JP2004119450A - 電波吸収体およびその製造方法 - Google Patents

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笠坊 美紀
Yoichi Fujimura
藤村 洋一
Kazuharu Shimizu
清水 一治
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Abstract

【解決課題】マイクロ波帯において高い電波吸収効果を示す周波数帯域が広く、しかも安価な電波吸収体と、そのような電波吸収体を簡単に製造する方法を提供する。
【解決手段】炭素短繊維および非導電性短繊維と樹脂とを含む複合材料からなる電波吸収層と、この電波吸収層の表面に設けたインピーダンス整合層および裏面に設けた電波反射層とを有し、かつ、周波数2〜20GHzの帯域において、少なくとも幅1GHzの、5dB以上の反射損失を示す帯域を有する電波吸収体を、電波反射層形成材の上に炭素短繊維と非導電性短繊維とを含む混抄紙のプリプレグを所望の枚数積層し、積層したプリプレグの上にインピーダンス整合層形成材を配し、電波反射層と、電波吸収層と、インピーダンス整合層とを一体成形することによって得る。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば、電波暗室、船舶や航空機等の移動体、橋梁、鉄塔等の構造物、無線通信のための装置や設備、ビル等の建築物、オフィス用品に貼り付けたり装着したりして電波障害を防止するようなときに好適な電波吸収体と、そのような電波吸収体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電波吸収体は、到来した電波を取り込んで減衰させるもので、表面からみた規格化インピーダンスを1または可能な限り1に近くして到来電波の反射を防止するとともに、取り込んだ電波を自身の電気的損失や磁気的損失を利用して吸収するように構成されている。
【0003】
そのような電波吸収体には多種多様なものがある。たとえば、周波数10GHzにおける複素比誘電率が特定範囲にある炭素繊維と樹脂との複合材料からなる電波吸収層の裏面に電波反射層を設けてなるものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭57−66699号公報
この従来の電波吸収体は、周波数10GHzにおける複素比誘電率が特定範囲にある炭素繊維を用いることでマイクロ波帯における電波吸収効果を向上させようというものであるが、電波吸収効果を示す周波数帯域が十分に広いとはいえない。
【0005】
また、周波数10GHzにおける複素比誘電率が特定範囲にある、繊維と樹脂との複合材料からなる電波吸収層の裏面に、周波数10GHzにおける複素比誘電率が特定範囲にある、繊維と樹脂との複合材料からなる別の電波吸収層を設け、さらにその別の電波吸収層の裏面に電波反射層を設けてなる電波吸収体も知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献2】
特開昭62−183599号公報
この従来の電波吸収体もまた、周波数10GHzにおける複素比誘電率が特定範囲にある、繊維と樹脂との複合材料を用いることでマイクロ波帯における電波吸収効果を向上させようというものであるが、そのためには、繊維として、ポリアクリロニトリル繊維や不融化ピッチ繊維等を通常の炭素繊維を製造するときよりも低い500〜1,000℃の温度で焼成してなる、いわゆる低温炭化炭素繊維や、1,300〜2,000℃の温度で焼成してなるシリコンカーバイド繊維のような、電気伝導率が10−6〜10S/cmの半導体領域にある繊維を用いる必要があり、特別の繊維製造設備を必要とするので製造コストが高くなり、高価であるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述した従来の電波吸収体の上記問題点を解決し、マイクロ波帯において高い電波吸収効果を示す周波数帯域が広いうえに安価な電波吸収体を提供するにある。また、本発明の他の目的は、そのような電波吸収体を容易に製造する方法を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、炭素短繊維および非導電性短繊維と樹脂とを含む複合材料からなる電波吸収層を有し、かつ、周波数2〜20GHzの帯域において、少なくとも幅1GHzの、5dB以上の反射損失を示す帯域を有する電波吸収体を提供する。電波吸収層には、必要に応じ、表面にインピーダンス整合層を設けたり、裏面に電波反射層を設けたりする。インピーダンス整合層を設ける場合には、電波吸収層の厚みt1に対するインピーダンス整合層の厚みt2の比t1/t2が0.2〜5の範囲内にあるようにするのが好ましい。
【0009】
上記において、炭素短繊維は、直径が1〜20μmの範囲内にあり、かつ、アスペクト比が100〜12,000の範囲内にあるものが好ましい。また、炭素短繊維は、電波吸収層中に0.02〜5重量%の範囲内で含まれているのが好ましい。
【0010】
非導電性短繊維は、アラミド短繊維およびガラス短繊維から選ばれる少なくとも1種の短繊維であるのが好ましい。また、非導電性短繊維は、電波吸収層中に30〜99重量%の範囲内で含まれているのが好ましい。さらに、少なくとも2種の非導電性短繊維を含み、炭素短繊維の直径d1に対する、重量で最も多く含まれる非導電性短繊維の直径d2との比d1/d2が0.8〜1.5の範囲内にあるのも好ましい。
【0011】
本発明はまた、上述した電波吸収体を製造する方法として、炭素短繊維と非導電性短繊維とを含む混抄紙のプリプレグを所望の枚数積層し、成形して電波吸収層とする、電波吸収体の製造方法を提供する。電波反射層を設ける場合には、電波反射層形成材の上に上記プリプレグを所望の枚数積層し、電波反射層と電波吸収層とを一体成形する。また、さらにインピーダンス整合層をも設ける場合には、電波反射層形成材の上に上記プリプレグを所望の枚数積層し、積層したプリプレグの上にインピーダンス整合層形成材を配し、電波反射層と、電波吸収層と、インピーダンス整合層とを一体成形する。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1において、電波吸収体は、電波吸収層2と、この電波吸収層2の表面に設けたインピーダンス整合層3と、電波吸収層2の裏面に設けた電波反射層1との一体構成を有する。インピーダンス整合層3側が電波の到来方向である。
【0013】
上記電波吸収層は、炭素短繊維および非導電性短繊維と樹脂との複合材料からなる。炭素短繊維は、電波吸収層に、主として電気的損失を与える。
【0014】
そのような炭素短繊維は、直径が1〜20μmの範囲内にあるものが好ましい。細すぎても太すぎても電波吸収層中における分布の均一性が低下し、電波吸収性能にばらつきを生じやすくなる。電波吸収体を製造する課程で、細すぎるものは折れやすく、太すぎるものは剛直となって樹脂への分散性が低下し、結果として電波吸収層中における分布の均一性が低下するのである。
【0015】
また、炭素短繊維は、アスペクト比が100〜12,000の範囲内にあるものであるのが好ましい。やはり電波吸収体を製造する課程で、アスペクト比が小さすぎるものは炭素短繊維同士が重なりにくくなって接点が減少するようになり、接点の減少を補おうとして炭素短繊維の量を増やすと製造コストが高くなる。一方、アスペクト比が大きすぎるものは、一見、炭素短繊維同士の重なり合いが多くなって使用量が少なくてすむように思えるが、逆に折れやすくなるのでそれほど少量化できるわけでもない。
【0016】
炭素短繊維はまた、体積抵抗率が10−4〜10−2Ω・cmの範囲内にあるものであるのが好ましい。体積抵抗率がそのような範囲にある炭素短繊維は、極く普通の製造法によって得ることができるから、製造コストをより下げることができるようになる。
【0017】
さらに、炭素短繊維は、電波吸収層中に0.02〜5重量%の範囲内で含まれているのが好ましい。すなわち、炭素短繊維の量は、電波吸収層の電気的損失に影響を与える。極端に少ないと電気的損失が低くなって電波吸収性能が低下するようになるし、極端に多いと電気的損失は高くなるものの反射される電波も増えるようになる。
【0018】
また、炭素短繊維は、特に、電波吸収層中に2種以上の非導電性短繊維が含まれる場合、炭素短繊維の直径d1に対する、重量で最も多く含まれる非導電性短繊維の直径d2との比d1/d2が、0.8〜1.5の範囲内にあるのが好ましい。すなわち、非導電性短繊維のうち、重量で最も多く含まれるものは、炭素短繊維と1本1本混ざり合い、炭素短繊維間に介在することで炭素短繊維同士の重なり合いを調整しているものと考えられるが、上記の比が極端に小さかったり、極端に大きくなると、炭素短繊維と非導電性短繊維がそれぞれやや束になって分散するようになり、上述の作用を得にくくなる。
【0019】
非導電性短繊維は、その体積抵抗率が炭素短繊維のそれよりも2桁以上大きい、たとえば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキザゾール繊維、ポリ乳酸繊維のようなものである。なかでも、ガラス繊維やアラミド繊維は剛性が高く、高強力、高弾性率といった性質をもつ炭素繊維との相性がよいので好ましい。このような非導電性短繊維は、極端に少なかったり極端に多かったりすると、炭素短繊維間に介在する非導電性短繊維が少なくなり、炭素短繊維同士の重なり合いの制御が難しくなるので、電波吸収層中に30〜99重量%の範囲内で含まれるようにするのが好ましい。
【0020】
炭素短繊維および非導電性短繊維と複合される樹脂は、たとえば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビスマレイミド樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリ乳酸樹脂等の熱可塑性樹脂や、CTBN(カルボニル末端基ブタジエン−ニトリル共重合体)、イソプレン、シリコーン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等のゴム系またはエラストマー系の樹脂のようなものである。熱可塑性樹脂を使用すると、複雑な形状のものでも容易に成形できるようになる。また、航空機等、耐熱性を必要とする用途にはポリイミド樹脂やポリビスマレイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂が優れている。さらに、ゴム系やエラストマー系の樹脂を用いると、これらの樹脂は可とう性に優れているがゆえに複雑な形状の面に対しても容易に貼り付けることができるようになる。
【0021】
インピーダンス整合層は、表面から見た規格化インピーダンスを1または可能な限り1に近くして到来電波の反射を防止し、到来電波が電波吸収層により多く取り込まれるように作用するものである。すなわち、電波吸収体と空気との整合作用を受け持っている。そのため、到来電波を反射させにくく、また、最も外側に位置することから耐候性に優れた材料で構成される。たとえば、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素等のセラミックス材料で構成することができる。また、アラミド繊維、ポリエチレン繊維等の有機繊維やガラス繊維、アルミナ繊維、アルミナシリカ繊維、ジルコニア繊維等の無機繊維と樹脂との複合材料で構成することができる。繊維の形態は、短繊維であっても長繊維であってもよく、また、織物、編物、不織布等の布帛形態であってもよい。なお、インピーダンス整合層は、インピーダンスの整合がとれているのであれば必要なものではない。
【0022】
電波反射層は、電波吸収層を通過した電波を電波吸収層に反射し、1回の通過では吸収しきれなかった電波を電波吸収層で再び吸収させるように作用するものである。そのような電波反射層は、たとえば、アルミニウム、銅、銀等の金属や、炭素繊維と樹脂との複合材料からなる板、シート、薄膜で構成される。厚みは任意でよい。もっとも、この電波反射層は、電波吸収体を貼り付けたり装着したりする、いわゆる相手材が導電性をもっている場合には、それが電波反射層として作用するので、必須のものではない。
【0023】
ところで、吸収できる電波の波長は、電波吸収層とインピーダンス整合層との厚みにも依存する。そのため、対象周波数に応じてこれらの厚みを変えるのが好ましい。たとえば、周波数2〜20GHzの範囲では、電波吸収層の厚みd1を0.5cm以下、好ましくは0.3cm以下として、かつ、電波吸収層の厚みt1に対するインピーダンス整合層の厚みt2との比t1/t2が0.2〜5、好ましくは0.3〜0.7の範囲になるようにする。
【0024】
上記のように構成された電波吸収体は、後述する実施例からも明らかなように、極めて高い電波吸収効果を示す。その理由は、電波吸収層に対象周波数の波長に対して十分に小さい炭素短繊維とそれに似た形態をもつ非導電性短繊維とが介在しているため、マイクロメートルレベルで構造が制御され、極めて適切な電気的損失をもつ電波吸収層が形成されているためではないかと推定される。すなわち、性質の異なる2種類のマイクロ繊維を組み合わせることで、元の性質とは全く異なる特性の電気的特性が得られているものと考えられる。しかも、これらの繊維は、上述の低温炭化炭素繊維やシリコンカーバイド繊維にくらべ、汎用的な設備で得ることができるので、製造コストを下げ、価格を下げるという点で極めて有利である。
【0025】
上述した電波吸収体は、炭素短繊維と非導電性短繊維との混抄紙のプリプレグを用いて製造することができる。すなわち、まず、周知の湿式法や乾式法を用いて混抄紙を得る。混抄にあたり、炭素短繊維と非導電性短繊維との混合を促進するために、水酸化アルミニウム等の無機添加剤を添加したり、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、パラフィン等の粉末やアクリル繊維等の有機質結合材を添加してもよい。また、磁界成分の強い電波等、電波吸収体が適用される電波の性質によっては、電波に磁気的損失を与えるフェライト粉やカルボニル粉等を添加してもよい。次に、得られた混抄紙に上述した樹脂を含浸し、プリプレグとする。
【0026】
次に、上記プリプレグを所望の枚数積層し、加熱、加圧成形して電波吸収層とする。電波反射層を有する電波吸収体を製造する場合には、電波反射層形成材の上に上述したプリプレグを所望の枚数積層し、加熱、加圧して電波反射層と電波吸収層とを一体成形する。ホットプレス成形法と呼ばれる方法である。同様に、インピーダンス整合層と電波反射層とを有する電波吸収体を製造する場合には、電波反射層形成材の上に上記プリプレグを所望の枚数積層し、積層したプリプレグの上にインピーダンス整合層形成材を配し、電波反射層と、電波吸収層と、インピーダンス整合層とを一体成形する。
【0027】
ホットプレス成形法に代えて、周知のオートクレープ成形法を用いることもできる。オートクレープ成形法は各種の成形法のなかでも信頼性が高いので、航空機用の電波吸収体等、精度が要求される電波吸収体の成形に適している。
【0028】
一体成形によらず、別々に成形した電波吸収層、電波反射層、インピーダンス整合層を接着剤等で接合することによっても製造することができる。
【0029】
また、特に電波吸収層の成形において、周知のハンドレイアップ法やスプレイアップ法、フィラメントワインディング法、シートワインディング法、テープワインディング法等を用いるのも好ましい。これらの方法を用いると、曲面を有するような電波吸収体でも比較的容易に製造することができるようになる。
【0030】
本発明の電波吸収体は、電波暗室、船舶や航空機等の移動体、橋梁、鉄塔等の構造物、無線通信のための装置や設備、ビル等の建築物、オフィス用品に貼り付けたり装着したりして電波障害を防止するのに使用することができる。たとえば、室内無線LANを用いるオフィスにおいて、金属製の机、パーティション、ロッカー等が電波の多重反射を引き起こし、伝送速度を低下させることがあるが、これらの金属製用品に本発明の電波吸収体を配して多重反射波を吸収すると、快適な電波環境を得ることができる。特に、パソコン机への配置は有効である。
【0031】
【実施例および比較例】
(実施例1)
炭素短繊維と、ガラスチョップドファイバーと、アラミドパルプとを、重量がそれぞれ3重量%、77重量%、20重量%になるよう湿式抄紙し、厚み0.5mm、目付100g/mの混抄紙を得た。炭素短繊維は、直径7μm、平均繊維長12mm、アスペクト比約1,700、引張強度3.53MPa、引張弾性率230GPa、密度1.76g/m、体積抵抗率2×10−3Ω・cmであった。また、ガラスチョップドファイパーは、直径7μm、平均繊維長6mm、体積抵抗率1×1020Ω・cmであった。
【0032】
次に、上記混抄紙にBステージのエポキシ樹脂を含浸し、目付700g/mのプリプレグを得た。
【0033】
一方、目付460g/mのアラミド繊維織物にBステージのエポキシ樹脂を含浸し、目付500g/mのプリプレグを得た。
【0034】
次に、電波反射層となる厚み1mmのアルミニウム板の上に、電波吸収層となる上記混抄紙のプリプレグを2枚積層し、さらにその上にインピーダンス整合層となる上記アラミド繊維織物のプリプレグを6枚積層し、温度165℃、圧力1,200MPaで10分間加熱、加圧して一体成形し、電波吸収体を得た。電波吸収層の厚みは1.2mm、炭素短繊維の含有量は0.4重量%であった。また、インピーダンス整合層の厚みは2.4mmであった。
【0035】
この電波吸収体について、2〜20GHzにおける反射損失を測定した結果を図2に示す。また、反射係数の極座標表示を図3に示す。なお、反射損失は、縦30cm、横30cm、厚み1mmのアルミニウム板に垂直に電波を当てたときの反射レベルを測定し、同面積の電波吸収体に同様に電波を当て、両者の差から測定した。
(実施例2)
実施例1において、混抄紙のプリプレグを4枚積層し、アラミド繊維織物のプリプレグを14枚積層することで、電波吸収層の厚み2.4mm、インピーダンス整合層の厚み5.4mmの電波吸収体を得た。
【0036】
この電波吸収体について、実施例1と同様に測定した反射損失を図4に示す。また、反射係数の極座標表示を図5に示す。
(比較例)
実施例1で用いたガラスチョップドファイバーとアラミドパルプとを、重量がそれぞれ80重量%、20重量%になるよう湿式抄紙し、厚み0.5mm、目付100g/mの混抄紙を得た。
【0037】
次に、上記混抄紙にBステージのエポキシ樹脂を含浸し、目付700g/mのプリプレグを得た。
【0038】
次に、電波反射層となる厚み1mmのアルミニウム板の上に上記プリプレグを2枚積層し、さらにその上に実施例1で用いたアラミド繊維織物のプリプレグを6枚積層し、温度165℃、圧力1,200MPaで10分間加熱、加圧して一体成形し、電波吸収体を得た。電波吸収層の厚みは1.2mmであった。また、インピーダンス整合層の厚みは2.4mmであった。
【0039】
この電波吸収体について、実施例1と同様に反射損失を測定したが、反射損失は全帯域にわたり1dB以下であった。
【0040】
【発明の効果】
本発明の電波吸収体は、実施例と比較例との対比からも明らかなように、マイクロ波帯において高い電波吸収効果が得られ、しかも、その帯域幅が広い。また、特殊な繊維を使うことがないので製造コストが低く、安価にできる。加えて、炭素短繊維と非導電性短繊維とを含む混抄紙のプリプレグを用いるので簡単に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電波吸収体の概略側面図である。
【図2】実施例1に係る電波吸収体の反射損失を示すグラフである。
【図3】実施例1に係る電波吸収体の反射係数の極座標表示を示すグラフである。
【図4】実施例2に係る電波吸収体の反射損失を示すグラフである。
【図5】実施例2に係る電波吸収体の反射係数の極座標表示を示すグラフである。
【符号の説明】
1:電波反射層
2:電波吸収層
3:インピーダンス整合層

Claims (13)

  1. 炭素短繊維および非導電性短繊維と樹脂とを含む複合材料からなる電波吸収層を有し、かつ、周波数2〜20GHzの帯域において、少なくとも幅1GHzの、5dB以上の反射損失を示す帯域を有する電波吸収体。
  2. 炭素短繊維および非導電性短繊維と樹脂とを含む複合材料からなる電波吸収層と、この電波吸収層の裏面に設けた電波反射層とを有し、かつ、周波数2〜20GHzの帯域において、少なくとも幅1GHzの、5dB以上の反射損失を示す帯域を有する電波吸収体。
  3. 炭素短繊維および非導電性短繊維と樹脂とを含む複合材料からなる電波吸収層と、この電波吸収層の表面に設けたインピーダンス整合層および裏面に設けた電波反射層とを有し、かつ、周波数2〜20GHzの帯域において、少なくとも幅1GHzの、5dB以上の反射損失を示す帯域を有する電波吸収体。
  4. 電波吸収層の厚みt1に対するインピーダンス整合層の厚みt2の比t1/t2が0.2〜5の範囲内にある、請求項3に記載の電波吸収体。
  5. 炭素短繊維は、直径が1〜20μmの範囲内にあり、かつ、アスペクト比が100〜12,000の範囲内にある、請求項1〜3のいずれかに記載の電波吸収体。
  6. 炭素短繊維は、体積抵抗率が10−4〜10−2Ω・cmの範囲内にある、請求項1〜3のいずれかに記載の電波吸収体。
  7. 電波吸収層中における炭素短繊維の含有率が0.02〜5重量%の範囲内にある、請求項1〜3のいずれかに記載の電波吸収体。
  8. 非導電性短繊維がアラミド短繊維およびガラス短繊維から選ばれる少なくとも1種の短繊維である、請求項1〜3のいずれかに記載の電波吸収体。
  9. 電波吸収層中における非導電性短繊維の含有率が30〜99重量%の範囲内にある、請求項1〜3のいずれかに記載の電波吸収体。
  10. 少なくとも2種の非導電性短繊維を含み、炭素短繊維の直径d1に対する、重量で最も多く含まれる非導電性短繊維の直径d2との比d1/d2が0.8〜1.5の範囲内にある、請求項1〜3のいずれかに記載の電波吸収体。
  11. 炭素短繊維と非導電性短繊維とを含む混抄紙のプリプレグを所望の枚数積層し、成形して電波吸収層とする、請求項1〜10のいずれかに記載の電波吸収体の製造方法。
  12. 電波反射層形成材の上に炭素短繊維と非導電性短繊維とを含む混抄紙のプリプレグを所望の枚数積層し、電波反射層と電波吸収層とを一体成形する、請求項2〜10のいずれかに記載の電波吸収体の製造方法。
  13. 電波反射層形成材の上に炭素短繊維と非導電性短繊維とを含む混抄紙のプリプレグを所望の枚数積層し、積層したプリプレグの上にインピーダンス整合層形成材を配し、電波反射層と、電波吸収層と、インピーダンス整合層とを一体成形する、請求項3〜10のいずれかに記載の電波吸収体の製造方法。
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