JP2004119880A - 電磁波遮蔽体の製造方法およびディスプレイ用前面板 - Google Patents

電磁波遮蔽体の製造方法およびディスプレイ用前面板 Download PDF

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Noriaki Otani
大谷 紀昭
Teruhisa Miyata
宮田 照久
Masahito Ikegaya
池ヶ谷 昌仁
Shukei Doi
土井 秀軽
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Abstract

【課題】電磁波遮蔽性および透光性に優れた電磁波遮蔽体を容易に作製する。
【解決手段】まず、透明基材1上に吸収層2を形成し、次に、吸収層2上にペースト3を所定のパターンに印刷する。ペースト3は、金属および金属化合物のうち少なくとも何れか一方と溶媒を含んでいる。吸収層2はペースト3に含まれる溶媒を吸収する機能を有しており溶媒の受容性が良いので、ペースト3の滲み等が生じにくくパターンの輪郭がぼやけにくい。次に、所定のパターンに形成されたペースト3に外部エネルギーを印加して導電性を付与して導電性パターン4を形成することにより、電磁波遮蔽体を作製することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波遮蔽体の製造方法に関し、さらに詳しくは、電磁波遮蔽性および透光性に優れた電磁波遮蔽体の製造方法に関し、さらに、この方法にて製造された電磁波遮蔽体を用いたディスプレイ用前面板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電磁波遮蔽体は、例えば、ディスプレイから漏洩する電磁波を遮蔽するためにディスプレイの前面側に設けられる前面板等に広く用いられている。このようにディスプレイの前面板に用いられる場合、電磁波遮蔽体には電磁波を遮蔽する機能の他に透光性を低下させない機能も求められる。従来は、電磁波遮蔽体として、透明基材上に錫ドープ酸化インジウムやアンチモンドープ酸化錫等からなる透明導電薄膜を積層したものが用いられていた。しかしながら、透明基材上に透明導電薄膜を積層する構成では、透光性には優れるものの高周波数側での電磁波遮蔽性が劣る等の問題があった。
【0003】
このような問題に対し、高周波数側でも十分な電磁波遮蔽性が得られる電磁波遮蔽体として、透明基材上に導電性メッシュを配置する構成が用いられている。透明基材上に導電性メッシュを形成する方法の従来例を図5に示す。まず、図5(a)に示すように透明基材101上に接着剤102を用いて銅箔103を貼り付け、次に、図5(b)に示すようにメッシュ状にレジストパターン104を形成し、図5(c)に示すように銅箔103の露出した領域をエッチングし、その後図5(d)に示すようにレジストパターン104を剥離して、透明基材101上に導電性メッシュを形成していた。また、別の方法としては、透明基材上に直接導電性ペーストをメッシュ状に印刷する方法等が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、さらに別の方法としては、まず、図6(a)に示すように透明基材111上にインク受容層112を設け、次に、図6(b)に示すようにパラジウム等の貴金属からなる無電解メッキ触媒を含む触媒含有インク113をメッシュ状に形成し、その後、図6(c)に示すように無電解メッキにて触媒含有インク113が付着した部分に銅等の導電金属114を析出させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−196784号公報
【特許文献2】
特開2000−311527号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示したような銅箔を貼り付けてレジストパターンを形成する方法には、工程が複雑であるという問題や、エッチングによって剥離された銅箔を回収する必要があるといった環境上の問題があった。また、透明基材上に直接導電性ペーストをメッシュ状に印刷する方法には、導電性ペーストに含まれる導電粒子の粒子径が大きいため細かい線幅が得られないという問題や、透明基材は導電性ペーストの受容性が悪いために、導電性ペーストの滲み・切れ等が生じて線幅が太くなり、さらに線の輪郭がぼやけて、結果として開口率の低下および透光性の低下を招くといった問題を有していた。また、図6に示したような無電解メッキにて導電性メッシュを形成する方法においては、透明基材上にインク受容層を設け、さらに触媒含有インクをメッシュ状に形成した後に無電解メッキにて触媒含有インクが付着した部分に導電金属を析出させるので製造工程が複雑になるという問題や、貴金属を含有するインクを多量に使用するのでコスト高となるという問題や、無電解メッキの際に排出されるメッキ廃液の回収といった環境上の問題を有していた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の電磁波遮蔽体は、基材上に吸収層を形成する工程と、前記吸収層上に、金属および金属の化合物の少なくとも一方と溶媒とを含むペーストを用いて、所定のパターンを形成する工程と、前記パターンに外部エネルギーを印加する工程とを含み、前記吸収層として、前記溶媒を吸収しうる層を形成することを特徴とする。
【0007】
本発明のディスプレイ用前面板は、透明基板上に、本発明の方法により製造された電磁波遮蔽体が配置されたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の電磁波遮蔽体の製造方法は、基材上に吸収層を形成する工程と、前記吸収層上に、金属および金属の化合物の少なくとも一方と溶媒とを含むペーストを用いて、所定のパターンを形成する工程と、前記パターンに外部エネルギーを印加する工程とを含み、前記吸収層として、前記溶媒を吸収しうる層を形成することを特徴とする。また、前記金属の化合物は、金属酸化物または有機金属化合物であることが好ましい。この方法によれば、ペーストに含まれる溶媒を吸収層により吸収することができるので、細かいパターンであってもペーストの滲みや切れ等が生じにくく、電磁波遮蔽性や透光性の低下が生じにくくなる。また、パターンの形成に複雑な工程も必要せず、環境上の問題も生じにくい。このように、この方法によれば、電磁波遮蔽性および透光性に優れた電磁波遮蔽体を容易に作製することができる。
【0009】
前記所定のパターンが、線幅3μm以上50μm以下、厚み20μm以下の線により形成されていることが好ましく、前記所定のパターンが格子状パターンの場合は、格子間隔が50μm以上2000μm以下であることが好ましい。十分な電磁波遮蔽性と透光性を得るためである。
【0010】
前記吸収層は、空隙を有する構造とすることができる。この場合、空隙率は3%以上80%以下であることが好ましい。十分な溶媒吸収性と耐久性を両立させるためである。ここで、空隙率とは、吸収層の全体積に対する吸収層に含まれる空隙の体積百分率である。
【0011】
また、前記吸収層は、前記溶媒により膨潤する材料からなる構造とすることもできる。この場合、膨潤による重量変化率は120%以上であることが好ましい。十分な溶媒吸収性を得るためである。なお、膨潤とは、固体が液体を吸収し、その結果体積が増加する現象のことをいう。また、膨潤による重量変化率(以下、単に膨潤率とする。)とは、溶媒吸収前に対する溶媒吸収後の重量変化率である。
【0012】
本発明の電磁波遮蔽体においては、透過率が、850nm以上1100nm以下の全波長領域において20%以下であることが好ましい。これを実現する手段としては、例えば、前記吸収層に、850nm以上1100nm以下の波長領域に最大吸収波長を有する化合物を添加する方法が挙げられる。これにより、吸収層に近赤外線を吸収する機能を付加することができる。
【0013】
前記外部エネルギーは、熱、電磁波、超音波、および電子線から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
【0014】
本発明のディスプレイ用前面板は、透明基板上に、本発明の方法により製造された電磁波遮蔽体が配置されたことを特徴とする。これにより、電磁波遮蔽性に優れたディスプレイ用前面板を提供することができる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1(a)〜(c)は、本実施の形態の電磁波遮蔽体の製造方法の各工程を示す断面図を示している。以下に、本実施の形態の電磁波遮蔽体の製造方法を図1を参照しながら説明する。まず、図1(a)に示すように透明基材1上に吸収層2を形成し、次に、図1(b)に示すように吸収層2上にペースト3を用いて所定のパターンを印刷する。ペースト3は、金属および金属の化合物の少なくとも一方と溶媒とを含んでいる。吸収層2はペースト3に含まれる溶媒を吸収する機能を有しており溶媒の受容性が良いので、ペースト3の滲み等が生じにくくパターンの輪郭がぼやけにくい。次に、所定のパターンに形成されたペースト3に外部エネルギーを印加して導電性パターン4を形成することにより、図1(c)に示すような電磁波遮蔽体を作製することができる。
【0017】
透明基材1としては、透明性を有する基材であれば特に限定されるものではなく、例えば、飽和ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、脂環式ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂等の樹脂を押し出し成形、カレンダー成形、圧縮成形、または射出成形等により溶融成形する方法や、溶剤に溶解させてキャスティングする方法等の公知の方法により、フィルム状またはシート状に成形したものが使用できる。その厚みは10μm〜5mm程度であることが好ましい。なお、これらの透明基材に、酸化防止剤、難燃剤、耐熱防止剤、紫外線吸収剤、易滑剤、帯電防止剤等の添加剤が添加されていてもよい。
【0018】
吸収層2としては、ペースト3に含まれる溶媒を吸収する機能を有していれば特に限定されるものではない。吸収層2の構造例としては、例えば、空隙を有しておりこの空隙により溶媒を吸収する構造や、溶媒を吸収して体積が増加するような膨潤する材料にて形成される構造が挙げられる。また、吸収層2の厚さは、印刷されるペースト3の大きさやパターンの形状からペースト3中の溶媒を吸収できる範囲で適宜決めることが好ましいが、膜厚が厚くなりすぎると透明性が損なわれるため20μm以下にすることが望ましく、好ましくは10μm以下であり、5μm以下がより好ましい。さらに、十分な溶媒吸収性を持たせるために、吸収層2の厚みを少なくとも2μm以上とすることが好ましい。
【0019】
まず、吸収層2を空隙を有する構造とする場合について説明する。空隙構造は、顔料に少量の高分子バインダーを含有させることにより容易に形成することができる。吸収層2の空隙率は印刷されるペースト3の溶媒含有量から適宜決定することが好ましいが、空隙率が3%以下であると溶媒の吸収が速やかに行われず溶媒吸収性が低下し、80%を超えると溶媒吸収性と耐久性との両立が困難となるので、空隙率は3〜80%が望ましく、好ましくは5〜70%の範囲であり、7〜60%の範囲であることがより好ましい。顔料としては、アルミニウムの酸化物、シリコンの酸化物、炭酸カルシウム、カオリン、酸化チタン等の体質顔料等を使用することができる。顔料粒子の一次粒子径としては、吸収層2の透明性を損なわないために、100nm以下とすることが望ましく、好ましくは50nm以下であり、20nm以下がより好ましい。さらに、製造コストの面から、顔料粒子の一次粒子径は8nm以上であることが好ましい。さらに、顔料粒子の形状としては、一次粒子径が上述の範囲内であれば板状、針状、球状、不定形状、中空状、多孔質状等いかなる形状でもよいが、透明性をより一層向上させるのであれば板状が好ましく、薄板状であることがより好ましい。一方、高分子バインダーとしては、空隙構造の形成を阻害せず上記顔料と分散可能なものであれば水系、非水系を問わず使用することが可能であり、例えばアクリル樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、セルロース、ポリビニルアルコール等およびこれらの樹脂を共重合させた樹脂等を使用することができる。
【0020】
次に、吸収層2を膨潤可能な構造とする場合について説明する。膨潤可能な構造は、高分子樹脂を用いることにより容易に形成可能である。ペースト3に含まれる溶媒を膨潤により吸収しうる吸収層2の膨潤率も、印刷されるペースト3の溶媒含有量から適宜決定することが好ましいが、膨潤率が120%以下だと溶媒吸収能が十分でなく印刷物の滲み・太りが生じるので、120%以上であることが好ましい。また、製造コストの面から、膨潤率は500%以下であることが好ましい。また、使用可能な高分子樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂等を一種または二種以上混合または共重合させた樹脂であり、さらに架橋剤を添加して架橋構造とすることにより得ることが可能となる。架橋剤としてはメラミン系、イソシアネート系、エポキシ系、オキサゾリン等公知のものが使用可能である。
【0021】
さらに、吸収層2に、800nm以上1100nm以下の波長領域に最大吸収波長を有する化合物を一種または二種以上添加することにより、波長領域400〜800nmの可視光透過率を大きく低減させることなく、波長領域800〜1100nmの近赤外線の透過率を低減させることが可能となる。800〜1100nmの波長領域に最大吸収波長を有する化合物としては、アントラキノン系、シアニン系、フタロシアニン系、ジイモニウム系、アミニウム系、ポリメチン系等の化合物が使用可能である。このように吸収層2に近赤外線カット機能を付与することができるので、プラズマディスプレイ等の電磁波遮蔽フィルターとしても好適に用いることができる。
【0022】
吸収層2を透明基材1上に形成する具体的方法としては、吸収層2を空隙を有する構造とする場合は上述したような顔料に少量の高分子バインダーを含有させた組成物を、また、吸収層2を膨潤可能な構造とする場合は上述したような高分子樹脂を、公知の印刷法(グラビア印刷、スクリーン印刷)や塗工法(ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコート)を用いて透明基材1上に形成する。必要に応じて透明基材1上に表面処理を施したり、アンカーコート層を設けたりしても良い。
【0023】
ペースト3には、金属および金属の化合物のうち少なくとも何れか一方を含み、さらに溶媒を含んだものが用いられる。ここでいう金属の化合物とは、金属酸化物または有機金属化合物であり、外部からエネルギーを印加することにより還元または分解が容易に生じ、導電性を付与しうる化合物が好ましい。金属酸化物としては、酸化金、酸化銀等を使用することができる。特に酸化銀は、自己還元性を有しているので好ましい。有機金属化合物としては、比較的分子量の小さい酢酸銀、クエン酸銀等が好ましい。ペースト3が金属を含む場合は、例えばナノオーダーサイズ(5〜60nm)の金属、分散剤、および溶媒から作製することが好ましい。また、ペースト3が金属酸化物を含む場合は、ナノオーダーサイズの金属酸化物、この金属酸化物の還元に必要な還元剤、および溶媒から作製することが好ましく、有機金属化合物を含む場合は、分解温度の低い有機金属化合物および溶媒から作製することが好ましい。中でも、ナノオーダーサイズの金属酸化物と有機金属化合物とを併用したペーストを使用すると、細線まで印刷できるのみならず、還元剤および有機金属化合物の構造を適宜選択することにより、外部エネルギーを印加して導電性を付与する場合に可撓性を有するフィルムにダメージを与えない条件での金属酸化物から金属への還元分解を促進させ、かつ、金属間どうしの融着を促進させることができるので、抵抗値をより低減させることも可能となる。なお、金属酸化物が還元剤を添加しなくても還元可能な場合、例えば加熱により自己還元可能な場合は、特に還元剤を添加しなくてもよい。また、溶媒としては、使用する印刷方式やペースト粘度調整方法によって適宜使用可能であるが、カルビトール、プロピレングリコール等の高沸点溶媒を用いることができる。また、ペースト3の粘度としては、使用する印刷方式や溶媒に応じて適宜設定可能であるが、5mPa・s以上20000mPa・s以下が好ましい。さらにペースト3と吸収層2との密着やペースト3の流動性を向上させるために、電気抵抗を増加させない程度にバインダやチキソトロピック剤、レべリング剤等を加えてもよい。
【0024】
上記のようにして金属あるいは金属の化合物を含むペーストを用いて形成される導電性金属は金属そのものの金属光沢によるぎらつき感が生じるので、ペーストに抵抗を増加させない程度に黒色顔料、黒色染料を加えても良い。さらに抵抗を増加させない程度に表面に硫化処理や黒化処理を施しても良い。硫化処理や黒化処理は公知の方法を用いで行うことができる。
【0025】
ペースト3にて形成したパターンに導電性を付与する外部エネルギーとしては、金属間の融着を促進させて抵抗値をより低減させる、あるいは金属の化合物から金属への還元や分解を促進させて金属を析出させ、金属どうしの融着を促進させて抵抗値をより低減させるものであれば熱、電磁波、超音波、あるいは電子線等適宜使用可能であるが、熱エネルギーを用いる方法が生産上好ましい。熱エネルギーの印加を非酸化雰囲気下(還元雰囲気下)で行えば、130〜150℃の比較的低温の範囲で金属の化合物から金属への還元・分解を促進させ、かつ金属どうしの融着を促進させることが可能となるので、可撓性を有するフィルムにも適用することが可能となる。
【0026】
また、ペースト3を用いて吸収層2上に形成されるパターンとしては、同一の形状が連続して配置されたパターンであることが好ましい。パターンとしては、正方形や長方形が複数描かれてなる格子状パターンや、三角形、平行四辺形、菱形、台形等の四角形、六角形、八角形、十二角形、円、楕円、三つ葉形、花びら形、星形等の形状が複数描かれたパターン等が使用可能である。
【0027】
また、ペースト3を所定のパターンに印刷した時の線幅は3μm以上50μm以下とすることが好ましく、溶媒除去後のペースト厚みを20μm以下とすることが好ましい。線幅が3μm未満であると十分な電磁波遮蔽効果が得られず、線幅が50μmを超過すると透光性が低下してしまうからである。また、ペースト3の厚みは、20μm以下とすることが電磁波遮蔽性の面からも好ましく、表面電気抵抗値の理由から1μm以上以上とすることが好ましい。また、パターンを格子状パターンとする場合は、線間隔(格子間隔)を50μm以上2000μm以下とすることが好ましい。線間隔が2000μmを超過すると十分な電磁波遮蔽効果が得られず、線間隔が50μm未満だと透光性が低下してしまうからである。
【0028】
ペースト3を吸収層2の上に形成する方法としては、公知の印刷法、例えばグラビア印刷、オフセット印刷、活版印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷等を使用することが可能である。
【0029】
また、図1に示したパターンを描く線の横断面は矩形として表示したが、本発明の方法ではペーストを印刷することによりパターン形成されるので、線の横断面を図2(a)(b)に示すように半円形状や三角形状等とすることができる。このように、高さが中央部から両端部にかけて漸減している横断面を有する線によりパターンを形成すると、電磁波遮蔽体をディスプレイ用の前面板として用いた場合に、斜めから見た場合であっても良好な視認性を実現できる。
【0030】
また、本発明の方法で形成された電磁波遮蔽体においては、図6に示したような無電解メッキを用いる従来の方法で形成した電磁波遮蔽体と異なり、導電性パターンにパラジウム等の貴金属(無電解メッキの下地となる無電解メッキ触媒に含まれる金属)が含まれない。
【0031】
図3は、本発明の方法にて作製された電磁波遮蔽体が設けられたディスプレイ用の前面板11の断面図である。この前面板11は、強化ガラス等の透明基板12の一方面に本発明の電磁波遮蔽体13が配置され、他方面に反射防止膜14が配置された構成である。また、15は電極(アース)であり、導電性パターンに接続している。このように本発明の電磁波遮蔽体13を用いることにより、電磁波遮蔽性に優れ、かつ、製造コストを抑えた前面板を作製できる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
【0033】
(実施例1)
透明基材1として、表裏両面をアクリル系樹脂にて易接着処理した膜厚125μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。吸収層2としては、空隙を有する構造のものを作製した。吸収層2作製用の塗料は、顔料としてのアルミナゾル(日産化学工業社製 アルミナゾル520)500重量部に、高分子バインダーとしてのポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA217)15重量部、架橋剤としてのメラミン系化合物(住友化学工業社製 Sumirez Resin 617)1.25重量部、および分散剤としての水135重量部を加えて、ボールミルにて分散させて作製した。この塗料を塗膜厚み5μmとなるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、その後乾燥させて吸収層2を形成した。ペースト3は、ナノオーダーサイズの酸化銀粒子と有機銀化合物を含むナノペースト(藤倉化成社製 ドータイト XA−9024)100重量部に黒色顔料としてのカーボンブラック(デグサ社製 DJ−600)1重量部を添加してロールミルにて混合したペーストを、線幅20μm、厚み3μm、線間隔(格子間隔)280μmの格子状パターンとなるように吸収層2上にスクリーン印刷し、80℃で30分間溶媒乾燥を行った後、窒素雰囲気下で130℃で30分間熱処理を行い、電磁波遮蔽体を得た。このような方法で作製した電磁波遮蔽体について、スクリーン印刷後および熱処理後にSEMにより断面観察を行ったところ、スクリーン印刷後および熱処理後ともに線の滲み・太りはほとんどなかった。また、この電磁波遮蔽体の全光線透過率は、分光光度計(日本分光(株)社製 U−Best V−570)にて測定したところ80%であった。また、この電磁波遮蔽体の表面電気抵抗値は、四探針抵抗測定器(三菱油化社性 LorestaAP MCP−T400)にて比抵抗を測定して算出したところ0.10Ω/□であった。また、この電磁波遮蔽体の電磁波遮蔽性は、20×20cmに切り取ったサンプルをクローズセルに挟み込みKEC法にて500MHzでの電磁波の減衰率を測定したところ、51dBであった。なお、KEC法とは、(社)関西電子工業振興センターで開発された電磁波シールド効果の測定方法であり、具体的には、二つのアンテナを組み込んだ金属ケースの間にサンプルを挟み、一方のアンテナから電界(磁界)を発信させ、他方のアンテナにてサンプルを通過した電界(磁界)を受信し、サンプル通過による電磁波の減衰を測定する方法である。また、吸収層2の空隙率を測定したところ、37%であった。吸収層2の空隙率は、まず、ポリエチレンテレフタレートフィルムに吸収層2を設けた状態の100cmのサンプルの重量を測定し(Wmg)、その後、このサンプルを25±5℃のジエチレングリコール中に10秒間浸漬し、表面に付着したジエチレングリコールを濾紙で拭き取った後に重量を測定し(Wmg)、以下のような式を用いて算出した。
【0034】
空隙率(%)
=[(W−W)×10−3/d]/[t×10−2]×100…(式1)
d:ジエチレングリコールの比重(1.118) t:吸収層の厚み(μm)
【0035】
(実施例2)
吸収層2以外は、実施例1と同様の材料および方法を用いて電磁波遮蔽体を作製した。本実施例の吸収層2は、高分子樹脂としてのポリエステル(東洋紡社製バイロン240)100重量部、架橋剤としてのイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製 コロネートL)5重量部、粘度調整用溶剤としてのメチルエチルケトン/トルエン200重量部からなる組成物を用いて、実施例1と同様にスクリーン印刷および熱処理を行い、スクリーン印刷後および熱処理後にSEMにより断面観察を行ったところ、スクリーン印刷後および熱処理後ともに線幅の滲み・太りはほとんどみられなかった。また、この電磁波遮蔽体の全光線透過率は81%、表面電気抵抗値は0.12Ω/□、電磁波遮蔽性は500MHzで50dBであった。なお、透過率、表面電気抵抗、および電磁波遮蔽性の測定方法は実施例1と同じであった。また、吸収層2の膨潤率を測定したところ、128%であった。吸収層2の膨潤率は、まず、ポリエチレンテレフタレートフィルム100cmのサンプルの重量を測定し(Wmg)、さらに、ポリエチレンテレフタレートフィルムに吸収層2を設けた状態の100cmのサンプルの重量を測定し(Wmg)、その後このサンプルを25±5℃のジエチレングリコール中に10秒間浸漬し、表面に付着したジエチレングリコールを濾紙で拭き取った後に重量を測定し(Wmg)、以下のような式を用いて算出した。
【0036】
膨潤率(%)=[(W−W)/(W−W)]×100…(式2)
【0037】
(実施例3)
実施例2の吸収層2の組成に近赤外線吸収剤として最大吸収波長が1090nm付近であるジイモニウム系化合物のKayasorb IRG−022(日本化薬社製)を5重量部添加した以外は実施例2と同様にして、電磁波遮蔽体を作製した。また、この電磁波遮蔽体の全光線透過率は70%で、850nm、950nm、1000nmの波長での透過率はそれぞれ12.45%、5.48%、5.35%であり、図4に示すように850〜1100nmの波長領域に渡って透過率が20%以下であった。また、表面電気抵抗値は0.14Ω/□、電磁波遮蔽性は500MHzで48dBであった。なお、透過率、表面電気抵抗、および電磁波遮蔽性の測定方法は実施例1と同じであった。
【0038】
(比較例)
膜厚125μmで表裏両面をアクリル系樹脂にて易接着処理したポリエチレンテレフタレートフィルムに、実施例1同様のペースト3を用いてスクリーン印刷、熱処理を行い、電磁波遮蔽体を作製した。この電磁波遮蔽体に対し、スクリーン印刷後および熱処理後にSEMにより断面観察を行ったところ、線幅の大幅な滲み・太りが生じており、熱処理後の線幅はスクリーン印刷後のものと比較して滲み・太りはより顕著であり、線状に印刷物が形成されておらず部分的に断線しており導電性が付与できず、表面電気抵抗値および電磁波遮蔽性の測定が不可能であった。
【0039】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の電磁波遮蔽体の製造方法によれば、電磁波遮蔽性に優れ、かつ、透光性にも優れた電磁波遮蔽体を提供することができる。さらに、複雑な工程は必要なく、環境上の問題等も生じにくい。また、このような本発明の方法にて作製された電磁波遮蔽体を用いることにより、電磁波遮蔽性に優れたディスプレイ用前面板を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は、本発明の電磁波遮蔽体の製造方法の一実施形態を示す断面図である。
【図2】(a)および(b)は、本発明の電磁波遮蔽体の製造方法で製造された電磁波遮蔽体の断面図である。
【図3】本発明のディスプレイ用前面板の一実施形態を示す断面図である。
【図4】実施例3の電磁波遮蔽体の透過率を示すグラフである。
【図5】従来の電磁波遮蔽体の製造方法の一例を示す断面図である。
【図6】従来の電磁波遮蔽体の製造方法の別の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1  透明基材
2  吸収層
3  ペースト
4  導電性パターン
11  前面板
12  透明基板
13  電磁波遮蔽体
14  反射防止膜
15  電極

Claims (12)

  1. 基材上に吸収層を形成する工程と、
    前記吸収層上に、金属および金属の化合物の少なくとも一方と溶媒とを含むペーストを用いて、所定のパターンを形成する工程と、
    前記パターンに外部エネルギーを印加する工程とを含み、
    前記吸収層として、前記溶媒を吸収しうる層を形成することを特徴とする電磁波遮蔽体の製造方法。
  2. 前記金属の化合物が、金属酸化物または有機金属化合物である請求項1に記載の電磁波遮蔽体の製造方法。
  3. 前記所定のパターンが、線幅3μm以上50μm以下、厚み20μm以下の線により形成された請求項1に記載の電磁波遮蔽体の製造方法。
  4. 前記所定のパターンが格子状パターンであり、格子間隔が50μm以上2000μm以下である請求項3に記載の電磁波遮蔽体の製造方法。
  5. 前記吸収層が空隙を有する請求項1に記載の電磁波遮蔽体の製造方法。
  6. 前記吸収層の空隙率が3%以上80%以下である請求項5に記載の電磁波遮蔽体の製造方法。
  7. 前記吸収層が前記溶媒により膨潤する材料からなる請求項1に記載の電磁波遮蔽体の製造方法。
  8. 前記吸収層の膨潤による重量変化率が120%以上である請求項7に記載の電磁波遮蔽体の製造方法。
  9. 透過率が、850nm以上1100nm以下の全波長領域において20%以下である請求項1に記載の電磁波遮蔽体の製造方法。
  10. 前記吸収層が、800nm以上1100nm以下の波長領域に最大吸収波長を有する化合物を含む請求項9に記載の電磁波遮蔽体の製造方法。
  11. 前記外部エネルギーが、熱、電磁波、超音波、および電子線から選択される少なくとも一つである請求項1に記載の電磁波遮蔽体の製造方法。
  12. 透明基板上に、請求項1〜11の何れか一項に記載された方法により製造された電磁波遮蔽体が配置されたことを特徴とするディスプレイ用前面板。
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