JP2004118970A - オーディオ再生装置、方法及びプログラム - Google Patents

オーディオ再生装置、方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】再生前のディレクトリ情報解析の負担を軽減することにより、円滑な動作を実現するディスク再生装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】CD−ROM1がセットされると、システムコントローラ4が、読取手段を制御することによりそのCD−ROM1のディレクトリ情報を読み取らせると共に、そのディレクトリ情報を解析することにより、少なくともファイル位置を得るとともに、前記解析を所定時間行うと、前記オーディオ再生を開始させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、再生前のディレクトリ情報解析の負担を軽減することにより、円滑な動作を実現するディスク再生装置、方法及びプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタルオーディオやコンピュータなどで用いられる記憶媒体のなかで、CD−ROMとそのドライブは、大容量・安価・高速・汎用的なものとして大きな役割を果たしている。CD−ROMの代表的用途として、パーソナルコンピュータのCD−ROMドライブや、MP3やWMA(Windows Media Audio)などの圧縮オーディオ再生を目的とした再生機があるが、いずれにしても再生にあたってはディレクトリ情報の解析が必須である。
【0003】
ここでディレクトリ情報とは、媒体上においてどのようなディレクトリがどのような階層構造を持つかの情報、個々のファイルがどのディレクトリに入っていて、そのファイルがCD−ROMのどの位置(アドレス)にあるかを示す情報(「ファイル位置情報」や単に「位置情報」と呼ぶ)を含み、ディレクトリ/ファイル情報とも呼び、その解析をディレクトリ情報解析やディレクトリ/ファイル解析とも呼ぶ。
【0004】
ここで、CD−ROMでは、ファイルフォーマットによってディレクトリ情報をCD−ROMに保存する位置や順番などの規格が異なるので、CD−ROMを利用した再生機で最も代表的なファイルフォーマットであるISO9660を例にとり、図5にディレクトリ情報の概念図を示す。
【0005】
このようなディレクトリ情報を解析し、ファイル位置情報を抜き出すには、まず、VD(Volume Descriptor)(▲1▼)と呼ばれるCD−ROMの情報を探して読むと、このVDの中のPVD(Primary Volume Descriptor)もしくはSVD(Supplementary Volume Descriptor)という情報(記述子)に、パステーブル(▲2▼)の位置が示してある。このパステーブル(▲2▼)の位置は、CD−ROMのアドレス(LBN)で保存されている。
【0006】
そのアドレス情報からパステーブルを探すと、パステーブル(▲2▼)には、媒体であるディスク上に作成されているディレクトリ(Directory、以下「DIR」とも表すこととする)の位置情報が全て階層順に並んでいるので、このパステーブル(▲2▼)を読めば、すぐに任意のディレクトリの情報へ飛ぶことができる。したがって、再生前に、全てのディレクトリ先(▲3▼〜▲7▼)に飛んで必要なファイルの位置情報を探索し、探索できた位置情報をメモリに保存したうえ、LBN等で表されたこれらファイル位置情報を頼りに圧縮オーディオ再生を行う。
【0007】
なお、ファイル構造の解析に関する先行技術の例として、CD−R等の媒体から、階層構造を持つフォルダに記録されたMP3等楽曲データのファイル名といったテキスト情報を読み出し表示するもの(例えば、特許文献1参照。)などが挙げられる。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−266554号公報
【特許文献2】
特開2002−190155号公報(後述)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来技術では、再生前に全てのディレクトリ情報をまとめて解析するため、そのための所要時間等の負担が大きく、円滑な動作を妨げる問題があった。
【0010】
例えば、あるCD−ROMから、255のディレクトリと、999個のMP3形式圧縮オーディオファイルに関するディレクトリ情報を解析する場合、そのディスクのディレクトリ構造にもよるが、解析時間の分だけでだいたい60秒から90秒以上かかっていた。そのため、このような膨大なファイルをもったCD−ROMでMP3を再生しようとすれば、たとえ聞きたい部分がわずかであっても、ユーザーは再生開始まで長時間待つ必要があった。これにより、使い勝手が悪くなり、さらに、ユーザが故障かと誤解して混乱が生じることも考えられる。
【0011】
また、上記のようなディレクトリ情報の解析におけるCPUの計算量は膨大であるため、その処理によりCPUが何秒も続けて占有され、同じシステムで行うべき他の処理が規定時間通り正常に処理されない場合も考えられる。例えば、携帯電話網経由の通信を行う機能を備えたシステムでは、通信要求に基く割り込みや返信の処理について応答ができなかったりかなり遅延する等の支障が生じる場合も考えられる。
【0012】
さらに、いわゆる組み込み系と呼ばれるような簡易な情報処理システムの場合、搭載メモリには限界があり、上記のような大きな負荷の計算では、作業用のメモリ領域をよほど効率よく利用してディレクトリ情報解析作業を行わない限り、メモリ不足等の問題が発生する可能性があり、実装や安定稼動が難しくなる問題もあった。
【0013】
加えて、電圧が変動し不安定になりがちなカーオーディオシステム等の車載機器への応用では、ディレクトリ情報解析中に電源が不安定になる場合も考えられ、その場合システムの立ち上げ直しとなることから、ディレクトリ情報の読み直しや解析計算のやり直しが発生し、再生までの時間がさらに大幅に遅延し実用に差し支えるおそれもあった。
【0014】
なお、ディレクトリ情報における階層構造を解析せずに、指定された音声情報を直接検索して再生する提案もあるが(例えば、特許文献2参照。)、全く解析しない場合は、円滑な連続再生や階層構造の部分的表示にも差し支える問題があった。
【0015】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたもので、その目的は、再生前のディレクトリ情報解析の負担を軽減することにより、円滑な動作を実現するディスク再生装置、方法及びプログラムを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、コンピュータが、セットされたディスクから、光学ピックアップを含む機構を制御することにより情報を読み取る読取手段と、ディスクがセットされると、前記読取手段を制御することによりそのディスクのディレクトリ情報を読み取らせると共に、そのディレクトリ情報を解析することにより、少なくともファイル位置を得るファイル解析手段と、得られた前記ファイル位置に基いて、前記読取手段を制御することにより、オーディオ再生を行う手段と、を備えたオーディオ再生装置において、前記ファイル解析手段は、前記解析を所定時間行うと、前記オーディオ再生を開始させるように構成されたことを特徴とする。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1の発明を方法という見方から捉えたもので、コンピュータが、セットされたディスクから、光学ピックアップを含む機構を制御することにより情報を読み取る読取処理と、ディスクがセットされると、前記読取処理を制御することによりそのディスクのディレクトリ情報を読み取らせると共に、そのディレクトリ情報を解析することにより、少なくともファイル位置を得るファイル解析処理と、得られた前記ファイル位置に基いて、前記読取処理を制御することにより、オーディオ再生を行う処理と、を行うオーディオ再生方法において、前記ファイル解析処理は、前記解析を所定時間行うと、前記オーディオ再生を開始させることを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1,3の発明をコンピュータのプログラムという見方から捉えたもので、コンピュータを制御することにより、セットされたディスクから、光学ピックアップを含む機構を制御することにより情報を読み取る読取処理を行わせ、ディスクがセットされると、前記読取処理を用いてそのディスクのディレクトリ情報を読み取らせると共に、そのディレクトリ情報を解析することにより、少なくともファイル位置を得るファイル解析処理を行わせ、得られた前記ファイル位置に基いて、前記読取処理を用いて、オーディオ再生を行わせるオーディオ再生プログラムにおいて、そのプログラムは前記コンピュータに、前記ファイル解析処理において、前記解析を所定時間行うと、前記オーディオ再生を開始させることを特徴とする。
【0019】
これらの態様では、PVD等のディレクトリ情報の読み込みと解析を、再生開始前は、全て一括ではなく一定量まで行ったら再生開始し、残りはオーディオ再生中に何回かに分けて又は再生と並行して行う。これにより、再生前におけるディレクトリ情報解析の負担が限定されるので、円滑な動作が実現される。
【0020】
より具体的には、まず、CD−ROMなどのディスクをセットしてから圧縮オーディオファイル再生開始までの待ち時間が、例えば30秒以内のように、大幅に短縮される。特に、再生ファイルの圧縮率や媒体記録密度が向上し、その容量に伴って記録可能なファイル数も増え、全体としてのファイル解析時間が長くなっても、待ち時間は従来技術による場合と比べ大幅に短縮される。
【0021】
また、ディレクトリ情報解析処理を、圧縮ファイルの再生前と再生中に分けたことで、組み込み系等の能力が限定された装置でも処理能力に余裕が生まれ、圧縮ファイル再生以外の例えば通信などの処理も円滑化される。さらに、少ないメモリでも、解析に一度に用いる領域が少なくて済むため、実装や安定稼動が容易になる。
【0022】
さらに、車載装置などにおいて不安定な電源により再生や解析をやり直しする場合も、必要な待ち時間は短くて済むので、動作の円滑さとユーザの使い勝手が維持される。
【0023】
請求項2の発明は、請求項1記載のディスク再生装置において、前記コンピュータが、再生するファイルの指定を受け付ける手段を備え、前記ファイル解析手段は、前記ディスクの再生開始にあたり、再生するファイルの指定があった場合、そのファイルのファイル位置について前記解析が済んでいるかどうか判断し、未解析の場合はそのファイルの位置まで前記解析を行うと前記再生を開始させ、その後さらに残りのディレクトリ情報について前記解析を行うように構成されたことを特徴とする。
【0024】
請求項4の発明は、請求項2の発明を方法という見方から捉えたもので、請求項3記載のディスク再生方法において、前記コンピュータが、再生するファイルの指定を受け付け、前記ディスクの再生開始にあたり、再生するファイルの指定があった場合、そのファイルのファイル位置について前記解析が済んでいるかどうか判断し、未解析の場合はそのファイルの位置まで前記解析を行うと前記再生を開始させ、その後さらに残りのディレクトリ情報について前記解析を行うことを特徴とする。
【0025】
請求項6の発明は、請求項2,4の発明をコンピュータのプログラムという見方から捉えたもので、請求項5記載のディスク再生プログラムにおいて、前記プログラムは前記コンピュータに、再生するファイルの指定を受け付けさせ、前記ディスクの再生開始にあたり、再生するファイルの指定があった場合、そのファイルのファイル位置について前記解析が済んでいるかどうか判断させ、未解析の場合はそのファイルの位置まで前記解析を行ったうえで前記再生を開始させ、その後さらに残りのディレクトリ情報について前記解析を行わせることを特徴とする。
【0026】
これらの態様では、再生するファイルが指定されたときは、そのファイル位置までは解析を行うので、当初解析する範囲が限定されても、任意の所望のファイルの再生が保証される。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態(以下「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照して具体的に説明する。なお、本実施形態は、周辺装置を備えたコンピュータをプログラムで制御することにより実現できるが、この場合のハードウェアやプログラムの実現態様は各種変更可能であるから、以下の説明では、本発明及び本実施形態の各機能を実現する仮想的回路ブロックを用いる。
【0028】
なお、本実施形態は、オーディオ再生装置(以下「本装置」と呼ぶ)に加え、方法、コンピュータプログラム、およびそのようなプログラムを記録した記録媒体としても把握可能であり、そのようなプログラムをインターネットや携帯電話網などの通信ネットワーク経由で、各車両のカーオーディオ装置にダウンロードして実行させることも本発明の一態様である。
【0029】
〔1.構成〕
まず、本装置は、図1の機能ブロック図に示す以下の各要素を備える。まず、CDコントローラ2は、セットされたCD−ROM1から、光学ピックアップを含む図示しない機構を制御することにより情報を読み取る読取手段であり、ここでは主にサーボ調整や、CDの生データをECCデコーダに与えるなどの処理を行うように構成される。
【0030】
ECCデコーダ3は、CD−ROM1から読み取られた生データに対し、エラーチェックなどの情報を処理することにより、実際に再生対象とすべき圧縮オーディオデータを得るECCデコード処理を行う部分であり、デコード結果の圧縮オーディオデータは、伸張処理のうえ、メモリマネージャ5経由でDRAM6に保存される。このメモリマネージャ5は、メモリ管理を行う部分であり、DRAM6におけるデータの保存や取り出しなどをCPU以外の装置がダイレクトに行う処理、例えばDMA(ダイレクトメモリアクセス)やバルク転送その他の処理を行なうように構成される。
【0031】
システムコントローラ4は、CDコントローラ2、ECCデコーダ3、メモリマネージャ5及び圧縮オーディオデコーダ7の各部分を制御するもので、その他、他のペリフェラル(周辺機器)との通信や、圧縮オーディオ再生前にはCD−ROMのファイル解析なども行うように構成される。
【0032】
すなわち、システムコントローラ4は、CD−ROM1がセットされると、前記読取手段を制御することによりそのCD−ROM1のディレクトリ情報を読み取らせると共に、そのディレクトリ情報を解析することにより、少なくともファイル位置を得るファイル解析手段であり、前記解析を所定時間行うと、前記オーディオ再生を開始させるように構成されたことを特徴とする。
【0033】
圧縮オーディオデコーダ7は、圧縮ファイルデータをデコード(伸張処理)することにより再生可能なオーディオデータにし、メモリマネージャ5を通じてDRAM6に保持させるものであり、DRAM6に保持されたオーディオデータは最終的にD/Aコンバータ8や図示しないアンプ及びスピーカを通じ音響として再生される。
【0034】
すなわち、ECCデコーダ3、システムコントローラ4及び圧縮オーディオデコーダ7は、システムコントローラ4による解析で得られた前記ファイル位置に基いて、前記読取手段を制御することにより、オーディオ再生を行う手段を構成している。
【0035】
なお、以上のうちCDコントローラ2、システムコントローラ4及びメモリマネージャ5は主にCPUにより実現される部分(図1において「CPU系」の文字及び荒い破線で示す)であり、ECCデコーダ3、メモリマネージャ5、DRAM6、圧縮オーディオデコーダ7及びD/Aコンバータ8は、DSP(デジタルサウンドプロセッサ)により実現される部分(図1において「DSP系」の文字及び細かい破線で示す)である。
【0036】
〔2.作用〕
上記のように構成された本実施形態は、次のように作用する。
〔2−1.概略〕
本実施形態では、CD−ROM1がセットされると、システムコントローラ4が、前記読取手段を制御することによりそのCD−ROM1のディレクトリ情報を読み取らせると共に、そのディレクトリ情報を解析することにより、少なくともファイル位置を得るとともに、前記解析を所定時間行うと、前記オーディオ再生を開始させる。この際、CDコントローラ2は読取手段として、セットされたCD−ROM1から、光学ピックアップを含む図示しない機構を制御することにより情報を読み取る。
【0037】
オーディオ再生は、システムコントローラ4による解析で得られた前記ファイル位置に基いて、ECCデコーダ3、システムコントローラ4及び圧縮オーディオデコーダ7により行われる。
【0038】
〔2−2.ディスクのセットと解析〕…図2
より具体的には、まず、CD−ROM1がセット(ロード)されると、ディレクトリ情報の解析を経て再生が開始されるが、この間の処理手順を図2に示す。すなわち、CD−ROM1が本装置に挿入されると、システムコントローラ4がCDコントローラ2に対し、TOC(Table Of Contents)読み込み(以下「TOC_READ」とも表す)を指示する(ステップ1)。
【0039】
このTOC読み込み(ステップ2)が終了したら(ステップ3)、CD−ROM1のPVD(2秒16フレーム)へ飛ぶ(読み込み個所を移動する)ように、システムコントローラ4がCDコントローラ2に指示する(ステップ4)。これにしたがってCDコントローラ2はPVDに飛び、CD−ROM1のその部分のメインデータを読んで(ステップ5)、読み取った生データをそのままECCデコーダ3に送り、ECCデコーダ3は受け取った生データをECCデコードし(ステップ5)、CD−ROMからの読取結果となるデータを生成する。
【0040】
システムコントローラ4は、このデータからPVD解析を行うことにより(ステップ6)、パステーブルの位置を探し(ステップ7)、それを読み出して先ほどと同じくECCデコードし(ステップ8)、パステーブル解析を行うことにより(ステップ9)、ディレクトリの解析順序を決定する(ステップ10)。なお、この解析順序は、物理的並び順や階層リンク順など任意である。
【0041】
そして、決定したディレクトリの解析順にディレクトリの解析を行う(ステップ11,12)。この解析ではECCデコード結果のデータから、指定の拡張子(.mp3等)が見つかったら、そのファイルのCD−ROM1上におけるLBN等のアドレス位置などを保存する。
【0042】
そして、このような一連のディレクトリ解析の終了条件は、全てのディレクトリを解析できたか(ステップ14)、もしくはディレクトリ解析開始後30秒たったら解析を終了し(ステップ13)、一番最初に再生すべきファイルの再生を開始することである(ステップ15)。
【0043】
また、ここでいう「30秒」は、解析すべき一番始めのディレクトリの解析に十分な時間である一方、再生開始までにユーザーを待たせ過ぎない適切な時間であると考えられるが、さらに、一般的に30秒もあれば、多くのCD−ROMでは実際は解析が完了すると考えられるので、オーディオ再生開始後の処理が一層円滑となる。
【0044】
〔2−3.再生開始からの処理〕…図3
次に、ファイルの再生開始からの処理手順を図3のフローチャートに示す。すなわち、再生開始直前にまず、ユーザーからの再生ファイルの指定があるかどうか判定し(ステップ31)、ある場合についてはどのファイルを再生したいかの指定を入力受付した後(ステップ32)、後述する図4の処理へ移行する。
【0045】
一方、指定が無い場合は(ステップ31)、図2の解析で得られたファイル位置情報に基きファイル開始位置を判断し、その位置へ飛んで(ステップ33)そこから一番初めのファイルのデータ読み込み及びECCデコードを行い(ステップ34)、MP3の圧縮オーディオデータを、所定の再生用領域メモリに順次入れてゆく(ステップ35)。
【0046】
そして、その領域のメモリが一杯になったら(ステップ36)、DSPにより実現される圧縮オーディオデコーダ7が、メモリ内のそのデータをもとにMP3圧縮オーディオデータのデコード(伸張処理)を行い(ステップ42)、デコード結果に基いてオーディオ再生を開始する(ステップ43)。
【0047】
このようにDSPにより圧縮オーディオファイルの再生が始まったら(ステップ37)、システムコントローラ4では、再生開始前の解析のみでディレクトリ解析(ディレクトリ/ファイル解析)が終了していたか判断する(ステップ38)。そして、終了していない場合は、残りのディレクトリ/ファイル解析を再開する(ステップ39)。
【0048】
ここで、ディレクトリ/ファイル解析(ステップ39)と圧縮オーディオファイル再生(ステップ42,43)が並列に行えるのは、CPUと別にDSPを利用しているためである。
【0049】
そして、1つのディレクトリを解析するごとに現在の再生状況つまり、メモリ残をチェックし(ステップ40)、メモリ内の再生対象データ残量が20%を切るか又はそれに近い所定の基準を満たしたら(ステップ41)、メモリに圧縮オーディオデータを入れる処理(ステップ35)に戻る。
【0050】
〔2−4.再生ファイルが指定された場合〕…図4
また、図3のステップ31において、CPUがリモコンや操作パネルなどから、再生するファイルの指定を受け付ける場合の処理手順を図4に示す。すなわち、ファイル/ディレクトリ情報の解析が未完了状態のとき、そのような未完了部分のディレクトリやその中のファイルを指定する場合も考えられるので、次のような処理により対応する。
【0051】
すなわち、システムコントローラ4は、ユーザーが再生するファイルを指定した場合(ステップ51)、そのファイル位置となるディレクトリが、ディレクトリ解析済みのディレクトリかどうか判断し(ステップ52)、解析済みの場合はそのまま圧縮ファイル再生処理に移るが(ステップ54,55)、未解析の場合は(ステップ52)そのファイルのあるディレクトリまで前記解析を行ったうえで(ステップ53)ファイル再生処理を開始させ(ステップ54,55)、その後、解析全体が未完了の場合は、図3の処理に準じ、再生と並行して、さらに残りのディレクトリ情報について前記解析を行う(ステップ56,57)。
【0052】
〔2−5.レジューム再生処理について〕
なお、レジューム再生を行う場合も考えられ、このレジューム再生とは再生を途中で止めて再度、止めた位置から再生することである。この場合、再生を途中で止めた後、電圧不安定などの何らかの理由でファイル/ディレクトリ解析に関する情報が消える場合がある。この場合、図4に準じた処理手順を用いるが、再生再開位置は、止めた場所からとなる。
【0053】
〔3.効果〕
以上のように、本実施形態では、PVD等のディレクトリ情報の読み込みと解析を、再生開始前は、全て一括ではなく一定量まで行ったら再生開始し、残りはオーディオ再生中に何回かに分けて又は再生と並行して行う。これにより、再生前におけるディレクトリ情報解析の負担が限定されるので、円滑な動作が実現される。
【0054】
より具体的には、まず、CD−ROMなどのディスクをセットしてから圧縮オーディオファイル再生開始までの待ち時間が、例えば30秒以内のように、大幅に短縮される。特に、再生ファイルの圧縮率や媒体記録密度が向上し、その容量に伴って記録可能なファイル数も増え、全体としてのファイル解析時間が長くなっても、待ち時間は従来技術による場合と比べ大幅に短縮される。
【0055】
また、ディレクトリ情報解析処理を、圧縮ファイルの再生前と再生中に分けたことで、組み込み系等の能力が限定された装置でも処理能力に余裕が生まれ、圧縮ファイル再生以外の例えば通信などの処理も円滑化される。さらに、少ないメモリでも、解析に一度に用いる領域が少なくて済むため、実装や安定稼動が容易になる。
【0056】
さらに、車載装置などにおいて不安定な電源により再生や解析をやり直しする場合も、必要な待ち時間は短くて済むので、動作の円滑さとユーザの使い勝手が維持される。
【0057】
また、本実施形態では、再生するファイルが指定されたときは、そのファイル位置までは解析を行うので、当初解析する範囲が限定されても、任意の所望のファイルの再生が保証される。
【0058】
〔4.他の実施形態〕
なお、本発明は、上記実施形態には限定されず、以下に例示するような他の実施形態も含むものである。例えば、本発明は、圧縮オーディオ再生専用機器には限定されず、録音及び再生両用機器や他の汎用機器、DVDなど圧縮オーディオを映像と共に再生する機器などにも適用可能である。
【0059】
また、上記実施形態では、記憶媒体の代表例としてCD−ROMを挙げたが、本発明はMD、CD−R、CD−R/W、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD−R/W、コンパクトフラッシュメモリなど各種の記憶媒体にも適用可能である。また、圧縮オーディオとして、MP3やWMA(Windows Media Audio)を例示できるが、他の種類の圧縮オーディオにも本発明が適用可能であることは言うまでもない。また、図1や図5の構成、図2〜図4の処理手順は、適宜変更して実施可能である。
【0060】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、再生前のディレクトリ情報解析の負担を軽減することにより、円滑な動作を実現するディスク再生装置、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態におけるオーディオ再生装置の構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の実施形態におけるディレクトリ情報解析の処理手順を示すフローチャート。
【図3】本発明の実施形態におけるオーディオ再生の処理手順を示すフローチャート。
【図4】本発明の実施形態において、再生するファイルが指定された場合の処理手順を示すフローチャート。
【図5】ディレクトリ情報の一例を示す概念図。
【符号の説明】
1…CD−ROM
2…CDコントローラ
3…ECCデコーダ
4…システムコントローラ
5…メモリマネージャ
6…DRAM
7…圧縮オーディオデコーダ
8…D/Aコンバータ

Claims (6)

  1. コンピュータが、
    セットされたディスクから、光学ピックアップを含む機構を制御することにより情報を読み取る読取手段と、
    ディスクがセットされると、前記読取手段を制御することによりそのディスクのディレクトリ情報を読み取らせると共に、そのディレクトリ情報を解析することにより、少なくともファイル位置を得るファイル解析手段と、
    得られた前記ファイル位置に基いて、前記読取手段を制御することにより、オーディオ再生を行う手段と、
    を備えたオーディオ再生装置において、
    前記ファイル解析手段は、前記解析を所定時間行うと、前記オーディオ再生を開始させるように構成されたことを特徴とするオーディオ再生装置。
  2. 前記コンピュータが、
    再生するファイルの指定を受け付ける手段を備え、
    前記ファイル解析手段は、前記ディスクの再生開始にあたり、再生するファイルの指定があった場合、そのファイルのファイル位置について前記解析が済んでいるかどうか判断し、未解析の場合はそのファイルの位置まで前記解析を行うと前記再生を開始させ、その後さらに残りのディレクトリ情報について前記解析を行うように構成されたことを特徴とする請求項1記載のディスク再生装置。
  3. コンピュータが、
    セットされたディスクから、光学ピックアップを含む機構を制御することにより情報を読み取る読取処理と、
    ディスクがセットされると、前記読取処理を制御することによりそのディスクのディレクトリ情報を読み取らせると共に、そのディレクトリ情報を解析することにより、少なくともファイル位置を得るファイル解析処理と、
    得られた前記ファイル位置に基いて、前記読取処理を制御することにより、オーディオ再生を行う処理と、
    を行うオーディオ再生方法において、
    前記ファイル解析処理は、前記解析を所定時間行うと、前記オーディオ再生を開始させることを特徴とするオーディオ再生方法。
  4. 前記コンピュータが、
    再生するファイルの指定を受け付け、
    前記ディスクの再生開始にあたり、再生するファイルの指定があった場合、そのファイルのファイル位置について前記解析が済んでいるかどうか判断し、未解析の場合はそのファイルの位置まで前記解析を行うと前記再生を開始させ、その後さらに残りのディレクトリ情報について前記解析を行うことを特徴とする請求項3記載のディスク再生方法。
  5. コンピュータを制御することにより、
    セットされたディスクから、光学ピックアップを含む機構を制御することにより情報を読み取る読取処理を行わせ、
    ディスクがセットされると、前記読取処理を用いてそのディスクのディレクトリ情報を読み取らせると共に、そのディレクトリ情報を解析することにより、少なくともファイル位置を得るファイル解析処理を行わせ、
    得られた前記ファイル位置に基いて、前記読取処理を用いて、オーディオ再生を行わせるオーディオ再生プログラムにおいて、
    そのプログラムは前記コンピュータに、
    前記ファイル解析処理において、前記解析を所定時間行うと、前記オーディオ再生を開始させることを特徴とするオーディオ再生プログラム。
  6. 前記プログラムは前記コンピュータに、
    再生するファイルの指定を受け付けさせ、
    前記ディスクの再生開始にあたり、再生するファイルの指定があった場合、そのファイルのファイル位置について前記解析が済んでいるかどうか判断させ、未解析の場合はそのファイルの位置まで前記解析を行ったうえで前記再生を開始させ、その後さらに残りのディレクトリ情報について前記解析を行わせることを特徴とする請求項5記載のディスク再生プログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006046614A1 (ja) * 2004-10-26 2006-05-04 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. ディスク再生装置
JP2010250907A (ja) * 2009-04-17 2010-11-04 Alpine Electronics Inc ディスク再生装置

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