JP2004121232A - 塩基多型の同定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 遺伝病の診断、塩基多型解析等に際して特に有用な、核酸配列の変異または多型の検出方法及びそれに用いられるオリゴヌクレオチドを提供することを目的とする。
【解決手段】 試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む核酸配列に、標識されている野生型用または変異型用オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせた後、核酸特異標識を作用させて、該オリゴヌクレオチドの標識と核酸特異標識との相互作用を検出して塩基多型を同定する方法において、ハイブリダイズした該オリゴヌクレオチドが1本鎖に分離する条件が塩基多型により異なることを用いる。

Description

 本発明は、核酸配列の変異または多型の同定方法に関する。本発明は、遺伝病の診断、塩基多型解析等に際して特に有用である。
 本発明において、塩基多型とは野生型とは異なる塩基配列を有することをいう。遺伝子の塩基多型は薬物代謝において副作用および治療失敗の発生において個体間変動の原因として重要な役割を果たし、体質として知られる基礎代謝等の個人差の原因としても知られている。その上、これらは多数の疾患の遺伝マーカーとしての働きもする。それゆえ、これら突然変異の解明は臨床的に重要であり、ルーチンの表現型分類が臨床研究における精神医学患者および自発志願者にとって特に推奨される(GramおよびBrsen, European Consensus Conference on Pharmacogenetics. Commission of the European Communities, Luxembourg, 1990, 第87〜96頁; Balantら、 Eur. J. Clin. Pharmacol. 第36巻、第551〜554頁、(1989))。また、原因となる変異型遺伝子の同定に続くそれぞれの遺伝子型の検出用の核酸配列分析法が所望される。
 従来の核酸配列分析技術としては、例えば核酸配列決定法(シークエンシング法)がある。核酸配列決定法は核酸配列中に含まれる塩基多型を検出、同定することができるが、鋳型核酸の調製、DNAポリメラーゼ反応、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、核酸配列の解析等を行うため多大な労力と時間が必要である。また近年の自動シークエンサーを用いることで省力化は行うことができるが、高価な装置が必要であるという問題がある。
 一方、遺伝子の点突然変異により引き起こされる遺伝病が種々知られており、それらの中には、遺伝子のどの部位がどのように点突然変異することにより遺伝病が引き起こされるかわかっているものも少なくない。
 このような予想される点突然変異を検出する方法として、従来より、PCR(polymerase chain reaction)法(特公平4−67960号公報、特公平4−67957号公報)などの遺伝子増幅法を利用した遺伝子の点突然変異の検出方法が知られている。この方法では、遺伝子増幅法に用いる一対のオリゴヌクレオチドのうちの一方のオリゴヌクレオチドとして、野生型遺伝子の増幅領域の端部領域に完全に相補的な野生型用オリゴヌクレオチドと、変異型遺伝子の増幅領域の端部領域に完全に相補的な変異型用オリゴヌクレオチドとを用いる。変異型のオリゴヌクレオチドは、その3’末端が予想される点突然変異を起こしたヌクレオチドに相補的なヌクレオチドになっている。このような野生型及び変異型用オリゴヌクレオチドをそれぞれ別個に用いて試料遺伝子を遺伝子増幅法に供する。
 試料遺伝子が野生型であれば、野生型用オリゴヌクレオチドを用いた場合には核酸の増幅が起きるが、変異型用オリゴヌクレオチドを用いた場合には、オリゴヌクレオチドの3’末端が試料遺伝子の対応ヌクレオチドと相補的ではない(ミスマッチ)ので伸長反応が起きず、核酸の増幅は起きない。一方、試料遺伝子が変異型であれば、逆に、野生型用オリゴヌクレオチドを用いた場合には増幅が起きず、変異型用オリゴヌクレオチドを用いた場合に増幅が起きる。従って、各オリゴヌクレオチドを用いた場合に増幅が起きるか否かを調べることにより、試料遺伝子が野生型か変異型かを判別することができ、それによって試料遺伝子中の点突然変異を同定することができる。この時増幅がおきたか否かを調べる方法として、増幅産物をアガロースゲル電気泳動した後、エチジウムブロマイド等の核酸特異的結合蛍光試薬を用いて染色の後、UV照射して増幅核酸の有無を検出できる。またほかの様式として、ナイロン膜上に増幅核酸を固定し、標識プローブを用いて検出するサザンブロット法、個体担体上に固定した補足プローブで捕捉した後検出プローブを作用させて検出するサンドイッチハイブリダイゼーション法などが開発されてきた。
 また最近開発された検出方法は、プローブのハイブリッド形成の検出に蛍光強度を直接検出するのではなく、蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescence Resonance Energy Transfer; FRET)の方法を利用している。蛍光共鳴エネルギー移動は、ドナー蛍光体と消光剤色素(蛍光体でも、蛍光体でなくてもよい。)の間で発生し、一方(消光剤)の吸収スペクトルがもう一方(ドナー)の発光スペクトルとオーバーラップし、この2つの色素が近接したときに発生する。これらの特性を有する色素は、ドナー/消光剤色素対またはエネルギー移動色素対と呼ばれる。
 ドナー蛍光体の励起状態エネルギーは、共鳴双極子により引き起こされる双極子相互作用により、近くの消光剤に移動される。その結果、ドナー蛍光体の消光が起こる。場合によっては、消光剤も蛍光体の場合、その蛍光強度が増強されることもある。エネルギー移動効率は、ドナーと消光剤の距離に高度に依存しており、これらの関係を予測する式がForster(1948. Ann. Phys.2, 55-75)により開発されている。エネルギー移動効率が50%であるドナーと消光剤色素の距離はForster距離(Ro)と呼ばれる。蛍光消光の機序として他に、例えば、電荷移動消光および衝突消光等がある。
 近接する2つの色素の相互作用により消光を引き起こすことに基づくエネルギー移動とその他の機序は、均一方式で実施できるため、ヌクレオチド配列を検出または同定する魅力的な手段である。均一分析方式は、1つの蛍光体標識の蛍光の検出に基づく従来のプローブハイブリッド形成分析法よりも簡単である。なぜならば、一般に、不均一分析はハイブリッド形成していない遊離標識からハイブリッド形成した標識を分離する更なるステップを必要とするからである。典型的には、FRETおよび関連方法は、2つの相補的オリゴヌクレオチドがハイブリッド形成により結合された時に、一方または両方の色素標識の蛍光特性の変化を監視することに基づくものである。この方式において、蛍光特性の変化は、エネルギー移動量の変化として、あるいは蛍光消光量の変化として測定され、典型的には、一方の色素の蛍光強度の増加として示される。
 この方法においては、ハイブリッド形成しないオリゴヌクレオチドとハイブリッド形成したオリゴヌクレオチドを分離せずに、目的のヌクレオチド配列を検出することが可能である。一方はドナー蛍光体で、もう一方は消光剤で標識された2つの別々の相補的オリゴヌクレオチドの間でハイブリッド形成を生じることができる。
 この時一方のオリゴヌクレオチドを塩基多型特異的配列を有する場合多型特異的にFRETシグナルが得られることで塩基多型の同定が可能となる。FRETハイブリッド形成分析法に関する幾つかの方式が、Nonisotopic DNA Probe Techniques(1992. Academic Press, Inc., pags. 311-352)に概説されている。あるいは、オリゴヌクレオチドがハイブリッド形成していない場合と、相補的配列とハイブリッド形成した場合とで、一方または両方の蛍光特性に検出可能な差が生じるように、ドナーと消光剤を1つのオリゴヌクレオチドに結合させることができる。この方式においては、典型的には、オリゴヌクレオチドがハイブリッド形成するとドナー蛍光は増加し、エネルギー移動/消光は減少する。例えば、両端に標識された自己相補的オリゴヌクレオチドがヘアピン構造を形成すると、これによって2つの蛍光体(即ち、5'末端と3’末端)が近接し、エネルギー移動と消光が起こる。自己相補的オリゴヌクレオチドと第二のオリゴヌクレオチドの中の相補的配列がハイブリッド形成すると、ヘアピン構造は破壊され、2つの色素間距離が拡大するため消光は減少する。
 ヘアピン構造の欠点は、安定性が非常に高く、非消光ハイブリッド形成型への変換がしばしば遅く、僅かにそちらに偏るだけで、一般的に性能は低い。TyagiおよびKramer(1996.Nature Biotech.14, 303-308)は、ステムを形成するヘアピン構造の自己相補的アームの間のループ中に検出配列を含む上記の様に標識されたヘアピン構造を報告している。塩基対合したステムは、検出配列が標的とハイブリッド形成し、消光の減少を引き起こすためには融解しなくてはならない。「二重ヘアピン」プローブとそれを利用する方法が、B. Bagwell, et al. (1994. Nucl. Acids Res. 22, 2424-2425;米国特許No.5,607,834)に報告されている。これらの構造はヘアピン構造内に標的結合配列を含んでおり、従って、標的とヘアピン構造の自己相補的配列との間に競合的ハイブリッド形成が関与している。Bagwellは、ミスマッチによりヘアピン構造を不安定化させることにより、不利なハイブリッド形成速度論の問題を解決している。
 標的結合配列に塩基多型特異的配列を選択することでこの方法を用いて塩基多型の同定が可能であるが、一般的に1塩基の違いをオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション法により見分けるためには厳密なハイブリダイゼーション条件の設定が必要となる。
 核酸増幅を検出するためにエネルギー移動またはその他の蛍光消光の機序を利用する均一方法も報告されている。L. G. Lee, et al. (1993. Nuc. Acids Res.21, 3761-3766)は、PCR中に標的増幅に特異的に二重標識検出プローブが切断されるリアルタイム検出方法を開示している。検出プローブが増幅プライマーの下流でハイブリッド形成されると、Taqポリメラーゼの5'-3’エキソヌクレアーゼ活性が検出プローブを消化し、エネルギー移動対を形成する2つの蛍光色素を分離する。
 この方法においても二重標識検出プローブを塩基多型特異的プローブとすることで塩基多型の同定が可能である。
 標識された多型部位特異プローブと、そのプローブに隣接してドナー標識体を有するプローブの2本を用いて検出する方法も知られている。(Rapid Cycle Real-Time PCR Methods and Applications(2001)91-96)この時多型特異プローブの標識とドナー標識との組み合わせで2種類のFRETシグナルを検出することで多型を同定できる。この方法も、上述したように、1塩基の違いをオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション法により見分けるためには厳密なハイブリダイゼーション条件の設定が必要となるし、標識した4本のプローブが必要となる。またこの変法として1種類の標識した多型特異部位特異プローブとドナー標識プローブをハイブリさせた後、昇温して多型部位特異プローブの1本鎖に分離する温度で多型を同定する方法も知られている(Analytical Biochemistry 255, 101-107(1998))。しかしこれらの方法においては、標識した多型部位特異プローブとドナー標識したプローブの2本必要であり、ドナープローブの1本鎖への解離も制御しなくてはならない。
 核酸特異標識としてインターカーレーターと標的核酸にハイブリしたプローブの蛍光標識とのFRETによる標的核酸の検出法もHeller、Cardullo、Morrisonなどにより開示されている(例えば、非特許文献1、2、3参照)。しかしMorissonらはインターカーレータ−はプローブとハイブリした部分以外にも非特異的に結合するのでノイズが高くなることを報告している。
 サイバーグリーンとCy5標識プローブによるFRETによる検出方法も開示されている(特許文献1参照)。しかしサイバーグリーンとCy5標識プローブによるFRETはノイズが高く実用的でないことも報告されている(例えば、非特許文献4参照)。
Heller、"Rapid Detection and Identification of Infectious Agents"、Academic Press Inc、245-256頁、1985年 Cardullo ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、85巻、8790-8794頁、1988年 Morrison、"NonisotopicDNA Probe Techniques"、Academic Press Inc、 第13章、1992年 Caneら、Antimicrob. Agents Chemother.、43巻、1600-1608頁、1999年 国際公開第99/28500号パンフレット
 上記のような方法により増幅核酸を検出し、容易に多型を同定が行えるように思われるが、実際には、従来の方法では操作は煩雑であり、その為に安定した野生型シグナルと多型シグナルをとる解析が困難となり、正確な多型を同定するには多大な作業が必要であった。
 たとえば電気泳動法によれば野生型及び多型を別々に検出する必要がありまた泳動像から核酸量を正確に数値化することは困難である。またサザンブロット法やサンドイッチハイブリダイゼーション法ではプローブとのハイブリダイゼーション反応が必要であり、その条件を厳密に整える必要がある。更には過剰なプローブを除去する工程が必要であり、操作は非常に煩雑である。
 またFRETを用いた方法は均一分析が可能であり過剰なプローブの除去等が不必要で検出が容易になっているが、各多型特異的に、異なる標識を付与した2本のオリゴヌクレオチドプローブが必要であったり、二重標識プローブが必要である。また上述したようにサイバーグリーンとCy5標識プローブによる方法も開示されているがノイズが高く実用的でないことも報告され、遺伝子多型の検出に実用出来るかは疑問視されていた。
 本発明の目的は、上記のような課題を解決して、明確にかつ再現性よく核酸配列中の多型を検出することができる方法及びそのための試薬を提供することである。
 本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意研究の結果、上記の従来法に対して、特定の塩基多型部位を含む核酸配列に、標識されている野生型用または変異型用オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせた後、核酸特異標識を作用させて、該オリゴヌクレオチドの標識と核酸特異標識との相互作用を検出して塩基多型を同定する方法において、ハイブリダイズした該オリゴヌクレオチドが1本鎖に分離する条件が塩基多型により異なることを測定することで、煩雑な検出操作や高価な標識プローブを多数必要とせずまた容易に、明確な多型同定が可能となる方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
 すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
(1)試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む核酸配列に、標識されている野生型用または変異型用オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせた後、核酸特異標識を作用させて、該オリゴヌクレオチドの標識と核酸特異標識との相互作用を検出して塩基多型を同定する方法において、ハイブリダイズした該オリゴヌクレオチドが1本鎖に分離する条件が塩基多型により異なることを用いることを特徴とする方法。
(2)核酸特異標識が2本鎖核酸特異的であることを特徴とする(1)に記載の方法。
(3)核酸特異標識が蛍光色素であることを特徴とする(1)及び(2)に記載の方法。
(4)核酸特異標識の蛍光色素が500〜600nmの蛍光波長域を有する蛍光色素である事を特徴とする(1)〜(3)に記載の方法。
(5)オリゴヌクレオチドの標識が蛍光色素である事を特徴とする(1)〜(4)に記載の方法。
(6)オリゴヌクレオチドの蛍光標識が520〜580nmの励起波長域を有する蛍光色素である事を特徴とする(1)〜(5)に記載の方法。
(7)オリゴヌクレオチドの蛍光標識が580nm以上の最大蛍光波長を有する蛍光色素である事を特徴とする(1)〜(6)に記載の方法
(8)相互作用が蛍光共鳴エネルギー移動であることを特徴とする(1)〜(7)に記載の方法。
(9)ハイブリダイズした該オリゴヌクレオチドを1本鎖に分離する条件が温度であることを特徴とする(1)〜(8)に記載の方法。 
(10)試料中に含まれる特定の核酸配列が予め増幅されていることを特徴とする(1)〜(9)に記載の方法。
(11)試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む核酸配列に、少なくとも増幅用オリゴヌクレオチド、標識されている野生型用または変異型用オリゴヌクレオチド、核酸特異標識が含まれている反応溶液を作用させ、増幅反応を行った後、予め含まれている標識オリゴヌクレオチドと核酸特異標識を用いて塩基多型を同定することを特徴とする(1)〜(9)に記載の方法。
(12) 反応溶液にDNAポリメラーゼが含まれていることを特徴とする(11)に記載の方法。
(13) 反応溶液に含まれるDNAポリメラーゼが実質的に5‘エキソヌクレアーゼ活性を有しないことを特徴とする(11)及び(12)に記載の方法。
(14)試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む核酸配列に、標識されている野生型用または変異型用オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせた後、核酸特異標識を作用させて、該オリゴヌクレオチドの標識と核酸特異標識との相互作用を検出して塩基多型を同定する方法において、反応液を徐々に昇温して、ハイブリダイズした該オリゴヌクレオチドが1本鎖に分離する温度が塩基多型により異なることを特徴とする方法。
(15) 核酸特異標識が2本鎖核酸特異的であることを特徴とする(14)に記載の方法。
(16) 核酸特異標識が蛍光色素であることを特徴とする(14)及び(15)に記載の方法。
(17) 核酸特異標識の蛍光色素が500〜600nmの蛍光波長域を有する蛍光色素である事を特徴とする請求項14〜16に記載の方法。
(18)オリゴヌクレオチドの標識が蛍光色素である事を特徴とする(14)〜(17)に記載の方法。
(19) オリゴヌクレオチドの蛍光標識が520〜580nmの励起波長域を有する蛍光色素である事を特徴とする(14)〜(18)に記載の方法。
(20)オリゴヌクレオチドの蛍光標識が580nm以上の最大蛍光波長を有する蛍光色素である事を特徴とする(14)〜(19)に記載の方法
(21)相互作用が蛍光共鳴エネルギー移動であることを特徴とする(14)〜(20)に記載の方法。 
(22)試料中に含まれる特定の核酸配列が予め増幅されていることを特徴とする(14)〜(21)に記載の方法。
(23)試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む核酸配列に、少なくとも増幅用オリゴヌクレオチド、標識されている野生型用または変異型用オリゴヌクレオチド、核酸特異標識が含まれている反応溶液を作用させ、増幅反応を行った後、予め含まれている該標識オリゴヌクレオチドと核酸特異標識を用いて塩基多型を同定することを特徴とする(14)〜(21)に記載の方法。
(24)反応溶液にDNAポリメラーゼが含まれていることを特徴とする(23)に記載の方法。
(25)反応溶液に含まれるDNAポリメラーゼが実質的に5‘エキソヌクレアーゼ活性を有しないことを特徴とする(23)及び(24)に記載の方法。
(26) 試料中に含まれる特定核酸配列に存在する塩基多型を同定する方法において、以下の行程、
1)1本鎖状態の標的核酸に蛍光標識されている野生型用オリゴヌクレオチド又は変異型用オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる。
2)2本鎖核酸特異的蛍光色素を作用させ、該蛍光色素とハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドの標識との相互作用による蛍光信号を測定する。
3)徐々に温度を上げながら、蛍光信号の変化を測定し該オリゴヌクレオチドが1本鎖に分離する温度を測定する。
を含むことを特徴とする方法。
(27) 2本鎖核酸特異標識の蛍光色素が500〜600nmの蛍光波長域を有する蛍光色素である事を特徴とする(26)に記載の方法。
(28)オリゴヌクレオチドの蛍光標識が520〜580nmの励起波長域を有する蛍光色素である事を特徴とする(26)および(27)に記載の方法。
(29) オリゴヌクレオチドの蛍光標識が580nm以上の最大蛍光波長を有する蛍光色素である事を特徴とする(26)〜(28)に記載の方法
(30)相互作用が蛍光共鳴エネルギー移動であることを特徴とする(26)〜(29)に記載の方法。 
(31)試料中に含まれる特定の核酸配列が予め増幅されていることを特徴とする(26)〜(30)に記載の方法。
(32)試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む核酸配列に、少なくとも増幅用オリゴヌクレオチド、標識されている野生型用または変異型用オリゴヌクレオチド、核酸特異標識が含まれている反応溶液を作用させ、増幅反応を行った後、予め含まれている該標識オリゴヌクレオチドと核酸特異標識を用いて塩基多型を同定することを特徴とする(26)〜(30)に記載の方法。
(33)反応溶液にDNAポリメラーゼが含まれていることを特徴とする(32)に記載の方法。
(34)反応溶液に含まれるDNAポリメラーゼが実質的に5‘エキソヌクレアーゼ活性を有しないことを特徴とする(32)及び(33)に記載の方法。
 本発明の方法により、煩雑な操作を経ることなく、また反応液の添加や反応容器の開閉等なく、容易にかつ迅速に標的核酸遺伝子多型を明確に判定することができる。
 以下、本発明を詳細に説明する。試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む染色体又はその断片は、目的の遺伝子の情報を担う塩基多型部位を含む標的核酸であれば、特に制限されない。該標的核酸の例としては、Alu配列、蛋白質をコードする遺伝子のエキソンやイントロン、プロモーターなどが例示できる。より具体的には、遺伝病を含む各種疾患、薬物代謝、生活習慣病(高血圧、糖尿病等)に関連する遺伝子が挙げられる。例えば、高血圧としてACE(Angiotensin I Converting Enzyme)遺伝子が挙げられる。
 本発明において、核酸配列を単に核酸ということがある。変異型核酸とは、野生型核酸のうち少なくとも1つ、好ましくは1つのヌクレオチドが点突然変異して他のヌクレオチドに置換されているものや、野生型核酸の一部に挿入、欠失配列等を含む核酸のことであり、どの部位のヌクレオチドが変異しているかが解明されているものである。このような塩基多型により体質等が異なっていることが解明されてきており、本発明の方法は試料中の核酸がこのような予想される変異を有しているか否かを検査する方法である。
 本発明において、野生型オリゴヌクレオチドまたは変異型オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる反応とは一般的に、一本鎖に変性した標的核酸にオリゴヌクレオチドを作用させ、2本鎖を形成させることを含む。
 本発明において、野生型用オリゴヌクレオチドとは、通常の表現型を有している塩基多型部位を含む染色体又はその断片に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドであって、変異型用オリゴヌクレオチドとは、野生型とは異なる配列を有している塩基多型部位を含む染色体又はその断片に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドである。るオリゴヌクレオチドの長さとしては、13〜35塩基、好ましくは、16〜30塩基である。
 本発明においては、上記野生型用オリゴヌクレオチド又は変異型用オリゴヌクレオチドのどちらかを試料に作用させる。この時、どちらのオリゴヌクレオチドを作用させても、野生型配列及び変異型配列の両方に、オリゴヌクレオチドがハイブリするような条件で作用させる。例えば50%溶解温度が70℃であるオリゴヌクレオチドを50℃で作用させた場合、野生型及び変異型の配列を区別することなくオリゴヌクレオチドはハイブリして2本鎖を形成する。この後、オリゴヌクレオチドが核酸配列から分離して1本鎖に戻るような条件を与えたときに、野生型配列と、変異型配列にハイブリしたオリゴヌクレオチドが1本鎖になる条件が異なっておりその差異を測定することで塩基多型を同定することができる。
 本発明においてオリゴヌクレオチドを1本鎖に分離する条件としては、温度、pH、電気等があるが核酸の2本鎖を1本鎖に分離することができればこの限りではない。例えば温度を用いた場合、オリゴヌクレオチドを核酸配列に作用させた後、ゆっくりと温度を上げてオリゴヌクレオチドを1本鎖に分離させる。このとき、野生型配列にハイブリした野生型オリゴヌクレオチドは変異型配列にハイブリしたオリゴヌクレオチドより高い温度で1本鎖に分離する。この温度の差異により塩基多型を同定することができる。
 本発明において、特定の塩基多型部位を含む染色体又は断片の増幅方法も、基本的には、従来の方法を用いて行うことができ、通常、一本鎖に変性させた特定の塩基多型部位を含む染色体又はその断片に、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)及びDNAポリメラーゼ及びフォワードプライマー、リバースプライマーと共に作用させることで、標的核酸を鋳型としてファワードプライマーとリバースプライマーの間で増幅される。
 核酸増幅方法としては、PCR、NASBA(Nucleic acid sequence-based amplification method;Nature 第350巻、第91頁(1991))、LCR(国際公開89/12696号公報、特開平2−2934号公報)、SDA(Strand Displacement Amplification:Nucleic acid research 第20巻、第1691頁(1992))、RCR(国際公開90/1069号公報)、TMA(Transcription mediated amplification method;J.Clin.Microbiol. 第31巻、第3270頁(1993))などが挙げられる。
 なかでもPCR法は、試料核酸、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、一対のオリゴヌクレオチド及び耐熱性DNAポリメラーゼの存在下で、変性、アニーリング、伸長の3工程からなるサイクルを繰り返すことにより、上記一対のオリゴヌクレオチドで挟まれる試料核酸の領域を指数関数的に増幅させる方法である。すなわち、変性工程で試料の核酸を変性し、続くアニーリング工程において各オリゴヌクレオチドと、それぞれに相補的な一本鎖試料核酸上の領域とをハイブリダイズさせ、続く伸長工程で、各オリゴヌクレオチドを起点としてDNAポリメラーゼの働きにより鋳型となる各一本鎖試料核酸に相補的なDNA鎖を伸長させ、二本鎖DNAとする。この1サイクルにより、1本の二本鎖DNAが2本の二本鎖DNAに増幅される。従って、このサイクルをn回繰り返せば、理論上上記一対のオリゴヌクレオチドで挟まれた試料DNAの領域は2倍に増幅される。増幅されたDNA領域は大量に存在するので、電気泳動等の方法により容易に検出できる。よって、遺伝子増幅法を用いれば、従来では検出不可能であった、極めて微量(1分子でも可)の試料核酸をも検出することが可能であり、最近非常に広く用いられている技術である。
 本発明において、特定の塩基多型部位を含む染色体又は断片を上述の方法で増幅し、標識されている野生型用または変異型用オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせ、核酸特異標識を作用させ、ハイブリダイズした該オリゴヌクレオチドを1本鎖に分離する条件を測定することで、塩基多型を同定するが、この時予め反応に必要な試薬をすべて含んでおいても良い。すなわち増幅用プライマー、ポリメラーゼ、検出用標識プローブ、核酸特異標識試薬等を含む反応液に標的核酸を入れた後、核酸増幅反応および多型検出反応を反応容器の蓋を開けることなく連続して行うことが可能である。この方法によれば、検出に要する煩雑な操作が不要で、核酸増幅法で危惧される、増幅産物による汚染の危険性を大きく低減できる。
 本発明では、ノイズを少なくして再現性の高い結果を得るために、核酸特異標識の最大蛍光波長の蛍光強度を1とした場合に、核酸特異標識が0.3以上の蛍光強度を持つ波長の範囲内のいずれかの波長で、オリゴヌクレオチドの標識は最大励起波長の強度を1とした場合に0.25以上の吸収強度を持つことが好ましく、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.35以上、特に好ましくは0.4以上吸収強度を持つ。
 さらに具体的には、オリゴヌクレオチドの標識は520〜580nmに励起波長域を含む色素が好ましい。特には、最大励起波長の強度を1とした場合に、520〜580nmの全範囲に渡り0.05以上の吸収強度を持つことが好ましく、520〜580nmのいずれかに0.25以上の吸収強度を持つことが好ましく、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.35以上、特に好ましくは0.4以上吸収強度を持つ。
 また、核酸特異標識は、500〜600nmの蛍光波長域を有することが好ましく、最大蛍光波長の蛍光強度を1とした場合に、500〜600nmのいずれかに0.5以上、さらには0.6以上、特には0.8以上の蛍光強度を持つことが好ましく、最も好ましくは500〜600nmに最大蛍光波長を持つことが好ましい。
 更には、核酸特異標識の蛍光波長とオリゴヌクレオチドの標識の蛍光波長は重複部分が少ないことが好ましく、オリゴヌクレオチドの標識の蛍光測定波長において、核酸特異標識の蛍光波長の蛍光強度は、その最大蛍光波長の蛍光強度を1とした場合に0.25以下、さらには0.2以下、特には0.15以下であることが好ましい。
 また、オリゴヌクレオチドの標識の蛍光を測定する際には、オリゴヌクレオチドの標識の最大蛍光波長の蛍光強度を1とした場合、蛍光強度0.5以上、さらには0.6以上、特には0.7以上の波長で測定することが好ましい。
 さらに、オリゴヌクレオチドの標識の最大吸収波長は580nm以上であることが好ましい。
 なお、これら励起、蛍光波長の特性は実際の増幅後の測定溶液中での特性である。
 上記条件を満たすものであれば、オリゴヌクレオチドの標識は核酸特異標識と相互作用を起こす標識であれば何でも良いが、これらの例として、テキサスレッド、Light CyclerRED640,Light Cycler RED705、TAMRA、AlexaFiuoro633等が挙げられる。該標識は、オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションに影響を与えることがなければオリゴヌクレオチドのどの位置に結合させてもよい。好ましくは、5‘または3‘部位である。
 核酸特異標識物質も上記条件を満たすものであれば、標識オリゴヌクレオチドが反応行った核酸に特異的に結合し、該オリゴヌクレオチドの標識と相互作用すれば何でもよく、好ましくは2本鎖核酸に特異的な標識が好ましい。2本鎖特異標識としては2本鎖にインターカーレートするサイバーグリーンI、エチジウムブロマイド、アクリジンオレンジ、チアゾールオレンジ、オキサゾールイエロー、ローダミン、ピコグリーン等があり、中でもサイバーグリーンI、ピコグリーンが好ましいがこの限りではない。
 これらの、核酸特異標識物質とオリゴヌクレオチドの標識の組み合わせとしては、上述の基準に従って選べば良いが、具体的には、サイバーグリーンIとテキサスレッド、サイバーグリーンIとLight CyclerRED640,サイバーグリーンIとLight Cycler RED705、サイバーグリーンIとTAMRA、サイバーグリーンIとAlexaFiuoro633、ピコグリーンとROX、ピコグリーンとテキサスレッド、ピコグリーンとLight CyclerRED640,ピコグリーンとLight Cycler RED705、ピコグリーンとTAMRA、ピコグリーンとAlexaFiuoro633が好ましい例として挙げられる。
  キット
 本発明において、キットとしては、標識した野生型用オリゴヌクレオチドまたは変異型用オリゴヌクレオチド、核酸特異標識を含む塩基多型検出用試薬キットを含むものである。
 増幅法と同時に検出する場合には、更に、フォワードプライマー、リバースプライマー、DNAポリメラーゼ、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)を含んでいてもよい。
 DNAポリメラーゼはプライマーを伸長させ、増幅反応をすれば何でもよく好ましくは5‘エキソヌクレアーゼの活性が実質的に含まれない物がよい。
 以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
 実施例1 Endothelial Nitric Oxide Synthase 遺伝子の塩基多型の検出
 (1)Endothelial Nitric Oxide Synthase 遺伝子の298番目の多型を検出するオリゴヌクレオチドの合成
 配列番号1〜3に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下、オリゴ1〜3)をDNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、(株)サワディー、GENSET KK、アマシャムファルマシア バイオテク(株)等)に依頼した。
 オリゴ1は多型部位を5’末端から10番目の位置に有し、その配列がGであり、5’末端にテキサスレッドが標識されている。また3’末端はダイデオキシ化されている。
 (2)融解曲線を用いたEndothelial Nitric Oxide Synthase 遺伝子多型の解析
 〈1〉 PCR法による増幅反応
 ヒト白血球からフェノール・クロロフォルム法により抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりヒトEndothelial Nitric Oxide Synthase 遺伝子の塩基多型 (Glu298Asp)部位を含む核酸断片を増幅した。
 試薬
 以下の試薬を含む25μl溶液を調製した。
Taq DNAポリメラーゼ反応液
 オリゴ2               4 pmol
 オリゴ3               20 pmol
 ×10緩衝液              2.5 μl
 2mM dNTP             2.5 μl
 25 mM MgCl             1.5 μl
 Taq DNAポリメラーゼ(東洋紡績(株)) 1 U
 抽出DNA溶液  20 ng
増幅条件
 95℃・5分
 95℃・30秒、60℃・30秒、72℃、30秒(35サイクル)
 72℃・2分。
〈2〉 融解曲線による検出
 〈1〉の増幅反応液25μlに下記試薬を5μlを加え、LightCycler(Rosche)用キャピラリー反応容器に移した。キャピラリー反応溶液をLightCyclerにセットし、下記の反応条件で融解曲線を作成した。
試薬
 以下の試薬を含む5μl溶液を調製した。
 1000倍希釈Syber GreenI(Molecular probes社)  1.2μl
 200mMEDTA(pH 8.0)          1μl
 オリゴ1                  10pmol
反応条件
 95℃・1秒
 50℃・1分
 50℃から95℃へ0.5℃/秒で昇温し、STEPで蛍光測定
 得られた融解曲線を図1に示す。図から明らかなように、オリゴ1と完全に相補的配列の場合は約70℃をピークとした融解曲線が得られ、多型配列がホモの場合は約65℃にピークを持つ融解曲線が得られ、ヘテロの場合は70℃と65℃の2つのピークを有する融解曲線が得られた。
 所要時間は数分であった。
上記のように、多型部位の配列を含む核酸断片を増幅した後、標識した多型部位を含むオリゴヌクレオチドをハイブリさせ、核酸特異的標識を作用させた後、標識した折り後ヌクレオチドが1本鎖に解離する温度を測定することで、煩雑な操作を経ることなく、容易にかつ迅速に標的核酸遺伝子多型を明確に判定することができた。
 (3)リアルタイム増幅+融解曲線を用いたEndothelial Nitric Oxide Synthase 遺伝子多型の解析
 ヒト白血球からフェノール・クロロフォルム法により抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加してLightCycler(Rosche)用キャピラリー反応容器に移した後、LightCyclerにセットし、下記の反応条件によりヒトEndothelial Nitric Oxide Synthase 遺伝子の塩基多型 (Glu298Asp)部位を含む核酸断片を増幅した後、反応容器の蓋を開けることなく予め含まれる標識オリゴヌクレオチドプローブを用いて融解曲線を作成した。
試薬
 以下の試薬を含む25μl溶液を調製した。
 オリゴ1                10 pmol
 オリゴ2                 4 pmol
 オリゴ3                20 pmol
 ×10緩衝液               2.5 μl
 2mM dNTP                2.5 μl
 25 mM MgSO4             1.25 μl
 KOD plus DNAポリメラーゼ(東洋紡績(株))     1 U
 3000倍希釈Syber GreenI(Molecular probes社)    2.5μl
 2.5mg/mlBSA                   2.5μl 
 抽出DNA溶液                    20 ng
増幅、検出条件
増幅サイクル
 95℃・1分
 95℃・1秒、60℃・10秒、72℃、3秒(40サイクル)
融解曲線サイクル
 95℃・1秒
 50℃・1分
50℃から95℃へ0.5℃/秒で昇温し、STEPで蛍光測定
 得られたSyberGreenIによる増幅産物のシグナルを図2に、融解曲線を図3に示す。図2からSyberGreenIのシグナルからRealtimeに増幅している明らかに測定できた。また連続して作成した融解曲線により、オリゴ1と完全に相補的配列の場合は約70℃のピークが得られ、多型配列がホモの場合は約65℃にピークが、ヘテロの場合は70℃と65℃の2つのピークを有するが得られた。
 所要時間は約30分であった。
 なお、テキサスレッドの吸光強度は520nmにおいて0.07、550nmにおいて0.31、580nmにおいて0.63(いずれも最大吸光波長での吸光強度を1とした場合)であり、サイバーグリーンIの蛍光強度は520nmにおいて1.00、550nmにおいて0.62、580nmにおいて0.29(いずれも最大蛍光波長での吸光強度を1とした場合)である。
 また、サイバーグリーンIは495nmで励起させ、テキサスレッドの蛍光の測定波長は620nmのフィルターを通して測定を行った。この時のテキサスレッドの蛍光強度は1、サイバーグリーンの蛍光強度は0.13(いずれも最大蛍光波長での吸光強度を1とした場合)である。
 なお、テキサスレッドの最大吸収波長は約590nmである。
 また、核酸特異標識として、ROX,Light CyclerRED640,Light Cycler RED705に変えた場合でも同様に測定が可能であった(但しCycler RED705の測定は700nmのフィルターを用いた)。
 上記のように、多型部位の配列を含む核酸断片の増幅と連続して、標識した多型部位を含むオリゴヌクレオチドをハイブリさせ、核酸特異的標識を作用させた後、標識した折り後ヌクレオチドが1本鎖に解離する温度を測定することで、煩雑な操作を経ることなく、また反応液の添加や反応容器の開閉等なく、容易にかつ迅速に標的核酸遺伝子多型を明確に判定することができた。
 本発明の方法により、煩雑な操作を経ることなく、また反応液の添加や反応容器の開閉等なく、容易にかつ迅速に標的核酸遺伝子多型を明確に判定することができ、産業界に寄与すること大である。
実施例におけるEndothelial Nitric Oxide Synthase 遺伝子多型の解析時の融解曲線図 リアルタイム増幅の実施例におけるEndothelial Nitric Oxide Synthase 遺伝子多型の解析時の増幅産物のシグナル図 リアルタイム増幅の実施例におけるEndothelial Nitric Oxide Synthase 遺伝子多型の解析時の融解曲線図

Claims (34)

  1.  試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む核酸配列に、標識されている野生型用または変異型用オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせた後、核酸特異標識を作用させて、該オリゴヌクレオチドの標識と核酸特異標識との相互作用を検出して塩基多型を同定する方法において、ハイブリダイズした該オリゴヌクレオチドが1本鎖に分離する条件が塩基多型により異なることを用いることを特徴とする塩基多型を同定する方法。
  2.  核酸特異標識が2本鎖核酸特異的であることを特徴とする請求項1に記載の塩基多型を同定する方法。
  3.  核酸特異標識が蛍光色素であることを特徴とする請求項1及び2に記載の塩基多型を同定する方法。
  4.  核酸特異標識の蛍光色素が500〜600nmの蛍光波長域を有する蛍光色素である事を特徴とする請求項1〜3に記載の塩基多型を同定する方法。
  5.  オリゴヌクレオチドの標識が蛍光色素である事を特徴とする請求項1〜4に記載の塩基多型を同定する方法。
  6.  オリゴヌクレオチドの蛍光標識が520〜580nmの励起波長域を有する蛍光色素である事を特徴とする請求項1〜5に記載の塩基多型を同定する方法。
  7.  オリゴヌクレオチドの蛍光標識が580nm以上の最大蛍光波長を有する蛍光色素である事を特徴とする請求項1〜6に記載の塩基多型を同定する方法
  8.  相互作用が蛍光共鳴エネルギー移動であることを特徴とする請求項1〜7に記載の塩基多型を同定する方法。 
  9.  ハイブリダイズした該オリゴヌクレオチドを1本鎖に分離する条件が温度であることを特徴とする請求項1〜8に記載の塩基多型を同定する方法。 
  10.  試料中に含まれる特定の核酸配列が予め増幅されていることを特徴とする請求項1〜9に記載の塩基多型を同定する方法。
  11.  試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む核酸配列に、少なくとも増幅用オリゴヌクレオチド、標識されている野生型用または変異型用オリゴヌクレオチド、核酸特異標識が含まれている反応溶液を作用させ、増幅反応を行った後、予め含まれている標識オリゴヌクレオチドと核酸特異標識を用いて塩基多型を同定することを特徴とする請求項1〜9に記載の塩基多型を同定する方法。
  12.  反応溶液にDNAポリメラーゼが含まれていることを特徴とする請求項11に記載の塩基多型を同定する方法。
  13.  反応溶液に含まれるDNAポリメラーゼが実質的に5‘エキソヌクレアーゼ活性を有しないことを特徴とする請求項11及び12に記載の塩基多型を同定する方法。
  14.  試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む核酸配列に、標識されている野生型用または変異型用オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせた後、核酸特異標識を作用させて、該オリゴヌクレオチドの標識と核酸特異標識との相互作用を検出して塩基多型を同定する方法において、反応液を徐々に昇温して、ハイブリダイズした該オリゴヌクレオチドが1本鎖に分離する温度が塩基多型により異なることを特徴とする塩基多型を同定する方法。
  15.  核酸特異標識が2本鎖核酸特異的であることを特徴とする請求項14に記載の塩基多型を同定する方法。
  16.  核酸特異標識が蛍光色素であることを特徴とする請求項14及び15に記載の塩基多型を同定する方法。
  17.  核酸特異標識の蛍光色素が500〜600nmの蛍光波長域を有する蛍光色素である事を特徴とする請求項14〜16に記載の塩基多型を同定する方法。
  18.  オリゴヌクレオチドの標識が蛍光色素である事を特徴とする請求項14〜17に記載の塩基多型を同定する方法。
  19.  オリゴヌクレオチドの蛍光標識が520〜580nmの励起波長域を有する蛍光色素である事を特徴とする請求項14〜18に記載の塩基多型を同定する方法。
  20.  オリゴヌクレオチドの蛍光標識が580nm以上の最大蛍光波長を有する蛍光色素である事を特徴とする請求項14〜19に記載の塩基多型を同定する方法
  21.  相互作用が蛍光共鳴エネルギー移動であることを特徴とする請求項14〜20に記載の塩基多型を同定する方法。 
  22.  試料中に含まれる特定の核酸配列が予め増幅されていることを特徴とする請求項14〜21に記載の塩基多型を同定する方法。
  23.  試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む核酸配列に、少なくとも増幅用オリゴヌクレオチド、標識されている野生型用または変異型用オリゴヌクレオチド、核酸特異標識が含まれている反応溶液を作用させ、増幅反応を行った後、予め含まれている該標識オリゴヌクレオチドと核酸特異標識を用いて塩基多型を同定することを特徴とする請求項14〜21に記載の塩基多型を同定する方法。
  24.  反応溶液にDNAポリメラーゼが含まれていることを特徴とする請求項23に記載の塩基多型を同定する方法。
  25.  反応溶液に含まれるDNAポリメラーゼが実質的に5‘エキソヌクレアーゼ活性を有しないことを特徴とする請求項23及び24に記載の塩基多型を同定する方法。
  26.  試料中に含まれる特定核酸配列に存在する塩基多型を同定する方法において、以下の行程、
    1本鎖状態の標的核酸に蛍光標識されている野生型用オリゴヌクレオチド又は変異型用オリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせる。
    2本鎖核酸特異的蛍光色素を作用させ、該蛍光色素とハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドの標識との相互作用による蛍光信号を測定する。
    徐々に温度を上げながら、蛍光信号の変化を測定し該オリゴヌクレオチドが1本鎖に分離する温度を測定する。
    を含むことを特徴とする塩基多型を同定する方法。
  27.  2本鎖核酸特異標識の蛍光色素が500〜600nmの蛍光波長域を有する蛍光色素である事を特徴とする請求項26に記載の塩基多型を同定する方法。
  28.  オリゴヌクレオチドの蛍光標識が520〜580nmの励起波長域を有する蛍光色素である事を特徴とする請求項26および27に記載の塩基多型を同定する方法。
  29.  オリゴヌクレオチドの蛍光標識が580nm以上の最大蛍光波長を有する蛍光色素である事を特徴とする請求項26〜28に記載の塩基多型を同定する方法
  30.  相互作用が蛍光共鳴エネルギー移動であることを特徴とする請求項26〜29に記載の塩基多型を同定する方法。 
  31.  試料中に含まれる特定の核酸配列が予め増幅されていることを特徴とする請求項26〜30に記載の塩基多型を同定する方法。
  32.  試料中に含まれる特定の塩基多型部位を含む核酸配列に、少なくとも増幅用オリゴヌクレオチド、標識されている野生型用または変異型用オリゴヌクレオチド、核酸特異標識が含まれている反応溶液を作用させ、増幅反応を行った後、予め含まれている該標識オリゴヌクレオチドと核酸特異標識を用いて塩基多型を同定することを特徴とする請求項26〜30に記載の塩基多型を同定する方法。
  33.  反応溶液にDNAポリメラーゼが含まれていることを特徴とする請求項32に記載の塩基多型を同定する方法。
  34.  反応溶液に含まれるDNAポリメラーゼが実質的に5‘エキソヌクレアーゼ活性を有しないことを特徴とする請求項32及び33に記載の塩基多型を同定する方法。
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