JP2004121496A - 摩擦用具及び摩擦物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】保持体に対する摩擦体の着脱が容易であると共に、保持体からの摩擦体の脱落をほとんど完全に防ぐことができる摩擦用具及び摩擦物品の提供。
【解決手段】操作部D1と脚部D2からなる撓み止め体Dを保持孔14cに回動可能に保持する。撓み止め部D2bは、正面視が下端に向かって二等辺三角形状に横幅が漸次縮小し、側面視方形状をなす。撓み止め部D2bは、90度回動毎に、撓み止め位置と解除位置をとり得る。撓み止め部D2bの両側面が両可撓性抜止脚12bの内側面に相対する場合、両可撓性抜止脚12bが何れも内方に十分に撓み得る解除位置であり、撓み止め部D2bの正背面がそれぞれ両可撓性抜止脚12bの内側面に相対することにより両可撓性抜止脚12bの内方撓みが制限される撓み止め位置となる。
【選択図】 図3
【解決手段】操作部D1と脚部D2からなる撓み止め体Dを保持孔14cに回動可能に保持する。撓み止め部D2bは、正面視が下端に向かって二等辺三角形状に横幅が漸次縮小し、側面視方形状をなす。撓み止め部D2bは、90度回動毎に、撓み止め位置と解除位置をとり得る。撓み止め部D2bの両側面が両可撓性抜止脚12bの内側面に相対する場合、両可撓性抜止脚12bが何れも内方に十分に撓み得る解除位置であり、撓み止め部D2bの正背面がそれぞれ両可撓性抜止脚12bの内側面に相対することにより両可撓性抜止脚12bの内方撓みが制限される撓み止め位置となる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフ靴底その他の履物底等の物品のための滑止又は履物底等の摩耗防止のための摩擦用具、特に、保持体に対する着脱の可能な摩擦体の取り外しを確実に行うことができる摩擦用具、及びその摩擦用具を備えた摩擦物品に関する。
【従来の技術】
【特許文献1】特開2001−204509号公報
【特許文献2】特開2002−119305号公報
【特許文献3】特開2002−119306号公報
【特許文献4】国際公開WO99/45811
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
摩擦用具の一例であるゴルフ靴用の滑止具としては、従来、金属製やセラミクス製のスパイクが用いられていたが、グリーン等の損傷防止や履き心地向上のために、合成樹脂製の滑止具が用いられることが多くなってきた。このような合成樹脂製の滑止具は、金属製の場合に比し摩耗し易いため、滑止具の裏側に金属製又は合成樹脂製の雄ねじ部を突設し、それと螺合する金属製の雌ねじ部をゴルフ靴の底部に設けることにより、滑止具を着脱交換可能なように構成されている。
【0003】
しかしながら、従来の滑止具の着脱においては、取り付け及び取り外し何れの場合も滑止具を回転させるための着脱用具を使用して滑止具を数回転回転させる必要があり、一足のゴルフ用靴における多数の滑止具を全てねじにより確実に着脱させる作業は煩雑である。然も、雄ねじ部及び雌ねじ部が共に金属製である場合は、長期使用により錆付いてねじが回らなくなって取り外しが不可能又は困難になり、無理に外そうとすると怪我や滑止機構の破壊等を引き起こすことなりかねない。また、雄ねじ部が合成樹脂製である場合は、螺合の際の締め付けの加減により雄ねじのねじ又は雄ねじの軸が破壊され、滑止具がねじにより十分に固定保持されずに使用中に外れることが生じ得る。更に、雌ねじ部及び雄ねじ部の両者を合成樹脂製とすると、ねじが緩みや易かったり、締め付け加減により何れか若しくは両方のねじが破壊されて滑止具が十分に固定保持されないことになり易いため、それは不可能である。
【0004】
本発明者は、これらを解決するために、履物底等に固定される保持体に対し摩擦体を嵌合させることにより摩擦体が保持され、挿入部に挿入体を十分に挿入することによりその嵌合保持を解除させることができる、ねじ機構を用いない摩擦用具を発明した。その一つが特開2001−204509号公報に掲載されている。
【0005】
この摩擦用具は、保持体に、嵌合奥端部の環状内周縁部に向かって縮径する円錐台形状内周面が設けられ、摩擦体を保持体に嵌め込むことにより、保持体の環状内周縁部の周方向における任意位置に摩擦体における弾性的に撓み得る抜け止め片の外方開口の抜け止め凹部が嵌合すると共に、摩擦体における支持片が保持体の円錐台形状内周面及び環状内周縁部によって径方向に支持されるものである。ところが、使用中に摩擦体に衝撃力が加わった場合に抜け止め片と環状内周縁部の間にも衝撃力が作用して摩擦体の脱落がやや生じやすくなる嫌いがあった。
【0006】
本発明の目的とするところは、保持体に対する摩擦体の着脱が容易であると共に、保持体からの摩擦体の脱落をほとんど完全に防ぐことができる摩擦用具及び摩擦物品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の摩擦用具は、
保持体と、その保持体に着脱可能に保持される摩擦体とを有してなる摩擦用具であって、
前記摩擦体は、前記保持体に保持された状態において摩擦対象に接することにより摩擦対象との間に摩擦力を発生させる摩擦部を備えると共に、前記摩擦部が摩擦対象に接する側とは逆の側に、摩擦部が摩擦対象に接する向きと逆向きに突設されてその向きにほぼ直交する所定の向きに弾性的に撓み得る可撓性抜止脚を備え、
前記保持体は、前記可撓性抜止脚を嵌め込み得、嵌め込まれた可撓性抜止脚を保持し得る抜止脚保持部を備え、
前記可撓性抜止脚に脚側係合部が設けられ、その脚側係合部と抜止脚保持部は、抜止脚保持部に可撓性抜止脚が嵌め込まれる向きに相対動する場合には可撓性抜止脚の前記所定の向きの弾性的撓みにより係合し得、それとは逆向きに相対動する場合には係合が解除されない形状であって、脚側係合部と抜止脚保持部の係合により前記の抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持が行われるものであり、
前記摩擦体には、撓み止め部と操作部を有してなる撓み止め体が保持され、
前記撓み止め部は、摩擦部が摩擦対象に接する側とは逆の側において可撓性抜止脚に対し前記所定の向きに配され、その可撓性抜止脚の前記所定の向きの撓みを制限又は阻止する撓み止め位置と、その撓み止めを解除する解除位置をとり得、摩擦体のうち、その摩擦体が保持体に保持された状態において摩擦対象に臨む側に、前記撓み止め部の位置を操作し得る前記操作部を露出し、
前記撓み止め部が撓み止め位置にある場合は、前記摩擦体が前記保持体に保持された状態において、可撓性抜止脚は、前記所定の向きの撓みが前記撓み止め部により制限又は阻止されて脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得ず、
前記撓み止め部が解除位置にある場合は、前記摩擦体が前記保持体に保持された状態において、可撓性抜止脚は、前記所定の向きに、少なくとも脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得る程度に撓み得、
前記摩擦体は更に、摩擦部が摩擦対象に接する側からその逆の側に向かって係合解除用の挿入体を挿入し得る挿入部を備え、
前記撓み止め部が解除位置にある場合に、抜止脚保持部により可撓性抜止脚が保持された状態において前記挿入部に係合解除用の挿入体が十分に挿入されることによって、その挿入体により前記可撓性抜止脚が前記所定方向に撓んで前記脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され、保持体から摩擦体を離脱させることができるものであることを特徴とする。
撓み止め体の撓み止め部が解除位置に位置した状態の摩擦体における可撓性抜止脚を、保持体の抜止脚保持部に対し嵌め込むことにより、可撓性抜止脚が所定の向きに十分に弾性的に撓んで可撓性抜止脚の脚側係合部と抜止脚保持部が係合し、抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持が行われる。
【0008】
このように摩擦体が保持体に保持された状態において、摩擦対象に臨む側に露出する操作部を操作し、撓み止め部の位置を撓み止め位置に変更することにより、可撓性抜止脚の前記所定の向きの撓みが撓み止め部により制限又は阻止される。これにより、靴底等において保持体に保持された状態の摩擦体に対し衝撃力等が作用した場合においても、脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得ない状態となり、保持体からの摩擦体の脱落がほとんど完全に防がれる。
【0009】
靴底等において保持体に保持された摩擦体の摩擦部は、可撓性抜止脚が突設された向きとは逆側において地面や路面等の摩擦対象に接することにより摩擦対象との間に摩擦力を発生させる。
【0010】
保持体に保持された摩擦体を保持体から取り外すには、操作部を操作して撓み止め部の位置を解除位置に変更すると共に、摩擦体の挿入部に係合解除用の挿入体を十分に挿入する。撓み止め部が解除位置にある場合は、撓み止め部による可撓性抜止脚の所定向きの撓みの制限又は阻止(撓み止め)が解除された状態であるため、可撓性抜止脚は、前記所定の向きに、少なくとも脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得る程度に撓み得る。そのため、挿入部に十分に挿入された挿入体により可撓性抜止脚が所定方向に撓んで脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除される。これにより、摩擦体を保持体から取り外して交換等を行うことができる。
【0011】
保持体に対する摩擦体の着脱は簡単な操作により行うことができ、ねじ機構を用いる場合のように緩まないよう強くねじ込んで固定したりそれを強い力で逆回転させて外すような力と手間を要しない。そのため、女性、老人、子供等でも着脱容易である。また、金属製のねじのように長期使用により錆付いて取り外しが不可能又は困難になり、怪我や滑止機構の破壊等を引き起こすことがなく、合成樹脂製のねじのように、締め付けによりねじ又はねじの軸が破壊され、摩擦体がねじにより十分に固定保持されずに使用中に外れることが防がれる。
【0012】
通常、履物底等の摩擦物品に保持体を着脱不能な状態で固定して使用するが、その場合、保持体に損傷が生じると、その履物等全体を交換する必要がある。可動部は一般に耐久性が比較的低いので、保持体に可動部を有すると、他の部分に損傷がなくても保持体の可動部の損傷により全体の交換が必要となることが生じ易いが、この摩擦用具においては、摩擦体に可動部である可撓性抜止脚及び撓み止め体を有し、保持体は可動部を有しないので、保持体全体としての耐久性が良好である。そのため保持体を着脱不能な状態で固定した履物底等の物品を可及的に長期にわたり使用することができる。
【0013】
特に、保持体を構成する材料の弾性的な性質により可動状態を実現するものである場合、そのような材料は限定され、而も通常の場合耐熱性や耐圧性が比較的低い。そのため、履物底等を構成する合成樹脂若しくは合成ゴム等の成形材料に保持体をインサートしてそれを成形するような場合、成形の際の熱や圧力等によって比較的大きな変形が生じ易い。ところがこの摩擦用具における保持部には可動部を有しないので、耐熱性、耐圧性、耐摩耗性等の物性に優れた材料を適宜選択して保持体として使用することができる。
【0014】
保持体及び摩擦体は、合成樹脂、合成ゴム、金属、セラミクス、又はこれらの組み合わせ等により適宜形成し得る。保持体及び摩擦体における合成樹脂としては、例えば、ナイロン樹脂(例えばナイロン66樹脂)、ポリウレタン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂等を適宜採用することができる。
【0015】
保持体は、最も一般的には、例えばゴルフ靴の靴底等の履物底部に固定された状態で使用されるが、必ずしもこれに限らない。その他の物品に固定することも可能である。また、各種物品の一部が保持体を構成するものであっても勿論差し支えない。例えば、合成樹脂や合成ゴム製の履物底(例えば靴底、特にゴルフ用靴底等の運動用靴底等)に埋設固定された状態で使用することができるほか、そのような履物底に一体成形により形成したり、履物底の基盤部に一体成形により形成して履物底の底面に露出する状態で使用することも可能である。
【0016】
摩擦体は、保持体に保持された状態において摩擦対象に接することにより摩擦対象との間に摩擦力を発生させる摩擦部を有する。
【0017】
摩擦部は、合成樹脂、合成ゴム、金属、セラミクス等、又はこれらの組み合わせ等により適宜形成し得る。摩擦部と通常の摩擦対象(例えば、土や砂利や石や岩や植物等からなる地面、コンクリートやアスファルトや石材等からなる道路面、コンクリートや合成樹脂や石材や木材等からなる床面、雪面、氷面等)との間に作用する摩擦力は、本発明の摩擦用具の他の部分や保持体を保持する物品のうち通常の使用において摩擦対象に接し得る部分と摩擦対象との間に作用し得る摩擦力よりも大きいものとすることができる。
【0018】
摩擦部は、例えば、摩擦体が履物底部等の摩擦物品に固定された保持体に保持された状態において、履物底部の底面側等の摩擦物品が摩擦対象に臨む位置に摩擦部が位置するものとすることができる。摩擦部の形態としては、例えば、摩擦対象に接する部分が平坦面又は細かい凹凸を全面又は一部に有する面であるもの、摩擦対象に接する側(例えば履物底部の底面側)に突出する小突起群、突条群、直線放射状に配された突条、螺旋放射状に配された突条等の突起部を有するもの等を挙げることができる。摩擦部の全体形状としては、例えば略円板状体等の板状体を挙げることができる。
【0019】
摩擦体は、摩擦部が摩擦対象に接する側とは逆の側に、摩擦部が摩擦対象に接する向きと逆向きに(好ましくは摩擦部に対し垂直状に)突設されてその向きにほぼ直交する所定の向きに弾性的に撓み得る可撓性抜止脚を備え、保持体は、可撓性抜止脚を嵌め込み得、嵌め込まれた可撓性抜止脚を保持し得る抜止脚保持部を備える。抜止脚保持部は、変形し難い材料及び形状からなるものとすることが望ましい。また、可撓性抜止脚は、(望ましくは嵌め込み方向の中心軸線に対し対称状に)何れも内向きに又は何れも外向きに弾性的に撓み得るものを2本又は3本以上有するものとし、抜止脚保持部はそれらの可撓性抜止脚が係合し得るものとすることが好ましい。
【0020】
可撓性抜止脚には、脚側係合部が(例えば先端部付近に)設けられている。脚側係合部と抜止脚保持部は、抜止脚保持部に可撓性抜止脚が嵌め込まれる向きに相対動する場合には可撓性抜止脚の所定の向き(可撓性抜止脚の突設方向にほぼ直交する向き)の弾性的撓みにより係合し得、それとは逆向きに相対動する場合にはその係合が解除されない形状とする。そのような形状としては、例えば、脚側係合部を、可撓性抜止脚の基端側に向かって前記所定の向きとは逆向きに漸次張り出す係合突部とし、抜止脚保持部を、嵌挿孔と、その嵌挿孔に臨んで対向する受止部を有してなり、前記嵌挿孔の嵌挿奥側において前記受止部に脚側係合部がそれぞれ係合し得るものとすることができる。この場合、抜止脚保持部における嵌挿方向の手前側に、嵌挿孔に向かって上記可撓性抜止脚を嵌め込む向きに傾斜する傾斜部を設けることにより、抜止脚保持部に可撓性抜止脚を嵌め込む際に可撓性抜止脚が円滑に所定の向きに弾性的に撓んで脚側係合部が抜止脚保持部に係合し得るものとすることができる。また前記のような形状として、例えば脚側係合部を前記所定の向きとは逆向きに開口する係合凹部とし、前記所定の向きに突起してその係合凹部に係合し得る係合突部を抜止脚保持部に設けるものとすることもできる。
【0021】
また摩擦体には、撓み止め体が保持されている。この撓み止め体は、撓み止め部と操作部を有してなるものであり、合成樹脂、合成ゴム、金属、セラミクス等、又はこれらの組み合わせ等により適宜形成し得る。少なくとも撓み止め部は、可撓性抜止脚の前記所定の向きの撓みを制限又は阻止するものであるから、変形しにくいものとすることが好ましい。撓み止め体は、例えばその撓み止め体の一部が摩擦体に設けた保持用貫通孔に嵌合した状態で摩擦体に保持されるものとすることができ、また、撓み止め体の一部が摩擦体に設けたねじ孔に螺合した状態で摩擦体に保持されるものとすることもできる。
【0022】
撓み止め体における撓み止め部は、摩擦体に撓み止め体が保持された状態において、摩擦部が摩擦対象に接する側とは逆の側において可撓性抜止脚に対し前記所定の向きに配される。所定の向きというのは、可撓性抜止脚がその向きに弾性的に撓むことにより脚側係合部と抜止脚保持部の係合及び係合解除が行われる向きである。
【0023】
撓み止め部は、可撓性抜止脚の前記所定の向きの撓みを制限又は阻止する撓み止め位置と、その撓み止めを解除する解除位置をとり得る。撓み止め位置と解除位置の変更は、例えば撓み止め部の所定軸線(好ましくは摩擦部に対し垂直状をなす所定軸線)からの離心距離が変化する場合(例えば所定軸線に垂直な断面形状が長方形又は楕円形の場合、或いは所定軸線に垂直な所定方向に突起部を有する場合)に、その所定軸線を中心として撓み止め体を180度以下の所定角度一定向き及び逆向きに(又は180度以下の所定角度ずつ一定向きに)回動させることにより行い得るものとすることができる。或いは例えば、撓み止め部の所定軸線(好ましくは摩擦部に対し垂直状をなす所定軸線)に沿った厚みが変化する場合に、その所定軸線に沿って撓み止め体を一定方向及び逆方向に所定距離直線移動させることにより行い得るものとすることができる。摩擦体のうち、その摩擦体が保持体に保持された状態において摩擦対象に臨む側に、撓み止め部の位置を操作し得る操作部を露出する。操作部は、例えば指で摘んで撓み止め体を直線移動又は回動させることができるような突部とすることや、コインの縁部等を嵌合させてそのコインを回動させることにより撓み止め体を回動させることができるような溝状部とすることや、二股状突部等を嵌合させて回動させることにより撓み止め体を回動させることができるような嵌合凹部等とすることができる。
【0024】
撓み止め部が撓み止め位置にある場合は、摩擦体が保持体に保持された状態において、可撓性抜止脚は、例えば所定の向きにおける撓み止め部との距離が十分に小さく(距離が0である場合を含む)なり、前記所定の向きの撓みが撓み止め部により制限又は阻止されて脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得ない。撓み止め部が解除位置にある場合は、摩擦体が保持体に保持された状態において、可撓性抜止脚は、例えば所定の向きにおける撓み止め部との距離が十分に大きくなるか所定の向きに撓み止め部が存在しない状態となり、前記所定の向きに、少なくとも脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得る程度に撓み得る。
【0025】
摩擦体は更に、摩擦部が摩擦対象に接する側からその逆の側に向かって係合解除用の挿入体を挿入し得る挿入部を備え、撓み止め部が解除位置にある場合に、その挿入部に係合解除用の挿入体が十分に挿入されることによって、その挿入体により可撓性抜止脚が所定方向に撓んで脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除される。挿入部は、可撓性抜止脚の数及び位置に対応して設けるものとすることができる。挿入部から挿入される挿入体は、抜止脚保持部と可撓性抜止脚の間に挿入されて可撓性抜止脚が挿入体により所定方向に押され、その所定方向に撓むものとすることができる。挿入部の形状としては、円形断面や方形断面の孔等を適宜採用し得、特に限定されないが、挿入部の横断面積は、可及的に小さいことが好ましい。外部から砂粒や土粒が侵入して挿入部を閉塞させることを防ぐためである。
【0026】
外部から砂粒や土粒が侵入して挿入部を閉塞させることを防ぐという意味において、上記撓み止め体に、摩擦体の挿入部を開閉し得る開閉部を備え、その開閉部は、撓み止め部が解除位置にある場合に摩擦体の挿入部を開口し得、撓み止め部が撓み止め位置にある場合に摩擦体の挿入部を閉塞し得るものとすることが好ましい。
【0027】
これにより、撓み止め部を撓み止め位置に位置させて摩擦用具を使用する状態においては、開閉部が摩擦体の挿入部を閉塞した状態とすることができ、撓み止め部を解除位置に位置させて摩擦体を着脱する状態においては、開閉部が摩擦体の挿入部を開口した状態とすることにより、挿入部に挿入体を挿入して摩擦体を取り外すことが可能となる。
【0028】
また、外部から砂粒や土粒が侵入して挿入部を閉塞させることを防ぐために、挿入部が、例えば、比較的厚みの薄い閉塞部によって閉塞され、中央部に上下貫通する切込部が設けられているものとすることができる。
【0029】
係合解除用の挿入体の形状は、挿入部に十分な深さまで挿入し得るものであることを要する。可撓性抜止脚を2以上有する場合は、係合解除用の挿入体は、例えば二股状(又は三股状以上)に形成されて、同時に2以上の可撓性抜止脚の脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除される向きに挿入部に挿入し得るものであることが望ましい。
【0030】
本発明の摩擦用具は、
上記撓み止め体が、上記摩擦体に対し所定軸線(好ましくは摩擦部に対し垂直状をなす所定軸線)のまわりに少なくとも所定角度の回動が可能なようにその摩擦体に保持され、
その撓み止め体における撓み止め部は、前記回動により撓み止め位置と解除位置をとり得、
その撓み止め部の形状は、上記摩擦体が上記保持体に保持された状態において、前記回動角度位置に応じて上記可撓性抜止脚との距離が変化する形状(例えば横断面長方形状又は横断面楕円形状、或いは径方向突部を有する形状)であり、
前記摩擦体が前記保持体に保持された状態における前記撓み止め部と前記可撓性抜止脚との距離は、前記撓み止め部が撓み止め位置にある場合は、前記可撓性抜止脚が所定向きに撓み得る量が、脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得ない程度に前記撓み止め部によって制限又は阻止される距離であり、前記撓み止め部が解除位置にある場合は、脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得る程度に前記可撓性抜止脚が所定向きに撓み得る距離であるものとすることができる。
【0031】
この場合に、外部から砂粒や土粒が侵入して挿入部を閉塞させることを防ぐために、上記撓み止め体における操作部のうち、摩擦体が保持体に保持された状態において摩擦対象に臨む側に、前記撓み止め体の回動により前記摩擦体の挿入部を開閉し得る開閉部を備え、その開閉部は、撓み止め部が解除位置にある場合に摩擦体の挿入部に位置してその挿入部を開口し得る開口部と、撓み止め部が撓み止め位置にある場合に前記挿入部を覆蓋してその挿入部を閉塞し得る覆蓋部を有してなるものとすることが好ましい。
【0032】
撓み止め体の回動により撓み止め部を撓み止め位置に位置させて摩擦用具を使用する状態においては、開閉部における覆蓋部により摩擦体の挿入部を覆蓋して挿入部を閉塞した状態とすることができ、撓み止め体の回動により撓み止め部を解除位置に位置させて摩擦体を着脱する状態においては、開閉部における開口部を摩擦体の挿入部に位置させて挿入部を開口した状態とすることにより挿入部に挿入体を挿入して摩擦体を取り外すことが可能となる。
【0033】
また本発明の摩擦用具は、
上記撓み止め体が、上記摩擦体に対し所定軸線(好ましくは摩擦部に対し垂直状をなす所定軸線)の方向に少なくとも所定距離の移動が可能なようにその摩擦体に保持され、
その撓み止め体における撓み止め部は、前記移動により撓み止め位置と解除位置をとり得、
その撓み止め部の形状は、上記摩擦体が上記保持体に保持された状態において、前記軸線方向位置に応じて上記可撓性抜止脚との距離が変化する形状(例えば、撓み止め部が摩擦部に対し垂直状をなす所定軸線方向に移動することにより撓み止め位置と解除位置をとる場合に、撓み止め部が撓み止め位置から解除位置に移動することによりその撓み止め部の端部が摩擦部側へ移動して存在しなくなるもの、又は、撓み止め部の肉厚が端部に向かって漸次薄くなり、撓み止め部が撓み止め位置から解除位置に移動することによりその撓み止め部の端部が可撓性抜止脚の所定の向きの撓みを十分に制限又は阻止し得なくなるもの)であり、
前記摩擦体が前記保持体に保持された状態における前記撓み止め部と前記可撓性抜止脚との距離は、前記撓み止め部が撓み止め位置にある場合は、前記可撓性抜止脚が所定向きに撓み得る量が、脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得ない程度に前記撓み止め部によって制限又は阻止される距離であり、前記撓み止め部が解除位置にある場合は、脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得る程度に前記可撓性抜止脚が所定向きに撓み得る距離であるものとすることができる。
【0034】
また上記本発明の摩擦用具は、
上記摩擦体が、可撓性抜止脚と同じ向きに突設された摩擦体側凸部および/または前記可撓性抜止脚と逆向きに凹設された摩擦体側凹部を有し、
上記保持体が、前記摩擦体側凸部と嵌合し得る保持体側凹部および/または前記摩擦体側凸部と嵌合し得る保持体側凸部を有し、
抜止脚保持部により可撓性抜止脚が保持された状態において、前記の摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部と前記の保持体側凹部および/または保持体側凸部が嵌合した状態となり、嵌合した状態の摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部と前記の保持体側凹部および/または保持体側凸部は、保持体に対し摩擦体が、可撓性抜止脚の突設方向に対しほぼ直交する任意方向へずれること、及び可撓性抜止脚の突設方向のまわりに回転することを、前記抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持とは別の箇所において防止するものとすることができる。
【0035】
保持体の抜止脚保持部に対し、摩擦体の可撓性抜止脚を嵌め込むことにより、可撓性抜止脚が所定の向きに弾性的に撓んで可撓性抜止脚の脚側係合部と抜止脚保持部が係合し、抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持が行われる。
【0036】
抜止脚保持部により可撓性抜止脚が保持された状態において摩擦体の挿入部に係合解除用の挿入体を十分に挿入することによって、その挿入体により可撓性抜止脚が所定方向に撓んで脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除されるので、摩擦体を保持体から取り外して交換することができる。
【0037】
抜止脚保持部により可撓性抜止脚が保持された状態において、摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部と保持体側凹部および/または保持体側凸部が嵌合した状態となり、嵌合した状態の摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部と保持体側凹部および/または保持体側凸部は、保持体に対し摩擦体が、可撓性抜止脚の突設方向に対しほぼ直交する任意方向へずれること、及び可撓性抜止脚の突設方向のまわりに回転することを防止する。そのため、摩擦体と保持体の間の摩耗が防がれると共に、このような保持体に対する摩擦体のずれ及び回転の防止は、抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持とは別の箇所において実質上独立して行われるので、保持体に保持された状態の摩擦体に対し前記のようなずれや回転を引き起こそうとする衝撃力等が作用した場合においても、可撓性抜止脚の脚側係合部と抜止脚保持部の係合に影響が及んで摩擦体が保持体から脱落することが防がれる。
【0038】
また、摩擦体が保持体に保持された状態において摩擦体の回転が防がれるので、ねじ機構を用いる場合と異なり、保持体に対する摩擦体の回転角度位置が所定位置となる。そのため、摩擦体の摩擦部の構造や外観を、履物底等の摩擦物品に対し常に一定の角度位置となるようにすることができる。
【0039】
また摩擦体は、摩擦部が摩擦対象に接する側とは逆の側に、可撓性抜止脚と同じ向きに突設された摩擦体側凸部および/または可撓性抜止脚と逆向きに凹設された摩擦体側凹部を備え、保持体は、摩擦体側凸部と嵌合し得る保持体側凹部および/または摩擦体側凸部と嵌合し得る保持体側凸部とを備える。摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部は、2又は3以上を(望ましくは嵌め込み方向の中心軸線に対し対称状に)設け、保持体側凹部および/または保持体側凸部はそれに対応して設けることが好ましい。摩擦体は、摩擦体側凸部を有し、摩擦体側凹部を有しないものとし、保持体は、保持体側凹部を有し保持体側凸部を有しないものとすることが好ましい。摩擦体側凸部が破損したとしても摩擦体を交換することが容易だからである。
【0040】
摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部と保持体側凹部および/または保持体側凸部は、抜止脚保持部により可撓性抜止脚が保持された状態において、嵌合した状態となり、保持体に対し摩擦体が、可撓性抜止脚の突設方向に対しほぼ直交する任意方向へずれること、及び可撓性抜止脚の突設方向のまわりに回転することを、抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持とは別の箇所において実質上独立して防止する。可撓性抜止脚の所定の向きへの撓み及び弾性的復元を繰り返し可能とするために可撓性抜止脚の材厚を薄くしたり可撓性抜止脚の長さを長くすると、可撓性抜止脚の剛性が低下するので、抜止脚保持部により可撓性抜止脚が保持されただけでは摩擦体のずれ及び回転を十分防止し得ないものとなる。
【0041】
また摩擦体は、保持体の可撓性抜止脚嵌め込み方向手前側部分、保持体側凹部および/または保持体側凸部、又は摩擦物品により、可撓性抜止脚の嵌め込み方向に支持されるものとすることができる。
【0042】
更に、本発明の摩擦用具は、
互いに内向きに弾性的に撓み得る相対する2本の可撓性抜止脚を備え、両可撓性抜止脚には、それぞれ外向きに脚側係合部が突設されており、
上記抜止脚保持部は、嵌挿孔と、その嵌挿孔に臨んで対向する両受止部を有してなり、前記嵌挿孔の嵌挿奥側において前記両受止部に前記両脚側係合部がそれぞれ係合し得るものとすることができる。
【0043】
この摩擦用具においては、保持体の抜止脚保持部に対し、摩擦体の可撓性抜止脚を嵌め込む際に、相対する2本の可撓性抜止脚を抜止脚保持部の嵌挿孔に嵌挿することになる。それにより、両可撓性抜止脚は互いに内向きに弾性的に撓みつつ嵌挿孔に嵌挿され、その嵌挿孔に臨んで対向する両受止部に、嵌挿孔の嵌挿奥側において両脚側係合部がそれぞれ係合し、抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持が行われる。
【0044】
この場合、上記抜止脚保持部における上記両受止部が、上記嵌挿孔に向かって上記両可撓性抜止脚を嵌め込む向きに相対向して傾斜する2つの傾斜案内面を有し、前記抜止脚保持部は、前記両傾斜案内面の各両側に側壁を備えており、その傾斜案内面と両側の側壁が傾斜溝底状をなすものであり、
両可撓性抜止脚は、それぞれ両傾斜案内面に案内されて嵌挿孔に嵌挿されることにより抜止脚保持部に嵌め込まれるものとすることができる。
【0045】
この摩擦用具においては、抜止脚保持部における上記両受止部が、嵌挿孔に向かって両可撓性抜止脚を嵌め込む向きに相対向して傾斜する2つの傾斜案内面を有し、その両傾斜案内面の各両側に側壁を備えて傾斜溝底状をなす。そのため、保持体の抜止脚保持部に対し摩擦体の可撓性抜止脚を嵌め込む際、両可撓性抜止脚は、それぞれ傾斜溝底状をなす両傾斜案内面に案内されて嵌挿孔に嵌挿されることにより抜止脚保持部に嵌め込まれる。
【0046】
この場合、両可撓性抜止脚の突出長さが、摩擦体側凸部又は保持体側凸部の突出長さよりも長く、両可撓性抜止脚がそれぞれ両傾斜案内面に案内されて嵌挿孔に嵌挿されることにより、摩擦体側凸部又は保持体側凸部が保持体側凹部又は摩擦体側凹部に嵌合するよう位置決めされるものとすることができる。
【0047】
この摩擦用具においては、両可撓性抜止脚の突出長さが、摩擦体側凸部又は保持体側凸部の突出長さよりも長いので、保持体の抜止脚保持部に対し摩擦体の可撓性抜止脚を嵌め込む際、先ず両可撓性抜止脚がそれぞれ両傾斜案内面に案内される。このように両可撓性抜止脚がそれぞれ両傾斜案内面に案内されて嵌挿孔に嵌挿されることにより、摩擦体側凸部又は保持体側凸部が保持体側凹部又は摩擦体側凹部に嵌合するよう位置決めされ、抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持が行われると共に摩擦体側凸部又は保持体側凸部が保持体側凹部又は摩擦体側凹部に嵌合する。
【0048】
また、これらの場合に、上記摩擦体は、両可撓性抜止脚が相対する方向に対し両側方に、それぞれ両可撓性抜止脚と別に摩擦体側凸部を有し、上記保持体は、その両摩擦体側凸部に対応する位置にそれぞれ抜止脚保持部と別に保持体側凹部を有するものとすることができる。
【0049】
この摩擦用具においては、両可撓性抜止脚が相対する方向に対し両側方に、それぞれ両可撓性抜止脚と別に摩擦体側凸部を有し、保持体は、その両摩擦体側凸部に対応する位置にそれぞれ抜止脚保持部と別に保持体側凹部を有するので、両可撓性抜止脚が相対する方向に対し両側方において、両摩擦体側凸部と両保持体側凹部の嵌合による保持体に対する摩擦体のずれ及び回転の防止が、抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持とは別の箇所において実質上独立して行われる。
【0050】
摩擦体側凸部を有する摩擦体は着脱交換可能であるから、履物底等に固定される保持体に保持体側凸部を有する場合に比し全体として長寿命となる。
【0051】
本発明の摩擦用具は、摩擦体における摩擦部が比較的軟質の材料からなり、可撓性抜止脚並びに摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部が比較的硬質の材料からなるものとすることが好ましい。摩擦部が比較的軟質の材料(例えばポリウレタン樹脂等)からなるものとすることにより、グリーンや建造物の床面等の摩擦対象の損傷防止や履物に使用した場合の履き心地向上に資するところが大きく、可撓性抜止脚並びに摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部がそれぞれ比較的硬質の材料(例えばナイロン樹脂、金属等。また、弾力性を要しない場合はセラミクス等。)からなるものとすることにより、使用中に予想外の力が作用して可撓性抜止脚の脚側係合部と抜止脚保持部の係合や摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部と保持体側凹部および/または保持体側凸部との嵌合が解除されたり、抜止脚保持部の脚側係合部や摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部が磨耗してその係合や嵌合が解除され易くなることが防がれる。
【0052】
更に、本発明の摩擦用具は、摩擦体における摩擦部が比較的軟質の材料からなり、摩擦体における可撓性抜止脚並びに摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部並びに保持体がそれぞれ比較的硬質の材料からなるものとすることが好ましい。
【0053】
この場合、前記と同様に、グリーンや建造物の床面等の損傷防止や履き心地向上等に資すると共に、使用中に予想外の力が作用して可撓性抜止脚の脚側係合部と抜止脚保持部の係合や摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部と保持体側凹部および/または保持体側凸部との嵌合が解除されたり、抜止脚保持部の脚側係合部や摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部が磨耗してその係合や嵌合が解除され易くなることが防がれる。
【0054】
また本発明の摩擦用具は、摩擦体が、平板状基部から一方に可撓性抜止脚及び摩擦体側凸部が突設されてなる嵌合体と、その嵌合体の前記平板状基部を内包する比較的軟質の材料からなる摩擦部が一体化してなるものとすることができる。
【0055】
このような摩擦部は、例えば、予め製造した比較的硬質の材料(例えばナイロン樹脂、金属、セラミクス等)からなる嵌合体の平板状基部を被覆するように、比較的軟質の合成樹脂材料(例えばポリウレタン樹脂)を成形固化させることによって製造し得る。
【0056】
また上記本発明の摩擦用具は、
摩擦体における摩擦部が摩擦対象に接する側とは逆の側のうち、保持体に摩擦体が保持された状態における可撓性抜止脚、抜止脚保持部、摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部、保持体側凹部および/または保持体側凸部、並びに挿入部の何れよりも外周側(例えば摩擦部が摩擦対象に接する側とは逆の側の外周部)に、保持体又は保持体が固定される対象物品との間を密封するための密封部を備えるものとすることができる。
【0057】
この場合、摩擦体における摩擦部が摩擦対象に接する側とは逆の側のうち、保持体に摩擦体が保持された状態における可撓性抜止脚、抜止脚保持部、摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部、保持体側凹部および/または保持体側凸部、並びに挿入部、すなわち抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持及び解除並びに保持体に対する摩擦体のずれ及び回転の防止を行う機構の何れよりも外周側に、保持体又は保持体が固定される対象物品との間を密封するための密封部を備える。密封部において保持体又は保持体が固定される対象物品との間が密封されることにより、砂・石・土等の粒子・粒・片等が外部から侵入して前記保持並びにずれ及び回転防止を行う機構が破損したり機能不全となったりすることが防がれる。
【0058】
なお、履物底部等の摩擦物品に固定された保持体に摩擦体を保持させた状態でその摩擦体の密封部が保持体又は摩擦物品に圧接して摩擦体と保持体の間への細かい石粒や砂粒等の侵入が防止されるものとするには、常に摩擦体の密封部と履物底部等の摩擦物品との間に一定程度の圧接力を生じさせることが好ましい。
【0059】
また本発明の摩擦物品は、
この摩擦用具を備えた摩擦物品であって、
前記摩擦用具における保持体が摩擦物品に固定されており、その保持体に摩擦体が保持された状態において摩擦体の密封部と前記摩擦物品との間が密封されるものとすることができる。
【0060】
この場合、密封部において保持体が固定された摩擦物品との間が密封されることにより、砂・石・土等の粒子・粒・片等が外部から侵入して前記保持並びにずれ及び回転防止を行う機構が破損したり機能不全となったりすることが防がれる。
【0061】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0062】
図1乃至図11並びに図12は、それぞれ本発明の実施の形態の例としてのゴルフ靴用の履物用摩擦用具及びその摩擦用具を備えたゴルフ靴底部(摩擦物品)に関するものである。但し、他の各種運動靴及びその他の履物にも使用可能である。
【0063】
図1は、ゴルフ靴底(上向き)に設けられた保持体に摩擦体を保持させようとする状態を示す断面図、図2は、撓み止め体の(a)正面図・(b)側面図・(c)平面図及び撓み止め体を保持していない摩擦体の(d)断面図、図3はゴルフ靴底に設けられた保持体に摩擦体が嵌合して撓み止め体が撓み止め位置にある状態を示す断面図、図4は摩擦体の正面図、図5はゴルフ靴底に設けられた保持体に摩擦体が嵌合した状態を示す断面図(図3の断面図に直交するもの)、図6は、図1の状態の摩擦体の平面図、図7は、図3の状態の摩擦体の底面図、図8は保持体の平面図である。
【0064】
図9は、ゴルフ靴底に設けられた保持体に嵌合保持された摩擦体において、撓み止め体を解除位置とし、摩擦体の挿入部に係合解除具の挿入体を挿入しようとする状態を示す断面図、図10は、撓み止め体が解除位置にある摩擦体の挿入部に係合解除具の挿入体を挿入した状態を示す横断面図、図11は摩擦体の底面側とゴルフ靴底に固定された保持体を示す斜視図である。
【0065】
図12は、ゴルフ靴底(上向き)に設けられた保持体に摩擦体を保持させようとする状態を示す別の例についての断面図である。
【0066】
この履物用摩擦用具は、ナイロン66樹脂(硬質合成樹脂)製の嵌合体12とポリウレタン樹脂(比較的軟質の合成樹脂)製の摩擦部14からなり、ナイロン66樹脂製の撓み止め体Dを保持した摩擦体C、並びに、合成ゴム製のゴルフ靴底Sに固定保持されたナイロン66樹脂製の保持体Hからなる。
【0067】
摩擦体Cにおける嵌合体12の上端部には円板状の平板状基部12aを有する。この平板状基部12aを含む嵌合体12の上端部をポリウレタン樹脂(比較的軟質の合成樹脂)で被覆するよう成形固化させて略円板状の摩擦部14を形成することにより、嵌合体12と摩擦部14が一体化した摩擦体Cを構成している。
【0068】
嵌合体12は、平板状基部12aから下向きに、一対の可撓性抜止脚12b及び一対の摩擦体側凸部12cを有する。
【0069】
可撓性抜止脚12bは、下方に細長板状に突出し、嵌合体12の軸心線(図1における上下方向の中心軸線)を挟んで対称状に相対する。両可撓性抜止脚12bは、細長板状をなし且つ厚さ方向において相対するため、互いに内向きに弾性的に撓み得る(外向きにも弾性的に撓み得る。)。両可撓性抜止脚12bの下端部には、上方に向かってそれぞれ漸次外向きに張り出した脚側係合部12dが突設されている。
【0070】
摩擦体側凸部12cは、全長が可撓性抜止脚12bの約半分程度であり、縦横が可撓性抜止脚12bの厚さの2乃至3倍程度の断面方形状をなすものであり、実質的にほとんど撓みが生じない。両摩擦体側凸部12cは、それぞれ両可撓性抜止脚12bが相対する方向に対し両側方(やや外側)における両可撓性抜止脚12bの間の位置に、両可撓性抜止脚12bと別に設けられている。
【0071】
摩擦部14は、略円板状をなす基盤部14aと、使用時にその基盤部14aから摩擦対象である地面等に向く方向である高さ方向に突起する複数の突起部を有する。基盤部14aの上面は、中央部に向かって漸次上方に膨出する。
【0072】
基盤部14aにおける両可撓性抜止脚12b及び両摩擦体側凸部12cの間の位置である基盤部14aの中央に、上下に貫通する保持孔14cを有し、基盤部14aの上面部に、保持孔14cよりも大径で同心状をなす円形凹部14dを有する。
【0073】
撓み止め体Dは、大径円板状の頭部を構成する操作部D1と、操作部D1の中央から垂下する脚部D2からなる。脚部D2は、上部を構成する円柱状部D2aと、下部を構成する撓み止め部D2bからなる。撓み止め部D2bは、正面視において下端に向かって二等辺三角形状に横幅が漸次縮小し、側面視において方形状をなす(横幅が上下一定である)。
【0074】
撓み止め体Dは、保持孔14cに対し脚部D2を、その下部である撓み止め部D2bから嵌挿することにより、脚部D2の円柱状部D2aが保持孔14cにおいて保持され、操作部D1の下部側は円形凹部14dに嵌合している。円柱状部D2aには、正面視前後方向[図2(a)]に貫通する方形状の貫通孔D2cが設けられ、保持孔14cに対し嵌挿する際にやや縮径して嵌挿が容易化されることを図っている。円柱状部D2aの下部における正面視左右[図2(a)]の外周面には、それぞれ脱落防止突起D2dが設けられている。この両脱落防止突起D2dは、円柱状部D2aが保持孔14cに嵌合した状態においてその保持孔14cの下側においてそれぞれ保持孔14cの周縁よりも外方に突起して保持孔14cから撓み止め体Dが脱落することを防ぐものである。
【0075】
操作部D1の上部には、上方開口の溝状部D1aが設けられ、溝状部D1aの両端部は、それぞれ上下及び径方向外方に開口する切欠部D1bに形成されている。操作部D1の外周部が開閉部を構成し、そのうち切欠部D1bが開口部、切欠部D1b以外の円弧状部分が覆蓋部を構成する。
【0076】
この一対の切欠部D1bに後記係合解除具31の一対の挿入体32をそれぞれ嵌合させるか又は溝状部D1aにコインの縁部等を嵌合させて係合解除具31又はコインを回動させることにより、撓み止め体Dを保持孔14cに保持された状態においてその上下方向軸線のまわりに回動させることができる。撓み止め部D2bは、90度回動毎に、撓み止め位置と解除位置をとり得る。図1、図6、図9及び図10は、撓み止め部D2bの両側面がそれぞれ両可撓性抜止脚12bの内側面に相対することにより両可撓性抜止脚12bが何れも内方に十分に撓み得る解除位置にある場合を示し、図3、図4、図5及び図7は、撓み止め部D2bの正背面がそれぞれ両可撓性抜止脚12bの内側面に相対することにより両可撓性抜止脚12bの内方撓みが制限される撓み止め位置にある場合を示す。嵌合体12の下面側における保持孔14cと両摩擦体側凸部12cとの間の位置に、それぞれ一対の撓み止め位置保持突起12eが設けられており、操作部D1の回動により撓み止め部D2bが撓み止め位置をとる場合に、脱落防止突起D2dと撓み止め位置保持突起12eの弾性的な変形によって、両脱落防止突起D2dがそれぞれ一対の撓み止め位置保持突起12eの間に嵌まり込んで解除可能に保持される状態となる。これにより、撓み止め部D2bを撓み止め位置に位置決めすることができる。
【0077】
基盤部14aの上面のうち径方向における外周寄りの部分(例えば外周寄りの4分の3乃至2分の1程度、好ましくは3分の2程度)における90度中心角毎に、合計4つの径方向突部22を有し、各径方向突部22同士の間を周方向に二等分する位置に合計4つの中間高突部24を有する。径方向突部22及び中間高突部24はポリウレタン樹脂(比較的弾性変形し易い材料)からなる。
【0078】
各径方向突部22は互いに同一形状で、径方向における中心より半径の3分の1程度の位置から径方向外端位置にわたるものであり、周方向幅はほぼ一定である。各径方向突部22において使用時に対象に臨む面である突起方向面22aは、径方向の長さ(半径の長さの3分の2程度)が周方向幅よりも長く、周方向幅はほぼ一定である。径方向突部22の径方向外方端部は基部から図4における上方に向かって径方向外方に漸次張り出しており、これにより突起方向面22aの径方向外方端部が基盤部14aよりも径方向外方に張り出している。一方、径方向突部22の径方向内方端部は基部から上方に向かってやや径方向外方に傾斜している。
【0079】
各突起方向面22aは、径方向において湾曲した凹曲面状をなしつつ径方向外方から径方向内方に向かって高さが低くなるよう傾斜しており、且つ、周方向において湾曲した凹曲面状をなす。また、各径方向突部22の径方向中央位置における周方向両側にわたり(すなわち周方向に貫くように)、その径方向突部22の突起方向面22aに開口する半円形状断面の緩衝溝22bが設けられている。
【0080】
各中間高突部24は、各径方向突部22における緩衝溝22bの径方向位置とほぼ同じ径方向位置に設けられている。各中間高突部24は、図4における上向きに漸次径が縮小する円錐台形状をなし、その上端部である突起方向端部に、突起方向である上方に開口する180度より小さい中心角(好ましくは20乃至160度程度)の球面状の緩衝凹部24aを有する。各中間高突部24の高さは、径方向突部22の突起方向面22aの径方向外方端部の高さと径方向内方端部の高さの差の3割をその径方向内方端部の高さに加えた程度の高さである。
【0081】
摩擦部14における両可撓性抜止脚12bの経方向外側位置に、それぞれ上下方向の孔状をなす挿入部28が設けられている。図6に示されるように撓み止め部D2bが解除位置にあって操作部D1の両切欠部D1bが各挿入部28の上部に位置する場合、挿入部28の上部は開口しており、操作部D1が90度回動して撓み止め部D2bが撓み止め位置にある場合は、挿入部28の上部は操作部D1の外周部により覆蓋された状態で閉塞されている。
【0082】
摩擦部14の基盤部14aの下面における可撓性抜止脚12b、摩擦体側凸部12c、及び挿入部28よりも外周側の部分に、円環状の内周側環状突条R1を有し、基盤部14aの外周縁部に円環状の外周側環状突条R2が設けられている。
【0083】
保持体Hは、抜止脚保持部40と保持体側凹部42を有する本体部44と、その本体部44の外周側上下中間位置に環状に張り出した外方張出部46からなり、本体部44は、抜止脚保持部40及び保持体側凹部42において上方に開口し、底部が閉塞されている。
【0084】
抜止脚保持部40は、中央部の上下中間位置に有する嵌挿孔40aと、その嵌挿孔40aに臨んで対向する両受止部40bと、両受止部40bの上面を構成する両傾斜案内面40cと、両傾斜案内面40cの各両側に有する側壁40dを有してなる。
【0085】
両傾斜案内面40cは、嵌挿孔40aに向かって両可撓性抜止脚12bを嵌め込む向きに相対向して傾斜するものであり、両受止部40bにおける嵌挿方向の手前側である上面を構成し、その逆側である両受止部40bの下面は、水平状に形成されている。傾斜案内面40cと両側の側壁40dは、傾斜溝底状をなす。嵌挿孔40aの嵌挿奥側である下側において両受止部40bに両脚側係合部12dがそれぞれ係合し得る。保持体Hにおける両受止部40bの下方は、抜止脚保持部40により可撓性抜止脚12bが保持された状態において両可撓性抜止脚12bの脚側係合部12dを収容する脚側係合部収容凹部40eである。
【0086】
撓み止め部D2bを解除位置に位置させて可撓性抜止脚12bを抜止脚保持部40に下向きに嵌め込む場合、両可撓性抜止脚12bは傾斜溝底状をなす両傾斜案内面40cに案内されて互いに内向きに弾性的に撓みつつ嵌挿孔40aに嵌挿され、嵌挿孔40a通過により両可撓性抜止脚12bが外方に復元することにより、その嵌挿孔40aに臨んで対向する両受止部40bに、嵌挿孔40aの下側において両脚側係合部12dがそれぞれ係合し、抜止脚保持部40による可撓性抜止脚12bの保持が行われる。この状態で撓み止め部D2bを90度回動させて撓み止め位置に位置させれば、可撓性抜止脚12bは、内方撓みが撓み止め部D2bにより制限されて脚側係合部12dと抜止脚保持部40との係合が解除され得なくなる。これにより、可撓性抜止脚12bを上向きに引き抜こうとしても、両脚側係合部12dと両受止部40bとの係合は解除されず、靴底等において保持体Hに保持された状態の摩擦体Cに対し衝撃力等が作用した場合においても、両脚側係合部12dと両受止部40bとの係合が解除され得ない状態となり、保持体Hからの摩擦体Cの脱落がほとんど完全に防がれる。
【0087】
両保持体側凹部42の形状及び位置は、抜止脚保持部40により可撓性抜止脚12bが保持された状態において、摩擦体側凸部12cがあまり隙間のない状態で嵌合するものである。両保持体側凹部42は、嵌合体12の軸心線を挟んで対称状に相対するものであり、両保持体側凹部42の内方(図8における保持体側凹部42同士が向かい合う側)は抜止脚保持部40側に開口し、外方及び両側は壁面に形成された断面方形状をなす。嵌合した状態の両摩擦体側凸部12cと両保持体側凹部42は、保持体Hに対し摩擦体Cが、可撓性抜止脚12bの突設方向に対しほぼ直交する任意方向、すなわち水平方向の任意方向へずれること、及び可撓性抜止脚12bの突設方向である上下軸線のまわりに回転することを、抜止脚保持部40による可撓性抜止脚12bの保持とは別の箇所において防止するものである。ずれや回転が防止されるので、仮に砂・石・土等の粒子が摩擦体Cと保持体Hの間に侵入したとしても、両者の間の摩耗が防がれる。
【0088】
このような両摩擦体側凸部12cと両保持体側凹部42の嵌合による保持体Hに対する摩擦体Cのずれ及び回転の防止は、抜止脚保持部40による可撓性抜止脚12bの保持とは別の箇所において実質上独立して行われるので、保持体Hに保持された状態の摩擦体Cに対し前記のようなずれや回転を引き起こそうとする衝撃力等が作用した場合においても、可撓性抜止脚12bの脚側係合部12dと抜止脚保持部40の係合に影響が及んで摩擦体Cが保持体Hから脱落することが防がれる。
【0089】
両可撓性抜止脚12bの突出長さは、摩擦体側凸部12cの突出長さよりも長いので、保持体Hの抜止脚保持部40に対し摩擦体Cの可撓性抜止脚12bを嵌め込む際、先ず両可撓性抜止脚12bがそれぞれ両傾斜案内面40cに案内されて嵌挿孔40aに嵌挿される。それにより、摩擦体側凸部12cが保持体側凹部42に嵌合するよう位置決めされ、抜止脚保持部40による可撓性抜止脚12bの保持が行われると共に摩擦体側凸部12cが保持体側凹部42に嵌合することとなる。
【0090】
保持体Hは、本体部44の上端部が露出する状態で、外方張出部46よりも上方まで埋設されることによりゴルフ靴底Sに固定されて使用される。保持体Hの上端外周面は、円筒面形状をなし、その外周側であるゴルフ靴底Sの内周部に、保持体Hと同心状をなす上方開口の円環状方形断面の内周側環状溝S1が形成されている。また、ゴルフ靴底Sにおける内周側環状溝S1よりも径方向外方に、その内周側環状溝S1の深さの1.5倍程度の径方向間隔を隔てて同心状に、上方開口の略三角形断面の円環状の外周側環状溝S2が形成されている。外周側環状溝S2は、外周面が円筒面形状、内周面が上方に向かって内方に傾斜する円錐台外周面形状であり、深さは内周側環状溝S1の深さの約2倍である。
【0091】
ゴルフ靴底Sの一部として一体成形された内周側環状溝S1と外周側環状溝S2の間の環状部分は、合成ゴム製の(弾力性を有する材料からなる)環状パッキング突部S3である。環状パッキング突部S3は、図1に示されるように、上面が径方向外方に向かって上向きに傾斜することにより、径方向幅が基部(図1における下部)側から端部(図1における上部)に向かって漸次狭くなった一定縦断面形状の円環状をなし、内周側環状溝S1及び外周側環状溝S2と同心状をなす。
【0092】
摩擦体Cにおける内周側環状突条R1及び外周側環状突条R2、並びに摩擦部14の裏側部における内周側環状突条R1と外周側環状突条R2の間の円環状平面である環状パッキング面14bは、摩擦体Cの可撓性抜止脚12bが保持体Hの抜止脚保持部40に嵌合保持されて摩擦体Cがゴルフ靴底Sに保持された状態において、内周側環状突条R1及び外周側環状突条R2がそれぞれ内周側環状溝S1及び外周側環状溝S2に嵌合すると共に、環状パッキング突部S3が環状パッキング面14bに全周にわたり密着状態で弾性的に圧接するよう構成されている。その際、環状パッキング突部S3がほぼ上下方向に弾性的に圧縮される。
【0093】
内周側環状突条R1は、下向きに先細状をなす二等辺三角形状の一定断面であり、内周側環状突条R1の基部が内周側環状溝S1の開口縁部に接する。外周側環状突条R2は、外周面が円筒面形状、内周面が上方に向かって内方に傾斜する円錐台外周面形状の一定断面であり、外周側環状溝S2にほとんど隙間なく嵌合する。
【0094】
ゴルフ靴使用時は、図3の上下関係は逆になる。外方張出部46は、保持体Hが靴底に埋設固定された場合の靴底からの離脱防止の機能を果たす。
【0095】
なお、保持体Hは可動部を有しないので全体として耐久性が良好であり、保持体Hを着脱不能な状態でゴルフ靴底Sに固定したゴルフ靴を可及的に長期にわたり使用することができる。また、保持体Hに可動部を有しないので、耐熱性、耐圧性、耐摩耗性等の物性に優れた材料を適宜選択して保持体Hとして使用することができる。そのため、ゴルフ靴底Sを構成する合成樹脂若しくは合成ゴム等の成形材料に保持体Hをインサートしてそれを成形する上で耐熱性及び耐圧性に優れた材料を選択することができる。
【0096】
ゴルフ靴底Sに埋設固定した保持体Hに摩擦体Cが保持体Hに固定的に保持された状態において、摩擦部14の裏側部(図1における下側部)に二重に設けられた内周側環状突条R1及び外周側環状突条R2がそれぞれゴルフ靴底Sに二重に設けられた内周側環状溝S1及び外周側環状溝S2に嵌合すると共に、摩擦部14の裏側部における内周側環状突条R1と外周側環状突条R2の間の環状パッキング面14bに、ゴルフ靴底Sにおける内周側環状溝S1と外周側環状溝S2の間の環状パッキング突部S3が全周にわたり密着状態で弾性的に圧接する。そのため、二重に設けられた内周側環状突条R1と内周側環状溝S1及び外周側環状突条R2と外周側環状溝S2の嵌合構造並びにそれらの間の環状パッキング面14bと環状パッキング突部S3の全周にわたる密着状態での弾性的圧接による密封構造とが同心状をなす遮蔽構造によって、ゴルフ靴の使用状態において摩擦体Cやゴルフ靴底Sの各部位に発生し得る変形にもかかわらず、砂粒等の侵入物が摩擦体Cと保持体Hの間の内方に侵入することが極めて効果的に防がれる。また、環状パッキング面14bと環状パッキング突部S3の全周にわたる密着状態での弾性的圧接による密封構造は、ある程度の寸法誤差を吸収しつつ侵入物の侵入を防ぐ効果をも発揮し得る。
【0097】
この摩擦体Cを、ゴルフ靴底S及びそのゴルフ靴底Sに固定された保持体Hと組合せて履物用摩擦用具として使用すると、特に撓み止め部D2bを撓み止め位置に位置させておくことにより、保持体Hに保持された状態の摩擦体Cに対し衝撃力等が作用した場合においても、両脚側係合部12dと両受止部40bとの係合が解除され得ない状態となり、保持体Hからの摩擦体Cの脱落がほとんど完全に防がれる。また、摩擦体Cの摩擦部14が比較的軟質であるため、グリーンや建造物の床面等の損傷防止や履き心地向上に資するところが大きい。而も、可撓性抜止脚12b、抜止脚保持部40、摩擦体側凸部12c及び保持体側凹部42がそれぞれ硬質合成樹脂製であるため、使用中に予想外の力が作用して可撓性抜止脚12bの脚側係合部12dと抜止脚保持部40の係合や摩擦体側凸部12cと保持体側凹部42との嵌合が解除されたり、抜止脚保持部40の脚側係合部12dや摩擦体側凸部12cが磨耗してその係合や嵌合が解除され易くなることが防がれる。
【0098】
複数の摩擦体Cが複数の保持体Hにそれぞれ保持された状態でゴルフ靴を履いて使用すると、一般に、先ず各径方向突部22の突起方向面のうち径方向外方の部分から対象面に対する圧接を開始する。各径方向突部22は、比較的弾性変形し易い材料からなるため、ほぼ高さ方向に圧縮され又はそのように圧縮されると共に高さが低下するたわみが生じ、それに伴い、突起方向面22aの対象面に対する圧接部位は、径方向外方から内方へと及ぶ。更に径方向突部22における突起方向面22aのうち残部と中間高突部24の突起方向端部が対象面に対する圧接を開始する。
【0099】
このように各径方向突部22が径方向外方から対象に圧接しつつ変形して圧接部位が径方向内方に及ぶので、ゴルフ靴底Sが踏む対象が芝生や砂地等の柔軟な又は変形し易いものである場合、芝生等にあまり食い込まずにその損傷を防ぎつつ、径方向突部22が滑り止め及び安定支持の効果を発揮し、更に、径方向突部22の突起方向面22aの径方向外方端部の高さと径方向内方端部の高さの差の3割をその径方向内方端部の高さに加えた程度の高さである中間高突部24により、芝生等の損傷を防ぎつつ滑止及び安定支持効果をより高める。
【0100】
ゴルフ靴底Sが踏む対象が、コンクリートやアスファルトや石畳等の比較的硬い又は変形しにくい面である場合、一般に、先ず各径方向突部22の突起方向面のうち径方向外方の部分から対象面に対する圧接を開始する。各径方向突部22は、比較的弾性変形し易い材料からなるため、ほぼ高さ方向に圧縮され又はそのように圧縮されると共に高さが低下するたわみが生じ、それに伴い、突起方向面22aの対象面に対する圧接部位は、径方向外方から内方へと及ぶ。これにより、摩擦部14の柔軟性をそれほど高めなくとも、すなわち、各径方向突部22の耐摩耗性、耐久性、及び芝生等の柔軟な又は変形しやすい対象に対する滑り止め及び安定支持効果が損なわれる程度にまで摩擦部14の柔軟性を高めなくとも、優れたクッション性又は緩衝性が発揮される。
【0101】
使用により摩擦体Cの径方向突部22及び中間高突部24がある程度以上磨耗すると、摩擦体Cを新しいものに交換する必要が生じる。保持体Hから摩擦体Cを離脱させるには、一対の切欠部D1bに係合解除具31の一対の挿入体32をそれぞれ嵌合させて回動させることにより、図6、図9及び図10に示すように撓み止め部D2bを解除位置に位置させ、且つ、操作部D1の両切欠部D1bを各挿入部28の上部に位置させる。これにより、両可撓性抜止脚12bは両脚側係合部12dと両受止部40bとの係合が解除され得る程度に互いに内方に撓み得るものとなり、各挿入部28の上部が開口して挿入体32の挿入が可能となる。次いで、一対の挿入体32を、一対の挿入部28に対し図10及び図11における下向きに十分に挿入する。すると、両挿入体32は、両傾斜案内面40cに案内されて内下方に向かいつつ傾斜案内面40cと可撓性抜止脚12bの間に挿入され、両可撓性抜止脚12bの外側面を内方へ押圧して径方向内方に弾性的に撓ませる。これにより、抜止脚保持部40の受止部40bに対する可撓性抜止脚12bの脚側係合部12dの係合が解除されるので、可撓性抜止脚12bを抜止脚保持部40から上方へ離脱させて摩擦体Cを保持体Hから取り外すことができるようになる。
【0102】
摩擦体Cを保持体Hに保持させて使用する状態では撓み止め部D2bを撓み止め位置に位置させているので、挿入部28の上部は操作部D1の外周部により覆蓋された状態で閉塞されている。そのため、通常の使用状態において挿入部28に砂・石・土・セラミックス・金属・合成樹脂・木等の粒子・粒・片等が詰まって挿入部28に対する嵌合解除用の挿入体32の挿入による保持体Hからの摩擦体Cの離脱が妨げられることや、地面や床面等における種々の突起物やその他の物が意図せずに挿入部28に挿入されて可撓性抜止脚12bと抜止脚保持部40の嵌合が解除されることを回避することができる。
【0103】
係合解除具31は、合成樹脂板製であり、互いに平行状に下向きに突出する一対の挿入体32を有する。各挿入体32は、弾性的に撓み得る棒状をなす。
【0104】
図12におけるナイロン66樹脂製の撓み止め体Fは、上部に円柱状の操作部F1、下部に円柱状の撓み止め部F2、上下中間に円柱状の嵌合部F3を有してなる。撓み止め部F2の外周面の上端位置には外方突部F2aを有する。基盤部14aにおける両可撓性抜止脚12b及び両摩擦体側凸部(図1乃至11の例と同様のもの)の間の位置である基盤部14aの中央に、上下に貫通する保持孔14cが設けられている。撓み止め体Fは、操作部F1を基盤部14aの上側に突出し、撓み止め部F2を両可撓性抜止脚12b及び両摩擦体側凸部の間に突出した状態で、嵌合部F3において保持孔14cに嵌合保持されている。操作部F1を下方に押し込んで外方突部F2aを保持孔14cの下側に位置させれば、撓み止め部F2は、両可撓性抜止脚12bの内方撓みを制限して抜止脚保持部40の受止部40bに対する可撓性抜止脚12bの脚側係合部12dの係合が解除され得ない撓み止め位置となり、操作部F1を上方に引き出しで外方突部F2aを保持孔14cの上方に位置させれば、撓み止め部F2は、両可撓性抜止脚12bが何れも内方に十分に撓み得て抜止脚保持部40の受止部40bに対する可撓性抜止脚12bの脚側係合部12dの係合が解除され得る解除位置となる。外方突部F2aの移動は、保持孔14c及び外方突部F2aが弾性的に変形しつつ行われる。
【0105】
この場合の摩擦部14における両可撓性抜止脚12bの経方向外側位置にそれぞれ設けられた上下方向の孔状をなす挿入部28は、下部が開口し、上部は閉塞部30によって閉塞されている。閉塞部30は、平面視において方形状をなす薄厚であり、中央部に上下貫通する切込部30aが設けられている。
【0106】
保持体Hから摩擦体Cを離脱させるには、撓み止め部F2を解除位置に位置させて一対の挿入体32を閉塞部30における切込部30aを通じ一対の挿入部28に対し十分に挿入する。
【0107】
挿入部28の上部は閉塞部30によって閉塞されており、閉塞部30には切込部30aを有するだけであるから、通常の使用状態において挿入部28に砂・石・土・セラミックス・金属・合成樹脂・木等の粒子・粒・片等が詰まって挿入部28に対する嵌合解除用の挿入体32の挿入による保持体Hからの摩擦体Cの離脱が妨げられることや、地面や床面等における種々の突起物やその他の物が意図せずに挿入部28に挿入されて可撓性抜止脚12bと抜止脚保持部40の嵌合が解除されることを回避することができる。
【0108】
以上の実施の形態についての記述における構成部品の寸法、個数、材質、形状、その相対配置などは、特にそれらに限定される旨の記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。また、課題を解決するための手段の項において本発明について述べた例示及び数値範囲を含む説明は、原則として以上の実施の形態についての記述に適用される。
【0109】
【発明の効果】
本発明の摩擦用具及び摩擦物品においては、保持体の抜止脚保持部に対し摩擦体の可撓性抜止脚を嵌め込むことにより摩擦体を保持体に容易に保持させることができ、摩擦体が保持体に保持された状態において摩擦対象に臨む側に露出する操作部を操作し撓み止め部の位置を撓み止め位置に変更することにより、脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得ない状態として保持体からの摩擦体の脱落をほとんど完全に防ぐことができる。
【0110】
一方、操作部を操作して撓み止め部の位置を解除位置に変更することにより可撓性抜止脚が少なくとも脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得る程度に撓み得るものとすると共に、摩擦体の挿入部に係合解除用の挿入体を十分に挿入することにより、可撓性抜止脚を所定方向に撓ませて脚側係合部と抜止脚保持部との係合を解除して摩擦体を保持体から取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゴルフ靴底に設けられた保持体に摩擦体を保持させようとする状態を示す断面図である。
【図2】撓み止め体の正面図・側面図・平面図及び撓み止め体を保持していない摩擦体の断面図である。
【図3】ゴルフ靴底に設けられた保持体に摩擦体が嵌合した状態を示す断面図である。
【図4】摩擦体の正面図である。
【図5】ゴルフ靴底に設けられた保持体に摩擦体が嵌合した状態を示す断面図である。
【図6】摩擦体の平面図である。
【図7】摩擦体の底面図である。
【図8】保持体の平面図である。
【図9】ゴルフ靴底に設けられた保持体に嵌合保持された摩擦体において、撓み止め体を解除位置とし、摩擦体の挿入部に係合解除具の挿入体を挿入しようとする状態を示す断面図である。
【図10】撓み止め体が解除位置にある摩擦体の挿入部に係合解除具の挿入体を挿入した状態を示す横断面図である。
【図11】摩擦体の底面側とゴルフ靴底に固定された保持体を示す斜視図である。
【図12】ゴルフ靴底(上向き)に設けられた保持体に摩擦体を保持させようとする状態を示す別の例についての断面図である。
【符号の説明】
C 摩擦体
D 撓み止め体
D1 操作部
D1a 溝状部
D1b 切欠部
D2 脚部
D2a 円柱状部
D2b 撓み止め部
D2c 貫通孔
D2d 脱落防止突起
H 保持体
12 嵌合体
12a 平板状基部
12b 可撓性抜止脚
12c 摩擦体側凸部
12d 脚側係合部
12e 撓み止め位置保持突起
14 摩擦部
14a 基盤部
14b 環状パッキング面
14c 保持孔
14d 円形凹部
22 径方向突部
22a 突起方向面
22b 緩衝溝
24 中間高突部
24a 緩衝凹部
28 挿入部
30 閉塞部
30a 切込部
31 係合解除具
32 挿入体
40 抜止脚保持部
40a 嵌挿孔
40b 受止部
40c 傾斜案内面
40d 側壁
40e 脚側係合部収容凹部
42 保持体側凹部
44 本体部
46 外方張出部
R1 内周側環状突条
R2 外周側環状突条
S ゴルフ靴底
S1 内周側環状溝
S2 外周側環状溝
S3 環状パッキング突部
F 撓み止め体
F1 操作部
F2 撓み止め部
F2a 外方突部
F3 嵌合部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフ靴底その他の履物底等の物品のための滑止又は履物底等の摩耗防止のための摩擦用具、特に、保持体に対する着脱の可能な摩擦体の取り外しを確実に行うことができる摩擦用具、及びその摩擦用具を備えた摩擦物品に関する。
【従来の技術】
【特許文献1】特開2001−204509号公報
【特許文献2】特開2002−119305号公報
【特許文献3】特開2002−119306号公報
【特許文献4】国際公開WO99/45811
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
摩擦用具の一例であるゴルフ靴用の滑止具としては、従来、金属製やセラミクス製のスパイクが用いられていたが、グリーン等の損傷防止や履き心地向上のために、合成樹脂製の滑止具が用いられることが多くなってきた。このような合成樹脂製の滑止具は、金属製の場合に比し摩耗し易いため、滑止具の裏側に金属製又は合成樹脂製の雄ねじ部を突設し、それと螺合する金属製の雌ねじ部をゴルフ靴の底部に設けることにより、滑止具を着脱交換可能なように構成されている。
【0003】
しかしながら、従来の滑止具の着脱においては、取り付け及び取り外し何れの場合も滑止具を回転させるための着脱用具を使用して滑止具を数回転回転させる必要があり、一足のゴルフ用靴における多数の滑止具を全てねじにより確実に着脱させる作業は煩雑である。然も、雄ねじ部及び雌ねじ部が共に金属製である場合は、長期使用により錆付いてねじが回らなくなって取り外しが不可能又は困難になり、無理に外そうとすると怪我や滑止機構の破壊等を引き起こすことなりかねない。また、雄ねじ部が合成樹脂製である場合は、螺合の際の締め付けの加減により雄ねじのねじ又は雄ねじの軸が破壊され、滑止具がねじにより十分に固定保持されずに使用中に外れることが生じ得る。更に、雌ねじ部及び雄ねじ部の両者を合成樹脂製とすると、ねじが緩みや易かったり、締め付け加減により何れか若しくは両方のねじが破壊されて滑止具が十分に固定保持されないことになり易いため、それは不可能である。
【0004】
本発明者は、これらを解決するために、履物底等に固定される保持体に対し摩擦体を嵌合させることにより摩擦体が保持され、挿入部に挿入体を十分に挿入することによりその嵌合保持を解除させることができる、ねじ機構を用いない摩擦用具を発明した。その一つが特開2001−204509号公報に掲載されている。
【0005】
この摩擦用具は、保持体に、嵌合奥端部の環状内周縁部に向かって縮径する円錐台形状内周面が設けられ、摩擦体を保持体に嵌め込むことにより、保持体の環状内周縁部の周方向における任意位置に摩擦体における弾性的に撓み得る抜け止め片の外方開口の抜け止め凹部が嵌合すると共に、摩擦体における支持片が保持体の円錐台形状内周面及び環状内周縁部によって径方向に支持されるものである。ところが、使用中に摩擦体に衝撃力が加わった場合に抜け止め片と環状内周縁部の間にも衝撃力が作用して摩擦体の脱落がやや生じやすくなる嫌いがあった。
【0006】
本発明の目的とするところは、保持体に対する摩擦体の着脱が容易であると共に、保持体からの摩擦体の脱落をほとんど完全に防ぐことができる摩擦用具及び摩擦物品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の摩擦用具は、
保持体と、その保持体に着脱可能に保持される摩擦体とを有してなる摩擦用具であって、
前記摩擦体は、前記保持体に保持された状態において摩擦対象に接することにより摩擦対象との間に摩擦力を発生させる摩擦部を備えると共に、前記摩擦部が摩擦対象に接する側とは逆の側に、摩擦部が摩擦対象に接する向きと逆向きに突設されてその向きにほぼ直交する所定の向きに弾性的に撓み得る可撓性抜止脚を備え、
前記保持体は、前記可撓性抜止脚を嵌め込み得、嵌め込まれた可撓性抜止脚を保持し得る抜止脚保持部を備え、
前記可撓性抜止脚に脚側係合部が設けられ、その脚側係合部と抜止脚保持部は、抜止脚保持部に可撓性抜止脚が嵌め込まれる向きに相対動する場合には可撓性抜止脚の前記所定の向きの弾性的撓みにより係合し得、それとは逆向きに相対動する場合には係合が解除されない形状であって、脚側係合部と抜止脚保持部の係合により前記の抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持が行われるものであり、
前記摩擦体には、撓み止め部と操作部を有してなる撓み止め体が保持され、
前記撓み止め部は、摩擦部が摩擦対象に接する側とは逆の側において可撓性抜止脚に対し前記所定の向きに配され、その可撓性抜止脚の前記所定の向きの撓みを制限又は阻止する撓み止め位置と、その撓み止めを解除する解除位置をとり得、摩擦体のうち、その摩擦体が保持体に保持された状態において摩擦対象に臨む側に、前記撓み止め部の位置を操作し得る前記操作部を露出し、
前記撓み止め部が撓み止め位置にある場合は、前記摩擦体が前記保持体に保持された状態において、可撓性抜止脚は、前記所定の向きの撓みが前記撓み止め部により制限又は阻止されて脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得ず、
前記撓み止め部が解除位置にある場合は、前記摩擦体が前記保持体に保持された状態において、可撓性抜止脚は、前記所定の向きに、少なくとも脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得る程度に撓み得、
前記摩擦体は更に、摩擦部が摩擦対象に接する側からその逆の側に向かって係合解除用の挿入体を挿入し得る挿入部を備え、
前記撓み止め部が解除位置にある場合に、抜止脚保持部により可撓性抜止脚が保持された状態において前記挿入部に係合解除用の挿入体が十分に挿入されることによって、その挿入体により前記可撓性抜止脚が前記所定方向に撓んで前記脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され、保持体から摩擦体を離脱させることができるものであることを特徴とする。
撓み止め体の撓み止め部が解除位置に位置した状態の摩擦体における可撓性抜止脚を、保持体の抜止脚保持部に対し嵌め込むことにより、可撓性抜止脚が所定の向きに十分に弾性的に撓んで可撓性抜止脚の脚側係合部と抜止脚保持部が係合し、抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持が行われる。
【0008】
このように摩擦体が保持体に保持された状態において、摩擦対象に臨む側に露出する操作部を操作し、撓み止め部の位置を撓み止め位置に変更することにより、可撓性抜止脚の前記所定の向きの撓みが撓み止め部により制限又は阻止される。これにより、靴底等において保持体に保持された状態の摩擦体に対し衝撃力等が作用した場合においても、脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得ない状態となり、保持体からの摩擦体の脱落がほとんど完全に防がれる。
【0009】
靴底等において保持体に保持された摩擦体の摩擦部は、可撓性抜止脚が突設された向きとは逆側において地面や路面等の摩擦対象に接することにより摩擦対象との間に摩擦力を発生させる。
【0010】
保持体に保持された摩擦体を保持体から取り外すには、操作部を操作して撓み止め部の位置を解除位置に変更すると共に、摩擦体の挿入部に係合解除用の挿入体を十分に挿入する。撓み止め部が解除位置にある場合は、撓み止め部による可撓性抜止脚の所定向きの撓みの制限又は阻止(撓み止め)が解除された状態であるため、可撓性抜止脚は、前記所定の向きに、少なくとも脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得る程度に撓み得る。そのため、挿入部に十分に挿入された挿入体により可撓性抜止脚が所定方向に撓んで脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除される。これにより、摩擦体を保持体から取り外して交換等を行うことができる。
【0011】
保持体に対する摩擦体の着脱は簡単な操作により行うことができ、ねじ機構を用いる場合のように緩まないよう強くねじ込んで固定したりそれを強い力で逆回転させて外すような力と手間を要しない。そのため、女性、老人、子供等でも着脱容易である。また、金属製のねじのように長期使用により錆付いて取り外しが不可能又は困難になり、怪我や滑止機構の破壊等を引き起こすことがなく、合成樹脂製のねじのように、締め付けによりねじ又はねじの軸が破壊され、摩擦体がねじにより十分に固定保持されずに使用中に外れることが防がれる。
【0012】
通常、履物底等の摩擦物品に保持体を着脱不能な状態で固定して使用するが、その場合、保持体に損傷が生じると、その履物等全体を交換する必要がある。可動部は一般に耐久性が比較的低いので、保持体に可動部を有すると、他の部分に損傷がなくても保持体の可動部の損傷により全体の交換が必要となることが生じ易いが、この摩擦用具においては、摩擦体に可動部である可撓性抜止脚及び撓み止め体を有し、保持体は可動部を有しないので、保持体全体としての耐久性が良好である。そのため保持体を着脱不能な状態で固定した履物底等の物品を可及的に長期にわたり使用することができる。
【0013】
特に、保持体を構成する材料の弾性的な性質により可動状態を実現するものである場合、そのような材料は限定され、而も通常の場合耐熱性や耐圧性が比較的低い。そのため、履物底等を構成する合成樹脂若しくは合成ゴム等の成形材料に保持体をインサートしてそれを成形するような場合、成形の際の熱や圧力等によって比較的大きな変形が生じ易い。ところがこの摩擦用具における保持部には可動部を有しないので、耐熱性、耐圧性、耐摩耗性等の物性に優れた材料を適宜選択して保持体として使用することができる。
【0014】
保持体及び摩擦体は、合成樹脂、合成ゴム、金属、セラミクス、又はこれらの組み合わせ等により適宜形成し得る。保持体及び摩擦体における合成樹脂としては、例えば、ナイロン樹脂(例えばナイロン66樹脂)、ポリウレタン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂等を適宜採用することができる。
【0015】
保持体は、最も一般的には、例えばゴルフ靴の靴底等の履物底部に固定された状態で使用されるが、必ずしもこれに限らない。その他の物品に固定することも可能である。また、各種物品の一部が保持体を構成するものであっても勿論差し支えない。例えば、合成樹脂や合成ゴム製の履物底(例えば靴底、特にゴルフ用靴底等の運動用靴底等)に埋設固定された状態で使用することができるほか、そのような履物底に一体成形により形成したり、履物底の基盤部に一体成形により形成して履物底の底面に露出する状態で使用することも可能である。
【0016】
摩擦体は、保持体に保持された状態において摩擦対象に接することにより摩擦対象との間に摩擦力を発生させる摩擦部を有する。
【0017】
摩擦部は、合成樹脂、合成ゴム、金属、セラミクス等、又はこれらの組み合わせ等により適宜形成し得る。摩擦部と通常の摩擦対象(例えば、土や砂利や石や岩や植物等からなる地面、コンクリートやアスファルトや石材等からなる道路面、コンクリートや合成樹脂や石材や木材等からなる床面、雪面、氷面等)との間に作用する摩擦力は、本発明の摩擦用具の他の部分や保持体を保持する物品のうち通常の使用において摩擦対象に接し得る部分と摩擦対象との間に作用し得る摩擦力よりも大きいものとすることができる。
【0018】
摩擦部は、例えば、摩擦体が履物底部等の摩擦物品に固定された保持体に保持された状態において、履物底部の底面側等の摩擦物品が摩擦対象に臨む位置に摩擦部が位置するものとすることができる。摩擦部の形態としては、例えば、摩擦対象に接する部分が平坦面又は細かい凹凸を全面又は一部に有する面であるもの、摩擦対象に接する側(例えば履物底部の底面側)に突出する小突起群、突条群、直線放射状に配された突条、螺旋放射状に配された突条等の突起部を有するもの等を挙げることができる。摩擦部の全体形状としては、例えば略円板状体等の板状体を挙げることができる。
【0019】
摩擦体は、摩擦部が摩擦対象に接する側とは逆の側に、摩擦部が摩擦対象に接する向きと逆向きに(好ましくは摩擦部に対し垂直状に)突設されてその向きにほぼ直交する所定の向きに弾性的に撓み得る可撓性抜止脚を備え、保持体は、可撓性抜止脚を嵌め込み得、嵌め込まれた可撓性抜止脚を保持し得る抜止脚保持部を備える。抜止脚保持部は、変形し難い材料及び形状からなるものとすることが望ましい。また、可撓性抜止脚は、(望ましくは嵌め込み方向の中心軸線に対し対称状に)何れも内向きに又は何れも外向きに弾性的に撓み得るものを2本又は3本以上有するものとし、抜止脚保持部はそれらの可撓性抜止脚が係合し得るものとすることが好ましい。
【0020】
可撓性抜止脚には、脚側係合部が(例えば先端部付近に)設けられている。脚側係合部と抜止脚保持部は、抜止脚保持部に可撓性抜止脚が嵌め込まれる向きに相対動する場合には可撓性抜止脚の所定の向き(可撓性抜止脚の突設方向にほぼ直交する向き)の弾性的撓みにより係合し得、それとは逆向きに相対動する場合にはその係合が解除されない形状とする。そのような形状としては、例えば、脚側係合部を、可撓性抜止脚の基端側に向かって前記所定の向きとは逆向きに漸次張り出す係合突部とし、抜止脚保持部を、嵌挿孔と、その嵌挿孔に臨んで対向する受止部を有してなり、前記嵌挿孔の嵌挿奥側において前記受止部に脚側係合部がそれぞれ係合し得るものとすることができる。この場合、抜止脚保持部における嵌挿方向の手前側に、嵌挿孔に向かって上記可撓性抜止脚を嵌め込む向きに傾斜する傾斜部を設けることにより、抜止脚保持部に可撓性抜止脚を嵌め込む際に可撓性抜止脚が円滑に所定の向きに弾性的に撓んで脚側係合部が抜止脚保持部に係合し得るものとすることができる。また前記のような形状として、例えば脚側係合部を前記所定の向きとは逆向きに開口する係合凹部とし、前記所定の向きに突起してその係合凹部に係合し得る係合突部を抜止脚保持部に設けるものとすることもできる。
【0021】
また摩擦体には、撓み止め体が保持されている。この撓み止め体は、撓み止め部と操作部を有してなるものであり、合成樹脂、合成ゴム、金属、セラミクス等、又はこれらの組み合わせ等により適宜形成し得る。少なくとも撓み止め部は、可撓性抜止脚の前記所定の向きの撓みを制限又は阻止するものであるから、変形しにくいものとすることが好ましい。撓み止め体は、例えばその撓み止め体の一部が摩擦体に設けた保持用貫通孔に嵌合した状態で摩擦体に保持されるものとすることができ、また、撓み止め体の一部が摩擦体に設けたねじ孔に螺合した状態で摩擦体に保持されるものとすることもできる。
【0022】
撓み止め体における撓み止め部は、摩擦体に撓み止め体が保持された状態において、摩擦部が摩擦対象に接する側とは逆の側において可撓性抜止脚に対し前記所定の向きに配される。所定の向きというのは、可撓性抜止脚がその向きに弾性的に撓むことにより脚側係合部と抜止脚保持部の係合及び係合解除が行われる向きである。
【0023】
撓み止め部は、可撓性抜止脚の前記所定の向きの撓みを制限又は阻止する撓み止め位置と、その撓み止めを解除する解除位置をとり得る。撓み止め位置と解除位置の変更は、例えば撓み止め部の所定軸線(好ましくは摩擦部に対し垂直状をなす所定軸線)からの離心距離が変化する場合(例えば所定軸線に垂直な断面形状が長方形又は楕円形の場合、或いは所定軸線に垂直な所定方向に突起部を有する場合)に、その所定軸線を中心として撓み止め体を180度以下の所定角度一定向き及び逆向きに(又は180度以下の所定角度ずつ一定向きに)回動させることにより行い得るものとすることができる。或いは例えば、撓み止め部の所定軸線(好ましくは摩擦部に対し垂直状をなす所定軸線)に沿った厚みが変化する場合に、その所定軸線に沿って撓み止め体を一定方向及び逆方向に所定距離直線移動させることにより行い得るものとすることができる。摩擦体のうち、その摩擦体が保持体に保持された状態において摩擦対象に臨む側に、撓み止め部の位置を操作し得る操作部を露出する。操作部は、例えば指で摘んで撓み止め体を直線移動又は回動させることができるような突部とすることや、コインの縁部等を嵌合させてそのコインを回動させることにより撓み止め体を回動させることができるような溝状部とすることや、二股状突部等を嵌合させて回動させることにより撓み止め体を回動させることができるような嵌合凹部等とすることができる。
【0024】
撓み止め部が撓み止め位置にある場合は、摩擦体が保持体に保持された状態において、可撓性抜止脚は、例えば所定の向きにおける撓み止め部との距離が十分に小さく(距離が0である場合を含む)なり、前記所定の向きの撓みが撓み止め部により制限又は阻止されて脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得ない。撓み止め部が解除位置にある場合は、摩擦体が保持体に保持された状態において、可撓性抜止脚は、例えば所定の向きにおける撓み止め部との距離が十分に大きくなるか所定の向きに撓み止め部が存在しない状態となり、前記所定の向きに、少なくとも脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得る程度に撓み得る。
【0025】
摩擦体は更に、摩擦部が摩擦対象に接する側からその逆の側に向かって係合解除用の挿入体を挿入し得る挿入部を備え、撓み止め部が解除位置にある場合に、その挿入部に係合解除用の挿入体が十分に挿入されることによって、その挿入体により可撓性抜止脚が所定方向に撓んで脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除される。挿入部は、可撓性抜止脚の数及び位置に対応して設けるものとすることができる。挿入部から挿入される挿入体は、抜止脚保持部と可撓性抜止脚の間に挿入されて可撓性抜止脚が挿入体により所定方向に押され、その所定方向に撓むものとすることができる。挿入部の形状としては、円形断面や方形断面の孔等を適宜採用し得、特に限定されないが、挿入部の横断面積は、可及的に小さいことが好ましい。外部から砂粒や土粒が侵入して挿入部を閉塞させることを防ぐためである。
【0026】
外部から砂粒や土粒が侵入して挿入部を閉塞させることを防ぐという意味において、上記撓み止め体に、摩擦体の挿入部を開閉し得る開閉部を備え、その開閉部は、撓み止め部が解除位置にある場合に摩擦体の挿入部を開口し得、撓み止め部が撓み止め位置にある場合に摩擦体の挿入部を閉塞し得るものとすることが好ましい。
【0027】
これにより、撓み止め部を撓み止め位置に位置させて摩擦用具を使用する状態においては、開閉部が摩擦体の挿入部を閉塞した状態とすることができ、撓み止め部を解除位置に位置させて摩擦体を着脱する状態においては、開閉部が摩擦体の挿入部を開口した状態とすることにより、挿入部に挿入体を挿入して摩擦体を取り外すことが可能となる。
【0028】
また、外部から砂粒や土粒が侵入して挿入部を閉塞させることを防ぐために、挿入部が、例えば、比較的厚みの薄い閉塞部によって閉塞され、中央部に上下貫通する切込部が設けられているものとすることができる。
【0029】
係合解除用の挿入体の形状は、挿入部に十分な深さまで挿入し得るものであることを要する。可撓性抜止脚を2以上有する場合は、係合解除用の挿入体は、例えば二股状(又は三股状以上)に形成されて、同時に2以上の可撓性抜止脚の脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除される向きに挿入部に挿入し得るものであることが望ましい。
【0030】
本発明の摩擦用具は、
上記撓み止め体が、上記摩擦体に対し所定軸線(好ましくは摩擦部に対し垂直状をなす所定軸線)のまわりに少なくとも所定角度の回動が可能なようにその摩擦体に保持され、
その撓み止め体における撓み止め部は、前記回動により撓み止め位置と解除位置をとり得、
その撓み止め部の形状は、上記摩擦体が上記保持体に保持された状態において、前記回動角度位置に応じて上記可撓性抜止脚との距離が変化する形状(例えば横断面長方形状又は横断面楕円形状、或いは径方向突部を有する形状)であり、
前記摩擦体が前記保持体に保持された状態における前記撓み止め部と前記可撓性抜止脚との距離は、前記撓み止め部が撓み止め位置にある場合は、前記可撓性抜止脚が所定向きに撓み得る量が、脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得ない程度に前記撓み止め部によって制限又は阻止される距離であり、前記撓み止め部が解除位置にある場合は、脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得る程度に前記可撓性抜止脚が所定向きに撓み得る距離であるものとすることができる。
【0031】
この場合に、外部から砂粒や土粒が侵入して挿入部を閉塞させることを防ぐために、上記撓み止め体における操作部のうち、摩擦体が保持体に保持された状態において摩擦対象に臨む側に、前記撓み止め体の回動により前記摩擦体の挿入部を開閉し得る開閉部を備え、その開閉部は、撓み止め部が解除位置にある場合に摩擦体の挿入部に位置してその挿入部を開口し得る開口部と、撓み止め部が撓み止め位置にある場合に前記挿入部を覆蓋してその挿入部を閉塞し得る覆蓋部を有してなるものとすることが好ましい。
【0032】
撓み止め体の回動により撓み止め部を撓み止め位置に位置させて摩擦用具を使用する状態においては、開閉部における覆蓋部により摩擦体の挿入部を覆蓋して挿入部を閉塞した状態とすることができ、撓み止め体の回動により撓み止め部を解除位置に位置させて摩擦体を着脱する状態においては、開閉部における開口部を摩擦体の挿入部に位置させて挿入部を開口した状態とすることにより挿入部に挿入体を挿入して摩擦体を取り外すことが可能となる。
【0033】
また本発明の摩擦用具は、
上記撓み止め体が、上記摩擦体に対し所定軸線(好ましくは摩擦部に対し垂直状をなす所定軸線)の方向に少なくとも所定距離の移動が可能なようにその摩擦体に保持され、
その撓み止め体における撓み止め部は、前記移動により撓み止め位置と解除位置をとり得、
その撓み止め部の形状は、上記摩擦体が上記保持体に保持された状態において、前記軸線方向位置に応じて上記可撓性抜止脚との距離が変化する形状(例えば、撓み止め部が摩擦部に対し垂直状をなす所定軸線方向に移動することにより撓み止め位置と解除位置をとる場合に、撓み止め部が撓み止め位置から解除位置に移動することによりその撓み止め部の端部が摩擦部側へ移動して存在しなくなるもの、又は、撓み止め部の肉厚が端部に向かって漸次薄くなり、撓み止め部が撓み止め位置から解除位置に移動することによりその撓み止め部の端部が可撓性抜止脚の所定の向きの撓みを十分に制限又は阻止し得なくなるもの)であり、
前記摩擦体が前記保持体に保持された状態における前記撓み止め部と前記可撓性抜止脚との距離は、前記撓み止め部が撓み止め位置にある場合は、前記可撓性抜止脚が所定向きに撓み得る量が、脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得ない程度に前記撓み止め部によって制限又は阻止される距離であり、前記撓み止め部が解除位置にある場合は、脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得る程度に前記可撓性抜止脚が所定向きに撓み得る距離であるものとすることができる。
【0034】
また上記本発明の摩擦用具は、
上記摩擦体が、可撓性抜止脚と同じ向きに突設された摩擦体側凸部および/または前記可撓性抜止脚と逆向きに凹設された摩擦体側凹部を有し、
上記保持体が、前記摩擦体側凸部と嵌合し得る保持体側凹部および/または前記摩擦体側凸部と嵌合し得る保持体側凸部を有し、
抜止脚保持部により可撓性抜止脚が保持された状態において、前記の摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部と前記の保持体側凹部および/または保持体側凸部が嵌合した状態となり、嵌合した状態の摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部と前記の保持体側凹部および/または保持体側凸部は、保持体に対し摩擦体が、可撓性抜止脚の突設方向に対しほぼ直交する任意方向へずれること、及び可撓性抜止脚の突設方向のまわりに回転することを、前記抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持とは別の箇所において防止するものとすることができる。
【0035】
保持体の抜止脚保持部に対し、摩擦体の可撓性抜止脚を嵌め込むことにより、可撓性抜止脚が所定の向きに弾性的に撓んで可撓性抜止脚の脚側係合部と抜止脚保持部が係合し、抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持が行われる。
【0036】
抜止脚保持部により可撓性抜止脚が保持された状態において摩擦体の挿入部に係合解除用の挿入体を十分に挿入することによって、その挿入体により可撓性抜止脚が所定方向に撓んで脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除されるので、摩擦体を保持体から取り外して交換することができる。
【0037】
抜止脚保持部により可撓性抜止脚が保持された状態において、摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部と保持体側凹部および/または保持体側凸部が嵌合した状態となり、嵌合した状態の摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部と保持体側凹部および/または保持体側凸部は、保持体に対し摩擦体が、可撓性抜止脚の突設方向に対しほぼ直交する任意方向へずれること、及び可撓性抜止脚の突設方向のまわりに回転することを防止する。そのため、摩擦体と保持体の間の摩耗が防がれると共に、このような保持体に対する摩擦体のずれ及び回転の防止は、抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持とは別の箇所において実質上独立して行われるので、保持体に保持された状態の摩擦体に対し前記のようなずれや回転を引き起こそうとする衝撃力等が作用した場合においても、可撓性抜止脚の脚側係合部と抜止脚保持部の係合に影響が及んで摩擦体が保持体から脱落することが防がれる。
【0038】
また、摩擦体が保持体に保持された状態において摩擦体の回転が防がれるので、ねじ機構を用いる場合と異なり、保持体に対する摩擦体の回転角度位置が所定位置となる。そのため、摩擦体の摩擦部の構造や外観を、履物底等の摩擦物品に対し常に一定の角度位置となるようにすることができる。
【0039】
また摩擦体は、摩擦部が摩擦対象に接する側とは逆の側に、可撓性抜止脚と同じ向きに突設された摩擦体側凸部および/または可撓性抜止脚と逆向きに凹設された摩擦体側凹部を備え、保持体は、摩擦体側凸部と嵌合し得る保持体側凹部および/または摩擦体側凸部と嵌合し得る保持体側凸部とを備える。摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部は、2又は3以上を(望ましくは嵌め込み方向の中心軸線に対し対称状に)設け、保持体側凹部および/または保持体側凸部はそれに対応して設けることが好ましい。摩擦体は、摩擦体側凸部を有し、摩擦体側凹部を有しないものとし、保持体は、保持体側凹部を有し保持体側凸部を有しないものとすることが好ましい。摩擦体側凸部が破損したとしても摩擦体を交換することが容易だからである。
【0040】
摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部と保持体側凹部および/または保持体側凸部は、抜止脚保持部により可撓性抜止脚が保持された状態において、嵌合した状態となり、保持体に対し摩擦体が、可撓性抜止脚の突設方向に対しほぼ直交する任意方向へずれること、及び可撓性抜止脚の突設方向のまわりに回転することを、抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持とは別の箇所において実質上独立して防止する。可撓性抜止脚の所定の向きへの撓み及び弾性的復元を繰り返し可能とするために可撓性抜止脚の材厚を薄くしたり可撓性抜止脚の長さを長くすると、可撓性抜止脚の剛性が低下するので、抜止脚保持部により可撓性抜止脚が保持されただけでは摩擦体のずれ及び回転を十分防止し得ないものとなる。
【0041】
また摩擦体は、保持体の可撓性抜止脚嵌め込み方向手前側部分、保持体側凹部および/または保持体側凸部、又は摩擦物品により、可撓性抜止脚の嵌め込み方向に支持されるものとすることができる。
【0042】
更に、本発明の摩擦用具は、
互いに内向きに弾性的に撓み得る相対する2本の可撓性抜止脚を備え、両可撓性抜止脚には、それぞれ外向きに脚側係合部が突設されており、
上記抜止脚保持部は、嵌挿孔と、その嵌挿孔に臨んで対向する両受止部を有してなり、前記嵌挿孔の嵌挿奥側において前記両受止部に前記両脚側係合部がそれぞれ係合し得るものとすることができる。
【0043】
この摩擦用具においては、保持体の抜止脚保持部に対し、摩擦体の可撓性抜止脚を嵌め込む際に、相対する2本の可撓性抜止脚を抜止脚保持部の嵌挿孔に嵌挿することになる。それにより、両可撓性抜止脚は互いに内向きに弾性的に撓みつつ嵌挿孔に嵌挿され、その嵌挿孔に臨んで対向する両受止部に、嵌挿孔の嵌挿奥側において両脚側係合部がそれぞれ係合し、抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持が行われる。
【0044】
この場合、上記抜止脚保持部における上記両受止部が、上記嵌挿孔に向かって上記両可撓性抜止脚を嵌め込む向きに相対向して傾斜する2つの傾斜案内面を有し、前記抜止脚保持部は、前記両傾斜案内面の各両側に側壁を備えており、その傾斜案内面と両側の側壁が傾斜溝底状をなすものであり、
両可撓性抜止脚は、それぞれ両傾斜案内面に案内されて嵌挿孔に嵌挿されることにより抜止脚保持部に嵌め込まれるものとすることができる。
【0045】
この摩擦用具においては、抜止脚保持部における上記両受止部が、嵌挿孔に向かって両可撓性抜止脚を嵌め込む向きに相対向して傾斜する2つの傾斜案内面を有し、その両傾斜案内面の各両側に側壁を備えて傾斜溝底状をなす。そのため、保持体の抜止脚保持部に対し摩擦体の可撓性抜止脚を嵌め込む際、両可撓性抜止脚は、それぞれ傾斜溝底状をなす両傾斜案内面に案内されて嵌挿孔に嵌挿されることにより抜止脚保持部に嵌め込まれる。
【0046】
この場合、両可撓性抜止脚の突出長さが、摩擦体側凸部又は保持体側凸部の突出長さよりも長く、両可撓性抜止脚がそれぞれ両傾斜案内面に案内されて嵌挿孔に嵌挿されることにより、摩擦体側凸部又は保持体側凸部が保持体側凹部又は摩擦体側凹部に嵌合するよう位置決めされるものとすることができる。
【0047】
この摩擦用具においては、両可撓性抜止脚の突出長さが、摩擦体側凸部又は保持体側凸部の突出長さよりも長いので、保持体の抜止脚保持部に対し摩擦体の可撓性抜止脚を嵌め込む際、先ず両可撓性抜止脚がそれぞれ両傾斜案内面に案内される。このように両可撓性抜止脚がそれぞれ両傾斜案内面に案内されて嵌挿孔に嵌挿されることにより、摩擦体側凸部又は保持体側凸部が保持体側凹部又は摩擦体側凹部に嵌合するよう位置決めされ、抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持が行われると共に摩擦体側凸部又は保持体側凸部が保持体側凹部又は摩擦体側凹部に嵌合する。
【0048】
また、これらの場合に、上記摩擦体は、両可撓性抜止脚が相対する方向に対し両側方に、それぞれ両可撓性抜止脚と別に摩擦体側凸部を有し、上記保持体は、その両摩擦体側凸部に対応する位置にそれぞれ抜止脚保持部と別に保持体側凹部を有するものとすることができる。
【0049】
この摩擦用具においては、両可撓性抜止脚が相対する方向に対し両側方に、それぞれ両可撓性抜止脚と別に摩擦体側凸部を有し、保持体は、その両摩擦体側凸部に対応する位置にそれぞれ抜止脚保持部と別に保持体側凹部を有するので、両可撓性抜止脚が相対する方向に対し両側方において、両摩擦体側凸部と両保持体側凹部の嵌合による保持体に対する摩擦体のずれ及び回転の防止が、抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持とは別の箇所において実質上独立して行われる。
【0050】
摩擦体側凸部を有する摩擦体は着脱交換可能であるから、履物底等に固定される保持体に保持体側凸部を有する場合に比し全体として長寿命となる。
【0051】
本発明の摩擦用具は、摩擦体における摩擦部が比較的軟質の材料からなり、可撓性抜止脚並びに摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部が比較的硬質の材料からなるものとすることが好ましい。摩擦部が比較的軟質の材料(例えばポリウレタン樹脂等)からなるものとすることにより、グリーンや建造物の床面等の摩擦対象の損傷防止や履物に使用した場合の履き心地向上に資するところが大きく、可撓性抜止脚並びに摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部がそれぞれ比較的硬質の材料(例えばナイロン樹脂、金属等。また、弾力性を要しない場合はセラミクス等。)からなるものとすることにより、使用中に予想外の力が作用して可撓性抜止脚の脚側係合部と抜止脚保持部の係合や摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部と保持体側凹部および/または保持体側凸部との嵌合が解除されたり、抜止脚保持部の脚側係合部や摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部が磨耗してその係合や嵌合が解除され易くなることが防がれる。
【0052】
更に、本発明の摩擦用具は、摩擦体における摩擦部が比較的軟質の材料からなり、摩擦体における可撓性抜止脚並びに摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部並びに保持体がそれぞれ比較的硬質の材料からなるものとすることが好ましい。
【0053】
この場合、前記と同様に、グリーンや建造物の床面等の損傷防止や履き心地向上等に資すると共に、使用中に予想外の力が作用して可撓性抜止脚の脚側係合部と抜止脚保持部の係合や摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部と保持体側凹部および/または保持体側凸部との嵌合が解除されたり、抜止脚保持部の脚側係合部や摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部が磨耗してその係合や嵌合が解除され易くなることが防がれる。
【0054】
また本発明の摩擦用具は、摩擦体が、平板状基部から一方に可撓性抜止脚及び摩擦体側凸部が突設されてなる嵌合体と、その嵌合体の前記平板状基部を内包する比較的軟質の材料からなる摩擦部が一体化してなるものとすることができる。
【0055】
このような摩擦部は、例えば、予め製造した比較的硬質の材料(例えばナイロン樹脂、金属、セラミクス等)からなる嵌合体の平板状基部を被覆するように、比較的軟質の合成樹脂材料(例えばポリウレタン樹脂)を成形固化させることによって製造し得る。
【0056】
また上記本発明の摩擦用具は、
摩擦体における摩擦部が摩擦対象に接する側とは逆の側のうち、保持体に摩擦体が保持された状態における可撓性抜止脚、抜止脚保持部、摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部、保持体側凹部および/または保持体側凸部、並びに挿入部の何れよりも外周側(例えば摩擦部が摩擦対象に接する側とは逆の側の外周部)に、保持体又は保持体が固定される対象物品との間を密封するための密封部を備えるものとすることができる。
【0057】
この場合、摩擦体における摩擦部が摩擦対象に接する側とは逆の側のうち、保持体に摩擦体が保持された状態における可撓性抜止脚、抜止脚保持部、摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部、保持体側凹部および/または保持体側凸部、並びに挿入部、すなわち抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持及び解除並びに保持体に対する摩擦体のずれ及び回転の防止を行う機構の何れよりも外周側に、保持体又は保持体が固定される対象物品との間を密封するための密封部を備える。密封部において保持体又は保持体が固定される対象物品との間が密封されることにより、砂・石・土等の粒子・粒・片等が外部から侵入して前記保持並びにずれ及び回転防止を行う機構が破損したり機能不全となったりすることが防がれる。
【0058】
なお、履物底部等の摩擦物品に固定された保持体に摩擦体を保持させた状態でその摩擦体の密封部が保持体又は摩擦物品に圧接して摩擦体と保持体の間への細かい石粒や砂粒等の侵入が防止されるものとするには、常に摩擦体の密封部と履物底部等の摩擦物品との間に一定程度の圧接力を生じさせることが好ましい。
【0059】
また本発明の摩擦物品は、
この摩擦用具を備えた摩擦物品であって、
前記摩擦用具における保持体が摩擦物品に固定されており、その保持体に摩擦体が保持された状態において摩擦体の密封部と前記摩擦物品との間が密封されるものとすることができる。
【0060】
この場合、密封部において保持体が固定された摩擦物品との間が密封されることにより、砂・石・土等の粒子・粒・片等が外部から侵入して前記保持並びにずれ及び回転防止を行う機構が破損したり機能不全となったりすることが防がれる。
【0061】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0062】
図1乃至図11並びに図12は、それぞれ本発明の実施の形態の例としてのゴルフ靴用の履物用摩擦用具及びその摩擦用具を備えたゴルフ靴底部(摩擦物品)に関するものである。但し、他の各種運動靴及びその他の履物にも使用可能である。
【0063】
図1は、ゴルフ靴底(上向き)に設けられた保持体に摩擦体を保持させようとする状態を示す断面図、図2は、撓み止め体の(a)正面図・(b)側面図・(c)平面図及び撓み止め体を保持していない摩擦体の(d)断面図、図3はゴルフ靴底に設けられた保持体に摩擦体が嵌合して撓み止め体が撓み止め位置にある状態を示す断面図、図4は摩擦体の正面図、図5はゴルフ靴底に設けられた保持体に摩擦体が嵌合した状態を示す断面図(図3の断面図に直交するもの)、図6は、図1の状態の摩擦体の平面図、図7は、図3の状態の摩擦体の底面図、図8は保持体の平面図である。
【0064】
図9は、ゴルフ靴底に設けられた保持体に嵌合保持された摩擦体において、撓み止め体を解除位置とし、摩擦体の挿入部に係合解除具の挿入体を挿入しようとする状態を示す断面図、図10は、撓み止め体が解除位置にある摩擦体の挿入部に係合解除具の挿入体を挿入した状態を示す横断面図、図11は摩擦体の底面側とゴルフ靴底に固定された保持体を示す斜視図である。
【0065】
図12は、ゴルフ靴底(上向き)に設けられた保持体に摩擦体を保持させようとする状態を示す別の例についての断面図である。
【0066】
この履物用摩擦用具は、ナイロン66樹脂(硬質合成樹脂)製の嵌合体12とポリウレタン樹脂(比較的軟質の合成樹脂)製の摩擦部14からなり、ナイロン66樹脂製の撓み止め体Dを保持した摩擦体C、並びに、合成ゴム製のゴルフ靴底Sに固定保持されたナイロン66樹脂製の保持体Hからなる。
【0067】
摩擦体Cにおける嵌合体12の上端部には円板状の平板状基部12aを有する。この平板状基部12aを含む嵌合体12の上端部をポリウレタン樹脂(比較的軟質の合成樹脂)で被覆するよう成形固化させて略円板状の摩擦部14を形成することにより、嵌合体12と摩擦部14が一体化した摩擦体Cを構成している。
【0068】
嵌合体12は、平板状基部12aから下向きに、一対の可撓性抜止脚12b及び一対の摩擦体側凸部12cを有する。
【0069】
可撓性抜止脚12bは、下方に細長板状に突出し、嵌合体12の軸心線(図1における上下方向の中心軸線)を挟んで対称状に相対する。両可撓性抜止脚12bは、細長板状をなし且つ厚さ方向において相対するため、互いに内向きに弾性的に撓み得る(外向きにも弾性的に撓み得る。)。両可撓性抜止脚12bの下端部には、上方に向かってそれぞれ漸次外向きに張り出した脚側係合部12dが突設されている。
【0070】
摩擦体側凸部12cは、全長が可撓性抜止脚12bの約半分程度であり、縦横が可撓性抜止脚12bの厚さの2乃至3倍程度の断面方形状をなすものであり、実質的にほとんど撓みが生じない。両摩擦体側凸部12cは、それぞれ両可撓性抜止脚12bが相対する方向に対し両側方(やや外側)における両可撓性抜止脚12bの間の位置に、両可撓性抜止脚12bと別に設けられている。
【0071】
摩擦部14は、略円板状をなす基盤部14aと、使用時にその基盤部14aから摩擦対象である地面等に向く方向である高さ方向に突起する複数の突起部を有する。基盤部14aの上面は、中央部に向かって漸次上方に膨出する。
【0072】
基盤部14aにおける両可撓性抜止脚12b及び両摩擦体側凸部12cの間の位置である基盤部14aの中央に、上下に貫通する保持孔14cを有し、基盤部14aの上面部に、保持孔14cよりも大径で同心状をなす円形凹部14dを有する。
【0073】
撓み止め体Dは、大径円板状の頭部を構成する操作部D1と、操作部D1の中央から垂下する脚部D2からなる。脚部D2は、上部を構成する円柱状部D2aと、下部を構成する撓み止め部D2bからなる。撓み止め部D2bは、正面視において下端に向かって二等辺三角形状に横幅が漸次縮小し、側面視において方形状をなす(横幅が上下一定である)。
【0074】
撓み止め体Dは、保持孔14cに対し脚部D2を、その下部である撓み止め部D2bから嵌挿することにより、脚部D2の円柱状部D2aが保持孔14cにおいて保持され、操作部D1の下部側は円形凹部14dに嵌合している。円柱状部D2aには、正面視前後方向[図2(a)]に貫通する方形状の貫通孔D2cが設けられ、保持孔14cに対し嵌挿する際にやや縮径して嵌挿が容易化されることを図っている。円柱状部D2aの下部における正面視左右[図2(a)]の外周面には、それぞれ脱落防止突起D2dが設けられている。この両脱落防止突起D2dは、円柱状部D2aが保持孔14cに嵌合した状態においてその保持孔14cの下側においてそれぞれ保持孔14cの周縁よりも外方に突起して保持孔14cから撓み止め体Dが脱落することを防ぐものである。
【0075】
操作部D1の上部には、上方開口の溝状部D1aが設けられ、溝状部D1aの両端部は、それぞれ上下及び径方向外方に開口する切欠部D1bに形成されている。操作部D1の外周部が開閉部を構成し、そのうち切欠部D1bが開口部、切欠部D1b以外の円弧状部分が覆蓋部を構成する。
【0076】
この一対の切欠部D1bに後記係合解除具31の一対の挿入体32をそれぞれ嵌合させるか又は溝状部D1aにコインの縁部等を嵌合させて係合解除具31又はコインを回動させることにより、撓み止め体Dを保持孔14cに保持された状態においてその上下方向軸線のまわりに回動させることができる。撓み止め部D2bは、90度回動毎に、撓み止め位置と解除位置をとり得る。図1、図6、図9及び図10は、撓み止め部D2bの両側面がそれぞれ両可撓性抜止脚12bの内側面に相対することにより両可撓性抜止脚12bが何れも内方に十分に撓み得る解除位置にある場合を示し、図3、図4、図5及び図7は、撓み止め部D2bの正背面がそれぞれ両可撓性抜止脚12bの内側面に相対することにより両可撓性抜止脚12bの内方撓みが制限される撓み止め位置にある場合を示す。嵌合体12の下面側における保持孔14cと両摩擦体側凸部12cとの間の位置に、それぞれ一対の撓み止め位置保持突起12eが設けられており、操作部D1の回動により撓み止め部D2bが撓み止め位置をとる場合に、脱落防止突起D2dと撓み止め位置保持突起12eの弾性的な変形によって、両脱落防止突起D2dがそれぞれ一対の撓み止め位置保持突起12eの間に嵌まり込んで解除可能に保持される状態となる。これにより、撓み止め部D2bを撓み止め位置に位置決めすることができる。
【0077】
基盤部14aの上面のうち径方向における外周寄りの部分(例えば外周寄りの4分の3乃至2分の1程度、好ましくは3分の2程度)における90度中心角毎に、合計4つの径方向突部22を有し、各径方向突部22同士の間を周方向に二等分する位置に合計4つの中間高突部24を有する。径方向突部22及び中間高突部24はポリウレタン樹脂(比較的弾性変形し易い材料)からなる。
【0078】
各径方向突部22は互いに同一形状で、径方向における中心より半径の3分の1程度の位置から径方向外端位置にわたるものであり、周方向幅はほぼ一定である。各径方向突部22において使用時に対象に臨む面である突起方向面22aは、径方向の長さ(半径の長さの3分の2程度)が周方向幅よりも長く、周方向幅はほぼ一定である。径方向突部22の径方向外方端部は基部から図4における上方に向かって径方向外方に漸次張り出しており、これにより突起方向面22aの径方向外方端部が基盤部14aよりも径方向外方に張り出している。一方、径方向突部22の径方向内方端部は基部から上方に向かってやや径方向外方に傾斜している。
【0079】
各突起方向面22aは、径方向において湾曲した凹曲面状をなしつつ径方向外方から径方向内方に向かって高さが低くなるよう傾斜しており、且つ、周方向において湾曲した凹曲面状をなす。また、各径方向突部22の径方向中央位置における周方向両側にわたり(すなわち周方向に貫くように)、その径方向突部22の突起方向面22aに開口する半円形状断面の緩衝溝22bが設けられている。
【0080】
各中間高突部24は、各径方向突部22における緩衝溝22bの径方向位置とほぼ同じ径方向位置に設けられている。各中間高突部24は、図4における上向きに漸次径が縮小する円錐台形状をなし、その上端部である突起方向端部に、突起方向である上方に開口する180度より小さい中心角(好ましくは20乃至160度程度)の球面状の緩衝凹部24aを有する。各中間高突部24の高さは、径方向突部22の突起方向面22aの径方向外方端部の高さと径方向内方端部の高さの差の3割をその径方向内方端部の高さに加えた程度の高さである。
【0081】
摩擦部14における両可撓性抜止脚12bの経方向外側位置に、それぞれ上下方向の孔状をなす挿入部28が設けられている。図6に示されるように撓み止め部D2bが解除位置にあって操作部D1の両切欠部D1bが各挿入部28の上部に位置する場合、挿入部28の上部は開口しており、操作部D1が90度回動して撓み止め部D2bが撓み止め位置にある場合は、挿入部28の上部は操作部D1の外周部により覆蓋された状態で閉塞されている。
【0082】
摩擦部14の基盤部14aの下面における可撓性抜止脚12b、摩擦体側凸部12c、及び挿入部28よりも外周側の部分に、円環状の内周側環状突条R1を有し、基盤部14aの外周縁部に円環状の外周側環状突条R2が設けられている。
【0083】
保持体Hは、抜止脚保持部40と保持体側凹部42を有する本体部44と、その本体部44の外周側上下中間位置に環状に張り出した外方張出部46からなり、本体部44は、抜止脚保持部40及び保持体側凹部42において上方に開口し、底部が閉塞されている。
【0084】
抜止脚保持部40は、中央部の上下中間位置に有する嵌挿孔40aと、その嵌挿孔40aに臨んで対向する両受止部40bと、両受止部40bの上面を構成する両傾斜案内面40cと、両傾斜案内面40cの各両側に有する側壁40dを有してなる。
【0085】
両傾斜案内面40cは、嵌挿孔40aに向かって両可撓性抜止脚12bを嵌め込む向きに相対向して傾斜するものであり、両受止部40bにおける嵌挿方向の手前側である上面を構成し、その逆側である両受止部40bの下面は、水平状に形成されている。傾斜案内面40cと両側の側壁40dは、傾斜溝底状をなす。嵌挿孔40aの嵌挿奥側である下側において両受止部40bに両脚側係合部12dがそれぞれ係合し得る。保持体Hにおける両受止部40bの下方は、抜止脚保持部40により可撓性抜止脚12bが保持された状態において両可撓性抜止脚12bの脚側係合部12dを収容する脚側係合部収容凹部40eである。
【0086】
撓み止め部D2bを解除位置に位置させて可撓性抜止脚12bを抜止脚保持部40に下向きに嵌め込む場合、両可撓性抜止脚12bは傾斜溝底状をなす両傾斜案内面40cに案内されて互いに内向きに弾性的に撓みつつ嵌挿孔40aに嵌挿され、嵌挿孔40a通過により両可撓性抜止脚12bが外方に復元することにより、その嵌挿孔40aに臨んで対向する両受止部40bに、嵌挿孔40aの下側において両脚側係合部12dがそれぞれ係合し、抜止脚保持部40による可撓性抜止脚12bの保持が行われる。この状態で撓み止め部D2bを90度回動させて撓み止め位置に位置させれば、可撓性抜止脚12bは、内方撓みが撓み止め部D2bにより制限されて脚側係合部12dと抜止脚保持部40との係合が解除され得なくなる。これにより、可撓性抜止脚12bを上向きに引き抜こうとしても、両脚側係合部12dと両受止部40bとの係合は解除されず、靴底等において保持体Hに保持された状態の摩擦体Cに対し衝撃力等が作用した場合においても、両脚側係合部12dと両受止部40bとの係合が解除され得ない状態となり、保持体Hからの摩擦体Cの脱落がほとんど完全に防がれる。
【0087】
両保持体側凹部42の形状及び位置は、抜止脚保持部40により可撓性抜止脚12bが保持された状態において、摩擦体側凸部12cがあまり隙間のない状態で嵌合するものである。両保持体側凹部42は、嵌合体12の軸心線を挟んで対称状に相対するものであり、両保持体側凹部42の内方(図8における保持体側凹部42同士が向かい合う側)は抜止脚保持部40側に開口し、外方及び両側は壁面に形成された断面方形状をなす。嵌合した状態の両摩擦体側凸部12cと両保持体側凹部42は、保持体Hに対し摩擦体Cが、可撓性抜止脚12bの突設方向に対しほぼ直交する任意方向、すなわち水平方向の任意方向へずれること、及び可撓性抜止脚12bの突設方向である上下軸線のまわりに回転することを、抜止脚保持部40による可撓性抜止脚12bの保持とは別の箇所において防止するものである。ずれや回転が防止されるので、仮に砂・石・土等の粒子が摩擦体Cと保持体Hの間に侵入したとしても、両者の間の摩耗が防がれる。
【0088】
このような両摩擦体側凸部12cと両保持体側凹部42の嵌合による保持体Hに対する摩擦体Cのずれ及び回転の防止は、抜止脚保持部40による可撓性抜止脚12bの保持とは別の箇所において実質上独立して行われるので、保持体Hに保持された状態の摩擦体Cに対し前記のようなずれや回転を引き起こそうとする衝撃力等が作用した場合においても、可撓性抜止脚12bの脚側係合部12dと抜止脚保持部40の係合に影響が及んで摩擦体Cが保持体Hから脱落することが防がれる。
【0089】
両可撓性抜止脚12bの突出長さは、摩擦体側凸部12cの突出長さよりも長いので、保持体Hの抜止脚保持部40に対し摩擦体Cの可撓性抜止脚12bを嵌め込む際、先ず両可撓性抜止脚12bがそれぞれ両傾斜案内面40cに案内されて嵌挿孔40aに嵌挿される。それにより、摩擦体側凸部12cが保持体側凹部42に嵌合するよう位置決めされ、抜止脚保持部40による可撓性抜止脚12bの保持が行われると共に摩擦体側凸部12cが保持体側凹部42に嵌合することとなる。
【0090】
保持体Hは、本体部44の上端部が露出する状態で、外方張出部46よりも上方まで埋設されることによりゴルフ靴底Sに固定されて使用される。保持体Hの上端外周面は、円筒面形状をなし、その外周側であるゴルフ靴底Sの内周部に、保持体Hと同心状をなす上方開口の円環状方形断面の内周側環状溝S1が形成されている。また、ゴルフ靴底Sにおける内周側環状溝S1よりも径方向外方に、その内周側環状溝S1の深さの1.5倍程度の径方向間隔を隔てて同心状に、上方開口の略三角形断面の円環状の外周側環状溝S2が形成されている。外周側環状溝S2は、外周面が円筒面形状、内周面が上方に向かって内方に傾斜する円錐台外周面形状であり、深さは内周側環状溝S1の深さの約2倍である。
【0091】
ゴルフ靴底Sの一部として一体成形された内周側環状溝S1と外周側環状溝S2の間の環状部分は、合成ゴム製の(弾力性を有する材料からなる)環状パッキング突部S3である。環状パッキング突部S3は、図1に示されるように、上面が径方向外方に向かって上向きに傾斜することにより、径方向幅が基部(図1における下部)側から端部(図1における上部)に向かって漸次狭くなった一定縦断面形状の円環状をなし、内周側環状溝S1及び外周側環状溝S2と同心状をなす。
【0092】
摩擦体Cにおける内周側環状突条R1及び外周側環状突条R2、並びに摩擦部14の裏側部における内周側環状突条R1と外周側環状突条R2の間の円環状平面である環状パッキング面14bは、摩擦体Cの可撓性抜止脚12bが保持体Hの抜止脚保持部40に嵌合保持されて摩擦体Cがゴルフ靴底Sに保持された状態において、内周側環状突条R1及び外周側環状突条R2がそれぞれ内周側環状溝S1及び外周側環状溝S2に嵌合すると共に、環状パッキング突部S3が環状パッキング面14bに全周にわたり密着状態で弾性的に圧接するよう構成されている。その際、環状パッキング突部S3がほぼ上下方向に弾性的に圧縮される。
【0093】
内周側環状突条R1は、下向きに先細状をなす二等辺三角形状の一定断面であり、内周側環状突条R1の基部が内周側環状溝S1の開口縁部に接する。外周側環状突条R2は、外周面が円筒面形状、内周面が上方に向かって内方に傾斜する円錐台外周面形状の一定断面であり、外周側環状溝S2にほとんど隙間なく嵌合する。
【0094】
ゴルフ靴使用時は、図3の上下関係は逆になる。外方張出部46は、保持体Hが靴底に埋設固定された場合の靴底からの離脱防止の機能を果たす。
【0095】
なお、保持体Hは可動部を有しないので全体として耐久性が良好であり、保持体Hを着脱不能な状態でゴルフ靴底Sに固定したゴルフ靴を可及的に長期にわたり使用することができる。また、保持体Hに可動部を有しないので、耐熱性、耐圧性、耐摩耗性等の物性に優れた材料を適宜選択して保持体Hとして使用することができる。そのため、ゴルフ靴底Sを構成する合成樹脂若しくは合成ゴム等の成形材料に保持体Hをインサートしてそれを成形する上で耐熱性及び耐圧性に優れた材料を選択することができる。
【0096】
ゴルフ靴底Sに埋設固定した保持体Hに摩擦体Cが保持体Hに固定的に保持された状態において、摩擦部14の裏側部(図1における下側部)に二重に設けられた内周側環状突条R1及び外周側環状突条R2がそれぞれゴルフ靴底Sに二重に設けられた内周側環状溝S1及び外周側環状溝S2に嵌合すると共に、摩擦部14の裏側部における内周側環状突条R1と外周側環状突条R2の間の環状パッキング面14bに、ゴルフ靴底Sにおける内周側環状溝S1と外周側環状溝S2の間の環状パッキング突部S3が全周にわたり密着状態で弾性的に圧接する。そのため、二重に設けられた内周側環状突条R1と内周側環状溝S1及び外周側環状突条R2と外周側環状溝S2の嵌合構造並びにそれらの間の環状パッキング面14bと環状パッキング突部S3の全周にわたる密着状態での弾性的圧接による密封構造とが同心状をなす遮蔽構造によって、ゴルフ靴の使用状態において摩擦体Cやゴルフ靴底Sの各部位に発生し得る変形にもかかわらず、砂粒等の侵入物が摩擦体Cと保持体Hの間の内方に侵入することが極めて効果的に防がれる。また、環状パッキング面14bと環状パッキング突部S3の全周にわたる密着状態での弾性的圧接による密封構造は、ある程度の寸法誤差を吸収しつつ侵入物の侵入を防ぐ効果をも発揮し得る。
【0097】
この摩擦体Cを、ゴルフ靴底S及びそのゴルフ靴底Sに固定された保持体Hと組合せて履物用摩擦用具として使用すると、特に撓み止め部D2bを撓み止め位置に位置させておくことにより、保持体Hに保持された状態の摩擦体Cに対し衝撃力等が作用した場合においても、両脚側係合部12dと両受止部40bとの係合が解除され得ない状態となり、保持体Hからの摩擦体Cの脱落がほとんど完全に防がれる。また、摩擦体Cの摩擦部14が比較的軟質であるため、グリーンや建造物の床面等の損傷防止や履き心地向上に資するところが大きい。而も、可撓性抜止脚12b、抜止脚保持部40、摩擦体側凸部12c及び保持体側凹部42がそれぞれ硬質合成樹脂製であるため、使用中に予想外の力が作用して可撓性抜止脚12bの脚側係合部12dと抜止脚保持部40の係合や摩擦体側凸部12cと保持体側凹部42との嵌合が解除されたり、抜止脚保持部40の脚側係合部12dや摩擦体側凸部12cが磨耗してその係合や嵌合が解除され易くなることが防がれる。
【0098】
複数の摩擦体Cが複数の保持体Hにそれぞれ保持された状態でゴルフ靴を履いて使用すると、一般に、先ず各径方向突部22の突起方向面のうち径方向外方の部分から対象面に対する圧接を開始する。各径方向突部22は、比較的弾性変形し易い材料からなるため、ほぼ高さ方向に圧縮され又はそのように圧縮されると共に高さが低下するたわみが生じ、それに伴い、突起方向面22aの対象面に対する圧接部位は、径方向外方から内方へと及ぶ。更に径方向突部22における突起方向面22aのうち残部と中間高突部24の突起方向端部が対象面に対する圧接を開始する。
【0099】
このように各径方向突部22が径方向外方から対象に圧接しつつ変形して圧接部位が径方向内方に及ぶので、ゴルフ靴底Sが踏む対象が芝生や砂地等の柔軟な又は変形し易いものである場合、芝生等にあまり食い込まずにその損傷を防ぎつつ、径方向突部22が滑り止め及び安定支持の効果を発揮し、更に、径方向突部22の突起方向面22aの径方向外方端部の高さと径方向内方端部の高さの差の3割をその径方向内方端部の高さに加えた程度の高さである中間高突部24により、芝生等の損傷を防ぎつつ滑止及び安定支持効果をより高める。
【0100】
ゴルフ靴底Sが踏む対象が、コンクリートやアスファルトや石畳等の比較的硬い又は変形しにくい面である場合、一般に、先ず各径方向突部22の突起方向面のうち径方向外方の部分から対象面に対する圧接を開始する。各径方向突部22は、比較的弾性変形し易い材料からなるため、ほぼ高さ方向に圧縮され又はそのように圧縮されると共に高さが低下するたわみが生じ、それに伴い、突起方向面22aの対象面に対する圧接部位は、径方向外方から内方へと及ぶ。これにより、摩擦部14の柔軟性をそれほど高めなくとも、すなわち、各径方向突部22の耐摩耗性、耐久性、及び芝生等の柔軟な又は変形しやすい対象に対する滑り止め及び安定支持効果が損なわれる程度にまで摩擦部14の柔軟性を高めなくとも、優れたクッション性又は緩衝性が発揮される。
【0101】
使用により摩擦体Cの径方向突部22及び中間高突部24がある程度以上磨耗すると、摩擦体Cを新しいものに交換する必要が生じる。保持体Hから摩擦体Cを離脱させるには、一対の切欠部D1bに係合解除具31の一対の挿入体32をそれぞれ嵌合させて回動させることにより、図6、図9及び図10に示すように撓み止め部D2bを解除位置に位置させ、且つ、操作部D1の両切欠部D1bを各挿入部28の上部に位置させる。これにより、両可撓性抜止脚12bは両脚側係合部12dと両受止部40bとの係合が解除され得る程度に互いに内方に撓み得るものとなり、各挿入部28の上部が開口して挿入体32の挿入が可能となる。次いで、一対の挿入体32を、一対の挿入部28に対し図10及び図11における下向きに十分に挿入する。すると、両挿入体32は、両傾斜案内面40cに案内されて内下方に向かいつつ傾斜案内面40cと可撓性抜止脚12bの間に挿入され、両可撓性抜止脚12bの外側面を内方へ押圧して径方向内方に弾性的に撓ませる。これにより、抜止脚保持部40の受止部40bに対する可撓性抜止脚12bの脚側係合部12dの係合が解除されるので、可撓性抜止脚12bを抜止脚保持部40から上方へ離脱させて摩擦体Cを保持体Hから取り外すことができるようになる。
【0102】
摩擦体Cを保持体Hに保持させて使用する状態では撓み止め部D2bを撓み止め位置に位置させているので、挿入部28の上部は操作部D1の外周部により覆蓋された状態で閉塞されている。そのため、通常の使用状態において挿入部28に砂・石・土・セラミックス・金属・合成樹脂・木等の粒子・粒・片等が詰まって挿入部28に対する嵌合解除用の挿入体32の挿入による保持体Hからの摩擦体Cの離脱が妨げられることや、地面や床面等における種々の突起物やその他の物が意図せずに挿入部28に挿入されて可撓性抜止脚12bと抜止脚保持部40の嵌合が解除されることを回避することができる。
【0103】
係合解除具31は、合成樹脂板製であり、互いに平行状に下向きに突出する一対の挿入体32を有する。各挿入体32は、弾性的に撓み得る棒状をなす。
【0104】
図12におけるナイロン66樹脂製の撓み止め体Fは、上部に円柱状の操作部F1、下部に円柱状の撓み止め部F2、上下中間に円柱状の嵌合部F3を有してなる。撓み止め部F2の外周面の上端位置には外方突部F2aを有する。基盤部14aにおける両可撓性抜止脚12b及び両摩擦体側凸部(図1乃至11の例と同様のもの)の間の位置である基盤部14aの中央に、上下に貫通する保持孔14cが設けられている。撓み止め体Fは、操作部F1を基盤部14aの上側に突出し、撓み止め部F2を両可撓性抜止脚12b及び両摩擦体側凸部の間に突出した状態で、嵌合部F3において保持孔14cに嵌合保持されている。操作部F1を下方に押し込んで外方突部F2aを保持孔14cの下側に位置させれば、撓み止め部F2は、両可撓性抜止脚12bの内方撓みを制限して抜止脚保持部40の受止部40bに対する可撓性抜止脚12bの脚側係合部12dの係合が解除され得ない撓み止め位置となり、操作部F1を上方に引き出しで外方突部F2aを保持孔14cの上方に位置させれば、撓み止め部F2は、両可撓性抜止脚12bが何れも内方に十分に撓み得て抜止脚保持部40の受止部40bに対する可撓性抜止脚12bの脚側係合部12dの係合が解除され得る解除位置となる。外方突部F2aの移動は、保持孔14c及び外方突部F2aが弾性的に変形しつつ行われる。
【0105】
この場合の摩擦部14における両可撓性抜止脚12bの経方向外側位置にそれぞれ設けられた上下方向の孔状をなす挿入部28は、下部が開口し、上部は閉塞部30によって閉塞されている。閉塞部30は、平面視において方形状をなす薄厚であり、中央部に上下貫通する切込部30aが設けられている。
【0106】
保持体Hから摩擦体Cを離脱させるには、撓み止め部F2を解除位置に位置させて一対の挿入体32を閉塞部30における切込部30aを通じ一対の挿入部28に対し十分に挿入する。
【0107】
挿入部28の上部は閉塞部30によって閉塞されており、閉塞部30には切込部30aを有するだけであるから、通常の使用状態において挿入部28に砂・石・土・セラミックス・金属・合成樹脂・木等の粒子・粒・片等が詰まって挿入部28に対する嵌合解除用の挿入体32の挿入による保持体Hからの摩擦体Cの離脱が妨げられることや、地面や床面等における種々の突起物やその他の物が意図せずに挿入部28に挿入されて可撓性抜止脚12bと抜止脚保持部40の嵌合が解除されることを回避することができる。
【0108】
以上の実施の形態についての記述における構成部品の寸法、個数、材質、形状、その相対配置などは、特にそれらに限定される旨の記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。また、課題を解決するための手段の項において本発明について述べた例示及び数値範囲を含む説明は、原則として以上の実施の形態についての記述に適用される。
【0109】
【発明の効果】
本発明の摩擦用具及び摩擦物品においては、保持体の抜止脚保持部に対し摩擦体の可撓性抜止脚を嵌め込むことにより摩擦体を保持体に容易に保持させることができ、摩擦体が保持体に保持された状態において摩擦対象に臨む側に露出する操作部を操作し撓み止め部の位置を撓み止め位置に変更することにより、脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得ない状態として保持体からの摩擦体の脱落をほとんど完全に防ぐことができる。
【0110】
一方、操作部を操作して撓み止め部の位置を解除位置に変更することにより可撓性抜止脚が少なくとも脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得る程度に撓み得るものとすると共に、摩擦体の挿入部に係合解除用の挿入体を十分に挿入することにより、可撓性抜止脚を所定方向に撓ませて脚側係合部と抜止脚保持部との係合を解除して摩擦体を保持体から取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ゴルフ靴底に設けられた保持体に摩擦体を保持させようとする状態を示す断面図である。
【図2】撓み止め体の正面図・側面図・平面図及び撓み止め体を保持していない摩擦体の断面図である。
【図3】ゴルフ靴底に設けられた保持体に摩擦体が嵌合した状態を示す断面図である。
【図4】摩擦体の正面図である。
【図5】ゴルフ靴底に設けられた保持体に摩擦体が嵌合した状態を示す断面図である。
【図6】摩擦体の平面図である。
【図7】摩擦体の底面図である。
【図8】保持体の平面図である。
【図9】ゴルフ靴底に設けられた保持体に嵌合保持された摩擦体において、撓み止め体を解除位置とし、摩擦体の挿入部に係合解除具の挿入体を挿入しようとする状態を示す断面図である。
【図10】撓み止め体が解除位置にある摩擦体の挿入部に係合解除具の挿入体を挿入した状態を示す横断面図である。
【図11】摩擦体の底面側とゴルフ靴底に固定された保持体を示す斜視図である。
【図12】ゴルフ靴底(上向き)に設けられた保持体に摩擦体を保持させようとする状態を示す別の例についての断面図である。
【符号の説明】
C 摩擦体
D 撓み止め体
D1 操作部
D1a 溝状部
D1b 切欠部
D2 脚部
D2a 円柱状部
D2b 撓み止め部
D2c 貫通孔
D2d 脱落防止突起
H 保持体
12 嵌合体
12a 平板状基部
12b 可撓性抜止脚
12c 摩擦体側凸部
12d 脚側係合部
12e 撓み止め位置保持突起
14 摩擦部
14a 基盤部
14b 環状パッキング面
14c 保持孔
14d 円形凹部
22 径方向突部
22a 突起方向面
22b 緩衝溝
24 中間高突部
24a 緩衝凹部
28 挿入部
30 閉塞部
30a 切込部
31 係合解除具
32 挿入体
40 抜止脚保持部
40a 嵌挿孔
40b 受止部
40c 傾斜案内面
40d 側壁
40e 脚側係合部収容凹部
42 保持体側凹部
44 本体部
46 外方張出部
R1 内周側環状突条
R2 外周側環状突条
S ゴルフ靴底
S1 内周側環状溝
S2 外周側環状溝
S3 環状パッキング突部
F 撓み止め体
F1 操作部
F2 撓み止め部
F2a 外方突部
F3 嵌合部
Claims (12)
- 保持体と、その保持体に着脱可能に保持される摩擦体とを有してなる摩擦用具であって、
前記摩擦体は、前記保持体に保持された状態において摩擦対象に接することにより摩擦対象との間に摩擦力を発生させる摩擦部を備えると共に、前記摩擦部が摩擦対象に接する側とは逆の側に、摩擦部が摩擦対象に接する向きと逆向きに突設されてその向きにほぼ直交する所定の向きに弾性的に撓み得る可撓性抜止脚を備え、
前記保持体は、前記可撓性抜止脚を嵌め込み得、嵌め込まれた可撓性抜止脚を保持し得る抜止脚保持部を備え、
前記可撓性抜止脚に脚側係合部が設けられ、その脚側係合部と抜止脚保持部は、抜止脚保持部に可撓性抜止脚が嵌め込まれる向きに相対動する場合には可撓性抜止脚の前記所定の向きの弾性的撓みにより係合し得、それとは逆向きに相対動する場合には係合が解除されない形状であって、脚側係合部と抜止脚保持部の係合により前記の抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持が行われるものであり、
前記摩擦体には、撓み止め部と操作部を有してなる撓み止め体が保持され、
前記撓み止め部は、摩擦部が摩擦対象に接する側とは逆の側において可撓性抜止脚に対し前記所定の向きに配され、その可撓性抜止脚の前記所定の向きの撓みを制限又は阻止する撓み止め位置と、その撓み止めを解除する解除位置をとり得、摩擦体のうち、その摩擦体が保持体に保持された状態において摩擦対象に臨む側に、前記撓み止め部の位置を操作し得る前記操作部を露出し、
前記撓み止め部が撓み止め位置にある場合は、前記摩擦体が前記保持体に保持された状態において、可撓性抜止脚は、前記所定の向きの撓みが前記撓み止め部により制限又は阻止されて脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得ず、
前記撓み止め部が解除位置にある場合は、前記摩擦体が前記保持体に保持された状態において、可撓性抜止脚は、前記所定の向きに、少なくとも脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得る程度に撓み得、
前記摩擦体は更に、摩擦部が摩擦対象に接する側からその逆の側に向かって係合解除用の挿入体を挿入し得る挿入部を備え、
前記撓み止め部が解除位置にある場合に、抜止脚保持部により可撓性抜止脚が保持された状態において前記挿入部に係合解除用の挿入体が十分に挿入されることによって、その挿入体により前記可撓性抜止脚が前記所定方向に撓んで前記脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され、保持体から摩擦体を離脱させることができるものであることを特徴とする摩擦用具。 - 上記撓み止め体が、上記摩擦体に対し所定軸線のまわりに少なくとも所定角度の回動が可能なようにその摩擦体に保持され、
その撓み止め体における撓み止め部は、前記回動により撓み止め位置と解除位置をとり得、
その撓み止め部の形状は、上記摩擦体が上記保持体に保持された状態において、前記回動角度位置に応じて上記可撓性抜止脚との距離が変化する形状であり、
前記摩擦体が前記保持体に保持された状態における前記撓み止め部と前記可撓性抜止脚との距離は、前記撓み止め部が撓み止め位置にある場合は、前記可撓性抜止脚が所定向きに撓み得る量が、脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得ない程度に前記撓み止め部によって制限又は阻止される距離であり、前記撓み止め部が解除位置にある場合は、脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得る程度に前記可撓性抜止脚が所定向きに撓み得る距離である請求項1記載の摩擦用具。 - 上記撓み止め体が、上記摩擦体に対し所定軸線の方向に少なくとも所定距離の移動が可能なようにその摩擦体に保持され、
その撓み止め体における撓み止め部は、前記移動により撓み止め位置と解除位置をとり得、
その撓み止め部の形状は、上記摩擦体が上記保持体に保持された状態において、前記軸線方向位置に応じて上記可撓性抜止脚との距離が変化する形状であり、
前記摩擦体が前記保持体に保持された状態における前記撓み止め部と前記可撓性抜止脚との距離は、前記撓み止め部が撓み止め位置にある場合は、前記可撓性抜止脚が所定向きに撓み得る量が、脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得ない程度に前記撓み止め部によって制限又は阻止される距離であり、前記撓み止め部が解除位置にある場合は、脚側係合部と抜止脚保持部との係合が解除され得る程度に前記可撓性抜止脚が所定向きに撓み得る距離である請求項1記載の摩擦用具。 - 上記撓み止め体に、摩擦体の挿入部を開閉し得る開閉部を備え、その開閉部は、撓み止め部が解除位置にある場合に摩擦体の挿入部を開口し得、撓み止め部が撓み止め位置にある場合に摩擦体の挿入部を閉塞し得るものである請求項1、2又は3記載の摩擦用具。
- 上記撓み止め体における操作部のうち、摩擦体が保持体に保持された状態において摩擦対象に臨む側に、前記撓み止め体の回動により前記摩擦体の挿入部を開閉し得る開閉部を備え、その開閉部は、撓み止め部が解除位置にある場合に摩擦体の挿入部に位置してその挿入部を開口し得る開口部と、撓み止め部が撓み止め位置にある場合に前記挿入部を覆蓋してその挿入部を閉塞し得る覆蓋部を有してなるものである請求項2記載の摩擦用具。
- 上記摩擦体が、可撓性抜止脚と同じ向きに突設された摩擦体側凸部および/または前記可撓性抜止脚と逆向きに凹設された摩擦体側凹部を有し、
上記保持体が、前記摩擦体側凸部と嵌合し得る保持体側凹部および/または前記摩擦体側凸部と嵌合し得る保持体側凸部を有し、
抜止脚保持部により可撓性抜止脚が保持された状態において、前記の摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部と前記の保持体側凹部および/または保持体側凸部が嵌合した状態となり、嵌合した状態の摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部と前記の保持体側凹部および/または保持体側凸部は、保持体に対し摩擦体が、可撓性抜止脚の突設方向に対しほぼ直交する任意方向へずれること、及び可撓性抜止脚の突設方向のまわりに回転することを、前記抜止脚保持部による可撓性抜止脚の保持とは別の箇所において防止するものである請求項1乃至5の何れかに記載の摩擦用具。 - 互いに内向きに弾性的に撓み得る相対する2本の可撓性抜止脚を備え、両可撓性抜止脚には、それぞれ外向きに脚側係合部が突設されており、
上記抜止脚保持部は、嵌挿孔と、その嵌挿孔に臨んで対向する両受止部を有してなり、前記嵌挿孔の嵌挿奥側において前記両受止部に前記両脚側係合部がそれぞれ係合し得るものである請求項1乃至6の何れかに記載の摩擦用具。 - 上記抜止脚保持部における上記両受止部が、上記嵌挿孔に向かって上記両可撓性抜止脚を嵌め込む向きに相対向して傾斜する2つの傾斜案内面を有し、前記抜止脚保持部は、前記両傾斜案内面の各両側に側壁を備えており、その傾斜案内面と両側の側壁が傾斜溝底状をなすものであり、
両可撓性抜止脚は、それぞれ両傾斜案内面に案内されて嵌挿孔に嵌挿されることにより抜止脚保持部に嵌め込まれる請求項7記載の摩擦用具。 - 両可撓性抜止脚の突出長さが、摩擦体側凸部又は保持体側凸部の突出長さよりも長く、両可撓性抜止脚がそれぞれ両傾斜案内面に案内されて嵌挿孔に嵌挿されることにより、摩擦体側凸部又は保持体側凸部が保持体側凹部又は摩擦体側凹部に嵌合するよう位置決めされる請求項8記載の摩擦用具。
- 上記摩擦体は、両可撓性抜止脚が相対する方向に対し両側方に、それぞれ両可撓性抜止脚と別に摩擦体側凸部を有し、上記保持体は、その両摩擦体側凸部に対応する位置にそれぞれ抜止脚保持部と別に保持体側凹部を有する請求項7、8又は9記載の摩擦用具。
- 摩擦体における摩擦部が摩擦対象に接する側とは逆の側のうち、保持体に摩擦体が保持された状態における可撓性抜止脚、抜止脚保持部、摩擦体側凸部および/または摩擦体側凹部、保持体側凹部および/または保持体側凸部、並びに挿入部の何れよりも外周側に、保持体又は保持体が固定される対象物品との間を密封するための密封部を備える請求項6乃至10の何れかに記載の摩擦用具。
- 請求項11記載の摩擦用具を備えた摩擦物品であって、
前記摩擦用具における保持体が摩擦物品に固定されており、その保持体に摩擦体が保持された状態において摩擦体の密封部と前記摩擦物品との間が密封されるものである摩擦物品。
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JP2002289059A JP2004121496A (ja) | 2002-10-01 | 2002-10-01 | 摩擦用具及び摩擦物品 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006081911A (ja) * | 2004-09-17 | 2006-03-30 | Acushnet Co | 滑り止め組立品 |
KR101860064B1 (ko) * | 2015-08-10 | 2018-07-05 | (주)뉴텍이엔씨 | 신발 밑창의 형상대로 탈부착 가능한 아이젠 |
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2002
- 2002-10-01 JP JP2002289059A patent/JP2004121496A/ja active Pending
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KR101860064B1 (ko) * | 2015-08-10 | 2018-07-05 | (주)뉴텍이엔씨 | 신발 밑창의 형상대로 탈부착 가능한 아이젠 |
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