で液状材料が固化したり、ここに塵埃が付着したり、さらには気泡の混入などによりノズル開口に目詰まりが発生する。これらの発生を防止するために、液滴吐出の直前、さらには吐出と吐出の間にフラッシングを行う。
【0042】
具体的には、図2に示すように、助走領域Rと、フラッシング領域Fと、空走領域Kを設定する。助走領域RのX軸方向の長さは助走距離X1、フラッシング領域FのX軸方向の長さはフラッシング距離X2、空走領域KのX軸方向の長さは空走距離X3とする。助走距離X1、フラッシング距離X2及び空走距離X3は、それぞれパラメータとして上記入力手段に入力される。助走領域R、フラッシング領域F及び空走領域KのY軸方向の幅は、円10aの直径と同じ長さを持つように、上記演算手段によって設定される。また、助走領域R、フラッシング領域F及び空走領域KのY軸方向の位置は、円10aのY軸方向の位置と一致するように、演算手段によって設定される。
【0043】
上記のように助走領域R、フラッシング領域F及び空走領域Kが設定されると、先ずインクジェットヘッド20は、例えば図2に示すように、助走領域Rの左下角に初期位置として移動する。次いで、インクジェットヘッド20はX軸にそって図面右方向に助走領域Rを移動していく。この助走領域Rでは吐出動作を行わない。
【0044】
次いで、インクジェットヘッド20はフラッシング領域Fに入りさらに移動していく。このフラッシング領域Fでは、インクジェットヘッド20の全ノズル21−1,21−2,…21−180について強制的に吐出を行わせる。次いで、インクジェットヘッド20は空走領域Kに入りさらに移動していく。この空走領域Kでは吐出動作は行わない。
【0045】
次いで、インクジェットヘッドは、さらに図面右方向に移動していき、円10aにおいての描画動作をおこなう。このようにして、1回の走査を終了した後、インクジェットヘッド20のY軸方向の位置をX軸方向への1回の主走査でカバーする吐出領域のY軸上の長さ分だけ図面上側にずらし、X軸方向の位置を初期位置に戻して再度上記のフラッシング動作及び描画動作を繰り返す。
【0046】
次に、円10aが切り欠き部10bを有している場合の描画動作について説明する。切り欠き部10bは、円10aをなす半径rの円形状において、一部の円弧を直線状に切り取った部分である。すなわち、切り欠き部10bは、描画領域ではなく液状材料が吐出されない。また、切り欠き部10bのX軸方向の幅は幅Lとする。
【0047】
そして、円10aの半径rに対する切り欠き部10bの幅Lの割合を示すデータがパラメータとして上記設定手段に入力される。この設定に基づいて、演算手段が切り欠き部10bの領域を算出し、切り欠き部10bについて吐出動作を行わせないようにする。
【0048】
次に、上記設定手段の具体例について図3を参照して説明する。図3は設定手段によるパラメータの入力画面を示す説明図である。この入力画面には、「円の設定」欄と、「未使用ノズル」欄と、「吐出設定」欄と、「フラッシング」欄とがある。まず、「円の設定」欄では、「円の半径」、「内円半径1」及び「内円半径2」の項目がある。
【0049】
「円の半径」は、液状材料を吐出して描画しようとする円の半径を指定するものである。「内円半径1」は、「円の半径」がなす円の内側に設けられる円の半径を指定するものである。
【0050】
また、「円の設定」の欄では、「円1波形」、「円2波形」及び「円3波形」の項目もある。「円1波形」は、例えば「円の半径」がなす円の吐出波形を指定するものである。「円2波形」は、例えば「内円半径1」がなす円の吐出波形を指定するものである。「円3波形」は、例えば「内円半径2」がなす円の吐出波形を指定するものである。例えば、波形は1〜3(1:大ドット、2:中ドット、3:小ドット)まで選択できるものとし、それ以外の数値を入力した円の領域は吐出しないとする。そして、例えば「円の半径」、「円1波形」を1とした円の内側領域から、「内円半径1」、「円2波形」を0とした円の内側領域を差し引いた領域が液状材料の吐出領域となる。
【0051】
この吐出領域について、図4を参照して説明する。図4は、「円の半径」と「内円半径1」で規定される吐出領域を示すものである。ここでは、「円の半径」で半径r1が指定され、「内円半径1」で半径r2が指定されたものとする。半径r1がなす円が円10cであり、半径r2がなす円が円10dである。そして、円10cの領域から円10dの領域を抜き取った斜線領域が吐出領域となる。なお、「円の半径」で指定される円の中心点と、「内円半径1」で指定される円の中心点と、「内円半径2」で指定される円の中心点とは、同一である場合に限定されず、それぞれ異なる位置に中心点をもつものとしてもよい。
【0052】
「未使用ノズル」の欄には、「%で指定」及び「数で指定」の項目がある。「%で指定」は、例えば全ノズル21−1,21−2,…21−180のうちで吐出動作をさせないノズルの割合を指定するものである。「数で指定」は、例えば全ノズル21−1,21−2,…21−180のうちで吐出動作をさせないノズルの数を指定するものである。
【0053】
「吐出設定」欄には、「Head角度」、「開始ノズル」、「終了ノズル」及び「吐出間隔」の項目がある。「Head角度」は、ノズル21−1,21−2,…21−180の垂直線に対する角度であるヘッド角度を指定するものであり、例えば0度から90度までの範囲で指定できる。
【0054】
「開始ノズル」は、全ノズル21−1,21−2,…21−180のうちで吐出動作をさせるノズルのうちで最小のノズル番号を指定するものである。「終了ノズル」は、全ノズル21−1,21−2,…21−180のうちで吐出動作をさせるノズルのうちで最大のノズル番号を指定するものである。したがって、全ノズル21−1,21−2,…21−180のうちで、「開始ノズル」で指定されるノズルから「終了ノズル」で指定されるノズルまでが、演算手段の制御対象となるノズルである。また、「開始ノズル」と「終了ノズル」が本発明における「ノズル指定値」をなすものである。「吐出間隔」は、上記数式(数1)の説明で述べたように、インクジェットヘッド20と前記描画領域との位置をX軸方向に相対的に移動させながら例えばノズル21−1から液滴を連続的に吐出するときに各吐出位置間を該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置が相対的に移動する距離である。
【0055】
「フラッシング」の欄には、「助走距離」、「F範囲」及び「空走距離」の項目がある。「助走距離」は、図2に示す上記の助走距離X1を指定するものである。また「F範囲」は、上記のフラッシング距離X2を指定するものである。また「空走距離」は、上記の空走距離X3を指定するものである。
【0056】
次に、本実施形態の変形例について図5を参照して説明する。図5は本実施形態の変形例を示す説明図である。本変形例では、例えば円10eと四角形11を入力手段で指定する。そして、円10eの内側領域と四角形11の内側領域の重複部分である斜線領域を演算手段によって算出し、その斜線領域を吐出領域とする。
これらにより、円形状の少なくとも一部を含む多様な形状の領域について、液滴吐出方式で液状材料を塗布することができる。
【0057】
次に、本実施形態に係る液滴吐出装置の全体構成について、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態の液滴吐出装置の全体構成を示す斜視図である。この液滴吐出装置101は、例えば、電子光学素子である有機EL基板の製造工程においてオーバーコートなどを形成する装置である。液滴吐出装置101は、ベース架台102に載置されたXYテーブル103と、XYテーブル103の上方に設けられたインクジェットヘッド20とを備えている。XYテーブル103の上には、図1に示す円10をなすシリコンウェハなどの基板が固定されている。
【0058】
インクジェットヘッド20は、架台105に設けられた支持部材106に取り付けられており、液状材料を吐出する複数のノズル(図示せず、図1のノズル21−1,21−2,…21−180に相当)を備えている。インクジェットヘッド20の各ノズルには、インク供給チューブ107aと、吐出動作を制御する電気信号用ケーブル(図示せず)が接続されている。インク供給チューブ107aのもう一方の端部には、三方弁、容存酸素系などを含む弁ボックス108及びインク供給チューブ107bを介してインク供給ユニット109が接続されている。
【0059】
このような構成のもとに液滴吐出装置101は、インク供給ユニット109のタンク内のインク(液状材料)を、インク供給チューブ107b、弁ボックス108及びインク供給チューブ107aを介してインクジェットヘッド20に移送する。そして、インクジェットヘッド20に移送されたインクが各ノズルから吐出されて基板の被塗布面である円10に塗布される。
【0060】
この吐出動作において、XYテーブル103は、インクジェットヘッド20がX軸方向への走査をするように駆動される。また、インクジェットヘッド20の各ノズルの吐出タイミングは、上記演算手段によって、XYテーブル103の動きに同期して制御される。
【0061】
これらにより、本実施形態の液滴吐出装置101によれば、円10の形状などの所望パターンに液状材料を塗布するときに、その所望パターンのパラメータを設定することで、簡易にその所望パターンのデータを作製することができる。従来の液滴吐出装置では、例えば、長方形の基板の全面(長方形領域)に液状材料を吐出することはできたが、シリコンウェハなどの円形基板の表面全体(円形領域)のみに液状を吐出することができなかった。
【0062】
したがって、本実施形態の液滴吐出装置101によれば、円10の形状の基板にのみ液状材料を吐出することができるので、四角形状の領域に液状材料を吐出した場合よりも、無駄となる液状材料の量を大幅に低減することができる。したがって、本実施形態によれば、製造コストを大幅に低減することができる液滴吐出装置101を提供することができる。
【0063】
(電子機器)
上記実施形態の液滴吐出装置を用いて製造された電子機器の例について説明する。
図7は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図7において、符号1000は上記の液滴吐出装置を用いて製造された回路基板を有する携帯電話本体を示し、符号1001は上記の液滴吐出装置を用いて製造されたフラットパネルディスプレイを有する表示部を示している。
【0064】
図8は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図8において、符号1100は上記の液滴吐出装置を用いて製造された回路基板を有する時計本体を示し、符号1101は上記の液滴吐出装置を用いて製造されたフラットパネルディスプレイを有する表示部を示している。
【0065】
図9は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図9において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は上記の液滴吐出装置を用いて製造された回路基板を有する情報処理装置本体、符号1206は上記の液滴吐出装置を用いて製造されたフラットパネルディスプレイを有する表示部を示している。
【0066】
図7から図9に示す電子機器は、上記実施形態の液滴吐出装置を用いて製造されるので、製造工程において無駄となる液状材料を大幅に低減することができ、製造コストを大幅に低減することができる。
【0067】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、実施形態で挙げた具体的な材料や構成などはほんの一例に過ぎず適宜変更が可能である。
【0068】
また、上述した実施形態において、液滴吐出装置の演算手段は、図示しない記憶部に記憶されたプログラムを実行することで実現してもよい。ここで、記憶部は、例えばハードディスク装置や光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリやRAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成されるものとする。また、上記記憶部とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含む。
【0069】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されたものでもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、上述した処理の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記プログラムは、上述した処理を他のプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る液滴吐出装置の動作の説明図である。
【図2】同上の装置のフラッシング動作などを示す説明図である。
【図3】同上の装置の入力画面を示す説明図である。
【図4】同上の装置で円を2つ指定した吐出領域を示す説明図である。
【図5】同上の装置における吐出領域の変形例を示す説明図である。
【図6】同上の装置の全体構成を示す斜視図である。
【図7】本実施形態の基板を備えた電子機器の一例を示す図である。
【図8】本実施形態の基板を備えた電子機器の一例を示す図である。
【図9】本実施形態の基板を備えた電子機器の一例を示す図である。
【符号の説明】
10,10a,10c,10d、10e…円、10b…切り欠き部、11…四角形、20…インクジェットヘッド、21−1〜21−180…ノズル、F…フラッシング領域、K…空走領域、L…幅、O…中心点、R…助走領域、r,r1,r2…半径、X1…助走距離、X2…フラッシング距離、X3…空走距離
Claims (17)
- 平面形状の少なくとも一部に円形の外形を含む描画領域に液体材料を吐出する複数のノズルを備えたインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を相対的に制御する位置制御手段と、
前記描画領域のデータと前記描画領域に描画するためのパラメータとを設定する設定手段と、
前記設定手段が設定したデータ及びパラメータに基いて前記複数のノズルの各々の吐出可否位置を算出して、前記位置制御手段を制御するとともに、前記複数のノズルの各々の吐出タイミングを制御する演算手段とを有することを特徴とする液滴吐出装置。 - 前記複数のノズルは前記インクジェットヘッドに一定の間隔で直線上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の液滴吐出装置。
- 前記設定手段は、前記描画領域のデータとして少なくとも円についてのデータを取り込むとともに、前記パラメータとして少なくとも前記インクジェットヘッドのノズルの吐出動作についてのデータを取り込むことを特徴とする請求項1又は2記載の液滴吐出装置。
- 前記設定手段は、前記描画領域のデータとして少なくとも円についてのデータを取り込むとともに、前記パラメータとして少なくとも前記インクジェットヘッドのノズルの吐出動作についてのデータとフラッシングについてのデータとを取り込むことを特徴とする請求項1又は2記載の液滴吐出装置。
- 前記円についてのデータは、円の半径を示すデータを有することを特徴とする請求項3又は4記載の液滴吐出装置。
- 前記描画領域は、円形状において一部の円弧を直線状に切り取った切り欠き部を有し、
前記円についてのデータは、円の半径を示すデータと、該半径に対する前記切り欠き部の割合を示すデータとを有することを特徴とする請求項3又は4記載の液滴吐出装置。 - 前記ノズルの吐出動作についてのデータは、前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させながら該ノズルから液滴を連続的に吐出するときに各吐出位置間を該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置が相対的に移動する距離である吐出間隔を有することを特徴とする請求項3又は4記載の液滴吐出装置。
- 前記ノズルの吐出動作についてのデータは、前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させながら該ノズルから液滴を連続的に吐出するときに各吐出位置間を該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置が相対的に移動する距離である吐出間隔と、該ノズルの垂直線に対する角度であるヘッド角度とを有することを特徴とする請求項3又は4記載の液滴吐出装置。
- 前記ノズルの吐出動作についてのデータは、前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させながら該ノズルから液滴を連続的に吐出するときに各吐出位置間を該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置が相対的に移動する距離である吐出間隔と、該ノズルの垂直線に対する角度であるヘッド角度と、複数の該ノズルにおいて前記演算手段の制御対象となるノズルの数を指定する使用ノズル数とを有することを特徴とする請求項3又は4記載の液滴吐出装置。
- 前記フラッシングについてのデータは、フラッシングをする前において前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させる距離である助走距離と、フラッシングしながら該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させる距離であるフラッシング距離と、該フラッシングをした後に該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させる距離である空走距離とを有することを特徴とする請求項4記載の液滴吐出装置。
- 前記インクジェットヘッドは、主走査方向に対して直交する方向の副走査方向に一定の間隔であるノズル間隔をもって直線上に配置された複数のノズルを有し、
該複数のノズルは、一番端に配置されたノズルを1番として1づつ増した番号からなるノズル番号が順次付けられており、
前記演算手段は、前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置が主走査方向に前記吐出間隔の整数(X)倍だけ相対的に移動して該ノズルからX回だけ液滴の吐出が可能となるときの該Xを吐出可能回数として算出し、描画可能領域を全て走査するのに必要な主走査の数を主走査数として算出するとともに、前記インクジェットヘッドが移動することで前記ノズルが移動した位置が、前記描画したいパターンの領域内か否かを描画領域判定式を用いて判断し、
該描画領域判定式は、[(前記吐出間隔×前記吐出可能回数−前記円の半径)2+[{前記ノズル番号+前記使用ノズル数×(前記主走査数−1)}×前記ノズル間隔−前記円の半径]2−前記円の半径2] からなることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。 - 前記演算手段は、前記描画領域判定式の計算結果が負となった場合、該描画領域判定式で規定される位置が、前記描画したいパターン内にあると判断し、該描画したいパターン内に移動してきた前記ノズルから液状材料を吐出させることを特徴とする請求項11記載の液滴吐出装置。
- 液滴吐出装置を用いて描画パターンを作製する描画パターン作製方法において、
少なくとも円形状の一部を含む描画領域のデータと該描画領域に描画するためのパラメータとを取り込み、
前記描画領域のデータ及びパラメータに基づいて前記液滴吐出装置のインクジェットヘッドの吐出位置を算出するとともに、該インクジェットヘッドの吐出タイミングを制御することを特徴とする描画パターン作製方法。 - 前記描画領域のデータは、円の半径を示すデータを含み、
前記パラメータは、前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させながら該インクジェットヘッドのノズルから液滴を連続的に吐出するときに各吐出位置間を該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置が相対的に移動する距離である吐出間隔を含み、
前記吐出位置の算出は、
前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置が主走査方向に前記吐出間隔の整数(X)倍だけ相対的に移動して該ノズルからX回だけ液滴の吐出が可能となるときの該Xを吐出可能回数と定義し、
前記インクジェットヘッドが描画可能領域を全て走査するのに必要な主走査の数を主走査数と定義し、
前記インクジェットヘッドにおいて前記副走査方向に一定間隔で配置された複数のノズル同士の間隔をノズル間隔と定義し、
前記複数のノズル毎に、一番端に配置されたノズルを1番として1づつ増した番号を付けたノズル番号と定義し、
描画領域判定式として、[(前記吐出間隔×前記吐出可能回数−前記円の半径)2+[{前記ノズル番号+前記使用ノズル数×(前記主走査数−1)}×前記ノズル間隔−前記円の半径]2−前記円の半径2] の値を算出し、
前記描画判定式の値が負となった場合、描画したいパターン内にあると判断することを特徴とする請求項13記載の描画パターン作製方法。 - 液滴吐出装置を制御して描画パターンを作製させる描画パターン作製プログラムにおいて、
少なくとも円形状の一部を含む描画領域のデータと該描画領域に描画するためのパラメータとを取り込むステップと、
前記描画領域のデータ及びパラメータに基づいて前記液滴吐出装置のインクジェットヘッドの吐出位置を算出するとともに、該インクジェットヘッドの吐出タイミングを制御するステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする描画パターン作製プログラム。 - 前記描画領域のデータ及びパラメータを取り込むステップは、
円の半径を示すデータと、前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置を主走査方向に相対的に移動させながら該インクジェットヘッドのノズルから液滴を連続的に吐出するときに各吐出位置間を該インクジェットヘッドと前記描画領域との位置が相対的に移動する距離である吐出間隔とを少なくとも取り込み、
前記吐出タイミングを制御するステップは、
前記インクジェットヘッドと前記描画領域との位置が主走査方向に前記吐出間隔の整数(X)倍だけ相対的に移動して該ノズルからX回だけ液滴の吐出が可能となるときの該Xを吐出可能回数と定義し、
前記インクジェットヘッドが描画可能領域を全て走査するのに必要な主走査の数を主走査数と定義し、
前記インクジェットヘッドにおいて前記副走査方向に一定間隔で配置された複数のノズル同士の間隔をノズル間隔と定義し、
前記複数のノズル毎に、一番端に配置されたノズルを1番として1づつ増した番号を付けたノズル番号と定義し、
描画領域判定式として、[(前記吐出間隔×前記吐出可能回数−前記円の半径)2+[{前記ノズル番号+前記使用ノズル数×(前記主走査数−1)}×前記ノズル間隔−前記円の半径]2−前記円の半径2] の値を算出し、
前記描画判定式の値が負となった場合、描画したいパターン内に該ノズル番号のノズルがあると判断することを特徴とする請求項15記載の描画パターン作製プログラム。 - 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の液滴吐出装置、あるいは請求項13又は14記載の描画パターン作製方法を用いて作製されたことを特徴とする電子機器。
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JP2002289076A JP2004121966A (ja) | 2002-10-01 | 2002-10-01 | 液滴吐出装置、描画パターン作製方法、描画パターン作製プログラムおよび電子機器 |
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---|---|---|---|---|
JP2007002356A (ja) * | 2005-06-23 | 2007-01-11 | Brother Ind Ltd | 布保持枠及びプリンタ |
JP2015131261A (ja) * | 2014-01-10 | 2015-07-23 | 株式会社石井表記 | 膜形成装置および膜形成方法 |
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2002
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US7914139B2 (en) | 2005-06-23 | 2011-03-29 | Brother Kogyo Kabushiki Kaisha | Cloth holding frame |
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