JP2004118021A - 感光性ポリアミド樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式(1)で示されるビス(アミノフェノール)と一般式(2)で示されるジカルボン酸誘導体とを溶媒中、80〜300℃で反応させポリアミド樹脂を合成した後、単離すること無く、その反応溶液中に感光剤及びその他の添加剤を投入してポジ型の感光性樹脂組成物を得る感光性ポリアミド樹脂組成物の製造方法であり、ポリアミド樹脂を合成した後、蒸留により、溶媒の一部及び/又はジカルボン酸誘導体からの脱離物質の一部を除いてもよい。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性ポリアミド樹脂組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には耐熱性が優れ、又卓越した電気特性、機械特性等を有するポリイミド樹脂が用いられているが、近年半導体素子の高集積化、大型化、パッケージの薄型化、小型化、半田リフローによる表面実装への移行等により耐熱サイクル性、耐熱ショック性等の著しい向上の要求があり、更に高性能の樹脂が必要とされるようになってきた。一方、ポリイミド樹脂自身に感光性を付与する技術が注目を集めてきており、例えば下記式(3)で示される感光性ポリイミド樹脂が挙げられる。
【0003】
【化3】
【0004】
これを用いるとパターン作成工程の一部が簡略化でき、工程短縮の効果はあるが、現像の際にN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤が必要となるため、安全性、取扱い性に問題がある。そこで最近、アルカリ水溶液で現像ができるポジ型の感光性樹脂組成物が開発されている。例えば、特許文献1においてはポリベンゾオキサゾール前駆体とジアゾキノン化合物より構成されるポジ型感光性樹脂組成物が開示されている。これは高い耐熱性、優れた電気特性、微細加工性を有し、ウェハーコート用のみならず層間絶縁用としての可能性も有している。このポジ型の感光性樹脂組成物の現像メカニズムは、未露光部のジアゾキノン化合物はアルカリ水溶液に不溶であるが、露光することによりジアゾキノン化合物が化学変化を起こし、アルカリ水溶液に可溶となる。この露光部と未露光部との溶解性の差を利用し、露光部を溶解除去することにより未露光部のみの塗膜パターンの作成が可能となるものである。
【0005】
このポジ型感光性樹脂組成物のベース樹脂であるポリアミド樹脂、つまりポリベンゾオキサゾール前駆体の合成法については、非特許文献1に示されているように、ジカルボン酸クロライドとジアミンとを反応させるのが一般的である。ところがこの方法では、樹脂中に塩素イオンが残留し回路金属を腐食するため、半導体に用いるのは事実上困難である。そこで特許文献2では、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとジカルボン酸とを反応させたジカルボン酸誘導体を経由して、ポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する方法が開示されている。これらの合成方法では反応溶媒中でポリベンゾオキサゾール前駆体を合成した後、反応溶媒を例えば水のような貧溶媒に投入し、樹脂成分を再沈殿させ、洗浄し、反応の触媒や副生成物を取り除く必要がある。この再沈殿の工程においては沈殿させる多量の溶媒が必要となる。また、再沈殿で回収した樹脂成分を乾燥させる工程も必要であり、工業的には種々問題があり、簡便な合成方法が強く望まれている。
【0006】
【特許文献1】
特公平1−46862号公報(第1〜第8頁)
【特許文献2】
特開平9−183846号公報
【非特許文献1】
Polymer Letter.,Vol.2,pp655−659(1964)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡便な感光性ポリアミド樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は一般式(1)で示されるビス(アミノフェノール)と一般式(2)で示されるジカルボン酸誘導体とを溶媒中、80〜300℃で反応させポリアミド樹脂を合成した後、単離すること無く、その反応溶液中に感光剤及びその他の添加剤を投入してポジ型の感光性樹脂組成物を得ることを特徴とする感光性ポリアミド樹脂組成物の製造方法である。
また、一般式(1)で示されるビス(アミノフェノール)と一般式(2)で示されるジカルボン酸誘導体とを溶媒中、80〜300℃で反応させたポリアミド樹脂を合成した後、蒸留により、溶媒の一部及び/又はジカルボン酸誘導体からの脱離物質の一部を除いた後、ポリアミド樹脂を単離すること無く、その反応溶液中に感光材及びその他の添加剤を投入してポジ型の感光性樹脂組成物を得ることを特徴とする感光性ポリアミド樹脂組成物の製造方法である。
また合成したポリアミド樹脂が1.0〜50%オキサゾール化していることを特徴とする感光性ポリアミド樹脂組成物の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、簡便な方法でポリアミド樹脂を合成し、その反応溶液中からポリアミド樹脂を再沈殿等の方法で取り出すこと無く、反応溶液に必要な感光材、添加剤等を投入し、感光性ポリアミド樹脂組成物を製造することを特徴とする。本発明においてポリアミド樹脂を合成するためには使用することができるアミン成分としては一般式(1)で示されるビス(アミノフェノール)を使用することができる。
【0010】
【化4】
【0011】
また、本発明において使用できる酸成分としては一般式(2)で示されるジカルボン酸誘導体を使用することができる。
【0012】
【化5】
式(2)中のR2は一般的な有機基であり特に制限されるものではないが、好ましい例としてはフェニル基誘導体、アルキル基等を挙げることができる。
【0013】
本発明において一般式(1)で示されるビスアミノフェノールと一般式(2)で示されるジカルボン酸誘導体とを反応させる溶媒としてはN―メチル−2−ピロリドン、γ―ブチロラクトン、 N、N−ジメチルアセトアミド、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等を単独または2種類以上の混合溶媒で使用することができるが、これらに特に限定されない。反応温度については80から300℃の範囲である。反応温度が80℃よりも低い場合は反応が進行せず、また、300℃以上になると反応系は黒くなり好ましくない。反応時間については1〜24時間の間で行うことができる。本発明においてはより反応を促進させるために、例えばトリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンの様な塩基性触媒を加えても良い。
【0014】
また本発明ではポリアミド樹脂を合成した後、該ポリアミド樹脂中に含まれる末端のアミノ基をアルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を含む酸無水物を用いてアミドとしてキャップすることが好ましい。アミノ基と反応した後のアルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基又は環式化合物基を含む酸無水物に起因する基としては、例えば、
【0015】
【化6】
【0016】
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中で特に好ましいものとしては、
【0017】
【化7】
【0018】
より選ばれるものであり、又2種類以上用いても良い。
本発明では粘度調整を行うため、またジカルボン酸誘導体からの脱離物質の含有量を制御するため、反応終了後、蒸留により溶媒の一部及び/又はジカルボン酸誘導体からの脱離物質の一部を取り除くことも可能である。
【0019】
本発明においては合成したポリアミドの一部が環化したオキサゾール構造になっていることが好ましい。そのオキサゾール化の割合は1.0%〜30%であることが好ましい。1.0%以下の場合、現像液に対する溶解性が高いため、現像時の膜減りが大きくなり、好ましくない。また、30%以上の場合、現像液に対する溶解性が極端に小さくなり、パターニング性が低下するため好ましくない。尚、本発明におけるオキサゾール化の算出は1H−NMRで算出した値を言う。
【0020】
本発明においての感光性樹脂組成物の製造は、合成したポリアミド樹脂の反応溶液を室温まで冷却した後、感光材を投入して所定時間攪拌を行い感光性樹脂組成物を製造する。また必要な場合は、感光材以外に密着助剤、フェノール類、界面活性剤等の添加剤を一緒に投入しても良い。
【0021】
本発明に使用できる感光材としてはポジ型の感光材である感光性ジアゾキノン化合物を使用することが好ましい。使用することができる感光性ジアゾキノン化合物は、1, 2−ベンゾキノンジアジド或いは1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する化合物であり、米国特許明細書第2,772,975号、第2,797,213号、第3,669,658号により公知の物質である。例えば下記のものが挙げられる。
【0022】
【化8】
【0023】
【化9】
【0024】
これらの内で、特に好ましいのはフェノール化合物と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸又は1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸とのエステル化合物である。フェノール化合物としては、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。又これらは単独で用いても混合して用いてもよい。
【0025】
【化10】
【0026】
【化11】
【0027】
【化12】
【0028】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物においては、必要に応じて、感度向上のためフェノール化合物を併用することもできる。フェノール化合物の配合量は、ポリアミド樹脂100重量部に対して1〜30重量部が好ましい。フェノール化合物としては下記のもの等を挙げることができるがこれらに限定されない。
【0029】
【化13】
【0030】
【化14】
【0031】
【化15】
【0032】
【化16】
【0033】
【化17】
【0034】
【化18】
【0035】
【化19】
【0036】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の使用方法は、まず該樹脂組成物を適当な支持体、例えばシリコンウエハー、セラミック基板、アルミ基板等に塗布する。塗布量は、半導体装置の場合、硬化後の最終膜厚が0.1〜30μmになるように塗布する。膜厚が0.1μm未満だと半導体素子の保護表面膜としての機能を十分に発揮することが困難となり、30μmを越えると、微細な加工パターンを得ることが困難となる。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等がある。次に、60〜130℃でプリベークして塗膜を乾燥後、所望のパターン形状に化学線を照射する。化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線等が使用できるが、200〜500nmの波長のものが好ましい。
【0037】
次に照射部を現像液で溶解除去することによりレリーフパターンを得る。現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第1アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第2アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第3アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩等のアルカリ類の水溶液及びこれにメタノール、エタノールのごときアルコール類等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を好適に使用することができる。現像方法としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が可能である。
【0038】
次に、現像によって形成したレリーフパターンをリンスする。リンス液としては、蒸留水を使用する。次に加熱処理を行い、イミド環、オキサゾール環を形成し、耐熱性に富む最終パターンを得る。その他の半導体装置の製造方法は公知の方法を用いることができる。
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、半導体用途のみならず、多層回路の層間絶縁やフレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜等としても有用である。
【0039】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
《実施例1》
<ポリアミド樹脂の合成>
イソフタル酸ジフェニルを18.6g(0.058モル)、2,2−ビス(3−アミノー4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフロロプロパン21.4g(0.058モル)を脱水したN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという)160.0gに溶解する。次にオイルバスを用いて、反応系を185℃まで昇温し、そのまま12時間反応を行う。反応終了後、室温まで冷却行い、目的とするポリアミド樹脂(A−1)を含んだNMP反応溶液を得た。このポリアミド樹脂を1H−NMRで分析を行ったところ、13%がオキサゾール化していた。
【0040】
<ポジ型感光性樹脂組成物の作製>
合成したポリアミド樹脂(A−1)を含んだNMP溶液100重量部に下記式の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物(B−1)6重量部、下記式の構造を有するシランカップリング剤(C−1)0.4重量部を溶解した後、0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し感光性樹脂組成物を得た。
【0041】
<特性評価>
このポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で4分間乾燥し、膜厚約5μmの塗膜を得た。次にこの塗膜にi線ステッパー露光機NSR−4425i(ニコン(株)製)によりレチクルを通して300mJ/cm2の露光量で露光を行い、1.4%のテトラメチルヒドロキシド水溶液に60秒浸漬することによって露光部を溶解除去した後、純水で30秒間リンスし、パターン形成を行った。現像後の外観についても光学顕微鏡による観察を行ったところ、ボイドや表面あれ等は無く極めて良好であった。
【0042】
《実施例2》
<ポリアミド樹脂の合成>
イソフタル酸ジフェニルを18.6g(0.058モル)、2,2−ビス(3−アミノー4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフロロプロパン21.4g(0.058モル)、4−ジメチルアミノピリジン0.35g(0.0029モル)を脱水したγ―ブチロラクトン160.0gに溶解する。次にオイルバスを用いて、反応系を185℃まで昇温し、そのまま8時間反応を行う。反応終了後、室温まで冷却行い、目的とするポリアミド樹脂(A−2)を含んだNMP反応溶液を得た。このポリアミド樹脂を1H−NMRで分析を行ったところ、7%がオキサゾール化していた。
【0043】
<ポジ型感光性樹脂組成物の作製>
合成したポリアミド樹脂(A−2)を含んだγ―ブチロラクトン溶液100重量部に下記式の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物(B−2)4重量部、下記式の構造を有するフェノール化合物(C−2)5重量部を溶解した後、0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し感光性樹脂組成物を得た。
【0044】
<特性評価>
このポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で4分間乾燥し、膜厚約5μmの塗膜を得た。次にこの塗膜にi線ステッパー露光機NSR−4425i(ニコン(株)製)によりレチクルを通して300mJ/cm2の露光量で露光を行い、2.38%のテトラメチルヒドロキシド水溶液に60秒浸漬することによって露光部を溶解除去した後、純水で30秒間リンスし、パターン形成を行った。現像後の外観についても光学顕微鏡による観察を行ったところ、ボイドや表面あれ等は無く極めて良好であった。
【0045】
《実施例3》
実施例1におけるポリアミド樹脂の合成において、イソフタル酸ジフェニルを18.6g(0.058モル)、2,2−ビス(3−アミノー4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフロロプロパン21.4g(0.058モル)を脱水したNMP160.0gに溶解する。次にオイルバスを用いて、反応系を185℃まで昇温し、そのまま12時間反応した後、減圧蒸留を行い、NMPとイソフタル酸ジフェニルの副生成物のフェノールを取り除いた。反応終了後、室温まで冷却行い、目的とするポリアミド樹脂(A−3)を含んだNMP反応溶液を得た。このポリアミド樹脂を1H−NMRで分析を行ったところ、24%がオキサゾール化していた。実施例1と同様の評価を行った所、現像後の外観についても光学顕微鏡による観察を行ったところ、ボイドや表面あれ等は無く極めて良好であった。
【0046】
《比較例1》
<ポリアミド樹脂の合成>
イソフタル酸ジフェニルを18.6g(0.058モル)、2,2−ビス(3−アミノー4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフロロプロパン21.4g(0.058モル)を脱水したNMP160.0gに溶解する。次にオイルバスを用いて、反応系を150℃まで昇温し、そのまま12時間反応を行う。反応終了後、室温まで冷却行い、目的とするポリアミド樹脂(A−4)を含んだNMP反応溶液を得た。このポリアミド樹脂を1H−NMRで分析を行ったところ、0.2%がオキサゾール化していた。
実施例1と同様にポジ型感光性樹脂組成物の作製を作成し、評価を行ったところ、現像時の膜べりが大きく、良好なパターンが得られなかった。
【0047】
【化20】
【0048】
【化21】
【0049】
【発明の効果】
本発明によればポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する際に使用するジカルボン酸誘導体を高純度で、効率よく高収率で合成する方法とその合成方法で合成したジカルボン酸誘導体から得られる高純度なポリベンゾオキサゾール前駆体を提供することができる。
Claims (3)
- 一般式(1)で示されるビス(アミノフェノール)と一般式(2)で示されるジカルボン酸誘導体とを溶媒中、80〜300℃で反応させ、ポリアミド樹脂の合成と一部オキサゾール化を行った後、蒸留により、溶媒の一部及び/又はジカルボン酸誘導体からの脱離物質の一部を除いた後、ポリアミド樹脂を単離すること無く、その反応溶液中に感光材及びその他の添加剤を投入して感光性樹脂組成物を得ることを特徴とする感光性ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
- ポリアミド樹脂が1.0〜30%オキサゾール化しているポリアミド樹脂である請求項1又は2記載の感光性ポリアミド樹脂組成物の製造方法。
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